説明

光検出素子

【課題】小型化することのできる2波長対応の光検出素子を提供する。
【解決手段】基板上に積層形成された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層とを接続する第1の電極配線と、前記第2の電極層と前記第3の電極層とを接続する第2の電極配線と、前記第2の電極と前記第1の電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、前記第2の電極と前記第2の電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、を有することを特徴とする光検出素子により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光検出素子として、赤外光を検出するフォトセンサがあり、このようなフォトセンサを2次元的に配列させることにより赤外線イメージセンサが形成される。例えば、このような光検出素子としては、2波長の赤外光を検出することのできる量子井戸型の赤外線イメージセンサが知られている(例えば、非特許文献1)。図1に基づき、このような赤外線イメージセンサについて説明する。
【0003】
この赤外線イメージセンサは、半導体等の基板211上に、各々の画素ごとに下部電極層212、第1の光吸収層213、中部電極層214、第2の光吸収層215、上部電極層216、絶縁体層217が積層形成されているものである。また、絶縁体層217上には、1つの画素あたり金属材料により形成された3つのバンプと称される電極部221、222及び223が設けられている。電極部221は、絶縁体層217の開口部に形成されたオーミックコンタクト部224を介し、上部電極層216と接続されている。電極部222は、中部電極層214とオーミックコンタクト部225を介し接続された電極配線226と接続されている。また、電極部223は、下部電極層212とオーミックコンタクト部227を介し接続された電極配線228と接続されている。
【0004】
この赤外線イメージセンサにおいて、赤外光を検出する際には、電極部222より電極配線226を介し中部電極層214にバイアス電圧が印加される。この状態において、基板211側より赤外光が入射した場合、第2の光吸収層215において発生した光電流出力は上部電極層216を介し電極部221より取り出される。また、第1の光吸収層213において発生した光電流出力は下部電極層212及び電極配線228を介し、電極部223より取り出される。このような構造の赤外線イメージセンサでは、例えば、画素ピッチは40μmである場合、1024×1024の画素数において、チップの一辺は約41.0mmとなる。
【0005】
しかしながら、このような構造の赤外線イメージセンサでは、1つの画素あたり3つの電極部を形成する必要があるため、1画素のサイズを小さくすることが困難であり、赤外線イメージセンサ全体の小型化及び高解像度化が困難となる。また、例えば、バンプである電極部を高密度に形成した場合では、フリップチップボンディングが困難となり、接続不良等が生じる可能性がある。
【0006】
このため、1画素当たりの電極部を減らした構造の光検出素子として、図2に示されるように、1つの画素当たりに2つの電極部を形成した構造の赤外線イメージセンサが開示されている(例えば、非特許文献2)。この赤外線イメージセンサは、半導体等の基板251上に、下部電極層252、第1の光吸収層253、第1の中部電極層254、絶縁体層255、第2の中部電極層256、第2の光吸収層257、上部電極層258、絶縁体層259が積層形成されている。絶縁体層259上には、1つの画素あたり金属材料により形成された2つの電極部261及び262が設けられている。電極部261は、絶縁体層259の開口部に形成されたオーミックコンタクト部263を介し、上部電極層258と接続されている。電極部262は、オーミックコンタクト部264を介し第1の中部電極層254と接続された電極配線265と接続されている。また、第2の中部電極層256と下部電極層252とは電極配線266により接続されている。第2の中部電極層256と電極配線266との間にはオーミックコンタクト部267が設けられており、下部電極層252と電極配線266との間にはオーミックコンタクト部268が設けられている。更に、下部電極層252上には電極部269が設けられている。上述のとおり、この構造の赤外線イメージセンサにおいては、各々の画素に形成される電極部は、電極部261及び262であり、1画素当たりに形成される電極部の数を2つにすることができる。
【0007】
この構造の赤外線イメージセンサにおいて、赤外光を検出する際には、電極部269より下部電極層252にバイアス電圧が印加されるが、下部電極層252と電極配線266を介し接続された第2の中部電極層256にもバイアス電圧が印加される。この状態において、基板251側より赤外光が入射した場合、第2の光吸収層257において発生した光電流出力は上部電極層258を介し電極部261より取り出される。また、第1の光吸収層253において発生した光電流出力は第1の中部電極層254を介し、電極部262より取り出される。
【0008】
よって、このような構造の赤外線イメージセンサでは、1画素当たりの電極部の数を2つにすることができるため、画素ピッチを約30μmとすることができ、従って、1024×1024の画素数において、チップの一辺を約30.7mmにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3778406号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Infrared Physics &Technology 50 (2007) 217-226
【非特許文献2】Infrared Physics &Technology 52 (2009) 395-398
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、図2に示される赤外線イメージセンサにおいては、1画素当たりに形成される電極部は2つである。このため、より一層のフリップチップボンディングを容易に行なうことができ、赤外線イメージセンサの小型化、高解像度化が可能な、1画素当たりに形成される電極部の数がより少ない構造の2波長に対応した光検出素子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本実施の形態の一観点によれば、基板上に積層された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、前記第1の電極層と前記第2の電極層とを接続する第1の電極配線と、前記第2の電極層と前記第3の電極層とを接続する第2の電極配線と、前記第2の電極と前記第1の電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、前記第2の電極と前記第2の電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本実施の形態の他の一観点によれば、基板上に積層形成された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、前記第1の電極層、前記第2の電極層及び前記第3の電極層を接続する電極配線と、前記第1の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、前記第3の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
開示の光検出素子によれば、1画素当たりに形成される電極部の数を1つにすることができるため、フリップチップボンディングを容易にすることができ、光検出素子を小型にすることができ、また、高解像度なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の光検出素子の構造図(1)
【図2】従来の光検出素子の構造図(2)
【図3】第1の実施の形態における光検出素子の構造図
【図4】第1の実施の形態における光検出素子の等価回路図
【図5】第1の実施の形態における光検出素子の説明図
【図6】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(1)
【図7】第1の実施の形態における光検出素子の半導体層の説明図
【図8】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(2)
【図9】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(3)
【図10】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(4)
【図11】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(5)
【図12】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(6)
【図13】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(7)
【図14】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(8)
【図15】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(9)
【図16】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(10)
【図17】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(11)
【図18】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(12)
【図19】第1の実施の形態における光検出素子の製造工程図(13)
【図20】第2の実施の形態における光検出素子の構造図
【図21】第2の実施の形態における光検出素子の等価回路図
【図22】第2の実施の形態における光検出素子の説明図
【図23】第2の実施の形態における光検出素子の構造の説明図
【図24】第2の実施の形態における光検出素子の半導体層の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
(光検出素子)
本実施の形態における光検出素子である2波長に対応したイメージセンサの構造について、図3に基づき説明する。
【0018】
本実施の形態における赤外線イメージセンサは、半導体等の基板11上に、下部電極層12、第1の光吸収層13、中部電極層14、第2の光吸収層15、上部電極層16が積層形成されているものである。尚、本実施の形態においては、下部電極層12は第1の電極層となるものであり、中部電極層14は第2の電極層となるものであり、上部電極層16は第3の電極層となるものである。
【0019】
画素形成領域73においては、複数の画素領域10が形成されており、各々の画素領域10における上部電極層16上には、1つの画素あたり金属材料等により形成された1つのバンプと称される電極部21が設けられている。尚、電極部21は、上部電極層16と接続されている。また、下部電極層12と中部電極層14との間には、第1の電極配線22が設けられている。第1の電極配線22と下部電極層12との間には、オーミックコンタクト部23が設けられており、第1の電極配線22と中部電極層14との間には、ショットキーコンタクト部24が設けられている。
【0020】
また、中部電極層14と上部電極層16との間には、第2の電極配線25が設けられている。第2の電極配線25と中部電極層14との間には、ショットキーコンタクト部26が設けられており、第2の電極配線25と上部電極層16との間には、オーミックコンタクト部27が設けられている。
【0021】
更に、画素外領域74においては、上部電極層16の上部に形成された絶縁膜31上には電極部32が設けられている。電極部32は電極配線33と接続されており、電極配線33は、下部電極部12の表面に設けられたオーミックコンタクト部34とオーミック接続されている。尚、電極部32は、共通バイアス電極端子となるものであり、画素ごとに設けられているものではない。従って、本実施の形態における赤外線イメージセンサにおいて、画素ごとに形成される電極部は電極部21のみであり、1画素当たりの電極部の数は1つにすることができる。
【0022】
また、上部電極層12、中部電極層14及び上部電極層16では、通常、不純物が10×1018cm−3程度に高濃度にドーピングされた低抵抗の半導体層が用いられる。しかしながら、不純物元素が高濃度にドーピングされた半導体層の場合、良好なショットキー接続を形成することが困難である。よって、中部電極層14においてショットキーコンタクト部24及び26が形成される部分には、不純物元素が低濃度にドーピングされた層を形成することにより、ショットキー接続が形成される。
【0023】
次に、本実施の形態における光検出素子の等価回路図を図4に示す。第1の光検出素子部41は、下部電極層12、第1の光吸収層13、中部電極層14により形成されるものであり、第2の光検出素子部42は、中部電極層14、第2の光吸収層15及び上部電極層16により形成されるものである。また、第1のショットキーダイオード43は、中部電極層14及びショットキーコンタクト部24により形成されるものであり、第2のショットキーダイオード44は、中部電極層14及びショットキーコンタクト部26により形成されるものである。尚、第1のショットキーダイオード43は第1のダイオードとなるものであり、第2のショットキーダイオード44は第2のダイオードとなるものである。
【0024】
この光検出素子において、電極部21に対し電極部32の電位が低くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、電流は第2の光検出素子部42及び第1のショットキーダイオード43を流れる。従って、第2の光検出素子部42において検出された光に対応した出力を得ることができる。図5(a)には、本実施の形態における光検出素子において、この状態における電流の流れを矢印Aで示す。また、電極部21に対し電極部32の電位が高くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、電流は第1の光検出素子部41及び第2のショットキーダイオード44を流れる。従って、第1の光検出素子部41において検出された光に対応した出力を得ることができる。図5(b)には、本実施の形態における光検出素子において、この状態における電流の流れを矢印Bで示す。
【0025】
このように、電極部21と電極部32との間に印加されるバイアス電圧の正負を変化させることにより、第1の光検出素子部41において検出される出力と第2の光検出素子部42において検出される出力とを切り換えることができる。これにより、2波長に対応した赤外線イメージセンサであって、1つの画素に対し1つの電極部が形成された構造のものを得ることができる。
【0026】
ところで、非特許文献2に記載されている赤外線イメージセンサは、画素ピッチが30μmで形成されており、1画素当たり2つの電極部が設けられている。従って、電極部を対角に並べた場合では、電極部間の距離は約21μm(30×21/2/2μm)となる。この距離の値に基づくならば、電極部が1つの赤外線イメージセンサにおける画素ピッチは21μmとなり、1024×1024画素の赤外線イメージセンサのチップサイズは、約22mm角とすることが可能である。従って、本実施の形態における赤外線イメージセンサでは、非特許文献2に記載されている赤外線イメージセンサのチップサイズ30.7mm角及び非特許文献1に記載されている赤外線イメージセンサのチップサイズ41.0mm角よりも小型にすることができる。
【0027】
これにより、一枚のウエハから作製されるチップの数も増やすことができ、赤外線イメージセンサの製造コストを低くすることができる。
【0028】
(光検出素子の製造方法)
次に、本実施の形態における光検出素子の製造方法について説明する。
【0029】
最初に、図6に示されるように、基板11上に、不図示のバッファ層を形成し、下部電極層12、第1の光吸収層13、中部電極本体層51、ショットキー接続層52、第2の光吸収層15、上部電極層16を積層形成する。これらの層は半導体層を結晶成長させることにより形成されており、基板11上にMBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシャル)法または、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)法により形成されている。尚、中部電極本体層51とショットキー接続層52とにより中部電極層14が形成される。
【0030】
このように形成された半導体層について、より詳細に図7に基づいて説明すると、基板11は絶縁性のGaAsにより形成されており、基板11上に形成される不図示のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsにより形成されている。
【0031】
下部電極層12は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約1000nm成膜することにより形成されている。
【0032】
第1の光吸収層13は、バリア層61と井戸層62とのペアが交互に20ペア積層形成されている量子井戸構造により形成されている。バリア層61としては、Al0.3Ga0.7Asが約30nm形成されており、井戸層62としては、不純物元素としてSiが5.0×1018cm−3ドープされたn型Ga0.8In0.2Asが約3nm形成されている。
【0033】
中部電極本体層51は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約1000nm成膜することにより形成されている。また、ショットキー接続層52は、不純物元素としてSiが1.0×1016cm−3ドープされているn型GaAsを約100nm成膜することにより形成されている。上述のとおり、中部電極本体層51とショットキー接続層52とにより中部電極層14が形成される。
【0034】
第2の光吸収層15は、バリア層63と井戸層64とのペアが交互に20ペア積層形成されている量子井戸構造により形成されている。バリア層63としては、Al0.25Ga0.75Asが約50nm形成されており、井戸層64としては、不純物元素としてSiが2.0×1017cm−3ドープされたn型GaAsが約5nm形成されている。
【0035】
上部電極層16は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約1000nm成膜することにより形成されている。
【0036】
次に、図8に示されるように、上部電極層16の表面に凹凸を形成する。具体的には、上部電極層16の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、上部電極層16の表面において凹部が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、RIE(Reactive Ion Etching)等によるドライエッチングを行なうことにより、レジストパターンの形成されていない領域における上部電極層16を所定の深さ除去し凹部を形成する。更に、この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。このように形成された凹部の一部17aと、エッチングされていない凸部とにより、回折格子構造71が形成される。凹部の他の一部17bは、後述する電極部が形成される領域であり、凹部の他の一部17cは、後述する電極配線が形成される領域である。尚、図8(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図8(b)は、この工程における断面図である。
【0037】
次に、図9に示されるように、画素形成領域73と画素外領域74との間に溝部72を形成する。具体的には、上部電極層16の表面に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、溝部72が形成される領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンの形成されていない領域における第1の光吸収層13、中部電極本体層51、ショットキー接続層52、第2の光吸収層15、上部電極層16をRIE等のドライエッチングにより除去することにより溝部72を形成する。ドライエッチングは、下部電極層12の表面が露出するまで行ない、この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。この溝部72により、基板11上に形成された半導体層は、複数の画素領域10が形成される画素形成領域73と、後述する共通バイアス電極端子となる電極部32が形成される画素外領域74とに分けられる。尚、図9(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図9(b)は、この工程における断面図である。
【0038】
次に、図10に示されるように、中部電極層14と上部電極層16とを接続するための穴部75を形成する。具体的には、上部電極層16の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより穴部75が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンの形成されていない領域における第2の光吸収層15、上部電極層16をRIE等のドライエッチングにより除去することにより穴部75を形成する。ドライエッチングは、ショットキー接続層52の表面が露出するまで行ない、この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。尚、図10(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図10(b)は、この工程における断面図である。
【0039】
次に、図11に示されるように、下部電極層12と中部電極層14とを接続するための穴部76を形成する。具体的には、上部電極層16の表面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより穴部76が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンの形成されていない領域における第1の光吸収層13、中部電極本体層51、ショットキー接続層52、第2の光吸収層15、上部電極層16をRIE等のドライエッチングにより除去することにより穴部76を形成する。ドライエッチングは、下部電極層12の表面が露出するまで行ない、この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。尚、図11(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図11(b)は、この工程における断面図である。
【0040】
次に、図12に示されるように、上部電極層16上にオーミックコンタクト部27を形成し、穴部76により露出した下部電極層12上にオーミックコンタクト部23を形成し、溝部72により露出した下部電極層12上にオーミックコンタクト部34を形成する。具体的には、上部電極層16及び下部電極層12が形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、オーミックコンタクト部23、27及び34が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着等によりAu/GeとAuとが積層された金属膜を成膜し、有機溶剤に浸漬等させることにより不図示のレジストパターン上に成膜された金属膜をレジストパターンとともにリフトオフより除去する。これにより、上部電極層16上にオーミックコンタクト部27が形成され、下部電極層12上にオーミックコンタクト部23及び34が形成される。尚、図12(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図12(b)は、この工程における断面図である。
【0041】
次に、図13に示されるように、穴部75により露出している中部電極層14におけるショットキー接続層52上にショットキーコンタクト部24及び26を形成する。具体的には、ショットキー接続層52が形成されている側の面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、ショットキーコンタクト部24及び26が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着等によりAl膜を成膜し、有機溶剤に浸漬等させることにより、不図示のレジストパターン上に形成されたAl膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これにより、ショットキー接続層52上にショットキーコンタクト部24及び26が形成される。尚、図13(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図13(b)は、この工程における断面図である。
【0042】
次に、図14に示されるように、上部電極層16の所定の領域に反射膜77を形成する。具体的には、上部電極層16が形成されている面にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、反射膜77が形成される領域に開口部を有するレジストパターンを形成する。この後、真空蒸着によりAu膜を成膜し、有機溶剤等に浸漬させることにより、不図示のレジストパターン上に成膜されたAu膜をレジストパターンとともにリフトオフにより除去する。これにより、上部電極層16上の所定の領域に反射膜77が形成される。尚、図14(a)は、この工程における1つの画素領域10を含む部分の上面図であり、図14(b)は、この工程における断面図である。
【0043】
次に、図15に示すように、オーミックコンタクト部23、27及び34及びショットキーコンタクト部24及び26が形成されている領域に開口部を有する絶縁体層78を形成する。具体的には、反射膜77の形成されている面に、CVD(Chemical Vapor Deposition)またはスパッタリングにより絶縁体膜としてSiN膜を成膜する。この後、成膜された絶縁体膜上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、SiN膜が除去される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。更に、この後、レジストパターンの形成されていない領域のSiN膜をRIE等のドライエッチングにより除去し、レジストパターンを有機溶剤等により除去することにより絶縁体膜78を形成する。尚、画素外領域74に形成された絶縁体膜78は、図3に示される絶縁体膜31に相当するものである。
【0044】
次に、図16に示すように、第1の電極配線22、第2の電極配線25及び電極配線33を形成する。具体的には、絶縁体層78の形成されている面に、Ti/Auにより形成される金属膜をスパッタリングにより成膜した後、第1の電極配線22、第2の電極配線25及び電極配線33が形成される領域以外の領域における金属膜をイオンミリングにより除去する。これにより、オーミックコンタクト部27上及びショットキーコンタクト部26上には、相互を接続するための第2の電極配線25が形成される。同様に、オーミックコンタクト部23上及びショットキーコンタクト部24上には、相互を接続するための第1の電極配線22が形成される。
【0045】
第2の電極配線25は、オーミックコンタクト部27を介し上部電極層16とオーミック接続される。ショットキー接続層52とショットキーコンタクト部26との間にはショットキー障壁が形成されるため、第2の電極配線25はショットキー接続層52とショットキーコンタクト部26とにより形成されたショットキーダイオードを介し中部電極層14と接続される。
【0046】
また、第1の電極配線22は、オーミックコンタクト部23を介し下部電極層12とオーミック接続される。ショットキー接続層52とショットキーコンタクト部24との間にはショットキー障壁が形成されるため、第1の電極配線22はショットキー接続層52とショットキーコンタクト部24とにより形成されたショットキーダイオードを介し中部電極層14と接続される。また、オーミックコンタクト部34上には、後述する電極部32と接続される電極配線33が形成され、電極配線33は、オーミックコンタクト部34を介し下部電極層12とオーミック接続される。
【0047】
次に、図17に示すように、画素分離溝79を形成する。具体的には、絶縁体膜78の形成されている面の側に、フォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより画素分離溝79が形成される領域に開口部を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、レジストパターンが形成されていない領域における第1の光吸収層13、中部電極本体層51、ショットキー接続層52、第2の光吸収層15、上部電極層16、絶縁体膜78をRIE等によるドライエッチングにより除去する。更に、この後、不図示のレジストパターンを有機溶剤等により除去する。これにより、画素領域10の間に画素分離溝79が形成される。
【0048】
次に、図18に示すように、電極部21が形成される領域に開口部80及び電極部32と電極配線33と接続される領域に開口部81を有する絶縁体膜82を形成する。具体的には、第1の電極配線22及び第2の電極配線25等が形成されている面に、SiNにより形成される絶縁体膜をスパッタリング又はCVDにより成膜する。この後、成膜された絶縁体膜上にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、開口部80及び開口部81が形成される領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。更に、この後、レジストパターンの形成されていない領域における絶縁体膜をRIE等によるドライエッチングにより除去し、レジストパターンを有機溶剤等により除去する。これにより、開口部80及び開口部81を有する絶縁体膜82を形成する。
【0049】
次に、図19に示すように、開口部80に電極部21を形成し、開口部81に電極部32を形成する。具体的には、絶縁体膜82の形成されている側にフォトレジストを塗布し、露光装置による露光、現像を行なうことにより、電極部21及び電極部32が形成される領域に開口を有する不図示のレジストパターンを形成する。この後、Ti/Ptにより形成される下地金属膜及びInにより形成される金属膜を真空蒸着により積層して成膜し、有機溶剤等に浸漬させることにより、レジストパターンの形成されている領域における下地金属膜及び金属膜をリフトオフにより除去する。これにより、開口部80には電極部21が形成され、開口部81には電極部32が形成される。
【0050】
以上により、本実施の形態における光検出素子を作製することができる。本実施の形態において作製された光検出素子は電極部21及び電極部32をCMOS読出回路にハイブリッド接続した後、使用される。この際、電極部21に対し電極部32の電位が低くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、第2の光吸収層15において検出される約5.0μmの波長の光の光量に対応した電流が出力される。また、電極部21に対し電極部32の電位が高くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、第1の光吸収層13において検出される約9.0μmの波長の光の光量に対応した電流が出力される。これにより、異なる波長の2つの赤外光、即ち、約9.0μmの波長の光と、約5.0μmの波長の光を個別に検出することができる。
【0051】
尚、本実施の形態では、第1の光吸収層13及び第2の光吸収層15が量子井戸構造により形成されているものについて説明したが、第1の光吸収層13及び第2の光吸収層15は量子井戸構造を有しない単一の組成の半導体層により形成したものであってもよい。更には、第1の光吸収層13及び第2の光吸収層15において、量子細線、量子箱等の構造を用いた場合においても、同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態における説明では、基板11としてGaAs基板を用いて、GaAs系の膜を成膜した構造の光検出素子について説明したが、基板11として、Si基板またはInP基板を用いた場合についても、同様の構造の光検出素子を得ることができる。この場合においては、基板としてSi基板を用いた場合には、Si基板上にSi系の材料の半導体層が形成され、基板としてInP基板を用いた場合には、InP基板上にInP系の材料の半導体層が形成される。
【0052】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と異なる構造の光検出素子である。本実施の形態における光検出素子である2波長に対応したイメージセンサの構造について、図20に基づき説明する。
【0053】
本実施の形態における赤外線イメージセンサは、半導体等の基板111上に、下部電極層112、第1の光吸収層113、中部電極層114、第2の光吸収層115、上部電極層116が積層形成されているものである。尚、本実施の形態において、下部電極層112は第1の電極層となるものであり、中部電極層114は第2の電極層となるものであり、上部電極層116は第3の電極層となるものである。
【0054】
画素形成領域173における上部電極層116上には、1つの画素あたり金属材料等により形成された1つのバンプと称される電極部121が設けられており、電極部121は、上部電極層116と接続されている。上部電極層116と中部電極層114との間及び中部電極層114と下部電極層112との間には、電極配線122が設けられている。電極配線122と下部電極層112との間には、ショットキーコンタクト部123が設けられており、ショットキーダイオードが形成されている。電極配線122と中部電極層114との間には、オーミックコンタクト部124が設けられており、オーミック接続されている。電極配線122と上部電極層116との間には、ショットキーコンタクト部125が設けられており、ショットキーダイオードが形成されている。
【0055】
また、画素外領域174においては、上部電極層116上には絶縁膜131を介し電極部132が設けられており、また、下部電極部112と電極部132と接続するための電極配線133が設けられている。電極配線133と下部電極層112との間には、オーミックコンタクト部134が設けられておりオーミック接続されている。尚、電極部132は、共通バイアス電極端子となるものであり、画素ごとに設けられるものではない。従って、本実施の形態における赤外線イメージセンサにおいては、画素ごとに形成される電極部は電極部121のみであり、1画素当たりに形成される電極部の数は1つである。
【0056】
また、下部電極層112、中部電極層114及び上部電極層116では、通常、不純物が10×1018cm−3程度に高濃度にドーピングされた低抵抗の半導体層が用いられる。しかしながら、不純物元素が高濃度にドーピングされた半導体層の場合、良好なショットキー接続を形成することが困難である。よって、下部電極層112及び上部電極層116においてショットキーコンタクト部123及び125が接触する部分には、各々不純物元素が低濃度にドーピングされたショットキー接続層を形成することにより、ショットキー接続が形成されている。
【0057】
次に、本実施の形態における光検出素子の等価回路図を図21に示す。第1の光検出素子部141は、下部電極層112、第1の光吸収層113、中部電極層114により形成されるものであり、第2の光検出素子部142は、中部電極層114、第2の光吸収層115及び上部電極層116により形成されるものである。また、第1のショットキーダイオード143は、下部電極層112及びショットキーコンタクト部123により形成されるものであり、第2のショットキーダイオード144は、上部電極層116及びショットキーコンタクト部125により形成されるものである。尚、第1のショットキーダイオード143は第1のダイオードとなるものであり、第2のショットキーダイオード144は第2のダイオードとなるものである。
【0058】
この光検出素子において、電極部121に対し電極部132の電位が低くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、電流は第1の光検出素子部141及び第2のショットキーダイオード144を流れる。これにより、第1の光検出素子部141において検出された光に対応した出力を得ることができる。図22(a)には、本実施の形態における光検出素子において、この状態における電流の流れを矢印Cで示す。また、電極部121に対し電極部132の電位が高くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、電流は第2の光検出素子部142及び第1のショットキーダイオード143を流れる。これにより、第2の光検出素子部142において検出された光に対応した出力を得ることができる。図22(b)には、本実施の形態における光検出素子において、この状態における電流の流れを矢印Dで示す。
【0059】
このように、電極部121と電極部132との間に印加されるバイアス電圧の正負を変化させることにより、第1の光検出素子部141において検出される出力と第2の光検出素子部142において検出される出力とを切り換えることができる。これにより、1つの画素に1つの電極部が形成された構造のものであって、2波長に対応した赤外線イメージセンサを得ることができる。
【0060】
より詳細に、図23及び図24に基づき本実施の形態における光検出素子について説明する。尚、図23(a)は、本実施の形態における光検出素子の要部上面図であり、図23(b)は、断面図である。本実施の形態における光検出素子は、基板111上に、不図示のバッファ層を形成し、下部電極層112、第1の光吸収層113、中部電極層114、第2の光吸収層115、上部電極層116が積層形成されている。これらの層は半導体層を結晶成長させることにより形成されており、基板111上にMBE法または、MOCVD法により形成されている。
【0061】
基板111は絶縁性のGaAsにより形成されており、基板111上に形成される不図示のバッファ層は、GaAsまたはAlGaAsにより形成されている。
【0062】
下部電極層112は、下部電極本体層151とショットキー接続層152とにより形成されている。下部電極本体層151は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約1000nm成膜することにより形成されている。また、ショットキー接続層152は、不純物元素としてSiが1.0×1016cm−3ドープされているn型GaAsを約100nm成膜することにより形成されている。
【0063】
第1の光吸収層113は、第1の実施の形態における第1の光吸収層13と同様の構造を有するものであり、バリア層61と井戸層62とのペアが交互に20ペアが積層形成されている。バリア層61としては、Al0.3Ga0.7Asが約30nm形成されており、井戸層62としては、不純物元素としてSiが5.0×1018cm−3ドープされたn型Ga0.8In0.2Asが約3nm形成されている。
【0064】
中部電極層114は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約1000nm成膜することにより形成されている。
【0065】
第2の光吸収層115は、第1の実施の形態における第2の光吸収層15と同様の構造を有するものであり、バリア層63と井戸層64とのペアが交互に20ペアが積層形成されている。バリア層63としては、Al0.25Ga0.75Asが約50nm形成されており、井戸層64としては、不純物元素としてSiが2.0×1017cm−3ドープされたn型GaAsが約5nm形成されている。
【0066】
上部電極層116は、上部電極本体層153とショットキー接続層154とカップラ層155により形成されている。上部電極本体層153は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約300nm成膜することにより形成されている。また、ショットキー接続層154は、不純物元素としてSiが1.0×1016cm−3ドープされているn型GaAsを約100nm成膜することにより形成されている。また、カップラ層155は、不純物元素としてSiが1.0×1018cm−3ドープされているn型GaAsを約800nm成膜することにより形成されている。尚、カップラ層155の表面には回折格子が形成されており、反射膜77を形成することによりミラーとして機能する。また、オーミックコンタクト部124上及びショットキーコンタクト部123及び125上には、相互を接続するための電極配線122が形成される。尚、下部電極層112、第1の光吸収層113、中部電極層114、第2の光吸収層115、上部電極本体層153及びショットキー接続層154の側面には、絶縁体膜78が形成されており、電極配線122は絶縁体膜78の外側に形成されている。また、画素外領域174において、絶縁体膜131は絶縁体膜78により形成されている。電極配線122は、中部電極層114上に形成されたオーミックコンタクト部124を介し中部電極層114とオーミック接続される。下部電極層112におけるショットキー接続層152上には、ショットキーコンタクト部123が設けられており、ショットキー接続層152とショットキーコンタクト部123との間でショットキーダイオードが形成される。従って、電極配線122は、このショットキーダイオードを介し下部電極層112と接続される。また、上部電極層116におけるショットキー接続層154上には、ショットキーコンタクト部125が設けられており、ショットキー接続層154とショットキーコンタクト部125との間でショットキーダイオードが形成される。従って、電極配線122は、このショットキーダイオードを介し上部電極層116と接続される。また、画素外領域174におけるショットキー接続層152上には、オーミックコンタクト部134が形成されており、オーミックコンタクト部134上には電極配線133が形成されている。よって、電極配線133は、オーミックコンタクト部134を介し下部電極層112とオーミック接続されており、電極配線133は電極部132と接続されているため、電極部132と下部電極層112とが接続されている。
【0067】
電極配線122及び電極配線133上には、電極部121及び132が形成される領域に開口部を有する絶縁体膜82が形成されている。また、画素形成領域173における各々の画素ごとの反射膜77上には画素ごとに一つの電極部121が形成されており、画素外領域174には電極部132が形成される。
【0068】
本実施の形態における光検出素子は、電極部121及び電極部132をCMOS読出回路にハイブリッド接続した後、使用される。ここで、電極部121に対し電極部132の電位が低くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、第1の光吸収層113において検出される約9.0μmの波長の光の光量に対応した電流が出力される。また、電極部121に対し電極部132の電位が高くなるようにバイアス電圧を印加した場合には、第2の光吸収層115において検出される約5.0μmの波長の光の光量に対応した電流が出力される。これにより、異なる波長の2つの赤外光、即ち、約9.0μmの波長の光と、約5.0μmの波長の光を個別に検出することができる。
【0069】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0070】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0071】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に積層された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層とを接続する第1の電極配線と、
前記第2の電極層と前記第3の電極層とを接続する第2の電極配線と、
前記第2の電極と前記第1の電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、
前記第2の電極と前記第2の電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、
を有することを特徴とする光検出素子。
(付記2)
前記第1の電極層及び前記第3の電極層のうち、いずれか一方が他方に対し高い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第1の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れ、いずれか一方が他方に対し低い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第2の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れるものであることを特徴とする付記1に記載の光検出素子。
(付記3)
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が高い場合には、電流は前記第1の光吸収層及び前記第2のダイオードを流れ、
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が低い場合には、電流は前記第2の光吸収層及び前記第1のダイオードを流れることを特徴とする付記1または2に記載の光検出素子。
(付記4)
前記第1の電極層、前記第1の光吸収層、前記第2の電極層、前記第2の光吸収層及び前記第3の電極層は、半導体材料により形成されていることを特徴とする付記1から3のいずれかに記載の光検出素子。
(付記5)
前記第1の電極層、前記第2の電極層及び前記第3の電極層は、n型となる不純物がドープされたGaAsを含む材料により形成されていることを特徴とする付記1から4のいずれかに記載の光検出素子。
(付記6)
前記第1のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第2の電極層上に、前記第1の電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであり、
前記第2のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第2の電極層上に、前記第2の電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであることを特徴とする付記4または5に記載の光検出素子。
(付記7)
前記第2の電極層は、第2の電極本体層とショットキー接続層とを有しており、
前記ショットキー接続層は、前記ショットキーコンタクト部と接続される側に形成されるものであって、
前記第2の電極本体層における不純物元素の濃度よりも、前記ショットキー接続層における不純物元素の濃度が低いことを特徴とする付記6に記載の光検出素子。
(付記8)
前記ショットキーコンタクト部は、Alを含む材料により形成されているものであることを特徴とする付記6または7に記載の光検出素子。
(付記9)
前記第1の電極層と前記第1の電極配線とはオーミック接続されており、前記第3の電極層と前記第2の電極配線とはオーミック接続されていることを特徴とする付記4から8のいずれかに記載の光検出素子。
(付記10)
基板上に積層形成された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、
前記第1の電極層、前記第2の電極層及び前記第3の電極層を接続する電極配線と、
前記第1の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、
前記第3の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、
を有することを特徴とする光検出素子。
(付記11)
前記第1の電極層及び前記第3の電極層のうち、いずれか一方が他方に対し高い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第2の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れ、いずれか一方が他方に対し低い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第1の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れるものであることを特徴とする付記10に記載の光検出素子。
(付記12)
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が高い場合には、電流は前記第2の光吸収層及び前記第1のダイオードを流れ、
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が低い場合には、電流は前記第1の光吸収層及び前記第2のダイオードを流れることを特徴とする付記10または11に記載の光検出素子。
(付記13)
前記第1の電極層、前記第1の光吸収層、前記第2の電極層、前記第2の光吸収層及び前記第3の電極層は、半導体材料により形成されていることを特徴とする付記10から12のいずれかに記載の光検出素子。
(付記14)
前記第1の電極層、前記第2の電極層及び前記第3の電極層は、n型となる不純物がドープされたGaAsを含む材料により形成されていることを特徴とする付記10から13のいずれかに記載の光検出素子。
(付記15)
前記第1のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第1の電極層上に、前記電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであり、
前記第2のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第3の電極層上に、前記電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであることを特徴とする付記13または14に記載の光検出素子。
(付記16)
前記第1の電極層は、第1の電極本体層と第1の電極のショットキー接続層とを有しており、
前記第3の電極層は、第3の電極本体層と第3の電極のショットキー接続層とを有しており、
前記第1の電極のショットキー接続層は、前記ショットキーコンタクト部と接続される側に形成されるものであり、前記第3の電極のショットキー接続層は、前記ショットキーコンタクト部と接続される側に形成されるものであって、
前記第1の電極本体層における不純物元素の濃度よりも前記第1の電極のショットキー接続層における不純物元素の濃度が低く、前記第3の電極本体層における不純物元素の濃度よりも前記第3の電極のショットキー接続層における不純物元素の濃度が低いことを特徴とする付記15に記載の光検出素子。
(付記17)
前記ショットキーコンタクト部は、Alを含む材料により形成されているものであることを特徴とする付記15または16に記載の光検出素子。
(付記18)
前記第2の電極層と前記電極配線とはオーミック接続されていることを特徴とする付記13から17のいずれかに記載の光検出素子。
(付記19)
前記第1の光吸収層及び前記第2の光吸収層は、量子井戸構造により形成されているものであることを特徴とする付記1から18のいずれかに記載の光検出素子。
(付記20)
前記基板上には、複数の光検出素子が設けられており、各々の光検出素子における前記第3の電極層上には、1の光検出素子に対し1つの電極部が設けられていることを特徴とする付記1から19のいずれかに記載の光検出素子。
【符号の説明】
【0072】
11 基板
12 下部電極層(第1の電極層)
13 第1の光吸収層
14 中部電極層(第2の電極層)
15 第2の光吸収層
16 上部電極層(第3の電極層)
21 電極部
22 第1の電極配線
23 オーミックコンタクト部
24 ショットキーコンタクト部
25 第2の電極配線
26 ショットキーコンタクト部
27 オーミックコンタクト部
32 電極部
33 電極配線
34 オーミックコンタクト部
41 第1の光検出素子部
42 第2の光検出素子部
43 ショットキーダイオード(第1のダイオード)
44 ショットキーダイオード(第2のダイオード)
51 中部電極本体層
52 ショットキー接続層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、
前記第1の電極層と前記第2の電極層とを接続する第1の電極配線と、
前記第2の電極層と前記第3の電極層とを接続する第2の電極配線と、
前記第2の電極と前記第1の電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、
前記第2の電極と前記第2の電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、
を有することを特徴とする光検出素子。
【請求項2】
前記第1の電極層及び前記第3の電極層のうち、いずれか一方が他方に対し高い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第1の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れ、いずれか一方が他方に対し低い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第2の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れるものであることを特徴とする請求項1に記載の光検出素子。
【請求項3】
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が高い場合には、電流は前記第1の光吸収層及び前記第2のダイオードを流れ、
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が低い場合には、電流は前記第2の光吸収層及び前記第1のダイオードを流れることを特徴とする請求項1または2に記載の光検出素子。
【請求項4】
前記第1の電極層、前記第1の光吸収層、前記第2の電極層、前記第2の光吸収層及び前記第3の電極層は、半導体材料により形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光検出素子。
【請求項5】
前記第1のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第2の電極層上に、前記第1の電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであり、
前記第2のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第2の電極層上に、前記第2の電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであることを特徴とする請求項4に記載の光検出素子。
【請求項6】
基板上に積層形成された第1の電極層、第1の光吸収層、第2の電極層、第2の光吸収層、第3の電極層と、
前記第1の電極層、前記第2の電極層及び前記第3の電極層を接続する電極配線と、
前記第1の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第1のダイオードと、
前記第3の電極と前記電極配線との接触部分に形成される第2のダイオードと、
を有することを特徴とする光検出素子。
【請求項7】
前記第1の電極層及び前記第3の電極層のうち、いずれか一方が他方に対し高い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第2の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れ、いずれか一方が他方に対し低い電位となるように電圧が印加されている場合には、前記第1の光吸収層において検出された光に対応した電流が流れるものであることを特徴とする請求項6に記載の光検出素子。
【請求項8】
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が高い場合には、電流は前記第2の光吸収層及び前記第1のダイオードを流れ、
前記第3の電極層に対し前記第1の電極層に印加される電圧が低い場合には、電流は前記第1の光吸収層及び前記第2のダイオードを流れることを特徴とする請求項6または7に記載の光検出素子。
【請求項9】
前記第1の電極層、前記第1の光吸収層、前記第2の電極層、前記第2の光吸収層及び前記第3の電極層は、半導体材料により形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の光検出素子。
【請求項10】
前記第1のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第1の電極層上に、前記電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであり、
前記第2のダイオードは、ショットキーダイオードであって、前記第3の電極層上に、前記電極配線と接続されるショットキーコンタクト部を形成することにより形成されるものであることを特徴とする請求項9に記載の光検出素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−94723(P2012−94723A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241587(P2010−241587)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】