光走査装置及び画像形成装置
【課題】高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供する。
【解決手段】 各液晶素子は、1つの有効エリアを含み、該有効エリアに印加されるV1(第1の実効電圧)及びV2(第2の実効電圧)に応じて、主走査方向に直交する面内で入射光束を偏向する。そして、走査制御装置は、検出された走査線のずれ量Δzに応じて、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を設定する。この場合は、液晶素子によって感光体ドラムの表面における走査線位置を移動させても、副走査ビームウェスト位置が大きく変化するのを抑制することができる。
【解決手段】 各液晶素子は、1つの有効エリアを含み、該有効エリアに印加されるV1(第1の実効電圧)及びV2(第2の実効電圧)に応じて、主走査方向に直交する面内で入射光束を偏向する。そして、走査制御装置は、検出された走査線のずれ量Δzに応じて、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を設定する。この場合は、液晶素子によって感光体ドラムの表面における走査線位置を移動させても、副走査ビームウェスト位置が大きく変化するのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光束により被走査面を走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。この場合、画像形成装置は光走査装置を備え、感光性を有するドラム(以下では、「感光体ドラム」という)の軸方向(主走査方向)に偏向器(例えば、ポリゴンミラー)を用いてレーザ光を走査しつつ、感光体ドラムを副走査方向に回転させて潜像を形成する方法が一般的である。
【0003】
また、近年、画像形成装置には、画像の高密度化及び画像出力の高速化が求められている。上記高密度化と高速化を両立させる方法の一つとして、複数の光束で同時に感光体ドラムの表面を走査するいわゆるマルチビーム化が考えられた。
【0004】
この場合には、感光体ドラムの表面に形成される複数の光スポットの副走査方向に関する間隔(以下では、便宜上、「ビームピッチ」ともいう)を調整する必要がある。
【0005】
また、複数の感光体ドラムを備えるタンデム型のカラー画像形成装置においては、感光体ドラム間の相対的な走査線の位置ずれを調整する必要がある。
【0006】
上記各調整の手段として、液晶素子を用いることが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。液晶素子は、低電圧駆動、無発熱、無騒音、無振動、小型及び軽量等の優れた特徴を有しているため、ビームピッチ等の調整に適している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の観点からすると、光源から射出される光束により被走査面を走査する光走査装置であって、少なくとも1つの有効エリアを含み、該少なくとも1つの有効エリアに印加される第1及び第2の実効電圧に応じて、前記光束を偏向する液晶素子と;前記少なくとも1つの有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、前記第1及び第2の実効電圧を設定する制御装置と;を備える光走査装置である。
【0008】
これによれば、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことが可能となる。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0010】
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における位置ずれ検出器を説明するための図である。
【図3】位置検出センサの配置を説明するための図である。
【図4】トナーパッチを説明するための図である。
【図5】LEDからの照明光の軌跡を説明するための図である。
【図6】位置検出センサの出力信号を説明するための図である。
【図7】光走査装置を説明するための図である。
【図8】光源2200aに対応する偏向器前光学系を説明するための図である。
【図9】光源2200bに対応する偏向器前光学系を説明するための図である。
【図10】走査光学系を説明するための図である。
【図11】液晶素子を説明するための図(その1)である。
【図12】液晶素子を説明するための図(その2)である。
【図13】液晶層における印加される実効電圧とリタデーションとの関係を説明するための図である。
【図14】液晶素子の透明電極を説明するための図である。
【図15】液晶素子の有効エリアを説明するための図である。
【図16】P1、P2、φ12を説明するための図である。
【図17】平行光束が入射したときに液晶素子から射出される光束を説明するための図である。
【図18】従来例におけるV1及びV2を説明するための図である。
【図19】従来例におけるP1−P2間の位相差特性曲線の直線からのずれを説明するための図である。
【図20】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、従来例における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図21】有効エリアの中心部に入射する光束を説明するための図である。
【図22】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、従来例における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図23】有効エリアの中心部からずれた位置に入射する光束を説明するための図である。
【図24】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、従来例における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図25】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、従来例における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図26】本実施形態におけるV1及びV2を説明するための図である。
【図27】本実施形態におけるP1−P2間の位相差特性曲線の直線からのずれを説明するための図である。
【図28】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図29】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図30】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図31】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図32】図32(A)及び図32(B)は、いずれもシリンドリカルレンズの位置を調整するための調整機構を説明するための図である。
【図33】走査制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図34】メモリに格納されている、Δz、偏向角θ、φ12、V1及びV2のテーブルを説明するための図である。
【図35】光源が2つの発光部を有する場合を説明するための図である。
【図36】光源ユニットの光学ハウジングへの取り付け状態を説明するための図である。
【図37】2つの発光部に対応して2つの有効エリアを有する液晶素子を説明するための図である。
【図38】図38(A)は、各有効エリアの中心部に光束が入射する場合を説明するための図であり、図38(B)は、各有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射する場合を説明するための図である。
【図39】液晶素子を光学ハウジングに保持するためのホルダを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図34に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0013】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電チャージャ(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、位置ずれ検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0014】
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0015】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0016】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0017】
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
【0018】
感光体ドラム2030a、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0019】
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
【0020】
感光体ドラム2030b、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0021】
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
【0022】
感光体ドラム2030c、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0023】
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
【0024】
感光体ドラム2030d、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0025】
各帯電チャージャは、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0026】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
【0027】
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれている。
【0028】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0029】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下、便宜上「トナー画像」という)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0030】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0031】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
【0032】
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0033】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電チャージャに対向する位置に戻る。
【0034】
位置ずれ検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。
【0035】
この位置ずれ検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの位置検出センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
【0036】
各位置検出センサは、−Y方向に向かって、位置検出センサ2245a、位置検出センサ2245b、位置検出センサ2245cの順に一列に配置されている。
【0037】
位置検出センサ2245aは、転写ベルト2040を照明するLED2242aとその反射光を受光するフォトセンサ2241aを有している。
【0038】
位置検出センサ2245bは、転写ベルト2040を照明するLED2242bとその反射光を受光するフォトセンサ2241bを有している。
【0039】
位置検出センサ2245cは、転写ベルト2040を照明するLED2242cとその反射光を受光するフォトセンサ2241cを有している。
【0040】
各フォトセンサは、それぞれ受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0041】
ここでは、一例として図3に示されるように、Y軸方向に関して、有効走査領域の両端部近傍に対応する各位置に位置検出センサ2245a及び位置検出センサ2245cが配置され、有効走査領域の中央部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245bが配置されている。そして、Y軸方向に関して、位置検出センサ2245aの中心位置をY1、位置検出センサ2245bの中心位置をY2、位置検出センサ2245cの中心位置をY3とする。
【0042】
位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われる際には、転写ベルト2040における位置Y1、位置Y2、及び位置Y3に、それぞれ位置検出用のトナーパッチTPが形成されるように設定されている。
【0043】
トナーパッチTPは、一例として図4に示されるように、転写ベルト2040の進行方向に隣接している第1ライン群と第2ライン群とを有している。第1及び第2ライン群は、いずれも4本のラインパターン(pk、pc、pm、py)から構成されている。ラインパターンpkは、Kステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpcは、Cステーションで形成されたラインパターンである。また、ラインパターンpmは、Mステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpyは、Yステーションで形成されたラインパターンである。
【0044】
第1ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して時計方向に45度傾斜している。一方、第2ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して反時計方向に45度傾斜している。
【0045】
ここでは、転写ベルト2040の回転に伴って、第1ライン群のラインパターンpy、ラインパターンpm、ラインパターンpc、ラインパターンpk、第2ライン群のラインパターンpk、ラインパターンpc、ラインパターンpm、ラインパターンpyの順に、位置検出センサのLEDによって照明されるように配置されている(図5参照)。
【0046】
位置ずれ検出処理において、位置検出センサから出力される信号が、一例として図6に示されている。tyは、第1ライン群のラインパターンpyを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。tmは、第1ライン群のラインパターンpmを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tcは、第1ライン群のラインパターンpcを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkは、第1ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpkを検知するまでの時間である。
【0047】
また、tkcは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkmは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tkyは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。
【0048】
プリンタ制御装置2090は、例えば、装置の立ち上げ時やジョブ間等のタイミングで、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理を行い、Kステーションを基準としたときの、Cステーション、Mステーション、Yステーションでの副走査レジストずれ量、走査線の傾きずれ量を求める(例えば、特開2008−276010号公報、及び特開2005−238584号公報参照)。なお、1ジョブのプリント枚数が多い場合には、その間の温度変化によるずれを抑えるために、途中で割り込みをかけて位置ずれ検出処理が行われることもある。このときに得られた各ずれ量に関する情報は、光走査装置2010に通知される。
【0049】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0050】
光走査装置2010は、一例として図7〜図10に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び走査制御装置30(図33参照)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図7〜図9では図示省略、図10参照)の所定位置に組み付けられている。
【0051】
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
【0052】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0053】
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
【0054】
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0055】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0056】
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0057】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
【0058】
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0059】
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。ここでは、光源2200aからの光束が光束分割プリズム2203aに入射し、光源2200bからの光束が光束分割プリズム2203bに入射する。
【0060】
各液晶素子は、出力画像における色ずれを抑制するのに用いられる。
【0061】
液晶素子2211aは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0062】
液晶素子2211bは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0063】
液晶素子2211cは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0064】
液晶素子2211dは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0065】
なお、各液晶素子の構成については後述する。
【0066】
シリンドリカルレンズ2204aは、液晶素子2211aからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0067】
シリンドリカルレンズ2204bは、液晶素子2211bからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0068】
シリンドリカルレンズ2204cは、液晶素子2211cからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204dは、液晶素子2211dからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0070】
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸回りに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0071】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0072】
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
【0073】
fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
【0074】
そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
【0075】
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0076】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折り返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0077】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0078】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0079】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。また、各折り返しミラーは、それぞれミラー保持部材(図示省略)に保持されて、光学ハウジング2300に固定されている。
【0080】
また、シリンドリカルレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0081】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
【0082】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
【0083】
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
【0084】
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
【0085】
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0086】
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0087】
走査制御装置は、各光検知センサの出力信号に基づいて対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを検出する
【0088】
次に、上記各液晶素子の構成について説明する。4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)は、いずれも同じように構成されている。そこで、以下では、液晶素子2211aを代表として、液晶素子の構成について説明する。
【0089】
液晶素子2211aは、一例として図11に示されるように、有効エリア16Aを有している。「有効エリア」とは、外部からの電気信号により駆動され、入射光の位相を変調することが可能な領域をいう。
【0090】
なお、開口板2202aの開口部と有効エリア16Aとの相対位置のばらつきを考慮し、有効エリア16Aの大きさは、開口部の大きさよりも広く設定されている。そこで、有効エリア16Aの大きさは、有効エリア16Aに入射する光束のビーム径よりも大きい。
【0091】
ここでは、一例として、有効エリア16AのZ軸方向の幅Hを2.4[mm]としている。
【0092】
液晶素子2211aは、一例として図12に示されるように、液晶層168が配向膜(165、166)及び透明電極(163、164)を介して2枚のガラス基板(161、162)で挟持されている。そして、各ガラス基板の周縁部は、シール材で密封され、いわゆるセル構造となっている。液晶層168の厚さ(w1方向の長さ)は、数[μm]〜数十[μm]程度である。ここでは、液晶層として、ネマティック型の液晶分子がホモジニアスに配列された液晶層を用いている。液晶層168の+w1側にある透明電極164は、グラウンドに接続されている。
【0093】
この液晶層168は、20℃では、一例として図13に示されるような、印加電圧の実効値(実効電圧)とリタデーションとの関係を有している。なお、以下では、便宜上、実効電圧とリタデーションとの関係を示す曲線を、「位相差特性曲線」ともいう。
【0094】
液晶層168の−w1側にある透明電極163は、一例として図14に示されるように、それぞれm1方向を長手方向とし、Z軸方向に沿って配列された複数のストライプ電極163aと、Z軸方向を長手方向とし、各ストライプ電極の+m1側端部と接続され所定の抵抗値を有する細線電極163bとを有している。
【0095】
そして、細線電極163bの−Z側端部に入力端子T1が、+Z側端部に入力端子T2が接続されている。
【0096】
また、複数のストライプ電極163aが含まれる領域が、有効エリア16Aである(図15参照)。
【0097】
各入力端子に印加される電圧は、周波数が数百Hzから数kHz程度で、直流成分をもたない交流電圧である。そして、以下では、入力端子T1に印加される交流電圧の実効値をV1、入力端子T2に印加される交流電圧の実効値をV2とする。また、液晶層168において、V1に対応するリタデーションをφ1、V2に対応するリタデーションをφ2とする(図16参照)。さらに、位相差特性曲線上におけるV1に対応する点をP1、V2に対応する点をP2とする(図16参照)。
【0098】
細線電極163bの抵抗値を所定の値(一定値)に設定し、入力端子T1にV1を印加し、入力端子V2にV2を印加すれば、有効エリア16A内には、副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)に、電位勾配を生じさせることができる。このとき、有効エリア16Aでは、副走査対応方向の両端に、リタデーションの差φ12(=φ1−φ2)が生じる(図16参照)。
【0099】
例えば、H=2.4[mm]のときに、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]が印加されると、有効エリア16A内には、(V1−V2)/H=0.9[V]/2.4[mm]=0.375[V/mm]の直線的な電位勾配が発生する。このとき、φ12=400[nm]となる。
【0100】
ところで、図16において、実効電圧をZ軸方向の座標に置き換えると、V1とV2の間の位相差特性曲線の形状は、有効エリア16Aの副走査対応方向の全領域に平行光束(平面波)を入射させたときに、液晶素子から射出される光束の波面形状とみなすことができる。図17には、一例として、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]としたときに、入射した平行光束(平面波)が発散光束として射出される様子が模式的に示されている(図17参照)。
【0101】
液晶素子から射出される光束の偏向角θは、次の(1)式で表すことができる。
【0102】
tanθ=φ12/H ……(1)
【0103】
例えば、H=2.4[mm]のときに、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]が印加されると、φ12=400[nm]なので、偏向角θは、θ=tan−1(400[nm]/2.4[mm])=0.167[mrad]である。
【0104】
また、液晶素子による感光体ドラム表面での走査線位置の変化量Δzは、次の(2)式で求めることができる。ここで、mはポリゴンミラーの偏向反射面と感光体ドラム表面までの光学系の副走査対応方向に関する倍率(横倍率)であり、Fcylはシリンドリカルレンズの焦点距離である。
【0105】
Δz=m×Fcyl×(φ12/H) ……(2)
【0106】
ところで、特開2007−226130号公報に開示されている従来例では、液晶層の位相変調に伴って光束に発生する波面収差(特に、パワー成分)が最小になるようにV1、V2の条件を設定している。
【0107】
例えば、φ12=730[nm]のときに、上記従来例にしたがうと、図18に示されるように、V1=2.55[V]、V2=1.45[V]となる。そして、P1とP2の間の位相差特性曲線において、P1とP2を結んだ線分L1の成分を除去した曲線が図19に示されている。この曲線は、2つの極値を有している。
【0108】
副走査対応方向に関して、有効エリア16A内の位置と実効電圧との間に対応関係(直線関係)があることから、図19における横軸を有効エリア16Aの中心からの距離に置き換えたものが図20に示されている。この図20に示される曲線の実線部分は、一例として図21に示されるように、有効エリア16Aの中心部にビーム径W=1.6[mm]の光束が入射したときに、液晶素子を透過した光束の波面形状を示している。この波面形状は、2つの極値を有している。
【0109】
図20に示される波面形状を2次多項式で近似し、該2次多項式を両端の位相差が0となるように変換して、パワー成分を抽出すると、図22に示されるように、直線となる。すなわち、パワー成分をもたないことが分かる。
【0110】
光走査装置を構成する部品自体の製造誤差、光走査装置の組立誤差及び調整誤差の影響により、光束が有効エリア16Aの中心部からずれた位置に入射することがある。例えば、図23に示されるように、光束が有効エリア16Aの中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に入射したときの、液晶素子を透過した光束の波面形状が図24に示されている。また、そのパワー成分が図25に示されている。このパワー成分は、PV(peak−to−valley)値が57[nm]程度の「上凸形状」のパワー(正のパワー)である。なお、本明細書では、パワー成分のPV値は、位相差の最大値と最小値との差を意味することとする。
【0111】
このように、従来例では、光束の入射位置が変化すると、パワー成分のPV値も変化する。
【0112】
一方、本実施形態では、図26に示されるように、φ12は従来例と同じ730[nm]であっても、V1=2.70[V]、V2=1.65[V]とし、従来例よりも高く設定している。そして、P1とP2の間の位相差特性曲線において、P1とP2を結んだ線分L1の成分を除去した曲線が図27に示されている。この曲線は、従来例と異なり、1つの極値を有している。
【0113】
図27における横軸を有効エリア16Aの中心からの距離に置き換えたものが図28に示されている。この図28に示される曲線の実線部分は、有効エリア16Aの中心部にビーム径1.6[mm]の光束が入射したときに、液晶素子を透過した光束の波面形状を示している。この波面形状は、従来例と異なり、1つの極値を有している。
【0114】
図28に示される波面形状から抽出されたパワー成分が、図29に示されている。このパワー成分は、PV値が22[nm]程度の「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。
【0115】
また、光束が有効エリア16Aの中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に入射したときの、液晶素子を透過した光束の波面形状が図30に示されている。また、そのパワー成分が図31に示されている。このパワー成分は、PV値が20[nm]程度の「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。これは、光束が有効エリア16Aの中心部に入射したときと同じ程度のパワーである。
【0116】
このように、本実施形態では、光束の入射位置が変化しても、パワー成分のPV値はあまり変化しない。
【0117】
ところで、パワー成分は、その曲線(パワー成分曲線)を円弧で最小二乗近似すると、該円弧の曲率半径Rは、次の(3)式で示される。ここで、Pvはパワー成分曲線のPV値、Wは入射光束のビーム径である。
【0118】
R={Pv2+(W2/4)}/(2×Pv) ……(3)
【0119】
例えば、W=1.6[mm]のときに、Pv=57[nm]であれば、R=5.6[m]であり、Pv=20[nm]であれば、R=16.0[m]である。
【0120】
なお、液晶素子が駆動したときに発生する波面収差は、Wが数[mm]程度のときは、わずか数百[nm]であるため、2次多項式で近似した曲線と円弧で近似した曲線は、実質的に同じとみなすことができる。
【0121】
そして、主走査方向に直交する面内でのビームウェスト位置(副走査ビームウェスト位置)のずれ量は、上記曲率半径Rに反比例する。
【0122】
例えば、液晶素子とシリンドリカルレンズの間の距離D=50[mm]、シリンドリカルレンズの焦点距離Fcyl=125.4[mm]、シリンドリカルレンズの屈折率n=1.514、ポリゴンミラーの偏向反射面と感光体ドラム表面までの光学系の副走査対応方向に関する倍率(横倍率)m=1.1倍、波長λ=655[nm]である場合、R=5.6[m]のときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、2.0[mm]程度であり、R=16.0[m]のときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、0.7[mm]程度である。
【0123】
また、φ12=730[nm]なので、感光体ドラム表面での走査線位置の変化量Δzは、Δz=m×Fcyl×(Δφ/H)=1.1×125.4[mm]×(730[nm]/1.6[mm])=63[μm]である。
【0124】
すなわち、従来例では、光束が有効エリアの中心部に入射するときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は0であるが、光束の入射位置が+Z側に0.4[mm]変化すると、副走査ビームウェスト位置は、2.0[mm]程度変化する。
【0125】
一方、本実施形態では、光束が有効エリアの中心部に入射するときは、副走査ビームウェスト位置は、0.7[mm]程度ずれるが、そのずれ量は、光束の入射位置が+Z側に0.4[mm]変化しても、ほとんど変化しない。
【0126】
このように、従来例では、副走査ビームウェスト位置ずれ量が、本実施形態の約3倍になるおそれがある。
【0127】
光走査装置の構成部品自体の製造誤差、光走査装置の組立誤差及び調整誤差、光走査装置と感光体ドラムとの相対位置の誤差、及び装置使用時の温度変化等の影響を考慮すると、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は小さいことが望ましい。例えば、現在市販されているレーザプリンタ等の画像形成装置に使用されている光走査装置においては、一般的に、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、1.5[mm]以下、望ましくは、1.0[mm]程度以下であることが要求されることが多い。
【0128】
従来例では、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は、副走査対応方向に関する有効エリア16A内への光束の入射位置に依存する。従って、従来例の駆動方法では、複数の光走査装置間で、副走査ビームウェスト位置に個体差(ばらつき)が発生するおそれがある。
【0129】
そこで、従来例の駆動方法では、副走査ビームウェスト位置ずれ量の個体差を補正する必要がある。例えば、開口板の開口部と液晶素子の有効エリアを高精度に位置合わせするための調整機構を光走査装置に付加したり、光走査装置の構成部品のばらつきを小さくすることが考えられるが、いずれも高コスト化を招くという不都合がある。また、調整機構により調整する場合、各有効エリア毎に個別に副走査ビームウェスト位置を検出し、その検出結果に基づいて調整値を決定する必要があり、煩雑な調整工程が必要となる。
【0130】
また、従来例において、何ら対策を講じない場合には、温度変化によって感光体ドラム表面でのスポット径が所望のスポット径よりも大きくなり、出力画像の品質を低下させるおそれがある。また、設計的にスポット径の狙い値を所望のスポット径よりも太くする必要が生じる等、出力画像の高品位化には望ましくない。
【0131】
本実施形態では、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は、有効エリア16A内への光束の入射位置に依存しない。従って、複数の光走査装置間での副走査ビームウェスト位置に個体差(ばらつき)が発生することはない。
【0132】
勿論、本実施形態において、副走査ビームウェスト位置の調整機構を具備することは、好ましい構成である。調整機構としては、シリンドリカルレンズ又はカップリングレンズを光軸方向(光束の進行方向)に移動させるための移動機構を採用することができる(図32(A)及び図32(B)参照)。
【0133】
なお、本実施形態で調整機構を備えた場合、走査線位置の調整範囲(調整ストローク)内での副走査ビームウェスト位置ずれ量を、事前に設計的に又は実測にて求めておき、その副走査ビームウェスト位置ずれ量に応じて、調整値を設定すれば良い。このとき、各有効エリア毎に個別に調整値を求める必要はない。
【0134】
以上のことから、本実施形態のほうが従来例よりも望ましいことが分かる。
【0135】
走査制御装置30は、一例として図33に示されるように、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、液晶素子駆動回路213、IF(インターフェース)214、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、書込制御回路219、及び光源駆動回路221などを有している。なお、図33における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0136】
IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
【0137】
画素クロック生成回路215は、各光検知センサの出力信号に基づいて、各ステーションの画素クロック信号を生成する。ここで生成された各画素クロック信号は、画像処理回路216及び書込制御回路219に供給される。また、各光検知センサの出力信号は、各ステーションの同期信号として書込制御回路219に出力される。
【0138】
画像処理回路216は、プリンタ制御装置2090を介して上位装置から受信した各画像情報をラスター展開するとともに、所定の中間調処理などを行った後、対応する画素クロック信号を基準とした各画素の階調を表す画像データを作成する。そして、画像処理回路216は、各光検知センサの出力信号に基づいて、各ステーションの走査開始を検出すると、各画素クロック信号に同期して対応する画像データを書込制御回路219に出力する。
【0139】
書込制御回路219は、画像処理回路216からの画像データ、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号及び同期信号に基づいて、各ステーションのパルス変調信号を生成する。
【0140】
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの各パルス変調信号に基づいて各光源を駆動する。
【0141】
液晶素子駆動回路213は、CPU210の指示により、電圧V1を実効電圧とする交流電圧信号、及び電圧V2を実効電圧とする交流電圧信号を生成し、指示されたステーションの液晶素子に出力する。これにより、指示された液晶素子の入力端子T1に実効電圧V1が印加され、入力端子T2に実効電圧V2が印加される。
【0142】
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、プログラムの実行に用いられる各種データなどが格納されている。
【0143】
RAM212は、作業用のメモリである。
【0144】
CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
【0145】
CPU210は、所定のタイミングでステーション毎にビームピッチの調整を行う。このCPU210によって行われるビームピッチの調整方法について説明する。
【0146】
(1)プリンタ制御装置2090による位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理の結果に基づいて、走査線位置の変化量Δzを求める。
【0147】
(2)走査線位置の変化量Δzから、液晶素子から射出される光束の偏向角θを求める。
【0148】
(3)偏向角θから、φ12を求める。
【0149】
(4)φ12から、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を求める。
【0150】
(5)求めたV1及びV2を、液晶素子に印加する。
【0151】
なお、一例として図34に示されるように、複数のΔzについて、Δz毎に、対応する偏向角θ及びφ12、並びに該φ12が確保され有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるV1及びV2が、あらかじめ計算等によって得られ、テーブル形式でフラッシュメモリ211に保存されている場合には、検出されたΔzと一致するΔzのテーブルを検索及び抽出し、該テーブルのV1及びV2を液晶素子に印加しても良い。このとき、検出されたΔzと一致するΔzのテーブルがないときには、検出されたΔzに近いΔzのテーブルを複数抽出し、それらのテーブルから、求めるV1及びV2を予想しても良い。
【0152】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、CPU210によって本発明の制御装置が構成されている。
【0153】
また、CPU210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0154】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの走査光学系、及び走査制御装置などを備えている。
【0155】
各液晶素子は、1つの有効エリアを含み、該有効エリアに印加されるV1(第1の実効電圧)及びV2(第2の実効電圧)に応じて、主走査方向に直交する面内で入射光束を偏向する。
【0156】
そして、CPU210は、検出されたΔzに応じて、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を設定する。
【0157】
この場合は、環境温度の変化や、経時変化によって、副走査対応方向に関して、液晶素子の有効エリアと開口板の開口部の相対的な位置関係がずれても、液晶素子を透過した光束の波面形状の曲率半径はほとんど変化しないので、副走査ビームウェスト位置が変化するおそれはない。
【0158】
また、液晶素子を駆動して感光体ドラム表面における走査線位置を調整しても、副走査ビームウェスト位置が大きく変化するのを抑制することができる。
【0159】
従って、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことができる。
【0160】
また、副走査ビームウェスト位置に関して、複数の光走査装置間に個体差(ばらつき)が発生するのを抑制することができる。そして、調整機構を備える場合であっても、副走査ビームウェスト位置を調整するための調整値を液晶素子毎に個別に設定する必要はない。
【0161】
また、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能である。
【0162】
なお、上記実施形態では、光走査装置2010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも用いることができる。
【0163】
また、上記実施形態において、一例として図35に示されるように、各光源が2つの発光部(14a、14b)を有していても良い。ここでは、2つの発光部(14a、14b)は、発光部14aに対応するカップリングレンズ15a、発光部14bに対応するカップリングレンズ15bとともに、円筒部21aを有するベース部材21に所定の位置関係で保持され、ユニット化されている。以下では、このユニットを「光源ユニット」という。光源ユニットは、一例として図36に示されるように、円筒部21aが、光学ハウジングの円形の開口部に挿入されている。
【0164】
この場合は、液晶素子2211aは、一例として図37に示されるように、2つの有効エリア(16A、16B)を有している。各有効エリアは、同じ構造の電極パターンを備えた透明電極から形成され、ここでは、有効エリア16Bは、有効エリア16Aをw1方向に平行な軸回りに180度回転させた状態と同じ姿勢で、有効エリア16Aの−m1側に配置されている。V1及びV2に所定の電圧を印加することにより、各有効エリアにおいて、入力端子T1とT2の間に、副走査方向に関して互いに逆向きの直線的な電位勾配を発生させることができる。この電位勾配に応じて、各有効エリア内の液晶層に副走査方向に関して互いに逆向きの屈折率勾配を生じることができる。この屈折率勾配に応じて、各有効エリアに入射したレーザビームの光路を、副走査対応方向に関して互いに逆向きに微小角度偏向することができる。
【0165】
図38(a)に示されるように、液晶素子の中心部に平行光束が入射したときに、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、それぞれ同等のPV値を有し、いずれも「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。そのため、液晶素子を駆動したときに有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置は、いずれも同じ向きに同じ量だけ移動することになる。
【0166】
一方、このときに、上記従来例と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、いずれも0である。すなわち、有効エリア16A及び16Bのいずれを透過した光束にもパワー成分は発生しない。
【0167】
また、図38(b)に示されるように、液晶素子の中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に光束が入射した場合に、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、それぞれ同等のPV値を有し、いずれも「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。そのため、液晶素子を駆動したときに有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置は、いずれも同じ向きに同じ量だけ移動することになる。
【0168】
例えば、走査線間隔の補正量が126[μm]のときに、上記実施形態と同様にして電圧を印加した場合、副走査ビームウェスト位置ずれは、有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置はともに、ポリゴンミラーから遠ざかる向きに0.7[mm]移動することになる。すなわち、2本の光束間で副走査ビームウェスト位置の相対位置ずれは発生しない。また、通常の走査光学系では、この副走査ビームウェスト位置ずれ量は許容できる大きさである。
【0169】
一方、このときに、上記従来例と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16Aを透過した光束のパワー成分は、「上凸形状」のパワー(正のパワー)である。また、有効エリア16Bを透過した光束のパワー成分は、「下凸形状」のパワー(負パワー)である。これにより、液晶素子を駆動させると、2本の光束の感光体ドラム表面付近での副走査ビームウェスト位置は、互いに逆向きに移動することになる。
【0170】
例えば、走査線間隔の補正量が126[μm]のときに、従来例と同様にして電圧を印加した場合、副走査ビームウェスト位置ずれは、有効エリア16Aを透過した光束はポリゴンミラーに近づく向きに2.0[mm]移動し、有効エリア16Bを透過した光束はポリゴンミラーから遠ざかる向きに2.0[mm]移動することになる。すなわち、2本の光束の副走査ビームウェスト位置は相対的に4.0[mm]程度離れてしまうことになる。通常の走査光学系では、この副走査ビームウェスト位置ずれ量を許容することは困難である。
【0171】
また、各光源が2つの発光部(14a、14b)を有し、各液晶素子が2つの有効エリア(16A、16B)を有している場合には、液晶素子を用いて解像度の切り替えを行うことができる。これは、コピーモードでの出力画像の解像度とプリンタモードでの出力画像の解像度とが異なる複合機には好適である。
【0172】
例えば、デフォルト状態として、発光部14a及び14bとカップリングレンズ15a及び15bとの相対位置の調整により、感光体ドラム表面での走査線間隔を600dpi(約40[μm])にしておく。そして、このデフォルト状態から走査線間隔を1200dpi(約20[μm])に切り替える場合には、液晶素子を駆動して、2本の光束の光路を副走査対応方向に関して内向きに偏向し、各光束を感光体ドラム表面でそれぞれ10[μm]近づくように移動させれば良い。
【0173】
液晶素子を「解像度切替」に適用した場合、各有効エリアにおける偏向角θは同じである。すなわち、位相差特性曲線におけるP1及びP2の位置は、各有効エリアで同じである。そのため、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、1つの光走査装置内で1つの感光体ドラム表面を同時に走査する2本の光束間の副走査ビームウェスト位置ずれだけではなく、複数の光走査装置間の個体差の発生を抑制することができる。
【0174】
また、液晶素子は、一例として図39に示されるように、開口部を有するホルダに保持されても良い。この場合は、開口部と有効エリアの位置関係がずれるのを抑制することができる。そして、このホルダを光学ハウジングの所定位置に固定することにより、光源との位置関係を簡単に所望に位置関係とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上説明したように、本発明の光走査装置によれば、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0176】
16A…有効エリア、16B…有効エリア、210…CPU(制御装置)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(偏向器)、2200a〜2200d…光源、2201a〜2201d…カップリングレンズ、2204a〜2204d…シリンドリカルレンズ、2211a〜2211d…液晶素子、V1…実効電圧(第1の実効電圧)、V2…実効電圧(第2の実効電圧)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0177】
【特許文献1】特開2007−226130号公報
【特許文献2】特開2005−292349号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光束により被走査面を走査する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の画像記録では、レーザを用いた画像形成装置が広く用いられている。この場合、画像形成装置は光走査装置を備え、感光性を有するドラム(以下では、「感光体ドラム」という)の軸方向(主走査方向)に偏向器(例えば、ポリゴンミラー)を用いてレーザ光を走査しつつ、感光体ドラムを副走査方向に回転させて潜像を形成する方法が一般的である。
【0003】
また、近年、画像形成装置には、画像の高密度化及び画像出力の高速化が求められている。上記高密度化と高速化を両立させる方法の一つとして、複数の光束で同時に感光体ドラムの表面を走査するいわゆるマルチビーム化が考えられた。
【0004】
この場合には、感光体ドラムの表面に形成される複数の光スポットの副走査方向に関する間隔(以下では、便宜上、「ビームピッチ」ともいう)を調整する必要がある。
【0005】
また、複数の感光体ドラムを備えるタンデム型のカラー画像形成装置においては、感光体ドラム間の相対的な走査線の位置ずれを調整する必要がある。
【0006】
上記各調整の手段として、液晶素子を用いることが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。液晶素子は、低電圧駆動、無発熱、無騒音、無振動、小型及び軽量等の優れた特徴を有しているため、ビームピッチ等の調整に適している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の観点からすると、光源から射出される光束により被走査面を走査する光走査装置であって、少なくとも1つの有効エリアを含み、該少なくとも1つの有効エリアに印加される第1及び第2の実効電圧に応じて、前記光束を偏向する液晶素子と;前記少なくとも1つの有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、前記第1及び第2の実効電圧を設定する制御装置と;を備える光走査装置である。
【0008】
これによれば、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことが可能となる。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0010】
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における位置ずれ検出器を説明するための図である。
【図3】位置検出センサの配置を説明するための図である。
【図4】トナーパッチを説明するための図である。
【図5】LEDからの照明光の軌跡を説明するための図である。
【図6】位置検出センサの出力信号を説明するための図である。
【図7】光走査装置を説明するための図である。
【図8】光源2200aに対応する偏向器前光学系を説明するための図である。
【図9】光源2200bに対応する偏向器前光学系を説明するための図である。
【図10】走査光学系を説明するための図である。
【図11】液晶素子を説明するための図(その1)である。
【図12】液晶素子を説明するための図(その2)である。
【図13】液晶層における印加される実効電圧とリタデーションとの関係を説明するための図である。
【図14】液晶素子の透明電極を説明するための図である。
【図15】液晶素子の有効エリアを説明するための図である。
【図16】P1、P2、φ12を説明するための図である。
【図17】平行光束が入射したときに液晶素子から射出される光束を説明するための図である。
【図18】従来例におけるV1及びV2を説明するための図である。
【図19】従来例におけるP1−P2間の位相差特性曲線の直線からのずれを説明するための図である。
【図20】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、従来例における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図21】有効エリアの中心部に入射する光束を説明するための図である。
【図22】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、従来例における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図23】有効エリアの中心部からずれた位置に入射する光束を説明するための図である。
【図24】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、従来例における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図25】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、従来例における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図26】本実施形態におけるV1及びV2を説明するための図である。
【図27】本実施形態におけるP1−P2間の位相差特性曲線の直線からのずれを説明するための図である。
【図28】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図29】有効エリアの中心部に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図30】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束の波面形状を説明するための図である。
【図31】有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射するときの、本実施形態における透過光束のパワー成分を説明するための図である。
【図32】図32(A)及び図32(B)は、いずれもシリンドリカルレンズの位置を調整するための調整機構を説明するための図である。
【図33】走査制御装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図34】メモリに格納されている、Δz、偏向角θ、φ12、V1及びV2のテーブルを説明するための図である。
【図35】光源が2つの発光部を有する場合を説明するための図である。
【図36】光源ユニットの光学ハウジングへの取り付け状態を説明するための図である。
【図37】2つの発光部に対応して2つの有効エリアを有する液晶素子を説明するための図である。
【図38】図38(A)は、各有効エリアの中心部に光束が入射する場合を説明するための図であり、図38(B)は、各有効エリアの中心部からずれた位置に光束が入射する場合を説明するための図である。
【図39】液晶素子を光学ハウジングに保持するためのホルダを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図34に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
【0013】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電チャージャ(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、位置ずれ検出器2245及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
【0014】
なお、本明細書では、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
【0015】
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0016】
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
【0017】
感光体ドラム2030aの表面近傍には、感光体ドラム2030aの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、クリーニングユニット2031aが配置されている。
【0018】
感光体ドラム2030a、帯電チャージャ2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
【0019】
感光体ドラム2030bの表面近傍には、感光体ドラム2030bの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、クリーニングユニット2031bが配置されている。
【0020】
感光体ドラム2030b、帯電チャージャ2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
【0021】
感光体ドラム2030cの表面近傍には、感光体ドラム2030cの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、クリーニングユニット2031cが配置されている。
【0022】
感光体ドラム2030c、帯電チャージャ2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
【0023】
感光体ドラム2030dの表面近傍には、感光体ドラム2030dの回転方向に沿って、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、クリーニングユニット2031dが配置されている。
【0024】
感光体ドラム2030d、帯電チャージャ2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
【0025】
各帯電チャージャは、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0026】
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
【0027】
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる主走査方向の走査領域は「有効走査領域」あるいは「画像形成領域」と呼ばれている。
【0028】
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
【0029】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(以下、便宜上「トナー画像」という)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0030】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0031】
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚づつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
【0032】
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
【0033】
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電チャージャに対向する位置に戻る。
【0034】
位置ずれ検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。
【0035】
この位置ずれ検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの位置検出センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
【0036】
各位置検出センサは、−Y方向に向かって、位置検出センサ2245a、位置検出センサ2245b、位置検出センサ2245cの順に一列に配置されている。
【0037】
位置検出センサ2245aは、転写ベルト2040を照明するLED2242aとその反射光を受光するフォトセンサ2241aを有している。
【0038】
位置検出センサ2245bは、転写ベルト2040を照明するLED2242bとその反射光を受光するフォトセンサ2241bを有している。
【0039】
位置検出センサ2245cは、転写ベルト2040を照明するLED2242cとその反射光を受光するフォトセンサ2241cを有している。
【0040】
各フォトセンサは、それぞれ受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0041】
ここでは、一例として図3に示されるように、Y軸方向に関して、有効走査領域の両端部近傍に対応する各位置に位置検出センサ2245a及び位置検出センサ2245cが配置され、有効走査領域の中央部近傍に対応する位置に位置検出センサ2245bが配置されている。そして、Y軸方向に関して、位置検出センサ2245aの中心位置をY1、位置検出センサ2245bの中心位置をY2、位置検出センサ2245cの中心位置をY3とする。
【0042】
位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理が行われる際には、転写ベルト2040における位置Y1、位置Y2、及び位置Y3に、それぞれ位置検出用のトナーパッチTPが形成されるように設定されている。
【0043】
トナーパッチTPは、一例として図4に示されるように、転写ベルト2040の進行方向に隣接している第1ライン群と第2ライン群とを有している。第1及び第2ライン群は、いずれも4本のラインパターン(pk、pc、pm、py)から構成されている。ラインパターンpkは、Kステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpcは、Cステーションで形成されたラインパターンである。また、ラインパターンpmは、Mステーションで形成されたラインパターンであり、ラインパターンpyは、Yステーションで形成されたラインパターンである。
【0044】
第1ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して時計方向に45度傾斜している。一方、第2ライン群では、各ラインパターンは、Y軸方向に対して反時計方向に45度傾斜している。
【0045】
ここでは、転写ベルト2040の回転に伴って、第1ライン群のラインパターンpy、ラインパターンpm、ラインパターンpc、ラインパターンpk、第2ライン群のラインパターンpk、ラインパターンpc、ラインパターンpm、ラインパターンpyの順に、位置検出センサのLEDによって照明されるように配置されている(図5参照)。
【0046】
位置ずれ検出処理において、位置検出センサから出力される信号が、一例として図6に示されている。tyは、第1ライン群のラインパターンpyを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。tmは、第1ライン群のラインパターンpmを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tcは、第1ライン群のラインパターンpcを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkは、第1ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpkを検知するまでの時間である。
【0047】
また、tkcは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpcを検知するまでの時間である。tkmは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpmを検知するまでの時間である。tkyは、第2ライン群のラインパターンpkを検知してから第2ライン群のラインパターンpyを検知するまでの時間である。
【0048】
プリンタ制御装置2090は、例えば、装置の立ち上げ時やジョブ間等のタイミングで、位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理を行い、Kステーションを基準としたときの、Cステーション、Mステーション、Yステーションでの副走査レジストずれ量、走査線の傾きずれ量を求める(例えば、特開2008−276010号公報、及び特開2005−238584号公報参照)。なお、1ジョブのプリント枚数が多い場合には、その間の温度変化によるずれを抑えるために、途中で割り込みをかけて位置ずれ検出処理が行われることもある。このときに得られた各ずれ量に関する情報は、光走査装置2010に通知される。
【0049】
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
【0050】
光走査装置2010は、一例として図7〜図10に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つのfθレンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、8つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108a、2108b、2108c、2108d)、4つのトロイダルレンズ(2107a、2107b、2107c、2107d)、4つの光検知センサ(2205a、2205b、2205c、2205d)、4つの光検知用ミラー(2207a、2207b、2207c、2207d)、及び走査制御装置30(図33参照)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング2300(図7〜図9では図示省略、図10参照)の所定位置に組み付けられている。
【0051】
また、カップリングレンズ2201aの光軸に沿った方向を「w1方向」、カップリングレンズ2201bの光軸に沿った方向を「w2方向」とする。さらに、Z軸方向及びw1方向のいずれにも直交する方向を「m1方向」、Z軸方向及びw2方向のいずれにも直交する方向を「m2方向」とする。
【0052】
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0053】
光源2200aにおける主走査対応方向は「m1方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。また、光源2200bにおける主走査対応方向は「m2方向」であり、副走査対応方向はZ軸方向と同じ方向である。
【0054】
光源2200aと光源2200bは、X軸方向に関して離れた位置に配置されている。
【0055】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0056】
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
【0057】
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
【0058】
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
【0059】
各光束分割プリズムは、入射光束の半分を透過させ、残りを反射するハーフミラー面と、該ハーフミラー面で反射された光束の光路上にハーフミラー面に平行に配置されたミラー面とを有している。すなわち、各光束分割プリズムは、入射光束を互いに平行な2つの光束に分割する。ここでは、光源2200aからの光束が光束分割プリズム2203aに入射し、光源2200bからの光束が光束分割プリズム2203bに入射する。
【0060】
各液晶素子は、出力画像における色ずれを抑制するのに用いられる。
【0061】
液晶素子2211aは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0062】
液晶素子2211bは、光束分割プリズム2203aからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw1方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0063】
液晶素子2211cは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち+Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0064】
液晶素子2211dは、光束分割プリズム2203bからの2つの光束のうち−Z側の光束の光路上に配置され、該光束をZ軸方向及びw2方向のいずれにも平行な面内で偏向することができる。
【0065】
なお、各液晶素子の構成については後述する。
【0066】
シリンドリカルレンズ2204aは、液晶素子2211aからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0067】
シリンドリカルレンズ2204bは、液晶素子2211bからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0068】
シリンドリカルレンズ2204cは、液晶素子2211cからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0069】
シリンドリカルレンズ2204dは、液晶素子2211dからの光束の光路上に配置され、該光束をポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0070】
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸回りに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目の4面鏡及び2段目の4面鏡は、互いに位相が45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
【0071】
ここでは、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
【0072】
各fθレンズはそれぞれ、ポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するようなパワーを有する非円弧面形状を有している。
【0073】
fθレンズ2105a及びfθレンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、fθレンズ2105c及びfθレンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
【0074】
そして、fθレンズ2105aとfθレンズ2105bはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105aは1段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105bは2段目の4面鏡に対向している。また、fθレンズ2105cとfθレンズ2105dはZ軸方向に積層され、fθレンズ2105cは2段目の4面鏡に対向し、fθレンズ2105dは1段目の4面鏡に対向している。
【0075】
そこで、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、fθレンズ2105a、折返しミラー2106a、トロイダルレンズ2107a、及び折返しミラー2108aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
【0076】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、fθレンズ2105b、折り返しミラー2106b、トロイダルレンズ2107b、及び折返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
【0077】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、fθレンズ2105c、折り返しミラー2106c、トロイダルレンズ2107c、及び折返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
【0078】
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、fθレンズ2105d、折り返しミラー2106d、トロイダルレンズ2107d、及び折り返しミラー2108dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
【0079】
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。また、各折り返しミラーは、それぞれミラー保持部材(図示省略)に保持されて、光学ハウジング2300に固定されている。
【0080】
また、シリンドリカルレンズとそれに対応するトロイダルレンズとにより、偏向点とそれに対応する感光体ドラム表面とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系が構成されている。
【0081】
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、fθレンズ2105aとトロイダルレンズ2107aと折り返しミラー(2106a、2108a)とからKステーションの走査光学系が構成されている。また、fθレンズ2105bとトロイダルレンズ2107bと折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、fθレンズ2105cとトロイダルレンズ2107cと折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、fθレンズ2105dとトロイダルレンズ2107dと折り返しミラー(2106d、2108d)とからYステーションの走査光学系が構成されている。
【0082】
光検知センサ2205aには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Kステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207aを介して入射する。
【0083】
光検知センサ2205bには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Cステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207bを介して入射する。
【0084】
光検知センサ2205cには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Mステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207cを介して入射する。
【0085】
光検知センサ2205dには、ポリゴンミラー2104で偏向され、Yステーションの走査光学系を介した光束のうち一回の光走査における書き込み開始前の光束の一部が、光検知用ミラー2207dを介して入射する。
【0086】
各光検知センサはいずれも、受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
【0087】
走査制御装置は、各光検知センサの出力信号に基づいて対応する感光体ドラムでの走査開始タイミングを検出する
【0088】
次に、上記各液晶素子の構成について説明する。4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)は、いずれも同じように構成されている。そこで、以下では、液晶素子2211aを代表として、液晶素子の構成について説明する。
【0089】
液晶素子2211aは、一例として図11に示されるように、有効エリア16Aを有している。「有効エリア」とは、外部からの電気信号により駆動され、入射光の位相を変調することが可能な領域をいう。
【0090】
なお、開口板2202aの開口部と有効エリア16Aとの相対位置のばらつきを考慮し、有効エリア16Aの大きさは、開口部の大きさよりも広く設定されている。そこで、有効エリア16Aの大きさは、有効エリア16Aに入射する光束のビーム径よりも大きい。
【0091】
ここでは、一例として、有効エリア16AのZ軸方向の幅Hを2.4[mm]としている。
【0092】
液晶素子2211aは、一例として図12に示されるように、液晶層168が配向膜(165、166)及び透明電極(163、164)を介して2枚のガラス基板(161、162)で挟持されている。そして、各ガラス基板の周縁部は、シール材で密封され、いわゆるセル構造となっている。液晶層168の厚さ(w1方向の長さ)は、数[μm]〜数十[μm]程度である。ここでは、液晶層として、ネマティック型の液晶分子がホモジニアスに配列された液晶層を用いている。液晶層168の+w1側にある透明電極164は、グラウンドに接続されている。
【0093】
この液晶層168は、20℃では、一例として図13に示されるような、印加電圧の実効値(実効電圧)とリタデーションとの関係を有している。なお、以下では、便宜上、実効電圧とリタデーションとの関係を示す曲線を、「位相差特性曲線」ともいう。
【0094】
液晶層168の−w1側にある透明電極163は、一例として図14に示されるように、それぞれm1方向を長手方向とし、Z軸方向に沿って配列された複数のストライプ電極163aと、Z軸方向を長手方向とし、各ストライプ電極の+m1側端部と接続され所定の抵抗値を有する細線電極163bとを有している。
【0095】
そして、細線電極163bの−Z側端部に入力端子T1が、+Z側端部に入力端子T2が接続されている。
【0096】
また、複数のストライプ電極163aが含まれる領域が、有効エリア16Aである(図15参照)。
【0097】
各入力端子に印加される電圧は、周波数が数百Hzから数kHz程度で、直流成分をもたない交流電圧である。そして、以下では、入力端子T1に印加される交流電圧の実効値をV1、入力端子T2に印加される交流電圧の実効値をV2とする。また、液晶層168において、V1に対応するリタデーションをφ1、V2に対応するリタデーションをφ2とする(図16参照)。さらに、位相差特性曲線上におけるV1に対応する点をP1、V2に対応する点をP2とする(図16参照)。
【0098】
細線電極163bの抵抗値を所定の値(一定値)に設定し、入力端子T1にV1を印加し、入力端子V2にV2を印加すれば、有効エリア16A内には、副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)に、電位勾配を生じさせることができる。このとき、有効エリア16Aでは、副走査対応方向の両端に、リタデーションの差φ12(=φ1−φ2)が生じる(図16参照)。
【0099】
例えば、H=2.4[mm]のときに、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]が印加されると、有効エリア16A内には、(V1−V2)/H=0.9[V]/2.4[mm]=0.375[V/mm]の直線的な電位勾配が発生する。このとき、φ12=400[nm]となる。
【0100】
ところで、図16において、実効電圧をZ軸方向の座標に置き換えると、V1とV2の間の位相差特性曲線の形状は、有効エリア16Aの副走査対応方向の全領域に平行光束(平面波)を入射させたときに、液晶素子から射出される光束の波面形状とみなすことができる。図17には、一例として、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]としたときに、入射した平行光束(平面波)が発散光束として射出される様子が模式的に示されている(図17参照)。
【0101】
液晶素子から射出される光束の偏向角θは、次の(1)式で表すことができる。
【0102】
tanθ=φ12/H ……(1)
【0103】
例えば、H=2.4[mm]のときに、V1=3.0[V]、V2=2.1[V]が印加されると、φ12=400[nm]なので、偏向角θは、θ=tan−1(400[nm]/2.4[mm])=0.167[mrad]である。
【0104】
また、液晶素子による感光体ドラム表面での走査線位置の変化量Δzは、次の(2)式で求めることができる。ここで、mはポリゴンミラーの偏向反射面と感光体ドラム表面までの光学系の副走査対応方向に関する倍率(横倍率)であり、Fcylはシリンドリカルレンズの焦点距離である。
【0105】
Δz=m×Fcyl×(φ12/H) ……(2)
【0106】
ところで、特開2007−226130号公報に開示されている従来例では、液晶層の位相変調に伴って光束に発生する波面収差(特に、パワー成分)が最小になるようにV1、V2の条件を設定している。
【0107】
例えば、φ12=730[nm]のときに、上記従来例にしたがうと、図18に示されるように、V1=2.55[V]、V2=1.45[V]となる。そして、P1とP2の間の位相差特性曲線において、P1とP2を結んだ線分L1の成分を除去した曲線が図19に示されている。この曲線は、2つの極値を有している。
【0108】
副走査対応方向に関して、有効エリア16A内の位置と実効電圧との間に対応関係(直線関係)があることから、図19における横軸を有効エリア16Aの中心からの距離に置き換えたものが図20に示されている。この図20に示される曲線の実線部分は、一例として図21に示されるように、有効エリア16Aの中心部にビーム径W=1.6[mm]の光束が入射したときに、液晶素子を透過した光束の波面形状を示している。この波面形状は、2つの極値を有している。
【0109】
図20に示される波面形状を2次多項式で近似し、該2次多項式を両端の位相差が0となるように変換して、パワー成分を抽出すると、図22に示されるように、直線となる。すなわち、パワー成分をもたないことが分かる。
【0110】
光走査装置を構成する部品自体の製造誤差、光走査装置の組立誤差及び調整誤差の影響により、光束が有効エリア16Aの中心部からずれた位置に入射することがある。例えば、図23に示されるように、光束が有効エリア16Aの中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に入射したときの、液晶素子を透過した光束の波面形状が図24に示されている。また、そのパワー成分が図25に示されている。このパワー成分は、PV(peak−to−valley)値が57[nm]程度の「上凸形状」のパワー(正のパワー)である。なお、本明細書では、パワー成分のPV値は、位相差の最大値と最小値との差を意味することとする。
【0111】
このように、従来例では、光束の入射位置が変化すると、パワー成分のPV値も変化する。
【0112】
一方、本実施形態では、図26に示されるように、φ12は従来例と同じ730[nm]であっても、V1=2.70[V]、V2=1.65[V]とし、従来例よりも高く設定している。そして、P1とP2の間の位相差特性曲線において、P1とP2を結んだ線分L1の成分を除去した曲線が図27に示されている。この曲線は、従来例と異なり、1つの極値を有している。
【0113】
図27における横軸を有効エリア16Aの中心からの距離に置き換えたものが図28に示されている。この図28に示される曲線の実線部分は、有効エリア16Aの中心部にビーム径1.6[mm]の光束が入射したときに、液晶素子を透過した光束の波面形状を示している。この波面形状は、従来例と異なり、1つの極値を有している。
【0114】
図28に示される波面形状から抽出されたパワー成分が、図29に示されている。このパワー成分は、PV値が22[nm]程度の「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。
【0115】
また、光束が有効エリア16Aの中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に入射したときの、液晶素子を透過した光束の波面形状が図30に示されている。また、そのパワー成分が図31に示されている。このパワー成分は、PV値が20[nm]程度の「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。これは、光束が有効エリア16Aの中心部に入射したときと同じ程度のパワーである。
【0116】
このように、本実施形態では、光束の入射位置が変化しても、パワー成分のPV値はあまり変化しない。
【0117】
ところで、パワー成分は、その曲線(パワー成分曲線)を円弧で最小二乗近似すると、該円弧の曲率半径Rは、次の(3)式で示される。ここで、Pvはパワー成分曲線のPV値、Wは入射光束のビーム径である。
【0118】
R={Pv2+(W2/4)}/(2×Pv) ……(3)
【0119】
例えば、W=1.6[mm]のときに、Pv=57[nm]であれば、R=5.6[m]であり、Pv=20[nm]であれば、R=16.0[m]である。
【0120】
なお、液晶素子が駆動したときに発生する波面収差は、Wが数[mm]程度のときは、わずか数百[nm]であるため、2次多項式で近似した曲線と円弧で近似した曲線は、実質的に同じとみなすことができる。
【0121】
そして、主走査方向に直交する面内でのビームウェスト位置(副走査ビームウェスト位置)のずれ量は、上記曲率半径Rに反比例する。
【0122】
例えば、液晶素子とシリンドリカルレンズの間の距離D=50[mm]、シリンドリカルレンズの焦点距離Fcyl=125.4[mm]、シリンドリカルレンズの屈折率n=1.514、ポリゴンミラーの偏向反射面と感光体ドラム表面までの光学系の副走査対応方向に関する倍率(横倍率)m=1.1倍、波長λ=655[nm]である場合、R=5.6[m]のときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、2.0[mm]程度であり、R=16.0[m]のときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、0.7[mm]程度である。
【0123】
また、φ12=730[nm]なので、感光体ドラム表面での走査線位置の変化量Δzは、Δz=m×Fcyl×(Δφ/H)=1.1×125.4[mm]×(730[nm]/1.6[mm])=63[μm]である。
【0124】
すなわち、従来例では、光束が有効エリアの中心部に入射するときは、副走査ビームウェスト位置ずれ量は0であるが、光束の入射位置が+Z側に0.4[mm]変化すると、副走査ビームウェスト位置は、2.0[mm]程度変化する。
【0125】
一方、本実施形態では、光束が有効エリアの中心部に入射するときは、副走査ビームウェスト位置は、0.7[mm]程度ずれるが、そのずれ量は、光束の入射位置が+Z側に0.4[mm]変化しても、ほとんど変化しない。
【0126】
このように、従来例では、副走査ビームウェスト位置ずれ量が、本実施形態の約3倍になるおそれがある。
【0127】
光走査装置の構成部品自体の製造誤差、光走査装置の組立誤差及び調整誤差、光走査装置と感光体ドラムとの相対位置の誤差、及び装置使用時の温度変化等の影響を考慮すると、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は小さいことが望ましい。例えば、現在市販されているレーザプリンタ等の画像形成装置に使用されている光走査装置においては、一般的に、副走査ビームウェスト位置ずれ量は、1.5[mm]以下、望ましくは、1.0[mm]程度以下であることが要求されることが多い。
【0128】
従来例では、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は、副走査対応方向に関する有効エリア16A内への光束の入射位置に依存する。従って、従来例の駆動方法では、複数の光走査装置間で、副走査ビームウェスト位置に個体差(ばらつき)が発生するおそれがある。
【0129】
そこで、従来例の駆動方法では、副走査ビームウェスト位置ずれ量の個体差を補正する必要がある。例えば、開口板の開口部と液晶素子の有効エリアを高精度に位置合わせするための調整機構を光走査装置に付加したり、光走査装置の構成部品のばらつきを小さくすることが考えられるが、いずれも高コスト化を招くという不都合がある。また、調整機構により調整する場合、各有効エリア毎に個別に副走査ビームウェスト位置を検出し、その検出結果に基づいて調整値を決定する必要があり、煩雑な調整工程が必要となる。
【0130】
また、従来例において、何ら対策を講じない場合には、温度変化によって感光体ドラム表面でのスポット径が所望のスポット径よりも大きくなり、出力画像の品質を低下させるおそれがある。また、設計的にスポット径の狙い値を所望のスポット径よりも太くする必要が生じる等、出力画像の高品位化には望ましくない。
【0131】
本実施形態では、液晶素子の駆動に伴う副走査ビームウェスト位置ずれ量は、有効エリア16A内への光束の入射位置に依存しない。従って、複数の光走査装置間での副走査ビームウェスト位置に個体差(ばらつき)が発生することはない。
【0132】
勿論、本実施形態において、副走査ビームウェスト位置の調整機構を具備することは、好ましい構成である。調整機構としては、シリンドリカルレンズ又はカップリングレンズを光軸方向(光束の進行方向)に移動させるための移動機構を採用することができる(図32(A)及び図32(B)参照)。
【0133】
なお、本実施形態で調整機構を備えた場合、走査線位置の調整範囲(調整ストローク)内での副走査ビームウェスト位置ずれ量を、事前に設計的に又は実測にて求めておき、その副走査ビームウェスト位置ずれ量に応じて、調整値を設定すれば良い。このとき、各有効エリア毎に個別に調整値を求める必要はない。
【0134】
以上のことから、本実施形態のほうが従来例よりも望ましいことが分かる。
【0135】
走査制御装置30は、一例として図33に示されるように、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、液晶素子駆動回路213、IF(インターフェース)214、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、書込制御回路219、及び光源駆動回路221などを有している。なお、図33における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0136】
IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
【0137】
画素クロック生成回路215は、各光検知センサの出力信号に基づいて、各ステーションの画素クロック信号を生成する。ここで生成された各画素クロック信号は、画像処理回路216及び書込制御回路219に供給される。また、各光検知センサの出力信号は、各ステーションの同期信号として書込制御回路219に出力される。
【0138】
画像処理回路216は、プリンタ制御装置2090を介して上位装置から受信した各画像情報をラスター展開するとともに、所定の中間調処理などを行った後、対応する画素クロック信号を基準とした各画素の階調を表す画像データを作成する。そして、画像処理回路216は、各光検知センサの出力信号に基づいて、各ステーションの走査開始を検出すると、各画素クロック信号に同期して対応する画像データを書込制御回路219に出力する。
【0139】
書込制御回路219は、画像処理回路216からの画像データ、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号及び同期信号に基づいて、各ステーションのパルス変調信号を生成する。
【0140】
光源駆動回路221は、書込制御回路219からの各パルス変調信号に基づいて各光源を駆動する。
【0141】
液晶素子駆動回路213は、CPU210の指示により、電圧V1を実効電圧とする交流電圧信号、及び電圧V2を実効電圧とする交流電圧信号を生成し、指示されたステーションの液晶素子に出力する。これにより、指示された液晶素子の入力端子T1に実効電圧V1が印加され、入力端子T2に実効電圧V2が印加される。
【0142】
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、プログラムの実行に用いられる各種データなどが格納されている。
【0143】
RAM212は、作業用のメモリである。
【0144】
CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
【0145】
CPU210は、所定のタイミングでステーション毎にビームピッチの調整を行う。このCPU210によって行われるビームピッチの調整方法について説明する。
【0146】
(1)プリンタ制御装置2090による位置ずれ検出器2245を用いた位置ずれ検出処理の結果に基づいて、走査線位置の変化量Δzを求める。
【0147】
(2)走査線位置の変化量Δzから、液晶素子から射出される光束の偏向角θを求める。
【0148】
(3)偏向角θから、φ12を求める。
【0149】
(4)φ12から、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を求める。
【0150】
(5)求めたV1及びV2を、液晶素子に印加する。
【0151】
なお、一例として図34に示されるように、複数のΔzについて、Δz毎に、対応する偏向角θ及びφ12、並びに該φ12が確保され有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるV1及びV2が、あらかじめ計算等によって得られ、テーブル形式でフラッシュメモリ211に保存されている場合には、検出されたΔzと一致するΔzのテーブルを検索及び抽出し、該テーブルのV1及びV2を液晶素子に印加しても良い。このとき、検出されたΔzと一致するΔzのテーブルがないときには、検出されたΔzに近いΔzのテーブルを複数抽出し、それらのテーブルから、求めるV1及びV2を予想しても良い。
【0152】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置2010では、CPU210によって本発明の制御装置が構成されている。
【0153】
また、CPU210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0154】
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2202a、2202b)、2つの光束分割プリズム(2203a、2203b)、4つの液晶素子(2211a、2211b、2211c、2211d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの走査光学系、及び走査制御装置などを備えている。
【0155】
各液晶素子は、1つの有効エリアを含み、該有効エリアに印加されるV1(第1の実効電圧)及びV2(第2の実効電圧)に応じて、主走査方向に直交する面内で入射光束を偏向する。
【0156】
そして、CPU210は、検出されたΔzに応じて、有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、V1及びV2を設定する。
【0157】
この場合は、環境温度の変化や、経時変化によって、副走査対応方向に関して、液晶素子の有効エリアと開口板の開口部の相対的な位置関係がずれても、液晶素子を透過した光束の波面形状の曲率半径はほとんど変化しないので、副走査ビームウェスト位置が変化するおそれはない。
【0158】
また、液晶素子を駆動して感光体ドラム表面における走査線位置を調整しても、副走査ビームウェスト位置が大きく変化するのを抑制することができる。
【0159】
従って、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うことができる。
【0160】
また、副走査ビームウェスト位置に関して、複数の光走査装置間に個体差(ばらつき)が発生するのを抑制することができる。そして、調整機構を備える場合であっても、副走査ビームウェスト位置を調整するための調整値を液晶素子毎に個別に設定する必要はない。
【0161】
また、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010を備えているため、結果として、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成することが可能である。
【0162】
なお、上記実施形態では、光走査装置2010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも用いることができる。
【0163】
また、上記実施形態において、一例として図35に示されるように、各光源が2つの発光部(14a、14b)を有していても良い。ここでは、2つの発光部(14a、14b)は、発光部14aに対応するカップリングレンズ15a、発光部14bに対応するカップリングレンズ15bとともに、円筒部21aを有するベース部材21に所定の位置関係で保持され、ユニット化されている。以下では、このユニットを「光源ユニット」という。光源ユニットは、一例として図36に示されるように、円筒部21aが、光学ハウジングの円形の開口部に挿入されている。
【0164】
この場合は、液晶素子2211aは、一例として図37に示されるように、2つの有効エリア(16A、16B)を有している。各有効エリアは、同じ構造の電極パターンを備えた透明電極から形成され、ここでは、有効エリア16Bは、有効エリア16Aをw1方向に平行な軸回りに180度回転させた状態と同じ姿勢で、有効エリア16Aの−m1側に配置されている。V1及びV2に所定の電圧を印加することにより、各有効エリアにおいて、入力端子T1とT2の間に、副走査方向に関して互いに逆向きの直線的な電位勾配を発生させることができる。この電位勾配に応じて、各有効エリア内の液晶層に副走査方向に関して互いに逆向きの屈折率勾配を生じることができる。この屈折率勾配に応じて、各有効エリアに入射したレーザビームの光路を、副走査対応方向に関して互いに逆向きに微小角度偏向することができる。
【0165】
図38(a)に示されるように、液晶素子の中心部に平行光束が入射したときに、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、それぞれ同等のPV値を有し、いずれも「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。そのため、液晶素子を駆動したときに有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置は、いずれも同じ向きに同じ量だけ移動することになる。
【0166】
一方、このときに、上記従来例と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、いずれも0である。すなわち、有効エリア16A及び16Bのいずれを透過した光束にもパワー成分は発生しない。
【0167】
また、図38(b)に示されるように、液晶素子の中心部から+Z側に0.4[mm]ずれた位置に光束が入射した場合に、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16A及び16Bを透過した光束のパワー成分は、それぞれ同等のPV値を有し、いずれも「下凸形状」のパワー(負のパワー)である。そのため、液晶素子を駆動したときに有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置は、いずれも同じ向きに同じ量だけ移動することになる。
【0168】
例えば、走査線間隔の補正量が126[μm]のときに、上記実施形態と同様にして電圧を印加した場合、副走査ビームウェスト位置ずれは、有効エリア16A及び16Bを透過した光束の副走査ビームウェスト位置はともに、ポリゴンミラーから遠ざかる向きに0.7[mm]移動することになる。すなわち、2本の光束間で副走査ビームウェスト位置の相対位置ずれは発生しない。また、通常の走査光学系では、この副走査ビームウェスト位置ずれ量は許容できる大きさである。
【0169】
一方、このときに、上記従来例と同様にして電圧を印加すると、有効エリア16Aを透過した光束のパワー成分は、「上凸形状」のパワー(正のパワー)である。また、有効エリア16Bを透過した光束のパワー成分は、「下凸形状」のパワー(負パワー)である。これにより、液晶素子を駆動させると、2本の光束の感光体ドラム表面付近での副走査ビームウェスト位置は、互いに逆向きに移動することになる。
【0170】
例えば、走査線間隔の補正量が126[μm]のときに、従来例と同様にして電圧を印加した場合、副走査ビームウェスト位置ずれは、有効エリア16Aを透過した光束はポリゴンミラーに近づく向きに2.0[mm]移動し、有効エリア16Bを透過した光束はポリゴンミラーから遠ざかる向きに2.0[mm]移動することになる。すなわち、2本の光束の副走査ビームウェスト位置は相対的に4.0[mm]程度離れてしまうことになる。通常の走査光学系では、この副走査ビームウェスト位置ずれ量を許容することは困難である。
【0171】
また、各光源が2つの発光部(14a、14b)を有し、各液晶素子が2つの有効エリア(16A、16B)を有している場合には、液晶素子を用いて解像度の切り替えを行うことができる。これは、コピーモードでの出力画像の解像度とプリンタモードでの出力画像の解像度とが異なる複合機には好適である。
【0172】
例えば、デフォルト状態として、発光部14a及び14bとカップリングレンズ15a及び15bとの相対位置の調整により、感光体ドラム表面での走査線間隔を600dpi(約40[μm])にしておく。そして、このデフォルト状態から走査線間隔を1200dpi(約20[μm])に切り替える場合には、液晶素子を駆動して、2本の光束の光路を副走査対応方向に関して内向きに偏向し、各光束を感光体ドラム表面でそれぞれ10[μm]近づくように移動させれば良い。
【0173】
液晶素子を「解像度切替」に適用した場合、各有効エリアにおける偏向角θは同じである。すなわち、位相差特性曲線におけるP1及びP2の位置は、各有効エリアで同じである。そのため、上記実施形態と同様にして電圧を印加すると、1つの光走査装置内で1つの感光体ドラム表面を同時に走査する2本の光束間の副走査ビームウェスト位置ずれだけではなく、複数の光走査装置間の個体差の発生を抑制することができる。
【0174】
また、液晶素子は、一例として図39に示されるように、開口部を有するホルダに保持されても良い。この場合は、開口部と有効エリアの位置関係がずれるのを抑制することができる。そして、このホルダを光学ハウジングの所定位置に固定することにより、光源との位置関係を簡単に所望に位置関係とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
以上説明したように、本発明の光走査装置によれば、高コスト化を招くことなく、高い精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高コスト化を招くことなく、高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0176】
16A…有効エリア、16B…有効エリア、210…CPU(制御装置)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、2030a〜2030d…感光体ドラム(像担持体)、2104…ポリゴンミラー(偏向器)、2200a〜2200d…光源、2201a〜2201d…カップリングレンズ、2204a〜2204d…シリンドリカルレンズ、2211a〜2211d…液晶素子、V1…実効電圧(第1の実効電圧)、V2…実効電圧(第2の実効電圧)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0177】
【特許文献1】特開2007−226130号公報
【特許文献2】特開2005−292349号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出される光束により被走査面を走査する光走査装置であって、
少なくとも1つの有効エリアを含み、該少なくとも1つの有効エリアに印加される第1及び第2の実効電圧に応じて、前記光束を偏向する液晶素子と;
前記少なくとも1つの有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、前記第1及び第2の実効電圧を設定する制御装置と;を備える光走査装置。
【請求項2】
前記液晶素子は、2つの有効エリアを含み、
前記第1及び第2の実効電圧が印加されたとき、該2つの有効エリアにおける屈折率勾配は互いに逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記被走査面における副走査ビームウェスト位置を調整する調整機構を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記液晶素子を通過した光束の光路上に配置され、少なくとも副走査方向にパワーを有する光学素子を備え、
前記調整機構は、光束の進行方向に略平行な方向に前記光学素子を移動する移動機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光学素子は、副走査方向にパワーを有するシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源と前記液晶素子との間の光路上に、前記光源からの光束を、平行光束、弱い発散光束、及び弱い収束光束のいずれかとするカップリングレンズを備え、
前記調整機構は、光束の進行方向に略平行な方向に前記カップリングレンズを移動する移動機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項7】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項1】
光源から射出される光束により被走査面を走査する光走査装置であって、
少なくとも1つの有効エリアを含み、該少なくとも1つの有効エリアに印加される第1及び第2の実効電圧に応じて、前記光束を偏向する液晶素子と;
前記少なくとも1つの有効エリア内における位相差分布曲線の極値数が1となるように、前記第1及び第2の実効電圧を設定する制御装置と;を備える光走査装置。
【請求項2】
前記液晶素子は、2つの有効エリアを含み、
前記第1及び第2の実効電圧が印加されたとき、該2つの有効エリアにおける屈折率勾配は互いに逆向きであることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記被走査面における副走査ビームウェスト位置を調整する調整機構を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記液晶素子を通過した光束の光路上に配置され、少なくとも副走査方向にパワーを有する光学素子を備え、
前記調整機構は、光束の進行方向に略平行な方向に前記光学素子を移動する移動機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光学素子は、副走査方向にパワーを有するシリンドリカルレンズであることを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光源と前記液晶素子との間の光路上に、前記光源からの光束を、平行光束、弱い発散光束、及び弱い収束光束のいずれかとするカップリングレンズを備え、
前記調整機構は、光束の進行方向に略平行な方向に前記カップリングレンズを移動する移動機構を有することを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項7】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光束を走査する少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか一項に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項8】
前記画像情報は、多色の画像情報であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【公開番号】特開2011−59169(P2011−59169A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205785(P2009−205785)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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