説明

光束分割装置、空間光変調ユニット、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法

【課題】 入射光束の強度分布に依存することなく、所望の強度分布を有する光束を複数の空間光変調器へ導くことのできる光束分割装置。
【解決手段】 光束分割装置は、入射光束を2つの光束に分割し、第1光束を第1光路に沿って導き且つ第2光束を第2光路に沿って導くために、所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素(30a)と、該複数の光学要素を駆動する駆動部(30c)とを有し、制御部(CR)からの制御信号に基づいて駆動部を駆動させる分割用空間光変調器(30)を備えている。分割用空間光変調器は、複数の光学要素のうちの第1群の光学要素を経た光が第1光路に沿って導かれ、且つ複数の光学要素のうちの第1群とは異なる第2群の光学要素を経た光が第2光路に沿って導かれるように、制御部によって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光束分割装置、空間光変調ユニット、照明光学系、露光装置、およびデバイス製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、例えば半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に好適な照明光学系に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズを介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳における所定の光強度分布)を形成する。以下、照明瞳での光強度分布を、「瞳強度分布」という。また、照明瞳とは、照明瞳と被照射面(露光装置の場合にはマスクまたはウェハ)との間の光学系の作用によって、被照射面が照明瞳のフーリエ変換面となるような位置として定義される。
【0003】
二次光源からの光束は、コンデンサー光学系により集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は投影光学系を介してウェハ上に結像し、ウェハ上にはマスクパターンが投影露光(転写)される。マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
【0004】
従来、アレイ状に配列され且つ傾斜角および傾斜方向が個別に駆動制御される多数の微小なミラー要素により構成された一対の可動マルチミラー(空間光変調器)を並列配置して、入射光束を反射面毎の微小単位に分割して偏向させることにより、光束の断面を所望の形状または所望の大きさに変換し、ひいては所望の瞳強度分布(すなわち所望の照明条件)を実現する照明光学系が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載された照明光学系では、プリズム等の屈折光学素子や回折光学素子などを用いて光源からの光束を2つの光束に波面分割し、一方の光束を第1空間光変調器へ導き、他方の光束を第2空間光変調器へ導いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0109417号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
並列配置された一対の空間光変調器を備えた照明光学系では、瞳強度分布の制御性を向上させるために、光源からの光束の強度分布に依存することなく、所望の強度分布を有する光束を各空間光変調器へ導くことが望まれる。具体的には、光源からの光束が不均一な強度分布を有する場合であっても、例えば均一な強度分布を有する光束を各空間光変調器へ導くことが望まれる。また、瞳強度分布の強度に関する自由度を向上させるために、第1空間光変調器へ導かれる第1光束と第2空間光変調器へ導かれる第2光束との間の光量比を変化させることが望まれる。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、入射光束の強度分布に依存することなく、所望の強度分布を有する光束を複数の空間光変調器へ導くことのできる光束分割装置を提供することを目的とする。また、本発明は、所望の強度分布を有する光束を複数の空間光変調器へ導く光束分割装置を備え、照明光学系に用いられて瞳強度分布の制御性を向上させることのできる空間光変調ユニットを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、複数の空間光変調器を備えた空間光変調ユニットを用いて多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、多様性に富んだ照明条件を実現する照明光学系を用いて、転写すべきパターンの特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、入射光束を複数の光束に分割し、該複数の光束のうちの第1光束を第1光路に沿って導き且つ第2光束を前記第1光路とは異なる第2光路に沿って導く光束分割装置において、
所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素と、該複数の光学要素を駆動する駆動部とを有し、制御部からの制御信号に基づいて前記駆動部を駆動させる分割用空間光変調器を備え、
該分割用空間光変調器は、前記複数の光学要素のうちの第1群の光学要素を経た光が前記第1光路に沿って導かれ、且つ前記複数の光学要素のうちの前記第1群とは異なる第2群の光学要素を経た光が前記第2光路に沿って導かれるように、前記制御部によって制御されることを特徴とする光束分割装置を提供する。
【0010】
本発明の第2形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系に用いられる空間光変調ユニットであって、
第1形態の光束分割装置と、
前記第1光路中に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する第1空間光変調器と、
前記第2光路中に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する第2空間光変調器とを備えていることを特徴とする空間光変調ユニットを提供する。
【0011】
本発明の第3形態では、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系に用いられる空間光変調ユニットであって、
所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する分割用空間光変調器と、
前記複数の光学要素のうちの一群の光学要素を経た光が所定の光路に沿って導かれるように前記分割用空間光変調器を制御する制御部と、
前記所定の光路中に配置されて、入射光に空間的な変調を付与して射出する空間光変調素子とを備えていることを特徴とする空間光変調ユニットを提供する。
【0012】
本発明の第4形態では、光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学系において、
第2形態または第3形態の空間光変調ユニットと、
前記空間光変調ユニットを経た光に基づいて、前記照明光学系の照明瞳に所定の光強度分布を形成する分布形成光学系とを備えていることを特徴とする照明光学系を提供する。
【0013】
本発明の第5形態では、所定のパターンを照明するための第4形態の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
【0014】
本発明の第6形態では、第5形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様にしたがう光束分割装置では、分割用空間光変調器の複数のミラー要素の姿勢に応じた所望の光強度分布を一対の空間光変調器の入射面に形成すること、すなわち入射光束の強度分布に依存することなく所望の強度分布を有する光束を各空間光変調器へ導くこと、ひいては第1空間光変調器へ導かれる第1光束と第2空間光変調器へ導かれる第2光束との間の光量比を変化させることができる。したがって、光束分割装置と一対の空間光変調器とを備えた空間光変調ユニットでは、所望の強度分布(例えばほぼ均一な強度分布)を有する光束を各空間光変調器へ導くことにより瞳強度分布の制御性を向上させるとともに、第1空間光変調器への光束と第2空間光変調器への光束との光量比を変化させることにより瞳強度分布の強度に関する自由度を向上させることができる。
【0016】
本発明の照明光学系では、複数の空間光変調器を備えた空間光変調ユニットを用いて、多様性に富んだ照明条件を実現することができる。また、本発明の露光装置では、多様性に富んだ照明条件を実現する照明光学系を用いて、転写すべきパターンの特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。
【図3】分割用空間光変調器の構成を概略的に示す図である。
【図4】瞳形成用空間光変調器の構成および作用を説明する図である。
【図5】空間光変調器の要部の部分斜視図である。
【図6】マイクロフライアイレンズの入射面および後側焦点面に形成される4極状の光強度分布を模式的に示す図である。
【図7】第1変形例にかかる空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。
【図8】第2変形例にかかる空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。
【図9】半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【図10】液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図2は、図1の空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態の露光装置では、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出された光は、ビーム送光部2および空間光変調ユニット3を介して、リレー光学系4に入射する。ビーム送光部2は、光源1からの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調ユニット3へ導くとともに、空間光変調ユニット3に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。
【0020】
空間光変調ユニット3は、図2に示すように、光源1からの入射光束を2つの光束に分割する分割用空間光変調器30と、照明光路に並列配置された一対の瞳形成用空間光変調器(以下、単に「空間光変調器」ともいう)31および32とを備えている。分割用空間光変調器30および一対の空間光変調器31,32は、所定面に沿って二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する。分割用空間光変調器30と第1空間光変調器31との間の光路中には、光の入射順に、光路折曲げミラー33a、旋光部材34a、および偏光状態計測装置35aのビームスプリッター35aaが配置されている。分割用空間光変調器30と第2空間光変調器32との間の光路中には、光の入射順に、光路折曲げミラー33b、旋光部材34b、および偏光状態計測装置35bのビームスプリッター35baが配置されている。
【0021】
偏光状態計測装置35aと偏光状態計測装置35bとは、互いに同じ構成を有する。具体的に、偏光状態計測装置35a(35b)は、ビームスプリッター35aa(35ba)により照明光路から取り出された光が入射する偏光ビームスプリッター35ab(35bb)と、偏光ビームスプリッター35ab(35bb)を透過した光を検出するディテクター35ac(35bc)と、偏光ビームスプリッター35ab(35bb)で反射された光を検出するディテクター35ad(35bd)とを備えている。第1空間光変調器31および第2空間光変調器32とリレー光学系4との間の光路中には、偏向部材36が配置されている。
【0022】
以下、説明の理解を容易にするために、空間光変調ユニット3は、照明光学系の基準光軸(以下、単に「光軸」ともいう」AXを通るXY平面に関して対称に構成されているものとする。空間光変調ユニット3において、分割用空間光変調器30は、光源1からの光束を2つの光束に分割し、第1光束を第1空間光変調器31へ導き、第2光束を第2空間光変調器32へ導く。偏向部材36は、空間光変調器31,32を経た光をリレー光学系4へ導く。空間光変調ユニット3の具体的な構成および作用については後述する。
【0023】
空間光変調ユニット3から射出された光は、フーリエ変換光学系としてのリレー光学系4を介して、所定面5に入射する。すなわち、リレー光学系4は、その前側焦点位置が空間光変調器31,32の複数のミラー要素の配列面の位置とほぼ一致し且つその後側焦点位置が所定面5の位置とほぼ一致するように設定されている。後述するように、空間光変調器31,32を経た光は、複数のミラー要素の姿勢に応じた光強度分布を所定面5に可変的に形成する。
【0024】
所定面5に光強度分布を形成した光は、リレー光学系6を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)7に入射する。リレー光学系6は、所定面5とマイクロフライアイレンズ7の入射面とを光学的に共役に設定している。したがって、空間光変調ユニット3を経た光は、所定面5と光学的に共役な位置に配置されたマイクロフライアイレンズ7の入射面に、所定面5に形成された光強度分布と同じ外形形状の光強度分布を形成する。
【0025】
マイクロフライアイレンズ7は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
【0026】
マイクロフライアイレンズ7における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。なお、マイクロフライアイレンズ7として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号公報に開示されている。
【0027】
マイクロフライアイレンズ7に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、入射面に形成される光強度分布とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源(多数の小光源からなる実質的な面光源:瞳強度分布)が形成される。マイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳に形成された二次光源からの光束は、照明開口絞り(不図示)に入射する。照明開口絞りは、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍に配置され、二次光源に対応した形状の開口部(光透過部)を有する。
【0028】
照明開口絞りは、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ大きさおよび形状の異なる開口部を有する複数の開口絞りと切り換え可能に構成されている。照明開口絞りの切り換え方式として、たとえば周知のターレット方式やスライド方式などを用いることができる。照明開口絞りは、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定する。なお、照明開口絞りの設置を省略することもできる。
【0029】
照明開口絞りにより制限された二次光源からの光は、コンデンサー光学系8を介して、マスクブラインド9を重畳的に照明する。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド9には、マイクロフライアイレンズ7の矩形状の微小屈折面の形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド9の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系10の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系10は、マスクブラインド9の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
【0030】
マスクステージMS上に保持されたマスクMを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
【0031】
本実施形態の露光装置は、投影光学系PLを介した光に基づいて投影光学系PLの瞳面における瞳強度分布を計測する瞳強度分布計測部DTと、瞳強度分布計測部DTの計測結果に基づいて空間光変調ユニット3中の分割用空間光変調器30、および一対の瞳形成用空間光変調器31,32を制御する制御部CRとを備えている。瞳強度分布計測部DTは、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された撮像面を有するCCD撮像部を備え、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。瞳強度分布計測部DTの詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号公報を参照することができる。
【0032】
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ7により形成される二次光源を光源として、照明光学系の被照射面に配置されるマスクM(ひいてはウェハW)をケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系の照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。なお、瞳強度分布とは、照明光学系の照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。
【0033】
マイクロフライアイレンズ7による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ7の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ7の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。図1の構成において、リレー光学系4,6、およびマイクロフライアイレンズ7は、空間光変調ユニット3中の空間光変調器31,32を経た光束に基づいてマイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳に瞳強度分布を形成する分布形成光学系を構成している。
【0034】
次に、空間光変調ユニット3の内部構成および作用を具体的に説明する。分割用空間光変調器30は、図3に示すように、例えば基準光軸AXと直交するXZ平面に沿って二次元的に配列された複数のミラー要素30aと、複数のミラー要素30aを保持する基盤30bと、基盤30bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素30aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部30cとを備えている。分割用空間光変調器30は、一対の瞳形成用空間光変調器31,32と同様の構成を有する。分割用空間光変調器30では、制御部CRからの制御信号に基づいて作動する駆動部30cの作用により、複数のミラー要素30aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素30aがそれぞれ所定の向きに設定される。
【0035】
各ミラー要素30aにより反射された光は、第1光路に沿って光路折曲げミラー33aへ向かうか、あるいは第2光路に沿って光路折曲げミラー33bへ向かう。すなわち、分割用空間光変調器30は、光源1からの入射光束を2つの光束に分割する。具体的に、分割用空間光変調器30では、複数のミラー要素30aのうちの第1群のミラー要素を経て生成された第1光束は光路折曲げミラー33aへ導かれ、複数のミラー要素30aのうちの第2群のミラー要素を経て生成された第2光束は光路折曲げミラー33bへ導かれる。このように、分割用空間光変調器30は、光源1からの入射光束を2つの光束に分割し、第1光束を第1光路に沿って導き且つ第2光束を第2光路に沿って導く光束分割装置を構成している。
【0036】
光路折曲げミラー33a(33b)で反射された光は、平行平面板状の旋光部材34a(34b)を介して、ビームスプリッター35aa(35ba)に入射する。旋光部材34a(34b)は、旋光性を有する光学材料である結晶材料、例えば水晶により形成されている。旋光部材34a(34b)の入射面(ひいては射出面)は光軸AX1(AX2)と直交し、その結晶光学軸は光軸AX1(AX2)とほぼ一致(すなわち入射光の進行方向とほぼ一致)している。旋光部材34aは、Z方向に偏光方向を有するZ方向直線偏光の光が入射した場合、X方向に偏光方向を有するX方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。旋光部材34bは、Z方向直線偏光の光が入射した場合、Z方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。
【0037】
以下、分割用空間光変調器30に入射する光はZ方向直線偏光状態にあるものとする。したがって、理想的な光学状態において、旋光部材34aを経た第1光束はX方向直線偏光状態にあり、旋光部材34bを経た光はZ方向直線偏光状態にある。ビームスプリッター35aa(35ba)で反射されて照明光路から取り出された光は、偏光ビームスプリッター35ab(35bb)に入射する。偏光ビームスプリッター35ab(35bb)の透過光はディテクター35ac(35bc)で検出され、偏光ビームスプリッター35ab(35bb)の反射光はディテクター35ad(35bd)で検出される。偏光状態計測装置35a(35b)では、一対のディテクター35ac,35ad(35bc,35bd)の検出結果に基づいて、旋光部材34a(34b)を経て生成された光の偏光状態が計測される。ビームスプリッター35aa(35ba)を透過した光は、照明光路に沿って瞳形成用空間光変調器31(32)で反射された後、偏向部材36を介して、リレー光学系4へ導かれる。
【0038】
偏向部材36は、例えばX方向に延びる三角柱状のプリズムミラーの形態を有する。偏向部材36は、マスク側(図2中右側)に向けた一対の反射面36aおよび36bを有し、反射面36aと36bとの稜線は光軸AXを通ってX方向に延びている。例えば金属のような非光学材料や石英のような光学材料により形成された三角柱状の部材の側面に、アルミニウムや銀などからなる反射膜を設けることにより、偏向部材36を形成することができる。あるいは、偏向部材36を、それぞれミラーとして形成することもできる。第1空間光変調器31により変調された光は、偏向部材36の第1反射面36aにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。第2空間光変調器32により変調された光は、偏向部材36の第2反射面36bにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。
【0039】
空間光変調ユニット3において、光路折曲げミラー33aの反射面は分割用空間光変調器30を経て入射した第1光束を第1空間光変調器31へ向けて偏向する前側第1偏向面を構成し、光路折曲げミラー33bの反射面は分割用空間光変調器30を経て入射した第2光束を第2空間光変調器32へ向けて偏向する前側第2偏向面を構成している。偏向部材36の反射面36aは第1空間光変調器31を経て入射した第1光束を後続のリレー光学系4へ向けて偏向する後側第1偏向面を構成し、偏向部材36の反射面36bは第2空間光変調器32を経て入射した第2光束を後続のリレー光学系4へ向けて偏向する後側第2偏向面を構成している。偏向部材36の反射面36aを経てリレー光学系4へ入射する第1光束の光路(光軸AX1に沿って延びる光路)、および偏向部材36の反射面36bを経てリレー光学系4へ入射する第2光束の光路(光軸AX2に沿って延びる光路)は、分割用空間光変調器30への入射光束の光路(基準光軸AXに沿って延びる光路)とほぼ平行である。
【0040】
以下、第1空間光変調器31に着目して、空間光変調ユニット3における空間光変調器31,32の構成および作用を説明する。なお、上述したように、分割用空間光変調器30の構成は、第1空間光変調器31の構成と同様である。空間光変調器31は、図4に示すように、所定面に沿って二次元的に配列された複数のミラー要素31aと、複数のミラー要素31aを保持する基盤31bと、基盤31bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素31aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部31cとを備えている。なお、図4では、図面の明瞭化および理解の容易化のために複数のミラー要素31aをXY平面に沿って二次元的に配列しているが、ミラー要素31aの実際の配列面は図2に示すようにXY平面に対して傾いている。
【0041】
空間光変調器31は、図5に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素31aを備え、入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。説明および図示を簡単にするために、図4および図5では空間光変調器31が4×4=16個のミラー要素31aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素31aを備えている。図4を参照すると、空間光変調器31に入射する光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素31aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
【0042】
空間光変調器31では、すべてのミラー要素31aの反射面が1つの平面に沿って設定された基準状態において、光軸AXと平行な方向に沿って入射した光線が、空間光変調器31で反射された後に、偏向部材36(図4では不図示)の第1反射面36aにより光軸AXとほぼ平行な方向に向かって反射されるように構成されている。また、空間光変調器31の複数のミラー要素31aの配列面は、上述したように、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に位置決めされている。したがって、空間光変調器31の複数のミラー要素SEa〜SEdによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、所定面5に所定の光強度分布SP1〜SP4を形成し、ひいてはマイクロフライアイレンズ7の入射面に光強度分布SP1〜SP4に対応した光強度分布を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器31の複数のミラー要素SEa〜SEdが射出光に与える角度を、空間光変調器31の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である所定面5上での位置に変換する。
【0043】
同様に、第2空間光変調器32によって変調された光は、その複数のミラー要素32aの姿勢に応じた光強度分布を、所定面5に、ひいてはマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する。こうして、マイクロフライアイレンズ7が形成する二次光源の光強度分布(瞳強度分布)は、第1空間光変調器31およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第1の光強度分布と、第2空間光変調器32およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第2の光強度分布との合成分布に対応した分布となる。ここで、第1の光強度分布と第2の光強度分布とは、互いに隔絶したものであっても良いし、互いに一部または全部が重複するものであっても良いし、ランダムに混在するものであっても良い。
【0044】
空間光変調器31は、図5に示すように、平面形状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小な反射素子であるミラー要素31aを含む可動マルチミラーである。各ミラー要素31aは可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部31cの作用により独立に制御される。各ミラー要素31aは、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素31aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
【0045】
なお、各ミラー要素31aの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。図5には外形が正方形状のミラー要素31aを示しているが、ミラー要素31aの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素31aの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)とすることができる。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素31aの間隔を必要最小限に抑えることができる。
【0046】
本実施形態では、空間光変調器31として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素31aの向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば特表平10−503300号公報およびこれに対応する欧州特許公開第779530号公報、特開2004−78136号公報およびこれに対応する米国特許第6,900,915号公報、特表2006−524349号公報およびこれに対応する米国特許第7,095,546号公報、並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素31aの向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
【0047】
空間光変調器31では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部31cの作用により、複数のミラー要素31aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素31aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器31の複数のミラー要素31aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、図6に示すように、マイクロフライアイレンズ7の入射面に、例えば光軸AXを中心としてZ方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20aを形成する。同様に、第2空間光変調器32を経た光は、例えば光軸AXを中心としてX方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20bを形成する。こうして、一対の空間光変調器31,32を経た光は、マイクロフライアイレンズ7の入射面に、例えば光軸AXを中心とした4極状の光強度分布20(20a,20b)を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、4極状の光強度分布20に対応する4極状の光強度分布21(21a,21b)が形成される。
【0048】
4極状の光強度分布21において、Z方向に間隔を隔てた一対の光強度分布21aを形成する光は旋光部材34aの作用によりX方向偏光状態にあり、X方向に間隔を隔てた一対の光強度分布21bを形成する光は旋光部材34bの作用によりZ方向偏光状態にある。換言すれば、4極状の光強度分布21は、いわゆる周方向偏光状態にある。さらに、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳の位置、すなわち結像光学系10の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASが配置されている位置)にも、4極状の光強度分布20に対応する4極状で周方向偏光状態の光強度分布が形成される。
【0049】
本実施形態において、光束分割装置としての分割用空間光変調器30は、その複数のミラー要素30aの姿勢に応じた所望の光強度分布を空間光変調器31,32の入射面に形成することができる。このことは、分割用空間光変調器30が、光源1からの入射光束の強度分布に依存することなく、所望の強度分布を有する光束を各空間光変調器31,32へ導くことができること、ひいては第1空間光変調器31へ導かれる第1光束と第2空間光変調器32へ導かれる第2光束との間の光量比を必要に応じて変化させることができることを意味している。
【0050】
したがって、分割用空間光変調器30と一対の瞳形成用空間光変調器31,32とを備えた空間光変調ユニット3では、光源1からの入射光束が不均一な強度分布を有する場合であっても、所望の強度分布(例えば均一な強度分布)を有する光束を空間光変調器31,32へ導くことにより瞳強度分布の制御性を向上させるとともに、第1空間光変調器31への光束と第2空間光変調器32への光束との光量比を変化させることにより瞳強度分布の強度に関する自由度を向上させることができる。具体的に、第1空間光変調器31と第2空間光変調器32との間で入射光束の光量比を変化させることにより、4極状の光強度分布21においてZ方向に間隔を隔てた一対の光強度分布21aとX方向に間隔を隔てた一対の光強度分布21bとの間の強度比を変化させる(または強度バランスを調整する)ことができる。
【0051】
以上のように、光源1からの光に基づいて被照射面としてのマスクMを照明する照明光学系(2〜10)に用いられる本実施形態の空間光変調ユニット3では、一対の空間光変調器31,32に対して所望の強度分布の光束を供給する光束分割装置としての分割用空間光変調器30を備えているので、照明光学系において形成される瞳強度分布の制御性および強度に関する自由度を向上させることができる。また、本実施形態の空間光変調ユニット3では、一対の空間光変調器31,32により瞳強度分布を自在に且つ迅速に変化させ、瞳強度分布の形状および大きさについて多様性に富んだ照明条件を実現することができる。本実施形態の照明光学系(2〜10)では、一対の空間光変調器31,32を内蔵する空間光変調ユニット3を用いて、瞳強度分布の形状および大きさについて多様性に富んだ照明条件を実現することができる。また、本実施形態の露光装置(2〜WS)では、多様性に富んだ照明条件を実現する照明光学系(2〜10)を用いて、転写すべきマスクMのパターンの特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、分割用空間光変調器30への入射光束の光路(基準光軸AXに沿って延びる光路)と分割用空間光変調器30から第1光路への射出光束の光路(光軸AX1に沿って延びる光路)とが鋭角をなし、分割用空間光変調器30への入射光束の光路と分割用空間光変調器30から第2光路への射出光束の光路(光軸AX2に沿って延びる光路)とが鋭角をなしている。この構成により、光路折曲げミラー33a,33bの反射面への光の入射角度を小さく抑えて、光路折曲げミラー33a,33bにおける反射率を比較的大きく確保することができる。同様に、空間光変調器31,32の各ミラー要素31a,32aの反射面への光の入射角度を小さく抑えて、空間光変調器31,32における反射率を比較的大きく確保することができる。
【0053】
また、上述の実施形態では、第1空間光変調器31がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第1の光強度分布21aと、第2空間光変調器32が形成する第2の光強度分布21bとが互いに隔絶している。しかしながら、上述したように、第1の光強度分布と第2の光強度分布とを互いに重複させることもできる。この場合、旋光部材34aを経て第1空間光変調器31へ入射する光束と旋光部材34bを経て第2空間光変調器32へ入射する光束との光量比を変化させることにより、重複領域における瞳強度分布を形成する光の偏光度を変化させることができる。
【0054】
また、上述の実施形態では、光束分割装置としての分割用空間光変調器30が光源1からの入射光束を2つの光束に分割し、第1光束を第1空間光変調器31へ導き且つ第2光束を第2空間光変調器32へ導いている。しかしながら、光束分割装置による入射光束の分割数は2つに限定されることなく、入射光束を複数の光束に分割し、各光束を複数の空間光変調器の各々へ導くこともできる。また、上述の実施形態では、分割用空間光変調器30が二次元的に配列された複数のミラー要素30aを備えているが、これに限定されることなく、所定面内に配列されて個別に制御される複数の透過光学要素を備えた透過型の空間光変調器を用いることもできる。
【0055】
また、上述の実施形態では、分割用空間光変調器30にZ方向直線偏光を入射させて周方向偏光状態の瞳強度分布21(21a,21b)を形成しているが、分割用空間光変調器30にX方向直線偏光を入射させて径方向偏光状態の瞳強度分布を形成することもできる。一般に、周方向偏光状態の輪帯状や複数極状の瞳強度分布に基づく周方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。ただし、入射面とは、光が媒質の境界面(被照射面:ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。その結果、周方向偏光照明では、投影光学系の光学性能(焦点深度など)の向上を図ることができ、ウェハ(感光性基板)上において高いコントラストのマスクパターン像を得ることができる。
【0056】
一方、径方向偏光状態の輪帯状や複数極状の瞳強度分布に基づく径方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がP偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、P偏光とは、上述のように定義される入射面に対して平行な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に平行な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。その結果、径方向偏光照明では、ウェハWに塗布されたレジストにおける光の反射率を小さく抑えて、ウェハ(感光性基板)上において良好なマスクパターン像を得ることができる。
【0057】
また、上述の実施形態では、第1空間光変調器31への第1光路中に配置されて入射光に基づいてX方向直線偏光の光を生成する偏光素子として旋光部材34aを用い、第2空間光変調器32への第2光路中に配置されて入射光に基づいてZ方向直線偏光の光を生成する偏光素子として旋光部材34bを用いている。しかしながら、これに限定されることなく、偏光素子の具体的な構成、ひいては偏光素子が実現する偏光照明の種類などについて様々な形態が可能であり、必要に応じて所要の特性を有する偏光素子が照明光路中に位置決めされる。例えば、旋光部材に代えて、入射光を所要の偏光状態の光に変化させる波長板、入射光から所要の偏光状態の光を選択して射出する偏光子などを用いることもできる。
【0058】
また、上述の実施形態では、図2に示す特定の構成を有する空間光変調ユニット3に基づいて本発明を説明しているが、空間光変調ユニットの構成については様々な形態が可能である。一例として、図7に示す第1変形例にかかる空間光変調ユニット3Aでは、光束分割装置としての分割用空間光変調器30により分割された2つの光束のうち、第1光束を第1空間光変調器31へ直接導き、第2光束を第2空間光変調器32へ直接導いている。図7では、図1および図2に示す要素と同様の機能を有する構成要素に、図1および図2の要素と同じ参照符号を付している。
【0059】
空間光変調器31(32)により変調された光は、フーリエ変換光学系37a(37b)を介して、反射型空間光変調器37(38)の入射面またはその近傍に第1の光強度分布(第2の光強度分布)を形成する。反射型空間光変調器37(38)を経た光は、偏向部材36の反射面36a(36b)で反射された後、結像光学系としてのリレー光学系6を介してマイクロフライアイレンズ7(図7では不図示)に入射する。空間光変調ユニット3Aでは、反射型空間光変調器37(38)の入射面がリレー光学系6を介してマイクロフライアイレンズ7の入射面と光学的にほぼ共役に設定されている。
【0060】
したがって、フーリエ変換光学系37a(37b)は、分割用空間光変調器30から入射して空間光変調器31(32)を経た光束に基づいて、照明光学系の照明瞳と光学的に共役な位置(すなわち反射型空間光変調器37(38)の入射面またはその近傍の位置)に瞳強度分布を形成する第1分布形成光学系(第2分布形成光学系)を構成している。反射型空間光変調器37(38)は、分割用空間光変調器30および瞳形成用空間光変調器31,32と同様に、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する。
【0061】
空間光変調ユニット3Aでは、可変開口絞りとして機能する反射型空間光変調器37(38)の作用により、その入射面近傍に形成される瞳強度分布の外形を整形したり、不要光が後続のリレー光学系6へ導かれるのを遮ったりすることができる。図示を省略したが、必要に応じて、分割用空間光変調器30と空間光変調器31(32)との間の光路中に、旋光部材34a(34b)および偏光状態計測装置35a(35b)のビームスプリッター35aa(35ba)を付設することができる。
【0062】
また、図2および図7に示す構成では、第1空間光変調器31が分割用空間光変調器30への入射光束の光路に沿って延びる基準光軸AXの一方の側に配置され、第2空間光変調器32は基準光軸AXの他方の側に配置されている。しかしながら、これに限定されることなく、図8に示すように、一対の瞳形成用空間光変調器31および32を、分割用空間光変調器30への入射光束の光路に沿って延びる基準光軸AXの片側に配置する構成も可能である。図8では、図1および図2に示す要素と同様の機能を有する構成要素に、図1および図2の要素と同じ参照符号を付している。
【0063】
図8に示す第2変形例にかかる空間光変調ユニット3Bでは、光束分割装置としての分割用空間光変調器30により分割された2つの光束を、基準光軸AXの+Z方向側に配置された一対の空間光変調器31,32へ直接導いている。空間光変調器31(32)により変調された光は、平面反射鏡40a(40b)を介して、リレー光学系4に入射する。 空間光変調ユニット3Bでは、必要に応じて、分割用空間光変調器30と空間光変調器31(32)との間の光路中に、旋光部材34a(34b)および偏光状態計測装置35a(35b)のビームスプリッター35aa(35ba)を付設することができる。また、基準光軸AXの−Z方向側に、例えば一対の瞳形成用空間光変調器を付設することもできる。
【0064】
なお、上述の説明では、照明瞳に4極状の瞳強度分布が形成される変形照明、すなわち4極照明を例にとって、本発明の作用効果を説明している。しかしながら、4極照明に限定されることなく、例えば円形状の瞳強度分布が形成される円形照明、輪帯状の瞳強度分布が形成される輪帯照明、4極状以外の複数極状(2極状、8極状など)の瞳強度分布が形成される複数極照明などに対しても、同様に本発明を適用して同様の作用効果を得ることができることは明らかである。
【0065】
また、上述の説明では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する空間光変調器として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば特開平6−281869号公報及びこれに対応する米国特許第5,312,513号公報、並びに特表2004−520618号公報およびこれに対応する米国特許第6,885,493号公報の図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば特表2006−513442号公報およびこれに対応する米国特許第6,891,655号公報や、特表2005−524112号公報およびこれに対応する米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
【0066】
また、上述の説明では、瞳形成用空間光変調器31,32が二次元的に配列された複数のミラー要素31a,32aを備えているが、これに代えて、入射光に空間的な変調を付与して射出する空間光変調素子を用いることもできる。この種の空間光変調素子として、例えば、所定面内に配列されて個別に制御される複数の透過光学要素を備えた透過型の空間光変調器、透過型の回折光学素子、反射型の回折光学素子などを用いることができる。一般に、光源からの光により被照射面を照明する照明光学系に用いられる本発明の空間光変調ユニットは、所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する分割用空間光変調器と、前記複数の光学要素のうちの一群の光学要素を経た光が所定の光路に沿って導かれるように前記分割用空間光変調器を制御する制御部と、前記所定の光路中に配置されて、入射光に空間的な変調を付与して射出する空間光変調素子とを備えている。
【0067】
上述の実施形態では、オプティカルインテグレータとして、マイクロフライアイレンズ7を用いているが、その代わりに、内面反射型のオプティカルインテグレータ(典型的にはロッド型インテグレータ)を用いても良い。この場合、リレー光学系6の代わりに、所定面5からの光を集光する集光光学系を配置する。そして、マイクロフライアイレンズ7とコンデンサー光学系8との代わりに、所定面5からの光を集光する集光光学系の後側焦点位置またはその近傍に入射端が位置決めされるようにロッド型インテグレータを配置する。このとき、ロッド型インテグレータの射出端がマスクブラインド9の位置になる。ロッド型インテグレータを用いる場合、このロッド型インテグレータの下流の結像光学系10内の、投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役な位置を照明瞳面と呼ぶことができる。また、ロッド型インテグレータの入射面の位置には、照明瞳面の二次光源の虚像が形成されることになるため、この位置およびこの位置と光学的に共役な位置も照明瞳面と呼ぶことができる。ここで、上記の集光光学系、上記の結像光学系、およびロッド型インテグレータを分布形成光学系とみなすことができる。
【0068】
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットおよびこれに対応する米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。ここでは、米国特許公開第2007/0296936号公報の教示を参照として援用する。なお、可変パターン形成装置として、複数のDMDを用いる場合において、本実施形態にかかる光束分割素子を用いて複数のDMDへ光を導く構成としても良い。
【0069】
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
【0070】
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図9は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図9に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
【0071】
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
【0072】
図10は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図10に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
【0073】
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
【0074】
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
【0075】
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
【0076】
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
【0077】
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスク(またはウェハ)を照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク(またはウェハ)以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 光源
2 ビーム送光部
3,3A,3B 空間光変調ユニット
30 分割用空間光変調器
31,32 瞳形成用空間光変調器
34 旋光部材
35 偏光状態計測装置
36 偏向部材
4,6 リレー光学系
7 マイクロフライアイレンズ
8 コンデンサー光学系
9 マスクブラインド
10 結像光学系
DT 瞳強度分布計測部
CR 制御部
M マスク
MS マスクステージ
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光束を複数の光束に分割し、該複数の光束のうちの第1光束を第1光路に沿って導き且つ第2光束を前記第1光路とは異なる第2光路に沿って導く光束分割装置において、
所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素と、該複数の光学要素を駆動する駆動部とを有し、制御部からの制御信号に基づいて前記駆動部を駆動させる分割用空間光変調器を備え、
該分割用空間光変調器は、前記複数の光学要素のうちの第1群の光学要素を経た光が前記第1光路に沿って導かれ、且つ前記複数の光学要素のうちの前記第1群とは異なる第2群の光学要素を経た光が前記第2光路に沿って導かれるように、前記制御部によって制御されることを特徴とする光束分割装置。
【請求項2】
前記分割用空間光変調器は、前記所定面内で二次元的に配列された複数のミラー要素を備え、前記駆動部は、前記複数のミラー要素の姿勢を個別に制御駆動することを特徴とする請求項1に記載の光束分割装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記複数のミラー要素の向きを連続的または離散的に変化させることを特徴とする請求項2に記載の光束分割装置。
【請求項4】
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系に用いられる空間光変調ユニットであって、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光束分割装置と、
前記第1光路中に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する第1空間光変調器と、
前記第2光路中に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する第2空間光変調器とを備えていることを特徴とする空間光変調ユニット。
【請求項5】
前記第1光路中に配置されて、入射光束に基づいて第1偏光状態の光束を生成する第1偏光素子と、
前記第2光路中に配置されて、入射光束に基づいて前記第1偏光状態とは異なる第2偏光状態の光束を生成する第2偏光素子とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の空間光変調ユニット。
【請求項6】
前記第1偏光素子および前記第2偏光素子のうちの少なくとも一方は、旋光性を有する光学材料により形成された平行平面板状の旋光部材を有することを特徴とする請求項5に記載の空間光変調ユニット。
【請求項7】
前記第1偏光素子および前記第2偏光素子のうちの少なくとも一方は、入射光を所要の偏光状態の光に変化させる波長板を有することを特徴とする請求項5または6に記載の空間光変調ユニット。
【請求項8】
前記第1偏光素子および前記第2偏光素子のうちの少なくとも一方は、入射光から所要の偏光状態の光を選択して射出する偏光子を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の空間光変調ユニット。
【請求項9】
前記第1空間光変調器および前記第2空間光変調器は、二次元的に配列された複数のミラー要素と、該複数のミラー要素の姿勢を個別に制御駆動する駆動部とを有することを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の空間光変調ユニット。
【請求項10】
前記駆動部は、前記複数のミラー要素の向きを連続的または離散的に変化させることを特徴とする請求項9に記載の空間光変調ユニット。
【請求項11】
前記第1空間光変調器および前記第2空間光変調器は、前記分割用空間光変調器への入射光束の光路に沿って延びる基準直線の片側に配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の空間光変調ユニット。
【請求項12】
前記第1空間光変調器は前記分割用空間光変調器への入射光束の光路に沿って延びる基準直線の一方の側に配置され、前記第2空間光変調器は前記基準直線の他方の側に配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の空間光変調ユニット。
【請求項13】
前記分割用空間光変調器への入射光束の光路と前記分割用空間光変調器から前記第1光路への射出光束の光路とは鋭角をなし、
前記分割用空間光変調器への入射光束の光路と前記分割用空間光変調器から前記第2光路への射出光束の光路とは鋭角をなすことを特徴とする請求項12に記載の空間光変調ユニット。
【請求項14】
前記分割用空間光変調器を経て入射した前記第1光束を前記第1空間光変調器へ向けて偏向する前側第1偏向面と、
前記分割用空間光変調器を経て入射した前記第2光束を前記第2空間光変調器へ向けて偏向する前側第2偏向面と、
前記第1空間光変調器を経て入射した前記第1光束を後続光学系へ向けて偏向する後側第1偏向面と、
前記第2空間光変調器を経て入射した前記第2光束を前記後続光学系へ向けて偏向する後側第2偏向面とを備えていることを特徴とする請求項13に記載の空間光変調ユニット。
【請求項15】
前記分割用空間光変調器から入射して前記第1空間光変調器を経た前記第1光束に基づいて、前記第1光路中において前記照明光学系の照明瞳と光学的に共役な第1共役位置に第1瞳強度分布を形成する第1分布形成光学系と、
前記第1光路中の前記第1共役位置またはその近傍の位置に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する第1反射型空間光変調器と、
前記第1反射型空間光変調器を経て入射した前記第1光束を後続光学系へ向けて偏向する後側第1偏向面と、
前記分割用空間光変調器から入射して前記第2空間光変調器を経た前記第2光束に基づいて、前記第2光路中において前記照明瞳と光学的に共役な第2共役位置に第2瞳強度分布を形成する第2分布形成光学系と、
前記第2光路中の前記第2共役位置またはその近傍の位置に配置されて、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する第2反射型空間光変調器と、
前記第2反射型空間光変調器を経て入射した前記第2光束を前記後続光学系へ向けて偏向する後側第2偏向面とを備えていることを特徴とする請求項13に記載の空間光変調ユニット。
【請求項16】
前記後側第1偏向面を経て前記後続光学系へ入射する前記第1光束の光路、および前記後側第2偏向面を経て前記後続光学系へ入射する前記第2光束の光路は、前記分割用空間光変調器への入射光束の光路と平行であることを特徴とする請求項14または15に記載の空間光変調ユニット。
【請求項17】
光源からの光により被照射面を照明する照明光学系に用いられる空間光変調ユニットであって、
所定面内に配列されて個別に制御される複数の光学要素を有する分割用空間光変調器と、
前記複数の光学要素のうちの一群の光学要素を経た光が所定の光路に沿って導かれるように前記分割用空間光変調器を制御する制御部と、
前記所定の光路中に配置されて、入射光に空間的な変調を付与して射出する空間光変調素子とを備えていることを特徴とする空間光変調ユニット。
【請求項18】
前記分割用空間光変調器は、前記所定面内で二次元的に配列された複数のミラー要素と、該複数のミラー要素の姿勢を個別に制御駆動する駆動部とを有することを特徴とする請求項17に記載の空間光変調ユニット。
【請求項19】
前記駆動部は、前記複数のミラー要素の向きを連続的または離散的に変化させることを特徴とする請求項17または18に記載の空間光変調ユニット。
【請求項20】
光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学系において、
請求項4乃至19のいずれか1項に記載の空間光変調ユニットと、
前記空間光変調ユニットを経た光に基づいて、前記照明光学系の照明瞳に所定の光強度分布を形成する分布形成光学系とを備えていることを特徴とする照明光学系。
【請求項21】
前記分布形成光学系は、オプティカルインテグレータと、該オプティカルインテグレータと前記空間光変調ユニットとの間の光路中に配置された集光光学系とを有することを特徴とする請求項20に記載の照明光学系。
【請求項22】
前記被照射面と光学的に共役な面を形成する投影光学系と組み合わせて用いられ、前記照明瞳は前記投影光学系の開口絞りと光学的に共役な位置であることを特徴とする請求項20または21に記載の照明光学系。
【請求項23】
所定のパターンを照明するための請求項20乃至22のいずれか1項に記載の照明光学系を備え、前記所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
【請求項24】
前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成する投影光学系を備えていることを特徴とする請求項23に記載の露光装置。
【請求項25】
請求項23または24に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記所定のパターンが転写された前記感光性基板を現像し、前記所定のパターンに対応する形状のマスク層を前記感光性基板の表面に形成する現像工程と、
前記マスク層を介して前記感光性基板の表面を加工する加工工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−114041(P2011−114041A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266889(P2009−266889)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】