説明

光記録媒体とその記録再生方法及び製造方法

【課題】 隣接トラックに誤って信号を記録してしまうクロスライトや、隣接トラックの記録信号を誤って消去してしまうクロスイレースの問題を解決した高密度記録が可能な光記録媒体及びその記録再生方法と製造方法の提供。
【解決手段】 (1)基板上に少なくとも、光を吸収し熱を発生する光吸収層、記録層、及び該記録層への記録を阻害する記録阻害部を有し、該記録阻害部は該記録層と該光吸収層の間で且つ隣接するトラックの間に配置され、該光吸収層の光吸収機能により記録マークが形成される光記録媒体。
(2)記録阻害部が熱を遮断する断熱部であるか、又は光を遮断する遮光部である(1)記載の光記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体に係り、特に記録時に隣接マークを消去してしまうクロスイレース、隣接トラックに記録をしてしまうクロスライトが起こるような高密度記録において、クロスライト、クロスイレースなどの隣接トラック、隣接マークへの影響がなく、高密度の記録が可能な光記録媒体とその記録再生方法及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光記録媒体としては、CD、DVDに代表されるようにディスク状光記録媒体が良く知られているが、マルチメディア、ネットワークなど情報技術の進歩に伴い、情報量が飛躍的に増加し、光記録媒体に対する高密度化及び大容量化への要求は高まっている。
高密度化の方法として、同じ情報量が記録される面積を小さくする方法。つまり記録マークを小さくする方法がある。記録マークを小さくするためには、光をより小さく絞り光のスポットを小さくする必要がある。光のスポット径は波長をλ、レンズの開口数をNAとするとλ/NAに比例するため、スポット径を小さくするには、波長を小さくするか開口数を大きくすることが行われている。最近では波長650nmの光を利用したDVDが実用化段階を迎え、更に波長400nm程度の光を用いて高密度化を目指す技術開発が盛んに行われている。
高密度化を実現するには、記録マークを小さくすると共に、マークの間隔を小さくして線記録密度、トラック密度を大きくすることも同時に行う必要がある。トラックピッチを小さくすることによる高密度化の問題点として、隣接トラック間のクロストークがある。これは、再生時に、隣接トラックに記録された信号を誤って読み取る現象である。また、信号を記録・消去する際の問題として、隣接トラックに誤って信号を記録してしまうクロスライトや、隣接トラックの記録信号を誤って消去してしまうクロスイレースの問題がある。
【0003】
現在実用化されつつある波長405nm程度の光で開口数をNA=0.85としたピックアップを用いた場合、スポット径は0.82×405/0.85=390nm程度である。ここで0.82は光のプロファイルがガウシアン分布のときに一般に用いられる定数であり、一般にスポット径は光のプロファイルがガウシアン分布をしているため、そのピークの1/(e)の値で定義している。光の集光としては限界があるため、更にトラックピッチを小さくし高密度化を行う場合、光記録媒体にも工夫が必要となる。
更に、記録マーク長を短くすることによる高密度化の問題点として、記録マークの位置ずれがエラーレートに及ぼす影響が大きくなることがある。つまり、記録マークの位置ずれが相対的に大きくなり、信号のジッタの増加が顕著になる問題が生ずる。
こういった問題を解決するため、熱伝導率の違いを利用する方法が開発されている。
例えば、本出願人の先願に係る特許文献1や特願2003−169959(未公開)の発明では、熱伝導率が異なる層を設けることにより隣接トラック、隣接マークに熱が伝わらないようにし、クロスライト、クロスイレースを低減する方法が開示されている。これらの方法では、主に記録層が光を吸収し発熱することにより記録を行っている。
【0004】
特許文献2〜7では、ディスク基板上に形成された記録領域がトラック毎に分断され、トラック間に記録領域を構成する記録材料より熱伝導率の小さい材料が介在している構成を用い、信号の記録、消去時に照射される光ビームによるビームスポット部の温度上昇が隣接トラックまで伝達され難くすることにより、トラックピッチが狭くてもクロスライトやクロスイレースの現象の発生を抑えることができる方法を示している。この方法では、トラック間だけでなく、トラック内においても記録マーク毎に記録領域を分断し、信号再生時のジッタを軽減する方法も開示されている。また、この場合も記録層で光を吸収し発熱することにより記録を行っている。
記録層での光の吸収に伴う発熱を利用して記録を行う場合、記録層が光を吸収し記録可能な程度に温度が上昇すると記録されてしまう。そのため、トラックピッチが小さくなると、記録層を分断した場合でも隣接の記録領域が光のスポット内に入ってしまい、その結果、隣接トラックの記録領域の記録層にも記録マークが形成され、クロスライト、クロスイレースを完全に防ぐことが難しくなる。また、この方法では、フォトリソグラフィなどを用いる必要があり、加工プロセスが複雑になり製造コストが高騰するし、大面積の作製が難しいという問題点があった。
【0005】
特許文献8には、グルーブとランドの間のグルーブの側壁面上の記録層膜厚が薄くなっていることによりクロスイレースを低減する発明が開示されている。
特許文献9に開示された発明は、ライン状の導電体を設け、その間のスペースに記録する。導電体により放熱性が良くなり、記録マークは広がらずに記録できる。即ち、レーザービーム端が遮光され、熱は導電体で放熱されるため、隣接トラックへの影響を低減できるというものである。また、特許文献10に開示された発明は、ライン状の金属層を周期的に設けることにより、熱伝導率を周期的に変え、記録マークが形成される領域を制限する方法を用いた情報記録媒体に関する。これらの2件は、下地として金属膜をライン状に設けることにより熱伝導率の違いを利用してクロスライトなどを防ぐというものである。
特許文献11〜12には、遮光構造を用いる光記録媒体が開示されている。これらはクロストークの抑制を課題としており、クロスライト、クロスイレースの防止に対する効果は明らかでない。特許文献11には、トラックピッチと遮光膜の幅の和をレーザー光のスポット径と同じにする発明が開示されている。しかし、更に高密度になり、光のスポットに対しトラックピッチが小さくなり、スポットの中に隣接トラックも入ってしまうような場合、新たな課題が生じる。
【0006】
特許文献12には、光学的な位相差を利用したマスク作用を用いて、また、結晶相の違いから生じる光学特性の差を利用したマスク作用を用いてクロストークを抑制する発明が開示されている。この発明においてもクロスライト、クロスイレースの防止に対する効果は明らかでなく、また、マスクを用いた場合、熱を利用して記録する光記録媒体の場合には、熱伝導の影響でマークが広がってしまうため、高密度記録では隣接トラックへの広がりを防ぐことは困難である。また、マスク層自体で熱を生じてしまうため、記録マークはマスクされた部分にも記録されてしまい、クロスライトの抑制には効果が少ない。
特許文献13には、隣接する記録部との境界に突起状の変形部を設け、熱の伝播する距離を大きくすることにより隣接部へのクロスライト、クロスイレースを小さくする光記録媒体が開示されている。しかし、熱の伝播する距離を大きくしても光記録媒体を構成する各層が連続的に形成されているため、高密度になると熱が伝播して隣接トラックへ影響を及ぼすようになる。また、この発明はグルーブ記録のみに限定されている。
特許文献14には、グルーブの溝深さを深くすることによりクロスイレースを防ぐか、又は、グルーブの溝が浅い場合には、グルーブとランドの境界付近の膜厚を薄くしたり膜を削除したりする発明が開示されているが、本発明とは構成が異なる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−158091号公報
【特許文献2】特開2000−276770号公報
【特許文献3】特開2001−236689号公報
【特許文献4】特開2000−251321号公報
【特許文献5】特開2003−263805号公報
【特許文献6】特開2001−266405号公報
【特許文献7】特開平11−176021号公報
【特許文献8】特開平11−53763号公報
【特許文献9】特開2003−228880号公報
【特許文献10】特開平2003−217176号公報
【特許文献11】特開平3−290842号公報
【特許文献12】特開平8−63782号公報
【特許文献13】特開2003−228885号公報
【特許文献14】特開平8−124211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、隣接トラックに誤って信号を記録してしまうクロスライトや、隣接トラックの記録信号を誤って消去してしまうクロスイレースの問題を解決した高密度記録が可能な光記録媒体及びその記録再生方法と製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、次の1)〜18)の発明(以下、本発明1〜18という)によって解決される。
1) 基板上に少なくとも、光を吸収し熱を発生する光吸収層、記録層、及び該記録層への記録を阻害する記録阻害部を有し、該記録阻害部は該記録層と該光吸収層の間で且つ隣接するトラックの間に配置され、該光吸収層の光吸収機能により記録マークが形成されることを特徴とする光記録媒体。
2) 前記記録阻害部が熱を遮断する断熱部であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 前記断熱部が材料Aと材料Bの混合体を含有し、該材料Aはシリコン化合物であり、該材料Bは硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つの材料であることを特徴とする2)記載の光記録媒体。
4) 前記断熱部の熱伝導率が、前記記録層を構成する材料の熱伝導率よりも低いことを特徴とする2)又は3)記載の光記録媒体。
5) 前記断熱部の、記録光の波長における光吸収率が、1×10−3〜1×10−5であることを特徴とする2)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 前記記録阻害部が光を遮断する遮光部であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
7) 前記遮光部が少なくとも一種類の金属材料からなるか、又は、材料Aと材料Bの混合体を含有し、該材料Aはシリコン化合物であり、該材料Bは硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つの材料であることを特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 前記記録層材料が金属、半導体又は半金属の酸化物であることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体。
9) 前記記録層材料が有機色素であることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の光記録媒体。
10) 前記有機色素が記録光の波長と異なる極大吸収帯を持つことを特徴とする9)記載の光記録媒体。
11) 前記記録阻害部が前記光吸収層からみて光源側に凸状に配置されていることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 前記記録阻害部が円周状又は渦巻状に配置されていることを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
13) 前記光吸収層が、光を吸収し温度が上昇しても、変質又は変形しないことを特徴とする1)〜12)の何れかに記載の光記録媒体。
14) 照射された光の強度分布、又は光照射に伴い生じる温度分布により超解像現象を生じる超解像層を設けることを特徴とする1)〜13)の何れかに記載の光記録媒体。
15) 前記超解像層が前記光吸収層を兼ねることを特徴とする14)記載の光記録媒体。
16) 記録光の波長と再生光の波長が異なることを特徴とする1)〜15)の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
17) 記録光及び再生光が基板を通して照射されることを特徴とする1)〜15)の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
18) 基板上に、少なくとも光吸収層及び凸状断熱部用の薄膜を積層する工程、該積層構成に対して、該凸状断熱部用の薄膜側から光を照射し凸状断熱部の形状を決定する工程、該凸状断熱部用の薄膜の不必要な部分を除去し凸状断熱部を形成する工程を含むことを特徴とする1)〜15)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
光記録媒体は、一般に円周状に形成されたトラックに沿って記録を行うが、高密度化を行うためにトラック密度を高くし、トラックピッチを小さくすると、トラックの幅よりも光のスポット径が大きくなる。そのため、隣接トラックにも光が照射されることになり、記録時に記録層が光を吸収し温度上昇すると、隣接トラックの光が照射されている部分も温度上昇することになる。その結果、隣接トラックの情報が消去されてしまったり(クロスイレース)、隣接トラックにも記録されてしまったり(クロクライト)することが起こる。これに対し、本発明は、熱制御、光制御により記録マークの広がりを抑えて隣接トラックへの影響を防ぎ、クロスライト、クロスイレースなどを抑制するものである。即ち、本発明の光記録媒体は、従来技術のように記録層を分断するのではなく、記録層に接する部分に記録阻害部を設けることによりクロスライト、クロスイレースなどの抑制を可能とするものである。また、リソグラフィなどの複雑で大面積の作製に適さない方法とは異なり、光照射とエッチング程度の簡便な方法で記録阻害部を形成する方法も提供する。
【0011】
上記本発明の記録原理について図面を参照しつつ説明するが、まだ完全に解明されている訳ではないので、以下の説明には推測が含まれる。
図1は本発明の構成を満足する光記録媒体の断面を模式的に示す図である。なお、図1の横方向が光記録媒体の半径方向、紙面に垂直な方向がトラックに沿った方向であるが、この点は、後述する類似の模式的断面図についても同様である。光吸収層の上にトラックと記録阻害部を交互に設け、その上に記録層を設けてある。この媒体に対し記録層の方向から記録光を照射すると、記録しようとするトラック(図の真中のトラック)及びその周辺の記録層の温度は、図中の温度分布のグラフで示したようになる。即ち、真中のトラック部分が突出して温度が高く、その隣の記録阻害部の温度は非常に低くなる。記録阻害部が無い場合には、図24に示すように、光の強度分布に従い、中央から周辺に向かって徐々に温度が低くなり記録マークは広がってしまうが、本発明の場合には、記録阻害部の部分では断熱効果のため記録光を吸収し、光吸収層が記録温度以上になってもその熱が記録層に伝わらないため記録層の温度は上昇しない。また、記録光が光吸収層に達しないため温度が上がらない。このような温度分布の状態で記録温度を図の点線の位置に設定しておけば、多少のトラッキングのずれがあっても、記録阻害部が無い場合に比べて、真中のトラック部分のみに正確に記録されるのでクロスライトは起こらない。またクロスイレースも同様の原理で防止できる。
【0012】
上記のように、本発明では、記録層と熱を発生する光吸収層とを設け、記録に必要な熱が光吸収層で発生するようにし、かつ、両層の間に記録阻害部を配置するので、記録層が連続膜であっても記録阻害部が配置された部分では光吸収層で発生する記録に必要な熱が記録層に伝わるのを遮断できる。また、光吸収層を連続した膜状に形成することにより、熱を膜面内に逃がすことが可能であり、記録層に伝播する熱を減らすことができる。これらの構成により、クロスライト、クロスイレースを十分に抑制することができる。なお、当然ながら、記録層のみの光吸収能力では実質的に再生可能な記録マークが形成されないようにする。例えば、酸化Biを記録層に用い、Geを光吸収層に用いた場合、吸収の大きさを示す消衰係数kの値は、表1のようになる。Ge膜は、波長400nmで2.20であるのに対し、酸化Biは、kの値が3.41×10−3程度である。吸収がこのような関係にあるとき、記録層材料である酸化Biの光吸収能力だけでは記録できない。
色素を記録層に用いた場合も同様のことが言える。例えば、波長500nmの光で吸光度が、0.043程度のフタロシアニン系の色素を用いた場合、光吸収材料であるGe膜は0.35程度の吸光度であり、このような関係のとき、記録層材料の能力だけでは、記録ができない。
【表1】

【0013】
記録阻害部としては、断熱により熱伝導を阻害して記録を阻害する断熱部とする態様、光を遮断することにより光吸収層での光吸収を阻害して熱の発生を抑えることにより記録を阻害する遮光部とする態様が挙げられるが、これに限られる訳ではない。
トラックを有する光記録媒体の場合、グルーブ記録、ランド記録、グルーブ・ランド記録など種々の態様があるので、本発明で言う「隣接するトラックの間」には、例えば図2、図6に示すような態様が挙げられる。図中の101は基板、102は層状の光吸収層、103は断熱部、104は記録層である。なお、これらの図は何れも阻害部が断熱部の場合であるが、断熱部を遮光部に変えても同じである。
トラックの幅は、光のスポット径の1/4〜1/5程度でも記録マークをトラックの幅に制限して記録を行うことができる。例えば、光のスポット径が1.2μm程度のとき、トラックピッチが300〜400nm程度、トラックの幅が110nm程度に狭い状態でも、トラック幅に制限された記録マークを記録することが可能である。そのとき、トラックとトラックの間にある記録阻害部は、250〜300nm程度の幅である。また、トラックピッチ370nm程度、トラック幅240nm程度、記録阻害部130nm程度のとき効果が大きい。
光のスポット径が変われば、それに比例して適切なトラックピッチ、トラック幅、記録阻害部の幅が変化する。
【0014】
光吸収層の材料としては、光を吸収し発熱する機能を有する材料を広く使用することができる。例えばSi、Ge、GaAsなどの半導体、Bi、Ga、In、Sn、BiTe、BiIn、GaSb、GaP、InP、InSb、InTe、SnSbなどの金属又は金属間化合物、C、SiCなどの炭化物、V、Cr、Mn、Fe、Co、CuOなどの酸化物、SbTeなどの2元系の相変化材料、GeSbTe、InSbTe、BiSbTe、GaSbTeなどの3元系の相変化材料、AgInSbTeなどの4元系の相変化材料を用いることができる。また、前述のように記録に必要な熱が光吸収層で発生するようにし、記録層のみの光吸収能力では実質的に再生可能な記録マークが形成されないようにする関係上、光吸収層の方が記録層よりも光の吸収能力が大きくなるような材料を選択する。
光吸収層の膜厚は3〜20nmの範囲に設定する。光吸収層を薄膜化することによって層内における熱の拡がりを抑制できるので高密度記録に好適となる。
記録層の材料としては、熱により変質して屈折率変化及び/又は変形を生じ、大きな変調度を得ることができる材料が好ましい。また、前述のように記録層のみの光吸収能力では実質的に再生可能な記録マークが形成されないようにするため、光の吸収が小さい材料が好ましいので、従来、追記型又は書換え型の光記録媒体に用いられてきたTe、Bi、などの低融点金属の酸化物であるTe酸化物、Bi酸化物などの酸化物、或いは、光吸収波長を比較的簡単に制御可能な有機色素などを用いることが可能である。
【0015】
本発明2は、記録阻害部を断熱部とする場合である。
図7に、断熱部を有する本発明の光記録媒体の一例を示す。101は基板、102は層状の光吸収層、103は断熱部、104は記録層である。
通常の光記録媒体では、図8に示すように、集光された光105(光の光路を概略的に図にした)が照射されると記録層104が光を吸収して温度が上昇し、温度が上昇した部分に記録マーク106が形成される。図8はトラックを省略して簡略化した図であるが、光を集光させることのできるスポット径のサイズは、光の波長とレンズの開口径(NA)により決まってしまうので、記録密度を高める場合、光のスポット径より小さいトラックに記録を行う必要があるが、例えば、図9に示したように集光された光105がトラック107から109まで跨ってしまう場合、記録マーク110は、3つのトラックに跨るように形成されてしまう。これを1つのトラック幅に収まるように記録できれば、トラック幅方向には3倍の密度で記録することが可能となる。
【0016】
図10に光を照射した場合の例を示すが、記録層104では殆ど光を吸収せず光吸収層102で光を吸収し、その熱で記録することが最も好ましいので、ここでは、記録層には光を殆ど吸収しない材料を用いた例を用いて説明する。光は記録層を殆ど透過し、光吸収層で光が吸収され温度が上昇する。その温度が記録層に伝わり記録層を変質又は変形などさせることにより記録マークが形成される。しかし、断熱部103が形成されているので、断熱部が存在する部分では熱は記録層に伝わり難くなり、その部分の記録層の温度上昇が小さくなる。その結果、記録マーク106は断熱層の間に挟まれるように形成され隣接トラックには影響を及ぼさない。ここで記録層の光吸収能力が大きいと、記録層の光吸収により発生した熱が隣接トラックの方へ広がり易い。記録層の下に断熱部を設けることにより熱の広がりを抑えることは可能であるが、記録層の光吸収能力が光吸収層よりも小さい場合の方が記録マークの広がりを抑える効果がより大きい。断熱部がなければ、図11に示すように温度上昇した部分の上面にある記録層も温度上昇し大きな記録マークが形成されることになる。
【0017】
このように本発明では、狭い領域への記録が可能となり隣接トラックへのクロスライト、クロスイレースが低減できる。断熱部103は通常の場合、トラックに沿ってトラックとトラックの間に連続状に形成する。この断熱部と断熱部の間にトラッキングすることにより良好に記録することができる。トラッキングは従来から用いられているpush−pull(プッシュ・プル)法や、3ビームを用いたDPP(Differential push pull、ディファレンシャル・プッシュ・プル)法を用いるなどして凸状に形成された断熱部と断熱部の間にトラッキングすることが可能である。
また、図12に示すように、基板101、記録層104、断熱部103、光吸収層102をこの順に備えた光記録媒体に対し、基板側から光を照射して記録を行う場合でも同様の効果が得られる。この場合、記録マークはトラックに沿って連続的に形成された断熱部と断熱部の間に形成され、隣接トラックには影響を及ぼさない。
断熱部の材料としては、断熱作用を有する材料を広く使用することができる。例えば、SiO、ZnO、MgOなどの酸化物、SiN、AlN、SiONなどの窒化物、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物、ZnSe、BaSeなどのセレン化物、MgF、CaF、BaFなどのフッ化物を用いることができる。
【0018】
本発明3のように、断熱部の材料は、材料Aと材料Bの混合体を含有し、材料Aはシリコン化合物であり、材料Bは硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。材料Aのシリコン化合物としては、SiO、SiONなどを用いることができる。材料Bの硫化物としては、ZnS、CaS、BaSなど、セレン化物としては、ZnSe、BaSeなど、フッ化物としては、CaF、BaFなどを用いることができる。材料A、材料Bの何れも、単体で用いても複数の材料を用いてもよい。材料Aと材料Bの混合比は、材料Aが10〜30モル%の範囲、材料Bが90〜70モル%の範囲にあることが好ましい。材料Aと材料Bの間に化学的な結合状態がなく、各々独立して存在していることが好ましい。これらの材料は熱伝導率が低く断熱効果が高い。そのため熱の遮断性能が高く記録層への熱の伝播を小さくするので、その部分の記録層の変質、変形を防ぐことができる。つまり、狭い領域に記録可能となるので隣接トラックへのクロスライト、クロスイレースが低減できる。
また、本発明4のように、断熱部の熱伝導率が記録層の熱伝導率よりも低いことが好ましい。断熱部の熱伝導率が大きいと断熱部も直ぐに暖められ、その熱が記録層に伝わってしまうため、断熱部の効果はなくなってしまう。断熱部の熱伝導率が小さく、記録層との熱伝導率の差が大きいと、クロスライト、クロスイレースなどの抑制効果を高めることができる。断熱部と記録層との熱伝導率の差は、例えば、光交流法で測定した場合において、2桁程度以上異なる方が好ましい。なお、実施例で用いたZnS・SiO薄膜からなる断熱部の熱伝導率は、測定限界(0.03W/m・K)以下であり、酸化Biからなる記録層の熱伝導率は、2.8W/m・Kである。
【0019】
また、本発明5のように、断熱部が、記録に用いる光(記録光)の波長において透光性の高い材料からなることが好ましい。光吸収層で発生した熱が記録層に伝播しないようにし、狙った狭い領域に限って記録マークを形成するという断熱部の機能からみて、断熱部では温度が極力上昇しないことが望ましい。そこで、断熱部の材料として、記録光の波長において透光性の高い材料を用いて、できるだけ光の吸収を小さく抑え、温度を上昇させないようにすることにより、記録マークの広がりを抑えることができる。その結果、クロスライト、クロスイレースなどの抑制効果を高めることができる。できれば光を全く吸収しない透明な材料が理想であり、透明であれば、断熱部が光を吸収して温度上昇することは無く、光吸収層からの熱伝導によってのみ温度上昇することになる。断熱部で光を吸収して温度上昇すると断熱部の上面に位置する記録層にも記録マークが形成されてしまう可能性があり、隣接トラックにも影響を及ぼす。
しかし、実際には、照射するレーザ光の波長における光吸収率が、1×10−3〜1×10−5の範囲にある材料を用いる。このような材料としては、光吸収率が1×10−3〜1×10−5の範囲にあるSiO、SiON、SiNなどのシリコン化合物、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物、ZnSe、BaSeなどのセレン化物、CaF、BaFなどのフッ化物が挙げられる。また、透光性を有する材料を2種類以上混合した混合体を用いることもできる。例えば、前述した材料Aと材料Bの混合体で光吸収率が1×10−3〜1×10−5の範囲にある材料が挙げられる。
【0020】
本発明6、7は、記録阻害部を遮光部とする場合である。
遮光部の材料としては、光を遮蔽する機能を有する材料を広く使用することができる。ここで遮光とは、光を透過しない構成とした場合と、光が光吸収層で充分に吸収されないような構成にすることで遮光と同様の効果を得る場合の両方を意味する。前者の例としては、Ag、Al、Cuなどの金属を用いて光を遮る場合が挙げられ、後者の例としては、SiO、ZnO、MgOなどの酸化物、SiN、AlN、SiONなどの窒化物、ZnSなどの硫化物、MgFなどのフッ化物のような透明材料を用い、光吸収層の表面で反射する光が多くなるように透明材料などの光学特性、膜厚を最適化した場合が挙げられる。透明材料としては、材料Aと材料Bの混合体を含有し、材料Aがシリコン化合物であり、材料Bが硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つの材料であるものが好ましい。材料Aのシリコン化合物の例としては、SiO、SiN、SiONなど、材料Bの硫化物としては、ZnS、CaS、BaSなど、セレン化物としては、ZnSe、BaSeなど、フッ化物としては、CaF、BaFなどが挙げられる。
図13に、遮光部を有する本発明の光記録媒体の一例を示す。101は基板、102は層状の光吸収層、501は遮光部、104は記録層である。
【0021】
図14に光を照射した場合の例を示すが、記録層104では殆ど光を吸収せず光吸収層102で光を吸収し、その熱で記録することが最も好ましいので、ここでは、記録層には光を殆ど吸収しない材料を用いた例を用いて説明する。光は記録層を殆ど透過し、光吸収層で光が吸収され温度が上昇する。その温度が記録層に伝わり記録層を変質又は変形などさせることにより記録マークが形成される。しかし、遮光部501が形成されているので、遮光部が存在する部分では光が遮蔽されるか又は反射してしまい光吸収層に到達しない。その結果、その部分の光吸収層は発熱せず、その部分に対応する記録層は変化しない。そのため記録マーク106は断熱層の間に挟まれるように形成され隣接トラックには影響を及ぼさない。ここで記録層の光吸収能力が大きいと、記録層の光吸収により発生した熱が隣接トラックの方へ広がり易く、記録層の下に遮光部を設けても、記録層の光吸収能力のみで記録マークが形成されてしまう可能性がある。従って、記録層の光吸収能力を光吸収層よりも小さくすることが好ましい。遮光部がなければ、図11に示すように温度上昇した部分の上面にある記録層も温度上昇し大きな記録マークが形成されることになる。
このように本発明では、狭い領域への記録が可能となり隣接トラックへのクロスライト、クロスイレースが低減できる。遮光部501は通常の場合、トラックに沿ってトラックとトラックの間に連続状に形成する。この断熱部と断熱部の間にトラッキングすることにより良好に記録することができる。トラッキングは従来から用いられているpush−pull(プッシュ・プル)法や、3ビームを用いたDPP(Differential push pull、ディファレンシャル・プッシュ・プル)法を用いるなどして凸状に形成された断熱部と断熱部の間にトラッキングすることが可能である。
【0022】
本発明8では、記録層材料として金属、半導体又は半金属の酸化物を用いる。金属としては種々のものを用いることができる。半導体としてはSi、Ge、Bなど、半金属としてはAs、Sb、Bi、Se、Te、Snなどが挙げられる。これらの元素の酸化物を記録層に用いることで高密度記録が可能な光記録媒体が実現できる。
Te、Se、In、Ni、Sbなどの酸化物は追記型又は書き換え型の記録材料として用いられているが、ここではBiの酸化物を用いた場合を例として説明する。
例えば図7に示す層構成において、記録層104にBiの酸化物を用いると、Biの酸化物は光の吸収が比較的小さいので、温度上昇は比較的小さく記録マークが形成される程ではない。そして光吸収層102が光を吸収して温度上昇を起こし、その熱が記録層に伝わることにより記録マークを形成することができる。断熱部103がある領域では、熱が記録層に伝わらず記録マークは形成されない。このように、トラックの幅方向に広がらないように狭い領域に記録マークを形成することが可能となり、隣接トラックへのクロスライト、クロスイレースが低減できる。
【0023】
本発明9では、記録層材料として有機色素を用いる。この有機色素は従来の追記型光記録媒体で用いられているような正確な波長制御は必要ない。照射された光が光吸収層で吸収されて熱を生じ、その熱が記録層に伝わって有機色素を分解することにより記録マークが形成される。熱分解特性が適していれば、色素の種類に特に限定はないが、色素材料の場合、配位子を変えることにより吸収波長を変えられるなどの特徴があり、様々な色素材料を用いることが可能である。例えば、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、ダイオキシディン系色素、トリフェノジチアジン系色素、フェナントレン系色素、シアニン系色素、ジカルボシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、メロシアニン系色素、ピリリウム系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、アズレン系色素、含金属アゾ染料、アゾ染料、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、ポリエン系色素、ベーススチリル系色素、ホルマザンキレート系色素、クロコニウム系色素、インジゴイド系色素、メチン系色素、スルファイド系色素、メタンジチオールレート系色素等を挙げることができ、中でも、シアニン誘導体、ジカルボシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、アゾ染料誘導体が特に好適に用いられる。また、アミニウム系色素などの各種クエンチャを添加した色素材料を用いることもできる。
【0024】
記録光の波長により色素を選択する。例えば780nmの波長の光を用いる場合には、下記〔化1〕に示したようなシアニン系の色素を用いることができる。この材料は、図15に示したように430nm付近に大きな吸収を持ち、780nm付近の波長では吸収は大きくない。このような色素を記録層に用いると効果が大きい。
【化1】

また、400nm程度の波長の光を用いる場合には、下記〔化2〕に示した色素が好ましい。この色素は400nm付近では吸収が小さい。
【化2】

また、下記〔化3〕に示したフタロシアニン系色素のうちMがVOのものは、350nm付近と700nm付近に吸収極大を持ち、450〜550nmでは吸収が小さいため、450〜550nmの波長の光を用いる場合には、この色素を記録層に用いると効果が大きい。
【化3】

(式中、Mはフタロシアニン色素の中心金属であり、Cu、VO、Ni、H、Zn、Pd、Cd、Co、Feの何れかである。Rは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、カルボキシル基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリ−ル基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のアシル基を表す。)
【0025】
本発明10では、記録光の波長と異なる極大吸収帯を持つ有機色素を用いる。
有機色素の吸収スペクトルは、図16に示したように通常、特定の波長付近に大きな吸収帯(極大吸収帯)401を有する。本発明では記録光に対し有機色素の光吸収が小さい方が好ましいので、記録光の波長が有機色素の極大吸収帯を外れた吸収が小さい非吸収帯402になるように設計を行った有機色素を選択して用いる。
また、有機色素はその極大吸収帯の波長を配位子や置換基の種類により変化させることが可能である。シアニン系の色素を例に取ると、前記〔化1〕と〔化2〕の色素は構造が似ているが、極大吸収波長は、〔化1〕に示した色素では433nmであり、〔化2〕に示した色素では739nmである。そこで、記録光の波長が780nmであれば〔化1〕に示した色素を用い、記録光の波長が405nmであれば〔化2〕に示した色素を用いる。フタロシアニン系、ポリフィリン系など他の系統の色素においても同様である。
【0026】
本発明11では、記録阻害部を光吸収層からみて光源側に凸状に配置する。例えば図7又は図13に示したような構成の場合、光源が図の上方にあり光は上方から照射される。基板101の上面に光吸収層102を層状に形成し、その上面に凸状に記録阻害部を形成する。記録阻害部は、図7では断熱部103であり、図13では遮光部501である。更にその上に記録層104を形成する。
本発明12では、記録阻害部を円周状又は渦巻状に形成する。図17に上面からのイメージを示す。この図では、光吸収層102の上面に記録阻害部として断熱部103、又は遮光部501を円周状に形成した状態を示した。模式的に数周期の円周のみを示したが、実際の光記録媒体では内周から外周までこのような構造を形成する。また、この図中には記録層を示さなかったが、記録層はこれらの構造上に層状に形成する。この構造を用いてトラッキングを行うことも可能であり、トラッキング用の溝がない基板を用いることもできる。記録阻害部と記録阻害部の間に記録を行うため、そこにトラッキングする必要があるが、記録阻害部が凸状で記録部が溝になっている構造であれば、トラッキングは従来の光記録媒体で用いられているpush−pull法やDPP法を用いて凸状に形成された記録阻害部の間にトラッキングすることが可能である。
【0027】
本発明13では、光吸収層が光を吸収し温度上昇してもそれ自身が変質又は変形をしない構成とする。これにより記録マークを制御性良く形成できる。光吸収層に変質、変形した部分があると再生光がその部分で位相差、反射率変化などを生じるため、記録マークから検出される信号と重なり合って再生が難しくなる。SbTeのような相変化し易い材料では、記録時に相変化を生じるため、光が照射された大きな範囲に渡って光吸収層が相変化してしまう。その結果、相変化による信号も検出してしまうので再生時に一工夫必要となる。そこで、光吸収層自体は変質、変形をしないような材料、構成とすることが好ましい。但し、相変化材料はそれ自身が相変化してしまうこと以外の特性は優れているため、相変化しないような条件を選択できれば用いることが可能となる。
材料の例としては、Ge、Si、Bなどの半導体、Ti、Ta、Wなどの金属、C、SiCなどの炭化物、V、Cr、Mn、Fe、Co、CuOなどの酸化物が挙げられる。これらの材料は融点が高く、また相変化し難いため、それ自身は変化し難い。その結果、高密度記録においても良好な再生信号が得られる。
【0028】
本発明14では、照射された光の強度分布、又は光照射に伴い生じる温度分布により超解像現象を生じる超解像層を設ける。例えば図18に示したように、記録層104の上に超解像層502を設けた構成とする。超解像層としては、光が照射されることにより光スポットの中で光の強度、照射光により生じた熱分布により、光スポット内の一部分だけ光学特性が変化する材料を用いることができる。光学特性が変化した部分、又は変化していない部分がマスクの役割をすることにより、見かけ上、光スポットが小さくなった状態を実現できる。
例えば、AgInSbTe、GeSbTe、SbTe、BiGe、InSbなどの相変化材料、Co、V、CuOなどの酸化物とSiOの複合酸化物、有機色素などからなるフォトクロミック材料、サーモクロミック材料を用いることができる。また、記録層に磁性体を用い、その偏光特性を利用した光記録媒体の場合、超解像層として磁性体を用いることも効果が大きい。
超解像層は記録層に対して光源側に形成されても光源と反対側に形成されても効果があるが、光源側に形成すると効果が大きい。記録マークのトラックの幅方向の広がりは、記録阻害部の構造などによって抑制され、トラックに沿った方向の記録マークの長さは、記録光パルスの幅で決まる。マークの長さが小さくなるにつれ再生光のスポット内にマークが複数入るようになり、再生解像限界以下となる。そこで、超解像を用いればマークの長さが小さくても良好に再生できるようになる。その結果、トラック密度、線密度を共に高密度にすることが可能となり、高密度光記録媒体が実現できる。
【0029】
本発明15では、超解像層が光吸収層を兼ねるようにする。再生時に、超解像機能を有する光吸収層に光が照射されると、光を吸収し温度が上昇することにより光スポット内の一部分の光学特性が変化する。例えば、光学特性が変化した部分の透過率が高くなると、見かけ上光のスポットが小さくなったのと同等の効果が得られ、小さいマークを再生することが可能となる。一例として、図7などに示した層構成を用いて光吸収層に超解像機能を持たせればよい。光を吸収し発熱する機能と超解像機能の両方を有する材料としては、Si、Ge、GaAsなどの半導体、Bi、In、Snなどの金属、BiTe、BiIn、GaSb、GaP、InP、InSb、InTe、SnSnなどの金属間化合物、C、SiCなどの炭化物、V、Cr、Mn、Fe、Co、CuOなどの酸化物、SbTeなどの2元系の相変化材料、GeSbTe、InSbTe、BiSbTe、GaSbTeなどの3元系の相変化材料、AgInSbTeなどの4元系の相変化材料などが挙げられる。
超解像層の膜厚は3〜20nmの範囲に設定する。超解像層を薄膜化することによって層内における熱の拡がりが抑制でき高密度記録に適する。記録マークの幅は、記録阻害部などの構造で広がりを抑制し、長さは、記録パルスの幅で小さくし、超解像で再生を行う。このようにすることにより簡便な構成で高密度光記録媒体を実現することができる。
【0030】
本発明16は、本発明1〜15の光記録媒体に対し、記録に用いる光(記録光)の波長と再生に用いる光(再生光)の波長を変えて記録再生を行う方法である。
本発明1〜15の光記録媒体の場合、再生光には光のスポット径をより小さくできる短波長の光を用いることが好ましい。しかし、その波長の光の記録層での吸収が大きい場合には、本発明1〜15の光記録媒体を用いても、狭いトラックに収まるように記録マークを形成することができない。従って、そのような場合には、記録層での吸収が小さい波長の光で記録を行うことが好ましい。このように記録光の波長と再生光の波長が異なる記録再生方法を採用することにより、狭いトラックに記録を行い、それを良好に再生することが可能となる。
本発明17では、記録光及び再生光を基板を通して照射する。図12に示したように基板101、光吸収層102、断熱部103、記録層104を備えた光記録媒体に基板側から光を照射し、記録を行う場合でも同じ効果が得られる。基板側から光を入射することにより、CD、DVDとの互換性を実現することが比較的容易になる。
【0031】
本発明18は、本発明1〜15の光記録媒体の製造方法である。
図19に作製方法の一例を示す。
図19(a)は各層の積層工程であり、1101は基板、1102はバッファー層、1103は光吸収層、1104は凸状断熱部用の薄膜である。
図19(b)は凸状断熱部の形状を決定する工程である。1111はレーザー光の照射方向を示す。レーザー光は、凸状断熱部用の薄膜側から照射する。1112はレーザー光照射による改質部分を示す。光吸収層の発熱により、薄膜の材料密度、結晶状態、組成などが変化する。トラックに沿った連続的な断熱部を形成するためレーザーはパルス光ではなくCW光(連続光、continuous wave)を連続照射する。連続的な構造を形成するため、媒体と光源の相対速度が一定となるようにレーザ光源を移動させるか、レーザ光源を固定し媒体を移動させるか、レーザ光源と媒体の双方を移動させる。レーザ光源としては、波長157nm程度のFレーザ、波長193nm程度のArFレーザ、波長248nm程度のKrFレーザなどを用いることができる。レーザ光の照射は大気中で行ってもよい。また、媒体を密閉容器に設置し、そこに窒素、酸素、水蒸気、アルゴン、水素などのガスを導入し、雰囲気ガス中でレーザ光を媒体に照射しても構わない。また、媒体を真空容器内に設置して、真空中でレーザ光を媒体に照射しても構わない。レーザ光は基板側から照射しても良い。基板側から照射する場合は、基板が透明である必要がある。
【0032】
図19(c)は凸状断熱部用の薄膜の不必要部分の除去工程である。1121は凸状断熱部を示す。加工には溶液による湿式エッチング法を用いることができる。エッチング溶液としてはフッ化水素酸(フッ酸)を含有する水溶液を用いる。光記録媒体をフッ酸溶液に浸漬しレーザー光の未照射部分を除去する。このような湿式エッチング法を採用すると、薄膜の材料密度、結晶状態、組成などの相違により、凸状断熱部用の薄膜の必要部分と不必要部分でエッチングレート比(選択比)が大きくなる。また、下地の光吸収層と凸状断熱部を形成する層の材質が異なることから、下地との選択比も大きくできる。
エッチング方法としては、乾式エッチング法も用いることができる。乾式エッチング法としては、RIE(反応性イオンエッチング;Reactive Ion Etching)、ICP(高密度プラズマエッチング;Inductively Coupled Plasma)、スパッタエッチングなどの方法を用いることができる。媒体を真空装置内に設定し、エッチングガス雰囲気中で一定時間放置して断熱部の構造を形成する。これにより、光記録媒体のような大面積デバイスにおいて、面内均一性良く凸状断熱部を作成することができる。
【0033】
このようにして、フォトリソグラフィーを使わないプロセスで、微細な凸状断熱部が大面積に形成できる。
続いて、図19(d)に示したように、記録層1105を設ける。記録層はスパッタリング法、蒸着法などの気相成長法によって作成しても良いし、めっき法などの湿式法によって作成しても良い。また、記録材料として有機色素を用いる場合には、スピンコーティングなどにより作成する。
上記本発明の製造方法によれば、クロスライト、クロスイレースを抑制した光記録媒体を簡便な方法で作製することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、隣接トラックに誤って信号を記録してしまうクロスライトや、隣接トラックの記録信号を誤って消去してしまうクロスイレースの問題を解決した高密度記録が可能な光記録媒体及びその記録再生方法と製造方法を提供できる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0036】
実施例1
図20に示す構成の光記録媒体を作成した。基板101には厚みが0.6mmのポリカーボネートを用い、バッファー層301には膜厚50nmのZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層102には膜厚5nmのGeを用いた。断熱部103にはZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層上面からの高さを45nmとした。断熱部はトラックに沿って連続的に円周状に形成し、トラックピッチ302は370nmとした。記録層104には膜厚15nmの酸化ビスマスを用いた。なお、バッファー層は、記録時の熱による基板へのダメージを防ぐと共に、反射率を制御する役割を担う層である。
この光記録媒体に対し記録を行った。記録に用いたレーザー光の波長は780nm、対物レンズの開口数は0.55、記録パワーは8mWで、50nsecのパルス幅の光を照射した。光の吸収率は材料の消衰系数kに比例するので、吸収率の比較をkの値で行うと、波長780nmの光に対しGeはk=0.5程度、酸化ビスマスは0.1程度である。
記録マークを走査電子顕微鏡で観察したところ、断熱部が記録層の下に無く、光吸収層と記録層が接しているところに記録マークが形成された。その模式図を図21に示した。光記録媒体を上から見た図である。201はトラックであり、202は断熱部が記録層の下にある領域、203は記録マークである。光のスポットは1.2μm程度であり、トラックピッチ370nmよりかなり大きいにも拘わらず、狭いトラックへの記録を行ってもクロスライト、クロスイレースは起きなかった。
【0037】
実施例2
図20に示す構成の光記録媒体を作成した。基板101には厚みが0.6mmのポリカーボネートを用い、バッファー層301には膜厚50nmのZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層102には膜厚20nmのAgIn11Sb27Te59を用いた。断熱部103にはZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層上面からの高さを45nmとした。断熱部はトラックに沿って連続的に円周状に形成し、トラックピッチ302は200nmとした。記録層104には膜厚15nmの酸化ビスマスを用いた。
この光記録媒体に対し記録を行った。記録に用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85、記録パワーは4mWで、50nsecのパルス幅の光を照射した。光の吸収率は材料の消衰系数kに比例するので、吸収率の比較をkの値で行うと、波長405nmの光に対しAgIn11Sb27Te59はk=2.7程度、酸化ビスマスは0.29程度である。
記録マークを走査電子顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様に光吸収層と記録層が接しているところに記録マークが形成され図21のようになった。光のスポットは390nm程度であり、トラックピッチ200nmよりかなり大きいにも拘わらず、狭いトラックへの記録を行ってもクロスライト、クロスイレースは起きなかった。
【0038】
実施例3
記録層104に下記〔化4〕のシアニン色素を用い、膜厚を60nmとした点以外は、実施例1と同様にして図20に示す構成の光記録媒体を作成した。
この光記録媒体に対し、記録パワーを6mWにした点以外は実施例1と同様にして記録を行って観察したところ、実施例1と同様に光吸収層と記録層が接しているところに記録マークが形成され、図21のようになった。
光のスポットは、1.2μm程度であり、トラックピッチ370nmよりもかなり大きいにも拘わらず、狭いトラックへの記録を行ってもクロスライト、クロスイレースは起きなかった。
【化4】

【0039】
実施例4
実施例3で作成した光記録媒体に対し、波長780nm、NA0.55の光学系を用いたピックアップで、波長780nmの光を殆ど吸収しない断熱部と断熱部の間にトラッキングして記録を行った。記録光は情報に対応し変調したパルス状の光である。
次いで、波長405nm、NA0.85の光学系を用い、トラックにトラッキングを行って再生したところ、良好に再生できた。
即ち、記録層で吸収がないような波長の光を記録光として用いることにより、狭い領域に記録することが可能であり、記録光の波長さえ限定すれば、再生光の波長は、記録光の波長以外であれば限定がないため適用範囲が広がり、互換性などを取り易くなる。
【0040】
実施例5
図22に示す構成の光記録媒体を作成した。基板101には厚みが0.6mmのポリカーボネートを用い、バッファー層301には膜厚50nmのZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層102には膜厚5nmのGeを用いた。断熱部103にはZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層上面からの高さを45nmとした。断熱部はトラックに沿って連続的に円周状に形成し、トラックピッチ302は370nmとした。記録層104には膜厚15nmの酸化ビスマスを用い、超解像層502には膜厚20nmのSbTe層を用いた。
この光記録媒体に対し記録を行った。記録に用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85、記録パワーは6mWで、記録周期200nmのマークを記録した。
この光記録媒体を再生したところ、通常の再生光強度0.2mWでは、C/Nは0であり、再生解像限界以下であることが分った。そこで、4.5m/sで回転させながら再生光強度を0.8mWにするとC/Nは12dBになり、更に1.2mWにするとC/Nは41dBまで上昇した。従って、超解像現象によって再生ができ、高いC/Nを得らることが確認された。
【0041】
実施例6
図20に示す構成の光記録媒体を作成した。基板101には厚みが0.6mmのポリカーボネートを用い、バッファー層301には膜厚50nmのZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層102には膜厚20nmのGeを用いた。この光吸収層は超解像層の機能も有する。断熱部103にはZnS・SiO(モル比8:2)を用い、光吸収層上面からの高さを45nmとした。断熱部はトラックに沿って連続的に円周状に形成し、トラックピッチ302は370nmとした。記録層104には膜厚15nmの酸化ビスマスを用いた。
この光記録媒体に対し記録を行った。記録に用いたレーザー光の波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85、記録パワーは6mWで、記録周期200nmのマークを記録した。
この光記録媒体を再生したところ、通常の再生光強度0.2mWでは、C/Nは0であり、再生解像限界以下であることが分った。そこで、7.0m/sで回転させながら再生光強度を1.2mWにするとC/Nは10dBになり、更に2.0mWにするとC/Nは28dBまで上昇した。従って、超解像現象によって再生ができ、高いC/Nを得らることが確認された。
【0042】
実施例7
断熱部103をAgからなる遮光部501に変えた点以外は、実施例1と同様にして、図23に示す構成の光記録媒体を作成した。
この光記録媒体に対し、実施例1と同様にして記録を行ったところ、図21に示すような記録マークが形成され、実施例1と同様に、光のスポットが1.2μm程度であり、トラックピッチ370nmよりかなり大きいにも拘わらず、狭いトラックへの記録を行ってもクロスライト、クロスイレースは起きなかった。
【0043】
実施例8
図19に示す作製方法により本発明の光記録媒体を作製した。
まず、図19(a)の各層の積層工程において、厚みが0.6mmのポリカーボネート基板1101上に、ZnS・SiO(モル比8:2)からなる膜厚50nmのバッファー層1102、Geからなる膜厚5nmの光吸収層1103、ZnS・SiO(モル比8:2)からなる膜厚45nmの断熱部を形成する層1104を順次スパッタリング法で成膜した。成膜は室温、Ar雰囲気で行った。
次に、図19(b)の断熱部の形状を決定する工程において、断熱部を形成する薄膜側(図中の矢印1111の方向)から、断熱部として残す部分(1112)にレーザー光を照射した。CW光を用い、波長は405nm、対物レンズの開口数は0.85、パワーは1.8mWとした。トラッキングとフォーカスサーボをかけ、基板を3.5m/sの速さで回転させながら連続照射した。断熱部のピッチは370nm、幅は150nmとした。
次に、図19(c)のエッチング工程において、1112以外の不必要な部分を除去し凸状に加工した。残った1121が断熱部である。不必要な部分の除去は、溶液エッチングで行った。エッチング溶液にはフッ酸(HF)と水(HO)の混合液を用いた。フッ酸は50%希釈溶液を用いた。溶液比はHF:HO=1:10とした。この溶液に記録媒体を10秒間浸漬した。エッチング後、直ぐに水で洗浄し、乾燥窒素等により乾燥させた。
最後に、図19(d)の工程で、記録層1105を製膜した。一つはスパッタリング法で酸化ビスマスを膜厚15nm形成した。もう一つはスピンコート法で前述した有機色素〔化4〕を膜厚60nm形成した。
以上のようにして断熱部を有する光記録媒体が作製できた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の記録原理を説明するための図。
【図2】本発明で言う「隣接するトラックの間」の態様例を示す図。
【図3】本発明で言う「隣接するトラックの間」の態様例を示す図。
【図4】本発明で言う「隣接するトラックの間」の態様例を示す図。
【図5】本発明で言う「隣接するトラックの間」の態様例を示す図。
【図6】本発明で言う「隣接するトラックの間」の態様例を示す図。
【図7】断熱部を有する本発明の光記録媒体の一例の断面図。
【図8】従来の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図9】従来の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図10】本発明の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図11】従来の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図12】光の照射方向が異なる本発明の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図13】遮光部を有する本発明の光記録媒体の一例の断面図。
【図14】本発明の光記録媒体に対する記録の説明図。
【図15】色素材料の吸収スペクトルを示す図。
【図16】一般的な有機色素の波長に対する吸収スペクトルの説明図。
【図17】記録阻害部を有する本発明の光記録媒体を上から見たイメージ図。
【図18】超解像層を有する本発明の光記録媒体の一例の断面図。
【図19】本発明の光記録媒体の作製方法の一例の説明図。
【図20】断熱部を有する実施例の光記録媒体の断面図。
【図21】実施例の光記録媒体の記録マークを上から見た説明図。
【図22】超解像層を有する実施例の光記録媒体の断面図。
【図23】遮光部を有する実施例の光記録媒体の断面図。
【図24】記録阻害部が無い場合の記録状態を説明する図。
【符号の説明】
【0045】
101 基板
102 光吸収層
103 断熱部
104 記録層
105 光
106 記録マーク
107 トラック
108 トラック
109 トラック
110 記録マーク
201 トラック
202 断熱部が記録層の下にある領域
203 記録マーク
301 バッファー層
302 トラックピッチ
401 色素の吸収帯
402 色素の非吸収帯
1101 支持基板
1102 バッファー層
1103 光吸収層
1104 凸状断熱部を形成する薄膜
1105 記録層
1111 レーザー光の照射方向
1112 ZnS−SiOの構造として残す部分
1121 凸状断熱部
501 遮光部
502 超解像層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも、光を吸収し熱を発生する光吸収層、記録層、及び該記録層への記録を阻害する記録阻害部を有し、該記録阻害部は該記録層と該光吸収層の間で且つ隣接するトラックの間に配置され、該光吸収層の光吸収機能により記録マークが形成されることを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
前記記録阻害部が熱を遮断する断熱部であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項3】
前記断熱部が材料Aと材料Bの混合体を含有し、該材料Aはシリコン化合物であり、該材料Bは硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つの材料であることを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
【請求項4】
前記断熱部の熱伝導率が、前記記録層を構成する材料の熱伝導率よりも低いことを特徴とする請求項2又は3記載の光記録媒体。
【請求項5】
前記断熱部の、記録光の波長における光吸収率が、1×10−3〜1×10−5であることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項6】
前記記録阻害部が光を遮断する遮光部であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
【請求項7】
前記遮光部が少なくとも一種類の金属材料からなるか、又は、材料Aと材料Bの混合体を含有し、該材料Aはシリコン化合物であり、該材料Bは硫化物、セレン化物、フッ化物の群から選ばれる少なくとも一つの材料であることを特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
【請求項8】
前記記録層材料が金属、半導体又は半金属の酸化物であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項9】
前記記録層材料が有機色素であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項10】
前記有機色素が記録光の波長と異なる極大吸収帯を持つことを特徴とする請求項9記載の光記録媒体。
【請求項11】
前記記録阻害部が前記光吸収層からみて光源側に凸状に配置されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項12】
前記記録阻害部が円周状又は渦巻状に配置されていることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項13】
前記光吸収層が、光を吸収し温度が上昇しても、変質又は変形しないことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項14】
照射された光の強度分布、又は光照射に伴い生じる温度分布により超解像現象を生じる超解像層を設けることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の光記録媒体。
【請求項15】
前記超解像層が前記光吸収層を兼ねることを特徴とする請求項14記載の光記録媒体。
【請求項16】
記録光の波長と再生光の波長が異なることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
【請求項17】
記録光及び再生光が基板を通して照射されることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の光記録媒体の記録再生方法。
【請求項18】
基板上に、少なくとも光吸収層及び凸状断熱部用の薄膜を積層する工程、該積層構成に対して、該凸状断熱部用の薄膜側から光を照射し凸状断熱部の形状を決定する工程、該凸状断熱部用の薄膜の不必要な部分を除去し凸状断熱部を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2006−65985(P2006−65985A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249036(P2004−249036)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】