説明

光源装置

【課題】レーザ光の出射光路を制御可能な新たな構成の光源装置を提供する。
【解決手段】光源装置1は、各々レーザ光を出射する第1,第2レーザ出力部II,IIIと、第1のウォークオフ角で配置され第1,第2レーザ出力部II,IIIから出射されたレーザ光が入射する第1非線形光学結晶35と、第1のウォークオフ角と直交する第2のウォークオフ角で配置され第1波長変換光学素子35から出射したレーザ光が入射する第2非線形光学結晶36と、ビーム制御装置80とを備える。ビーム制御装置80は、第1非線形光学結晶35における位相整合条件及び第2非線形光学結晶36における位相整合条件の少なくともいずれかを変化させ、ビームポインティングを変化させることにより、第2非線形光学結晶36から出射されるレーザ光の出射光路を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザ出力部から出射されたレーザ光が波長変換部で波長変換され出射される光源装置に関し、なお詳細には、波長変換部から出射されるレーザ光の光路を高速で調整可能な光源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のレーザ出力部から出射されたレーザ光が波長変換部で波長変換され出射される光源装置として、半導体レーザにより発生された赤外〜可視領域のレーザ光(シード光)を、ファイバー光増幅器等の光増幅部により増幅し、これを複数の波長変換光学素子からなる波長変換部により波長変換して紫外領域のパルス光を出力する全固体型の光源装置がある。このような光源装置は、微細構造を観察するレーザ顕微鏡や各種の光学検査装置、レチクルの微細パターンを転写する露光装置、眼科治療に用いる医療装置等の分野において、好適な光源として利用が進展している(例えば特許文献1)。
【0003】
一般的に、光源装置から出射されるレーザ光のビームポインティング(Beam Pointing)は時間的に変動している。これは気流や、光源装置を構成する部材の熱的安定、共振などによるものと考えられている。微細加工や光学的な検査などの一部の用途においては、レーザ光のポインティングを安定させることが求められる。従来では、光路上に設けたミラーをガルバノメータ等で制御することにより変動する入射光の出射光路を調整し、これにより光源装置から出射されるレーザ光のポインティングを安定させる手法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−86193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしなら、上記のようにミラーを制御する構成では、機構部品の損耗や発塵の問題、短波長領域でのミラーダメージ等の問題があった。また、ミラーの応答速度には限度があり、現実的に使用可能な応答速度は周波数でkHzのオーダーである。そのため、ミラーに入射するレーザ光のビームポインティングがmsec以下のオーダーで高速変動するような場合には、これに応答して出射光路を調整し、ビームポインティングを安定させることが困難であるという課題もあった。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、これらの課題を解決しレーザ光の出射光路を制御可能な新たな光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明を例示する態様に従えば、各々レーザ光を出射する第1レーザ出力部及び第2レーザ出力部と、第1非線形光学結晶(例えば、実施形態における波長変換光学素子35)が第1の角度方向にウォークオフ(Walk off)を生じる配置の角度位相整合で用いられ、第1レーザ出力部から出射されたレーザ光及び第2レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくとも一方のレーザ光が入射して波長変換される第1波長変換部(例えば、実施形態における波長変換部30)と、第2非線形光学結晶(例えば、実施形態における波長変換光学素子36)が前記第1の角度方向と直交する角度方向にウォークオフを生じる配置の角度位相整合で用いられ、第1波長変換部から出射されたレーザ光及び他方のレーザ光(第1レーザ出力部から出射されたレーザ光及び第2レーザ出力部から出射されたレーザ光がともに第1波長変換部に入射する場合には第1波長変換部から出射されたレーザ光)が入射して波長変換される第2波長変換部(例えば、実施形態における波長変換部30)と、前記第1非線形光学結晶における位相整合状態及び前記第2非線形光学結晶における位相整合状態の少なくともいずれかを変化させ、位相不整合量に応じてビームポインティングを変化させることにより、前記第2波長変換部から出射されるレーザ光の出射光路を変化させるビーム制御装置とを備えて光源装置が構成される。
【0008】
なお、前記ビーム制御装置は、前記第1レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長及び前記第2レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長の少なくともいずれかを変化させることにより、前記第1、第2非線形光学結晶における位相不整合量を変化させるように構成することができる。
【0009】
この場合において、前記第1及び第2レーザ出力部の少なくともいずれかは、パルス発振するレーザ光源と、このレーザ光源により発生されたパルス状のレーザ光の一部を切り出して出射させる光変調器とを備え、前記ビーム制御装置が、光変調器による切り出しタイミングを変化させることにより、出射されるレーザ光の波長を変化させるように構成することが一つの好ましい態様である。
【0010】
なお、レーザ光を出射する第3レーザ出力部をさらに備えるとともに、前記第1、第2、第3レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくともいずれかが前記第1波長変換部に入射され、第1波長変換部から出射されたレーザ光及び第1、第2、第3レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくとも他のいずれかが第2波長変換部に入射され(第1〜第3レーザ出力部から出射されたレーザ光が全て第1波長変換部に入射する場合には第1波長変換部から出射されたレーザ光)、前記ビーム制御装置は、第1、第2、第3レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長の少なくともいずれか二つを変化させることにより、前記第1、第2非線形光学結晶における位相不整合量を変化させ、前記第2波長変換部から出射されるレーザ光の出射光路を光軸に直行する任意方向に調整可能に構成することも好ましい態様である。
【0011】
以上の本発明において、前記第2波長変換部から出射されたレーザ光の光軸直行方向の位置を検出するビーム位置検出器を備え、前記ビーム制御装置が、ビーム位置検出器により検出されたレーザ光の光軸直行方向位置に基づいてレーザ光の出射光路を調整するように構成することが好ましい態様である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光源装置によれば、ウォークオフの角度が直交する方向で配置された第1、第2非線形光学結晶の少なくともいずれかに位相不整合量を与えてビームポインティングを変化させることにより、第2非線形光学結晶から出射されるレーザ光の出射光路が制御される。すなわち、第1非線形光学結晶に位相不整合量を与えることにより第1の角度方向(例えばX軸方向)にビームポインティングを変化させ、第2非線形光学結晶に位相不整合量を与えることにより第1の角度方向と直交する角度方向(例えばY軸方向)にビームポインティングを変化させ、これにより第2非線形光学結晶から出射されるレーザ光の出射光路をX−Y平面内の任意方向に変化させることができる。このため、ミラー制御系を用いない斬新な構成で、レーザ光の出射光路を制御可能な光源装置を提供することができる。なお、第1、第2レーザ出力部から出射されたレーザ光の一方を第1非線形光学結晶に入射させ、他方を第2非線形光学結晶に入射させるような場合でも、第1非線形光学結晶と第2非線形光学結晶とを近接配置することにより第2非線形光学結晶でのビームの重なりを保持することができる。また、第1非線形光学結晶と第2非線形光学結晶との間にレンズを配置し、レンズの焦点位置に第2非線形光学結晶を配置することにより、第1非線形光学結晶から出射されるレーザ光のポインティング変化に拘わらず良好なビームの重ね合わせを確保することができる。
【0013】
なお、ビーム制御装置が、第1レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長及び第2レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長の少なくともいずれかを変化させることにより、第1、第2非線形光学結晶における位相不整合量を変化させるような構成によれば、取り扱いが容易な波長領域を利用して比較的簡明な構成で上記効果を有する光源装置を提供することができる。この場合において、レーザ光源により発生されたパルス状のレーザ光の一部を切り出して出射させる光変調器を備え、光変調器による切り出しタイミングを変化させることにより、出射されるレーザ光の波長を変化させるような構成によれば、パルス光の1パルス単位(ナノ秒〜ミリ秒単位)でレーザ光の出射光路を制御可能な光源装置を提供することができる。
【0014】
さらに、第2波長変換部から出射されたレーザ光の光軸直行方向の位置を検出するビーム位置検出器を備え、ビーム制御装置が、ビーム位置検出器により検出されたレーザ光の光軸直行方向位置に基づいてレーザ光の出射光路を調整するような構成によれば、ビームポインティングの安定性が高い光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を例示する光源装置の概要構成図である。
【図2】波長変換部の構成例を示す概要構成図である。
【図3】7倍波発生用の非線形光学結晶について、高調波出力及びビームポインティングの位相不整合に対する依存性を示した図表である。
【図4】8倍波発生用の非線形光学結晶について、高調波出力及びビームポインティングの位相不整合に対する依存性を示した図表である。
【図5】第1構成形態のレーザ光発生部の概要構成図である。
【図6】レーザ光発生部が発生するパルス光と、光変調器の透過率との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、本発明を適用した光源装置1の概要構成を例示する図1を参照しながら説明する。本実施形態では、レーザ顕微鏡や形状測定器などの光学検査装置に好適に用いられる光源装置を例として説明する。
【0017】
光源装置1は、大別的には、レーザ光を発生させるレーザ光発生部10と、レーザ光発生部10により発生されたレーザ光を増幅する光増幅部20と、光増幅部20により増幅されたレーザ光を波長変換して出力する波長変換部30と、光源装置1を構成する各部の作動を制御する制御装置8とを備えて構成される。実施形態には、レーザ光発生部10及び光増幅部20が並列3系統からなる構成例を示しており、説明の便宜上、図1における上方から第1系列、第2系列、第3系列と称して説明する。なお、図1中に一点鎖線で囲む領域が、特許請求の範囲における第1〜第3レーザ出力部に相当し、以降説明する実施形態においては、第1レーザ出力部II、第2レーザ出力部III、第3レーザ出力部Iとなる。
【0018】
レーザ光発生部10は、第1,第2,第3の各系列に設けられ、赤外〜可視領域において所定波長のパルス状のレーザ光(以下、便宜的に「シード光」Lsという)を発生するレーザ光源11,12,13と、各レーザ光源により発生されたシード光の一部を切り出して短パルスのシード光(以下、便宜的に「パルスシード光」Lpという)を出射させる光変調器15,16,17とを備えて構成される。
【0019】
レーザ光源11,12,13は、光源装置1の出力波長、及び波長変換部30の構成に応じて各々適宜な発振波長、発振形態のものを用いることができるが、本実施形態では、レーザ光源11〜13として発振波長1.5[μm]帯のDFB半導体レーザを用い、ペルチェ素子等を利用した温度調整器により温度制御した状態で発振させることにより、いずれも波長λ=1.544[μm]の単一波長のシード光を発生させる構成を示す。DFB半導体レーザは、励起電流を波形制御することにより任意強度でCW発振またはパルス発振させることができる。光源装置1においては、制御装置8がレーザ光源11〜13の作動を制御し、各レーザ光源から繰り返し周波数が数百[kHz]〜数[MHz]程度、パルス幅1〜20[nsec]程度の単一波長のシード光Ls(Ls1,Ls2,Ls3)を発生させる。なお、以下では、レーザ光源11〜13を、適宜「DFB半導体レーザ」とも表記する。
【0020】
光変調器15,16,17は、第1,第2,第3系列のレーザ光源により発生されたシード光Lsの一部を各々時間的に切り出して出射する。光変調器15〜17として、例えば、電気光学変調器(EOM)が用いられる。光変調器15〜17は、制御装置8により各レーザ光源11〜13と同期制御され、レーザ光源が発生したパルス幅1〜20[nsec]のシード光Lsからパルス幅0.3〜1[nsec]程度の光パルスを切り出し、切り出されたパルスシード光Lp(Lp1,Lp2,Lp3)がレーザ光発生部10から出射される。
【0021】
光増幅部20は、系列ごとに設けられたファイバー光増幅器21,22,23を主体として構成され、レーザ光発生部10から出射されたパルスシード光Lp(Lp1,Lp2,Lp3)を、波長変換部30の構成や求められる高調波出力に応じて各ファイバー光増幅器で増幅する。波長1.5[μm]帯の赤外光を増幅するファイバー光増幅器21〜23として、例えば、半導体レーザ励起のエルビウム(Er)・ドープ・ファイバー光増幅器(EDFA)やラマン・レーザ励起のEDFAが用いられる。ファイバー光増幅器21〜23により増幅された光(以下、便宜的に「パルス光」という)La(La1,La2,La3)は、光増幅部20から出射され波長変換部30に入射される。
【0022】
波長変換部30は、光増幅部20から入射するパルス光Laを、光源装置1の仕様に応じた波長に変換して出力する。ここで、本発明の光源装置1は、波長変換部30に、直行方向にウォークオフを生じる二つの非線形光学結晶が直列に配置される構成を含むものであればよく、波長変換部30に入射するパルス光La(La1,La2,La3)の波長や波長変換部30から出射される出力光の波長、当該波長に変換するための波長変換部30の具体的な構成(波長変換光学素子の組み合わせや配置等)は、既に公知の種々の形態に適用することができる。
【0023】
本実施形態では、波長λ=1.544[μm]の基本波を、8倍波に相当する波長λ=193[nm]の紫外波に変換する構成を代表例として図2に例示し、この構成について説明する。なお、図2において、光路上に楕円形で示す図形はコリメータレンズや集光レンズであり、個々の説明を省略する。また、P偏光を矢印で、S偏光を○中に点のある印で示し、基本波をω、そのn倍波をnωで示す。
【0024】
波長変換部30は、6つの波長変換光学素子31〜36を主体として構成される。第1系列のファイバー光増幅器21により増幅され波長変換部30に入射した周波数ω(基本波)のパルス光La1は、この系列に設けられた波長変換光学素子によりω→2ω→3ω→5ωの順に波長変換される。第2系列のファイバー光増幅器22により増幅され波長変換部30に入射した周波数ωのパルス光La2は、この系列に設けられた波長変換光学素子によりω→2ωに波長変換される。そして、第1系列の5倍波と第2系列の2倍波の和周波発生により7倍波7ωが発生され、この7倍波と第3系列のファイバー光増幅器23により増幅された周波数ωのパルス光La3の和周波発生により8倍波8ωが生成される。
【0025】
第1系列では、ファイバー光増幅器21から出射したP偏光の基本波(パルス光)La1が波長変換光学素子31に集光入射され、P偏光の2倍波(2ω)が発生される。発生した2倍波と波長変換光学素子31を透過した基本波は、波長変換光学素子32に集光入射し、和周波発生によりS偏光の3倍波(3ω)が発生される。2倍波発生用の波長変換光学素子31としてPPLN結晶、3倍波発生用の波長変換光学素子32としてLBO結晶が例示されるが、波長変換光学素子31として、PPKTP結晶、PPSLT結晶、LBO結晶等を用いることもできる。
【0026】
波長変換光学素子32により発生されたS偏光の3倍波と、波長変換光学素子32を透過したP偏光の基本波および2倍波は、2波長波長板41を透過させて2倍波だけをS偏光に変換する。ともにS偏光になった2倍波および3倍波は、波長変換光学素子33に集光入射させ、和周波発生によりP偏光の5倍波(5ω)を発生させる。5倍波発生用の波長変換光学素子33として、例えばLBO結晶が用いられるが、BBO結晶、CBO結晶を用いることもできる。波長変換光学素子33から出射された5倍波はシリンドリカルレンズ42v,42hにより整形し、ダイクロイックミラー43に入射させる。
【0027】
第2系列では、ファイバー光増幅器22から出射したP偏光の基本波(パルス光)La2が波長変換光学素子34に集光入射され、P偏光の2倍波(2ω)を発生される。波長変換光学素子34により発生された2倍波は、ダイクロイックミラー44に入射させる。2倍波発生用の波長変換光学素子34は、波長変換光学素子31と同様の結晶が用いられる。
【0028】
第3系列では、ファイバー光増幅器23から出射した基本波(パルス光)La3をS偏光で波長変換部30に入射させ、波長変換することなくダイクロイックミラー44に入射させる。
【0029】
ダイクロイックミラー44は、基本波の波長帯域の光を透過し、2倍波の波長帯域の光を反射するように構成されており、ダイクロイックミラー44を透過したS偏光の基本波と、ダイクロイックミラー44で反射されたP偏光の2倍波とが同軸に重ね合わされてダイクロイックミラー43に入射する。ダイクロイックミラー43は、基本波および2倍波の波長帯域の光を透過し、5倍波の波長帯域の光を反射するように構成されており、ダイクロイックミラー43を透過したS偏光の基本波およびP偏光の2倍波と、ダイクロイックミラー43で反射されたP偏光の5倍波とが同軸に重ね合わされて波長変換光学素子35に入射する。
【0030】
波長変換光学素子35では、P偏光の2倍波(2ω)とP偏光の5倍波(5ω)による和周波発生が行われ、7倍波(7ω)が発生される。7倍波発生用の波長変換光学素子35として、例えば、CLBO結晶(CsLiB610結晶)が、タイプIの角度位相整合(CPM:Critical Phase Matching)で用いられる。
【0031】
波長変換光学素子35により発生されたS偏光の7倍波(7ω)と、波長変換光学素子35を透過したS偏光の基本波(ω)は、近接配置された波長変換光学素子36に入射し、和周波発生によりP偏光の8倍波(8ω)が発生される。8倍波発生用の波長変換光学素子36として、例えば、上記同様にCLBO結晶が、タイプIの角度位相整合で用いられる。
【0032】
このようにして、光増幅部20から出力された波長1.544[μm]の基本波レーザ光が波長変換部30において順次波長変換され、波長変換部30から波長193[nm]の紫外光Lvが出射される。
【0033】
以上のように構成される光源装置1にあって、制御装置8に、波長変換光学素子35における位相整合状態、及び波長変換光学素子36における位相整合状態の少なくともいずれかを変化させ、位相不整合量に応じてビームポインティングを変化させることにより、波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を変化させるビーム制御装置80が備えられている。以下では、まず上記作用を実現するための原理から説明する。
【0034】
いま、波長変換部30に入射する基本波の周波数を変化させたとき、7倍波発生用の非線形光学結晶(波長変換光学素子)35での位相不整合量の変化Δk7、8倍波発生用の非線形光学結晶(波長変換光学素子)36での位相不整合量の変化Δk8は、下記(1)式で与えられる。なお、非線形光学結晶35,36のウォークオフの方向は、それぞれ紙面に垂直、水平方向である。
【数1】

【0035】
ここで、位相不整合量の変化は、本来的には、d(Δki)のように表わされるが、本明細書においては、記載表現簡略化のため、Δkiと表記する。なお、(1)式中のαiiは結晶材料の持つ分散から決まり、例えばα2は、結晶の屈折率nを用いて以下のように求められる。
【数2】

【0036】
dfiはi倍波(i次高調波)の周波数シフトであり、7倍波及び8倍波では次式の関係がある。
【数3】

【0037】
上記(1),(3)式より、
【数4】

【0038】
ビームポインティングの変化Δθ及び位相不整合量の変化Δkは、以下に示す数値計算の結果からわかる通り、概ね比例関係にある。
【数5】

【0039】
(5)式から、位相不整合量をΔk7変化させることにより、非線形光学結晶35から出射する7倍波のビームポインティングを垂直方向にΔθ7変化させることができ、位相不整合量をΔk8変化させることにより、非線形光学結晶36から出射する8倍波のビームポインティングを水平方向にΔθ8変化させることができることが分かる。また(4)式から、位相不整合量をΔk7変化させる手段として、2倍波及び5倍波の少なくともいずれかについて周波数(波長)を変化させればよく、位相不整合量をΔk8変化させる手段として、基本波、2倍波及び5倍波の少なくともいずれかの周波数(波長)を変化させればよいことが分かる。
【0040】
ここでは、簡単のため、第1系列のレーザ光源11から出射する基本波の波長を一定とし、7倍波発生用の非線形光学結晶35に入射する5倍波の波長を一定(df5=0)とする。
【0041】
この場合、例えば、垂直方向にΔθのポインティング変化のみを発生させたいときには、(4)式より、第2系列の2倍波にdf2を与え、水平方向についてdk8=0になるように第3系列の基本波でdfを調整すれば良い。一方、水平方向にΔθ8のポインティング変化のみを発生させたいときには、第3系列の基本波についてdf1を与えれば良い。以上から、第3系列のdf1、と第2系列のdfを適宜に与えることで、任意のΔθ7、Δθ8の組み合わせを発生させることができ、これにより波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を、この出射光の光軸に直交する平面内の任意方向に変化させることができる。
【0042】
なお、ここでは、3つのレーザ光源11,12,13を使用しているが、(4)式から明らかなように、7倍波発生に用いる5倍波と2倍波をレーザ光源11の基本波から発生させ、8倍波発生に用いる基本波をレーザ光源13から発生させるようにしても良い。このような構成によれば、基本波(シード光)を発生するレーザ光源の数は2つで良く、光源装置1の構成を簡明化することができる。
【0043】
次に、ビームポインティングと位相不整合の関係について具体的に説明する。図3及び図4に、高調波(異常光)のポインティングシフトΔθと位相不整合量Δkの関係を表す数値計算の結果を示す。この計算は、ビームの回折効果、ウォークオフ、入射基本波の枯渇などを含む一般的なものである。なお、計算方法の詳細については、例えば、[Smith and Bowers, Phase distortions in sum- and difference-frequency mixing in crystals, JOSA B, Vol.12, No.1, p.49-,(1995)]に開示されている。
【0044】
図3は、波長変換光学素子35としてCLBO結晶を用い、2倍波と5倍波の和周波発生により7倍波を発生させる場合の、高調波出力及びビームポインティングの位相不整合に対する依存性を示し、図4は、波長変換光学素子36としてCLBO結晶を用い、基本波と7倍波の和周波発生により8倍波を発生させる場合の、高調波出力及びビームポインティングの位相不整合に対する依存性を示したグラフである。
【0045】
両図において、横軸は位相不整合量Δk[rad/cm=cm-1]、縦軸は、位相不整合量Δk=0のときの高調波出力を1として規格化した規格化出力:Normalized efficiency、及びビームポインティング:Pointing[mrad]である。計算にあたり、入射波のビーム直径は200[μm]程度、結晶長はいずれも10[mm]とし、7倍波発生用のCLBO結晶のウォークオフ角は約10[mrad]、8倍波発生用のCLBO結晶のウォークオフ角は約38[mrad]とした。
【0046】
図示するように、位相不整合Δkを与えると、高調波(7倍波、8倍波)の規格化出力が変化するとともに、ビームポインティングも変化する。これらの変化は、規格化出力がΔk=0を最大として正負方向ともなだらかに低下するのに対し、ビームポインティングはΔkの変化に伴い一次的に線形変化する。
【0047】
この変化は、図3中に付記するように、CLBO結晶による7倍波発生において、ポインティングと位相不整合の関係は、Δθ7/Δk7≒0.12[mrad・cm]であることがわかる。また、図4中に付記するように、CLBO結晶による8倍波発生において、ポインティングと位相不整合の関係は、Δθ8/Δk8≒0.07[mrad・cm]であることがわかる。
【0048】
一方、Δk=1[cm-1]を発生させるのに必要な波長シフトについては、CLBO結晶を用いた7倍波発生(2ω+5ω→7ω)のプロセスでは、2倍波(2ω)の波長変化Δλ2=0.041[nm]が、Δk7=1[cm-1]に対応する。これを2倍波のもととなる基本波の波長変化に換算すると、基本波(ω)での波長変化Δλ1=0.082[nm]である。また、CLBO結晶を用いた8倍波発生(ω+7ω→8ω)のプロセスでは、基本波(ω)の波長変化Δλ1=0.086[nm]が、Δk8=1[cm-1]に対応する。
【0049】
まとめると、7倍波,8倍波ともに、Δk=1[cm-1]を与えることで100[μrad]程度のポインティングシフトを発生させることができ、Δk=1[cm-1]を発生させるには、基本波の波長λ1を約0.08[nm]変化させれば良いことが分かる。
【0050】
レーザ光源11〜13として用いるDFB半導体レーザの発振波長は、駆動電流Iを変化させると、これに伴ってわずかに変化する。この駆動電流Iの変化に対する発振波長λの変化の度合いは、DFB半導体レーザの型式等により異なるが、一般的に、Δλ/ΔI=0.015[nm/mA]程度である。従って、0.08[nm]程度の波長シフトを発生させるには、レーザ光源12,13の駆動電流を5[mA]程度変化させれば良い。なお、シード光発生時におけるDFB半導体レーザの駆動電流Iは、通常ではI=100[mA]程度であり、この程度の駆動電流変化は十分かつ高速で制御可能である。
【0051】
また、図3及び図4から、位相不整合量Δkを−1〜+1[cm-1]まで変化させ、これにより−100〜+100[μrad]の範囲でポインティングシフトを発生させたとしても、高調波出力は、Δk=0の最適位相整合状態に対して90%以上を確保でき、かつ、位相不整合Δkが−1[cm-1]のときと1[cm-1]のときとで、ほぼ同じ出力を得ることができる。従って、レーザ光源12,13の駆動電流を制御し、波長変換部30に入射する基本波の波長を制御することにより、波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を高速で任意方向に調整可能であることが理解される。
【0052】
このように、波長変換部30に入射する基本波の波長を変化させて位相不整合Δkを変化させる手法によれば、短波長の高調波領域と比較して、取り扱いが容易な基本波領域を利用して簡明な構成で上記効果を有する光源装置を提供することができる。
【0053】
次に、波長変換部30に入射する基本波の波長を変化させる具体的な手法について説明する。本構成形態では、レーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lpの波長を変化させることにより、波長変換部30に入射するパルス光Laの波長を変化させる二つの構成形態を例示する。第1構成形態のレーザ光発生部10の概要構成を図5に示す。なお、図5では、3系統からなるレーザ光発生部10のうち、代表例として第3系統のみを示している。
【0054】
レーザ光発生部10は、DFB半導体レーザからなりパルス状のシード光Ls(Ls3)を発生するレーザ光源13と、レーザ光源13により発生されたシード光Lsの一部を切り出して出射させる光変調器15とを備え、制御装置8に設けられたビーム制御装置80が、光変調器15による光パルスの切り出しタイミングを変化させることにより、レーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lp(Lp3)の波長を変化させるように構成される。そのため、光変調器15は、DFB半導体レーザ13の発振周波数よりも高速でオン/オフ動作可能な光学素子が用いられ、例えば、電気光学変調器(EOM)が用いられる。光変調器15は、制御装置8に設けられたビーム制御装置80によりレーザ光源(DFB半導体レーザ)13と同期制御される。
【0055】
ビーム制御装置80は、各部の作動を同期制御するための基準となるクロック81、クロック81を基準として所定間隔でトリガパルスを発生するトリガパルス発生器82、トリガパルス発生器82から入力されるトリガパルスに基づいて、DFB半導体レーザ(レーザ光源)13を駆動するレーザ駆動信号S13を生成するレーザ駆動信号生成部83、トリガパルス発生器82から入力されるトリガパルスを所定範囲で遅延させるトリガパルス遅延部84、トリガパルス遅延部84を介して入力されるトリガパルスに基づいて光変調器15を駆動するパルス変調信号S15を生成するパルス変調信号生成部85などから構成される。
【0056】
レーザ駆動信号生成部83は、トリガパルス発生器82から入力されるトリガパルスに応答してDFB半導体レーザ13を駆動するレーザ駆動信号S13を生成し、DFB半導体レーザ13に出力してパルス発振させる。レーザ駆動信号S13は、繰り返し周波数が数百[kHz]〜数[MHz]程度、パルス幅1〜20[nsec]程度のパルス信号である。パルス変調信号生成部85は、トリガパルス遅延部84を介してトリガパルス発生器82から入力されるトリガパルスに応答し、光変調器15を駆動するパルス変調信号S15を生成して光変調器15に出力する。パルス変調信号S15は、パルス幅がレーザ駆動信号S13よりも狭く、立ち上がりがレーザ駆動信号よりも所定時間遅延して出力される。
【0057】
図6は、レーザ駆動信号S13により発生されるシード光Lsの光パルスと、パルス変調信号S15による光変調器15の透過率Tとの関係を例示したものである。この実施例においては、繰り返し周波数1[MHz]、パルス幅10[nsec]で、強度変調をかけたレーザ駆動信号S13をDFB半導体レーザ13に出力し、図のようなレーザ駆動信号に比例したパルス波形のシード光Lsを発生させ、パルス幅が1[nsec]程度のパルス変調信号S15を光変調器15に出力し、図のように透過率Tを変化させてシード光Lsの一部を切り出す場合を例示する。なお、図6の縦軸は、シード光Lsに関しては光強度、光変調器15に関しては透過率を示し、パルス発振されるシード光Lsのひとつの光パルスについて各波形を示している。
【0058】
ここで、DFB半導体レーザ13は温度制御されており、本実施形態において発振波長はλ1=1.544[μm]を基準とした狭帯域化された光である。一方、既述したように、DFB半導体レーザ13は、駆動電流が変化すると発振波長がわずかに変化し、そのレートはΔλ/ΔI=0.015[nm/mA]程度である。そのため、DFB半導体レーザ13の駆動電流を5[mA]程度変化させれば、発振波長λ1を0.08[nm]程度シフトさせることができ、8倍波発生用の非線形光学結晶36でΔk8=1[cm-1]を与えることができる。
【0059】
第1構成形態のレーザ光発生部では、駆動電流I=100[mA]に対して、例えば±10%程度範囲で強度変調をかけたレーザ駆動信号S13によりDFB半導体レーザ13をパルス発振させ、トリガパルス遅延部84によりレーザ駆動信号S13に対するパルス変調信号S15の遅延時間、すなわち光パルスの切り出しタイミングを変化させることによりレーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lpの波長を変化させる。
【0060】
具体的には、駆動電流I=100[mA]で発振波長が1.544[μm](Δk8=0)となるようにDFB半導体レーザ13の温度を調整しておき、駆動電流Iが110から90[mA]に減少する傾斜パルス形状のレーザ駆動信号S13によりDFB半導体レーザ13を駆動する。そして、トリガパルス遅延部84により光パルスの切り出しタイミングを変化させ、例えば駆動電流I=95[mA]の部分の光パルスを切り出して、レーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lpの波長を変化させる。
【0061】
第2構成形態のレーザ光発生部では、中心的な駆動電流I=100[mA]に対し、駆動電流を直接制御する。すなわち、駆動電流I=100[mA]で発振波長が1.544[μm](Δk8=0)となるようにDFB半導体レーザ13の温度を調整しておき、オン時の駆動電流が一定(フラットトップ)の矩形パルス形状のレーザ駆動信号S13によりDFB半導体レーザ13を駆動する。そして、オン時の駆動電流Iを、例えば90〜110[mA]の範囲で直接制御することにより、レーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lpの波長を変化させる。
【0062】
以上は、DFB半導体レーザの駆動電流(励起強度)を変化させ、これにより発振波長を変化させる構成を説明したが、DFB半導体レーザの発振波長を直接変化させるように構成してもよい。例えば、レーザ光源12,13として、[μsec]〜[nsec]オーダーで高速に波長チューニング可能なDFB半導体レーザを用い、ビーム制御装置80が、DFB半導体レーザの発振波長を直接制御するように構成することができる。
【0063】
このような高速の波長チューニング可能なDFB半導体レーザとして、2つのDFB部と、その間に設けられた位相シフト部とを有し、位相シフト部に注入する電流を制御することにより発振波長を調整可能とした電流制御波長可変DFB半導体レーザが例示される。このような構成(第3構成形態)によれば、位相シフト部への注入電流を制御することでDFB半導体レーザの発振波長を直接、高速に制御することができる。
【0064】
以上説明したような構成によれば、数百[kHz]〜数[MHz]程度でパルス発振するDFB半導体レーザ(レーザ光源)の光パルス1パルス単位、すなわち[μsec]〜[nsec]オーダーで光源装置1から出射される紫外光Lvの出射光路を変化させることができる。
【0065】
次に、波長変換部30から出射される紫外光のビームポインティングを一定化させる光源装置の構成について図1を参照しながら説明する。この光源装置1は、波長変換部30の出力光軸上に設けられ、波長変換光学素子36から出射された紫外光Lvの一部を取り出す光学素子51と、取り出された紫外光Lvの光軸直行方向の位置を検出するビーム位置検出器55とからなるポインティング検出部50をさらに備えて構成され、ビーム制御装置80が、ビーム位置検出器55により検出された紫外光Lvの光軸直行方向の位置に応じて、レーザ光発生部10から出射するパルスシード光Lp(既述した実施形態においてLp2,Lp3)の波長を変化させ、波長変換部30から出射される紫外光の出射光路を一定化させる。
【0066】
光学素子51は、例えば部分反射鏡が用いられ、波長変換光学素子36から出射された紫外光Lvの0.1〜1%程度を反射して、ビーム位置検出器55に入射させる。ビーム位置検出器55は、入射された紫外光ビームの水平方向及び垂直方向の位置を検出し、水平方向及び垂直方向の検出信号(ビーム位置検出信号という)をビーム制御装置80に出力する。レーザ光のビーム位置を高速・高精度に検出する位置検出器は種々のものがあるが、例えば4分割されたフォトダイオードからなる位置検出器が例示される。
【0067】
ビーム制御装置80は、ビーム位置検出器55から入力されるビーム位置検出信号に基づいて、波長変換光学素子36から出射された紫外光Lvのポインティング変化を算出し、これを補正するようにパルスシード光Lpの波長を変化させて、波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を一定化させる。
【0068】
例えば、ビーム位置検出器55から入力される位置検出信号により、出力ビームのポインティングが水平方向に100[μrad]変動したと判断されるとき、ビーム制御装置80は、DFB半導体レーザ13の駆動電流を5[mA]程度変化させて出力ビームに逆方向に100[μrad]のポインティングシフトを発生させ、波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を一定化させる。同様に、位置検出信号から算出される出力ビームのポインティングが垂直方向に50[μrad]変動したと判断されるとき、ビーム制御装置80は、DFB半導体レーザ12の駆動電流を2.5[mA]程度変化させて逆方向に50[μrad]のポインティングシフトを発生させ、波長変換部30から出射される紫外光Lvの出射光路を一定化させる。
【0069】
このような構成によれば、波長変換光学素子36から出射される紫外光のポインティング変動が高速でフィードバック制御され、出力光の出射光路が一定化されるため、ポインティングの安定性が高い光源装置を提供することができる。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、レーザ光発生部から出射される基本波の波長をλ=1.544[μm]とし、8倍波であるλ=193[nm]の紫外光を発生させる場合について例示したが、本発明は、波長変換部30に、直行方向にウォークオフを生じる二つの非線形光学結晶が直列に配置される構成を含むものであればよく、波長変換部に入射するパルス光Laの波長や波長変換部30から出射される出力光の波長、当該波長に変換するための波長変換部30の具体的な構成等は、適宜に構成し同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0071】
I 第3レーザ出力部
II 第1レーザ出力部
III 第2レーザ出力部
1 光源装置
8 制御装置
10 レーザ光発生部
11,12,13 レーザ光源
15,16,17 光変調器
20 光増幅部
21,22,23 ファイバー光増幅器
30 波長変換部(第1波長変換部、第2波長変換部)
31〜36 波長変換光学素子(35:第1非線形光学結晶、36:第2非線形光学結晶)
50 ポインティング検出部
51 ビーム位置検出器
80 ビーム制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々レーザ光を出射する第1レーザ出力部及び第2レーザ出力部と、
第1非線形光学結晶が第1の角度方向にウォークオフを生じる配置の角度位相整合で用いられ、前記第1レーザ出力部から出射されたレーザ光及び前記第2レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくとも一方のレーザ光が入射して波長変換される第1波長変換部と、
第2非線形光学結晶が前記第1の角度方向と直交する角度方向にウォークオフを生じる配置の角度位相整合で用いられ、前記第1波長変換部から出射されたレーザ光及び他方のレーザ光が入射して波長変換される第2波長変換部と、
前記第1非線形光学結晶における位相整合状態及び前記第2非線形光学結晶における位相整合状態の少なくともいずれかを変化させ、位相不整合量に応じてビームポインティングを変化させることにより、前記第2波長変換部から出射されるレーザ光の出射光路を変化させるビーム制御装置とを備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記ビーム制御装置は、前記第1レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長及び前記第2レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長の少なくともいずれかを変化させることにより、前記第1、第2非線形光学結晶における位相不整合量を変化させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1及び第2レーザ出力部の少なくともいずれかは、パルス発振するレーザ光源と、前記レーザ光源により発生されたパルス状のレーザ光の一部を切り出して出射させる光変調器とを備え、
前記ビーム制御装置が、前記光変調器による切り出しタイミングを変化させることにより、出射されるレーザ光の波長を変化させるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
レーザ光を出射する第3レーザ出力部をさらに備えるとともに、前記第1、第2、第3レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくともいずれかが前記第1波長変換部に入射され、
前記第1波長変換部から出射されたレーザ光及び前記第1、第2、第3レーザ出力部から出射されたレーザ光の少なくとも他のいずれかが前記第2波長変換部に入射され、
前記ビーム制御装置は、前記第1、第2、第3レーザ出力部から出射されるレーザ光の波長の少なくともいずれか二つを変化させることにより、前記第1、第2非線形光学結晶における位相不整合量を変化させ、前記第2波長変換部から出射されるレーザ光の出射光路を光軸に直行する任意方向に調整可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第2波長変換部から出射されたレーザ光の光軸直行方向の位置を検出するビーム位置検出器を備え、
前記ビーム制御装置が、前記ビーム位置検出器により検出されたレーザ光の光軸直行方向位置に基づいてレーザ光の出射光路を調整するように構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−145493(P2011−145493A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6264(P2010−6264)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】