説明

光導波路構造

【課題】1×2の多段構成の光スプリッタ用光導波路の入出力間の距離を低減する。
【解決手段】合波分岐光導波路構造150は、一方の側S1に湾曲する第1の軸線LA1に沿って形成された合波側の第1のコア部A1と、一方の側S1に湾曲する第2の軸線LB1に沿って形成された分岐側の第2のコア部B1と、他方の側S2に湾曲する第3の軸線LC1に沿って形成された分岐側の第3のコア部C1とを有する。軸線LA1,LB1,LC1は、互いに平行なそれぞれの接線と接する接点PA1,PB1,PC1を有する。更に、接点PB1,PC1は、第1の軸線LA1の接点PA1における接線TA1と垂直に第1の接点PA1を通って延びる垂直線LP1から分岐側の領域内に位置する。第3の軸線LC1の接点PC1は、接線TA1に対して他方の側S2に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路構造に関し、さらに詳しくは、分岐合波部を有する光導波路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大しており、全長が短く、伝送速度が速く、光伝送損失の小さい光導波路が要望されている。
光導波路は、光伝送における光インターコネクションとして使用されており、例えば光スプリッタ(分岐結合器)のような光学装置は、光導波路の基本構成要素として必要不可欠のものである。一方、光スプリッタ(分岐結合器)は、光伝送方向を逆にすると、合波光導波路として作用する。
【0003】
1×N(Nは2〜8)分岐の光スプリッタを光導波路で構成するには、従来1×2分岐構造をツリー構成にして実現されていた。以下、記載の便宜上、1ch側を入力ポート、Nch側を出力ポートとして記述するが、使用方法としては、光分岐機能として使用してもよいし、光結合機能として使用してもよい。
1×4分岐以上の光スプリッタでは、入力ポート側から第1段目の分岐構造と第2段目の分岐構造との間は、従来S字型の曲線光導波路を用いて結合されるように、入力部分、出力部分の方向が平行となるように配置される。1×8分岐以上の光スプリッタでは、第2段目の分岐構造と第3段目の分岐構造との間が同様にしてS字型の曲線光導波路を用いて結合されている。
【0004】
従来技術の多分岐光回路としては、端部が基板に一方の側面に臨む第1段入射路から、端部が基板の対向側面に望む最終段出射路に至るまでの間にY分岐部を2段以上有し、前記入射路及び出射路の法線に平行としたツリー構造で第一段入射路から入射光が各最終段出射路からの入射光が最終段出射路に均等に分岐する多分岐回路において、第一段入射路の中心軸延長線を基準線として、第ニ段から最終段までの両方の最外側Y分岐部について、その分岐中心線と前記基準線とのなす角θが、後段にいくに従い、順次拡大する如くY分岐部を外向きに傾斜させたパターンとした構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
他の従来技術においては、光導波路が一つの入力個所から樹木状に分岐し、その分岐曲線の曲率半径は少なくとも光波の伝送を妨げない大きさとする構成である(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
他の従来技術においては、一つの入力と2nの出力を有しており、かつ複数の実質的に同一平面関係の導波路を具備し、前記導波路がそれぞれ前記入力を2つの出力の一つに光学的に結合されるようになされており、かつ各導波路に沿ってツリー・アンド・ブランチ配列で配置されたnのYジャンクションを接続する複数の導波路セクションよりなる光カプラにおいて、前記カプラの出口と平行でない出口を有する第1のジャンクション(J21)特異点を伴うことなしに彎曲した導波路セクションによって2つの第2ジャンクション(J31、J32)に接続されており、前記入力とジャンクションの第n番目のステージとの間における前記導波路のうちの任意の一つに沿った任意の反曲点が導波路の通路に沿ったnのジャンクションのうちの一つに存在している構成である(例えば、特許文献3照)。
【0007】
他の従来技術においては、一本の入力光導波路及びN本の出力光導波路を具備し、前記入力光導波路から入射した光信号をN個の光信号に分割して前記出力光導波路へ出力する光結合器において、入射してきた光信号を2つの光信号に分岐するY−接合光導波路を複数用いてm段に構成し、このY−接合光導波路と交互に連結され、第m番目の段の前記Y−接合光導波路と前記出力光導波路との間に少なくとも一本連結される曲線光導波路を複数備えてなり、光信号の導波方向を縦軸とし、前記入力光導波路と第1番目の段の前記Y−結合光導波路との接点を原点としたとき、前記Y−接合光導波路及び前記曲線光導波路は、前記原点から前記各出力光導波路まで形成されたN本の経路のうち、最大長さの経路を最小化する位置に配置され、その大きさが決められる構成である(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3030108号
【特許文献2】特開昭51−124940号
【特許文献3】特開平5−196826号
【特許文献4】特表2002‐530690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的な課題として、光導波路は、半導体製造工程に類するウエハ工程で製造される。光導波路の面積を小さくすること、すなわち光導波路の小型化は、一ウエハから得られる光導波路の数を増やして低コスト化を実現できるため重要な課題である。上述した光スプリッタにおいて、出力ポートにおける各光導波路間の幅は、250μm、127μmなど規格化された幅で等ピッチとする必要があるため、チャンネル数が増えるに連れて出力ポート側の幅が広くなるのは避けられない。従って、入力ポート側端面と出力ポート側端面との距離(以下、PLC(平面光波回路)長さと称する)を短くすることが小型、低コスト化のためには、不可避な課題となる。
【0010】
PLC長さを短くするためには、光導波路の長さを如何に短く構成するかが鍵となる。光導波路の長さを短くすることは、距離に依存する伝搬損失を低減する意味でも解決が必要な課題である。
【0011】
特許文献1に記載の多分岐光回路においては、光スプリッタの出力ポート側は、光ファイバアレイのような規格部品と接合されて使用されることが多いので、等ピッチに配置されることが多い。
特許文献1の実施例に見られるように、直線光導波路を要素としたY型分岐構造を構成した場合には、中央よりのポートへ至る光導波路同士が近づき交差させるか、もしくは、第1分岐と第2分岐間を接続する光導波路を長くとる必要がある。前者のように光導波路同士が交差する場合には、過剰な損失が生じる要因となる。また、後者のように第1分岐と第2分岐とを接続する光導波路長を長くとると、十分な小型化を実現できない。また、直線光導波路と曲線光導波路との接続部分(曲率が急に変化する)では、過剰損失が発生するため、十分な低損失化が図れない。
【0012】
特許文献2に示す構成の光スプリッタでは、大規模な光スプリッタを光導波路で構成すると、分岐構造の段数が増えるため寸法が大きくなってしまう。換言すると、放射損失が一定値以下となる曲率以内で光スプリッタを構成しようとすると、多段の分岐構造を実現するため曲率が反転する回数が多くなることで、光導波路は、蛇行している形となり、光導波路長が長くなってしまう。光導波路長が長くなると伝搬損失がその分だけ大きくなってしまうばかりでなく、光導波路素子寸法が大きくなってしまい、小型化に不適である。また、曲率が反転する回数が多くなるため、過剰損失が大きくなる。
【0013】
特許文献3は、光結合器に関し、反曲点を持たない曲線とY分岐構造をもってのみ反曲点を成すような分岐構造とを配置することにより1×N型スプリッタを構成する方法が開示されている。この方法では、分岐点間を結ぶ光導波路は一般には円弧の光導波路を使用するため、曲線上に形成されるY分岐構造は、入路および出路に相当する3つの光導波路を構成する3種類の円弧が共通の接線を有すように配置される。このように構成されたスプリッタでは、Y分岐構造への入力光導波路でのモードプロフィールが非対称となるため、各Y分岐構造による分岐比が1:1とならない。そこで、N個の出力ポートに均等な光出力を配分する機能を付与することが困難であった。
【0014】
特許文献4は、Y分岐構造の入力及び2つの出力の相対的位置関係を最初に決定し、次に、該Y分岐構造と曲線光導波路とを接続してツリー状のスプリッタ用光導波路構造を構成した後、曲線光導波路の長さとY分岐構造及び曲線光導波路の位置を調整して配置する光結合器の構成方法を提案している。特許文献4の方法では、Y分岐構造と曲線光導波路とが個別に構造設計された後、最終的に配置関係を調整するため、Y分岐構造の設計が適切でない場合には、N個の出力ポートへの光出力が均等でなくなる問題点があった。
【0015】
しかしながら、特許文献4には、N個の出力ポートへの光出力を均等にするためのY分岐構造の設計方法についての具体的開示はなく、その3本の分岐光導波路の接続方向のみが規定されている。また、特許文献4の実施例としては一般的な対称構造の分岐構造が示されているだけである。これを踏襲して分岐構造を配置すると、分岐構造の周辺部、特に入路部分において直線光導波路を接続した構造がY分岐構造となるため、最外のポートに至る光導波路の一部に直線光導波路を配置することとなり、これが長尺化の原因となる。
【0016】
また、上記のような対称構造のY分岐構造を連結してツリー構造の光導波路を描こうとすると、特に大規模なスプリッタを構成する場合には、内側の光導波路同士が近づきすぎたり、場合によっては交差したりしてしまう虞がある。
特許文献4の手法では、分岐構造部とこれらを接続する曲線光導波路部とを別々にモジュール様に組みたてる方法を示しているが、最終的な調整が複雑な手順となり、特に大規模な多分岐スプリッタを構成する場合にあっては、設計工数が増えてしまう問題点があった。さらに、最終的な調整にあたって、多項式を用いた多項弧の光導波路を用いることが提案されている。この方法では、曲線光導波路を定義する多項式のパラメータが多いため、曲線光導波路を決定する手順が煩雑となる問題点があった。
【0017】
S字型曲線光導波路を採用する場合、その長さを短くするために、曲率の大きなS字型曲線を使用すればよいが、曲率が大きくなりすぎると光がコアから漏れてしまうため曲率には限界がある。曲率の限界は、コアとクラッドとの屈折率、コアの寸法、波長などに依存して決まる。そこで、コアとクラッドとの屈折率差(Δ)を大きくした高Δ光導波路が検討されている。ところが、高Δ光導波路では、シングルモード光導波路を構成するためには、コア寸法が小さくなってしまい、既存の光ファイバと結合する部分で結合効率が悪くなってしまう課題がある。結合効率を改善するためにスポットサイズ変換光導波路を光ファイバとの結合部分に配置する方法もあるが、該スポットサイズ変換光導波路自体のためにPLCが長尺化してしまうことは避けられないという問題点があった。
【0018】
また、上述のように1×2を複数結合した多段構成で1×N分岐構造を構成する代りに、1×N分岐構造を1段で構成する方法もある。この場合は、1×2の多段構成に比べてPLCを短尺化可能であるが、波長依存性が比較的大きく、低損失に1×8以上の大規模な光スプリッタを一括分岐構造で実現することは困難であった。
【0019】
上述の課題を背景として、1×2の多段構成の光スプリッタ用光導波路を構成するにあたって、ある最大の曲率以内で入出力間の距離をいかに低減するかが本発明が解決する主要課題である。
本発明はまた、上記したような従来技術の問題点の本質が分岐構造にあることに思い至り、これを解決するべく案出されたものであり、新規分岐構造を用いることで簡単な構造と設計手順とにより、多分岐光導波路の各光導波路同士の損失の差が大きくなることなく、入射端から出射端までの距離を短くして基板を小型化することが可能なことが本発明の課題である。
【0020】
更なる本発明の目的は、所定の分岐比で分岐される光導波路の損失を軽減することができる光導波路構造を提供することにある。
更なる本発明の目的は、分岐比の設計自由度が高い光導波路構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の側面による光導波路構造は、一方の出入射側に単一ポートを有し、他方の出入射側に複数ポートを有する光導波路構造であって、
該光導波路構造の一方の最外側が、S形曲線光導波路部分であり、
該S形曲線光導波路部分は、両端部の接線が平行であり、第1変曲点で曲率が反転する第1円弧光導波路部分及び第2円弧光導波路部分からなり、
前記第1変曲点より前記単一ポート側の前記第1円弧光導波路部分に、第1分岐合波点を設け、該第1分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第1円弧光導波路部分に対し反転曲率の第3円弧光導波路部分を形成し、前記第1分岐合波点において前記第1円弧光導波路部分の接線と、前記第3円弧光導波路部分の接線が平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする光導波路構造である。
【0022】
本発明の実施態様は、以下の通りである。
前記第3円弧光導波路部分が、さらに、第2分岐合波点を有し、該第2分岐合波点において該第2分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第3円弧光導波路部分に対し反転曲率の第4円弧光導波路部分を形成し、前記第2分岐合波点において前記第3円弧光導波路部分の接線と、前記第4円弧光導波路部分の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする。
【0023】
前記第4円弧光導波路部分が、さらに、第3分岐合波点を有し、該第3分岐合波点において該第3分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第4円弧光導波路部分に対し反転曲率の第5円弧光導波路部分を形成し、前記第3分岐合波点において前記第3円弧光導波路部分の接線と、前記第5円弧光導波路部分の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明の第2の側面による光導波路構造は、一方の出入射側に単一ポートを有し、他方の出入射側に複数ポートを有する光導波路構造であって、光導波路構造の最外側の少なくとも一方がS形曲線光導波路部分であり、S形光導波路部分は、第1変曲点で曲率が反転する第1曲線光導波路部分及び第2曲線光導波路部分からなり、第1変曲点より単一ポート側の第1曲線光導波路部分に、第1分岐合波部を設け、第1の曲線光導波路部分は、一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、第1のコア部に接続され、一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、を有し、更に、第1のコア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部を有し、第1の軸線、第2の軸線及び第3の軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、第2の接点及び第3の接点は、第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、第3の接点は、基準接線に対して他方の側に位置していることを特徴としている。
【0025】
上述のような1×2の多段構成の1×N分岐スプリッタ用光導波路では、最外光導波路、すなわち最外のポート(1×4の場合の1chと4ch、1×8の場合の1chと8ch)に至る光導波路は、各段の分岐構造間を複数のS字型曲線光導波路で多段階に結合している構成なので、PLC長さが長くなる。これと比較して、本発明の光スプリッタ用光導波路では、同一の曲率の曲線光導波路を用いた場合には、PLC長さを短くできる。
また、MMI光導波路やスラブ光導波路等を用いて1×N分岐構造を1段で構成する大規模光分岐結合器用光導波路では、一括分岐構造後の各出力ポートへつながる光導波路は、通常S字型曲線光導波路で構成するので、最外のポートへ結合される曲線光導波路がPLC長さを決めることとなる。該曲線光導波路の始点と本発明の光スプリッタにおける最外ポートに至る光導波路の始点とはほぼ同一の位置となることが予測されるので、PLC長さの観点では、本発明の光スプリッタ用光導波路と一括分岐構造の光スプリッタ用光導波路とは同等である。
一方、本発明では、上述のような一括分岐構造を用いた場合の課題である、波長依存性、大規模分岐の均一なパワー配分が困難であることなどは、顕著ではない。
【0026】
また、従来の光導波路構造では、第1の円弧光導波路部分又は、それに限らず、第1の曲線光導波路部分を伝搬してきた光の強度分布は、第1の分岐合波点において光の伝搬方向と垂直な方向にずれる傾向があり、所定の分岐比を達成することが困難であった。これに対し、本願発明では、第1分岐合波点において第1の円弧光導波路部分の接線と第3円弧光導波路部分の接線とが平行でかつ間隔をおいている、即ち、第1のコア部の第1の軸線の第1の接点における接線と第3のコア部の第3の軸線の第3の接点におけるせつせんとが平行で且つ間隔をおいて配置されているので、かかる間隔を光の強度分布のずれに合わせて変化させることによって、所定の分岐比で分岐される第1分岐合波部における損失を軽減することができる。また、かかる間隔を変化させることにより、1:1以外の分岐比を達成することもでき、分岐比の設計自由度が高い光導波路構造を提供することができる。
【0027】
また、本発明の第3の側面による光導波路構造は、合波分岐部を有する光導波路構造であって、一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、第1のコア部に接続され、一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、第1のコア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部と、を有し、第1の軸線、第2の軸線及び第3の軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、第2の接点及び第3の接点は、第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、第3の接点は、基準接線に対して他方の側に位置していることを特徴としている。
このように構成された光導波路構造では、一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された第1のコア部を伝搬してきた光の強度分布は、第1の軸線の接線である基準接線と垂直な基準垂直線の方向にずれる傾向があり、所定の分岐比を達成することが困難であった。これに対し、本願発明では、第3の接点が基準接線に対して他方の側に位置しているので、その位置を光の強度分布のずれに合わせて変化させることによって、所定の分岐比で分岐される第1分岐合波部における損失を軽減することができる。また、かかる位置を変化させることにより、1:1以外の分岐比を達成することもでき、分岐比の設計自由度が高い光導波路構造を提供することができる。
一方の側に湾曲する曲線及び他方の側に湾曲する曲線は、円弧、楕円弧、正弦関数、指数関数など各種曲線又はそれらの曲線部分の組合せであっても良いし、曲線部分の間に直線部分を配置しても良い。
【0028】
この光導波路構造において、好ましくは、前記第2の接点は、前記基準接線に対して前記一方の側に位置している。
このように構成された光導波路構造では、更に、分岐比の設計自由度が高くなる。
【0029】
本発明の第3の側面による光導波路構造の実施形態において、好ましくは、第1の接点、第2の接点及び前記第3の接点は、基準垂直線上に位置する。
この実施形態において、好ましくは、第2のコア部及び前記第3のコア部は、それらが一体となって基準垂直線から分岐側に延びるコア部分を有する。
また、好ましくは、第1のコア部は、その幅が基準垂直線に向かって広がるテーパ部分を有する。
また、好ましくは、第1のコア部、第2のコア部及び第3のコア部は、基準垂直線にまたがり且つ基準接線と平行な一方の側の輪郭及び他方の側の輪郭を有する拡張コア部分を有する。
【0030】
また、本発明の第3の側面による光導波路構造の実施形態において、第2の接点及び第3の接点は、基準垂直線と平行であり且つそれよりも合波側に位置する第2の垂直線上に位置し、更に、基準垂直線と第2の垂直線との間に中間コア部を有する。
この実施形態において、好ましくは、中間コア部の一方の側の輪郭及び他方の側の輪郭は、基準接線と平行な直線であり、更に好ましくは、中間コア部は、マルチモード光導波路を構成する。
また、好ましくは、第1のコア部は、その幅が基準垂直線に向かって広がるテーパ部分を有する。
【0031】
また、本発明の第4の側面による光導波路構造は、合波分岐部を有する光導波路構造であって、一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、第1のコア部に接続され、一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、第1のコア部と他方の側に間隔をおき且つ並んで延びる結合器軸線に沿って形成され、第1のコア部と光結合器を構成する結合器コア部と、結合器コア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部と、を有し、第1の軸線、第2の軸線、第3の軸線及び結合器軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点、第3の接点及び結合器接点を有し、第2の接点及び第3の接点は、第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、結合器接点は、基準垂直線上に位置し、第3の接点は、結合器接点で接する結合器軸線の接線に対して他方の側に位置していることを特徴としている。
このように構成された光導波路構造においても、本発明の第3の側面による光導波路構造と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の光導波路は、比較例に比べて大幅に長さが短くできた。また、挿入損失も比較例と同等以上の良好な損失であった。
本発明の光スプリッタ用光導波路は、また、高分岐の光スプリッタを構成する場合にPLC長さを短くすることができ、PLCの面積を縮小することができるので、ワーク基板から得られる取れ数が多くなることで、小型化、低コスト化が可能である。
【0033】
また、本発明による光導波路構造により、所定の分岐比で分岐される光導波路の損失を軽減することができた。
また、本発明による光導波路構造により、分岐比の設計自由度が高い光導波路構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態の光導波路構造の構成説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態の光導波路構造の構成説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態の光導波路構造の構成説明図である。
【図4】本発明の第4実施形態の光導波路構造の構成説明図である。
【図5】本発明の分岐合波部の第1の実施形態を示す平面図である。
【図6】本発明の分岐合波部の第2の実施形態を示す平面図である。
【図7】本発明の分岐合波部の第3の実施形態を示す平面図である。
【図8】本発明の分岐合波部の第4の実施形態を示す平面図である。
【図9】本発明の分岐合波部の第5の実施形態を示す平面図である。
【図10】本発明の分岐合波部の第6の実施形態を示す平面図である。
【図11】本発明の分岐合波部の第7の実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の分岐合波部の第8の実施形態を示す平面図である。
【図13】本発明の分岐合波部の第9の実施形態を示す平面図である。
【図14】本発明の分岐合波部の第10の実施形態を示す平面図である。
【図15】本発明による光導波路構造の構成説明図である。
【図16】本発明による光導波路基板の構成説明図である。
【図17】従来技術の分岐合波部の平面図である。
【図18】図17の一部分を実線で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、具体的例示をもって本発明の光スプリッタ用光導波路の構成方法を1×8型スプリッタ用光導波路について説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。まず、基本要素となるS字型曲線を構成するためには、2つの円弧を符合の異なる曲率(上に凸と下に凸の円弧)で接続することで実現できる。S字型曲線の種類としては、円弧を用いた曲線以外に、楕円弧、正弦関数、指数関数など各種曲線およびこれらと直線とを組み合わせた曲線を用いることができ、本発明では、S字型曲線の種類に関しては特に限定しないが、以下、本発明の光スプリッタ用光導波路の構成方法について円弧を用いた場合について説明する。
円弧の曲率としては、製造される光導波路の断面構造(すなわち、コア及びクラッドの屈折率及び寸法、形状など)と使用される波長とからそれぞれのばらつきを考慮の上許容される最大の曲率を用いるのが最適である。
【0036】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の光導波路構造は、図1に示すように、一方の出入射側に単一ポート10を有し、他方の出入射側に複数ポート12を有する光導波路構造14であって、 該光導波路構造の一方の最外側が、S形曲線光導波路部分20であり、
該S形曲線光導波路部分20は、両端部の接線が平行であり、第1変曲点22で曲率が反転する第1円弧光導波路部分24及び第2円弧光導波路部分26からなり、
前記第1変曲点22より前記単一ポート側の前記第1円弧光導波路部分24に、第1分岐合波点30を設け、該第1分岐合波点30から前記複数ポート12側へ延び、前記第1円弧光導波路部分24に対し反転曲率の第3円弧光導波路部分32を形成し、前記第1分岐合波点30において前記第1円弧光導波路部分24の接線と、前記第3円弧光導波路部分32の接線が平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする光導波路構造である。
【0037】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態の光導波路構造は、図2に示すように、更に、前記第3円弧光導波路部分32が、さらに、第2分岐合波点40を有し、該第2分岐合波点40において該第2分岐合波点40から前記複数ポート12側へ延び、前記第3円弧光導波路部分32に対し反転曲率の第4円弧光導波路部分42を形成し、前記第2分岐合波点40において前記第3円弧光導波路部分32の接線と、前記第4円弧光導波路部分42の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする。
【0038】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態の光導波路構造は、更に、図3に示すように、前記第4円弧光導波路部分42が、さらに、第3分岐合波点50を有し、該第3分岐合波点50において該第3分岐合波点から前記複数ポート12側へ延び、前記第3円弧光導波路部分32に対し反転曲率の第5円弧光導波路部分60を形成し、前記第3分岐合波点50において前記第3円弧光導波路部分32の接線と、前記第5円弧光導波路部分60の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする。
【0039】
また、1ch側ポート、多チャンネル側ポートのうち少なくとも片側に光ファイバ接続用V溝が設けられてもよい。V溝を設けることで、光ファイバの実装が容易になる。また、端面を研磨した光ファイバブロック、もしくは光ファイバアレイを使用する必要がなくなる。特に多チャンネル側においては、光ファイバアレイと呼ばれる高精度・高価な部品を使用する必要が無くなることで、低コストの効果が大きい。さらに、多チャンネル側の光ファイバ接続では、光導波路と光ファイバ接続用のV溝を同一のウエハ上の工程で形成することができるため高精度な位置合わせして製造することができるため、光ファイバと光導波路との光学的結合部分における過剰損失を低減することができる。
【0040】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態の光導波路構造は、図4に示すように、一方の出入射側に単一ポート100を有し、他方の出入射側に複数ポート112を有する光導波路構造114であって、
該光導波路構造の一方の最外側が、S形曲線光導波路部分120であり、
該S形曲線光導波路部分120は、両端部の接線が平行であり、第1変曲点122で曲率が反転する第1円弧光導波路部分124及び第2円弧光導波路部分126からなり、
前記第1変曲点122より前記単一ポート側の前記第1円弧光導波路部分124に、第1分岐合波点130を設け、該第1分岐合波点130から前記複数ポート112側へ延び、前記第1円弧光導波路部分124に対し反転曲率の第3円弧光導波路部分132を形成し、前記第1分岐合波点130において前記第1円弧光導波路部分124の接線と、前記第3円弧光導波路部分132の接線が平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする光導波路構造である。
【0041】
本実施形態の光導波路構造において、入力パワーを前記複数ポート112へ等配分する場合、分岐比は、
N/2−n:1
で表わされる。Nは分岐数を表わし、nは共通ポート側から順に分岐に付した番号を示す。1×Nスプリッタの場合、共通ポート側から順にN/2−1:1、N/2−2:1、N/2−3:1、・・・・の分岐構造で構成されている1×Nスプリッタである。例えば、1×4分岐スプリッタの場合は、1:1分岐、1×8分岐スプリッタの場合は、順に、3:1、2:1、1:1、1×16分岐スプリッタの場合は、順に、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1×32分岐スプリッタの場合は、順に15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1の分岐比でパワーが分配される分岐構造で構成されている1×N分岐スプリッタである。
【0042】
本発明の光導波路は光スプリッタ用として用いることが好ましいが、さらに他の光学装置の少なくとも一部として用いることができる。そのような光学装置としては、光カプラ、光合分岐器、光合分波器、光送信モジュール、光受信モジュール、光送受信モジュール、光スイッチ、光変調器、光フィルタ、光偏向器、光分散補償器、光アドドロップモジュール、光クロスコネクトなどがあげられる。
【0043】
本発明の光導波路は、従来の曲線光導波路について公知の方法で同様に作製することができる。例えばクラッド上にコア材料(後述)からなる層を設けた後、前記層上に感光性レジスト層を設け、本発明の光導波路形状を有するマスクを載せて、露光、現像を行い、本発明の曲線光導波路形状を有するレジスト層を設け、その後エッチング等の手段により本発明の曲線光導波路形状を有するコアを形成する。また、本発明の曲線光導波路形状を従来のコア幅が一定な曲線光導波路の一部として有するマスクを用いて、本発明の曲線光導波路を少なくとも一部に有する光導波路または光学装置を一度に作製できることはいうまでもない。
なお、上記マスク材料は、公知のいずれのものを用いてもよい。
【0044】
本発明の曲線光導波路のコア、クラッド材料としてはガラスや半導体材料等の無機材料、樹脂等の有機材料など様々なものが挙げられるが、樹脂等のポリマーがドライエッチング等により短時間で加工しやすいため好ましい。このようなポリマーとしてはいずれのものも使用できるが、具体例としては、ポリイミド系樹脂(例、ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステルイミド樹脂等)、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、及びフォトブリーチング用樹脂(例、特開2001−296438号公報記載のポリシラン、ニトロン化合物を有するシリコーン樹脂、DMAPN{(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルニトロン}を含有するポリメタクリル酸メチル、ダイポリマー(dye polymer)、ニトロン化合物を含有するポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂、特開2000−66051号公報記載の加水分解性シラン化合物等)が挙げられる。上記樹脂はフッ素原子を有しているものであってもよい。ポリマーとして好ましいものとしては、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れることからポリイミド樹脂が挙げられ、その中でも透過率、屈折率特性からフッ素を含むポリイミド系樹脂が特に好ましい。
【0045】
フッ素を含むポリイミド系樹脂としては、フッ素を含むポリイミド樹脂、フッ素を含むポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、フッ素を含むポリエーテルイミド樹脂、フッ素を含むポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
【0046】
上記フッ素を含むポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得られる。フッ素は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの両者に含まれていても良いし、いずれか一方にのみ含まれていてもよい。
また、上記フッ素を含まないポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、フッ素を含まないテトラカルボン酸二無水物とフッ素を含まないジアミンを反応させることにより得られる。
【0047】
フッ素を含む酸二無水物の例としては、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス{(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
【0048】
フッ素を含むジアミンとしては、例えば、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パ−フルオロ−1−ブタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロブチル)ベンゼン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、オクタフルオロベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−p−テルフェニル、1,4−ビス(p−アミノフェニル)ベンゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}ビフェニル、ビス〔{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス{2−〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロイソプロピル}ベンゼンなどが挙げられる。
【0049】
上記のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンは二種以上を併用してもよい。ポリイミド系樹脂の前駆体溶液として、感光性を有するものを使用することもできる。
ポリイミド系樹脂前駆体溶液は、スピナあるいは印刷などによる方法により基板表面上に塗布され、最終温度200〜400℃で熱処理し硬化されてポリイミド系樹脂被膜とされる。
【0050】
以下、特許文献3に開示されている分岐合波部を図17及び18を参照して説明し、その後、本願発明による分岐合波点、実際には、分岐合波部の実施形態を説明する。
図17は、特許文献3に開示されている光導波路の分岐合波部を示す図である。特許文献3には、光導波路のコア部の経路が実線で示されているだけであるが、実際には、図17に示すように、各光導波路のコア部は幅を有している。この幅は一定であり、各光導波路のコア部について、幅の中心線と一致する軸線を定めることができる。図17に示すように、分岐合波部Jは、一方の側S1に湾曲する曲線からなる第1の軸線LAに沿って形成された合波側の第1のコア部Aと、第1のコア部Aに接続され、第1のコア部Aと同じ側S1に湾曲する曲線からなる第2の軸線LBに沿って形成された分岐側の第2のコア部Bと、第1のコア部Aに接続され、他方の側、即ち、第1のコア部Aと反対の側S2に湾曲する曲線からなる第3の軸線LCに沿って形成された分岐側の第3のコア部Cとを有している。図17では、第1の軸線LA及び第2の軸線LBは共通であり、第1の軸線LA(第2の軸線LB)及び第3の軸線LCは分岐合波点JJで交わり、しかも、分岐合波点JJにおける第1の軸線LA(第2の軸線LB)及び第3の軸線LCの接線は共通の接線LTである。また、図17には、分岐合波点JJを通り且つ共通の接線LTと垂直な垂直線LPが示されている。
図18(a)〜(c)は、図17に示した分岐合波部の一部分だけを実線で書き直したものである。以下の説明では、図18の(a)において実線で示す部分A0を第1コア要素、図18の(b)において実線で示す部分B0を第2コア要素、図18の(c)においにおいて実線で示す部分C0を第3コア要素と称する。
【0051】
本願発明における分岐合波部の第1の形態を図5に示す。分岐合波部150は、合波側の第1のコア部A1と、分岐側の第2のコア部B1及び第3のコア部C1とを有している。この構造は、図18(a)〜(c)に示した第1のコア要素A0に対して、第2のコア要素B0を垂直線LPに沿って一方の側S1にずらして配置し、第3のコア要素C0を垂直線LPに沿って他方の側S2にずらして配置したものである。第1のコア部A1、第2のコア部B1及び第3のコア部C1はそれぞれ、軸線LA1、LB1、LC1に沿って形成されている。軸線LA1、LB1、LC1は、互いに平行なそれぞれの接線TA1、TB1、TC1と接する接点PA1、PB1、PC1を有し、接点PA1、PB1、PC1は、第1のコア部A1の軸線LA1の接点PA1における接線である接線TA1と垂直に接点PA1を通って延びる垂直線LP1上に位置している。接点PB1は、接線TA1よりも一方の側S1に位置し、接点PC1は、接線LT1よりも他方の側S2に位置している。接線TB1と接線TC1との間の距離をD1で示し、これらの接線TB1、TC1と平行で且つその中間に位置する中心線LINと接線TA1との間の距離E1で示す。
【0052】
実施例1として、図5に示される分岐合波部における光導波路を用いて光スプリッタを構成した。A1,B1,C1の3本の光導波路のコア部は、いずれも、幅が6.5μmで曲率半径15mmの円弧軸線に沿ったコア部を用いた。第2のコア部B1と第3のコア部C1の中心軸のオフセットD1(光の伝搬方向と垂直方向のずれ量、即ち、接線TB1と接線TC1との間の距離)は、6μmとした。第1のコア部A1と第2のコア部B1及び第3のコア部C1の中心線LINとのオフセットE1、即ち、接線TA1と中心線LINとの間の距離は、0.3μmとした。
入力波長1.31μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−3.16dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−3.15dBであった。
入力波長1.55μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−3.09dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−3.19dBであった。
以上のように、波長によらず、分岐比が略1:1であり、かつ、低損失な分岐構造を得ることができた。
【0053】
本願発明における分岐合波部の第2の形態を図6に示す。分岐合波部154は、合波側の第1のコア部A2と、分岐側の第2のコア部B2及び第3のコア部C2とを有している。この構造は、図5に示した分岐合波部150の第2のコア部B1と第3のコア部C1との間にある先の尖ったクラッド部分をコア部分F2に置き換えたものである。従って、第2のコア部B2及び第3のコア部C2は、それらが一体となって垂直線LP1から分岐側に延びるコア部分FF2を有する。
コア部分F2を設けることにより、分岐合波部154の製造上のばらつきを低減することが可能である。
【0054】
本願発明における分岐合波部の第3の形態を図7に示す。分岐合波部158は、合波側の第1のコア部A3と、分岐側の第2のコア部B3及び第3のコア部C3とを有している。この構造は、図5に示した分岐合波部150の第2のコア部B1及び第3のコア部C1を接線TA1に沿って分岐側にずらして配置し、第1のコア部A1と第2のコア部B1及び第3のコア部C1との間に中間コア部F3を追加したものである。従って、接点PB1、PC1は、垂直線LP1と平行であり且つそれよりも合波側に位置する垂直線LP2上に位置する。また、中間コア部F3は、垂直線LP1とLP2との間に配置されている。中間コア部F3の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭は、接線TA1と平行な直線であることが好ましい。また、中間コア部F3は、マルチモード光導波路を構成することが更に好ましい。中間コア部F3の中心線は、第2のコア部B3及び第3のコア部C3の中心線LINと一致する。
【0055】
本願発明における分岐合波部の第4の形態を図8に示す。分岐合波部162は、合波側の第1のコア部A4と、分岐側の第2のコア部B4及び第3のコア部C4とを有している。この構造は、図5に示した分岐合波部150の第1のコア部A1の一方の側S1及び他方の側S2にそれぞれコア部分F41、F42を追加したものである。従って、第1のコア部A4は、その幅が垂直線LP1に向かって広がるテーパ部分FF4を有している。テーパ部分FF4の一方の側S1の輪郭は、第2のコア部B4の一方の側S1の輪郭の終端P41をその点における接線で延長することによって構成されている。本実施形態では、一方の側S1の輪郭は、接線TA1と平行な直線である。テーパ部分FF4の他方の側S2の輪郭は、第1のコア部A4の他方の側S2の輪郭の適当な点P42をその点における接線、即ち、直線で延長することによって構成されている。接線TB1と接線TC1との間の距離をD4で示し、これらの接線TB1、TC1と平行で且つその中間に位置する中心線LINと接線TA1との間の距離E4で示す。
【0056】
実施例2として、図8に示される分岐合波部における光導波路を用いて光スプリッタを構成した。A4,B4,C4の3本の光導波路のコア部は、いずれも、幅が6.5μmで曲率半径15mmの円弧軸線に沿ったコア部を用いた。第2のコア部B4と第3のコア部C4の中心軸のオフセットD4(光の伝搬方向と垂直方向のずれ量、即ち、接線TB1と接線TC1との間の距離)は、6μmとした。第1のコア部A4と第2のコア部B4及び第3のコア部C4の中心線LINとのオフセットE4、即ち、接線TA1と中心線LINとの間の距離は、0.3μmとした。
入力波長1.31μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−3.07dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−3.03dBであった。
入力波長1.55μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−3.03dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−3.05dBであった。
以上のように、波長によらず、分岐比が略1:1であり、かつ、低損失な分岐構造を得ることができた。
【0057】
本願発明における分岐合波部の第5の形態を図9に示す。分岐合波部166は、合波側の第1のコア部A5と、分岐側の第2のコア部B5及び第3のコア部C5とを有している。この構造は、図8に示した分岐合波部162と同様、図5に示した分岐合波部150の第1のコア部A1の一方の側S1及び他方の側S2にそれぞれコア部分F51、F52を追加したものである。従って、第1のコア部A5は、その幅が垂直線LP1に向かって広がるテーパ部分FF5を有する。この構造は、テーパ部分FF5の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭が異なること以外、図8に示した分岐合波部162と同じであり、テーパ部分FF4の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭はそれぞれ、後述の(式1)及び(式2)で表される関数によって構成されている。即ち、テーパ部分FF5の幅は、垂直線LP1に向かって三角関数に従って増えている。接線TB1と接線TC1との間の距離をD5で示し、これらの接線TB1、TC1と平行で且つその中間に位置する中心線LINと接線TA1との間の距離E5で示す。
式1及び式2を採用することにより、コア部A5のテーパ部FF5の開始部の接続が滑らかになり、過剰損失を低減することが可能である。
【0058】
実験例3として、図9に示される分岐合波部における光導波路を用いて光スプリッタを構成した。A5,B5,C5の3本の光導波路のコア部は、いずれも、幅が6.5μmで曲率半径15mmの円弧軸線に沿ったコア部を用いた。第2のコア部B5と第3のコア部C5の中心軸のオフセットD5(光の伝搬方向と垂直方向のずれ量、即ち、接線TB1と接線TC1との間の距離)は、10μmとした。第1のコア部A5と第2のコア部B5及び第3のコア部C5の中心線LINとのオフセットE5、即ち、接線TA1と中心線LINとの間の距離は、4.1μmとした。式1及び式2は次のとおりである。
【0059】



【0060】
ただし、f1(z)が上縁部(一方の側S1)、f2(z)が下縁部(他方の側S2)を示す。zは伝搬方向(接線TA1の方向)の座標を、lは伝搬方向の長さ、hは伝搬方向と直交する方向の高さ、rはテーパ導波路(テーパ部分FF5)の中心線(軸線LA1)が描く曲率半径、wsはテーパ導波路の始点の導波路高さ(幅)、weはテーパ導波路の終点の導波路高さ(幅)をそれぞれ示す。
【0061】
入力波長1.31μmとして、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失と入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失とを評価した。
テーパ光導波路の終端部の幅が15μmの場合、出力光導波路B,C間の分岐比は、略3:1であった。
テーパ光導波路の終端部の幅が16.5μmの場合、出力光導波路B,C間の分岐比は、略2:1であった。
テーパ光導波路の終端部の幅が18.5μmの場合、出力光導波路B,C間の分岐比は、略1:1であった。
以上のように、入力光導波路側に構成されるテーパ光導波路の長さ及び/または、該テーパ光導波路の終端部(分岐点側)の幅とを変更することにより、出力光導波路間の分岐比を調整すること調整して得ることができた。
【0062】
本願発明における分岐合波部の第6の形態を図10に示す。分岐合波部170は、合波側の第1のコア部A6と、分岐側の第2のコア部B6及び第3のコア部C6とを有している。この構造は、図9に示した分岐合波部166の第2のコア部B5及び第3のコア部C5を接線TA1に沿って分岐側にずらして配置し、第1のコア部A5と第2のコア部B5及び第3のコア部C5との間に中間コア部F6を追加したものである。従って、接点PB1、PC1は、垂直線LP1と平行であり且つそれよりも合波側に位置する垂直線LP2上に位置する。また、中間コア部F6は、垂直線LP1とLP2との間に配置されている。中間コア部F6の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭は、接線TA1と平行な直線であることが好ましい。また、中間コア部F6は、マルチモード光導波路を構成することが更に好ましい。中間コア部F6の中心線は、第2のコア部B6及び第3のコア部C6の中心線LINと一致する。
【0063】
実験例4として、図10に示される分岐合波部における光導波路を用いて光スプリッタを構成した。A6,B6,C6の3本の光導波路のコア部は、いずれも、幅が6.5μmで曲率半径15mmの円弧軸線に沿ったコア部を用いた。第2のコア部B6と第3のコア部C6の中心軸のオフセットD6(光の伝搬方向と垂直方向のずれ量、即ち、接線TB1と接線TC1との間の距離)は、10μmとした。第1のコア部A6と第2のコア部B6及び第3のコア部C6の中心線LINとのオフセットE6、即ち、接線TA1と中心線LINとの間の距離は、3.15μmとした。式1及び式2は次のとおりである。
【0064】



【0065】
ただし、f1(z)が上縁部(一方の側S1)、f2(z)が下縁部(他方の側S2)を示す。zは伝搬方向(接線TA1の方向)の座標を、lは伝搬方向の長さ、hは伝搬方向と直交する方向の高さ、rはテーパ導波路(テーパ部分FF6)の中心線(軸線LA1)が描く曲率半径、wsはテーパ導波路の始点の導波路高さ(幅)、weはテーパ導波路の終点の導波路高さ(幅)をそれぞれ示す。
【0066】
入力波長1.31μmとして、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失と入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失とを評価した。
L=740μm、W=18.5μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−3.71dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−3.63dBであった。この場合、出力光導波路B,C間の分岐比は、略1:1であった。
L=750μm、W=15.5μmの場合、入力ポートAと出力ポートB間の過剰損失は、−2.09dB,入力ポートAと出力ポートC間の過剰損失は、−5.18dBであった。この場合、出力光導波路B,C間の分岐比は、略2:1であった。
以上のように、入力光導波路と出力光導波路との間に挿入される光導波路の長さ及び/または、幅を変更することにより、出力光導波路間の分岐比を調整して得ることができた。
【0067】
本願発明における分岐合波部の第7の形態を図11に示す。分岐合波部174は、合波側の第1のコア部A7と、分岐側の第2のコア部B7及び第3のコア部C7とを有している。この構造は、図8に示した分岐合波部162と同様、図5に示した分岐合波部150の第1のコア部A1の一方の側S1及び他方の側S2にそれぞれコア部分F71、F72を追加したものである。従って、第1のコア部A7は、その幅が垂直線LP1に向かって広がるテーパ部分FF7を有する。この構造は、テーパ部分FF7の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭が異なること以外、図8に示した分岐合波部162と同じであり、テーパ部分FF4の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭は円弧によって構成されている。
【0068】
本願発明における分岐合波部の第8の形態を図12に示す。分岐合波部178は、合波側の第1のコア部A8と、分岐側の第2のコア部B8及び第3のコア部C8とを有している。この構造は、図5に示した分岐合波部150の第1のコア部A1及び第2のコア部B1の一方の側S1に垂直線LP1にまたがるコア部分F81を追加し、第1のコア部A1及び第3のコア部C1の他方の側S2に垂直線LP1にまたがるコア部分F82を追加したものである。従って、第1のコア部A8、第2のコア部B8及び第3のコア部C8は、拡張コア部分FF8を構成する。拡張コア部分FF8の一方の側S1の輪郭及び他方の側S2の輪郭は、接線TA1と平行な直線であることが好ましい。また、拡張コア部分FF8は、マルチモード光導波路を構成することが更に好ましい。
【0069】
本願発明における分岐合波部の第9の形態を図13に示す。分岐合波部182は、合波側の第1のコア部A9と、分岐側の第2のコア部B9及び第3のコア部C9とを有している。この構造は、図7に示した分岐合波部158の第2のコア部B3及び第3のコア部C3を垂直線LP2に沿って移動してコア部B3とC3の間隔を広げ、第2のコア部B9及び第3のコア部C9との間にコア部F9を追加したものである。接線TB1と接線TC1との間の距離をD9で示し、これらの接線TB1、TC1と平行で且つその中間に位置する中心線LINと接線TA1との間の距離E9で示す。中間コア部F3は、マルチ光導波路で構成されるのが好ましい。中間コア部F3の接線TA1方向の長さをL9、それと垂直方向の幅をW9で示す。長さL9は、190〜220μmであることが好ましく、幅W9は、13〜16μmであることが好ましく、距離E9は、0.3〜0.7μmであることが好ましい。第2のコア部B9と第3のコア部C9との間の間隔G9は、3.5μm以上であることが好ましい。
【0070】
実施例5として、図13に示される分岐合波点における光導波路を用いて光スプリッタを構成した。A,B,Cの3本の光導波路は、いずれも、幅が6.5μmで曲率半径15mmの円弧軸線に沿ったコア部を用いた。第2のコア部B9と第3のコア部C9の中心軸のオフセットD9(光の伝搬方向と垂直方向のずれ量、即ち、接線TB1と接線TC1との間の距離)は、10μmとした。第1のコア部A9と第2のコア部B9及び第3のコア部C9の中心線LINとのオフセットE9は、0.5μmとした。
L9=200μm、W9=14μmの場合、入力ポートA9と出力ポートB9間の過剰損失は、−3.22dB(入力波長1.31μm),−3.29dB(入力波長1.55μm)、入力ポートA9と出力ポートC9間の過剰損失は、−3.18dB(入力波長1.31μm),−3.25dB(入力波長1.55μm)であった。
また、L9=220μm、W9=15μmの場合、入力ポートA9と出力ポートB9間の過剰損失は、−3.29dB(入力波長1.31μm),−3.25dB(入力波長1.55μm)、入力ポートA9と出力ポートC9間の過剰損失は、−3.25dB(入力波長1.31μm),−3.21dB(入力波長1.55μm)であった。
以上のように、波長によらず、分岐比が略1:1であり、かつ、低損失な分岐構造を得ることができた。
【0071】
本願発明における分岐合波部の第10の形態を図14に示す。分岐合波部186は、合波側の第1のコア部A10と、分岐側の第2のコア部B10及び第3のコア部C10と、第1のコア部A10と光結合器を構成する結合器コア部AA10を有している。この構造は、図18(a)〜(c)に示した第1のコア要素A0の他方の側S2に間隔をおき且つ並んで延びる結合器コア部AA10を配置し、第3のコア要素C0を、結合器コア部AA10と接続されるように垂直線LPに沿って他方の側S2にずらして配置したものである。第1のコア部A10、第2のコア部B10、第3のコア部C10及び結合器コア部AA10はそれぞれ、軸線LA10、LB10、LC10、LAA10に沿って形成されている。軸線LA10、LB10、LC10、LAA10は、互いに平行なそれぞれの接線TA10、TB10、TC10、TAA10と接する接点PA10、PB10、PC10、PAA10を有し、接点PA10、PB10、PC10、PAA10は、第1のコア部A10の軸線LA10の接点PA10における接線である接線TA10と垂直に接点PA10を通って延びる垂直線LP10上に位置している。接線TA10と接線TB10とは同一の接線であり、接点PA1と接点PB1は同一の点である。接点PA3は、接線TAA10よりも他方の側S2に位置している。
【0072】
本発明の光導波路構造を用いて、図15に示したように、1×8の光スプリッタ用光導波路基板を以下のように作製した。
まず、光導波路用CADを用いて、光導波路部201の光導波路コアパターン213を構成した。分岐合波点付近には、図13に示した直線マルチモード光導波路を挿入した構造とした。ビーム伝搬法(BPM)を用いて過剰損失を計算した結果、−9.666dB(波長1.31μmの揚合)、−9.72dB(波長1.55μm揚合)であった。
【0073】
次に、以下のようにして、上記のコアパターンのマスクを作製した。コアパターン寸法はプロセスで変化するので、変化量を考慮したコアパターンをCADで製図した。コアパターン以外にもマスクと基板の位置精度を向上させるためのアライメントマークや、その他パターン計測等に使用するマーカもマスクに追加した。CADの製図の手順は、製図作業の効率をよくするため、初めに1素子分のパターンを製図し、前記1素子分のパターンを配列複写してマスク全体にパターンを配置する。
【0074】
1素子分のパターンには、レイヤーを設けコアパターンを製図したレイヤー以外にも、違うレイヤーを用いてパターンを製図することが可能である。以上のように製図したCAD図面からマスク基板にパターンを露光機を用いて直接描画し、パターン部分をCrの金属膜で埋めたマスクと、パターン部分以外をCrの金属膜で埋めたマスクとを製作した。上記2つのマスクは、コアパターン形成プロセスで使用するレジストの種類及び光導波路製造におけるコア形成プロセスの種類によって使い分けることが可能である。
【0075】
以上のように、本発明の曲線光導波路を用いて構成された1×8スプリッタでは、アーク結合形状のS字型曲線光導波路を用いて構成された従来のスプリッタよりも良好な過剰損失を示した。
次に、以下の材料を用いて、光導波路基板を作製した。
コア:日立化成工業(株)製:OPI-N3205
クラッド:日立化成工業(株)製:OPI-N1005
【0076】
製造方法は、V溝が形成されたシリコンウエハ上に有機ジルコニウムキレートをスピンコート法により乾燥膜厚100オングストロームとなるように塗布し、乾燥後、その上にフッ素を含まないポリイミド樹脂を乾燥膜厚0.3μmとなるように塗布し、乾燥後、フッ素を含むポリイミド樹脂からなる下部クラッド層(8μm)及びコア層(6.5μm)を形成した。
【0077】
次に、コア層の上にシリコン含有レジストを0.5μm厚となるように塗布、乾燥し、実施例2で作製したマスクのコアパターンを介して露光、現像し、このレジストパターンを介して反応性イオンエッチングを行い、コア層を形成した。レジスト剥離後、上部クラッド層(15μm)を形成してポリイミド光導波路を作成した。その後、ダイシングによりチップに切り出した。
得られた光導波路の挿入損失を評価した。評価にあたっては、光導波路基板の両端に形成されたV溝をガイドとして光ファイバを固定して測定した。光源としては、波長1.31μmの半導体レーザを用いた。本発明の曲線光導波路を用いた場合の挿入損失は、平均値が−10.6dB(最も損失が大きいポートで−10.8dB)、アーク結合形状のS字型曲線光導波路を用いた場合の挿入損失は、平均値が−11.2dB(最も損失が大きいポートで−11.7dB)であった。
【0078】
以上のように、本発明の曲線光導波路を用いて構成された1×8型ツリー構成のスプリッタでは、アーク結合形状のS字型曲線光導波路を用いて構成された従来のスプリッタよりも良好な挿入損失を示した。
なお、本実施例では、スプリッタ用光導波路を構成するすべてのS字型曲線光導波路に本発明の曲線光導波路を用いたが、他のS字型曲線と混在した構成としてもよい。
【0079】
次に、光導波路基板の光ファイバ接続用V字断面ガイド溝に沿って光ファイバを実装し、接着剤で固定した。これらの光ファイバを使用して挿入損失を測定した結果、−11.48dB(波長1.31μmの場合)、−11.26dB(波長1.55μm場合)であった。
光導波路基板は、全長は12.4mm、幅2.2mmであった。光ファイバ接続部を除いた光導波略部の長さは、9.4mmであった。
【0080】
(比較例)
比較のために、図16に示したような1×8の光スプリッタ用光導波路基板を以下のように作製した。まず、光導波路用CADを用いて、光導波路部201の光導波路コアパターン213を構成した。
分岐合波点付近はテーパ構造とし、分岐合波点間を接続する曲線光導波路は円弧を接続して構成した。ビーム伝搬法(BPM)を用いて過剰損失を計算した結果、−9.68dB(波長1.31μmの場合)、−9.83dB(波長1.55μm場合)であった。
【0081】
光導波路パターンが異なることとそれに伴って光導波路長が長くなったのに合わせて光ファイバ用ガイド溝の設置間隔を調整した以外は実施例6と同様にマスクを作製し、光導波路基板を作製した。さらに、同様にして光ファイバを実装し、これらの光ファィバを使用して挿入損失を測定した結果、−11.90dB(波長1.31μmの揚合)、−11.35dB(波長1.55μm場合)であった。光導波路基板は、全長は18.0mm、幅2.2mmであった。光ファイバ接続部を除いた光導波路部の長さは、15.04mmであった。
【0082】
本発明の光スプリッタ用光導波路は、また、損失を増大させることなく、長さを大幅に短くすることができる。従って、ウエハを用いて半導体製造工程に準じた工法を用いる光導波路の製造方法にあたっては、ウエハあたりの光導波路チップの取れ数を多くとることができ、光導波路1個あたりの製造コストを低減することができる。
【0083】
ポリマー光導波路の場合は特に、損失を低減することができる。材料由来の損失は、光導波路の電搬長さに比例するので、単位長さあたりの損失が石英などに比べて大きなポリマー光導波路では、短尺化することで、トータルの損失を低減する効果が絶大である。単位長さあたりの損失が0.1dB/cm以上の場合に効果が大きい。また、全長が長くなるほど、損失の低減効果が大きくなるため、例えば、1×N型の多段構成スプリッタの場合には、分岐数N型の大きい大規模なパターンの場合に特に効果が大きい。具体的には、光導波路長が5mm以上の長さとなるような光導波路の場合には有効である。
明確な指導原理に基づいて容易に光導波路パターンを作図でき、光導波路設計にかかる時間を短縮することができる。
【0084】
上記分岐合波部の実施形態において、第2のコア部B1〜B9の接点PB1〜PB9を第1のコア部A1〜A9の軸線LA1の接線TA1からずらして配置したけれども、許容される分岐比が達成できれば、接点PB1〜PB9を接線TA1上に配置しても良い。
また、テーパ部分を有する合波分岐部を図8〜図11及び図13に例示したが、許容される損失であれば、テーパ部分の輪郭は限定されず、例えば、テーパ部分の開始位置を移動させても良いし、テーパ部分を直線又は例示していない曲線で構成しても良い。
また、本発明による合波分岐部を構成するために、第1〜第3のコア要素A0、B0、C0を垂直線LP1、LP2に沿って移動させる距離は、損失及び分岐比を考慮して任意に定められる。従って、上記実施形態の第1のコア部、第2のコア部、第3のコア部、中間コア部の輪郭は互いに、滑らかに接続されていてもよいし、段差を設けて接続されていてもよいし、角度を設けて接続されていてもよい。
また、尖ったクラッド部分を含まないように構成した本発明による合波分岐部を、図6及び図13に例示したが、その他の実施形態においても、製造上のばらつきを低減するために、尖ったクラッド部分をコア部に置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 単一ポート
12 複数ポート
14 光導波路構造
20 S形曲線光導波路部分
22 第1変曲点
24 第1円弧光導波路部分
26 第2円弧光導波路部分
30 第1分岐合波点
32 第3円弧光導波路部分
40 第2分岐合波点
42 第4円弧光導波路部分
50 第3分岐合波点
60 第5円弧光導波路部分
200 光導波路基板
201 光導波路部
202 光ファイバ接続部
211 光ファイバ接続用ガイド溝
212 溝
213 光導波路コアパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の出入射側に単一ポートを有し、他方の出入射側に複数ポートを有する光導波路構造であって、
該光導波路構造の一方の最外側が、S形曲線光導波路部分であり、
該S形曲線光導波路部分は、両端部の接線が平行であり、第1変曲点で曲率が反転する第1円弧光導波路部分及び第2円弧光導波路部分からなり、
前記第1変曲点より前記単一ポート側の前記第1円弧光導波路部分に、第1分岐合波点を設け、該第1分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第1円弧光導波路部分に対し反転曲率の第3円弧光導波路部分を形成し、前記第1分岐合波点において前記第1円弧光導波路部分の接線と、前記第3円弧光導波路部分の接線が平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする光導波路構造。
【請求項2】
前記第3円弧光導波路部分が、さらに、第2分岐合波点を有し、該第2分岐合波点において該第2分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第3円弧光導波路部分に対し反転曲率の第4円弧光導波路部分を形成し、前記第2分岐合波点において前記第3円弧光導波路部分の接線と、前記第4円弧光導波路部分の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
【請求項3】
前記第4円弧光導波路部分が、さらに、第3分岐合波点を有し、該第3分岐合波点において該第3分岐合波点から前記複数ポート側へ延び、前記第4円弧光導波路部分に対し反転曲率の第5円弧光導波路部分を形成し、前記第3分岐合波点において前記第3円弧光導波路部分の接線と、前記第5円弧光導波路部分の接線とが平行でかつ間隔をおいていることを特徴とする請求項2に記載の光導波路構造。
【請求項4】
一方の出入射側に単一ポートを有し、他方の出入射側に複数ポートを有する光導波路構造であって、
前記光導波路構造の最外側の少なくとも一方がS形曲線光導波路部分であり、
前記S形光導波路部分は、第1変曲点で曲率が反転する第1曲線光導波路部分及び第2曲線光導波路部分からなり、
前記第1変曲点より前記単一ポート側の前記第1曲線光導波路部分に、第1分岐合波部を設け、
前記第1の曲線光導波路部分は、一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、前記第1のコア部に接続され、前記一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、を有し、
更に、前記第1のコア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部を有し、
前記第1の軸線、前記第2の軸線及び前記第3の軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、
前記第2の接点及び前記第3の接点は、前記第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に前記第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、
前記第3の接点は、前記基準接線に対して前記他方の側に位置していることを特徴とする光導波路構造。
【請求項5】
合波分岐部を有する光導波路構造であって、
一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、
前記第1のコア部に接続され、前記一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、
前記第1のコア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部と、を有し、
前記第1の軸線、前記第2の軸線及び前記第3の軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点及び第3の接点を有し、
前記第2の接点及び前記第3の接点は、前記第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に前記第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、
前記第3の接点は、前記基準接線に対して前記他方の側に位置していることを特徴とする光導波路構造。
【請求項6】
前記第2の接点は、前記基準接線に対して前記一方の側に位置していることを特徴とする光導波路構造。
【請求項7】
前記第1の接点、前記第2の接点及び前記第3の接点は、前記基準垂直線上に位置することを特徴とする請求項5又は6に記載の光導波路構造。
【請求項8】
前記第2のコア部及び前記第3のコア部は、それらが一体となって前記基準垂直線から分岐側に延びるコア部分を有することを特徴とする請求項7に記載の光導波路構造。
【請求項9】
前記第1のコア部は、その幅が前記基準垂直線に向かって広がるテーパ部分を有することを特徴とする請求項7に記載の光導波路構造。
【請求項10】
前記第1のコア部、前記第2のコア部及び前記第3のコア部は、前記基準垂直線にまたがり且つ前記基準接線と平行な前記一方の側の輪郭及び前記他方の側の輪郭を有する拡張コア部分を有することを特徴とする請求項7に記載の光導波路構造。
【請求項11】
前記第2の接点及び前記第3の接点は、前記基準垂直線と平行であり且つそれよりも合波側に位置する第2の垂直線上に位置し、
更に、前記基準垂直線と前記第2の垂直線との間に中間コア部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の光導波路構造。
【請求項12】
前記中間コア部の前記一方の側の輪郭及び前記他方の側の輪郭は、前記基準接線と平行な直線であることを特徴とする請求項11に記載の光導波路構造。
【請求項13】
前記中間コア部は、マルチモード光導波路を構成することを特徴とする請求項12に記載の光導波路構造。
【請求項14】
前記第1のコア部は、その幅が前記基準垂直線に向かって広がるテーパ部分を有することを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の光導波路構造。
【請求項15】
合波分岐部を有する光導波路構造であって、
一方の側に湾曲する曲線からなる第1の軸線に沿って形成された合波側の第1のコア部と、
前記第1のコア部に接続され、前記一方の側に湾曲する曲線からなる第2の軸線に沿って形成された分岐側の第2のコア部と、
前記第1のコア部と前記他方の側に間隔をおき且つ並んで延びる結合器軸線に沿って形成され、第1のコア部と光結合器を構成する結合器コア部と、
前記結合器コア部に接続され、他方の側に湾曲する曲線からなる第3の軸線に沿って形成された分岐側の第3のコア部と、を有し、
前記第1の軸線、前記第2の軸線、前記第3の軸線及び前記結合器軸線はそれぞれ、互いに平行なそれぞれの接線と接する第1の接点、第2の接点、第3の接点及び結合器接点を有し、
前記第2の接点及び前記第3の接点は、前記第1の軸線の第1の接点における接線である基準接線と垂直に前記第1の接点を通って延びる基準垂直線から分岐側の領域内に位置し、
前記結合器接点は、前記基準垂直線上に位置し、
前記第3の接点は、前記結合器接点で接する前記結合器軸線の接線に対して前記他方の側に位置していることを特徴とする光導波路構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−18072(P2011−18072A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211041(P2010−211041)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【分割の表示】特願2006−516889(P2006−516889)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】