光源ユニット、光検出ユニット、光学ヘッド、光ドライブ装置、情報処理装置、光走査装置及び画像形成装置
【課題】波長変動が発生しても、複数の光束を安定して出射する。
【解決手段】光源装置23aは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有している。光源LD1からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH1のみで回折される。光源LD2からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH2のみで回折される。光源LD3からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH3のみで回折される。そして、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と各体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺されるように設定する。
【解決手段】光源装置23aは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有している。光源LD1からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH1のみで回折される。光源LD2からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH2のみで回折される。光源LD3からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH3のみで回折される。そして、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と各体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺されるように設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット、光検出ユニット、光学ヘッド、光ドライブ装置、情報処理装置、光走査装置及び画像形成装置に係り、さらに詳しくは、複数の光を出力する光源ユニット、複数の光を個別に検出する光検出ユニット、光記録媒体に光を照射し、該光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッド、前記光ヘッドを備える光ドライブ装置、該光ドライブ装置を備える情報処理装置、前記光源ユニットを有する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための情報記録媒体(メディア)として、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
光ディスク装置では、光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録層にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録を行い、記録層からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。この光ディスク装置には、光ディスクにレーザ光を照射するとともに、光ディスクからの反射光(戻り光)を受光するために、光ピックアップ装置が設けられている。
【0004】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、光ディスクの記録容量の更なる増加が期待されている。そこで、光ディスクの記録容量を増加させる手段の一つとして、数10層程度の複数の記録層を重ね合わせた、いわゆる3次元多層方式の開発がなされている。この3次元多層方式では、記録材料として蛍光材料や2光子吸収材料を用い、透過率や層間クロストークを改善させた例が多数発表されているが、記録速度及び再生速度が遅いという不都合があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、波長多重型多層光記録媒体の異なった光記録層へ焦点を結ばせて記録を行なう多波長書込み型光学素子が開示されている。この多波長書込み型光学素子は、光波長に応じて波長分散をもつ材料により構成され、多波長光源からの複数の光波長の光を同時もしくは時間分割の形態で受光可能となし、その各波長光に対応する波長多重型多層光記録媒体の光記録層に、当該波長光の焦点をそれぞれ独立して結ばせるようになしている。
【0006】
また、特許文献2には、複数の記録層を中間層を介して積層した多層記録媒体を用いる情報記録・再生装置が開示されている。この情報記録・再生装置は、同一平面上に配置され、同一波長の光ビームを出射する複数の光源と、これら光源より出射された光ビームを集光する対物レンズと、光源と対物レンズとの間に配置され、光ビームがそれぞれに対応する記録層にフォーカスするように光路長を変換する光路長変換手段とを有している。
【0007】
さらに、非特許文献1には、複数光源からの光束を、対物レンズと多重露光された体積ホログラムを用いて多層光記録媒体の異なった光記録層へ集光させるデバイスが開示されている。
【0008】
特許文献3には、被走査面上の光ビーム位置を変えることのできる液晶素子と、光ビームの偏光面を回転する旋光手段としての1/2波長板を液晶素子の前方に配置した光走査装置が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−113947号公報
【特許文献2】特許第2988732号公報
【特許文献3】特開2004-184527号公報
【非特許文献1】Lee,S.C.、Y.Kawata 「Volume holographic device for thespherical aberration correction and the parallel data access in three−dimensional memory」Fr−PD−15 ISOM2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている多波長書込み型光学素子では、互いの波長が大きく異なる複数の光スポットを用いて各光記録層に対する記録及び再生を行っているため、光記録層毎に波長に応じた記録材料を用いる必要があった。しかし、蛍光材料や2光子吸収材料は、反応する波長範囲が狭いため、この多波長書込み型光学素子を用いる場合には、光記録層の数を数10層程度にすることは事実上不可能であった。また、記録層毎に記録材料を異なるものにすると、光記録媒体の製造コストが高くなり、実用的ではなかった。
【0011】
特許文献2に開示されている情報記録・再生装置では、光源が同一平面上に配置されていると、光軸外の光源からの光束に対して、レンズ系で波面収差(コマ収差)が発生するため、記録層で回折限界の光スポットを得るのは困難であった。また、この情報記録・再生装置では、コリメートレンズからの光束がある角度を持って射出されるため、対物レンズに取り込まれる光量が光源毎に異なり、光利用効率が低下するという不都合があった。
【0012】
非特許文献1に開示されているデバイスでは、体積ホログラムは、多重露光するほど回折効率が低下するので、スポット数を増やすと、得られる盤面パワーが低下するという不都合があった。また、このデバイスでは、複数の光源を光軸に垂直な面上に配置した構成にすると、コリメートレンズからの光束がある角度を持って射出されるため、対物レンズに取り込まれる光量や光量分布が光源毎に異なり、光利用効率の低下やスポット形状の非対称性が生じるという不都合があった。さらに、このデバイスでは、1個の体積ホログラムに多重露光するため、複数の発光点の位置が個々にばらついた場合、1個の体積ホログラムでは個別に調整することはできず、発光点のばらつきがそのまま集光点のばらつきになってしまうという不都合があった。
【0013】
特許文献3に開示されている光走査装置では、偏光状態がP偏光とS偏光の2種類しかないためこれ以上合波数を増やすことは困難であった。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することができる光源ユニットを提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出することができる光検出ユニットを提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光学ヘッドを提供することにある。
【0017】
また、本発明の第4の目的は、光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスすることができる光ドライブ装置を提供することにある。
【0018】
また、本発明の第5の目的は、光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うことができる情報処理装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の第6の目的は、高速、高密度に光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の第7の目的は、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、第1の観点からすると、複数の光を出力する光源ユニットであって、複数の光源と;前記複数の光源から出射される複数の光の光路上に配置され、前記複数の光をそれぞれ回折する平面ホログラム素子と;前記複数の光源に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;を備える光源ユニットである。
【0022】
これによれば、複数の光源から出射された複数の光の少なくともいずれかに波長変動が発生しても、平面ホログラム素子と対応する体積ホログラム素子とによって、波長変動の影響を小さくすることができる。従って、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することが可能となる。
【0023】
本発明は、第2の観点からすると、入射する複数の光を個別に検出する光検出ユニットであって、前記複数の光を回折する平面ホログラム素子と;前記複数の光に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;前記複数の体積ホログラム素子に個別に対応して設けられ、それぞれ対応する体積ホログラム素子からの光を受光する複数の光検出器と;を備える光検出ユニットである。
【0024】
これによれば、入射する複数の光の少なくともいずれかに波長変動が発生しても、平面ホログラム素子と対応する体積ホログラム素子とによって、波長変動の影響を小さくすることができる。従って、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出することが可能となる。
【0025】
本発明は、第3の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置され、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光検出器と;を備える第1の光学ヘッドである。
【0026】
本発明は、第4の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、複数の光源と;前記複数の光源からの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置された本発明の光検出ユニットと;を備える第2の光学ヘッド装置である。
【0027】
本発明は、第5の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置された本発明の光検出ユニットと;を備える第3の光学ヘッドである。
【0028】
これら第1〜第3の光学ヘッドによれば、本発明の光源ユニット及び本発明の光検出ユニットの少なくとも一方を備えているため、結果として波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0029】
本発明は、第6の観点からすると、光記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ドライブ装置であって、本発明の光学ヘッドと;前記光学ヘッドの出力信号を用いて情報の再生を行う処理装置と;を備える光ドライブ装置である。
【0030】
これによれば、本発明の光学ヘッドを備えているため、結果として光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスすることが可能となる。
【0031】
本発明は、第7の観点からすると、本発明の光ドライブ装置と;前記光ドライブ装置を制御する制御装置と;を備える情報処理装置である。
【0032】
これによれば、本発明の光ドライブ装置を備えているため、結果として光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うことが可能となる。
【0033】
本発明は、第8の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの光を偏向する偏向器と;前記偏光器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
【0034】
これによれば、本発明の光源ユニットを備えているため、結果として高速、高密度に光走査を行うことが可能となる。
【0035】
本発明は、第9の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0036】
これによれば、少なくとも1つの本発明の光走査装置を備えているため、結果として高品質の画像を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0038】
この光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をシーク方向に駆動するためのシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、駆動制御回路26、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0039】
ここでは、光ディスク15は、一例として3層ディスクであり、レーザ光の入射側から順に、第1記録層(L1とする)、第2記録層(L2とする)、第3記録層(L3とする)を有しているものとする(図2参照)。
【0040】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15の3つの記録層に同時にレーザ光を照射するとともに、3つの記録層からの反射光を同時に受光することが可能な光ピックアップ装置である。
【0041】
この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、光源装置23a、偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、光検出装置23b、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
【0042】
光源装置23aは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、コリメートレンズ52、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有している。
【0043】
ここでは、一例として各光源は、いずれも波長λが650nmのレーザ光を出射する半導体レーザである。なお、本明細書では、光源LD2から出射されるレーザ光の最大強度出射方向をX軸の+方向とし、X軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をY軸方向及びZ軸方向として説明する。
【0044】
光源LD1は光源LD2の+Z側に配置され、光源LD3は光源LD2の−Z側に配置されている。また、一例として各光源からはP偏光の光がそれぞれ出射されるものとする。
【0045】
コリメートレンズ52は、各光源の+X側であって、その光軸上に光源LD2が位置するように配置されている。コリメートレンズ52は、各光源から出射された光をそれぞれ略平行光とする。
【0046】
ここでは、光源LD1はコリメートレンズ52の光軸よりも+Z側に位置しているため、光源LD1からの光は、一例として図3(A)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸方向に対して若干傾斜した略平行光となる。
【0047】
また、光源LD2はコリメートレンズ52の光軸上に位置しているため、光源LD2からの光は、一例として図3(B)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸に略平行な光となる。
【0048】
そして、光源LD3はコリメートレンズ52の光軸の−Z側に位置しているため、光源LD3からの光は、一例として図3(C)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸方向に対してLD1と反対方向に若干傾斜した略平行光となる。
【0049】
例えば、Z軸方向に関する各光源の間隔をそれぞれ100μm、コリメートレンズ52の焦点距離を19mmとすると、コリメートレンズ52を透過した光源LD1からの光は、コリメートレンズ52の光軸方向に対して+0.30°傾斜し、コリメートレンズ52を透過した光源LD3からの光は、コリメートレンズ52の光軸方向に対して−0.30°傾斜することになる。なお、本明細書では、時計回りを「+」、反時計回りを「−」としている。
【0050】
すなわち、光軸方向に平行な略平行光と、光軸方向に対して+0.30°傾斜した略平行光と、光軸方向に対して−0.30°傾斜した略平行光とがコリメートレンズ52から出射される。
【0051】
平面ホログラム素子PH1は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52からの3つの略平行光をいずれも回折する。なお、以下では、便宜上、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD1からの光を「第1光源光」ともいい、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD2からの光を「第2光源光」ともいい、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD3からの光を「第3光源光」ともいう。
【0052】
体積ホログラム素子VH1は、平面ホログラム素子PH1の+X側に配置され、図4に示されるように、第1光源光B1を回折する。なお、第2光源光及び第3光源光は、体積ホログラム素子VH1では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH1を透過する。
【0053】
体積ホログラム素子VH2は、体積ホログラム素子VH1の+X側に配置され、図5に示されるように、第2光源光B2を回折する。なお、第3光源光及び体積ホログラム素子VH1で回折された第1光源光は、体積ホログラム素子VH2では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH2を透過する。
【0054】
体積ホログラム素子VH3は、体積ホログラム素子VH2の+X側に配置され、図6に示されるように、第3光源光B3を回折する。なお、体積ホログラム素子VH1で回折された第1光源光及び体積ホログラム素子VH2で回折された第2光源光は、体積ホログラム素子VH3では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH3を透過する。
【0055】
偏光ビームスプリッタ54は、各体積ホログラム素子で回折され光ディスク15に向かう光、及び光ディスク15からの戻り光の共通光路上に配置されている。ここでは、偏光ビームスプリッタ54は、P偏光の光である各体積ホログラム素子で回折された光をそのまま透過させ、S偏光の光である光ディスク15からの戻り光を分岐する。なお、以下では、便宜上、各体積ホログラム素子で回折された光の進行方向を+T方向とし、戻り光の分岐方向を+S方向とする(図2参照)。
【0056】
λ/4板55は、偏光ビームスプリッタ54の+T側に配置され、入射光に1/4波長の光学的位相差を付与する。
【0057】
対物レンズ60は、λ/4板55の+T側に配置され、λ/4板55を介した光を集光する。
【0058】
ここでは、対物レンズ60のフォーカス制御が適切に行われたときに、光源LD1からの光が第1記録層L1に集光され、光源LD2からの光が第2記録層L2に集光され、光源LD3からの光が第3記録層L3に集光される(図7参照)。すなわち、3個の光源を同時に発光させると、光ディスク15の3つの記録層に同時に光スポットを形成することができる。ここでは、各光スポットは、対物レンズ60の光軸上に形成される。
【0059】
光検出装置23bは、集光レンズ58、2個のハーフプリズム(76a、76b)、3個のピンホール板(75a、75b、75c)、及び3個の受光器(PD1、PD2、PD3)を有している。
【0060】
集光レンズ58は、偏光ビームスプリッタ54の+S側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で分岐された戻り光を集光する。ここでは、戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分は、やや収束しながら集光レンズ58に入射し、戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分は、平行に集光レンズ58に入射し、戻り光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分は、やや発散しながら集光レンズ58に入射する。
【0061】
ハーフプリズム76aは、集光レンズ58の+S側に配置され、集光レンズ58を介した光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分を−T方向に反射し、残りを透過させる(図8参照)。
【0062】
ハーフプリズム76bは、ハーフプリズム76aの+S側に配置され、ハーフプリズム76aを透過した光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分を−T方向に反射し、残りを透過させる(図8参照)。
【0063】
ピンホール板75aは、ハーフプリズム76aの−T側に配置され、ハーフプリズム76aで反射された光のビーム径を制限する。このピンホール板75aを通過した光は、受光器PD3で受光される(図8参照)。従って、受光器PD3で受光される光は、主として第1記録層L1からの戻り光である。
【0064】
ピンホール板75bは、ハーフプリズム76bの−T側に配置され、ハーフプリズム76bで反射された光のビーム径を制限する。このピンホール板75bを通過した光は、受光器PD2で受光される(図8参照)。従って、受光器PD2で受光される光は、主として第2記録層L2からの戻り光である。
【0065】
ピンホール板75cは、ハーフプリズム76bの+S側に配置され、ハーフプリズム76bを透過した光のビーム径を制限する。このピンホール板75cを通過した光は、受光器PD1で受光される(図8参照)。従って、受光器PD1で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0066】
なお、各ピンホール板は、層間クロストークを除去するために設けられている。
【0067】
前記駆動系は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのフォーカシングアクチュエータ、及びトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのトラッキングアクチュエータを有している。
【0068】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
【0069】
光源LD1から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、さらに体積ホログラム素子VH1で回折され、体積ホログラム素子VH2及び体積ホログラム素子VH3をそのまま透過して偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0070】
光源LD2から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、体積ホログラム素子VH1をそのまま透過後、体積ホログラム素子VH2でさらに回折され、体積ホログラム素子VH3をそのまま透過して偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0071】
光源LD3から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH2をそのまま透過後、体積ホログラム素子VH3でさらに回折され、偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0072】
偏光ビームスプリッタ54に入射した光の大部分は、偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の各記録層に集光される。
【0073】
光ディスク15の各記録層からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60を介してλ/4板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0074】
偏光ビームスプリッタ54で+S方向に分岐された戻り光は、集光レンズ58を介してハーフプリズム76aに入射する。戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分は、ハーフプリズム76aで反射され、ピンホール板75aを介して受光器PD3で受光される。
【0075】
ハーフプリズム76aを透過した戻り光は、ハーフプリズム76bに入射する。この戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分は、ハーフプリズム76bで反射され、ピンホール板75bを介して受光器PD2で受光される。
【0076】
ハーフプリズム76bを透過した戻り光は、ピンホール板75cを介して受光器PD1で受光される。
【0077】
各受光器は、それぞれ通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子(又は複数の受光領域)を含んで構成されている。各受光素子(又は各受光領域)はそれぞれ光電変換により受光量に応じた信号を生成し、再生信号処理回路28に出力する。
【0078】
図1に戻り、再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の各受光器の出力信号(複数の光電変換信号)に基づいて、サーボ信号(フォーカスエラー信号やトラックエラー信号など)、アドレス情報、同期情報、及びRF信号などを取得する。
【0079】
ここで得られたサーボ信号は制御回路26に出力され、アドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25や駆動制御回路26などに出力される。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、再生データに含まれるアドレス情報はCPU40に出力される。
【0080】
駆動制御回路26は、再生信号処理回路28からのサーボ信号に基づいて、光ピックアップ装置23の駆動系の駆動信号を生成し、光ピックアップ装置23に出力する。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、駆動制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、シークモータ21を駆動するための駆動信号、及びスピンドルモータ22を駆動するための駆動信号を生成する。各モータの駆動信号は、それぞれシークモータ21及びスピンドルモータ22に出力される。
【0081】
バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、バッファマネージャ37によって管理されている。
【0082】
エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を記録層毎に生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
【0083】
レーザ制御回路24は、光ピックアップ装置23の各光源の発光パワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び各光源の発光特性などに基づいて、各光源の駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。
【0084】
インターフェース38は、上位装置90(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)及びUSB(Universal Serial Bus)などの標準インターフェースに準拠している。
【0085】
フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及び各光源の発光特性などが格納されている。
【0086】
CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34に保存する。
【0087】
《記録処理》
次に、上位装置90からユーザデータの記録要求があったときの、光ディスク装置20における処理(記録処理)について図9を用いて説明する。図9のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0088】
上位装置90から記録要求コマンドを受信すると、図9のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0089】
最初のステップS401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28などに通知する。また、記録要求コマンドに基づいて記録対象の記録層を特定し、該特定結果を再生信号処理回路28、エンコーダ25、及びレーザ制御回路24などに通知する。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とにユーザデータが記録されるものとする。
【0090】
次のステップS403では、バッファRAM34に蓄積されている上位装置90からのユーザデータ(記録用データ)を、第1記録層L1に記録するユーザデータ、第2記録層L2に記録するユーザデータ、及び第3記録層L3に記録するユーザデータに分割する。
【0091】
次のステップS405では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
【0092】
次のステップS407では、記録を許可する。これにより、エンコーダ25、レーザ制御回路24及び光ピックアップ装置23を介して、光ディスク15の各記録層にユーザデータがそれぞれ記録される。
【0093】
次のステップS409では、記録が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。記録が完了していれば、ここでの判断は肯定され、記録終了を上位装置90に通知した後、記録処理を終了する。ここでは、各記録層への記録がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で記録処理を終了することができる。
【0094】
《再生処理》
次に、上位装置90から再生要求があったときの、光ディスク装置20における処理(再生処理)について図10を用いて説明する。図10のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0095】
上位装置90から再生要求コマンドを受信すると、図10のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
【0096】
最初のステップS501では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28などに通知する。また、再生要求コマンドに基づいて再生対象の記録層を特定し、該特定結果を再生信号処理回路28及びレーザ制御回路24などに通知する。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とから再生するものとする。
【0097】
次のステップS503では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
【0098】
次のステップS505では、再生を許可する。これにより、光ピックアップ装置23及び再生信号処理回路28を介して、光ディスク15の各記録層に記録されているデータがそれぞれ再生される。
【0099】
次のステップS507では、再生が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。再生が完了していれば、ここでの判断は肯定され、ステップS509に移行する。
【0100】
このステップS509では、第1記録層L1からの再生データと第2記録層L2からの再生データと第3記録層L3からの再生データとを連結し、上位装置90に転送する。そして、再生処理を終了する。ここでは、各記録層からの再生がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で再生処理を終了することができる。
【0101】
《角度選択性》
ところで、平面ホログラム素子PH1からの複数の略平行光が、それぞれ対応する体積ホログラム素子だけで回折されるのは、各体積ホログラム素子がそれぞれ角度選択性を有するためである。この角度選択性とは、特定の入射角で入射した光だけを回折し、それ以外の入射角で入射した光は回折せずにそのまま透過させる特性をいう。この角度選択性について以下に説明を行う。
【0102】
例えば、小山次郎、西原浩著の「光波電子工学」(コロナ社)117頁〜132頁によると、体積ホログラム素子とは、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)が10を超えるホログラム素子とされている。ここで、λ0は入射光の波長(空気中:ここでは650nm)、Tはホログラム素子の厚さ、n0はホログラム素子基板の屈折率、Λは溝のピッチ(ホログラムピッチ)である。
【0103】
Q=2πλ0T/(n0Λ2) ……(1)
【0104】
Q=0.1、Q=1、Q=2及びQ=10の各ホログラム素子での、光の入射角と1次回折効率P(%)との関係が一例として図11に示されている。なお、図11におけるαは、−sin(入射角)/2sin(ブラッグ角)である。
【0105】
体積ホログラム素子では、図11からわかるように、光の入射角がブラッグ角と一致したとき(α=1/2のとき)に、高い回折効率が得られ、それ以外の入射角のときは回折効率がほとんど0%になる。
【0106】
一方、Q値が1以下のホログラム素子は、一般に平面ホログラム素子と呼ばれている。平面ホログラム素子では、図11からわかるように、入射角によらず常にほぼ一定の回折効率が得られる。平面ホログラム素子PH1は、このような特性を示すホログラム素子である。
【0107】
そこで、前述した、Z軸方向に関する各光源の間隔がそれぞれ100μm、コリメートレンズ52の焦点距離が19mmの場合に、光源LD2からの光が平面ホログラム素子PH1に垂直(入射角=0°)に入射し、回折されて出射角θmで出射するときには、光源LD1からの光はθm+0.30°、光源LD3からの光は、θm−0.30°の角度で平面ホログラム素子PH1から出射される。この場合には、平面ホログラム素子PH1からの3つの光束は、各体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)への入射角が、互いに約0.30°異なることとなるため、各体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)は、いずれも約0.3°の角度選択性を持てば良い。
【0108】
ところで、体積ホログラムは角度選択性と同時に波長選択性も有している。そのため高速記録、高速再生のために光源の数を増やし、角度選択性が顕著な体積ホログラムを用いると、同時に波長選択性も顕著になる。
【0109】
例えば、図12に示されるように、ホログラムピッチΛが1.0μm、厚さTが645μmの体積ホログラムに波長λ0が650nmの光を入射すると、入射角θが18.97°(=ブラッグ角)のときに回折効率Pは最大で約95%になる。このときの角度選択性は0.23°であり、光の入射角がブラッグ角から「0.23°/2」異なれば回折効率はほぼ0%になる。なお、図12における符号B0は0次光を示し、符号B1は1次光を示している。
【0110】
この体積ホログラムに対して、入射角が18.97°のときに、図13に示されるように、入射光の波長λを640nmから660nmまで変化させると、650nmの光に対しては95%の高い回折効率Pが得られるが、波長が650nmから±4nm程度ずれると回折効率Pはほぼ0%に低下する。なお、図13における符号B0は0次光を示し、符号B1は1次光を示している。
【0111】
通常、光ピックアップ装置で用いられる半導体レーザから出射されるレーザ光は±10nm程度の波長幅があるため、波長選択性が顕著な体積ホログラムを用いると、特定の波長の場合にしか高い回折効率が得られない。そこで、温度変動等に起因して光源から出射される光に波長変動が発生すると、急激に回折効率が低下してしまう。
【0112】
本第1の実施形態では、以下のようにしてこの問題を解決している。
【0113】
平面ホログラム素子PH1への光の入射角をθi、平面ホログラム素子PH1からの光の出射角をθm、光源波長をλ、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチをΛpとすると、次の(2)式の関係が成り立つ。
【0114】
sinθi+sinθm=λ/Λp ……(2)
【0115】
(A)先ず、光源LD2からの光について説明する。
【0116】
光源LD2からの光は平面ホログラム素子PH1へは垂直に入射しており、入射角θiは0°である。従って、上記(2)式は、次の(3)式となる。
【0117】
sinθm=λ/Λp ……(3)
【0118】
第2光源光が体積ホログラムVH2に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH2で回折された第2光源光が出射角θnで体積ホログラムVH2から出射するとすれば、次の(4)式が成り立つ。ここで、Λ2は体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチである。
【0119】
sinθm+sinθn=λ/Λ2 ……(4)
【0120】
そして、θm=θn=ブラッグ角(θBとする)のときにブラッグ条件が満足され、第2光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(4)式に、θm=θn=θBの関係を適用すると、ブラッグ角θBは、次の(5)式で表される。
【0121】
sinθB=λ/(2×Λ2) ……(5)
【0122】
また、ブラッグ条件が満足されるときには、θm=θBなので、上記(5)式から次の(6)式も成立する。
【0123】
sinθm=λ/(2×Λ2) ……(6)
【0124】
そして、上記(6)式を上記(3)式に代入すると、次の(7)式が得られる。
【0125】
0=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ2)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ2)) ……(7)
【0126】
従って、平面ホログラム素子PH1への入射角が0°であり、かつΛp=(2×Λ2)であれば、波長λに関わらず、ブラッグ条件が満足される。
【0127】
本第1の実施形態では、平面ホログラム素子PH1への光源LD2からの光の入射角を0°とし、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチΛpを体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチΛ2の2倍としている。これにより、第2光源光は常に体積ホログラム素子VH2にブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD2からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH2では、常に高い回折効率で第2光源光を回折することができる。
【0128】
(B)次に光源LD1からの光について説明する。
【0129】
第1光源光が体積ホログラムVH1に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH1で回折された第1光源光が出射角θnで体積ホログラムVH1から出射するとすれば、次の(8)式が成り立つ。ここで、Λ1は体積ホログラム素子VH1のホログラムピッチである。
【0130】
sinθm+sinθn=λ/Λ1 ……(8)
【0131】
そして、θm=θn=θBのときにブラッグ条件が満足され、第1光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(8)式から次の(9)式が成立する。
【0132】
sinθm=λ/(2×Λ1) ……(9)
【0133】
そして、上記(9)式を上記(2)式に代入すると、次の(10)式が得られる。
【0134】
sinθi=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ1)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ1)) ……(10)
【0135】
そこで、次の(11)式を満たすようなΛ1に設定すれば、平面ホログラム素子PH1からの出射角と体積ホログラム素子VH1のブラッグ角とが一致して高い回折効率を得ることができる。
【0136】
(1/Λp−1/(2×Λ1))=sinθi/λ ……(11)
【0137】
しかしながら、波長λが変化すると、それに応じてΛ1も変化させないと上記(11)式は成り立たなくなる。
【0138】
図14に、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段に配置され、平面ホログラム素子への入射角が0°のとき(Case1)、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段に配置され、平面ホログラム素子への入射角が0.3°のとき(Case2)、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段になく、体積ホログラム素子への入射角が0°のとき(Case3)、及び平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段になく、体積ホログラム素子への入射角が0.3°のとき(Case4)の、体積ホログラム素子における入射角とブラッグ角とのずれdθと波長λとの関係が示されている。
【0139】
Case1では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化しても、体積ホログラム素子への入射角は、ブラッグ角と常に一致している。また、Case2では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化すると、体積ホログラム素子への入射角は、ブラック角から±0.005°ずれる。
【0140】
一方、Case3及びCase4では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化すると、体積ホログラム素子への入射角は、ブラック角から±0.05°ずれる。
【0141】
図12を参照すると、体積ホログラム素子への入射角θがブラック角(18.97°)から±0.005°ずれても、回折効率Pは90%以上を維持しているが、体積ホログラム素子への入射角θがブラック角(18.97°)から±0.05°ずれると、回折効率Pは約50%になる。
【0142】
本第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH1は、θi=0.3°、λ=650nmのときに、上記(11)式が満たされるようなΛ1に設定されている。これにより、第1光源光は常に体積ホログラム素子VH1に略ブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD1からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH1では、常に高い回折効率で第1光源光を回折することができる。
【0143】
(C)次に光源LD3からの光について説明する。
【0144】
第3光源光が体積ホログラムVH3に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH3で回折された第3光源光が出射角θnで体積ホログラムVH3から出射するとすれば、次の(12)式が成り立つ。ここで、Λ3は体積ホログラム素子VH3のホログラムピッチである。
【0145】
sinθm+sinθn=λ/Λ3 ……(12)
【0146】
そして、θm=θn=θBのときにブラッグ条件が満足され、第3光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(12)式から次の(13)式が成立する。
【0147】
sinθm=λ/(2×Λ3) ……(13)
【0148】
そして、上記(13)式を上記(2)式に代入すると、次の(14)式が得られる。
【0149】
sinθi=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ3)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ3)) ……(14)
【0150】
本第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH3は、θi=−0.3°、λ=650nmのときに、上記(14)式が満たされるようなΛ3に設定されている。これにより、上記「光源LD1からの光」の場合と同様に、第3光源光は常に体積ホログラム素子VH3に略ブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD3からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH3では、常に高い回折効率で第3光源光を回折することができる。
【0151】
このように、複数の体積ホログラム素子の前段に平面ホログラム素子を配置することにより、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができる。
【0152】
各体積ホログラム素子の材料としては、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかを使用することができる。
【0153】
フォトポリマーは有機高分子記録材料であって、WORM(Write Once Read Many)型ホログラムメモリに多く使われている。フォトポリマーは、最近の数年間で大幅にその性能が改善され、現在、メーカでは、数100μmの厚さで光学特性に優れ、記録に伴う収縮を低減する材料の開発に成功している。例えば、2−chemistry−materialsから構成される低収縮性フォトポリマーや、カチオンリング重合機構を利用して重合される低収縮性フォトポリマーなどが知られている。その結果、高い光感度と高い体積記録密度とが両立可能となった。このようなフォトポリマーを各体積ホログラム素子に使うことにより、高効率で高精度の光束合成手段が実現できる。
【0154】
また、サーモプラスチックもWORM型ホログラムメモリに多く使われている。特に色素がドープされたサーモプラスチックは、種々の波長の光で記録再生が可能である。また、メーカは、数ミリ厚の成形が可能で、光学特性に優れ、記録に伴う収縮を低減するサーモプラスチックの開発に成功している。その結果、高い光感度と高い体積記録密度とが両立可能となった。また数ミリ厚の成形ができるため、ホログラムのピッチを小さくしなくても体積性(Q値)の大きいホログラムを実現でき、微細加工を必要とせず、加工性が容易になると言うメリットがある。このようなサーモプラスチックは、材料自身を基板とすることができるので、高効率、高精度の光束合成手段が実現できる。
【0155】
さらに、最近ナノガラスを用いた光機能素子が提案されている。ナノガラスとは、ナノメートル単位で構造を制御したガラスのことで、例えばガラス中に半導体ナノ粒子を安定かつ均一に分散させることでガラス中にホログラムを形成することもできる。このガラスに光を照射すると、光の当たったところが屈折率が変わるため体積ホログラムを作ることができる。ガラスを材料としているため、従来のガラス加工技術をそのまま使うことができ、波面精度、光透過性、熱特性等に優れた光学素子を作ることができる。また厚さも数ミリ厚の成形ができるため、ホログラムのピッチを小さくしなくても体積性(Q値)の大きいホログラムを実現でき、微細加工を必要とせず、加工が容易になると言うメリットがある。
【0156】
ところで、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置、第2記録層L2の位置及び第3記録層L3の位置は、互いに異なっている。すなわち、記録層毎にいわゆる基板厚が異なっている。ここでは、一例として、第2記録層L2に集光する光に収差が生じないように設計されているため、第1記録層L1に集光する光には、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差が生じる。同様に、第3記録層L3に集光する光には、対物レンズ60に対する第3記録層L3の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差が生じる。
【0157】
そこで、体積ホログラム素子VH1は、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差を補正するための球面収差を第1光源光に与えるように設定されている。また、体積ホログラム素子VH3は、対物レンズ60に対する第3記録層L3の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差を補正するための球面収差を第3光源光に与えるように設定されている。すなわち、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3は、基板厚の違いに起因する収差が補償されるように、対応する光の発散度を変更する。なお、本明細書では、「発散度」は、光が発散するときの発散の程度だけでなく、光が収束するときの収束の程度も含むものとする。
【0158】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、処理装置が実現されている。なお、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現された処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって実現することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって実現することとしても良い。
【0159】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有する光源装置23aを備えている。そして、光源LD1からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH1のみで回折される。また、光源LD2からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH2のみで回折される。さらに、光源LD3からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH3のみで回折される。この場合に、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と各体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができる。これにより、光源装置23aからは、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することが可能となる。従って、光ピックアップ装置23は、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0160】
また、波長変動が発生しても各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができるため、光源に安価な半導体レーザを用いても、光源の温度を制御するための温度制御装置を設ける必要がなく、光源装置23aの小型化及び低コスト化を図ることができる。その結果、光ピックアップ装置23の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0161】
また、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3は、記録層の基板厚の違いに起因する収差が補償されるように、対応する光の発散度を変更しているため、いずれの記録層においても良好な光スポットを形成することができる。
【0162】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光ピックアップ装置23を備えているため、結果として、光ディスクの複数の記録層に同時にアクセスすることが可能となる。
【0163】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1への記録と第2記録層L2への記録と第3記録層L3への記録とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクへの記録処理を迅速に行うことが可能となる。
【0164】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1からの再生と第2記録層L2からの再生と第3記録層L3からの再生とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクからの再生処理を迅速に行うことが可能となる。
【0165】
なお、上記第1の実施形態において、記録と再生をほぼ同時に行うことも可能である。例えば、第1記録層L1への情報の記録を行いつつ、第2記録層L2から情報の再生を行うことができる。
【0166】
また、上記第1の実施形態において、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、コリメートレンズ52、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を同一の筐体内に収容しユニット化しても良い。これにより、光源装置23aの小型化を更に図ることができる。ところで、半導体レーザ以外の固体レーザ(ルビーレーザ、YAGレーザ等)や気体レーザ(He−Neレーザ、Arレーザ、エキシマレーザ、CO2レーザ等)では波長変動が無い反面、小型化が困難である。
【0167】
また、上記第1の実施形態において、平面ホログラム素子を追加したことによる光量ロスを最小限に抑えるために、平面ホログラム素子PH1における格子は、一例として図15に示されるように、断面がブレーズ形状の格子であることが望ましい。ブレーズ形状の格子は+1次光だけを生じるように設計できるため、入射した光を高い回折効率で各体積ホログラム素子へと導くことができる。
【0168】
但し、ブレーズ形状の格子は常に高い回折効率が得られるわけではなく、「回折光学素子入門」(オプトロニクス社)67頁(図3)によると、Λ/λ(Λ:格子ピッチ、λ:波長)が7以上のときには高い回折効率が得られるが、Λ/λが4以下のときには高い回折効率が得られにくくなる。ここでは、λ=650nmであるため、Λが4.55μm以上の場合に高い回折効率が得られることになる。なお、上記第1の実施形態では、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチは体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチの2倍であるので、この場合には、体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチは2.275μm以上となる。
【0169】
なお、上記第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH2が体積ホログラム素子VH1の+X側に配置され、体積ホログラム素子VH3が体積ホログラム素子VH2の+X側に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0170】
また、各体積ホログラム素子を、それぞれの出射光の発散度及び出射光の出射角が互いに異なるように設定し、一例として図16に示されるように、光ディスク15の回転中心からの距離が互いに異なる位置に各光スポットを形成することができる。この場合には、各記録層からの複数の戻り光成分は、上記第1の実施形態よりも大きな角度の違いを持って光検出装置23bに戻ってくる。従って、各戻り光成分の分離が容易になり、かつ層間クロストークが更に少なくなる。
【0171】
そして、例えば、第1記録層L1に形成される光スポット及び第3記録層L3に形成される光スポットが、対物レンズ60の光軸からずれている場合には、この光軸からのずれに起因するコマ収差を体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3にて補正するようにしても良い。
【0172】
また、各体積ホログラム素子を、それぞれの出射光の出射角が互いに異なるように設定し、光ディスクの同一の記録層に3つの光スポットを形成することができる(図17参照)。この場合であっても、3つのスポットで同時に記録及び再生ができるため、高速記録、高速再生が可能になる。
【0173】
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態を図18及び図19に基づいて説明する。
【0174】
この第2の実施形態は、図18に示されるように、前述した第1の実施形態における前記光検出装置23bに代えて、平面ホログラム素子及び体積ホログラム素子を有する光検出装置23cを用いる点に特徴を有する。その他の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0175】
光検出装置23cは、平面ホログラム素子PH2、3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)、集光レンズ58、及び3個の受光器(PD1、PD2、PD3)を有している。
【0176】
平面ホログラム素子PH2は、偏光ビームスプリッタ54の+S側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で分岐された戻り光を回折する。ここでは、平面ホログラム素子PH2は、戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分が入射角0°で入射するように設定されている。また、平面ホログラム素子PH2のホログラムピッチは、体積ホログラム素子VHD2のホログラムピッチの2倍となるように設定されている。
【0177】
なお、以下では、便宜上、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分を「第1反射光」ともいい、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分を「第2反射光」ともいい、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分を「第3反射光」ともいう。
【0178】
体積ホログラム素子VHD1は、平面ホログラム素子PH2の+S側に配置され、第1反射光を回折する。なお、第2反射光及び第3反射光は、体積ホログラム素子VHD1では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD1を透過する。
【0179】
体積ホログラム素子VHD2は、体積ホログラム素子VHD1の+S側に配置され、第2反射光を回折する。なお、第3反射光及び体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光は、体積ホログラム素子VHD2では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD2を透過する。
【0180】
体積ホログラム素子VHD3は、体積ホログラム素子VHD2の+S側に配置され、第3反射光を回折する。なお、体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光及び体積ホログラム素子VHD2で回折された第2反射光は、体積ホログラム素子VHD3では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD3を透過する。
【0181】
ここでは、第1の実施形態で説明した光源装置23aと同様にして、戻り光に波長変動があっても、平面ホログラム素子PH2の回折角変動と各体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)では常に高い回折効率を保つことができるように設定されている。
【0182】
なお、光検出装置23cの各体積ホログラム素子としては、光源装置23aの各体積ホログラム素子と同様に、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかを使用することができる。
【0183】
集光レンズ58は、体積ホログラム素子VHD3の+S側に配置され、体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光、体積ホログラム素子VHD2で回折された第2反射光及び体積ホログラム素子VHD3で回折された第3反射光をそれぞれ集光する。
【0184】
集光レンズ58は、コリメートレンズ52に比べて焦点距離をある程度自由に設定できる。そのため光検出装置23cの各体積ホログラム素子の仕様も自由度が広がり、高い角度選択性、高い回折効率を得るために、それぞれのホログラムピッチ、厚さ、及び屈折率を最適化しやすくなる。
【0185】
受光器PD1は、集光レンズ58による第1反射光の集光位置に配置され、第1反射光を受光する。従って、受光器PD1で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0186】
受光器PD2は、集光レンズ58による第2反射光の集光位置に配置され、第2反射光を受光する。従って、受光器PD2で受光される光は、主として第2記録層L2からの戻り光である。
【0187】
受光器PD3は、集光レンズ58による第3反射光の集光位置に配置され、第3反射光を受光する。従って、受光器PD3で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0188】
また、第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理を行うことができる。
【0189】
以上に説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有する光源装置23aを備えている。従って、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0190】
また、平面ホログラム素子PH2、及び3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)を有する光検出装置23cを備えている。従って、戻り光に波長変動があっても、各受光器からはS/N比の高い信号が安定して出力される。
【0191】
また、光検出装置23cは、複数の記録層の層間距離が小さくても、ピンホール板を有していないため、前記光検出装置23bよりも組み付け及び調整が容易である。
【0192】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20によると、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光ピックアップ装置23を備えているため、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0193】
なお、光量ロスを最小限に抑えるために、平面ホログラム素子PH1及び平面ホログラム素子PH2の格子は、断面がブレーズ形状の格子であることが望ましい。但し、いずれも、Λ/λ(Λ:格子ピッチ、λ:波長)は7以上とする。
【0194】
また、上記第1及び第2の実施形態では、光ディスクの記録層が3層の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0195】
また、上記第1及び第2の実施形態では、1つの記録層に3次元的に情報が記録される光ディスクに対しても同様にして情報の記録及び再生を行うことができる。
【0196】
また、上記第1及び第2の実施形態では、光ディスクが情報の書き換えが可能な光ディスクであっても良い。この場合には、複数の記録層に記録されている情報をほぼ同時に消去することができるため、情報の消去を従来よりも高速に行うことが可能である。
【0197】
《第3の実施形態》
以下、本発明の第3の実施形態を図20及び図21に基づいて説明する。
【0198】
この第3の実施形態は、図20に示されるように、第2の実施形態における前記光源装置23aに代えて、光源装置23dを用いる点に特徴を有する。その他の構成は、前述した第2の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1及び第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0199】
光源装置23dは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)及びコリメートレンズ52を有している。すなわち、前記光源装置23aから前記平面ホログラム素子PH1及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を除いたものである。
【0200】
この場合は、一例として図21に示されるように、光ディスクの同一の記録層に3つの光スポットが形成される。
【0201】
本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、平面ホログラム素子PH2、及び3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)を有する光検出装置23cを備えている。これにより、戻り光に波長変動があっても、各受光器からはS/N比の高い信号が安定して出力される。従って、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0202】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、光源が3個の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、複数の光源に対応して複数の体積ホログラム素子が設けられていれば良い。
【0203】
また、上記第1〜第3の実施形態では、体積ホログラム素子が透過型の場合について説明したが、これに限らず、反射型であっても良い。
【0204】
また、上記第1〜第3の実施形態では、光ディスク装置が情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0205】
《情報処理装置》
次に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を図22に基づいて説明する。
【0206】
この情報処理装置10は、主制御装置92、前記光ディスク装置20、ハードディスク装置(HDD)94、入力装置95、表示装置96、及びドライブインターフェース97などを備えている。
【0207】
前記HDD94は、ハードディスク94bと、該ハードディスク94bを駆動するための駆動装置94aなどから構成されている。
【0208】
前記表示装置96は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)及びプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などを用いた表示部(図示省略)を備え、主制御装置92から指示された各種情報を表示する。
【0209】
前記入力装置95は、例えばキーボード、マウス、タブレット、ライトペン及びタッチパネルなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置92に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。また、表示装置96と入力装置95とが一体化されたものとして、例えばタッチパネル付きLCDなどがある。
【0210】
前記ドライブインターフェース97は、主制御装置92と、光ディスク装置20及びHDD94との双方向のインターフェースであり、前記光ディスク装置20のインターフェース38と同じ標準インターフェースに準拠している。
【0211】
このように構成される情報処理装置10において、ユーザが、入力装置95を介して、光ディスク15に対する再生要求を入力すると、主制御装置92は、再生要求コマンドを光ディスク装置20に送信する。
【0212】
光ディスク装置20は、再生要求コマンドを受信すると、上記再生処理を行う。
【0213】
主制御装置92は、光ディスク装置20からの再生結果を表示装置96の表示部に表示する。
【0214】
また、ユーザが、入力装置95を介して、光ディスク15に対する記録要求を入力すると、主制御装置92は、記録要求コマンド及び記録用データを光ディスク装置20に送信する。
【0215】
光ディスク装置20は、記録要求コマンドを受信すると、上記記録処理を行う。
【0216】
主制御装置92は、光ディスク装置20での記録結果を表示装置96の表示部に表示する。
【0217】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10によると、光ディスクの複数の記録位置に同時にアクセスすることができる光ディスク装置20を備えているため、結果として、光ディスクに対して、高速で安定したアクセスを行うことが可能となる。
【0218】
なお、上記情報処理装置10において、前記光ディスク装置20は、いわゆる内蔵タイプであっても良いし、いわゆる外付けタイプであっても良い。
【0219】
また、前記光ディスク装置20は、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、情報の再生のみが可能な光ディスク装置であっても良い。
【0220】
《画像形成装置》
図23には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
【0221】
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0222】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位機器(例えば、パソコン)との双方向の通信を制御する。
【0223】
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図23における矢印方向に回転するようになっている。
【0224】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
【0225】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
【0226】
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、感光体ドラム1030の表面では、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
【0227】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
【0228】
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0229】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
【0230】
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0231】
この定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
【0232】
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
【0233】
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
【0234】
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
【0235】
この光走査装置1010は、図24に示されるように、偏向器側走査レンズ1011a、像面側走査レンズ1011b、ポリゴンミラー1013、光源ユニット1014、カップリングレンズ1015、開口板1016、シリンドリカルレンズ1017、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。
【0236】
光源ユニット1014は、図25に示されるように、前記光源装置23aと同様な構成を有している。但し、3個の光源(LD1、LD2、LD3)は、一例として図26に示されるように、それぞれ4つの発光部が一次元配列された面発光レーザアレイである。なお、発光部の数は4つに限定されるものではない。
【0237】
図25に戻り、LDA2から出射された光束は、入射角θi(図25ではθi=0)で平面ホログラム素子PH1に入射し、出射角θmで回折される。平面ホログラム素子PH1から出射角θmで回折された光束は体積ホログラム素子VH1を透過し、体積ホログラム素子VH2で回折される。光束が体積ホログラム素子VH1を透過するのは、体積ホログラムが有する角度選択性のためであり、体積ホログラム素子VH1は、θmの角度で入射した光束に対しては回折効率が低くなるように設計されている。一方、体積ホログラム素子VH2はθmの角度で入射した光束に対しては回折効率が高くなるように設計されている。したがって、θmの角度で入射した光束は出射角θnとなって高効率(≧80%)で回折される。このとき体積ホログラム素子VH3も、体積ホログラム素子VH1同様、透過するように設計されている。
【0238】
LDA1から出射された光束は、入射角θi´で平面ホログラム素子PH1に入射する。ここでθi´は、tanθi´=α/f(α:LDA1とLDA2の間隔、f:コリメートレンズ52の焦点距離)である。ここでの目的は熱の影響を受け難くするためなのでLDA1とLDA2の間隔αは熱の影響を受けにくいように間隔を大きくした方が望ましい。平面ホログラム素子PH1にθi´で入射した光束は出射角θm´で回折される。平面ホログラム素子PH1から出射角θm´で回折された光束は体積ホログラム素子VH1で回折される。体積ホログラム素子VH1はθm´の角度で入射した光束に対しては回折効率が高くなるように設計されている。したがって、θm´の角度で入射した光束は出射角θn´となって高効率(≧80%)で回折される。このとき体積ホログラム素子VH2、体積ホログラム素子VH3は透過する。
【0239】
ここで、LDA1とLDA2の光束の間で、平面ホログラム素子PH1への入射角の差(θi´−θi)と、体積ホログラム素子からの出射角の差(θn´−θn)を比べて、出射角の差(θn´−θn)の方が小さくなるように体積ホログラム素子を設計すれば、LDA1とLDA2の間隔αが小さくなったことと等価になる。したがって、光源の間隔αを広げて熱に対して安定にしたとしても、光走査装置においては高密度記録できることに変わりはない。このように体積ホログラムを用いて合波することにより、通常の面発光レーザアレイよりも熱に対して安定にすることができる。また熱による波長変動に対しても安定であることは、上記第1の実施形態と同じである。
【0240】
LDA3からの光束についても同様のことが言え、LDA2とLDA3の間隔を広げて熱に対して安定化を図ることができる。
【0241】
この場合に、感光体ドラム1030の表面に形成される光スポットが図27に示されている。
【0242】
図24に戻り、カップリングレンズ1015は、光源ユニット1014から射出された光束を略平行光とする。
【0243】
開口板1016は、開口部を有し、カップリングレンズ1015を介した光束の、少なくとも副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)のビーム径を規定する。
【0244】
シリンドリカルレンズ1017は、開口板1016の開口部を通過した光束を、反射ミラー1018を介して、ポリゴンミラー1013の偏向反射面近傍に副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関して結像する。
【0245】
光源ユニット1014とポリゴンミラー1013との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ1015と開口板1016とシリンドリカルレンズ1017と反射ミラー1018とから構成されている。
【0246】
ポリゴンミラー1013は、一例として6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー1013は、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に平行な軸の周りを等速回転しながら、シリンドリカルレンズ1017からの光束を偏向する。
【0247】
偏向器側走査レンズ1011aは、ポリゴンミラー1013で偏向された光束の光路上に配置されている。
【0248】
像面側走査レンズ1011bは、偏向器側走査レンズ1011aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ1011bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される(図27参照)。この光スポットは、ポリゴンミラー1013の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。
【0249】
ポリゴンミラー1013と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ1011aと像面側走査レンズ1011bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ1011aと像面側走査レンズ1011bとの間の光路上及び像面側走査レンズ1011bと感光体ドラム1030との間の光路上の少なくともいずれかに、光路を折り曲げるための折り曲げミラーが設けられても良い。
【0250】
ところで、高速、高密度に画像を形成するために、複数の光束を使って走査する光走査装置(マルチビーム光走査装置)、及び該光走査装置を備える画像形成装置(マルチビーム画像形成装置)が提案されている(例えば、特開56−42248、特開平8−286136参照)。
【0251】
高速化、高密度化のためには発光部の数は多いほうが好ましいが、走査光学系の収差を小さく抑えるために発光部間隔を狭くする必要がある。この場合、隣接する発光部からの熱影響により、温度が上昇するおそれがある。すなわち、高速化、高密度化を図ろうとすると熱の問題が発生することとなる。
【0252】
レーザ発振の閾値電流密度Jthは、温度特性に対応する特性温度T0を用いて、次の(15)式で示される。ここで、J0は比例定数であり、Tは活性層の温度である。
【0253】
Jth=J0×exp(T/T0) ……(15)
【0254】
温度特性が悪化するにつれて特性温度T0は低下するため、温度Tの上昇によって閾値電流密度Jthは急激に上昇し、レーザ発振が困難となる。
【0255】
さらに、温度特性が悪化することで熱飽和が生じやすくなる。低い注入電流値で熱飽和が生じると、その時点でレーザ光強度が飽和するため、レーザ光強度の最大値は低い値となる。面発光レーザを光走査装置に用いる場合、個々のレーザ出力は1mW程度が必要とされるが、熱飽和が生じると必要なレーザ光出力を得ることは困難になる。
【0256】
すなわち、面発光レーザアレイを用いることは高速化、高密度化のために有効ではあるものの、熱の問題があるために、発光部の数を増やすことが困難であったり、個々の発光部のレーザ出力を大きくできないといった不都合があった。
【0257】
本実施形態に係る光走査装置1010によると、体積ホログラムを用いて4個の発光部が1次元配列された面発光レーザアレイを3個合波することにより、4×3の2次元配列の発光部を有する面発光レーザアレイを用いたのと同じ数の光スポットを形成することができる。これにより高速化と高密度化を実現できる。
【0258】
また、発光部がn×1の1次元配列の面発光レーザアレイをL個用い、各面発光レーザアレイからの光を体積ホログラムで合波することは、発光部がn×Lの2次元配列の面発光レーザアレイを1個用いる場合に比べて、発光部間隔を広げることができるため熱に対して安定にすることができる。
【0259】
また、本実施形態における光源ユニット1014の構成は光源の波長変動に対しても安定であるため、光源ユニット1014が熱により出力低下を起こすおそれもない。
【0260】
このように、光走査装置1010は、各面発光レーザアレイからの光束を、体積ホログラムの角度選択性を利用して合波しているため、個々の光源が有する発光部の数が少なくても、感光体ドラム1030の表面に所望の数の光スポットを所望の間隔で形成することができる。従って、熱の問題を回避して、高速、高密度に光走査を行うことが可能となる。
【0261】
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、高速、高密度に光走査を行うことができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
【0262】
なお、図28に示されるように、各光源(LD1、LD2、LD3)からの光束を個別のコリメートレンズ(52a、52b、52c)でカップリングしても良い。この場合には、LD1、LD2、LD3の間隔をより大きくすることができ、熱に対して更に安定となる。
【0263】
また、一例として図29に示されるように、各光源(LD1、LD2、LD3)が、複数の発光部が2次元配列された面発光レーザアレイを有していても良い。
【0264】
この場合、発光部間隔βは、個々の発光部が熱の影響を受けにくい程度に広めの間隔となっている。したがって、各光源自体は熱によって悪影響を受けない。ここでは4×2の面発光レーザアレイを例に説明しているが、数が異なる場合でも効果は同じである。
【0265】
各光源からの光を体積ホログラムで合波すると、4×6のスポットが形成され(図30参照)、4×6の発光部が2次元配列された面発光レーザアレイを用いた場合と等価になる。しかも発光部間隔が狭くなった場合と等価にできるため、高速化、高密度化を図ることができる。
【0266】
なお、3個の光源の全てが面発光レーザを有する必要はなく、3個の光源の少なくとも1つが、面発光レーザアレイを有していれば良い。
【0267】
また、ネットワークを介して、レーザプリンタ1000と、電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とを接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを形成することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像形成装置を選択し、画像形成を行うことができる。
【0268】
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
【0269】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0270】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0271】
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質のカラー画像を形成することが可能となる。
【0272】
例えば、図31に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタであっても良い。
【0273】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
【0274】
各感光体ドラムは、図31中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
【0275】
光走査装置2010は、前記光源ユニット1014と同様な光源ユニット、前記偏向器前光学系と同様な偏向器前光学系、及び前記走査光学系と同様な走査光学系を、それぞれ色毎に有している。そして、各光源ユニットから射出された光束は、対応する偏向器前光学系を介して共通のポリゴンミラーで偏向され、対応する走査光学系を介して対応する感光体ドラムに照射される。
【0276】
従って、光走査装置2010は、上記光走査装置1010と同様な効果を得ることができる。その結果、カラープリンタ2000は、上記レーザプリンタ1000と同様な効果を得ることができる。
【0277】
なお、このカラープリンタ2000において、光走査装置を1色毎に設けても良いし、2色毎に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0278】
以上説明したように、本発明の光源ユニットによれば、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力するのに適している。また、本発明の光検出ユニットによれば、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出するのに適している。また、本発明の光学ヘッドによれば、波長変動が発生しても、安定した性能を維持するのに適している。また、本発明の光ドライブ装置によれば、光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスするのに適している。また、本発明の情報処理装置によれば、光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高速、高密度に光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、それぞれ各光源から出射された光の光路を説明するための図である。
【図4】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH1との関係を説明するための図である。
【図5】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH2との関係を説明するための図である。
【図6】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH3との関係を説明するための図である。
【図7】各記録層に形成される光スポットを説明するための図である。
【図8】光ピックアップ装置における光検出装置の作用を説明するための図である。
【図9】上位装置から記録要求を受信したときの図1の光ディスク装置での処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】上位装置から再生要求を受信したときの図1の光ディスク装置での処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】平面ホログラム素子及び体積ホログラムを説明するための図である。
【図12】体積ホログラム素子の角度選択性を説明するための図である。
【図13】体積ホログラム素子の波長選択性を説明するための図である。
【図14】平面ホログラム素子の効果を説明するための図である。
【図15】平面ホログラム素子のブレーズ形状を説明するための図である。
【図16】各記録層に形成される光スポットの変形例を説明するための図である。
【図17】1つの記録層に3つの光スポットが形成される場合を説明するための図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図19】図18の光ピックアップ装置における光検出装置の作用を説明するための図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図21】図20の光ピックアップ装置を用いたときに光ディスクに形成される光スポットを説明するための図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。
【図24】図23における光走査装置の概略構成を説明するための図である。
【図25】図24における光源ユニットを説明するための図である。
【図26】図24における各光源に含まれる面発光レーザアレイを説明するための図である。
【図27】感光体ドラム表面に形成される光スポットを説明するための図である。
【図28】図24における光源ユニットの変形例を説明するための図である。
【図29】図24における各光源に含まれる面発光レーザアレイの変形例を説明するための図である。
【図30】図29の面発光レーザアレイを用いたときに感光体ドラム表面に形成される光スポットを説明するための図である。
【図31】カラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0280】
10…情報処理装置、15…光ディスク(光記録媒体)、20…光ディスク装置(光ドライブ装置)、23…光ピックアップ装置(光学ヘッド)、23a…光源装置(光源ユニット)、23c…光検出装置(光検出ユニット)、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、92…主制御装置(制御装置)、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1014…光源ユニット、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)、LD1、LD2、LD3…光源、PD1、PD2、PD3…受光器(光検出器)、PH1、PH2…平面ホログラム素子、VH1、VH2、VH3…体積ホログラム素子、VHD1、VHD2、VHD3…体積ホログラム素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニット、光検出ユニット、光学ヘッド、光ドライブ装置、情報処理装置、光走査装置及び画像形成装置に係り、さらに詳しくは、複数の光を出力する光源ユニット、複数の光を個別に検出する光検出ユニット、光記録媒体に光を照射し、該光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッド、前記光ヘッドを備える光ドライブ装置、該光ドライブ装置を備える情報処理装置、前記光源ユニットを有する光走査装置及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための情報記録媒体(メディア)として、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
光ディスク装置では、光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録層にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録を行い、記録層からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。この光ディスク装置には、光ディスクにレーザ光を照射するとともに、光ディスクからの反射光(戻り光)を受光するために、光ピックアップ装置が設けられている。
【0004】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、光ディスクの記録容量の更なる増加が期待されている。そこで、光ディスクの記録容量を増加させる手段の一つとして、数10層程度の複数の記録層を重ね合わせた、いわゆる3次元多層方式の開発がなされている。この3次元多層方式では、記録材料として蛍光材料や2光子吸収材料を用い、透過率や層間クロストークを改善させた例が多数発表されているが、記録速度及び再生速度が遅いという不都合があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、波長多重型多層光記録媒体の異なった光記録層へ焦点を結ばせて記録を行なう多波長書込み型光学素子が開示されている。この多波長書込み型光学素子は、光波長に応じて波長分散をもつ材料により構成され、多波長光源からの複数の光波長の光を同時もしくは時間分割の形態で受光可能となし、その各波長光に対応する波長多重型多層光記録媒体の光記録層に、当該波長光の焦点をそれぞれ独立して結ばせるようになしている。
【0006】
また、特許文献2には、複数の記録層を中間層を介して積層した多層記録媒体を用いる情報記録・再生装置が開示されている。この情報記録・再生装置は、同一平面上に配置され、同一波長の光ビームを出射する複数の光源と、これら光源より出射された光ビームを集光する対物レンズと、光源と対物レンズとの間に配置され、光ビームがそれぞれに対応する記録層にフォーカスするように光路長を変換する光路長変換手段とを有している。
【0007】
さらに、非特許文献1には、複数光源からの光束を、対物レンズと多重露光された体積ホログラムを用いて多層光記録媒体の異なった光記録層へ集光させるデバイスが開示されている。
【0008】
特許文献3には、被走査面上の光ビーム位置を変えることのできる液晶素子と、光ビームの偏光面を回転する旋光手段としての1/2波長板を液晶素子の前方に配置した光走査装置が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開昭63−113947号公報
【特許文献2】特許第2988732号公報
【特許文献3】特開2004-184527号公報
【非特許文献1】Lee,S.C.、Y.Kawata 「Volume holographic device for thespherical aberration correction and the parallel data access in three−dimensional memory」Fr−PD−15 ISOM2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている多波長書込み型光学素子では、互いの波長が大きく異なる複数の光スポットを用いて各光記録層に対する記録及び再生を行っているため、光記録層毎に波長に応じた記録材料を用いる必要があった。しかし、蛍光材料や2光子吸収材料は、反応する波長範囲が狭いため、この多波長書込み型光学素子を用いる場合には、光記録層の数を数10層程度にすることは事実上不可能であった。また、記録層毎に記録材料を異なるものにすると、光記録媒体の製造コストが高くなり、実用的ではなかった。
【0011】
特許文献2に開示されている情報記録・再生装置では、光源が同一平面上に配置されていると、光軸外の光源からの光束に対して、レンズ系で波面収差(コマ収差)が発生するため、記録層で回折限界の光スポットを得るのは困難であった。また、この情報記録・再生装置では、コリメートレンズからの光束がある角度を持って射出されるため、対物レンズに取り込まれる光量が光源毎に異なり、光利用効率が低下するという不都合があった。
【0012】
非特許文献1に開示されているデバイスでは、体積ホログラムは、多重露光するほど回折効率が低下するので、スポット数を増やすと、得られる盤面パワーが低下するという不都合があった。また、このデバイスでは、複数の光源を光軸に垂直な面上に配置した構成にすると、コリメートレンズからの光束がある角度を持って射出されるため、対物レンズに取り込まれる光量や光量分布が光源毎に異なり、光利用効率の低下やスポット形状の非対称性が生じるという不都合があった。さらに、このデバイスでは、1個の体積ホログラムに多重露光するため、複数の発光点の位置が個々にばらついた場合、1個の体積ホログラムでは個別に調整することはできず、発光点のばらつきがそのまま集光点のばらつきになってしまうという不都合があった。
【0013】
特許文献3に開示されている光走査装置では、偏光状態がP偏光とS偏光の2種類しかないためこれ以上合波数を増やすことは困難であった。
【0014】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することができる光源ユニットを提供することにある。
【0015】
また、本発明の第2の目的は、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出することができる光検出ユニットを提供することにある。
【0016】
また、本発明の第3の目的は、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光学ヘッドを提供することにある。
【0017】
また、本発明の第4の目的は、光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスすることができる光ドライブ装置を提供することにある。
【0018】
また、本発明の第5の目的は、光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うことができる情報処理装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の第6の目的は、高速、高密度に光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
【0020】
また、本発明の第7の目的は、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、第1の観点からすると、複数の光を出力する光源ユニットであって、複数の光源と;前記複数の光源から出射される複数の光の光路上に配置され、前記複数の光をそれぞれ回折する平面ホログラム素子と;前記複数の光源に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;を備える光源ユニットである。
【0022】
これによれば、複数の光源から出射された複数の光の少なくともいずれかに波長変動が発生しても、平面ホログラム素子と対応する体積ホログラム素子とによって、波長変動の影響を小さくすることができる。従って、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することが可能となる。
【0023】
本発明は、第2の観点からすると、入射する複数の光を個別に検出する光検出ユニットであって、前記複数の光を回折する平面ホログラム素子と;前記複数の光に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;前記複数の体積ホログラム素子に個別に対応して設けられ、それぞれ対応する体積ホログラム素子からの光を受光する複数の光検出器と;を備える光検出ユニットである。
【0024】
これによれば、入射する複数の光の少なくともいずれかに波長変動が発生しても、平面ホログラム素子と対応する体積ホログラム素子とによって、波長変動の影響を小さくすることができる。従って、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出することが可能となる。
【0025】
本発明は、第3の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置され、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光検出器と;を備える第1の光学ヘッドである。
【0026】
本発明は、第4の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、複数の光源と;前記複数の光源からの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置された本発明の光検出ユニットと;を備える第2の光学ヘッド装置である。
【0027】
本発明は、第5の観点からすると、光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;前記所定位置に配置された本発明の光検出ユニットと;を備える第3の光学ヘッドである。
【0028】
これら第1〜第3の光学ヘッドによれば、本発明の光源ユニット及び本発明の光検出ユニットの少なくとも一方を備えているため、結果として波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0029】
本発明は、第6の観点からすると、光記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ドライブ装置であって、本発明の光学ヘッドと;前記光学ヘッドの出力信号を用いて情報の再生を行う処理装置と;を備える光ドライブ装置である。
【0030】
これによれば、本発明の光学ヘッドを備えているため、結果として光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスすることが可能となる。
【0031】
本発明は、第7の観点からすると、本発明の光ドライブ装置と;前記光ドライブ装置を制御する制御装置と;を備える情報処理装置である。
【0032】
これによれば、本発明の光ドライブ装置を備えているため、結果として光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うことが可能となる。
【0033】
本発明は、第8の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の光源ユニットと;前記光源ユニットからの光を偏向する偏向器と;前記偏光器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
【0034】
これによれば、本発明の光源ユニットを備えているため、結果として高速、高密度に光走査を行うことが可能となる。
【0035】
本発明は、第9の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0036】
これによれば、少なくとも1つの本発明の光走査装置を備えているため、結果として高品質の画像を形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図14に基づいて説明する。図1には、本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0038】
この光ディスク装置20は、光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、該光ピックアップ装置23をシーク方向に駆動するためのシークモータ21、レーザ制御回路24、エンコーダ25、駆動制御回路26、再生信号処理回路28、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0039】
ここでは、光ディスク15は、一例として3層ディスクであり、レーザ光の入射側から順に、第1記録層(L1とする)、第2記録層(L2とする)、第3記録層(L3とする)を有しているものとする(図2参照)。
【0040】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15の3つの記録層に同時にレーザ光を照射するとともに、3つの記録層からの反射光を同時に受光することが可能な光ピックアップ装置である。
【0041】
この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、光源装置23a、偏光ビームスプリッタ54、λ/4板55、対物レンズ60、光検出装置23b、及び対物レンズ60を駆動するための不図示の駆動系などを備えている。
【0042】
光源装置23aは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、コリメートレンズ52、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有している。
【0043】
ここでは、一例として各光源は、いずれも波長λが650nmのレーザ光を出射する半導体レーザである。なお、本明細書では、光源LD2から出射されるレーザ光の最大強度出射方向をX軸の+方向とし、X軸方向に垂直な面内における互いに直交する2つの方向をY軸方向及びZ軸方向として説明する。
【0044】
光源LD1は光源LD2の+Z側に配置され、光源LD3は光源LD2の−Z側に配置されている。また、一例として各光源からはP偏光の光がそれぞれ出射されるものとする。
【0045】
コリメートレンズ52は、各光源の+X側であって、その光軸上に光源LD2が位置するように配置されている。コリメートレンズ52は、各光源から出射された光をそれぞれ略平行光とする。
【0046】
ここでは、光源LD1はコリメートレンズ52の光軸よりも+Z側に位置しているため、光源LD1からの光は、一例として図3(A)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸方向に対して若干傾斜した略平行光となる。
【0047】
また、光源LD2はコリメートレンズ52の光軸上に位置しているため、光源LD2からの光は、一例として図3(B)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸に略平行な光となる。
【0048】
そして、光源LD3はコリメートレンズ52の光軸の−Z側に位置しているため、光源LD3からの光は、一例として図3(C)に示されるように、コリメートレンズ52を透過すると、コリメートレンズ52の光軸方向に対してLD1と反対方向に若干傾斜した略平行光となる。
【0049】
例えば、Z軸方向に関する各光源の間隔をそれぞれ100μm、コリメートレンズ52の焦点距離を19mmとすると、コリメートレンズ52を透過した光源LD1からの光は、コリメートレンズ52の光軸方向に対して+0.30°傾斜し、コリメートレンズ52を透過した光源LD3からの光は、コリメートレンズ52の光軸方向に対して−0.30°傾斜することになる。なお、本明細書では、時計回りを「+」、反時計回りを「−」としている。
【0050】
すなわち、光軸方向に平行な略平行光と、光軸方向に対して+0.30°傾斜した略平行光と、光軸方向に対して−0.30°傾斜した略平行光とがコリメートレンズ52から出射される。
【0051】
平面ホログラム素子PH1は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52からの3つの略平行光をいずれも回折する。なお、以下では、便宜上、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD1からの光を「第1光源光」ともいい、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD2からの光を「第2光源光」ともいい、平面ホログラム素子PH1で回折された光源LD3からの光を「第3光源光」ともいう。
【0052】
体積ホログラム素子VH1は、平面ホログラム素子PH1の+X側に配置され、図4に示されるように、第1光源光B1を回折する。なお、第2光源光及び第3光源光は、体積ホログラム素子VH1では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH1を透過する。
【0053】
体積ホログラム素子VH2は、体積ホログラム素子VH1の+X側に配置され、図5に示されるように、第2光源光B2を回折する。なお、第3光源光及び体積ホログラム素子VH1で回折された第1光源光は、体積ホログラム素子VH2では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH2を透過する。
【0054】
体積ホログラム素子VH3は、体積ホログラム素子VH2の+X側に配置され、図6に示されるように、第3光源光B3を回折する。なお、体積ホログラム素子VH1で回折された第1光源光及び体積ホログラム素子VH2で回折された第2光源光は、体積ホログラム素子VH3では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VH3を透過する。
【0055】
偏光ビームスプリッタ54は、各体積ホログラム素子で回折され光ディスク15に向かう光、及び光ディスク15からの戻り光の共通光路上に配置されている。ここでは、偏光ビームスプリッタ54は、P偏光の光である各体積ホログラム素子で回折された光をそのまま透過させ、S偏光の光である光ディスク15からの戻り光を分岐する。なお、以下では、便宜上、各体積ホログラム素子で回折された光の進行方向を+T方向とし、戻り光の分岐方向を+S方向とする(図2参照)。
【0056】
λ/4板55は、偏光ビームスプリッタ54の+T側に配置され、入射光に1/4波長の光学的位相差を付与する。
【0057】
対物レンズ60は、λ/4板55の+T側に配置され、λ/4板55を介した光を集光する。
【0058】
ここでは、対物レンズ60のフォーカス制御が適切に行われたときに、光源LD1からの光が第1記録層L1に集光され、光源LD2からの光が第2記録層L2に集光され、光源LD3からの光が第3記録層L3に集光される(図7参照)。すなわち、3個の光源を同時に発光させると、光ディスク15の3つの記録層に同時に光スポットを形成することができる。ここでは、各光スポットは、対物レンズ60の光軸上に形成される。
【0059】
光検出装置23bは、集光レンズ58、2個のハーフプリズム(76a、76b)、3個のピンホール板(75a、75b、75c)、及び3個の受光器(PD1、PD2、PD3)を有している。
【0060】
集光レンズ58は、偏光ビームスプリッタ54の+S側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で分岐された戻り光を集光する。ここでは、戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分は、やや収束しながら集光レンズ58に入射し、戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分は、平行に集光レンズ58に入射し、戻り光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分は、やや発散しながら集光レンズ58に入射する。
【0061】
ハーフプリズム76aは、集光レンズ58の+S側に配置され、集光レンズ58を介した光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分を−T方向に反射し、残りを透過させる(図8参照)。
【0062】
ハーフプリズム76bは、ハーフプリズム76aの+S側に配置され、ハーフプリズム76aを透過した光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分を−T方向に反射し、残りを透過させる(図8参照)。
【0063】
ピンホール板75aは、ハーフプリズム76aの−T側に配置され、ハーフプリズム76aで反射された光のビーム径を制限する。このピンホール板75aを通過した光は、受光器PD3で受光される(図8参照)。従って、受光器PD3で受光される光は、主として第1記録層L1からの戻り光である。
【0064】
ピンホール板75bは、ハーフプリズム76bの−T側に配置され、ハーフプリズム76bで反射された光のビーム径を制限する。このピンホール板75bを通過した光は、受光器PD2で受光される(図8参照)。従って、受光器PD2で受光される光は、主として第2記録層L2からの戻り光である。
【0065】
ピンホール板75cは、ハーフプリズム76bの+S側に配置され、ハーフプリズム76bを透過した光のビーム径を制限する。このピンホール板75cを通過した光は、受光器PD1で受光される(図8参照)。従って、受光器PD1で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0066】
なお、各ピンホール板は、層間クロストークを除去するために設けられている。
【0067】
前記駆動系は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向に対物レンズ60を微少駆動するためのフォーカシングアクチュエータ、及びトラッキング方向に対物レンズ60を微少駆動するためのトラッキングアクチュエータを有している。
【0068】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明する。
【0069】
光源LD1から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、さらに体積ホログラム素子VH1で回折され、体積ホログラム素子VH2及び体積ホログラム素子VH3をそのまま透過して偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0070】
光源LD2から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、体積ホログラム素子VH1をそのまま透過後、体積ホログラム素子VH2でさらに回折され、体積ホログラム素子VH3をそのまま透過して偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0071】
光源LD3から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、平面ホログラム素子PH1で回折され、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH2をそのまま透過後、体積ホログラム素子VH3でさらに回折され、偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0072】
偏光ビームスプリッタ54に入射した光の大部分は、偏光ビームスプリッタ54をそのまま透過し、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の各記録層に集光される。
【0073】
光ディスク15の各記録層からの反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光として対物レンズ60を介してλ/4板55に入射し、ここで往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光は偏光ビームスプリッタ54に入射する。
【0074】
偏光ビームスプリッタ54で+S方向に分岐された戻り光は、集光レンズ58を介してハーフプリズム76aに入射する。戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分は、ハーフプリズム76aで反射され、ピンホール板75aを介して受光器PD3で受光される。
【0075】
ハーフプリズム76aを透過した戻り光は、ハーフプリズム76bに入射する。この戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分は、ハーフプリズム76bで反射され、ピンホール板75bを介して受光器PD2で受光される。
【0076】
ハーフプリズム76bを透過した戻り光は、ピンホール板75cを介して受光器PD1で受光される。
【0077】
各受光器は、それぞれ通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子(又は複数の受光領域)を含んで構成されている。各受光素子(又は各受光領域)はそれぞれ光電変換により受光量に応じた信号を生成し、再生信号処理回路28に出力する。
【0078】
図1に戻り、再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の各受光器の出力信号(複数の光電変換信号)に基づいて、サーボ信号(フォーカスエラー信号やトラックエラー信号など)、アドレス情報、同期情報、及びRF信号などを取得する。
【0079】
ここで得られたサーボ信号は制御回路26に出力され、アドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25や駆動制御回路26などに出力される。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理などを行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとして前記バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、再生データに含まれるアドレス情報はCPU40に出力される。
【0080】
駆動制御回路26は、再生信号処理回路28からのサーボ信号に基づいて、光ピックアップ装置23の駆動系の駆動信号を生成し、光ピックアップ装置23に出力する。これにより、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。また、駆動制御回路26は、CPU40の指示に基づいて、シークモータ21を駆動するための駆動信号、及びスピンドルモータ22を駆動するための駆動信号を生成する。各モータの駆動信号は、それぞれシークモータ21及びスピンドルモータ22に出力される。
【0081】
バッファRAM34には、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納される。このバッファRAM34へのデータの入出力は、バッファマネージャ37によって管理されている。
【0082】
エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を記録層毎に生成する。ここで生成された書き込み信号はレーザ制御回路24に出力される。
【0083】
レーザ制御回路24は、光ピックアップ装置23の各光源の発光パワーを制御する。例えば記録の際には、前記書き込み信号、記録条件、及び各光源の発光特性などに基づいて、各光源の駆動信号がレーザ制御回路24にて生成される。
【0084】
インターフェース38は、上位装置90(例えば、パソコン)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)、SCSI(Small Computer System Interface)及びUSB(Universal Serial Bus)などの標準インターフェースに準拠している。
【0085】
フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及び各光源の発光特性などが格納されている。
【0086】
CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34に保存する。
【0087】
《記録処理》
次に、上位装置90からユーザデータの記録要求があったときの、光ディスク装置20における処理(記録処理)について図9を用いて説明する。図9のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0088】
上位装置90から記録要求コマンドを受信すると、図9のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0089】
最初のステップS401では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28などに通知する。また、記録要求コマンドに基づいて記録対象の記録層を特定し、該特定結果を再生信号処理回路28、エンコーダ25、及びレーザ制御回路24などに通知する。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とにユーザデータが記録されるものとする。
【0090】
次のステップS403では、バッファRAM34に蓄積されている上位装置90からのユーザデータ(記録用データ)を、第1記録層L1に記録するユーザデータ、第2記録層L2に記録するユーザデータ、及び第3記録層L3に記録するユーザデータに分割する。
【0091】
次のステップS405では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
【0092】
次のステップS407では、記録を許可する。これにより、エンコーダ25、レーザ制御回路24及び光ピックアップ装置23を介して、光ディスク15の各記録層にユーザデータがそれぞれ記録される。
【0093】
次のステップS409では、記録が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。記録が完了していれば、ここでの判断は肯定され、記録終了を上位装置90に通知した後、記録処理を終了する。ここでは、各記録層への記録がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で記録処理を終了することができる。
【0094】
《再生処理》
次に、上位装置90から再生要求があったときの、光ディスク装置20における処理(再生処理)について図10を用いて説明する。図10のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
【0095】
上位装置90から再生要求コマンドを受信すると、図10のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
【0096】
最初のステップS501では、所定の線速度(又は角速度)で光ディスク15が回転するように駆動制御回路26に指示するとともに、上位装置90から再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28などに通知する。また、再生要求コマンドに基づいて再生対象の記録層を特定し、該特定結果を再生信号処理回路28及びレーザ制御回路24などに通知する。なお、ここでは、第1記録層L1と第2記録層L2と第3記録層L3とから再生するものとする。
【0097】
次のステップS503では、指定アドレスに対応する目標位置近傍に光スポットが形成されるように、駆動制御回路26に指示する。これにより、シーク動作が行なわれる。なお、シーク動作が不要であれば、ここでの処理はスキップされる。
【0098】
次のステップS505では、再生を許可する。これにより、光ピックアップ装置23及び再生信号処理回路28を介して、光ディスク15の各記録層に記録されているデータがそれぞれ再生される。
【0099】
次のステップS507では、再生が完了したか否かを判断する。完了していなければ、ここでの判断は否定され、所定時間経過後に再度判断する。再生が完了していれば、ここでの判断は肯定され、ステップS509に移行する。
【0100】
このステップS509では、第1記録層L1からの再生データと第2記録層L2からの再生データと第3記録層L3からの再生データとを連結し、上位装置90に転送する。そして、再生処理を終了する。ここでは、各記録層からの再生がほぼ同時に行われるため、従来よりも単時間で再生処理を終了することができる。
【0101】
《角度選択性》
ところで、平面ホログラム素子PH1からの複数の略平行光が、それぞれ対応する体積ホログラム素子だけで回折されるのは、各体積ホログラム素子がそれぞれ角度選択性を有するためである。この角度選択性とは、特定の入射角で入射した光だけを回折し、それ以外の入射角で入射した光は回折せずにそのまま透過させる特性をいう。この角度選択性について以下に説明を行う。
【0102】
例えば、小山次郎、西原浩著の「光波電子工学」(コロナ社)117頁〜132頁によると、体積ホログラム素子とは、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)が10を超えるホログラム素子とされている。ここで、λ0は入射光の波長(空気中:ここでは650nm)、Tはホログラム素子の厚さ、n0はホログラム素子基板の屈折率、Λは溝のピッチ(ホログラムピッチ)である。
【0103】
Q=2πλ0T/(n0Λ2) ……(1)
【0104】
Q=0.1、Q=1、Q=2及びQ=10の各ホログラム素子での、光の入射角と1次回折効率P(%)との関係が一例として図11に示されている。なお、図11におけるαは、−sin(入射角)/2sin(ブラッグ角)である。
【0105】
体積ホログラム素子では、図11からわかるように、光の入射角がブラッグ角と一致したとき(α=1/2のとき)に、高い回折効率が得られ、それ以外の入射角のときは回折効率がほとんど0%になる。
【0106】
一方、Q値が1以下のホログラム素子は、一般に平面ホログラム素子と呼ばれている。平面ホログラム素子では、図11からわかるように、入射角によらず常にほぼ一定の回折効率が得られる。平面ホログラム素子PH1は、このような特性を示すホログラム素子である。
【0107】
そこで、前述した、Z軸方向に関する各光源の間隔がそれぞれ100μm、コリメートレンズ52の焦点距離が19mmの場合に、光源LD2からの光が平面ホログラム素子PH1に垂直(入射角=0°)に入射し、回折されて出射角θmで出射するときには、光源LD1からの光はθm+0.30°、光源LD3からの光は、θm−0.30°の角度で平面ホログラム素子PH1から出射される。この場合には、平面ホログラム素子PH1からの3つの光束は、各体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)への入射角が、互いに約0.30°異なることとなるため、各体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)は、いずれも約0.3°の角度選択性を持てば良い。
【0108】
ところで、体積ホログラムは角度選択性と同時に波長選択性も有している。そのため高速記録、高速再生のために光源の数を増やし、角度選択性が顕著な体積ホログラムを用いると、同時に波長選択性も顕著になる。
【0109】
例えば、図12に示されるように、ホログラムピッチΛが1.0μm、厚さTが645μmの体積ホログラムに波長λ0が650nmの光を入射すると、入射角θが18.97°(=ブラッグ角)のときに回折効率Pは最大で約95%になる。このときの角度選択性は0.23°であり、光の入射角がブラッグ角から「0.23°/2」異なれば回折効率はほぼ0%になる。なお、図12における符号B0は0次光を示し、符号B1は1次光を示している。
【0110】
この体積ホログラムに対して、入射角が18.97°のときに、図13に示されるように、入射光の波長λを640nmから660nmまで変化させると、650nmの光に対しては95%の高い回折効率Pが得られるが、波長が650nmから±4nm程度ずれると回折効率Pはほぼ0%に低下する。なお、図13における符号B0は0次光を示し、符号B1は1次光を示している。
【0111】
通常、光ピックアップ装置で用いられる半導体レーザから出射されるレーザ光は±10nm程度の波長幅があるため、波長選択性が顕著な体積ホログラムを用いると、特定の波長の場合にしか高い回折効率が得られない。そこで、温度変動等に起因して光源から出射される光に波長変動が発生すると、急激に回折効率が低下してしまう。
【0112】
本第1の実施形態では、以下のようにしてこの問題を解決している。
【0113】
平面ホログラム素子PH1への光の入射角をθi、平面ホログラム素子PH1からの光の出射角をθm、光源波長をλ、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチをΛpとすると、次の(2)式の関係が成り立つ。
【0114】
sinθi+sinθm=λ/Λp ……(2)
【0115】
(A)先ず、光源LD2からの光について説明する。
【0116】
光源LD2からの光は平面ホログラム素子PH1へは垂直に入射しており、入射角θiは0°である。従って、上記(2)式は、次の(3)式となる。
【0117】
sinθm=λ/Λp ……(3)
【0118】
第2光源光が体積ホログラムVH2に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH2で回折された第2光源光が出射角θnで体積ホログラムVH2から出射するとすれば、次の(4)式が成り立つ。ここで、Λ2は体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチである。
【0119】
sinθm+sinθn=λ/Λ2 ……(4)
【0120】
そして、θm=θn=ブラッグ角(θBとする)のときにブラッグ条件が満足され、第2光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(4)式に、θm=θn=θBの関係を適用すると、ブラッグ角θBは、次の(5)式で表される。
【0121】
sinθB=λ/(2×Λ2) ……(5)
【0122】
また、ブラッグ条件が満足されるときには、θm=θBなので、上記(5)式から次の(6)式も成立する。
【0123】
sinθm=λ/(2×Λ2) ……(6)
【0124】
そして、上記(6)式を上記(3)式に代入すると、次の(7)式が得られる。
【0125】
0=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ2)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ2)) ……(7)
【0126】
従って、平面ホログラム素子PH1への入射角が0°であり、かつΛp=(2×Λ2)であれば、波長λに関わらず、ブラッグ条件が満足される。
【0127】
本第1の実施形態では、平面ホログラム素子PH1への光源LD2からの光の入射角を0°とし、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチΛpを体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチΛ2の2倍としている。これにより、第2光源光は常に体積ホログラム素子VH2にブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD2からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH2では、常に高い回折効率で第2光源光を回折することができる。
【0128】
(B)次に光源LD1からの光について説明する。
【0129】
第1光源光が体積ホログラムVH1に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH1で回折された第1光源光が出射角θnで体積ホログラムVH1から出射するとすれば、次の(8)式が成り立つ。ここで、Λ1は体積ホログラム素子VH1のホログラムピッチである。
【0130】
sinθm+sinθn=λ/Λ1 ……(8)
【0131】
そして、θm=θn=θBのときにブラッグ条件が満足され、第1光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(8)式から次の(9)式が成立する。
【0132】
sinθm=λ/(2×Λ1) ……(9)
【0133】
そして、上記(9)式を上記(2)式に代入すると、次の(10)式が得られる。
【0134】
sinθi=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ1)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ1)) ……(10)
【0135】
そこで、次の(11)式を満たすようなΛ1に設定すれば、平面ホログラム素子PH1からの出射角と体積ホログラム素子VH1のブラッグ角とが一致して高い回折効率を得ることができる。
【0136】
(1/Λp−1/(2×Λ1))=sinθi/λ ……(11)
【0137】
しかしながら、波長λが変化すると、それに応じてΛ1も変化させないと上記(11)式は成り立たなくなる。
【0138】
図14に、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段に配置され、平面ホログラム素子への入射角が0°のとき(Case1)、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段に配置され、平面ホログラム素子への入射角が0.3°のとき(Case2)、平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段になく、体積ホログラム素子への入射角が0°のとき(Case3)、及び平面ホログラム素子が体積ホログラム素子の前段になく、体積ホログラム素子への入射角が0.3°のとき(Case4)の、体積ホログラム素子における入射角とブラッグ角とのずれdθと波長λとの関係が示されている。
【0139】
Case1では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化しても、体積ホログラム素子への入射角は、ブラッグ角と常に一致している。また、Case2では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化すると、体積ホログラム素子への入射角は、ブラック角から±0.005°ずれる。
【0140】
一方、Case3及びCase4では、波長λが設計波長の650nmから640nmもしくは660nmに変化すると、体積ホログラム素子への入射角は、ブラック角から±0.05°ずれる。
【0141】
図12を参照すると、体積ホログラム素子への入射角θがブラック角(18.97°)から±0.005°ずれても、回折効率Pは90%以上を維持しているが、体積ホログラム素子への入射角θがブラック角(18.97°)から±0.05°ずれると、回折効率Pは約50%になる。
【0142】
本第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH1は、θi=0.3°、λ=650nmのときに、上記(11)式が満たされるようなΛ1に設定されている。これにより、第1光源光は常に体積ホログラム素子VH1に略ブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD1からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH1では、常に高い回折効率で第1光源光を回折することができる。
【0143】
(C)次に光源LD3からの光について説明する。
【0144】
第3光源光が体積ホログラムVH3に入射角θmで入射し、体積ホログラムVH3で回折された第3光源光が出射角θnで体積ホログラムVH3から出射するとすれば、次の(12)式が成り立つ。ここで、Λ3は体積ホログラム素子VH3のホログラムピッチである。
【0145】
sinθm+sinθn=λ/Λ3 ……(12)
【0146】
そして、θm=θn=θBのときにブラッグ条件が満足され、第3光源光は最も高い回折効率で回折される。そこで、上記(12)式から次の(13)式が成立する。
【0147】
sinθm=λ/(2×Λ3) ……(13)
【0148】
そして、上記(13)式を上記(2)式に代入すると、次の(14)式が得られる。
【0149】
sinθi=λ/Λp−sinθm
=λ/Λp−λ/(2×Λ3)
=λ(1/Λp−1/(2×Λ3)) ……(14)
【0150】
本第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH3は、θi=−0.3°、λ=650nmのときに、上記(14)式が満たされるようなΛ3に設定されている。これにより、上記「光源LD1からの光」の場合と同様に、第3光源光は常に体積ホログラム素子VH3に略ブラッグ角で入射することになる。従って、光源LD3からの光に波長変動があっても、体積ホログラムVH3では、常に高い回折効率で第3光源光を回折することができる。
【0151】
このように、複数の体積ホログラム素子の前段に平面ホログラム素子を配置することにより、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができる。
【0152】
各体積ホログラム素子の材料としては、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかを使用することができる。
【0153】
フォトポリマーは有機高分子記録材料であって、WORM(Write Once Read Many)型ホログラムメモリに多く使われている。フォトポリマーは、最近の数年間で大幅にその性能が改善され、現在、メーカでは、数100μmの厚さで光学特性に優れ、記録に伴う収縮を低減する材料の開発に成功している。例えば、2−chemistry−materialsから構成される低収縮性フォトポリマーや、カチオンリング重合機構を利用して重合される低収縮性フォトポリマーなどが知られている。その結果、高い光感度と高い体積記録密度とが両立可能となった。このようなフォトポリマーを各体積ホログラム素子に使うことにより、高効率で高精度の光束合成手段が実現できる。
【0154】
また、サーモプラスチックもWORM型ホログラムメモリに多く使われている。特に色素がドープされたサーモプラスチックは、種々の波長の光で記録再生が可能である。また、メーカは、数ミリ厚の成形が可能で、光学特性に優れ、記録に伴う収縮を低減するサーモプラスチックの開発に成功している。その結果、高い光感度と高い体積記録密度とが両立可能となった。また数ミリ厚の成形ができるため、ホログラムのピッチを小さくしなくても体積性(Q値)の大きいホログラムを実現でき、微細加工を必要とせず、加工性が容易になると言うメリットがある。このようなサーモプラスチックは、材料自身を基板とすることができるので、高効率、高精度の光束合成手段が実現できる。
【0155】
さらに、最近ナノガラスを用いた光機能素子が提案されている。ナノガラスとは、ナノメートル単位で構造を制御したガラスのことで、例えばガラス中に半導体ナノ粒子を安定かつ均一に分散させることでガラス中にホログラムを形成することもできる。このガラスに光を照射すると、光の当たったところが屈折率が変わるため体積ホログラムを作ることができる。ガラスを材料としているため、従来のガラス加工技術をそのまま使うことができ、波面精度、光透過性、熱特性等に優れた光学素子を作ることができる。また厚さも数ミリ厚の成形ができるため、ホログラムのピッチを小さくしなくても体積性(Q値)の大きいホログラムを実現でき、微細加工を必要とせず、加工が容易になると言うメリットがある。
【0156】
ところで、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置、第2記録層L2の位置及び第3記録層L3の位置は、互いに異なっている。すなわち、記録層毎にいわゆる基板厚が異なっている。ここでは、一例として、第2記録層L2に集光する光に収差が生じないように設計されているため、第1記録層L1に集光する光には、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差が生じる。同様に、第3記録層L3に集光する光には、対物レンズ60に対する第3記録層L3の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差が生じる。
【0157】
そこで、体積ホログラム素子VH1は、対物レンズ60に対する第1記録層L1の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差を補正するための球面収差を第1光源光に与えるように設定されている。また、体積ホログラム素子VH3は、対物レンズ60に対する第3記録層L3の位置と第2記録層L2の位置の差に起因する収差を補正するための球面収差を第3光源光に与えるように設定されている。すなわち、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3は、基板厚の違いに起因する収差が補償されるように、対応する光の発散度を変更する。なお、本明細書では、「発散度」は、光が発散するときの発散の程度だけでなく、光が収束するときの収束の程度も含むものとする。
【0158】
以上の説明から明らかなように、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、処理装置が実現されている。なお、CPU40によるプログラムに従う処理によって実現された処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって実現することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって実現することとしても良い。
【0159】
以上説明したように、本第1の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有する光源装置23aを備えている。そして、光源LD1からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH1のみで回折される。また、光源LD2からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH2のみで回折される。さらに、光源LD3からの光は、平面ホログラム素子PH1で回折された後、体積ホログラム素子VH3のみで回折される。この場合に、波長変動が発生しても平面ホログラム素子の回折角変動と各体積ホログラム素子のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができる。これにより、光源装置23aからは、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力することが可能となる。従って、光ピックアップ装置23は、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0160】
また、波長変動が発生しても各体積ホログラム素子では常に高い回折効率を保つことができるため、光源に安価な半導体レーザを用いても、光源の温度を制御するための温度制御装置を設ける必要がなく、光源装置23aの小型化及び低コスト化を図ることができる。その結果、光ピックアップ装置23の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0161】
また、体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3は、記録層の基板厚の違いに起因する収差が補償されるように、対応する光の発散度を変更しているため、いずれの記録層においても良好な光スポットを形成することができる。
【0162】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光ピックアップ装置23を備えているため、結果として、光ディスクの複数の記録層に同時にアクセスすることが可能となる。
【0163】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1への記録と第2記録層L2への記録と第3記録層L3への記録とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクへの記録処理を迅速に行うことが可能となる。
【0164】
また、本第1の実施形態に係る光ディスク装置20によると、第1記録層L1からの再生と第2記録層L2からの再生と第3記録層L3からの再生とをほぼ同時に行うことができるため、光ディスクからの再生処理を迅速に行うことが可能となる。
【0165】
なお、上記第1の実施形態において、記録と再生をほぼ同時に行うことも可能である。例えば、第1記録層L1への情報の記録を行いつつ、第2記録層L2から情報の再生を行うことができる。
【0166】
また、上記第1の実施形態において、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、コリメートレンズ52、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を同一の筐体内に収容しユニット化しても良い。これにより、光源装置23aの小型化を更に図ることができる。ところで、半導体レーザ以外の固体レーザ(ルビーレーザ、YAGレーザ等)や気体レーザ(He−Neレーザ、Arレーザ、エキシマレーザ、CO2レーザ等)では波長変動が無い反面、小型化が困難である。
【0167】
また、上記第1の実施形態において、平面ホログラム素子を追加したことによる光量ロスを最小限に抑えるために、平面ホログラム素子PH1における格子は、一例として図15に示されるように、断面がブレーズ形状の格子であることが望ましい。ブレーズ形状の格子は+1次光だけを生じるように設計できるため、入射した光を高い回折効率で各体積ホログラム素子へと導くことができる。
【0168】
但し、ブレーズ形状の格子は常に高い回折効率が得られるわけではなく、「回折光学素子入門」(オプトロニクス社)67頁(図3)によると、Λ/λ(Λ:格子ピッチ、λ:波長)が7以上のときには高い回折効率が得られるが、Λ/λが4以下のときには高い回折効率が得られにくくなる。ここでは、λ=650nmであるため、Λが4.55μm以上の場合に高い回折効率が得られることになる。なお、上記第1の実施形態では、平面ホログラム素子PH1のホログラムピッチは体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチの2倍であるので、この場合には、体積ホログラム素子VH2のホログラムピッチは2.275μm以上となる。
【0169】
なお、上記第1の実施形態では、体積ホログラム素子VH2が体積ホログラム素子VH1の+X側に配置され、体積ホログラム素子VH3が体積ホログラム素子VH2の+X側に配置される場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0170】
また、各体積ホログラム素子を、それぞれの出射光の発散度及び出射光の出射角が互いに異なるように設定し、一例として図16に示されるように、光ディスク15の回転中心からの距離が互いに異なる位置に各光スポットを形成することができる。この場合には、各記録層からの複数の戻り光成分は、上記第1の実施形態よりも大きな角度の違いを持って光検出装置23bに戻ってくる。従って、各戻り光成分の分離が容易になり、かつ層間クロストークが更に少なくなる。
【0171】
そして、例えば、第1記録層L1に形成される光スポット及び第3記録層L3に形成される光スポットが、対物レンズ60の光軸からずれている場合には、この光軸からのずれに起因するコマ収差を体積ホログラム素子VH1及び体積ホログラム素子VH3にて補正するようにしても良い。
【0172】
また、各体積ホログラム素子を、それぞれの出射光の出射角が互いに異なるように設定し、光ディスクの同一の記録層に3つの光スポットを形成することができる(図17参照)。この場合であっても、3つのスポットで同時に記録及び再生ができるため、高速記録、高速再生が可能になる。
【0173】
《第2の実施形態》
以下、本発明の第2の実施形態を図18及び図19に基づいて説明する。
【0174】
この第2の実施形態は、図18に示されるように、前述した第1の実施形態における前記光検出装置23bに代えて、平面ホログラム素子及び体積ホログラム素子を有する光検出装置23cを用いる点に特徴を有する。その他の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0175】
光検出装置23cは、平面ホログラム素子PH2、3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)、集光レンズ58、及び3個の受光器(PD1、PD2、PD3)を有している。
【0176】
平面ホログラム素子PH2は、偏光ビームスプリッタ54の+S側に配置され、偏光ビームスプリッタ54で分岐された戻り光を回折する。ここでは、平面ホログラム素子PH2は、戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分が入射角0°で入射するように設定されている。また、平面ホログラム素子PH2のホログラムピッチは、体積ホログラム素子VHD2のホログラムピッチの2倍となるように設定されている。
【0177】
なお、以下では、便宜上、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第1記録層L1からの戻り光成分を「第1反射光」ともいい、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第2記録層L2からの戻り光成分を「第2反射光」ともいい、平面ホログラム素子PH2で回折された戻り光に含まれる第3記録層L3からの戻り光成分を「第3反射光」ともいう。
【0178】
体積ホログラム素子VHD1は、平面ホログラム素子PH2の+S側に配置され、第1反射光を回折する。なお、第2反射光及び第3反射光は、体積ホログラム素子VHD1では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD1を透過する。
【0179】
体積ホログラム素子VHD2は、体積ホログラム素子VHD1の+S側に配置され、第2反射光を回折する。なお、第3反射光及び体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光は、体積ホログラム素子VHD2では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD2を透過する。
【0180】
体積ホログラム素子VHD3は、体積ホログラム素子VHD2の+S側に配置され、第3反射光を回折する。なお、体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光及び体積ホログラム素子VHD2で回折された第2反射光は、体積ホログラム素子VHD3では回折されず、そのまま体積ホログラム素子VHD3を透過する。
【0181】
ここでは、第1の実施形態で説明した光源装置23aと同様にして、戻り光に波長変動があっても、平面ホログラム素子PH2の回折角変動と各体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)のブラッグ角変動とが相殺され、各体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)では常に高い回折効率を保つことができるように設定されている。
【0182】
なお、光検出装置23cの各体積ホログラム素子としては、光源装置23aの各体積ホログラム素子と同様に、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかを使用することができる。
【0183】
集光レンズ58は、体積ホログラム素子VHD3の+S側に配置され、体積ホログラム素子VHD1で回折された第1反射光、体積ホログラム素子VHD2で回折された第2反射光及び体積ホログラム素子VHD3で回折された第3反射光をそれぞれ集光する。
【0184】
集光レンズ58は、コリメートレンズ52に比べて焦点距離をある程度自由に設定できる。そのため光検出装置23cの各体積ホログラム素子の仕様も自由度が広がり、高い角度選択性、高い回折効率を得るために、それぞれのホログラムピッチ、厚さ、及び屈折率を最適化しやすくなる。
【0185】
受光器PD1は、集光レンズ58による第1反射光の集光位置に配置され、第1反射光を受光する。従って、受光器PD1で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0186】
受光器PD2は、集光レンズ58による第2反射光の集光位置に配置され、第2反射光を受光する。従って、受光器PD2で受光される光は、主として第2記録層L2からの戻り光である。
【0187】
受光器PD3は、集光レンズ58による第3反射光の集光位置に配置され、第3反射光を受光する。従って、受光器PD3で受光される光は、主として第3記録層L3からの戻り光である。
【0188】
また、第1の実施形態と同様にして、記録処理及び再生処理を行うことができる。
【0189】
以上に説明したように、本第2の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、3個の光源(LD1、LD2、LD3)、平面ホログラム素子PH1、及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を有する光源装置23aを備えている。従って、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0190】
また、平面ホログラム素子PH2、及び3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)を有する光検出装置23cを備えている。従って、戻り光に波長変動があっても、各受光器からはS/N比の高い信号が安定して出力される。
【0191】
また、光検出装置23cは、複数の記録層の層間距離が小さくても、ピンホール板を有していないため、前記光検出装置23bよりも組み付け及び調整が容易である。
【0192】
また、本第2の実施形態に係る光ディスク装置20によると、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することができる光ピックアップ装置23を備えているため、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0193】
なお、光量ロスを最小限に抑えるために、平面ホログラム素子PH1及び平面ホログラム素子PH2の格子は、断面がブレーズ形状の格子であることが望ましい。但し、いずれも、Λ/λ(Λ:格子ピッチ、λ:波長)は7以上とする。
【0194】
また、上記第1及び第2の実施形態では、光ディスクの記録層が3層の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0195】
また、上記第1及び第2の実施形態では、1つの記録層に3次元的に情報が記録される光ディスクに対しても同様にして情報の記録及び再生を行うことができる。
【0196】
また、上記第1及び第2の実施形態では、光ディスクが情報の書き換えが可能な光ディスクであっても良い。この場合には、複数の記録層に記録されている情報をほぼ同時に消去することができるため、情報の消去を従来よりも高速に行うことが可能である。
【0197】
《第3の実施形態》
以下、本発明の第3の実施形態を図20及び図21に基づいて説明する。
【0198】
この第3の実施形態は、図20に示されるように、第2の実施形態における前記光源装置23aに代えて、光源装置23dを用いる点に特徴を有する。その他の構成は、前述した第2の実施形態と同様である。従って、以下においては、第1及び第2の実施形態との相違点を中心に説明するとともに、第1及び第2の実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一の符号を用い、その説明を簡略化し若しくは省略するものとする。
【0199】
光源装置23dは、3個の光源(LD1、LD2、LD3)及びコリメートレンズ52を有している。すなわち、前記光源装置23aから前記平面ホログラム素子PH1及び3個の体積ホログラム素子(VH1,VH2,VH3)を除いたものである。
【0200】
この場合は、一例として図21に示されるように、光ディスクの同一の記録層に3つの光スポットが形成される。
【0201】
本第3の実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、平面ホログラム素子PH2、及び3個の体積ホログラム素子(VHD1,VHD2,VHD3)を有する光検出装置23cを備えている。これにより、戻り光に波長変動があっても、各受光器からはS/N比の高い信号が安定して出力される。従って、波長変動が発生しても、安定した性能を維持することが可能となる。
【0202】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、光源が3個の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、複数の光源に対応して複数の体積ホログラム素子が設けられていれば良い。
【0203】
また、上記第1〜第3の実施形態では、体積ホログラム素子が透過型の場合について説明したが、これに限らず、反射型であっても良い。
【0204】
また、上記第1〜第3の実施形態では、光ディスク装置が情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0205】
《情報処理装置》
次に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置を図22に基づいて説明する。
【0206】
この情報処理装置10は、主制御装置92、前記光ディスク装置20、ハードディスク装置(HDD)94、入力装置95、表示装置96、及びドライブインターフェース97などを備えている。
【0207】
前記HDD94は、ハードディスク94bと、該ハードディスク94bを駆動するための駆動装置94aなどから構成されている。
【0208】
前記表示装置96は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)及びプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)などを用いた表示部(図示省略)を備え、主制御装置92から指示された各種情報を表示する。
【0209】
前記入力装置95は、例えばキーボード、マウス、タブレット、ライトペン及びタッチパネルなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置92に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。また、表示装置96と入力装置95とが一体化されたものとして、例えばタッチパネル付きLCDなどがある。
【0210】
前記ドライブインターフェース97は、主制御装置92と、光ディスク装置20及びHDD94との双方向のインターフェースであり、前記光ディスク装置20のインターフェース38と同じ標準インターフェースに準拠している。
【0211】
このように構成される情報処理装置10において、ユーザが、入力装置95を介して、光ディスク15に対する再生要求を入力すると、主制御装置92は、再生要求コマンドを光ディスク装置20に送信する。
【0212】
光ディスク装置20は、再生要求コマンドを受信すると、上記再生処理を行う。
【0213】
主制御装置92は、光ディスク装置20からの再生結果を表示装置96の表示部に表示する。
【0214】
また、ユーザが、入力装置95を介して、光ディスク15に対する記録要求を入力すると、主制御装置92は、記録要求コマンド及び記録用データを光ディスク装置20に送信する。
【0215】
光ディスク装置20は、記録要求コマンドを受信すると、上記記録処理を行う。
【0216】
主制御装置92は、光ディスク装置20での記録結果を表示装置96の表示部に表示する。
【0217】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理装置10によると、光ディスクの複数の記録位置に同時にアクセスすることができる光ディスク装置20を備えているため、結果として、光ディスクに対して、高速で安定したアクセスを行うことが可能となる。
【0218】
なお、上記情報処理装置10において、前記光ディスク装置20は、いわゆる内蔵タイプであっても良いし、いわゆる外付けタイプであっても良い。
【0219】
また、前記光ディスク装置20は、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、情報の再生のみが可能な光ディスク装置であっても良い。
【0220】
《画像形成装置》
図23には、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
【0221】
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0222】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位機器(例えば、パソコン)との双方向の通信を制御する。
【0223】
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図23における矢印方向に回転するようになっている。
【0224】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
【0225】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
【0226】
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面に、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束を照射する。これにより、感光体ドラム1030の表面では、画像情報に対応した潜像が感光体ドラム1030の表面に形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
【0227】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
【0228】
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0229】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
【0230】
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面上のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0231】
この定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
【0232】
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
【0233】
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
【0234】
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
【0235】
この光走査装置1010は、図24に示されるように、偏向器側走査レンズ1011a、像面側走査レンズ1011b、ポリゴンミラー1013、光源ユニット1014、カップリングレンズ1015、開口板1016、シリンドリカルレンズ1017、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。
【0236】
光源ユニット1014は、図25に示されるように、前記光源装置23aと同様な構成を有している。但し、3個の光源(LD1、LD2、LD3)は、一例として図26に示されるように、それぞれ4つの発光部が一次元配列された面発光レーザアレイである。なお、発光部の数は4つに限定されるものではない。
【0237】
図25に戻り、LDA2から出射された光束は、入射角θi(図25ではθi=0)で平面ホログラム素子PH1に入射し、出射角θmで回折される。平面ホログラム素子PH1から出射角θmで回折された光束は体積ホログラム素子VH1を透過し、体積ホログラム素子VH2で回折される。光束が体積ホログラム素子VH1を透過するのは、体積ホログラムが有する角度選択性のためであり、体積ホログラム素子VH1は、θmの角度で入射した光束に対しては回折効率が低くなるように設計されている。一方、体積ホログラム素子VH2はθmの角度で入射した光束に対しては回折効率が高くなるように設計されている。したがって、θmの角度で入射した光束は出射角θnとなって高効率(≧80%)で回折される。このとき体積ホログラム素子VH3も、体積ホログラム素子VH1同様、透過するように設計されている。
【0238】
LDA1から出射された光束は、入射角θi´で平面ホログラム素子PH1に入射する。ここでθi´は、tanθi´=α/f(α:LDA1とLDA2の間隔、f:コリメートレンズ52の焦点距離)である。ここでの目的は熱の影響を受け難くするためなのでLDA1とLDA2の間隔αは熱の影響を受けにくいように間隔を大きくした方が望ましい。平面ホログラム素子PH1にθi´で入射した光束は出射角θm´で回折される。平面ホログラム素子PH1から出射角θm´で回折された光束は体積ホログラム素子VH1で回折される。体積ホログラム素子VH1はθm´の角度で入射した光束に対しては回折効率が高くなるように設計されている。したがって、θm´の角度で入射した光束は出射角θn´となって高効率(≧80%)で回折される。このとき体積ホログラム素子VH2、体積ホログラム素子VH3は透過する。
【0239】
ここで、LDA1とLDA2の光束の間で、平面ホログラム素子PH1への入射角の差(θi´−θi)と、体積ホログラム素子からの出射角の差(θn´−θn)を比べて、出射角の差(θn´−θn)の方が小さくなるように体積ホログラム素子を設計すれば、LDA1とLDA2の間隔αが小さくなったことと等価になる。したがって、光源の間隔αを広げて熱に対して安定にしたとしても、光走査装置においては高密度記録できることに変わりはない。このように体積ホログラムを用いて合波することにより、通常の面発光レーザアレイよりも熱に対して安定にすることができる。また熱による波長変動に対しても安定であることは、上記第1の実施形態と同じである。
【0240】
LDA3からの光束についても同様のことが言え、LDA2とLDA3の間隔を広げて熱に対して安定化を図ることができる。
【0241】
この場合に、感光体ドラム1030の表面に形成される光スポットが図27に示されている。
【0242】
図24に戻り、カップリングレンズ1015は、光源ユニット1014から射出された光束を略平行光とする。
【0243】
開口板1016は、開口部を有し、カップリングレンズ1015を介した光束の、少なくとも副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)のビーム径を規定する。
【0244】
シリンドリカルレンズ1017は、開口板1016の開口部を通過した光束を、反射ミラー1018を介して、ポリゴンミラー1013の偏向反射面近傍に副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に関して結像する。
【0245】
光源ユニット1014とポリゴンミラー1013との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ1015と開口板1016とシリンドリカルレンズ1017と反射ミラー1018とから構成されている。
【0246】
ポリゴンミラー1013は、一例として6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー1013は、副走査方向に対応する方向(ここでは、Z軸方向)に平行な軸の周りを等速回転しながら、シリンドリカルレンズ1017からの光束を偏向する。
【0247】
偏向器側走査レンズ1011aは、ポリゴンミラー1013で偏向された光束の光路上に配置されている。
【0248】
像面側走査レンズ1011bは、偏向器側走査レンズ1011aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ1011bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される(図27参照)。この光スポットは、ポリゴンミラー1013の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。
【0249】
ポリゴンミラー1013と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ1011aと像面側走査レンズ1011bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ1011aと像面側走査レンズ1011bとの間の光路上及び像面側走査レンズ1011bと感光体ドラム1030との間の光路上の少なくともいずれかに、光路を折り曲げるための折り曲げミラーが設けられても良い。
【0250】
ところで、高速、高密度に画像を形成するために、複数の光束を使って走査する光走査装置(マルチビーム光走査装置)、及び該光走査装置を備える画像形成装置(マルチビーム画像形成装置)が提案されている(例えば、特開56−42248、特開平8−286136参照)。
【0251】
高速化、高密度化のためには発光部の数は多いほうが好ましいが、走査光学系の収差を小さく抑えるために発光部間隔を狭くする必要がある。この場合、隣接する発光部からの熱影響により、温度が上昇するおそれがある。すなわち、高速化、高密度化を図ろうとすると熱の問題が発生することとなる。
【0252】
レーザ発振の閾値電流密度Jthは、温度特性に対応する特性温度T0を用いて、次の(15)式で示される。ここで、J0は比例定数であり、Tは活性層の温度である。
【0253】
Jth=J0×exp(T/T0) ……(15)
【0254】
温度特性が悪化するにつれて特性温度T0は低下するため、温度Tの上昇によって閾値電流密度Jthは急激に上昇し、レーザ発振が困難となる。
【0255】
さらに、温度特性が悪化することで熱飽和が生じやすくなる。低い注入電流値で熱飽和が生じると、その時点でレーザ光強度が飽和するため、レーザ光強度の最大値は低い値となる。面発光レーザを光走査装置に用いる場合、個々のレーザ出力は1mW程度が必要とされるが、熱飽和が生じると必要なレーザ光出力を得ることは困難になる。
【0256】
すなわち、面発光レーザアレイを用いることは高速化、高密度化のために有効ではあるものの、熱の問題があるために、発光部の数を増やすことが困難であったり、個々の発光部のレーザ出力を大きくできないといった不都合があった。
【0257】
本実施形態に係る光走査装置1010によると、体積ホログラムを用いて4個の発光部が1次元配列された面発光レーザアレイを3個合波することにより、4×3の2次元配列の発光部を有する面発光レーザアレイを用いたのと同じ数の光スポットを形成することができる。これにより高速化と高密度化を実現できる。
【0258】
また、発光部がn×1の1次元配列の面発光レーザアレイをL個用い、各面発光レーザアレイからの光を体積ホログラムで合波することは、発光部がn×Lの2次元配列の面発光レーザアレイを1個用いる場合に比べて、発光部間隔を広げることができるため熱に対して安定にすることができる。
【0259】
また、本実施形態における光源ユニット1014の構成は光源の波長変動に対しても安定であるため、光源ユニット1014が熱により出力低下を起こすおそれもない。
【0260】
このように、光走査装置1010は、各面発光レーザアレイからの光束を、体積ホログラムの角度選択性を利用して合波しているため、個々の光源が有する発光部の数が少なくても、感光体ドラム1030の表面に所望の数の光スポットを所望の間隔で形成することができる。従って、熱の問題を回避して、高速、高密度に光走査を行うことが可能となる。
【0261】
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、高速、高密度に光走査を行うことができる光走査装置1010を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
【0262】
なお、図28に示されるように、各光源(LD1、LD2、LD3)からの光束を個別のコリメートレンズ(52a、52b、52c)でカップリングしても良い。この場合には、LD1、LD2、LD3の間隔をより大きくすることができ、熱に対して更に安定となる。
【0263】
また、一例として図29に示されるように、各光源(LD1、LD2、LD3)が、複数の発光部が2次元配列された面発光レーザアレイを有していても良い。
【0264】
この場合、発光部間隔βは、個々の発光部が熱の影響を受けにくい程度に広めの間隔となっている。したがって、各光源自体は熱によって悪影響を受けない。ここでは4×2の面発光レーザアレイを例に説明しているが、数が異なる場合でも効果は同じである。
【0265】
各光源からの光を体積ホログラムで合波すると、4×6のスポットが形成され(図30参照)、4×6の発光部が2次元配列された面発光レーザアレイを用いた場合と等価になる。しかも発光部間隔が狭くなった場合と等価にできるため、高速化、高密度化を図ることができる。
【0266】
なお、3個の光源の全てが面発光レーザを有する必要はなく、3個の光源の少なくとも1つが、面発光レーザアレイを有していれば良い。
【0267】
また、ネットワークを介して、レーザプリンタ1000と、電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とを接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを形成することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像形成装置を選択し、画像形成を行うことができる。
【0268】
なお、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば、結果として、高品質の画像を形成することが可能となる。
【0269】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0270】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0271】
また、多色のカラー画像を形成する画像形成装置であっても、カラー画像に対応した光走査装置を用いることにより、高品質のカラー画像を形成することが可能となる。
【0272】
例えば、図31に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタであっても良い。
【0273】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
【0274】
各感光体ドラムは、図31中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに静電潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
【0275】
光走査装置2010は、前記光源ユニット1014と同様な光源ユニット、前記偏向器前光学系と同様な偏向器前光学系、及び前記走査光学系と同様な走査光学系を、それぞれ色毎に有している。そして、各光源ユニットから射出された光束は、対応する偏向器前光学系を介して共通のポリゴンミラーで偏向され、対応する走査光学系を介して対応する感光体ドラムに照射される。
【0276】
従って、光走査装置2010は、上記光走査装置1010と同様な効果を得ることができる。その結果、カラープリンタ2000は、上記レーザプリンタ1000と同様な効果を得ることができる。
【0277】
なお、このカラープリンタ2000において、光走査装置を1色毎に設けても良いし、2色毎に設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0278】
以上説明したように、本発明の光源ユニットによれば、波長変動が発生しても、複数の光を安定して出力するのに適している。また、本発明の光検出ユニットによれば、波長変動が発生しても、複数の光を個別に精度良く検出するのに適している。また、本発明の光学ヘッドによれば、波長変動が発生しても、安定した性能を維持するのに適している。また、本発明の光ドライブ装置によれば、光記録媒体の複数の記録位置に同時にアクセスするのに適している。また、本発明の情報処理装置によれば、光記録媒体に対して、高速で安定したアクセスを行うのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高速、高密度に光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0279】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図3】図3(A)〜図3(C)は、それぞれ各光源から出射された光の光路を説明するための図である。
【図4】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH1との関係を説明するための図である。
【図5】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH2との関係を説明するための図である。
【図6】平面ホログラム素子と体積ホログラム素子VH3との関係を説明するための図である。
【図7】各記録層に形成される光スポットを説明するための図である。
【図8】光ピックアップ装置における光検出装置の作用を説明するための図である。
【図9】上位装置から記録要求を受信したときの図1の光ディスク装置での処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】上位装置から再生要求を受信したときの図1の光ディスク装置での処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】平面ホログラム素子及び体積ホログラムを説明するための図である。
【図12】体積ホログラム素子の角度選択性を説明するための図である。
【図13】体積ホログラム素子の波長選択性を説明するための図である。
【図14】平面ホログラム素子の効果を説明するための図である。
【図15】平面ホログラム素子のブレーズ形状を説明するための図である。
【図16】各記録層に形成される光スポットの変形例を説明するための図である。
【図17】1つの記録層に3つの光スポットが形成される場合を説明するための図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図19】図18の光ピックアップ装置における光検出装置の作用を説明するための図である。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図21】図20の光ピックアップ装置を用いたときに光ディスクに形成される光スポットを説明するための図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。
【図24】図23における光走査装置の概略構成を説明するための図である。
【図25】図24における光源ユニットを説明するための図である。
【図26】図24における各光源に含まれる面発光レーザアレイを説明するための図である。
【図27】感光体ドラム表面に形成される光スポットを説明するための図である。
【図28】図24における光源ユニットの変形例を説明するための図である。
【図29】図24における各光源に含まれる面発光レーザアレイの変形例を説明するための図である。
【図30】図29の面発光レーザアレイを用いたときに感光体ドラム表面に形成される光スポットを説明するための図である。
【図31】カラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0280】
10…情報処理装置、15…光ディスク(光記録媒体)、20…光ディスク装置(光ドライブ装置)、23…光ピックアップ装置(光学ヘッド)、23a…光源装置(光源ユニット)、23c…光検出装置(光検出ユニット)、28…再生信号処理回路(処理装置の一部)、40…CPU(処理装置の一部)、92…主制御装置(制御装置)、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1014…光源ユニット、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)、LD1、LD2、LD3…光源、PD1、PD2、PD3…受光器(光検出器)、PH1、PH2…平面ホログラム素子、VH1、VH2、VH3…体積ホログラム素子、VHD1、VHD2、VHD3…体積ホログラム素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光を出力する光源ユニットであって、
複数の光源と;
前記複数の光源から出射される複数の光の光路上に配置され、前記複数の光をそれぞれ回折する平面ホログラム素子と;
前記複数の光源に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;を備える光源ユニット。
【請求項2】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光源からの光のみを回折することを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光源以外の光源からの光は回折せずにそのまま透過させることを特徴とする請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記平面ホログラム素子を介した複数の光のそれぞれは、対応する複数の体積ホログラム素子に対してブラック条件を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の光源の少なくとも1つは半導体レーザであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記複数の光源の少なくとも1つは、複数の発光部が1次元配列あるいは2次元配列されているレーザを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記平面ホログラム素子は、断面形状がブレーズ形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記平面ホログラム素子は、前記複数の光源のうちの特定の光源からの光の入射角が0°であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記平面ホログラム素子のホログラムピッチは、前記特定の光源に対応する体積ホログラム素子のホログラムピッチの2倍であることを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記複数の体積ホログラム素子の材料は、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項11】
入射する複数の光を個別に検出する光検出ユニットであって、
前記複数の光を回折する平面ホログラム素子と;
前記複数の光に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;
前記複数の体積ホログラム素子に個別に対応して設けられ、それぞれ対応する体積ホログラム素子からの光を受光する複数の光検出器と;を備える光検出ユニット。
【請求項12】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光のみを回折することを特徴とする請求項11に記載の光検出ユニット。
【請求項13】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光以外の光は回折せずにそのまま透過させることを特徴とする請求項12に記載の光検出ユニット。
【請求項14】
前記平面ホログラム素子を介した複数の光のそれぞれは、対応する複数の体積ホログラム素子に対してブラック条件を満足することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項15】
前記平面ホログラム素子は、断面形状がブレーズ形状を有することを特徴とする請求項11〜14に記載の光検出ユニット。
【請求項16】
前記平面ホログラム素子は、前記複数の光のうちの特定の光の入射角が0°であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項17】
前記平面ホログラム素子のホログラムピッチは、前記特定の光に対応する体積ホログラム素子のホログラムピッチの2倍であることを特徴とする請求項16に記載の光検出ユニット。
【請求項18】
前記複数の体積ホログラム素子の材料は、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかであることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項19】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置され、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光検出器と;を備える光学ヘッド。
【請求項20】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
複数の光源と;
前記複数の光源からの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置された請求項11〜18のいずれか一項に記載の光検出ユニットと;を備える光学ヘッド。
【請求項21】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置された請求項11〜18のいずれか一項に記載の光検出ユニットと;を備える光学ヘッド。
【請求項22】
前記光記録媒体は厚さ方向に複数の記録位置を有し、
前記複数の光は、前記複数の記録位置に個別に対応し、
前記光学系は、前記複数の光をそれぞれ対応する記録位置に集光することを特徴とする請求項19又は21に記載の光学ヘッド。
【請求項23】
前記光源ユニットの少なくとも1つの体積ホログラム素子は、対応する光の発散度を変更して、前記厚さ方向に関する記録位置の違いに起因する収差を補償することを特徴とする請求項22に記載の光学ヘッド。
【請求項24】
前記光記録媒体は光ディスクであり、
前記複数の記録位置にそれぞれ形成される光スポットは、前記光ディスクの回転中心からの距離が互いに異なることを特徴とする請求項22又は23に記載の光学ヘッド。
【請求項25】
光記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ドライブ装置であって、
請求項19〜24のいずれか一項に記載の光学ヘッドと;
前記光学ヘッドの出力信号を用いて情報の再生を行う処理装置と;を備える光ドライブ装置。
【請求項26】
請求項25に記載の光ドライブ装置と;
前記光ドライブ装置を制御する制御装置と;を備える情報処理装置。
【請求項27】
光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの光を偏向する偏向器と;
前記偏光器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
【請求項28】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも1つの請求項27に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項29】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項28に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の光を出力する光源ユニットであって、
複数の光源と;
前記複数の光源から出射される複数の光の光路上に配置され、前記複数の光をそれぞれ回折する平面ホログラム素子と;
前記複数の光源に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;を備える光源ユニット。
【請求項2】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光源からの光のみを回折することを特徴とする請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光源以外の光源からの光は回折せずにそのまま透過させることを特徴とする請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記平面ホログラム素子を介した複数の光のそれぞれは、対応する複数の体積ホログラム素子に対してブラック条件を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の光源の少なくとも1つは半導体レーザであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記複数の光源の少なくとも1つは、複数の発光部が1次元配列あるいは2次元配列されているレーザを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記平面ホログラム素子は、断面形状がブレーズ形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記平面ホログラム素子は、前記複数の光源のうちの特定の光源からの光の入射角が0°であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記平面ホログラム素子のホログラムピッチは、前記特定の光源に対応する体積ホログラム素子のホログラムピッチの2倍であることを特徴とする請求項8に記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記複数の体積ホログラム素子の材料は、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光源ユニット。
【請求項11】
入射する複数の光を個別に検出する光検出ユニットであって、
前記複数の光を回折する平面ホログラム素子と;
前記複数の光に個別に対応して設けられ、前記平面ホログラム素子を介した複数の光の光路上にそれぞれ配置された複数の体積ホログラム素子と;
前記複数の体積ホログラム素子に個別に対応して設けられ、それぞれ対応する体積ホログラム素子からの光を受光する複数の光検出器と;を備える光検出ユニット。
【請求項12】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光のみを回折することを特徴とする請求項11に記載の光検出ユニット。
【請求項13】
前記複数の体積ホログラム素子のそれぞれは、対応する光以外の光は回折せずにそのまま透過させることを特徴とする請求項12に記載の光検出ユニット。
【請求項14】
前記平面ホログラム素子を介した複数の光のそれぞれは、対応する複数の体積ホログラム素子に対してブラック条件を満足することを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項15】
前記平面ホログラム素子は、断面形状がブレーズ形状を有することを特徴とする請求項11〜14に記載の光検出ユニット。
【請求項16】
前記平面ホログラム素子は、前記複数の光のうちの特定の光の入射角が0°であることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項17】
前記平面ホログラム素子のホログラムピッチは、前記特定の光に対応する体積ホログラム素子のホログラムピッチの2倍であることを特徴とする請求項16に記載の光検出ユニット。
【請求項18】
前記複数の体積ホログラム素子の材料は、フォトポリマー、サーモプラスチック及びナノガラスのいずれかであることを特徴とする請求項11〜17のいずれか一項に記載の光検出ユニット。
【請求項19】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置され、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光検出器と;を備える光学ヘッド。
【請求項20】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
複数の光源と;
前記複数の光源からの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置された請求項11〜18のいずれか一項に記載の光検出ユニットと;を備える光学ヘッド。
【請求項21】
光記録媒体に光を照射し、前記光記録媒体からの戻り光を受光する光学ヘッドであって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの複数の光をそれぞれ光記録媒体に導くとともに、前記光記録媒体からの戻り光を所定位置に導く光学系と;
前記所定位置に配置された請求項11〜18のいずれか一項に記載の光検出ユニットと;を備える光学ヘッド。
【請求項22】
前記光記録媒体は厚さ方向に複数の記録位置を有し、
前記複数の光は、前記複数の記録位置に個別に対応し、
前記光学系は、前記複数の光をそれぞれ対応する記録位置に集光することを特徴とする請求項19又は21に記載の光学ヘッド。
【請求項23】
前記光源ユニットの少なくとも1つの体積ホログラム素子は、対応する光の発散度を変更して、前記厚さ方向に関する記録位置の違いに起因する収差を補償することを特徴とする請求項22に記載の光学ヘッド。
【請求項24】
前記光記録媒体は光ディスクであり、
前記複数の記録位置にそれぞれ形成される光スポットは、前記光ディスクの回転中心からの距離が互いに異なることを特徴とする請求項22又は23に記載の光学ヘッド。
【請求項25】
光記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生が可能な光ドライブ装置であって、
請求項19〜24のいずれか一項に記載の光学ヘッドと;
前記光学ヘッドの出力信号を用いて情報の再生を行う処理装置と;を備える光ドライブ装置。
【請求項26】
請求項25に記載の光ドライブ装置と;
前記光ドライブ装置を制御する制御装置と;を備える情報処理装置。
【請求項27】
光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の光源ユニットと;
前記光源ユニットからの光を偏向する偏向器と;
前記偏光器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
【請求項28】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報が含まれる光束を走査する少なくとも1つの請求項27に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項29】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項28に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2008−176314(P2008−176314A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328584(P2007−328584)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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