説明

光電変換装置及び撮像システム

【課題】半導体基板の表面から半導体基板の裏面側の半導体領域へ基板バイアスを供給することができる光電変換装置及び撮像システムを提供する。
【解決手段】光電変換装置1は、画素領域130と前記画素領域の周辺に位置する周辺領域131とを有する半導体基板と、基板バイアスを供給するための電源ラインと、前記周辺領域に配された、前記半導体基板と前記電源ラインとを接続するコンタクトプラグ150とを備え、前記半導体基板は、前記基板バイアスが前記電源ラインから前記コンタクトプラグを介して前記半導体領域へ供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光電変換部(例えば、フォトダイオード)とMOSトランジスタとを1チップ化したCMOS型撮像装置が用いられている。CMOS型撮像装置は、CCD型撮像装置と比較して、消費電力が小さい、駆動電力が低いなどの利点を有しており、今後の需要拡大が予想される。
【0003】
特許文献1には、MOS型撮像装置の構造が開示されている(図14参照)。このMOS型撮像装置では、半導体基板SBにおいて、電荷蓄積層22の下にP型埋め込み層41が形成され、さらに、画素間を分離するために濃度の濃いP型ウエル領域51が形成されていることを特徴としている。これにより、発生した電子を効率よく電荷蓄積層22に蓄積できる。
【特許文献1】特開2000−150848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、図14に示されるように、P型埋め込み層41が半導体基板SBのほぼ全面に渡って形成されている場合、半導体基板SBの裏面の半導体領域20へは、半導体基板SBの表面から基板バイアス(電圧)を供給することができない。
【0005】
また、基板バイアスが供給されるべき半導体領域の裏面側に、半導体領域と別の層であって半導体基板の裏面を形成する層が形成されていることもある。ここで、半導体基板の裏面から半導体領域へ基板バイアスを供給する場合、半導体基板の裏面を形成する層の不純物濃度によっては、オーミックコンタクトが取れず、半導体領域の電位が安定しない可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、半導体基板の表面から半導体基板の裏面側の半導体領域へ基板バイアスを供給することができる光電変換装置及び撮像システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に係る光電変換装置は、画素領域と前記画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する半導体基板と、基板バイアスを供給するための電源ラインと、前記周辺領域に配された、前記半導体基板と前記電源ラインとを接続するコンタクトプラグとを備え、前記半導体基板は、前記画素領域と前記周辺領域とに延在して前記半導体基板に配された第1導電型の半導体領域と、前記周辺領域において前記半導体基板の表面と前記半導体領域との間に配された前記第1導電型の第1埋め込み層と、前記画素領域において前記半導体基板の表面と前記半導体領域との間に配された前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第2埋め込み層と、前記画素領域において前記半導体基板の表面の一部を形成する光電変換部とを含み、前記基板バイアスが前記電源ラインから前記コンタクトプラグ及び前記第1埋め込み層を介して前記半導体領域へ供給されることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2側面に係る撮像システムは、本発明の第1側面に係る光電変換装置と、前記光電変換装置の撮像面へ像を形成する光学系と、前記光電変換装置から出力された信号を処理して画像データを生成する信号処理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体基板の表面から半導体基板の裏面側の半導体領域へ基板バイアスを供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書において、層の位置関係を表す「上に」という用語は、すぐ上の層に対して用いても良いし、間に1以上の層を介した上の層に対して用いても良い。同様に、層の位置関係を表す「下に」という用語は、すぐ下の層に対して用いても良いし、間に1以上の層を介した下の層に対して用いても良い。
【0011】
本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1の概略構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1の構造断面図である。
【0012】
光電変換装置1は、例えば、スチルカメラやビデオカメラに用いられるCMOS型の光電変換装置である。光電変換装置1は、半導体基板SBと電源ライン116aとコンタクトプラグ150と他の構成要素とを備える。半導体基板SBは、光が入射する表面SB1と、表面SB1の反対側の裏面SB2とを有する。電源ライン116aは、基板バイアスを供給するための配線である。コンタクトプラグ150は、半導体基板SBの表面SB1の一部と電源ライン116aとを接続する。なお、他の構成要素とについては、後述する。
【0013】
次に、本発明の第1実施形態に係る光電変換装置1の詳細構成について、図1を用いて説明する。
【0014】
まず、画素領域130及び周辺領域131で共通に設けられる構成要素について説明する。画素領域130は、画素(後述の光電変換部)が配される領域である。周辺領域131は、画素領域130の周辺に位置する領域である。
【0015】
画素領域130及び周辺領域131には、半導体領域103、素子分離酸化膜106、層間絶縁膜111、112、113、配線層116、117、118、パッシベーション膜114、カラーフィルター層、及びマイクロレンズが形成される。ここで、半導体領域103及び素子分離酸化膜106は、半導体基板SBに含まれる。カラーフィルター層及びマイクロレンズは、図示していない。
【0016】
半導体領域103は、半導体基板SBのベースとなる領域であり、画素領域130から周辺領域131へ延在している。半導体領域103は、N型(第1導電型)の不純物がドーピングされた領域である。半導体領域103は、半導体基板SBの裏面SB2を形成する。
【0017】
素子分離酸化膜106は、画素領域130及び周辺領域131における活性領域を他の活性領域と分離するように形成されている。
【0018】
層間絶縁膜111、112、113は、配線層116、117、118及び半導体基板SBの間に形成されている。層間絶縁膜111、112、113は、絶縁性の物質で形成され、配線層116、117、118及び半導体基板SBを互いに絶縁する。
【0019】
配線層116、117、118は、導電性の物質で形成され、電気的な信号を伝達する。例えば、配線層116は、基板バイアスを供給するための電源ライン116aを含む。
【0020】
パッシベーション膜114は、配線層118の上に形成されている。パッシベーション膜114は、画素領域130及び周辺領域131に形成された素子を保護する。
【0021】
カラーフィルター層は、パッシベーション膜114の上に形成される。カラーフィルター層は、特に画素領域130において、特定の色(波長)の光を選択的に透過する。
【0022】
マイクロレンズは、カラーフィルター層の上に形成される。マイクロレンズは、特に画素領域130において、入射した光を、カラーフィルター層を介して後述の光電変換部101へ集める。ここで、マイクロレンズに入射した光の量のうち光電変換部101へ集められる光の量の割合を、光電変換部101の集光効率と呼ぶ。
【0023】
次に、周辺領域131に設けられる構成要素について説明する。
【0024】
周辺領域131には、第1埋め込み層121、第1半導体層104a、Nウエル領域122、Pウエル領域124、拡散領域126、及びコンタクトプラグ150が形成される。ここで、第1埋め込み層121、第1半導体層104a、Nウエル領域122、Pウエル領域124、及び拡散領域126は、半導体基板SBに含まれる。
【0025】
第1埋め込み層121は、半導体基板SBの表面SB1と半導体領域103との間に配される。第1埋め込み層121は、N型の不純物がドーピングされた領域である。
【0026】
第1半導体層104aは、半導体基板SBの表面SB1と第1埋め込み層121との間に配される。第1半導体層104aは、エピタキシャル成長された後に(イオン注入以外の方法で)N型の不純物がドーピングされた領域である。
【0027】
Nウエル領域122は、第1半導体層104aの表面側に形成される。Nウエル領域122は、N型の不純物がドーピングされた領域である。Nウエル領域122には、ソース・ドレイン領域123を含むPMOSトランジスタが形成される。
【0028】
Pウエル領域124は、第1半導体層104aの表面側に形成される。Pウエル領域124は、P型(第2導電型)の不純物がドーピングされた領域である。Pウエル領域124には、ソース・ドレイン領域125を含むNMOSトランジスタが形成される。P型は、N型と反対導電型である。
【0029】
拡散領域126は、Nウエル領域122の表面側に形成される。拡散領域126は、N型の不純物がドーピングされた領域である。
【0030】
コンタクトプラグ150は、第1半導体層104aの表面に配され、拡散領域126に接触するように形成される。コンタクトプラグ150は、タングステンなどの導電性の物質で形成される。ここで、拡散領域126、Nウエル領域122、第1半導体層104a、第1埋め込み層121、及び半導体領域103は、いずれもN型の領域である。すなわち、コンタクトプラグ150は、拡散領域126、Nウエル領域122、第1半導体層104a、第1埋め込み層121、及び半導体領域103に電気的に接続されている。そして、コンタクトプラグ150には、半導体領域103に供給するための電圧が印加される。これにより、コンタクトプラグ150は、拡散領域126、Nウエル領域122、第1半導体層104a、及び第1埋め込み層121を介して、半導体領域103へ基板バイアス(例えば、グランド電圧)を供給する。これにより、半導体基板SBの表面から半導体基板SBの裏面側の半導体領域103へ基板バイアスを供給することができる。
【0031】
よって、半導体基板SBの裏面を形成する層の不純物濃度に依存せずに半導体領域103へ基板バイアスを供給することができる。これにより、半導体基板SBの裏面から半導体領域103へ基板バイアスを供給する場合に比べて、半導体領域103の電位を安定させることが可能となる。ここで、基板バイアスとは、半導体領域103を所定の電位に固定するために供給される電圧である。
【0032】
なお、基板バイアスが供給されるべき半導体領域103の裏面側に、半導体領域103と別の層であって半導体基板SBの裏面を形成する層が形成されていてもよい。
【0033】
また、半導体基板SBの裏面から半導体領域103へ基板バイアスを供給する必要がないので、マイクロレンズを形成した後に半導体基板SBの裏面を研磨する必要がない。これにより、マイクロレンズが変形することを低減できるため、光電変換部101の集光効率の低下を避けることができる。
【0034】
次に、画素領域130について説明する。画素領域130には、光電変換部101、転送MOSトランジスタ102、第2埋め込み層105、第2半導体層104b、チャネルストップ層119、及びコンタクトプラグ115が形成されている。ここで、光電変換部101、第2埋め込み層105、第2半導体層104b、及びチャネルストップ層119は、半導体基板SBに含まれる。
【0035】
光電変換部101は、半導体基板SBの表面SB1の一部を形成する。光電変換部101は、例えば、フォトダイオードである。光電変換部101は、電荷蓄積層107及び電荷再結合層109を含む。電荷再結合層109は、半導体基板SBの表面SB1の一部を形成する。電荷再結合層109は、P型の不純物がドーピングされた領域である。電荷蓄積層107は、電荷再結合層109と第2半導体層104bとの間に配され、光電変換された電荷(電子)が蓄積される。電荷蓄積層107は、N型の不純物がドーピングされた領域である。これにより、光電変換された電荷による暗電流を抑制でき、光電変換部101のダイナミックレンジが小さくなってしまうことを避けることができる。
【0036】
転送MOSトランジスタ102は、電荷蓄積層107、ゲート電極110、フローティングディフュージョン(以下、FDとする)108、及びPウエル領域120を含む。電荷蓄積層107は、上述のようにN型の不純物がドーピングされた領域であり、ソースとして機能する。FD108は、N型の不純物がドーピングされた領域であり、ドレインとして機能する。Pウエル領域120は、P型の不純物がドーピングされた領域であり、ゲート電極110に印加された電圧に応じてチャネル領域が形成される。
【0037】
第2埋め込み層105は、半導体基板SBの表面SB1と半導体領域103との間に配される。第2埋め込み層105は、P型の不純物がドーピングされた領域である。ここで、第2埋め込み層105における不純物濃度のピークの領域の深さは、光電変換部101及び第2半導体層104bの厚さで決まり、例えば表面から4μmの深さである。この深さにより分光感度のピークが決まる。また、第2埋め込み層105の濃度分布は、ピークの領域から表面に向かって徐徐に濃度が下がる分布である。これにより、第2埋め込み層105の内部で発生した電子を効率よく光電変換部101の電荷蓄積層107に導くことができる。このため、光電変換部101の感度の向上が可能となり、光電変換部101のブルーミングを抑制できる。また、この第2埋め込み層105のピークの領域の濃度を1E17から1E18(/cm)にすることにより、不純物イオン種であるボロン特有の結晶欠陥を防止しつつ、P型埋め込み層の電位のゆらぎ(振られの影響)を抑制できる。
【0038】
第2半導体層104bは、半導体基板SBの表面SB1と第2埋め込み層105との間に配される。第2半導体層104bは、エピタキシャル成長した後に(イオン注入以外の方法で)N型の不純物がドーピングされた領域である。第2半導体層104bのN型の不純物濃度は、電荷蓄積層107のN型の不純物濃度よりも低い。このような構造によって、更に、第2埋め込み層105や第2半導体層104bの内部で発生した電子を電荷蓄積層107に容易に導くことができる。
【0039】
チャネルストップ層119は、素子分離酸化膜106の下において、素子分離酸化膜106と第2埋め込み層105との間に形成されている。チャネルストップ層119は、P型の不純物がドーピングされた領域である。チャネルストップ層119のP型の不純物濃度は、第2埋め込み層105のP型の不純物濃度よりも高い。
【0040】
コンタクトプラグ115は、FD108と配線層116とを接続するように形成されている。コンタクトプラグ115は、タングステンなどの導電性の物質で形成される。これにより、FD108が保持する電荷による信号を、コンタクトプラグ115を介して配線層116へ伝達することができる。
【0041】
拡散領域127は、チャネルストップ層119の表面側に形成される。拡散領域127は、P型の不純物がドーピングされた領域である。
【0042】
コンタクトプラグ151は、拡散領域127に接触するように形成される。コンタクトプラグ151は、タングステンなどの導電性の物質で形成される。ここで、拡散領域127、チャネルストップ層119、及び第2埋め込み層105は、いずれもP型の領域である。すなわち、コンタクトプラグ151は、拡散領域127及びチャネルストップ層119を介して、第2埋め込み層105に電気的に接続されている。そして、コンタクトプラグ151には、第2埋め込み層105に供給するための電圧が印加される。なお、この拡散領域127は、コンタクトプラグ151を形成するためのコンタクトホールを用いて、自己整合的に形成してもよい。
【0043】
ここで、画素領域130と周辺領域131とを比較すると、第1埋め込み層121におけるN型の不純物濃度は、第2埋め込み層105におけるP型の不純物濃度より大きい。これにより、エピタキシャル成長時の第2埋め込み層105からP型の不純物が外方拡散することを低減できるので、第1埋め込み層121がP型化することを防止することができ、第1埋め込み層121の不純物濃度を安定化することができる。このため、電源ライン116aからコンタクトプラグ150、拡散領域126、Nウエル領域122、第1半導体層104a、及び第1埋め込み層121経由で半導体領域103に基板バイアス(例えば、グランド電圧)を安定して供給することができる。
【0044】
また、電荷蓄積層107と第2埋め込み層105との間の第2半導体層104bの厚さは、電荷蓄積層107及び第2半導体層104bの合計の厚さをTとした場合、T×0.2以下にすることが望ましい。この値で制御することにより、電荷蓄積層の飽和電荷数を高く制御しやすくなる。
【0045】
これは、図2を用いて次のように説明される。図2は、第2半導体層104bの厚さと光電変換部101の飽和電荷との関係を示す。図2では、横軸が、第2半導体層104bにおいて電荷蓄積層107と第2埋め込み層105とに挟まれる部分の厚さ(μm)を示し、縦軸が、光電変換部101の飽和電荷を電圧値に換算した値(V相当)を示す。図2には、電荷蓄積層107及び第2半導体層104bで構成されるN型領域を空乏化する空乏化電圧を1.5Vにした場合の関係が示されている。なお、図2では、電荷蓄積層107及び第2半導体層104bの合計の厚さが一定であることが前提となっている。
【0046】
図2によれば、第2半導体層104bの厚さが薄いほど、電荷蓄積層107の厚さが厚くなるので、飽和電荷を高くできる。具体的には、第2半導体層104b形成後に適切な熱処理を施して、第2埋め込み層105を、電荷蓄積層107にむかって上方拡散させる。それにより、第2半導体層104bの厚さをT×0.2以下にすることができ、飽和電荷を高く制御することができる。このため、光電変換部101の感度を向上できる。
【0047】
なお、本発明において第2半導体層104bを使用する上での、厚さ管理幅は、電荷蓄積層107及び第2半導体層104bの厚さをTとしたとき、T±10%が現実的である。また、上記の「T×0.2」における「0.2」は、プロセスマージンを考慮して決められた値の一例であり、用いられるプロセスに応じて適切な値に置き換えられる。
【0048】
次に、光電変換装置1の製造方法を、図3〜図11を用いて説明する。図3〜図11は、光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図である。
【0049】
図3に示す工程では、半導体基板SBに半導体領域103が形成された後、半導体領域103の表面側に、第1埋め込み層121と第2埋め込み層105とをイオン注入にて形成する。第1埋め込み層121は、As,PなどのN型の不純物イオンを半導体基板SBに注入して形成する。第2埋め込み層105は、BなどのP型の不純物イオンを半導体基板SBに注入して形成する。第1埋め込み層121が配された領域は周辺回路が配される周辺領域131であり、第2埋め込み層105が配された領域は光電変換部101が配される画素領域130である。
【0050】
図4に示す工程では、周辺領域131及び画素領域130にN型の半導体層104をエピタキシャル成長させて形成する。
【0051】
図5に示す工程では、LOCOS法、STI法などによって素子分離酸化膜106を形成する。
【0052】
図6に示す工程では、周辺領域131において、半導体層104(図5参照)の一部の領域にイオン注入して、Pウエル領域124、Nウエル領域122を形成する。また、画素領域130において、半導体層104の一部の領域にイオン注入して、P型のチャネルストップ層119及びPウエル領域120を形成する。ここで、周辺領域131の半導体層104においてイオン注入されなかった領域が第1半導体層104aとなる。画素領域130の半導体層104においてイオン注入されなかった領域が第2半導体層104bとなる。
【0053】
図7に示す工程では、例えばポリシリコンにて、トランジスタのゲート電極110を形成する。
【0054】
図8に示す工程では、画素領域130において、第2半導体層104b(図7参照)の一部の領域にイオン注入して、N型の電荷蓄積層107及びP型の電荷再結合層109を形成する。ここで、第2半導体層104bにおいてイオン注入されなかった領域が第2半導体層104bとして残存する。また、Pウエル領域120の一部の領域にN型の不純物をイオン注入して、FD108を形成する。
【0055】
一方、周辺領域131では、Nウエル領域122の一部の領域にイオン注入して、ソース・ドレイン領域123及び拡散領域126を形成する。拡散領域126は、As,PなどのN型の不純物イオンを注入して形成する。また、周辺領域131では、Pウエル領域124の一部の領域にイオン注入して、ソース・ドレイン領域125を形成する。
【0056】
図9に示す工程では、層間絶縁膜111を形成する。そして、コンタクトプラグ150、コンタクトプラグ151、コンタクトプラグ115及び配線層116等を形成する。
【0057】
図10に示す工程では、層間絶縁膜112、配線層117を形成する。
【0058】
図11に示す工程では、層間絶縁膜113、配線層118及びパッシベーション膜114を形成する。そして、パッシベーション膜114の上には、図示しないカラーフィルター及びマイクロレンズを形成する。
【0059】
なお、以上の製造方法は、周知の製造技術を用いて行うことが可能である。
【0060】
次に、本発明の光電変換装置を適用した撮像システムの一例を図12に示す。
【0061】
撮像システム90は、図12に示すように、主として、光学系、撮像装置86及び信号処理部を備える。光学系は、主として、シャッター91、撮影レンズ92及び絞り93を備える。撮像装置86は、光電変換装置1を含む。信号処理部は、主として、撮像信号処理回路95、A/D変換器96、画像信号処理部97、メモリ部87、外部I/F部89、タイミング発生部98、全体制御・演算部99、記録媒体88及び記録媒体制御I/F部94を備える。なお、信号処理部は、記録媒体88を備えなくても良い。
【0062】
シャッター91は、光路上において撮影レンズ92の手前に設けられ、露出を制御する。
【0063】
撮影レンズ92は、入射した光を屈折させて、撮像装置86の光電変換装置1の撮像面へ被写体の像を形成する。
【0064】
絞り93は、光路上において撮影レンズ92と光電変換装置1との間に設けられ、撮影レンズ92を通過後に光電変換装置1へ導かれる光の量を調節する。
【0065】
撮像装置86の光電変換装置1は、光電変換装置1の撮像面に形成された被写体の像を画像信号に変換する。撮像装置86は、その画像信号を光電変換装置1から読み出して出力する。
【0066】
撮像信号処理回路95は、撮像装置86に接続されており、撮像装置86から出力された画像信号を処理する。
【0067】
A/D変換器96は、撮像信号処理回路95に接続されており、撮像信号処理回路95から出力された処理後の画像信号(アナログ信号)をデジタル信号へ変換する。
【0068】
画像信号処理部97は、A/D変換器96に接続されており、A/D変換器96から出力された画像信号(デジタル信号)に各種の補正等の演算処理を行い、画像データを生成する。この画像データは、メモリ部87、外部I/F部89、全体制御・演算部99及び記録媒体制御I/F部94などへ供給される。
【0069】
メモリ部87は、画像信号処理部97に接続されており、画像信号処理部97から出力された画像データを記憶する。
【0070】
外部I/F部89は、画像信号処理部97に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、外部I/F部89を介して外部の機器(パソコン等)へ転送する。
【0071】
タイミング発生部98は、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97に接続されている。これにより、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97へタイミング信号を供給する。そして、撮像装置86、撮像信号処理回路95、A/D変換器96及び画像信号処理部97がタイミング信号に同期して動作する。
【0072】
全体制御・演算部99は、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94に接続されており、タイミング発生部98、画像信号処理部97及び記録媒体制御I/F部94を全体的に制御する。
【0073】
記録媒体88は、記録媒体制御I/F部94に取り外し可能に接続されている。これにより、画像信号処理部97から出力された画像データを、記録媒体制御I/F部94を介して記録媒体88へ記録する。
【0074】
以上の構成により、光電変換装置1において良好な画像信号が得られれば、良好な画像(画像データ)を得ることができる。
【0075】
次に、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置500について、図13を用いて説明する。図13は、本発明の第2実施形態に係る光電変換装置500の構造断面図である。
【0076】
光電変換装置500は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるが、光電変換部501を備える点と、第2半導体層104bを備えずウエル層556を備える点とで第1実施形態と異なる。
【0077】
光電変換部501は、電荷蓄積層507を含む。
【0078】
ウエル層556は、画素領域530において、光電変換部501と第2埋め込み層105との間に配されている。すなわち、ウエル層556は、電荷蓄積層507と第2埋め込み層105との間に形成されている。ウエル層556は、P型の不純物がイオン注入等によりドーピングされた領域である。
【0079】
ここで、ウエル層556におけるP型の不純物濃度(ピーク濃度)は、電荷蓄積層507におけるN型の不純物濃度より高い。これにより、電荷蓄積層507の空乏化電圧のばらつきを抑えることができる。
【0080】
また、ウエル層556におけるP型の不純物濃度(ピーク濃度)は、第2埋め込み層105におけるP型の不純物濃度より低い。これにより、光電変換部501の深いところで発生した電子を効率よく電荷蓄積層507に導くことができるので、光電変換部501の感度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光電変換装置の構造断面図。
【図2】第2半導体層の厚さと光電変換部の飽和電荷との関係を示す図。
【図3】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図4】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図5】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図6】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図7】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図8】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図9】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図10】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図11】光電変換装置1の製造方法を示す工程断面図。
【図12】本発明の光電変換装置を適用した撮像システムの一例を示す図。
【図13】本発明の第2実施形態に係る光電変換装置の構造断面図。
【図14】背景技術を説明する図。
【符号の説明】
【0082】
1,500 光電変換装置
101,501 光電変換部
103 半導体領域
104a 第1半導体層
104b 第2半導体層
105 第2埋め込み層
107,507 電荷蓄積層
109 電荷再結合層
121 第1埋め込み層
130,530 画素領域
131 周辺領域
150 コンタクトプラグ
556 ウエル層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域と前記画素領域の周辺に位置する周辺領域とを有する半導体基板と、
基板バイアスを供給するための電源ラインと、
前記周辺領域に配された、前記半導体基板と前記電源ラインとを接続するコンタクトプラグと、
を備え、
前記半導体基板は、
前記画素領域と前記周辺領域とに延在して前記半導体基板に配された第1導電型の半導体領域と、
前記周辺領域において前記半導体基板の表面と前記半導体領域との間に配された前記第1導電型の第1埋め込み層と、
前記画素領域において前記半導体基板の表面と前記半導体領域との間に配された前記第1導電型と反対導電型である第2導電型の第2埋め込み層と、
前記画素領域において前記半導体基板の表面の一部を形成する光電変換部と、
を含み、
前記基板バイアスが前記電源ラインから前記コンタクトプラグ及び前記第1埋め込み層を介して前記半導体領域へ供給される
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記第1埋め込み層における前記第1導電型の不純物濃度は、前記第2埋め込み層における前記第2導電型の不純物濃度より大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第1導電型は、N型であり、
前記第2導電型は、P型である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記半導体基板は、
前記周辺領域において前記半導体基板の表面と前記第1埋め込み層との間に配された前記第1導電型の第1半導体層と、
前記画素領域において前記光電変換部と前記第2埋め込み層との間に配された前記第1導電型の第2半導体層と、
をさらに含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記光電変換部は、
前記半導体基板の表面の一部を形成する前記第2導電型の電荷再結合層と、
前記電荷再結合層と前記第2半導体層との間に形成され、光電変換された電荷が蓄積される前記第1導電型の電荷蓄積層と、
を含み、
前記第2半導体層における前記第1導電型の不純物濃度は、前記電荷蓄積層における前記第1導電型の不純物濃度より低い
ことを特徴とする請求項4に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記半導体基板は、前記画素領域において前記光電変換部と前記第2埋め込み層との間に配された前記第2導電型のウエル層をさらに含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記光電変換部は、
前記半導体基板の表面の一部を形成する前記第2導電型の電荷再結合層と、
前記電荷再結合層と前記ウエル層との間に配され、光電変換された電荷が蓄積される前記第1導電型の電荷蓄積層と、
を含み、
前記ウエル層における前記第2導電型の不純物濃度は、前記電荷蓄積層における前記第1導電型の不純物濃度より高く、前記第2埋め込み層における前記第2導電型の不純物濃度より低い
ことを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の撮像面へ像を形成する光学系と、
前記光電変換装置から出力された信号を処理して画像データを生成する信号処理部と、
を備えたことを特徴とする撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−43932(P2009−43932A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207178(P2007−207178)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】