光音響分光法の検出器及びシステム
流体による光の吸収を通して光音響分光システム1で発生された音響信号を検出する音響検出器10は、感知ユニット11を有し、感知ユニットは、音響信号の周波数で又は該周波数の近くでの構造的な共鳴を示す。感知ユニット11は、キャビティ共振器の少なくとも1部を形成し、このキャビティ共振器は、感知ユニット11の構造的な共振周波数と実質的に一致するキャビティ共振周波数でのキャビティ共振器内の定在圧力波の形成を可能にする。本発明は、PASシステムにおける音響検出器のエンハンスされた感度は、検出器のキャビティ共鳴が検出器に含まれる感知ユニットの構造的な共鳴と共に動作し、これによりPASシステムで発生された音響信号の最適な増幅が達成されるように選択された寸法をもつキャビティ共振器として音響検出器を形成することで得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響信号の周波数で構造的な共鳴を示すか又は該周波数の近傍で構造的な共鳴を示す感知ユニットを有する、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生される音響信号を検出する音響検出器に関する。
さらに、本発明は、光源、本発明に係る音響検出器、検出器からの情報をユーザに表示するために構成される出力装置を有する、光音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光音響分光法(PAS: Photo−Acoustic Spectroscopy)では、サンプルに含まれる特定のモジュールの吸収周波数での光を発するレーザのような光源は、変調される振幅又は周波数である。この変調は、サンプルにおける光の吸収から得られる温度変動による、サンプルを含むテストセルにおける周期的な圧力の変動となる。これらの周期的な圧力の変化は、マイク構造的な共鳴を示すロフォンのような音響検出器により集めることができ、情報は、サンプルにおける吸収分子の濃度に比例する吸収量に関して得ることができる。
【0003】
PASは、微量ガス検出の公知の技術であり、呼吸検査での用途について研究されている。
呼吸検査の用途の代表的な例は、喘息、アルコール呼吸のモニタリング、胃の異常及び急性臓器拒絶反応の検出、さらに、早期の臨床の試験は、呼吸及び肺癌のプレスクリーニングにおける用途を示す。
【0004】
一酸化窒素(NO)は、人間の呼吸における最も重要な診断のガスのうちの1つである。たとえば、NOの上昇される濃度は、喘息の患者で発見される。人間の呼吸で発見される吐かれたNOレベルの典型的な濃度は、ppb(parts per billion)のレンジであり、化学蛍光又は発展された光吸収分光に基づいた、高価かつ大規模な装置を使用してのみ測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、人間の呼吸における一酸化窒素NOのような微量ガスの非常に低い濃度を測定するための小型かつ低価格の装置が必要とされている。人間の呼吸以外の、産業処理ガスの純度をモニタするための微量ガスの検出及び大気及び自動車からの排気による汚染ガスの検出において関心が高まっている。
【0006】
従来のPASシステムの問題は、パワフルかつテーブルサイズのレーザ及び大規模のガスセルが必要とされていた。
【0007】
この問題を軽減することを目的とした1つの近年に発展によれば、従来の半導体レーザに匹敵する寸法をもつ赤外線の量子カスケードレーザがPASシステムでの使用向けに実施可能である。
【0008】
WO03104767では、更にコンパクトなPASシステムに対する別の近年の開発が開示されている。ここで、リストウォッチで使用されるようなクウォーツチューニングフォークがPASシステムにおける検出器として使用される。上述された特許出願では、クウォーツチューニングフォークは、音響共振器又はチューブと更に結合され、ステンレススツール又はグラスで製造されることが好ましい。この音響共振器は、共振器内に定在波が形成され、チューニングフォークがアンチノードの位置で共振器に挿入されるように構成される。チューニングフォークのプロング間の圧力の変化が増幅される。
【0009】
この構成の問題点は、チューニングフォークが増幅された音響信号からの利益をえるために正確に位置される必要があることである。これは、計測システムを使用する前に実行されるべき時間のかかる微妙な調整につながる場合がある。
【0010】
従来技術の上述した問題及び他の問題の観点で、本発明の一般的な目的は、人間の呼吸のような流体における、たとえば微量ガスといった物質の濃度の改善された測定を可能にすることにある。
【0011】
本発明の目的は、PASシステムにおける改善された検出器を提供することにある。
本発明の更なる目的は、更に感度の高いPASシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的及び他の目的は、音響信号の周波数で又は周波数の近傍での構造的な共鳴(structural resonance)を示す感知ユニットを有する、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生される音響信号を検出するための音響検出器により本発明に従って達成され、この感知ユニットは、感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するキャビティ共振周波数で前記キャビティ共振器内での定在波の形成を可能にするために構成されるキャビティ共振器の少なくとも1部を形成する。
【0013】
「共鳴“Resonance”」は、発振システムの現象として一般に定義され、狭い周波数レンジ内の弱い、周期的な外部の摂動(駆動力)は、発振システムの振幅における強い増加となる。振幅の増加は、駆動力の周波数に依存し、最大の振幅は、外部の摂動の周波数がシステムの固有周波数に近づいたときに到達される。
【0014】
本発明のPASシステムでは、音響検出器は、発振システムであり、流体における圧力の変動は外部の摂動をなす。2つの共鳴は、本発明に係る音響検出器に含まれ、構造的な共鳴及びキャビティ共鳴は、効率的に結合されたとき、検出器の感度における余分のブーストを提供する。
【0015】
「キャビティ共鳴“cavity resonance”」は、幾何学的な減少であり、共振周波数は、キャビティの寸法及びキャビティ内の流体における音速により決定される。音波(圧力波)が適切な寸法でキャビティ共振器に入力したとき、定在波はキャビティ共振器で形成され、音波は、アンチノードで増幅され、ノードでキャンセルされる。
【0016】
「構造的な共鳴“structural resonance”」は、固体の構造の内部共鳴を示し、その材料特性及び幾何学的な形状により決定される。
【0017】
本発明は、PASシステムにおける音響検出器のエンハンスされた感度は、検出器のキャビティ共鳴が検出器に含まれる感知ユニットの構造的な共振と共に動作し、これによりPASシステムで発生された音響信号の最適な振幅が達成されるように選択される寸法をもつキャビティ共振器として音響検出器を形成することで得られる。
【0018】
従来技術に比較して、本発明に係る音響検出器は、幾つかの利点を有する。
検出器の感知エリア及び検出器の音響ボリュームとの対話は、従来技術に比較して著しく改善される。実際に、検出器内で形成された定在圧力波のアンチノードに蓄積された全てのエネルギーは、感知ユニットの構造的な共鳴周波数の1つで検出器における振動を励起するために使用され、したがって感度は、大幅に改善される。
【0019】
さらに、構造的な共振周波数を有する検出器及びキャビティ共振器の機能は1つのユニットにより達成することができるので、チューニングフォークセンサ及び幾何学的な音響増幅チューブの幾何学的な調整が必要とされず、したがって時間が節約される。
【0020】
好ましくは、感知ユニットは、クウォーツ(水晶発振子)のような圧電性材料を有する。 圧電性材料は、電場にさらされたときに変形される材料である。逆に、圧電性材料の2つの端の間の電圧は、材料が変形されたときに発生される。
【0021】
水晶発振子、チタン酸バリウム、PZT(lead zirconate titanate)又はPVDF(polyvinylidene fluoride)のような圧電性材料を含むように、音響検出器に含まれる感知ユニットを形成することで、検出器からの出力は、たとえば光経路の変調(干渉測定方法)により間接的にではなく、直接的に電気信号の形式で得られる。
【0022】
低い生産コストを可能にするのと同様に、検出器の設計及び製造において更なる自由度を提供するため、感知ユニットは、2以上の材料により形成される場合がある。一方の材料は水晶発振子であり、他方の材料はプラスティック材料又はメタルである場合がある。前記他の材料は、その機械的な特性、マシニング及びモールディングの容易さ及びコストに基づいて選択される。別の実施の形態では、検出器は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)共振器として構成され、周期的な位置の変化は、電気的に検出することができるキャパシタンスの変化に変換される。
【0023】
本発明に係る検出器の1実施の形態によれば、感知ユニットは、キャビティを形成する。キャビティの形式で感知ユニットを提供することで、感知ユニットは、スタンドアロン音響検出器として機能し、感知ユニットのキャビティ共振周波数は、感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する。
【0024】
本発明に係る検出器の別の実施の形態では、感知ユニットは、チューブの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数でチューブを含む検出器により形成されるキャビティでキャビティの共振を可能にするために調節される内部寸法を有するチューブを有する。
【0025】
チューブは、たとえば円筒型であり、ある長さ、半径、及び開いているか又は閉じている場合がある2つの端を有する。両方の端で開いているチューブは、透明な壁を有し、分析されるべきサンプルを含むガスセル内に配置される。チューブのキャビティ共振周波数は、容易に計算され、特に円筒形チューブの製造は簡単である。
【0026】
本発明に係る検出器の更なる実施の形態によれば、上述したチューブは、チューブのエンベロープに少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、軸方向に実質的に延びている。
【0027】
感知チューブがチューブのエンベロープにおける1以上のスリットで変更される場合、キャビティ共振周波数(チューブに定在波が生じる周波数)が本質的に不変のままに保持されつつ、チューブの構造的な共振周波数は精密に調整される。
【0028】
好ましくは、前記感知チューブにおける少なくとも1つのスリットは、チューブの第一の端から、チューブの第二の端に向かって半分以上にまで延びるように配置される。
【0029】
チューブの長さに沿って実質的に延びる1以上のスリットでチューブを変更することで、チューブを有する感知ユニットの品質ファクタが増加され、したがって感度及びSNR(信号対雑音比)が改善される。
【0030】
本発明に係る検出器の別の実施の形態によれば、前記感知チューブは、軸方向で少なくとも2つのセグメントに分割され、セグメント間に形成されたブリッジを有する接続手段により互いに保持される。
【0031】
セグメント化されたチューブの形式で感知ユニットを提供することで、圧電性材料の伸張又は収縮は、接続手段に実質的に配置される。これにより、圧力波のアンチノードにより加えられる力は、セグメント化されていないチューブにおけるよりも接続手段において大きな伸張となるので、大きな信号が得られる。
【0032】
チューブセグメントのペアを接続する少なくとも1つのブリッジにより、圧電性材料のローカライズされた伸張及び収縮について良好に定義されたエリアが形成される。電極は、ブリッジの内部(セグメント化されたチューブの内部に面する)及び外側に配置される。これにより、ブリッジの(半径方向における)厚さに対応する電圧が得られる。この厚さは、チューブセグメントの圧力波により加えられた力に逆比例する。このようにして、更に感度の高い測定がイネーブルにされる。
【0033】
本発明に係る音響検出器の更なる実施の形態によれば、感知ユニットは、ベースに付属される2つのプロングをもつチューニングフォークである。
【0034】
ベースに付属される、好ましくは圧電性材料から構成される2つのプロングをもつチューニングフォークとして感知ユニットを形成することで、高品質のファクタ及びチューニングフォークの狭い構造的な共振を利用することができる。
【0035】
好ましくは、上述された検出器は、キャビティを形成するメンバを有し、前記メンバは、キャビティを形成するメンバ、及び前記チューニングフォークのプロング及びベースにより境界付けされる、キャビティの形成を可能にするために構成される。
【0036】
プレートのようなキャビティ形成メンバを、このプレートとチューニングフォークのベース及び2つのプロングによりキャビティが囲まれるように位置合わせすることで、キャビティ共振器が形成される。このキャビティ共振器を適切に寸法合わせすることで、キャビティの共振器は、チューニングフォークの構造的な共振と共に動作するようにされる。キャビティ形成メンバは、チューニングフォークのプロングから僅かな距離で位置されるのが好ましく、それらに接触しない。
【0037】
別の実施の形態によれば、前記チューニングフォークのプロングは、前記プロング間の本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される。
【0038】
本質的にチューブ状のキャビティをプロングが互いに形成するやり方でチューニングフォークのプロングを成形することで、キャビティ内のキャビティの共振は、チューニングフォークの構造的な共振と共に動作するようにされ、これにより、圧電性のプロング及び/又は圧電性のベースを有する場合がある、チューニングフォークから電気信号への音響エネルギーの非常に効果的な変換が達成される。
【0039】
本発明に係る検出器の更なる実施の形態によれば、感知ユニットは、オープンエンドボックス(open−ended box)の構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器により形成されるキャビティのキャビティ共振を可能にするために調整される寸法を有する、オープンエンドボックスとして形成される。
【0040】
有利なことに、前記オープンエンドボックスの2つのサイドは、圧電性材料からなり、前記サイドは互いに面しており、互いに面する2つのパッシブプレートにより互いに保持される。
【0041】
この構成により、2つの圧電素子サイドの伸張及び収縮を容易にモニタすることができる。これらの伸張及び収縮は、オープンエンドボックスを有する検出器のキャビティ共鳴がボックスの圧電性ウォールの構造的な共鳴と一致するときに特に強い。上述に従ってオープンエンドボックスとして感知ユニットを形成することで、適切な構造的な共振周波数をもつキャビティ共振器の設計が容易になる。
【0042】
好ましくは、前記オープンエンドボックスの前記パッシブプレートは、それらの間で本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される。
【0043】
別の実施の形態によれば、本発明に係る検出器は、信号エンハンス手段を更に有し、前記信号エンハンス手段は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するキャビティ共振器を形成するため、前記感知ユニットと共に動作するように構成される。検出器のキャビティ共鳴は、前記信号エンハンス手段の使用を通して感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するようにされる。信号エンハンス手段は、感知ユニットと共にキャビティ共振器を形成するためにできるだけ感知ユニットに近く配置されることが好ましい。
【0044】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、本発明の好適な実施の形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に記載される。以下では、同一又は類似のエレメントは、同じ参照符号により示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1は、従来技術に係るPASシステム1を参照により示す。ここで、検出されるべき微量ガスをもつサンプルを含む流体セル2は、クウォーツチューニングフォーク3を囲む。レーザ4からのレーザビームは、チューニングフォーク3のプロング(prong)5の間にセンタリングされる位置にフォーカスされ、チューニングフォークオープニングの下に正確な位置で配置される。レーザ4は、流体セル2に含まれる微量ガスの吸収周波数に同調され、クウォーツチューニングフォーク3の構造的な固有周波数の2分の1の周波数で周波数変調され、(30kHz前後である)クウォーツチューニングフォーク3の構造的な固有周波数に一致する周波数をもつ微量ガスにおける光の吸収のために周期的な圧力の変動につながる。これらの圧力の変動は、チューニングフォーク3により収集され、適切な装置によりオペレータに表示される。
【0046】
図2は、本発明の第一の実施の形態に係る感知ユニット11を有する音響検出器10有するPASシステム1を示す。図2に示されるPASシステム1は、図1に示された従来技術のシステムと同じ機能的なエレメントにより一般に構成される。しかし、1つの基本的な違いは、音響検出器10のコンフィギュレーションであり、この検出器には、ここでは、PZT、水晶発振子等のような圧電材料で製造されるチューブ12の形式で感知ユニット11が設けられている。チューブ12は、固有周波数fsr,n、すなわち構造的な共振周波数を有し、この周波数は、チューブの材料及び寸法により決定され、その特定のチューブ12に特徴的である。チューブ12は、内径R及び長さLを更に有する。チューブ内のキャビティの寸法、すなわちパラメータR及びLは、チューブに存在する流体の特性と共に、チューブ12により形成されるキャビティ共振器の一連のキャビティの共振周波数fcr,nを決定する。キャビティ共振器の振幅と同様に、チューブ12の構造的な共振周波数の近くで得られた振幅を利用するため、チューブ12の寸法(R及び/又はL)は、チューブのキャビティの共振周波数fcr,nの1つがチューブ12の構造的な共振周波数fsr,nの1つと実質的に一致するように選択される。
【0047】
チューブ11の寸法の例は、図3aに示される。会社“Piezomechanik Dr. Lutz Pickelmann GmbH (D)”から商業的に入手可能なPZTチューブ12が選択される。選択されたチューブ12は、データシートによれば、以下のデータを有する。
R=5mm L=36mm fsr=65kHz(半径方向)
このデータから、図1のセットアップに類似のセットアップにおいて、レーザ4の波長変調周波数は、65kHz/2=32.5kHzに同調される。スペクトル的に広い吸収の特徴と高速のリラクゼーション時間をもつガスについて、65kHzでのレーザの振幅変調は、波長変調の代わりに適用される。つぎに、チューブ12が現在でも使用することができるか、又は変更される必要があるかが判定される。オープンエンドチューブのキャビティ共振周波数は、以下の式により与えられる。
fcr,n=nvsound/2Leff
ここでLeffはオープンエンドチューブにおけるキャビティ共鳴のための端部補正(end correction)による有効長であり、以下の式に従って計算される。
Leff=L+1.226R
vsound=344+0.6(T−20℃)m/s(大気中)
この例のデータ及びサンプルセル2における温度17℃により、Leff=42.13mm及びfcr,n≒4061.2nHzである。
【0048】
n=16により、fcr,n=64.980Hzであり、これは固有周波数65kHzと実質的に一致する。
【0049】
上述された例では、その呼吸モードの固有周波数で発振する音響検出器の感度は、チューブ内に存在するアンチノードにより更に強調され、選択されたチューブへの変更が行われる必要がない。データシートから構造的な共振周波数(固有周波数)に関する情報は、必要とされる精度を有さず、それぞれの使用されるべきチューブのタイプは、チューブの構造的な共振周波数を更に正確に判定するため、制御される温度での周波数スウィープを受ける。
【0050】
一般に、チューブは、幾つかの構造的な共鳴に励起される。材料特性、指向性、及び電気的な極性の方向は、これらの構造的な共鳴に影響を及ぼす。
【0051】
有利なポーリングコンフィギュレーションは、図3bに示される。感知チューブ12は、PZT(lead zirconate/lead titanate)から製造され、内側電極33と外側電極32により半径方向に位置される。これらの電極は、チューブの内側表面及び外側表面のたとえばニッケル又は銀の薄膜の形式で適用される。呼吸モードの構造的な共鳴は、チューブが半径方向で発振するものであり、この電極のコンフィギュレーションにより効果的に集められる。電極32、33は接触され、電気信号が適切な検出電極34に接続ライン35を通して転送される。呼吸モードの構造的な共鳴は、音響周波数が呼吸モードの構造的な共振周波数(固有周波数)に近いとき、チューブ12により形成されるキャビティ共振器内の定在波パターンに強く結合する。
【0052】
図4a及び図4bでは、本発明の第二の実施の形態に係る音響検出器11の例の図が示される。
図4aの検出器には、変更されたチューブ21の形式で感知ユニット11が設けられ、2つのスリット22a,22bは、軸方向に延び、半径方向に互いに対向してチューブで形成されている。このようにチューブを変更することで、キャビティ共鳴の効率は、幾分減少されるが、構造的な共振周波数での振幅は、検出器の全体の振幅Aacoustic*Astructuralが増加されるようにエンハンスされる。前記スリットの長さを変化させることで、構造的な共振周波数は、スリットの幅が小さい限りキャビティ共鳴への僅かな影響により調節される。1以上の部分的なスリットをもつコンフィギュレーションに加えて、チューブの全体の長さに沿った1つのスリットをもつコンフィギュレーションは、光音響検出器について有効である。構造的な共鳴をチューニングするためにチューブの寸法及び構造を変更するのと同様に、材料の組成が選択され、必要とされる構造的な共振周波数が取得される。
【0053】
図4bは、円筒形の軸に沿って分割され、2以上のブリッジ32a、32bにより互いに保持されるセグメント化されたチューブ31の形式で提供される感知ユニット11の例を示す。分析されるべき微量ガスにおけるレーザ光の吸収により誘発される圧力変動からの振動は、半円筒形の半分33a、33bを互いに保持するブリッジ32a、32bを伸ばすことに主に変換される。
【0054】
図5は、第四の実施の形態に係る音響検出器10を示し、音響検出器は、チューニングフォーク50の形式での感知ユニット11とプレートの形式でのキャビティ形成エレメント54とにより形成される。検出器10は、矩形の断面をもつ音響のキャビティ51を有する。チューニングフォーク50は、材料の組み合わせで作られることが好ましい。ここで、プロング52a及び52bは、圧電性材料からなり、能動的な感知部材である。2つの圧電性プレート52a,52bは、プレーナチューニングフォーク構造50を形成するためにベース53で固定される。この結合された構造は、キャビティ形成メンバ54の近くに固定されるが、適切なキャビティ共鳴をもつキャビティ51が得られるように、更なるブロックの形式で、キャビティ形成メンバから分離される。
【0055】
図6では、本発明の第四の実施の形態に係る音響検出器が示される。音響検出器は、このケースでは感知ユニット11により形成され、ベース61並びに2つのプロング(prong)62a及び62bをもつチューニングフォーク60の形式で成形される。この例では、全体のチューニングフォーク60は圧電性材料からなる。しかし、プロング62a,62b及びベース61のそれぞれに使用される材料の組み合わせも有利である。この実施の形態によれば、プロング62a及び62bは、プロング62aと62bの間の本質的にチューブ状のキャビティ63を形成するために構成される。キャビティ63に近いプロング間の間隔64は、できるだけ小さくあるべきである。プロング62a,62bの振動の振幅は、圧電性材料の高い剛性のためにnmのレンジであり、ミクロンレンジにおける間隔は適用されることが好ましい。
【0056】
図7a〜図7bは、本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の2つの例を示す。 図7aに示される第一の例によれば、音響検出器は、オープンエンドボックスの残りのサイドを形成する2つの更なるメンバ72a,72bにより互いに保持される、圧電性材料からなる2つのサイド71a、71bをもつオープンエンドボックス70の形式で感知ユニット11により形成される。矩形の断面をもつキャビティ73は、オープンエンドボックス70により形成される。オープンエンドボックス70のサイド71a、71b、72a、72bの適切な寸法を選択することで、キャビティ共鳴は、感知ユニット11の構造的な共鳴と共に動作するようにされ、音響検出器により集められる信号を増幅する。
【0057】
図7bに示される第二の例に拠れば、2つの半円筒形状のエレメント74a、74bは、オープンエンドボックス70のパッシブサイド72a、72bに取り付けられる。感知ユニット70により形成されるキャビティ75は、本質的にチューブ状にされる。
【0058】
音響検出器10は、本発明の第六の実施の形態の例を示す図8aから図8cに例示されるように、感知ユニット11に加えて、多数のサポート手段であるが、それ自身が非感知の信号エンハンス手段82a,82bを有する。
【0059】
図8aでは、第六の実施の形態の第一の例が示される。ここで、チューブ12の形式である感知ユニット11は、非圧電性の活性材料の2つのチューブ82a、82bと結合される。全てのチューブ12、82a、82bの寸法は、1つの特定のキャビティ共振モード3つのチューブを通して延びて存在するやり方で構成される。チューブ部分の間の感覚83a、83bは、3つのチューブにより形成されるキャビティ共振器におけるキャビティ共鳴モードの最適な閉じ込め(コンファインメント)についてできるだけ小さくあるべきである。
【0060】
図8bでは、本発明の第六の実施の形態が示される。ここで、音響検出器10は、チューニングフォーク60(図6参照)の形式である感知ユニット11及び円筒形状の非圧電信号エンハンス手段82a、82bを有する。信号エンハンスチューブ82a、82bは、間隔83a、83bが小さく、1つの実質的に連続的なキャビティ共振器が形成されるように、チューニングフォーク60にできるだけ近くに位置される。チューニングフォーク60(図6参照)のプロング間で形成されるキャビティは、キャビティ共鳴モードをサポートする。これは、チューブ状の信号エンハンス手段82a、82bの半径と同じであるようにプロング間の円筒形状のキャビティの半径を選択することで達成される。
【0061】
図8cでは、本発明の第六の実施の形態の第三の例が示される。ここで、音響検出器10は、本質的にチューブ状のキャビティ(図7b参照)を囲むオープンエンドボックス70の形式での感知ユニット11、及び円筒状の非圧電信号エンハンス手段82a、82bを有する。信号エンハンスチューブ82a、82bは、間隔83a、83bが小さく、1つの実質的に連続のキャビティ共振器が形成されるように、オープンエンドボックス81にできるだけ近くに位置される。オープンエンドボックス(図7b参照)内に形成されるキャビティは、キャビティ共鳴モードをサポートする。これは、チューブ状の信号エンハンス手段82a、82bの半径と同じくなるようにオープンエンドボックス内の円筒状のキャビティの半径を選択することで達成される。
【0062】
本発明が好適な実施の形態に決して限定されないこと、たとえば実施の形態がオープンエンド構造に限定されず、光ビームが少なくとも1つのサイドを通過し、小さなホールが流体の交換のために盛り込まれる限り、クローズド又はセミクローズドのキャビティ共振器も使用されることを当業者は認識する。さらに、スリットは、チューブの端に平行なブ部分のような、チューブのエンベロープの任意の部分で形成され、チューブは、任意の形状のセグメントに分割される。チューブの断面は、円形である必要はなく、たとえば矩形又は楕円形とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】チューニングフォークが音響検出器として使用される、従来技術のPASシステムの概念図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る音響検出器を有するPASシステムの概念図である。
【図3a】本発明の第一の実施の形態に係る音響検出器の例の概念図である。
【図3b】図3aにおける感知ユニットのポーリングコンフィギュレーションの例の概念図である。
【図4a】本発明の第二の実施の形態に係る、音響検出器の第一の例の概念図である。
【図4b】本発明の第二の実施の形態に係る、音響検出器の第二の例の概念図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態に係る、音響検出器の概念図である。
【図6】本発明の第四の実施の形態に係る、音響検出器の概念図である。
【図7a】本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の第一の例の概念図である。
【図7b】本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の第二の例の概念図である。
【図8a】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第一の例の概念図である。
【図8b】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第二の例の概念図である。
【図8c】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第三の例の概念図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響信号の周波数で構造的な共鳴を示すか又は該周波数の近傍で構造的な共鳴を示す感知ユニットを有する、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生される音響信号を検出する音響検出器に関する。
さらに、本発明は、光源、本発明に係る音響検出器、検出器からの情報をユーザに表示するために構成される出力装置を有する、光音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光音響分光法(PAS: Photo−Acoustic Spectroscopy)では、サンプルに含まれる特定のモジュールの吸収周波数での光を発するレーザのような光源は、変調される振幅又は周波数である。この変調は、サンプルにおける光の吸収から得られる温度変動による、サンプルを含むテストセルにおける周期的な圧力の変動となる。これらの周期的な圧力の変化は、マイク構造的な共鳴を示すロフォンのような音響検出器により集めることができ、情報は、サンプルにおける吸収分子の濃度に比例する吸収量に関して得ることができる。
【0003】
PASは、微量ガス検出の公知の技術であり、呼吸検査での用途について研究されている。
呼吸検査の用途の代表的な例は、喘息、アルコール呼吸のモニタリング、胃の異常及び急性臓器拒絶反応の検出、さらに、早期の臨床の試験は、呼吸及び肺癌のプレスクリーニングにおける用途を示す。
【0004】
一酸化窒素(NO)は、人間の呼吸における最も重要な診断のガスのうちの1つである。たとえば、NOの上昇される濃度は、喘息の患者で発見される。人間の呼吸で発見される吐かれたNOレベルの典型的な濃度は、ppb(parts per billion)のレンジであり、化学蛍光又は発展された光吸収分光に基づいた、高価かつ大規模な装置を使用してのみ測定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、人間の呼吸における一酸化窒素NOのような微量ガスの非常に低い濃度を測定するための小型かつ低価格の装置が必要とされている。人間の呼吸以外の、産業処理ガスの純度をモニタするための微量ガスの検出及び大気及び自動車からの排気による汚染ガスの検出において関心が高まっている。
【0006】
従来のPASシステムの問題は、パワフルかつテーブルサイズのレーザ及び大規模のガスセルが必要とされていた。
【0007】
この問題を軽減することを目的とした1つの近年に発展によれば、従来の半導体レーザに匹敵する寸法をもつ赤外線の量子カスケードレーザがPASシステムでの使用向けに実施可能である。
【0008】
WO03104767では、更にコンパクトなPASシステムに対する別の近年の開発が開示されている。ここで、リストウォッチで使用されるようなクウォーツチューニングフォークがPASシステムにおける検出器として使用される。上述された特許出願では、クウォーツチューニングフォークは、音響共振器又はチューブと更に結合され、ステンレススツール又はグラスで製造されることが好ましい。この音響共振器は、共振器内に定在波が形成され、チューニングフォークがアンチノードの位置で共振器に挿入されるように構成される。チューニングフォークのプロング間の圧力の変化が増幅される。
【0009】
この構成の問題点は、チューニングフォークが増幅された音響信号からの利益をえるために正確に位置される必要があることである。これは、計測システムを使用する前に実行されるべき時間のかかる微妙な調整につながる場合がある。
【0010】
従来技術の上述した問題及び他の問題の観点で、本発明の一般的な目的は、人間の呼吸のような流体における、たとえば微量ガスといった物質の濃度の改善された測定を可能にすることにある。
【0011】
本発明の目的は、PASシステムにおける改善された検出器を提供することにある。
本発明の更なる目的は、更に感度の高いPASシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的及び他の目的は、音響信号の周波数で又は周波数の近傍での構造的な共鳴(structural resonance)を示す感知ユニットを有する、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生される音響信号を検出するための音響検出器により本発明に従って達成され、この感知ユニットは、感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するキャビティ共振周波数で前記キャビティ共振器内での定在波の形成を可能にするために構成されるキャビティ共振器の少なくとも1部を形成する。
【0013】
「共鳴“Resonance”」は、発振システムの現象として一般に定義され、狭い周波数レンジ内の弱い、周期的な外部の摂動(駆動力)は、発振システムの振幅における強い増加となる。振幅の増加は、駆動力の周波数に依存し、最大の振幅は、外部の摂動の周波数がシステムの固有周波数に近づいたときに到達される。
【0014】
本発明のPASシステムでは、音響検出器は、発振システムであり、流体における圧力の変動は外部の摂動をなす。2つの共鳴は、本発明に係る音響検出器に含まれ、構造的な共鳴及びキャビティ共鳴は、効率的に結合されたとき、検出器の感度における余分のブーストを提供する。
【0015】
「キャビティ共鳴“cavity resonance”」は、幾何学的な減少であり、共振周波数は、キャビティの寸法及びキャビティ内の流体における音速により決定される。音波(圧力波)が適切な寸法でキャビティ共振器に入力したとき、定在波はキャビティ共振器で形成され、音波は、アンチノードで増幅され、ノードでキャンセルされる。
【0016】
「構造的な共鳴“structural resonance”」は、固体の構造の内部共鳴を示し、その材料特性及び幾何学的な形状により決定される。
【0017】
本発明は、PASシステムにおける音響検出器のエンハンスされた感度は、検出器のキャビティ共鳴が検出器に含まれる感知ユニットの構造的な共振と共に動作し、これによりPASシステムで発生された音響信号の最適な振幅が達成されるように選択される寸法をもつキャビティ共振器として音響検出器を形成することで得られる。
【0018】
従来技術に比較して、本発明に係る音響検出器は、幾つかの利点を有する。
検出器の感知エリア及び検出器の音響ボリュームとの対話は、従来技術に比較して著しく改善される。実際に、検出器内で形成された定在圧力波のアンチノードに蓄積された全てのエネルギーは、感知ユニットの構造的な共鳴周波数の1つで検出器における振動を励起するために使用され、したがって感度は、大幅に改善される。
【0019】
さらに、構造的な共振周波数を有する検出器及びキャビティ共振器の機能は1つのユニットにより達成することができるので、チューニングフォークセンサ及び幾何学的な音響増幅チューブの幾何学的な調整が必要とされず、したがって時間が節約される。
【0020】
好ましくは、感知ユニットは、クウォーツ(水晶発振子)のような圧電性材料を有する。 圧電性材料は、電場にさらされたときに変形される材料である。逆に、圧電性材料の2つの端の間の電圧は、材料が変形されたときに発生される。
【0021】
水晶発振子、チタン酸バリウム、PZT(lead zirconate titanate)又はPVDF(polyvinylidene fluoride)のような圧電性材料を含むように、音響検出器に含まれる感知ユニットを形成することで、検出器からの出力は、たとえば光経路の変調(干渉測定方法)により間接的にではなく、直接的に電気信号の形式で得られる。
【0022】
低い生産コストを可能にするのと同様に、検出器の設計及び製造において更なる自由度を提供するため、感知ユニットは、2以上の材料により形成される場合がある。一方の材料は水晶発振子であり、他方の材料はプラスティック材料又はメタルである場合がある。前記他の材料は、その機械的な特性、マシニング及びモールディングの容易さ及びコストに基づいて選択される。別の実施の形態では、検出器は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)共振器として構成され、周期的な位置の変化は、電気的に検出することができるキャパシタンスの変化に変換される。
【0023】
本発明に係る検出器の1実施の形態によれば、感知ユニットは、キャビティを形成する。キャビティの形式で感知ユニットを提供することで、感知ユニットは、スタンドアロン音響検出器として機能し、感知ユニットのキャビティ共振周波数は、感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する。
【0024】
本発明に係る検出器の別の実施の形態では、感知ユニットは、チューブの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数でチューブを含む検出器により形成されるキャビティでキャビティの共振を可能にするために調節される内部寸法を有するチューブを有する。
【0025】
チューブは、たとえば円筒型であり、ある長さ、半径、及び開いているか又は閉じている場合がある2つの端を有する。両方の端で開いているチューブは、透明な壁を有し、分析されるべきサンプルを含むガスセル内に配置される。チューブのキャビティ共振周波数は、容易に計算され、特に円筒形チューブの製造は簡単である。
【0026】
本発明に係る検出器の更なる実施の形態によれば、上述したチューブは、チューブのエンベロープに少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、軸方向に実質的に延びている。
【0027】
感知チューブがチューブのエンベロープにおける1以上のスリットで変更される場合、キャビティ共振周波数(チューブに定在波が生じる周波数)が本質的に不変のままに保持されつつ、チューブの構造的な共振周波数は精密に調整される。
【0028】
好ましくは、前記感知チューブにおける少なくとも1つのスリットは、チューブの第一の端から、チューブの第二の端に向かって半分以上にまで延びるように配置される。
【0029】
チューブの長さに沿って実質的に延びる1以上のスリットでチューブを変更することで、チューブを有する感知ユニットの品質ファクタが増加され、したがって感度及びSNR(信号対雑音比)が改善される。
【0030】
本発明に係る検出器の別の実施の形態によれば、前記感知チューブは、軸方向で少なくとも2つのセグメントに分割され、セグメント間に形成されたブリッジを有する接続手段により互いに保持される。
【0031】
セグメント化されたチューブの形式で感知ユニットを提供することで、圧電性材料の伸張又は収縮は、接続手段に実質的に配置される。これにより、圧力波のアンチノードにより加えられる力は、セグメント化されていないチューブにおけるよりも接続手段において大きな伸張となるので、大きな信号が得られる。
【0032】
チューブセグメントのペアを接続する少なくとも1つのブリッジにより、圧電性材料のローカライズされた伸張及び収縮について良好に定義されたエリアが形成される。電極は、ブリッジの内部(セグメント化されたチューブの内部に面する)及び外側に配置される。これにより、ブリッジの(半径方向における)厚さに対応する電圧が得られる。この厚さは、チューブセグメントの圧力波により加えられた力に逆比例する。このようにして、更に感度の高い測定がイネーブルにされる。
【0033】
本発明に係る音響検出器の更なる実施の形態によれば、感知ユニットは、ベースに付属される2つのプロングをもつチューニングフォークである。
【0034】
ベースに付属される、好ましくは圧電性材料から構成される2つのプロングをもつチューニングフォークとして感知ユニットを形成することで、高品質のファクタ及びチューニングフォークの狭い構造的な共振を利用することができる。
【0035】
好ましくは、上述された検出器は、キャビティを形成するメンバを有し、前記メンバは、キャビティを形成するメンバ、及び前記チューニングフォークのプロング及びベースにより境界付けされる、キャビティの形成を可能にするために構成される。
【0036】
プレートのようなキャビティ形成メンバを、このプレートとチューニングフォークのベース及び2つのプロングによりキャビティが囲まれるように位置合わせすることで、キャビティ共振器が形成される。このキャビティ共振器を適切に寸法合わせすることで、キャビティの共振器は、チューニングフォークの構造的な共振と共に動作するようにされる。キャビティ形成メンバは、チューニングフォークのプロングから僅かな距離で位置されるのが好ましく、それらに接触しない。
【0037】
別の実施の形態によれば、前記チューニングフォークのプロングは、前記プロング間の本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される。
【0038】
本質的にチューブ状のキャビティをプロングが互いに形成するやり方でチューニングフォークのプロングを成形することで、キャビティ内のキャビティの共振は、チューニングフォークの構造的な共振と共に動作するようにされ、これにより、圧電性のプロング及び/又は圧電性のベースを有する場合がある、チューニングフォークから電気信号への音響エネルギーの非常に効果的な変換が達成される。
【0039】
本発明に係る検出器の更なる実施の形態によれば、感知ユニットは、オープンエンドボックス(open−ended box)の構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器により形成されるキャビティのキャビティ共振を可能にするために調整される寸法を有する、オープンエンドボックスとして形成される。
【0040】
有利なことに、前記オープンエンドボックスの2つのサイドは、圧電性材料からなり、前記サイドは互いに面しており、互いに面する2つのパッシブプレートにより互いに保持される。
【0041】
この構成により、2つの圧電素子サイドの伸張及び収縮を容易にモニタすることができる。これらの伸張及び収縮は、オープンエンドボックスを有する検出器のキャビティ共鳴がボックスの圧電性ウォールの構造的な共鳴と一致するときに特に強い。上述に従ってオープンエンドボックスとして感知ユニットを形成することで、適切な構造的な共振周波数をもつキャビティ共振器の設計が容易になる。
【0042】
好ましくは、前記オープンエンドボックスの前記パッシブプレートは、それらの間で本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される。
【0043】
別の実施の形態によれば、本発明に係る検出器は、信号エンハンス手段を更に有し、前記信号エンハンス手段は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するキャビティ共振器を形成するため、前記感知ユニットと共に動作するように構成される。検出器のキャビティ共鳴は、前記信号エンハンス手段の使用を通して感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するようにされる。信号エンハンス手段は、感知ユニットと共にキャビティ共振器を形成するためにできるだけ感知ユニットに近く配置されることが好ましい。
【0044】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、本発明の好適な実施の形態を示す添付図面を参照して、更に詳細に記載される。以下では、同一又は類似のエレメントは、同じ参照符号により示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1は、従来技術に係るPASシステム1を参照により示す。ここで、検出されるべき微量ガスをもつサンプルを含む流体セル2は、クウォーツチューニングフォーク3を囲む。レーザ4からのレーザビームは、チューニングフォーク3のプロング(prong)5の間にセンタリングされる位置にフォーカスされ、チューニングフォークオープニングの下に正確な位置で配置される。レーザ4は、流体セル2に含まれる微量ガスの吸収周波数に同調され、クウォーツチューニングフォーク3の構造的な固有周波数の2分の1の周波数で周波数変調され、(30kHz前後である)クウォーツチューニングフォーク3の構造的な固有周波数に一致する周波数をもつ微量ガスにおける光の吸収のために周期的な圧力の変動につながる。これらの圧力の変動は、チューニングフォーク3により収集され、適切な装置によりオペレータに表示される。
【0046】
図2は、本発明の第一の実施の形態に係る感知ユニット11を有する音響検出器10有するPASシステム1を示す。図2に示されるPASシステム1は、図1に示された従来技術のシステムと同じ機能的なエレメントにより一般に構成される。しかし、1つの基本的な違いは、音響検出器10のコンフィギュレーションであり、この検出器には、ここでは、PZT、水晶発振子等のような圧電材料で製造されるチューブ12の形式で感知ユニット11が設けられている。チューブ12は、固有周波数fsr,n、すなわち構造的な共振周波数を有し、この周波数は、チューブの材料及び寸法により決定され、その特定のチューブ12に特徴的である。チューブ12は、内径R及び長さLを更に有する。チューブ内のキャビティの寸法、すなわちパラメータR及びLは、チューブに存在する流体の特性と共に、チューブ12により形成されるキャビティ共振器の一連のキャビティの共振周波数fcr,nを決定する。キャビティ共振器の振幅と同様に、チューブ12の構造的な共振周波数の近くで得られた振幅を利用するため、チューブ12の寸法(R及び/又はL)は、チューブのキャビティの共振周波数fcr,nの1つがチューブ12の構造的な共振周波数fsr,nの1つと実質的に一致するように選択される。
【0047】
チューブ11の寸法の例は、図3aに示される。会社“Piezomechanik Dr. Lutz Pickelmann GmbH (D)”から商業的に入手可能なPZTチューブ12が選択される。選択されたチューブ12は、データシートによれば、以下のデータを有する。
R=5mm L=36mm fsr=65kHz(半径方向)
このデータから、図1のセットアップに類似のセットアップにおいて、レーザ4の波長変調周波数は、65kHz/2=32.5kHzに同調される。スペクトル的に広い吸収の特徴と高速のリラクゼーション時間をもつガスについて、65kHzでのレーザの振幅変調は、波長変調の代わりに適用される。つぎに、チューブ12が現在でも使用することができるか、又は変更される必要があるかが判定される。オープンエンドチューブのキャビティ共振周波数は、以下の式により与えられる。
fcr,n=nvsound/2Leff
ここでLeffはオープンエンドチューブにおけるキャビティ共鳴のための端部補正(end correction)による有効長であり、以下の式に従って計算される。
Leff=L+1.226R
vsound=344+0.6(T−20℃)m/s(大気中)
この例のデータ及びサンプルセル2における温度17℃により、Leff=42.13mm及びfcr,n≒4061.2nHzである。
【0048】
n=16により、fcr,n=64.980Hzであり、これは固有周波数65kHzと実質的に一致する。
【0049】
上述された例では、その呼吸モードの固有周波数で発振する音響検出器の感度は、チューブ内に存在するアンチノードにより更に強調され、選択されたチューブへの変更が行われる必要がない。データシートから構造的な共振周波数(固有周波数)に関する情報は、必要とされる精度を有さず、それぞれの使用されるべきチューブのタイプは、チューブの構造的な共振周波数を更に正確に判定するため、制御される温度での周波数スウィープを受ける。
【0050】
一般に、チューブは、幾つかの構造的な共鳴に励起される。材料特性、指向性、及び電気的な極性の方向は、これらの構造的な共鳴に影響を及ぼす。
【0051】
有利なポーリングコンフィギュレーションは、図3bに示される。感知チューブ12は、PZT(lead zirconate/lead titanate)から製造され、内側電極33と外側電極32により半径方向に位置される。これらの電極は、チューブの内側表面及び外側表面のたとえばニッケル又は銀の薄膜の形式で適用される。呼吸モードの構造的な共鳴は、チューブが半径方向で発振するものであり、この電極のコンフィギュレーションにより効果的に集められる。電極32、33は接触され、電気信号が適切な検出電極34に接続ライン35を通して転送される。呼吸モードの構造的な共鳴は、音響周波数が呼吸モードの構造的な共振周波数(固有周波数)に近いとき、チューブ12により形成されるキャビティ共振器内の定在波パターンに強く結合する。
【0052】
図4a及び図4bでは、本発明の第二の実施の形態に係る音響検出器11の例の図が示される。
図4aの検出器には、変更されたチューブ21の形式で感知ユニット11が設けられ、2つのスリット22a,22bは、軸方向に延び、半径方向に互いに対向してチューブで形成されている。このようにチューブを変更することで、キャビティ共鳴の効率は、幾分減少されるが、構造的な共振周波数での振幅は、検出器の全体の振幅Aacoustic*Astructuralが増加されるようにエンハンスされる。前記スリットの長さを変化させることで、構造的な共振周波数は、スリットの幅が小さい限りキャビティ共鳴への僅かな影響により調節される。1以上の部分的なスリットをもつコンフィギュレーションに加えて、チューブの全体の長さに沿った1つのスリットをもつコンフィギュレーションは、光音響検出器について有効である。構造的な共鳴をチューニングするためにチューブの寸法及び構造を変更するのと同様に、材料の組成が選択され、必要とされる構造的な共振周波数が取得される。
【0053】
図4bは、円筒形の軸に沿って分割され、2以上のブリッジ32a、32bにより互いに保持されるセグメント化されたチューブ31の形式で提供される感知ユニット11の例を示す。分析されるべき微量ガスにおけるレーザ光の吸収により誘発される圧力変動からの振動は、半円筒形の半分33a、33bを互いに保持するブリッジ32a、32bを伸ばすことに主に変換される。
【0054】
図5は、第四の実施の形態に係る音響検出器10を示し、音響検出器は、チューニングフォーク50の形式での感知ユニット11とプレートの形式でのキャビティ形成エレメント54とにより形成される。検出器10は、矩形の断面をもつ音響のキャビティ51を有する。チューニングフォーク50は、材料の組み合わせで作られることが好ましい。ここで、プロング52a及び52bは、圧電性材料からなり、能動的な感知部材である。2つの圧電性プレート52a,52bは、プレーナチューニングフォーク構造50を形成するためにベース53で固定される。この結合された構造は、キャビティ形成メンバ54の近くに固定されるが、適切なキャビティ共鳴をもつキャビティ51が得られるように、更なるブロックの形式で、キャビティ形成メンバから分離される。
【0055】
図6では、本発明の第四の実施の形態に係る音響検出器が示される。音響検出器は、このケースでは感知ユニット11により形成され、ベース61並びに2つのプロング(prong)62a及び62bをもつチューニングフォーク60の形式で成形される。この例では、全体のチューニングフォーク60は圧電性材料からなる。しかし、プロング62a,62b及びベース61のそれぞれに使用される材料の組み合わせも有利である。この実施の形態によれば、プロング62a及び62bは、プロング62aと62bの間の本質的にチューブ状のキャビティ63を形成するために構成される。キャビティ63に近いプロング間の間隔64は、できるだけ小さくあるべきである。プロング62a,62bの振動の振幅は、圧電性材料の高い剛性のためにnmのレンジであり、ミクロンレンジにおける間隔は適用されることが好ましい。
【0056】
図7a〜図7bは、本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の2つの例を示す。 図7aに示される第一の例によれば、音響検出器は、オープンエンドボックスの残りのサイドを形成する2つの更なるメンバ72a,72bにより互いに保持される、圧電性材料からなる2つのサイド71a、71bをもつオープンエンドボックス70の形式で感知ユニット11により形成される。矩形の断面をもつキャビティ73は、オープンエンドボックス70により形成される。オープンエンドボックス70のサイド71a、71b、72a、72bの適切な寸法を選択することで、キャビティ共鳴は、感知ユニット11の構造的な共鳴と共に動作するようにされ、音響検出器により集められる信号を増幅する。
【0057】
図7bに示される第二の例に拠れば、2つの半円筒形状のエレメント74a、74bは、オープンエンドボックス70のパッシブサイド72a、72bに取り付けられる。感知ユニット70により形成されるキャビティ75は、本質的にチューブ状にされる。
【0058】
音響検出器10は、本発明の第六の実施の形態の例を示す図8aから図8cに例示されるように、感知ユニット11に加えて、多数のサポート手段であるが、それ自身が非感知の信号エンハンス手段82a,82bを有する。
【0059】
図8aでは、第六の実施の形態の第一の例が示される。ここで、チューブ12の形式である感知ユニット11は、非圧電性の活性材料の2つのチューブ82a、82bと結合される。全てのチューブ12、82a、82bの寸法は、1つの特定のキャビティ共振モード3つのチューブを通して延びて存在するやり方で構成される。チューブ部分の間の感覚83a、83bは、3つのチューブにより形成されるキャビティ共振器におけるキャビティ共鳴モードの最適な閉じ込め(コンファインメント)についてできるだけ小さくあるべきである。
【0060】
図8bでは、本発明の第六の実施の形態が示される。ここで、音響検出器10は、チューニングフォーク60(図6参照)の形式である感知ユニット11及び円筒形状の非圧電信号エンハンス手段82a、82bを有する。信号エンハンスチューブ82a、82bは、間隔83a、83bが小さく、1つの実質的に連続的なキャビティ共振器が形成されるように、チューニングフォーク60にできるだけ近くに位置される。チューニングフォーク60(図6参照)のプロング間で形成されるキャビティは、キャビティ共鳴モードをサポートする。これは、チューブ状の信号エンハンス手段82a、82bの半径と同じであるようにプロング間の円筒形状のキャビティの半径を選択することで達成される。
【0061】
図8cでは、本発明の第六の実施の形態の第三の例が示される。ここで、音響検出器10は、本質的にチューブ状のキャビティ(図7b参照)を囲むオープンエンドボックス70の形式での感知ユニット11、及び円筒状の非圧電信号エンハンス手段82a、82bを有する。信号エンハンスチューブ82a、82bは、間隔83a、83bが小さく、1つの実質的に連続のキャビティ共振器が形成されるように、オープンエンドボックス81にできるだけ近くに位置される。オープンエンドボックス(図7b参照)内に形成されるキャビティは、キャビティ共鳴モードをサポートする。これは、チューブ状の信号エンハンス手段82a、82bの半径と同じくなるようにオープンエンドボックス内の円筒状のキャビティの半径を選択することで達成される。
【0062】
本発明が好適な実施の形態に決して限定されないこと、たとえば実施の形態がオープンエンド構造に限定されず、光ビームが少なくとも1つのサイドを通過し、小さなホールが流体の交換のために盛り込まれる限り、クローズド又はセミクローズドのキャビティ共振器も使用されることを当業者は認識する。さらに、スリットは、チューブの端に平行なブ部分のような、チューブのエンベロープの任意の部分で形成され、チューブは、任意の形状のセグメントに分割される。チューブの断面は、円形である必要はなく、たとえば矩形又は楕円形とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】チューニングフォークが音響検出器として使用される、従来技術のPASシステムの概念図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る音響検出器を有するPASシステムの概念図である。
【図3a】本発明の第一の実施の形態に係る音響検出器の例の概念図である。
【図3b】図3aにおける感知ユニットのポーリングコンフィギュレーションの例の概念図である。
【図4a】本発明の第二の実施の形態に係る、音響検出器の第一の例の概念図である。
【図4b】本発明の第二の実施の形態に係る、音響検出器の第二の例の概念図である。
【図5】本発明の第三の実施の形態に係る、音響検出器の概念図である。
【図6】本発明の第四の実施の形態に係る、音響検出器の概念図である。
【図7a】本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の第一の例の概念図である。
【図7b】本発明の第五の実施の形態に係る、音響検出器の第二の例の概念図である。
【図8a】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第一の例の概念図である。
【図8b】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第二の例の概念図である。
【図8c】本発明の第六の実施の形態に係る検出器の構成の第三の例の概念図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知ユニットを含む、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生された音響信号を検出する音響検出器であって、
前記感知ユニットは、前記音響信号の周波数で構造的な共鳴を示すか、前記音響信号の周波数近傍で構造的な共鳴を示し、
前記感知ユニットは、キャビティ共振器の少なくとも1部を形成し、前記キャビティ共振器は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するキャビティ共振周波数での前記キャビティ共振器内の定在波の形成を可能にするために構成される、
ことを特徴とする音響検出器。
【請求項2】
前記感知ユニットは、水晶発振子のような圧電性材料を含む、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項3】
前記感知ユニットは、チューブの構造的な共振周波数に実質的に一致する周波数で検出器により形成されるキャビティでキャビティ共鳴を可能にするために調整される内部の寸法を有する、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項4】
前記構造的な共振周波数は、前記チューブの呼吸モードの固有周波数である、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項5】
前記チューブは、該チューブのエンベロープに少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、軸方向に実質的に延びる、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項6】
前記チューブは、接続手段により互いに保持される少なくとも2つのセグメントに軸方向で分割され、前記接続手段は、セグメント間で形成されるブリッジを含む、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項7】
前記感知ユニットは、ベースに取り付けられた2つのプロングをもつチューニングフォークである、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項8】
前記チューニングフォークのプロングは、前記プロング間にキャビティを形成するために構成され、前記キャビティは、前記チューニングフォークの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有する、
請求項7記載の音響検出器。
【請求項9】
キャビティを形成するメンバを更に含み、前記キャビティ形成メンバは、該キャビティ形成メンバと、前記チューニングフォークのプロング及びベースとにより境界付けされるキャビティの形成を可能にするために構成され、前記キャビティは、前記チューニングフォークの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有する、
請求項7記載の音響検出器。
【請求項10】
前記感知ユニットは、前記オープンエンドボックスの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で当該検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するオープンエンドボックスとして形成される、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項11】
前記オープンエンドボックスの2つのサイドは、圧電性材料からなり、前記サイドは、互いに面しており、互いに面する2つの受動素子により保持される、
請求項10記載の音響検出器。
【請求項12】
前記オープンエンドボックスの受動素子は、それらの間に本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される、
請求項11記載の音響検出器。
【請求項13】
信号エンハンス手段を更に有し、前記信号エンハンス手段は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で当該検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するキャビティ共振器を形成するため、前記感知ユニットと共に動作するために構成される、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項14】
光源、請求項1乃至14のいずれか記載の音響検出器、及び、前記検出器からの情報をユーザに表示するために構成される出力装置を有する光音響分光システム。
【請求項1】
感知ユニットを含む、流体による光の吸収を通して光音響分光システムで発生された音響信号を検出する音響検出器であって、
前記感知ユニットは、前記音響信号の周波数で構造的な共鳴を示すか、前記音響信号の周波数近傍で構造的な共鳴を示し、
前記感知ユニットは、キャビティ共振器の少なくとも1部を形成し、前記キャビティ共振器は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致するキャビティ共振周波数での前記キャビティ共振器内の定在波の形成を可能にするために構成される、
ことを特徴とする音響検出器。
【請求項2】
前記感知ユニットは、水晶発振子のような圧電性材料を含む、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項3】
前記感知ユニットは、チューブの構造的な共振周波数に実質的に一致する周波数で検出器により形成されるキャビティでキャビティ共鳴を可能にするために調整される内部の寸法を有する、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項4】
前記構造的な共振周波数は、前記チューブの呼吸モードの固有周波数である、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項5】
前記チューブは、該チューブのエンベロープに少なくとも1つのスリットを含み、前記スリットは、軸方向に実質的に延びる、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項6】
前記チューブは、接続手段により互いに保持される少なくとも2つのセグメントに軸方向で分割され、前記接続手段は、セグメント間で形成されるブリッジを含む、
請求項3記載の音響検出器。
【請求項7】
前記感知ユニットは、ベースに取り付けられた2つのプロングをもつチューニングフォークである、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項8】
前記チューニングフォークのプロングは、前記プロング間にキャビティを形成するために構成され、前記キャビティは、前記チューニングフォークの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有する、
請求項7記載の音響検出器。
【請求項9】
キャビティを形成するメンバを更に含み、前記キャビティ形成メンバは、該キャビティ形成メンバと、前記チューニングフォークのプロング及びベースとにより境界付けされるキャビティの形成を可能にするために構成され、前記キャビティは、前記チューニングフォークの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有する、
請求項7記載の音響検出器。
【請求項10】
前記感知ユニットは、前記オープンエンドボックスの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で当該検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するオープンエンドボックスとして形成される、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項11】
前記オープンエンドボックスの2つのサイドは、圧電性材料からなり、前記サイドは、互いに面しており、互いに面する2つの受動素子により保持される、
請求項10記載の音響検出器。
【請求項12】
前記オープンエンドボックスの受動素子は、それらの間に本質的にチューブ状のキャビティを形成するために構成される、
請求項11記載の音響検出器。
【請求項13】
信号エンハンス手段を更に有し、前記信号エンハンス手段は、前記感知ユニットの構造的な共振周波数と実質的に一致する周波数で当該検出器のキャビティ共鳴を可能にするために調整される寸法を有するキャビティ共振器を形成するため、前記感知ユニットと共に動作するために構成される、
請求項1記載の音響検出器。
【請求項14】
光源、請求項1乃至14のいずれか記載の音響検出器、及び、前記検出器からの情報をユーザに表示するために構成される出力装置を有する光音響分光システム。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【公表番号】特表2008−532036(P2008−532036A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557643(P2007−557643)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050572
【国際公開番号】WO2006/092751
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050572
【国際公開番号】WO2006/092751
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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