光断層画像化システム
【課題】光トモグラフィー計測を用いた光断層画像化システムにおいて、干渉信号のS/N比を向上させる。
【解決手段】周期的に掃引した光Lを用いた光トモグラフィー計測において、光源ユニット30から射出された光Lが光分岐手段2により分岐され、干渉計20と周期クロック生成手段80とに入射される。周期クロック生成手段80は入射された光Lの波長が設定波長λrefになったとき、周期クロック信号TCLKを出力する。そして、周期クロック信号TCLKが出力されたとき、干渉光取得手段101により干渉信号記憶手段94(A/D変換ユニット90)に記憶された1周期分の干渉光L4が取得される。
【解決手段】周期的に掃引した光Lを用いた光トモグラフィー計測において、光源ユニット30から射出された光Lが光分岐手段2により分岐され、干渉計20と周期クロック生成手段80とに入射される。周期クロック生成手段80は入射された光Lの波長が設定波長λrefになったとき、周期クロック信号TCLKを出力する。そして、周期クロック信号TCLKが出力されたとき、干渉光取得手段101により干渉信号記憶手段94(A/D変換ユニット90)に記憶された1周期分の干渉光L4が取得される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT(Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する断層画像処理方法、装置およびプログラムならびにこれを用いた断層画像化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織の光断層画像を取得する際に、OCT計測を利用した光断層画像取得装置が用いられることがある。眼底や前眼部、皮膚をはじめ、ファイバプローブを用いる動脈血管壁の観察、内視鏡の鉗子チャンネルからファイバプローブを挿入する消化器管の観察など、様々な部位に応用されている。この光断層画像取得装置では、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、該測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光、もしくは後方散乱光と参照光とを合波し、該反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて光断層画像を取得する。
【0003】
上記のOCT計測には、大きくわけてTD−OCT(Time domain OCT)計測とFD(Fourier Domain)−OCT計測の2種類がある。特許文献1に示すTD−OCT(Time domain OCT)計測は、参照光の光路長を変更しながら干渉光強度を測定することにより、測定対象の深さ方向の位置(以下、深さ位置という)に対応した反射光強度分布を取得する方法である。
【0004】
一方、FD(Fourier Domain)−OCT計測は、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置という)に対応した反射光強度分布を取得する方法である。TD―OCTに存在する機械的な走査が不要となることで、高速な測定が可能となる手法として、近年注目されている。
【0005】
FD(Fourier Domain)−OCT計測を行う装置構成で代表的な物としては、SD−OCT(Spectral Domain OCT)装置とSS−OCT(Swept source OCT)の2種類が挙げられる。このうち、SS−OCT装置は、光源ユニットから波長を時間的に掃引させたレーザ光を射出させ、反射光と参照光とを各波長において干渉させ、光周波数の時間変化に対応した信号の時間波形を測定し、これにより得られたスペクトル干渉強度信号を計算機でフーリエ変換することにより光断層画像を構成するようにしたものである(特許文献2、非特許文献1参照)。
【0006】
上述したSS−OCT計測においては、たとえば波長を1周期分だけ掃引したときの干渉信号ISを取得し、この干渉信号ISをスペクトル解析することにより断層情報が取得される。このため、波長が1周期分掃引されたことを示す周期クロック信号を発生させ、周期クロック信号をトリガーとして干渉信号ISのA/D変換のサンプリングが開始されるようにしている。この周期クロック信号は、たとえば光源ユニットから射出された光の強度が所定の値以上になったときに出力されるようになっている。
【特許文献1】特開2006−132996号公報
【特許文献2】特開2005−283155号公報
【非特許文献1】Yoshiaki Yasuno, Violeta Dimitrova Madjarova and Shuichi Makita, "Three-dimensional and high-speed swept-source optical coherence tomography for in vivo investigation of human anterior eye segments," OPTICS EXPRESS 2005 Vol. 13, No. 26.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述した光源ユニットは動作環境等によって光強度が各周期毎に異なることがあり、この場合周期クロック信号の周期にずれが発生することになる。上述したように光源ユニットは時間経過とともに異なる波長の光を射出するものであるため、周期クロック信号の周期がずれるとサンプリングする干渉信号の波長帯域がずれることになる。SS−OCT計測により得られた干渉信号をフーリエ変換処理等のスペクトル解析法により解析するときには、予め設定した波長帯域の干渉信号であることを前提として処理を行うものである。このため、各周期毎に得られる波長帯域がずれてしまうと、断層画像の分解能の低下を招いてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、断層画像の分解能低下を抑えることができる光断層画像化システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光断層画像化システムは、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットから射出される光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、反射光とは、測定対象からの反射光および後方散乱光を意味する。
【0011】
また、設定波長は、光の波長が掃引される波長帯域内に設定されているものであればよいが、掃引開始直後の波長以外であることが好ましい。
【0012】
なお、周期クロック生成手段が、光源ユニットから射出される光の波長が掃引される波長帯域内において、所定の設定波長の光を検出したときに周期クロック信号を出力するものであればその構成を問わず、たとえば光源ユニットから射出される光のうち、設定波長の光のみを透過し設定波長以外の光を遮光する光学フィルタと、該光学フィルタを透過した光を検出して周期クロック信号を出力する光検出部とを備えたものであってもよい。
【0013】
本発明の光断層画像化システムは、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットにおいて光の波長が掃引される毎にそれぞれ周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備え、周期クロック生成手段が、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、光学フィルタを透過した光の光量を検出する光検出部と、光源ユニットから射出された光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、強度クロック発生手段から強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、光検出部において光学フィルタを透過した光の光量が検出されたときに周期クロック信号を出力する信号発生手段とを備えたものであることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、強度クロック発生手段は、強度クロック信号を出力するものであればその構成を問わず、光源ユニットに内蔵されたものであってもよいし、光源ユニットとは別に設けられたものであっても良い。
【0015】
また、光透過周期は、光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号の出力タイミングのずれ量よりも大きくなるように設定されているものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光断層画像化システムによれば、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットから射出される光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備えたことにより、光源ユニットから射出された光が設定波長になったときに干渉信号の取得が開始されるため、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号と光源ユニットから射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0017】
本発明の光断層画像化システムによれば、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットにおいて光の波長が掃引される毎にそれぞれ周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備え、周期クロック生成手段が、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、光学フィルタを透過した光の光量を検出する光検出部と、光源ユニットから射出された光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、光源ユニットから強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、光検出部において光学フィルタを透過した光の光量が検出されたときに周期クロック信号を出力する信号発生手段とを備えたことにより、強度クロック信号の出力タイミングが周期毎に異なってしまった場合であっても、信号発生手段が光学フィルタからの出力を用いて時間的なずれを修正し、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号と光源ユニットから射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0018】
なお、光透過周期が光源ユニットから射出される光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号の出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号の出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、確実に信号発生手段が光学フィルタからの出力を用いて時間的なずれを修正し、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の光断層画像化システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の光断層画像化システムの好ましい実施の形態を示す概略図である。光断層画像化システム1は、体腔内に光プローブ10を挿入することにより、体腔内の生体組織や細胞等の測定対象Sの断層画像をSS−OCT(Swept source OCT)計測により取得するものである。この光断層画像化システム1は、光プローブ10、干渉計20、光源ユニット30、周期クロック生成手段80、A/D変換ユニット90、断層画像処理手段100、表示装置110等を有している。
【0020】
図2は図1の光プローブ10の先端部分の一例を示す模式図である。図2の光プローブ10は、たとえば鉗子口を介して体腔内に挿入されるものであって、プローブ外筒(シース)11、光ファイバ12、光学レンズ15等を有している。プローブ外筒11は、プローブ外筒(シース)11は、可撓性を有する筒状の部材からなっており、測定光L1および反射光L3が透過する材料からなっている。なお、プローブ外筒11は先端がキャップ11aにより閉塞された構造を有している。
【0021】
光ファイバ12は、干渉計20から射出された測定光L1を測定対象Sまで導波するとともに、測定光L1が測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3を干渉計20まで導波するものであって、プローブ外筒11内に収容されている。また光ファイバ12の外周側にはバネ13が固定されており、光ファイバ12およびバネ13は回転駆動ユニット10Aに機械的に接続されている。そして、光ファイバ12およびバネ13は回転駆動ユニット10Aによりプローブ外筒11に対し矢印R1方向に回転するようになっている。なお、回転駆動ユニット10Aは回転エンコーダを具備しており(図示せず)、回転制御手段10Bは回転エンコーダからの信号に基づいて測定光L1の照射位置を認識するようになっている。
【0022】
光学レンズ15は、光ファイバ12から射出した測定光L1を測定対象Sに対し集光するために略球状の形状を有しており、測定対象Sからの反射光L3を集光し光ファイバ12に入射する。ここで、光学レンズ15の焦点距離は、たとえば光ファイバ12の光軸LPからプローブ外筒の径方向に向かって距離D=3mmの位置に形成されている。光学レンズ15は光ファイバ12の光出射端部に固定部材14を用いて固定されており、光ファイバ12が矢印R1方向に回転したとき、光学レンズ15も一体的に矢印R1方向に回転する。よって、光プローブ10は、測定対象Sに対し光学レンズ15から射出される測定光L1を矢印R1方向(プローブ外筒11の円周方向)に対し走査しながら照射することになる。
【0023】
図1の光ファイバ12および光学レンズ15を回転させる回転駆動ユニット10Aの動作は回転制御手段10Bにより制御されており、回転制御手段10Bはたとえば約20Hzでプローブ外筒11に対し矢印R1方向に回転するように制御する。そして、回転制御手段10Bは回転駆動ユニット10Aの回転エンコーダからの信号に基づき光ファイバ12が1回転したと判断したとき、回転クロック信号RCLKを断層画像処理手段100に出力するようになっている。
【0024】
図3は光源ユニット30の一例を示す模式図である。光源ユニット30は、波長を一定の周期T0で掃引させながらレーザ光Lを射出するものである。具体的には、光源ユニット30は、半導体光増幅器(半導体利得媒質)311と光ファイバFB30とを有しており、光ファイバFB30が半導体光増幅器311の両端に接続された構造を有している。半導体光増幅器311は駆動電流の注入により微弱な放出光を光ファイバFB30の一端側に射出するとともに、光ファイバFB30の他端側から入射された光を増幅する機能を有している。そして、半導体光増幅器311に駆動電流が供給されたとき、半導体光増幅器311および光ファイバFB30により形成される光共振器によりレーザ光Lが光ファイバFB30へ射出されるようになっている。
【0025】
さらに、光ファイバFB30には光分岐器312が結合されており、光ファイバFB30内を導波する光の一部が光分岐器312から光ファイバFB31側へ射出されるようになっている。光ファイバFB31から射出した光はコリメータレンズ313、回折格子素子314、光学系315を介して回転多面鏡(ポリゴンミラー)316において反射される。そして反射された光は光学系315、回折格子素子314、コリメータレンズ313を介して再び光ファイバFB31に入射される。
【0026】
ここで、この回転多面鏡316は矢印R30方向に回転するものであって、各反射面の角度が光学系315の光軸に対して変化するようになっている。これにより、回折格子素子314において分光された光のうち、特定の波長帯域の光だけが再び光ファイバFB31に戻るようになる。この光ファイバFB31に戻る光の波長は光学系315の光軸と反射面との角度によって決まる。そして光ファイバFB31に入射した特定の波長の光が光分岐器312から光ファイバFB30に入射され、特定の波長のレーザ光Lが光ファイバFB1a側に射出されるようになっている。
【0027】
したがって、回転多面鏡316が矢印R30方向に等速で回転したとき、再び光ファイバFB1aに入射される光の波長λは、時間の経過に伴って周期的に変化することになる。具体的には、図4に示すように、光源ユニット30は最小掃引波長λminから最大掃引波長λmaxまで波長を一定の周期T0(たとえば約50μsec)で掃引した光Lを射出する。そして、光源ユニット30から射出された光Lは、光ファイバカプラ等からなる光分岐手段2により、光ファイバFB1b、FB1cにそれぞれ分岐され、干渉計20および周期クロック生成手段80にそれぞれ入射される。
【0028】
なお、光源ユニット30としてポリゴンミラーを回転させることにより波長を掃引させる場合について例示しているが、たとえばASE光源ユニット等のような公知の技術により周期的に波長を掃引させながら射出するようにしても良い。
【0029】
図5は図1の光断層画像化システム1における干渉計20の一例を示す模式図である。干渉計20はマッハツェンダー型の干渉計であって、筐体20Aに各種光学部品を収容することにより構成されている。干渉計20は、光源ユニット30から射出された光Lを測定光L1と参照光L2とに分割する光分割手段3と、光分割手段3により分割された測定光L1が測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3と参照光L2とを合波する合波手段4と、合波手段4により合波された反射光L3と参照光L2との干渉光L4を検出する干渉光検出手段70とを備えている。なお、干渉計20と光源ユニット30とはAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されている。APCコネクタを用いることにより光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止することができる。
【0030】
光分割手段3は、たとえば2×2の光ファイバカプラからなっており、光源ユニット30から光ファイバFB1cを導波した光Lをそれぞれ測定光L1と参照光L2とに分割する。このとき、光分割手段3は、たとえば測定光L1:参照光L2=99:1の割合で分割する。光分割手段3は、2つの光ファイバFB2、FB3にそれぞれ光学的に接続されており、分割された測定光L1は光ファイバFB2側に入射され、参照光L2は光ファイバFB3側に入射されるようになっている。
【0031】
光ファイバFB2には光サーキュレータ21が接続されており、光サーキュレータ21には光ファイバFB4、FB5がそれぞれ接続されている。光ファイバFB4には測定光L1を測定対象Sまで導波する光プローブ10が接続されており、光プローブ10から射出した測定光L1は光ファイバFB2から光プローブ10へ導波され、測定対象Sに照射される。また、測定対象Sを反射した反射光L3は光ファイバFB4を介して光サーキュレータ21に入射され、光サーキュレータ21から光ファイバFB5側に射出されるようになっている。なお、光ファイバFB4と光プローブ10とはAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されており、光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止するようになっている。
【0032】
一方、光ファイバFB3には光サーキュレータ22が接続されており、光サーキュレータ22には光ファイバFB6、FB7がそれぞれ接続されている。光ファイバFB6には、断層画像の取得領域を調整するために参照光L2の光路長を変更する光路長調整手段40が接続されている。光路長調整手段40は、光路長を粗調整する光路長粗調整用光ファイバ40Aと、光路長を微調整する光路長微調整手段40Bとを有している。
【0033】
光路長粗調整用光ファイバ40Aは、一端側が光ファイバFB2に対し着脱可能に接続されており、他端側が光路長微調整手段40Bに着脱可能に接続されている。光路長粗調整用光ファイバ40Aは予め異なる長さのものが複数用意されており、必要に応じて適切な長さの光路長粗調整用光ファイバ40Aが適宜取り付けられる。なお、この光路長粗調整用光ファイバ40Aは、光ファイバFB6および光路長微調整手段40BとAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されており、光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止するようになっている。
【0034】
光路長微調整手段40Bは、反射ミラー43、光ターミネータ44等を有している。反射ミラー43は、光路長粗調整用光ファイバ40Aから射出された参照光L2を光ターミネータ44側に反射するとともに、光ターミネータ44から反射した参照光L2を再び光路長粗調整用光ファイバ40A側に反射するものである。反射ミラー43はこの反射ミラー43は可動ステージ(図示せず)上に固定されており、ミラー移動手段により参照光L2の光軸方向(矢印A方向)に移動することにより、参照光L2の光路長が変更する。この可動ステージは医師等により、光路長調整操作部46が操作されることにより反射ミラー43を矢印A方向に移動させるようになっている。
【0035】
さらに、光ファイバFB7には偏波コントローラ50が光学的に接続されている。この偏波コントローラ50は参照光L2の偏波方向を回転させる機能を有している。なお偏波コントローラ50としてたとえば特開2001−264246号公報等の公知の技術を用いることができる。偏波コントローラ50は、医師等により偏波調整操作部51が操作されることにより偏波方向を調整するようになっており、たとえば反射光L3と参照光L2とが合波手段4において合波されるときのそれぞれの偏波方向が一致するように偏波調整操作部51を操作することにより、断層画像が鮮明になるように調整することができる。
【0036】
合波手段4は、2×2の光ファイバカプラからなり、光ファイバFB5を導波した反射光L3と光ファイバFB7を導波した参照光L2とを合波するものである。具体的には合波手段4は、光ファイバFB5を導波した反射光L3を2つの光ファイバFB8、FB9に分岐するとともに、光ファイバFB7を導波した参照光L2を2つの光ファイバFB8、FB9に分岐する。したがって、各光ファイバFB8、FB9においてそれぞれ反射光L3と参照光L2とが合波され、光ファイバFB8内を第1干渉光L4aが導波し、光ファイバFB9内を第2干渉光L4bが導波することになる。つまり、合波手段4は、反射光L3と参照光L2との干渉光L4を2つに干渉光L4a、L4bに分岐する光分岐手段5としても機能している。
【0037】
干渉光検出手段70は、第1干渉光L4aを検出する第1光検出部71と、第2干渉光L4bを検出する第2光検出部72と、第1光検出部71により検出された第1干渉光L4aと第2光検出部72により検出された第2干渉光L4bとの差分を干渉信号ISとして出力する差分アンプ73とを有している。各光検出部71、72は、たとえばフォトダイオード等からなっており、可変光アッテネータ60A、60Bを介して入射される各干渉光L4a、L4bを光電変換し差分アンプ73に入力するものである。差分アンプ73は各干渉光L4a、L4bの差分を増幅し干渉信号ISとして出力するものである。このように、各干渉光L4a、L4bを差分アンプ73によりバランス検波することにより、干渉信号ISを増幅して出力しながら干渉信号IS以外の同相光雑音が除去することができ、断層画像Pの画質の向上を図ることができる。
【0038】
光分岐手段5(合波手段4)と干渉光検出手段70との間には可変光アッテネータ60A、60Bが設けられている。この可変光アッテネータ60A、60Bは第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4bのそれぞれの光量を各波長帯域毎に異なる減衰率で減衰し、干渉光検出手段70側に射出するものである。なお、第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4b毎にそれぞれ可変光アッテネータ60A、60Bが設けられている。
【0039】
図6は可変光アッテネータ60Aの一例を示す模式図である。可変光アッテネータ60Aは、円盤状の減光フィルタ(NDフィルタ)62と、減光フィルタ62を回転させる駆動手段64とを有している。減光フィルタ62は、図7に示すように、たとえば円周方向(矢印R10方向)に沿って黒色の濃さの度合いが異なるように形成されており、光の減衰率(透過率)が異なっている。この減光フィルタ62のスポット位置62aに第1干渉光L4aが入射され、第1干渉光L4aはスポット位置62aの減衰率(透過率)に従い減衰し、光ファイバFB12に入射される。よって減光フィルタ62が駆動手段64により矢印R10方向に回転したとき、干渉光L4aが透過する位置の減衰率が時間変化することになる。なお、可変光アッテネータ60Bも図6と同一の構成を有している。そして、可変光アッテネータ60A、60Bによる減衰率は、各波長帯域において各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光の強度レベルが略均等になるように設定されている。
【0040】
よって、可変光アッテネータ60A、60Bに時間変化とともに異なる波長の干渉光L4a、L4bが入射されたとき、可変光アッテネータ60A、60Bは干渉光L4a、L4bを、波長変化に合わせて減衰率を変えて干渉光L4a、L4bをそれぞれ減衰する。これにより、各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光強度検出信号レベルが全波長帯域において略均等になり、干渉光検出手段70においてバランス検波するときのS/N比の向上を図ることができる。
【0041】
なお、図5において各可変光アッテネータ60A、60Bを設けている場合について例示しているが、各可変光アッテネータ60A、60Bを設けなくても各光検出部71、72における光強度バランスが全波長帯域において略均等である場合には、各可変光アッテネータ60A、60Bは不要である。
【0042】
また、図6および図7において各波長帯域毎にそれぞれ光分岐手段5による分岐比が異なるものであって、各可変光アッテネータ60A、60Bは各波長帯域毎に減衰率を可変とする場合について例示しているが、各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光強度レベルの特性が全波長帯域において一定である場合、減衰率を可変にする必要はなく、その特性に合わせた一定の減衰率のアッテネータを用いればよい。
【0043】
また干渉光検出手段70から出力された干渉信号ISは、増幅器74により増幅された後、信号帯域フィルタ75を介してA/D変換ユニット90に出力される。この信号帯域フィルタ75を設けることにより、干渉信号ISからノイズを除去し、S/N比の向上を図ることができる。
【0044】
図8は図1に示すA/D変換ユニット90の一例を示すブロック図である。A/D変換ユニット90は、干渉光検出手段70により検出された干渉信号ISをデジタル信号に変換し出力するものであって、A/D変換器91、サンプリングクロック発生回路92、制御コントローラ93、干渉信号記憶手段94を有している。A/D変換器91は、干渉計20からアナログ信号として出力される干渉信号ISをデジタル信号にするものである。A/D変換器91は、サンプリングクロック発生回路92から出力されるサンプリングクロックに基づいて干渉信号ISのA/D変換を行うものである。干渉信号記憶手段94はたとえばRAM(ランダムアクセスメモリ)等からなり、デジタル信号化された干渉信号ISを一時的に記憶するものである。このA/D変換器91、サンプリングクロック発生回路92、干渉信号記憶手段94の動作は制御コントローラ93により制御されている。
【0045】
ここで、干渉信号記憶手段94により記憶された干渉信号ISは、周期クロック信号TCLKが出力されたときに、この周期クロック信号TCLKが出力されたタイミングを基準として1周期分だけ干渉信号取得手段101により取得されるようになっている。具体的には、たとえば干渉信号取得手段101は、図10(B)に示すように、周期クロック信号TCLKの出力タイミングの前後の波長帯域DTの干渉信号ISを取得する。なお、周期クロック信号TCLKの出力タイミングは掃引される波長帯域内であれば図10(B)の場合に限らず、波長の掃引開始直後の波長に設定して1周期分の干渉信号ISを取得するようにしてもよいし、あるいは波長の掃引終了直前に設定して1周期分の干渉信号ISを取得するようにしてもよい。
【0046】
図9は上述した周期クロック信号TCLKを生成する周期クロック生成手段80の一例を示す模式図である。周期クロック生成手段80は、光源ユニット30から射出される光Lの波長が1周期掃引される毎に1つの周期クロック信号TCLKを出力するものであって、光学レンズ81、83、光学フィルタ82、光検出部84を備えている。そして、光ファイバFB1cから射出された光Lが光学レンズ81を介して光学フィルタ82に入射される。光学フィルタ82を透過した光Lが光学レンズ83を介して光検出部84により検出され、周期クロック信号TCLKをA/D変換ユニット90に出力するようになっている。
【0047】
光学フィルタ82はたとえばエタロン等からなり、図10(A)に示すように複数の透過波長を有している。光学フィルタ82は、複数の透過波長のうち波長帯域λmin〜λmax内においては一の透過波長が設定されるような光透過周期FSR(フリースペクトルレンジ)を有している。よって、光源ユニット30から射出される光の波長が掃引される波長帯域λmin〜λmax内において設定された設定波長λrefの光のみを透過し、それ以外の波長帯域の光を遮光することになる。したがって、図10(B)に示すように、光源ユニット30から周期的に波長が掃引された光Lが射出され、光Lの波長が設定波長λrefになったとき、周期クロック信号TCLKが出力されることになる。なお、図10(B)に示すように、光学フィルタ(エタロン)82の特性によっては、透過帯幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が広くなってしまい、周期クロック信号TCLKの発生タイミングが透過帯幅内の範囲でずれてしまう場合がある。この場合には、後述する干渉信号取得手段101がたとえば透過帯幅の中間等を周期クロック信号TCLKの発生タイミングとすれば、正確であり好ましい。
【0048】
図11は本発明の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の別の実施形態を示す模式図である。なお、図11の周期クロック生成手段180において図9の周期クロック生成手段80と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図11の周期クロック生成手段180が図9の周期クロック生成手段80と異なる点は、図9の周期クロック生成手段80が光Lの波長を用いて周期クロック信号TCLKを出力しているのに対し、図11の周期クロック生成手段180は光Lの光強度を用いて周期クロック信号TCLKを出力するものである。さらに、光Lの強度は掃引開始直後では出力変動が大きいため、周期クロック生成手段180は光強度出力が安定している期間に周期クロック信号TCLKを出力させる構成を有している。
【0049】
なお、図9の周期クロック生成手段80は簡単な構成で周期クロック生成手段80を構成できるのに対し、図11の周期クロック生成手段180は容易に製作可能な光学フィルタ182により周期クロック生成手段180を構成することができる。
【0050】
具体的には、周期クロック生成手段180は、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタ182と、光学フィルタ182を透過した光の光量を検出する光検出部84と、光源ユニット30から射出された光の光量が予め設定された光強度Prefを超えたとき強度クロック信号LCLKを出力する強度クロック発生手段30aと、強度クロック発生手段30aから強度クロック信号が出力されてから設定時間Tref経過後に、光検出部84において光学フィルタ182を透過した光が設定光量Lrefを超えたとき周期クロック信号TCLKを出力する信号発生手段185とを備えている。なお、図11中、光源ユニット30から射出された光Lは、光ファイバFB1、光分岐手段2、FB1c光ファイバFB1cを介して周期クロック生成手段180に入射されることになる(図5参照)。
【0051】
ここで、周期クロック生成手段180においては、図12(A)に示すように、光Lの波長が掃引される波長帯域内において所定の光透過周期FSR(フリースペクトルレンジ)で光を透過するエタロンからなる光学フィルタ182が用いられている。そして、光検出部84は光学フィルタ182を透過した光の光量を検出し信号発生手段185に出力する。なお、この光透過周期FSRは、後述する光源ユニット30において発生するであろう強度クロック信号LCLKの時間的なずれΔtを予め調べておき、この時間的なずれ量Δtよりも大きくなるように設定されている。
【0052】
一方、光源ユニット30が波長を掃引しながら光Lを射出するとき、光Lの光強度Pは図12(B)のように時間変化とともに変化する。強度クロック発生手段30aは各周期において光Lの射出を開始してから最初に設定光強度Prefになったときに、図12(C)に示すような強度クロック信号LCLKを信号発生手段185出力するようになっている。なお、強度クロック発生手段30aは、光源ユニット30に内蔵されている場合について例示しているが、光源ユニット30とは別に設けるようにし、光源ユニット30から射出される光Lの強度を用いて強度クロックLCLKを出力するようにしても良い。
【0053】
信号発生手段185は、強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Trefの経過後に、光検出部84が設定レベル(設定光量)Lref以上の光強度レベルを検出したとき、所定の設定波長λrefの光を検出したものとして周期クロック信号TCLKを出力する。この設定時間Trefおよび設定レベルLrefは予めデータテーブル185aに記憶されている。具体的には、信号発生手段185は、図12(C)に示すような強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Tref経過後の光検出部84からの出力を監視する。そして、光検出部84からの出力が設定レベルLrefになったとき、図12(D)に示すような周期クロック信号TCLKを出力する。なお、この設定レベルLrefは、光検出部84における光源ユニット30の出力変動ノイズや光検出部84における電気ノイズ等のノイズ成分も検出されてしまうことを考慮し、S/N比が十分大きい値に設定される。
【0054】
図9から図12に示すように、実際に光源ユニット30から射出される光Lを用いて周期クロック信号TCLKを生成し出力することにより、光源ユニット30から射出される光Lが波長の掃引開始から所定の光強度になるまでの時間が各周期毎に変わってしまう場合であっても、設定波長λrefから所定の期間T(図4参照)の波長帯域の干渉信号ISを取得することができる。よって、断層画像処理手段100において想定されている波長帯域の干渉信号ISを取得するタイミングで周期クロック信号TCLKを出力することができ、分解能の劣化を抑えることができる。
【0055】
すなわち、従来のように図12(C)に示す光Lが設定光強度Prefになったときに出力される強度クロック信号LCLKを周期クロック信号TCLKとして用いた場合、光源ユニット30の動作環境等により各周期毎に設定光強度PrefになるタイミングがΔtだけずれてしまう場合がある。このとき、波長の掃引を開始してから予定の時間よりも時間Δtだけずれたときに射出された波長λref±Δλのタイミングで干渉信号記憶手段94からの干渉信号ISの取得が開始されることになる。このように、周期クロック信号TCLKが出力されるタイミングが各周期毎に異なってしまい、干渉光記憶手段94から取得する干渉信号ISの波長帯域が異なってしまう。その結果、断層画像処理手段100においてスペクトル解析する波長帯域とのずれが生じ、結果として断層画像Pの分解能の低下を招いてしまう。
【0056】
一方、図9および図10に示すように、設定波長λrefになったときに周期クロック信号TCLKが出力されるとき、設定光強度Prefになるタイミングにずれが生じた場合であっても、各周期において設定波長λrefから所定の波長までの干渉信号ISが取得されることになる。したがって、断層画像処理手段100におけてスペクトル解析する波長帯域とのずれをなくし、断層画像Pの分解能の低下を防止することができる。
【0057】
あるいは図11および図12(D)に示すように、光学フィルタ182からの出力を用いて設定光強度Prefになるタイミングにずれを吸収し、信号発生手段185が一定のタイミングで周期クロック信号TCLKを出力する場合であっても、断層画像処理手段100におけてスペクトル解析する波長帯域とのずれをなくし、断層画像Pの分解能の低下を防止することができる。特に、信号発生手段185が、所定の時間Trefの経過後の光検出部84の出力を用いて周期クロック信号TCLKを発生させることにより、光の出力開始時の出力変動が大きいような光源ユニット30を用いる場合に、出力変動が大きい時間領域以外から周期クロック信号TCLKの発生タイミングを判断することができるため、精度良く周期クロック信号TCLKを出力させることができる。
【0058】
また、光検出部84から設定レベルLref以上の出力が得られたときに周期クロック信号TCLKを出力することにより、光検出部84からの出力にノイズ成分が含まれている場合であっても、ノイズにより周期クロック信号TCLKの出力タイミングがずれるのを防止することができる。
【0059】
さらに、光透過周期FSRが光源ユニット30の光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号LCLKの出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号LCLKの出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、その影響を受けずに断層画像処理手段100において想定されている波長帯域の干渉信号ISが確実に取得されるタイミングで周期クロック信号TCLKを出力することができる。
【0060】
図13は断層画像処理手段100の一例を示すブロック図である。なお、図3のような断層画像処理手段100の構成は、補助記憶装置に読み込まれた断層画像処理プログラムをコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。断層画像処理手段100は、干渉信号取得手段101、干渉信号変換手段102、干渉信号解析手段103、断層画像生成手段105等を有している。
【0061】
干渉信号取得手段101は、周期クロック生成手段80から出力される周期クロック信号TCLKに基づいて、干渉光検出手段70により検出された1周期分の干渉信号ISを干渉信号記憶手段94から取得するものである。具体的には、たとえば干渉信号取得手段101は、図10(B)に示すような、周期クロック信号TCLKの出力タイミングの前後の波長帯域DTの干渉信号ISを取得する。なお、干渉信号取得手段101は周期クロック信号TCLKの出力タイミングを基準として1周期分の干渉信号ISを取得するものであればよく、周期クロック信号TCLKの出力タイミングは掃引される波長帯域内であれば図10(B)の場合に限らず、波長の掃引開始直後の波長に設定し、あるいは波長の掃引終了直前に設定する等してもよい。
【0062】
干渉信号変換手段102は、図14に示すようなA/D変換ユニット90において時間経過とともに取得される干渉信号ISを、図15に示すような波数k(=2π/λ)軸において等間隔になるように再配列する機能を有している。具体的には、干渉信号変換手段102は、光源ユニット30の時間−波長掃引特性データテーブルもしくは関数を予め有しており、この時間−波長掃引特性データテーブル等を用いて波数k軸において等間隔になるように干渉信号ISを再配列する。これにより、干渉信号ISから断層情報を算出するときに、フーリエ変換処理、最大エントロピー法による処理等の周波数空間において等間隔であることを前提とするスペクトル解析法により精度の高い断層情報を得ることができる。なお、この信号変換手法の詳細はUS5956355号明細書に開示されている。
【0063】
ここで、干渉信号変換手段102が図12(A)に示すような光学フィルタ182からの出力を取得し、時間−波長掃引特性データテーブルもしくは関数と光学フィルタ182からの出力とに基づいて、信号変換を行うことも考えられる。しかし、光学フィルタ182からの出力を処理する分、信号変換処理に時間が掛かってしまう。一方、干渉信号取得手段101により予め設定されている波長帯域の干渉信号ISを取得し、干渉信号変換手段102により時間−波長掃引特性データテーブル等を用いて変換処理を行うことにより、信号変換処理の効率化を図ることができる。
【0064】
干渉信号解析手段103は、干渉信号変換手段102により信号変換された干渉信号ISをたとえばフーリエ変換処理、最大エントロピー法(MEM)、Yule−Walker法等の公知のスペクトル解析技術を用いて解析し、断層情報r(z)を取得するものである。
【0065】
断層画像生成手段105は、干渉信号解析手段103により取得された1周期分(1ライン分)の断層情報r(z)を光プローブ10のラジアル方向(矢印R1方向)について取得し、図16に示すような1枚の断層画像Pを生成するものである。ここで、断層画像生成手段105は、順次取得される1ライン分の断層情報r(z)を断層情報蓄積手段105aに記憶しておき、図1の回転制御手段10Bから回転クロック信号RCLKが出力されたとき、図16に示すような記憶していたnライン分の断層情報r(z)を用いて断層画像Pを生成する。たとえば、光源ユニット30から周期クロックTCLKが20kHzであって、光プローブ10が20Hzで測定光L1を矢印R1方向に走査するものであるとき、断層画像生成手段105は、n=1024ライン分の断層情報r(z)を用いて1枚の断層画像Pを生成する。
【0066】
なお、画質を上げるために、複数枚の断層画像を取得し取得して平均化する方法を用いても良い。すなわち、光プローブ10が測定対象Sの同一部位に対し複数回測定光L1を走査しながら照射することにより、断層画像生成手段105は同一部位から複数の断層画像を取得する。そして、断層画像生成手段105は、この複数の断層画像を用いて光プローブ10の長さ方向に対する位置xにおける各深さ位置zの断層情報r(x,z)の平均値を算出する。これにより、各断層画像に含まれているノイズ成分が相殺され、画質の良い断層画像を取得することができる。
【0067】
また、断層画像生成手段105は走査方向(矢印R1方向)に対して複数ライン分の断層情報r(z)を用いて断層画像を生成するとき、隣接する複数のラインの断層情報を平均化したものを用いて断層画像を生成するようにしても良い。たとえば断層画像生成手段105は、隣接する3ライン分の断層情報の平均値を断層画像の生成に用いる断層情報として用いる。これにより、各ラインの断層情報に含まれているノイズ成分が相殺され、画質の良い断層画像を生成することができる。
【0068】
図1から図16を参照して光断層画像化システムの動作例について説明する。まず、光源ユニット30から所定の波長帯域内において周期的に掃引された光束が射出される。光Lは光分岐手段2において2分され、干渉計20と周期クロック生成手段80とにそれぞれ入射される。干渉計20の光分割手段3において光Lは測定光L1と参照光L2とに光分割され、測定光L1は光ファイバFB2側に射出され、参照光L2は光ファイバFB3側に射出される。
【0069】
測定光L1は光サーキュレータ21、光ファイバFB4および光プローブ10を導波し測定対象Sに照射される。そして、測定対象Sにおいて反射した反射光L3および後方散乱した光が再び光プローブ10に入射される。この反射光L3は光プローブ10、光サーキュレータ21および光ファイバFB5を介して合波手段4に入射される。
【0070】
一方、参照光L2は光ファイバFB3、光サーキュレータ22、光ファイバFB6を介して光路長調整手段40に入射される。そして、光路長調整手段40により光路長が調整された参照光L2が再び光ファイバFB6、光サーキュレータ22、偏波コントローラ50、光ファイバFB7を導波し合波手段4に入射される。
【0071】
合波手段4において、反射光L3と参照光L2とが合波されるとともに、合波されたときの干渉光L4が合波手段4(光分岐手段5)において分岐され、2つの干渉光L4a、4bが光ファイバFB8、FB9にそれぞれ射出される。そして、各光ファイバFB8、FB9を導波した各干渉光L4a、L4bが可変光アッテネータ60A、60Bにより減衰され、干渉光検出手段70においてバランス検波される。
【0072】
ここで、干渉光検出手段70におけるバランス検波の前に、分岐された第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4bを各干渉光L4a、L4bの全波長帯域において略均等になるように、波長帯域毎に異なる減衰率で減衰する可変光アッテネータ60A、60Bを設けることにより、干渉光検出手段70でのバランス検波により非干渉成分を確実に除去してS/N比の向上を図ることができる。
【0073】
干渉光検出手段70によりバランス検波により検出された干渉光L4は干渉信号ISとして出力され、増幅器74および信号帯域フィルタ75を経てA/D変換ユニット90に出力される。その後、干渉信号ISは、A/D変換ユニット90においてA/D変換され、干渉信号記憶手段94に格納される。
【0074】
光源ユニット30から光分岐手段2を介して周期クロック生成手段80に入射された光Lの波長が設定波長λrefであるとき(図9、図10参照)、光学フィルタ82を通過した光Lが光学レンズ83を介して光検出部84に検出される。すると、周期クロック生成手段80から干渉信号取得手段101に対し周期クロック信号TCLKが出力され、干渉信号記憶手段94に記憶された干渉信号ISのうち、1周期分の干渉信号ISが取得される。
【0075】
断層画像処理手段100において、干渉信号変換手段102により1ライン分の干渉信号ISに波数kについて等間隔になるように信号変換処理が施される。その後、干渉信号解析手段103により、干渉信号ISがスペクトル解析されることにより、干渉信号ISからそれぞれ断層情報(反射率)が断層情報r(z)として取得される。断層画像生成手段105において、取得した断層情報r(z)が測定光L1の走査方向(矢印R1方向)についてnライン分だけ蓄積される。そして、回転クロック信号RCLKが検出したとき、蓄積した複数の断層情報r(z)を用いて1枚の断層画像Pが生成される。その後、画質補正手段106において、生成した断層画像Pについて画質補正が行われ、画質補正された断層画像Pが図1の表示装置110に表示される。
【0076】
上記実施の形態によれば、光源ユニット10から射出される光Lのうち、所定の設定波長λrefの光の光量を検出したときに周期クロック信号TCLKを出力する周期クロック生成手段80と、周期クロック生成手段80から周期クロック信号TCLKが出力されたとき、干渉光検出手段70により検出された干渉信号ISの記憶を開始する干渉信号記憶手段94と、干渉信号記憶手段94に記憶された干渉信号ISから断層画像Pを生成する断層画像処理手段100とを備えたことにより、光源ユニット10から射出された光Lが設定波長λrefになったときに設定波長λrefの光に基づく干渉信号ISの記憶が開始されるため、各周期毎に異なる波長帯域の干渉信号ISが取得されるのを防止し、干渉信号ISと光源ユニット30から射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像Pの分解能の低下を抑えることができる。
【0077】
あるいは図11に示すように、周期クロック生成手段180が、光Lの波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期FSRで透過する光学フィルタ182と、光学フィルタ182を透過した光の光量を検出する光検出部84と、光源ユニット30から光の光量が予め設定された光強度を越えたときに強度クロック信号LCLKを出力する強度クロック発生手段30aと、強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Trefの経過後に、光検出部84において光学フィルタ182を透過した光の光量が設定光量を超えたとき周期クロック信号TCLKを出力する信号発生手段185とを備えたことにより、強度クロック信号LCLKの出力タイミングがある周期においてずれた場合であっても、信号発生手段185が光学フィルタ182からの出力を用いて時間的なずれを修正し、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号ISと光源ユニット30から射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像Pの分解能の低下を抑えることができる。
【0078】
また、光透過周期FSRが光源ユニット30から射出される光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号LCLKの出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号LCLKの出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、確実に信号発生手段185が光学フィルタ182からの出力を用いて時間的なずれを修正し、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0079】
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。たとえば、図2の光プローブ10は、円周方向(矢印R1方向)に測定光L1を走査しながら照射する場合について例示しているが、光プローブ10の長手方向に測定光L1を走査しながら照射する者であっても良い。このとき、光ファイバ12および光学レンズ15はプローブ外筒11に対し、光プローブ10の長手方向に移動可能な構造を有している。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の光断層画像化システムの好ましい実施の形態を示す概略構成図
【図2】図1の光断層画像化システムに使用される光プローブの一例を示す模式図
【図3】図1の光断層画像化システムにおける光源ユニットの一例を示す模式図
【図4】図3の光源ユニットから射出される光の波長が掃引される様子を示すグラフ
【図5】図1の光断層画像化システムにおける干渉計の一例を示す模式図
【図6】図5の干渉計における可変光アッテネータの一例を示す模式図
【図7】図6の可変光アッテネータにおける減光フィルタの一例を示す模式図
【図8】図1の光断層画像化システムにおけるA/D変換ユニットの一例を示すブロック図
【図9】図1の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の一例を示す模式図
【図10】図10の周期クロック生成手段により生成される周期クロック信号の一例を示すグラフ
【図11】図1の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の別の一例を示す模式図
【図12】図11の周期クロック生成手段の動作例を示すグラフ
【図13】図1の断層画像処理手段の一例を示すブロック図
【図14】図13の干渉信号変換手段に入力される干渉信号の一例を示すグラフ
【図15】図13の干渉信号変換手段により信号変換された干渉信号の一例を示すグラフ
【図16】図13の断層画像生成手段により生成された断層画像の一例を示す模式図
【符号の説明】
【0081】
1 光断層画像化システム
2 光分岐手段
3 光分割手段
4 合波手段
10 光プローブ
20 干渉計
30 光源ユニット
70 干渉光検出手段
80 周期クロック生成手段
82 光学フィルタ
84 光検出部
90 A/D変換ユニット
92 サンプリングクロック発生回路
93 制御コントローラ
94 干渉信号記憶手段(RAM)
100 断層画像処理手段
IS 干渉信号
IS1〜IS4 分割干渉信号
L 光
L1 測定光
L2 参照光
L3 反射光
L4 干渉光
P 断層画像
r(z) 断層情報
r1(z)〜r4(z) 中間断層情報
RCLK 回転クロック信号
S 測定対象
SP 周期クロック
T0 周期
TCLK 周期クロック信号
λmin 最小掃引波長
λmax 最大掃引波長
λref 設定波長
【技術分野】
【0001】
本発明は、OCT(Optical Coherence Tomography)計測により光断層画像を生成する断層画像処理方法、装置およびプログラムならびにこれを用いた断層画像化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織の光断層画像を取得する際に、OCT計測を利用した光断層画像取得装置が用いられることがある。眼底や前眼部、皮膚をはじめ、ファイバプローブを用いる動脈血管壁の観察、内視鏡の鉗子チャンネルからファイバプローブを挿入する消化器管の観察など、様々な部位に応用されている。この光断層画像取得装置では、光源から射出された低コヒーレント光を測定光と参照光とに分割した後、該測定光が測定対象に照射されたときの測定対象からの反射光、もしくは後方散乱光と参照光とを合波し、該反射光と参照光との干渉光の強度に基づいて光断層画像を取得する。
【0003】
上記のOCT計測には、大きくわけてTD−OCT(Time domain OCT)計測とFD(Fourier Domain)−OCT計測の2種類がある。特許文献1に示すTD−OCT(Time domain OCT)計測は、参照光の光路長を変更しながら干渉光強度を測定することにより、測定対象の深さ方向の位置(以下、深さ位置という)に対応した反射光強度分布を取得する方法である。
【0004】
一方、FD(Fourier Domain)−OCT計測は、参照光と信号光の光路長は変えることなく、光のスペクトル成分毎に干渉光強度を測定し、ここで得られたスペクトル干渉強度信号を計算機にてフーリエ変換に代表される周波数解析を行うことで、深さ位置という)に対応した反射光強度分布を取得する方法である。TD―OCTに存在する機械的な走査が不要となることで、高速な測定が可能となる手法として、近年注目されている。
【0005】
FD(Fourier Domain)−OCT計測を行う装置構成で代表的な物としては、SD−OCT(Spectral Domain OCT)装置とSS−OCT(Swept source OCT)の2種類が挙げられる。このうち、SS−OCT装置は、光源ユニットから波長を時間的に掃引させたレーザ光を射出させ、反射光と参照光とを各波長において干渉させ、光周波数の時間変化に対応した信号の時間波形を測定し、これにより得られたスペクトル干渉強度信号を計算機でフーリエ変換することにより光断層画像を構成するようにしたものである(特許文献2、非特許文献1参照)。
【0006】
上述したSS−OCT計測においては、たとえば波長を1周期分だけ掃引したときの干渉信号ISを取得し、この干渉信号ISをスペクトル解析することにより断層情報が取得される。このため、波長が1周期分掃引されたことを示す周期クロック信号を発生させ、周期クロック信号をトリガーとして干渉信号ISのA/D変換のサンプリングが開始されるようにしている。この周期クロック信号は、たとえば光源ユニットから射出された光の強度が所定の値以上になったときに出力されるようになっている。
【特許文献1】特開2006−132996号公報
【特許文献2】特開2005−283155号公報
【非特許文献1】Yoshiaki Yasuno, Violeta Dimitrova Madjarova and Shuichi Makita, "Three-dimensional and high-speed swept-source optical coherence tomography for in vivo investigation of human anterior eye segments," OPTICS EXPRESS 2005 Vol. 13, No. 26.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述した光源ユニットは動作環境等によって光強度が各周期毎に異なることがあり、この場合周期クロック信号の周期にずれが発生することになる。上述したように光源ユニットは時間経過とともに異なる波長の光を射出するものであるため、周期クロック信号の周期がずれるとサンプリングする干渉信号の波長帯域がずれることになる。SS−OCT計測により得られた干渉信号をフーリエ変換処理等のスペクトル解析法により解析するときには、予め設定した波長帯域の干渉信号であることを前提として処理を行うものである。このため、各周期毎に得られる波長帯域がずれてしまうと、断層画像の分解能の低下を招いてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、断層画像の分解能低下を抑えることができる光断層画像化システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光断層画像化システムは、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットから射出される光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層情報を取得し断層画像を生成する断層画像処理手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
ここで、反射光とは、測定対象からの反射光および後方散乱光を意味する。
【0011】
また、設定波長は、光の波長が掃引される波長帯域内に設定されているものであればよいが、掃引開始直後の波長以外であることが好ましい。
【0012】
なお、周期クロック生成手段が、光源ユニットから射出される光の波長が掃引される波長帯域内において、所定の設定波長の光を検出したときに周期クロック信号を出力するものであればその構成を問わず、たとえば光源ユニットから射出される光のうち、設定波長の光のみを透過し設定波長以外の光を遮光する光学フィルタと、該光学フィルタを透過した光を検出して周期クロック信号を出力する光検出部とを備えたものであってもよい。
【0013】
本発明の光断層画像化システムは、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットにおいて光の波長が掃引される毎にそれぞれ周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備え、周期クロック生成手段が、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、光学フィルタを透過した光の光量を検出する光検出部と、光源ユニットから射出された光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、強度クロック発生手段から強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、光検出部において光学フィルタを透過した光の光量が検出されたときに周期クロック信号を出力する信号発生手段とを備えたものであることを特徴とするものである。
【0014】
ここで、強度クロック発生手段は、強度クロック信号を出力するものであればその構成を問わず、光源ユニットに内蔵されたものであってもよいし、光源ユニットとは別に設けられたものであっても良い。
【0015】
また、光透過周期は、光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号の出力タイミングのずれ量よりも大きくなるように設定されているものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光断層画像化システムによれば、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットから射出される光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備えたことにより、光源ユニットから射出された光が設定波長になったときに干渉信号の取得が開始されるため、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号と光源ユニットから射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0017】
本発明の光断層画像化システムによれば、周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、光分割手段により分割された測定光が測定対象において反射したときの反射光と参照光とを合波する合波手段と、合波手段により合波された反射光と参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、干渉光検出手段により検出された干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、光源ユニットにおいて光の波長が掃引される毎にそれぞれ周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、干渉信号取得手段により取得された干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段とを備え、周期クロック生成手段が、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、光学フィルタを透過した光の光量を検出する光検出部と、光源ユニットから射出された光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、光源ユニットから強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、光検出部において光学フィルタを透過した光の光量が検出されたときに周期クロック信号を出力する信号発生手段とを備えたことにより、強度クロック信号の出力タイミングが周期毎に異なってしまった場合であっても、信号発生手段が光学フィルタからの出力を用いて時間的なずれを修正し、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号と光源ユニットから射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0018】
なお、光透過周期が光源ユニットから射出される光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号の出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号の出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、確実に信号発生手段が光学フィルタからの出力を用いて時間的なずれを修正し、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の光断層画像化システムの実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の光断層画像化システムの好ましい実施の形態を示す概略図である。光断層画像化システム1は、体腔内に光プローブ10を挿入することにより、体腔内の生体組織や細胞等の測定対象Sの断層画像をSS−OCT(Swept source OCT)計測により取得するものである。この光断層画像化システム1は、光プローブ10、干渉計20、光源ユニット30、周期クロック生成手段80、A/D変換ユニット90、断層画像処理手段100、表示装置110等を有している。
【0020】
図2は図1の光プローブ10の先端部分の一例を示す模式図である。図2の光プローブ10は、たとえば鉗子口を介して体腔内に挿入されるものであって、プローブ外筒(シース)11、光ファイバ12、光学レンズ15等を有している。プローブ外筒11は、プローブ外筒(シース)11は、可撓性を有する筒状の部材からなっており、測定光L1および反射光L3が透過する材料からなっている。なお、プローブ外筒11は先端がキャップ11aにより閉塞された構造を有している。
【0021】
光ファイバ12は、干渉計20から射出された測定光L1を測定対象Sまで導波するとともに、測定光L1が測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3を干渉計20まで導波するものであって、プローブ外筒11内に収容されている。また光ファイバ12の外周側にはバネ13が固定されており、光ファイバ12およびバネ13は回転駆動ユニット10Aに機械的に接続されている。そして、光ファイバ12およびバネ13は回転駆動ユニット10Aによりプローブ外筒11に対し矢印R1方向に回転するようになっている。なお、回転駆動ユニット10Aは回転エンコーダを具備しており(図示せず)、回転制御手段10Bは回転エンコーダからの信号に基づいて測定光L1の照射位置を認識するようになっている。
【0022】
光学レンズ15は、光ファイバ12から射出した測定光L1を測定対象Sに対し集光するために略球状の形状を有しており、測定対象Sからの反射光L3を集光し光ファイバ12に入射する。ここで、光学レンズ15の焦点距離は、たとえば光ファイバ12の光軸LPからプローブ外筒の径方向に向かって距離D=3mmの位置に形成されている。光学レンズ15は光ファイバ12の光出射端部に固定部材14を用いて固定されており、光ファイバ12が矢印R1方向に回転したとき、光学レンズ15も一体的に矢印R1方向に回転する。よって、光プローブ10は、測定対象Sに対し光学レンズ15から射出される測定光L1を矢印R1方向(プローブ外筒11の円周方向)に対し走査しながら照射することになる。
【0023】
図1の光ファイバ12および光学レンズ15を回転させる回転駆動ユニット10Aの動作は回転制御手段10Bにより制御されており、回転制御手段10Bはたとえば約20Hzでプローブ外筒11に対し矢印R1方向に回転するように制御する。そして、回転制御手段10Bは回転駆動ユニット10Aの回転エンコーダからの信号に基づき光ファイバ12が1回転したと判断したとき、回転クロック信号RCLKを断層画像処理手段100に出力するようになっている。
【0024】
図3は光源ユニット30の一例を示す模式図である。光源ユニット30は、波長を一定の周期T0で掃引させながらレーザ光Lを射出するものである。具体的には、光源ユニット30は、半導体光増幅器(半導体利得媒質)311と光ファイバFB30とを有しており、光ファイバFB30が半導体光増幅器311の両端に接続された構造を有している。半導体光増幅器311は駆動電流の注入により微弱な放出光を光ファイバFB30の一端側に射出するとともに、光ファイバFB30の他端側から入射された光を増幅する機能を有している。そして、半導体光増幅器311に駆動電流が供給されたとき、半導体光増幅器311および光ファイバFB30により形成される光共振器によりレーザ光Lが光ファイバFB30へ射出されるようになっている。
【0025】
さらに、光ファイバFB30には光分岐器312が結合されており、光ファイバFB30内を導波する光の一部が光分岐器312から光ファイバFB31側へ射出されるようになっている。光ファイバFB31から射出した光はコリメータレンズ313、回折格子素子314、光学系315を介して回転多面鏡(ポリゴンミラー)316において反射される。そして反射された光は光学系315、回折格子素子314、コリメータレンズ313を介して再び光ファイバFB31に入射される。
【0026】
ここで、この回転多面鏡316は矢印R30方向に回転するものであって、各反射面の角度が光学系315の光軸に対して変化するようになっている。これにより、回折格子素子314において分光された光のうち、特定の波長帯域の光だけが再び光ファイバFB31に戻るようになる。この光ファイバFB31に戻る光の波長は光学系315の光軸と反射面との角度によって決まる。そして光ファイバFB31に入射した特定の波長の光が光分岐器312から光ファイバFB30に入射され、特定の波長のレーザ光Lが光ファイバFB1a側に射出されるようになっている。
【0027】
したがって、回転多面鏡316が矢印R30方向に等速で回転したとき、再び光ファイバFB1aに入射される光の波長λは、時間の経過に伴って周期的に変化することになる。具体的には、図4に示すように、光源ユニット30は最小掃引波長λminから最大掃引波長λmaxまで波長を一定の周期T0(たとえば約50μsec)で掃引した光Lを射出する。そして、光源ユニット30から射出された光Lは、光ファイバカプラ等からなる光分岐手段2により、光ファイバFB1b、FB1cにそれぞれ分岐され、干渉計20および周期クロック生成手段80にそれぞれ入射される。
【0028】
なお、光源ユニット30としてポリゴンミラーを回転させることにより波長を掃引させる場合について例示しているが、たとえばASE光源ユニット等のような公知の技術により周期的に波長を掃引させながら射出するようにしても良い。
【0029】
図5は図1の光断層画像化システム1における干渉計20の一例を示す模式図である。干渉計20はマッハツェンダー型の干渉計であって、筐体20Aに各種光学部品を収容することにより構成されている。干渉計20は、光源ユニット30から射出された光Lを測定光L1と参照光L2とに分割する光分割手段3と、光分割手段3により分割された測定光L1が測定対象Sに照射されたときの測定対象Sからの反射光L3と参照光L2とを合波する合波手段4と、合波手段4により合波された反射光L3と参照光L2との干渉光L4を検出する干渉光検出手段70とを備えている。なお、干渉計20と光源ユニット30とはAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されている。APCコネクタを用いることにより光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止することができる。
【0030】
光分割手段3は、たとえば2×2の光ファイバカプラからなっており、光源ユニット30から光ファイバFB1cを導波した光Lをそれぞれ測定光L1と参照光L2とに分割する。このとき、光分割手段3は、たとえば測定光L1:参照光L2=99:1の割合で分割する。光分割手段3は、2つの光ファイバFB2、FB3にそれぞれ光学的に接続されており、分割された測定光L1は光ファイバFB2側に入射され、参照光L2は光ファイバFB3側に入射されるようになっている。
【0031】
光ファイバFB2には光サーキュレータ21が接続されており、光サーキュレータ21には光ファイバFB4、FB5がそれぞれ接続されている。光ファイバFB4には測定光L1を測定対象Sまで導波する光プローブ10が接続されており、光プローブ10から射出した測定光L1は光ファイバFB2から光プローブ10へ導波され、測定対象Sに照射される。また、測定対象Sを反射した反射光L3は光ファイバFB4を介して光サーキュレータ21に入射され、光サーキュレータ21から光ファイバFB5側に射出されるようになっている。なお、光ファイバFB4と光プローブ10とはAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されており、光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止するようになっている。
【0032】
一方、光ファイバFB3には光サーキュレータ22が接続されており、光サーキュレータ22には光ファイバFB6、FB7がそれぞれ接続されている。光ファイバFB6には、断層画像の取得領域を調整するために参照光L2の光路長を変更する光路長調整手段40が接続されている。光路長調整手段40は、光路長を粗調整する光路長粗調整用光ファイバ40Aと、光路長を微調整する光路長微調整手段40Bとを有している。
【0033】
光路長粗調整用光ファイバ40Aは、一端側が光ファイバFB2に対し着脱可能に接続されており、他端側が光路長微調整手段40Bに着脱可能に接続されている。光路長粗調整用光ファイバ40Aは予め異なる長さのものが複数用意されており、必要に応じて適切な長さの光路長粗調整用光ファイバ40Aが適宜取り付けられる。なお、この光路長粗調整用光ファイバ40Aは、光ファイバFB6および光路長微調整手段40BとAPC(Angled physical contact)コネクタを用いて接続されており、光コネクタ(光ファイバ)の接続端面からの反射戻り光を極限にまで低減し、断層画像Pの画質劣化を防止するようになっている。
【0034】
光路長微調整手段40Bは、反射ミラー43、光ターミネータ44等を有している。反射ミラー43は、光路長粗調整用光ファイバ40Aから射出された参照光L2を光ターミネータ44側に反射するとともに、光ターミネータ44から反射した参照光L2を再び光路長粗調整用光ファイバ40A側に反射するものである。反射ミラー43はこの反射ミラー43は可動ステージ(図示せず)上に固定されており、ミラー移動手段により参照光L2の光軸方向(矢印A方向)に移動することにより、参照光L2の光路長が変更する。この可動ステージは医師等により、光路長調整操作部46が操作されることにより反射ミラー43を矢印A方向に移動させるようになっている。
【0035】
さらに、光ファイバFB7には偏波コントローラ50が光学的に接続されている。この偏波コントローラ50は参照光L2の偏波方向を回転させる機能を有している。なお偏波コントローラ50としてたとえば特開2001−264246号公報等の公知の技術を用いることができる。偏波コントローラ50は、医師等により偏波調整操作部51が操作されることにより偏波方向を調整するようになっており、たとえば反射光L3と参照光L2とが合波手段4において合波されるときのそれぞれの偏波方向が一致するように偏波調整操作部51を操作することにより、断層画像が鮮明になるように調整することができる。
【0036】
合波手段4は、2×2の光ファイバカプラからなり、光ファイバFB5を導波した反射光L3と光ファイバFB7を導波した参照光L2とを合波するものである。具体的には合波手段4は、光ファイバFB5を導波した反射光L3を2つの光ファイバFB8、FB9に分岐するとともに、光ファイバFB7を導波した参照光L2を2つの光ファイバFB8、FB9に分岐する。したがって、各光ファイバFB8、FB9においてそれぞれ反射光L3と参照光L2とが合波され、光ファイバFB8内を第1干渉光L4aが導波し、光ファイバFB9内を第2干渉光L4bが導波することになる。つまり、合波手段4は、反射光L3と参照光L2との干渉光L4を2つに干渉光L4a、L4bに分岐する光分岐手段5としても機能している。
【0037】
干渉光検出手段70は、第1干渉光L4aを検出する第1光検出部71と、第2干渉光L4bを検出する第2光検出部72と、第1光検出部71により検出された第1干渉光L4aと第2光検出部72により検出された第2干渉光L4bとの差分を干渉信号ISとして出力する差分アンプ73とを有している。各光検出部71、72は、たとえばフォトダイオード等からなっており、可変光アッテネータ60A、60Bを介して入射される各干渉光L4a、L4bを光電変換し差分アンプ73に入力するものである。差分アンプ73は各干渉光L4a、L4bの差分を増幅し干渉信号ISとして出力するものである。このように、各干渉光L4a、L4bを差分アンプ73によりバランス検波することにより、干渉信号ISを増幅して出力しながら干渉信号IS以外の同相光雑音が除去することができ、断層画像Pの画質の向上を図ることができる。
【0038】
光分岐手段5(合波手段4)と干渉光検出手段70との間には可変光アッテネータ60A、60Bが設けられている。この可変光アッテネータ60A、60Bは第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4bのそれぞれの光量を各波長帯域毎に異なる減衰率で減衰し、干渉光検出手段70側に射出するものである。なお、第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4b毎にそれぞれ可変光アッテネータ60A、60Bが設けられている。
【0039】
図6は可変光アッテネータ60Aの一例を示す模式図である。可変光アッテネータ60Aは、円盤状の減光フィルタ(NDフィルタ)62と、減光フィルタ62を回転させる駆動手段64とを有している。減光フィルタ62は、図7に示すように、たとえば円周方向(矢印R10方向)に沿って黒色の濃さの度合いが異なるように形成されており、光の減衰率(透過率)が異なっている。この減光フィルタ62のスポット位置62aに第1干渉光L4aが入射され、第1干渉光L4aはスポット位置62aの減衰率(透過率)に従い減衰し、光ファイバFB12に入射される。よって減光フィルタ62が駆動手段64により矢印R10方向に回転したとき、干渉光L4aが透過する位置の減衰率が時間変化することになる。なお、可変光アッテネータ60Bも図6と同一の構成を有している。そして、可変光アッテネータ60A、60Bによる減衰率は、各波長帯域において各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光の強度レベルが略均等になるように設定されている。
【0040】
よって、可変光アッテネータ60A、60Bに時間変化とともに異なる波長の干渉光L4a、L4bが入射されたとき、可変光アッテネータ60A、60Bは干渉光L4a、L4bを、波長変化に合わせて減衰率を変えて干渉光L4a、L4bをそれぞれ減衰する。これにより、各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光強度検出信号レベルが全波長帯域において略均等になり、干渉光検出手段70においてバランス検波するときのS/N比の向上を図ることができる。
【0041】
なお、図5において各可変光アッテネータ60A、60Bを設けている場合について例示しているが、各可変光アッテネータ60A、60Bを設けなくても各光検出部71、72における光強度バランスが全波長帯域において略均等である場合には、各可変光アッテネータ60A、60Bは不要である。
【0042】
また、図6および図7において各波長帯域毎にそれぞれ光分岐手段5による分岐比が異なるものであって、各可変光アッテネータ60A、60Bは各波長帯域毎に減衰率を可変とする場合について例示しているが、各光検出部71、72において検出される各干渉光L4a、L4bの光強度レベルの特性が全波長帯域において一定である場合、減衰率を可変にする必要はなく、その特性に合わせた一定の減衰率のアッテネータを用いればよい。
【0043】
また干渉光検出手段70から出力された干渉信号ISは、増幅器74により増幅された後、信号帯域フィルタ75を介してA/D変換ユニット90に出力される。この信号帯域フィルタ75を設けることにより、干渉信号ISからノイズを除去し、S/N比の向上を図ることができる。
【0044】
図8は図1に示すA/D変換ユニット90の一例を示すブロック図である。A/D変換ユニット90は、干渉光検出手段70により検出された干渉信号ISをデジタル信号に変換し出力するものであって、A/D変換器91、サンプリングクロック発生回路92、制御コントローラ93、干渉信号記憶手段94を有している。A/D変換器91は、干渉計20からアナログ信号として出力される干渉信号ISをデジタル信号にするものである。A/D変換器91は、サンプリングクロック発生回路92から出力されるサンプリングクロックに基づいて干渉信号ISのA/D変換を行うものである。干渉信号記憶手段94はたとえばRAM(ランダムアクセスメモリ)等からなり、デジタル信号化された干渉信号ISを一時的に記憶するものである。このA/D変換器91、サンプリングクロック発生回路92、干渉信号記憶手段94の動作は制御コントローラ93により制御されている。
【0045】
ここで、干渉信号記憶手段94により記憶された干渉信号ISは、周期クロック信号TCLKが出力されたときに、この周期クロック信号TCLKが出力されたタイミングを基準として1周期分だけ干渉信号取得手段101により取得されるようになっている。具体的には、たとえば干渉信号取得手段101は、図10(B)に示すように、周期クロック信号TCLKの出力タイミングの前後の波長帯域DTの干渉信号ISを取得する。なお、周期クロック信号TCLKの出力タイミングは掃引される波長帯域内であれば図10(B)の場合に限らず、波長の掃引開始直後の波長に設定して1周期分の干渉信号ISを取得するようにしてもよいし、あるいは波長の掃引終了直前に設定して1周期分の干渉信号ISを取得するようにしてもよい。
【0046】
図9は上述した周期クロック信号TCLKを生成する周期クロック生成手段80の一例を示す模式図である。周期クロック生成手段80は、光源ユニット30から射出される光Lの波長が1周期掃引される毎に1つの周期クロック信号TCLKを出力するものであって、光学レンズ81、83、光学フィルタ82、光検出部84を備えている。そして、光ファイバFB1cから射出された光Lが光学レンズ81を介して光学フィルタ82に入射される。光学フィルタ82を透過した光Lが光学レンズ83を介して光検出部84により検出され、周期クロック信号TCLKをA/D変換ユニット90に出力するようになっている。
【0047】
光学フィルタ82はたとえばエタロン等からなり、図10(A)に示すように複数の透過波長を有している。光学フィルタ82は、複数の透過波長のうち波長帯域λmin〜λmax内においては一の透過波長が設定されるような光透過周期FSR(フリースペクトルレンジ)を有している。よって、光源ユニット30から射出される光の波長が掃引される波長帯域λmin〜λmax内において設定された設定波長λrefの光のみを透過し、それ以外の波長帯域の光を遮光することになる。したがって、図10(B)に示すように、光源ユニット30から周期的に波長が掃引された光Lが射出され、光Lの波長が設定波長λrefになったとき、周期クロック信号TCLKが出力されることになる。なお、図10(B)に示すように、光学フィルタ(エタロン)82の特性によっては、透過帯幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)が広くなってしまい、周期クロック信号TCLKの発生タイミングが透過帯幅内の範囲でずれてしまう場合がある。この場合には、後述する干渉信号取得手段101がたとえば透過帯幅の中間等を周期クロック信号TCLKの発生タイミングとすれば、正確であり好ましい。
【0048】
図11は本発明の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の別の実施形態を示す模式図である。なお、図11の周期クロック生成手段180において図9の周期クロック生成手段80と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。図11の周期クロック生成手段180が図9の周期クロック生成手段80と異なる点は、図9の周期クロック生成手段80が光Lの波長を用いて周期クロック信号TCLKを出力しているのに対し、図11の周期クロック生成手段180は光Lの光強度を用いて周期クロック信号TCLKを出力するものである。さらに、光Lの強度は掃引開始直後では出力変動が大きいため、周期クロック生成手段180は光強度出力が安定している期間に周期クロック信号TCLKを出力させる構成を有している。
【0049】
なお、図9の周期クロック生成手段80は簡単な構成で周期クロック生成手段80を構成できるのに対し、図11の周期クロック生成手段180は容易に製作可能な光学フィルタ182により周期クロック生成手段180を構成することができる。
【0050】
具体的には、周期クロック生成手段180は、光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタ182と、光学フィルタ182を透過した光の光量を検出する光検出部84と、光源ユニット30から射出された光の光量が予め設定された光強度Prefを超えたとき強度クロック信号LCLKを出力する強度クロック発生手段30aと、強度クロック発生手段30aから強度クロック信号が出力されてから設定時間Tref経過後に、光検出部84において光学フィルタ182を透過した光が設定光量Lrefを超えたとき周期クロック信号TCLKを出力する信号発生手段185とを備えている。なお、図11中、光源ユニット30から射出された光Lは、光ファイバFB1、光分岐手段2、FB1c光ファイバFB1cを介して周期クロック生成手段180に入射されることになる(図5参照)。
【0051】
ここで、周期クロック生成手段180においては、図12(A)に示すように、光Lの波長が掃引される波長帯域内において所定の光透過周期FSR(フリースペクトルレンジ)で光を透過するエタロンからなる光学フィルタ182が用いられている。そして、光検出部84は光学フィルタ182を透過した光の光量を検出し信号発生手段185に出力する。なお、この光透過周期FSRは、後述する光源ユニット30において発生するであろう強度クロック信号LCLKの時間的なずれΔtを予め調べておき、この時間的なずれ量Δtよりも大きくなるように設定されている。
【0052】
一方、光源ユニット30が波長を掃引しながら光Lを射出するとき、光Lの光強度Pは図12(B)のように時間変化とともに変化する。強度クロック発生手段30aは各周期において光Lの射出を開始してから最初に設定光強度Prefになったときに、図12(C)に示すような強度クロック信号LCLKを信号発生手段185出力するようになっている。なお、強度クロック発生手段30aは、光源ユニット30に内蔵されている場合について例示しているが、光源ユニット30とは別に設けるようにし、光源ユニット30から射出される光Lの強度を用いて強度クロックLCLKを出力するようにしても良い。
【0053】
信号発生手段185は、強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Trefの経過後に、光検出部84が設定レベル(設定光量)Lref以上の光強度レベルを検出したとき、所定の設定波長λrefの光を検出したものとして周期クロック信号TCLKを出力する。この設定時間Trefおよび設定レベルLrefは予めデータテーブル185aに記憶されている。具体的には、信号発生手段185は、図12(C)に示すような強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Tref経過後の光検出部84からの出力を監視する。そして、光検出部84からの出力が設定レベルLrefになったとき、図12(D)に示すような周期クロック信号TCLKを出力する。なお、この設定レベルLrefは、光検出部84における光源ユニット30の出力変動ノイズや光検出部84における電気ノイズ等のノイズ成分も検出されてしまうことを考慮し、S/N比が十分大きい値に設定される。
【0054】
図9から図12に示すように、実際に光源ユニット30から射出される光Lを用いて周期クロック信号TCLKを生成し出力することにより、光源ユニット30から射出される光Lが波長の掃引開始から所定の光強度になるまでの時間が各周期毎に変わってしまう場合であっても、設定波長λrefから所定の期間T(図4参照)の波長帯域の干渉信号ISを取得することができる。よって、断層画像処理手段100において想定されている波長帯域の干渉信号ISを取得するタイミングで周期クロック信号TCLKを出力することができ、分解能の劣化を抑えることができる。
【0055】
すなわち、従来のように図12(C)に示す光Lが設定光強度Prefになったときに出力される強度クロック信号LCLKを周期クロック信号TCLKとして用いた場合、光源ユニット30の動作環境等により各周期毎に設定光強度PrefになるタイミングがΔtだけずれてしまう場合がある。このとき、波長の掃引を開始してから予定の時間よりも時間Δtだけずれたときに射出された波長λref±Δλのタイミングで干渉信号記憶手段94からの干渉信号ISの取得が開始されることになる。このように、周期クロック信号TCLKが出力されるタイミングが各周期毎に異なってしまい、干渉光記憶手段94から取得する干渉信号ISの波長帯域が異なってしまう。その結果、断層画像処理手段100においてスペクトル解析する波長帯域とのずれが生じ、結果として断層画像Pの分解能の低下を招いてしまう。
【0056】
一方、図9および図10に示すように、設定波長λrefになったときに周期クロック信号TCLKが出力されるとき、設定光強度Prefになるタイミングにずれが生じた場合であっても、各周期において設定波長λrefから所定の波長までの干渉信号ISが取得されることになる。したがって、断層画像処理手段100におけてスペクトル解析する波長帯域とのずれをなくし、断層画像Pの分解能の低下を防止することができる。
【0057】
あるいは図11および図12(D)に示すように、光学フィルタ182からの出力を用いて設定光強度Prefになるタイミングにずれを吸収し、信号発生手段185が一定のタイミングで周期クロック信号TCLKを出力する場合であっても、断層画像処理手段100におけてスペクトル解析する波長帯域とのずれをなくし、断層画像Pの分解能の低下を防止することができる。特に、信号発生手段185が、所定の時間Trefの経過後の光検出部84の出力を用いて周期クロック信号TCLKを発生させることにより、光の出力開始時の出力変動が大きいような光源ユニット30を用いる場合に、出力変動が大きい時間領域以外から周期クロック信号TCLKの発生タイミングを判断することができるため、精度良く周期クロック信号TCLKを出力させることができる。
【0058】
また、光検出部84から設定レベルLref以上の出力が得られたときに周期クロック信号TCLKを出力することにより、光検出部84からの出力にノイズ成分が含まれている場合であっても、ノイズにより周期クロック信号TCLKの出力タイミングがずれるのを防止することができる。
【0059】
さらに、光透過周期FSRが光源ユニット30の光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号LCLKの出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号LCLKの出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、その影響を受けずに断層画像処理手段100において想定されている波長帯域の干渉信号ISが確実に取得されるタイミングで周期クロック信号TCLKを出力することができる。
【0060】
図13は断層画像処理手段100の一例を示すブロック図である。なお、図3のような断層画像処理手段100の構成は、補助記憶装置に読み込まれた断層画像処理プログラムをコンピュータ(たとえばパーソナルコンピュータ等)上で実行することにより実現される。断層画像処理手段100は、干渉信号取得手段101、干渉信号変換手段102、干渉信号解析手段103、断層画像生成手段105等を有している。
【0061】
干渉信号取得手段101は、周期クロック生成手段80から出力される周期クロック信号TCLKに基づいて、干渉光検出手段70により検出された1周期分の干渉信号ISを干渉信号記憶手段94から取得するものである。具体的には、たとえば干渉信号取得手段101は、図10(B)に示すような、周期クロック信号TCLKの出力タイミングの前後の波長帯域DTの干渉信号ISを取得する。なお、干渉信号取得手段101は周期クロック信号TCLKの出力タイミングを基準として1周期分の干渉信号ISを取得するものであればよく、周期クロック信号TCLKの出力タイミングは掃引される波長帯域内であれば図10(B)の場合に限らず、波長の掃引開始直後の波長に設定し、あるいは波長の掃引終了直前に設定する等してもよい。
【0062】
干渉信号変換手段102は、図14に示すようなA/D変換ユニット90において時間経過とともに取得される干渉信号ISを、図15に示すような波数k(=2π/λ)軸において等間隔になるように再配列する機能を有している。具体的には、干渉信号変換手段102は、光源ユニット30の時間−波長掃引特性データテーブルもしくは関数を予め有しており、この時間−波長掃引特性データテーブル等を用いて波数k軸において等間隔になるように干渉信号ISを再配列する。これにより、干渉信号ISから断層情報を算出するときに、フーリエ変換処理、最大エントロピー法による処理等の周波数空間において等間隔であることを前提とするスペクトル解析法により精度の高い断層情報を得ることができる。なお、この信号変換手法の詳細はUS5956355号明細書に開示されている。
【0063】
ここで、干渉信号変換手段102が図12(A)に示すような光学フィルタ182からの出力を取得し、時間−波長掃引特性データテーブルもしくは関数と光学フィルタ182からの出力とに基づいて、信号変換を行うことも考えられる。しかし、光学フィルタ182からの出力を処理する分、信号変換処理に時間が掛かってしまう。一方、干渉信号取得手段101により予め設定されている波長帯域の干渉信号ISを取得し、干渉信号変換手段102により時間−波長掃引特性データテーブル等を用いて変換処理を行うことにより、信号変換処理の効率化を図ることができる。
【0064】
干渉信号解析手段103は、干渉信号変換手段102により信号変換された干渉信号ISをたとえばフーリエ変換処理、最大エントロピー法(MEM)、Yule−Walker法等の公知のスペクトル解析技術を用いて解析し、断層情報r(z)を取得するものである。
【0065】
断層画像生成手段105は、干渉信号解析手段103により取得された1周期分(1ライン分)の断層情報r(z)を光プローブ10のラジアル方向(矢印R1方向)について取得し、図16に示すような1枚の断層画像Pを生成するものである。ここで、断層画像生成手段105は、順次取得される1ライン分の断層情報r(z)を断層情報蓄積手段105aに記憶しておき、図1の回転制御手段10Bから回転クロック信号RCLKが出力されたとき、図16に示すような記憶していたnライン分の断層情報r(z)を用いて断層画像Pを生成する。たとえば、光源ユニット30から周期クロックTCLKが20kHzであって、光プローブ10が20Hzで測定光L1を矢印R1方向に走査するものであるとき、断層画像生成手段105は、n=1024ライン分の断層情報r(z)を用いて1枚の断層画像Pを生成する。
【0066】
なお、画質を上げるために、複数枚の断層画像を取得し取得して平均化する方法を用いても良い。すなわち、光プローブ10が測定対象Sの同一部位に対し複数回測定光L1を走査しながら照射することにより、断層画像生成手段105は同一部位から複数の断層画像を取得する。そして、断層画像生成手段105は、この複数の断層画像を用いて光プローブ10の長さ方向に対する位置xにおける各深さ位置zの断層情報r(x,z)の平均値を算出する。これにより、各断層画像に含まれているノイズ成分が相殺され、画質の良い断層画像を取得することができる。
【0067】
また、断層画像生成手段105は走査方向(矢印R1方向)に対して複数ライン分の断層情報r(z)を用いて断層画像を生成するとき、隣接する複数のラインの断層情報を平均化したものを用いて断層画像を生成するようにしても良い。たとえば断層画像生成手段105は、隣接する3ライン分の断層情報の平均値を断層画像の生成に用いる断層情報として用いる。これにより、各ラインの断層情報に含まれているノイズ成分が相殺され、画質の良い断層画像を生成することができる。
【0068】
図1から図16を参照して光断層画像化システムの動作例について説明する。まず、光源ユニット30から所定の波長帯域内において周期的に掃引された光束が射出される。光Lは光分岐手段2において2分され、干渉計20と周期クロック生成手段80とにそれぞれ入射される。干渉計20の光分割手段3において光Lは測定光L1と参照光L2とに光分割され、測定光L1は光ファイバFB2側に射出され、参照光L2は光ファイバFB3側に射出される。
【0069】
測定光L1は光サーキュレータ21、光ファイバFB4および光プローブ10を導波し測定対象Sに照射される。そして、測定対象Sにおいて反射した反射光L3および後方散乱した光が再び光プローブ10に入射される。この反射光L3は光プローブ10、光サーキュレータ21および光ファイバFB5を介して合波手段4に入射される。
【0070】
一方、参照光L2は光ファイバFB3、光サーキュレータ22、光ファイバFB6を介して光路長調整手段40に入射される。そして、光路長調整手段40により光路長が調整された参照光L2が再び光ファイバFB6、光サーキュレータ22、偏波コントローラ50、光ファイバFB7を導波し合波手段4に入射される。
【0071】
合波手段4において、反射光L3と参照光L2とが合波されるとともに、合波されたときの干渉光L4が合波手段4(光分岐手段5)において分岐され、2つの干渉光L4a、4bが光ファイバFB8、FB9にそれぞれ射出される。そして、各光ファイバFB8、FB9を導波した各干渉光L4a、L4bが可変光アッテネータ60A、60Bにより減衰され、干渉光検出手段70においてバランス検波される。
【0072】
ここで、干渉光検出手段70におけるバランス検波の前に、分岐された第1干渉光L4aおよび第2干渉光L4bを各干渉光L4a、L4bの全波長帯域において略均等になるように、波長帯域毎に異なる減衰率で減衰する可変光アッテネータ60A、60Bを設けることにより、干渉光検出手段70でのバランス検波により非干渉成分を確実に除去してS/N比の向上を図ることができる。
【0073】
干渉光検出手段70によりバランス検波により検出された干渉光L4は干渉信号ISとして出力され、増幅器74および信号帯域フィルタ75を経てA/D変換ユニット90に出力される。その後、干渉信号ISは、A/D変換ユニット90においてA/D変換され、干渉信号記憶手段94に格納される。
【0074】
光源ユニット30から光分岐手段2を介して周期クロック生成手段80に入射された光Lの波長が設定波長λrefであるとき(図9、図10参照)、光学フィルタ82を通過した光Lが光学レンズ83を介して光検出部84に検出される。すると、周期クロック生成手段80から干渉信号取得手段101に対し周期クロック信号TCLKが出力され、干渉信号記憶手段94に記憶された干渉信号ISのうち、1周期分の干渉信号ISが取得される。
【0075】
断層画像処理手段100において、干渉信号変換手段102により1ライン分の干渉信号ISに波数kについて等間隔になるように信号変換処理が施される。その後、干渉信号解析手段103により、干渉信号ISがスペクトル解析されることにより、干渉信号ISからそれぞれ断層情報(反射率)が断層情報r(z)として取得される。断層画像生成手段105において、取得した断層情報r(z)が測定光L1の走査方向(矢印R1方向)についてnライン分だけ蓄積される。そして、回転クロック信号RCLKが検出したとき、蓄積した複数の断層情報r(z)を用いて1枚の断層画像Pが生成される。その後、画質補正手段106において、生成した断層画像Pについて画質補正が行われ、画質補正された断層画像Pが図1の表示装置110に表示される。
【0076】
上記実施の形態によれば、光源ユニット10から射出される光Lのうち、所定の設定波長λrefの光の光量を検出したときに周期クロック信号TCLKを出力する周期クロック生成手段80と、周期クロック生成手段80から周期クロック信号TCLKが出力されたとき、干渉光検出手段70により検出された干渉信号ISの記憶を開始する干渉信号記憶手段94と、干渉信号記憶手段94に記憶された干渉信号ISから断層画像Pを生成する断層画像処理手段100とを備えたことにより、光源ユニット10から射出された光Lが設定波長λrefになったときに設定波長λrefの光に基づく干渉信号ISの記憶が開始されるため、各周期毎に異なる波長帯域の干渉信号ISが取得されるのを防止し、干渉信号ISと光源ユニット30から射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像Pの分解能の低下を抑えることができる。
【0077】
あるいは図11に示すように、周期クロック生成手段180が、光Lの波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期FSRで透過する光学フィルタ182と、光学フィルタ182を透過した光の光量を検出する光検出部84と、光源ユニット30から光の光量が予め設定された光強度を越えたときに強度クロック信号LCLKを出力する強度クロック発生手段30aと、強度クロック信号LCLKが出力されてから設定時間Trefの経過後に、光検出部84において光学フィルタ182を透過した光の光量が設定光量を超えたとき周期クロック信号TCLKを出力する信号発生手段185とを備えたことにより、強度クロック信号LCLKの出力タイミングがある周期においてずれた場合であっても、信号発生手段185が光学フィルタ182からの出力を用いて時間的なずれを修正し、従来のように各周期毎に異なるタイミングで干渉信号が取得されるのを防止し、干渉信号ISと光源ユニット30から射出される光の波長との対応の同期が取れるため、断層画像Pの分解能の低下を抑えることができる。
【0078】
また、光透過周期FSRが光源ユニット30から射出される光の光強度のゆらぎによる強度クロック信号LCLKの出力タイミングのずれよりも大きく設定されているとき、強度クロック信号LCLKの出力タイミングが各周期毎にずれた場合であっても、確実に信号発生手段185が光学フィルタ182からの出力を用いて時間的なずれを修正し、断層画像の分解能の低下を抑えることができる。
【0079】
本発明の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。たとえば、図2の光プローブ10は、円周方向(矢印R1方向)に測定光L1を走査しながら照射する場合について例示しているが、光プローブ10の長手方向に測定光L1を走査しながら照射する者であっても良い。このとき、光ファイバ12および光学レンズ15はプローブ外筒11に対し、光プローブ10の長手方向に移動可能な構造を有している。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の光断層画像化システムの好ましい実施の形態を示す概略構成図
【図2】図1の光断層画像化システムに使用される光プローブの一例を示す模式図
【図3】図1の光断層画像化システムにおける光源ユニットの一例を示す模式図
【図4】図3の光源ユニットから射出される光の波長が掃引される様子を示すグラフ
【図5】図1の光断層画像化システムにおける干渉計の一例を示す模式図
【図6】図5の干渉計における可変光アッテネータの一例を示す模式図
【図7】図6の可変光アッテネータにおける減光フィルタの一例を示す模式図
【図8】図1の光断層画像化システムにおけるA/D変換ユニットの一例を示すブロック図
【図9】図1の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の一例を示す模式図
【図10】図10の周期クロック生成手段により生成される周期クロック信号の一例を示すグラフ
【図11】図1の光断層画像化システムにおける周期クロック生成手段の別の一例を示す模式図
【図12】図11の周期クロック生成手段の動作例を示すグラフ
【図13】図1の断層画像処理手段の一例を示すブロック図
【図14】図13の干渉信号変換手段に入力される干渉信号の一例を示すグラフ
【図15】図13の干渉信号変換手段により信号変換された干渉信号の一例を示すグラフ
【図16】図13の断層画像生成手段により生成された断層画像の一例を示す模式図
【符号の説明】
【0081】
1 光断層画像化システム
2 光分岐手段
3 光分割手段
4 合波手段
10 光プローブ
20 干渉計
30 光源ユニット
70 干渉光検出手段
80 周期クロック生成手段
82 光学フィルタ
84 光検出部
90 A/D変換ユニット
92 サンプリングクロック発生回路
93 制御コントローラ
94 干渉信号記憶手段(RAM)
100 断層画像処理手段
IS 干渉信号
IS1〜IS4 分割干渉信号
L 光
L1 測定光
L2 参照光
L3 反射光
L4 干渉光
P 断層画像
r(z) 断層情報
r1(z)〜r4(z) 中間断層情報
RCLK 回転クロック信号
S 測定対象
SP 周期クロック
T0 周期
TCLK 周期クロック信号
λmin 最小掃引波長
λmax 最大掃引波長
λref 設定波長
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、
該光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
該光分割手段により分割された前記測定光が測定対象において反射したときの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、
前記光源ユニットから射出される前記光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、
前記周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、前記干渉信号記憶手段に記憶されている1周期分の前記干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、
該干渉信号取得手段により取得された前記干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段と
を備えたことを特徴とする光断層画像化システム。
【請求項2】
前記周期クロック生成手段が、前記光源ユニットから射出される前記光の波長が掃引される波長帯域内において前記設定波長の光のみを透過し前記設定波長以外の光を遮光する光学フィルタと、該光学フィルタを透過した前記光の光量を検出して前記周期クロック信号を出力する光検出部とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光断層画像化システム。
【請求項3】
周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、
該光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
該光分割手段により分割された前記測定光が測定対象において反射したときの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、
前記光源ユニットにおいて前記光の波長が掃引される毎に周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、
前記周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに前記干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の前記干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、
該干渉信号取得手段により取得された前記干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段と
を備え、
前記周期クロック生成手段が、
前記光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、
該光学フィルタを透過した前記光の光量を検出する光検出部と、
前記光源ユニットから射出された前記光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、
該強度クロック発生手段から前記強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、前記光検出部において前記光学フィルタを透過した光が設定光量を超えたとき前記周期クロック信号を出力する信号発生手段と
を備えたものであることを特徴とする光断層画像化システム。
【請求項4】
前記光透過周期が、前記光の光強度のゆらぎによる前記強度クロック信号の出力タイミングのずれ量よりも大きくなるように設定されているものであることを特徴とする請求項3記載の光断層画像化システム。
【請求項1】
周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、
該光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
該光分割手段により分割された前記測定光が測定対象において反射したときの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、
前記光源ユニットから射出される前記光のうち、予め設定された設定波長の光の光量を検出したときに周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、
前記周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたとき、前記干渉信号記憶手段に記憶されている1周期分の前記干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、
該干渉信号取得手段により取得された前記干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段と
を備えたことを特徴とする光断層画像化システム。
【請求項2】
前記周期クロック生成手段が、前記光源ユニットから射出される前記光の波長が掃引される波長帯域内において前記設定波長の光のみを透過し前記設定波長以外の光を遮光する光学フィルタと、該光学フィルタを透過した前記光の光量を検出して前記周期クロック信号を出力する光検出部とを備えたものであることを特徴とする請求項1記載の光断層画像化システム。
【請求項3】
周期的に波長を掃引しながら光を射出する光源ユニットと、
該光源ユニットから射出された光を測定光と参照光とに分割する光分割手段と、
該光分割手段により分割された前記測定光が測定対象において反射したときの反射光と前記参照光とを合波する合波手段と、
該合波手段により合波された前記反射光と前記参照光との干渉光を干渉信号として検出する干渉光検出手段と、
該干渉光検出手段により検出された前記干渉信号を記憶する干渉信号記憶手段と、
前記光源ユニットにおいて前記光の波長が掃引される毎に周期クロック信号を出力する周期クロック生成手段と、
前記周期クロック生成手段から周期クロック信号が出力されたときに前記干渉光記憶手段に記憶されている1周期分の前記干渉信号を取得する干渉信号取得手段と、
該干渉信号取得手段により取得された前記干渉信号から断層画像を生成する断層画像処理手段と
を備え、
前記周期クロック生成手段が、
前記光の波長が掃引された波長帯域内の光を予め設定された光透過周期で透過する光学フィルタと、
該光学フィルタを透過した前記光の光量を検出する光検出部と、
前記光源ユニットから射出された前記光の光量が予め設定された光強度を超えたとき強度クロック信号を出力する強度クロック発生手段と、
該強度クロック発生手段から前記強度クロック信号が出力されてから設定時間経過後に、前記光検出部において前記光学フィルタを透過した光が設定光量を超えたとき前記周期クロック信号を出力する信号発生手段と
を備えたものであることを特徴とする光断層画像化システム。
【請求項4】
前記光透過周期が、前記光の光強度のゆらぎによる前記強度クロック信号の出力タイミングのずれ量よりも大きくなるように設定されているものであることを特徴とする請求項3記載の光断層画像化システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2008−145375(P2008−145375A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335567(P2006−335567)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【復代理人】
【識別番号】100134245
【弁理士】
【氏名又は名称】本澤 大樹
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【復代理人】
【識別番号】100134245
【弁理士】
【氏名又は名称】本澤 大樹
【Fターム(参考)】
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