説明

光通信システム、送信装置および受信装置

【課題】 状況に応じた適切な並列度でのデータ通信を実現する。
【解決手段】 送信装置10は、光源部11を複数のサブエリアに分割し、同一のサブエリアに属するLED12を同一のデータを変調した変調信号により駆動して、サブエリアを示す情報を含むデータを送信する。受信装置20は、データを含む光を受光して、復調によりデータを取得し、画素と受信したデータに含まれるサブエリアを示す情報に基づいて、サブエリアごとに送信すべきデータを特定する情報を割り当て、サブエリアを示す情報と送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを生成する。割り当てマップは送信装置10に送信され、送信装置10は、割り当てマップに割り当てマップに基づいて、サブエリアごとに送信すべきデータを特定する情報にしたがって、並列にデータを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間中に放射される光信号を通信媒体として用いる光通信システムおよび光通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LD(レーザーダイオード)やLED(発光ダイオード)の発達に伴い、照明器具から発せられる可視光を通信媒体として用いる方式が提案されている。照明器具は至るところに存在するので、照明器具からの照明光を通信に用いることができれば、照明器具に新たな機能を付加するだけで無線通信を実現することができる。近年、超寿命で低消費電力という優れた特徴を持つ白色LEDが次世代の光源として期待されている。
【0003】
このような可視光の光源を利用した光通信システムにおいては、送信装置が、送信したいデータに基づいて可視光を変調した変調光を放射し、受信装置は、変調光を受光して、復調することによりデータを取得できる。
【0004】
たとえば、現在入手可能な白色LEDの通信に利用できる帯域幅は、数MHz〜10数MHz程度であり、システム全体のスループットがLEDの応答速度によって制限されてしまう。そこで、複数のLEDで異なるパケットを並列に伝送し、2次元センサ(イメージセンサ)で各LEDからの信号を並列に受信するシステム(並列可変光通信システム)が提案されている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
【0005】
提案されたシステムにおいては、送信データを複数のパケットに分割し、それぞれのパケットを各LEDから並列に伝送することで、単独のLEDの応答速度に依存しない高速通信を可能とする。
【特許文献1】特開2006−191313号公報
【非特許文献1】「Parallel Wireless Optical CommunicationUsing High Speed CMOS Image Sensor」、S.Miyauchi他著、情報理論とその応用国際シンポジウム(InternationalSymposium on Information Theory and its Applications) (ISITA2004), Parma, Italy、2004年10月
【非特許文献2】「2次元送受信機による高速な並列空間可視光通信システムの設計」、石田正徳他著、信学技報、OCS2005−20、第49頁〜第54頁、2005年5月
【非特許文献3】「Analysis of LED AllocationAlgorithms for Parallel Wireless Optical Communication」、S.Miyauchi他著、IEEE Radioand Wireless Symposium (RWS) 2006、San Diego, USA、第191頁〜第194頁、2006年1月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
並列可変光通信システムにおいては、LEDの数と受信する2次元センサの画素数を増やせば増やすほど、すなわち、並列度を上げるほどスループットが向上するため、高速な可視光無線LANを実現することが期待できる。
【0007】
並列可変光通信システムにおいては、図14に示すように、受信装置100において、2次元センサ101の前にレンズ102を配置することで、LED110の照明の像を2次元センサ101上に結像させている。
【0008】
図15は、2次元センサ101上に結像されたLED110の像を示す図である。図15において、矩形が、それぞれ2次元センサ101の画素を表し、黒丸が、それぞれLED110の像を表す。図15(a)に示すように、2次元センサの画素と、LEDの像とが、すべて1対1で対応していれば、全ての画素が異なるLEDからの光を受けることができる。しかしながら、実際には、図15(b)に示すように、一方が回転した状態で像が投影され、或いは、図15(c)に示すように、LEDアレイと2次元センサとが平行ではなく、歪んだ状態で像が投影される場合もある。このように、LEDと画素との対応関係は変化する。
【0009】
また、LEDの数が2次元センサの画素数より多く、2次元センサの画素に複数のLEDの像が結ばれる場合も考えられる。このような場合には、1つの画素に複数のLEDの像が投影されるため、送信機のLED間の干渉が問題となる。
【0010】
図16に示す例では、2×2個のLEDについて同じデータを送信するように構成している。図16において、LEDの像を示す円内の模様が同じものについて、同じデータを送信している。図16に示す2次元センサの画素のうち、左上、右上、左下、右下、中央の5つの画素については、同じデータを送信するLEDの像が投影されており、問題なくデータを受信することができる。しかしながら、他の4つの画素については、異なるデータを送信するLEDの像が投影されており、干渉によりデータを受信することができない。
【0011】
本発明は、状況に応じた適切な並列度でデータ通信が可能な光通信システム、送信装置および受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、複数の光源を発光することにより、並列にデータを送信する光通信システムにおいて、
光を放射する複数の光源を含む光源部と、
前記光源部を複数のサブエリアに分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成してメモリに記憶する分割処理手段と、
与えられたデータを変調して変調信号を生成し、当該変調信号により、前記光源のそれぞれを駆動して、前記光源のそれぞれから変調光を発光させて、前記データを送信する送信処理手段であって、同一のサブエリアに属する光源を同一のデータを変調した変調信号により駆動可能に構成された送信処理手段と、
受信装置からの信号を受信可能な受信手段と、を備えた送信装置であって、前記送信処理手段が、前記サブエリアを示す情報を含むデータを変調した変調信号により光源を駆動するような送信装置、並びに、
光を受光する複数の画素を含む受光センサ部と、
前記画素のそれぞれにより受光された光に基づく信号を復調して、データを取得する受信処理手段と、
前記受信処理手段により取得された画素ごとのデータに基づいて、前記画素と、当該画素により取得されたデータに含まれる、前記サブエリアを示す情報とが対応付けられた受信マップを生成するとともに、前記受信マップに基づいて、前記サブエリアごとに、前記送信すべきデータを特定する情報を割り当て、前記サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを生成する割り当て手段と、
前記割り当てマップを含む信号を、前記送信装置の受信手段に送信する送信手段と、を備えた受信装置を備え、
前記送信装置が、前記割り当てマップに基づいて、前記サブエリアごとに前記送信すべきデータを特定する情報にしたがって、並列にデータを送信することを特徴とする光通信システムにより達成される。
【0013】
好ましい実施態様においては、前記送信装置の前記分割処理手段が、前記割り当てマップにサブエリアを示す情報が含まれていないサブエリアについて、分割対象から除外するように構成される。
【0014】
別の好ましい実施態様においては、前記画素により受信された光に基づき取得されたデータを参照して、伝送品質を示す値が所定の第1の閾値よりも良好であることを示す場合に、前記受信装置の前記送信手段が、並列度増加の指示を示す信号を、前記送信装置の受信手段に送信するように構成され、
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度増加の指示にしたがって、前記サブエリアを分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成される。
【0015】
また、別の好ましい実施態様においては、前記画素により受信した光に基づき取得されたデータを参照して、伝送品質を示す値が所定の第2の閾値よりも劣化したことを示す場合に、前記受信装置の前記送信手段が、並列度減少の指示を示す信号、前記送信装置の受信手段に送信するように構成され、
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、前記サブエリアをマージして、新たなサブエリアを生成し、新たなサブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成される。
【0016】
より好ましい実施態様においては、前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、現在のサブエリアに分割される前の状態のサブエリアとなるように、前記サブエリアをマージするように構成される。
【0017】
また、好ましい実施態様においては、前記サブエリアが単一の光源から構成される場合に、前記受信装置の前記割り当て手段が、一つの画素には同一のデータが受信されるような前記割り当てマップを生成するように構成される。
【0018】
また、本発明の目的は、複数の光源を発光することにより、並列にデータを送信する光通信システムにおいて、
光を放射する複数の光源を含む光源部と、
前記光源部を複数のサブエリアに分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成してメモリに記憶する分割処理手段と、
与えられたデータを変調して変調信号を生成し、当該変調信号により、前記光源のそれぞれを駆動して、前記光源のそれぞれから変調光を発光させて、前記データを送信する送信処理手段であって、同一のサブエリアに属する光源を同一のデータを変調した変調信号により駆動可能に構成された送信処理手段と、
受信装置からの信号を受信可能な受信手段と、を備えた送信装置であって、
前記送信処理手段が、前記サブエリアを示す情報を含むデータを変調した変調信号により光源を駆動するように構成され、かつ、
前記光源部から発光された光を受光した受信装置から、前記サブエリアごとに、当該サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを受信し、当該割り当てマップに基づいて、前記サブエリアごとに前記送信すべきデータを特定する情報にしたがって、並列にデータを送信するように構成されたことを特徴とする送信装置により達成される。
【0019】
好ましい実施態様においては、前記分割処理手段が、前記割り当てマップにサブエリアを示す情報が含まれていないサブエリアについて、分割対象から除外するように構成される。
【0020】
別の好ましい実施態様においては、前記分割処理手段が、前記受信装置から送信された、当該受信装置における伝送品質に基づいて生成した並列度増加の指示を受信することに応答して、前記サブエリアを分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成される。
【0021】
また、別の好ましい実施態様においては、前記分割処理手段が、前記受信装置から送信された、当該受信装置における伝送品質に基づいて生成した並列度減少の指示を受信することに応答して、前記サブエリアをマージして、新たなサブエリアを生成し、新たなサブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成する。
【0022】
より好ましい実施態様においては、前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、現在のサブエリアに分割される前の状態のサブエリアとなるように、前記サブエリアをマージするように構成される。
【0023】
さらに、本発明の目的は、上記送信装置からの光を受光する受信装置であって、
前記光を受光する複数の画素を含む受光センサ部と、
前記画素のそれぞれにより受光された光に基づく信号を復調して、データを取得する受信処理手段と、
前記受信処理手段により取得された画素ごとのデータに基づいて、前記画素と、当該画素により取得されたデータに含まれる、前記サブエリアを示す情報とが対応付けられた受信マップを生成するとともに、前記受信マップに基づいて、前記サブエリアごとに、前記送信すべきデータを特定する情報を割り当て、前記サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを生成する割り当て手段と、
前記割り当てマップを含む信号を、前記送信装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする受信装置により達成される。
【0024】
好ましい実施態様においては、前記サブエリアが単一の光源から構成される場合に、前記受信装置の前記割り当て手段が、一つの画素には同一のデータが受信されるような前記割り当てマップを生成するように構成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、状況に応じた適切な並列度でデータ通信が可能な光通信システム、送信装置および受信装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる光通信システムのブロックダイヤグラムである。図1に示すように、光通信システムは、送信装置10と受信装置20とを有している。
【0027】
図1に示すように、送信装置10は、光源部11と、送信処理部13、分割処理部14、メモリ15、受信処理部16およびセンサ17を有する。本実施の形態において、光源部11は、複数のLED12を2次元状に配置したLEDアレイである。無論、LD(レーザダイオード)などLED以外の発光素子を利用しても良い。また、LED12は2次元状の配置に限定されず、直線状(1次元状)に配置していても良い。本実施の形態においては、光源部11から可視光が放射される。つまり、この光源部11は、照明器具としても機能できる。
【0028】
送信処理部13は、各LED12を駆動するための駆動信号を生成する。たとえば、送信処理部13は、与えられたデータを変調した変調信号を生成して、光源部12の各LED12を駆動する。これにより、光源部11からはデータを含む光を放射することができる。本実施の形態においては、送信処理部13は、全てのLED12に対して同一のデータを変調した駆動信号を与えることもできる。或いは、送信処理部13は、後述するサブエリアごとに、同一のサブエリアに属するLED12に対して同一のデータを変調した駆動信号を与えて変調光を放射させるような動作も可能である。さらに、送信処理部13は、サブエリアごと、或いは、LED12ごとに、順次、変調した駆動信号を与えて、当該サブエリアに属するLED、或いは、それぞれのLEDを順次発光させることもできる。
【0029】
なお、送信処理部13により生成された変調された駆動信号により光源部11のLED12が変調光を放射することも、データ送信に含まれるため、本明細書においては、上記変調光の放射もデータ送信と称する。
【0030】
分割処理部14は、後述する受信装置20からの情報(割り当てマップ)に基づいて、光源部11を複数のサブエリアに分割して、サブエリアの情報(たとえば、各サブエリアを特定するサブエリア番号および各サブエリアに含まれるLEDのLED番号)などをメモリ15に記憶する。
【0031】
メモリ15は、変調光として送信すべキデータや、送信処理部13、分割処理部14および受信処理部16により実行されるプログラムなどを記憶する。
【0032】
センサ17は、後述する受信装置20に設けられた赤外線発光素子27からの赤外線を受光する。受信処理部16は、センサ17により受光された光に基づく信号からデータを取り出す。
【0033】
受信装置20は、レンズ21、受光センサ部22、受信処理部23、メモリ24、割り当て処理部25、送信処理部26および赤外線発光素子27を有する。
【0034】
受光センサ部22は、レンズ21を介して投影された光源部11からの光を受光する。本実施の形態にかかる受光センサ部22においては、複数の受光素子(以下、「画素」と称する)28が2次元アレイ状に配置されている。レンズ21は、オートフォーカスおよびズームの機能を有し、所定のズームの率で、受光センサ部22上に、光源部11のLED12の像を投影することができる。
【0035】
受信処理部23は、それぞれの画素28が受光した光を変換した電気信号を受け入れ、それぞれの電気信号を復調してデータを取り出すことができる。復調されたデータに基づいて、割り当て処理部25は、それぞれの画素が受信したデータを特定し、画素とサブエリアを特定する情報(たとえば、サブエリア番号)とを関連付けた受信マップを生成するとともに、受信マップに基づいて、サブエリアごとに送信すべきパケット番号を割り当てた割り当てマップを生成する。
【0036】
送信処理部26は、割り当てマップの情報を含む信号を生成して、赤外線発光素子27に出力する。これにより、赤外線発光素子27から割り当てマップの情報を含む赤外光が発せられ、送信装置10のセンサ17により受光される。
【0037】
このように、本実施の形態においては、送信装置10から受信装置20へのデータ送信(ダウンリンクの通信)は、光源部11の複数のLED12から受光センサ部22の複数の画素28への可視光(LED12が白色LEDであれば白色の可視光)によるものとなる。その一方、受信装置20から送信装置10へのデータ送信(アップリンクの通信)は、赤外線発光素子27からセンサ17への赤外光を利用したものとなる。
【0038】
以下、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理について説明する。図2および図3は、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理およびデータ通信を示すフローチャートである。
【0039】
まず、送信装置10の送信処理部13は、光源部11の各LED12に駆動信号を与え、光源部11のLED12から予め決められたパターン(既定パターン)を送信させる(ステップ201)。受信装置20の受信処理部23は、全画素28で、既定パターンを検索する(ステップ202)。既定パターンが捕捉されると(ステップ203)、受信装置20の送信処理部26は、送信装置10から発せられた光であるかどうかを確認するためのデータを送信する(ステップ204)。これは、まだこの時点では、送信装置10と受信装置20との間でリンクが切断されている状態だからである。送信装置10からの応答を受信することにより(ステップ205)、既定パターンの認識は完了する(ステップ206)。
【0040】
図4(a)は、初期状態の受光センサ部12の状態を概略的に示す図である。この例では、受光センサ部12には、4×4=16個の画素が配置されている(たとえば、符号401、402参照)、図4(b)は、図2のステップ206での状態を示す。符号410で示す部分が認識された既定パターンである。
【0041】
次いで、受信装置20はレンズ21を移動させて、各LED12の像を受光センサ部12上に焦点があった状態で投影させる(ステップ207)。図4(c)は、ステップ207が完了した状態である。この例では、8×8=64個のLEDの像(符号420参照)が、受光センサ部12上に投影されている。
【0042】
次いで、受信装置20の送信処理部26により、赤外線発光素子27からシリアル伝送要求が送信され(ステップ208)、シリアル伝送要求が送信装置10のセンサ17に受信されると、これに応答して、送信装置10はシリアル伝送によるデータ送信を開始する(ステップ209)。ステップ209のシリアル伝送によるデータ送信においては、送信処理部13は、同一のデータを変調した駆動信号で各LED12を駆動する。ステップ209のシリアル伝送ないしシリアル送信とは、並列度が「1」であるデータ送信であり、全てのLEDから同一のデータが送信される。
【0043】
シリアル伝送の間に、受信装置20はレンズを移動させてズーミングを行う(ステップ210)。ズーミングにおいては、像が明瞭な範囲内で、受光センサ12のできるだけ多くの画素28がデータを受信できるように、像の拡大率が調整される。
【0044】
ズーミングが完了すると、伝送品質を示す値が所定の閾値より良好な状態(たとえば、PER(Packet Error Rate)が所定の閾値Th1より小さい状態)で一定時間が経過したら、つまり、伝送品質が安定したら(ステップ301でYes)、受信装置20の送信処理部26により、赤外線発光素子27から並列度増加指示が送信される(ステップ302)。
【0045】
なお、送信装置10においてパラレル伝送によるデータ送信の並列度を高めるために、以下、ステップ303〜307の処理が実行されるが、このステップ303〜307の処理は、伝送品質が所定のレベルである(たとえば、PER<Th1)である限り繰り返すことができる。
【0046】
並列度増加指示を受信すると、送信装置10のエリア分割処理部がサブエリア分割処理を実行する(ステップ303)。図5は、本実施の形態にかかる分割処理部14にて実行されるサブエリア分割処理の例を示すフローチャート、図6は、サイズにしたがったサブエリア分割を規定するテーブルの例を示す図、図7および図8は、本実施の形態にかかるサブエリア分割の例を示す図である。
【0047】
サブエリアとは、光源部11を分割して得られる、1以上の画素群からなる小エリアをいう。図7(a)は、ステップ210のズーミングが終了した状態であり、符号700が、受光センサ12上に投影されたLED12の像のエリアとする。これをサブエリア分割処理によってたとえば、図7(b)に示すように4つのサブエリア711〜713に分割する。なお、サブエリアにはそれぞれを特定する番号(サブエリア番号)が付与され、サブエリア番号および当該サブエリアを構成するLEDの情報(たとえば、LED番号)が、メモリ15に記憶されている。なお、図7(a)、(b)および後述する図8(a)、(b)において、サブエリア中或いはサブエリアに隣接して記載されている数字はサブエリア番号である。
【0048】
図5に示すように、分割処理部14は、処理対象となるサブエリアを特定する(ステップ501)。たとえば、図7(a)の状態では、エリア700が処理対象となり特定される。また、図7(b)の例では、サブエリア711〜714が、順次処理対象となる。
【0049】
次いで、分割処理部14は、分割不可能と判断されない限り(ステップ502でYes)、以下のステップ503〜506の処理を実行する。分割不可能な状態とは、サブエリアが単一のLEDで構成される場合である。
【0050】
また、分割処理部14は、割り当てマップに、処理対象となるサブエリアを示す情報(サブエリア番号)が存在するか否かを判断する(ステップ503)。割り当てマップは後に詳述するが、サブエリアごとに、当該サブエリアを示す情報(サブエリア番号)と、送信すべきデータを特定する情報(パケット番号)とが対応付けられているマップであり、受信装置20から送信装置10に送信され、送信装置10のメモリ15に記憶されている。
【0051】
処理対象となるサブエリアのサブエリア番号が最新の割り当てマップに存在すれば、ステップ503でYesと判断され、その一方、最新の割り当てマップに存在しなければ、ステップ503でNoと判断される。ステップ503でYesと判断された場合には、分割処理部14は、サブエリアのサイズ(横方向および縦方向の画素数)にしたがって、サブエリアを分割して新たなサブエリアを生成する(ステップ505)。
【0052】
図6に示すように、横方向(x軸方向)のLED数xと、縦方向(y軸方向)のLED数yとによって、サブエリアの分割が規定される。x=1、y=1の場合(符号601)にはそれ以上の分割は不可能である(これは、ステップ502で処理が除外される)。
【0053】
x≦3かつy≦3の場合には、それぞれのサブエリアが単一のLEDから構成されるように分割する(符号602)。その一方、x/y≧2であれば横方向に2分割して新たに2つのサブエリアが生成され(符号603)、x/y≦0.5であれば、縦方向に2分割して新たに2つのサブエリアが生成される(符号604)。また、上記符号603で示す場合と符号604で示す場合の間、つまり、0.5<x/y<2であれば、縦横両方向にそれぞれ2分割して新たに4つのサブエリアが生成される(符号605)。
【0054】
ステップ503でNoと判断された場合には、分割処理部14は、当該サブエリアを処理対象、つまり、分割の対象から除外する(ステップ504)。
【0055】
分割処理部14は、新たに生成されたサブエリアについての情報(たとえば、サブエリア番号およびサブエリアを構成するLEDの番号)をメモリ15に格納する。ステップ504で処理対象から除外されたサブエリアについての情報も同様にメモリ15に格納される。
【0056】
すべてのサブエリアについて処理が終了していなければ(ステップ507でNo)、ステップ501に戻り、次のサブエリアについて同様の処理が実行される。
【0057】
たとえば、図7(b)の状態では、後述する割り当てマップには、サブエリア711、サブエリア713、サブエリア714のサブエリア番号「1」、「3」、「4」のみが含まれる。したがって、サブエリア番号「2」を付されているサブエリア712に関して図5の処理を実行しているときに、ステップ503においてNoと判断され、サブエリア712は処理対象から除外される。図8(a)は、サブエリア712が処理対象から除外されて、さらに、サブエリア711、713、714が、それぞれ複数のサブエリアに分割された状態を示す。
【0058】
図8(a)の状態において、後述する割り当てマップには、サブエリア803〜807、サブエリア809〜811、のサブエリア番号「3」〜「7」および「9」〜「11」のみが含まれる。したがって、サブエリア番号「1」、「2」、「8」、「12」をそれぞれ付されているサブエリア801、802、808、812に関して図5の処理を実行しているときに、ステップ503においてNoと判断され、サブエリア801、802、808、812は処理対象から除外される。
【0059】
図8(b)は、図8(a)に示すサブエリアをさらに分割して新たなサブエリアを生成した状態を示す。この状態では、サブエリアは、単一のLEDから構成されている。
【0060】
サブエリア分割処理が終了すると、送信処理部13は、サブエリアごとに、順次サブエリアのサブエリア番号のデータを含むデータ送信を実行する(ステップ304)。データ送信により、あるサブエリア番号を有するサブエリアに属する各LED12が、当該サブエリア番号のデータを含む変調光を放射する。このデータ送信は、小さなサブエリア番号が与えられたサブエリアから順次行われる。
【0061】
受信装置20の受光センサ部22は、サブエリアに属するLED12から放射された光を受信する。各画素28からの信号は、受信処理部23に与えられ、受信処理部23が、各画素28からの信号を復調してデータを取り出す。ここで、LED12から放射された光の像が投影された画素28からはサブエリア番号を示すデータが取得され、それ以外の画素28からはデータが取得されないことになる。
【0062】
割り当て処理部25は、得られたデータの有無に基づいて、画素番号(画素座標)とサブエリア番号とを対応付けた受信マップを生成して、メモリ24に記憶する(ステップ305)。図9(a)〜(d)は、本実施の形態にかかる受信マップの例を示す図である。図9(a)〜(d)に示す受信マップ901〜904は、それぞれ、図7(a)、(b)、図8(a)、(b)に示すサブエリアからデータ送信されたときに受信装置20において生成された受信マップに相当する。
【0063】
次いで、割り当て処理部25は、受信マップに基づいて、サブエリアごとにパケット番号を割り当てた割り当てマップを生成して、メモリ24に記憶する(ステップ306)。サブエリアに複数のLED12が含まれる場合には、サブエリアとパケット番号とは1対1に対応する。これにより、同一のサブエリアに属するLEDには同一のパケット番号が割り当てられ、サブエリアが異なれば割り当てられるパケット番号が異なるものとなる。
【0064】
したがって、サブエリアに複数のLED12が含まれる場合には、サブエリア番号のそれぞれに、パケット番号を、たとえば昇順で割り当てればよい。また、受光センサ部22の画素28によって受光されなかったサブエリアのサブエリア番号は、割り当てマップから除外されることになる。この結果、送信装置10は、サブエリアに複数のLED12が含まれる場合には、同一のサブエリアに属する複数のLED12が同一のデータを送信することになる。
【0065】
図10(a)〜(c)は、図9(a)〜(c)に示す受信マップに基づいて割り当て処理部25により生成された割り当てマップの例を示す図である。図9(a)に示す受信マップ901においては、サブエリア番号1を有するサブエリアに属するLEDからの光のみが受光されているため、図10(a)に示すように、割り当てマップ1001は、サブエリア番号1にパケット番号1のデータを割り当てたことを示す。
【0066】
図9(b)に示す受信マップ902においては、サブエリア番号1、3および4をそれぞれ有するサブエリアに属するLEDからの光が受光されていることがわかる。したがって、図10(b)に示すように、割り当てマップ1002は、サブエリア番号1、3、4に、それぞれ、パケット番号1、2、3を割り当てたことを示す。
【0067】
同様に、図9(c)に示す受信マップ903においては、サブエリア番号3〜7、9〜11をそれぞれ有するサブエリアに属するLEDからの光が受光されていることがわかる。したがって、図10(c)に示すように、割り当てマップ1003は、サブエリア3〜7、9〜11に、それぞれ、パケット番号1〜8を割り当てたことを示す。
【0068】
生成された割り当てマップは、アップリンクの通信によって受信装置20から送信装置10に送信される(ステップ307)。
【0069】
その一方、サブエリアが単一のLED12から構成されている場合には、単にサブエリアごとに異なる信号を送るのではなく、画素28が同一の信号を受けられるようには配慮する必要がある。
【0070】
1つの画素28で複数のサブエリア(この場合には、サブエリアはLEDと同じ意味となる)からの光を受光する可能性がある。この場合、LED12で異なるデータを送信すると互いの信号が干渉してどちらのデータも受信できなくなる可能性がある。そこで、本実施の形態においては、サブエリアが単一のLED12から構成される場合には、1つの画素28には同一のデータを含む光を受光できるような処理を施す。
【0071】
本実施の形態において、この処理においては、各画素28について、各LED12から受光した光の電力をテーブル(受信電力テーブル)にメモリ24に保持しておき、受信電力テーブルを参照して、所望の信号および非所望の信号の電力の比であるD/U比を算出し、算出されたD/U比に基づき、LED12にパケットが割り当てられる。この割り当ての手法は、非特許文献3に開示されている。
【0072】
図11は、本実施の形態にかかる割り当て処理の処理例を示すフローチャートである。割り当て処理部25は、受光した光に基づいて、発光したサブエリア(この場合にはLEDに相当する)、受信電力、および、送信すべきデータのパケット番号を含む受信電力マップを生成し、当該受信電力マップを受信電力にしたがってソートする(ステップ1101)。受信電力マップは、送信装置10のLED12からの光を受光したすべての画素28について生成される。
【0073】
また、割り当て処理部25は、各画素28の受信電力マップにおいて、それぞれのLEDから別のデータが送信されているように、パケット番号を割り当てる(ステップ1102)。実際には、LED12はそれぞれ異なるサブエリア番号を含むデータを発光するため、このサブエリア番号を初期的なパケット番号としておけばよい。
【0074】
次いで、割り当て処理部25は、演算の繰り返し回数を計数するためのパラメータkを初期化する(ステップ1103)。
【0075】
割り当て処理部25は、各画素について、受光した信号の電力(受信電力)が大きい方からk個の和を「D」、他の信号の受信電力の和を「U」として、D/U比を算出する(ステップ1104)。DU比(D/U)が所定の閾値THR以上であれば(ステップ1105でYes)、k個のLEDの光で十分にデータが受信できると判断し、割り当て処理部25は、処理対象となっている画素にk個のLEDを割り当て、受信電力マップにおいて、当該k個のLEDについて、同一のデータを送信すべく同一のパケット番号を与える(ステップ1106)。LEDが割り当てられた画素については、以後の処理対象から除外される。また、k個のLEDについても、以後の処理対象から除外される。
【0076】
ステップ1105でNoと判断された場合には、割り当て処理部25は、第k+1番のLEDについて、パケット番号の割り当てが完了しているか否かを判断し(ステップ1107)、パケット番号が確定している(割り当てが完了している)場合(ステップ1107でNo)には、割り当て処理部25は、当該第k+1番のLEDからの受信電力を、他の信号の受信電力の和である「U」に加算する(ステップ1108)。
【0077】
全ての画素について処理が終了していなければ(ステップ1109でNo)、割り当て処理部25は、次の画素について、ステップ1105〜1108の処理を実行する。ステップ1109でYesと判断された場合には、パラメータkが最大繰り返し回数K以上となったか否かが判断される(ステップ1110)。ステップ1110でNoと判断された場合には、パラメータkがインクリメントされて(ステップ1111)、ステップ1104に戻る。
【0078】
ステップ1110でYesと判断された場合には、割り当て処理部25は、各画素についての受信電力マップを参照して、画素ごとに、同一のパケット番号を与えられたLEDの番号(サブエリア番号)を特定し、サブエリア番号とパケット番号とが対応付けられた割り当てマップを生成する(ステップ1112)。生成された割り当てマップは、アップリンクの通信によって受信装置20から送信装置10に送信される(図3のステップ307)。
【0079】
図12は、図9(d)に示す受信マップに基づいて割り当て処理部25により生成された割り当てマップの例を示す図である。図12に示すように、サブエリアが単一のLED12から構成される場合には、異なるサブエリア番号を有するサブエリア(LED)に、同一のパケット番号が割り当てられる場合がある(符号1201および1202、符号1203および1204、並びに、符号1205〜1207参照)。
【0080】
図8(b)および図12から理解できるように、複数のLEDからの光を受光できる画素については、当該複数のLEDに同じパケット番号が割り当てられ、これらLEDからは同一のデータが送信されることになる。これにより、後述するパラレル伝送において、画素において信号の衝突や干渉が起こることが防止できる。
【0081】
送信装置10に送信された割り当てマップは、送信装置10のメモリ15に記憶され、パラレル伝送によるデータ送信のために参照されるとともに、上述したようにエリア分割処理において参照される。上述したように、ステップ303〜307の処理は、伝送品質が所定のレベルである(たとえば、PER<Th1)である限り繰り返すことができる。したがって、受信装置20は、さらに並列度増加を指示し(ステップ302)、さらにサブエリアを細分化することを求めることもできる。送信装置10は、この場合には、ステップ303、304を実行し、受信装置20も、ステップ304のデータ送信に基づいて、さらに割り当てマップを生成する処理を実行する。
【0082】
このような処理の後、送信装置10は、メモリ15に記憶された割り当てマップにしたがって、パラレル伝送によるデータ送信を開始する(ステップ308)。パラレル伝送によるデータ送信においては、割り当てマップにしたがって、同一サブエリアに属するLEDは同じデータを送信するように、同時に複数種類のデータが送信される。これにより、パケット番号の数に相当する並列度でのパラレル伝送が実現される。
【0083】
このように、本実施の形態においては、送信装置10が、光源部11を分割したサブエリアごとに、送信すべきデータを示すパケット番号が割り当てられた割り当てマップをメモリ15に記憶し、当該割り当てマップ中のパケット番号にしたがって、同一のサブエリアに属するLEDが同一のデータを送信するようなパラレル伝送を実現する。割り当てマップは、受信装置20において、受光センサ部22の画素28が受信したデータに含まれるサブエリア番号に基づいて生成され、アップリンクの通信によって受信装置20から送信装置10に送信される。これにより、送信装置10の光源部11のLED12と、受信装置20の受光センサ部22の画素28との間に1対1の関係が成立しない場合でも、パラレル伝送によるデータ送信が実現される。
【0084】
また、本実施の形態においては、伝送品質が所定の状態(伝送品質を示す値が所定の閾値より良好であることを示す場合)には、受信装置20から並列度増加が指示され、送信装置10は、並列度増加の指示に応じて、サブエリアをさらに分割して、並列度を増加させ、分割されたサブエリアのそれぞれからのデータ送信が実現される。
【0085】
さらに、本実施の形態においては、サブエリアが単一のLEDから構成される場合には、それぞれの画素において、信号の衝突や干渉が無いように、ある画素には同じデータが送信されるような割り当てが行われる。
【0086】
このように、本発明によれば、フォーカス合わせが終了すると、早期にデータ通信が開始されるため、リンク確立までの時間を短くすることもできる。
【0087】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【0088】
たとえば、上記実施の形態においては、伝送品質が所定の状態である場合(伝送品質を示す値が所定の閾値より良好であることを示す場合)には、受信装置20から並列度増加が指示され、送信装置10は、並列度増加の指示に応じて、サブエリアがさらに分割される。さらに、伝送品質が劣化した場合(伝送品質を示す値が所定の閾値より劣化していることを示す場合)には、受信装置20から送信装置10に対して並列度減少の指示が与えられるように構成しても良い。
【0089】
図13は、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理およびデータ通信を示すフローチャートである。図3に示すような処理によりパラレル伝送によるデータ送信が行われている状態で、伝送品質を示す値が所定の閾値よりも劣化した場合(たとえば、PERが所定の閾値Th2より大きくなった場合:ステップ1301でYes)に、受信装置20の送信処理部26により、赤外線発光素子27から並列度減少指示が送信される(ステップ1302)。
【0090】
送信装置10の分割処理部14は、メモリ15に記憶されたサブエリアに関する情報を参照して、現在のサブエリアに分割される前の状態のサブエリアの情報(サブエリア番号および当該サブエリアを構成するLEDの情報)を取得する(ステップ1303)。たとえば、現在のサブエリアが図8(b)に示す状態であれば、図8(a)に示すサブエリアの情報を取得し、現在のサブエリアが図8(a)に示す状態であれば、図7(b)に示すサブエリアの情報を取得する。
【0091】
次いで、送信処理部13は、サブエリアごとに、順次サブエリアのサブエリア番号のデータを含むデータ送信を実行する(ステップ1304)。この処理は、図3のステップ304と同様である。
【0092】
受信装置20における処理(ステップ1305〜1307)は、図3のステップ305〜307と同様である。また、送信装置20が受信装置20から送信された、新たな割り当てマップに基づいてパラレル伝送によりデータ送信すること(ステップ1308)は、図3のステップ308と同様である。
【0093】
このような構成により、伝送品質が劣化した場合には、並列度を減少させることで、減少された並列度でのパラレル伝送によるデータ送信を継続させることができる。
【0094】
図13の例においては、受信装置20において新たに割り当てマップを生成し、送信装置10が新たな割り当てマップにしたがってパラレル伝送によるデータ送信を行っているが、このような構成に限定されず、送信装置10が、ステップ1303でマージされたサブエリアについての割り当てマップをメモリ15から読み出して、当該割り当てマップに基づいて、パラレル伝送によるデータ送信を再開しても良い。
【0095】
上記実施の形態によれば、伝送品質の劣化によっても動的に並列度を変化させることができる。特に、伝送品質が良好である限り、並列度を高め、劣化するのにともなって、並列度を減少させるような動的制御によって、受信装置が静止している場合だけではなく、移動している場合(移動端末である場合)にも、最適な並列度で最適なスループットを提供することができる。また、並列度の動的制御によって、安定した伝送を実現することが可能となる。
【0096】
また、本実施の形態において、ダウンリンクの通信には白色LEDの光を利用したがこれに限定されるものではなく、他の色の光、或いは、他の素子による光を利用しても良い。また、アップリンクの通信には赤外線を利用したが、これに限定されるものではない。たとえば、ブルートゥース(登録商標)のような無線通信を利用しても良い。
【0097】
また、光源部11や、受光センサ部12は、矩形であっても長方形であっても良いし、LED(光源)や画素が一次元的な配置(細長い形状)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる光通信システムのブロックダイヤグラムである。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理およびデータ通信を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理およびデータ通信を示すフローチャートである。
【図4】図4(a)は、初期状態の受光センサ部12の状態を概略的に示す図、図4(b)は、図2のステップ206での状態を示す図、図4(c)は、ステップ207が完了した状態を示す図である。
【図5】図5は、本実施の形態にかかる分割処理部14にて実行されるサブエリア分割処理の例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、サイズにしたがったサブエリア分割を規定するテーブルの例を示す図である。
【図7】図7は、本実施の形態にかかるサブエリア分割の例を示す図である。
【図8】図8は、本実施の形態にかかるサブエリア分割の例を示す図である。
【図9】図9(a)〜(d)は、本実施の形態にかかる受信マップの例を示す図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、図9(a)〜(c)に示す受信マップに基づいて割り当て処理部により生成された割り当てマップの例を示す図である。
【図11】図11は、本実施の形態にかかる割り当て処理の処理例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、図9(d)に示す受信マップに基づいて割り当て処理部により生成された割り当てマップの例を示す図である。
【図13】図13は、本実施の形態にかかる光通信システムにおいて実行される処理およびデータ通信を示すフローチャートである。
【図14】図14は、並列可視光通信システムの例を示すブロックダイヤグラムである。
【図15】図15は、並列可視光通信システムにおいて、2次元センサ上に結像されたLEDの像を示す図である。
【図16】図16は、並列可視光通信システムにおいて、2次元センサ上に結像されたLEDの像を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
10 送信装置
11 光源部
12 LED
13 送信処理部
14 分割処理部
15 メモリ
16 受信処理部
17 センサ
20 受信装置
21 レンズ
22 受信センサ部
23 受信処理部
24 メモリ
25 割り当て処理部
26 送信処理部
27 赤外線発光素子
28 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源を発光することにより、並列にデータを送信する光通信システムにおいて、
光を放射する複数の光源を含む光源部と、
前記光源部を複数のサブエリアに分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成してメモリに記憶する分割処理手段と、
与えられたデータを変調して変調信号を生成し、当該変調信号により、前記光源のそれぞれを駆動して、前記光源のそれぞれから変調光を発光させて、前記データを送信する送信処理手段であって、同一のサブエリアに属する光源を同一のデータを変調した変調信号により駆動可能に構成された送信処理手段と、
受信装置からの信号を受信可能な受信手段と、を備えた送信装置であって、前記送信処理手段が、前記サブエリアを示す情報を含むデータを変調した変調信号により光源を駆動するような送信装置、並びに、
光を受光する複数の画素を含む受光センサ部と、
前記画素のそれぞれにより受光された光に基づく信号を復調して、データを取得する受信処理手段と、
前記受信処理手段により取得された画素ごとのデータに基づいて、前記画素と、当該画素により取得されたデータに含まれる、前記サブエリアを示す情報とが対応付けられた受信マップを生成するとともに、前記受信マップに基づいて、前記サブエリアごとに、前記送信すべきデータを特定する情報を割り当て、前記サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを生成する割り当て手段と、
前記割り当てマップを含む信号を、前記送信装置の受信手段に送信する送信手段と、を備えた受信装置を備え、
前記送信装置が、前記割り当てマップに基づいて、前記サブエリアごとに前記送信すべきデータを特定する情報にしたがって、並列にデータを送信することを特徴とする光通信システム。
【請求項2】
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記割り当てマップにサブエリアを示す情報が含まれていないサブエリアについて、分割対象から除外するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記画素により受信された光に基づき取得されたデータを参照して、伝送品質を示す値が所定の第1の閾値よりも良好であることを示す場合に、前記受信装置の前記送信手段が、並列度増加の指示を示す信号を、前記送信装置の受信手段に送信するように構成され、
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度増加の指示にしたがって、前記サブエリアを分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記画素により受信した光に基づき取得されたデータを参照して、伝送品質を示す値が所定の第2の閾値よりも劣化したことを示す場合に、前記受信装置の前記送信手段が、並列度減少の指示を示す信号、前記送信装置の受信手段に送信するように構成され、
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、前記サブエリアをマージして、新たなサブエリアを生成し、新たなサブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記送信装置の前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、現在のサブエリアに分割される前の状態のサブエリアとなるように、前記サブエリアをマージするように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記サブエリアが単一の光源から構成される場合に、前記受信装置の前記割り当て手段が、一つの画素には同一のデータが受信されるような前記割り当てマップを生成するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の光通信システム。
【請求項7】
複数の光源を発光することにより、並列にデータを送信する光通信システムにおいて、
光を放射する複数の光源を含む光源部と、
前記光源部を複数のサブエリアに分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成してメモリに記憶する分割処理手段と、
与えられたデータを変調して変調信号を生成し、当該変調信号により、前記光源のそれぞれを駆動して、前記光源のそれぞれから変調光を発光させて、前記データを送信する送信処理手段であって、同一のサブエリアに属する光源を同一のデータを変調した変調信号により駆動可能に構成された送信処理手段と、
受信装置からの信号を受信可能な受信手段と、を備えた送信装置であって、
前記送信処理手段が、前記サブエリアを示す情報を含むデータを変調した変調信号により光源を駆動するように構成され、かつ、
前記光源部から発光された光を受光した受信装置から、前記サブエリアごとに、当該サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを受信し、当該割り当てマップに基づいて、前記サブエリアごとに前記送信すべきデータを特定する情報にしたがって、並列にデータを送信するように構成されたことを特徴とする送信装置。
【請求項8】
前記分割処理手段が、前記割り当てマップにサブエリアを示す情報が含まれていないサブエリアについて、分割対象から除外するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の送信装置。
【請求項9】
前記分割処理手段が、前記受信装置から送信された、当該受信装置における伝送品質に基づいて生成した並列度増加の指示を受信することに応答して、前記サブエリアを分割して、当該サブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成されたことを特徴とする請求項7または8に記載の送信装置。
【請求項10】
前記分割処理手段が、前記受信装置から送信された、当該受信装置における伝送品質に基づいて生成した並列度減少の指示を受信することに応答して、前記サブエリアをマージして、新たなサブエリアを生成し、新たなサブエリアを特定する情報および当該サブエリアに属する光源の情報を生成するように構成されたことを特徴とする請求項9に記載の送信装置。
【請求項11】
前記分割処理手段が、前記並列度減少の指示にしたがって、現在のサブエリアに分割される前の状態のサブエリアとなるように、前記サブエリアをマージするように構成されたことを特徴とする請求項10に記載の送信装置。
【請求項12】
請求項7から11の何れか一項に記載の送信装置からの光を受光する受信装置であって、
前記光を受光する複数の画素を含む受光センサ部と、
前記画素のそれぞれにより受光された光に基づく信号を復調して、データを取得する受信処理手段と、
前記受信処理手段により取得された画素ごとのデータに基づいて、前記画素と、当該画素により取得されたデータに含まれる、前記サブエリアを示す情報とが対応付けられた受信マップを生成するとともに、前記受信マップに基づいて、前記サブエリアごとに、前記送信すべきデータを特定する情報を割り当て、前記サブエリアを示す情報と、送信すべきデータを特定する情報とが対応付けられた割り当てマップを生成する割り当て手段と、
前記割り当てマップを含む信号を、前記送信装置に送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項13】
前記サブエリアが単一の光源から構成される場合に、前記受信装置の前記割り当て手段が、一つの画素には同一のデータが受信されるような前記割り当てマップを生成するように構成されたことを特徴とする請求項12に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−252466(P2008−252466A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−90501(P2007−90501)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度独立行政法人情報通信研究機構「民間基盤技術研究促進制度/(LED照明による可視光通信を利用した情報案内サービスに関する研究開発)」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(305007827)株式会社中川研究所 (26)
【Fターム(参考)】