説明

光起電力装置の製造方法

【課題】多結晶半導体基板を用いた場合でも、裏面電極近傍における少数キャリアの再結合を従来に比して抑え、耐熱性を改善した裏面電極構造が得られる光起電力装置の製造方法を得ること。
【解決手段】P型多結晶シリコン基板101の受光面側にN型拡散層102と反射防止膜103を形成する工程と、反射防止膜103上に表面電極形状に導電性ペーストを形成し、800℃以上の温度で焼成する工程と、シリコン基板101の裏面側に裏面電極構造を形成する工程と、を含み、焼成前に、シリコン基板101の裏面上にプラズマCVD法によって、水素を含む第1の水素含有プラズマCVD膜を形成し、焼成後で裏面電極構造形成前に、第1の水素含有プラズマCVD膜を除去する工程をさらに含み、裏面電極構造を形成する工程では、プラズマCVD法によって形成された第2の水素含有プラズマCVD膜がシリコン基板101の裏面上に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池などの光起電力装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、広く用いられているシリコン太陽電池は、一般的に、P型シリコン基板の受光面側に、光吸収率を高める表面テクスチャ、N型拡散層、反射防止膜および表面電極(たとえば、櫛型Ag電極)を順次形成し、また、P型シリコン基板の裏面(非受光面)側に、裏面電極(たとえば、Al電極)をスクリーン印刷によって形成した後、これらを焼成することによって製造されている。このような焼成では、表面電極および裏面電極の溶媒成分が揮発すると共に、シリコン基板の表面側において櫛型Ag電極が反射防止膜を突き破ってN型拡散層に接続され、また、裏面側においてAl電極の一部のAlがシリコン基板に拡散して裏面電界(BSF:Back Surface Field)層を形成する。このBSF層は、シリコン基板との接合面で内部電界を形成してBSF層近傍で発生した少数キャリアをシリコン基板内部へ押し戻し、Al電極近傍でのキャリア再結合を抑制する役割を有し、開放電圧を高くすることができる。
【0003】
また、このようなシリコン基板の裏面の大部分にBSF層を形成する太陽電池よりも再結合速度を小さくすることが可能なパッシベーション膜(絶縁膜)を有する構造の太陽電池(たとえば、特許文献1、非特許文献1参照)や、BSF層として、薄く欠陥の少ない非晶質混合微結晶水素化シリコン膜をプラズマCVD法で形成した構造の太陽電池(たとえば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
特許文献1に記載の太陽電池は、シリコン基板の裏面側に熱酸化によってシリコン酸化(SiO2)膜からなるパッシベーション層を形成し、このパッシベーション膜に所定の間隔でポイント状やストライプ状の窓を形成し、パッシベーション膜上に裏面電極を形成し、焼成することによって得られる。その結果、窓に埋め込まれた裏面電極がシリコン基板と接触した部分でBSF層が形成されることで、シリコン基板裏面における裏面電極の面積を縮小して、シリコン基板裏面全体としてのキャリア再結合を抑制する。また、非特許文献1では、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したシリコン窒化膜をパッシベーション膜とする場合が示されている。このパッシベーション膜は、BSF層に比べてキャリア再結合をより一層抑制することができるため、太陽電池の開放電圧が増加して光電変換効率を高めることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−169096号公報
【特許文献2】特開平10−190033号公報
【非特許文献1】G. Agostinelli, et al., “Screen Printed Large Area Crystalline Silicon Solar Cells on Thin Substrates”, IMEC 20th European Photovoltaic Solar Energy Conference, 6-10 June 2005, p.647-650
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の太陽電池においては、品質は良いが高コストな単結晶シリコン基板を用いるとともに、熱酸化によって形成したパッシベーション膜に所定の間隔で窓を形成するために、写真製版プロセスなどの複雑かつ高コストなプロセスが用いられる。そのため、このようにして製造された太陽電池は、高価であり、主として宇宙用太陽電池などの特殊用途向けに用いられてきた。実際に、このような太陽電池におけるパッシベーション膜は、不純物や欠陥が少ない単結晶シリコン基板に対しては有効な再結合抑制効果を示している。また、パッシベーション膜は酸素雰囲気中の高温熱処理で形成しているため、このパッシベーション膜形成後に、BSF層を形成するための不純物拡散プロセスやスクリーン印刷による電極形成プロセスなどの高温プロセスを適用してもパッシベーション効果を保つことができる。
【0007】
ところで、量産を前提とした太陽電池は、上記のような高コストの単結晶基板を用いるのではなく、低品質であるが低コストの多結晶基板を用いて製造されることが望ましい。しかし、このような多結晶シリコン基板に対して特許文献1に記載の方法を適用して多結晶シリコン太陽電池を製造しても、パッシベーション膜に良好なパッシベーション効果が得られないという問題点があった。それは、多結晶シリコン基板は、通常不純物を多く含む上に結晶欠陥や粒界をもつために、高温での熱酸化プロセスやスクリーン印刷後の電極形成プロセスなどの800〜900℃以上の高温プロセスでは、不純物が粒界やパッシベーション膜との界面に移動したり、酸素などの雰囲気ガスが結晶欠陥を形成したりしてしまうからである。
【0008】
また、非特許文献1に記載のプラズマCVD法で形成されたシリコン窒化膜などのパッシベーション膜の熱耐性は、十分ではないという問題点もあった。特に、パッシベーション膜形成後に、BSF層を形成するための不純物拡散プロセスやスクリーン印刷による電極形成プロセスなどの高温プロセスを適用するとパッシベーション特性が低下してしまっていた。さらに、特許文献2に記載のプラズマCVD法で形成された非晶質混合微結晶水素化シリコン膜などのBSF層の熱耐性についても同様の問題点があった。
【0009】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、光起電力装置において、多結晶半導体基板を用いた場合でも、裏面電極近傍における少数キャリアの再結合を従来の光起電力装置に比して抑えるとともに、耐熱性を改善した裏面電極構造が得られる光起電力装置の製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、この発明にかかる光起電力装置の製造方法は、多結晶の第1の導電型の半導体基板の第1の主面側に第2の導電型の拡散層を形成する拡散層形成工程と、前記拡散層上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程と、前記反射防止膜上に表面電極形状に導電性ペーストを形成し、800℃以上の温度で、前記導電性ペーストを焼成する焼成工程と、前記半導体基板の第2の主面側に裏面電極構造を形成する裏面電極構造形成工程と、を含む光起電力装置の製造方法において、前記焼成工程の前に、前記半導体基板の第2の主面上にプラズマCVD法によって、水素を含む第1の水素含有プラズマCVD膜を形成するプラズマCVD膜形成工程と、前記焼成工程の後で前記裏面電極構造形成工程の前に、前記第1の水素含有プラズマCVD膜を除去するプラズマCVD膜除去工程と、を含み、前記裏面電極構造形成工程では、プラズマCVD法によって形成された水素を含む第2の水素含有プラズマCVD膜が前記半導体基板の前記第2の主面上に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、半導体基板の裏面側にプラズマCVD法によって、第1の水素含有プラズマCVD膜を形成した後、表面電極を焼成し、その後に第1の水素含有プラズマCVD膜を除去して、再びプラズマCVD法によって形成した第2の水素含有プラズマCVD膜を含む裏面電極構造を形成したので、表面電極焼成時には第1の水素含有プラズマCVD膜によって半導体基板のバルクパッシベーションが行われ、その後、第2の水素含有プラズマCVD膜によって、半導体基板に対し最良な界面パッシベーションが行われる。その結果、半導体基板の裏面電極近傍における少数キャリアの再結合を従来の多結晶半導体基板を用いた光起電力装置と比較して抑えることができ、従来のスクリーン印刷による多結晶シリコンセルプロセスを踏襲しながら良好なパッシベーション特性を有する光起電力装置を得ることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる光起電力装置の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施の形態で用いられる光起電力装置の断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。
【0013】
実施の形態1.
最初に、この実施の形態1で用いられる光起電力装置の構成について説明する。図1−1〜図1−3は、この発明の実施の形態1による光起電力装置の全体構成の一例を模式的に示す図であり、図1−1は光起電力装置の上面図であり、図1−2は光起電力装置の裏面図であり、図1−3は図1−2のA−A断面図である。また、図2は、光起電力装置の構成の一部を模式的に示す拡大断面図であり、図1−1のB−B断面図である。なお、図2における貫通孔130の開口部は小さいため図1−3には図示されていないが、実際には図2に示されるように図1−3のパッシベーション膜104には微細な貫通孔130(開口)が形成されている。
【0014】
この光起電力装置100は、半導体基板としてのP型多結晶シリコン基板101の受光面側(以下、表面側ともいう)に、図示しない微細な凹凸を有するテクスチャ構造が形成され、このテクスチャ構造が形成された表面から所定の深さの範囲にN型の不純物を拡散させたN型拡散層102が形成された構造を有している。これによって、シリコン基板101表面にはPN接合が形成される。また、このN型拡散層102の上面には、シリコン基板101の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜103が形成されている。この反射防止膜103上には、PN接合で生じた電流(電子)を局所的に集電するために櫛歯状に設けられるAg(銀)などからなるグリッド電極111と、グリッド電極111で集電された電流を取り出すために、グリッド電極111にほぼ直交してグリッド電極111間を接続するように設けられるAgなどからなるバス電極112と、からなる表面電極(受光面側電極)110が形成されている。なお、この表面電極110の下部は、反射防止膜103を貫通してN型拡散層102の上面と接続された状態にある。
【0015】
一方、P型シリコン基板101の受光面とは反対側の面(以下、裏面という)には、第2の水素含有プラズマCVD膜としての水素含有シリコン酸化膜105とシリコン炭窒化膜(以下、SiCN膜という)106との積層膜からなり、複数の貫通孔130を有するパッシベーション膜104が形成されている。また、このパッシベーション膜104上には、貫通孔130内を満たすように、P型不純物をシリコン基板101よりも高濃度に含んだ微結晶シリコン膜などからなる裏面電界層107と、PN接合で生じた電流(ホール)を取り出すとともに、入射光の反射を目的としてAl(アルミニウム)などからなる裏面集電電極121と、が順に形成される。また、裏面集電電極121内の所定の位置には、外部に電流を取り出すためのAgなどからなる裏面取出電極122が設けられている。
【0016】
ここで、SiCN膜106は、水素含有シリコン酸化膜105よりも密度が大きく(緻密で)、水素含有シリコン酸化膜105よりもシリコン基板101のエッチングに使用される薬品に対する高い薬品耐性を有する膜からなる。また、貫通孔130は、ポイント状またはストライプ状を有し、パッシベーション膜104に所定の間隔で形成される。さらに、以下では、裏面集電電極121と裏面取出電極122とを合わせて、裏面電極120ともいう。また、パッシベーション膜104、裏面電界層107および裏面集電電極121(裏面電極120)が、裏面電極構造を形成している。
【0017】
このように構成された光起電力装置100では、太陽光が光起電力装置100の受光面側からPN接合面(P型シリコン基板101とN型拡散層102との接合面)に照射されると、ホールと電子が生成する。PN接合面付近の電界によって、生成した電子はN型拡散層102に向かって移動し、ホールは裏面電界層107に向かって移動する。これにより、N型拡散層102に電子が過剰となり、裏面電界層107にホールが過剰となる結果、光起電力が発生する。この光起電力はPN接合を順方向にバイアスする向きに生じ、N型拡散層102に接続した表面電極110がマイナス極となり、裏面電界層107に接続した裏面電極120がプラス極となり、図示しない外部回路に電流が流れる。
【0018】
また、シリコン基板101の裏面側では水素含有シリコン酸化膜105によって、シリコン原子の未結合手(再結合中心)が不活性化されるとともに、シリコン基板101よりも禁制帯幅が広い電位障壁が形成される。これによって、シリコン基板101の裏面側近傍で発生した少数キャリアである電子は、シリコン基板101の裏面側表層部のシリコン原子の未結合手に捕獲されることがなく、電位障壁によって水素含有シリコン酸化膜105内に流れ込むこともなく、さらに、シリコン基板101と裏面電界層107との接合面で形成された内部電界によって、シリコン基板101内部へと押し戻される。これによって、シリコン基板101の裏面側で発生した少数キャリアである電子のシリコン基板101の裏面側での再結合が抑制され、上記した光起電力の発生に寄与することとなる。
【0019】
つぎに、このような構造の光起電力装置100の製造方法について説明する。図3は、この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図4−1〜図4−10は、この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である。なお、以下に示すサイズや成膜条件などは一例である。
【0020】
まず、多結晶シリコン基板(以下では、単にシリコン基板ということもある)101を用意する(図4−1)。ここでは、1Ωcmの抵抗率を有するP型多結晶シリコン基板を使用するものとする。このシリコン基板101は、多結晶シリコンインゴットからマルチワイヤソーでスライスし、アルカリ溶液を用いたウェットエッチングでスライス時のダメージを除去して製造する。ダメージ除去後のシリコン基板101の厚さは200μmであり、寸法は3cm×3cmである。ついで、水酸化カリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液にIPA(イソプロピルアルコール)を添加した溶液を用いる異方性エッチングによって、反射防止構造であるテクスチャ構造をシリコン基板101の一方の主面上に形成する(ステップS11)。なお、ここでは、テクスチャ構造は図示していない。
【0021】
ついで、テクスチャ構造形成後のシリコン基板101を熱拡散炉へ投入し、N型の不純物としてのP(リン)の雰囲気下で加熱し、シリコン基板101表面にPを所定の濃度となるように拡散させ、N型拡散層102を形成する(ステップS12、図4−2)。ここではPの拡散源としてオキシ塩化リン(POCl3)を用いる。これによって、シリコン基板101の上面、下面および側面にN型拡散層102が形成される。続いて、シリコン基板101の表面に形成されたリンガラス層をフッ酸によって除去する。
【0022】
その後、シランガスおよびアンモニアガスを原料ガスとするプラズマCVD法を用いて、シリコン窒化(SiN)膜から構成される反射防止膜103を、受光面側、すなわちテクスチャ構造形成側の主面に形成されたN型拡散層102上に形成する(ステップS13、図4−3)。この反射防止膜103の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定される。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。
【0023】
ついで、シランガス、水素ガスおよびアンモニアガスからなる原料ガスを用いたプラズマCVD法によって、シリコン基板101の裏面に形成されたN型拡散層102上に、第1の水素含有プラズマCVD膜としての水素含有シリコン窒化膜(以下、水素含有SiN膜という)131を形成する(ステップS14、図4−4)。このとき、プラズマの生成には、400kHz以下の周波数の電力を印加することが望ましい。これは、400kHz以下の周波数の電力を印加すると、成膜中とこの後の表面電極110の焼成工程で、水素がシリコン基板101に拡散しやすくなるからである。ここでは、この水素含有SiN膜131は、400kHzのプラズマCVD法を用いて、基板温度450℃、ガス圧0.5Torrの条件下で作製される。厚さとしては、100nm程度が望ましい。
【0024】
ついで、受光面側の反射防止膜103上に、Agペーストを櫛型のグリッド電極形状に印刷し、また、図示していないが、複数のグリッド電極を接続するようにAgペーストをバス電極状に印刷した後、850℃で焼成することによりグリッド電極111とバス電極を含む表面電極110を形成する(ステップS15、図4−5)。
【0025】
その後、裏面側の水素含有SiN膜131と裏面側および側面のN型拡散層102を、水素ガスを用いたプラズマエッチングにより除去する(ステップS16、図4−6)。この水素ガスを用いた水素含有SiN膜131の除去プロセスは、表面電極110を形成した表面構造に影響を与えずに水素含有SiN膜131とN型拡散層102とを除去できるとともに、低周波プラズマ中で生じた水素活性種が膜を介してシリコン基板101の欠陥を終端、修復する効果も持ち合わせている。なお、水素ガスを用いたプラズマエッチングの代わりにSF6などのフッ素系ガスによるRIE(Reactive Ion Etching)により水素含有SiN膜131を除去してもよい。また、濃フッ酸による片面ウェットエッチング処理で水素含有SiN膜131を除去してもよい。ただし、濃フッ酸による片面処理の場合には、水素含有SiN膜131を除去した後に、アルカリ溶液またはフッ酸と硝酸の混合液による裏面および側面のN型拡散層102を除去する処理も行う必要がある。この裏面側および側面のN型拡散層102の除去は、ステップS14の水素含有SiN膜131形成前に同様の方法で予め除去してもよい。
【0026】
ついで、シランガスおよび炭酸ガスからなる原料ガスを用いたプラズマCVD法によって、第2の水素含有プラズマCVD膜としての水素含有シリコン酸化膜105を、シリコン基板101の裏面上の全面に形成する(ステップS17、図4−7)。この水素含有シリコン酸化膜105は、60MHzのVHF(Very High Frequency)プラズマCVD法を用いて、基板温度170℃、ガス圧0.5Torrの条件下で作製される。厚さとして、60nm程度が望ましい。
【0027】
なお、第2の水素含有プラズマCVD膜を構成する材料として、半導体基板がP型の場合には、正の固定電荷が小さい酸化シリコンのほかに、有効なパッシベーション効果を示す負の固定電荷をもつ酸化アルミニウムなどを用いることができる。これらの膜は熱耐性が悪く、高温焼成が必要な電極の焼成前に形成すると、焼成により劣化して良好なパッシベーション特性を示さないが、印刷焼成後に形成し、その後のプロセスを低温プロセスのみで形成することで、良好な熱耐性を持たせるができる。その結果、これらの材料からなる第2の水素含有プラズマCVD膜を用いることによって、第1の水素含有プラズマCVD膜による水素パッシベーション効果とあいまって良好なパッシベーション特性をもつ裏面構造の形成が可能となる。
【0028】
続いて、水素含有シリコン酸化膜105上に、ホットワイヤCVD法を用いて、炭素と窒素を含むシリコン系の膜(SiCN膜)106を形成する(ステップS18、図4−8)。ここで、ホットワイヤCVD法とは、高温に加熱した金属にシリコンを含む原料ガスを接触させることによって形成した活性種を基板に堆積して膜を形成する膜堆積方法のことをいう。このホットワイヤCVD法によって形成される膜は、一般的にプラズマCVD法で形成される膜よりも密度が高く緻密な構造の膜となる。また、ここではホットワイヤフィラメントとしてたとえばレニウムワイヤを用い、温度を1400℃とし、基板温度を150℃とし、ガス圧を0.75Torrとする条件下で、ヘキサメチルジシラザンを流量1.75sccmで流し、水素を流量100sccmで流すことによって、60nmのSiCN膜106を形成する。これによって、水素含有シリコン酸化膜105上に、水素含有シリコン酸化膜105よりも緻密な構造を有するSiCN膜106が形成される。以上によって、水素含有シリコン酸化膜105とSiCN膜106との積層体からなるパッシベーション膜104が形成される。
【0029】
なお、ホットワイヤCVD法によって形成されるシリコン化合物は、シラン系材料に炭素や窒素などを含むガスおよび水素を導入することによって形成することもできるが、Si−N、Si−C結合をもつジシラザン系材料を原料とすることによって、シラン系材料に炭素や窒素を原料とする材料を別途導入する場合に比して、緻密な膜を形成することができる。
【0030】
ついで、ビーム径を100μm×100μmの大きさに絞った波長355nmのYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザ光を500μmの間隔でパッシベーション膜104(SiCN膜106)上に照射し、パッシベーション膜104を貫通し、シリコン基板101の裏面側の上面を露出させるように貫通孔130を形成する(ステップS19、図4−9)。この貫通孔130の底部で露出したシリコン基板101の部分が、後に形成する裏面電界層107とのコンタクト部となる。ここで、シリコン基板101上のレーザ照射部位に生じたレーザによるダメージや除去部分のシリコン基板101の表面の汚れを、フッ酸:硝酸=1:10の比率で混合したフッ硝酸溶液などを用いて除去する(ステップS20)。これによって、シリコン基板101の貫通孔130形成位置で露出した領域では、ダメージのない良好な表面となる。また、パッシベーション膜104中のSiCN膜106は緻密な構造を有するので、このクリーニングの際に除去されることがない。
【0031】
ついで、貫通孔130を形成したSiCN膜106上にプラズマCVD法を用いて、シリコン基板101のP型不純物濃度よりも高い濃度のP型不純物を有する微結晶シリコン膜からなる裏面電界層107を形成する(ステップS21、図4−10)。ここでは、60MHzのVHFプラズマCVD法を用いて、基板温度を200℃とし、ガス圧を0.3Torrとする条件下で、シランガスを1.0sccm、水素ガスを30sccm、炭酸ガスを0.5sccm、および水素希釈したジボランガスを1.5sccmの流量でそれぞれ流して、シリコン基板101の裏面側のSiCN膜106上に、B濃度がシリコン基板101のP型不純物濃度よりも高い微結晶シリコン酸化膜を形成する。このとき、前の工程で形成された貫通孔130内にも微結晶シリコン酸化膜が形成される。
【0032】
その後、真空蒸着法などによって、裏面電界層107上の全面にAlなどからなる裏面集電電極121を形成し、フォーミングガス(たとえば、水素を5%含むArガス)雰囲気下の275℃で30分間アニール処理を行い、裏面電極120を形成する(ステップS22)。なお、このとき行われるアニール処理は、水素含有シリコン酸化膜105のパッシベーション効果を落とさない温度(800℃よりも低い温度)で行われるので、裏面電極120の形成後も、水素含有シリコン酸化膜105はパッシベーション効果を有する。以上によって、図1−1〜図2に示されるような光起電力装置が得られる。
【0033】
以上の製造処理手順で説明したように、表面電極110の焼成前に、シリコン基板101の裏面に第1の水素含有プラズマCVD膜をプラズマCVD法によって形成したので、表面電極110の焼成雰囲気によるシリコン基板101の劣化が抑制される。また、第1の水素含有プラズマCVD膜の水素含有量を最適化することで、第1の水素含有プラズマCVD膜の形成プロセス中または形成後の表面電極焼成時に第1の水素含有プラズマCVD膜中の水素がシリコン基板101に拡散して、シリコン基板101中の欠陥を補修し、シリコン基板101の劣化(結晶品質の低下)が抑制されるというバルクパッシベーション効果が得られる。
【0034】
また、表面電極110の焼成後に、裏面側の第1の水素含有プラズマCVD膜を除去した後、プラズマCVD法によって第2の水素含有プラズマCVD膜を含むパッシベーション膜104を形成したので、シリコン基板101の裏面表層付近の欠陥が、プラズマCVD法によるプロセス中で発生したプラズマによって分解された水素活性種によって終端される。その結果、裏面電極120の焼成中に、シリコン基板101の裏面表層付近での欠陥の形成を抑制することができる。
【0035】
さらに、第2の水素含有プラズマCVD膜は、シリコン基板101よりも禁制帯幅が広いので、シリコン基板101との間に電位障壁を形成することによって、シリコン基板101の裏面側近傍で発生した少数キャリアである電子が第2の水素含有プラズマCVD膜内に流れることがない。このように、第2の水素含有プラズマCVD膜は界面パッシベーション効果を発揮する。
【0036】
なお、第2の水素含有プラズマCVD膜を形成した後に、裏面電極120のアニール処理を行うが、このときのアニール温度は第2の水素含有プラズマCVD膜の界面パッシベーション効果が低下しない温度(800℃)以下であるので、裏面電極120のアニール処理後も、第2の水素含有プラズマCVD膜は界面パッシベーション効果を有する。
【0037】
以上のようにして製造された光起電力装置100について、AM(Air Mass)1.5の擬似太陽光を照射しながら、電流、電圧特性を評価したところ、同じ基板を用いた場合のAlの裏面全面スクリーン印刷による従来型の光起電力装置に対して、開放電圧が5mV向上し、短絡電流が1mA/cm2向上する。
【0038】
さらに、上述した説明では、第2の水素含有プラズマCVD膜としてプラズマCVD法で形成した酸化シリコンを用いる場合を示したが、第2の水素含有プラズマCVD膜としてプラズマCVD法で形成した酸化アルミニウムを用いた場合でも同等の特性向上がみられる。
【0039】
この実施の形態1によれば、シリコン基板101の裏面側に第1の水素含有プラズマCVD膜を形成して、表面電極110の焼成処理を行うようにしたので、焼成処理中に第1の水素含有プラズマCVD膜中の水素が、シリコン基板101内に拡散して、欠陥を補修するとともに、裏面側の結晶品質の低下(シリコン基板101の劣化)を抑制するバルクパッシベーション効果を得ることができる。
【0040】
また、裏面電極120を形成する前に、シリコン基板101の裏面側の第1の水素含有プラズマCVD膜を除去し、第2の水素含有プラズマCVD膜を含むパッシベーション膜104を形成したので、シリコン基板101の裏面側表層部の欠陥を補修するとともに、シリコン基板101との間に形成される電位障壁によって、少数キャリアである電子が第2の水素含有プラズマCVD膜内に流れず、再結合損失を抑制する界面パッシベーション効果を得ることができる。また、高温プロセスにさらされ、パッシベーション効果が低下した第1の水素含有プラズマCVD膜をパッシベーション膜として用いずに除去して、新たに第2の水素含有プラズマCVD膜をパッシベーション膜104として用いるので、表面電極110形成後も有効な界面パッシベーション効果が得られるという効果を有する。
【0041】
実施の形態2.
図5は、光起電力装置の構成の一部を模式的に示す拡大断面図である。この図5は、実施の形態1の図1−1のB−B断面図に対応する図である。この光起電力装置100Aの表面側の構造は実施の形態1で説明したものと同じ構造を有している。一方、P型シリコン基板101の裏面上の全面には、P型不純物をシリコン基板101よりも高濃度に含んだ微結晶シリコン膜からなる第2の水素含有プラズマCVD膜としての裏面電界層107と、PN接合で生じた電流(ホール)を取り出すとともに、入射光の反射を目的としてAlなどからなる裏面集電電極121と、が順に積層形成される。ここで、微結晶シリコン膜からなる裏面電界層107は、プラズマCVD法によって形成され、シリコン基板101の裏面側の表層部での再結合損失を抑制する機能を有する膜である。なお、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略している。また、裏面電界層107と裏面集電電極121(裏面電極120)は、裏面電極構造を形成している。
【0042】
つぎに、このような構造の光起電力装置100Aの製造方法について説明する。図6は、この実施の形態2による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートであり、図7−1〜図7−2は、この実施の形態2による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である。なお、以下に示すサイズや成膜条件などは一例である。
【0043】
まず、実施の形態1の図3のステップS11〜S16および図4−1〜図4−6に示される処理と同様の処理を行う。つまり、所定の大きさに切りだしたP型多結晶シリコン基板101の受光面側表面にテクスチャ構造を形成し、シリコン基板101表面にN型拡散層102を形成した後、表面側にはプラズマCVD法によってSiN膜からなる反射防止膜103を形成し、裏面側にはプラズマCVD法によって第1の水素含有プラズマCVD膜である水素含有SiN膜131を形成する。ついで、表面側の反射防止膜103上にAgペーストをグリッド電極111とバス電極112の形状(櫛型)に印刷し、850℃で焼成することにより表面電極110を形成した後、裏面の水素含有SiN膜131とN型拡散層102とを、たとえば水素ガスを用いたプラズマエッチングにより除去する(ステップS31〜S36)。
【0044】
その後、シランガス、水素ガス、炭酸ガスおよび水素希釈したジボランガスからなる原料ガスを用いたプラズマCVD法によって、シリコン基板101のP型不純物濃度よりも高い濃度のP型不純物を有し、水素を含有する微結晶シリコン酸化膜からなる第2の水素含有プラズマCVD膜としての裏面電界層107を、シリコン基板101の裏面全面に形成する(ステップS37、図7−1)。ここでは、60MHzのVHFプラズマCVD法を用いて、基板温度を200℃とし、ガス圧を0.3Torrとする条件下で、シランガスを1.0sccm、水素ガスを30sccm、炭酸ガスを0.5sccm、および水素希釈したジボランガスを1.5sccmの流量でそれぞれ流して、シリコン基板101の裏面の全面に裏面電界層107を形成する。この微結晶シリコン酸化膜による裏面電界層107は低ストレスなためシリコン基板101に反りが生じることはなく、また良好な裏面BSF効果を示す。
【0045】
ついで、真空蒸着法などによって、裏面電界層107上の全面にAlなどからなる裏面集電電極121を形成し、フォーミングガス(たとえば、水素を5%含むArガス)雰囲気下の275℃で30分間アニール処理を行い、裏面電極120を形成する(ステップS38、図7−2)。以上によって、図5に示されるような光起電力装置100Aが得られる。
【0046】
以上の製造処理手順で説明したように、表面電極110の焼成後に、裏面側の第1の水素含有プラズマCVD膜である水素含有SiN膜131を除去した後、プラズマCVD法によって第2の水素含有プラズマCVD膜として微結晶シリコン酸化膜である裏面電界層107を形成したので、シリコン基板101の裏面表層付近の欠陥が、プラズマCVD法によるプロセス中で発生したプラズマによって分解された水素活性種によって終端される。その結果、裏面電極120の焼成中に、シリコン基板101の裏面表層付近での欠陥の形成を抑制することができる。また、シリコン基板101の結晶品質の低下も防ぐことができる。
【0047】
また、第2の水素含有プラズマCVD膜である裏面電界層107は、シリコン基板101よりもP型不純物濃度が高く、禁制帯幅がP型シリコン基板101よりも広いので、P型シリコン基板101との間に内部電界を形成する。この内部電界よって、シリコン基板101の裏面側近傍で発生し、裏面電極120側に流れだそうとする少数キャリアである電子がP型シリコン基板101の内部に押し戻される。これによって、裏面電極近傍での再結合を抑制することが可能となる。
【0048】
このようにして製造された光起電力装置100Aについて、AM1.5の擬似太陽光を照射しながら、電流、電圧特性を評価したところ、同じ基板を用いた場合のAlの裏面全面スクリーン印刷による従来型の光起電力装置に対して、開放電圧が3mV向上し、短絡電流が0.7mA/cm2向上する。
【0049】
この実施の形態2によれば、シリコン基板101の裏面側に第1の水素含有プラズマCVD膜を形成した後に、表面電極110の焼成処理を行うようにしたので、焼成処理中に第1の水素含有プラズマCVD膜中の水素が、シリコン基板101内に拡散して、欠陥を補修するとともに、裏面側の結晶品質の低下を抑制するバルクパッシベーション効果を得ることができる。
【0050】
また、裏面電極120を形成する前に、シリコン基板101の裏面側の第1の水素含有プラズマCVD膜を除去して、第2の水素含有プラズマCVD膜である裏面電界層107をプラズマCVD法で形成したので、シリコン基板101の裏面側表層部の欠陥を補修するとともに、シリコン基板101との間に形成される内部電界によって、少数キャリアである電子がシリコン基板101の内部へと押し戻され、裏面側表層部での再結合損失を抑制することができる。さらに、高温プロセスにさらされ、パッシベーション効果が低下した第1の水素含有プラズマCVD膜をパッシベーション膜として用いず、第1の水素含有プラズマCVD膜を除去した後に新たに形成した第2の水素含有プラズマCVD膜として微結晶シリコン酸化膜を裏面電界層107として用いるので、表面電極110形成後も有効な再結合抑制効果が得られる。
【0051】
さらにまた、裏面電極120のアニール温度は、裏面電界層107を形成するための高温での不純物拡散プロセスが必要ない800℃よりも低い温度(275℃)であるので、アニール処理後に裏面電界層107が劣化せず、その結果、再結合抑制効果も低下することがない。このように、表面電極110の印刷焼成前にシリコン基板101の裏面側に形成した第1の水素含有プラズマCVD膜によって水素パッシベーション効果が得られ、また、その後の第2の水素含有プラズマCVD膜としての裏面電界層107への置き換えによって、良好なBSF効果を有する裏面構造の形成が可能となる。
【0052】
なお、上述した説明では、P型多結晶シリコン基板の受光面側にN型拡散層を形成した場合を説明したが、N型多結晶シリコン基板の受光面側にP型拡散層を形成した場合も同様の効果を得ることができる。また、シリコン基板以外の他の半導体材料を用いた多結晶シリコン基板に対しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、この発明にかかる光起電力装置の製造方法は、多結晶シリコン基板を用いて光起電力装置を製造する場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1−1】この発明の実施の形態1による光起電力装置の全体構成の一例を模式的に示す上面図である。
【図1−2】光起電力装置の裏面図である。
【図1−3】図1−2のA−A断面図である。
【図2】光起電力装置の構成の一部を模式的に示す拡大断面図であり、図1−1のB−B断面図である。
【図3】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4−1】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図4−2】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【図4−3】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その3)。
【図4−4】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その4)。
【図4−5】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その5)。
【図4−6】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その6)。
【図4−7】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その7)。
【図4−8】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その8)。
【図4−9】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その9)。
【図4−10】この実施の形態1による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その10)。
【図5】光起電力装置の構成の一部を模式的に示す拡大断面図である。
【図6】この実施の形態2による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7−1】この実施の形態2による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その1)。
【図7−2】この実施の形態2による光起電力装置の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す断面図である(その2)。
【符号の説明】
【0055】
100,100A 光起電力装置
101 P型多結晶シリコン基板
102 N型拡散層
103 反射防止膜
104 パッシベーション膜
105 水素含有シリコン酸化膜
106 SiCN膜
107 裏面電界層
110 表面電極
111 グリッド電極
112 バス電極
120 裏面電極
121 裏面集電電極
122 裏面取出電極
130 貫通孔
131 水素含有SiN膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶の第1の導電型の半導体基板の第1の主面側に第2の導電型の拡散層を形成する拡散層形成工程と、
前記拡散層上に反射防止膜を形成する反射防止膜形成工程と、
前記反射防止膜上に表面電極形状に導電性ペーストを形成し、800℃以上の温度で、前記導電性ペーストを焼成する焼成工程と、
前記半導体基板の第2の主面側に裏面電極構造を形成する裏面電極構造形成工程と、
を含む光起電力装置の製造方法において、
前記焼成工程の前に、前記半導体基板の第2の主面上にプラズマCVD法によって、水素を含む第1の水素含有プラズマCVD膜を形成するプラズマCVD膜形成工程と、
前記焼成工程の後で前記裏面電極構造形成工程の前に、前記第1の水素含有プラズマCVD膜を除去するプラズマCVD膜除去工程と、
を含み、
前記裏面電極構造形成工程では、プラズマCVD法によって形成された水素を含む第2の水素含有プラズマCVD膜が前記半導体基板の前記第2の主面上に形成されることを特徴とする光起電力装置の製造方法。
【請求項2】
前記裏面電極構造形成工程は、
プラズマCVD法によって形成された、パッシベーション効果を有する前記第2の水素含有プラズマCVD膜を含むパッシベーション膜を、前記半導体基板の前記第2の主面上に形成するパッシベーション膜形成工程と、
前記パッシベーション膜に複数の貫通孔を周期的に形成する貫通孔形成工程と、
前記貫通孔内を埋めるように、前記パッシベーション膜上に、前記半導体基板よりも前記第1の導電型の不純物濃度が高い半導体膜からなる裏面電界層を形成する裏面電界層形成工程と、
前記裏面電界層上に裏面電極となる導電性材料膜を形成する裏面電極形成工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項3】
前記裏面電極構造形成工程は、
前記半導体基板よりも前記第1の導電型の不純物濃度が高い半導体膜からなる裏面電界層を前記第2の水素含有プラズマCVD膜として、前記半導体基板の前記第2の主面上にプラズマCVD法によって形成する裏面電界層形成工程と、
前記裏面電界層上に裏面電極となる導電性材料膜を形成する裏面電極形成工程と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項4】
前記プラズマCVD膜形成工程で、前記第1の水素含有プラズマCVD膜は、成膜中に印加される電力の周波数が400kHz以下であるプラズマCVD法によって形成されるシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項5】
前記プラズマCVD膜除去工程では、前記第1の水素含有プラズマCVD膜をプラズマエッチングで除去することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光起電力装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の水素含有プラズマCVD膜除去工程では、水素ガスを用いたプラズマエッチングが行われることを特徴とする請求項5に記載の光起電力装置の製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図4−9】
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【図4−10】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【公開番号】特開2010−171263(P2010−171263A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13297(P2009−13297)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム未来技術研究開発 未来型超薄型多結晶シリコン太陽電池の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】