説明

光送信モジュール、及び、光送信モジュールの製造方法

【課題】光アイソレータのコスト、ひいては光モジュールのコストを抑制する。
【解決手段】光送信モジュールは、ステム10と、ステム10に搭載されている半導体レーザ素子20と、ステム10に対して固定され、半導体レーザ素子20を気密封止したキャップ30と、半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に配置された光アイソレータ40を有する。キャップ30は、一端側がステム10に固定された筒状の本体部31と、光路上に位置するとともに本体部31の他端側の開口33を塞ぎ、且つ、本体部31との間の気密が保たれるように本体部31に固定された光透過部と、を含む。光アイソレータ40は、キャップ30により気密封止された領域内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信モジュール、及び、光送信モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信用の光モジュールとしては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1の光モジュールは、ステムと、ステムに固定されたヒートシンクと、このヒートシンクに固定された半導体レーザと、ステムに固定されたキャップと、キャップに保持されたレンズ又は平窓と、光アイソレータと、を有している。レンズ又は平窓は低融点ガラスを介してキャップに接着され、レンズ又は平窓とキャップとによりステム上の半導体レーザが気密封止されている。光アイソレータは、キャップの外側において、レンズ又は平窓と隣接して配置されている。
【0003】
なお、特許文献2には、光モジュールの気密封止窓の代わりに光アイソレータを設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−086472号公報
【特許文献2】特開2004−061870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体レーザからの出射光は所定の広がり角度を持つ。特許文献1の構造の場合、光アイソレータがキャップの外側においてレンズ又は平窓と隣接して配置されているため、光アイソレータにより出射光を効率的に受けるためには、レンズ又は平窓に達するまでの出射光の広がりに応じた大きさの光アイソレータが必要である。
【0006】
しかし、光アイソレータは高価な光学部品であり、その寸法が大きくなるほど一層高価となる。従って、特許文献1の構造の場合、光アイソレータのコスト、ひいては光モジュールのコストが高くなってしまう。
【0007】
一方、特許文献2の構造では、光アイソレータによって気密封止を行うことにより、光アイソレータの特性が劣化する可能性がある。
【0008】
このように、光アイソレータの特性への悪影響を抑制しつつ、光アイソレータのコスト、ひいては光モジュールのコストの増大を抑制することは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ステムと、
前記ステムに搭載されている半導体レーザ素子と、
前記ステムに対して固定され、前記半導体レーザ素子を気密封止したキャップと、
前記半導体レーザ素子からの出射光の光路上に配置された光アイソレータと、
を有し、
前記キャップは、
一端側が前記ステムに固定された筒状の本体部と、
前記光路上に位置するとともに前記本体部の他端側の開口を塞ぎ、且つ、前記本体部との間の気密が保たれるように前記本体部に固定された光透過部と、
を含み、
前記光アイソレータは、前記キャップにより気密封止された領域内に配置されていることを特徴とする光送信モジュールを提供する。
【0010】
この光送信モジュールによれば、光アイソレータは、キャップ(筒状の本体部及び光透過部)により気密封止された領域内に配置されている。このため、光アイソレータがキャップの外側に配置されている場合と比べて、半導体レーザ素子と光アイソレータとの距離が近づく。そして、光アイソレータは、所定の広がり角度で出射される出射光が広がる過程で出射光を受けることとなる。このため、光アイソレータがキャップの外側に配置されている場合と比べて、光アイソレータの面積を小さくすることができる。光アイソレータの面積を小さくできる結果、光アイソレータのコスト、ひいては光送信モジュールのコストの増大を抑制することができる。
また、光アイソレータは、キャップにより気密封止された領域内に配置されているので、光アイソレータによって気密封止を行う必要がない。このため、光アイソレータで気密封止を行うことに起因する光アイソレータの特性劣化が生じないようにすることができる。
要するに、光アイソレータの特性への悪影響を抑制しつつ、光アイソレータのコスト、ひいては光モジュールのコストの増大を抑制することができる。
【0011】
また、本発明は、ステム上に半導体レーザ素子を搭載する工程と、
前記ステムに対してキャップを固定し、前記半導体レーザ素子を気密封止する工程と、
前記半導体レーザ素子からの出射光の光路上に光アイソレータを配置する工程と、
を有し、
前記キャップは、筒状の本体部と、前記本体部の一端側の開口を塞ぎ、且つ、前記本体部との間の気密が保たれるように前記本体部に固定された光透過部と、を含み、
前記キャップを固定する工程では、前記本体部の他端側を前記ステムに固定し、
前記光アイソレータを配置する工程では、前記キャップにより気密封止される領域内に前記光アイソレータを配置することを特徴とする光送信モジュールの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光アイソレータの特性への悪影響を抑制しつつ、光アイソレータのコスト、ひいては光モジュールのコストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図2】キャップに対する光アイソレータの配置を示す図である。
【図3】出射光の伝播の態様を模式的に示す図である。
【図4】第2の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図6】第4の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図7】キャップに対する光アイソレータの配置を示す図である。
【図8】第5の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図9】第6の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図10】第7の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図11】サブマウントに対する光アイソレータの配置を示す図である。
【図12】第8の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図13】第9の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
【図14】第1の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図15】第2の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図16】第3の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図17】第4の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図18】第5の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図19】第6の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【図20】第7の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0015】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。
本実施形態に係る光送信モジュールは、ステム10と、ステム10に搭載されている半導体レーザ素子20と、ステム10に対して固定され、半導体レーザ素子20を気密封止したキャップ30と、半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に配置された光アイソレータ40と、を有し、キャップ30は、一端側がステム10に固定された筒状の本体部31と、光路上に位置するとともに本体部31の他端側の開口33を塞ぎ、且つ、本体部31との間の気密が保たれるように本体部31に固定された光透過部(本実施形態の場合、非球面レンズ32)と、を含み、光アイソレータ40は、キャップ30により気密封止された領域内に配置されている。以下、詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係る光送信モジュールは、SFP(Small Form Factor Pluggable)或いはBOSA(Bi−directional Optical SubAssembly)などの中に実装される。
【0017】
ステム10は、平らな盤状のステムベース11と、このステムベース11の一方の面より起立するようにステムベース11と一体的に設けられたステムブロック12と、ステムベース11の他方の面より突出する複数のリード13と、を有している。
【0018】
ステムブロック12には、サブマウント50が固定されている。
【0019】
サブマウント50は熱伝導性が高く放熱性に優れたセラミックス基板或いはSi基板などのベース上に、薄膜電極パターン(回路パターン)及びAuSn薄膜などが形成された部材である。AuSn薄膜は、例えば、サブマウント50の表裏両面にそれぞれ形成されている。この場合、一方のAuSn薄膜は、半導体レーザ素子20をサブマウント50上にはんだ付けするのに用いられ、他方のAuSn薄膜は、サブマウント50をステムブロック12上にはんだ付けするのに用いられる。半導体レーザ素子20が発する熱は、サブマウント50を介してステム10へ放熱されるようになっている。また、サブマウント50は、ステム10と半導体レーザ素子20との熱膨張係数差に起因して生じる熱応力による悪影響を緩和する緩衝機能も兼ねる。
【0020】
サブマウント50には半導体レーザ素子20が固定されている。半導体レーザ素子20は、その一端面からレーザ光(出射光)を出射する。この出射光の向きがステムベース11に対して直交するように半導体レーザ素子20は配置されている。
【0021】
なお、半導体レーザ素子20は、サブマウント50の薄膜電極パターンと、ステムブロック12に形成された電極パターンと、を介して、リード13と電気的に接続されている。そして、リード13に対して所定の電気信号が入力されると、半導体レーザ素子20は出射面から出射光を発光する。すなわち、光送信モジュールは、電気信号を光信号に変換する。
【0022】
キャップ30は、上述のように、筒状の本体部31と、キャップ30の開口33を塞ぐ非球面レンズ32と、を有している。つまり、本実施形態の場合、キャップ30は、レンズ付きキャップである。
【0023】
本体部31の一端部には、ステムベース11に固定されるフランジ状のフランジ部31aが形成されている。本体部31は、そのフランジ部31aがステムベース11に対して抵抗溶接により固定されることによって、ステム10に固定されている。抵抗溶接を行う理由は、フランジ部31aとステムベース11との間の気密性を確保して高信頼性を得るためである。
【0024】
本体部31の他端側には、本体部31に非球面レンズ32を固定するための固定部31bが形成されている。固定部31bは、本体部31の中心側に向けて(本体部31の内径を部分的に小さくする方向に)突出する環状の部分である。本体部31は、固定部31bにおいて、その他の部分よりも小径となっている。
【0025】
非球面レンズ32は、一方の面が平坦に形成された平坦面32aとなっていて、他方の面が凸曲面状に形成されている。そして、非球面レンズ32は、半導体レーザ素子20からの出射光を集光する。つまり、本実施形態の場合、光透過部は、片面が平坦に形成された集光レンズである。
【0026】
非球面レンズ32の径は、固定部31bの内径よりも大きく、且つ、本体部31における固定部31b以外の部分よりも小さく設定されている。非球面レンズ32は、例えば、ガラスにより構成されている。
【0027】
非球面レンズ32は、その平坦面32aが半導体レーザ素子20側を向くように、本体部31に対して固定されている。より具体的には、平坦面32aは、固定部31bに突き当たっている(図1における固定部31bの右側の面に突き当たっている)。
【0028】
本体部31に対する非球面レンズ32の固定は、例えば、低融点ガラス34を介した接着により行うことが好ましい。ここで、低融点ガラス34は、例えば、ガラス転位点が摂氏600度以下程度のガラスである。低融点ガラス34を用いて非球面レンズ32を本体部31に固定することにより、本体部31と非球面レンズ32との間の高い気密性が得られる。なお、低融点ガラス34の融点は、非球面レンズ32よりも低い。
【0029】
ここで、光送信モジュール内の半導体レーザ素子20は反射戻り光に敏感で、半導体レーザ素子20からの出射光が図1では光ファイバ(図示略)の受光面やその他の不連続界面で反射して、戻り光が半導体レーザ素子20に入ると動作不安定になる。反射戻り光が半導体レーザ素子20に入ってしまうことを抑制するために、本実施形態に係る光送信モジュール内には光アイソレータ40が内蔵されている。
【0030】
光アイソレータ40は、一方向の光のみを透過し反対方向の光を遮る機能を有する光学デバイスである。光アイソレータ40は、例えば、一対の偏光子41と、ファラデー回転子42と、磁石43と、を有して構成されている。ファラデー回転子42は、一対の偏光子41の間に挟まれている。これら一対の偏光子41及びファラデー回転子42によりユニット44が構成されている。なお、ユニット44は、その周囲が接着剤によりラミネートされている。更に、このようにラミネートされたユニット44の周囲に、磁石43が配置されている。なお、ユニット44は半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に位置する。また、光アイソレータ40は、偏光子41の代わりにルチル単結晶を有していても良い。また、光アイソレータ40は、磁石43を有しないタイプのものであっても良い。
【0031】
光アイソレータ40の偏光子41(又はルチル単結晶)、並びに、ファラデー回転子42は、それぞれ平板状の大判の材料から所定の大きさの複数の個片を切り出すことによって形成される。このため、偏光子41(又はルチル単結晶)、並びに、ファラデー回転子42は、それぞれ面積が小さいほど、取り数が増えるとともにコストが安くなるため、光アイソレータ40の面積が小さい設計が好ましい。
【0032】
本実施形態の場合、光アイソレータ40は、非球面レンズ32の平坦面32aに固定されている。つまり、光アイソレータ40は、光透過部(非球面レンズ32)の半導体レーザ素子20側の面(平坦面32a)に固定されている。
【0033】
なお、非球面レンズ32の半導体レーザ素子20側に隣接する固定部31bと光アイソレータ40とが干渉しないように、光アイソレータ40の外形は、固定部31bの内径よりも小さく設定されている。そして、固定部31bの内周と光アイソレータ40の外周との間にはクリアランスが存在している。
【0034】
図2はキャップ30に対する光アイソレータ40の配置を示す図である。このうち図2(a)は図1に示す構成からキャップ30及び光アイソレータ40のみを抽出して示す断面図であり、図2(b)は図2(a)の矢印A方向にキャップ30及び光アイソレータ40を見た図である。
【0035】
図2(b)に示すように、本実施形態の場合、例えば、磁石43は、筒状(例えば円筒状)に形成され、磁石43の内部の中空に一対の偏光子41(又はルチル単結晶)とファラデー回転子42(図2(a))とからなるユニット44が挿入されている。
【0036】
図3は半導体レーザ素子20から出射される出射光の伝播の態様を模式的に示す図である。
本実施形態の場合、出射光は、光アイソレータ40を介して非球面レンズ32に入射し、この非球面レンズ32によって集光される。図3においては、出射光の光路1をグレーの網掛けで示している。
【0037】
出射光は、非球面レンズ32により集光されるまでの区間では、相対的に急激に(図3の広がり角度θで)広がり、非球面レンズ32により集光された後の区間では、相対的に緩やかに絞り込まれる。
このため、非球面レンズ32を基準として、半導体レーザ素子20側に光アイソレータ40を配置する方が、半導体レーザ素子20と反対側に光アイソレータ40を配置するよりも、光アイソレータ40を小さくすることができる。
【0038】
なお、半導体レーザ素子20の出射面(出射光が出射される面)と光アイソレータ40とのクリアランスC(図3)は、例えば、0.14±0.12mmであることが好ましい。クリアランスCは最低でも0.02mm確保することが好ましいことと、現状、半導体レーザ素子20のマウント精度は±0.05mm程度であり、キャップ30に対する非球面レンズ32の位置バラツキは±0.1mm程度、光アイソレータ40を非球面レンズ32に固定する樹脂(接着剤)の厚さバラツキは±0.02mm程度であり、これらの2乗和平方根は±0.12mmであることから、上記のクリアランスCが導かれる。
【0039】
次に、本実施形態に係る光送信モジュールの製造方法を説明する。この製造方法は、ステム10上に半導体レーザ素子20を搭載する工程と、ステム10に対してキャップ30を固定し、半導体レーザ素子20を気密封止する工程と、半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に光アイソレータ40を配置する工程と、を有する。キャップ30は、筒状の本体部31と、本体部31の一端側の開口33を塞ぎ、且つ、本体部31との間の気密が保たれるように本体部31に固定された光透過部(例えば非球面レンズ32)と、を含む。キャップ30を固定する工程では、本体部31の他端側をステム10に固定し、光アイソレータ40を配置する工程では、キャップ30により気密封止される領域内に光アイソレータ40を配置する。
【0040】
先ず、ステム10上に半導体レーザ素子20を搭載する。より具体的には、ステム10のステムブロック12上にサブマウント50を固定し、このサブマウント50上に半導体レーザ素子20を固定する。
【0041】
一方、キャップ30を作成し、更に、キャップ30の非球面レンズ32の平坦面32aに光アイソレータ40を固定する。
【0042】
ここで、本体部31に対して低融点ガラス34を介して非球面レンズ32を接着することにより、キャップ30を作成する。
なお、本体部31に対する非球面レンズ32の接着は、接着剤により行っても良い。
【0043】
また、光アイソレータ40は、例えば、熱硬化接着剤を介して非球面レンズ32に対して接着する。ここで、光アイソレータ40が上述のユニット44と磁石43とからなる場合、先ず、ユニット44を非球面レンズ32に接着し、その後、磁石43を非球面レンズ32に接着することが好ましい。
【0044】
次に、ステム10に対してキャップ30を固定することによって、該キャップ30により半導体レーザ素子20を気密封止するとともに、半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に光アイソレータ40を配置する。
【0045】
こうして、光送信モジュールが得られる。
【0046】
次に、動作を説明する。
【0047】
リード13に電気信号が入力されると、半導体レーザ素子20は、その電気信号を光信号に変換して出力する。半導体レーザ素子20から出力される出射光(光信号)は、光アイソレータ40を介して非球面レンズ32に入射し、該非球面レンズ32により集光されてキャップ30の外部へ出力される。
【0048】
光アイソレータ40は、キャップ30により気密封止された領域内に配置されているので、光アイソレータ40がキャップ30の外側に配置されている場合と比べて、半導体レーザ素子20と光アイソレータ40との距離が近い。そして、光アイソレータ40は、所定の広がり角度θで出射される出射光が広がる過程で出射光を受ける。このため、光アイソレータ40がキャップ30の外側に配置されている場合と比べて、光アイソレータ40の面積を小さくすることができる。その結果、光アイソレータ40のコスト、ひいては光送信モジュールのコストの増大を抑制することができる。
【0049】
ここで、特許文献2では、光アイソレータによってキャップの気密封止を行っているが、この構造の場合、気密封止のために低融点ガラスによって光アイソレータをキャップに接着するとすれば、低融点ガラスの溶融時の熱の影響で、光アイソレータの機能が損なわれる可能性がある。或いは、光アイソレータと低融点ガラスとの線膨張係数の違いに起因して、光アイソレータが破損する可能性もある。また、光アイソレータが磁石を有する場合、その磁石の特性も、熱によって劣化する可能性がある。加えて、光アイソレータが低融点ガラス或いはその他の接着層から横荷重(出射光の進行方向に対して直交する方向の荷重)を受けると、光弾性効果によって光アイソレータの特性が変化(劣化)する可能性もある。このように、特許文献2の構造では、光アイソレータで気密封止を行うことに起因する光アイソレータの特性劣化等の各種の弊害が生じる。
これに対し、本実施形態では、光アイソレータ40は、キャップ30により気密封止された領域内に配置されているので、光アイソレータ40によって気密封止を行う必要がない。このため、光アイソレータ40で気密封止を行うことに起因する光アイソレータ40の特性劣化等の各種の弊害が生じないようにすることができる。
【0050】
以上のような第1の実施形態によれば、光アイソレータ40は、キャップ30により気密封止された領域内に配置されているので、光アイソレータ40がキャップ30の外側に配置されている場合と比べて、光アイソレータ40の面積を小さくすることができる。その結果、光アイソレータ40のコスト、ひいては光送信モジュールのコストの増大を抑制することができる。しかも、光アイソレータ40で気密封止を行うことに起因する光アイソレータ40の特性劣化等の各種の弊害が生じないようにすることができる。
【0051】
また、光アイソレータ40は、光透過部(非球面レンズ32)の半導体レーザ素子20側の面(平坦面32a)に固定されている。より具体的には、光透過部は、片面が平坦に形成された集光レンズ(非球面レンズ32)であり、その平坦面32aに光アイソレータ40が固定されている。つまり、光アイソレータ40は、半導体レーザ素子20からの出射光の光路と平行な方向における光アイソレータ40の端面が、キャップ30により気密封止された領域内の何れかの箇所に接着されることにより固定されている。
よって、光アイソレータ40が接着剤等によって実質的に横荷重(出射光の進行方向に対して直交する方向の荷重)を受けない構造を実現できる。よって、光弾性効果による光アイソレータ40の特性変化(劣化)を抑制することができる。
【0052】
また、光アイソレータ40がキャップ30内に組み込まれた後で、調芯(光軸調整)を行うことができるので、光送信モジュールのアセンブリが容易になる。
【0053】
また、本実施形態の場合、レンズ(非球面レンズ32)がキャップ30と一体的に設けられるので、後述する第4乃至第6の実施形態と比べて、光送信モジュールの長さ(出射光の進行方向の長さ)を短くすることができる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
図4は第2の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第1の実施形態に係る光送信モジュール(図1)の構成に加えて、外部ホルダ60と、ファイバサポート61と、ホルダ64と、光ファイバ付きフェルール62と、を有している。
【0055】
外部ホルダ60は、筒状(例えば円筒状)に形成され、その軸方向における一部分(例えば図4の左半部)にキャップ30の本体部31が嵌入されている。また、外部ホルダ60の一方の端面がフランジ部31aに突き当たっている。
【0056】
ファイバサポート61は、外部ホルダ60の他方の端面に固定されている。ファイバサポート61内にはホルダ64が嵌入されている。このホルダ64内には光ファイバ付きフェルール62が固定されている。
【0057】
光ファイバ付きフェルール62は、内部に光ファイバ(図示略)を保持している。この光ファイバの先端面は、光ファイバ付きフェルール62の一端面である受光面63に露出している。
【0058】
予め外部ホルダ60をキャップ30に固定した後で、受光面63が図3に示す光の集光位置2の付近に配置されるように光ファイバ付きフェルール62の調芯が行われる。そして、このように調芯された状態で、ファイバサポート61が外部ホルダ60に対してYAG溶接などにより固定されている。これにより、半導体レーザ素子20は、光アイソレータ40及び非球面レンズ32を介して光ファイバ付きフェルール62内の光ファイバと光結合している。
【0059】
このような第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0060】
なお、特許文献1の構造の場合、光アイソレータがキャップの外側に配置されているので、例えば光ファイバ付きフェルールの固定のために外部ホルダをキャップに固定する際に、光アイソレータに不意に触れてしまって光アイソレータの接着面にダメージを与えることが無いように、慎重に作業を行う必要がある。これに対し、本実施形態の場合、光アイソレータ40がキャップ30により気密封止された領域内に配置されているので、光ファイバ付きフェルール62の固定のために外部ホルダ60をキャップ30に固定する際の取り扱いが容易になる。
【0061】
〔第3の実施形態〕
図5は第3の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第1の実施形態に係る光送信モジュール(図1)の構成に加えて、レセプタクル66を有している。
【0062】
レセプタクル66は、接合剤(例えば接着剤)65を介してキャップ30の本体部31の外周面に固定されている。レセプタクル66は、光ファイバ付きフェルール67を挿入固定するために一般的に用いられる部材であり、その挿入固定部68に対して光ファイバ付きフェルール67を着脱可能となっている。
【0063】
光ファイバ付きフェルール67は、プラグフェルールとも称されるものであり、内部に光ファイバ69を保持している。光ファイバ付きフェルール67をレセプタクル66に挿入固定することにより、光ファイバ69は、レセプタクル66の開口66a、非球面レンズ32及び光アイソレータ40を介して、半導体レーザ素子20と光結合する。
【0064】
このような第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0065】
また、光アイソレータ40がキャップ30により気密封止された領域内に配置されているので、レセプタクル66をキャップ30に固定する際の取り扱いが容易になる。
【0066】
〔第4の実施形態〕
図6は第4の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、キャップ30の構成が上記の第1の実施形態と相違し、その他の点では第1の実施形態と同様に構成されている。
【0067】
本実施形態の場合、キャップ30は、非球面レンズ32を有していない代わりに、平窓35を有している。つまり、本実施形態の場合、キャップ30は平窓キャップである。平窓35は、ガラスなどの透明材により構成され、両面が平坦に形成されている。
【0068】
また、本実施形態の場合、本体部31の固定部31bは、本体部31において、フランジ部31aが形成されている端部とは反対側の端部に形成されている。
【0069】
平窓35は、低融点ガラス34を介して固定部31bに接着されている。これにより、平窓35と本体部31との間の気密が保たれている。そして、平窓35の一方の面(半導体レーザ素子20側の面)に、光アイソレータ40が固定されている。本実施形態の場合も、光アイソレータ40の固定は、例えば熱硬化接着剤により行う。
【0070】
図7はキャップ30に対する光アイソレータ40の配置を示す図である。このうち図7(a)は図6に示す構成からキャップ30及び光アイソレータ40のみを抽出して示す断面図であり、図7(b)は図7(a)の矢印A方向にキャップ30及び光アイソレータ40を見た図である。本実施形態の場合も、光アイソレータ40は第1の実施形態と同様に構成されている。そして、平窓35に対する光アイソレータ40の固定の仕方は、第1の実施形態において非球面レンズ32に対し光アイソレータ40を固定する方法と同様である。更に、半導体レーザ素子20の出射面と光アイソレータ40とのクリアランスCも、第1の実施形態と同様である。
【0071】
なお、本実施形態において、半導体レーザ素子20からの出射光を外部の光ファイバ(図示略)へ集光するレンズ(図示略)は、キャップ30の外部に配置される。
【0072】
このような第4の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、本実施形態の場合、レンズがキャップ30と別体に配置されるので、上記の第1乃至第3の実施形態と比べて、レンズの設計自由度が高くなる。更に、その結果、レンズのコスト低減も期待できる。
【0073】
〔第5の実施形態〕
図8は第5の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第4の実施形態に係る光送信モジュール(図6)の構成に加えて、外部ホルダ60と、ファイバサポート61と、ホルダ64と、光ファイバ付きフェルール62と、レンズホルダ70と、レンズ71と、を有している。
【0074】
外部ホルダ60、ファイバサポート61、ホルダ64及び光ファイバ付きフェルール62は、上記の第2の実施形態と同様である。
【0075】
レンズホルダ70は、円筒状に形成され、外部ホルダ60の内周に固定されている。更に、このレンズホルダ70の内周には、レンズ71が固定されている。
【0076】
本実施形態の場合、半導体レーザ素子20は、光アイソレータ40、平窓35、及びレンズ71を介して、光ファイバ付きフェルール62の光ファイバと光結合している。
【0077】
このような第5の実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
また、レンズ71を適宜に変更することにより、光ファイバ付きフェルール62が受光する最適位置を変更することができるので、光送信モジュールの全長を要求に応じて変更することができる。また、本実施形態の場合、レンズ71は前方と後方の2面それぞれに曲面を有しているため、設計の自由度が高まる。しかも、半導体レーザ素子20からの出射光を集光する能力が曲面が1つの場合よりも高まるので、光ファイバ付きフェルール62の光ファイバへの光伝達効率を更に高めることも可能である。
【0078】
〔第6の実施形態〕
図9は第6の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第4の実施形態に係る光送信モジュール(図6)の構成に加えて、レセプタクル66を有している。
【0079】
レセプタクル66には、透明部材72が一体的に設けられ、この透明部材72はレンズ73を有している。なお、レセプタクル66は金属又は樹脂により構成され、透明部材72は樹脂又はガラスにより構成されている。
【0080】
レセプタクル66は、接合剤(例えば接着剤)65を介してキャップ30の本体部31の外周面に固定されている。レセプタクル66の挿入固定部68に対して光ファイバ付きフェルール67を着脱可能となっている。
【0081】
光ファイバ付きフェルール67をレセプタクル66の挿入固定部68に挿入固定することにより、光ファイバ69は、透明部材72及びそのレンズ73、平窓35及び光アイソレータ40を介して、半導体レーザ素子20と光結合する。
【0082】
このような第6の実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
また、レセプタクル66がレンズ73を含んで構成されているので、レンズが別体の場合と比べて部品数を減らすことができ、光送信モジュールのコストを低減することができる。
【0083】
〔第7の実施形態〕
図10は第7の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、光アイソレータ40がサブマウント50上に配置されている点で上記の第4の実施形態と相違し、その他の点では第4の実施形態と同様に構成されている。
【0084】
光アイソレータ40は高温に曝されるとその機能が低下する可能性があるため、光アイソレータ40をサブマウント50に固定するには、半導体レーザ素子20をAuSn薄膜を介してサブマウント50上にはんだ付けし、更に、そのサブマウント50を別のAuSn薄膜を介してステム10のステムブロック12上にはんだ付けした後で、光アイソレータ40をサブマウント50に対して熱硬化接着剤により固定することが挙げられる。
【0085】
図11はサブマウント50に対する光アイソレータ40の配置の一例を示す図であり、このうち図11(a)は側面図、図11(b)は図11(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。
【0086】
本実施形態の場合、図11に示すように、光アイソレータ40は、例えば、一対の偏光子41(又はルチル単結晶)とファラデー回転子42(図2(a)参照)とからなるユニット44の両側に、一対の磁石43を配置した構成となっている。つまり、このユニット44と、一対の磁石43とが、それぞれ、サブマウント50上に固定されている。このユニット44が半導体レーザ素子20からの出射光の光路上に位置する。なお、本実施形態では、サブマウント50において、光アイソレータ40及び半導体レーザ素子20が搭載される面が平坦となっている例を示している。
【0087】
本実施形態の場合、半導体レーザ素子20の出射面と光アイソレータ40のユニット44とのクリアランスCは、例えば、0.09±0.07mmであることが好ましい。クリアランスCは最低でも0.02mm確保することが好ましいことと、現状、半導体レーザ素子20のマウント精度は±0.05mm程度であり、光アイソレータ40のマウント精度も±0.05mm程度であり、これらの2乗和平方根は±0.07mmであることから、上記のクリアランスCが導かれる。
【0088】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる他、光アイソレータ40がサブマウント50上に配置されているので、半導体レーザ素子20と光アイソレータ40との距離を上記の各実施形態よりも更に近づけることも可能である。このため、光アイソレータ40の面積を上記の各実施形態よりも更に小さくすることが可能であり、光アイソレータ40のコストを上記の各実施形態よりも更に低減することができる。
【0089】
なお、一対の偏光子41(又はルチル単結晶)とファラデー回転子42とからなるユニット44は、その一端面(図10の下面)が、熱硬化接着剤を介してサブマウント50上に固定されるが、当該一端面以外の面が開放されている(固定されていない)。このため、ユニット44に横荷重が加わることによるユニット44の変形が抑制されるので、上述したような光弾性効果による光アイソレータ40の特性変化が実質的に生じないようにすることができる。
【0090】
〔第8の実施形態〕
図12は第8の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第7の実施形態に係る光送信モジュール(図10)の構成に加えて、外部ホルダ60と、ファイバサポート61と、ホルダ64と、光ファイバ付きフェルール62と、レンズホルダ70と、レンズ71と、を有している。
【0091】
外部ホルダ60、ファイバサポート61、ホルダ64、光ファイバ付きフェルール62、レンズホルダ70及びレンズ71は、上記の第5の実施形態と同様である。
【0092】
本実施形態の場合、半導体レーザ素子20は、光アイソレータ40、平窓35及びレンズ71を介して、光ファイバ付きフェルール62の光ファイバと光結合している。
【0093】
このような第8の実施形態によっても、第7の実施形態と同様の効果が得られる。
【0094】
〔第9の実施形態〕
図13は第9の実施形態に係る光送信モジュールの断面図である。本実施形態に係る光送信モジュールは、第7の実施形態に係る光送信モジュール(図10)の構成に加えて、レセプタクル66を有している。
【0095】
レセプタクル66は、第6の実施形態と同様である。光ファイバ付きフェルール67をレセプタクル66の挿入固定部68に挿入固定することにより、光ファイバ69は、透明部材72及びそのレンズ73、平窓35及び光アイソレータ40を介して、半導体レーザ素子20と光結合する。
【0096】
このような第9の実施形態によっても、第7の実施形態と同様の効果が得られる。
【0097】
<第1の変形例>
図14は第1の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図14(a)は第1の変形例に係る光送信のモジュールのキャップ30及び光アイソレータ40のみを抽出して示す断面図であり、図14(b)は図14(a)の矢印A方向にキャップ30及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第1乃至第3の実施形態では、磁石43を有するタイプの光アイソレータ40を非球面レンズ32に固定する例を説明したが、図14に示すように、磁石43を有していないタイプの光アイソレータ40を非球面レンズ32の平坦面32aに固定しても良い。
【0098】
<第2の変形例>
図15は第2の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図15(a)は第2の変形例に係る光送信のモジュールのキャップ30及び光アイソレータ40のみを抽出して示す断面図であり、図15(b)は図15(a)の矢印A方向にキャップ30及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第4乃至第6の実施形態では、磁石43を有するタイプの光アイソレータ40を平窓35に固定する例を説明したが、図15に示すように、磁石43を有していないタイプの光アイソレータ40を平窓35の一方の面に固定しても良い。
【0099】
<第3の変形例>
図16は第3の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図16(a)は第3の変形例に係る光送信のモジュールのサブマウント50及び光アイソレータ40のみを抽出して示す側面図であり、図16(b)は図16(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第7乃至第9の実施形態では、サブマウント50の上面が平坦な例を説明したが、第3の変形例では、図16に示すように、サブマウント50の上面に段差51を形成し、半導体レーザ素子20を光アイソレータ40よりも上段に配置している。なお、半導体レーザ素子20の出射面を光アイソレータ40の中央部と対向させることが好ましい。上述のように、半導体レーザ素子20からの出射光は所定の広がり角度θで広がるが、このような配置とすることにより、出射光を上記の第7乃至第9の実施形態よりも効率的に光アイソレータ40に入射させることができ、出射光の利用効率を高めることができる。
【0100】
<第4の変形例>
図17は第4の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図17(a)は第4の変形例に係る光送信のモジュールのサブマウント50及び光アイソレータ40のみを抽出して示す側面図であり、図17(b)は図17(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第3の変形例では、サブマウント50の上面に段差51を形成する例を説明したが、第4の変形例では、サブマウント50の上面に傾斜面52を形成している。この傾斜面52は、半導体レーザ素子20の配置領域から光アイソレータ40の配置領域にかけて下り傾斜している。なお、半導体レーザ素子20の出射面を光アイソレータ40の中央部と対向させることが好ましい。上述のように、半導体レーザ素子20からの出射光は所定の広がり角度θで広がるが、このような配置とすることにより、出射光を上記の第3の変形例よりも効率的に光アイソレータ40に入射させることができ、出射光の利用効率を高めることができる。
【0101】
<第5の変形例>
図18は第5の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図18(a)は第5の変形例に係る光送信のモジュールのサブマウント50及び光アイソレータ40のみを抽出して示す側面図であり、図18(b)は図18(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第7乃至第9の実施形態では、磁石43を有するタイプの光アイソレータ40をサブマウント50に搭載する例を説明したが、図18に示すように、磁石43を有していないタイプの光アイソレータ40をサブマウント50に搭載しても良い。
【0102】
<第6の変形例>
図19は第6の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図19(a)は第6の変形例に係る光送信のモジュールのサブマウント50及び光アイソレータ40のみを抽出して示す側面図であり、図19(b)は図19(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第3の変形例では、磁石43を有するタイプの光アイソレータ40を段差51を有するサブマウント50に搭載する例を説明したが、図19に示すように、磁石43を有していないタイプの光アイソレータ40を段差51を有するサブマウント50に搭載しても良い。
【0103】
<第7の変形例>
図20は第7の変形例に係る光送信モジュールを説明するための図である。このうち図20(a)は第7の変形例に係る光送信のモジュールのサブマウント50及び光アイソレータ40のみを抽出して示す側面図であり、図20(b)は図20(a)の矢印B方向にサブマウント50及び光アイソレータ40を見た図である。上記の第4の変形例では、磁石43を有するタイプの光アイソレータ40を傾斜面52を有するサブマウント50に搭載する例を説明したが、図20に示すように、磁石43を有していないタイプの光アイソレータ40を傾斜面52を有するサブマウント50に搭載しても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 光路
2 集光位置
10 ステム
11 ステムベース
12 ステムブロック
13 リード
20 半導体レーザ素子
30 キャップ
31 本体部
31a フランジ部
31b 固定部
32 非球面レンズ
32a 平坦面
33 開口
34 低融点ガラス
35 平窓
40 光アイソレータ
41 偏光子
42 ファラデー回転子
43 磁石
44 ユニット
50 サブマウント
51 段差
52 傾斜面
60 外部ホルダ
61 ファイバサポート
62 光ファイバ付きフェルール
63 受光面
64 ホルダ
65 接合剤
66 レセプタクル
66a 開口
67 光ファイバ付きフェルール
68 挿入固定部
69 光ファイバ
70 レンズホルダ
71 レンズ
72 透明部材
73 レンズ
C クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステムと、
前記ステムに搭載されている半導体レーザ素子と、
前記ステムに対して固定され、前記半導体レーザ素子を気密封止したキャップと、
前記半導体レーザ素子からの出射光の光路上に配置された光アイソレータと、
を有し、
前記キャップは、
一端側が前記ステムに固定された筒状の本体部と、
前記光路上に位置するとともに前記本体部の他端側の開口を塞ぎ、且つ、前記本体部との間の気密が保たれるように前記本体部に固定された光透過部と、
を含み、
前記光アイソレータは、前記キャップにより気密封止された領域内に配置されていることを特徴とする光送信モジュール。
【請求項2】
前記光アイソレータは、前記光透過部の前記半導体レーザ素子側の面に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光送信モジュール。
【請求項3】
前記光透過部は、片面が平坦に形成された集光レンズであり、その平坦面に前記光アイソレータが固定されていることを特徴とする請求項2に記載の光送信モジュール。
【請求項4】
前記光透過部は両面が平坦な平窓であることを特徴とする請求項2に記載の光送信モジュール。
【請求項5】
前記ステムに固定されたサブマウントを更に有し、
前記サブマウントに前記半導体レーザ素子及び前記光アイソレータが固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光送信モジュール。
【請求項6】
前記光アイソレータは、前記光路と平行な方向における前記光アイソレータの端面が前記領域内の何れかの箇所に接着されることにより固定されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項7】
前記キャップに固定されたホルダ部材と、
内部に光ファイバを保持し、前記ホルダ部材に固定された光ファイバ付フェルールと、
を更に有し、
前記光ファイバ付フェルールの前記光ファイバと前記半導体レーザ素子とが光結合されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項8】
前記キャップに固定されたレセプタクルを更に有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項9】
ステム上に半導体レーザ素子を搭載する工程と、
前記ステムに対してキャップを固定し、前記半導体レーザ素子を気密封止する工程と、
前記半導体レーザ素子からの出射光の光路上に光アイソレータを配置する工程と、
を有し、
前記キャップは、筒状の本体部と、前記本体部の一端側の開口を塞ぎ、且つ、前記本体部との間の気密が保たれるように前記本体部に固定された光透過部と、を含み、
前記キャップを固定する工程では、前記本体部の他端側を前記ステムに固定し、
前記光アイソレータを配置する工程では、前記キャップにより気密封止される領域内に前記光アイソレータを配置することを特徴とする光送信モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−54466(P2012−54466A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196975(P2010−196975)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】