説明

光線力学療法のための結合体

細菌、ウイルス、および他の病原性微生物、腫瘍および過剰増殖性組織を含むがこれらに限定されない、特定の望ましくない生物学的物質標的の光線力学療法による、検出、診断、および治療のための結合体、キット、製造物品、および方法が本明細書で提供される。特に、提供される結合体は、標的部分および消光剤に連結されたフルオロフォアまたは光増感剤を、フルオロフォアまたは光増感剤の活性化が、標的部分が標的に結合しない限りクエンチされ、消光剤が光増感剤から解離または離れて移動するとすぐに、適切な波長の光を用いる照射に際して光増感剤の活性化を可能にするような方法で含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
「SINGLET OXYGEN PHOTOSENSITIZERS ACTIVATED BY TARGET BINDING ENHANCING THE SELECTIVITY OF TARGETED PDT AGENTS」という表題の、Pallenbergらへの、2003年9月23日に出願された米国仮特許出願第60/506,378号への優先権の利益が、米国特許法第119条(e)の下で主張される。上記に引用された出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
腫瘍、過剰増殖性組織、または他の望ましくない生物学的構造を検出または破壊する目的のために、蛍光検出または光線力学療法の作用を増強するための組成物およびそのための組成物を作製する方法が本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
光線力学療法(「PDT」)は、腫瘍および過剰増殖性組織の破壊のための治療方法である。PDTは、光増感剤の投与後に悪性組織および過剰増殖性組織中での光増感剤の蓄積に基づく。適切な波長の光を用いる引き続く照射が、腫瘍破壊を生じる光化学的反応、いわゆる光力学効果(例えば、一重項酸素を生じる光化学反応)を引き起こす。
【0004】
光線力学療法は、癌細胞などの異常な組織を破壊する際に有効である。この療法において、特徴的な光吸収波帯を有する光反応剤は、代表的には、経口的にまたは注射によってのいずれかで、最初に患者に投与される。身体中での異常な組織または過剰増殖性組織は、正常組織よりも、はるかに高い程度まで特定の光反応剤を選択的に吸収することが知られており、例えば、膵臓および結腸の腫瘍は、正常組織と比較して、2〜3倍の体積のこれらの光反応剤を吸収し得る。
【0005】
ポルフィリンおよび関連するテトラポルフィリン化合物などの光増感剤は、正常組織におけるよりもはるかにより高い濃度で、悪性腫瘍および過剰増殖性血管などの他の過剰増殖性組織を含む、異常な組織に局在する傾向があり、これらは、光線力学療法(PDT)による種々の型の癌および他の過剰増殖性組織の治療のためのツールとして有用である(非特許文献1、参照として本明細書に援用される)。腫瘍および過剰増殖性組織の治療のために認可された多くのポルフィリンベースの光増感剤は、正常組織からゆっくりと取り除かれ、それゆえに、患者は、非標的組織における光増感剤の望ましくない活性を最小化するために、治療後にかなりの時間の間、日光への露出を回避しなくてはならない。光力学的治療は有効であるが、例えば、必要とされる投薬量および非標的組織における不注意活性化から生じる望ましくない副作用が存在する。従って、この治療の標的化および送達を改善する必要性が存在する。それゆえに、本明細書中の目的の間で、光線力学療法の標的化および送達のための方法および組成物を提供することが目的である。
【非特許文献1】T.J.Dougherty,C.J.Gomer,B.W.Henderson,G.Jori,D.Kessel,M.Korbelik,J.Moan,Q.Peng,J.Natl.Cancer Inst. 90、1998年、p.889
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
光線力学療法の標的化および送達のため、および画像化のための方法および結合体が提供される。この結合体は、それらが、標的とされた組織または細胞などの標的と相互作用するまで不活性であるように、標的化および設計される。この結合体は、光線力学療法および画像化の方法において、および光発生剤の標的化された送達が利用される任意の方法において使用される。結合体が使用または投与される方法、例えば、顕微鏡学、酵素学、臨床化学、分子生物学、および医学、および他のこのような適用におけるプローブなどもまた、提供される。結合体はまた、光線力学療法などの様式における治療剤、および蛍光イムノアッセイ、蛍光インビボ画像化および磁気共鳴画像化などの画像化方法における診断剤である。
【0007】
本明細書において提供される結合体は、フルオロフォアまたは光増感剤などのドナー部分、消光剤などのアクセプター部分、および標的部分を含む。この結合体は、フルオロフォアまたは光増感剤などのドナーの活性化が、標的部分が標的に結合しない限り、および標的部分が標的に結合するまでクエンチされるような方法で、標的部分および消光剤などのアクセプター部分に連結された、フルオロフォア、光増感剤、および他のこのような剤などのドナーを含む。標的への結合に際して、消光剤などのアクセプター部分は、光増感剤などのドナー剤を解離するか、またはこれらのドナー剤から離れて移動し、それによってドナーが活性化されるか、または活性である。例えば、光増感剤を含む結合体については、標的への結合が、適切な波長の光を用いる照射に際して光増感剤の活性化を生じる。
【0008】
光増感剤および消光剤が、エステル結合、アミド結合、またはスルホンアミド結合を使用して、アミノもしくはヒドロキシ脂肪酸またはスルホン酸と連結する連結成分を含む、光増感剤および消光剤を含む結合体もまた、提供される。
【0009】
光増感剤および消光剤が、連結成分としてオリゴヌクレオチドを含み、このオリゴヌクレオチドが、標的の非存在下でこのオリゴヌクレオチドに1つの立体構造を導入させる、互いに相補的な領域の少なくとも1つの対とともに、所望の標的への結合のための特異的配列を含み、クエンチンク剤が光増感剤を不活性にするために、その光増感剤に対して十分に近傍にあり、ここで、標的への標的特異的配列の結合がこの立体構造を破壊し、適切な波長の光を用いる照射に際して、この光増感剤が活性になる、光増感剤および消光剤を含む結合体もまた、提供される。
【0010】
光増感剤がポルフィリンまたはポルフィリン誘導体であるテトラピロールを含み、かつその中心配位キャビティーに生理学的に受容可能な金属原子を有し、1個以上の適切な官能基が、光増感剤中に配位された金属のアキシアル位に効率的に配位する消光剤上に、またはその近傍に位置し;そして標的部分は、標的の存在が金属に対して軸方向のリガンドの結合を破壊するような方法で配置され、消光剤を遊離させ、かつ蛍光または光増感剤を活性にする、光増感剤および消光剤を含む結合体もまた、提供される。
【0011】
光増感剤および消光剤が、光増感剤の活性化が、標的部分が標的に結合しない限りクエンチされるような方法で、相互作用を許容するエネルギー移動立体構造に配置され;そして標的部分は、標的への標的部分の結合の際に、消光剤が光増感剤との相互作用を許容するエネルギー移動立体構造から置き換えられ、適切な波長の光を用いる照射に際して光増感剤の活性化を可能にする、標的部分および消光剤に連結された光増感剤を含む結合体もまた、提供される。
【0012】
その中心配位キャビティーに生理学的に受容可能な金属原子を含むテトラピロールまたはテトラピロールである誘導体光増感剤;光増感剤中に配位された金属の軸方向の位置に配位し、かつ光増感剤とのエネルギー移動立体構造に消光剤を配置し、その結果、光増感剤の活性化がクエンチされる1個以上の適切な官能基を含む消光剤;および標的への標的部分の結合が、金属への消光剤の軸方向リガンドの結合を破壊し、消光剤を遊離させ、そして適切な波長の光を用いる照射の際に光増感剤の活性化を可能にする標的部分を含む結合体もまた、提供される。
【0013】
標的組織または標的組成物を検出するための方法もまた提供される。さらに、本明細書に提供される結合体を使用する光線力学療法のための方法が本明細書で提供される。本明細書で提供される結合体を使用する過剰増殖性組織を検出するための方法もまた、本明細書で提供される。
【0014】
過剰増殖性組織および新生血管系組織を含む、標的組成物または標的組織の治療のための、本明細書に提供される結合体の使用もまた、提供される。
【0015】
被験体における過剰増殖性組織の存在を検出するための方法もまた、本明細書で適用される。患者における過剰増殖性障害を診断する方法もまた、提供される。さらに、患者における感染因子を診断する方法が提供される。
【0016】
被験体における標的組織の画像を生成する方法もまた、本明細書で提供される。さらに、過剰増殖性障害を処置するためのキットが提供される。診断的分析のための特異的組織を標識するためのキットもまた、提供される。さらに、本明細書に提供される任意の結合体および光源を含む組み合わせが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(詳細な説明)
(A.定義)
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。すべての特許、特許出願、公開特許、および刊行物、Genbank配列、データベース、ウェブサイト、および本明細書での全体の開示を通して引用される他の公開された資料は、他に注記されない限り、それらの全体が参照として援用される。本明細書における用語についての複数の定義が存在する事象において、本節におけるものが優先する。参照が、URLまたは他のこのような識別子またはアドレスに対してなされる場合、このような識別子は変化し得、インターネット上での特定の情報は現れてはすぐ消え得るが、等価な情報がインターネットを検索することによって見い出され得ることが理解される。そこへの参照は、このような情報の利用可能性および公的な流布を証明する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「光線力学療法」とは、それによって特定の波長の光が、光反応剤または光増感剤の投与を通して光感受性にされた、治療または研究を受ける組織に指向されるプロセスを意味する。その目的は、光の波長が光反応剤に蛍光を発生させるように選択され、従って、組織に損傷を与えることなく組織に関する情報を生じる場合に診断的であり得るか、または治療下で標的組織に送達される光の波長が、一重項酸素などの高エネルギー種を生じる、治療下で組織中の酸素との光化学的相互作用を、光反応剤が受けて、局所的な組織の溶解または破壊を引き起こす場合に治療的であり得るかのいずれかである。van Lierの方法(Photobiological Techniques 216:85−98(Valenzoら編、1991))は、一重項酸素を効率的に生成する任意の所定の組成物の能力を確認するために使用され得、従って、それを光線力学療法における使用のための良好な候補にする。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「光増感剤」または「光増感因子」は、光活性化する光に対する曝露の際に活性化され、光増感剤それ自体またはいくつかの他の種が細胞毒性種に転換され、それによって標的細胞が殺傷されるか、またはそれらの増殖性潜在能力が減少する、化学化合物を意味する。従って、光増感剤は、直接的または間接的に、種々のメカニズムによってそれらの効果を発揮し得る。例えば、特定の光増感剤は、光によって活性化された際に直接的に毒性になるのに対し、他の光増感剤は、毒性種、例えば、一重項酸素または酸素由来のフリーラジカルなどの酸化剤を生成するように作用し、これらは、脂質、タンパク質、および核酸などの細胞材料および生体分子に対して極度に破壊的である。ソラレンは、直接的に作用する光増感剤の例である;光への曝露に際して、それらは、二本鎖のDNA分子間で付加物および架橋を形成し、それによってDNA合成を阻害する。ポルフィリンは、毒性酸素種の生成によって間接的に作用する光増感剤の例である。光活性化する光への曝露に際して、細胞毒性型に転換されるか、または細胞毒性型を生じる実質的に任意の化学化合物が、本発明において使用され得る。一般的に、化学化合物は、それが投与される動物に対して非毒性であるか、または非毒性組成物中で製剤化が可能であり、その光分解型である化学化合物もまた、非毒性である。代表的な光増感剤化学物質の一覧は、Kreimer−Bimbaurn,Sem.Hematol.26:157−73,1989において見い出され得る。
【0020】
光感受性化合物には、非限定的に、クロリン、バクテリオクロリン、フタロシアニン、ポルフィリン、プルプリンイミド、フェオフォルビド、ピロフェオフォルビド、メロシアニン、ソラレン、ベンゾポルフィリン誘導体(BPD)、タラポルフィン(talaporfin)ナトリウム、およびポルフィマーナトリウム、およびプロトポルフィリンなどの薬物を産生し得る、デルタアミノレブリン酸などのプロドラッグが含まれる。他の化合物には、ヨードシアニングリーン;メチレンブルー;トルイジンブルー;テキサフィリン;および400nm〜1200nmの範囲で光を吸収する任意の他の剤が含まれる。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「テトラピロール」とは、以下の一般構造:
【0022】
【化1】

を有する、4つのピロール環を含む大環状化合物を意味し、ここで、点線は、示される結合が飽和であるかまたは不飽和であってもよいことを意味し、そして環の任意の原子は飽和であるかまたは不飽和であってもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「ポルフィリン」とは、代表的には4つのピロール環から構成される環状構造をいい、ポルフィリンまたはポルフィリン誘導体をいう。このような誘導体には、ポルフィリン核に、オルトで縮合し、またはオルトで周囲と縮合した(perifused)余分な環を有するポルフィリン、別のエレメントの原子によるポルフィリン環の1つ以上の炭素原子の置換(骨格置換)を有するポルフィリン、別の元素の原子によるポルフィリン環の窒素原子の置換(窒素の骨格置換)を有する誘導体、ポルフィリンの末梢(メソ−、 −)またはコア原子に局在する水素以外の置換基を有する誘導体、ポルフィリンの1つ以上の結合の飽和を有する誘導体(ヒドロポルフィリン、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、コルフィン、ピロコルフィンなど)、1つ以上のポルフィリン原子への1つ以上の金属の配位によって得られる誘導体(金属ポルフィリン)、ポルフィリン間に挿入されたピロール単位およびピロメテニル単位を含む、1つ以上の原子を有する誘導体(拡張ポルフィリン)、ポルフィリン環から除去された1つ以上の基を有する誘導体(縮小ポルフィリン、例えば、コリン、コロール)、ならびに前述の誘導体の組み合わせ(例えば、フタロシアニン、ポルフィラジン、ナフタロシアニン、サブナフタロシアニン、およびポルフィリン異性体)が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「クロリン」とは、代表的には、1つの部分的に飽和したピロール環、例えば、クロロフィルの基本発色団などを有する4個のピロール環から構成される環状構造を有するポルフィリン誘導体のクラスをいう。
【0025】
本明細書で使用される場合、「バクテリオクロリン」とは、代表的には、2つの部分的に飽和した非隣接(すなわち、トランス)ピロール環を有する4個のピロール環から構成される環状構造を有するポルフィリン誘導体のクラスをいい、「イソバクテリオクロリン」には、代表的には、2つの部分的に飽和した隣接(すなわち、シス)ピロール環を有する4個のピロール環から構成される環状構造を有するポルフィリン誘導体が含まれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「分子」とは、任意の分子的実体をいい、かつ有機低分子、バイオポリマー、生体分子、高分子またはその成分または前駆体、例えば、ペプチド、タンパク質、有機化合物、オリゴヌクレオチドまたはペプチドのモノマー単位、有機物、核酸、および他の高分子を含むがこれらに限定されない。モノマー単位とは、得られる化合物がそこから構築される構成要素の1つをいう。従って、モノマー単位には、ヌクレオチド、アミノ酸、およびファーマコフォアが含まれ、そこから有機小分子が合成される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「生体分子」とは、天然に存在する任意の分子、またはその誘導体である。生体分子には、バイオポリマーおよび高分子、および生きている生物およびウイルスから単離され得るすべての分子が含まれ細胞、組織、プリオン、動物、植物、ウイルス、細菌、プリオン、および他の生物が含まれるがこれらに限定されない。生体分子にはまた、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、ステロイド、ペプチド核酸(PNA)、オリゴ糖、およびモノサッカリド、有機分子、例えば、酵素コファクター、金属錯体、例えば、ヘム、鉄硫黄クラスター、ポルフィリンおよびその金属錯体、金属、例えば、銅、モリブデン、亜鉛などが含まれるがこれらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、「高分子」とは、数百から数百万までの分子量を有する任意の分子をいう。高分子には、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、核酸、炭水化物、および生物学的有機体によって一般的に合成される他のこのような分子が含まれるがこれらに限定されないが、合成的にまたは組換え分子生物学方法を使用して調製され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「バイオポリマー」とは、1つの結合または1つの高分子によって連結される、2つ以上のモノマー単位、またはその誘導体からなる高分子を含む生体分子をいう。バイオポリマーは、例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、炭水化物、または脂質、またはその誘導体もしくは組み合わせ、例えば、ペプチド核酸部分または糖タンパク質を含む核酸分子であり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ドナー分子」とは、それ自体から別の分子にエネルギーを導くかまたは移動することが可能である化学化合物または生物学的化合物をいう。移動されるエネルギーは、電子、光子、または蛍光の共鳴エネルギーを含み得るがこれらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アクセプター分子」とは、別の分子からエネルギーを受け取りまたは受容することが可能である化学化合物または生物学的化合物をいう。移動されるエネルギーは、電子、光子、または蛍光の共鳴エネルギーを含み得るがこれらに限定されない。エネルギー移動メカニズムによるドナー分子からのアクセプター分子によるエネルギーの受容は、ドナー分子の見かけのエネルギーの減少を生じる。ドナー分子からアクセプター分子へのエネルギー移動は、共鳴双極子誘導性双極子相互作用、電子伝達、または電荷移動を含むがこれらに限定されない多数のメカニズムによって生じ得る。電子伝達は、非常に短い距離に対してのみ(代表的には、200nm未満)で起こり、それゆえに、ドナー分子およびアクセプター分子は、そのように非常に近接している必要がある。
【0032】
本明細書で使用される場合、「蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)」とは、ドナー分子とアクセプター分子との間の非放射性エネルギー移動をいう。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、1つのフルオロフォア(アクセプター)が、電子的に励起された第2のフルオロフォア(ドナー)からのエネルギーの受け取りとの量子機構の共役を通して励起された電子状態に促進され得る、当該分野で認識されているプロセスである。FRETが効率的に起こるためには、ドナーとアクセプターの間の吸収スペクトルおよび発光スペクトルは、一般的に重複しなくてはならない。ドナー/アクセプター対は、それらのスペクトルの重複特性によって特徴付けられる。ドナーの発光スペクトルは、アクセプターの吸収スペクトルと重複しなくてはならない。重複の程度は、エネルギー移動の効率を決定する。重複の程度はまた、ドナー分子とアクセプター分子の間の最適の距離を決定する。スペクトルの重複が大きい場合、移動が効率的であり、それゆえにこれは長い距離にわたって起こり得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「蛍光」とは、1つの波長(励起)における照射の吸収によって引き起こされ、続いて、入射光が停止するときにほぼすぐに停止する、通常異なる波長におけるほぼ即時の再放射(発光)する光の発光をいう。分子レベルにおいて、蛍光は、フルオロフォアとして知られる特定の化合物が、基底状態から、光エネルギーによるより高い励起の状態に置かれ;分子がそれらの基底状態に戻るにつれて、これらは、代表的には、異なる波長で光を発光する(Lakowicz,J.R.,「Principles of Fluorescence Spectroscopy」(Plenum Press,NY,(1983));Herman,B.,「Resonance Energy Transfer Microscopy」:Fluorescence Microscopy of Living Cells in Culture,Part B,Methods in Cell Biology,第30巻,(Taylor,D.L.およびWang,Y.−L.編(Academic Press,San Diego(1989),219−243頁)。
【0034】
本明細書で使用される場合、「発色団」とは、好ましい吸収特性を有する、すなわち、種々の光子の供給源のいずれかによる照射の際に励起が可能である基をいう。発色団は、蛍光性または非蛍光性であり得る。非蛍光性発色団は、代表的には、光子エネルギーの型のエネルギーを放射しない。非蛍光性発色団は、吸収される光子エネルギーに対する放射される光子エネルギーの比率、代表的には0.01未満である低い量子収率を有すると特徴付けられ得る。
【0035】
本明細書で使用される場合、「フルオロフォア」とは、蛍光性発色団などの蛍光化合物をいう。蛍光は、光が照射の吸収後に化合物から放射される物理的プロセスである。一般に、放射される光は、その吸収される光よりもエネルギーが低く、波長が長い。フルオロフォアは、蛍光を発し、および/または蛍光シグナルを生成可能である分子または部分である。特に、フルオロフォアは、光子などのエネルギーを吸収可能であり、およびエネルギーを再放射可能である。フルオロフォアは、代表的には、0.01〜1の高い量子収率まで、中間の光子エネルギーを放射する。時折、フルオロフォアのエネルギーは、フルオロフォアによって吸収されたものよりも通常長い波長の放射として再放射され(すなわち、蛍光)、および時折、フルオロフォアのエネルギーの再放射の時間の遅延が存在する(すなわち、リン光)。時折、フルオロフォアのエネルギーは、無放射性プロセスを通して別の分子に移動され得る(すなわち、FRET)。
【0036】
本明細書で使用される場合、「励起」とは、分子のエネルギーの増加およびより高いエネルギー状態への遷移を生じる分子による放射の吸収をいう。
【0037】
本明細書で使用される場合、「放射」とは、分子のエネルギーの減少およびより低いエネルギー状態の遷移を生じる分子によるエネルギーの光子の放射をいう。
【0038】
本明細書で使用される場合、「エネルギー移動」とは、分子がより低いエネルギー状態へのエネルギー遷移を放射し、一方第2の分子がより高いエネルギー状態への第1の分子の遷移によって放射されるエネルギーを吸収するような、分子間のエネルギーの移動をいう。
【0039】
本明細書で使用される場合、「クエンチング基」または「消光剤」とは、蛍光基によって放射される光を少なくとも部分的に減弱し得る、本明細書の任意の蛍光修飾基をいう。本明細書で使用される場合、「クエンチング」とは、所定の蛍光プロセスの量子収率の減少を生じる任意のプロセスをいう。それゆえに、クエンチング基の存在下での蛍光基の照射は、予測されるよりも低い、または完全に存在しないさえの強度である発光シグナルをもたらす。クエンチングは、代表的には、蛍光基とクエンチング基の間のエネルギー移動を通して起こる。クエンチング基は、ドナー分子のエネルギーの移動を受容する能力を有するが、有意な発光を有さない。クエンチング基は、励起されたアクセプターから離れてエネルギーポテンシャルを引き出すように構成され、その結果、アクセプターが発光しないアクセプター分子を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「EDANS」とは、フルオロフォア5−((2−アミノエチル)−アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸をいう。
【0041】
本明細書で使用される場合、「DABCYL」とは、アクセプター発色団4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸をいう。本明細書で使用される場合、「DABSYL」とは、アクセプター発色団4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸をいう。
【0042】
本明細書で使用される場合、「エネルギー移動」とは、それによって蛍光基の蛍光発光が蛍光修飾基によって変化されるプロセスをいう。蛍光修飾基がクエンチング基であるならば、蛍光基からの蛍光発光は、減弱または除去される。エネルギー移動は、蛍光共鳴エネルギー移動を通して、または直接的なエネルギー移動を通して起こり得る。これらの2つの場合における正確なエネルギー移動メカニズムは異なる。本願におけるエネルギー移動に対する任意の参照は、これらのメカニズム的に独特な現象のすべてを含むことが理解される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「エネルギー移動対」とは、エネルギー移動に関与する任意の2つの分子をいう。代表的には、分子の1つが蛍光基として作用し、他方が蛍光修飾基として作用する。1つの実施形態において、このエネルギー移動対は、フルオロフォアおよびクエンチング基を含む。別の実施形態において、このエネルギー移動対は、光増感剤および消光剤を含む。本願においてエネルギー対の個々のメンバーの同一性に対して制限が存在する。必要とされるすべてのものは、個々のメンバー間の距離がある臨界量によって変化される場合に、ある測定可能な方法における全体の変化としての、エネルギー移動対のスペクトル測定特性である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「蛍光修飾基」とは、蛍光基からの蛍光発光を何らかの方法において変化させ得る分子をいう。蛍光修飾基は、一般的に、エネルギー移動メカニズムを通してこれを達成する。蛍光修飾基の同一性に依存して、蛍光発光は、多数の変化を受け得、これには、減弱、完全なクエンチング、増強、波長のシフト、極性のシフト、および蛍光半減期の変化が含まれるがこれらに限定されない。蛍光修飾基の1つの例はクエンチング基である。蛍光修飾基がクエンチング基である場合、このクエンチング基は、通常、光として、吸収される光の実質的部分を放射せず、熱としてこれを一般的に散逸する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「配位キャビティー」または「配位ポケット」とは、金属に結合するリガンドの相互作用によって形成されるキレート化金属複合体の空間的配置をいう。例えば、ポルフィリン系において、配位キャビティーは、大環状化合物における「穴」であり、そのサイズは、一般的に、4個の窒素原子の中心から中点までの距離として定義される。
【0046】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、疾患または障害の症状の1つ以上が改善されるか、またはさもなくば有利に変化される任意の様式を意味する。治療はまた、本明細書の結合体の任意の薬学的な使用、例えば、過剰増殖性組織もしくは新血管形成が媒介する疾患もしくは障害、または過剰増殖性組織もしくは新血管形成が関連する疾患もしくは障害を処置するための使用を含む。
【0047】
本明細書で使用される場合、特定の化合物または薬学的組成物の投与による、特定の障害の「症状の改善」とは、組成物の投与に寄与し得るか、またはそれに付随し得る、永続的または一時的、続くかまたは一過性のいずれかである、任意の減少をいう。
【0048】
本明細書で使用される場合、「抗体および抗体フラグメント」とは、免疫複合体を形成するために抗原に特異的に結合する、免疫グロブリンまたはそのフラグメントを一般的にいう。抗体は、任意のクラスの全体の免疫グロブリン、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、二重または多重の抗原またはエピトープ特異性を有するキメラ抗体またはハイブリッド抗体であり得る。これは、ポリクローナル抗体、例えば、ヒトまたは適切な動物、例えば、霊長類、ヤギ、ウサギ、マウスなどからのアフィニティー精製された抗体であり得る。モノクローナル抗体はまた、本明細書における使用のために適切であり、それらの高い特異性のために有用である。これらは、免疫原性抗原調製、免疫リンパまたは脾臓細胞の不死化ミエローマ細胞株との融合、および特異的ハイブリドーマクローンの単離を含む、現在、哺乳動物の免疫の従来的な手順と見なされているものによって容易に調製される。モノクローナル抗体を調製する、より従来的ではない方法は、種間の融合および超可変領域の遺伝子工学操作を除外しない。なぜなら、それらの有用性に影響を与えるものは、主として、抗体の抗原特異性であるからである。モノクローナルの産生のためのより新規な技術、例えば、ヒトモノクローナル、種間モノクローナル、キメラ(例えば、ヒト/マウス)モノクローナル、遺伝子操作された抗体などもまた使用され得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」とは新生物を意味し、良性および悪性の両方の腫瘍を含む、この用語は特に、固形腫瘍(例えば、乳癌、肝癌、または前立腺癌)または非固形癌(例えば、白血病)のいずれかであり得る悪性腫瘍を含む。腫瘍はまた、サブタイプ、例えば、腺癌(例えば、乳癌、肝癌、または前立腺癌の腺癌)にさらに分けられ得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「標的」は、本明細書に提供される方法によって検出、診断、損傷、または破壊されることが意図される対象を意味し、標的細胞、標的組織、および標的組成物を含む。「標的組織」および「標的細胞」は、本明細書で使用される場合、この治療方法によって損傷または破壊されることが意図される組織である。光増感剤化合物はこれらの標的組織または標的細胞に結合し;次いで光増感剤を活性化するために適切な照射が適用されるとき、これらの組織または細胞は損傷または破壊される。標的細胞は標的組織中の細胞であり、そして標的組織は、血管内皮組織、腫瘍の異常な血管壁、固形腫瘍、例えば(しかしこれらに限定されない)、頭部または頸部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、造血組織およびリンパ組織の非固形腫瘍および悪性細胞、新生血管系組織、血管系における他の損傷、骨髄、ならびに自己免疫疾患に関連する組織または細胞を含むがこれらに限定されない。標的細胞の間には、非標的細胞と比較して実質的により迅速な分裂を受ける細胞もまた含まれる。
【0051】
「非標的組織」とは、本明細書で使用される場合、治療方法によって損傷または破壊されることが意図されない被験体のすべての組織である。これらの非標的組織は、さもなくば標的とされると同定されない、健常な血液細胞、および他の正常な細胞を含むがこれらに限定されない。
【0052】
「標的組成物」とは、本明細書で使用される場合、この治療方法によって損傷または破壊されることが意図される組成物であり、細菌、ウイルス、真菌、原生生物、および毒素、ならびにそれによって感染または浸潤された細胞および組織を含むがこれらに限定されない、1つ以上の病原性因子を含み得る。用語「標的組成物」はまた、損傷または破壊されることが意図される有機標的として選択的かつ特異的に同定され得る、プリオン、毒素、ペプチド、ポリマー、および他の化合物などの感染性有機粒子を含むがこれらに限定されない。
【0053】
「過剰増殖性組織」は、本明細書で使用される場合、制御不能に増殖しかつ新生物組織、腫瘍、および抑制されない血管増殖、例えば、加齢性黄斑変性において見い出されおよび緑内障手術後にしばしば起こる血管増殖などを含む組織を意味する。
【0054】
「過剰増殖性障害」は、本明細書で使用される場合、不規則なまたは異常な細胞増殖によって引き起こされる、根底にある病理として過剰の細胞増殖を共有する状態を意味し、制御されない血管形成を含む。このような過剰増殖性障害の例には、癌または癌腫、腫瘍、急性および膜性増殖性糸球体腎炎、骨髄腫、乾癬、アテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、黄斑変性、角膜新血管形成、脈絡膜血管腫、翼状片(pterygii)の再発、ならびにエキシマレーザー手術および緑内障フィルタリング手術からの瘢痕が含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」とは、天然または天然でないアミノ酸をいう。アミノ酸には、4−アミノ酪酸、6−アミノ−ヘキサン酸、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン、3−シクロヘキシル−アラニン、シトルリン、システイン、2,4−ジアミノ酪酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ナフチルアラニン、ノルロイシン、オルニチン、フェニルアラニン、4−ハロゲノ−フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、3−(2−ピリジル)−アラニン、セリン、チエニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンが含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
「治療有効用量」または「治療的に有用な量」とは、本明細書で使用される場合、進行を妨害するため、もしくは疾患の回帰を引き起こすために十分であるか、または疾患によって引き起こされる症状を軽減することが可能である用量である。
【0057】
「薬学的剤」または「薬物」とは、被験体に適切に投与されたときに、所望の治療的または予防的効果を誘導することが可能である化学化合物または組成物をいう。
【0058】
関連する場合、化学化合物は、(+)および(−)のいずれかのエナンチオマー、ならびにラセミ混合物を含む。
【0059】
「照射する」および「照射」は、本明細書で使用される場合、被験体をすべての波長の光に曝露することを含む。照射する波長は、光増感剤を励起する光の波長を誘導するように選択される。ある実施形態において、照射波長は、光増感剤の励起波長に一致するように選択され、血液タンパク質を含む、被験体の非標的組織による低い吸収を有する。
【0060】
照射はさらに、そのコヒーレンス(レーザー)または非コヒーレンス(非レーザー)、ならびに光増感剤化合物を使用する投薬に関する、強度、期間、およびタイミングによって本明細書で定義される。期間または総流束量用量は、標的組織に対して作用するために十分な光増感剤化合物を光活性化するために十分でなくてはならない。弾かし増感剤化合物を投薬することに関するタイミングは重要である。なぜなら、1)投与される光増感剤化合物は、標的組織に入るためにある程度の時間を必要とし、および2)多くの光増感剤化合物の血中レベルは、時間とともに減少するからである。照射エネルギーは、被験体に対して外部であり、または被験体中に移植され、または例えば、カテーテル、光ファイバー、またはカプセル型もしくは丸薬型である抗原を摂取すること(例えば、米国特許第6,273,904号(2001)に開示される)などによって被験体に導入される、レーザーまたは冷陰極光源などのエネルギー源によって提供される。
【0061】
本明細書の1つの実施形態は、腫瘍を破壊するためにPDTを投与するためのの光エネルギーの使用に及ぶが、他の型のエネルギーは、当業者によって理解されるように、本発明の範囲内にある。このようなエネルギーの型には以下が含まれるがこれらに限定されない:熱的、音波的、超音波的、化学的、電磁放射、機械的、および電気的。例えば、音響力学的に誘導または活性化される剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:ガリウムポルフィリン複合体(Yumitaら、Cancer Letters 112:79−86(1997)を参照のこと)、他のポルフィリン複合体、例えば、プロトプルフィリンおよびヘマトポルフィリン(Umemuraら、Ultrasonics Sonochemistry 3:S187−S191(1996)を参照のこと);超音波治療の存在下で使用される他の制癌剤、例えば、ダウホルビシンおよびアドリアマイシン(Yumitaら、Japan J.Hyperthermic Oncology 3(2):175−182(1987)を参照のこと)。
【0062】
本発明で使用される場合、「破壊する」または「破壊」は、標的組織または標的組成物を殺傷することを意味する。「損傷する」または「損傷」は、その機能に干渉するか、またはその増殖を減少させることに関するような方法で、標的組織または標的組成物を変化させることを意味する。例えば、Northらにおいて、ベンゾポルフィリン誘導体で治療されたウイルス感染したT細胞を光に曝露した後で、T細胞膜が完全に分解されるまで、T細胞膜中で穴が発生し、サイズが増加する(Blood Cells 18:129 40(1992))。標的組織または標的組成物は、たとえその標的組織または標的組成物が最終的にマクロファージによって処理されるとしても、損傷または破壊されると理解される。
【0063】
本発明は、動物に対する医学的治療を提供するための方法を提供し、用語「動物」は、ヒトおよび他の哺乳動物を含むがこれらに限定されない。
【0064】
用語「カップリング剤」は、本明細書で使用される場合、標的因子に光増感剤をカップリングすることが可能である試薬をいう。用語「連結剤」または「連結成分」とは、本明細書で使用される場合、標的因子に光増感剤を連結することが可能である試薬をいう。ある実施形態において、「連結成分」はまた、標的部分として働き得る。
【0065】
本明細書で使用される場合、「標的因子」または「標的部分」とは、特定の組織、レセプター、感染因子、または治療される被験体の身体の他の領域、例えば、標的組織または標的組成物に狙いを定めるか、またはそれに優先的に付随もしくは結合する化合物をいう。標的因子の例には、オリゴヌクレオチド、抗原、抗体、リガンド、レセプター、特異的結合対の1つのメンバー、生物学的レセプターについて親和性を有するペプチドを含むポリアミド、オリゴ糖、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)もしくはLDLのアポタンパク質、ステロイドもしくはステロイド誘導体、ホルモン、例えば、エストラジオールもしくはヒスチジン、ホルモン模倣物、例えば、モルヒネ、または標的についての結合特異性を有する他の化合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0066】
本明細書で使用される場合、「特異的結合対」および「リガンド−レセプター結合対」とは、これらの分子の1つが、他の分子の特定の空間的または極性の組織を特異的に引き付けるかまたはそれに結合して、両方の分子が違いについて親和性を有するようにする、表面上またはキャビティー中の領域を有する2つの異なる分子をいう。特異的結合対のメンバーは、リガンドおよびレセプター(アンチリガンド)と呼ばれる。用語リガンドおよびレセプターは、リガンドとレセプターとの間で結合が起こるために十分である、全体のリガンドもしくはレセプターまたはその一部を含むことが意図される。リガンド−レセプター結合対の例には、ホルモンおよびホルモンレセプター、例えば、上皮増殖因子および上皮増殖因子レセプター、腫瘍壊死因子− および腫瘍壊死因子− レセプター、およびインターフェロンおよびインターフェロンレセプター;アビジンおよびビオチンまたはアンチ−ビオチン;抗体および抗原対;酵素および基質、薬物および薬物レセプター;細胞表面抗原およびレクチン;2つの相補的な核酸鎖;核酸鎖および相補的オリゴヌクレオチド;インターロイキンおよびインターロイキンレセプター;ならびに刺激因子およびそれらのレセプター、例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)およびGMCSFレセプター、ならびにマクロファージコロニー刺激因子(MCSF)およびMCSFレセプターが含まれるがこれらに限定されない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「レセプター」とは、所定のリガンドについての親和性を有する分子をいう。レセプターは、天然に存在する分子または合成の分子であり得る。レセプターはまた、当該分野でアンチ−リガンドと呼ばれ得る。本明細書で使用される場合、レセプターおよびアンチ−リガンドは交換可能である。レセプターは、それらの変化されない状態で、または他の種との集合体として使用され得る。レセプターは、直接的に、または特異的結合基質もしくはリンカーを介して間接的にのいずれかで、共有結合的にもしくは非共有結合的に、またはそれとの物理的接触で、結合メンバーに結合され得る。レセプターの例には以下が含まれるがこれらに限定されない:抗体、細胞膜レセプター表面レセプターおよび内部移行レセプター、例えば、ウイルス、細胞、または他の物質、薬物、ポリヌクレオチド、核酸、ペプチド、コファクター、レクチン、糖、多糖類、細胞、細胞膜、およびオルガネラ上の、特異的抗原決定基と反応性であるモノクローナル抗体および抗血清。
【0068】
本明細書で使用される場合、「特異的結合」または「選択的結合」とは、標的因子およびその標的の結合が別のレセプターなどの非標的についてよりもより高いことを意味する。特定の化合物が標的細胞または標的組織に標的化されるという記述は、宿主中においてまたはインビトロでまたはインビボでの、このような細胞または組織についての親和性が、宿主中でまたはインビトロ条件下での、他の細胞および組織についてよりも高いことを意味する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「サンプル」とは、標的アッセイがそのために所望される標的を含む何かを意味する。サンプルは、生物学的サンプル、例えば、生物学的液体、または生物学的組織などであり得る。生物学的液体の例には、血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、脳脊髄液、涙液、粘液、精子、羊水などが含まれる。生物学的組織は、細胞の集合体、通常、それらの細胞内物質とともにある特定の型の細胞の集合体であり、この物質は、結合組織、上皮組織、および神経組織を含む、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、またはウイルスの構造の構造的物質の1つを形成する。生物学的組織の例はまた、器官、腫瘍、リンパ節、動脈、および個々の細胞を含む。
【0070】
本明細書で使用される場合、化合物の「薬学的に受容可能な誘導体」は、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、またはプロドラッグを含む。このような誘導体は、このような誘導体化のための公知の方法を使用して、この技術分野の当業者によって容易に調製され得る。結合体は、毒性の副作用なしで動物またはヒトに投与され得、かつ薬学的に活性であるか、またはプロドラッグであるかのいずれかである。
【0071】
薬学的に受容可能な塩は、例えば、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミンおよび他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、1−パラ−クロロベンジル−2−ピロリジン−1’−イルメチル−ベンズイミダゾール、ジエチルアミンおよび他のアルキルアミン、ピペラジンおよびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、これらに限定されないアミン塩;例えば、リチウム、カリウム、およびナトリウム、これらに限定されないアルカリ金属塩;例えば、バリウム、カルシウム、およびマグネシウム、これらに限定されないアルカリ土類金属塩;例えば、亜鉛、これに限定されない遷移金属塩;ならびに例えば、リン酸水素ナトリウムおよびリン酸二ナトリウム、これらに限定されない他の金属塩を含み、これらに限定されない;ならびにまた、例えば、塩化水素または硫酸、これらに限定されない鉱酸の塩;例えば、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、酪酸、吉草酸、およびフマル酸、これらに限定されない有機酸の塩を含むがこれらに限定されない。薬学的に受容可能なエステルは、カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、およびボロン酸を含み、これらに限定されない酸性基の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルのエステルを含むがこれらに限定されない。薬学的に受容可能なエノールエーテルは、化学式C=C(OR)の誘導体(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである)を含むがこれらに限定されない。薬学的に受容可能なエノールエステルは、化学式C=C(OC(O)R)の誘導体(ここで、Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクリルである)を含むがこれらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用される場合、「治療」とは、疾患または障害の症状の1つ以上が改善されるか、またはさもなくば有益に変化される任意の様式を意味する。治療はまた、本発明の結合体の任意の薬学的使用、例えば、過剰増殖性組織または新血管形成媒介疾患もしくは障害、または過剰増殖性組織もしくは新血管形成が関与する疾患もしくは障害を処置するための使用を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、特定の疾患を処置するための化合物の「有効量」は、疾患に付随する症状を改善するか、またはある様式でそれを減少するために十分である量である。このような量は、単回の投薬量として投与され得るか、またはそれによってその量が有効であるレジメンに従って投与され得る。この量は、疾患を治癒し得るが、代表的には、疾患の症状を改善するために投与される。反復投与が、症状の所望の改善を達成するために必要とされ得る。
【0074】
本明細書で使用される場合、「組み合わせ」は、2つ以上の品目の間の任意の連合をいう。
【0075】
本明細書で使用される場合、「キット」は、パッケージされた組み合わせであり、ここで、組み合わせの要素がパッケージ中に含まれ、必要に応じて指示書および試薬を含む。
【0076】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、任意の混合物をいう。これは、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性もしくは非水性、またはその任意の組み合わせであり得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「液体(fluid)」とは、流動し得る任意の組成物をいう。従って、液体は、半固体、ペースト、溶液、水性混合物、ゲル、ローション、クリーム、および他のこのような組成物の形態である組成物を含む。
【0078】
以下の節において議論される結合体、キット、製造物品、および方法は、一般的に、このような結合体が使用され得る、代表的な開示された結合体および方法である。以下の議論は、本発明の選択された局面および実施形態の例示として意図され、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0079】
(B.結合体)
腫瘍、過剰増殖性組織、または他の望ましくない生物学的構造を検出または破壊する目的のための蛍光検出または光線力学療法の作用を増強するための結合体が本明細書で開示される。PDTのためのフルオロフォアまたは標的とされた光増感剤などのドナー分子の望ましくない活性を最小化するために、および診断目的のために使用されるときにドナー分子の選択性を改善するために、ドナー分子は、より大きな分子または結合体の一部として作られ、そこに少なくとも2つの他の部分および必要な連結成分が組み込まれる。1つの実施形態において、これらの成分の第1のものは、標的部分(TM)であり、これは、抗体、または任意の他のリガンド、または標的細胞もしくは構造のための所望の結合親和性および特異性を有する結合因子であり得る。組み込まれる第2の成分は、消光剤(QA)が、光増感剤がその意図される標的に結合されていないときにはその光増感剤の励起状態をそこから効果的にクエンチし得る(または通常、媒体に移動された熱エネルギーの形態で、そのエネルギーを散逸させる)位置にあるように、結合体に組み込まれているアクセプター分子である。
【0080】
(1.エネルギー移動対)
(a.ドナー分子)
(i.フルオロフォア)
1つの実施形態において、ドナー分子はフルオロフォアである。フルオロフォアは、蛍光を発する発色団、すなわち、異なる波長の光の吸収によって刺激される所定の波長で光を放射する分子である。当該分野において公知である任意のフルオロフォアが開示される結合体において有用である。例示的な化合物には、シアニン、インドカルボシアニン、テトラメチルローダミン、インドジカルボシアニン、カルボシアニン、カルセイン、FITC、ローダミン110、5−カルボキシフルオレセイン、フルオレセインスクシニミジルエステル、2’,7’−ジフルオロフルオレセイン、カルボキシフルオレセインスクシニミジルエステル、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセインエステル、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセインスクシニミジルエステル、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロ−フルオレセインエステル、ローダミングリーン、フィコエリトリン、ローダミンファロイジン、ローダミンB、ローダミンレッド−X、X−ローダミン、スルホローダミン101、Pyronin Y、TAMRA、ROX、R−フィコシアニン、C−フィコシアニン、およびチアジカルボシアニンが含まれるがこれらに限定されない。結合体がインビボ用途のためである場合、組成物のフルオロフォアは、一般的に、ヘモグロビン(<550nm)または水(>1200nm)などの生理学的に豊富な吸収剤による吸収を最小化することによって組織透過を最大化するために、赤外スペクトル(600〜1000nm)近傍の光を吸収するように選択される。種々のこのようなフルオロフォアが当該分野において公知であり、アロフィコシアニン;インドジカルボシアニン;インドトリカルボシアニン;チアジカロシアニン;フルオロセイン、スルホローダミン;ROX;スルホローダミン;ナイルレッド;R−フィコシアニン;C−フィコシアニン;およびチアジカルボシアニンを含むがこれらに限定されない。多くの他のフルオロフォアが、例えば、Frontier Scientific (Logan, UT)、SIGMA Chemical Company(Saint Louis, Mo.)、Molecular Probes(Eugene,Oreg.)、R&D Systems(Minneapolis,Minn.)、Pharmacia LKB Biotechnology(Piscataway,N.J.)、CLONTECH Laboratories,Inc.(Palo Alto,Calif.)、Aldrich Chemical Company Milwaukee,Wis.)、GIBCO BRL Life Technologies,Inc.(Gaithersburg,Md.)、Fluka Chemica−Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG,Buchs,Switzerland)、およびApplied Biosystems(Foster City,Calif.)、ならびに当業者に公知である多くの他の商業的な供給源から市販されている。
【0081】
(ii)光増感剤
別の実施形態において、ドナー分子は光増感剤である。光増感剤は、光活性化する光への曝露の際に活性化され、その光増感剤を細胞毒性型に転換し、それによって標的分子が殺傷されるか、またはそれらの増殖能力が減少する化学化合物である。本明細書に開示される結合体の光増感剤は、当該分野において公知である、種々の合成のおよび天然に存在する光増感剤のいずれかであり得、ポルフィリンおよびポルフィリン誘導体などのピロールベースの光増感剤、例えば、クロリン、バクテリオクロリン、イソバクテリオクロリン、フタロシアニン、およびナフタロシアニン、ならびに他のテトラ−およびポリ−大環状化合物、および関連する化合物(例えば、ピロフェオ−ホルバイド、サフィリン、およびテキサフィリン)、ならびに金属錯体(例えば、スズ、アルミニウム、亜鉛、ルテニウムであるがこれらに限定されない)を含む。テトラヒドロクロリン、プルプリン、ポルフィセン、おyびフェノチアジニウムもまた、本開示の範囲内にある。一般的に、疎水性である任意のポリピロール大環状光増感剤化合物が使用され得る。
【0082】
これらおよび他の光増感剤の例には以下が含まれるがこれらに限定されない:アンゲリシン、カルコゲンピリリウム色素、クロリン、クロロフィル、クマリン、シアニン、セラチン、ダウノマイシン;ダウノマイシノン;5−イミノダウノ−マイシン;ドキシサイクリン;フロセミド;ギルボカルシンM;ギルボカルシンV;ヒドロキシ−クロロキン硫酸;ルミドキシサイクリン;メフロキン塩酸塩;メキタジン;メルブロミン(マーキュロクロム);プリマキン二リン酸塩;キナクリン二塩酸塩;硫酸キニーネ;および塩酸テトラサイクリン、特定のフラビンおよび関連化合物、例えば、アロキサジン;フラビンモノヌクレオチド;3−ヒドロキシフラボン;リミクローム;リミフラビン;6−メチルアロキサジン;7−メチルアロキサジン;8−メチルアロキサジン;9−メチルアロキサジン;1−メチルリミクローム;メチル−2−メトキシ安息香酸;5−ニトロサリチル酸;プロフラビン;およびリボフラビン、金属ポルフィリン、メタロフタロシアニン、メチレンブルー誘導体、ナフタリイミド、ナフタロシアニン、フェオホルバイド、フェオフィチン、光増感剤ダイマーおよび結合体、フタロシアニン、ポルフィセン、ポルフィリン、ソラレン、プルプリン、キノン、レチノイド、ローダミン、チオフェン、バージン、ビタミン、およびキサンテン色素(RedmondおよびGamlin,Photochem.Photobiol.,70(4):391−475(1999))。
【0083】
(a)例示的な金属ポルフィリン
例示的な金属ポルフィリンには以下が含まれる:コバルトメソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;コバルト(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;銅ヘマトポルフィリン;銅メソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;銅(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;ユーロピウム(III)ジメチルテキサフィリンジヒドロオキサイド;ガリウムテトラフェニルポルフィリン;鉄メソ−テトラ(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;ルテニウム(III)テトラ(N−メチル−3−ピリジル)−ポルフィリンクロライド;マグネシウム(II)メソ−ジフェニルテトラベンゾポルフィリン;マグネシウムテトラベンゾポルフィリン;マグネシウムテトラベンゾポルフィリン;マグネシウムテトラプベニルポルフィリン;マグネシウム(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;マグネシウム(II)テキサフィリンヒドロキシド金属ポルフィリン;マグネシウムメソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;マンガンメソ−テトラ−(4−N−メチル−ピリジル)−ポルフィン;ニッケルメソ−テトラ(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;ニッケル(II)メソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;パラジウム(II)メソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;パラジウムメソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;パラジウムテトラフェニルポルフィリン;パラジウム(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;白金(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;サマリウム(II)ジメチルテキサフィリンジヒドロオキサイド;銀(II)メソ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;スズ(IV)プロトポルフィリン;スズメソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;スズメソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;スズ(IV)テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリンジクロライド;カドミウム(II)クロロテキサフィリンニトレート;カドミウム(II)メソ−ジフェニルテトラベンゾポルフィリン;カドミウムメソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;カドミウム(II)テキサフィリン;カドミウム(II)テキサフィリンニトレート;亜鉛(II)15−アザ−3,7,12,18−テトラメチル−ポルフィリナト−13,17−ジイル−ジプロピオン酸−ジメチルエステル;亜鉛(II)クロロテキサフィリンクロライド;亜鉛コプロポルフィリンIII;亜鉛(II)2,11,20,30−テトラ−(1,1,−ジメチル−エチル)テタラナフト(2,3−b:2’,3’−g:2’,3’−l:2’’’3’’’−q)ポルフィラジン;亜鉛(II)2−(3−ピリジルオキシ)ベンゾ[b]−10,19,28−トリ(1,1−ジメチルエチル)トリナフト[2’,3’−g:2’’3’’l::2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,18−ビス−(3−ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,1]−10,26−ジ(1,1−ジメチル−エチル)ジナフト[2’,3’−g:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,9−ビス−(3−ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,g]−17,26−ジ(1,1−ジメチル−エチル)ジナフト[2’’,3’’−1:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,9,16,−トリス−(3−ピリジルオキシ)トリベンゾ[b,g,l]−24=(1,1−ジメチル−エチル)ナフト[2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,3−ビス−(3−ピリジルオキシ)ベンゾ[b]−10,19,28−トリ(1,1−ジメチル−エチル)トリナフト[2’,3’−g:2’’,3’’l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,3,18,19−テトラキス−(3−ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,1]−10,26,−ジ(1,1−ジメチル−エチル)トリナフト[2’,3’−g:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,3,9,10−テトラキス−(3−ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,g]−17,26−ジ(1,1−ジメチル−エチル)ジナフト[2’’,3’’−l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2,3,9,10,16,17−テトラキス−(3−ピリジルオキシ)トリベンゾ[b,g,l]−24−(1,1−ジメチル−エチル)ナフト[2’’’,3’’’−q]ポルフィラジン;亜鉛(II)2−(3−N−メチル)ピリジルオキシ)ベンゾ[b]−10,19,28−トリ(1,1−ジメチル−エチル)トリナフト[2’,3’−g:2’’,3’’l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンモノヨーダイド;亜鉛(II)2,18−ビス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,l]−10,26−ジ(1,1−ジメチルエチル)ジナフト[2’,3’−g:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンジヨーダイド;亜鉛(II)2,9−ビス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,g]−17,26−ジ(1,1−ジメチルエチル)ジナフト[2’’,3’’−l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンジヨーダイド;亜鉛(II)2,9,16−トリス−(3−(N−メチル−ピリジルオキシ)トリベンゾ[b,g,l]−24−(1,1−ジメチルエチル)ナフト[2’’’,3’’’−q]ポルフィラジントリヨーダイド;亜鉛(II)2,3−ビス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)ベンゾ[b]−10,19,28−トリ(1,1−ジメチルエチル)トリナフト[2’,3’−g:2’’,3’’−l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンジヨーダイド;亜鉛(II)2,3,18,19−テトラキス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)ジベンゾ[b,l]−10,26−ジ(1,1−ジメチル)ジナフト[2’,3’−g:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンテトラヨーダイド;亜鉛(II)2,3,9,10−テトラキス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)ジベンゾ[g,g]−17,26−ジ(1,1−ジメチルエチル)ジナフト[2’’,3’’−l:2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンテトラヨーダイド;亜鉛(II)2,3,9,10,16,17−ヘキサキス−(3−(N−メチル)ピリジルオキシ)トリベンゾ[b,g,l]−24−(1,1−ジメチルエチル)ナフト[2’’’,3’’’−q]ポルフィラジンヘキサヨーダイド;亜鉛(II)メソ−ジフェニルテトラベンゾポルフィリン;亜鉛(II)メソ−トリフェニルテトラベンゾポルフィリン;亜鉛(II)メソ−テトラキス(2,6−ジクロロ−3−スルホナトフェニル)ポルフィリン;亜鉛(II)メソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;亜鉛(II)5,10,15,20−メソ−テトラ(4−オクチル−フェニルプロピニル)−ポルフィン;亜鉛ポルフィリンc;亜鉛プロトポルフィリン;亜鉛プロトポルフィリンIX;亜鉛(II)メソ−トリフェニル−テトラベンゾポルフィリン;亜鉛テトラベンゾポルフィリン;亜鉛(II)テトラベンゾポルフィリン;亜鉛テトラナフタロポルフィリン;亜鉛テトラフェニルポルフィリン;亜鉛(II)5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン;亜鉛(II)メソ(4−スルホナフトフェニル)−ポルフィン;および亜鉛(II)テトラフィリンクロライド。
【0084】
(b)例示的なフェオホルバイド
例示的なフェオホルバイドには以下が含まれる:フェオホルバイドa;メチル13−1−デオキシ−20−ホルミル−7,8−ビク−ジヒドロ−バクテリオ−メソ−フェオホルバイドa;メチル−2−(1−ドデシルオキシエチル)−2−デビニル−ピロフェオホルバイドa;メチル−2−(1−ヘプチル−オキシエチル)−2−デビニル−ピロフェオホルバイドa;メチル−2−(1−ヘキシル−オキシエチル)−2−デビニル−ピロフェオホルバイドa;メチル−2−(1−メトキシ−エチル)−2−デビニル−ピロフェオホルバイドa;メチル−2−(1−ペンチル−オキシエチル)−2−デビニル−ピロフェオホルバイドa;マグネシウムメチルバクテリオフェオホルバイドd;メチル−バクテリオフェオホルバイドd;およびフェオホルバイド。
【0085】
(c)例示的なポルフィリン
例示的なポルフィリンには以下が含まれる:5−アザプロトポルフィリンジメチルエステル;ビス−ポルフィリン;コプロポルフィリンIII;コプロポルフィリンIIIテトラメチルエステル;デューテロポルフィリン;デューテロポルフィリンIXジメチルエステル;ジホルミルデューテロ−ポルフィリンIXジメチルエステル;ドデカフェニルポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリン;ヘマトポルフィリンIX;ヘマトポルフィリンモノマー;ヘマトポルフィリンダイマー;ヘマトポルフィリン誘導体;ヘマトポルフィリン誘導体;ヘマトポルフィリン誘導体;ヘマトポルフィリン誘導体A;ヘマトポルフィリンIXジヒドロクロライド;ヘマトポルフィリンジヒドロクロライド;ヘマトポルフィリンIXジメチルエステル;ヘマトポルフィリンIXジメチルエステル;メソポルフィリンジメチルエステル;メソポルフィリンIXジメチルエステル;モノホルミル−モノビニル−デューテロポルフィリンIXジメチルエステル;モノヒドロキシエチルビニルデューテロポルフィリン;5,10,15,20−テトラ(o−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラ(m−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラキス−(m−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラキス(3−メトキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラキス(3,4−ジメトキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラキス(3,5−ジメトキシフェニル)ポルフィリン;5,10,15,20−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)ポルフィリン;2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン;Photofrin(登録商標);Photofrin II;ポルフィリンc;プロトポルフィリン;プロトポルフィリンIX;プロトポルフィリンジメチルエステル;プロトポルフィリンIXジメチルエステル;プロトポルフィリンプロピルアミノエチルホルムアミドヨーダイド;プロトポルフィリンN,N−ジメチルアミノプロピル−ホルムアミド;プロトポルフィリンプロピルアミノプロピルホルムアミドヨーダイド;プロトポルフィリンブチルホルムアミド;プロトポルフィリンN,N−ジメチルアミノ−ホルムアミド;プロトポルフィリンホルムアミド;サフィリン13,12,13,22−テトラエチルー2,7,18,23テトラメチルサフィリン−8,17−ジプロパノール;サフィリン23,12,13,22−テトラエチル−2,7,18,23テトラメチルサフィリン−8−モノグリコシド;サフィリン3;メソ−テトラ−(4−N−カルボキシフェニル)−ポルフィン;テトラ−(3−メトキシフェニル)−ポルフィン;テトラ−(3−メトキシ−2,4−ジフルオロフェニル)−ポルフィン;5,10,15,20−テトラキス(4−N−メチルピリジル)ポルフィン;メソ−テトラ−(4−N−メチルピリジル)−ポルフィンテトラクロライド;メソ−テトラ(4−N−メチルピリジル)−ポルフィン;メソ−テトラ(3−N−メチルピリジル)−ポルフィン;メソ−テトラ−(2−N−メチルピリジル)−ポルフィン;テトラ(4−N,N,N−トリメチルアニリニウム)ポルフィン;メソ−テトラ−(4−N,N,N’’−トリメチルアミノ−フェニル)ポルフィンテトラクロライド;テトラナフタロポルフィリン;5,10,15,20−テトラフェニルポルフィリン;テトラフェニルポルフィリン;メソ−テトラ−(4−N−スルホナトフェニル)−ポルフィン;テトラフェニルポルフィンテトラスルホネート;メソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)−ポルフィン;テトラ(4−スルホナトフェニル)ポルフィン;テトラフェニルポルフィリンスルホネート;メソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)ポルフィン;テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン;メソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)ポルフィン;メソ(4−スルホナトフェニル)ポルフィン;メソ−テトラ(4−スルホナトフェニル)ポルフィン;テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィリン;メソ−テトラ(4−N−トリメチルアニリニウム)−ポルフィン;ウロポルフィリン;ウロポルフィリンI;ウロポルフィリンIX;およびウロポルフィリンI。
【0086】
本明細書に開示される結合体中での使用のための光増感剤は、Diels−Alder型反応においてアルキンとポルフィリン核を反応させて、モノヒドロベンゾ−ポルフィリンを得ることによって得られるポルフィリン誘導体、例えば、米国特許第5,171,749号(これは、その全体が参照として本明細書によって援用される)においてLevyらによって詳細に記載されたものなどを含む。光増感剤の吸収スペクトルは、代表的には、400nmから1200nmまでの間であり、ある実施形態においては、500〜900nmの間、または600〜900nmの間である。
【0087】
(d)例示的なソラレン
例示的なソラレンには以下が含まれる:ソラレン;5−メトキシソラレン;8−メトキシ−ソラレン;5,8−ジメトキシソラレン;3−カルベトキシソラレン;3−カルベトキシソラレン−シュドソラレン;8−ヒドロキシソラレン;シュドソラレン;4,5’,8−トリメチル−ソラレン;アロソラレン;3−アセト−アロソラレン;4,7−ジメチル−アロソラレン;4,7,4’−トリメチル−アロソラレン;4,7,5’−トリメチル−アロソラレン;イソシュドソラレン;3−アセトイソシュドソラレン;4,5’−ジメチル−イソシュド−ソラレン;5’7−ジメチル−イソシュドソラレン;シュドイソソラレン;3−アセト−シュドイソソラレン;3/4’,5’−トリメチル−アザ−ソラレン;4,4’,8−トリメチル−5’−アミノ−メチルソラレン;4,4’,8−トリメチル−フタルアミル−ソラレン;4,5’,8−トリメチル−4’−アミノメチルソラレン;4,5’,8−トリメチル−ブロモソラレン;5−ニトロ−8−メトキシ−ソラレン;5’−アセチル−4,8−ジメチル−ソラレン;5’−アセト−8−メチル−ソラレン;および5’−アセト−4,8−ジメチル−ソラレン。例示的なプルプリンには以下が含まれる:オクタエチルプルプリン;オクタエチルプルプリン亜鉛;酸化型オクタエチルプルプリン;還元型オクタエチルプルプリン;還元型オクタエチルプルプリンスズ;プルプリン18;プルプリン18;プルプリン−18−メチルエステル;プルプリン;スズエチルエチオプルプリンI;Zn(II)エチオ−プルプリンエチルエステル;および亜鉛エチオプルプリン。
【0088】
(e)例示的なキノン
例示的なキノンには以下が含まれる:1−アミノ−4,5−ジメトキシアントラキノン;1,5−ジアミノ−4,8−ジメトキシアントラキノン;1,8−ジアミノ−4,5−ジメトキシアントラキノン;2,5−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシアントラキノン;2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシアントラキノン;4,5−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシアントラキノン;モノ−メチル化4,5−または2,7−ジアミノ−1,8−ジヒドロキシアントラキノン;アントラリン(ケト型);アントラリン;アントラリンアニオン;1,8−ジヒドロキシアントラキノン;1,8−ジヒドロキシアントラキノン(Chrysazin);1,2−ジヒドロキシアントラキノン;1,2−ジヒドロキシアントラキノン(Alizarin);1,4−ジヒドロキシアントラキノン(Quinizarin);2,6−ジヒドロキシアントラキノン;2,6−ジヒドロキシアントラキノン(Anthraflavin);1−ヒドロキシアントラキノン(エリスロオキシ−アントラキノン);2−ヒドロキシ−アントラキノン;1,2,5,8−テトラ−ヒドロキシアントラキノン(Quinalizarin);3−メチル−1,6,8−トリヒドロキシアントラキノン(Emodin);アントラキノン;アントラキノン−2−スルホン酸;ベンゾキノン;テトラメチルベンゾキノン;ヒドロキノン;クロロヒドロキノン;レゾルシノール;および4−クロロレゾルシノール。
【0089】
(f)例示的なレチノイド
例示的なレチノイドには、すべてのトランスレチナール;C17アルデヒド;C22アルデヒド;11−シスレチナール;13−シスレチナール;レチナール;およびパルミチン酸レチナールが含まれる。
【0090】
(g)例示的なローダミン
例示的なローダミンには、4,5−ジブロモ−ローダミンメチルエステル;4,5−ジブロモ−ローダミンn−ブチルエステル;ローダミン101メチルエステル;ローダミン123;ローダミン6G;ローダミン6Gヘキシルエステル;テトラブロモ−ローダミン123;およびテトラメチル−ローダミンエチルエステルが含まれる。
【0091】
(h)他の光増感剤の例
本発明の結合体において有用であり得る光増感剤の他の非限定的な例は以下である:米国特許第5,171,741号および同第5,173,504号に記載されているバクテリオクロロフィルA誘導体;米国特許第5,308,608号に記載されているDiels−Alderポルフィリン誘導体;米国特許第5,405,957号,同第5,512,675号、および同第5,726,304号に記載されているポルフィリン様化合物;米国特許第5,424,305号および同第5,744,598号に記載されるようなポルフィリンおよびポルフィリン誘導体のイミン;米国特許第5,498,710号に記載されるようなベンゾポルフィリン誘導体のアルキルエーテルアナログ;米国特許第5,591,847号において記載されるようなプルプリン−18、バクテリオクロリン−18、および関連化合物;米国特許第5,648,485号において記載されるようなメソ置換コリン、イソバクテリオクロリン、およびバクテリオクロリン;米国特許第5,703,230号において記載されるようなメソ−置換テトラ大環状化合物;米国特許第5,770,730号において記載されるようなクロリンおよびバクテリオクロリンのカルボジイミドアナログ;米国特許第5,831,088号において記載されるようなメソ−置換されたクロリン、イソバクテリオクロリン、およびバクテリオクロリン;米国特許第5,703,230号、同第5,883,246号、および同第5,919,923号に記載されるメソ−置換されたトリピラン化合物;米国特許第5,864,035号に記載されるクロリンおよびバクテリオクロリンのイソイミド;米国特許第5,952,366号に記載されるようなN置換イミド環を有するクロリンのアルキルエーテルアナログ;米国特許第5,929,105号に記載されるエチレングリコールエステル;米国特許第6,103,751号に記載されるようなポルフィリン、クロリン、およびバクテリオクロリンのカロテンアナログ;米国特許第6,245,811号に記載されるようなポルフィリン、クロリン、またはバクテリオクロリンの脂肪酸エステル誘導体;米国特許第6,444,194号に記載されるようなインジウム光増感剤;米国特許第6,534,04号に記載されるポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、および関連するテトラピロール化合物;米国特許第6,555,700号に記載されるようなポルフィリン、クロリン、およびバクテリオクロリンの1,3−プロパンジオールエステルおよびエーテル誘導体;米国特許第6,559,374号に記載されるようなトランスβ置換クロリン;および米国特許第6,569,846号に記載されるようなパラジウム置換バクテリオクロリン誘導体;およびWilsonら(Curr.Micro.25:77−81,1992)およびOkamotoら(Lasers in Surg.Med.12:450−485,1992)に開示されている光増感剤実体。一般的に、紫外、可視、および赤外のスペクトル範囲で吸収する任意の疎水性または親水性の光増感剤が、開示される結合体において有用である。
【0092】
(b.アクセプター分子)
開示される結合体のアクセプター分子は、別の分子からエネルギーを受け取りまたは受容することが可能である化学化合物または生物学的化合物をいう。1つの実施形態において、本明細書に開示される結合体は、アクセプター分子として消光剤を含む。フルオロフォアによって放射された光を少なくとも部分的に減弱し得るか、または光増感剤の活性化を妨害し得る任意の蛍光修飾基が、開示される結合体中で消光剤として使用され得る。この減弱は、代表的には、フルオロフォアまたは光増感剤などのドナー分子と、消光剤などのアクセプター分子との間のエネルギー移動を通して起こる。
【0093】
蛍光のクエンチングは、一般的には、直接的および間接的なエネルギー移動を含む多数のメカニズムによって起こる。すべての場合において、フルオロフォアまたは光増感剤を含む開示される結合体のドナー分子が、エネルギーの入力によって、代表的には特定の波長の光を用いる照射によって励起されるとき、蛍光によって散逸されることまたは光増感剤の活性状態への転換ではなく、エネルギーは、フルオロフォアまたは光増感剤などのドナー分子から消光剤などのアクセプター分子に移動される。アクセプター分子としての消光剤は、例えば、双極子カップリングによる、エネルギーの移動を受容する能力を有するが、有意な発光を有さない。
【0094】
それゆえに、消光剤は、結合体がその意図される標的に結合していない場合には、その結合体のフルオロフォアまたは光増感剤などのドナー分子の励起状態のエネルギーを移動または散逸し得る任意の化学物質である。消光剤には、有意な発光を示さないアクセプター発色団、および移動されたエネルギーを受容することが可能である芳香族化合物、例えば、ニトロフェニル、ニトロベンジルオキシカルボニル、ニトロベンゾイルを含むニトロソ化芳香族化合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0095】
(例示的な消光剤)
例示的な消光剤には以下が含まれる:4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸(DABCYL);ダブシルスクシニミジルエステル;4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(DABSYL);ダブシルスクシニミジルエステル;テトラメチルローダミン(TAMRA);4−[(4−ニトロフェニル)ジアジニル]−フェニルアミンおよび4−[4−ニトロフェニル)ジアジニル]−ナフチルアミン;ダブシルニトロ−チアゾール;6−(N−[7−ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル]アミノ)ヘキサン酸;6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX);QSY−7;2−[4−(4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニル−アミノ]エタノール(Disperse Red 1);2−[4−(2−クロロ−4−ニトロフェニルアゾ)−N−エチルフェニルアミノ]−エタノール(Disperse Red 13);テトラローダミンイソチオシアネート(TRITC);アロフィコシアニン;β−カロテン;ジアリールローダミン誘導体、例えば、QSY7、QSY9、およびQSY21色素;QSY35酢酸スクシニミジルエステル;QSY35ヨードアセトアミドおよび脂肪族メチルアミン;ナフタレート;Reactive Red 4;およびマラカイトグリーン。
【0096】
開示される結合体における使用のための適切なドナー−アクセプター対を選択するための文献中で、大量の実用的なガイダンスが存在する。例えば、Pesceら、「Fluorescence Spectroscopy」(Marcel Dekker,New York,1971);Whiteら「Fluorescence Analysis:A Practical Approach」(Marcel Dekker,New York,1970)を参照のこと。文献はまた、レポーター−クエンチャー(ドナー−アクセプター)対を選択するために、蛍光分子および色素形成分子ならびにそれらの関連する光学的特性の包括的なリストを提供する参考文献を含む(例えば、Berlman,「Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules」第2版(Academic Press,New York,1971);Griffiths,「Color and Constitution of Organic Molecules」(Academic Press, New York,1976);Bishop,「Indicators」(Pergamon Press, Oxford,1972);およびHaugland,「Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(Molecular Probes, Eugene, 1992)を参照のこと)。
【0097】
(c.エネルギー移動対の選択)
ドナー分子がアクセプター分子にエネルギーを移動する能力は、多数の要因に依存する。これらには、エネルギー移動効率、アクセプター分子とドナー分子との間のスペクトルの重複、双極子、ドナーの蛍光量子収率;アクセプターの減衰係数、およびドナーの蛍光発光強度が含まれるがこれらに限定されない。これらの要因は環境に依存するので、特定の実験状況において観察される実際の値はいくぶん変動する。
【0098】
(i.蛍光共鳴エネルギー移動(FRET))
FRETとは、化学的発光分子および/または生物学的発光分子の間での非放射性エネルギー移動をいう(Heimら、Curr.Biol.6:178−182(1996);Mitraら、Gene 173:13−17(1996);Selvinら、Meth.Enzymol.246:300−345(1995);Matyus,J.Photochem.Photobiol.B:Biol.12:323−337(1992);Wuら、Anal.Biochem.218:1−13(1994))。FRETの効率は、生物学的高分子の次元と適合可能である距離にわたってそれを有用にする、分子間の分離の6分の1乗の逆数に依存する(StryerおよびHaugland,Proc Natl Acad Sci U S A 58:719−726(1967))。このように、分子の近接性に対するFRETの感度が記載されてきた(dos Remediosら、J Struct Biol 115:175−185(1995);Selvin Methods Enzymol 246:300−334(1995);Boydeら、Scanning 17:72−85(1995);Wuら、Anal Biochem 218:1−13(1994);Van der Meerら、「Resonance Energy Transfer Theory and Data」133−168頁(1994);Kawski,Photochem Photobiol 38:487(1983);Stryer, Annu Rev Biochem 47:819−846(1978);Faircloughら、Methods Enzymol 48:347−379(1978))。FRETがコントラストメカニズムとして使用される場合、タンパク質および他の分子の同時局在化は、従来的な光学顕微鏡の限界を超えた空間的な解像度で画像化され得る(Kenworthy,Methods 24:289−296(2001);Gordonら、Biophys J 74:2702−2713(1998))。
【0099】
エネルギー移動効率は、移動効率およびドナーとアクセプター(r)の間の距離を含む、多数の要因に依存する。例えば、基底Forsterエネルギー移動プロセスは、1つの波長(hν)において光子エネルギーを吸収し、非放射性プロセスを介してそれをより長い波長(hν)である光子エネルギーを再放射するアクセプター基に移動させるか、またはエネルギーを非放射的に散逸させる。エネルギー移動が非放射的移動またはForsterエネルギー移動による場合、エネルギー移動の効率とエネルギー移動の効率との間の関連性を記載する数式が知られている(例えば、Youvanら、米国特許第6,456,734号およびHeller,米国特許第6,416,953号を参照のこと)。
【0100】
(i)Forster距離
FRETにおけるアクセプター分子とドナー分子との間のエネルギー移動の速度は、ドナーとアクセプターとの間の距離の6分の1乗に逆比例し、従って、エネルギー移動効率は、距離の変化に対して極度に感受性である。エネルギー移動は、1〜10nmの距離範囲において、検出可能な効率を生じるといわれる。エネルギー移動が50%効率である距離(すなわち、励起されたドナーの50%がFRETによって非活性化される)は、Forster半径(R)によって定義される。Rの大きさは、ドナー分子とアクセプター分子のスペクトル特性に依存し、以下の数式を使用して、スペクトルの重複の積分から計算され得る:
=[8.8×1023・κ・n−4・QY・J(λ)]1/6オングストローム
ここで、κ=双極子配向因子(0〜4の範囲;ランダムに配向されたドナーおよびアクセプターについてκ=2/3)
QY=アクセプターの非存在下におけるドナーの蛍光量子収率
n=屈折率
J(λ)=スペクトル重複積分(以下を参照のこと)
=∫ε(λ)・F(λ)・λdλcm−1
ここで、ε=アクセプターの減衰係数
=全体の積分された強度のフラクションとしてのドナーの蛍光発光強度
Forster距離は、結合体のエネルギー移動対のドナー分子およびアクセプター分子を選択する際に考慮されなければならない。Forster距離はまた、要素の連結またはエネルギー移動対の配置を選択する際に考慮され、その結果、その標的との標的部分の相互作用は、ドナー分子とアクセプター分子との間の距離の変化を引き起こす。これらの距離は、経験的に決定され得るか、または計算され得る。非限定的な例として、ドナー分子およびアクセプター分子は、約1〜10nm(10オングストローム〜約100オングストローム)以内に配置され、エネルギー移動を観察し得る。エネルギー移動の測定は、励起されたエネルギードナーからのシグナルのクエンチングをモニターする工程を包含し、これは、エネルギー移動化合物が違いに対して近接を達成するに従って減少する。
【0101】
(iii)選択判断基準)
開示される結合体におけるエネルギー移動対としての使用のためのフルオロフォアおよび/またはクエンチャーは、例えば、コスト、利用可能性、サイズ、吸収波長、および発光波長であるがこれらに限定されない要因に基づいて選択され得る。例えば、結合体は、その標的への標的部分の相互作用に際して活性化されるので、特定のフルオロフォア分子またはクエンチャー分子の使用は、サイズまたは静電的制約に起因して除外され得る。さらに、開示される結合体における使用のための光増感剤および/またはフルオロフォアおよび/またはクエンチャーもまた、エネルギー移動プロセスを容易にするために種々の判断基準に合致しなくてはならない。これらの判断基準には、アクセプター−ドナー距離、ドナー発光およびアクセプター吸収の重複、ドナーおよびアクセプターのピークの区別、量子収率、およびフルオロフォアの配向が含まれるがこれらに限定されない。
【0102】
(a)距離)
エネルギー移動反応、例えば、FRETが、距離依存的な様式で、1つの発光分子(すなわち、ドナー分子)から、別の発光分子(すなわち、アクセプター分子)へのエネルギーの移動を含むにつれて、ドナー分子およびアクセプター分子は、エネルギー移動を容易にするために、密接な近接に配置されなければならない。非限定的な例として、ドナー分子およびアクセプター分子は、エネルギー移動を観察するために、約1〜約10nm以内に配置され得る。当業者は、ドナー分子およびアクセプター分子がエネルギーを移動するために必要とされる近接内にあり、その結果、ドナー分子がクエンチされるように、ドナー分子およびアクセプター分子の配置を変化させ得る。特に、当業者は、結合体中のドナー分子およびアクセプター分子の位置および配置を選択し得、エネルギー移動を測定するためにサンプルFRET実験を実行し得、およびドナー分子がクエンチされるまでドナー分子およびアクセプター分子の配置を調節し得る。代替的には、当業者は、アクセプター分子によるドナー分子のクエンチングを達成するための、文献、ハンドブック、インターネット、実験結果、およびドナー分子およびアクセプター分子の配置の距離を決定するために当該分野に周知である他の供給源を使用し得る。
【0103】
すべての他のパラメーターが最適である場合、ドナー分子とアクセプター分子の間の距離が、1/rとして増加するにつれて、エネルギー移動の効率が減少する。例えば、3.5nm(35オングストローム)未満のドナーからアクセプターの距離は、50%効率のFRETエネルギー移動を生じ得る(Heller,米国特許第6,416,953号を参照のこと)。本明細書に開示される結合体は、結合体が標的と相互作用していない場合に、ドナー分子およびアクセプター分子がドナー−アクセプター移動距離に配置されるような方法で設計される。1つの実施形態において、ドナー分子およびアクセプター分子は、ドナー分子が約25%〜100%効率であるように、密接な近接にある。
【0104】
ドナー−アクセプター移動距離を形成するためのドナー分子およびアクセプター分子の最適な位置付けまたは間隔は、経験的に決定され得る。一般的に、FRETなどのエネルギー移動のために必要とされる条件は、(i)ドナー分子およびアクセプター分子が違いに対して密接な近接にあること(代表的には1または10〜100または200オングストローム)および(ii)アクセプターの吸収スペクトルがドナーの蛍光発光スペクトルと重複することである。
【0105】
(b)ドナーの発光およびアクセプターの重複)
吸収
本発明で適用される結合体における使用のためのドナー−アクセプターエネルギー対を決定するための第2の判断基準は、ドナー分子のエネルギー放射スペクトルが、アクセプター分子のエネルギー吸収スペクトルを少なくとも部分的に重複するはずであり、その結果、ドナーからアクセプターからのエネルギー移動が起こり得ることである。代表的には、エネルギー移動ドナー化合物は、アクセプター分子の励起ピーク波長(Aλex)の数nm以内である、放射ピーク波長(Dλem)を有する。DλemおよびAλexは、代表的には、約70nm〜約20nmまたはそれ以下である。DλemとAλexの間の差は、約60nm、約50nm、約30nm、約20nm、約15nm、約10nm、約5nm、約4nm、約3nm、約2nm、または約1nmであり得る。特定の例において、DλemとAλexの間の差は、DλemピークおよびAλexピークが部分的に重複する場合、ならびにドナーおよびアクセプターが検出可能なエネルギー移動が起こるための近接内にある場合、70nmより大きくあり得る(すなわち、ドナーの励起ピーク波長および/またはアクセプターの発光ピーク波長から離れている波長を有する光が使用される場合)。スペクトルの重複の積分の表は、当業者に容易に利用可能である(例えば、Berlman,I.B.,「Energy transfer parameters of aromatic compounds」Academic Press, New York and London (1973)を参照のこと)。
【0106】
(c)限定された環境感受性)
エネルギー移動対のドナー分子およびアクセプター分子を選択するために使用され得る別の判断基準は、アッセイ条件または生理学的条件に対するそれらの感受性である。非限定的な例として、pH、イオン濃度、温度、および溶媒媒体の変化によって影響されない消光剤が、本明細書に記載される結合剤のために選択され得る。
【0107】
(d)量子収率)
エネルギー移動は、高いフルオロフォア量子収率(100%に近接するもの)を有するドナーフルオロフォアが、ドナーの発光と一致する波長の大きな減衰係数を有するアクセプターと対となる。上記のパラメーターに対する蛍光エネルギー移動の依存性が報告されている(Lakowicz,J.R.,「Principles of Fluorescence Spectroscopy」New York:Plenum Press(1983);およびHerman,B.,「Resonance energy transfer microscopy」Fluorescence Microscopy of Living Cells in Culture,Part B,Methods in Cell Biology,Vol 30(Taylor,D.L.&Wang,Y.−L.編),San Diego,Academic Press(1989),219−243頁)。
【0108】
(e)利用可能な結合部位)
光増感剤またはフルオロフォアなどのドナー分子、およびクエンチャーなどのアクセプター分子を選択する場合に、考慮される別の因子は、利用可能な結合部位である。多くの結合は、スルフヒドリルまたはアミンの相互作用を介して便利にもたらされる。合成および市販の代替物は、選択される光増感剤、フルオロフォアまたはクエンチャー、結合剤中で使用される分子または連結成分、およびそれが存在する環境に依存して利用可能である。上記に注記されるように、距離は、標的部分の相互作用が、蛍光−クエンチング相互作用を可能にする位置からの消光剤の再配置を生じる。ドナー分子およびアクセプター分子が密接しすぎているならば、標的因子の相互作用は、ドナー分子のクエンチングを終了させないかもしれない。なぜなら、エネルギー移動が起こり続けるからである。ドナー分子およびアクセプター分子の間の距離が大きすぎるならば、エネルギー移動は、全く起こらないかもしれない。それらの距離は、任意の方法によって、例えば、計算によって、または経験的に決定され得る。
【0109】
合成化学における技術は、ドナー−アクセプター移動距離を提供する連結成分を使用する、ドナー分子の結合のための方法を提供する(例えば、Hellerら、米国特許第4,996,143号を参照のこと)。
【0110】
例えば、同じオリゴヌクレオチド中のドナー分子とアクセプター分子の両方の組み込みを可能にする合成連結技術が公知である(例えば、Hellerら、米国特許第4,996,143号を参照のこと)。特定のリンカーアームを使用して、最も効率的なエネルギー移動(アクセプターによる再発光による)は、ドナーおよびアクセプターが5個の介在するヌクレオチド単位、または約2nm離れて間隔を空けた場合に生じることが見い出された。Hellerら、米国特許第4,996,143号はまた、ヌクレオチドの間隔は6〜12単位(約2nm〜約4nm)増加されたのにつれて、エネルギー移動効率はまた、減少することが見い出されることが示された。これはForster理論に従っている。分子に加えられ得る、容易に利用可能である反応基を介する共有結合のために、レポーター分子およびクエンチャー分子を誘導するための文献の広範なガイダンスが存在する。他の分子および表面にフルオロフォアを結合体化するための利用可能な化学の多様性および有用性は、フルオロフォアで誘導体化された核酸を調製する際に文献の広範な本文によって例示される。例えば、Ullmanら、米国特許第3,996,345号およびKhannaら、米国特許第4,351,760号を参照されたい。
【0111】
(f)エネルギー移動の修飾)
開示される結合体において使用されるエネルギー移動対の成分は、アクセプター分子の吸収帯は、ドナー分子の蛍光発光帯と重複するように、一般的に選択される。ドナー/アクセプターエネルギー移動対を選択する際に考慮される別の因子は、それらの間のエネルギー移動の効率である。エネルギー移動の効率は、当該分野において公知である方法を使用して経験的に容易に試験され得る。ドナー−アクセプター対の間のエネルギー移動の効率は、ドナーおよびアクセプターが密接に結合する能力を変化させることによって調整され得る。
【0112】
例えば、結合の増加または減少は、フルオロフォアまたは光増感剤と消光剤との間の連結成分の長さを調節することによって促進され得る。ドナー−アクセプター対が結合する能力は、開示される結合体における2つの部分の間の疎水的もしくはイオン性相互作用または立体的な反発を調節することによって、増加または減少し得る。従って、ドナー−アクセプター対の結合の原因である分子内相互作用は、増強または減弱され得る。従って、例えば、ドナー−アクセプター対の間の結合は、例えば、全体として負電荷を有するドナーおよび全体として正電荷を有するアクセプターを利用することによって増加され得る。
【0113】
(2.標的部分)
本発明に開示される結合体は、特定の細胞、組織、レセプター、感染因子、または治療される被験体の身体の領域、例えば、標的細胞、標的組織、または標的組成物に優先的に付随するか、またはこれに結合する標的部分を含む。標的部分は、ポリペプチド(これは、線状、分枝状、または環状であり得る)であり得る。標的部分は、多糖類標的、例えば、レクチン(例えば、種子、豆、根、樹皮、海草、真菌、細菌、または無脊椎動物のレクチン)についての親和性を有するポリペプチドを含み得る。特に有用なレクチンには、タチナタマメから得られるコンカナバリンA、およびレンズマメ、Lens culinarisから得られるレクチンが含まれる。標的部分は、特定の細胞、組織、レセプター、感染因子、または治療される被験体の身体の他の領域に優先的に付随するか、またはこれに結合する分子または高分子構造であり得る。
【0114】
(a.例示的な標的部分)
標的部分の例には、オリゴヌクレオチド、炭水化物、炭水化物ポリマー(例えば、硫酸デキストランまたはヘパリン)、レセプター、リガンド、およびリガンド−レセプター対の1つのメンバーが含まれるがこれらに限定されない。標的部分として有用なリガンドには、レセプター特異的であるもの、ならびに免疫グロブリンおよびそのフラグメントが含まれる。例えば、標的分子として有用である免疫グロブリンには、一般的な抗体およびモノクローナル抗体、ならびにその免疫学的に反応性であるフラグメントが含まれる。
【0115】
例えば、以下のレセプターは、マクロファージを標的とするために使用され得る:補体レセプター(Rieuら、J.CellBiol.127:2081−2091,1994)、スカベンジャーレセプター(Brasseurら、Photochem.Photobiol.69:345−352,1999)、トランスフェリンレセプター(Dreierら、Bioconjug.Chem.9:482−489,1998;Hamblinら、J.Photochem.Photobiol.26:4556,1994);Fcレセプター(Rojanasakulら、Pharm.Res.11:1731−1733,1994);マンノースレセプター(Frankelら、Carbohydr.Res.300:251−258,1997;Chakrabartyら、J.Protozool.37:358−364,1990)。例えば、マクロファージを標的とするために、光増感剤とともに結合体化され得る標的部分は、低密度リポタンパク質(Mankertzら、Biochem.Biophys.Res.Commun.240:112−115,1997;von Baeyerら、Int.J.Clin.Pharmacol.Ther.Toxicol.31:382−386,1993)、超低密度リポタンパク質(Tabasら、J.Cell Biol.115:1547−1560,1991)、マンノース残基および他の炭水化物部分(Pittetら、Nucl.Med.Biol.22:355−365,1995)、ポリ−カチオン性分子、例えば、ポリ−L−リジン(Hamblinら、J.Photochem.Photobiol.26:45−56,1994)、リポソーム(Bakker−Woudenbergら、J.Drug Target.2:363−371,1994;Betageriら、J.Pharm.Pharmacol.45:48−53,1993)、抗体(Gruenheidら、J.Exp.Med.185:717−730,1997)、および2−マクログロブリン(Chuら、J.Immunol.152:1538−1545,1994)を含む。
【0116】
多くの標的部分および化合物を標的化するための方法が当業者に周知である。このような標的化方法のすべてが、本発明の結合体における使用のために本明細書で意図される。標的化方法の非限定的な例については、例えば、以下を参照のこと:米国特許第6,316,652号;同第6,274,552号;同第6,271,359号;同第6,253,872号;同第6,139,865号;同第6,131,570号;同第6,120,751号;同第6,071,495号;同第6,060,082号;同第6,048,736号;同第6,039,975号;同第6,004,534号;同第5,985,307号;同第5,972,366号;同第5,900,252号;同第5,840,674号;同第5,759,542号および同第5,709,874号。
【0117】
(b.配置)
本明細書に開示される結合体のドナー分子およびアクセプター分子は、結合体が、それが標的と相互作用しない場合に非反応性状態にあるように、ドナー−アクセプター移動距離内にあるように配置される。結合体が標的部分を介して標的細胞または標的組織と相互作用する場合、ドナー分子およびアクセプター分子は、それらの間のエネルギー移動がもはや起こらないように分離される。従って、結合体におけるドナー分子およびアクセプター分子の空間的再配列は、標的部分のその標的との相互作用後にのみ起こる。それゆえに、標的部分は、標的部分がその標的と相互作用するときに、結合体の空間的再配列は、ドナー分子およびアクセプター分子が、もはやドナーアクセプター移動距離にないように変化される。
【0118】
例えば、1つの実施形態において、その標的への結合体の結合に際して、その結合体の三次元構造は、消光剤が、光増感剤の励起状態をクエンチするためにもはや十分に近接して配置されないように変化され、従って、一重項酸素()の生成によって、蛍光ベースの診断方法またはPDTのために必要とされるように機能する光増感剤を可能にする。後者の場合において、次いで、一重項酸素は、標的を破壊するために利用可能である。この実施形態が診断目的のために使用される場合、光増感剤は、フルオロフォアとしてのみ機能する必要がある。次いで、本発明の消光剤は、標的に結合しないときは、フルオロフォアからの偽陽性シグナルの生成を妨害するように働く。
【0119】
別の実施形態において、ドナー分子は、その中心配位キャビティー中で金属原子を含むポルフィリンまたはポルフィリン誘導体テトラピロールであり、アクセプター分子は、光増感剤中に配位された金属のアキシアル位に配位する1つ以上の適切な官能基を有する消光剤である。標的部分は、標的との標的部分の相互作用が金属へのアキシアルリガンドの結合を破壊するような方法で結合体中に配置され、消光剤を遊離し、そしてポルフィリンまたはポルフィリン誘導体テトラピロールが照射されたときに活性化されることを可能にする。
【0120】
(C.結合体の調製)
本明細書で提供される結合体は、例えば、以下に提供され、かつ本明細書で例示されるように(例えば、実施例1から3を参照のこと)、当業者に公知である方法に従って調製され得る。
【0121】
(1.カップリング剤)
光増感剤とのリガンドの結合体を構築するための技術は当業者に周知である。例えば、Rakestrawらは、修飾デキストランキャリアを使用する、モノクローナル抗体への共有結合を介するSn(IV)クロリンeを結合体化することを教示する(Rakestraw,S.L.,Tompkins,R.D.,およびYarmush,M.L.,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 87:4217−4221(1990)。本明細書に開示される結合体は、カップリング剤を使用して、抗体などのリガンドに結合体化され得る。投与および治療のために必要とされる時間の間、生理学的条件下で要素が安定であるように、成分を連結することが可能である任意の結合が適切であるが、共有結合が好ましい。2つの成分間の連結は、例えば、光増感剤が標的因子に直接的に連結される場合に直接的であり得、または例えば、光増感剤が連結に連結され、その連結成分が標的因子に連結されている場合に間接的であり得る。
【0122】
カップリング剤は、温度、pH、塩、溶媒系、ならびにドナー分子、アクセプター分子、および標的部分の化学的安定性を実質的に保持する他の反応物の条件下で機能するべきである。カップリング剤は、安定に、しかしドナー分子、アクセプター分子、および標的部分の最小限の変性もしくは不活性化が存在するか、または変性もしくは不活性化が存在しないように、成分部分を連結するべきである。多くのカップリング剤は、アミンおよびカルボン酸と反応してアミドを形成するか、またはアルコールおよびカルボン酸と反応してエステルを形成するかである。カップリング剤は当該分野において公知である(例えば、M.Bodansky,「Principles of Peptide Synthesis」,第2版,ならびにT.GreeneおよびP.Wuts,「Protective Groups in Organic Synthesis」第2版,1991,John Wiley,NYを参照のこと)。このような基の代表的な組み合わせは、アミド結合を形成するためのアミノとカルボキシル、エステル結合を形成するためのカルボキシとヒドロキシ、またはアルキルアミン結合を形成するためのアミノとアルキルハライド、またはジスルフィドを形成するためのチオールとチオール、またはチオエステルを形成するためのチオールとマレイミドもしくはアルキルハライドである。明白に、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、および他の官能基は、存在しない場合には、公知の方法によって導入され得る。
【0123】
本明細書で提供される結合体は、抗体などの標的部分に光増感剤をカップリングすることによって、例えば、光増感剤乗の利用可能なエステル部分を切断すること、およびN末端を通しての抗体への結合を介する化合物のカップリングによって、または当該分野において公知である他の方法によって調製され得る。架橋剤を含む、種々のカップリング剤が共有結合的結合体化のために使用され得る。架橋剤の例には、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−スクシニミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、オルト−フェニレン−ジマレイミド(o−PDM)、およびスルホスクシニミジル4−(N−マレイミド−メチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)が含まれる。例えば、Karpovskyら J.Exp.Med.160:1686(1984);およびLiu,MAら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:8648(1985)を参照のこと。他の方法には、Brennanら Science 229:81−83(1985)およびGlennieら,J.Immunol.139:2367−2375 (1987)によって記載されるものが含まれる。ペプチドおよびタンパク質のための多数のカップリング剤が、緩衝液、溶媒、および使用方法とともに、Pierce Chemical Co.カタログ、O−90〜O−110頁(1995,Pierce Chemical Co.,3747 N.Meridian Rd.,Rockford Ill.,61105,U.S.A.)に記載されている。このカタログは、参照として本明細書によって援用される。
【0124】
例えば、DCCは、DMSO中でクロリンe6を得るためにアルコールNHSのカップリングを促進するために使用され、ポリリジンに架橋され得る活性化エステルを形成し得る有用なカップリング剤である。DCCは、ペプチド合成においてカップリング剤として一般に使用されているカルボキシ反応性の架橋剤であり、206.32の分子量を有する。別の有用な架橋剤はSPDPであり、これは一級アミン基およびスルフヒドリル基との使用のためのヘテロ二官能性架橋剤である。SPDPは312.4の分子量を有し、6.8オングストロームの長さのスペーサーアームが、NHSエステル基およびピリジルチオ基と反応性であり、さらなる反応の際に、薬剤が除去されるように切断可能な架橋を生じ、それゆえに、光増感剤は、連結成分または標的因子に直接的に連結され得る。他の有用な結合化剤は、2段階架橋のためのブロックされたSH基の導入のためのSATAであり、これは、ヒドロキシルアミン−HCl、およびスルホ−SMCCを用いて、アミンおよびスルフヒドリルに向けて反応性にデブロックされる。他の架橋剤およびカップリング剤はまた、Pierce Chemical Co.から入手可能である。さらなる化合物およびプロセス、特に、タンパク質の他のタンパク質または他の組成物への結合体化、例えば、タンパク質の金属イオン標識のためのレポーター基またはキレート剤への結合体化のために、中間体としてシッフ塩基を含むものが、EPO 243,929 A2(1987年11月4日公開)において開示されている。
【0125】
(2.反応基)
アクセプター分子または標的部分は、直接的にまたは連結成分を通して、ドナー分子上またはアクセプター分子上または標的部分上のいずれかで、反応基を使用してドナー分子に結合体化され得る。例えば、カルボキシル基を含む分子は、あらかじめ形成された反応性エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミドエステル)もしくはインサイチュで結合体化されたエステル、またはカルボジイミド媒介反応のいずれかによって、標的分子中のリジン −アミノ基に結合され得る。同じものは、スルホン酸基を含む分子に適用され、これは、アミノ基と反応するスルホニルクロライドに変換され得る。カルボキシル基を含む分子は、インサイチュカルボジイミド法によって、例えば、ポリペプチド上のアミノ基に結合され得る。分子はまた、セリン残基もしくはスレオニン残基のヒドロキシル基、またはシステイン残基のスルフヒドリル基に結合され得る。
【0126】
結合体の成分を結合させる方法、例えば、抗菌性ポリペプチドに光増感剤を有するポリアミノ酸鎖をカップリングすることは、ヘテロ二官能性架橋試薬を使用し得る。これらの剤は、1つの鎖の官能基に、および第2の鎖の異なる官能基に結合する。これらの官能基は、代表的には、アミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、およびアルデヒドである。これらの基および異なる式の構造と反応して、これらを一緒に結合体化する適切な部分の多くの順列が存在する。Pierceカタログ、およびMerrifield,R.B.ら,Ciba Found Symp.186:5−20(1994)を参照のこと。
【0127】
結合体の光増感剤成分は、分析物、抗原、抗体、または他の分子などの標的部分に、光増感剤成分が連結されることを可能にする、連結成分を含むように、必要に応じて官能基化され得る。例えば、連結成分は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、核酸、オリゴ糖、多糖類、または , −ジアミノアルカン結合種、例えば、1,3−ジアミノプロパンを含み得るがこれらに限定されない。この目的のために適切である種々の連結成分が記載されている。例えば、Kricka,J.J.,「Ligand−Binder Assays;Labels and Analytical Strategies」15−51頁(Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.(1985))を参照されたい。従来的な技術を使用して、光増感剤成分は連結成分に連結され、連結成分は分析物、抗原、抗体、または他の分子に連結される。
【0128】
(a.例示的な反応基および反応)
開示される結合体を調製するために有用である反応基および反応のクラスは、一般的に、生物結合体化学の技術分野において周知であるものである。反応のクラスには、比較的穏やかな条件下で進行するものが含まれる。これらには、求核置換(例えば、アシルハライド、活性エステルなどとの、アミンおよびアルコールの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、および炭素−炭素および炭素−ヘテロ原子の複数の結合への付加(例えば、Michael反応)が含まれるがこれらに限定されない。これらおよび他の有用な反応は、例えば、Morrisonら,「Organic Chemistry」第4版,AllynおよびBacon,Inc.,1983,ならびにHermanson「Bioconjugate Techniques」Academic Press,San Diego,1996において議論されている。
【0129】
例えば、有用な反応性官能基は以下を含む:
(a)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、酸ハライド、アシルイミダゾール、チオエスエル、p−ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル、および芳香族エステルを含むがこれらに限定されないカルボキシル基および種々のその誘導体;
(b)エステル、エーテル、アルデヒドなどに転換され得るヒドロキシル基;
(c)ハロアルキル基、ここで、ハライドは、例えば、アミン、カルボキシレートアニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコシドイオンなどの求核基で後に置換され得、それによってハロゲン原子の部位に新規な基の共有結合を生じる、ハロアルキル基;
(d)Diels−Alder反応に関与することが可能であり、例えば、マレイミド基などである求ジエン体;
(e)引き続く誘導体化が、例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン、もしくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、またはGrignard付加もしくはアルキルリチウム付加のようなメカニズムを介して可能であるようなカルボニル基;
(f)例えば、スルホンアミドを形成するための、引き続くアミンとの反応のためのスルホニル基;
(g)ジスルフィドに転換され得るか、またはアシルハライドと反応され得るチオール基;
(h)例えば、アシル化、アルキル化、または酸化され得る、アミンまたはスルフヒドリル基;
(i)例えば、環付加、アシル化、Michael付加などを受け得る、アルケン;
(j)例えば、アミンおよびヒドロキシル化合物と反応し得る、エポキシド;ならびに
(k)核酸合成において有用である、ホルホルアミダイトおよび他の標準的な官能基。
【0130】
文献において、分子に付加され得る容易に利用可能である反応基を介する共有結合のために、光増感剤およびクエンチャー分子を誘導するための広範な手引きが存在する。光増感剤を含むフルオロフォアを、他の分子および表面に結合体化するために利用可能である化学の多様性および有用性は、フルオロフォアで誘導体化された核酸を調製することに関する、広範な文献の本文によって例示される。例えば、Ullmanら,米国特許第3,996,345号およびKhannaら,米国特許第4,351,760号を参照のこと。
【0131】
(D.薬学的組成物)
(1.薬学的組成物の製剤)
本明細書に提供される薬学的組成物は、過剰増殖性組織または新血管形成に関連する、または過剰増殖性組織または新血管形成と結び付けられる、疾患または障害の1つ以上の症状の予防、治療、または改善において有用である本明細書で提供される治療有効量の1種以上の結合体を、薬学的に受容可能なキャリア中に含む。過剰増殖性組織または新血管形成に関連する疾患または障害には以下が含まれるがこれらに限定されない:癌または癌腫、腫瘍、急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、骨髄腫、乾癬、アテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、関節リウマチ、糖尿病性網膜症、黄斑変性、角膜新血管形成および脈絡膜血管腫。本明細書に提供される結合体の投与のために適切である薬学的キャリアには、投与の特定の様式のために適切であることが当業者に公知である任意のこのようなキャリアが含まれる。
【0132】
さらに、組成物は、組成物中の唯一の薬学的に活性な成分として製剤化され得るか、または他の活性成分と組み合わせ得る。
【0133】
薬学的製剤は、本明細書に提供される1種以上の結合体を含む。組成物は、1つの実施形態において、経口投与のための、例えば、溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、丸薬、カプセル、散剤、持続放出製剤またはエリキシルなどの適切な薬学的調製物に、または非経口投与のための滅菌溶液もしくは懸濁液中で、ならびに経皮パッチ調製物および乾燥粉末吸入剤に製剤化される。1つの実施形態において、上記に記載される結合体は、当該分野において周知である技術および手順を使用して、薬学的組成物に製剤化される(例えば、Ansel,「Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms」第4版 1985,126頁を参照のこと)。
【0134】
1種以上の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体の有効濃度は、適切な薬学的キャリアとともに混合される。結合体は、上記に記載されるように、対応する塩、エステル、エノールエーテルもしくはエステル、アセタール、ケタール、オルトエスエル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物、または製剤化の前のプロドラッグとして誘導体化され得る。組成物中の化合物の濃度は、投与の際に、過剰増殖性組織または新血管形成に関連する、または過剰増殖性組織または新血管形成と結び付けられる、疾患または障害の1つ以上の症状を予防、治療、または改善する量の送達のために有効である。
【0135】
1つの実施形態において、本明細書に開示される結合体は、単回投薬量投与のために製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量フラクションは、治療された状態が、軽減され、予防され、または1つ以上の症状が改善されるように、溶解され、懸濁され、分散され、またはさもなくば有効濃度の選択されたキャリア中で混合される。
【0136】
組成物は、治療される患者に対する望ましくない副作用の非存在下で治療的に有用な効果を発揮するために十分な量で、薬学的に受容可能なキャリア中に含まれる。治療有効濃度は、当該分野において公知であるインビトロまたはインビボの系において組成物を試験することによって、例えば、Pandeyらへの米国特許第5,952,366号(1999)に記載されるように経験的に決定され得、次いで、ヒトのための投薬量についてそこから外挿され得る。
【0137】
薬学的組成物の濃度は、活性組成物の吸収、不活性化、および排出速度、その組成物の物理化学的特性、投薬スケジュール、ならびに投与される量、ならびに当業者に公知である他の要因に依存する。例えば、送達される量は、過剰増殖性組織または新血管形成に関連する、または過剰増殖性組織または新血管形成と結び付けられる、疾患または障害の1つ以上の症状を改善するために十分である。
【0138】
1つの実施形態において、治療有効投薬量は、約0.1ng/mlから約50〜100μg/mlまでの活性成分の血清濃度を生じるべきである。別の実施形態において、薬学的組成物は、1日あたり体重キログラムあたり、約0.001mgから約2000mgまでの投薬量を供給するべきである。薬学的投薬量単位形態は、投薬量単位形態あたり、約0.01mg、0.1mg、または1mgから約500mg、1000mg、または2000mgまで、および1つの実施形態においては、約10mgから約500mgまでの活性成分または本質的な成分の組み合わせを供給するように調製される。
【0139】
活性成分は、即座に投与され得るか、または一定の時間間隔で投与される多数のより小さな用量に分割され得る。正確な投薬量および治療の期間は治療される疾患の関数であり、公知の試験プロトコールを使用して、またはインビボもしくはインビトロの試験データからの外挿によって経験的に決定され得ることが理解される。濃度および投薬量の値はまた、軽減される状態の重篤度に伴って変化し得ることが注記される。任意の特定の被験体のための、特定の投薬レジメンが、個々の必要性および組成物を投与する人または組成物の投与を監督する人の専門的な判断に従って、時間にわたって調整されるべきであること、ならびに本明細書に記載される濃度範囲は例示のみであり、本明細書に提供される結合体の範囲および実施を制限するのではないことがさらに理解される。
【0140】
組成物が十分でない溶解性を示す場合において、組成物を溶解するための方法が使用され得る。このような方法は当業者に公知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を使用すること、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤を使用すること、または水性炭酸水素ナトリウム中での溶解が含まれるがこれらに限定されない。
【0141】
化合物の混合または付加の際に、得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得る。得られる混合物の型は、多数の因子に依存し、これには、意図される投与の様式および選択されたキャリアまたはビヒクル中での組成物の溶解性が含まれる。有効濃度は、治療される疾患、障害、または状態の症状を改善するために十分であり、経験的に決定され得る。
【0142】
薬学的組成物は、適切な量の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を含む単位投薬量形態、例えば、錠剤、カプセル、丸薬、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液または懸濁液、および経口溶液または懸濁液、および油−水エマルジョン中で、ヒトおよび動物への投与のために提供される。薬学的に治療的に活性な組成物は、1つの実施形態において、単位投薬量形態または複数投薬量形態で製剤化および投与される。本明細書で使用される単位用量形態とは、当該分野において公知であるように、ヒトおよび動物の被験体のために適切であり、かつ個々にパッケージされた物理的に分けられた単位をいう。各単位用量は、必要とされる薬学的キャリア、ビヒクル、または希釈剤とともに、所望の治療効果を生じるために十分である、所定の量の治療的に活性な組成物を含む。単位用量形態の例には、アンプルおよびシリンジおよび個々にパッケージされた錠剤またはカプセルが含まれる。単位用量形態は、そのフラクションまたは複数で投与され得る。複数用量形態は、分離された単位用量形態で投与されるための単一の容器中にパッケージされた、複数の同一の単位投薬量形態である。複数用量形態の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセルのボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルが含まれる。従って、複数用量形態は、パッケージングにおいて分離されない、複数の単位用量である。
【0143】
液体である薬学的に投与可能な組成物は、例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどのキャリア中で上記に定義したような活性組成物および最適な薬学的アジュバントを、例えば、溶解、分散、またはさもなくば混合することによって調製され得、それによって溶液または懸濁液が形成される。所望の場合、投与される薬学的組成物はまた、湿潤剤、乳化剤、溶解剤、pH緩衝剤などの微量の非毒性補助物質、例えば、酢酸、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミンナトリウム酢酸塩、トリエタノールアミンオレイン酸塩、および他のこのような剤を含み得る。
【0144】
このような投薬量形態を調製するための実際の方法は公知であり、または当業者に明らかである;例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Company, Easton,PA.,第15版,1975)を参照のこと。
【0145】
非毒性キャリアから作られるバランスを伴って0.005%〜100%の範囲で活性成分を含む投薬量形態または組成物が調製され得る。これらの組成物の調製のための方法は当業者に公知である。意図される組成物は、0.001%〜100%の活性成分、例えば、1つの実施形態において0.1〜95%の活性成分、および別の実施形態において75〜85%の活性成分を含み得る。
【0146】
(2.経口投与のための組成物)
経口薬学的投薬量形態は、固体、ゲル、または液体のいずれかである。固体投薬量形態は、錠剤、カプセル、顆粒剤、およびバルク粉末である。経口錠剤の型は、圧縮チュアブルロゼンジおよび腸溶性コートされ、糖コートされ、またはフィルムコートされ得る錠剤を含む。カプセルは、ハードまたはソフトゼラチンカプセルであり得るのに対して、顆粒剤および散剤は、当業者に公知である他の成分の組み合わせとの非発泡性または発泡性の型で提供され得る。
【0147】
(a.経口投与のための固体組成物)
特定の実施形態において、製剤は固体投薬量形態であり;1つの実施形態において、製剤はカプセルまたは錠剤である。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、1種以上の以下の成分、または類似の性質の化合物を含み得る:結合剤;滑沢剤;希釈剤;流動促進剤;崩壊剤;着色料;甘味料;香料;湿潤剤;催吐コ−ティング;およびフィルムコーティング。結合剤の例には以下が含まれる:微結晶セルロース、トラガカントガム、キサンタンガム、グルコース溶液、アラビアゴム粘液、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリドン、ポビドン、クロスポビドン、スクロースおよびデンプンペースト。滑沢剤には以下が含まれる:タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、石松子、およびステアリン酸。希釈剤には、例えば、以下が含まれる:ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール、およびリン酸二カルシウム。流動促進剤にはコロイド状二酸化ケイ素が含まれるがこれに限定されない。崩壊剤には以下が含まれる:クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、コーンスターチ、ポテトスターチ、ベントナイト、メチルセルロース、寒天、およびカルボキシメチルセルロール。着色料には、例えば以下が含まれる:認可され、保証されている水溶性FD色素およびC色素、これらの混合物;ならびにアルミナ白に懸濁した水不溶性FD色素およびC色素。甘味料には以下が含まれる:スクロース、ラクトース、マンニトール、およびサッカリンなどの人工甘味料、ならびにスプレードライされた任意の数の香料。香料には以下が含まれる:果物などの植物から抽出された天然の香料、ならびに例えば、ペパーミントおよびサリチル酸メチルであるがこれに限定されない、快適な感覚を生じる化合物の合成のブレンド。湿潤剤には以下が含まれる:プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウラルエーテル。催吐コ−ティングには以下が含まれる:脂肪酸、脂肪、ワックス、セラック、アンモニア化セラック、およびセルロースアセテートフタレート。フィルムコ−ティングには以下が含まれる:ヒドロキシエチルセルロース、ジェランガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、およびセルロースアセテートフタレート。
【0148】
結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体は、胃の酸性環境からそれを保護するための組成物中で提供され得る。例えば、組成物は、胃の中でその完全性を維持し、かつ腸において活性組成物を放出する腸溶性コーティング中で製剤化され得る。組成物はまた、酸中和剤または他のそのような成分と組み合わせて製剤化され得る。
【0149】
投薬量単位形態がカプセルである場合、それは、上記の型の物質に加えて、脂肪油などの液体キャリアを含み得る。さらに、投薬量単位形態は、投薬量単位の物理的形態を修飾する種々の他の物質、例えば、糖のコーティングおよび他の腸溶性剤を含み得る。組成物はまた、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェファー、スプリンクル、チューインガムなどの成分として投与され得る。シロップは、活性成分に加えて、甘味料としてのスクロース、および特定の保存料、色素および着色料、ならびに香料を含み得る。
【0150】
活性物質はまた、所望の作用を損なわない他の活性物質、または所望の作用を補助する物質、例えば、酸中和剤、H2ブロッカー、および利尿剤などと混合され得る。活性成分は、本明細書に記載されるような、結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体である。重量で活性成分の約98%までのより高い濃度が含まれ得る。
【0151】
すべての実施形態において、錠剤およびカプセルの製剤は、活性成分の溶解を修飾または保持するために、当業者に公知であるようにコートされ得る。従って、例えば、これらは、従来的な腸で消化されるコーティング、例えば、フェニルサリチル酸、ワックス、およびセルロースアセテートフタレートなどでコートされ得る。
【0152】
(b.経口投与のための液体組成物)
液体経口投薬量形態は、水溶液、エマルジョン、懸濁液、発泡性でない顆粒から再構成された溶液および/または懸濁液、ならびに発泡性の顆粒から再構成された発泡性調製物を含む。水溶液には、例えば、エリキシルおよびシロップが含まれる。エマルジョンは、水中油型または油中水型のいずれかである。
【0153】
エリキシルは、透明で、甘味のある、水アルコール調製物である。エリキシル中で使用される薬学的に受容可能なキャリアは溶媒を含む。シロップは、濃縮された糖、例えば、スクロースの水溶液であり、保存料を含み得る。エマルジョンは、1つの液体が、別の液体の全体にわたる小さな球の形態中に分散されている二相系である。エマルジョン中で使用される薬学的に受容可能なキャリアは、非水性液体、乳化剤、および保存剤である。懸濁液は、薬学的に受容可能な懸濁剤および保存剤を使用する。液体経口投薬量形態に再構成される、発泡性でない顆粒中で使用される薬学的に受容可能な物質には、希釈剤、甘味料、および湿潤剤が含まれる。液体経口投薬量形態に再構成される、発泡性の顆粒中で使用される薬学的に受容可能な物質には、有機酸および二酸化炭素の供給源が含まれる。着色料および香料は、上記のすべての投薬量形態において使用される。
【0154】
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール、およびシロップが含まれる。保存剤の例には、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、およびアルコールが含まれる。エマルジョン中で利用される非水性液体の例には鉱油および綿実油が含まれる。乳化剤の例には、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、およびポリオキシエチレンソルビタンオレエートなどの界面活性剤が含まれる。懸濁剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、キサンタンガム、Veegum clay、およびアカシアが含まれる。甘味料には、スクロース、シロップ、グリセリン、およびサッカリンなどの人工甘味料が含まれる。湿潤剤には、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ジエチレングリコールモノラウレート、およびポリオキシエチレンラウラルエーテルが含まれる。有機酸には、クエン酸および酒石酸が含まれる。二酸化炭素の供給源には、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが含まれる。着色料には、認可され、保証されている水溶性FD色素およびC色素、ならびにこれらの混合物のいずれかが含まれる。香料には、果物などの植物から抽出された天然の香料、および快適な感覚を生じる化合物の合成のブレンドが含まれる。
【0155】
固体投薬量形態のために、例えば、プロピレンカーボネート、植物油、またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液は、1つの実施形態において、ゼラチンカプセル中にカプセル化される。このような溶液、ならびにその調製およびカプセル化は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号;および同第4,410,545号において開示されている。液体投薬量形態のために、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液は、投与のために容易に測定されるために、十分な量の薬学的に受容可能な液体キャリア、例えば、水で希釈され得る。
【0156】
代替的には、液体または半固体経口製剤は、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、プロピレンカーボネート)および他のこのようなキャリア中に活性組成物または塩を溶解または分散することによって、ならびにこれらの溶液または懸濁液をハードまたはソフトゼラチンカプセルの中にカプセル化することによって調製され得る。他の有用な製剤には、米国特許第RE28,819号および同第4,358,603号に記載されるものが含まれる。手短に述べると、このような製剤は、本明細書に提供される結合体、1,2−ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール−350−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−550−ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール−750−ジメチルエーテル(ここで350、550、および750はポリエチレングリコールの適切な平均分子量である)を含むがこれらに限定されない、ジアルキル化モノ−もしくはポリ−アルキレングリコール、ならびに1種以上の抗酸化剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピルガレート、ビタミンE、ヒドロキノン、エタノールアミン、ヒドロキシクマリン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、チオジプロピオン酸およびそのエステル、ならびにジチオカルバメートを含むものを含むがこれらに限定されない。
【0157】
他の製剤には、薬学的に受容可能なアセタールを含む水性アルコール溶液が含まれるがこれに限定されない。これらの製剤において使用されるアルコールは、1つ以上のヒドロキシル基を有する任意の薬学的に受容可能な水混和性溶媒であり、プロピレングリコールおよびエタノールを含むがこれらに限定されない。アセタールには、低級アルキルアルデヒドジ(低級アルキル)アセタール、例えば、アセトアルデヒドジエチルアセタールが含まれるがこれに限定されない。
【0158】
(3.注射液、溶液、およびエマルジョン)
非経口投与はまた、皮下、筋肉内、または静脈内のいずれかでの注射によって特徴付けられる1つの実施形態において、本明細書で意図される。注射液は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中の溶液もしくは懸濁液のために適切である固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来的な形態で調製され得る。注射液、溶液、およびエマルジョンはまた、1種以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望の場合、投与される薬学的組成物はまた、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解増強剤、および他のこのような剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、およびシクロデキストリンなどを含み得る。
【0159】
一定のレベルの投薬量が維持されるように(例えば、米国特許第3,710,795号を参照されたい)、徐放系または持続放出系の移植もまた、本明細書で意図される。手短に述べると、本明細書で提供される結合体は、固体内部マトリックス、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化されたかまたは可塑化されていないポリビニルクロライド、可塑化されたナイロン、可塑化されたポリエチレンテレフタレート、天然のゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのハイドロゲルなどの親水性コポリマー、コラーゲン、架橋されたポリビニルアルコールおよび架橋された部分的に加水分解されたポリビニルアセテートの中に分散され、これは、体液中で不溶性である、外部のポリマー膜、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロライド、酢酸ビニルとのビニルクロライドコポリマー、ビニリデンクロライド、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルラバーエピクロロヒドリンラバー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールコポリマー、およびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーによって取り囲まれる。組成物は、放出速度制御工程において、外部ポリマー膜を通して拡散する。このような非経口組成物に含まれる活性組成物のパーセンテージは、その特定の性質、ならびにその組成物の活性および被験体の必要性に高度に依存する。
【0160】
組成物の非経口投与は、静脈内、皮下、および筋肉内の投与を含む。非経口投与のための調製物は、注射のために準備された滅菌溶液、皮下注射錠剤を含む、使用直前に溶媒を混合されるために準備された、凍結乾燥粉末などの滅菌乾燥可溶性産物、注射のために準備された滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせられるために準備された滅菌乾燥不溶性産物、および滅菌エマルジョンを含む。溶液は、水性または非水性のいずれかであり得る。
【0161】
静脈内投与される場合、適切なキャリアは、生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、ならびに濃厚剤および溶解剤、例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、およびそれらの混合物を含む溶液を含む。
【0162】
非経口調製物中で使用される薬学的に受容可能なキャリアは、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、および他の薬学的に受容可能な物質を含む。
【0163】
水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンガー注射液が含まれる。非水系非経口ビヒクルには、植物起源の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油、およびピーナッツ油が含まれる。静菌性または静真菌性濃度の抗菌剤は、複数用量の容器中にパッケージされた非経口調製物に加えられなければならず、これは、フェノールもしくはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンズアルコニウムクロライド、およびベンズエトリウムクロライドを含む。等張剤には、塩化ナトリウムおよびデキストロースが含まれる。緩衝剤には、リン酸およびクエン酸が含まれる。抗酸化剤には重硫酸ナトリウムが含まれる。局所麻酔剤には、プロカイン塩酸塩が含まれる。懸濁剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが含まれる。乳化剤には、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が含まれる。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤には、EDTAが含まれる。薬学的キャリアはまた、水混和性ビヒクルのためのエチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコール;pH調製のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸を含む。
【0164】
薬学的に活性な組成物の濃度は、注射が所望の薬学的または治療的な効果を生じるための有効量を提供するように調整される。正確な用量は、当該分野において公知であるように、患者または動物の齢、体重、および状態に依存する。
【0165】
単位用量非経口調製物は、アンプル、バイアル、または針付きシリンジにパッケージングされる。非経口投与のためのすべての調製物は、当該分野において公知であるように、滅菌されなければならない。
【0166】
例示として、活性組成物を含む滅菌水溶液の静脈内または動脈内の注入は、投与の有効なモードである。別の態様は、所望の薬理学的効果を生じるために必要であるように注射される、活性物質を含む滅菌された水溶液または油性溶液または懸濁物である。
【0167】
注射液は、局所的および全身的投与のために設計される。1つの実施形態において、治療有効投薬量は、治療される組織に対して少なくとも約0.1% w/w〜約90% w/w以上、特定の実施形態において、1% w/wより多くの濃度の活性組成物を含むように製剤化される。
【0168】
組成物は、ミクロン化もしくは他の適切な形態に懸濁され得、またはより溶解性が高い活性生成物を生じるため、もしくはプロドラッグを生じるために誘導体化され得る。得られる混合物の型は、意図される投与の様式、および選択されたキャリアまたはビヒクル中での組成物の溶解性を含む多数の要因に依存する。有効濃度は、状態の症状を改善するために十分であり、かつ経験的に決定され得る。
【0169】
(4.凍結乾燥粉末)
本明細書で目的のものはまた、凍結乾燥粉末であり、これは、溶液、エマルジョン、および他の混合物としての投与のために再構成され得る。これらはまた、固体またはゲルとして再構成および製剤化され得る。
【0170】
滅菌した凍結乾燥粉末は、適切な溶媒中で、本明細書に提供される結合体、または薬学的に受容可能な誘導体を溶解することによって調製される。この溶媒は、安定性を改善する賦形剤、または粉末もしくは粉末から調製される再構成された溶液の他の薬理学的成分を含み得る。使用され得る賦形剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の適切な剤。この溶媒はまた、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはカリウム、または当該分野で公知である他のこのような緩衝液を含み得、1つの実施形態において、ほぼ中性pHである。当業者に公知である標準条件下での、引き続く滅菌濾過、その後の凍結乾燥が、所望の製剤を提供する。1つの実施形態において、得られる溶液は、凍結乾燥のためにバイアルに分注される。各バイアルは組成物の単回投薬量または複数回の投薬量を含む。凍結乾燥粉末は、例えば、約4℃〜室温などの適切な条件下で保存され得る。
【0171】
注射のための水を用いるこの凍結乾燥粉末の再構成は、非経口投与における使用のための製剤を提供する。再構成のために、凍結乾燥粉末は、滅菌水または他の適切なキャリアに加えられる。正確な量は、選択される組成物に依存する。このようハイブリダイゼーション量は経験的に決定され得る。
【0172】
(5.局所的投与)
局所的混合物は、局所的投与および全身性投与のために記載されるように調製される。得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、フォーム、エアロゾル、潅水、スプレー、坐剤、絆創膏、皮膚パッチ、または局所的投与のために適切である任意の他の製剤として製剤化される。
【0173】
結合体またはその薬学的に受容可能である誘導体は、例えば、吸入による局所的適用のためのエアロゾルとして製剤化され得る(例えば、米国特許第4,044,126号;同第4,414,209号;および同第4,364,923号を参照のこと、これらは、炎症性疾患、特に、喘息の治療のために有用であるステロイドの送達のためのエアロゾルを記載する)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独でまたはラクトースなどの不活性キャリアと組み合わせた、噴霧器のためのエアロゾルもしくは溶液の形態で、または吸入のための微細粉末としてであり得る。このような場合において、製剤の粒子は、1つの実施形態において、50ミクロン未満の直径を有し、別の実施形態においては、10ミクロン未満の直径を有する。
【0174】
組成物は、皮膚および粘膜、例えば、眼における粘膜での局所的適用などの局部的または局所的適用のために、ゲル、クリーム、およびローションの形態で製剤化され得、ならびに眼への局所的適用のために、または大槽内もしくは脊髄内の適用のために製剤化され得る。局所的投与は、経皮送達のため、およびまた、眼もしくは粘膜への投与のため、または吸入治療のためにに意図される。単独でまたは他の薬学的に受容可能な賦形剤を組み合わせた、活性組成物の鼻溶液もまた、投与され得る。これらの溶液、特に、眼科的用途のために意図されるものは、0.01%〜10%の等張溶液、pH約5〜7として、適切な塩を伴って製剤化され得る。
【0175】
(6.他の投与の経路のための組成物)
他の投与の経路、例えば、イオン泳動および電気泳動デバイスを含む経皮パッチ、および直腸投与もまた、本明細書で意図される。
【0176】
イオン泳動および電気泳動デバイスを含む経皮パッチは当業者に公知である。例えば、このようなパッチは、米国特許第6,267,983号;同第6,261,595号;同第6,256,533号;同第6,167,301号;同第6,024,975号;同第6,010715号;同第5,985,317号;同第5,983,134号;同第5,948,433号および同第5,860,957号に開示されている。
【0177】
例えば、直腸投与のための薬学的投薬量形態は、全身性効果のための、直腸坐剤、カプセル、および錠剤である。直腸坐剤は、直腸への挿入のための半固形物で本明細書で使用され、これは、体温において溶解または軟化して、1種以上の薬学的または治療的に活性な成分を放出する。直腸組成物中で利用される薬学的に受容可能な物質は、基剤またはビヒクルおよび融点を上昇するための薬剤である。基剤の例には、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、ならびに脂肪酸のモノ−、ジ−、およびトリグリセリドの適切な混合物が含まれる。種々の基剤の組み合わせが使用され得る。坐剤の融点を上昇させるための薬剤には、鯨ろうおよびワックスが含まれる。直腸坐剤は、圧縮方法によって、または成形によってのいずれかで調製され得る。直腸坐剤の重量は、1つの実施形態において、約2〜3gmである。
【0178】
直腸投与のための錠剤およびカプセルは、同じ薬学的に受容可能な物質を使用して、および経口投与のための製剤と同じ方法によって製造される。
【0179】
(E.製造物品)
組成物またはその薬学的に受容可能な誘導体は、過剰増殖性組織または新血管形成の活性を調節するために、あるいは過剰増殖性組織もしくは新血管形成活性が媒介する疾患もしくは障害、または過剰増殖性組織もしくは新血管形成活性が関与する疾患もしくは障害の1つ以上の症状の治療、予防、もしくは改善のために有効である、本明細書に提供されるパッケージング材料、結合体、またはその薬学的に受容可能な誘導体をパッケージング材料中に含み、および結合体、またはその薬学的に受容可能な誘導体が、過剰増殖性組織もしくは新血管形成の活性を調節するため、あるいは過剰増殖性組織もしくは新血管形成の活性を調節するために、または過剰増殖性組織もしくは新血管形成が媒介する疾患もしくは障害、または過剰増殖性組織もしくは新血管形成活性が関与する疾患もしくは障害の1つ以上の症状の治療、予防、または改善のために使用されることを示すラベルを含む、製造物品としてパッケージングされ得る。
【0180】
本明細書に提供される製造物品はパッケージング材料を含む。薬学的製品をパッケージングする際の使用のためのパッケージング材料は、当業者に周知である。例えば、米国特許第5,323,907号;同第5,052,558号および同第5,033,252号を参照のこと。薬学的なパッケージング材料の例には、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、シリンジ、ボトル、ならびに選択された製剤のため、投与および治療のために意図される様式のために適切である任意のパッケージング材料が含まれるがこれらに限定されない。本明細書に提供される結合体および組成物の広範な製剤のアレイが、過剰増殖性組織または新血管形成が症状または原因に対する媒介物または寄与物として関与する、任意の疾患または障害のための種々の治療として意図される。
【0181】
(F.キット)
本明細書に開示される任意の1つの結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体は、本明細書に開示される方法のいずれかを実行することに対する指示書とともにキット中で供給され得る。指示書は、任意の目に見える形、例えば、印刷された紙、方法をどのように実行するかを人に指示するコンピュータディスク、方法をどのように実行するかについての指示を含むビデオカセットもしくはデジタルビデオデバイス、または遠隔地からのデータを受け取り、かつ人に指示を例証するかまたはさもなくば人に指示を提供するコンピュータメモリ(例えば、インターネット上で)であり得る。
【0182】
例えば、サンプル中で、または感染因子を診断するために標的組織または標的組成物を検出するためのキットがさらに提供され、このキットは、標的組織または標的組成物を標的とする標的部分を含む、本明細書に記載される任意の1つの結合体、および例えば、標的組織が被験体中に存在しているか否か、または被験体が感染因子に感染しているか否かを決定する際に、アッセイを実行するため、または結果を解釈するため、または補助するための指示書を含む。このキットはまた、結合体を保持するため、またはアッセイを実行するための1つ以上の容器(マイクロタイタートレイ、エッペンドルフチューブなど)を必要に応じて含む。このキットはまた、結合体を使用する任意の検出反応またはアッセイを較正するための標準を含み得る。
【0183】
(G.結合体の使用の方法)
(1.PDT、診断的適用、および治療的適用の方法)
手短に述べると、一般的に、標的組織、標的組成物、または被験体が照射に供される前に、被験体に投与される。組成物は、本明細書の他の箇所に記載されるように投与される。
【0184】
最適な治療レベルのために本明細書に開示される結合体の用量は、臨床的に決定され得る。特定の長さの時間が、標的組織によって取り込まれる、循環しているまたは局所的に送達される結合体のために通用される。未結合結合体は、この待ち時間の間に循環から取り除かれ、またはさらなる時間が、必要に応じて、非標的組織からの未結合結合体の除去のために提供され得る。この待ち時間は、臨床的に決定され、組成物の組成に依存して変化し得る。
【0185】
この待ち時間の終了時に、光源は、結合した結合体を活性化するために使用される。光源は、非コヒーレント(非レーザー)またはコヒーレント(レーザー)光を提供し得る。例えば、非コヒーレント光源には、光フィルターを備えた水銀およびキセノンアークランプ、タングステンランプ、冷陰極蛍光ランプ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、LEDアレイ、白熱光源、および他の電子発光素子が含まれるがこれらに限定されない。ランプ光源は、照射領域の微細な定義が必要とされない場合に、または大きな領域が照射される場合に使用される。集光された非コヒーレント光が、例えば、光を指向または送達するために、光または光ファイバーに集光するためにレンズを使用することによって、小さな領域を照射するために使用され得る。レーザー光源は、通常、それらのより高い特定の輝度およびより容易に制御されるビーム特性のために、小さな、十分に定義された領域を照射するために使用される。コヒーレント光源には、アルゴンイオンレーザー、レーザーダイオード、波長可変レーザー、Ti−サファイアレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、GaAlAsおよびInGaAsダイオードレーザー、Nd−YLFレーザー、Nd−ガラスレーザー、Nd−YAGレーザー、およびファイバーレーザーが含まれるがこれらに限定されない。例えば、レーザーは、しばしば、共焦点装置における励起光源として、および非常に高い流量を作製するために使用される。光源は、これらがしばしば、特定の範囲内の任意の所望のバンドを提供するようにフィルターをかけ得る連続スペクトルを一般的に生じる、ランプと対照的に別々のセットの波長を放射するという点で制限される。
【0186】
照射の領域は、検出、診断、または治療される病理学的症域の位置および寸法によって決定される。照射の持続時間は、検出または治療が実行されるか否かに依存し、かつ経験的に決定され得る。約1分から72時間の間のどこかである全体のまたは累積的な時間が使用され得る。1つの実施形態において、照射時間は、約4分間から48時間の間である。別の実施形態において、照射時間は、約30分から24時間の間である。
【0187】
照射のために使用される光の全体の流量およびエネルギーは、約10ジュールと約25,000ジュールの間であり;ある実施形態において、全体の流量は約100ジュールと約20,000ジュールの間、または約500ジュールと約10,000ジュールの間である。所望の効果を生じるために十分である波長および流量の光が、蛍光による検出のため、または標的組織もしくは標的組成物を破壊または損なうための治療的処置のために関わらず選択される。光増感剤の特徴的な光吸収波長を少なくとも部分的に有する、対応する波長を有する光が、標的組織を照射するために使用される。
【0188】
使用される光によって送達される出力はワットで測定され、ここで、1ワットが1ジュール/秒に等しい。強度は領域あたりの出力である。従って、強度は、ワット/cmで測定し得る。それゆえに、本発明において照射するために使用される光の強度は、約5mW/cmから約500mW/cmの間であり得る。ジュールでの光のエネルギーの全体の流量または量は、秒での全体の露出時間で除算されるので、標的が照射に曝露される時間の量が長いほど、より大きな全体のエネルギーまたは流量の量が、使用される光の強度の量を増加することなく使用され得る。本発明は、本明細書に開示される結合体を活性化するために十分に高い、照射の全体の流量を利用する。
【0189】
光線力学療法のために本明細書に開示される結合体を使用する1つの実施形態において、結合体は、診断または治療される哺乳動物、例えば、ヒトに注射される。注射のレベルは、通常、約0.1〜約0.5μモル/kg体重の間である。治療の場合において、治療される領域は、所望の波長およびエネルギー、例えば、約10〜200J/cmの光に曝露される。検出の場合において、蛍光は、結合体を照射するために使用されるのとは異なる波長で結合体が蛍光を発するために十分である波長の光に対する曝露の際に測定される。検出において使用されるエネルギーは蛍光を発生するために十分であり、かつ治療のために必要とされるものよりも、通常有意に低い。
【0190】
(2.標的組織または標的組成物の検出)
PDTに加えて、本明細書に提供される組成物は、被験体中の標的細胞、標的組織、または標的組成物を検出するために使用され得る。本明細書に提供される結合体の1つは、標的組織または標的組成物の検出のために使用され得る。結合体は被験体に導入され、十分な時間が、結合体が標的組織に蓄積し、または標的組成物と結合されるために許容される。次いで、治療の領域が、一般的に、結合体の蛍光を生じるために十分なエネルギーの光を使用して照射され、および使用されるエネルギーは、通常、光線力学療法治療のために必要とされるよりも有意に少ない。蛍光は、所望の波長の光への曝露の際に測定され、蛍光の量は、当該分野において公知である方法によって、結合体の存在と、定性的にまたは定量的に相関され得る。
【0191】
(3.感染因子の診断)
本明細書に提供される結合体は、被験体中の感染因子の存在、または感染因子の存在を診断するために使用され得る。この実施形態において、本明細書に提供される結合体の標的部分は、感染因子のために特異的であるように選択される。例えば、選択された標的部分は、感染因子と選択的に結合する、抗体または抗体フラグメントであり得る。開示される結合体が、感染性薬剤と結合するため、および非標的組織を取り除くために十分な時間を割り当てる後に、結合体は、例えば、結合体の蛍光を生じるために十分なエネルギーの光に曝露することによって可視化され得る。例として、本明細書に提供される任意の1つの結合体が、標的部分として、適切なHelicobacter pylori抗原に対して標的化される抗体を含み得る。この結合体は、被験体に導入されたときに、細菌が見い出される胃の粘膜/上皮層に結合体を放出する薬学的調製物に製剤化される。結合体が標的感染因子と選択的な結合するために、および任意の未結合結合体が非標的組織から取り除かれるために十分な時間の後、被験体は、いずれかのHelicobacter pyloriが存在するか否かを決定するために試験され得る。これは、例えば、結合体の蛍光を生じるために十分なエネルギーの光で疑わしい標的領域を照射することによって、例えば、光ファイバーを使用することによって、および結合体の任意の蛍光を検出することによって行われ得る。
【0192】
(4.蛍光イムノアッセイ)
プラークイムノアッセイが有する1つの問題は、バックグラウンド放射から目的の蛍光シグナルを区別することであった。バックグラウンド放射からのシグナルの強度は、目的の蛍光シグナルの強度よりも10,000倍まで大きい可能性がある。このバックグラウンド検出の問題は、生物学的サンプルのアッセイにおいて、特に明白になる。例えば、血漿の分析において、天然に存在する蛍光性物質、ビリベルジンの存在は、実質的なバックグラウンド放射を引き起こす。このような化合物は高度に蛍光性であり、標識のシグナルと干渉する有意なバックグラウンドシグナルに寄与し、従って、蛍光標識を使用するアッセイの感度を制限する。
【0193】
開示される結合体のいずれか1つが診断目的のために使用される場合、光増感剤成分は、フルオロフォアとしてのみ機能する必要がある。次いで、この実施形態の消光剤は、それが標的に結合しないときに、フルオロフォアからの偽陽性シグナルの生成を妨害するように働く。消光剤が、光増感剤がフルオロフォアとして機能し得る、光増感剤との、蛍光−クエンチング相互作用−許容位置から移動するのは、標的細胞、標的組織、または標的組成物との、開示される結合体の標的部分の相互作用に際してのみである。
【0194】
蛍光イムノアッセイは当業者に周知である。例えば、1つの実施形態において、サンプルは、感染因子または標的組成物の存在について分析され得る。サンプルは、固体支持体に固定化され得、またはアッセイは溶液中で行われ得る。開示される結合体は、生物学的アッセイ条件下で、サンプルに加えられ、かつそれとともにインキュベートされる。試験サンプルが固体支持体に固定化される場合、過剰の未結合結合体は、例えば、緩衝液、生理食塩水、または蒸留水で固体支持体を洗浄することによって、必要に応じて除去され得る。本明細書に開示される結合体の性質のために、標的部分を介して標的に結合する結合体のみが、照射された場合に蛍光を発する。分析されるサンプルに結合される結合体の検出および測定は、定性的または定量的な測定のための比較的な値に対して、比較され得る値を生じる。
【0195】
以下の実施例は、例示目的のみであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0196】
(実施例1)
タラポルフィンナトリウムなどの光増感剤を、一本鎖オリゴヌクレオチドの一方の末端への共有結合を用いて結合体化する。このオリゴヌクレオチドは、標的の組織または構造について適切な程度の結合親和性を有することが知られている結合配列からなる、オリゴヌクレオチドの残りの部分の中間の相互に相補的な配列で開始および終了する。オリゴヌクレオチドの反対の末端を、非経口消光剤への共有結合を介して結合体化する。
【0197】
治療的に有用な量のこの結合体を被験体に投与する。薬剤が意図される標的に結合し、かつ正常な組織から取り除かれるために十分な時間の後、適切な波長の光源を使用して、病巣または過剰増殖性組織の範囲を含む領域に治療的に有用な量の光を送達する。
【0198】
(実施例2)
別の実施形態において、光増感剤タラポルフィンナトリウムを、水溶性カルボジイミド試薬を使用して、市販のα,ω−ジアミノアルカン連結種、例えば、1,3−ジアミノプロパンを用いて誘導体化し、図2に示されるモノアミノ化合物を得る。次いで、この種を、当該分野において公知である方法を使用して、標的部分、例えば、抗体または生物学的系において選択的標的化を示すポリマー上のスルフヒドリル反応性連結部分を介して連結する。これらの方法は、通常、チオール官能基と化学的に反応する求電子基(例えば、ハロアセチル基またはマレイミジル基)を用いる処理を含む。図2に示される種の単一のアミノ酸構造は、部位化学的に定義された種の調製を可能にし、ここで、消光剤は、組成物の残りの部分に共有結合される。当業者は、5’リン酸上にスルフヒドリル末端を有するアルキル基が配置されている、市販の型のオリゴヌクレオチドに消光剤を連結するためにこの方法を使用し得る。
【0199】
(実施例3)
タラポルフィンナトリウムなどの光増感剤を、アミド結合を介して、標的への選択的結合を示すことが知られているポリマーの一方の末端に結合体化する。ポリマーの反対の末端は、ダブシルクロライドなどの市販の剤を用いる反応によって、消光剤、例えば、ダブシル(4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)ベンゾイル)基に結合体化する。この剤を、組成物の水性溶液への適切な金属イオンの付加によってさらに修飾し得る。この金属は、ポルフィリン環系の配位ポケットに結合し、かつまたクエンチング基のアミン基またはアゾ基に配位し、消光剤が、エネルギー移動を可能にするために光増感剤に十分に近接したままであり、それによって、一重項酸素の生成をクエンチすることを確実にする。次いで、その標的への標的ポリマーの結合は、この配位結合環境を破壊し。金属から消光剤を遊離させ、消光剤が光増感剤から離れて移動することを可能にし、かつその活性を回復する。
【0200】
この例示的な結合体の治療的に有用な量を被験体に投与する。結合体が意図された標的に結合し、かつ正常組織から取り除かれるために十分な時間の後、適切な波長の光源を使用して、病巣または過剰増殖性組織の範囲を含む領域に治療的に有用な量の光を送達する。
【0201】
修飾が当業者には明らかであるので、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。本明細書において引用されるすべての特許、公開特許出願、および特許でない文書は、参照として本明細書によって援用される。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】図1は、標的への標的化された光増感剤の結合反応の模式図である。
【図2】図2は、連結剤と結合された光増感剤を図示する。
【図3】図3は、結合活性化された光増感剤を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合体であって、
フルオロフォアまたは光増感剤
消光剤;および
標的部分を含み、ここで:
該フルオロフォアまたは該光増感剤は、該消光剤および該標的部分に連結され、それは、該標的部分が標的に結合するまで該フルオロフォアまたは該光増感剤の活性化がクエンチされ、該消光剤が該光増感剤から離れて移動するとすぐに、適切な波長の光での照射の際に該光増感剤の活性化を可能にするような様式である、
結合体。
【請求項2】
前記フルオロフォアが5−((2−アミノエチル)−アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)である、請求項1に記載の結合体。
【請求項3】
前記光増感剤がポルフィリンである、請求項1に記載の結合体。
【請求項4】
前記光増感剤がクロリンである、請求項1に記載の結合体。
【請求項5】
前記光増感剤がバクテリオクロリンである、請求項1に記載の結合体。
【請求項6】
前記消光剤がβ−カロテンまたはその誘導体である、請求項1に記載の結合体。
【請求項7】
前記標的部分が抗体である、請求項1に記載の結合体。
【請求項8】
前記標的部分が抗体のフラグメントまたは他の誘導体である、請求項1に記載の結合体。
【請求項9】
前記標的部分が、抗原、リガンド、レセプター、特異的結合対の1つのメンバー、ポリアミド、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)またはLDLのアポタンパク質、ステロイド、ステロイド誘導体、ホルモン、およびホルモン模倣物からなる群より選択される、請求項1に記載の結合体。
【請求項10】
前記光増感剤および前記消光剤が、1〜20個の炭素原子のアミノもしくはヒドロキシ脂肪酸、またはスルホン酸と、エステル結合、アミド結合、またはスルホンアミド結合を使用して連結するための連結成分を含む、請求項1に記載の結合体。
【請求項11】
前記連結成分が20〜60残基のオリゴヌクレオチドである、請求項10に記載の結合体。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドが、所望の標的の非存在下で該オリゴヌクレオチドに1つの立体構造をとらせる、互いに相補的な領域の少なくとも1つの対とともに、該所望の標的への結合のための特異的配列を含み、
前記消光剤が、前記光増感剤を不活性にするために、該光増感剤に対して十分に近傍にあり;
ここで、該標的への標的特異的配列の結合が該立体構造を破壊し、適切な波長の光での照射の際に、該光増感剤が活性になることを可能にする、請求項11に記載の結合体。
【請求項13】
前記消光剤が、4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)または4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(DABSYL)である、請求項1に記載の結合体。
【請求項14】
前記光増感剤および消光剤が、前記所望の標的に対する結合特異性を示すポリマーに連結され、ここで、該標的の非存在下では、該連結された系は、該光増感剤を光化学的に不活性にするために該消光剤が該光増感剤に十分に接近する立体構造をとり、そして該標的の存在下では、この立体構造が破壊され、光化学的プロセスが実行されることを可能にする、請求項1に記載の結合体。
【請求項15】
前記光増感剤が、ポルフィリンまたはポルフィリン誘導体であるテトラピロールを含み、かつその中心配位キャビティーに生理学的に受容可能な金属原子を有し、1個以上の適切な官能基が、該光増感剤中に配位された該金属のアキシアル位に効率的に配位する消光剤に配置されるか、またはその近傍に配置され;
そして前記標的部分は、標的の存在が金属に対して軸方向のリガンドの比較的弱い結合を破壊するような様式で配置され、消光剤を遊離させ、そして蛍光またはPDT剤を活性にする、請求項1に記載の結合体。
【請求項16】
前記フルオロフォアは、1つより多くの型の第2のフルオロフォアまたは光増感剤の励起のための適切な波長の光を放射し、そして該1つより多くの第2のフルオロフォアまたは光増感剤の存在が、組成物が異なる応答を生じることを可能にし、その応答は、該組成物が反応し得る各々の標的の存在に対して適切であるように設計される、請求項1に記載の結合体。
【請求項17】
前記標的部分が、少なくとも1つの硫酸官能基またはスルホン酸官能基を有するポリマーである、請求項1に記載の結合体。
【請求項18】
前記標的部分が硫酸デキストランである、請求項17に記載の結合体。
【請求項19】
前記硫酸デキストランが、約5,000の平均分子量を有する、請求項18に記載の結合体。
【請求項20】
前記光増感剤がタラポルフィン(Talaporfin)ナトリウムである、請求項1に記載の結合体。
【請求項21】
薬学的に受容可能なキャリア中に、請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を含む、薬学的組成物。
【請求項22】
製造物品であって、
パッケージング材料;および
該パッケージング材料中に含まれる請求項1の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体
を含み、ここで:
該結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体は、過剰増殖障害の症状を改善するための光線力学療法治療において有効であり;かつ
該パッケージング材料は、組成物またはその塩が過剰増殖性障害の症状を改善するための光線力学療法治療において使用されることを示すラベルを含む、
製造物品。
【請求項23】
標的に対して光線力学療法を行うための方法であって、
(i)標的と優先的に結合する請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、被験体に投与する工程;および
(ii)治療効果を生じるのに十分な一定の波長および総流束量の光を、該被験体に照射する工程
を包含する、方法。
【請求項24】
前記標的が、血管内皮組織、新生血管系組織、眼に存在する新生血管系組織、腫瘍の異常な血管壁、固形腫瘍、頭部の腫瘍、頸部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、非固形腫瘍、造血組織およびリンパ組織の1つの悪性細胞、血管系における損傷、疾患を有する骨髄、ならびに疾患が自己免疫疾患および炎症性疾患の1つである疾患を有する細胞からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記標的組成物が細菌、ウイルス、真菌、原生動物、および毒素からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記標的に優先的に結合しない任意の結合体について、前記照射する工程の前に、前記被験体の非標識組織から取り除かれるのに十分な時間を割り当てる工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
被験体において過剰増殖性組織を処置するための光線力学療法の方法であって、
(i)該過剰増殖性組織と優先的に結合する請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該被験体に投与する工程、および
(ii)該結合体を活性化するために十分な波長および流束量の光を該被験体に照射する工程であって、それによって該過剰増殖性組織が破壊または損傷される、工程
を包含する、方法。
【請求項28】
被験体における標的組織の存在を検出するための方法であって、
(i)該標的組織と優先的に結合する請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体の十分な量を、該被験体に投与する工程、および
(ii)該患者中で該結合体を可視化する工程
を包含する、方法。
【請求項29】
前記可視化する工程が、組成物に蛍光を生じさせるのに十分なエネルギーの光を前記結合体に曝露することによって達成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
生物学的サンプル中の標的を検出するための方法であって、
(i)該標的に結合する請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該生物学的サンプルに加える工程;および
(ii)組成物を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項31】
前記生物学的サンプルが、血液、尿、唾液、涙液、滑液、汗、間質液、精子、脳脊髄液、腹水、ならびに/または腫瘍組織生検および循環腫瘍細胞からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項32】
患者における感染因子を診断する方法であって、
(i)該感染因子に結合する標的部分を有する請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該患者に投与する工程、および
(iii)該患者中で該結合体を可視化する工程
を包含する、方法。
【請求項33】
前記可視化する工程が、前記結合体に蛍光を生じさせるのに十分なエネルギーの光を該結合体に曝露することによって達成される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
被験体中の標的組織または標的組成物の画像を生成する方法であって、
(i)請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を該被験体に投与する工程;および
(ii)該結合体が優先的に結合した被験体の少なくとも一部の画像を生成する工程
を包含する、方法。
【請求項35】
請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体と、光線力学療法の方法を教示する指示書とを含む、過剰増殖性障害を処置するためのキット。
【請求項36】
細胞または組織を特異的に標識するためのキットであって、
特定の細胞または組織に対する標的部分を含む請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体;および
蛍光画像化の方法を教示する指示書
を含む、キット。
【請求項37】
組み合わせであって、
請求項1に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体;および
光源
を含む、組み合わせ。
【請求項38】
結合体であって、
その中心配位キャビティーに生理学的に受容可能な金属原子を含む、テトラピロールまたはテトラピロール誘導体である光増感剤;
1つ以上の適切な官能基を含む消光剤であって、該官能基は、該光増感剤中に配位される金属のアキシアル位に配位し、そして該消光剤を該光増感剤とのエネルギー移動立体構造に配置し、その結果、該光増感剤の活性化がクエンチされる、消光剤;および
標的部分であって、標的への該標的部分の結合が、金属に対する消光剤の軸方向リガンドの結合を破壊し、消光剤を遊離させ、かつ光増感剤を活性にする、標的部分
を含む、結合体。
【請求項39】
前記光増感剤がポルフィリンである、請求項38に記載の結合体。
【請求項40】
前記光増感剤がクロリンである、請求項38に記載の結合体。
【請求項41】
前記光増感剤がバクテリオクロリンである、請求項38に記載の結合体。
【請求項42】
前記光増感剤がタラポルフィリンナトリウムである、請求項38に記載の結合体。
【請求項43】
前記消光剤がβ−カロテンまたはその誘導体である、請求項38に記載の結合体。
【請求項44】
前記標的部分が抗体、および抗体フラグメントまたは抗体の他の誘導体である、請求項38に記載の結合体。
【請求項45】
前記標的部分が、抗原、リガンド、レセプター、特異的結合対の1つのメンバー、ポリアミド、ペプチド、オリゴ糖、多糖類、低密度リポタンパク質(LDL)またはLDLのアポタンパク質、ステロイド、ステロイド誘導体、ホルモン、およびホルモン模倣物からなる群より選択される、請求項38に記載の結合体。
【請求項46】
前記標的部分が硫酸デキストランである、請求項38に記載の結合体。
【請求項47】
前記消光剤が、4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)または4−(4’−ジメチルアミノ−フェニルアゾ)スルホン酸(DABSYL)である、請求項38に記載の結合体。
【請求項48】
薬学的に受容可能なキャリア中に、請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
製造物品であって、
パッケージング材料;および
該パッケージング材料中に含まれる請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体
を含み、ここで:
該結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体は、過剰増殖障害の症状を改善するための光線力学療法治療において有効であり;そして
該パッケージング材料は、組成物またはその塩が過剰増殖性障害の症状を改善するための光線力学療法治療において使用されることを示すラベルを含む、
製造物品。
【請求項50】
標的に対して光線力学療法を行うための方法であって、
(i)該標的と優先的に結合する請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、被験体に投与する工程;および
(ii)治療効果を生じるために十分である一定の波長および総流束量の光を該被験体に照射する工程
を包含する、方法。
【請求項51】
前記標的が、血管内皮組織、新生血管系組織、眼に存在する新生血管系組織、腫瘍の異常な血管壁、固形腫瘍、頭部の腫瘍、頸部の腫瘍、眼の腫瘍、胃腸管の腫瘍、肝臓の腫瘍、胸部の腫瘍、前立腺の腫瘍、肺の腫瘍、非固形腫瘍、造血組織およびリンパ組織の1つの悪性細胞、血管系における損傷、疾患を有する骨髄、ならびに疾患が自己免疫疾患および炎症性疾患の1つである疾患を有する細胞からなる群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記標的組成物が、細菌、ウイルス、真菌、原生動物、および毒素からなる群より選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記標的に優先的に結合しない任意の結合体について、前記照射する工程の前に、前記被験体の非標識組織から取り除かれるのに十分な時間を割り当てる工程をさらに包含する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
被験体中の過剰増殖性組織を処置するための光線力学療法の方法であって、
(i)該過剰増殖性組織と優先的に結合する請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該被験体に投与する工程、および
(ii)結合体を活性化するために十分な波長および流束量の光を該被験体に照射する工程であって、それによって該過剰増殖性組織が破壊または損傷される、工程
を包含する、方法。
【請求項55】
被験体中の標的組織の存在を検出するための方法であって、
(i)該標的組織と優先的に結合する請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体の十分な量を、該被験体に投与する工程、および
(ii)患者中で該結合体を可視化する工程
を包含する、方法。
【請求項56】
前記可視化する工程が、組成物に蛍光を生じさせるのに十分なエネルギーの光を前記結合体に曝露することによって達成される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
生物学的サンプル中の標的を検出するための方法であって、
(i)該標的に結合する請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該生物学的サンプルに加える工程;および
(ii)組成物を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項58】
前記生物学的サンプルが、血液、尿、唾液、涙液、滑液、汗、間質液、精子、脳脊髄液、腹水、ならびに/または腫瘍組織生検および循環腫瘍細胞からなる群より選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
患者中の感染因子を診断する方法であって、
(i)該感染因子に結合する標的部分を有する請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を、該患者に投与する工程、および
(iii)該患者中で該結合体を可視化する工程
を包含する、方法。
【請求項60】
前記可視化する工程が、前記結合体に蛍光を発生させるために十分なエネルギーの光を該結合体に曝露することによって達成される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
被験体中の標的組織または標的組成物の画像を生成する方法であって、
(i)請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体を該被験体に投与する工程;および
(ii)該結合体が優先的に結合した該被験体の少なくとも一部の画像を生成する工程
を包含する、方法。
【請求項62】
請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体と、光線力学療法の方法を教示する指示書とを含む、過剰増殖性障害を処置するためのキット。
【請求項63】
細胞または組織を特異的に標識するためのキットであって、
特異的な細胞または組織に対する標的部分を含む請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体;および
蛍光画像化の方法を教示する指示書
を含む、キット。
【請求項64】
組み合わせであって、
請求項38に記載の結合体またはその薬学的に受容可能な誘導体;および
光源
を含む、組み合わせ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−506757(P2007−506757A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528198(P2006−528198)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031342
【国際公開番号】WO2005/030254
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(502371484)ライト サイエンシズ コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】LIGHT SCIENCES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】34931 SE Douglas Street, Suite 200, Snoqualmie, WA 98605 U.S.A
【Fターム(参考)】