説明

光電変換素子、光電変換素子接続体および光電変換モジュール

【課題】配線工程にかかる時間と配線部材にかかるコストを低減した光電変換素子、光電変換素子接続体および光電変換モジュールを提供する。
【解決手段】第1導電型の第1半導体層と、第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層に電気的に接続された第1電極2と、第1半導体層に接触し一部が第1半導体層の受光面側に配置された第2導電型の第2半導体層と、第2半導体層の受光面側に第2半導体層に電気的に接続される受光面電極5と、第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層と電気的に分離され第2半導体層に電気的に接続された第2電極7と、第1半導体層を貫通し第1半導体層と電気的に分離され受光面電極5と第2電極7とを電気的に接続する貫通接続部9とを備え、第1半導体層の裏面側において、第1半導体層の外周部の一部に第1電極2が配置されると共に、第2電極7の周囲部に渡って第1半導体層と電気的に分離された分離領域19が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子、光電変換素子接続体および光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する光電変換素子は、近年、特に環境問題の観点から、次世代のエネルギー源としての期待が急激に高まっている。光電変換素子として、現在、主流となっているのは、シリコン結晶を用いたものである。
【0003】
その中でも、表面電極面積占有率を減少させるとともに、表面電極下部でのキャリア再結合を抑制するために、MWT(Metallization Wrap Through)光電変換素子が提案されている(非特許文献1)。このMWT光電変換素子は、シリコン基板に形成された貫通孔を通じて表面電極の一部を裏面側に取り回す構造を有し、表面電極の面積占有率を減少させることができる。
【0004】
また、1つのMWT光電変換素子の裏面のp側電極と、隣接するMWT光電変換素子の裏面のn側電極とを、インターコネクション・フォイルにて接続した光電変換素子接続体が提案されている(非特許文献2)。このインターコネクション・フォイルは、パターニングされたアルミニウム層を有し、アルミニウム層がMWT光電変換素子の裏面の各電極と電気的に接続される部分の表面には耐腐食層(anti-corrosion layer)が形成されるように後処理が施され、その他の部分は絶縁性ワニス(isolating varnish)で被覆されている。MWT光電変換素子の裏面の各電極と耐腐食層とは導電性接着剤を介して導通される。
【0005】
【非特許文献1】Filip Granek、他、"A SYSTEMATIC APPROACH TO REDUCE PROCESS-INDUCED SHUNTS IN BACK-CONTACTED MC-SI SOLAR CELLS"、IEEE 4th World Conference on Photovoltaic Energy Conversion、(アメリカ)、2006年、p.1319-1322
【非特許文献2】P.C. de Jong、他、"SINGLE-STEP LAMINATED FULL-SIZE PV MODULES MADE WITH BACK-CONTACTED MC-SI CELLS AND CONDUCTIVE ADHESIVES"、19th European Photovoltaic Solar Energy Conference、(フランス)、2004年、p.2145-2148
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記インターコネクション・フォイルは、複雑なパターニングを必要とすることから、MWT光電変換素子との接続不良、変換効率の低下等の問題を回避するためには、光電変換素子をインターコネクション・フォイル上に高い位置精度にて配置する必要がある。さらに、パターインターコネクション・フォイルの作製工程や導電性接着剤のコストはインターコネクタに比べ高価である。
【0007】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、安価な配線部材を用いて隣接する光電変換素子間の接続が容易に行え、配線工程にかかる時間および配線部材にかかるコストを低減した光電変換素子、光電変換素子接続体および光電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明によれば、第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、第1半導体層に接触しかつ少なくとも一部が第1半導体層の受光面側に配置された第2導電型の第2半導体層と、該第2半導体層の受光面側に第2半導体層に電気的に接続されるように設けられた受光面電極と、第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層と電気的に分離されかつ第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、第1半導体層を貫通し第1半導体層と電気的に分離されかつ前記受光面電極と第2電極とを電気的に接続する貫通接続部とを備え、第1半導体層の裏面側において、少なくとも第1半導体層の外周部の一部に第1電極が配置されると共に、第1半導体層の外周部における前記第1電極と対向する部分から第2電極の周囲部に渡って、第1半導体層と電気的に分離された分離領域が設けられている光電変換素子が提供される。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、隣接して配置された2つ以上の前記光電変換素子と、素子間配線部材とを備え、一の光電変換素子の第2電極と、他の光電変換素子の第1電極とが、前記素子間配線部材によって電気的に接続された第1の光電変換素子接続体、および、隣接して配置された2つ以上の前記光電変換素子と、素子間配線部材とを備え、一の光電変換素子と他の光電変換素子の第1電極同士または第2電極同士が、前記素子間配線部材によって電気的に接続された第2の光電変換素子接続体が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、透光性支持板上に複数の前記第1の光電変換素子接続体と複数の前記第2の光電変換素子接続体のうち少なくとも一方が組み合わせられて並べられ、かつ隣接する光電変換素子接続体同士が前記素子間配線部材にて電気的に接続された光電変換モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光電変換素子の第1半導体層の裏面側において、少なくとも第1半導体層の外周部の一部に第1電極が配置されると共に、第1半導体層の外周部における前記第1電極と対向する部分から第2電極の周囲部に渡って、第1半導体層と電気的に分離された分離領域が設けられている。
この光電変換素子を複数直列接続する場合、例えば、複数の光電変換素子を同じ向きで1列に並べ、一の光電変換素子の第2電極と他の光電変換素子の第1電極とを直線状の安価な素子間配線部材を用いて容易に短時間で直列接続することができる。この結果、光電変換素子接続体および光電変換モジュールの製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の光電変換素子は、第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、第1半導体層に接触しかつ少なくとも一部が第1半導体層の受光面側に配置された第2導電型の第2半導体層と、該第2半導体層の受光面側に第2半導体層に電気的に接続されるように設けられた受光面電極と、第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層と電気的に分離されかつ第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、第1半導体層を貫通し第1半導体層と電気的に分離されかつ前記受光面電極と第2電極とを電気的に接続する貫通接続部とを備え、第1半導体層の裏面側において、少なくとも第1半導体層の外周部の一部に第1電極が配置されると共に、第1半導体層の外周部における前記第1電極と対向する部分から第2電極の周囲部に渡って、第1半導体層と電気的に分離された分離領域が設けられていることを特徴とする。
【0012】
つまり、この光電変換素子は、受光面電極の面積を低減して有効発電面積を増加させ、かつ複数の光電変換素子同士の電気的な接続を容易とするために、光電変換素子の比較的広い面積が必要な接続部分を受光面とは反対側の裏面側に配置した上述の構造を備えている。
ここで、本発明において、第1導電型はp型またはn型を意味し、第2導電型は第1導電型とは反対のn型またはp型を意味する。
【0013】
本発明において、前記貫通接続部を第1半導体層と電気的に分離する方法および前記分離領域を容易に形成する方法としては、これらの箇所に第2半導体層を形成することが挙げられる。つまり、第1半導体層における貫通接続部の周囲部分を第2導電型化すると共に、第1半導体層の裏面における分離領域を第2導電型化することにより、第2半導体層を形成する。これについて詳しくは後述する。
【0014】
本発明において、光電変換素子の外形は特に限定されるものではないが、シンプルな形状で作製が容易であり、かつ同一の設置面積内に複数の光電変換素子を設置した場合の有効発電面積が大きくなる四角形が好ましい。
この場合、第1半導体層の外周部の外形が四角形であり、第1半導体層の裏面における分離領域を除く領域に金属電極層が形成され、第1電極は第1半導体層の外周部の一辺に沿った位置の金属電極層上に配置され、分離領域は第1半導体層の外周部における第1電極とは反対側の対向辺から第2電極の周囲部に渡って配置されていてもよい。
このようにすれば、第1半導体層の裏面側において、四角形の一辺に沿って直線状の第1電極が配置されるため、第1電極を直線状に1箇所のみ形成すればよく、第1電極の形成工程が容易に短時間で行われる。
【0015】
さらに、光電変換素子からの電力を効率よく回収するために、第2電極は複数個設けてもよい。
この場合、例えば、貫通接続部が、第1電極の長手方向およびこの方向と直交する方向に複数個並んで配置され、第2電極は、複数個の貫通接続部上にドット状に配置され、分離領域は、前記長手方向と直交する方向に複数個並ぶ第2電極の列を包囲する帯形に形成されていてもよい。あるいは、貫通接続部が、第1電極の長手方向およびこの方向と直交する方向に複数並んで配置され、第2電極は、前記長手方向と直交する方向に複数個並ぶ貫通接続部の列上に帯状に延びて形成され、分離領域は、帯状第2電極を包囲する帯形に形成されていてもよい。
【0016】
このようにすれば、例えば、2つの光電変換素子を同じ向きでかつ第1電極の長手方向と直交する方向に並べることにより(配置A)、真っ直ぐな帯状の素子間配線部材(後述の第1素子間配線部材と同じ)によって、一方の光電変換素子の第2電極の列と他の光電変換素子の第1電極とを電気的に直列接続した光電変換素子接続体を形成することができる。以下、第1電極の長手方向を「横方向」と称し、第1電極の長手方向と直交する方向を「縦方向」と称する。
【0017】
また、2つの光電変換素子を逆に向けて横方向に並べた場合は(配置B)、真っ直ぐな帯状の第1素子間配線部材を一方の光電変換素子の第2電極の列に接続し、横方向に延びる第2素子間配線部材を第1素子間配線部材に接続し、第2素子間配線部材と他方の光電変換素子の第1電極とを第3素子間配線部材によって接続することにより、2つの光電変換素子を電気的に直列接続した光電変換素子接続体を形成することができる。
【0018】
また、2つの光電変換素子を同じ向きで横方向に並べた場合は(配置C)、隣接する2つの光電変換の第1電極同士または第2電極同士を前記第1〜第3素子間配線部材を選択的に用いて電気的に並列接続した光電変換素子接続体を形成することができる。
【0019】
また、本発明によれば、前記第1〜3素子間配線部材を用いれば、上述の配置A〜Cの光電変換素子接続体を所望の数で組み合わせ、それらを直列と並列の所望の接続形態で接続した光電変換モジュールを形成することができる。したがって、本発明の光電変換素子を用いて所望の出力の光電変換モジュールを容易に作製することができる。
【0020】
本発明の光電変換素子において、横方向に並ぶ第2電極の複数列は相互に等間隔に配置されていてもよい。このようにすれば、光電変換素子接続体または光電変換モジュールを作製する際、複数の前記第1素子間配線部材を一定間隔で配置することができるため、接続作業をより短時間で行うことができる。
この場合、横方向に並ぶ貫通接続部の複数列も第2電極の複数列と対応した等間隔に配置される。また、受光面電極は、少なくとも第2半導体層の受光面側における各貫通接続部に対応する位置に配置されていればよいが、光電変換素子の電力を効率よく回収するために分枝状に形成されてもよい。なお、受光面電極を細い分枝状に形成することにより、有効発電面積の減少が抑えられ、かつ受光面電極が目立たなくなるため美観が向上するという利点がある。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳説する。なお、以下の実施形態は例示であって、本発明の範囲はそれらに限定されない。
【0021】
(実施形態1:第1の光電変換素子の構造)
図1(A)は本発明の光電変換素子の実施形態1を示す受光面側の平面図であり、図1(B)は実施形態1の光電変換素子の裏面側の平面図である。また、図2は図1中のA−A線断面図である。
この光電変換素子10は、p型の第1半導体層1(以下「p型層1」と称する)と、p型層1の裏面側に配置されp型層1に電気的に接続された第1電極2と、p型層1に接触しかつ少なくとも一部がp型層1の受光面側に配置されたn型の第2半導体層3(以下「n型層3」と称する)と、n型層3の受光面側にn型層3に電気的に接続されるように設けられた受光面電極5と、p型層1の裏面側に配置されp型層1と電気的に分離されかつn型層3に電気的に接続された第2電極7と、p型層1を貫通しp型層1と電気的に分離されかつ受光面電極5と第2電極7とを電気的に接続する貫通接続部9とを備える。
【0022】
具体的には、p型層1の外周部の外形が四角形であり、第1電極形成2は四角形のp型層1の外周部の一辺に沿って直線状に配置されている。
また、この光電変換素子10において、貫通接続部9および第2電極7は、第1電極2が形成された領域以外の領域にそれぞれ複数個かつ同数で設けられている。なお、図1中の複数個の黒丸は貫通接続部9を示しているが、実際は第1電極2および第2電極7によって貫通接続部9は覆われているため外部からは見えない。
具体的には、貫通接続部9は、横方向および縦方向に複数並んで配置されている。このとき、複数個の貫通接続部9において、縦方向の間隔は等間隔であり、かつ横方向の間隔は縦方向間隔以上の等間隔である。
また、第2電極7は、複数個の貫通接続部9上にドット状に配置されている。したがって、複数個の第2電極7において、縦方向の間隔は等間隔であり、かつ横方向の間隔は縦方向間隔以上の等間隔である。なお、ドット状第2電極7は貫通接続部9より大きく形成されてn型層3の後述の包囲部分3aに接している。
【0023】
さらに、この光電変換素子10は、n型層3が、各貫通接続部9の外周を包囲する前記包囲部分3aと、p型層1の裏面の外周部における第1電極2と対向する辺から第2電極7の各列(縦方向)の周囲部に渡って帯形に形成された分離領域19とをさらに有しており、この包囲部分3aおよび分離領域19によって各貫通接続部9および各第2電極はp型層1と電気的に分離されている。
また、p型層1の裏面側における分離領域19を除く領域には櫛形の金属電極層13が形成されており、p型層1は裏面の金属電極層13と接する部分に高濃度p型層15を有している。そして、金属電極層13上に第1電極2が形成されている。
さらに、高濃度p型層15および金属電極層13をn型層3から絶縁分離するように、各分離領域19の外周縁を含む金属電極層13の外周縁の全周に沿って分離溝21がp型層1まで達する深さで形成されている。
【0024】
また、光電変換素子10は、n型層3の受光面上に反射防止膜23を有しており、貫通接続部9および受光面電極5は反射防止膜23を貫通し、受光面電極5はn型層3と接触している。
受光面電極5は、縦方向に並んだ複数個の貫通接続部9と電気的に接続する基部5aと、基部5aに電気的に接続された基部5aよりも幅が狭い枝部5bとで構成されており、複数列の基部5aが平行な複数本の枝部5bによって接続されている。なお、基部5aは貫通接続部9との接合部分で最も幅が広いが、光電変換素子10の有効受光面面積(有効発電面積)をできるだけ広くするために、貫通接続部9間では幅が細くされている。
【0025】
(第1の光電変換素子の製造方法)
次に、図1〜図4を参照しながら実施形態1の光電変換素子の製造方法について説明する。なお、図3(A)〜(D)は実施形態1の光電変換素子の製造工程を説明する断面図であり、図4(A)〜(C)は図3(D)の続きの製造工程を説明する断面図である。
【0026】
<貫通孔形成工程>
まず、図3(A)に示すように、四角形のp型半導体基板25に貫通孔25aを形成する。この際、図1で説明した複数の貫通接続部9が形成される位置に複数の貫通孔25aを形成する。
p型半導体基板25としては、特に限定されないが、例えば、p型結晶シリコン基板を用いることができる。以下、p型半導体基板25をp型基板25と略称する場合がある。
また、貫通孔25aの形成方法は、特に限定されないが、例えばレーザ加工によって形成することができる。貫通孔25aの形状は特に限定されず、一例では、四角形(例:正方形、長方形)や円形である。貫通孔25aの大きさも特に限定されず、例えば、四角形の場合は一辺の長さが0.05〜1.0mm程度、円形の場合は直径が0.05〜1.0mm程度とすることができる。また、複数の貫通孔25aの縦横方向の間隔は特に限定されないが、縦方向の間隔は例えば1〜50mm程度の一定間隔、横方向の間隔は1〜50mm程度の一定間隔とすることができる。
【0027】
<表面凹凸加工工程>
次に、基板25の表面を酸やアルカリの溶液や反応性プラズマを用いてエッチングすることによって表面に凹凸構造(テクスチャ構造)を形成する。
【0028】
<n型層形成工程>
次に、図3(B)に示すように、p型基板25にn型不純物を導入することによって、p型基板の外部に露出した表面部分にn型層3を形成する。n型不純物の導入は、例えば、n型不純物を含む材料(例えばPOCl3)を含む高温気体中にp型基板25を放置することによって行うことができる。この工程によって、p型基板25における受光面側、貫通孔25aの内周面、裏面側および外周端面側にn型層3が形成され、n型層3になっていない残りの部分がp型層1になる。
【0029】
n型層3の形成方法は、ここで示した方法に限定されない。n型層3は、例えばn型不純物からなるイオンをp型基板25内にイオン注入することによって形成してもよい。また、p型基板25内にn型不純物を導入してn型層3を形成する代わりに、p型基板25上にCVD法等により別途n型半導体層を形成することによってn型層3を形成してもよい。この場合、p型基板25がそのままp型層1となる。
n型層3は、少なくとも一部がp型層1の受光面側に配置されていればよい。したがって、p型層1の裏面側に配置されたn型層3は、そのまま残しておいてもよく、エッチング等により除去してもよい。また、予めp型基板25の裏面側に拡散防止マスクを配置し、その状態でp型基板25にn型不純物を導入することによってp型層1の裏面側にはn型層3が形成されないようにしてもよい。但し、p型層1の裏面には上述の分離領域19を形成する必要があるため、少なくとも分離領域形成部分はn型層3を残しておくことが好ましい。分離領域形成部分のn型層3を除去した場合、後からその部分のみに絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)を堆積すればよい。
【0030】
<反射防止膜形成工程>
次に、図3(C)に示すように、n型層3の受光面側に反射防止膜23を形成する。
この際、反射防止膜23は、n型層3の受光面側に、受光面電極5を形成する領域に開口23aを有するように形成する、あるいは、n型層3の受光面全体に形成する。
反射防止膜23をn型層3の受光面全体に形成する場合、受光面電極5を反射防止膜23上に形成し、ファイアスルーによって受光面電極5とn型層3とを導通させることができる。これについて詳しくは後述する。
反射防止膜23は、表面反射を抑制する機能を有するものであればその材料、厚さおよび形成方法等は特に限定されず、例えば、プラズマCVD法によって厚さ50〜100nm程度のSiN膜からなる反射防止膜23を形成することができる。
【0031】
<金属電極層および高濃度p型層の形成工程>
次に、図3(D)に示すように、p型層1の裏面の分離領域19(縦方向に並ぶ複数の貫通孔25aの列の複数列を包囲する帯形領域)を除く領域に金属電極層13として、例えば櫛形のアルミニウム電極を形成する。アルミニウム電極は、アルミニウムを含むペースト材料を印刷し、焼成することによって形成することができる。この際、アルミニウム電極の直下にアルミニウムが拡散して高濃度p型層15が形成される(図4(A)参照)。なお、金属電極層13は、分離領域19を除く領域以外にp型層1の外周部全周を避けて形成してもよい。
【0032】
<第1電極、第2電極および貫通接続部の形成工程>
次に、図4(A)に示すように、p型層1の裏面側に第1電極2および第2電極7を形成し、かつ貫通孔25a内に貫通接続部9を形成する。この際、p型層1の高濃度p型層15上であって、p型層1の外周部の一辺に沿ってかつこの辺よりもやや短い長さで第1電極2を直線状に形成する。また、分離領域19内の各貫通孔25a上に第2電極7を形成する。
【0033】
第1電極2、第2電極7および貫通接続部9の材料は特に限定されず、これらの材料は、同じものであってもよく、互いに異なるものであってもよいが、はんだ付けに適した金属(例えば銀)で形成することが好ましい。
また、第1電極2、第2電極7および貫通接続部9の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着法、ペースト電極の印刷焼成法、めっき法等によって形成することができる。例えば、第2電極7および貫通接続部9は、裏面側から導電性ペーストを印刷し、焼成する等の方法によって同時に形成することができる。あるいは、第2電極7および貫通接続部9は、蒸着法やめっき法でも同時に形成することができる。
【0034】
<受光面電極形成工程>
次に、図4(B)に示すように、n型層3の受光面側に受光面電極5を形成し、受光面電極5を各貫通接続部9と接続する。この際、上述したように、反射防止膜23の開口23aに、例えば、蒸着法、めっき法等によって電極材料を埋め込んでn型層3上に受光面電極5を形成する。あるいは、反射防止膜23上に電極ペーストを印刷し焼成することにより、ファイアスルーによって受光面電極5とn型層3とを接続させてもよい。
【0035】
受光面電極5は、n型層3に電気的に接続されて光電変換素子10で発生した電力を回収することができるものであれば、その材料は特に限定されず、例えば、銀、アルミニウム、銅、ニッケル、パラジウム等の金属材料で形成することができ、中でも銀が好ましい。また、受光面電極5の形状は特に限定されないが、光電変換素子10で発生した電力を効率よく回収することができる上で、図1(A)で説明した基部5aおよび枝部5bから構成される形状が好ましい。
なお、上述の金属電極層および高濃度p型層の形成工程から受光面電極形成工程までは、順序が変わっても問題はない。
【0036】
<分離溝形成工程>
次に、図4(C)に示すように、金属電極層13の外周縁の全周に沿って分離溝21を形成し、光電変換素子10の製造を完了する。
分離溝21は、例えばレーザー加工によって形成することができる。
【0037】
(実施形態2:第2の光電変換素子)
図5は本発明の光電変換素子の実施形態2の裏面側の平面図である。なお、図5において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
この光電変換素子100において、第2電極107は、n型層3の裏面側の各帯形分離領域19内で縦方向に複数個並ぶ貫通接続部9の列上に帯状に延びて形成されている。この場合も、帯状の第2電極107と金属電極層13との間には分離溝21が形成されているため、第2電極107は金属電極層13および高濃度p型層15と絶縁されている。
実施形態2の光電変換素子100は、このように第2電極107の形状が実施形態1と異なる以外は、実施形態1と同様の構成である。
したがって、この光電変換素子100は、第2電極107を帯状に形成すること以外は、実施形態1と同様の製造方法にて製造することができる。
【0038】
(実施形態3:第1の光電変換素子接続体)
図6は本発明の実施形態3である第1の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
この光電変換素子接続体U1は、実施形態1の2つ以上の光電変換素子10a、10bを直列接続したものである。なお、図6において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0039】
詳しく説明すると、光電変換素子接続体U1は、縦方向に隣接して配置された2つの実施形態1の光電変換素子10a、10bと、複数の素子間配線部材17とを備え、一方の光電変換素子10aの縦方向に並ぶ複数個の第2電極7と他方の光電変換素子10bの第1電極2が、真っ直ぐな帯状の素子間配線部材17によって電気的に直列接続されたものである。なお、図6では、光電変換素子10a、10bにおける一部の第2電極7を実線丸で示しかつ全ての貫通接続部9を黒丸で示しているが、実際これらは素子間配線部材17によって覆われているため外部からは見えない。
素子間配線部材17の形状や材料は、特に限定されないが、一例では、平角銅線の表面にはんだをめっきしたものからなる。
【0040】
光電変換素子接続体U1の作製に際しては、まず、2つの光電変換素子10a、10bを同じ向きで縦方向に並べる。そして、一方の光電変換素子10aの縦方向に並ぶ複数個の第2電極7の列上に、帯状の素子間配線部材17を接合し、各列の素子間配線部材17の光電変換素子10aから外方へ突出した端部を、他方の光電変換素子10bの第1電極2に接合する。
さらに、他方の光電変換素子10bにも第2電極7の各列上に素子間配線部材17を接合する。
なお、実施形態3では、2つの光電変換素子10a、10bを素子間配線部材17にて直列接続した光電変換素子接続体を例示したが、3つ以上の光電変換素子を素子間配線部材にて直列接続してもよい。
【0041】
この光電変換素子接続体U1は、それ自体が最終製品として用いられても、あるいは、後述する光電変換モジュールの構成部品として用いられてもよい。いずれの場合も、帯状の素子間配線部材17を用いて2つの光電変換素子10a、10bを裏面側のみから接続することができるので、配線作業が容易であり、かつ配線工程にかかる時間を短縮させることができる。また、帯状の素子間配線部材17は比較的安価であるので、製造コストを低減することができる。
【0042】
光電変換素子接続体U1を最終製品とする場合、他方の光電変換素子10bの素子間配線部材17は、光電変換素子接続体U1によって発生した電力を外部に取り出すためのリード線として機能する。この場合、複数の素子間配線部材17の端部を1本の配線部材(バスバー)に接続して統合してもよい。またこの場合、光電変換素子接続体U1は、素子間配線部材にて直列接続された複数の光電変換素子の受光面側を支持する透光性支持板、透光性支持板上に載置された複数の光電変換素子の裏面側を被覆し封止する被覆部材等をさらに備えてもよい。
光電変換素子接続体U1を光電変換モジュールの構成部品として用いる場合、他方の光電変換素子10bの素子間配線部材17は、他の光電変換素子接続体の光電変換素子の第1電極と接合されるか、あるいは、電力を外部に取り出すための1本の配線部材(バスバー)に接合される(図10参照)。
【0043】
光電変換素子接続体U1において、第2電極7とその周囲の金属電極層13とが素子間配線部材17によって短絡されることを防ぐ処置をしてもよい。
この処置の例としては、例えば、(1)金属電極層13の表面のうち少なくとも素子間配線部材17に接触する可能性がある部分を絶縁被覆するか、(2)素子間配線部材17の表面を部分的に絶縁被覆するか、のいずれかの方法が挙げられる。
(1)の方法であれば、第2電極7と素子間配線部材17の位置合わせの精度が低くても、素子間配線部材17を金属電極層13と接触させることなく第2電極7と接続することができる。
(1)の方法において、さらに、素子間配線部材17の幅よりも広い範囲まで金属電極層13の表面を絶縁被覆することが、配線工程の時間を短縮できる上で好ましい。絶縁被覆の方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂ペーストをスクリーン印刷塗布する方法が挙げられる。
なお、(1)および(2)の方法は、後述する実施形態4および5の光電変換素子接続体についても適用できる。
【0044】
(実施形態4:第2の光電変換素子接続体)
図7は本発明の実施形態4である第2の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
この光電変換素子接続体U2は、実施形態1の2つの光電変換素子10a、10bを横方向に並べて直列接続したものである。なお、図7において、実施形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0045】
光電変換素子接続体U2の作製に際しては、まず、2つの光電変換素子10a、10bを相互に逆向きで横方向に並べ、一方の光電変換素子10aの縦方向に並ぶ複数個の第2電極7の列上に、帯状の第1素子間配線部材17aを接合する。なお、第1素子間配線部材17aは、実施形態3で説明した素子間配線部材17と実質的に同じである。
次に、各列の第1素子間配線部材17aの光電変換素子10aから外方へ突出した端部を横方向に延びる第2素子間配線部材17bに接合し、複数の第3素子間接続部材17cにて第2素子間接続部材17bと他方の光電変換素子10bの第1電極2とを接合する。なお、第3素子間接続部材17cに複数の第2素子間接続部材17bを予め接合しておいてもよい。
さらに、他方の光電変換素子10bにも第2電極7の各列上に第1素子間配線部材17aを接合する。
【0046】
この光電変換素子接続体U2でも、それ自体が最終製品として用いられても、あるいは、後述する光電変換モジュールの構成部品として用いられてもよく、いずれの場合も、配線工程にかかる時間の短縮化および製造コストの低減を図ることができる。
また、光電変換素子接続体U2を最終製品とする場合、実施形態3と同様に、他方の光電変換素子10bの第1素子間配線部材17aは、光電変換素子接続体U2によって発生した電力を外部に取り出すためのリード線として機能するため、複数の第1素子間配線部材17aの端部を1本の配線部材(バスバー)に接続して統合してもよい。さらに、光電変換素子接続体U2も、第1〜第3素子間配線部材17a、17b、17cにて直列接続された複数の光電変換素子の受光面側を支持する透光性支持板、透光性支持板上に載置された複数の光電変換素子の裏面側を被覆し封止する被覆部材等をさらに備えてもよい。
光電変換素子接続体U2を光電変換モジュールの構成部品として用いる場合、他方の光電変換素子10bの素子間配線部材17は、他の光電変換素子接続体の光電変換素子の第1電極と接合される(図10参照)。
【0047】
(実施形態5:第3の光電変換素子接続体)
図8は本発明の実施形態5である第3の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
この光電変換素子接続体U3は、実施形態1の2つの光電変換素子10a、10bを並列接続したものである。なお、図8において、実施形態1および実施形態4と同様の要素には同一の符号を付している。
【0048】
光電変換素子接続体U3の作製に際しては、まず、2つの光電変換素子10a、10bを相互に同じ向きで横方向に並べ、各光電変換素子10a、10bの第1電極2、2を、横方向に延びる第2素子間配線部材17bに複数の第3素子間接続部材17cを介して接合する。
さらに、各光電変換素子10a、10bの縦方向に並ぶ複数個の第2電極7の列上に、帯状の第1素子間配線部材17aを接合する。
なお、実施形態5では、2つの光電変換素子10a、10bを第2および第3素子間配線部材17b、17cを用いて並列接続した光電変換素子接続体を例示したが、3つ以上の光電変換素子を並列接続してもよい。
【0049】
この光電変換素子接続体U3でも、それ自体が最終製品として用いられても、あるいは、後述する光電変換モジュールの構成部品として用いられてもよく、いずれの場合も、配線工程にかかる時間の短縮化および製造コストの低減を図ることができる。
また、光電変換素子接続体U3を最終製品とする場合、各光電変換素子10a、10bの第1素子間配線部材17aは、光電変換素子接続体U3によって発生した電力を外部に取り出すためのリード線として機能するため、複数の第1素子間配線部材17aの端部を1本の配線部材(バスバー)に接続して統合してもよい。さらに、光電変換素子接続体U3は、第2および第3素子間配線部材17b、17cにて並列接続された複数の光電変換素子の受光面側を支持する透光性支持板、透光性支持板上に載置された複数の光電変換素子の裏面側を被覆し封止する被覆部材等をさらに備えてもよい。
光電変換素子接続体U3を光電変換モジュールの構成部品として用いる場合、各光電変換素子10a、10bの素子間配線部材17は、他の光電変換素子接続体の光電変換素子の第1電極と接合される(図11、図12参照)。
【0050】
(実施形態6:第4の光電変換素子接続体)
図9は本発明の実施形態6である第4の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
この光電変換素子接続体U4も、実施形態1の2つの光電変換素子10a、10bを横方向に並べて並列接続したものである。なお、図9において、実施形態1、4および5と同様の要素には同一の符号を付している。
【0051】
この光電変換素子接続体U4は、2つの光電変換素子10a、10bの各列の第1素子間配線部材17aが横方向に延びる1本の第2素子間配線部材17bに接合しており、各光電変換素子10a、10bの第1電極2は相互に接続されていない点のみが、実施形態5とは異なる。
なお、実施形態6では、2つの光電変換素子10a、10bを第1および第2素子間配線部材17a、17bにて並列接続した光電変換素子接続体を例示したが、3つ以上の光電変換素子を並列接続してもよい。
【0052】
この光電変換素子接続体U4でも、それ自体が最終製品として用いられても、あるいは、後述する光電変換モジュールの構成部品として用いられてもよく、いずれの場合も、配線工程にかかる時間の短縮化および製造コストの低減を図ることができる。
また、光電変換素子接続体U4を最終製品とする場合、各光電変換素子10a、10bの第1電極2を1本の第2素子間配線部材に複数の第3素子間配線部材を介して接続して統合してもよい。さらに、光電変換素子接続体U4は、第1および第2素子間配線部材17a、17bにて並列接続された複数の光電変換素子の受光面側を支持する透光性支持板、透光性支持板上に載置された複数の光電変換素子の裏面側を被覆し封止する被覆部材等をさらに備えてもよい。
光電変換素子接続体U4を光電変換モジュールの構成部品として用いる場合、各光電変換素子10a、10bの第1電極2は、他の光電変換素子接続体の第1素子間配線部材と接合される(図12参照)。
【0053】
(実施形態7:第1の光電変換モジュール)
図10は本発明の実施形態7である第1の光電変換モジュールの裏面側の平面図である。
この光電変換モジュールM1は、縦方向の実施形態3の光電変換素子接続体U1(図6参照)と、横方向の実施形態4の光電変換素子接続体U2(図7参照)とが組み合わせられた構造を有する。なお、図10において、実施形態1、3および4と同様の要素には同一の符号を付し、光電変換素子接続体の符号U1、U2は省略している。
【0054】
図10では、縦横方向に4つずつ光電変換素子10が並べられ、左から1列目と4列目に3つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U1が配置され、2列目と3列目に2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U1が配置され、1列目と2列目に跨って2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U2が配置され、2列目と3列目に跨って2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U2が配置され、3列目と4列目に跨って2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U2が配置され、これらが接続された光電変換モジュールM1を例示している。
【0055】
また、光電変換モジュールM1は、1列目の光電変換素子接続体U1の端の光電変換素子10の第1電極2がバスバー81に配線部材82を介して接続され、4列目の光電変換素子接続体U1の端の光電変換素子10の各第1素子間配線部材17aがバスバー81に接続され、各バスバー81が電力取出し用の正負リード線83、83に接続され、2列目と3列目に跨った光電変換素子接続体U2の第2素子間配線部材17bがリード線84に接続され、正負リード線83、83とリード線84の間にバイパスダイオードDが2個直列接続されている。
このような接続により、ホットスポット耐性を維持しながら高電圧出力の集積型薄膜太陽電池を得ることができる。
【0056】
また、この光電変換モジュールM1は、各光電変換素子接続体の受光面側に配置される白板ガラス等のフロントカバーおよびEVA(エチレン・酢酸ビニール共重合体)等の透明樹脂からなる充填材と、各光電変換素子接続体の裏面側に配置されるEVA等の裏面側充填材および耐候性フィルム(例えば、絶縁物と金属箔と絶縁物の積層シート)と、耐候性フィルムの裏面に取り付けられた端子ボックスとを備える(図示省略)。端子ボックスには2個のバイパスダイオードDが収納されている。
前記正負リード線83、83およびリード線84は裏面側充填材および耐候性フィルムに設けられた貫通孔を通じて耐候性フィルムの裏面側へ取り出され、正負リード線83、83は端子ボックス内に設けられた出力端子に接続され、リード線84は2個のバイパスダイオードDと接続される。
【0057】
光電変換モジュールM1は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、フロントカバーの上に充填材を配置し、その上に受光面を下にして複数の光電変換素子10を図10のように配置し、第1〜第3素子間配線部材17a、17b、17cを用いて図10に示すように複数の光電変換素子10を直列接続する。
この際、予め第1素子間配線部材17aを第2電極7に接続した光電変換素子10をフロントカバー上の充填材の上に並べ、その後、第2および第3素子間配線部材17b、17cを用いて光電変換素子接続体U1、U2を組み合わせた状態に各光電変換素子10を接続してもよい。あるいは、予め光電変換素子接続体U1、U2を作製し、これらをフロントカバー上の充填材の上に並べ、その後、各第1素子間配線部材17aを各第1電極2に接続してもよい。
【0058】
次に、1列目の光電変換素子接続体U1の第1電極2をバスバー81に接続し、4列目の光電変換素子接続体U1の各第1素子間配線部材17aをバスバー81に接続し、2列目と3列目に跨った光電変換素子接続体U2の第2素子間配線部材17bをリード線84に接続し、正極リード線83、83を各バスバー81、81に接続する。
続いて、裏面側充填材に設けられた貫通孔に各リード線83、83、84を通し、裏面側充填材を光電変換素子接続体U1、U2の上に配置する。そして、耐候性フィルムに設けられた貫通孔に各リード線83、83、84を通し、耐候性フィルムを裏面側充填材の上に配置する。
このようにして得られた積層体を真空ラミネート装置を用いて加圧・加熱することで、充填材を溶融固化し、端子ボックスの出力端子および2つのバイパスダイオードDに各リード線83、83、84を接続し、端子ボックスを耐候性フィルムに接着して光電変換モジュールM1を得る。
【0059】
この光電変換モジュールM1によれば、第1〜第3素子間配線部材17a、17b、17cを用いて複数の光電変換素子10を裏面側のみから接続することができるので、配線作業が容易であり、かつ配線工程にかかる時間を短縮させることができる。また、帯状の素子間配線部材17a〜17cは比較的安価であるので、製造コストを低減することができる。
【0060】
(実施形態8:第2の光電変換モジュール)
図11は本発明の実施形態8である第2の光電変換モジュールの裏面側の概略平面図である。
この光電変換モジュールM2は、縦方向直列の実施形態3の光電変換素子接続体U1(図6参照)と、横方向直列の実施形態4の光電変換素子接続体U2(図7参照)と、横方向並列の実施形態5の光電変換素子接続体U3(図8参照)とが組み合わせられた構造を有する。なお、図11において、実施形態1、3〜5と同様の要素には同一の符号を付し、光電変換素子接続体の符号U1、U2、U3は省略している。
【0061】
図11では、縦横方向に4つずつ光電変換素子10が並べられ、左から1列目と4列目に3つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U1が配置され、2列目と3列目に2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U1が配置され、1列目と2列目に跨って2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U2が配置され、2列目と3列目に跨って2つの光電変換素子10が並列接続された光電変換素子接続体U3が配置され、3列目と4列目に跨って2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U2が配置され、これらが接続された光電変換モジュールM2を例示している。
【0062】
また、光電変換モジュールM2は、1列目と4列目の光電変換素子接続体U1の端の光電変換素子10の各第1素子間配線部材17aがバスバー81、81に接続され、2列目と3列目に跨った光電変換素子接続体U3の第2素子間配線部材17bおよび両方のバスバー81、81が電力取出し用の正負リード線83、83に接続されている。
【0063】
(実施形態9:第3の光電変換モジュール)
図12は本発明の実施形態9である第3の光電変換モジュールの裏面側の概略平面図である。
この光電変換モジュールM3は、縦方向直列の実施形態3の光電変換素子接続体U1(図6参照)と、横方向並列の実施形態5の光電変換素子接続体U3(図8参照)と、横方向並列の実施形態6の光電変換素子接続体U4(図9参照)とが組み合わせられた構造を有する。なお、図12において、実施形態1、3〜6と同様の要素には同一の符号を付し、光電変換素子接続体の符号U1、U3、U4は省略している。
【0064】
図12では、縦横方向に4つずつ光電変換素子10が並べられ、左から1列〜4列目に2つの光電変換素子10が直列接続された光電変換素子接続体U1が配置され、1列〜4列目に跨って4つの光電変換素子10が並列接続された光電変換素子接続体U3が配置され、1列〜4列目に跨って4つの光電変換素子10が並列接続された光電変換素子接続体U4が配置され、これらが接続された光電変換モジュールM3を例示している。
また、光電変換モジュールM3は、光電変換素子接続体U3の第2素子間配線部材17bおよび光電変換素子接続体U4の第2素子間配線部材17bが電力取出し用の正負リード線83、83に接続されている。
【0065】
(他の実施形態)
実施形態1では、貫通接続部および第2電極が複数個同数で設けられた場合を例示したが、貫通接続部および第2電極は1個ずつでもよい。しかし、光電変換素子のサイズに依らず、複数の貫通接続部および第2電極を分散して配置すれば、光電変換素子10で発生した電力を効率的に回収することができる点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1(A)は本発明の光電変換素子の実施形態1を示す受光面側の平面図であり、図1(B)は実施形態1の光電変換素子の裏面側の平面図である。
【図2】図2は図1中のA−A線断面図である。
【図3】図3(A)〜(D)は実施形態1の光電変換素子の製造工程を説明する断面図である。
【図4】図4(A)〜(C)は図3(D)の続きの製造工程を説明する断面図である。
【図5】図5は本発明の光電変換素子の実施形態2の裏面側の平面図である。
【図6】図6は本発明の実施形態3である第1の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
【図7】図7は本発明の実施形態4である第2の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
【図8】図8は本発明の実施形態5である第3の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
【図9】図9は本発明の実施形態6である第4の光電変換素子接続体の裏面側の平面図である。
【図10】図10は本発明の実施形態7である第1の光電変換モジュールの裏面側の平面図である。
【図11】図11は本発明の実施形態8である第2の光電変換モジュールの裏面側の概略平面図である。
【図12】図12は本発明の実施形態9である第3の光電変換モジュールの裏面側の概略平面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 第1半導体層(p型層)
2 第1電極
3 第2半導体層(n型層)
3a 包囲部分(n型層)
5 受光面電極
7、107 第2電極
9 貫通接続部
10 光電変換素子
10a 第1光電変換素子
10b 第2光電変換素子
13 金属電極層
15 高濃度p型層
17 素子間配線部材
17a、17b、17c 第1、第2、第3素子間配線部材
19 分離領域(n型層)
21 分離溝
23 反射防止膜
25 p型半導体基板
25a 貫通孔
M1、M2、M3 光電変換モジュール
U1、U2、U3、U4 光電変換素子接続体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、該第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層に電気的に接続された第1電極と、第1半導体層に接触しかつ少なくとも一部が第1半導体層の受光面側に配置された第2導電型の第2半導体層と、該第2半導体層の受光面側に第2半導体層に電気的に接続されるように設けられた受光面電極と、第1半導体層の裏面側に配置され第1半導体層と電気的に分離されかつ第2半導体層に電気的に接続された第2電極と、第1半導体層を貫通し第1半導体層と電気的に分離されかつ前記受光面電極と第2電極とを電気的に接続する貫通接続部とを備え、
第1半導体層の裏面側において、少なくとも第1半導体層の外周部の一部に第1電極が配置されると共に、第1半導体層の外周部における前記第1電極と対向する部分から第2電極の周囲部に渡って、第1半導体層と電気的に分離された分離領域が設けられていることを特徴とする光電変換素子。
【請求項2】
前記第1半導体層の外周部の外形が四角形であり、第1半導体層の裏面における前記分離領域を除く領域に金属電極層が形成され、第1電極は第1半導体層の外周部の一辺に沿った位置の前記金属電極層上に配置され、前記分離領域は第1半導体層の外周部における第1電極とは反対側の対向辺から第2電極の周囲部に渡って配置されている請求項1に記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記分離領域が、前記第1半導体層の裏面に形成された第2半導体層からなる請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記貫通接続部が、第1電極の長手方向およびこの方向と直交する方向に複数個並んで配置され、
前記第2電極は、複数個の貫通接続部上にドット状に配置され、
前記分離領域は、前記長手方向と直交する方向に複数個並ぶ第2電極の列を包囲する帯形に形成されている請求項2または3に記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記貫通接続部が、第1電極の長手方向およびこの方向と直交する方向に複数並んで配置され、
前記第2電極は、前記長手方向と直交する方向に複数個並ぶ貫通接続部の列上に帯状に延びて形成され、
前記分離領域は、帯状第2電極を包囲する帯形に形成されている請求項2または3に記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記第1電極の長手方向に並ぶ第2電極の複数列は相互に等間隔に配置されている請求項4または5に記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記第1半導体層は、前記金属電極層と接する部分に高濃度第1導電型層を有し、
該高濃度第1導電型層および金属電極層を第2半導体層と絶縁分離するための分離溝が、前記分離領域の外周縁に沿って形成されている請求項2〜6のいずれか1つに記載の光電変換素子。
【請求項8】
隣接して配置された請求項1〜7のいずれか1つに記載の2つ以上の光電変換素子と、素子間配線部材とを備え、
一の光電変換素子の第2電極と、他の光電変換素子の第1電極とが、前記素子間配線部材によって電気的に接続された光電変換素子接続体。
【請求項9】
隣接して配置された請求項1〜7のいずれか1つに記載の2つ以上の光電変換素子と、素子間配線部材とを備え、
一の光電変換素子と他の光電変換素子の第1電極同士または第2電極同士が、前記素子間配線部材によって電気的に接続された光電変換素子接続体。
【請求項10】
透光性支持板上に請求項8に記載の複数の光電変換素子接続体と請求項9に記載の複数の光電変換素子接続体のうち少なくとも一方が組み合わせられて並べられ、かつ隣接する光電変換素子接続体同士が前記素子間配線部材にて電気的に接続された光電変換モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−93188(P2010−93188A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264021(P2008−264021)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】