説明

光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置

【課題】蓄積された残留電荷により電圧印加終了時に生じる光変調層の状態への影響を抑制する、光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置の提供。
【解決手段】電極層5,6間に光導電層10、光変調層7が積層挟持されてなる表示素子1の電極層5,6と共に電圧印加回路を形成する電圧印加手段17と、表示素子1に書き込み光を照射する光照射手段18と、電圧印加終了時に、前記電圧印加回路における表示素子1と電圧印加手段17との間の電流について、電極層5,6間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、電圧印加時に比べて大きくなるように制御する抵抗制御手段12と、を含み、電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位に降下させた後に抵抗制御手段12による動作が為される光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
利便性の高い各種リライタブルマーキング技術の研究が為されているが、その1つの方向性として、コレステリック液晶を用いた表示素子は、無電源で表示を保持できるメモリー性を有すること、偏光板を使用しないため明るい表示が得られること、カラーフィルターを用いずにカラー表示が可能なことなどの特長を有することから近年注目を集めている。
【0003】
コレステリック液晶(カイラルネマチック液晶)が示すプレーナ状態は、螺旋軸に平行に入射した光を右旋光と左旋光に分け、螺旋の捩れ方向に一致する円偏光成分をブラッグ反射し、残りの光を透過させる選択反射現象を起こす。反射光の中心波長λおよび反射波長幅Δλは、螺旋ピッチをp、螺旋軸に直交する平面内の平均屈折率をn、複屈折率をΔnとすると、それぞれ、λ=n・p、Δλ=Δn・pで表され、プレーナのコレステリック液晶層による反射光は、螺旋ピッチに依存した鮮やかな色を呈する。
【0004】
正の誘電率異方性を有するコレステリック液晶は、図20(A)に示すように、螺旋軸がセル表面に垂直になり、入射光に対して上記の選択反射現象を起こすプレーナ、図20(B)に示すように、螺旋軸がほぼセル表面に平行になり、入射光を少し前方散乱させながら透過させるフォーカルコニック、および図20(C)に示すように、螺旋構造がほどけて液晶ダイレクタが電界方向を向き、入射光をほぼ完全に透過させるホメオトロピック、の3つの状態を示す。
【0005】
上記の3つの状態のうち、プレーナとフォーカルコニックは、無電界で双安定に存在することができる。したがって、コレステリック液晶の相状態は、液晶層に印加される電界強度に対して一義的に決まらず、プレーナが初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、プレーナ、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化し、フォーカルコニックが初期状態の場合には、電界強度の増加に伴って、フォーカルコニック、ホメオトロピックの順に変化する。
【0006】
一方、液晶層に印加した電界強度を急激にゼロにした場合には、プレーナとフォーカルコニックはそのままの状態を維持し、ホメオトロピックはプレーナに変化する。
したがって、パルス信号を印加した直後のコレステリック液晶層は、図21に示すようなスイッチング挙動を示し、印加されたパルス信号の電圧が、Vfh以上のときには、ホメオトロピックからプレーナに変化した選択反射状態となり、VpfとVfhの間のときには、フォーカルコニックによる透過状態となり、Vpf以下のときには、パルス信号印加前の状態を継続した状態、すなわちプレーナによる選択反射状態またはフォーカルコニックによる透過状態となる。
【0007】
図21中、縦軸は正規化光反射率であり、最大光反射率を100、最小光反射率を0として、光反射率を正規化している。また、プレーナ、フォーカルコニックおよびホメオトロピックの各状態間には、遷移領域が存在するため、正規化光反射率が50%以上の場合を選択反射状態、正規化光反射率が50%未満の場合を透過状態と定義し、プレーナとフォーカルコニックの状態変化のしきい値電圧をVpfとし、フォーカルコニックとホメオトロピックの状態変化のしきい値電圧をVfhとする。
【0008】
コレステリック液晶表示素子は、一対の表示基板間に液晶を連続相として封入する構造のほかに、高分子バインダ中にコレステリック液晶をドロップ状に分散したPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造や、高分子バインダ中にマイクロカプセル化されたコレステリック液晶を分散したPDMLC(Polymer Dispersed Microencapsulated Liquid Crystal)構造にすることができる(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0009】
PDLC構造やPDMLC構造を用いると、液晶の流動性が抑えられるため曲げや圧力に対する画像の乱れが小さくなり、フレキシブルな媒体を実現できる。また、複数のコレステリック液晶層を直接積層してカラー表示を行ったり、光導電層と積層して光信号で画像をアドレスする表示素子とすることもできる。さらに、表示層を厚膜印刷技術を用いて形成することが可能となるため、製造方法が簡略化されて低コストになるという利点もある。
【0010】
従来より、当該技術を利用した表示素子が多数提案されている(例えば、特許文献4参照)。
当該技術による光書き込み型(光アドレス型)表示素子では、このコレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナによる選択反射状態と、(B)フォーカルコニックによる透過状態と、をスイッチングすることによって、無電界でのメモリ性を有する各種色相のモノクロ表示、または無電界でのメモリ性を有するカラー表示を行う。
【0011】
図22に、当該技術による一般的な表示素子に対して、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を模式的に表す模式図を示す。図22に示されるように、当該技術による表示素子は、一対の透明電極間に液晶層である表示層と光導電体層である有機感光層とが(必要に応じて、不図示の遮光層を挟んで)積層され、一対の基板で挟持されてなるものである。両透明電極に所定のバイアス電圧を印加した状態で、有機感光層側の表面を露光装置で像様に露光することで、所望の記録画像を書き込むことができる。
当該技術による表示素子は、表示層と光導電層とを電極層で挟み込んだユニットをRGBの3色積層することでフルカラー画像を形成することもできる。
【0012】
【特許文献1】特公平7−009512号公報
【特許文献2】特開平9−236791号公報
【特許文献3】特許第3178530号明細書
【特許文献4】特開平11−237644号公報
【特許文献5】特開2004−12569号公報
【特許文献6】特開2005−196062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このような光導電層および光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子に電圧印加すると、それぞれの層のインピーダンス比に応じた分圧がそれぞれの層にかかる。光導電層および光変調層は容量性(誘電体的性質)と抵抗性(抵抗的性質)とを併せ持つため、両層のインピーダンスがマッチングしていない場合には、容量分圧から抵抗分圧への過渡変化によって生じる不要な残留電荷が両層の界面に蓄積されてしまう。
【0014】
光書き込み型表示素子では、画像の明暗に応じて光導電層のインピーダンスを変化させるため、画像の明暗によらず光変調層とインピーダンスをマッチングさせることは困難であり、この不要な残留電荷の蓄積を回避できない。
この状態で、書き込み終了時に前記一対の電極を基準電位に揃えて印加電圧を除去すると、両層の境界の残留電荷が逆電位(過渡電位)として現れ、光変調層の状態(液晶層においては配向状態。以下同様)に影響を与える懸念がある。
【0015】
電圧印加時に両層に蓄積された残留電荷によって電圧印加終了時に生じる光変調層の状態への影響を抑制する方法として、特許文献5や特許文献6には、電圧印加の終了直前に電圧印加回路における過渡電位を相殺する補正電位となる(特許文献5にあっては逆極性の)パルス電圧(以下、単に「補正パルス」という場合がある。)を印加する技術が開示されている。しかし、当該補正電位を印加した後に補正パルスの印加を終了させた場合、結局当該補正電位に基づく残留電荷が逆電位として現れ、光変調層の状態に影響を与える懸念を完全には払拭できない。
【0016】
したがって本発明は、光導電層および光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子について、電圧印加時に両層に蓄積された残留電荷によって電圧印加終了時に生じる光変調層の状態への影響を抑制する、光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、以下の<1>〜<18>に示す本発明により達成される。
<1> 少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子の、前記一対の電極層とともに電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射する光照射手段と、
前記電圧印加手段による電圧印加の終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する抵抗制御手段と、
を含み、
前記電圧印加手段が、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させた後に前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御されることを特徴とする光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0018】
<2> さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする<1>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0019】
<3> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放するように制御する手段であることを特徴とする<1>または<2>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0020】
<4> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する手段であることを特徴とする<1>または<2>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0021】
<5> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に配された可変抵抗器であることを特徴とする<1>または<2>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0022】
<6> 前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧であり、
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに配された整流器であることを特徴とする<1>または<2>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0023】
<7> 少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子の前記一対の電極層と電圧印加手段とで電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加しつつ、前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射することにより画像を書き込む書き込み工程と、
書き込み工程終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させる補正電位調整工程と、
次いで前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるようにしつつ電圧印加を終了させる終了工程と、
からなることを特徴とする光書き込み型表示素子の駆動方法。
【0024】
<8> 補正電位調整工程において、さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする<7>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0025】
<9> 終了工程において電圧印加を終了させる際に、前記電圧印加回路を開放するようにすることを特徴とする<7>または<8>に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【0026】
<10> 終了工程において電圧印加を終了させる際に、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるようにすることを特徴とする<7>または<8>に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【0027】
<11> 前記電圧印加回路中に可変抵抗器を配しておき、終了工程において電圧印加を終了させる際に、当該可変抵抗器を高抵抗化することを特徴とする<7>または<8>に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【0028】
<12> 前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに整流器を配しておき、
書き込み工程において前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧とすることを特徴とする<7>または<8>に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【0029】
<13> 少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子と、
前記一対の電極層とともに電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射する光照射手段と、
前記電圧印加手段による電圧印加の終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する抵抗制御手段と、
を含み、
前記電圧印加手段が、前記光照射手段による書き込み光照射とともに電圧を印加するように制御され、かつ、該書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させた後に前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御されることを特徴とする光書き込み型表示装置。
【0030】
<14> さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする<13>に記載の光書き込み型表示装置。
【0031】
<15> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放するように制御する手段であることを特徴とする<13>または<14>に記載の光書き込み型表示装置。
【0032】
<16> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する手段であることを特徴とする<13>または<14>に記載の光書き込み型表示装置。
【0033】
<17> 前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に配された可変抵抗器であることを特徴とする<13>または<14>に記載の光書き込み型表示装置。
【0034】
<18> 前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧であり、
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに配された整流器であることを特徴とする<13>または<14>に記載の光書き込み型表示装置。
【発明の効果】
【0035】
<1>にかかる発明は、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧(本発明において、書き込み光照射とともに印加される電圧が直流である場合には、当該直流電圧が最終パルス電圧に相当する。)から直ちに電圧を降下させているため、過渡電位の残留電荷による影響が軽減される。
【0036】
さらに補正電位になるように印加電圧を降下させた後の最終的な電圧印加終了時(以下、「最終的な電圧印加終了時」、あるいは単に「電圧印加終了時」という場合がある。)電圧印加終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御され、前記補正電位により電位差が生じている前記一対の電極間が急峻には同電位にならず、結果光導電層および光変調層の境界の当該補正電位に基づく残留電荷が逆電位として現れることが緩和されるため、前記補正電位により過渡電位が略相殺された光変調層の電位状態がそのまま維持され、表示画像への影響を抑制することができる。
【0037】
そのため、本発明の構成を具備しない場合に比べて明暗コントラスト比の高い表示画像を形成することができる。なお、光導電層内に保持された前記補正電位による電位差は、光導電層の抵抗としての性質により層内で徐々に緩和されて、最終的に全体にわたって基準電位に達する。
【0038】
<2>にかかる発明は、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持する、換言すれば、当該一定時間のパルス幅を有する補正電位のパルス電圧を印加する構成なので、より確実かつ簡易に補正電位の状態で前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御することができる。
【0039】
<3>にかかる発明は、前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放する(オープンにする)ように制御するだけの手段であるため、簡易な構成で本願発明の効果を達成することができる。また、補正電位まで落とした後に開放状態にしているため、書き込み光照射時に印加していた電圧から開放状態にする場合に比べ、安全性に優れている。
【0040】
<4>にかかる発明は、前記抵抗制御手段が前記電圧印加回路を開放することがないため、開放状態にする場合に比べ、さらに安全性に優れている。
【0041】
<5>にかかる発明は、電圧印加終了時に可変抵抗器の抵抗を任意の高抵抗になるようにすることで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0042】
<6>にかかる発明は、印加電圧が直流であることから、電圧印加終了時の前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間に流れる電流方向が電圧印加時の電流方向と逆方向であり、その方向が高抵抗となる整流器が配されているため、何ら特別な操作を行わずに電圧印加を終了させるだけで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0043】
<7>にかかる発明は、補正電位調整工程において、書き込み光照射終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させているため、過渡電位の残留電荷による影響が軽減される。
【0044】
さらに最終的な電圧印加終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるようにされて、前記補正電位により電位差が生じている前記一対の電極間が急峻には同電位にならず、結果光導電層および光変調層の境界の当該補正電位に基づく残留電荷が逆電位として現れることが緩和されるため、前記補正電位により過渡電位が略相殺された光変調層の電位状態がそのまま維持され、表示画像への影響を抑制することができる。
【0045】
そのため、本発明の構成を具備しない場合に比べて明暗コントラスト比の高い表示画像を形成することができる。なお、光導電層層内に保持された前記補正電位による電位差は、光導電層の抵抗としての性質により層内で徐々に緩和されて、最終的に全体にわたって基準電位に達する。
【0046】
<8>にかかる発明は、前記補正電位調整工程において、さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持する、換言すれば、当該一定時間のパルス幅を有する補正電位のパルス電圧を印加する構成なので、より確実かつ簡易に補正電位の状態で終了工程における操作が為されるようにすることができる。
【0047】
<9>にかかる発明は、終了工程において電圧印加を終了させる操作が、前記電圧印加回路を開放するようにするだけであるため、簡易な構成で本願発明の効果を達成することができる。また、補正電位まで落とした後に開放状態にしているため、書き込み工程で印加していた電圧から開放状態にする場合に比べ、安全性に優れている。
【0048】
<10>にかかる発明は、終了工程において電圧印加を終了させる際に前記電圧印加回路を開放することがないため、開放状態にする場合に比べ、さらに安全性に優れている。
【0049】
<11>にかかる発明は、終了工程において電圧印加を終了させる際に可変抵抗器の抵抗が高抵抗になるようにすることで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0050】
<12>にかかる発明は、書き込み工程における印加電圧が直流であることから、電圧印加終了時の前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間に流れる電流方向が電圧印加時の電流方向と逆方向であり、その方向が高抵抗となる整流器が配されているため、終了工程において何ら特別な操作を行わずに電圧印加を終了させるだけで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0051】
<13>にかかる発明は、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させているため、過渡電位の残留電荷による影響が軽減される。
【0052】
さらに最終的な電圧印加終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御され、前記補正電位により電位差が生じている前記一対の電極間が急峻には同電位にならず、結果光導電層および光変調層の境界の当該補正電位に基づく残留電荷が逆電位として現れることが緩和されるため、前記補正電位により過渡電位が略相殺された光変調層の電位状態がそのまま維持され、表示画像への影響を抑制することができる。
【0053】
そのため、本発明の構成を具備しない場合に比べて明暗コントラスト比の高い表示画像を形成することができる。なお、光導電層内に保持された前記補正電位による電位差は、光導電層の抵抗としての性質により層内で徐々に緩和されて、最終的に全体にわたって基準電位に達する。
【0054】
<14>にかかる発明は、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持する、換言すれば、当該一定時間のパルス幅を有する補正電位のパルス電圧を印加する構成なので、より確実かつ簡易に補正電位の状態で前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御することができる。
【0055】
<15>にかかる発明は、前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放する(オープンにする)ように制御するだけの手段であるため、簡易な構成で本願発明の効果を達成することができる。また、補正電位まで落とした後に開放状態にしているため、書き込み光照射時に印加していた電圧から開放状態にする場合に比べ、安全性に優れている。
【0056】
<16>にかかる発明は、前記抵抗制御手段が前記電圧印加回路を開放することがないため、開放状態にする場合に比べ、さらに安全性に優れている。
【0057】
<17>にかかる発明は、電圧印加終了時に可変抵抗器の抵抗を任意の高抵抗になるようにすることで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0058】
<18>にかかる発明は、印加電圧が直流であることから、電圧印加終了時の前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間に流れる電流方向が電圧印加時の電流方向と逆方向であり、その方向が高抵抗となる整流器が配されているため、何ら特別な操作を行わずに電圧印加を終了させるだけで、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御することができる。
【0059】
なお、「操作」は本発明の駆動方法において、各工程で実際に行う作業を指し、「動作」は本発明の駆動装置において、装置の構成部材が為す動作を指す。ただし、本発明の駆動装置においては、本発明の駆動方法における操作を装置の構成部材に動作として行わせるように制御するので、結果として「操作」と「動作」とは本発明においてほとんど同義になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置について、詳細に説明する。
なお、本発明の光書き込み型表示装置(以下、単に「本発明の表示装置」という場合がある。)は、本発明の光書き込み型表示素子の駆動装置(以下、単に「本発明の駆動装置」という場合がある。)とそれにより画像を書き込む対象である光書き込み型表示素子との組み合わせであり、当該本発明の表示装置を稼動させる際に本発明の光書き込み型表示素子の駆動方法(以下、単に「本発明の駆動方法」という場合がある。)を利用する。
したがって、以下の説明においては、本発明の表示装置およびその稼動について説明することで、本発明の駆動装置および駆動方法、並びに表示装置を包括的に説明する。
【0061】
図1は、本発明の例示的一態様である実施形態の光書き込み型表示装置を示す概略構成図である。図1に示されるように本実施形態の表示装置は、光書き込み型の表示素子(光書き込み型表示素子)1と、それを駆動する(画像を書き込む)ための駆動装置(光書き込み型駆動装置)2とからなる。駆動装置2は、電源装置(電圧印加手段)17、光照射装置(光照射手段)18、および本発明に特徴的な抵抗制御装置(抵抗制御手段)12の他、これらの動作を制御する制御回路16が含まれてなる。
【0062】
<光書き込み型表示素子>
本実施形態において、表示素子(光書き込み型表示素子)1は、表示面側から順に、基板3、電極5、光変調層7、ラミネート層8、着色層(遮光層)9、有機感光層(光導電層)10、電極(電極層)6および基板4が積層されてなる物である。
【0063】
(基板)
基板3,4は、各機能層を内面に保持し、表示素子の構造を維持する目的の部材である。基板3,4は、外力に耐える強度を有するシート形状の物体であり、フレキシブル性を有することが好ましい。具体的な材料としては、無機シート(たとえばガラス・シリコン)、高分子フィルム(たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート)等を挙げることができる。なお、少なくとも表示面側の基板3は表示光を透過する機能を有する。その外表面に、防汚膜、耐磨耗膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0064】
(電極)
電極(電極層)5,6は、電源装置17から印加されたバイアス電圧を、表示素子1内の各機能層へ印加する目的の部材である。具体的には、金属(たとえば金、銀、銅、鉄、アルミニウム)、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などで形成された導電性薄膜を挙げることができる。表面に、密着力改善膜、光反射防止膜、ガスバリア膜など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0065】
(光変調層)
本発明において光変調層とは、電場によって入射光の反射・透過状態を変調する機能を有し、選択した状態が無電場で保持できる性質のものであれば特に制限は無く、例えば液晶の配向変化を利用するのであれば、双安定型ツイストネマチック液晶、表面安定化強誘電性液晶等の偏光状態の変化を利用する方式のもの、メモリ性高分子分散型液晶などの光散乱状態の変化を利用する方式のもの、これらに二色性色素を混合したゲストホスト液晶などの光吸収状態の変化を利用する方式のもの、メモリ性コレステリック(カイラルネマチック)液晶などの光干渉状態の変化を利用する方式のものなど、光学効果の異なる種々の液晶素子を用いることができる。本実施形態では、最後者の方式のものを例示している。光変調層としては、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが好ましい。
【0066】
本実施形態において光変調層としては、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が形成されてなるものである。すなわち、複合体として自己保持性を有するためスペーサ等を必要としない液晶層である。本実施形態では、不図示ではあるが、高分子マトリックス(透明樹脂)中にコレステリック液晶が分散した状態となっている。
なお、本発明においては、光変調層が、自己保持型液晶複合体の液晶層であることは必須ではなく、単に液晶のみで光変調層を構成することとしても勿論構わない。
【0067】
コレステリック液晶は、入射光のうち特定の色光の反射・透過状態を変調する機能を有し、液晶分子がらせん状に捩れて配向しており、らせん軸方向から入射した光のうち、らせんピッチに依存した特定の光を干渉反射する。電場によって配向が変化し、反射状態を変化させることができる。光変調層を自己保持型液晶複合体とする場合には、ドロップサイズが均一で、単層稠密に配置されていることが好ましい。
【0068】
コレステリック液晶として使用可能な具体的な液晶としては、ステロイド系コレステロール誘導体、あるいはネマチック液晶やスメクチック液晶(たとえばシッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系)、またはこれらの混合物に、カイラル剤(たとえばステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系)を添加したもの等を挙げることができる。
【0069】
コレステリック液晶の螺旋ピッチは、液晶分子の化学構造や、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整する。例えば、表示色を青、緑あるいは赤にする場合には、それぞれ選択反射の中心波長が、順に400nm〜500nm、500nm〜600nmあるいは600nm〜700nmの範囲になるようにする。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩れ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
【0070】
光変調層7がコレステリック液晶と高分子マトリックス(透明樹脂)からなる自己保持型液晶複合体を形成する形態としては、コレステリック液晶の連続相中に網目状の樹脂を含むPNLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造や、高分子の骨格中にコレステリック液晶がドロップレット状に分散されたPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)構造(マイクロカプセル化されたものを含む)を用いることができ、PNLC構造やPDLC構造とすることによって、コレステリック液晶と高分子の界面にアンカリング効果を生じ、無電界でのプレーナまたはフォーカルコニックの保持状態を、より安定にすることができる。
【0071】
PNLC構造やPDLC構造は、高分子と液晶とを相分離させる公知の方法、例えば、アクリル系、チオール系、エポキシ系などの、熱や光、電子線などによって重合する高分子前駆体と液晶を混合し、均一相の状態から重合させて相分離させるPIPS(Polymerization Induced PhaseSeparation)法、ポリビニルアルコールなどの、液晶の溶解度が低い高分子と液晶とを混合し、攪拌懸濁させて、液晶を高分子中にドロップレット分散させるエマルジョン法、熱可塑性高分子と液晶とを混合し、均一相に加熱した状態から冷却して相分離させるTIPS(Thermally Induced Phase Separation)法、高分子と液晶とをクロロホルムなどの溶媒に溶かし、溶媒を蒸発させて高分子と液晶とを相分離させるSIPS(Solvent Induced Phase Separation)法などによって形成することができるが、特に限定されるものではない。
【0072】
高分子マトリックスは、コレステリック液晶を保持し、表示素子の変形による液晶の流動(画像の変化)を抑制する機能を有するものであり、液晶材料に溶解せず、また液晶と相溶しない液体を溶剤とする高分子材料が好適に用いられる。また、高分子マトリックスとしては、外力に耐える強度をもち、少なくとも反射光および書き込み光に対して高い透過性を示す材料であることが望まれる。
【0073】
高分子マトリックスとして採用可能な材料としては、水溶性高分子材料(たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー)、あるいは水性エマルジョン化できる材料(たとえばフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂)等を挙げることができる。
【0074】
(有機感光層)
有機感光層(光導電層)10は、内部光電効果をもち、書き込み光の照射強度に応じてインピーダンス特性が変化する特性を有する層である。交流(AC)動作を行う場合には、書き込み光に対して対称駆動であることが望ましく、電荷発生層(CGL)が電荷輸送層(CTL)の上下に積層された3層構造に形成されてなる。本実施形態では、有機感光層10として、図1における上層から順に上側の電荷発生層13、電荷輸送層14および下側の電荷発生層15が積層されてなる。
【0075】
電荷発生層13,15は、書き込み光を吸収して光キャリアを発生させる機能を有する層である。主に、電荷発生層13が表示面側の電極5から書き込み面側の電極6の方向に流れる光キャリア量を、電荷発生層15が書き込み面側の電極6から表示面側の電極5の方向に流れる光キャリア量を、それぞれ左右している。電荷発生層13,15としては、書き込み光を吸収して励起子を発生させ、CGL内部、またはCGL/CTL界面で自由キャリアに効率良く分離させられるものが好ましい。
【0076】
電荷発生層13,15は、電荷発生材料(たとえば金属又は無金属フタロシアニン、スクアリウム化合物、アズレニウム化合物、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスやトリス等アゾ顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール色素、多環キノン顔料、ジブロモアントアントロンなど縮環芳香族系顔料、シアニン色素、キサンテン顔料、ポリビニルカルバゾールとニトロフルオレン等電荷移動錯体、ピリリウム塩染料とポリカーボネート樹脂からなる共昌錯体)を直接成膜する乾式法か、またはこれら電荷発生材料を、高分子バインダー(たとえばポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルカルバゾール樹脂、ビニルホルマール樹脂、部分変性ビニルアセタール樹脂、カーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ビニルアセテート樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0077】
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15で発生した光キャリアが注入されて、バイアス信号で印加された電場方向にドリフトする機能を有する層である。
電荷輸送層14は、電荷発生層13,15からの自由キャリアの注入が効率良く発生し(電荷発生層13,15とイオン化ポテンシャルが近いことが好ましい)、注入された自由キャリアができるだけ高速にホッピング移動するものが好適である。暗時のインピーダンスを高くするため、熱キャリアによる暗電流は低い方が好ましい。
【0078】
電荷輸送層14は、低分子の正孔輸送材料(たとえばトリニトロフルオレン系化合物、ポリビニルカルバゾール系化合物、オキサジアゾール系化合物、ベンジルアミノ系ヒドラゾンあるいはキノリン系ヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ベンジジン系化合物)、または低分子の電子輸送材料(たとえばキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物)を、高分子バインダー(たとえばポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、含珪素架橋型樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させたもの、あるいは上記正孔輸送材料や電子輸送材料を高分子化した材料を適当な溶剤に分散ないし溶解させたものを調製し、これを塗布し乾燥させて形成すればよい。
【0079】
(着色層)
着色層(遮光層)9とは、書き込み時に書き込み光と入射光とを光学分離し、相互干渉による誤動作を防ぐとともに、表示時に表示素子の非表示面側から入射する外光と表示画像を光学分離し、画質の劣化を防ぐ目的で設けられる層であり、本発明において必須の構成要素ではない。ただし、表示素子1の性能向上のためには、設けることが望まれる層である。その目的から、着色層9には、少なくとも電荷発生層の吸収波長域の光、および光変調層の反射波長域の光を吸収する機能が要求される。
【0080】
着色層9は、具体的には、無機顔料(たとえばカドミウム系、クロム系、コバルト系、マンガン系、カーボン系)、または有機染料や有機顔料(アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、トリフェニルメタン系、ニトロ系、フタロシアニン系、ペリレン系、ピロロピロール系、キナクリドン系、多環キノン系、スクエアリウム系、アズレニウム系、シアニン系、ピリリウム系、アントロン系)を高分子バインダー(たとえばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル樹脂等)とともに適当な溶剤に分散ないし溶解させて塗布液を調製し、これを塗布し乾燥させて成膜する湿式塗布法等により形成することができる。
【0081】
(ラミネート層)
ラミネート層8は、上下基板3,4それぞれの内面に形成された各機能層を貼り合わせる際に、凹凸吸収および接着の役割を果たす目的で設けられる層であり、本発明において必須の構成要素ではない。ラミネート層8は、熱可塑性、熱硬化性、あるいはこれらの混合型の有機材料からなるものであり、熱や圧力によって光変調層7と着色層9とを密着・接着させることができる材料が選択される。また、少なくとも入射光に対して透過性を有することが条件となる。
ラミネート層8に好適な材料としては、粘着・接着性の高分子材料(たとえばポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ゴム系、シリコーン系)を挙げることができる。
【0082】
(接触端子)
接触端子19とは、電源装置17からの電圧が供給(抵抗制御装置12を介する場合を含む。)される導線11と、表示素子1(電極5,6)との導通を行う部材であり、高い導電性を有し、電極5,6および導線11との接触抵抗が小さいものが選択される。表示素子1と駆動装置2とを切り離すことができるように、図示の如く電極5,6から分離できる(これに代えて、あるいは加えて、駆動装置2から分離できる)構造であることが好ましい。
当該接触端子19を介して、表示素子1の電極5,6、電源装置17および抵抗制御装置12の間で電圧印加回路が形成される。
【0083】
接触端子19としては、金属(たとえば金、銀、銅、鉄、アルミニウム)、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、金属酸化物(たとえば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(ITO))、炭素、これらを高分子中に分散させた複合体、導電性有機高分子(たとえばポリチオフェン系・ポリアニリン系)などでできた端子で、電極を挟持するクリップ・コネクタ形状のものが挙げられる。
【0084】
<光書き込み型駆動装置>
本発明において駆動装置(光書き込み型駆動装置)2は、表示素子1に画像を書き込む装置であり、表示素子1に対して書き込み光の照射を行う光照射装置(光照射手段)18、表示素子1にバイアス電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)17、および本発明に特徴的な抵抗制御装置(抵抗制御手段)12を主要構成要素とし、さらにこれらの動作を制御する制御回路16が配されてなる。
【0085】
(光照射装置)
光照射装置(光照射手段)18は、像様となる所定の書き込み光パターンを表示素子1に照射する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示素子1上(詳しくは、有機感光層10上)に所望の光画像パターン(スペクトル・強度・空間周波数)を照射できるものであれば特に制限されるものではない。なお、光照射すべき領域としては、表示素子1の書き込み面の全面である必要は無く、光変調層が形成されている範囲内であることはもちろんのこと、書き込もうとする領域(書き込み領域)内であれば十分である。
【0086】
光照射装置18により照射される書き込み光としては、以下の条件のものが好ましく選択されるが、本発明においてはこれに限定されるものではない。
・スペクトル:有機感光層10の吸収波長域のエネルギーができるだけ多いことが好ましい。
・照射強度:明時に光変調層7への印加電圧が有機感光層10との分圧により上下閾値の電圧以上となって、光変調層7中の液晶を配向変化させ、暗時にはそれ以下となるような強度。
光照射装置18により照射される書き込み光としては、有機感光層10の吸収波長域内にピーク強度を持ち、できるだけバンド幅の狭い光であることが望ましい。
【0087】
光照射装置18としては、具体的には以下のものが挙げられる。
(1−1)光源(たとえば、冷陰極管、キセノンランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、EL、レーザ等)を一次元のアレイ状に配置したものや、ポリゴンミラーと組み合せたもの、など走査動作によって任意の二次元発光パターンを形成できるもの
(1−2)光源をアレイ状に配置したものや導光板と組み合せたもの、などの均一な光源と、光パターンを作る調光素子(たとえば、LCD、フォトマスクなど)の組み合わせ
(2)光源を面状に配置したものなどの自発光型ディスプレイ(たとえばCRT、PDP、EL、発光ダイオード、FED、SED)
(3)上記(1−1)、(1−2)あるいは(2)と光学素子(たとえばマイクロレンズアレイ、セルホックレンズアレイ、プリズムアレイ、視野角調整シート)との組み合わせ
【0088】
(電源装置)
電源装置(電圧印加手段)17は、所定のバイアス電圧(駆動電圧、書き込み電圧)を表示素子1に印加する機能を有し、制御回路16からの入力信号に基づき、表示素子(各電極間)に所望の電圧波形を印加できるものであればよい。ただし、高いスルーレートであることが好ましい。電源装置17には、例えばバイポーラ高電圧アンプなどを用いることができる。
電源装置17による表示素子1への電圧の印加は、抵抗制御装置12および接触端子19を介して、電極5−電極6間に為される。
【0089】
(制御回路)
制御回路16は、外部(画像取り込み装置、画像受信装置、画像処理装置、画像再生装置、あるいはこれらの複数の機能を併せ持つ装置等)からの画像データに応じて、電源装置17および光照射装置18の動作を適宜制御する機能を有する部材である。なお、抵抗制御装置12の態様によっては、当該抵抗制御装置12の制御を制御回路16が担う。抵抗制御装置12の詳細については後述することとする。
【0090】
(全体構成)
図2は、本発明に供し得る駆動装置2の例を示す斜視図であり、光照射手段にレーザを用いた場合である。なお、当該図において、制御回路16の図示は省略されている。
【0091】
光照射を行う露光光学系(光照射装置18)は、光源51として半導体レーザを用い、コリメータレンズ52、ポリゴンミラー53、ポリゴンモーター54、f−θレンズ55、折り返し用ミラー56などによって構成され、レーザビーム57は、ビーム調整ミラー58を介して同期信号発生器59に送られ、走査タイミングの同期に用いられる。図では省略されているが、この駆動装置の制御装置(制御回路)は、一般の電子写真用レーザ露光装置のそれと同様である。
【0092】
表示素子1の副走査方向への送りは、図示のように表示素子1を平面状に固定して、パルスモータによって行い、または、表示素子1の基板をフィルムで構成することにより、表示素子1を柔軟性のあるものとして、円筒状のドラムに固定して、モータによって回転させる、などの方法によることができる。
【0093】
図3は、本発明の表示素子の駆動装置の他の一例を示し、光照射装置に発光ダイオードアレイを用いた場合である。光照射用の光源が発光ダイオードアレイ62と自己結像型ロッドレンズアレイ63によって構成されるほかは、図2を用いて説明した上記例と同様である。
【0094】
<基本動作>
本発明の駆動方法においては、一対の電極層間に所定の電圧を印加しつつ、光導電層に所定の波長並びに光量の書き込み光を照射することで光変調層に状態変化がもたらされて、画像が書き込まれ、表示されるのが基本動作である。この基本動作における電圧印加終了後(書き込み工程後)の操作(補正電位調整工程)が本発明に特徴的であり、また、当該操作の一部を実現するための抵抗制御装置(抵抗制御手段)12が、電源装置17と電極5,6間に形成される電圧印加回路中に配されているが、これらについては後述することとし、本項においては基本動作そのものについてのみ説明する。
【0095】
本実施形態においては、既述の通り、コレステリック液晶および透明樹脂からなる自己保持型液晶複合体の液晶層が光変調層7として形成されてなるものである。本実施形態の表示素子1では、このコレステリック液晶の双安定現象を利用して、(A)プレーナによる選択反射状態と、(B)フォーカルコニックによる透過状態とを、電源装置17により所定の電圧を印加しつつ光照射装置18によりスイッチングすることによって、無電界でのメモリ性を有する表示画像が書き込まれる。
【0096】
図21を参考に説明すると、電源装置17により印加する電圧は、例えば、光変調層7にVpf〜Vfh間の分圧がかかり、光照射装置18により所定の波長並びに強度の書き込み光が照射された時に、光変調層7にかかる分圧がVfh以上となる電圧としておく。かかる電圧が印加された状態では、プレーナ(P)状態の部位はフォーカルコニック(F)状態に変化し、フォーカルコニック(F)状態の部位はそのまま変化せず、全ての部位がフォーカルコニック(F)状態となる。
【0097】
この状態で、光照射装置18により選択的に書き込み光が照射されると、当該照射された部位のみがVfh以上の分圧がかかり、フォーカルコニック(F)状態からホメオトロピック(H)状態に変化する。その後印加電圧を解除すると、書き込み光が照射されホメオトロピック(H)状態に変化した部位は、選択反射状態のプレーナ(P)となる。一方、書き込み光が照射されなかった部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)のままである。このようにして状態変化が選択的に為され、表示画像が書き込まれる。
【0098】
なお、本発明においては、どの状態の変化を利用するかは特に制限は無く、所定の波長並びに強度の書き込み光を選択的に照射することで状態変化が生じ、反射/透過が選択されて画像が書き込みできれば問題無い。本実施形態の表示素子1においても、例えば、Vfh以上の電圧を印加してこれを解除する等により、予め全面をプレーナ(P)状態としておき、その後Vpf以下で所定の波長並びに強度の書き込み光が照射された時にVpf以上となる電圧を光変調層7に印加しつつ、書き込み光を選択的に照射して、当該照射された部位をフォーカルコニック(F)状態にさせる変化を利用しても構わない。この場合、書き込み光が照射された部位は、透過状態のフォーカルコニック(F)となり、書き込み光が照射されなかった部位は、選択反射状態のプレーナ(P)となる。このようにして状態変化が選択的に為され、画像が書き込まれる(書き込み工程)。
【0099】
[本発明の原理]
次に、本発明の原理について詳細に説明する。
図4は、図1にて例示した駆動装置2から抵抗制御装置12を取り除いて短絡(ショート)させた従来の駆動装置の動作の一例について、バイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。この例では、直流電圧を印加しつつ、その印加の期間全域にわたって書き込み光を照射している(書き込み期間)。なお、図4においては、書き込みの際に光が照射される明時の場合のみチャートを示している(図8、図10においても同様。)。
【0100】
従来の駆動装置の動作では、書き込み期間が終了し電圧の印加を終了させる際、図4に示されるように、バイアス電圧を基準電位に落とす。逆に言えば、従来は、電圧を印加している部位の電位を電源装置17によって基準電位に落とすことで、電圧の印加を終了させていた。
【0101】
図5に、当該従来の例における電極5,6間の電位差の波形と、光変調層7に印加される分圧の波形とを重ねて表すグラフを示す。また、図6は、図5のグラフにおける(1)〜(4)の各時点での、表示素子1の厚さ方向の位置による電位を模式的に示すものである。
【0102】
図6においては、各時点のグラフを横並びで示し、その左端に、対応する電圧印加回路(表示素子1および電源装置17からなるもの)を挙げている。なお、左端に挙げた電圧印加回路は、表示素子1における光変調層7および有機感光層10を等価回路で示している(図9、図11においても同様。)。図6の(1)〜(4)の各グラフは、すなわち、縦軸が表示素子1の厚さ方向の位置を示し、左端に等価回路で示す光変調層7または有機感光層10の各位置が対応する。
【0103】
電極5,6間にバイアス電圧を印加すると、光変調層7およびOPC層10の容量比によって決まる電位差が電極5,6間に生じる((1)の時点)。
しかし、光変調層7および有機感光層10は、図6において等価回路で示されるように誘電体的性質と抵抗的性質とを併せ持つため、次第に抵抗成分側に電流が流れ始めて経時と共に容量分圧から抵抗分圧へと電位が変化していく。ここで、両層におけるインピーダンス(CR時定数)がマッチングしていないため、容量分圧比と抵抗分圧比に差異があり、図6の例では光変調層7の分圧が小さくなってくる((2)の時点)。この時点では、光変調層7の容量成分への充電電荷と、有機感光層10の容量成分への充電電荷に不均一が生じ、この差分電荷が光変調層7と有機感光層10との境界(bの位置)に残留電荷として蓄積される。
【0104】
この状態から、図4のグラフに従って電圧印加を終了させる、すなわち電極5,6を基準電位に落とす(揃える)と、電極6は元々基準電位なので、電極5をこれに強制的に揃えることになる((3)の時点)。すると、図6の(3)のグラフを見てもわかるとおり、CRミスマッチによる残留電荷がそのまま光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に逆電位として現れる。これは図5のグラフにおける(3)の時点の逆方向へのピーク波形からもわかるとおりである。
【0105】
光変調層7および有機感光層10の両末端(aおよびc)が基準電位に落とされているため、この段階における表示素子1の等価回路は、図7のように表される。すると、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残った電荷は、矢印に示すように両層を通って、両層の併せ持つ誘電体的性質および抵抗的性質に基づく時定数(複合CR時定数)で緩和し、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)の電位は基準電位に落ちてゆく。その電位の変化の様子は図5における(3)と(4)との間のグラフの推移の通りである。
そして最後には、図6の(4)のグラフを見てもわかるとおり、表示素子1の全ての位置で基準電位に至り電位が一定化する。
【0106】
電圧印加終了時に基準電位に揃える上記従来の例では、図7に示すように、電圧印加終了後に残留電荷に由来する逆電位が光変調層7および有機感光層10に印加される。そのため、既に選択されている光変調層7の配向状態に影響を及ぼし、得られる表示画像の明暗コントラスト比の低下など、誤った画像が形成される懸念がある。
【0107】
なお、上記の現象は、光変調層7および有機感光層10のインピーダンス(CR時定数)がマッチングしていない場合に生じるものであり、もしも両層のインピーダンスがマッチングしている場合には残留電荷の発生がなく、電圧印加時に不要な逆電位が両層に印加されることはない。しかし、光書き込み型表示素子では、画像の明暗に応じて光導電層のインピーダンスを変化させるため、画像の明暗によらず光変調層とインピーダンスをマッチングさせることは困難であり、この不要な残留電荷の蓄積を回避できない。
【0108】
既述の特許文献5や6で提案された技術においては、電圧印加時に両層に蓄積された残留電荷によって電圧印加終了時に生じる光変調層の状態への影響を抑制する方法として、図8に示すように、電圧印加の終了直前に電圧印加回路における過渡電位を相殺する補正電位となるパルス電圧(補正パルス)を印加している。ここで図8は、当該技術におけるバイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。
【0109】
なお、図8においては、書き込みの際に光が照射される場合(明時)のみチャートを示している。
また、図9は、図8のチャートにおける(1)〜(5)の各時点での、表示素子1の厚さ方向の位置による電位を模式的に示すものである。図9の(1)〜(5)の各グラフは、縦軸が表示素子1の厚さ方向の位置を示し、左端に等価回路で示す光変調層7または有機感光層10の各位置が対応する。
【0110】
特許文献5で提案された技術(以下、「補正パルスを印加する技術」という場合がある。)における駆動装置の動作において、電極5,6間にバイアス電圧を印加すると、光変調層7および有機感光層10の容量比によって決まる電位差が電極5,6間に生じ((1)の時点)、経時と共に容量分圧から抵抗分圧に変化し、光変調層7の分圧が小さくなってくる段階((2)の時点)までは、図4〜図7を用いて説明した従来の駆動装置の動作(以下、単に「従来の動作」という場合がある。)と同様である。
【0111】
補正パルスを印加する技術における駆動装置の動作では、書き込み期間が終了し電圧の印加を終了させる前に、図8に示されるように、補正電位に相当する補正パルスを印加してしている(補正期間)。当該補正電位は、図9を参考に説明すると、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残留した過渡電位Vtを相殺させる大きさVcであり、当該補正パルスの印加により、光変調層7には電荷が残留していない状態になる((3)の時点)。
【0112】
ところが、当該技術では、この状態からバイアス電圧を基準電位に落とす(電圧を印加している部位の電位を電源装置17によって基準電位に落とす)ことで、電圧の印加を終了させていた。そのため、折角補正パルスによって光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残留電荷が生じていない状態にしても、電圧印加の終了と共に補正電位に基づく残留電荷が逆電位Vc’として現れてしまう((4)の時点)。
【0113】
その後は、従来の動作と同様、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残った電荷が、図7中矢印に示すように両層を通って、両層の併せ持つ誘電体的性質および抵抗的性質に基づく時定数(複合CR時定数)で緩和し、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)の電位は基準電位に落ちてゆき、表示素子1の全ての位置で基準電位に至り電位が一定化する。その電位の変化の様子は図9における(4)と(5)との間のグラフの推移の通りである。
【0114】
このように、当該技術においても、図7に示すように、電圧印加終了後に補正電位に基づく残留電荷由来の逆電位が光変調層7および有機感光層10に印加される。したがって、程度の差こそあれ、補正パルスを印加しない従来の動作と同様、既に選択されている光変調層7の配向状態に影響を及ぼし、得られる表示画像の明暗コントラスト比の低下など、誤った画像が形成される懸念が完全には払拭できない。
【0115】
本発明の一態様である本実施形態では、補正パルスを印加する技術における、補正電位に基づく残留電荷由来の逆電位による配向状態への影響を抑制乃至排除するため、補正パルス印加直後に、電圧印加回路における表示素子1と電源装置17との間の電流に対する抵抗が、電源装置17による電圧印加時に比べて大きくなるように制御している。そしてその抵抗の制御の機能を担うのが、抵抗制御装置(抵抗制御手段)12である。
【0116】
ここで、本発明において「抵抗制御手段」とは、単なる抵抗素子に限らず、整流器や、開放乃至オープン(空気が導線間を高い抵抗値で繋いでいる状態)、TFTなどのスイッチ素子ほか、同じ効果を発揮できる素子がその概念に含まれるものとする。
本発明の原理について、以下、抵抗制御装置12として可変抵抗器を用い、電圧印加回路における表示素子1と電源装置17との間の電流に対する抵抗が、バイアス電圧印加時に比べて大きくなるように制御する例を挙げて説明する。
【0117】
図10は、図1にて例示した駆動装置2を用いた本発明の駆動装置の動作の一例について、バイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。この例では、上記従来の例同様、バイアス電圧として直流電圧を印加しつつ、その印加の期間全域にわたって書き込み光を照射している(書き込み期間)。
なお、図10においては、書き込みの際に光が照射される場合(明時)のみチャートを示している。
【0118】
また、図11は、図10のチャートにおける(1)〜(5)の各時点での、表示素子1の厚さ方向の位置による電位を模式的に示すものである。図11の(1)〜(5)の各グラフは、縦軸が表示素子1の厚さ方向の位置を示し、左端に等価回路で示す光変調層7または有機感光層10の各位置が対応する。
【0119】
本例の駆動装置の動作において、電極5,6間にバイアス電圧を印加すると、光変調層7および有機感光層10の容量比によって決まる電位差が電極5,6間に生じ((1)の時点)、経時と共に容量分圧から抵抗分圧に変化し、光変調層7の分圧が小さくなってくる段階((2)の時点)までは、従来の例と同一である。
【0120】
本例の駆動装置の動作では、図8に示される補正パルスを印加する技術と同様、書き込み期間が終了し電圧の印加を終了させる直前に、図10に示されるように、補正電位に相当する補正パルスを印加してしている(補正期間)。既述の通り当該補正電位は、図11を参考に説明すると、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残留した過渡電位Vtを相殺させる大きさVcであり、当該補正パルスの印加により電荷が残留していない状態になる((3)の時点)。
【0121】
そして、補正パルスの印加終了後、本例の駆動装置の動作では、電圧を基準電位に落とさずこの状態から、図8のチャートに従って電圧印加を終了させる、すなわち電圧印加回路における表示素子1と電源装置17との間の電流に対する抵抗が、バイアス電圧印加時に比べて大きくなるように制御する。すると、電極6は元々の基準電位、電極5は各層の容量成分によって補正電位Vcが保持されたままの状態((3)の時点における電位状態のまま)になる((4)の時点)。
【0122】
図11を見てもわかるとおり、CRミスマッチによる残留電荷(bの位置)は補正パルスの印加により既に相殺されていて((3)の時点)、電圧を基準電位に落とさずこの状態から補正パルス印加を終了させているため、その後も逆電位として現れることはない((4)の時点)。一方、補正電位Vcの状態になっている電極5(cの位置)は、徐々に基準電位に近づいてゆく。
【0123】
光変調層7および有機感光層10の両末端(aおよびc)が電気的に独立した(間の抵抗が高く、電流が流れない)状態になっているため、この段階における表示素子1の等価回路は、図12のように表される。電極5(cの位置)に保持された補正電位Vcの残留電荷は、点線矢印に示すように有機感光層10のCR成分で構成される直列回路により緩和され、徐々に低下してゆきいずれは基準電位に落ちてゆく。一方、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)には、既述の通り電位が残留していないので、光変調層7内には電流が流れることは無い。
【0124】
このときの電位の変化の様子は図11における(4)と(5)との間のグラフの推移の通りである。
そして最後には、図11の(5)のグラフを見てもわかるとおり、表示素子1の全ての位置で基準電位に至り電位が一定化する。
【0125】
可変抵抗器を用いて、電圧印加回路における表示素子1と電源装置17との間の電流に対する抵抗が、バイアス電圧印加時に比べて補正パルスの印加終了時に大きくなるように制御する本例では、図11に示すように、残留電荷に由来する逆電位が生じず光変調層7の両面(a−b間)は電位差がゼロのままであり、電極5(cの位置)に保持された補正電位Vcの残留電荷は有機感光層10の層内のみで緩和されて無くなってゆく。そのため、既に選択されている光変調層7の配向状態に影響を及ぼす懸念が無くなり、得られる表示画像の明暗コントラストを良好なものとすることができる。
【0126】
ところで、以上の例においては、補正パルスを印加する技術の改良としての位置付けで本発明を説明しているが、本発明において書き込み光照射とともに為される電圧印加の直後に印加される電圧は、パルス状のものに限定されるものではない。本質的には電圧印加を終了し前記抵抗制御手段による動作が為される瞬間に、前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になっていれば足りる。
【0127】
つまり、補正電位に相当するパルス状の電圧を印加するか否かの問題ではなく、補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させた後に前記抵抗制御手段による動作が為されればよい。前記抵抗制御手段による動作が為される時に補正電位に相当する電圧が印加された状態にさえなっていれば、図11の(3)〜(5)間のグラフの推移を辿る。
【0128】
勿論、降下させて補正電位に達した後、当該電位を一定時間保持する、換言すれば、当該一定時間のパルス幅を有する補正電位のパルス電圧を印加する構成とすれば、より確実かつ簡易に補正電位の状態で前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御することができる。この場合のパルス幅としては、特に制限は無いが、あまりに短いとパルス電圧を印加する意義が無いため1ms以上とすることが好ましく、あまりに長いと再び補正電位に対する抵抗分圧への緩和が発生して、光変調層に電圧がかかり始めてしまうため20ms以下とすることが好ましい。
【0129】
補正電位は、既述の通り、光変調層7および有機感光層10の境界(bの位置)に残留した過渡電位Vtを相殺させる大きさVcであり、以下の式で表される(図11参照)。
補正電位Vc=V・(Vo−Vt)/Vo
{V:バイアス電圧、Vo:光変調層への初期容量分圧、Vt:過渡電圧(抵抗分圧への遷移過程での電位)}
【0130】
ただし、本発明にいう補正電位が正確に過渡電位Vtを相殺させる大きさVcである必要性は必ずしも無く、過渡電位Vtをある程度相殺させることができれば、本発明による作用を期待することができ、所定の効果が奏される。そのため、本発明にいう補正電位は、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する電位を指すものとする。
【0131】
ここで、「略相殺する」との語が意味する具体的な範囲は重要ではなく、本発明に基づく作用が生じて効果が奏される範囲を意味するものである。敢えて具体的な範囲を定めるとすれば、計算上求められる過渡電位を好ましくは50%〜150%、より好ましくは70%〜130%、さらに好ましくは90%〜110%相殺し得る電位を電圧印加終了時の補正電位とする。
【0132】
以上は、本発明の一例として、可変抵抗器を用いて、電圧印加回路における表示素子1と電源装置17との間の電流に対する抵抗が、バイアス電圧印加時に比べて電圧印加終了時に大きくなるように制御する例で説明したが、本発明は、電圧印加終了時に、電圧印加回路における表示素子と電圧印加手段との間の電流に対する抵抗が制御される構成であればよい。
【0133】
例えば、電圧印加回路がオープンになる(開放される)、すなわち、空気が導線間を高い抵抗値で繋いでいる状態でもよく、また、当該抵抗は、電圧印加時に比べ、電圧印加終了時に少しでも高くなるように制御されれば本発明の作用が期待できる。ここで、電極間に電位差がある状態で回路をオープンにする場合は、簡単な操作で確実に当該制御ができるが、オープンになった部分に人が接触しないように注意する必要がある。ただし、本発明においては、書き込み時のバイアス電圧よりも小さな補正電位になるように電圧を落としてから回路をオープンにするので、書き込み時のバイアス電圧から直接回路をオープンにするよりも安全性が高い。
【0134】
回路を直接オープンにはせず、かつオープンになったときと同じような効果を持つような構成にすれば、より安全性が確保される。すなわち、電圧印加終了時の電圧印加回路における表示素子と電圧印加手段との間の電流に対する抵抗の制御により、図9の(4)のグラフに示す表示素子の両電極の急峻な同電位への変化が抑制されて、図11の(4)に示す状態に少しでも近づけば、残留電荷に由来する逆電位の影響を抑制することができ、本発明の作用が十分に期待できる。
【0135】
[抵抗制御手段の態様]
以上のように、本発明において抵抗制御手段は、電圧印加終了時に、電圧印加回路における表示素子と電圧印加手段との間の電流に対する抵抗を制御する(具体的には、電圧印加時に比べ、電圧印加終了時における当該抵抗が高くなるように制御する)機能を有すればよい。具体的には、A:開閉器、B:可変抵抗器、C:整流器等が挙げられる。
【0136】
以下、これら抵抗制御手段の例について、それぞれ、図1に示す実施形態の表示装置における抵抗制御装置12として用いた場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明においては、電源装置17による印加電圧が、電極6側を正とする直流電圧である場合を前提とする。
【0137】
(A:開閉器)
開閉器とは、接点を閉じた状態にしたり開放状態にしたりすることで電流の導通/空間絶縁を選択することができる、いわゆる有接点スイッチを意味する。電磁石への通電/非通電やモータの回転で接点を開閉するメカニカルリレーなどを用いることができる。
【0138】
図13は、図1の抵抗制御装置12として開閉器21を用いた場合の電圧印加回路(表示素子1は等価回路)の回路図である。この場合には、開閉器21をONにして回路を閉じた状態で電圧印加を開始し、電圧印加の終了時にOFFにして開放状態にすることで、電圧印加回路における電極6側(点c側)の電流を完全に断ち切ることができる。すなわち、電圧印加時に比べ、電圧印加終了時における抵抗が高くなっているといえる。
開閉器としてリレー装置を用いた場合には、制御回路16からの信号により、当該リレー装置を電気的にON−OFF制御できるように構成すればよい。
【0139】
なお、従来から慣習的に、電圧印加回路中に電源装置のスイッチとして、開閉器に類似した形状の部品図を模式的に描くことが行われている。しかし、誘電体を含む構成の電気機器である光書き込み型表示素子に電圧を印加した際にこれを終了させるには、印加した電圧を基準電位に揃えることが常識として為されており、開閉器に類似した形状の部品図を模式的に描くのは、電源装置による電圧印加の開始・終了を制御する部材として観念的かつ簡易的に示しているだけである。したがって、仮に本願の出願前に開示された文献に、こういった電圧印加回路図中における開閉器類似部品が存在していても、本願発明の構成を開示するものでも示唆するものでもない。
【0140】
(B:可変抵抗器)
図14は、図1の抵抗制御装置12として可変抵抗器22を用いた場合の電圧印加回路(表示素子1は等価回路)の回路図である。この場合には、電圧印加時には低抵抗状態にしておくことで電圧印加回路の導通をはかり、電圧印加の終了時に高抵抗状態にすることで、電圧印加回路における電極6側(点c側)の電流吸い上げ能力を制限する。
【0141】
可変抵抗器としては、一般的なダイヤル式やスライド式のものは勿論使用可能であり、これらを用いた場合、制御回路16からの信号により、機械的にこれらを適宜動かすように構成することで、抵抗値を制御すればよい。勿論、電気的に抵抗値を制御できるように構成しても問題ない。
【0142】
また、図15は、図1の抵抗制御装置12として可変抵抗器を用いた場合の変形例を示す電圧印加回路(表示素子1は等価回路)の回路図である。当該変形例では、高抵抗の抵抗器23と導通(低抵抗)とを切り替えスイッチ(SW)24で選択できるように構成されており、かかる構成も本発明において可変抵抗器の概念に含める。これを用いた場合も、制御回路16からの信号により切り替えスイッチ24を適宜切り替えることで、抵抗値を制御すればよい。
【0143】
その他、トランジスタのゲート電圧を調整することでソース−ドレイン間の抵抗を制御することが可能な可変抵抗回路(無接点スイッチ回路)なども使用することができ、かかる構成も本発明において可変抵抗器の概念に含める。これを用いた場合も制御回路16からの信号によりゲート電圧を調整して、ソース−ドレイン間の抵抗を制御すればよい。
【0144】
可変抵抗器の抵抗値としては、電圧印加状態の低抵抗としては、電圧印加ロスを少なくするために、1kΩ以下にすることが好ましく、100Ω以下にすることがより好ましい。一方、電圧印加終了時の高抵抗としては、電圧印加時に比して少しでも高抵抗にすれば表示素子1と電源装置17との間の電流を制限する作用が生ずるので、特に下限は無いが、当該電流の制限を高い次元で作用させるためには、100MΩ以上にすることが好ましく、1GΩ以上にすることがより好ましい。
【0145】
(C:整流器)
整流器としては、一般に半導体ダイオードが用いられるが、例えば整流管等整流器の概念に含まれる物であればいずれも使用可能である。
図16は、図1の抵抗制御装置12として整流器25を用いた場合の電圧印加回路(表示素子1は等価回路)の回路図である。整流器25は、図16に示すとおり、電源装置17による印加電圧の電流方向に流れ易く、その逆方向には流れ難い(電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる)向きになるように配される。
【0146】
整流器25を用いた場合には、電圧印加終了時の表示素子1から電源装置17方向への電流が電圧印加時の電流方向と逆方向であり、その方向が高抵抗となるように整流器25が配されているため、電圧印加終了の前後に何ら特別な操作を施すこと無く、電圧印加回路における電圧印加終了後の電流を制限することができる。
【0147】
以上説明した抵抗制御手段の態様は、既述の通り電源装置17による印加電圧が直流電圧である場合の例示であるが、A:開閉器およびB:可変抵抗器については交流電圧を印加する場合にも同様に適用することができる。なお、電源装置17による印加電圧が交流電圧である場合には、C:整流器を適用することはできない。
【0148】
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明の光書き込み型表示素子の駆動装置および駆動方法、並びに光書き込み型表示装置を詳細に説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では光変調層が1層のみからなる単色画像形成用の表示素子を例に挙げて説明したが、光変調層やその他の層を必要に応じて複数層として多色画像が形成できる表示素子としてもよいし、このとき少なくともブルー、グリーンおよびレッドの三原色を表示し得る光変調層を積層することでフルカラー画像が形成できる表示素子としてもよい。
【0149】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の積層体、本発明の製造方法あるいは本発明の表示素子を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の積層体、本発明の製造方法あるいは本発明の表示素子の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【実施例】
【0150】
以下、実施例を挙げることで、本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<表示素子の作製>
本発明に適用し得る光書き込み型表示素子として、図1に記載の表示素子1を試作して、本発明および比較例の光書き込み型表示素子の駆動装置ないし駆動方法を利用して、画像の書き込みを行った。図1を参照しつつ説明する。
【0151】
(有機感光層側基板の作製)
片面にITO(表面抵抗300Ω/□)が形成された125μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製,ハイビーム)を50.8mm(2インチ)角に切り出して、基板4および電極6とした。そのITO(電極6)側の面に、ポリビニルブチラール樹脂をブタノールに溶解した溶液に、電荷発生材料(チタニルフタロシアニン顔料)をペイントシェイカーで分散させた塗料を、スピンコート法によって乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布・乾燥し、電荷発生層15を形成した。
【0152】
次にその上に、ポリカーボネート樹脂と電荷輸送材料(ベンジジンN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)をモノクロロベンゼンに溶解した塗料を、ディップコート法によって乾燥膜厚が6μmになるように塗布・乾燥し、電荷輸送層14を形成した。
【0153】
さらにその上に、ポリビニルブチラール樹脂をブタノールに溶解した溶液に、電荷発生材料(チタニルフタロシアニン顔料)をペイントシェイカーで分散させた塗料を、スピンコート法によって乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布・乾燥し、電荷発生層13を形成して、電荷発生層15、電荷輸送層14、電荷発生層13の3層からなる有機感光層10を形成した。
【0154】
その有機感光層10上に、カーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.2μmとなるように形成して、着色層9とした。さらに当該着色層9の上層として、酢酸ブチルで希釈した二液性ウレタンラミネート剤(三井武田ケミカル社製,A315/A50)を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.0μm厚となるように塗布し、ラミネート層8を形成し、有機感光層側基板を作製した。
【0155】
(光変調層側基板の作製)
コレステリック液晶として、ネマチック液晶(メルク社製,E7)77.5質量%、右旋性カイラル剤(メルク社製,CB15)18.8質量%および右旋性カイラル剤(メルク社製,R1011)3.7質量%を混合して、緑色を反射する材料を調製した。
【0156】
4.2μm径のセラミック多孔質膜をセットした膜乳化装置(SPGテクノ社製,マイクロキット)を用いて、窒素圧力11.8kPa(0.12kgf/cm2)の条件下で前記コレステリック液晶を0.25質量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液中に乳化した。得られたエマルジョンは、コレステリック液晶ドロップの粒径平均が14.9μm、粒径標準偏差が1.32μmで、単分散に近い状態だった。
【0157】
次に、エマルジョンを静置してコレステリック液晶ドロップを沈降させ、上澄みを除去して濃縮されたエマルジョンを得た。この濃縮エマルジョン1質量部に対して、酸性法骨ゼラチン(ニッピ社製,ゼリー強度314)の7.7質量%水溶液を4質量部添加することにより、光変調層用塗布液内の不揮発分体積率が約0.15、不揮発分内のコレステリック液晶体積率が約0.70の光変調層用塗布液を得た。
【0158】
上記(有機感光層側基板の作製)において基板4および電極6として用いたものと同じITO電極付きPETフィルム(東レ社製ハイビーム)を基板3および電極5として、50℃に加熱してゼラチンをゾル状態にした前記光変調層用塗布液を、ITO面側に、塗布後のウェット膜厚が90μmになるようにギャップを調整したマイクロメータ付きアプリケータで塗布した。
【0159】
50℃/RH90%の高温高湿チャンバー内に15分間保持した後、室温下で12時間乾燥させ、光変調層7として、15μm径の単分散コレステリック液晶ドロップが少し偏平した形状で高分子バインダー中に単層稠密に分散された約12μm厚のPDLC層を形成し、光変調層側基板を作製した。
【0160】
(基板の貼り合わせ)
このようにして作製した有機感光層側基板および光変調層側基板を、光変調層7とラミネート層8とが向かい合い、かつ端面の一部が少しずれるように重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着し、表示素子1を得た。
【0161】
なお、ずらした端面上の各機能膜を除去してITO電極を露出させておき、最終的に得られる表示素子1の外部から両電極5,6が導通できるようにした。
得られた表示素子1の外観は、光変調層7が緑色の選択反射を示すものであった。
得られた表示素子1の両電極5,6にリード線を付けた市販のミノ虫クリップを接続し、これを接触端子19とした。
【0162】
<波形観測用ダミー素子の作製>
(有機感光層ダミーの作製)
上記(有機感光層側基板の作製)と同様して得られた有機感光層側基板と、上記(有機感光層側基板の作製)において基板4および電極6として用いたものと同じITO電極付きPETフィルム(東レ社製ハイビーム)とを、ラミネート層8とITO面とが向かい合うように重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着し、有機感光層ダミーを作製した。
【0163】
(光変調層ダミーの作製)
上記(有機感光層側基板の作製)において基板4および電極6として用いたものと同じITO電極付きPETフィルム(東レ社製ハイビーム)の上に、カーボンブラック顔料を分散させたポリビニルアルコール水溶液を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.2μmとなるように形成して、着色層9とした。さらに当該着色層9の上層として、酢酸ブチルで希釈した二液性ウレタンラミネート剤(三井武田ケミカル社製,A315/A50)を、スピンコート法によって乾燥膜厚が1.0μm厚となるように塗布し、ラミネート層8を形成した。
上記(光変調層側基板の作製)と同様して得られた光変調層側基板の光変調層7を、ラミネート層と光変調層とが向かい合うように重ね合わせて、100℃のラミネータを通して接着し、光変調層ダミーを作製した。
【0164】
<駆動装置乃至表示装置の作製>
抵抗制御装置12として、印加電圧波形の終端で回路をオープンにするためのメカニカルパワーリレー(オムロン社製G5NB型)を用い、また、電源装置17として高速・高電圧アンプ(松定プレシジョン社製,HEOPT1B−60型)を用い、これを表示素子1の電極5,6とともに図1に示されるように接続して電圧印加回路を形成した。
【0165】
一方、光源としてカラー発光ダイオード光源(CCS社製,HLV−3M−RGB型)を用い、表示素子1の非表示面(書き込み側の面)を照射できるように構成して、光照射装置18を作製した。当該光照射装置18により、ピーク波長625nm、バンド半値幅20nmのRed光を照射することができる。
【0166】
また、制御回路16としてマルチチャンネルDAQボード(ナショナルインスツルメンツ社製6713型)、および制御ソフト(ナショナルインスツルメンツ社製LabVIEW)を用い、パーソナルコンピュータからの画像データに基づいて電源装置17、光照射装置18および抵抗制御装置12(メカニカルパワーリレー)の動作を適宜制御できるように配線した。
以上のようにして、実施例および比較例に供し得る駆動装置、およびこれに表示素子を接続した表示装置を作製した。
【0167】
(比較例1)
作製した駆動装置における抵抗制御装置12を常時導通状態(ON)にした上で、以下の2つの評価試験を行った。
<評価試験1>
100VのDCバイアス電圧を100ms間印加し、その状態で最大500μW/cm2の緻密な像様の書き込み光を照射した。バイアス電圧の印加終了後、常法通り直ちに電極5,6を基準電位に落とした(揃えた)。
形成された表示画像を目視で確認した所、明暗コントラストが低いぼやけた画像であった。
【0168】
<評価試験2>
光変調層7と有機感光層10とが一体になった表示素子1では、各層に印加されている電圧を直接観測することはできない。そこで代替手段として、既述の如く、光変調層と有機感光層とを別体に構成した有機感光層ダミーと光変調層ダミーとを直列に接続して波形観測用ダミー素子を作製した。
【0169】
光変調層ダミーと並列に高電圧プローブ(テクトロニクス社P6015A型)を介して、オシロスコープ(テクトロニクス社TDS1002型)を接続して、光変調層ダミーに印加される電圧波形を観測した。詳しくは、波形観測用ダミー素子の両端に100VのDCバイアス電圧を100ms間印加した状態で、同時に500μW/cm2の書き込み光を有機感光層ダミーに100ms照射し、バイアス電圧の印加終了後、常法通り直ちに電極5,6を基準電位に落とした(揃えた)場合について、光変調層ダミーに印加される電圧波形を観測した。観測された電圧波形のグラフを図17に示す。
図17に示されるように、バイアス電圧の波形終端(図17のグラフ中横軸0.2秒時)において、不要な逆電位が光変調層7に印加されているのがわかる。
【0170】
(比較例2)
比較例1と同様に、作製した駆動装置における抵抗制御装置12を常時導通状態(ON)にした上で、評価試験1および評価試験2の試験を行った。ただし、バイアス電圧の印加終了後、補正電位となるパルス電圧37.5Vを100msのパルス幅で印加した後に電極5,6を基準電位に落とした(揃えた)。
【0171】
評価試験1については、形成された表示画像を目視で確認した所、明暗コントラストがやや低く、細部においてはややぼやけた画像であった。
評価試験2について、観測された電圧波形のグラフを図18に示す。図18に示されるように、バイアス電圧の波形終端(図18のグラフ中横軸0.2秒時)は瞬間的にゼロになるが、その後補正パルスに基づく残留電位が生じて、補正パルス印加終了後に当該電位除去時の不要な逆電位が光変調層7に印加されているのがわかる。
【0172】
(実施例1)
比較例1と同様に、評価試験1および評価試験2の試験を行った。ただし、作製した駆動装置における抵抗制御装置12をまず導通状態(ON)にし、バイアス電圧の印加終了後、補正電位となるパルス電圧37.5Vを1msのパルス幅で印加し、直ちに抵抗制御装置12がオープンの状態になるようにした。
【0173】
評価試験1については、形成された表示画像を目視で確認した所、明暗コントラストが高く、細部においてもはっきりとした画像であった。
評価試験2について、観測された電圧波形のグラフを図19に示す。図19に示されるように、バイアス電圧の波形終端(図19のグラフ中横軸0.2秒時)は瞬間的にゼロになり、その後電圧印加回路がオープンになることにより残留電位が生じることが無く、電位に変化が無いのがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の例示的一態様である実施形態の光書き込み型表示装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の駆動装置の例を示す斜視図である。
【図3】本発明の駆動装置の他の一例を示す斜視図である。
【図4】従来の駆動装置の動作の一例について、バイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。
【図5】図4の例における電極間の電位差の波形と、光変調層に印加される分圧の波形とを重ねて表すグラフである。
【図6】図5のグラフにおける(1)〜(4)の各時点での、表示素子の厚さ方向の位置(縦軸)による電位(横軸)を模式的に示すものであり、左端に表示素子の等価回路を含む電圧印加回路を挙げている。
【図7】従来の駆動装置の動作における、電圧印加終了後の表示素子の等価回路である。
【図8】補正電位となるパルス電圧を印加する技術における駆動について、バイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。
【図9】図8のチャートにおける(1)〜(5)の各時点での、表示素子の厚さ方向の位置(縦軸)による電位(横軸)を模式的に示すものであり、左端に表示素子の等価回路を含む電圧印加回路を挙げている。
【図10】本発明の駆動装置の動作の一例について、バイアス電圧およびアドレス光強度を時系列で示すチャートである。
【図11】図10のチャートにおける(1)〜(5)の各時点での、表示素子の厚さ方向の位置(縦軸)による電位(横軸)を模式的に示すものであり、左端に表示素子の等価回路を含む電圧印加回路を挙げている。
【図12】本発明の駆動装置の動作における、電圧印加終了後の表示素子の等価回路の一例を示す回路図である。
【図13】抵抗制御装置として開閉器を用いた場合の電圧印加回路(表示素子は等価回路)の回路図である。
【図14】抵抗制御装置として可変抵抗器を用いた場合の電圧印加回路(表示素子は等価回路)の回路図である。
【図15】抵抗制御装置として可変抵抗器を用いた場合の変形例を示す電圧印加回路(表示素子は等価回路)の回路図である。
【図16】抵抗制御装置として整流器を用いた場合の電圧印加回路(表示素子は等価回路)の回路図である。
【図17】比較例1における評価試験2の結果であり、書き込み時に光変調層に印加される電圧波形の推移を示すグラフである。
【図18】比較例2における評価試験2の結果であり、書き込み時に光変調層に印加される電圧波形の推移を示すグラフである。
【図19】実施例1における評価試験2の結果であり、書き込み時に光変調層に印加される電圧波形の推移を示すグラフである。
【図20】コレステリック液晶の分子配向と光学特性の関係を示す模式説明図であり、(A)はプレーナ、(B)はフォーカルコニック、(C)ホメオトロピックの各相におけるものである。
【図21】コレステリック液晶のスイッチング挙動を説明するためのグラフである。
【図22】従来からの一般的な表示素子に対して、露光装置で画像の書き込みを行っている様子を模式的に表す模式図である。
【符号の説明】
【0175】
1:表示素子(光書き込み型表示素子)、 2:駆動装置(光書き込み型駆動装置)、 3,4:基板、 5,6:電極(電極層)、 7:光変調層、 8:ラミネート層、 9:着色層、 10:有機感光層(光導電層)、 11:導線、 12:抵抗制御装置、 13,15:電荷発生層、 14:電荷輸送層、 16:制御回路、 17:電源装置(電圧印加手段)、 18:光照射装置(光照射手段)、 19:接触端子、 21:開閉器、 22:可変抵抗器、 23:抵抗器、 24:切り替えスイッチ、 25:整流器、 51:光源、 52:コリメータレンズ、 53:ポリゴンミラー、 54:ポリゴンモーター、 55:f−θレンズ、 56:折り返し用用ミラー、 57:レーザビーム、 58:ビーム調整ミラー、 59:同期信号発生器、 62:発光ダイオードアレイ、 63:自己結像型ロッドレンズアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子の、前記一対の電極層とともに電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射する光照射手段と、
前記電圧印加手段による電圧印加の終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する抵抗制御手段と、
を含み、
前記電圧印加手段が、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させた後に電圧印加を終了し、前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御されることを特徴とする光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項2】
さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする請求項1に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項3】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放するように制御する手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項4】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する手段であることを特徴とする請求項1または2に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項5】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に配された可変抵抗器であることを特徴とする請求項1または2に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項6】
前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧であり、
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに配された整流器であることを特徴とする請求項1または2に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項7】
少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子の前記一対の電極層と電圧印加手段とで電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加しつつ、前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射することにより画像を書き込む書き込み工程と、
書き込み工程終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させる補正電位調整工程と、
次いで前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるようにしつつ電圧印加を終了させる終了工程と、
からなることを特徴とする光書き込み型表示素子の駆動方法。
【請求項8】
補正電位調整工程において、さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする請求項7に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項9】
終了工程において電圧印加を終了させる際に、前記電圧印加回路を開放するようにすることを特徴とする請求項7または8に記載の光書き込み型表示素子の駆動装置。
【請求項10】
終了工程において電圧印加を終了させる際に、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるようにすることを特徴とする請求項7または8に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【請求項11】
前記電圧印加回路中に可変抵抗器を配しておき、終了工程において電圧印加を終了させる際に、当該可変抵抗器を高抵抗化することを特徴とする請求項7または8に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【請求項12】
前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに整流器を配しておき、
書き込み工程において前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧とすることを特徴とする請求項7または8に記載の光書き込み型表示素子の駆動方法。
【請求項13】
少なくとも表示側が透明である一対の電極層の間に、少なくとも、特定波長域の光を吸収して該吸収した光の光量に応じて電気特性が変化する光導電層、および、光を透過または反射する表示画像を形成し得る光変調層が積層挟持されてなる光書き込み型表示素子と、
前記一対の電極層とともに電圧印加回路を形成し、当該両電極層間に電圧を印加する電圧印加手段と、
前記光書き込み型表示素子の表示側またはその裏面側から書き込み光を照射する光照射手段と、
前記電圧印加手段による電圧印加の終了時に、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する抵抗制御手段と、
を含み、
前記電圧印加手段が、書き込み光照射とともに為される電圧印加終了時に生じている前記電圧印加回路における過渡電位を略相殺する補正電位になるように、最終パルス電圧から直ちに電圧を降下させた後に電圧印加を終了し、前記抵抗制御手段による動作が為されるように制御されることを特徴とする光書き込み型表示装置。
【請求項14】
さらに、最終パルス電圧から降下させた補正電位を一定時間保持することを特徴とする請求項13に記載の光書き込み型表示装置。
【請求項15】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放するように制御する手段であることを特徴とする請求項13または14に記載の光書き込み型表示装置。
【請求項16】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路を開放することなく、前記電圧印加回路における前記光書き込み型表示素子と前記電圧印加手段との間の電流について、少なくとも前記一対の電極間の電位差を小さくする方向の電流に対する抵抗が、前記電圧印加手段による電圧印加時に比べて大きくなるように制御する手段であることを特徴とする請求項13または14に記載の光書き込み型表示装置。
【請求項17】
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に配された可変抵抗器であることを特徴とする請求項13または14に記載の光書き込み型表示装置。
【請求項18】
前記電圧印加手段により前記一対の電極層の間に印加する電圧が直流電圧であり、
前記抵抗制御手段が、前記電圧印加回路中に、印加電圧により生じる電流方向への電気抵抗がその逆方向の電気抵抗に比して低くなる向きに配された整流器であることを特徴とする請求項13または14に記載の光書き込み型表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−258257(P2009−258257A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105329(P2008−105329)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】