説明

光書き込み装置及び画像形成装置

【課題】画像形成装置に含まれる画像処理部及びエンジン部について構成を複雑化させることなくディザ法による高精度な濃度補正を可能とする。
【解決手段】各画素が識別情報によって構成された所定画素数のディザパターンを、異なる複数の濃度に応じて複数記憶しているパターン記憶部201と、LEDA111の解像度に応じて設定された画素の情報と識別情報とが関連付けられた画素設定情報を記憶している画素設定情報記憶部202とを含み、複数のディザパターン毎にディザパターンを繰り返し配置すると共に画素設定情報に基づいて各画素を設定して生成した画素情報に基づいてLEDA111を発光させることにより補正用パターンを形成し、補正用パターンの濃度に応じた読み取り信号を取得し、読み取り信号が予め定められた基準濃度に最も近いパターンに用いられたディザパターンの情報を選択して出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み装置及び画像形成装置に関し、特に、装置の経時変化による濃度変動のディザによる補正に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置のうち、電子化された書類の出力に用いられる画像形成装置においては、電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。電子写真方式の画像形成装置においては、感光体を露光することにより静電潜像を形成し、トナー等の顕色剤を用いてその静電潜像を現像してトナー画像を形成し、そのトナー画像を用紙に転写することによって紙出力を行う。
【0004】
ここで、現像によって形成されるトナー画像の濃度は、装置の経時変化に伴い、様々な要因によって変動する。考えられる要因は、例えば、感光体ドラムの摩耗や光源の劣化による露光条件の変化や感光体ドラムの劣化による帯電条件の変化等である。
【0005】
このような装置の経時変化による濃度変動を補正する方法として、上述した露光条件や帯電条件を調整する方法の他に、画像処理によって濃度を補正する方法が用いられている。この画像処理によって濃度を補正する方法はディザ法と呼ばれ、画像形成出力するべき画像を構成する画素を間欠的に間引いて無色の画素とすることにより、画像に悪影響が出ないように画像の濃度を変化させる方法である。
【0006】
このようなディザ法による濃度調整によって濃度変動の補正を実現するため、所定期間毎に濃度の異なる複数のディザパターンを出力し、そのパターンを読み取ることによって得られた濃度に基づき、適用するディザパターンを選択して濃度を調整することが知られている。例えば、互いに関連付けられた階調数の異なる2種類のディザ階調を持ち、低階調ディザでパターンを生成し、センサからの補正情報を関連付けに従って高階調ディザに反映する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、画像形成装置において画像形成出力するべき画像のリップデータ、即ち画素データを生成する画像処理部と、画素データに基づいて実際に画像形成出力を行うエンジン部とは、別々のユニットとして構成される。従って、画像処理部とエンジン部とは別々に設計されるものであり、互換性を考慮した設計が求められる。
【0008】
ここで、上述した露光条件や帯電条件を調整する方法であれば、エンジン部のみで完結可能であるため、画像処理部との互換性を考慮する必要はない。これに対して、上述したディザ法の場合、一般的に画像に対してディザ処理を行うのは画像処理部であるため、エンジン部と画像処理部との対応関係を考慮する必要がある。
【0009】
ディザ法による濃度調整を行うためには、上述したように濃度の異なる複数のディザパターンを出力するが、そのディザパターンの解像度はエンジン部に合わせる必要がある。そのため、様々なエンジン部に対応した画像処理部を設計する場合、様々な解像度に対応したディザパターンを用意する必要があり、画像処理部に求められるメモリ容量が増大する。そして、様々な解像度に対応したディザパターンを用意したとしても、使用されるのは、接続されたエンジン部の解像度に対応するディザパターンのみであり、記憶容量の大半は無駄になってしまう。
【0010】
また、特許文献1に記載された方法を用いる場合、パターン生成用の低階調ディザと高階調ディザとを関連付けることによってメモリ量を低減することはできるが、パターンを低階調ディザによって形成するため、補正の分解能が低く、高精度な補正ができない。
【0011】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、画像形成装置に含まれる画像処理部及びエンジン部について構成を複雑化させることなくディザ法による高精度な濃度補正を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、感光体上に静電潜像を形成する光源を制御する光書き込み装置であって、所定の画素数によって構成されるディザパターンの情報であって、各画素が識別情報によって構成される情報を、異なる複数の濃度に応じて複数記憶しているパターン記憶部と、前記光源の解像度に応じて設定された前記各画素の有色/無色を示す情報と前記識別情報とが関連付けられた画素設定情報を記憶している画素設定情報記憶部と、画素情報に基づいて前記光源を発光させる発光制御部と、前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成されて搬送される画像を光学的に読み取った読み取り信号を取得する読取信号取得部と、前記読み取り信号に基づいて前記複数のディザパターンの情報から一のディザパターンの情報を選択して出力するディザパターン選択部とを含み、前記発光制御部は、前記ディザパターンの選択動作において、前記記憶されている複数のディザパターン毎に、夫々のディザパターンを繰り返し配置して所定面積のパターンを構成すると共に前記画素設定情報に基づいて前記ディザパターンを構成する各画素の有色/無色を設定して生成した画素情報に基づいて前記光源を発光させることにより、濃度の異なる複数の所定面積のパターンの静電潜像を形成し、前記読み取り信号取得部は、前記濃度の異なる複数の所定面積のパターン夫々の濃度に応じた読み取り信号を取得し、前記ディザパターン選択部は、前記濃度の異なる複数の所定面積のパターンのうち、前記読み取り信号が予め定められた基準濃度に最も近いパターンを形成するために用いられたディザパターンの情報を選択して出力することを特徴とする。
【0013】
本発明の他の態様は、印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する画像形成装置であって、取得した前記印刷ジョブに応じて、画像形成出力するべき画像の画像処理を行う画像処理部と、請求項1乃至3いずれかに記載の光書き込み装置とを含み、前記画像処理部は、前記光書き込み装置から出力された前記ディザパターンの情報を用いて画像処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画像形成装置に含まれる画像処理部及びエンジン部について構成を複雑化させることなくディザ法による高精度な濃度補正を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の機能構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリントエンジンの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る光書き込み装置の機能構成示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る補正用パターンの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るディザパターンに用いられる画素の情報を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る補正用パターンの形成態様を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るディザパターンによる濃度補正動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態に係る補正用パターンの読み取り信号の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置としての複合機(MFP:Multi Function Peripheral)を例として説明する。尚、画像形成装置は複合機でなくとも良く、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等であっても良い。
【0017】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成に加えて、画像形成を実行するエンジンを有する。即ち、本実施形態に係る画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)11、ROM(Read Only Memory)12、エンジン13、HDD(Hard Disk Drive)14及びI/F15がバス18を介して接続されている。また、I/F15にはLCD(Liquid Crystal Display)16及び操作部17が接続されている。
【0018】
CPU10は演算手段であり、画像形成装置1全体の動作を制御する。RAM11は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM12は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン13は、画像形成装置1において実際に画像形成を実行する機構である。
【0019】
HDD14は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F15は、バス18と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD16は、ユーザが画像形成装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部17は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。
【0020】
このようなハードウェア構成において、ROM12やHDD14若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM11に読み出され、CPU10がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像形成装置1の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0021】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成について説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ20、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)21、スキャナユニット22、排紙トレイ23、ディスプレイパネル24、給紙テーブル25、プリントエンジン26、排紙トレイ27及びネットワークI/F28を有する。
【0022】
また、コントローラ20は、主制御部30、エンジン制御部31、入出力制御部32、画像処理部33及び操作表示制御部34を有する。図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット22、プリントエンジン26を有する複合機として構成されている。尚、図2においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0023】
ディスプレイパネル24は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F28は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0024】
コントローラ20は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM12や不揮発性メモリ並びにHDD14や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM11等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU10の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ20が構成される。コントローラ20は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0025】
主制御部30は、コントローラ20に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ20の各部に命令を与える。エンジン制御部31は、プリントエンジン26やスキャナユニット22等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部32は、ネットワークI/F28を介して入力される信号や命令を主制御部30に入力する。また、主制御部30は、入出力制御部32を制御し、ネットワークI/F28を介して他の機器にアクセスする。
【0026】
画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン26が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報であり、出力するべき画像を構成する画素の情報、即ち画素情報である。また、印刷ジョブに含まれる印刷情報とは、PC等の情報処理装置にインストールされたプリンタドライバによって画像形成装置1が認識可能な形式に変換された画像情報である。
【0027】
尚、画像処理部33は、描画情報の生成に際して、定められているディザパターンを印刷出力するべき画像情報に適用する。即ち、定められているディザパターンに従って、印刷出力するべき画像情報の画素を間欠的に間引き、濃度を調整する。このディザパターンを装置の経時変化に応じて選択し直す動作が、本実施形態に係る要旨である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル24に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル24を介して入力された情報を主制御部30に通知する。
【0028】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部32がネットワークI/F28を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部32は、受信した印刷ジョブを主制御部30に転送する。主制御部30は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0029】
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部31は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル25から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン26が画像形成部として機能する。プリントエンジン26によって画像形成が施された用紙は排紙トレイ27に排紙される。
【0030】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル24の操作若しくはネットワークI/F28を介して外部のPC等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部34若しくは入出力制御部32が主制御部30にスキャン実行信号を転送する。主制御部30は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部31を制御する。
【0031】
エンジン制御部31は、ADF21を駆動し、ADF21にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット22に搬送する。また、エンジン制御部31は、スキャナユニット22を駆動し、ADF21から搬送される原稿を撮像する。また、ADF21に原稿がセットされておらず、スキャナユニット22に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット22は、エンジン制御部31の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット22が撮像部として動作する。
【0032】
撮像動作においては、スキャナユニット22に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部31は、スキャナユニット22が生成した撮像情報を画像処理部33に転送する。画像処理部33は、主制御部30の制御に従い、エンジン制御部31から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部33が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。即ち、スキャナユニット22、エンジン制御部31及び画像処理部33が連動して、原稿読み取り部として機能する。
【0033】
画像処理部33によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部32及びネットワークI/F28を介して外部の装置に送信される。即ち、ADF21及びエンジン制御部31が画像入力部として機能する。
【0034】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部31がスキャナユニット22から受信した撮像情報若しくは画像処理部33が生成した画像情報に基づき、画像処理部33が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部31がプリントエンジン26を駆動する。
【0035】
次に、本実施形態に係るプリントエンジン26の構成について、図3を参照して説明する。図3に示すように、本実施形態に係るプリントエンジン26は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106が並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102と分離ローラ103とにより分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106BK、106M、106C、106Yが配列されている。
【0036】
これら複数の画像形成部106BK、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106BKはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106BKについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Yは画像形成部106BKと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Yの各構成要素については、画像形成部106BKの各構成要素に付したBKに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0037】
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0038】
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106BKが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106BKは、感光体としての感光体ドラム109BK、この感光体ドラム109BKの周囲に配置された帯電器110BK、光書き込み装置200、現像器112BK、感光体クリーナ(図示せず)、除電器113BK等から構成されている。光書き込み装置200は、夫々の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
【0039】
画像形成に際し、感光体ドラム109BKの外周面は、暗中にて帯電器110BKにより一様に帯電された後、光書き込み装置200からのブラック画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112BKは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109BK上にブラックのトナー画像が形成される。
【0040】
このトナー画像は、感光体ドラム109BKと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115BKの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109BKは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナにより払拭された後、除電器113BKにより除電され、次の画像形成のために待機する。
【0041】
以上のようにして、画像形成部106BKにより搬送ベルト105上に転写されたブラックのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106BKでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0042】
搬送ベルト105上に転写されたブラック、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
【0043】
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
【0044】
このような画像形成装置1においては、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの軸間距離の誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの平行度誤差、光書込み装置200内での光源の設置誤差、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yへの静電潜像の書込みタイミング誤差等により、本来重ならなければならない位置に各色のトナー画像が重ならず、各色間で位置ずれが生ずることがある。
【0045】
また、同様の原因により、転写対象である用紙において本来画像が転写される範囲から外れた範囲に画像が転写されることがある。このような位置ずれの成分としては、主にスキュー、副走査方向のレジストずれ、主走査方向の倍率誤差、主走査方向のレジストずれ等が知られている。また、用紙を搬送する搬送ローラの回転速度の誤差や摩耗による搬送量の誤差等が知られている。
【0046】
このような位置ずれを補正するため、パターン検知センサ117が設けられている。パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yによって搬送ベルト105上に転写された位置ずれ補正用パターンを読み取るための光学センサであり、搬送ベルト105の表面に描画された補正用パターンを照射するための発光素子及び補正用パターンからの反射光を受光するための受光素子を含む。
【0047】
図3に示すように、パターン検知センサ117は、感光体ドラム109BK、109M、109C及び109Yの下流側において、搬送ベルト105の搬送方向と直行する方向に沿って同一の基板上に支持されている。更に、本実施形態に係るパターン検知センサ117は、装置の経時変化による濃度変動を補正するための補正用パターンを読み取るためのセンサとしても用いられる。
【0048】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置200について説明する。図4は、本実施形態に係る光書き込み装置200と感光体ドラム109との配置関係を示す図である。図4に示すように、各色の感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に照射される照射光は、光源であるLEDA(LED Array)111BK、111M、111C、111Y(以降、総じてLEDA111とする)から照射される。
【0049】
LEDA111は、発光素子であるLEDが、感光体ドラム109の主走査方向に並べられて構成されている。光書き込み装置200に含まれる制御部は、主走査方向に並べられている夫々のLEDの点灯/消灯状態を、出力すべき画像のデータに基づいて主走査ライン毎に制御することにより、感光体ドラム109の表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
【0050】
次に、本実施形態に係る光書き込み装置200の制御ブロックについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る光書き込み装置200の機能構成と、LEDA111、パターン検知センサ117及びコントローラ20との接続関係を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係る光書き込み装置200は、パターン記憶部201、画素設定情報記憶部202、基準値記憶部203、検知信号取得部204、検知結果判断部205及びLED書き込み制御回路210を含む。また、LEDA書き込み制御回路210は、周波数変換部211、パターン制御部212、スキュー補正部213、階調制御部214及びLEDA制御部215を含む。
【0051】
尚、本実施形態に係る光書き込み装置200は、図1において説明したようなCPU10や、RAM11並びにROM12等の記憶媒体といった情報処理機構を含み、画像形成装置1のコントローラ20と同様に、ROM12等の記憶媒体に記憶されている制御プログラムがRAM11にロードされ、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって構成される。
【0052】
また、以降の説明においては、LEDA111及びパターン検知センサ117に対する光書き込み装置200の構成及び機能について説明するが、図3、図4において説明したように、LEDA111は感光体ドラム109BK、109M、109C、109Y夫々に対応して設けられておいる。従って、光書き込み装置200は、各色のLEDA111及び感光体ドラム109毎に制御を行う機能を有する。
【0053】
パターン記憶部201は、本実施形態の要旨に係る構成の1つであり、光書き込み装置200が、経時変化による出力画像の濃度変動に対応するために実行する濃度変動の補正処理において生成する補正用のパターンを生成するための情報を記憶している記憶部であり、ROM12や図示しないフラッシュROM等の記憶媒体によって実現される。また、この補正用のパターンは、上記補正処理の結果に基づき、画像処理部33がディザ処理を行う際のディザパターンとしても用いられる。図6(a)、(b)を参照して、パターン記憶部201が記憶している補正用パターンについて説明する。
【0054】
図6(a)は、本実施形態において生成される補正用パターンの構成を示す図である。図6(a)に示すように、本実施形態に係る補正用パターンは、ディザパターンが繰り返し配置されることによって構成されている。例えば、600dpi(dot per inch)で2cm四方の正方形を形成するためには、472×472で約223200dotが必要となる。本実施形態においては、8×8で64dotのディザパターンを繰り返すことにより、2cm四方の正方形の補正用パターンが形成される。そして、パターン記憶部201は、この64dotのディザパターンを記憶している。
【0055】
図6(b)は、上述した8×8のディザパターンを示す図である。図6(b)に示すように。本実施形態に係るディザパターンは、8×8の64画素によって構成されている。そして、夫々の画素は、“psdat00”から“psdat77”までマトリクス状にIDが割り振られており、各画素は図中に“3:0”と示すように4ビットによって表現される。この4ビットの値は、各画素の内容を指定するための値、即ち、各画素に対応するLEDA111の発光状態を指定する発光IDである。これにより、図6(b)に示すディザパターン1つは、8×8×4で256ビットによって表現される。
【0056】
本実施形態に係る濃度補正処理においては、図8に示すように、異なる濃度の補正用パターンを形成するために構成された8種類のディザパターンに基づいて濃度の異なる8通りのパターンが搬送ベルト105上に形成され、そのパターンのパターン検知センサ117による読み取り結果に基づいて最適なディザパターンが選択される。従って、パターン記憶部201は、少なくとも8種類のディザパターンを記憶している。
【0057】
更に説明すると、上述したように濃度の異なる8種類のディザパターンの構成については、有色画素と無色画素との配置によって縦スジ、横スジやうねり等の画像ノイズが発生しないような画素の配置が経験的に判明している。従って、パターン記憶部201には、画像ノイズが発生しないようなディザパターンが、8通りの濃度夫々に応じて構成されて記憶される。また、本実施形態においては、CMYK夫々の色毎に、濃度の異なる8通りのパターンが搬送ベルト105上に形成され、夫々の色毎に濃度補正処理が実行される。
【0058】
画素設定情報記憶部202は、図6(b)に示す4ビットの値に対応した画素の情報である画素設定情報を記憶している記憶部であり、ROM12や図示しないフラッシュROM等の記憶装置によって実現される。図7を参照して、画素設定情報記憶部202が記憶している情報について説明する。図7に示すように、画素設定情報記憶部202は、上記4ビットによって表現される“発光ID”と、夫々の発光IDに関連付けられた画素を示す情報とを含む。
【0059】
ここで、経時変化による濃度変動の補正処理に際しては、その画像形成装置におけるプリントエンジン26に対応した解像度の補正用パターンを生成する必要がある。そして、プリントエンジン26に対応させるとは、即ち、プリントエンジン26に含まれるLEDA111の解像度に対応させることである。そのため、画素設定情報記憶部202は、そのプリントエンジン26に搭載されているLEDA111の解像度に対応した画素の情報を記憶している。図7においては、図示の容易化のため、一の発光IDに夫々の解像度に対応する画素の情報を関連付けて示しているが、画素設定情報記憶部202が実際に記憶しているのは、搭載されているLEDA111の解像度に対応した画素の情報である。
【0060】
また、図6(a)、(b)において説明したとおり、本実施形態においては、600dpiの場合において2cm四方の補正用パターンを形成するためのに、8×8の64画素のディザパターンを繰り返し形成することを前提としている。即ち、図6(b)に示すディザパターンの一画素は、600dpiにおける一画素である。そのため、縦横1200dpiの場合は、一の発光IDに2行2列の画素を関連付けることによって解像度を対応させる。
【0061】
同様に、1200dpi×2400dpiの場合は、4行2列、2400dpi×2400dpiの場合は、4行4列の画素の情報を、一の発光IDに関連付けることにより、夫々のプリントエンジン26に搭載されているLEDA111の解像度に対応したディザパターンとなり、夫々のプリントエンジン26に対応した補正用パターンを生成することが可能となる。
【0062】
尚、本実施形態においては、600dpi×600dpiのように、白黒の二種類しかない場合であっても4ビット16通りの夫々のIDに白黒のいずれかの画素の情報が関連付けられている。これにより、搭載されるLEDA111の解像度に関わらず、光書き込み装置200の設計フォーマットを統一することができ、設計負荷を低減することができる。
【0063】
上述したように、本実施形態に係る濃度補正処理においては、異なる濃度の補正用パターンを形成するために構成された8種類のディザパターンに基づいて濃度の異なる8通りのパターンが搬送ベルト105上に形成される。そして、8種類のディザパターンは、図6(b)に示す“psdat00”から“psdat77”の夫々において指定される発光IDの選択によって実現される。
【0064】
基準値記憶部203は、本実施形態に係る濃度補正処理において、パターン検知センサ117による読み取り結果と比較する比較対照である基準濃度データを記憶している記憶部であり、ROM12や図示しないフラッシュROM等の記憶装置によって実現される。パターン検知センサ117による検知濃度の情報は、例えば検知信号の電圧値によって表現される。その場合、基準値記憶部203は、基準となる濃度に対応した電圧値の情報を記憶している。
【0065】
検知信号取得部204は、パターン検知センサ117による検知信号をデジタルデータとして取得する。即ち、検知信号取得部204は、補正用パターンの読み取り信号を取得する読取信号取得部である。パターン検知センサ117は、搬送ベルト105上に形成された補正用パターンに光を照射してその反射光の強度に応じた電気信号を出力するため、出力される検知信号はアナログ信号である。検知信号取得部204は、そのアナログ信号に対して、増幅、フィルタリング、A/D変換等の処理を行うとともに、所定のサンプリング周波数に従ってデジタルデータとしてのパターン検知センサ117の検知信号を取得する。このような機能を実現するため、検知信号取得部204は、増幅器、フィルタ、A/D変換器等のハードウェアと、データをサンプリングして記憶媒体に格納するソフトウェア制御部とによって実現される。
【0066】
検知結果判断部205は、検知信号取得部204が取得した検知結果と、基準値記憶部203に記憶されている基準濃度データとを比較し、上述した8通りのパターン夫々についての検知結果のうち、最も基準値記憶部203に記憶されている基準濃度データに近いパターンに対応するディザパターンを選択するディザパターン選択部である。そして、検知結果判断部205は、選択したディザパターンをパターン記憶部201から取得するとともに、画素設定情報記憶部202に記憶されている画素の情報を取得し、コントローラ20に出力する。これにより、コントローラ20が次回の画像形成出力において用いるディザパターンが更新され、経時変化に対する濃度補正処理が完了する。検知結果判断部205は、RAM11にロードされたソフトウェア・プログラムに従ってCPU10が演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部によって実現される。
【0067】
LEDA書き込み制御回路210は、コントローラ20から入力される描画情報に基づいてLEDA111の発光を制御する発光制御部であり、集積回路等のハードウェアによって構成される。周波数変換部211は、コントローラ20から入力される描画情報をLEDA書き込み制御回路210の動作周波数に対応させて出力する。パターン制御部212は、上述した補正用パターンの生成を制御する。そのため、パターン制御部212は、パターン記憶部201に記憶されているディザパターンを取得し、図6(a)において説明したようなディザパターンの繰り返しによって構成される画素の情報を描画情報として出力する。
【0068】
尚、コントローラ20によって制御される通常の画像形成出力動作の場合、周波数変換部211から入力される描画情報は、パターン制御部212において特に処理を施されることなくスキュー補正部213に入力される。スキュー補正部213は、LEDA111と感光体ドラム109との配置による誤差等、様々な要因によって生じる画像のスキューを補正する。スキュー補正に関するパラメータ値は光書き込み装置200に含まれる記憶装置に記憶されており、光書き込み装置20に含まれるCPU10の制御によってスキュー補正部213に入力される。スキュー補正部213は、入力されたパラメータ値に従ってスキュー補正を実行する。
【0069】
階調制御部214は、スキュー補正部213から多階調の画像情報として入力される描画情報を、有色/無色の二階調に変換し、最終的にLEAD111を発光制御するための画素情報を生成する。また、本実施形態に係る階調制御部214は、濃度変動補正処理において、図6(b)に示すように、ディザパターンにおいて指定された発光IDに基づき、画素設定情報記憶部202に記憶されている画素設定情報を取得して、最終的にLEDA111を発光制御するための画素情報を生成する。LEDA制御部215は、階調制御部214から入力された画素情報に基づき、動作周波数に従ってLEDA111の発光を制御する。
【0070】
このように、本実施形態に係る光書き込み装置200においては、想定されるLEDA111の解像度のうち、比較的低い解像度である600dpiを基準として、図6(a)、(b)に示すようにディザパターンが構成され、パターン記憶部201に記憶されている。また、ディザパターンにおいては、各画素の階調値を直接指定するのではなく、ルックアップテーブルのようにIDが指定されている。そして、画素設定情報記憶部202は、搭載されるLEDA111の解像度に応じて、夫々のIDに応じた画素の情報を記憶している。
【0071】
上述したように、600dpiの場合、各画素が4ビットで表現される8×8のパターン1つあたりの記憶容量は256ビット(32バイト)である。これに対して、1200dpiの場合に、同じ面積のパターンを表現するための情報量はその4倍、2400dpiの場合に、同じ面積のパターンを表現するための情報量はその16倍となり、必要な容量は解像度に応じて飛躍的に上昇し、その結果光書き込み装置200に実装するべきメモリの容量が増加してしまう。
【0072】
これに対して、ディザパターンそのものは600dpiに対応して構成し、1200dpi、2400dpi等の高解像度に対応するパターンについては、図7に示すように、1の発光IDによって指定される画素の情報を高解像度に対応させることによって、ディザパターンそのものが600dpiに対応して構成されたものであっても、最終的に生成される補正用パターンを高解像度に対応したパターンとすることができ、高精度な濃度補正を実現することができる。
【0073】
換言すると、本実施形態においては、図6(b)に示すディザパターンを、LEDA111の解像度よりも低い解像度で構成すると共に、図7に示す画素設定情報において、ディザパターンとLEDA111との解像度の比率に応じて複数の画素の有色/無色の設定を行っている。これにより、ディザパターンの情報容量を低減し、光書き込み装置200に搭載するべきメモリ容量の削減やパターン制御部212による処理負荷若しくは回路規模の低減を実現している。
【0074】
また、図7の“1200dpi×1200dpi”〜“2400dpi×2400dpi”に示すように、1つの発光IDに複数画素の有色/無色を示す情報を関連付ける場合、“600dpi×600dpi”のように白黒のいずれかのみを関連付ける場合よりも必要な情報量は増えるが、4ビットによって指定される16個の発光ID分について画素の情報を記憶しておけば良いため、ディザパターンそのものを高解像度化する場合の様に容量の飛躍的な増加にはならず、光書き込み装置200に実装するべき記憶容量を削減することが可能となる。
【0075】
更に、本実施形態に係る光書き込み装置200は、ディザパターンによる濃度調整動作を、コントローラ20から描画情報を取得することなく独自に実行する。そのため、濃度調整動作のためにコントローラ20との互換性を考慮する必要がなく、コントローラ20及び光書き込み装置200の設計時の負荷を軽減することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態に係るディザパターンによる濃度調整動作に際しては、コントローラ20による画像処理が不要であるため、LEDA書き込み制御回路210は、濃度調整動作を実行する際に、コントローラ20の処理を待つ必要がなく、濃度調整動作に要する時間を短縮することが可能となる。これにより、コントローラ20とLEDA書き込み制御回路210とで処理負荷を分散し、画像形成装置1の装置運用を効率化することが可能となる。
【0077】
また、画像処理機能がPCに依存するプリンタにおいては、プリンタに搭載されたLEDA111の解像度以上の過剰なディザパターンによるディザ処理が施される場合や、LEDA111の解像度よりも低い解像度のディザパターンによるディザ処理が施される場合等、画像処理機能とプリンタ性能とのミスマッチによる非効率性がある。これに対して、本実施形態に係る光書き込み装置200は、検知結果判断部205が決定したディザパターンをコントローラ20に出力し、コントローラ20が、上記決定されたディザパターンに従ってディザ処理を行う。即ち、プリントエンジン26によって決定されたディザパターンを用いて画像処理を行うため、ディザ処理がプリントエンジン26に完全に対応した処理となる。これにより、コントローラ20においては、無駄な処理が実行されるや、LEDA111の性能が発揮されない場合等の、装置運用の非効率性を回避することができる。
【0078】
尚、上述したように、光書き込み装置200は、各色のLEDA111及び感光体ドラム109毎に制御を行う機能を有する。この機能は、LEDA書き込み制御回路210が、各色のLEDA111毎に設けられることによって実現される。コントローラ20がディザパターンによる濃度変動の補正動作を制御する場合、各色のLEDA111に対するディザパターンの処理は、コントローラ20が全て実行することになるが、本実施形態の場合、各色のLEDA書き込み制御回路210が夫々実行するため、処理を分散し装置を効率的に制御することができる。
【0079】
次に、本実施形態に係るディザパターンによる濃度調整動作について、図9を参照して説明する。図9は、本実施形態に係るディザパターンによる濃度調整動作を示すフローチャートである。図9に示すように、LEDA書き込み制御回路210は、所定のタイミングでディザパターンによる濃度調整動作を開始すると、まずパターンの生成を開始する(S901)。
【0080】
ここで、LEDA書き込み制御回路210がディザパターンによる濃度調整動作を開始するタイミングは、光書き込み装置200を構成するCPU10が、RAM11にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより判断する。具体的には、画像形成装置1のPOR(Power On Reaet)時や、省電力状態からの復帰処理時、コントローラ20の制御に従って画像形成出力を実行する際の初期化処理時等である。また、光書き込み装置200は、上述した位置ずれ補正動作の際に、本実施形態に係るディザパターンによる濃度調整動作をも実行してもよい。
【0081】
光書き込み制御回路210は、パターンの生成を開始すると、パターン記憶部201から8種類のディザパターンを取得するとともに画素設定情報記憶部202から発光IDに対応した画素の情報を取得し、図8において説明したように、濃度の異なる8種類の補正用パターンが生成されるようにLEDA111を発光制御する。
【0082】
S901により、搬送ベルト105上に補正用パターンが形成されると、パターン検知センサ117が搬送ベルト105上に形成された補正用パターンの検知信号を出力し、検知信号取得部204がその検知信号を取得する(S902)。検知信号取得部204は、上述したように、アナログデータである検知信号に基づいて検知信号のデジタルデータを生成し、生成した検知信号のデジタルデータをRAM11等の記憶媒体に記憶させる。
【0083】
ここで、検知信号取得部204による検知信号のデジタルデータ(以降、検知濃度データとする)の取得態様について、図10を参照して説明する。図10は、検知信号取得部204が取得する検知濃度データを時系列に示す図である。上述したように、本実施形態に係る補正用パターンは、濃度の異なる8通りのパターンとして形成される。そのため、検知濃度データとしては、8通りの補正用パターンの検知濃度データが時系列に取得される。
【0084】
本実施形態においては、無地、即ち白色が検知信号の信号強度、即ち電圧が最も高く、濃度が高くなるに従って信号強度が低くなる。そのため、図10に示すように、時系列の検知濃度データにおいては、時系列に8つの信号強度の落ち込みが生じ、1つの落ち込みにおける信号強度が1つの濃度の検知信号の信号強度を示す。図10においては、補正用パターンの先頭が最も濃度が高く、順に濃度が低くなる場合を例としている。
【0085】
検知信号取得部204は、図10に示すように取得した時系列の検知濃度データを解析して検知信号の落ち込みを識別し、その落ち込み部分における信号強度を検知濃度として取得する(S903)。尚、1つの落ち込みにおける検知信号は、必ずしも一定ではなく、図10に示すように、検知誤差による微小変動を含む。そのため、検知信号取得部204は、夫々の落ち込み毎に平均値や中間値を取得する処理を行い、夫々の落ち込み毎に1つの検知濃度データを取得する。更に、検知信号取得部204は、夫々の落ち込みの順番と上記取得した検知濃度データとを関連付け、RAM11等の記憶媒体に格納する。
【0086】
検知信号取得部204が、信号の落ち込みを検知することにより8通りの補正用パターン夫々の検知濃度データを取得して記憶媒体に記憶させると、検知結果判断部205は、記憶媒体に記憶された検知濃度データ夫々と基準値記憶部203に記憶されている基準濃度データとを比較し、夫々の検知濃度データと基準濃度データとの差を求める(S904)。
【0087】
8通りの検知濃度データ夫々について、基準濃度データとの差を求めると、検知濃度判断部205は、差が最も小さい検知濃度データが、図10に示す8回の検知信号の落ち込みのうち何回目の落ち込みの値によって生成された検知濃度データであるかに基づき、最適なディザパターンを決定する(S905)。
【0088】
検知濃度判断部205は、補正用パターンが形成される際、パターン記憶部201に記憶されている8種類のディザパターンが、どのような順番で用いられるかを示す情報を予め記憶しており、上述したように差が最も小さい検知濃度データの元となる検知信号の落ち込みの順番に基づいて、最適なディザパターンを判断する。換言すると、S905において、検知濃度判断部205は、8通りの補正用パターンのうち、検知濃度が基準濃度データに最も近い補正用パターンに用いられているディザパターンを選択する。
【0089】
S905により最適なディザパターンを決定すると、検知濃度判断部205は、最適なディザパターンの情報をパターン記憶部201から取得するとともに、図7に示す発光IDと画素の情報とが関連付けられた情報を取得し、コントローラ20に出力する(S906)。これにより、コントローラ20の画像処理部33は、プリントエンジン26の経時変化による濃度変動に対応したディザパターンによりディザ処理を実行し、画像形成出力によって形成される画像の濃度を調整することができる。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る光書き込み装置200及びそれを含む画像形成装置1においては、画像形成装置に含まれる画像処理部及びエンジン部について構成を複雑化させることなくディザ法による高精度な濃度補正が可能となる。
【0091】
尚、上記実施形態においては、検知信号取得部204が、信号強度の落ち込みに基づいて補正用パターンの検知信号を判断する場合を例として説明した。これに限らず、検知信号取得部204は、補正用パターンがパターン検知センサ117の検知位置に到達するタイミングに応じて検知信号を取得するようにしても良い。
【0092】
例えば、検知信号取得部204が、LEDA制御部215がLEDA111を発光制御して補正用パターンの形成を開始してから、補正用パターンがパターン検知センサ117の検知位置に到達するまでの期間の情報を予め記憶しておき、LEDA制御部215がLEDA111を発光制御して補正用パターンの形成を開始してからのタイマのカウント値に基づいて検知信号を取得するタイミングを判断することにより、補正用パターンの検知信号を取得することが可能であり、上記と同様に動作可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 エンジン
14 HDD
15 I/F
16 LCD
17 操作部
18 バス
20 コントローラ
21 ADF
22 スキャナユニット
23 排紙トレイ
24 ディスプレイパネル
25 給紙テーブル
26 プリントエンジン
27 排紙トレイ
28 ネットワークI/F
30 主制御部
31 エンジン制御部
32 入出力制御部
33 画像処理部
34 操作表示制御部
101 給紙トレイ
102 給紙ローラ
103 分離ローラ
104 用紙
105 搬送ベルト
106BK、106C、106M、106Y 画像形成部
107 駆動ローラ
108 従動ローラ
109BK、109C、109M、109Y 感光体ドラム
110BK 帯電器
111、111BK、111Y、111M、111C LEDA
112BK、112C、112M、112Y 現像器
113BK、113C、113M、113Y 除電器
115BK、115C、115M、115Y 転写器
116 定着器
117 パターン検知センサ
200 光書き込み装置
201 パターン記憶部
202 階調記憶部
203 基準値記憶部
204 検知信号取得部
205 検知結果判断部
210 LEDA書き込み制御回路
211 周波数変換部
212 パターン制御部
213 スキュー補正部
214 階調制御部
215 LEDA制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2004−336161号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に静電潜像を形成する光源を制御する光書き込み装置であって、
所定の画素数によって構成されるディザパターンの情報であって、各画素が識別情報によって構成される情報を、異なる複数の濃度に応じて複数記憶しているパターン記憶部と、
前記光源の解像度に応じて設定された前記各画素の有色/無色を示す情報と前記識別情報とが関連付けられた画素設定情報を記憶している画素設定情報記憶部と、
画素情報に基づいて前記光源を発光させる発光制御部と、
前記感光体上に形成された静電潜像が現像されることにより形成されて搬送される画像を光学的に読み取った読み取り信号を取得する読取信号取得部と、
前記読み取り信号に基づいて前記複数のディザパターンの情報から一のディザパターンの情報を選択して出力するディザパターン選択部とを含み、
前記発光制御部は、前記ディザパターンの選択動作において、前記記憶されている複数のディザパターン毎に、夫々のディザパターンを繰り返し配置して所定面積のパターンを構成すると共に前記画素設定情報に基づいて前記ディザパターンを構成する各画素の有色/無色を設定して生成した画素情報に基づいて前記光源を発光させることにより、濃度の異なる複数の所定面積のパターンの静電潜像を形成し、
前記読み取り信号取得部は、前記濃度の異なる複数の所定面積のパターン夫々の濃度に応じた読み取り信号を取得し、
前記ディザパターン選択部は、前記濃度の異なる複数の所定面積のパターンのうち、前記読み取り信号が予め定められた基準濃度に最も近いパターンを形成するために用いられたディザパターンの情報を選択して出力することを特徴とする光書き込み装置。
【請求項2】
前記ディザパターンの情報は、前記光源の解像度よりも低い解像度に対応して構成された情報であり、
前記画素設定情報における前記各画素の有色/無色を示す情報は、前記ディザパターンの情報の解像度と前記光源の解像度との比率に応じて複数画素の有色/無色が設定された情報であることを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記濃度の異なる複数の所定面積のパターンの静電潜像を連続して形成し、
前記読み取り信号取得部は、高濃度の読み取り対象程信号強度の低い信号を出力するセンサの出力信号を時系列に取得し、取得した時系列の信号における落ち込み部分を前記濃度の異なる複数の所定面積のパターン夫々に応じた読み取り信号として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の光書き込み装置。
【請求項4】
印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する画像形成装置であって、
取得した前記印刷ジョブに応じて、画像形成出力するべき画像の画像処理を行う画像処理部と、
請求項1乃至3いずれかに記載の光書き込み装置とを含み、
前記画像処理部は、前記光書き込み装置から出力された前記ディザパターンの情報を用いて画像処理を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−244589(P2012−244589A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116043(P2011−116043)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】