説明

光電変換装置および光電変換装置の製造方法

【課題】フレキシブル性を有し、外部ストレスに対して耐性がある信頼性の高い光電変換装置を提供する。
【解決手段】互いに対向して設けられた第1の封止層および第2の封止層と、対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群と、を備えている。第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体を有し、第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体を有し、光電変換素子群の周囲において、対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層とが直接接着する領域を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置および光電変換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の進行が深刻さを増し、環境問題への対策が急がれるなか、太陽電池に代表される光電変換装置の市場が拡大している。光電変換装置は、エネルギー源とする太陽光が無尽蔵で、他のエネルギー源と比較して二酸化炭素排出量削減が見込まれることから、次世代を担うクリーンな発電手段として注目されている。
【0003】
既に様々な種類の光電変換装置が開発されているが、その中でも、アモルファスシリコンに代表される非単結晶半導体や、有機半導体を利用した薄膜型光電変換装置は、プロセス温度の低温化が可能である。そこで、プラスチック基板など可撓性を有する基板上に光電変換装置を製造したフレキシブル性を有する光電変換装置の開発・実用化が進められている(例えば、特許文献1参照)。薄膜型光電変換装置は、薄型化、軽量化、大面積化、省資源化などが容易であり、さらにフレキシブル性を付与できれば、施工性および生産性で優位である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−60214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
太陽光をエネルギー源とする光電変換装置は、屋外に設置して使用されることが多い。例えば、光電変換装置は、建物の屋根や外壁などに取り付けて使用されるため、高い耐候性、耐久性などの信頼性が要求される。また、市場に流通させるには、製品としての機械的強度が高く、信頼性を備えることが要求される。さらに、一般への普及率を上げるためにも、製品としての信頼性に加え、設置しやすさ等の施工性、デザイン性も必要である。信頼性の高い光電変換装置とするためには、製品として流通した後に外部から与えられる押圧などの力(以下、外部ストレスともいう)に対する物理的な耐性が重要となる。また、施工時には湾曲させた形で設置する場合もあるため、曲げや捻りなどに対する耐性も必要となる。さらに製造時の製品の歩留まり向上のためには、製造工程における機械的な耐性を十分に確保し、強度不足に起因する不良発生の抑制に努めることも必要である。
【0006】
本発明の一態様は、上述のような問題を鑑み、フレキシブル性を有し、外部ストレスに対して耐性がある信頼性の高い光電変換装置を提供することを目的の一とする。また、製品として機械的強度の高い光電変換装置を提供することを目的の一とする。また、製造工程において外部ストレスに起因する形状不良や特性不良などの品質不良を防ぎ、歩留まり良く光電変換装置を製造することを目的の一とする。また、生産性高く、フレキシブル性を有する光電変換装置を製造することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、対向して設けられた一対の封止層の間に挟持して設けられた光電変換素子群を有する光電変換装置である。また、封止層として、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることを要旨とする。また、光電変換素子群の周辺部において、一対の封止層が直接接着する領域を有する。
【0008】
本発明の一態様は、互いに対向して設けられた第1の封止層および第2の封止層と、対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群と、を備えている。第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体を有し、第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体を有している。対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群の周囲においては、対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層とが直接接着する領域を有する。
【0009】
本発明の一態様は、互いに対向して設けられた第1の封止層および第2の封止層と、対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群と、を備える。第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体および第1の構造体の第2の封止層と接する逆側の面に、第1の構造体より弾性率が低い第1の保護層を有する。第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体および第2の構造体の第1の封止層と接する逆側の面に、第2の構造体より弾性率が低い第2の保護層を有する。対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群の周囲においては、対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層とが直接接着する領域を有する。
【0010】
第1の保護層および第2の保護層は、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂のいずれか一を有することが好ましい。
【0011】
上記構成において、第1の封止層の表面および第2の封止層の表面の少なくとも一方に導電層を設けることができる。また、光電変換素子群と第1の構造体との間、および、光電変換素子群と第2の構造体との間の少なくとも一方に無機絶縁層を設けることができる。
【0012】
また、第1の封止層と第2の封止層は、光電変換素子群に対して層構造が対称であることが好ましい。
【0013】
上記構成において、第1の有機樹脂および第2の有機樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。また、第1の繊維体および第2の繊維体は、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維であることが好ましい。
【0014】
また、光電変換素子群は、電気的に直列に接続された複数の光電変換素子を有することが好ましい。
【0015】
本明細書における「光電変換素子」は、光電効果を発現し発電できる最小単位をいう。また、本明細書における「光電変換装置」は、少なくとも1つ以上の光電変換素子を備えた発電装置を示し、複数の光電変換素子が集積化されたモジュールも範疇に含むものとする。また、本明細書における「光電変換素子群」は光電効果を発現し発電する素子領域を示し、少なくとも1つ以上の光電変換素子で構成されるものとする。
【0016】
また、本明細書における「外部ストレス」とは、曲げ等の変形動作、局所的にかかる圧力(押圧)などの機械的ストレス、静電気などの電気的ストレス、風、塵などの物理的ストレスなど、光電変換装置への有害要因となるストレス全般を含む。さらに外部ストレスには、光電変換装置として流通・設置・使用される際に与えられるものや、製造工程中に与えられるものも含まれる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、光電変換装置の外部ストレスに対する耐性を向上させることができる。また、製品として機械的強度の高い光電変換装置を提供することができる。また、フレキシブル性を有すると共に、信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する平面図および断面図。
【図2】構造体を構成する繊維体を説明する平面図。
【図3】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する断面図。
【図4】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する断面図。
【図5】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する断面図。
【図6】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する平面図。
【図7】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する平面図。
【図8】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する断面図。
【図9】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する断面図。
【図10】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する断面図。
【図11】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する断面図。
【図12】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する断面図。
【図13】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する平面図、断面図、および製造方法を説明する図。
【図14】本発明の一態様に係る光電変換装置を説明する断面図。
【図15】本発明の一態様に係る光電変換装置の製造方法を説明する図。
【図16】本発明の一態様に係る他の光電変換装置を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更しうることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の一態様に係る光電変換装置の模式図を図1(A)乃至(C)に示す。図1(A)には平面模式図を示し、図1(B)は図1(A)の線分XY、図1(C)は図1(A)の線分OPにおける断面模式図を示す。
【0021】
本発明の一態様にかかる光電変換装置は、互いに対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層と、対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群で構成される素子領域とを備えている。
【0022】
本形態において、第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された構造体を用いている。第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された構造体を用いている。具体的には、第1の封止層として、第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160を用いる。第2の封止層として、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体170を用いる。
【0023】
素子領域を構成する光電変換素子群110は、少なくとも1つ以上の光電変換素子で構成される。また、発電した電力を外部に取り出すため、光電変換素子群110と電気的に接続される出力端子180a、出力端子180bが設けられる。
【0024】
本発明の一態様は、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を封止層として用い、一対の封止層で、素子領域を封止した構成を有する。具体的には、対向して設けられた一対の封止層の間に挟持して設けられた光電変換素子群を有し、該光電変換素子群の周辺部において、一対の封止層が直接接着する領域を有する。繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、外部ストレスに対する耐性があり、耐衝撃層として機能することができる。また、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、可撓性を有することができる封止層として機能する。繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を用いることで、フレキシブル性を損なうことなく、製品としての機械的強度を高めることができ、外部ストレスに対する耐性を高めることができる。また、製造工程における外部ストレスに対する耐性も高めることができる。したがって、信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
【0025】
また、光電変換素子群の周辺部において、一対の封止層が直接接着する領域を有することで、封止層の密着性を向上させることができる。好ましくは、一対の封止層が直接接着する領域が、光電変換素子群の周辺部を囲むように構成することで密着性がより高められる。したがって、製造工程中や製品として流通後に封止が剥がれるなどの品質不良が発生することを防ぐことができる。また、密着性向上により、湾曲など様々な変形に対しても耐性が向上するため、施工性を高めることができる。さらに、封止により、風や塵などに素子領域が直接曝されることを防止でき、耐候性を高めることができる。
【0026】
本形態では、互いに対向して設けられた一対の封止層として、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体160および第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体170を用い、光電変換素子群110を封止する構成とする。また、光電変換素子群110の周辺部において、第1の構造体160および第2の構造体170が直接接着する領域を有する。光電変換素子群110は、周囲(上面(表面)、下面(裏面)、側面)を第1の構造体160と第2の構造体170で覆われる。
【0027】
上述のように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体である第1の構造体160と第2の構造体170で光電変換素子群110を封止する構成とすることで、フレキシブル性を損なうことなく、外部ストレスに対する耐性を高めた光電変換装置を得ることができる。
【0028】
次に、図1で示した光電変換装置の具体的な構成、各構成に適用可能な材料などについて、詳細に説明する。
【0029】
まず、本形態において、第1の封止層に用いる第1の構造体160、および第2の封止層に用いる第2の構造体170について説明する。第1の構造体160は、第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された構造体である。第2の構造体170は、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された構造体である。
【0030】
第1の繊維体162、第2の繊維体172は、有機化合物または無機化合物の高強度繊維を用いた織布または不織布であり、部分的に重なるように配置される。高強度繊維は、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維である。高強度繊維の代表例としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。なお、第1の繊維体162、第2の繊維体172は、一種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。また、複数種類の上記高強度繊維で形成されてもよい。
【0031】
また、第1の繊維体162、第2の繊維体172は、繊維(単糸)の束(以下、糸束と呼ぶ)を経糸及び緯糸に使って製織した織布である。もしくは、複数種類の繊維の糸束をランダムまたは一方向に堆積させた不織布であってもよい。織布の場合、平織り、綾織り、朱子織り等を適宜用いることができる。
【0032】
糸束の断面は、円形でも楕円形でもよい。繊維糸束として、高圧水流、液体を媒体とした高周波の振動、連続超音波の振動、ロールによる押圧等によって、開繊加工をした繊維糸束を用いてもよい。開繊加工をした繊維糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数を削減することが可能であり、糸束の断面が楕円形または平板状となる。また、繊維糸束として低撚糸を用いることで、糸束が扁平化やすく、糸束の断面形状が楕円形状または平板形状となる。このように、断面が楕円形または平板状の糸束を用いることで、第1の繊維体162、第2の繊維体172を薄くすることが可能である。このため、構造体を薄くすることが可能であり、薄型の光電変換装置を作製することができる。
【0033】
例えば、第1の繊維体162、第2の繊維体172としては、図2の平面図に示すような、繊維糸束を経糸および緯糸として製織した織布を適用することができる。
【0034】
図2に示すように、第1の繊維体162(または第2の繊維体172)は、一定間隔をあけた経糸と、一定間隔をあけた緯糸とで織られている。このような経糸及び緯糸を用いて製織された繊維体には、経糸及び緯糸が存在しない領域を有する。このような第1の繊維体162(または第2の繊維体172)は、第1の有機樹脂164(または第2の有機樹脂174)が含浸される割合が高まり、第1の繊維体162(または第2の繊維体172)と素子(光電変換素子群110)との密着性を高めることができる。
【0035】
また第1の繊維体162、第2の繊維体172は、経糸及び緯糸の密度が高く、経糸及び緯糸が存在しない領域の割合が低いものでもよい。
【0036】
なお、図2においては、第1の繊維体162(または第2の繊維体172)は、断面が楕円形の糸束で平織りした織布で示されている。
【0037】
第1の有機樹脂164、第2の有機樹脂174としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。または、第1の有機樹脂164、第2の有機樹脂174として、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、第1の有機樹脂164、第2の有機樹脂174として、複数の熱硬化性樹脂を用いてもよく、複数の熱可塑性樹脂を用いてもよい。さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合して用いてもよい。上記熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂である有機樹脂を用いることで、加熱処理により繊維体を対象物(光電変換素子群110、および対向して設けられる構造体)に固着することができる。繊維体に含浸される有機樹脂が熱硬化性樹脂の場合は加熱処理により硬化される。熱可塑性の場合は加熱処理により可塑化され、冷却に伴い硬化される。なお、第1の有機樹脂164、第2の有機樹脂174はガラス転移温度が高いほど、高温環境下での局所的押圧に対して破壊しにくいため好ましい。
【0038】
また、第1の有機樹脂164、第2の有機樹脂174、または繊維体として用いる繊維糸束内に、高熱伝導性フィラーを分散させてもよい。高熱伝導性フィラーとしては、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化シリコン、アルミナ等が挙げられる。その他、高熱伝導性フィラーとして、銀、銅等の金属粒子が挙げられる。高熱伝導性フィラーが有機樹脂または繊維糸束内に含まれることにより光電変換装置の放熱が容易になる。その作用により、光電変換装置の温度上昇による変換効率の低下を低減することができる。
【0039】
繊維体に有機樹脂が含浸された構造体(本形態の第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体、および、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体)は、プリプレグとも呼ばれる。プリプレグは、具体的には繊維体にマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥して有機溶剤を揮発させてマトリックス樹脂を半硬化させたものである。構造体の厚さは、10μm以上100μm以下、さらには10μm以上30μm以下が好ましい。このような厚さの構造体を用いることで、薄型で湾曲することが可能であるフレキシブル性を有する光電変換装置を作製することができる。例えば、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体として、完全硬化後の弾性率が13GPa以上15GPa以下、破断係数が140MPaのプリプレグを用いることができる。
【0040】
なお、第1の構造体160、第2の構造体170は、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させてもよい。この場合、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させてもよい。また、複数の積層された繊維体に有機樹脂を含浸させた構造体を用いても良い。また、単層の繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を複数積層させる際、各構造体間に別の層を挟むようにしても良い。
【0041】
また、繊維糸束内部への有機樹脂の浸透率を高めるため、繊維に表面処理が施されても良い。例えば、繊維表面を活性化させるためのコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤を用いた表面処理がある。
【0042】
第1の構造体160と第2の構造体170、および対向して設けられる第1の構造体160と第2の構造体170との間に挟持される素子領域(光電変換素子群110)は、加熱処理および加圧処理により接着することができる。
【0043】
なお、第1の繊維体162および第2の繊維体172は、同じ材質の繊維を適用することもできるし、異なる材質の繊維を適用することもできる。また、第1の有機樹脂164および第2の有機樹脂174は、同じ材質の樹脂を適用することもできるし、異なる材質の樹脂を適用することもできる。第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160と、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体170と、を同一材質の構造体とした場合には、応力などの差が低減されやすくなる。その効果として、剥がれや、反りなどの不良を防止することができる。
【0044】
なお、図1に示すように、第1の構造体160と第2の構造体170は、中央部(中央および中央近傍を含む)に素子領域(光電変換素子群110)を配置することが望ましい。また、該素子領域が存在しない領域(素子領域の周辺部)においては、互いに接して素子領域を封止する構成とすることが好ましい。また、対向して設けられる封止層は、素子領域を境として対称構造とすることが好ましい。具体的には、第1の構造体160と第2の構造体170を対称構造とし、該対称構造の中央部に光電変換素子群110が配置される構成とすることが好ましい。対称構造は、材質および厚さが同一であることが好ましい。ここで、厚さとは、構造体の外側の面から光電変換素子群110の外側の面までの最短距離とする。例えば、第1の構造体160の外側の面から光電変換素子群110の外側の面までの最短距離を厚さt1とする。第2の構造体170の外側の面から光電変換素子群110の外側の面までの最短距離を厚さt2とする。本形態に係る光電変換装置は、厚さt1と厚さt2が近いことが好ましく、等しいことがより好ましい。また、第1の繊維体162と第2の繊維体172、第1の有機樹脂164と第2の有機樹脂174の材質が同一であることが好ましい。なお、構造体は均一な厚さには限定されない。また光電変換素子群の周辺部で第1の構造体と第2の構造体とが接着している領域の厚さは考慮しないものとする。このような構成とすることで、光電変換装置および光電変換素子にかかる外部ストレスを均一にすることができる。或いは光電変換装置および光電変換素子にかかる外部ストレス軽減することができる。上記構成は、湾曲などの変形に対して効果を奏し、光電変換装置および光電変換素子の破損や特性不良を防ぐことができる。さらには、製品の施工性を高めることができる。
【0045】
光電変換素子群110は、少なくとも一つ以上の光電変換素子で形成される。一つの光電変換素子では発電量が少ない。そのため、所望の電力を発電できるよう、複数の光電変換素子を直列接続または並列接続して光電変換素子群110とすることが好ましい。本発明の一態様に適用できる光電変換素子の種類は特に限定されない。IV族半導体を用いた光電変換素子、および化合物半導体(III−V族、II−VI族、I−III−VI族など)を用いた光電変換素子などの無機系光電変換素子、有機半導体を用いた光電変換素子、および色素増感光電変換素子(湿式光電変換素子)などの有機系光電変換素子、無機系材料と有機系材料を組み合わせたハイブリッド光電変換素子などが挙げられる。代表的には、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどのシリコン系光電変換素子が挙げられる。その他、ヒ化ガリウムや硫化銅インジウムなどを用いた化合物半導体光電変換素子、フタロシアニンやフラーレンなどを用いた有機半導体光電変換素子、酸化チタンなどを用いた色素増感光電変換素子が挙げられる。また、光電変換素子としては、セルを積層したタンデム構造またはスタック構造を適用することもできる。
【0046】
なお、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を素子形成基板として機能させる場合は、該素子形成基板となる繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を硬化した後に用いる。そのため、素子形成基板として用いる繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の耐熱温度未満の低温プロセスで形成できる非単結晶シリコン系光電変換素子や有機半導体系光電変換素子を適用することが好ましい。または、該素子形成基板となる繊維体に有機樹脂が含浸された構造体が可塑化する温度未満の低温プロセスで形成できる非単結晶シリコン系光電変換素子や有機半導体系光電変換素子を適用することが好ましい。非単結晶シリコン系光電変換素子および有機半導体系光電変換素子は、大面積基板に対して成膜することが容易であり、生産性に優れる点で好ましい。また、光電変換を発現させるための膜厚も薄くすることができるため、薄型化の観点からも好適である。
【0047】
なお、光電変換素子群110を構成する光電変換素子の個数および面積並びに接続方法は、設計者が適宜決定すればよい。
【0048】
次に、本発明の一態様である光電変換装置の製造方法の一例を図3乃至図7を用いて説明する。ここでは、平面図および断面図を用いて説明する。
【0049】
第1の封止層として、第1の構造体160を準備する(図3(A)参照)。
【0050】
本形態では、第1の封止層として、第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160を用いる。本形態では、予め第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160を硬化させて用いる。第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160の硬化は、加熱処理、または加熱処理および加圧処理により行う。第1の有機樹脂164が熱可塑性樹脂の場合は、加熱処理により可塑化した有機樹脂を硬化させる。なお、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体は、加熱処理の温度や時間などにより、硬化度を調整することができる。また、硬化温度または可塑化温度や、硬化後の耐熱温度は、第1の繊維体162に含浸させる第1の有機樹脂164の材質により調整することができる。ここでは、素子領域(光電変換素子群)を形成する素子形成基板として機能できる硬化度まで、第1の構造体160を硬化させておく。
【0051】
例えば、繊維体であるガラス繊維に、有機樹脂である臭素化エポキシ樹脂が含浸された構造体であるプリプレグを、190℃1時間の加熱処理を行うことで硬化させ、第1の構造体160として用いる。
【0052】
第1の構造体160上に第1電極120を形成する(図3(B)参照)。
【0053】
第1の構造体160側を光入射面とする場合、ITO、ZnO、SnO、ITO−ZnO合金などの透光性酸化物導電材料を、スパッタリング法、蒸着法、または印刷法などにより形成する。第1電極120となる透光性酸化物導電材料の厚さは、40nm乃至200nm、好ましくは50nm乃至100nmとし、シート抵抗は20Ω/□〜200Ω/□程度とすれば良い。
【0054】
また、第1電極120は、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することもできる。導電性組成物に含まれる導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。導電性組成物を用いて第1電極120を形成する薄膜を形成する場合、導電性組成物により形成された薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/□以下であることが望ましい。また、同薄膜の波長550nmにおける透光率は70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0055】
なお、上述の導電性高分子は、単独で導電性組成物として用いて第1電極120を形成することができる。一方で、有機樹脂を添加して性質を調整した導電性組成物を用いて第1電極120を形成してもよい。また、導電性組成物の電気伝導度を調整するために、導電性組成物にアクセプター性ドーパントまたはドナー性ドーパントをドーピングしても良い。このドーピングの効果によって、導電性組成物に含まれる共役系導電性高分子における共役電子の酸化還元電位を変化させることができる。
【0056】
また、導電性組成物は、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)などの溶媒に溶解させて、湿式法により第1電極120となる薄膜を形成することができる。具体的には、導電性組成物を用いて、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)または印刷法などの湿式法により第1電極120を形成することができる。溶媒の乾燥は、常圧もしくは減圧下での熱処理などで行う。また、上記導電性組成物に有機樹脂を添加して性質を調整している場合、添加された有機樹脂が熱硬化性の場合は溶媒乾燥後にさらなる加熱処理を行えばよい。添加された有機樹脂が光硬化性の場合は溶媒乾燥後に光照射処理を行えばよい。
【0057】
また、第1電極120は、有機化合物と、無機化合物と、を複合してなる複合透光性導電材料を用いることができる。なお「複合」とは、単に2つの材料を混合させるだけでなく、混合することによって2つ(或いは2つ以上)の材料間での電荷の授受が行われ得る状態になることを言う。
【0058】
上記複合透光性導電材料は、具体的には、正孔輸送性有機化合物と、該正孔輸送性有機化合物に対し電子受容性を示す金属酸化物とを含む複合材料を用いることが好ましい。複合透光性導電材料は、前記有機化合物および金属酸化物を複合化させることで、抵抗率を1×106Ω・cm以下とすることができる。正孔輸送性有機化合物とは、電子よりも正孔の輸送性の高い物質を示し、好ましくは10−6cm2/Vsec以上の正孔移動度を有する物質とする。具体的には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。また、金属酸化物としては、遷移金属酸化物が好ましく、元素周期表における第IV族乃至第VIII族に属する金属の酸化物であることが好ましい。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、または酸化レニウムが高い電子受容性を示すため好ましい。特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすく好ましい。
【0059】
なお、上記複合透光性導電材料を用いた第1電極120の製造方法は、湿式法、乾式法を問わず、どのような手法を用いても良い。例えば、上述した有機化合物と無機化合物との共蒸着により、複合透光性導電材料を用いた第1電極120を形成することができる。また、上述した有機化合物と金属アルコキシドを含む溶液を塗布し、焼成することによって、第1電極120を形成することもできる。有機化合物と金属アルコキシドの塗布は、インクジェット法、スピンコート法などを用いることができる。
【0060】
複合透光性導電材料を用いて第1電極120を形成する場合、該複合透光性導電材料に含まれる有機化合物の種類を選択することにより、450nm乃至800nmの波長領域において、吸収ピークを有しない第1電極120を形成することができる。よって、第1電極120において特定の波長の光を強く吸収することなく効率よく透過させることができ、光電変換層での光吸収率を向上させることができる。
【0061】
また、上記複合透光性導電材料を用いて形成した薄膜は曲げなどの湾曲に強い。よって、本発明の一態様に係るフレキシブル性を有する光電変換装置の電極として好適に用いることができる。
【0062】
また、第1電極120としては、アルミニウム、銀、金、チタン、タングステン、白金、ニッケル、モリブデン、またはこれらを含む合金などの金属材料を用いることもできる。第1電極120に前記金属材料を用いた場合でも、厚さ1nm乃至20nm程度の薄膜とすることで所望の透過率を得ることができる。したがって、第1電極120を上記構成とすることで、第1電極120側から光電変換層に光を入射することも可能である。
【0063】
次に、第1電極120上に光電変換層130を形成する(図3(C)、図6(A)参照)。
【0064】
光電変換層130は、光電変換を行う領域である。また、ここでの「光電変換層」とは、光電効果(内部光電効果)を発現する層を含む他、内部電界や半導体接合を形成するために接合された層(ここでは不純物半導体層)を含めたものもいう。
【0065】
光電変換層130としては、シリコンに代表されるIV族半導体およびヒ化ガリウムなどの無機化合物半導体(III−V族半導体、II−VI族半導体、I−III−VI族半導体など)、並びにフラーレンや銅フタロシアニンなどの有機半導体を用いることができる。また、光電変換を効率よく行うには、前記半導体の素子構成において、導電型の異なる接合(pn接合、pin接合、pp−in接合、pin−n接合、またはpp−in−n接合など)を形成した光電変換層とする。
【0066】
例えば、光電変換層130として、pin接合型非単結晶半導体を形成する。具体的には、pin接合型非晶質半導体(代表的には非晶質シリコン)またはpin接合型微結晶半導体(代表的には微結晶シリコン)を形成することができる。また、p型不純物半導体層またはn型不純物半導体層を微結晶半導体(微結晶シリコン)で形成し、i型半導体層を非晶質半導体(非晶質シリコン)で形成することもできる。上記非晶質半導体または微結晶半導体は、プラズマCVD法を代表とする化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により形成する。具体的には、シラン、ジシランに代表される水素化シリコン、SiHCl、SiHCl、SiCl等の塩化シリコン、又はSiF4等のフッ化シリコンなどの半導体材料ガスを用いて、プラズマCVD法により形成することができる。反応ガスは、半導体材料ガスを希釈ガスにより希釈したものを用いてもよい。希釈ガスの代表例は水素であり、その他、ヘリウム、アルゴン、クリプトン及びネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素が挙げられる。また、希釈ガスは、複数種類(例えば水素とアルゴン)を組み合わせて用いることもできる。非晶質半導体は非晶質半導体の生成が可能な反応ガスを用いて成膜すればよく、微結晶半導体は微結晶半導体の生成が可能な反応ガスを用いて成膜すればよい。例えば、微結晶半導体は、半導体材料ガス(代表的にはシラン)に対して希釈ガス(代表的には水素)の流量比を10倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、さらに好ましくは100倍とする混合比の反応ガスを用いて成膜すればよい。
【0067】
非晶質半導体または微結晶半導体は、上記反応ガスを用い、電力周波数1MHz以上200MHz以下の高周波電力を印加してプラズマを生成するプラズマCVD装置により形成することができる。また、高周波電力に代えて電力周波数1GHz以上5GHz以下、代表的には2.45GHzのマイクロ波電力を印加しても良い。例えば、プラズマCVD装置の反応室内において、水素化シリコン(代表的にはシラン)と水素とを混合し、グロー放電プラズマにより形成することができる。グロー放電プラズマの生成は、1MHz以上20MHz以下、代表的には13.56MHzの高周波電力、又は20MHzより大きく120MHz程度までのVHF帯の高周波電力、代表的には27.12MHz、60MHzを印加することで行われる。
【0068】
各種ガスの流量、印加する電力などの成膜条件を変えることで、非晶質半導体または微結晶半導体を形成することができる。
【0069】
n型不純物半導体層(代表的にはn型不純物シリコン層)またはp型不純物半導体層(代表的にはp型不純物シリコン層)など、一導電型を有するの不純物半導体層を形成する場合は、上記反応ガスにドーピングガスを添加し、半導体層を成膜すればよい。n型不純物半導体層とする場合は、リン、ヒ素、またはアンチモンなどの周期表第15族元素を含むドーピングガスを添加して半導体層を形成すればよい。p型不純物半導体層とする場合は、ボロンまたはアルミニウムなどの周期表第13族元素を含むドーピングガスを添加して半導体層を形成すればよい。
【0070】
また、ここでi型半導体(真性半導体ともいわれる)とは、該半導体に含まれる一導電型を付与する不純物元素(p型を付与する不純物元素若しくはn型を付与する不純物元素)が1×1020/cm3以下の濃度であり、酸素及び窒素が9×1019/cm3以下の濃度であり、暗伝導度に対して光伝導度が100倍以上である半導体を指す。このi型半導体を構成する非晶質半導体または微結晶半導体は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気伝導性を示すことがある。従って、p型を付与する不純物元素を成膜と同時に、或いは成膜後に添加して、i型半導体層を形成すると良い。p型を付与する不純物元素としては、代表的にはボロンであり、B、BFなどの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で半導体材料ガスに混入させると良い。そしてボロンの濃度を、例えば1×1014/cm3〜6×1016/cm3とすると良い。
【0071】
なお、pin接合型非晶質半導体で光電変換層130を形成し、第1の構造体160側を光入射面とする場合は、第1電極120側から、p層、i層、n層が順に積層された構成とすることが好ましい。
【0072】
次に、素子分離された光電変換素子を形成し、光電変換素子を集積化する。光電変換素子の集積化方法および素子分離方法は特に限定されない。本形態では、光電変換素子毎に分離し、互いに隣接する光電変換素子同士を電気的に直列に接続する例を説明する。以下、本実施の形態の図面では、4つの光電変換素子を直列接続して集積化する例について説明する。
【0073】
第1の構造体160上に構成された、光電変換層130および第1電極120に対して層を貫通する開口h1〜開口h8を形成する(図4(A)、図6(B)参照)。ここでは、開口h1、開口h3、開口h5、開口h7(例えば、h(n−1)(nは偶数の整数))によって素子分離が行われ、図4(A)、図6(B)に示すように、第1電極120a、第1電極120b、第1電極120c、および第1電極120dに分離され、同時に光電変換層130a、光電変換層130b、光電変換層130c、および光電変換層130dに分離される。また、開口h2、開口h4、開口h6、開口h8(例えば、h(n)(nは偶数の整数))は、隣接する光電変換素子同士の接続を形成するために設ける。
【0074】
光電変換層130および第1電極120に形成された、開口h1〜開口h8は、レーザスクライブなどのレーザ加工法により形成することができる。前記レーザ加工に適用するレーザの種類は限定されるものではないが、Nd−YAGレーザやエキシマレーザなどを用いることが好ましい。なお、第1電極120上に光電変換層130が積層された状態でレーザ加工を行うことにより、加工時に第1電極120が第1の構造体160から剥離することを防ぐことができる。
【0075】
なお、開口h1〜開口h8の形成と同工程で、光電変換素子群の周辺部となる領域の光電変換層130および第1電極120を除去して、第1の構造体160を露出させる。第1の構造体160を露出させる領域は、光電変換素子群が形成される周辺部とし、好ましくは周辺部を囲むように第1の構造体160を露出させる。
【0076】
光電変換層130および第1電極120に形成された、開口h2を充填する絶縁層138a、開口h4を充填する絶縁層138b、開口h6を充填する絶縁層138c、開口h8を充填する絶縁層138dを形成する(図4(B)、図7(A)参照)。絶縁層138a〜絶縁層138dは、スクリーン印刷法などの印刷法により、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの絶縁性のある樹脂材料を用いて形成することができる。例えば、フェノキシ樹脂にシクロヘキサン、イソホロン、高抵抗カーボンブラック、アエロジル、分散剤、消泡剤、およびレベリング剤を混合させた樹脂組成物を用い、スクリーン印刷法により開口h2、h4、h6、h8を充填するように絶縁樹脂パターンを形成する。絶縁樹脂パターンを形成した後、160℃に設定したオーブン中にて20分間熱硬化させることで、絶縁層138a〜絶縁層138dを形成することができる。
【0077】
光電変換層130a上に第2電極140a、光電変換層130b上に第2電極140b、光電変換層130c上に第2電極140c、および光電変換層130d上に第2電極140dを形成する。以上で、第1電極120aと光電変換層130aと第2電極140aが積層された光電変換素子150a、第1電極120bと光電変換層130bと第2電極140bが積層された光電変換素子150b、第1電極120cと光電変換層130cと第2電極140cが積層された光電変換素子150c、および第1電極120dと光電変換層130dと第2電極140dが積層された光電変換素子150dが形成される(図4(C)、図7(B)参照)。
【0078】
光電変換素子150aの第2電極140aは、開口h3を充填するように形成されることで、隣接する光電変換素子150bの第1電極120bと接続される。光電変換素子150bの第2電極140bは、開口h5を充填するように形成されることで、隣接する光電変換素子150cの第1電極120cと接続される。光電変換素子150cの第2電極140cは、開口h7を充填するように形成されることで、隣接する光電変換素子150dの第1電極120dと接続される。すなわち、第2電極140aと同一材料を開口h3に充填し、開口h5に第2電極140bと同一材料を充填し、開口h7に第2電極140cと同一材料を充填する。このようにして、光電変換素子150aの第2電極140aは光電変換素子150bの第1電極120bと電気的な接続を得て、光電変換素子150bの第2電極140bは光電変換素子150cの第1電極120cと電気的な接続を得て、光電変換素子150cの第2電極140cは光電変換素子150dの第1電極120dと電気的な接続を得ることができる。第2電極は、隣接する光電変換素子の第1電極との電気的な接続を得ることができ、光電変換素子150a〜光電変換素子150cは直列に電気的な接続を得て、光電変換素子群110を形成する。
【0079】
なお、隣接する光電変換素子150aと光電変換素子150bは、開口h2に設けられた絶縁層138aによって素子分離されている。隣接する光電変換素子150bと光電変換素子150cは、開口h4に設けられた絶縁層138bによって素子分離されている。隣接する光電変換素子150cと光電変換素子150dは、開口h6に設けられた絶縁層138cによって素子分離されている。
【0080】
第2電極140a〜第2電極140dは、導電材料で形成する。また、本形態では第1の構造体160側を光入射面とするため、第2電極140a〜第2電極140dは、アルミニウム、銀、銅、チタン、タングステンなどの導電材料を用いて、反射電極を形成することが好ましい。第2電極140a〜第2電極140dは、上記導電材料を用いてスパッタリング法や真空蒸着法で形成することもできるが、吐出形成できる導電性組成物を用いて形成することが好ましい。第2電極140a〜第2電極140dは、吐出形成できる導電性組成物を用いることで、スクリーン印刷法などの印刷法や、インクジェット法、またはディスペンス法により、所定の電極パターンを直接形成することができる。例えば、金、銀、銅、タングステン、アルミニウム等の金属の導電性粒子を主成分とした導電性組成物を用いて、第2電極140a〜第2電極140dを形成することができる。なお、製造する光電変換装置を大面積とする場合は、第2電極140a〜第2電極140dを低抵抗化することが好ましい。したがって、金属の導電性粒子として抵抗率の低い金、銀、銅のいずれかの粒子、好適には低抵抗な銀或いは銅を溶媒に溶解又は分散させた導電性組成物を用いるとよい。また、レーザ加工された開口h1、開口h3、開口h5、開口h7に導電材料を十分に充填するには、導電性粒子の平均粒径が5nm〜10nmであるナノペーストを用いることが好ましい。
【0081】
第2電極140a〜第2電極140dは、上記の他に、導電材料の周囲を他の導電材料で覆った導電性粒子を含む導電性組成物を吐出形成してもよい。例えば、Cuの周りをAgで覆った導電性粒子において、CuとAgの間にニッケル又はニッケル硼素からなるバッファ層を設けた導電性粒子を用いても良い。溶媒は、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等の有機溶剤等が用いられる。吐出形成する導電性組成物の表面張力と粘度は、溶液の濃度を調整し、界面活性剤等を加えて適宜調整する。
【0082】
第2電極140a〜第2電極140dを形成する導電性組成物の吐出後は、常圧下又は減圧下で、レーザビームの照射や瞬間熱アニール(RTA)、加熱炉等により、乾燥または焼成を行う。乾燥と焼成の工程は、両工程とも加熱処理の工程であるが、例えば、乾燥は100℃で3分間、焼成は200℃〜350℃で15分間〜120分間で行う。本工程により、導電性組成物中の溶媒を揮発する、又は導電性組成物中の分散剤を化学的に除去して、導電性粒子周囲の樹脂を硬化収縮させることで融合と融着を加速する。乾燥と焼成を行う雰囲気は、酸素雰囲気、窒素雰囲気又は大気雰囲気で行う。但し、導電性粒子を溶解又は分散させている溶媒が除去されやすい酸素雰囲気下で行うことが好適である。
【0083】
なお、第2電極140a〜第2電極140dと同工程で、電極142が形成される。電極142は、開口h1を充填するように形成されることで、光電変換素子150aの第1電極120aと接続される。電極142は、直列接続された光電変換素子群110の一方の取り出し電極となり、後に形成される出力端子の一方と電気的に接続される。また、光電変換素子150dの第2電極140dは、光電変換素子群110の他方の取り出し電極となり、後に形成される出力端子の他方と電気的に接続される。
【0084】
次に、光電変換素子群110が設けられた第1の構造体160に対して第2の構造体170を接着し、第1の構造体160と第2の構造体170との間に光電変換素子群110を挟持する(図5(A)参照)。この工程により、光電変換素子群110の周辺部において第1の構造体160と第2の構造体170とが直接接着する領域を有する構成となる。
【0085】
第2の繊維体172に熱硬化性樹脂である第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体170を加熱し、光電変換素子群110が設けられた側の第1の構造体160に第2の構造体170を圧着させ、第2の有機樹脂174を硬化させる。なお、第2の有機樹脂174が熱可塑性樹脂の場合は、第2の構造体170を加熱し、光電変換素子群110が設けられた側の第1の構造体160に第2の構造体170を圧着させ、室温に冷却することにより可塑化させた第2の有機樹脂174を硬化させることができる。第2の有機樹脂174は、加熱および圧着により、光電変換素子群110および当該光電変換素子群110が設けられた側の第1の構造体160に密着するように均一に広がり、硬化する。上記第2の構造体170を対象物(本形態では光電変換素子群110および当該光電変換素子群110が設けられた側の第1の構造体160)に圧着する工程は、大気圧下または減圧下で行う。
【0086】
本形態では、光電変換素子群110の周辺部に第1の構造体160が露出する領域を有しているため、第2の構造体170は第1の構造体160に直接接着される領域を有する。好ましくは、光電変換素子群110の周辺部を囲むように第1の構造体160を露出させておくことで、光電変換素子群110の周辺部を囲むように第1の構造体160と第2の構造体170とが接着する領域を形成することができる。このようにすることで、光電変換素子群110で構成される素子形成領域の全周囲(上面、下面、および側面、但し出力端子と接続するための領域は除く)を構造体で覆い封止することができるため、素子の劣化や破損を防ぐ効果を高めることができる。
【0087】
光電変換素子群110と電気的に接続される出力端子180a、出力端子180bを形成する(図5(B)参照)。
【0088】
出力端子180a及び出力端子180bは、光電変換素子群110で発電した電力を外部へ取り出せる構成であれば特に限定されない。出力端子は、導電層、配線、リード線、導電性テープ、導電性接着剤、はんだ、導電性ペーストなどを適宜用いて構成することができる。例えば、光電変換素子群110の取り出し電極に到達する開口を第2の構造体170に設け、該開口を埋めるように配線182a、配線182bを設ける。さらに、配線182aと接して端子184a、配線182bと接して端子184bを設ける構成とする。本光電変換装置で発電した電力は、出力端子180a、出力端子180bにより外部へ取り出すことが可能である。ここで、光電変換素子群110においては、光電変換素子150a、150b、150c、150dが電気的に直列に接続されている。光電変換素子150aの第1電極120aと電気的に接続されて取り出し電極として機能する電極142と出力端子180aとが電気的に接続され、光電変換素子150dの第2電極140dと出力端子180bとが電気的に接続される。
【0089】
第2の構造体170に設ける光電変換素子群110の取り出し電極(図5(B)では電極142、第2電極140d)に達する開口は、針や錐などの物理的処理、エッチングなどの化学的処理、レーザ加工などで形成すればよい。開口を充填する配線182a、182bは特に限定されず、印刷法、インクジェット法、めっき法などで、直接配線パターンを形成すればよく、例えば銀ペーストを用いて形成することができる。端子184a、端子184bも特に限定されず、例えば導電性粘着テープなどで形成することができる。
【0090】
なお、本形態では、第1の構造体160側を光入射面とする例を説明したため、第1電極は透光性を有する電極とし、第2電極は反射電極とする例を説明した。逆に、第1電極は反射電極として、第2電極は透光性を有する電極としてもよい。
【0091】
また、本形態では、第1の構造体160上に第1電極120を形成して光電変換素子群110を形成し、第2の電極140a〜第2の電極140d上に第2の構造体170を接着する一例を説明した。別の例として、第1の構造体160と光電変換素子群110との間および第2の構造体170と光電変換素子群110との間の両方またはどちらか一方に、無機絶縁層を形成してもよい。
【0092】
図8は、第1の構造体160と光電変換素子群110との間に第1の無機絶縁層167を設け、第2の構造体170と光電変換素子群110との間に第2の無機絶縁層177を設ける例を示している。構造体と光電変換素子群110との間に無機絶縁層を形成することで、第1電極、第2電極の酸化などを防ぐことができる。また、構造体の有機樹脂と光電変換素子が接する領域を減少させることができるため、水分が素子領域に進入することを低減することができる。
【0093】
また、第1の構造体160と光電変換素子群110との間に第1の無機絶縁層167を設けることで、破損や特性不良等の品質不良などを防止することができ、製造工程においても歩留まりを向上させることができる。レーザ加工により光電変換素子の集積化構造を形成する際、レーザビームが到達する領域は、瞬間的にしても1000℃以上に加熱される恐れがある。そのため、素子形成基板として用いる第1の構造体160上に光電変換素子群を形成する際、第1の構造体160にもレーザビームが到達してダメージを受ける可能性がある。その場合は、第1の構造体160が変質や破損し、第1の構造体160から光電変換素子群(第1電極)が剥がれてしまう恐れがある。また、第1の構造体160から第1電極が剥がれて剥片が発生し、後に形成される第2電極との間で短絡してしまう恐れがあり、光電変換装置の特性不良や出力低下などの要因にもなりうる。第1の無機絶縁層167を設けることで、第1の構造体160の保護層として機能させることができ、レーザ加工などの製造工程における不良を防止することができる。
【0094】
構造体と光電変換素子群との間に設ける無機絶縁層(ここでは第1の無機絶縁層167、第2の無機絶縁層177)は、シリコン酸化物又はシリコン窒化物が好ましい。シリコン酸化物及びシリコン窒化物の代表例としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコンなどが挙げられる。なお、本明細書において酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50原子%以上70原子%以下、窒素が0.5原子%以上15原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン層とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。また、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5原子%以上30原子%以下、窒素が20原子%以上55原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が10原子%以上30原子%以下の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。上記無機絶縁層は、スパッタリング法、CVD法、塗布法、印刷法等により、単層構造又は積層構造で形成する。
【0095】
なお、構造体と光電変換素子群との間に設ける無機絶縁層は、光電変換素子群の周囲において、一対の構造体同士が接着する領域では除去する。
【0096】
図8に示す光電変換装置の製造方法の一例を、図9(A)、(B)に示す。第1の構造体160上に第1の無機絶縁層167を形成し、該第1の無機絶縁層167上に第1電極、光電変換層を順に積層成膜した後、素子分離と集積化のための開口h1〜h8を形成する。なお、開口h1〜h8を形成する際、光電変換素子群の周辺部となる領域は除去しないものとする(図9(A)参照)。
【0097】
図4(B)、(C)と同様に、絶縁層138a〜138d、第2電極140a〜第2電極140d、電極142を形成して、光電変換素子150a〜150dが電気的に直列に接続された光電変換素子群110を形成する。そして、光電変換素子群110上に第2の無機絶縁層177を形成する。
【0098】
そして、光電変換素子群110の周辺部において、第1の無機絶縁層167〜第2の無機絶縁層177を除去して第1の構造体160を露出させる。その後、第2の構造体170を接着することで、図8に示す光電変換装置を製造することができる。
【0099】
また、図8に示す光電変換装置は、第1の構造体160上に第1の無機絶縁層167を形成し、図4(A)乃至(C)に示すように光電変換素子群110を形成し、光電変換素子群110上(第2の電極140a〜140d、電極142)に第2の無機絶縁層177を形成する。光電変換素子群110の周辺部において、第1の無機絶縁層167、第2の無機絶縁層177を除去して第1の構造体160を露出させた後、第2の構造体170を接着することで、製造することができる。
【0100】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0101】
(実施の形態2)
本形態では、上記実施の形態と異なる構成について説明する。具体的には、上記実施の形態と異なる構成の封止層を用いる形態について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分の説明は省略或いは一部簡略化する。
【0102】
本形態では、光電変換素子群を封止する一対の構造体の外側(光電変換素子群と反対側)に、さらに保護層として衝撃拡散層を設ける例を説明する。具体的には、第1の封止層として、第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160と、第1の保護層191と、の積層構造を用いる例を示す。また、第2の封止層として、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体170と、第2の保護層192と、の積層構造を用いる例を示す。
【0103】
図10において、光電変換素子群110は第1の構造体160および第2の構造体170に挟持されている。第1の構造体160および第2の構造体170は、光電変換素子群110の周辺部において、密着する領域を有している。そして、第1の構造体160のさらに外側(光電変換素子群110と反対側)には第1の保護層191が設けられ、第2の構造体170のさらに外側(光電変換素子群110と反対側)には第2の保護層192が設けられている。
【0104】
本形態に係る保護層は、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体(第1の構造体160および第2の構造体170)と、外的ストレスに対する特性の異なる絶縁体で設ける。具体的には、光電変換装置および光電変換素子群にかかる外部ストレスを拡散し、該外部ストレスの影響を低減する衝撃拡散層として機能できる絶縁体を保護層として設ける。本実施の形態のように、外部ストレスに対する耐衝撃層として機能できる構造体(ここでは第1の構造体160および第2の構造体170)、および外部ストレスを拡散する衝撃拡散層(ここでは第1の保護層191および第2の保護層192)を設けることによって、フレキシブル性を損なうことなく、外部ストレスに対する耐性を高めることができる。したがって、製造歩留まりの向上及び製品としての機械的強度、耐久性、耐候性などを高めることができる。
【0105】
第1の保護層191及び第2の保護層192としては、弾性率が低く、かつ破断強度が高い材料を用いるのが好ましい。また、第1の保護層191は、第1の構造体160より弾性率が低く、かつ破断強度が高い方が好ましい。第2の保護層192は、第2の構造体170より弾性率が低く、かつ破断強度が高い方が好ましい。例えば、第1の保護層191及び第2の保護層192は、弾性率5GPa以上12GPa以下、破断係数300MPa以上のゴム弾性を有する膜を用いることが好ましい。また、第1の構造体160および第2の構造体170は、弾性率13GPa以上、破断係数は300MPa未満とすることが好ましい。
【0106】
さらに、第1の保護層191及び第2の保護層192は、高強度材料で形成されていることが好ましい。高強度材料の代表例としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、アラミド樹脂、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール樹脂、ガラス樹脂等がある。弾性を有する高強度材料で形成される第1の保護層191及び第2の保護層192を設けることで、局所的な押圧などの荷重を層全体に拡散し吸収することができる。そのため、光電変換装置に与える外部ストレスの影響を分散・低減させることができ、製造工程中および製品として完成した後も破損などの品質不良発生を防止できる。また、光電変換装置の機械的強度も高めることができる。
【0107】
具体的には、第1の保護層191及び第2の保護層192として、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。本実施の形態では、第1の保護層191および第2の保護層192としてアラミド樹脂フィルム(弾性率10GPa、破断強度480MPa)を用いることができる。また、第1の構造体160の第1の有機樹脂164、および第2の構造体170の第2の有機樹脂174として、エポキシ樹脂を用いることができる。
【0108】
第1の構造体160として、第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された構造体を用いている。同様に、第2の構造体170として、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された構造体を用いている。そのため、第1の構造体160と第1の保護層191は、接着層を介さず、加熱処理および加圧処理により直接接着することができる。同様に第2の構造体170と第2の保護層192も、接着層を介さず、加熱処理および加圧処理により直接接着することができる。そして、第1の構造体160および第1の保護層191の積層構造、並びに、第2の構造体170および第2の保護層192の積層構造は、接着層を介さず、加熱処理および加圧処理によって、光電変換素子群110と直接接着することができる。また、光電変換素子群110の周辺部において、第1の構造体160および第1の保護層191の積層構造と、第2の構造体170および第2の保護層192の積層構造と、が、接着層を介さず、加熱処理および加圧処理によって直接接着することができる。好ましくは、光電変換素子群110の周辺部を囲むように第1の構造体160と第2の構造体170が密着し、光電変換素子群110を封止する構成とすることで、封止層の密着性を向上させることができ、外部ストレスに対する耐性を高めることができる。
【0109】
以下、図10に示す光電変換装置の製造方法の一例を示す。
【0110】
第1の封止層として、第1の保護層191が設けられた第1の構造体160を準備する。第1の保護層191が設けられた第1の構造体160は、素子形成基板として用いることができる硬化度まで硬化させておく。なお、第1の構造体160は、加熱および圧着により、第1の保護層191を接着させて、積層構造とすることができる。
【0111】
第1の構造体160および第1の保護層191の積層構造を素子形成基板として、第1の構造体160上に光電変換素子群110を形成する。光電変換素子群110は上記実施の形態1に準じて形成すればよいが、第2の封止層と封止する工程までに、光電変換素子群110の周辺部で第1の構造体160が露出する領域を有するようにする。
【0112】
光電変換素子群110が設けられた第1の構造体160および第1の保護層191上に第2の構造体170および第2の保護層192を接着し、第1の構造体160および第1の保護層191と、第2の構造体170および第2の保護層192と、の間に光電変換素子群110を封止する。なお、上記工程において、該光電変換素子群110の周辺部は、第1の構造体160と第2の構造体170とが直接接着する領域を有する構成とする。
【0113】
第2の構造体170は、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された構造体であり、加熱し対象物に圧着して、第2の有機樹脂174を硬化することができる。光電変換素子群110が設けられた第1の構造体160および第1の保護層191上に、第2の構造体170と第2の保護層192を積層した積層体を加熱し圧着して、光電変換素子群110を封止する。
【0114】
なお、図10に示すように、第1の構造体160と第2の構造体170は中央部に光電変換素子群110を配置し、該光電変換素子群110が存在しない周辺部において、互いに接して光電変換素子群110を封止する構成とすることが好ましい。すなわち、一対の封止層である第1の構造体160および第1の保護層191と第2の構造体170および第2の保護層192とを対称構造とし、該対称構造の中央部に光電変換素子群110が配置される構成とすることが好ましい。対称構造は、材質および厚さが同一であることが好ましい。このような構成とすることで、光電変換装置および光電変換素子群にかかる外部ストレスを均一にすることができる。特に、曲げや反りなど湾曲の変形に対して効果を奏し、素子の破壊を防ぐことができる。これは、素子を中央に配置することで、変形量を低減することができるからである。
【0115】
なお、構造体の外側に設けられる衝撃拡散層は、光電変換装置の外部ストレスに対する機械的強度を高める効果の他、製造工程における加圧処理に対しても耐性を発揮できる。したがって、製造工程における光電変換装置の破損や特性不良を防ぐことができ、歩留まりの向上に寄与する。
【0116】
以上で、フレキシブル性を損なうことなく、信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。また、製造工程における品質不良を防止でき、歩留まり良く光電変換装置を製造することができる。
【0117】
なお、本実施の形態で示す構成においても、上記実施の形態1の図8で示すように、構造体と光電変換素子群との間に無機絶縁層を設けることができる。
【0118】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0119】
(実施の形態3)
本形態では、上記実施の形態と異なる構成の光電変換装置について説明する。具体的には、さらなる信頼性向上を目的とした構成について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分の説明は、省略或いは一部簡略化する。
【0120】
本実施の形態では、光電変換装置に導電層を設ける例を示す。導電層は光電変換装置の最表面に設け、具体的には一対の封止層の外側(光電変換素子群と反対側)の表面に導電層を設ける。上記実施の形態1で示すように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を封止層として用いる場合、該構造体の外側の表面に導電層を設けることができる。また、上記実施の形態2で示すように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の外側に保護層を設ける場合は、該保護層の外側に導電層を設けることができる。なお、本形態では、封止層として繊維体に有機樹脂が含浸された構造体のみを用いる例を説明する。
【0121】
導電層を設けることで、外部から光電変換装置または光電変換素子に静電気が印加されるのを遮断することができる。具体的には、導電層により、静電気放電により印加される静電気を拡散して逃がすことができる。または、電荷の局部的な存在(局在化)を防ぐ(局部的な電位差が発生しないようにする)ため、光電変換装置および光電変換素子の静電気破壊を防ぐことができる。したがって、製造中や流通後に、光電変換装置または光電変換素子に静電気が印加されても素子の静電気破壊による動作不良、特性不良などの品質不良発生を防ぐことができる。すなわち、光電変換装置の製造工程における歩留の向上、および信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
【0122】
なお、導電層は、静電気を遮断できる厚さ、材質で形成する。光入射面に導電層を設ける場合は、光電効果を発現できる程度に光の透光性を有するように、導電層を形成する。また、導電層の厚さは、抵抗率に基づいて決めることが好ましい。例えば、導電層として用いる導電材料の抵抗率が高い場合には、静電気を効果的に拡散させるために、導電層を厚く形成することが好ましい。抵抗率が高い導電材料を用いて形成する導電層を薄くしすぎると、シート抵抗が大きくなる。そのため、静電気放電が発生した場合に静電気を効果的に拡散できず、光電変換装置および光電変換素子に大電流が流れて静電気破壊されるおそれがある。
【0123】
光電変換装置および光電変換素子の静電気破壊を効果的に防止するためには、導電層のシート抵抗が1.0×107Ω/□以下、好ましくは1.0×104Ω/□以下、より好ましくは1.0×102Ω/□以下となるように厚さ定めることが好ましい。また、光電変換装置の光入射面にも導電層を設ける場合は、光を入射させる観点から、上記のシート抵抗を満たしつつ、厚さを可能な限り薄くすることが好ましい。このような導電層を形成することで、静電気放電に起因する光電変換装置の静電気破壊を効果的に防止することができる。また、製造工程において、歩留まり良く、光電変換装置を製造することができる。
【0124】
また、導電層は、光電変換装置および光電変換素子群110とは電気的に接続しない構成とする。ここでは図示しないが、出力端子についても、導電層と電気的に接続しない構成とする。
【0125】
導電層は、光電変換装置の表面において、光電変換素子群と重畳する領域に設けられる。具体的には、一対の封止層の外側(光電変換素子群と反対側)の表面において、該一対の封止層の間に挟持された光電変換素子群と重畳する領域に設けられる。なお、導電層は、光電変換装置(一対の封止層)表面を全面(上面、下面、および側面を含む)覆うように設けることができる。すなわち、導電層で光電変換装置表面をくるむように設けることができる。また、導電層は、光電変換装置(一対の封止層)の上面および下面の両方、またはどちらか一方を覆うように設けることもできる。また、光電変換装置の上面および下面の両方に導電層を設けて一対の導電層とし、該一対の導電層を電気的に接続する導電領域を形成してもよい。該導電領域は、光電変換装置の側面に設けてもよいし、光電変換装置内部を貫通する構成としてもよい。なお、光電変換装置の側面は、一度の製造プロセスで複数の光電変換装置を製造する所謂多面取りで製造する場合には、個々の光電変換装置に分断した際に生じる分断面となる。該分断面は導電層によって全部覆われていてもよいし、一部覆われていてもよい。
【0126】
図11(A)に、第2の構造体170の外側(光電変換素子群110と反対側)に導電層195aを設ける例を示す。また図11(B)に第1の構造体160の外側に導電層195bを設け、第2の構造体170の外側に導電層195aを設ける例を示す。
【0127】
図11(B)においては、対向している導電層195aと導電層195bは電気的に接続しない例を示しているが、導電層195aと導電層195bは電気的に接続するように形成してもよい。
【0128】
図12(A)は、光電変換装置の周辺部(上面、下面、側面)全部を覆うように導電層195cが形成される例である。図12(B)は、光電変換装置の上面および下面と、少なくとも1つの側面を覆うように導電層195dが形成される例である。また、図12(C)は、光電変換装置の上面、下面に形成される一対の導電層195a、導電層195bが、光電変換装置内部を貫通する電極層197aで電気的に接続される例である。また、図12(D)では、一対の導電層195a、導電層195bが、光電変換装置内部を貫通する電極層197a、電極層197bで電気的に接続される例である。光電変換装置内部を貫通する電極層197a〜197cを形成する貫通孔は、針や錐などの物理的処理によって加工してもよいし、薬品を使ったエッチングなどの化学的処理によって加工してもよい。また、貫通孔はレーザ加工で形成してもよい。
【0129】
図12(A)〜(D)において、光電変換素子群110は、上面及び下面の両方に、電気的に接続されている導電層が設けられている。そのため、外部からの静電気に対して広い領域にわたって保護されており、高い静電気破壊防止効果を得ることができる。
【0130】
導電層は、一対の封止層間の間に光電変換素子群を挟持して封止した後、封止層表面にスパッタリング法などによって作製すればよい。光電変換装置の両面に導電層を設ける場合は、複数回に分けて、スパッタリング法などにより形成してもよい。
【0131】
また、実施の形態2で示したように、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体の外側にさらに衝撃拡散層として機能する保護層を設けることもできる。この場合は、保護層を外側に設けた後に導電層を形成すればよい。
【0132】
導電層は、導電性を有すればよく、導電性材料を用いて形成された導電層を用いることができる。例えば、導電層として、金属、金属窒化物、あるいは金属酸化物などの薄膜、または前記薄膜の積層膜でなる導電層を用いることができる。具体的には、導電層としては、Ti、Mo、W、Al、Cu、Ag、Au、Ni、Pt、Pd、Ir、Rh、Ta、Cd、Zn、Fe、Si、Ge、Zr、或いはBaから選ばれた元素の金属材料を用いることができる。又は、前記元素を主成分とする合金材料、化合物材料、窒化物材料、酸化物材料などが挙げられる。
【0133】
窒化物材料としては、窒化タンタル、窒化チタンなどが挙げられる。
【0134】
酸化物材料としては、インジウム・錫酸化物(ITO)、酸化シリコンを含むインジウム・錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO(Indium Zinc Oxide))、ガリウムを含む酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステンを含む酸化インジウム、酸化タングステンを含むインジウム・亜鉛酸化物、酸化チタンを含む酸化インジウム、酸化チタンを含むインジウム・錫酸化物なども用いてもよい。
【0135】
また、導電層として、半導体に不純物元素などを添加して導電性を有する半導体層を用いることができる。例えばリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン層などを用いることができる。
【0136】
さらに、導電層として、導電性高分子を用いてもよい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などが挙げられる。
【0137】
導電層は、スパッタリング法、プラズマCVD法、蒸着法などの各種乾式法、塗布法、印刷法、液滴吐出法(インクジェット法)などの各種湿式法により形成することができる。また、電解めっき、無電解めっきなどの各種めっき法を用いて導電層を形成しても良い。
【0138】
また、導電層上に保護層を積層してもよい。例えば、導電層としてチタン膜を形成し、チタン膜上に保護層として酸化チタン膜を積層するとよい。保護層を設けることで、導電層の劣化を防ぐことができる。
【0139】
なお、光電変換装置の光入射面に導電層を設ける場合は、光電効果が発現できる程度に透光性を有する材質、厚さなどで、導電層を形成する。また、出力端子と電気的に接続されない構成で、導電層を形成する。
【0140】
本形態に係る光電変換装置は、光電変換装置の表面に導電層を設けることで、静電気放電による光電変換装置および光電変換素子の静電気破壊(光電変換素子の損傷や、光電変換装置の誤動作、出力低下など)を防止することができる。そのため、電気的ストレスに代表される外部ストレスに対する耐性を高めることができ、信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。また、製造工程においても、電気的ストレスに代表される外部ストレスに起因する特性不良などの品質不良の発生を防ぐことができ、歩留まり良く信頼性の高い光電変換装置を製造することができる。
【0141】
また、ここで、図16に、実施の形態2の衝撃拡散層として機能する保護層と、導電層が設けられた光電変換装置の具体例を示す。
【0142】
図16において、光電変換素子群110は、第1の構造体360及び第2の構造体370で封止されている。さらに第1の構造体360の外側に第1の保護層391、第2の構造体370の外側に第2の保護層392が設けられている。第1の保護層391の外側には導電層395b、第2の保護層392の外側には導電層395aがそれぞれ設けられている。導電層395aおよび導電層395bの少なくとも一部を電気的に接続された状態とし、導電層395a及び導電層395bを等電位とする。
【0143】
導電層395a及び導電層395bを等電位とすることで、静電気に対する保護の効果が得られる。静電気でチャージアップして光電変換素子が破壊される前に、光電変換装置における上下両面を等電位にして光電変換素子を保護する。
【0144】
図16の光電変換装置は、第1の構造体360及び第2の構造体370は繊維体に有機樹脂が含浸された構造体、第1の保護層391及び第2の保護層392にはアラミドフィルム、導電層395a、395bにはチタン膜を用いる例である。第1の構造体360及び第2の構造体370の膜厚が10μm以上30μm以下、第1の保護層391及び第2の保護層392の膜厚が3μm以上15μm以下、光電変換素子群310の厚さが50nm以上5μm以下とすることができる。この場合、光電変換素子群の厚さと比べて第1の構造体360、第2の構造体370、第1の保護層391及び第2の保護層392の膜厚が厚く構成されている。したがって、光電変換素子がほぼ中央部に配置されることで曲げストレスに強い光電変換装置を提供することができる。
【0145】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜自由に組み合わせることができる。
【0146】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の光電変換装置について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分の説明は、省略或いは一部簡略化する。
【0147】
本実施の形態では、実施の形態2において、光電変換装置の両面(上面および下面)に導電層が設けられ、該導電層同士が電気的に接続される構成の製造方法の例を図13(A1)、(A2)、(B1)、(B2)に示す。また、本形態では、一度の製造プロセスで複数の光電変換装置を製造する多面取り製造方法の例を示す。図13において、図13(A2)、(B2)は平面図であり、図13(A1)、(B1)はそれぞれ対応する図13(A2)、(B2)の線分EFにおける断面図である。
【0148】
図13(A1)、(A2)に、一度の製造プロセスで複数の光電変換装置を製造する工程中の光電変換装置集合体を示す。積層体101は、第1の構造体160および第1の保護層191の積層構造を用いた第1の封止層と、第2の保護層192および第2の構造体170の積層構造を用いた第2の封止層との間に、複数の光電変換素子群110が挟持された形で封止されて構成されている。複数の光電変換素子群110において、隣接する光電変換素子群110同士の間では、第1の構造体160と第2の構造体170とが接して密着する領域を有する。好ましくは、個々の光電変換素子群110の周辺部を囲むように第1の構造体160と第2の構造体170が接着する領域を有することで、光電変換素子群110が個々に封止された構成とする。積層体101は、複数の光電変換装置が個々の光電変換装置に分断される前であり、複数の光電変換装置を有する光電変換装置集合体である。
【0149】
積層体101の最表面である第1の保護層191外側の表面には導電層195aが形成されている。第2の保護層192外側の表面には導電層195bが形成されている。
【0150】
導電層195aと導電層195bとを形成した積層体101を個々の光電変換装置103a、光電変換装置103b、光電変換装置103c、光電変換装置103d、光電変換装置103e、光電変換装置103fに分断する(図13(B1)、(B2)参照)。光電変換装置103a、光電変換装置103b、光電変換装置103c、光電変換装置103d、光電変換装置103e、光電変換装置103fは分断された積層体101をそれぞれ有する。
【0151】
本実施の形態では、導電層195aと導電層195bとを電気的に接続させる工程を積層体(光電変換装置集合体)の分断工程(個々の光電変換装置への分断工程)により行う。
【0152】
積層体101の分断手段としては、分断の際に第1の保護層191、第2の保護層192、第1の構造体160、および第2の構造体170が溶融される手段を用いることが好ましい(導電層195a、195bが溶融される手段であるとより好ましい)。本実施の形態では、レーザビームの照射による分断を適用する。
【0153】
上記分断工程に用いるレーザビームの波長や強度、ビームサイズなどの条件については特に限定されない。少なくとも、積層体101を分断できる条件であればよい。分断工程に用いるレーザビームの発振器としては、例えば、Arレーザ、Krレーザ、CO2レーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、Y2O3レーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、ヘリウムカドミウムレーザ、エキシマ(ArF、KrF、XeCl)レーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザ等を用いることができる。
【0154】
本実施の形態に示すように、レーザビームの照射を用いて個々の光電変換装置103a〜光電変換装置103fに分断することで、導電層195aと導電層195bとの間の抵抗値が低下し、導電層195aと導電層195bとが導通することになる。このため、個々の光電変換装置への分断の工程と、導電層195a、195bとを導通させる工程を、一度に行うことができる。
【0155】
以上の工程で、個々の光電変換装置103a〜103fを作製することができる。
【0156】
本実施の形態において、光電変換装置表面に設けられた導電層により、光電変換装置および光電変換素子の静電気放電による静電気破壊を防止することができる。
【0157】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態と異なる構成の光電変換装置について説明する。具体的には、光電変換装置の端部における第1の封止層と第2の封止層との接着領域(第1の構造体と第2の構造体の接着領域)において、密着性を高める構成について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分の説明は、省略或いは一部簡略化する。
【0158】
図14は、実施の形態1の図1(B)に対応している。本光電変換装置は、対向して設けられた第1の構造体160と第2の構造体170との間に挟持して設けられた光電変換素子群110を有し、該光電変換素子群110の周辺部において、第1の構造体160と第2の構造体170とが接着する領域を有する。
【0159】
図14に示す光電変換装置の端部、具体的には光電変換素子群110が存在しない周辺領域において、第1の構造体160に凹部169a、凹部169bが設けられている。そして、第1の構造体160と対向して設けられ、第1の構造体160との間に光電変換素子群110を挟持する第2の構造体170は、第1の構造体160の凹部169a、凹部169bを埋めて接着されている。このような構成とすることで、光電変換素子群110の周辺部において、第1の構造体160と第2の構造体170との接触面積が増えて接着される。そのため、さらに第1の構造体160と第2の構造体170の密着性を高めることができ、強固な接着が可能となる。その効果として、製造工程において密着性不良による剥がれなどの不良を防止し、歩留まりを向上させることができる。また、製品として流通後においても剥がれなどの不良を防止できる。したがって、外部ストレスに対する耐性が高く、耐久性、耐候性が向上した信頼性の高い光電変換装置を提供することができる。
【0160】
第1の構造体160の凹部169a、169bの形成は、第2の構造体170を接着する前に行えばよい。具体的には、素子形成領域(光電変換素子群110)の周辺部となる第1の構造体160の端部の一部を除去することで、凹部169a、169bを形成することができる。凹部169a、169bの加工手段としては、物理的に切除等で行ってもよいし、化学的なエッチング(ドライエッチング法、ウェットエッチング法)で行ってもよい。例えば、レーザアブレーションを含むレーザスクライブ法などのレーザ加工により、第1の構造体160の一部を除去して凹部169a、169bを形成することができる。本実施の形態の第1の構造体160への凹部169a、169bの形成は、第1の構造体160と第2の構造体170との接触面積を拡大して密着性を高めるものである。よって、凹部の形状は本実施の形態に限定されず、また、凹部は複数形成してもよい。
【0161】
光電変換素子群110が設けられ、該光電変換素子群110の周辺部において凹部169a、169bが設けられた第1の構造体160に対して、第2の繊維体172に第2の有機樹脂174が含浸された第2の構造体170を加熱処理および加圧処理を行うことで接着する。接着時に半硬化状態である第2の構造体170の有機樹脂174は流動性を有するため、該有機樹脂174が第1の構造体160の凹部169a、169bを充填するように密着し硬化する。
【0162】
なお、本形態では、封止層として構造体を用いた図1の例で説明したが、構造体の外側に衝撃拡散層として機能する保護層を設ける構成や、構造体または保護層の外側に導電層を設ける構成に本形態を適用できる。
【0163】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0164】
(実施の形態6)
本形態では、上記実施の形態と異なる構成について説明する。なお、上記実施の形態と重複する部分の説明は省略或いは一部簡略化する。
【0165】
本光電変換装置の光電変換素子としては、ドナー分子とアクセプター分子の2つの分子間で光誘起電荷移動による発電する光電変換素子を適用することができ、有機半導体を用いて光電変換層を形成することができる。具体的には、p型有機半導体とn型有機半導体とでpn接合を形成する。なお、光電変換層は、p型有機半導体とn型有機半導体とを積層したヘテロ接合構造とすることもできるし、p型有機半導体とn型有機半導体とが混合されたバルクへテロ接合構造とすることもできる。バルクヘテロ接合構造を形成することで、有機半導体層のキャリア拡散長が短いという欠点を補い、光電変換効率を向上させることができる。なお、有機半導体を用いた光電変換層の他、電子ブロッキング層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロッキング層、バッファ層などの機能層を有していてもよい。
【0166】
本形態に用いる有機半導体材料としては、低分子化合物、高分子化合物のいずれも用いることができ、その種類は特に限定されるものではない。例えば、有機半導体材料として、多環芳香族化合物、共役二重結合化合物、マクロ環化合物、金属フタロシアニン錯体、電荷移動錯体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、オリゴチオフェン類、フラーレン類、カーボンナノチューブ、などが挙げられる。
【0167】
p型有機半導体としては、電子供与性を有する有機半導体(ドナー性有機半導体)を用いることができる。具体的には、トリアリールアミン化合物や、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアレーン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子とする金属錯体、などが挙げられる。なお、これに限らず、n型有機半導体として用いた有機化合物(アクセプター性有機半導体)よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であれは、ドナー性有機半導体として用いることができる。
【0168】
n型有機半導体としては、電子受容性を有する有機半導体(アクセプター性有機半導体)を用いることができる。具体的には、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかを含有する5員乃至7員のヘテロ環化合物(例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、トリアゾロピリダジン、トリアゾロピリミジン、テトラザインデン、オキサジアゾール、イミダゾピリジン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、ジベンズアゼピン、トリベンズアゼピンなど)、ポリアリーレン化合物、フルオレン化合物、シクロペンタジエン化合物、シリル化合物、含窒素ヘテロ環化合物を配位子とする金属錯体、などが挙げられる。なお、これに限らず、p型有機半導体として用いた有機化合物(ドナー性有機半導体)よりも電子親和力の大きな有機化合物であれば、アクセプター性有機半導体として用いることができる。また、フラーレン類、カーボンナノチューブ類などを用いることもできる。
【0169】
なお、有機半導体を用いた光電変換層の形成方法は、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いることができる。また、各層ごとに異なる成膜方法を用いてもよい。乾式法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。また、湿式法としては、インクジェット法、スピンコート法、印刷法などが挙げられる。上述のような有機半導体材料を用いた光電変換層は、低温プロセスで形成できるため好ましい。
【0170】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0171】
(実施の形態7)
本形態では、ロール・ツー・ロール方式で本発明の一態様に係る光電変換装置を製造する例について説明する。本形態では、図1に示す構成の光電変換装置を製造する例について説明する。
【0172】
本発明の一態様に係る光電変換装置を構成する一対の封止層に用いられる構造体は、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体であり、ロール状に巻くことが可能な帯状の構造体とすることができる。ロール状に巻かれた構造体を素子形成基板として上層に光電変換素子群を形成し、さらにロール状に巻かれた他の構造体で封止することで、本発明の一態様に係る光電変換装置を生産性良く製造することができる。
【0173】
図15は、本形態にかかるロール・ツー・ロール方式を用いた光電変換装置の製造工程の一例を示している。第1の繊維体162に第1の有機樹脂164が含浸された第1の構造体160を用いる第1の封止層2060は、送り出しロール2010から送り出され、各処理手段を経由することで光電変換素子群が形成される。その後、第2の構造体170を用いる第2の封止層2070と封止され、完成した光電変換装置2080は巻き取りロール2022で巻き取られる。各処理手段としては、スパッタリング装置、真空蒸着装置、プラズマCVD等のCVD装置などの各種成膜装置、スクリーン印刷等の印刷装置、レーザスクライブ等の加工装置、圧着装置などが挙げられ、各々の処理手段は独立している。
【0174】
図15では、搬送経路の進行方向に沿って、第1電極120を形成する第1の処理室2100と、光電変換層130を形成する第2の処理室2200と、光電変換層130の素子分離を行う第3の処理室2300および第4の処理室2400と、第2電極140a〜第2電極140dを形成する第5の処理室2500と、第2の封止層2070を接着する第6の処理室2600と、出力端子形成用の開口を形成する第7の処理室2700と、出力端子を形成する第8の処理室2800と、を備えた例を示している。また、本形態では、真空プロセスを分離させて、ロール・ツー・ロール方式の製造を行い、分離させたプロセスの間でロール状の基体を受け渡す例を示している。
【0175】
送り出しロール2010に、第1の構造体160を用いた第1の封止層2060が巻かれている。第1の封止層2060に用いる第1の構造体160は、素子が形成できるように硬化させておくものとする。なお、送り出しロール2010に巻かれた第1の封止層2060に用いる第1の構造体160は半硬化状態とし、送り出しロール2010から送り出してから第1の構造体160を硬化させてもよい。
【0176】
第1の処理室2100に搬送された第1の封止層2060上に第1電極120が形成される。例えば、第1の処理室2100において、スパッタリング法により、ITOを用いて第1電極120を形成する。
【0177】
第1電極120が形成された第1の封止層2060は第2の処理室2200に搬送され、光電変換層130が形成される。例えば、第2の処理室2200において、第1電極120上から順に、プラズマCVD法により、p型非晶質半導体層、i型非晶質半導体層、およびn型非晶質半導体層が積層された光電変換層130を形成する。ここでは、p型半導体層成膜室として第1チャンバー2200p、i型半導体層成膜室として第2チャンバー2200i、およびn型半導体層成膜室として第3チャンバー2200nを備える例を示しており、pin接合型半導体層を連続成膜することが可能である。
【0178】
第1電極120及び光電変換層130が形成された第1の封止層2060は、中間巻き取りロール2014で巻き取られる。ここまでの工程は減圧下で行うことが好ましい。そのため、本形態では、光電変換層130形成後に、中間巻き取りロール2014に巻き取らせる。なお、搬送などスムーズに行わせるため、適宜補助ロールなどを設けることが好ましい。ここでは、補助ロール2012と補助ロール2013を設けている。
【0179】
次に、中間送り出しロール2016から送り出され、第1電極120及び光電変換層130が成膜された第1の封止層2060は第3の処理室2300に搬送され、光電変換層130および第1電極120を貫通する開口が形成される。例えば、第3の処理室2300において、レーザスクライブ法により、光電変換層130および第1電極120を貫通する開口を形成する。ここでは、素子分離や直列接続により光電変換素子を集積化するための開口と、光電変換素子群形成領域の周辺部において第1の封止層2060に用いる第1の構造体160を露出させるための開口を形成する。
【0180】
なお、第1の封止層2060を送り出す中間送り出しロール2016は、初期の工程で第1電極120及び光電変換層130が形成されて中間巻き取りロール2014に巻き取られたものである。したがって、第1電極120及び光電変換層130が形成された第1の封止層2060が巻き取られた中間巻き取りロール2014は、そのまま、もしくは、一定の長さに分断して中間送り出しロール2016としてセットすることができる。
【0181】
光電変換層130は開口により分離され、周辺部において第1の構造体160が露出された第1の封止層2060は第4の処理室2400に搬送され、素子分離用の開口を充填する絶縁層が形成される。例えば、第4の処理室2400において、印刷法により、素子分離用の開口を充填する絶縁層を形成する。ここでは、所望の開口に選択的に絶縁層を形成する。
【0182】
絶縁層による素子分離までが行われた第1の封止層2060は第5の処理室2500に搬送され、第2電極が形成される。例えば、第5の処理室2500において、印刷法により、第2電極を形成し、第1電極、光電変換層、第2電極が順に積層された光電変換素子を形成する。ここで、第2電極を形成する導電材料で、所望の開口を選択的に充填し、隣接する光電変換素子の第1電極と第2電極を電気的に接続させることで、直列に接続された光電変換素子群110が形成される。また、第2電極と同工程で、取り出し電極として機能する電極を形成する。
【0183】
光電変換素子群110が形成された第1の封止層2060は、各種工程の後に第6の処理室2600に搬送され、第2の封止層2070と接着される。例えば、第6の処理室2600において、封止用ロール2020から送り出される第2の構造体170を用いた第2の封止層2070を加熱し、光電変換素子群110が形成された第1の封止層2060に第2の構造体170を圧着させて硬化させる。第2の構造体170の第2の有機樹脂174は、加熱処理および加圧処理により、光電変換素子群110および露出する第1の構造体160に密着するように均一に広がる。その状態で硬化することで、光電変換素子群110を第1の封止層2060と第2の封止層2070とで封止することができる。好ましくは、第6の処理室2600は減圧下にあるとよい。
【0184】
第1の封止層2060と第2の封止層2070との間に光電変換素子群110が挟持され、封止された光電変換装置2080は、第7の処理室2700に搬送され、出力端子形成用の開口が形成される。例えば、第7の処理室2700において、取り出し電極として機能する電極に到達する開口を第2の封止層2070に形成する。
【0185】
取り出し電極が露出する開口が設けられた光電変換装置2080は第8の処理室2800に搬送され、出力端子180a及び出力端子180bが形成される。例えば、第8の処理室2800において、第2の封止層2070に形成された開口を充填し、発電した電力を外部に取り出す出力端子180a及び出力端子180bを形成する。
【0186】
巻き取りロール2022には、長手方向に光電変換装置2080が複数形成された帯状基体が巻き取られる。該帯状基体は、個々の光電変換装置毎に分断すればよい。このようにして、生産性良く光電変換装置を製造することができる。
【0187】
本発明の一態様に係る光電変換装置は、繊維体に有機樹脂が含浸された構造体を封止層に用いている。そのため、フレキシブル性を損なうことなく、外部ストレスに対する高い耐性を有することができる。したがって、ロール・ツー・ロール方式のような湾曲などの変形が与えられる製造方法を適用する場合でも、製造工程における破損や特性不良など品質不良の発生を防止することができる。したがって、生産性良く、信頼性の高い光電変換装置を製造することが可能となる。
【0188】
本実施の形態で示したロール・ツー・ロール方式は一例であり、本発明の一態様は特に限定されない。各プロセス間でロール状の基体を受け渡す方式としてもよいし、全ての工程を一貫して行ってもよい。また、製造プロセスを部分的にロール・ツー・ロール方式で行ってもよい。また、減圧プロセス、常圧プロセスなども、適宜実施者が決定できる。
【0189】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0190】
101 積層体
110 光電変換素子群
120 電極
130 光電変換層
140 電極
142 電極
160 構造体
162 繊維体
164 有機樹脂
167 無機絶縁層
170 構造体
172 繊維体
174 有機樹脂
177 無機絶縁層
180 出力端子
191 保護層
192 保護層
310 光電変換素子群
360 構造体
370 構造体
391 保護層
392 保護層
103a 光電変換装置
103b 光電変換装置
103c 光電変換装置
103d 光電変換装置
103e 光電変換装置
103f 光電変換装置
120a 電極
120b 電極
120c 電極
120d 電極
130a 光電変換層
130b 光電変換層
130c 光電変換層
130d 光電変換層
138a 絶縁層
138b 絶縁層
138c 絶縁層
138d 絶縁層
140a 電極
140b 電極
140c 電極
140d 電極
150a 光電変換素子
150b 光電変換素子
150c 光電変換素子
150d 光電変換素子
169a 凹部
169b 凹部
180a 出力端子
180b 出力端子
182a 配線
182b 配線
184a 端子
184b 端子
195a 導電層
195b 導電層
195c 導電層
195d 導電層
197a 電極層
197b 電極層
2010 ロール
2012 補助ロール
2013 補助ロール
2020 封止用ロール
2014 ロール
2016 ロール
2022 ロール
2060 封止層
2070 封止層
2080 光電変換装置
2100 処理室
2200 処理室
2300 処理室
2400 処理室
2500 処理室
2600 処理室
2700 処理室
2800 処理室
395a 導電層
395b 導電層
2200i チャンバー
2200n チャンバー
2200p チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して設けられた第1の封止層および第2の封止層と、
前記対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群と、
を備え、
前記第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体を有し、
前記第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体を有し、
前記光電変換素子群の周囲において、前記対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層とが直接接着する領域を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
互いに対向して設けられた第1の封止層および第2の封止層と、
前記対向する第1の封止層と第2の封止層との間に挟持して設けられた光電変換素子群と、
を備え、
前記第1の封止層は、第1の繊維体に第1の有機樹脂が含浸された第1の構造体および前記第1の構造体の前記第2の封止層と接する逆側の面に、前記第1の構造体より弾性率が低い第1の保護層を有し、
前記第2の封止層は、第2の繊維体に第2の有機樹脂が含浸された第2の構造体および前記第2の構造体の前記第1の封止層と接する逆側の面に、前記第2の構造体より弾性率が低い第2の保護層を有し、
前記光電変換素子群の周囲において、前記対向して設けられた第1の封止層と第2の封止層とが直接接着する領域を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1の保護層および前記第2の保護層は、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂のいずれか一を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、前記第1の封止層の表面および前記第2の封止層の表面の少なくとも一方に導電層を設けることを特徴とする光電変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、前記光電変換素子群と前記第1の構造体との間、および、前記光電変換素子群と前記第2の構造体との間の少なくとも一方に無機絶縁層を設ける
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、前記第1の封止層と前記第2の封止層は、前記光電変換素子群に対して層構造が対称であることを特徴とする光電変換装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、前記第1の有機樹脂および前記第2の有機樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする光電変換装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一において、
前記第1の繊維体および前記第2繊維体は、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維であることを特徴とする光電変換装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、前記光電変換素子群は、電気的に直列に接続された複数の光電変換素子を有することを特徴とする光電変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−41040(P2010−41040A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155617(P2009−155617)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】