説明

免疫応答を誘導または調節する方法

適切には脊椎動物、例えば哺乳動物における、外来または自己いずれであってもよい抗原に対する免疫応答を誘導するかまたは制御するための、MARCH VIIとしても知られる、アキソトロフィンの使用を開示する。単離されたアキソトロフィン、並びにアキソトロフィンにコードされるかまたは由来するヌクレオチドおよびポリペプチド、その1以上を含有する組成物、並びにアッセイ法を、本発明のさらなる側面として提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチド、こうしたポリヌクレオチドにコードされるかまたは由来するポリペプチドおよびタンパク質の使用とともに、該ポリヌクレオチド、ポリペプチドおよびタンパク質のための使用、並びに抗原に対する免疫応答を誘導または調節する方法に関し、そしてさらに、所定の抗原に対する、個体の免疫状態を決定する方法に関する。特に、本発明は、適切には脊椎動物、例えば哺乳動物における、外来(foreign)または自己いずれであってもよい抗原に対する免疫応答を誘導するかまたは制御するための、MARCH VIIとしても知られるアキソトロフィン(axotrophin)の使用に関する。本発明はまた、単離されたアキソトロフィン、並びにアキソトロフィンにコードされるかまたは由来するヌクレオチドおよびポリペプチド、その1以上を含有する組成物、並びにアッセイ法も提供する。
【0002】
本明細書において、アキソトロフィンに対する言及には、アキソトロフィンを同定する配列に、少なくとも75%、そして好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に対する言及が含まれる。アキソトロフィンが、個体の免疫応答において重要な役割を果たすことが発見されたため、分子生物学の当業者に知られる多様な技術における多くの適用へのその使用、例えばハイブリダイゼーションプローブとしての使用、PCRプライマーとしての使用、アレイにおける使用、コンピュータ読み取り可能媒体における使用、全長遺伝子を配列決定する際の使用、タンパク質の組換え体産生における使用、およびアンチセンスDNAまたはRNA、その化学的類似体等の生成における使用が可能になる。
【0003】
同定されるポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列は、例えば、診断、法医学、遺伝子マッピング、遺伝子障害または他の特質に関与する突然変異の同定における適用、生物多様性を評価するための適用、発現アッセイにおけるプライマーとしての使用における適用、並びにDNA配列およびアミノ酸配列に依存する多くの他の種類のデータおよび産物を産生するための適用など、多くの適用を有する。アキソトロフィンは既知であり、そしてアキソトロフィン遺伝子の詳細を、AK022973およびNM_022826.2(ヒト)、並びにAF155739およびNM_020575(ネズミ)を含む多様なアクセッション番号下で、GenBankデータベースおよび別の箇所で見出すことも可能である。ヒトアキソトロフィンタンパク質配列を、アクセッション番号NP_073737.1下で、そしてネズミアキソトロフィンタンパク質配列を、NP_065600.1下で、見出すことも可能である。これらの配列を、以下に、それぞれ、配列同定番号001〜004として示す。アキソトロフィンは、Science, Vol 298, 597-600 (2002年10月18日)に開示されるように、マウスの胚性幹細胞、神経幹細胞および造血幹細胞に豊富にあると同定される、216の遺伝子の1つであり、そしてシグナル伝達およびユビキチン経路に関与すると言われる(表1中)。2001年に刊行されたGenes & Development 15:2660-2674は、マウスタンパク質アキソトロフィンが、RING-CHドメインを有し、そして正常脳発生に必要であり、そしてアキソトロフィン遺伝子を破壊すると、神経変性および脳梁欠損が生じうることを開示する。刊行文献からは、アキソトロフィンの機能に関して他に知られることはほとんどないようである。
【0004】
本発明の発明者は、ここに、アキソトロフィンが、ゲノム、mRNAおよび/またはタンパク質レベルで、抗原に対する免疫応答を誘導または制御することを見出した。制御は、アンチセンスDNAまたはRNAまたは結合性分子を通じて操作され得ると考えられる。さらに、以下の実施例に示すように、アキソトロフィンは、Tリンパ球細胞増殖を制御し、そして例えば活性化されたTリンパ球からの、白血病阻害因子(LIF)の放出を制御することが見出された。WO 03/052424は、c-kit(CD117)、STAT3、幹細胞因子(SCF)およびLIFが、寛容免疫応答において上昇し、そして抗原に対して生成される免疫応答を調節する際に用いられ得ることを開示する。LIFネズミ配列は、SWISSPROT P09056で入手可能である。ヒト配列は、SWISSPROT P15018で入手可能である。
【0005】
本発明は、「外来」抗原(例えば同種、異種、原核生物、ウイルスまたは合成)または自系(「自己」)抗原いずれであってもよい抗原に対する免疫応答を、直接または間接的に誘導するかまたは制御するための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用を提供する。
【0006】
免疫応答の操作は、ex vivo、in vivoまたはin vitro細胞集団中であり得る。
【0007】
本発明に関して、免疫応答の「制御」に対する言及にはいずれも、表現型発生の制御および細胞集団の維持の制御であって、所定の抗原に対する免疫を制御するものを含む。
【0008】
本明細書において、アキソトロフィン「由来」の物質に対する言及には、例えば、一本鎖または多重鎖いずれであってもよいRNAiを含むアンチセンス配列、および、抗体、特にモノクローナル抗体を含む、アキソトロフィンのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合する小分子が含まれる。アキソトロフィンに「直接または間接的に」由来する物質に対する言及には、こうしたポリヌクレオチドまたは小分子のいずれもが含まれる。
【0009】
本明細書において、「ポリペプチド」に対する言及には、タンパク質、そして特に成熟タンパク質が含まれる。
【0010】
本発明はまた、「外来」抗原(例えば同種、異種、原核生物、ウイルスまたは合成)または自系(「自己」)抗原いずれであってもよい抗原に対する脊椎動物の免疫応答を、直接または間接的に誘導するかまたは制御するための薬剤製造における、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用も提供する。
【0011】
本発明によって製造される薬剤は、移植された組織、細胞または臓器の拒絶を減少させるため、個体を処置するのに適する。
【0012】
本発明はさらに、LIFの発現を制御するための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドの使用を提供する。LIFは、「外来」抗原(例えば同種、異種、原核生物、ウイルスまたは合成)または自系(「自己」)抗原いずれであってもよい抗原に対する脊椎動物の免疫応答を、直接または間接的に誘導または制御し得る。
【0013】
適切には、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用は、LIFに感受性の癌性免疫細胞を、ex vivoまたはin vivoでターゲティングすることを許容する。
【0014】
いかなる理論に束縛されることを望むものでもないが、アキソトロフィンはまた、Foxp3およびSOCS3の発現を、ゲノムおよび/またはタンパク質レベルで制御し、そしてこれがT細胞制御において役割を果たすと考えられる。
【0015】
本発明は、さらなる態様において、in vivo、ex vivoまたはin vitro環境において、細胞集団におけるT細胞増殖を誘導または制御するための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用を提供する。T細胞は、好ましくはTリンパ球である。
【0016】
好適には、脊椎動物、例えば哺乳動物の免疫応答が、移植された、臓器、組織、細胞、遺伝子または遺伝子産物、人工的物質、あるいは体内で利用される(例えば療法目的で利用される)他の任意の剤を、許容するかガイドするために、本発明を用い得る。本発明は、療法または別の方法における、幹細胞の使用に特に適用可能である。
【0017】
例えば、神経変性疾患を含む疾患を治療するための細胞、移植のための組織(例えば骨髄、皮膚、軟骨、骨、腱、心筋を含む筋肉、血管、角膜、神経細胞、胃腸細胞および他のもの)、並びに移植用の臓器(腎臓、肝臓、島細胞を含む膵臓、心臓および肺を含む)の移植において、導入された生物学的物質を、免疫攻撃から防御するために、アキソトロフィンの免疫抑制活性を用い得る。
【0018】
適切には、アキソトロフィンポリペプチドにコードされるかもしくは由来するものの発現、またはアキソトロフィン活性に影響を及ぼす制御ポリペプチド配列もしくはポリヌクレオチド配列の発現を、ex vivoで宿主免疫細胞において修飾して、免疫応答が、導入された生物学的物質を許容するようにバイアスをかけることも可能である。あるいは、またはさらに、該生物学的物質内のアキソトロフィンの発現をex vivoで調節して、in vivoで導入された際に、免疫調節特性を持たせることも可能である。
【0019】
Tリンパ球を上方または下方に制御すること(regulating up and down)によって、並びにNK細胞および他の細胞集団の細胞溶解活性をもたらすことによって、重症複合免疫不全(SCID)を含む免疫障害の処置に、アキソトロフィンを使用することも可能である。これらの免疫不全は、遺伝性であるか、またはウイルス(例えばHIV)、並びに細菌もしくは真菌感染によって引き起こされ得るし、あるいは自己免疫障害からも生じ得る。より具体的には、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するタンパク質もしくはポリヌクレオチドを用いて処置し得る、ウイルス、細菌、真菌または他の感染によって引き起こされる感染性疾患は、HIV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ミコバクテリア、リーシュマニア属(Leishmania)種、マラリア種による感染、およびカンジダ症などの多様な真菌感染、並びに免疫系のブーストが一般的に望ましくなり得る場合(例えば癌の処置)を含む。
【0020】
アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するタンパク質もしくはポリヌクレオチドを用いて処置し得る自己免疫障害には、例えば、結合組織疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、自己免疫肺炎症、ギラン-バレー症候群、自己免疫甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、重症筋無力症、移植片対宿主病および自己免疫炎症性眼疾患が含まれる。本発明のこうしたタンパク質(またはそのアンタゴニスト(抗体を含む))はまた、アレルギー反応および状態(例えばアナフィラキシー、血清病、薬剤反応、食物アレルギー、昆虫毒アレルギー、肥満細胞症、アレルギー性鼻炎、過敏性肺炎、蕁麻疹、血管性浮腫、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、多形性紅斑、スティーブンス-ジョンソン症候群、アレルギー性結膜炎、アトピー性角結膜炎、性病性角結膜炎、巨大乳頭状結膜炎および接触アレルギー)、例えば喘息(特にアレルギー性喘息)または他の呼吸器の問題の処置にも有用でありうる。
【0021】
アキソトロフィンを用いる際、下方制御は、既に進行中の免疫応答を阻害するかまたは遮断(blocking)する形であり得るし、あるいは免疫応答の誘導を妨げることも伴い得る。
【0022】
免疫応答中の1以上の機能の下方制御または防止(例えばインターフェロンガンマ放出を減少させる際)におけるアキソトロフィンの使用は、組織、皮膚および臓器移植の状況において、そして移植片対宿主病(GVHD)において、有用であり得る。アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの下方調節によって、攻撃的免疫応答を上方制御することもまた有用である。免疫応答の上方制御は、現存する免疫応答を増進する形であるか、または最初の免疫応答を誘発する形であり得る。例えば、免疫応答の増進は、インフルエンザおよび普通の風邪のような全身性ウイルス疾患を含むウイルス感染の場合、有用であり得る。アキソトロフィンを制御すると、腫瘍細胞に対するT細胞仲介性免疫応答が適切に促進される。
【0023】
アキソトロフィンのポリペプチドは、例えば単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、マスト細胞、好酸球、上皮細胞および/または内皮細胞を含む、哺乳動物細胞の走化性またはケモキネシス活性の制御に関与し得る。本発明は、走化性またはケモキネシス組成物、例えば、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを含有する、タンパク質、抗体、結合パートナーまたは調節剤を提供し、創傷および組織に対する他の外傷の処置、並びに局所感染の処置に、特に利点を提供する。例えば、腫瘍または感染部位へのリンパ球、単球または好中球の誘引によって、腫瘍または感染性要因(agent)に対する免疫応答の改善を生じ得る。
【0024】
本発明はまた、自己免疫反応の間に、先天性免疫応答または適応的免疫応答いずれを誘発するのであっても、自己免疫疾患または障害と関連する抗原の許容を可能にするか、または少なくとも該抗原に対する攻撃的応答の減少を可能にするように、免疫系をガイドするためにも適切に使用し得る。
【0025】
さらに、本発明は、臓器、組織、細胞、病原体、例えば原核生物、酵母または真菌、寄生虫またはウイルス、遺伝子または遺伝子産物、人工的物質、あるいは体に侵入するかもしくは摂取されるか、または体内で生成されることも可能な他の要因のいずれかであって、望ましくないか、病的である(例えば新生物組織または感染組織)か、もしくは宿主患者に別の方式で有害である、該要因を拒絶する免疫応答をガイドするために用い得る。
【0026】
本発明はまた、ワクチン接種後、特に、現在のワクチン接種法では生物学的要因(例えば生物戦争(germ warfare)に関連するものを含む)に対する防御免疫拒絶応答を生成する際に成功が限られている場合において、抗原に対する免疫応答の度合いを増進するためにも用い得る。
【0027】
本発明の特に好適な側面は、特定の抗原による活性化に際して生成される応答が特異的であることである。in vivoのシグナル経路調節によって、寛容または攻撃に向けて、免疫応答をガイドし得る。抗原曝露に際して、本発明の多様な側面にしたがって、応答性細胞を寛容または攻撃に向けてガイドし、そして制御適応(regulatory adaptation)によって、非応答性細胞が影響を受けないままにもし得る。ターゲット抗原自体が、応答性細胞または応答性細胞集団を誘発し;他の抗原に対してのみ応答可能な細胞は誘発されず、そしてしたがって、その時点で、関連する抗原に対する、寛容または攻撃に向かうガイドを受容しない。別法又は追加として、ex vivoで、制御寛容(regulatory tolerance)または攻撃に向けて、免疫細胞をガイドし得る。免疫細胞、例えば血液および/または脾臓の免疫細胞を取り除き、そして個体に戻す前に、抗原で処理して寛容または攻撃に向けてガイドすることも可能である。
【0028】
本明細書において、用語「抗原」は、当該技術分野に一般的に理解される意味を有し、そしていかなる天然存在、組換えまたは合成産物、例えばポリペプチド(グリコシル化されていてもよい)も含む。用語、抗原にはまた、タンパク質キャリアー、およびステロイド、炭水化物またはポリヌクレオチドなどの非タンパク質分子の複合体も含まれる。
【0029】
抗原はまた、本明細書において、複数の抗原およびエピトープを含むいかなる物質をも指し、例えば細胞または組織、臓器、移植片を指し、実際、脊椎動物(例えば哺乳動物)の免疫系によって、免疫応答を開始させるいかなる物質をも指す。
【0030】
抗原は、ヒトまたは動物疾患に関与する病原性生物の抗原であり得る。動物疾患を引き起こす生物には、例えば口蹄疫ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、狂犬病ウイルス、およびサルモネラ属(Salmonella)種が含まれる。ヒト疾患を引き起こす生物には、例えば、ネズミチフス菌(S. typhimurium)およびチフス菌(S. typhi)を含むサルモネラ属種、黄色ブドウ球菌(S. aureus)などのブドウ球菌属(Staphylococcus)、百日咳(Pertussis)、コレラ菌(Vibrio cholera)、病原性大腸菌(E. coli)、結核菌(M. tuberculosis)およびパラ結核菌(M. paratuberculosis)などのミコバクテリア属(Mycobacteria)種などの細菌が含まれる。ウイルス性生物には、例えば、HIV-1またはHIV-2(ウイルス抗原gpl60/120を含む)、HBV(表面抗原またはコア抗原を含む)、HAV、HCV、HPV(例えばHPV-16)、HSV-1または2、エプスタイン バー ウイルス(EBV)、神経向性ウイルス、アデノウイルス、サイトメガロウイルス、灰白髄炎ウイルス、および麻疹ウイルスが含まれる。
【0031】
天然痘および炭疽もまた、関心対象の病原体であり、そしてこれを本発明に供し得る。真核病原体には、酵母、例えばC.アルビカンス(C. albicans)、コウジカビ、住血吸虫、原生動物、アメーバ、マラリア原虫を含むプラスモジウム、トキソプラズマ、ランブル鞭毛虫およびリーシュマニアが含まれる。
【0032】
抗原はまた、腫瘍関連抗原であり得る。こうした抗原には、CEA、アルファ胎児性タンパク質(AFP)、neu/HER2、多形性内皮ムチン(PEM)、N-CAMおよびルイスYが含まれる。
【0033】
抗原は、異常発現抗原、例えばp53、またはウイルス修飾抗原であり得る。
【0034】
上述のような抗原は、生物の培養物から精製したタンパク質の形で、またはより好ましくは、望ましい抗原の組換え体産生によって、得ることができる。抗原は、化学合成によって、例えば商業的に入手可能なものなどの自動化ペプチド合成装置を使用しても、産生し得る。
【0035】
望ましい活性が保持される限り、野生型ポリペプチドの代わりに、適切なフラグメントを用い得る。当業者は、保存的方式で、例えば機能を破壊することなく、任意のポリペプチドのアミノ酸配列を容易に変化させ得る。
【0036】
本発明のさらなる側面は、個体において、抗原に対する免疫応答を調節する方法であって、該個体に、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドを供給することを含む、前記方法を提供する。
【0037】
こうした供給は、単数または複数のポリペプチドの投与によることも可能であるし、あるいは単数または複数のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの投与によることも可能である。さらなるアプローチは、例えば関連する遺伝子のプロモーターまたは他の制御要素を結合させることによって、単数または複数のポリペプチドの発現を上方制御する物質の投与を含む。
【0038】
本発明はまた、抗原に対する個体の免疫応答を調節する方法であって、該個体におけるアキソトロフィンの活性に影響を及ぼす物質を投与することを含む前記方法も提供する。
【0039】
個体において、アキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量を、活性が増加するかまたは増大するように上方に調節するか、あるいは活性を減少させるかまたは減じるように下方に調節し得る。増加した活性は、免疫寛容の促進に関連し、一方、減少した活性は、抗原に対する免疫応答の促進、すなわち攻撃的応答に関連する。
【0040】
したがって本発明によれば、所定の抗原に対する免疫系の応答を操作する方法、例えば抗原に対する個体の免疫系の寛容を増加させる方法であって、該個体に、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、あるいはアキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量または活性を増進する物質を投与することを含む、前記方法が提供される。
【0041】
さらに本発明によれば、抗原に対する個体の免疫系の攻撃的応答を増強するかまたは増加させる方法であって、該個体に、アキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量または活性を減少させる物質を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0042】
物質は、結合するかまたは別の方式で相互作用することによって、アキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量または活性を減少させることも可能である。こうした物質は、例えば、適切な結合特異性を持つ抗体分子、あるいはポリペプチドに結合する他のペプチジルまたは非ペプチジル分子であり得る。例えば、関連する遺伝子のプロモーター機能を下方制御することによって、または(例えばアンチセンスまたはdsRNA阻害、RNAi、またはリボザイム消化によって)コードmRNAをターゲティングして翻訳を減少させることによって、またはポリペプチドの分解を促進する物質によって、例えばユビキチン化を用いて、ポリペプチドの産生を減少し得る。
【0043】
物質は、結合によって、例えばコードポリヌクレオチド配列のプロモーターまたはエンハンサー領域に結合してプロモーター機能を増加させることによって、アキソトロフィンにより直接または間接的に発現されるポリペプチドの活性を増加し得る。
【0044】
本発明のさらなる側面は、個体において、抗原に対する攻撃的免疫応答を増進する方法、あるいは攻撃的免疫応答の増進または攻撃的免疫応答の減少を提供する方法、あるいは個体において寛容を促進する方法であって、該個体に、抗原または抗原をコードするポリヌクレオチドを含む組成物を投与し、そして個体において、アキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチド、あるいはこうしたポリペプチドの量または活性を改変する物質を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0045】
2以上の組成物を、同時投与または連続投与のための併用調製物として提供し得る。
【0046】
関心対象の抗原に対して個体の免疫系が示す寛容または攻撃の存在または度合いを調節するように、アキソトロフィンの発現に際して産生される物質(例えばLIF)のレベルを、例えばコードポリヌクレオチドを介して、または内因性発現レベルの改変によって、またはポリペプチド活性の改変によって、例えば、小分子または他の活性剤によって、改変し得る。計画された移植に対して、病原体または他の外来物体への潜在的曝露に対して、宿主の形質転換細胞(例えば癌細胞またはウイルス感染細胞)に対して、免疫系の状態を整えることを含めて、多様な状況で、そして自己免疫障害において、本発明を用いることも可能である。
【0047】
本発明にしたがって調節されるかまたは影響を受ける攻撃的免疫応答は、不適切な免疫応答、例えば自己免疫疾患におけるもの、または適切な免疫応答、例えば病原体への応答におけるもの、であり得る。
【0048】
アキソトロフィンは、脊椎動物(例えばヒトを含む哺乳動物)における免疫応答の制御を提供することが見出された。適切には、該応答は、脊椎動物における、抗原に対する寛容原性免疫応答である。
【0049】
さらなる態様において、本発明は、免疫状態をアッセイするための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用を提供する。アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドは、臨床医学または獣医学に有用であるのに適する。
【0050】
本発明はまた、個体の免疫状態を決定する方法であって、該個体から取り除いたかまたは得た、組織、細胞、および/または体液を含む試験試料中において、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現レベルを決定すること、及び該試験試料に関するレベルを対照試料のレベルと比較することを含む前記方法も提供し、ここで試験試料中のレベルが対照試料のレベルより高いならば、個体における免疫状態が寛容免疫応答を含むことの指標となり、または試験試料中のレベルが対照細胞のレベルより低いならば、個体における免疫状態が攻撃的免疫応答を含むことの指標となる。
【0051】
免疫状態のアッセイは、病原体に対する免疫応答、腫瘍などの疾患組織に対する免疫応答、移植された組織、細胞または他の物質に対する寛容、に関して、個体の免疫状態を評価するのに用い得る(例えば、レシピエントに対する免疫抑制療法を減少させるかまたは取り除くことが望ましい場合、臓器同種移植片または異種移植片に対する寛容の状態を示す)。したがって、こうしたアッセイは、個体の免疫系の状態を決定するために、診断関連で用い得る。これを、進行中の処置の利点または成功を評価するのに使用し得る。
【0052】
該方法は、組織または細胞移植片を有し、そして場合によって療法を受けている最中の個体の免疫状態を決定するのに特に有益である。適切には、末梢血を含む試験試料に関して、レベルを決定する。本明細書において、「個体」に対する言及には、動物、並びにヒトが含まれる。
【0053】
さらなる側面は、開示されたように個体において、抗原に対する個体における攻撃的免疫応答をブーストするかもしくは減少させるための薬剤製造において、または抗原に対する個体における免疫系の寛容を改変するための薬剤製造において、あるいは本明細書に示すような治療法いずれかにおいて、使用するための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、あるいは個体におけるその量または活性を改変する物質の使用を提供する。こうした薬剤は、一般的に、抗原が、病原体、疾患細胞(例えば腫瘍)、または移植しようとする物質(例えば臓器、組織もしくは細胞)のものであっても、抗原と関連する疾患または障害の処置または予防のための投与用である。
【0054】
一般的に、本発明によるこうした物質は、実質的に純粋な単離型および/または精製型で提供される。好ましい態様において、物質は組成物中にあり、適切には、組成物中、重量で少なくとも80%の活性成分、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、そして特に少なくとも98%に相当する。
【0055】
アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチド、あるいは、例えば該ポリペプチドに結合することによって(抗体分子など)、またはコード遺伝子からの発現によるポリペプチド産生に影響を及ぼすプロモーター要素と結合することによって、こうしたポリペプチドの活性または量に影響を及ぼすペプチジル物質、あるいは本発明の側面または態様のいずれかで使用可能な他のポリペプチドは、組換え発現によって産生し得る。
【0056】
本発明の態様にしたがって、個体に与えられる物質は、所望により「予防的有効量」または「療法的有効量」で投与し得る。予防効果は、抗原へのその後の曝露に対して、個体の攻撃的免疫応答を増強するかまたは減少させるのに充分であり得る(抗原に対する攻撃的免疫応答が望ましいか、寛容原性応答が望ましいかに応じて)。最も好ましくは、該効果は、抗原へのその後の曝露の結果として、1以上の臨床症状を患うことから、個体を防御するのに充分である。療法効果は、あらかじめ存在する反応に対して、個体の攻撃的免疫応答を増強するかまたは減少させるのに充分であり、好ましくは、例えば自己免疫障害または移植片拒絶において、完全にまたは部分的に、反応に拮抗するのに充分である。最も好ましくは、効果は、1以上の臨床症状を改善するのに充分である。投与する実際の量、並びに投与の速度およびタイムコースは、処置しようとするものの性質および重症度に応じるであろう。処置の処方(例えば投薬量の決定など)は、一般開業医および他の医師の責任内であり、そして典型的には、処置しようとする障害、個々の患者の状態、搬送部位、投与法および開業医に知られる他の要因を考慮に入れる。上述の技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第16版, Osol, A.(監修), 1980に見出すことが出来る。
【0057】
本発明はまた、アキソトロフィンのヌクレオチド配列に基づく、本発明のポリヌクレオチドに特異性を有するリボザイムも提供する。
【0058】
さらに、本発明は、免疫系の状態または免疫系に関連する状態を処置するための薬剤の製造方法であって、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの全体の活性を調節する化合物または他の物質を投与することを含む、前記方法を包含する。化合物および他の物質は、ターゲット遺伝子/タンパク質発現のレベルまたはターゲットタンパク質活性のレベルいずれかに対する調節をもたらすことが出来る。
【0059】
本発明は、さらなる側面において、単離されたアキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに関し、これらには、組換えDNA分子、クローニングされた遺伝子またはその縮重変異体、特にスプライス変異体、アレル変異体、アンチセンスポリヌクレオチド分子およびこうしたポリペプチド上に存在する1以上のエピトープを特異的に認識する抗体、並びにこうした抗体を産生するハイブリドーマが含まれる。
【0060】
本発明のポリヌクレオチド配列はまた、アキソトロフィンの配列情報を、ユニークに同定するかまたは代表する、アキソトロフィンのセグメントも含む。適切なポリヌクレオチド配列をクローニングし、そして当該技術分野に知られる方法にしたがって、それをベクター中で発現させることによって、単離されたポリヌクレオチド配列を産生し得る。
【0061】
本発明のポリヌクレオチドにはまた、(a)アキソトロフィンの相補体(complement);(b)アキソトロフィンをコードするポリヌクレオチド・ヌクレオチド配列;(c)アキソトロフィンのアレル変異体であるポリヌクレオチド;(d)アキソトロフィンにコードされるかまたは由来する種ホモログ(例えばオルソログ)をコードするポリヌクレオチド;あるいは(e)アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチド;のいずれかの特定のドメインまたは一部切除物(truncate)を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドも含まれる。
【0062】
免疫応答を提供する手段としての、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドをコードする機能遺伝子の適切な細胞への搬送は、ex vivo、in situまたはin vivoで、適切にはベクターの使用によって、そしてより詳細にはウイルスベクター(例えばアデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはレトロウイルス)の使用によって、あるいはex vivoで物理的DNA導入法(例えばリポソームまたは化学処理)の使用によって、適切に達成され得る。コードされる遺伝子産物のin vivoでの発現のため、裸のDNAまたはRNAを用い得る。裸のDNAは、直接注射を用いて、あるいは遺伝子銃(Yangら、1990)または他の任意の適切な技術の使用によって(例えば局所的に(例えば乾癬治療のために))、搬送し得る。アキソトロフィンまたはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドを含有するように、あるいはアキソトロフィンポリペプチドを発現するように、形質転換されたかまたはトランスフェクションされたか、または別の方式で遺伝子操作された細胞を使用して、機能物質を搬送し得る。
【0063】
さらなる側面において、本発明は、アキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチド配列もしくはポリペプチドの発現のためのベクター、アキソトロフィンまたはアキソトロフィンをコードするポリヌクレオチド配列(例えばアキソトロフィンに相補的であるかまたはその逆であるポリヌクレオチド配列、プロモーター配列および終結配列)を含有するベクター、を提供する。
【0064】
適切にはin vivoでの産生のために、アキソトロフィンまたはアキソトロフィンにコードされるポリヌクレオチドを、搬送するこためにウイルスベクターを用い得る。本発明にしたがった使用のための、アキソトロフィン、あるいはポリペプチドまたは他のペプチジル分子をコードする、アキソトロフィンにコードされるポリヌクレオチドは、遺伝子治療法で使用し得る。これには、発現のための適切な制御要素の使用、およびin vivoで、宿主細胞への発現単位(コード配列および制御要素)の搬送に適したベクターの使用を必要とする。ウイルスベクターおよびプラスミドベクター両方の多様なベクターが当該技術分野で知られ、例えば米国特許第5,252,479号およびWO 93/07282および無数の他の刊行物を参照されたい。特に、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、HSVおよびEBVを含むヘルペスウイルス、およびレトロウイルスを含む、数々のウイルスが、遺伝子導入ベクターとして用いられている。先行技術における多くの遺伝子治療プロトコルにおいて、無効にされた(disabled)ネズミレトロウイルスが用いられている。多様なアデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスベクターが開発されている。ウイルスベクターの代替物には、リポソームおよび直接DNA取り込みに仲介される導入、並びに受容体仲介DNA導入が含まれる。
【0065】
アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリヌクレオチドまたはポリペプチドの発現は、適切には、誘導性制御要素の調節下にあり、この場合、内因性遺伝子の制御配列を、相同組換えによって、置換し得る。遺伝子ターゲティングを用いて、遺伝子の存在する制御領域を、異なる遺伝子から単離された制御配列または遺伝子操作法によって合成された新規制御配列で、置換し得る。こうした制御配列は、プロモーター、エンハンサー、足場付着領域、負の制御要素、転写開始部位、制御タンパク質結合部位、または前記配列の組み合わせで構成され得る。あるいは、産生されるRNAまたはタンパク質の構造または安定性に影響を及ぼす配列を、ターゲティングによって、置換するか、取り除くか、付加するか、または別の方式で修飾し得る。これらの配列には、ポリアデニル化シグナル、mRNA安定性要素、スプライシング部位、タンパク質の輸送特性または分泌特性を増進するかまたは修飾するためのリーダー配列、あるいはタンパク質またはRNA分子の機能または安定性を改変するかまたは改善する他の配列が含まれる。
【0066】
ポリペプチドの発現を阻害する他の方法には、当該技術分野に知られる方法による、本発明のポリヌクレオチド、その相補体、その転写されたRNA配列、またはRNAの翻訳された産物、に対するアンチセンス分子の導入が含まれる。さらに、ターゲティング欠失法、または組織特異的な負の制御要素(サイレンサーなど)の挿入を用いることによって、本発明のポリペプチドを阻害することも可能である。「遺伝子サイレンシング」技術は、FireらによってEP-A-1042462に、そしてNature Vol 391 pp 806〜811, “Potent and specific genetic interference by double stranded RNA in C. elegans”に開示される。
【0067】
用語「単離された」は、本明細書において、天然供給源において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと共に存在する、少なくとも1つの他の構成要素(例えばポリヌクレオチドまたはポリペプチド)から分離された、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを指す。1つの態様において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、(あるとすれば)溶媒、緩衝剤、イオン、またはその溶液中に通常存在する他の構成要素のみの存在下で見られる。用語「単離された」および「精製された」は、天然供給源中に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含まない。
【0068】
用語「縮重変異体(degenerative variant)」は、本明細書において、本発明記載の配列とは異なるが、縮重のため、同一のポリペプチド配列、または少なくとも75%、そして好ましくは少なくとも90%の配列同一性を有する配列をコードする、ヌクレオチド配列を含む。
【0069】
アキソトロフィンの配列情報またはその同定情報のコレクションを、ポリヌクレオチドアレイ上に提供することも出来る。1つの態様において、ポリヌクレオチド・アレイ上に配列情報のセグメントを提供して、アキソトロフィンまたはアキソトロフィンセグメントを含有するポリヌクレオチドを検出する。アキソトロフィンへの完全マッチまたはミスマッチを検出するように、アレイを設計することも可能である。コンピュータ読み取り可能形式で、コレクションを提供することもまた可能である。
【0070】
本発明は、本明細書に記載するような、本発明記載のアキソトロフィンまたはベクターを含有するように遺伝子操作された細胞をさらに提供する。適切には、本発明記載の細胞(好ましくは宿主細胞)は、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチド配列もしくはポリペプチド配列を発現するように、アキソトロフィンまたは本発明の別のポリヌクレオチドで形質転換されているか、またはトランスフェクションされている。既知の形質転換法、トランスフェクション法または感染法を使用することも可能である。
【0071】
多様な異なる細胞において、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドを、クローニングし、そして発現するための系が知られる。適切な宿主細胞には、細菌、哺乳動物および酵母などの真核細胞、並びにバキュロウイルス系が含まれる。異種ポリペプチドの発現のため、当該技術分野で入手可能な哺乳動物細胞株には、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、COS細胞および多くの他のものが含まれる。一般的な好ましい細菌宿主は、大腸菌である。
【0072】
さらなる側面は、宿主細胞にポリヌクレオチドを導入することを含む方法を提供する。限定なしに、(特にin vitroの導入に関して)形質転換と一般的に称されることも可能な導入は、利用可能ないかなる技術を使用することも可能である。
【0073】
真核細胞のため、適切な技術には、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン、エレクトロポレーション、リポソーム仲介性トランスフェクション、並びにレトロウイルスまたは他のウイルス(例えばワクシニアウイルス、あるいは昆虫細胞ではバキュロウイルス)を用いた形質導入が含まれ得る。細菌細胞では、適切な技術には、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーションおよびバクテリオファージを用いたトランスフェクションが含まれ得る。代替法として、ポリヌクレオチドの直接注射を使用することも可能である。当該技術分野に周知であるように、関心対象のポリヌクレオチドを含有するクローンを同定する際に、抗生物質耐性または感受性遺伝子などのマーカー遺伝子を用い得る。
【0074】
例えば、導入後、宿主細胞(実際に形質転換された細胞を含み得るが、より適当には、細胞は形質転換細胞の子孫であろう)を、遺伝子を発現する条件下で培養し、ポリヌクレオチドからの発現を引き起こすかまたは可能にすることができ、それによりコードされるペプチドまたはポリペプチドが産生される。ペプチドまたはポリペプチドが、適切なシグナルリーダーペプチドにカップリングして発現されているならば、細胞から培地に分泌され得る。発現による産生後、場合によっては、宿主細胞および/または培地から、ペプチドまたはポリペプチドを単離および/または精製し、そしてその後、望ましいように、例えば組成物の配合物中で、用い得る。
【0075】
適切には、in vivoで、細胞において発現されるアキソトロフィンのポリヌクレオチドは、細胞におけるポリヌクレオチドの発現を駆動する、宿主細胞に対して異種性の制御配列と、機能的に関連している。これらの方法を用いて、本発明のポリヌクレオチドの発現を増加させるかまたは減少させることも可能である。本発明はまた、アキソトロフィンポリペプチドを産生する方法であって、望ましいポリペプチドの発現を可能にする条件下で、適切な培地中、本発明の細胞の培養物を増殖させること、および該培養物からまたは宿主細胞からポリペプチドを精製することを含む、前記方法にも関する。好ましい態様には、こうしたプロセスによって産生されるタンパク質が、タンパク質の成熟型、および成熟タンパク質の機能活性いずれかを保持する他のポリペプチドいずれかであるものが含まれる。好ましい態様において、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドを用いて、該ポリペプチドに特異的に結合する抗体を生成する。こうした抗体、特にモノクローナル抗体は、特に免疫診断目的のため、組織中のポリペプチドを検出するかまたは定量化するのに有用である。組換え手段によって完全にまたは部分的に、本発明のポリペプチドを産生し得るが、化学的にも合成し得る。
【0076】
こうした方法は、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドと、抗体分子集団を接触させ、そしてポリペプチドまたはポリヌクレオチドに結合し、そして/またはその活性に影響を及ぼすことが可能な、集団の1以上の抗体分子を選択することを含み得る。
【0077】
ファージディスプレイなどの技術を用いて、動物の免疫系が直接関与するのを回避して、抗体分子をルーチンで得ることもできる。動物を免疫する代わりに、または動物を免疫するとともに、開示したような抗体分子を得る方法は、バクテリオファージ粒子表面上に、抗体分子集団をディスプレイすることを含むこともでき、各ファージ粒子は、その表面上にディスプレイされる抗体分子をコードするポリヌクレオチドを含有する。コードされる抗体分子またはその誘導体(例えば融合タンパク質、定常領域または他のアミノ酸を含む分子等)を操作するため、および/またはその産生に用いるために、関心対象の単数または複数のペプチドに結合することが可能な抗体分子をディスプレイするバクテリオファージ粒子から、ポリヌクレオチドを採取し得る。(例えば、WO92/01047におけるように)ディスプレイのために、バクテリオファージを用いる代わりに、例えばUS-A-5643768、US-A-5658754、WO95/11922に開示されるように、リボソームまたはポリソームを用い得る。
【0078】
非ヒト哺乳動物に単数または複数のペプチドを投与して、哺乳動物免疫系によって産生される抗体分子の集団と接触させ、次いで、単数または複数のペプチドと結合することが可能な1以上の抗体分子を該哺乳動物から採取するか、あるいはこうした抗体分子を産生する細胞を該哺乳動物から採取し得る。哺乳動物は屠殺し得る。
【0079】
細胞を哺乳動物から採取する場合、望ましい抗体分子を産生するために、こうした細胞を用い得るし、あるいは子孫または派生細胞株を用い得る。こうした子孫または派生細胞は、特に、ハイブリドーマ細胞を含み得る。
【0080】
個々または混合物中のいずれでも、単離型の抗体分子を提供し得る。複数の抗体分子を単離型で提供し得る。
【0081】
混入物質(例えば他のポリペプチドに結合可能な抗体)および/または血清構成要素を含まないという意味で、本発明記載の好ましい抗体は単離されている。いくつかの目的には、モノクローナル抗体が好ましいが、ポリクローナル抗体が、本発明の範囲内である。
【0082】
本発明にしたがって有用な抗体は、数々の方式で修飾し得る。実際、用語「抗体分子」は、抗体が抗原またはエピトープに結合するのを可能にする、抗体の抗原結合ドメインを含む、抗体断片および誘導体を含むと見なされなければならない。抗原または他の結合パートナーに結合することが可能な抗体断片の例は、VL、VH、ClおよびCH1ドメインからなるFab断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片;単離CDR領域、並びにヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片である。一本鎖Fv断片もまた含まれる。
【0083】
望ましい免疫応答(例えば免疫原性生物学的物質の導入を可能にする、その後の再導入のためのin vivoの免疫抑制)を生じるために、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するタンパク質またはポリヌクレオチドの存在下で、細胞をex vivoで培養し得る。他の使用において、抗原に対する攻撃的免疫活性を増大させるために、アキソトロフィン発現の予防またはアキソトロフィン活性の阻害が望ましくなり得る。アンチセンス療法または遺伝子治療を適切に使用して、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドの発現を負に制御し得る。
【0084】
天然存在プロモーターのすべてまたは一部を異種プロモーターで置換することによって、内因性アキソトロフィンポリペプチドの発現を可能にするか、増加させるかまたは減少させて、細胞が該タンパク質をより高いレベルで発現するか、または薬剤化合物に応答して誘導される発現を示すようにして、ポリペプチド発現増加を提供する、細胞または組織の修飾。
【0085】
さらなる側面において、本発明は、細胞に、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを導入することによって、ex vivoで自己または他の幹細胞または前駆細胞および/または免疫細胞をの産生を操作する(例えば増進する)ことを提供する。療法目的のため、特に免疫応答を制御するため、in vivo搬送前に、細胞を操作する。
【0086】
好ましい態様において、個体由来のリンパ球を、1以上の特異的分化因子(例えば既定のT細胞受容体(「TCR」)のターゲット抗原)の存在下で、ex vivoで培養し、そしてアキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチドの上方制御または下方制御を用いて、抗原に対して寛容であるように制御するように、または攻撃的であるように、その抗原に対する応答を適応させるか、修飾するか、または適格に(qualified)し得る。ex vivoで得た分化したクローンを、増殖させることも可能であるし、そして該クローンを用いて、レシピエント(特に元来のドナー)を治療して免疫応答を制御することも可能である。例えば、レシピエントは、臓器移植自体を受け入れる前に、外来臓器同種移植片に特に寛容であるようにされていることも可能である。
【0087】
本発明の方法における免疫応答の調節または誘導は、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドまたはポリヌクレオチド、断片および融合タンパク質を含む類似体、抗体および他の結合性タンパク質、並びに免疫応答においてアキソトロフィン活性を持つポリペプチドを直接阻害するかまたは活性化する化学的化合物によって、提供され得る。
【0088】
本発明記載のポリヌクレオチド分子およびベクターは、単離された型および/または精製された型、例えば実質的に純粋な型または均質な型で提供され得る。用語「単離体」は、これらの可能性のすべてを反映するよう用い得る。
【0089】
本発明にしたがって使用するための、ペプチド、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、あるいは他の分子または剤を、組成物中に配合することも可能であり、そしてこれは、薬学的背景で有用である。
【0090】
本発明はまた、単離されたアキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、および適切に非毒性であり、そして活性成分の有効性を干渉しない、薬学的に許容しうる希釈剤、キャリアーまたは賦形剤を含有する,組成物にも関する。キャリアーまたは他の物質の正確な性質は、投与経路(例えば経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻、筋内、腹腔内経路)に応じ得る。
【0091】
希釈剤、キャリアーまたは賦形剤は、ゲル、油またはリポソームの形であり得、そして独立に、好ましくは、親水性物質(例えば水)を含む。キャリアーまたは他の物質の正確な性質は、投与経路(例えば経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻、筋内、腹腔内経路)に応じ得る。
【0092】
経口投与のための組成物は、錠剤、カプセル、粉末または液体型であり得る。錠剤は、ゼラチンまたはアジュバントなどの個体キャリアーを含み得る。液体薬剤組成物は、一般的に、水、石油、動物油または植物油、ミネラルオイルあるいは合成油などの液体キャリアーを含む。生理学的食塩水溶液、デキストロースまたは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコールなどのグリコールも含まれ得る。
【0093】
静脈内、皮膚または皮下注射のため、活性成分は、適切に、発熱物質不含であり、そして適切なpH、等張性および安定性を有する、非経口的に許容しうる水性溶液の形であろう。関連する当業者は、例えば塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、乳酸加リンゲル注射液などの等張性ビヒクルを用いて、適切な溶液を調製することが可能である。必要に応じて、保存剤、安定化剤、緩衝剤、酸化防止剤および/または他の添加剤を含み得る。
【0094】
組成物は、単独でも、あるいは治療しようとする状態、および代替治療またはさらなる治療の利用可能性に応じて、同時にまたは連続して、他の治療と組み合わせても投与し得る。
【0095】
本発明において、組成物を個体に、特にヒトまたは他の霊長類に投与し得る。投与は、ヒトまたは別の哺乳動物、例えばマウス、ラットもしくはハムスター、モルモット、ウサギなどのげっ歯類、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ウシ、ロバ、イヌまたはネコに対するものであり得る。非ヒト哺乳動物に対する搬送は、療法目的のためである必要はなく、実験背景における、例えば関心対象の抗原に対する免疫応答の機構の研究、例えば癌、病原体等に対する防御における使用のためであり得る。
【0096】
本発明は、薬剤スクリーニング技術において、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、またはその結合性断片を用いることによって、化学的化合物をスクリーニングするのに、特に有用である。
【0097】
本発明は、アキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来する、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドおよびこうしたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの断片から選択される結合剤と、スクリーニングしようとする1以上の化学的化合物を含有する試験試料を接触させること、および化学的化合物が結合剤に結合したかどうかを決定することを含む、化学的化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0098】
結合剤は、ベクター、細胞または組成物を含む任意の適切な型であり得、そして化学的化合物に関するスクリーニングの既知の方法で利用可能である。
【0099】
こうした試験で使用するポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは断片は、溶液中に遊離していても、固体支持体に固定されていても、細胞表面に所持されていても、または細胞内に局在していてもよい。薬剤スクリーニングの1つの方法は、アキソトロフィンポリペプチドまたはその断片を発現する組換えポリヌクレオチドで、安定に形質転換されている、真核または原核宿主細胞を利用する。競合的結合アッセイにおいて、こうした形質転換細胞に対して、化学的化合物をスクリーニングし得る。こうした細胞は、生存可能型または固定型で、既知の方式で、結合アッセイのために用いられ得る。
【0100】
アキソトロフィンに対応するオープンリーディングフレーム(「ORF」)にコードされるかまたは由来するポリペプチドに結合するか、あるいはアキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリペプチドの特定のドメインに結合する剤を得て、そして同定するために、単離されたアキソトロフィンのタンパク質およびポリヌクレオチドを用い得る。
【0101】
本発明は、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに結合する剤を同定するスクリーニング法であって:
(a)アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドと、剤を接触させ;
(b)剤が、前記ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに結合するかどうかを決定し;そして
(c)剤および前記ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの間に形成される複合体の形成を検出して、複合体が形成されるならば、剤が検出されるようにする
ことを含む、前記方法を提供する。
【0102】
好ましいスクリーニング法において、細胞において、アキソトロフィンのポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物を、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと化合物のポリペプチド複合体が形成されるのに充分な時間、接触させ、ここで、該複合体が細胞中の受容体遺伝子配列の発現を駆動し、そしてレポーター遺伝子配列発現を検出することによって、複合体を検出する。
【0103】
本発明はまた、アキソトロフィン、またはポリヌクレオチドプローブおよび/またはモノクローナル抗体、並びに場合によって本発明の方法を実行するための定量的標準を含む、キットも提供する。
【0104】
本発明はさらに、場合によって適切な標識とコンジュゲート化されているかまたは別の方式で会合している、アキソトロフィンに対するポリヌクレオチドプローブまたは抗体を用いて、試験試料中で、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンをコードするポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの存在または発現を同定する診断法を提供する。
【0105】
本発明は、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを検出するための診断法であって:
(a)アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの存在に関して試験しようとする試料を、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに結合する化合物と接触させ;
(b)化合物が試料の構成要素と結合するかどうかを決定し;そして
(c)剤とタンパク質またはポリヌクレオチドとの間に形成される、複合体の形成を検出して、そして複合体が形成されるならば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドが検出されるようにする
ことを含む、前記方法を提供する。
【0106】
好ましくは、診断法は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、アキソトロフィンのポリヌクレオチドにアニーリングするポリヌクレオチドプライマーと試料とを接触させ、そしてアニーリングしたポリヌクレオチドを増幅し、ポリヌクレオチドが増幅されるならば、アキソトロフィンのポリヌクレオチドが試料中に検出されるようにすることを含む。
【0107】
好ましい態様において、個体の免疫応答を評価する診断法は、個体から試験試料(例えば血液)を得て、試験試料を、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに対する1以上の抗体と、または1以上のポリヌクレオチドプローブとインキュベーションし、そして試験試料の構成要素に対するポリヌクレオチドプローブまたは抗体の結合に関してアッセイすることを含む。
【0108】
本発明の態様にしたがったアッセイは、ELISA、ウェスタンブロット、免疫組織化学、拒絶に対して、制御寛容、アネルギーまたは欠失に向かうような誘導バイアスの観点における、免疫応答に対する薬剤の効果の同定、および当該技術分野で利用可能な他の適切な技術を使用し得る。
【0109】
試験は、cDNAおよび/またはmRNAを含有する調製物に対して行い得る。RNアーゼが広く存在するために、RNAはDNAより操作が難しく、これがcDNA分析を行い得る1つの理由である。
【0110】
しかし、一般的には、試験試料中のすべてのポリヌクレオチドまたは関心対象の全遺伝子であっても、配列決定を行うのは、時間的にも労働力としても効率的ではないため、1以上のプライマー対を用いたPCRなどの特異的増幅反応を使用して、もし試料中に存在するならば、関心対象の領域を増幅し得る。これは、定量的に行うことができ、これによって、試験試料中のアキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの量の決定を許容し得る。
【0111】
特異的プローブを用いて、ポリヌクレオチドをスクリーニングし得る。こうしたプローブは、配列中の該当する遺伝子の領域、またはその相補体に対応する。適切にストリンジェントな条件下では、試験ポリヌクレオチドに対して、こうしたプローブが特異的にハイブリダイゼーションするならば、関心対象のポリヌクレオチド分子が存在する指標となり、そして再びこれを定量化して、試験試料中のこうしたポリヌクレオチド分子の量の指標を提供し得る。
【0112】
特異的オリゴヌクレオチドプライマーを、PCRにおいて、同様に用いて、存在するならば、試験試料中の特定の配列を特異的に増幅し得る。
【0113】
方法は、ターゲットポリヌクレオチドに対する1以上(例えば2つ)のプローブまたはプライマーのハイブリダイゼーションを含み得る。ポリヌクレオチドが二本鎖DNA(例えばcDNA)である場合、一般的に、ハイブリダイゼーションの前に、変性を行って、一本鎖DNAを産生するであろう。ハイブリダイゼーションは、PCR法の一部、またはPCRを伴わないプロービング(probing)法の一部であり得る。当業者に利用可能な多くのものから選択されるスクリーニング法を用いて、ハイブリダイゼーション事象の成功を同定し、そしてこれによって、元来の試料に存在するポリヌクレオチド量の定量化を許容し得る。
【0114】
当業者の自由で、多様な技術いずれかを用いて、ターゲットポリヌクレオチド(例えばDNA)に対するプローブの結合を測定し得る。例えば、プローブを放射性標識するか、蛍光標識するか、または酵素的に標識し得る。プロービングは、標準的ブロッティング法を使用し得る。
【0115】
例えば、脾臓細胞などの細胞または生物学的組織または体液、尿、唾液、糞便、頬スワブ、生検または血液から、ポリヌクレオチドを抽出することによって、ポリヌクレオチドの試験試料を提供し得る。
【0116】
関心対象のポリペプチドまたはポリペプチドに特異的な抗体分子(または抗体混合物)などの特異的結合メンバーに対する結合パートナーの存在に関して、試験試料を試験し得る。結合を決定する前に、例えば記載のようなレポーター系を用いて、特異的結合に適した条件下で、抗体分子などの特異的結合メンバーと接触させることによって、試料を試験し得る。抗体のパネルを用いる場合、各抗体に関して、異なるレポーター標識を使用して、各々の結合の決定を許容し得る。
【0117】
抗体分子などの特異的結合メンバーを用いて、試験試料からその結合パートナーポリペプチドを単離および/または精製して、ポリペプチドの配列分析および/または生化学分析を可能にして、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの配列および/または特性を有するかどうかの決定を許容し得る。アミノ酸配列決定は、自動化配列決定装置を用いて、当該技術分野においてルーチンである。
【0118】
脾臓または体液、好ましくは血液由来などの、例えば組織または細胞を用いて、例えば未精製または部分的精製細胞または細胞溶解物調製物として、1以上のポリペプチドを含有する試験試料を提供し得る。
【0119】
他の試験は、試験動物、個体、被験者または患者から採取した血液または脾臓細胞、および細胞の抗原へのex vivo曝露を使用して、該抗原に対する攻撃的応答または寛容応答の存在または非存在を決定することを含み得る。
【0120】
特定のmRNA分子が、細胞または組織に存在するかどうかを決定するか、あるいはWalshら(Walsh, P.S.ら, 1992, PCR Methods Appl 1:241-250)に記載されるように、染色体DNAから類似のポリヌクレオチド配列を単離するために、例えば適切なプローブを用い得る。これらを、ニックトランスレーション、クレノウ埋め込み反応、PCR、または当該技術分野に知られる他の方法によって、標識することも可能である。適切なプローブ、その調製および/または標識は、Sambrook J.ら, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, ニューヨーク州;またはAusubel, F.M.ら, 1989, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨークに詳述される。
【0121】
本明細書のいずれかの箇所に言及される文献はすべて、参照することにより本明細書に援用される。本発明は、以下の非限定的実施例および付随する図によって例示される。
【実施例】
【0122】
(実施例1)
移植寛容:同種拒絶に対して同種寛容を比較する、遺伝子発現プロフィール
マウスにおいて、感染性制御寛容は、血管新生化心臓移植片のレシピエントにおいて、CD4/CD8遮断によって誘導可能である。ひとたび確立されたら、この移植寛容は頑強であり、そして単離された「寛容」脾臓細胞は、強力な免疫制御特性を示し、完全に免疫適格(competent)の未刺激(naive)のレシピエントに、ドナー特異的同種寛容を与えることが可能である。BALB/c-寛容CBA[H-2k]マウスを用いて、一連の時点で、そしてBALB/c-拒絶CBA脾臓細胞の同一のex vivoシリーズと比較して、ドナー(BALB/c[H-2d])抗原に対する脾臓細胞応答を分析した。拒絶の重要な特徴は、迅速なインターフェロンガンマ放出であった。対照的に、寛容においては、インターフェロンガンマは低く、そして第三者の抗原(C57Bl10[H-2b])に応答して放出されるものより少なかった。プライミングされた(primed)寛容の陽性マーカーは、STAT3およびc-kitの高発現、並びにLIFの放出であった。本明細書において、我々は、4つの遺伝子アレイ(48時間および123時間における、寛容対拒絶)の複数の比較を提示し、ここでは、比較的少数の示差発現遺伝子が存在した。拒絶においては、インターフェロンガンマおよびグランザイムB mRNAの強い進行性増幅があった。寛容においては、Emkおよびアキソトロフィン両方が、123時間で上方制御された。Emkを欠くマウスは、自己免疫疾患を発展させる(Hurovら, Mol Cell Biol, 2001)。アキソトロフィンを欠くマウスは、発生中、異常な軸索転位を示す。総合すると、我々の結果は、発生制御および免疫制御の間につながりがあることを示唆し、そして制御寛容において、アキソトロフィンが役割を果たしうることを強調する。
【0123】
材料および方法
BALB/c-プライミングCBAマウスの生成
Chen[Chen Z.K., Cobbold, S.P., Waldmann, H. & Metcalfe, S.M. Amplificaion of natural regulatory immune mechanisms for transplantation tolerance. Transplantation 62, 1200-1206(1996)]に記載される技術を用いて、10〜12週齢のCBAマウス(H2k)は、首に、完全にミスマッチした、血管新生化BALB/c(H2d)心臓移植片の移植を受けた。先に記載されるように[Chen Z.K., Cobbold, S.P., Waldmann, H. & Metcalfe, S.M. Amplificaion of natural regulatory immune mechanisms for transplantation tolerance. Transplantation 62, 1200-1206(1996)]、CD4およびCD8に対する遮断mAbを用いた隔日療法の21日コースによって、寛容を生じさせた。ex vivo分析のため、移植の少なくとも100日後に、寛容レシピエント由来のBALB/c-寛容CBA脾臓細胞を単離した。比較のため、10〜12週齢の未処置CBAマウスに、BALB/cの尾の皮膚を移植すると第10日までに拒絶され、またBALB/c心臓を移植すると第7日に拒絶された。ex vivo分析のため、第14日に、BALB/c-拒絶CBA脾臓細胞を収集した。Animals (Scientific Procedures) Act 1986, UKに基づき、内務省の認可にしたがって、すべての処置を行った。
【0124】
ex vivo培養
培養条件は別の箇所に詳細に記載されている[Metcalfe, S.M. & Moffatt-Bruce, S.D. An ex vivo model of tolerance versus rejection: Comparison of STAT1, STAT4, STAT5 and STAT6. Clin. Chem. and Lab. Med. 38, 1195-1199(2000)]。簡潔には、BALB/c-寛容CBAマウスまたはBALB/c-拒絶CBAマウスのいずれかから応答脾臓細胞を得て、そして10%FCSを補った総量10ml増殖培地中、6x107刺激細胞に対して4x107応答性細胞を用いて、放射線照射BALB/c脾臓細胞(ドナー抗原)によって、寛容および拒絶細胞集団をex vivoで刺激した。48時間後、総RNA調製のため、寛容および拒絶脾臓細胞の各1フラスコを取り除いた。第二の対のフラスコ(1つは寛容、1つは拒絶)を、120時間で、さらに7x10刺激脾臓細胞でブーストし、そして次いで、123時間で採取した。採取時、0.25%トリプシンで簡単に処理した後、いかなる接着細胞も含む細胞を氷上に収集した。細胞を均一に再懸濁した後、RNA抽出のため、1.5mlのアリコットを取り除いた。氷冷0.1%BSA/PBS中で洗浄した後、無菌15ml Falcon遠心管に細胞を収集し、そして+4℃、1600rcfで5分間ペレットにした。上清を廃棄し、そして試験管の上清残渣をきれいに拭き取り、あらかじめ冷却したTrizol試薬中に細胞を再懸濁し、ボルテックスし、そして次いで-80℃で直ちに保存した。6x106細胞あたり、1mlのTrizolを用いた。
【0125】
RNA単離
試料を室温にし、そして10分間維持した後、1mlのクロロホルムを添加して、そしてボルテックスしてエマルジョンにした。15分後、40℃、1600rcfで10分間、試料を遠心分離した。上相を、400μlアリコットで、RNアーゼ不含エッペンドルフ試験管に移し、そして等体積のイソプロパノールを添加した。穏やかに混合し、そして15分間静置した後、40℃、13,000gで10分間、試料を遠心分離した。上清を取り除き、そして廃棄した。75%エタノール350μl中で、RNAペレットを洗浄し、そして40℃、7500gで5分間沈降した。上清を吸引し、そしてペレットを20分間風乾させた。50μl DH2Oに溶解し、そして連続して移すことによって、各試料に関して、アリコットRNAペレットを一緒に収集し;次の50μlを用いて、各試験管からの洗浄液を連続して収集し、DH2O中、100μlの最終総試料体積を生じた。標準的方法論によって、cRNAおよびAffymetrix U74チップを用いたアレイのカスタマーサービス調製のため、Hinxton HallのMRC HGRCに輸送するまで、これを-80℃で保存した。
【0126】
遺伝子アレイ
dChipソフトウェア[Wong, C.U.W.H., PNAS USA, 98, 31, 2001]を用いて、組み合わせアレイの分析を準備した。
【0127】
結果
マッチした寛容および拒絶試料対の48時間および123時間アレイの組み合わせによって、示差発現を示す129遺伝子を得た。寛容または拒絶いずれかにバイアスがかかった発現を示す遺伝子を同定するため、結果を3つの方法でランク付けした: 48時間〜123時間に正のシフトを示す遺伝子(表1); 123時間で高発現する遺伝子(表2); および正のシフトを示す(寛容)一方、拒絶対応物が48時間〜123時間に負のシフトを示す遺伝子(表3)。
【0128】
48時間〜123時間で発現が増加した遺伝子のうち、10は寛容培養中にあり、増加は1.71倍〜4.00倍の範囲であった。拒絶応答中の同じ遺伝子の発現は、発現に増加がないか、発現の減少を示した(表1(a))。特に注目されるのは、新規に発見された幹細胞遺伝子、アキソトロフィン; 細胞周期および細胞遊走に関連する、サイクリンB2; クロマチンリモデリングにおいて役割を果たしうる、ヒストンH2A-X; および免疫応答を制御し、そして自己免疫に対して防御するのに必要な、Erkとしても知られる、ELKLモチーフキナーゼであった。表1(b)は、拒絶において発現が増加する5遺伝子を示す。寛容および拒絶両方で2倍の増加を持つグランザイムBを除いて、この増加も拒絶に特異的であった; しかし、グランザイムB mRNAの実際のレベルは、寛容におけるより拒絶において、6倍高かった。拒絶におけるインターフェロンガンマmRNAの12倍の増加は、これらの培養中に高いインターフェロンガンマタンパク質放出がある、我々の以前の知見と一致した。
【0129】
4つのアレイの状況内で、123時間で高発現を示す遺伝子のうち、15は寛容セット中にあり(表2(a))、そしてアキソトロフィンを含んだ。拒絶においては、表2(b)で、発現レベルの順に13遺伝子をランク付けし、グランザイムBおよびインターフェロンガンマが最高であった。したがって、この分析アプローチは、グランザイムBおよびインターフェロンガンマに関して表現型と相関を示し、そしてここでも、アキソトロフィンは、実際の発現レベルが高くなくても、寛容と関連していると位置付けられた。さらなる分析を行い、拒絶において発現の減少を示しつつ、寛容において発現の増加を示す遺伝子を同定した(表3)。これによって、クロマチン構造およびリモデリングに関与する、ヒストンH2A-X; ELKLモチーフキナーゼ; mRNAスプライシング複合体の一部として作用し、そしておそらくエクソン除去に関与する、スプライシング因子3bサブユニット1(SF3b-155); および細胞周期の制御因子であり、そしてまたcdc2と複合体形成した際、細胞遊走にも関与するサイクリンB、が明らかになった。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
(実施例2)
幹細胞遺伝子axotは、LIFの制御およびTリンパ球のマイトジェン活性化に関連する
幹細胞の自己再生のための「幹細胞性(stemness)」1の調節は、それらの臓器形成中の分化に対して、再生医学の新規分野の基本である。白血病阻害因子(LIF)は、この調節に必須であり、幹細胞分化の抑制因子として作用する2、3。LIF、および新規幹細胞遺伝子であるaxot1、4のどちらも、免疫寛容にもまた関連し、これによって、幹細胞性および免疫の間に関係があることが示唆される。この関係を探るため、axot-/-マウス由来の免疫細胞が、axot+/+同腹仔のものと異なるかどうかを検討した。我々は、(i)アキソトロフィンの存在は、Tリンパ球の増殖を低下させるのに関与するが、Bリンパ球増殖低下には関与せず; (ii)アキソトロフィンの欠如は、T細胞サイトカインの過剰な放出につながり; そして(iii)LIFはaxot遺伝子用量依存性に抑制されることを発見した。これは、LIFに仲介される運命の決定が、アキソトロフィンに関連しうる最初の証拠であり、そして療法的組織再生のため、移植された幹細胞同種移植片の許容を支持しうる、幹細胞性および免疫寛容間の共通性を立証する。
【0134】
幹細胞における運命決定は、発生の重大な特徴であり、生物全体の中の分化した機構に対する全能性自己再生の間のバランスを提供する。再生医学において、幹細胞を疾患治療に首尾よく用いようとするならば、幹細胞の運命決定の分子的基礎を理解することは重要である。運命決定経路はまた、免疫系においても重要な役割を果たし、この場合、反応性を細かく調整して、自己組織に対する防御寛容を確実にしつつ、同時に外来病原体に向かう積極的な攻撃を可能にする。制御寛容経路はほとんど理解されていないが、最近、単一の遺伝子foxp3が、未刺激CD4+ T細胞が制御T細胞(Treg)に分化するのを組織化しうることが立証され5、6、7、免疫において運命決定に「マスター」スイッチが存在することが暗示された。我々は最近、幹細胞運命の制御に共通する免疫寛容の特徴を発見し、ここから2つの重要な疑問が生じた:免疫エフェクター細胞の最終分化を抑制することによって、自己免疫において、「幹細胞性」シグナルが役割を果たすのか? 同種幹細胞は、「幹細胞性」に向かってシグナル伝達することによって、同種免疫応答が同種寛容に向かうバイアスをかけ、こうして療法移植成功に有利になるのか? この論文は、胚性幹細胞、神経幹細胞および造血幹細胞で発現されるアキソトロフィン1が、Tリンパ球反応性の制御に関与しているだけでなく、LIFの制御にも関与していることを、我々がどのように発見したかを記載し、それによって免疫制御の新規概念を提供する。
【0135】
ex vivoモデルを用いた先の研究において8、免疫攻撃に対して、免疫寛容に関連する分子事象が比較されてきている。これは、通常は第7日までに拒絶される、完全にミスマッチした心臓移植片が、CD4およびCD8を短期間遮断した後、永久に受け入れられるようになるマウスに由来する(参考文献9)。ひとたび確立されたら、この移植寛容は、自己永続性であり、そして単離された「寛容」脾臓細胞は、強力な免疫制御特性を示し、完全に免疫適格な未刺激レシピエントに注入した際、ドナー特異的同種寛容を課することが可能である。我々は、同じドナー種を拒絶するようにプライミングされているマウス由来の脾臓細胞に対して、寛容脾臓細胞のex vivo応答を性質決定し、そして拒絶の重要な特徴は、迅速なインターフェロンガンマ放出、並びにインターフェロンガンマおよびグランザイムBをコードする遺伝子の強力な発現増幅であった。好対照に、寛容は幹細胞性と共通の特徴を示し、それは、LIFの放出、並びにc-kit(幹細胞因子(SCF)の受容体)およびSTAT3(転写のシグナル伝達因子および活性化因子3、SCFおよびLIF活性両方に応答性である)の増加があった。我々は、LIFおよび寛容の間の関係がまた、クローニングされたTregでも明らかであり、Th1およびTh2クローンとは対照的に、高レベルのLIF放出を示すことを見出した。遺伝子レベルでは、寛容は、新規に発見された幹細胞遺伝子、axot(Genbankアクセッション番号AF155739)の強い誘導と関連した。幹細胞性および寛容が関連しているという我々の仮説を試験するため、アキソトロフィンが免疫応答に影響を及ぼすかどうかを検討した。
【0136】
我々はまず、マイトジェンに対するリンパ球応答性を検討した。axotヌル(axot-/-)マウスを、1つのaxotアレルを発現する同腹仔(ヘテロ接合体、axot+/-)または両方のアレルを発現する同腹仔(野生型;axot+/+)と比較した。脾臓から全細胞集団を新鮮に単離し、そして我々は、コンカナバリンA(conA)をT細胞マイトジェンとして、またはリポ多糖(LPS)をB細胞マイトジェンとして用いて、マイトジェン活性化を測定した。我々はまた、48時間および72時間でDNA合成を比較することによって、応答性に対するいかなる動力学的影響も調べた。活性化されたリンパ球は、細胞周期への同調した進入を示し、S期は48時間でピークとなるため(参考文献10)、我々は、axot+/+細胞と比べて、axotヌル細胞でDNA合成が一貫して減少するのは、アキソトロフィンの欠如によって、マイトジェン応答性が欠失していることを示すと結論付けた。しかし、T細胞増殖レベルは、野生型細胞と比べて、axotヌル細胞の顕著な増加を示した。axotに関連する示差が、48時間および72時間の両方で類似であるため、これは動力学改変によって引き起こされたものではない(図1a、図1b)。したがって、アキソトロフィンは、T細胞の増殖応答を抑制するようであった。さらに、ヘテロ接合体axot+/-T細胞は、中間の過剰増殖を示すため、抑制は、axot遺伝子用量に感受性であるようであった。T細胞と好対照に、Bリンパ球増殖は、アキソトロフィンによって有意には改変されなかった(図1c、図1d)。我々は、アキソトロフィンが、マイトジェン刺激後、Tリンパ球増殖を低下させるのに役割を果たすが、Bリンパ球増殖低下には関与しないと結論付けた。7日間に渡って、axot+/+、axot+/-、またはaxot-/-脾臓細胞の培養において、自発的な有糸分裂誘発は起こらなかった。
【0137】
axotヌル脾臓細胞における機能のさらなる試験として、マイトジェンに応答したサイトカイン放出を測定した。アキソトロフィンの欠如は、axotヌルおよびaxotへテロ接合体細胞培養両方において、conA処理後のインターロイキン2(IL2)の2倍の増加と関連した(図2a)。T細胞増殖には4倍の相違があったため、IL2がこのように同等であったことから、IL2がT細胞増殖の限定要因でないことが明らかになった。脾臓B細胞はIL2を放出せず(図2b)、一方、T細胞およびB細胞はどちらも、それぞれのマイトジェンに応答してIL10を放出した。ここでも、conAで処理した培養物のみが、アキソトロフィンの欠如によって影響を受け、axot+/-およびaxot細胞培養物両方で、IL10の10倍の増加があった(図2c、図2d)。これらの知見によって、アキソトロフィンの部分的減少または完全減少は、活性化T細胞からのIL2およびIL10両方の一般的な増分を生じたが、活性化B細胞からのIL10放出には影響を与えなかった。インターフェロンガンマおよびIL4もまた測定し、そして図1のレジェンドに詳述するように、conAで処理した培養物中、IL2に関して見られるものと類似のaxotに関連する増分が示された。LPSで処理した培養物は、インターフェロンガンマおよびIL4に関しては陰性であった。
【0138】
予期せぬことに、我々は、conAに応答したLIFの放出が、アキソトロフィンによって強く阻害され、そしてこの阻害は遺伝子用量依存性であることを見出した(図2)。axot遺伝子型に関わりなく、LPSで処理した培養物には、LIFはなかった。axot遺伝子用量に対するLIF濃度の間の関係に基づいて、遺伝子用量が、アキソトロフィンの発現レベルと相関すると仮定した。したがって、LIF放出およびT細胞増殖はどちらも、アキソトロフィンに重大な影響を受けるようであり、そして我々の結果は3つの間の相互依存関連と一致するであろう。
【0139】
表現型および組織学的構造の分析から、リンパ系臓器の表現型組成に対するアキソトロフィンの影響を検討した。細胞下位集団は、FACS分析によって以下のように同定された: T細胞マーカー、CD3、CD4およびCD8を発現する細胞; B細胞マーカーCD19を発現する細胞; T細胞および制御寛容T細胞の活性化マーカー、CD25を発現する細胞; 並びに樹状細胞のマーカー、CD205およびDC33D1を発現する細胞。これらのマーカーのいずれも、axot+/+、axot+/-、およびaxot-/-同腹仔の間の示差発現を示さなかった(図3)。同様に、脾臓および胸腺の組織学的評価は、3つのaxot遺伝子型間で有意な相違を示さなかった。
【0140】
運命決定は、全能性および多能性幹細胞に関して、そして前駆細胞の分化に関しての両方で、微小環境内のサイトカイン相互作用の性質および頻度を変化させることによって改変される、遺伝子プログラムによって調節される。LIFは、神経新生サイトカイン12であるのに加えて、幹細胞の自己再生の重要な決定因子11である。アキソトロフィンが、少なくとも活性化T細胞において、LIFの負の制御因子として作用しうることが示されたことから、LIF発現がアキソトロフィン発現に機能的にカップリングし、LIF放出の正の制御および負の制御を協調させるのに役割を果たしていることが示唆される。これによって、アキソトロフィンは、LIFを介した運命決定の潜在的制御因子と位置づけられるであろう。アキソトロフィンの分子機能は、いまだ決定されておらず、そしてアキソトロフィンがどのようにLIF放出に影響を及ぼすのかは未知である。将来の研究には、LIF遺伝子発現に対するアキソトロフィンの影響13、およびLIF-R/gp130複合体を通じたLIF誘導性シグナル伝達の制御に対するアキソトロフィンの影響14、15、16、17を探る、この関係の研究が含まれるであろう。
【0141】
ワーキングモデルとして、我々は、アキソトロフィンに制御されるLIF活性が免疫寛容に関連すると提唱する。LIFは、抗原提示環境が、直接または間接的いずれかで寛容原性LIF活性を起動する場合(例えば未成熟または制御樹状細胞18、19による抗原提示および関連するビタミンD活性20; あるいはCD4/CD8(参考文献9)またはCD28(参考文献21)の機能改変による、T細胞応答性の減少)、提示された抗原に応答して、未刺激T細胞を、比較的分化していない、非攻撃的表現型に向かってガイドすることも可能である。したがって、foxp3およびROGの発現18、並びにId転写因子22の誘導を含む、エピジェネティックな変化は、遺伝するTreg活性の寛容表現型を安定化するであろう。幹細胞生物学および制御免疫寛容の間の関連は、免疫関連疾患の療法的介入に、そして臓器移植レシピエントの免疫抑制治療に、直接関連する。我々が発見した特性は、患者における移植幹細胞の成功結果を増進しうるため、本研究はまた、再生医学のための幹細胞の使用に多大な関連を有する。
【0142】
要約すると、我々は、アキソトロフィンが、成体マウスにおいて、Tリンパ球増殖応答性を抑制し、そしてアキソトロフィンが、LIFの負の制御因子として作用可能であり、アキソトロフィンがLIFを通じて、T細胞を制御するように作用することが暗示されることを発見した。
【0143】
方法
マウス
先に詳述するように、遺伝子トラップ挿入を用いて、ヘテロ接合体の両親から、axotヌルBALB/cマウスおよび同腹仔を生成し、ゲノムDNAのPCR分析によって遺伝子型決定して、axot+/+、axot+/-、axot-/-の仔を同定した。5ヶ月齢(5m old)の同腹仔から脾臓、胸腺およびリンパ節を得て、そして以下に記載する分析のため、細胞調製を行うまで、氷上に維持した。リンパ節組織は非常にわずかな細胞しか生じず、そしてこれは廃棄した。axot+/+、axot+/-、axot-/-同腹仔由来の脾臓および胸腺もまた、組織学用に採取した。これらを両断し、そして70%エタノール中で固定した。標準的方法を用いて、固定した組織をパラフィンブロックに包埋し、そして切片を作製し、次いでヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。
【0144】
増殖アッセイ
各臓器から、脾臓細胞および胸腺細胞をほぐし、そして無菌増殖培地[10%FCS(GibcoTMInvitrogen Co.)、200mM L-グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(Sigma Chemical Co.)を補ったRPMI-1640(GibcoTM Invitrogen Co.)]中に収集した。細胞懸濁物を洗浄し、増殖培地中に再懸濁し、そして血球計算板を用いて計数した。
【0145】
平底96ウェルNunclonTM組織培養プレート中、ウェルあたり5x105有核細胞で100μl増殖培地に細胞を植え付け、そして37℃、5%COで48時間または72時間インキュベーションした。50μg/mlのLPS(Sigma Chemical Co.)および10μg/mlのconA(ICN Biochemicals、米国)を0時間にマイトジェンとして添加した。すべての実験を3つ組で行った。採取直前、ELISA分析のため、上清を収集し、そして最終濃度1μCi/mlでメチル-]3H]チミジン(TRK686、比活性80Ci/mmol、Amersham Biosciences)を含有する、あらかじめ温めたGM中で細胞を2時間インキュベーションした。Filtermate196、Packard採取装置を用いて細胞を採取し、そしてPackard TopCount.NXTTMマイクロプレートシンチレーションおよび発光カウンターを用いてカウントした。
【0146】
ConA刺激に対するLIFの影響を決定するため、BALB/c axot+/+脾臓細胞および胸腺細胞を、500pg/mlまたは1000pg/mlのrmLIF(Santa Cruz Biotechnology、SC-4378)とともに、ConA(2μg/mlまたは10μg/ml)の存在下でインキュベーションした。有糸分裂誘発を上述のように測定した。対照には、それぞれの濃度で、GMのみ、conAのみ、およびLIFのみが含まれた。
【0147】
ELISA
インターフェロンガンマ(DY485)、IL2(DY402)、IL4(DY404)、IL10(DY417)に関しては、R&D SystemsのDuoSet(登録商標)ELISAを、そしてLIF(MLF00)に関しては、Quantikine(登録商標)Mイムノアッセイを用いて、96ウェルFalcon(登録商標)プレート中の48時間培養上清に対して、ELISAを行った。Microsoft Excelソフトウェアを用いて光学密度データをプロセシングすることによって、標準曲線を確立し、そして標準曲線を用いて、サイトカイン濃度を決定した。
【0148】
フローサイトメトリー
脾臓および胸腺の細胞懸濁物のRBCを除去し、そして該懸濁物を、FACS染色溶液(1xPBS中の0.2%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウム)で洗浄した後、フィコエリトリン(PE)またはフルオレセインイソチオシアネート(FITC)に直接または間接的にコンジュゲート化されている、以下に詳述する多様なモノクローナル抗体と混合した。PE−ラット抗マウスCD19(557399)、PE-ハムスター抗マウスTCRα鎖(553172)およびラット抗マウス樹状細胞クローン33D1(551776)はPharmingenから得た。ラット抗マウスCD205-FITC(MCA949F)、マウス抗ラットIgG2a重鎖-FITC(MCA278F)およびマウス抗ラットIgG2b鎖-FITCは、Serotec Ltd.から得て、一方、ウサギ抗マウスCD25(IL2Rα)およびヤギ抗ウサギIgG(H&L)-PE(4050-89)は、それぞれ、Santa Cruz BiotechnologyおよびSouthern Biotechnology Associatesから得た。抗CD4(YTS177.9.6)および抗CD8(YTS105.18.10)は、オックスフォード大学、Stephen Cobbold教授から寄贈された。CellQuestソフトウェアを備えたBecton Dickinson FACSCalibur装置上で、分析を行った。
参考文献
【0149】
【化1】

【0150】
【化2】

【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1a】axot+/+、axot+/-及びaxot-/-同腹仔由来の脾臓細胞による、DNA合成およびサイトカイン放出 conA(左側のパネル)またはLPS(右側のパネル)で48時間(上部パネル)または72時間(下部パネル)刺激した脾臓細胞のH3-チミジン標識。各遺伝子型に関して、それぞれのバックグラウンド対照を引いた後のDNA合成および標準偏差を示す。バックグラウンド対照はすべて、300cpm未満であった。
【図1b】axot+/+、axot+/-及びaxot-/-同腹仔由来の脾臓細胞による、DNA合成およびサイトカイン放出 conA(上部パネル)またはLPS(下部パネル)いずれかで刺激した48時間後の上清中のIL2およびIL10レベル。インターフェロンガンマおよびIL4もまた測定した:インターフェロンガンマは、conA培養上清にのみ存在し、axot+/+、axot+/-およびaxot-/-培養に関して、濃度は、それぞれ、538pg/ml、1410pg/mlおよび909pg/mlであった。IL4は、conA上清にのみ存在し、axot+/+、axot+/-およびaxot-/-培養に関して、それぞれ、121pg/ml、263pg/mlおよび92pg/mlであった。各ELISAの適合度の回帰分析は、以下のとおりであった、IL2、R2=0.946; IL4、R2=0.925; IL10、R2=0.939; およびインターフェロンガンマ、R2=0.937。
【図2】LIF放出に対するアキソトロフィンの影響 48時間conA(左のパネル)または48時間LPS(右のパネル)刺激後のaxot+/+、axot+/-およびaxot-/-同腹仔の脾臓細胞からのLIF放出。適合度の回帰分析は、R2=0.999であった。
【図3】axot+/+およびaxot-/-マウス同腹仔由来の脾臓および胸腺の表現型プロフィール 材料および方法に記載するように、脾臓細胞および胸腺細胞の全集団を調製し、染色し、そして分析した。FACsデータをヒストグラム形式で提示し、CD4、CD8、CD3、CD19、DC33d1およびCD25染色の各データセット全体で、陰性染色の切捨て値を垂直線によって示した。マウスaxot+/+およびaxot-/-遺伝子型は、各パネルの上に示したとおりである。axot+/+脾臓細胞および胸腺細胞もまた分析し、そして示したものと同じ結果を得た。CD205染色は、全体で陰性であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原に対する個体の免疫応答および/またはex vivoの細胞集団の免疫応答を、直接または間接的に、誘導または制御するための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用。
【請求項2】
抗原に対する個体の免疫応答および/またはex vivoの細胞集団の免疫応答を、直接または間接的に、誘導または制御するための薬剤製造における、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用。
【請求項3】
免疫応答が脊椎動物におけるものであり、個体が組織移植物または細胞移植物を有する、請求項1または請求項2記載の使用。
【請求項4】
抗原に対する攻撃的免疫応答をブーストするかもしくは減少させる、または抗原に対する免疫系の寛容を改変するための薬剤製造における、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、あるいは個体におけるその量または活性を改変する物質の使用。
【請求項5】
免疫状態をアッセイするための、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの使用。
【請求項6】
個体において、所定の抗原に対する免疫系の応答を操作する方法であって、該個体に、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、あるいはアキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量または活性を増進する物質を投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
抗原に対する個体免疫系の攻撃的応答を増強するかまたは増加させることを含む、請求項5記載の方法であって、該個体に、アキソトロフィンによって直接または間接的に発現されるポリペプチドの量または活性を減少させる物質を投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
個体の免疫状態を決定するための方法であって、該個体から取り除いたかまたは得た、組織、細胞、および/または体液を含む試験試料において、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドの発現レベルを決定すること、および試験試料に関するレベルを対照試料のレベルと比較すること、を含み、ここで試験試料中のレベルが対照試料のレベルより高いならば、個体における免疫状態が寛容免疫応答を含むことの指標となり、個体における免疫状態が攻撃的免疫応答を含む、前記方法。
【請求項8】
単離されたアキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来する、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド。
【請求項9】
アキソトロフィンポリペプチドの産生方法であって、アキソトロフィンポリペプチドの発現を可能にする条件下、培地中で細胞培養物を増殖させ、そして培養物または宿主細胞から該ポリペプチドを精製することを含む、前記方法。
【請求項10】
アキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリヌクレオチド配列またはポリペプチドを発現するためのベクターであって、アキソトロフィンまたはアキソトロフィンをコードするポリヌクレオチド配列、プロモーター配列および終結配列を含有する、前記ベクター。
【請求項11】
アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、および薬学的に許容しうる希釈剤、キャリアーまたは賦形剤を含有する、組成物。
【請求項12】
化学的化合物をスクリーニングする方法であって、スクリーニングしようとする1以上の化学的化合物を含有する試験試料を、アキソトロフィン、アキソトロフィンにコードされるかまたは由来するポリヌクレオチドまたはポリペプチド、およびこうしたポリヌクレオチドまたはポリペプチドの断片から選択される結合剤と接触させること、および化学的化合物が結合剤に結合したかどうかを決定すること、を含む、前記方法。
【請求項13】
アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドに結合する剤を同定するための、請求項12記載の方法であって:
(a)アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来する、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドと、剤を接触させること;
(b)剤が、前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに結合するかどうかを決定すること;および
(c)剤と前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドとの間に形成される複合体の形成を検出し、複合体が形成されるならば、剤が検出されるようにすること
を含む、前記方法。
【請求項14】
化合物を、細胞におけるアキソトロフィンまたはアキソトロフィンのポリペプチドもしくはポリヌクレオチドと接触させる請求項13記載の方法であって、ここで該複合体が細胞中の受容体遺伝子配列の発現を駆動し、そしてレポーター遺伝子配列発現を検出することによって複合体を検出する、前記方法。
【請求項15】
i)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドプローブおよび/またはモノクローナル抗体(前記プローブまたはポリペプチドが、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリペプチドもしくはポリヌクレオチドを含む);および場合によって
ii)前述の請求項のいずれか1項に記載する方法を実行するための定量的標準
を含むキット。
【請求項16】
アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを検出するための診断方法であって:
(a)アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの存在に関して試験しようとする試料と、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに結合する化合物とを接触させること;
(b)化合物が試料の構成要素と結合するかどうかを決定すること;および
(c)剤とタンパク質またはポリヌクレオチドとの間に形成される、複合体の形成を検出して、そして複合体が形成されるならば、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチドが検出されるようにすること
を含む、前記方法。
【請求項17】
個体の免疫応答を評価するための診断方法であって、該個体から試験試料を得ること、試験試料を、アキソトロフィン、またはアキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに対する1以上の抗体、あるいはポリヌクレオチドプローブとインキュベーションすること、および試験試料内の構成要素に対するポリヌクレオチドプローブまたは抗体の結合に関してアッセイすること、を含む、前記方法。
【請求項18】
工程(c)がex vivo免疫細胞集団を試験することを含む、請求項16または請求項17記載の方法。
【請求項19】
工程(c)がin vivoの試験を含む、請求項16または請求項17記載の方法。
【請求項20】
個体および/またはex vivo細胞集団を処置して、抗原に対する免疫応答を調節するための薬剤製造における、アキソトロフィンにコードされるかもしくは由来するポリヌクレオチドもしくはポリペプチドに結合する化合物の使用。

【図3】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−523640(P2007−523640A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550132(P2006−550132)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000934
【国際公開番号】WO2005/074973
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506260412)
【Fターム(参考)】