説明

光電気変換モジュール

【課題】容易に製造でき、伝送特性が良好で、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールを提供する。
【解決手段】回路基板31は段差32が形成されて上段面31aと下段面31bとを有し、フェルール12が回路基板31の下段面31bに取り付けられ、フェルール12の上面12bと回路基板31の上段面31aとが同一面に配置され、フェルール12の上面12b側へ延在されて露出された電極13のパッド部13aと回路基板31の上段面31aに設けられた導体パターン31cとに、電気デバイス35がバンプ36を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送等に用いられる光電気変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
LSI間信号の高速化に伴い、電気による伝送ではノイズ、消費電力増加を解消することが困難となってきている。そこで、近年、LSI間を、電磁障害や周波数依存性損失が殆どない光通信で伝送する試みがなされている。
この光伝送に用いられる光配線部品として、光ファイバ等の光導波体と、該光導波体の光入出力端が素子搭載面から少なくとも一部突出するように該光導波体を保持し位置決めするフェルールと、このフェルールの少なくとも素子搭載面に設けられた電気配線と、前記フェルールの素子搭載面に搭載され且つ前記電気配線に電気接続された面型光素子とを具備したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−59867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の光配線部品は、電気デバイスが実装された基板に固定され、電気デバイスとワイヤボンディングで電気接続されてモジュール化される。このため、このボンディングワイヤ部分で電気的ノイズの影響を受けるおそれがある。特に、受信及び送信の両方を行う双方向通信のモジュールでは、微弱な電流を出力する受信用の素子であるPD(フォトダイオード)の近傍に、比較的大きい電流を流す送信用の素子であるVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が配置されることとなる。すると、駆動ICとVCSELとの間を流れる電流によりPDとTIA(トランスインピーダンスアンプ)との間のボンディングワイヤがクロストークノイズを受けて伝送特性が低下するおそれがある。
【0005】
また、モジュール化した場合、ボンディングワイヤ部分を保護するために、ボンディングワイヤ部分及びその周囲を保護モールド樹脂で覆わなければならず、その作業に多大な手間を要していた。しかも、ボンディングワイヤ部分及びその周囲を保護モールド樹脂で覆って保護する構造では、樹脂が硬化する際の応力が受発光素子に作用し、信頼性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、容易に製造でき、伝送特性が良好で、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の光電気変換モジュールは、光ファイバが挿入される光ファイバ挿通孔を有し、前記光ファイバの挿入方向前方側の固定面に電極が設けられたフェルールと、前記電極と導通接続された状態に前記フェルールの前記固定面に取り付けられた受発光素子と、前記フェルールが固定された基板と、前記受発光素子と電気的に接続された電気デバイスと、を有し、
前記基板は、段差が形成されて上段面と下段面とを有し、
前記フェルールが前記基板の下段面に取り付けられて、前記フェルールの上面と前記基板の上段面とが同一面に配置され、
前記フェルールの上面側へ延在された前記電極と前記基板の上段面に設けられた配線電極とに、前記電気デバイスがバンプを介して接続されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記受発光素子と前記基板との間に放熱板が設けられ、前記放熱板は、前記受発光素子及び前記基板の両方に接触していることが好ましい。
【0009】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記放熱板は、前記基板に埋め込まれて前記基板と直接的に面接触していることが好ましい。
【0010】
本発明の光電気変換モジュールにおいて、前記放熱板は、前記受発光素子と前記基板との間以外の部分まで延在されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光電気変換モジュールによれば、電気デバイスを受発光素子と導通接続させるワイヤボンディング接続を不要とすることができる。これにより、信号経路の大幅な短縮を図り、ボンディングワイヤで生じていたノイズやクロストークを抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。特に、光電気変換モジュールが受信及び送信の両方を行う双方向通信のモジュールであっても、駆動ICとVCSELとの間を流れる電流によりPDとTIAとの間でクロストークノイズを受けて伝送特性が低下するおそれも大幅に抑制することができる。
また、ワイヤボンディング接続が不要となるので、ワイヤボンディングによる接続工程及びボンディングワイヤを保護するポッティング樹脂の塗布工程の削減による製造の容易化を図ることができるとともに、ポッティング樹脂の硬化時の応力が受発光素子に作用することもなく、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光電気変換モジュールを示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る光電気変換モジュールを示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る光電気変換モジュールの変形例を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光電気変換モジュールを示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る光電気変換モジュールの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る光電気変換モジュールについて説明する。
図1に示すように、第1実施形態に係る光電気変換モジュール11Aは、フェルール12を備えている。このフェルール12は、保持する光ファイバ15の光軸方向における一方の端面が固定面12aとされており、この固定面12aには、複数の電極13が設けられている。このフェルール12は、例えば、熱可塑性樹脂から形成されたものであり、複数の電極13とともに一体成形されたLFI(Lead Frame Inserted)フェルールである。電極13は、厚さ方向へ延在され、その一部がフェルール12の上面12b側へ延ばされ、この上面12bに沿って配置されている。そして、このフェルール12の上面12bに配置された部分がパッド部13aとして形成されている。
【0014】
フェルール12には、複数の光ファイバ挿通孔14が形成されており、これらの光ファイバ挿通孔14には、それぞれ光ファイバ15が後端側から挿入されている。光ファイバ15は、コア15aの外周をクラッド15bによって覆った構造である。また、光ファイバ15は、4心以上がテープ状に一体化された光テープ心線とされており、フェルール12との接続箇所では、単心毎に分離され、光ファイバ挿通孔14へそれぞれ挿入されている。
【0015】
フェルール12の光ファイバ挿通孔14に挿入される光ファイバ15は、接着剤によって接着されて固定される。なお、光ファイバ15は、予めフェルール12に接続されていてもよく、また、モジュール化後にフェルール12に接続してもよい。
【0016】
このフェルール12には、その固定面12aに受発光素子16が取り付けられている。この受発光素子16は、フェルール12の固定面12aに取り付けられる取り付け面である素子面16aに、素子部17と端子部18とを有している。
【0017】
この受発光素子16は、例えば、VCSELやPDなどの発光素子または受光素子である。受発光素子16の素子部17は、受発光素子16が発光素子である場合は発光部であり、受発光素子16が受光素子である場合は受光部である。
なお、光電気変換モジュール11Aが双方向通信用である場合、フェルール12の固定面12aには、例えば、幅方向半分に受発光素子16として発光素子が取り付けられ、残りの幅方向半分側に受発光素子16として受光素子が取り付けられる。
【0018】
受発光素子16は、その端子部18が、フェルール12に設けられた電極13に対して、例えば、金(Au)からなるバンプ19によって導通接続されている。このバンプ19による接続は、超音波振動または熱によってバンプ19を介して端子部18と電極13とを接続するフリップチップ実装で行われる。このようにフェルール12に取り付けられた受発光素子16は、その素子部17が、フェルール12の光ファイバ挿通孔14の対向位置に配置されている。
【0019】
フェルール12には、サブマウント21が装着されている。このサブマウント21は、熱抵抗の低い高熱伝導材から形成されたものであり、例えば、アルミニウム等の金属板やセラミック板などを用いるのが好ましい。このサブマウント21は、折り曲げ加工等によって、固定板部21aと、固定板部21aの端部から上方へ立設された放熱板部21bとを有する側面視L字状に形成されている。フェルール12は、受発光素子16側を放熱板部21bへ向けた状態で、底面が固定板部21aに、熱硬化性の樹脂からなるダイボンド剤(接着剤)によって接着されて固定されている。
また、受発光素子16は、フェルール12側へ向けられた素子面16aと反対側の裏面16bが、例えば、シリコーン樹脂等の放熱用の樹脂ペースト23を介してサブマウント21の放熱板部21bに面接触されている。
【0020】
サブマウント21が装着されたフェルール12は、回路基板(基板)31に取り付けられている。回路基板31には、段差32が形成されており、これにより、回路基板31は上段面31aと下段面31bとを有している。フェルール12は、回路基板31の下段面31b上に配置されている。この回路基板31の段差32の高さ寸法は、サブマウント21が装着された厚さを含むフェルール12の厚さ寸法と略同一であり、これにより、回路基板31の下段面31bに配置されたフェルール12の上面12bと、回路基板31の上段面31aとが同一面上に配置されている。また、回路基板31の上段面31aには、導体パターン(配線電極)31cが設けられている。フェルール12は、回路基板31の下段面31bに、熱硬化性の樹脂からなるダイボンド剤(接着剤)によってサブマウント21を接着することにより固定されている。
【0021】
同一面内に配置されたフェルール12の上面12b及び回路基板31の上段面31aには、フェルール12と回路基板31とに跨るように、電気デバイス35が設けられている。この電気デバイス35は、例えば、発光素子であるVCSELまたは受光素子であるPDなどの受発光素子16と電気的に接続される駆動ICまたはTIAである。なお、光電気変換モジュール11Aが双方向通信用であり、受発光素子16としてフェルール12の固定面12aの幅方向半分に発光素子を取り付け、残りの幅方向半分側に受光素子を取り付けた場合、電気デバイス35は、その幅方向の半分が発光側の駆動IC部であり、残りの幅方向の半分が受光側のTIA部である。
【0022】
この電気デバイス35は、その下面側に、端子部35aを有しており、これらの端子部35aが、電極13のパッド部13a及び回路基板31の導体パターン31cに対して、例えば、金(Au)からなるバンプ36を介して導通接続されている。このバンプ36による接続は、超音波振動または熱によってバンプ36を介して端子部35aをパッド部13a及び導体パターン31cへ接続するフリップチップ実装で行われる。
【0023】
上記の光電気変換モジュール11Aでは、受発光素子16と光ファイバ15との間で光伝送が行われる。
発光素子からなる受発光素子16からガラスファイバ15へ光伝送が行われる場合では、受発光素子16の素子部17から発光された光がガラスファイバ15のコア15aへ入射することとなる。また、ガラスファイバ15から受光素子からなる受発光素子16へ光伝送が行われる場合では、ガラスファイバ15のコア15aから出射した光が受発光素子16の素子部17へ入射することとなる。また、受発光素子16が、発光素子及び受光素子の両方からなる場合、光電気変換モジュール11Aは、光ファイバ15との間で光送受信が行われる双方向通信用となる。
【0024】
上記の光電気変換モジュール11Aでは、回路基板31の下段面31bに配置されたフェルール12の上面12bと回路基板31の上段面31aとが同一面に配置され、この同一面に配置されたフェルール12の上面12bのパッド部13aと回路基板31の上段面31aの導体パターン31cとに、電気デバイス35がバンプ36を介して接続されている。したがって、この光電気変換モジュール11Aによれば、電気デバイス35を受発光素子16と導通接続させるワイヤボンディング接続を不要とすることができる。これにより、信号経路の大幅な短縮を図り、ボンディングワイヤで生じていたノイズやクロストークを抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
特に、光電気変換モジュール11Aが受信及び送信の両方を行う双方向通信のモジュールであっても、駆動ICとVCSELとの間を流れる電流によりPDとTIAとの間でクロストークノイズを受けて伝送特性が低下するおそれも大幅に抑制することができる。
【0025】
また、ワイヤボンディング接続が不要となるので、ワイヤボンディングによる接続工程及びボンディングワイヤを保護するポッティング樹脂の塗布工程を削減することができる。そのため、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、ポッティング樹脂の硬化時の応力が受発光素子16に作用することもなく、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールとすることができる。
【0026】
ところで、フェルール12の上面12bと回路基板31の上段面31aとに電気デバイス35を実装すると、発熱源である電気デバイス35と受発光素子16とが近くに配置されるため、電気デバイス35の熱が電極13を介して受発光素子16に回り込んで伝わる可能性が考えられる。
しかし、上記の光電気変換モジュール11Aでは、受発光素子16と回路基板31との間にサブマウント21を設けることで、回路基板31をサブマウント21に接触させ、また、受発光素子16を放熱用の樹脂ペースト23を介してサブマウント21に接触させているので、受発光素子16の熱を極めて良好に、サブマウント21を介して回路基板31へ伝達させることができる。つまり、受発光素子16の良好な放熱経路を確保することができ、フェルール12の上面12bと回路基板31の上段面31aとに電気デバイス35を実装しても、受発光素子16を高効率で放熱させて良好な性能を維持させることができる。また、受発光素子16が、サブマウント21の放熱板部21bに面接触されて支持されるので、フェルール12と受発光素子16とを接着して固定するアンダーフィル材も不要とすることができる。これにより、アンダーフィル材の充填工程を削減することができ、また、アンダーフィル材の硬化時における受発光素子16への応力の負荷もなくすことができる。
【0027】
特に、サブマウント21は、受発光素子16と回路基板31との間の放熱板部21bから、受発光素子16と回路基板31との間以外の部分まで延在する固定板部31aを有するので、受発光素子16と回路基板31との間以外の部分へ効率的に熱を伝えることができ、極めて高い放熱効果を得ることができる。
なお、サブマウント21の放熱板部21bと段差32を構成する壁面32aとは、隙間をあけて配置しても良いが、サブマウント21の放熱板部21bを段差32の壁面32aに面接触させれば、熱の伝達効率が高められるのでより好ましい。
また、回路基板31の下段面31bに、サブマウント21の固定板部21aの全面が接触するアース用の導体パターンを形成しておくことにより、サブマウント21から回路基板31への熱の伝達効率を大幅に向上させることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光電気変換モジュールについて説明する。
なお、上記第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図2に示すように、この光電気変換モジュール11Bでは、サブマウント21が回路基板31にインサート成型され、これにより、サブマウント21が予め回路基板31に埋め込まれている。そして、このサブマウント21が、回路基板31と直接的に面接触されている。
【0029】
このサブマウント21が埋め込まれた回路基板31に対して、フェルール12は、受発光素子16側を放熱板部21bへ向けた状態で、底面が固定板部21aに、熱硬化性の樹脂からなるダイボンド剤(接着剤)によって接着されて固定されている。また、受発光素子16は、フェルール12側へ向けられた素子面16aと反対側の裏面16bが放熱用の樹脂ペースト23を介してサブマウント21の放熱板部21bに面接触されている。
【0030】
この光電気変換モジュール11Bの場合も、フェルール12の上面12bと、回路基板31の上段面31aとが同一面に配置されており、この同一面内に配置されたフェルール12の上面12b及び回路基板31の上段面31aに、フェルール12と回路基板31とに跨るように、電気デバイス35が設けられている。
そして、この電気デバイス35は、その下面側の端子部35aが、パッド部13a及び導体パターン31cに対してバンプ36によって導通接続されている。
【0031】
上記の光電気変換モジュール11Bの場合も、電気デバイス35を受発光素子16と導通接続させるワイヤボンディング接続を不要とすることができ、これにより、信号経路の大幅な短縮を図り、ボンディングワイヤで生じていたノイズやクロストークを抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
また、ワイヤボンディング接続が不要となるので、ワイヤボンディングによる接続工程及びボンディングワイヤを保護するポッティング樹脂の塗布工程を削減することができる。そのため、製造工程の簡略化を図ることができるとともに、ポッティング樹脂の硬化時の応力が受発光素子16に作用することもなく、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールとすることができる。また、受発光素子16が、サブマウント21の放熱板部21bに面接触されて支持されるので、フェルール12と受発光素子16とを接着して固定するアンダーフィル材も不要とすることができる。これにより、アンダーフィル材の充填工程を削減することができ、また、アンダーフィル材の硬化時における受発光素子16への応力の負荷もなくすことができる。
【0032】
特に、サブマウント21が回路基板31に埋め込まれているので、回路基板31への伝熱効果を高めることができ、よって受発光素子16の放熱効果をさらに高めることができる。
なお、サブマウント21は、その固定板部21aを、下段面31bに沿って配設して埋め込んだが、図3に示すように、固定板部21aを、フェルール12と反対側へ延ばして回路基板31内に埋め込んでもよい。このようにしても、固定板部21aから回路基板31への熱の伝達効率を高めることができる。
【0033】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る光電気変換モジュールについて説明する。
なお、第1実施形態と同一構成部分は、同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、この第3実施形態に係る光電気変換モジュール11Cでは、サブマウント21を設けず、フェルール12を、回路基板31の下段面31bへ配置してダイボンド剤によって直接固定している。また、この光電気変換モジュール11Cでは、受発光素子16の裏面16bが、放熱用の樹脂ペースト23を介して回路基板31の段差32を構成する壁面32aに直接的に面接触されている。
【0034】
この光電気変換モジュール11Cの場合も、電気デバイス35を受発光素子16と導通接続させるワイヤボンディング接続を不要とすることができ、これにより、信号経路の大幅な短縮を図り、ボンディングワイヤで生じていたノイズやクロストークを抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
また、ワイヤボンディング接続が不要となるので、ワイヤボンディングによる接続工程及びボンディングワイヤを保護するポッティング樹脂の塗布工程の削減でき、製造工程の簡略化を図ることができる。また、ポッティング樹脂の硬化時の応力が受発光素子16に作用することもなく、信頼性の高い伝送が可能な光電気変換モジュールとすることができる。また、受発光素子16が、段差32を構成する壁面32aに面接触されて支持されるので、フェルール12と受発光素子16とを接着して固定するアンダーフィル材も不要とすることができる。これにより、アンダーフィル材の充填工程を削減することができ、また、アンダーフィル材の硬化時における受発光素子16への応力の負荷もなくすことができる。
【0035】
この光電気変換モジュール11Cでは、放熱板となるサブマウント21を備えていないが、受発光素子16の裏面16bを、放熱用の樹脂ペースト23を介して回路基板31の段差32を構成する壁面32aに直接的に面接触させているので、受発光素子16の熱を回路基板31へ直接伝達させることができる。これにより、受発光素子16の良好な放熱経路を確保することができ、フェルール12の上面12bと回路基板31の上段面31aとに電気デバイス35を実装しても、受発光素子16を高効率で放熱させて良好な性能を維持させることができる。
【0036】
また、以上説明した光電気変換モジュール11A,11B,11Cは、例えば、長距離機器配線用の光DVIケーブル、光USBケーブル、携帯電話用光配線、家庭用電化製品のネットワーク用の光HDMI、データサーバ間通信用の光InfiniBandケーブルあるいは車載情報機器通信用の車載用光ハーネスなどの様々なアクティブオプティカルケーブルや光配線部品として用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
11A,11B,11C:光電気変換モジュール、12:フェルール、12a:固定面、12b:上面、13:電極、14:光ファイバ挿通孔、15:光ファイバ、16:受発光素子、21:サブマウント(放熱板)、31:回路基板(基板)、31a:上段面、31b:下段面、31c:導体パターン(配線電極)、32:段差、35:電気デバイス、36:バンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバが挿入される光ファイバ挿通孔を有し、前記光ファイバの挿入方向前方側の固定面に電極が設けられたフェルールと、前記電極と導通接続された状態に前記フェルールの前記固定面に取り付けられた受発光素子と、前記フェルールが固定された基板と、前記受発光素子と電気的に接続された電気デバイスと、を有し、
前記基板は、段差が形成されて上段面と下段面とを有し、
前記フェルールが前記基板の下段面に取り付けられて、前記フェルールの上面と前記基板の上段面とが同一面に配置され、
前記フェルールの上面側へ延在された前記電極と前記基板の上段面に設けられた配線電極とに、前記電気デバイスがバンプを介して接続されていることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光電気変換モジュールであって、
前記受発光素子と前記基板との間に放熱板が設けられ、
前記放熱板は、前記受発光素子及び前記基板の両方に接触していることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光電気変換モジュールであって、
前記放熱板は、前記基板に埋め込まれて前記基板と直接的に面接触していることを特徴とする光電気変換モジュール。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光電気変換モジュールであって、
前記放熱板は、前記受発光素子と前記基板との間以外の部分まで延在されていることを特徴とする光電気変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−150189(P2012−150189A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7549(P2011−7549)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】