説明

免疫細胞賦活剤

【課題】 天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた免疫賦活効果を有する有効成分を開発すること。
【解決手段】 イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワ等の植物、およびアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギ等の貝類、またはそれらの抽出物に免疫賦活効果が存在することを見出したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イケマ(Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim.)、ウド(Aralia cordata Thunb.)、エゾイチゲ(Anemone yezoensis H. Boiss.)、エゾエンゴサク(Corydalis ambigua Cham. et Schltdl.)、エゾカンゾウ(Hemerocallis middendorffii Trautv. et Meyer var. esculenta)、エゾゴマナ(Aster glehnii)、エゾニュウ(Angelica ursina (Rupr.) Maxim.)、エゾノリュウキンカ(Caltha palustris L. var. barthei Hance)、ガジュマル(Ficus microcarpa L. fil.)、カノコソウ(Valeriana fauriei Briq.)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis L. var. platyphyllum Hulten)、コゴミ(Matteuccia struthiopteris (L.) Todaro)、ゴバンノアシ(Barringtonia asiatica (L.) Kurz)、ザゼンソウ(Symplocarpus foetidus Nutt. var. latissimus (Makino) Hara)、ゼンマイ(Osmunda japonica Thunb.)、ダッタンソバ(Fagopyrum tataricum (L.) Gaertn.)、ナンヨウスギ(Araucaria cunninghamii D. Don)、ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.)、ハタケワサビ(Wasabia japonica)、ハマエンドウ(Lathyrus japonicus Willd. subsp. japonicus)、ハマヒルガオ(Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult.)、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata L.)、ヨツバヒヨドリ(Eupatorium chinense subsp. sachalinense)、リュウキュウマツ(Pinus luchuensis Mayr)、シマグワ(Morus australis Poiret)から選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ(Ruditapes philippinarum)、ハマグリ(Meretrix lusoria)、ヒメエゾボラ(Neptunea arthritica)、トリガイ(Fulvia mutica)、ミルクイ(Tresus keenae)、ウバガイ(別名:ホッキガイ)(Pseudocardium sachalinense)、ホタテガイ(Patinopecten yessoensis)、タイラギ(Atrina pectinata)から選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を含有することを特徴とする免疫細胞賦活剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人体には、外部環境から細菌等の病原微生物や異物が侵入すると、抗体と呼ばれるタンパク質、マクロファージやリンパ球等の細胞を活性化するといった免疫学的反応によって異物を排除する機能を有している。また皮膚においても異物の侵入は角質層により阻止されているが、傷ついた部位から侵入した場合には、表皮に存在するランゲルハンス細胞が抗原提示機能を担い、真皮に到達した場合にはマクロファージが抗原提示の役割を担うことが知られており、体内および皮膚において、免疫細胞を賦活させる物質の探索が盛んに行われている。
【0003】
例えば、L−乳酸等の低分子量モノカルボン酸化合物を有効成分として含有する免疫賦活化促進剤(特許文献1参照)、絹蛋白質を加水分解して得られる分子量300〜5000のペプチドを有効成分とする免疫賦活剤(特許文献2参照)、メカブから多糖類抽出液を遠心分離して沈殿画分を抽出したことを特徴とする免疫賦活剤(特許文献3参照)、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖を含有する免疫賦活組成物(特許文献4参照)、マイトージェン活性を有するペプチドを有効成分とする免疫賦活剤(特許文献5参照)等があり、植物抽出物を用いたものにはペパーミント、ドクダミ、カンゾウ抽出物を用いるIL−8産生促進剤(特許文献6参照)、コショウ科植物成分を含有する免疫賦活剤(特許文献7参照)、センダングサ属の植物またはその抽出物を有効成分とする免疫賦活剤(特許文献8参照)、ニラの種子及び/又はその抽出物を有効成分とする免疫賦活剤(特許文献9参照)等があり、皮膚に関するものでは、紫外線皮膚免疫機能低下防止用免疫賦活剤(特許文献10参照)等が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2008−127277号公報
【特許文献2】特開2008−88185号公報
【特許文献3】特開2007−230980号公報
【特許文献4】特開2003−95954号公報
【特許文献5】特許第3561519号公報
【特許文献6】WO2005/051405号公報
【特許文献7】特開2007−131568号公報
【特許文献8】特開2005−298372号公報
【特許文献9】特開2008−31122号公報
【特許文献10】特開平11−292737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、これまで様々な免疫細胞を賦活させる物質の探索が行われている。しかしながら、天然由来成分の中には未だその効果が知られていないものも数多く存在し、優れた免疫賦活効果を有する有効成分の開発が期待されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、天然由来の種々の成分について検討を行った結果、従来はその効果が知られていなかったイケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワ等の植物、およびアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギ等の貝類に免疫賦活効果が存在することを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち本発明は、イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワから選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を含有することを特徴とする免疫賦活剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワから選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を配合することにより、優れた効果を有する免疫賦活剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いる、イケマは、ガガイモ科、カモメヅル属(Cynanchum L.)の双子葉植物であり、南千島、北海道から九州および中国大陸に分布しており、山地の草原、林縁などの日当たりのよい場所に生える多年生つる草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0010】
本発明で用いる、ウドは、ウコギ科、タラノキ属(Aralia L.)の双子葉植物であり、谷沿いの土壌の深いやや湿った草地に多く、北海道から沖縄まで自生し、朝鮮半島、中国にも分布している夏緑の多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは新芽を用いるのがよい。
【0011】
本発明で用いる、エゾイチゲは、キンポウゲ科、イチリンソウ属(Anemone L.)の双子葉植物であり、北海道低地から山地の明るい林内に分布している多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0012】
本発明で用いる、エゾエンゴサクは、ケマンソウ科、キケマン属(Corydalis Vent.)の双子葉植物であり、本州中部以北、北海道、千島、サハリン、中国東北部に産しており、早春に開花する繊細な多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0013】
本発明で用いる、エゾカンゾウ(別名、ゼンテイカ、ニッコウキスゲ、エゾゼンテイカ)は、ユリ科、キスゲ属(Hemerocallis L.)の単子葉植物であり、湿原、山地や海岸の草原に生える多年草で、近畿北部から北海道にかけての高山の湿原を中心に分布する。葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは実を用いるのがよい。
【0014】
本発明で用いる、エゾゴマナは、キク科、シオン属(Aster L.)の双子葉植物であり、本州の山地の草原や道端に生える大型の多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは花を用いるのがよい。
【0015】
本発明で用いる、エゾニュウは、セリ科、シシウド属(Angelica L.)の双子葉植物であり、本州の北部から北海道、サハリン、カムチャッカ、東シベリアに分布していて、海岸に近い草地に生える巨大な多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくはつぼみ付きの全草を用いるのがよい。
【0016】
本発明で用いる、エゾノリュウキンカは、キンポウゲ科、リュウキンカ属(Caltha L.)の双子葉植物であり、東北地方、北海道、千島、サハリンなどに分布していて、軟らかく、やや多肉な多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは花を用いるのがよい。
【0017】
本発明で用いる、ガジュマルは、クワ科、イチジク属(Ficus L.)の双子葉植物であり、気根を垂らす巨大な常緑樹で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全葉を用いるのがよい。
【0018】
本発明で用いる、カノコソウは、オミナエシ科、カノコソウ属(Valeriana L.)の双子葉植物であり、北海道から九州、サハリン、朝鮮、中国に分布しており、山地のやや湿った草地に生える多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは根、根茎を用いるのがよい。
【0019】
本発明で用いる、ギョウジャニンニクは、ユリ科、ネギ属(Allium L.)の単子葉植物であり、本州の近畿地方以北からシベリア東部や朝鮮まで広く分布しており、主としてブナ林域の林床に生える春緑型の多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは新芽を用いるのがよい。
【0020】
本発明で用いる、コゴミ(別名、クサソテツ)は、メシダ科、クサソテツ属(Matteuccia Todaro)の山地の明るい草原や川岸、湿地に群生するシダ植物であり、北海道から九州にかけて山地の草原や湿地に生じ、北半球の温帯に広く分布しており、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは若芽を用いるのがよい。
【0021】
本発明で用いる、ゴバンノアシは、サガリバナ科、サガリバナ属(Barringtonia)の双子葉植物であり、マダガスカル、東南アジアから太平洋地域に広く分布し、琉球の西表島にまで達しており、海岸に生育する常緑中高木で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全葉を用いるのがよい。
【0022】
本発明で用いる、ザゼンソウは、サトイモ科、ザゼンソウ属(Symplocarpus)の単子葉植物であり、本州、北海道からアムール川流域に分布し、雪解けとともに暗紫褐色の仏炎苞に包まれた花を開く多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0023】
本発明で用いる、ゼンマイは、ゼンマイ科、ゼンマイ属(Osmunda L.)のシダ植物であり、全国に広く分布し、南サハリン、朝鮮半島、中国、台湾からヒマラヤにかけて分布し、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは若芽を用いるのがよい。
【0024】
本発明で用いる、ダッタンソバは、タデ科、ソバ属(Fagopyrum Mill.)の双子葉植物であり、中央アジア、インド、中国から北東アジアで栽培される1年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは実を用いるのがよい。
【0025】
本発明で用いる、ナンヨウスギは、ナンヨウスギ科、ナンヨウスギ属(Araucaria Juss.)の裸子植物であり、オーストラリア東部とニューギニアなどに分布し、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全葉を用いるのがよい。
【0026】
本発明で用いる、ハスは、ハス科、ハス属(Nelumbo Adans.)の双子葉植物であり、東アジアの熱帯から温帯にかけて分布するとともに広く栽培されており、池や水田、堀などに栽培される多年生水草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくはおしべを用いるのがよい。
【0027】
本発明で用いる、ハタケワサビは、アブラナ科、ワサビ属(Eutrema R.Br.)の双子葉植物で、畑で栽培されている日本特産で九州から北海道まで広く分布する多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全葉を用いるのがよい。
【0028】
本発明で用いる、ハマエンドウは、マメ科、レンリソウ属(Lathyrus L.)の双子葉植物で、北半球の温帯から暖温帯の海岸に広く分布しており、海岸の砂地で普通にみられる多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0029】
本発明で用いる、ハマヒルガオは、世界に広く分布しているヒルガオ科、ヒルガオ属(Calystegia R.Br.)の双子葉植物で、世界に広く分布し、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0030】
本発明で用いる、ヘラオオバコは、オオバコ科、オオバコ属(Plantago L.)の双子葉植物であり、へら形の葉をもつ多年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全草を用いるのがよい。
【0031】
本発明で用いる、ヨツバヒヨドリは、キク科、ヒヨドリバナ属(Eupatoium L.)の双子葉植物であり、温帯から温帯上部の林縁や草地に生育し、分布はサハリン南部から北海道、本州、四国までで九州にはない。西日本では高い山の上部の草地に限られている多年草あるいは1年草で、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは茎を用いるのがよい。
【0032】
本発明で用いる、リュウキュウマツ(別名、リュウキュウアカマツ)は、マツ科、マツ属(Pinus L.)の裸子植物で、トカラ列島以南の琉球諸島には、この種がアカマツに代わって分布しており、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは全葉を用いるのがよい。
【0033】
本発明で用いる、シマグワは、クワ科、クワ属(Morus L.)の双子葉植物で、九州南部、南西諸島から中国大陸、さらにインド東部まで分布し、養蚕に用いられ、栽植もされ、葉、茎、花、根等の各部位および全草を用いることができるが、好ましくは幹を用いるのがよい。
【0034】
本発明で用いる、アサリは、二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科で、北海道から九州、朝鮮半島、中国大陸沿岸インドシナ半島などに棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0035】
本発明で用いる、ハマグリは、二枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科で、北海道から九州の内湾等に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0036】
本発明で用いる、ヒメエゾボラは、腹足綱前鰓亜綱真腹足目エゾバイ科エゾバイ属で、茨城県、日本海以北に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0037】
本発明で用いる、トリガイは、二枚貝綱マルスダレガイ目ザルガイ科で、北海道を除く各地。陸奥湾から九州、朝鮮半島、中国沿岸に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0038】
本発明で用いる、ミルクイは、二枚貝綱マルスダレガイ目ザルガイ科で、北海道から九州および朝鮮半島に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0039】
本発明で用いる、ウバガイ(別名:ホッキガイ)は、二枚貝綱マルスダレガイ目ザルガイ科で、鹿島灘以北、日本海北部から沿海州、オホーツク海の浅い砂地に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0040】
本発明で用いる、ホタテガイは、二枚貝綱翼形亜綱カキ目イタヤガイ亜目イタヤガイ科で、東北以北、オホーツク海に棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0041】
本発明に用いる、タイラギは、ウグイスガイ目ハボウキガイ科で、北海道津軽海峡沿岸、福島県、日本海中部以南から熱帯域まで棲息しており、心臓、外套膜、えら、貝柱等の各部位および全身を用いることができるが、好ましくは全身を用いるのがよい。
【0042】
抽出の際は、植物および貝類を生のまま用いてもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが好ましい。
【0043】
抽出は、任意の抽出溶媒に所定時間浸漬して行うことができる。抽出溶媒は、必要に応じて加熱してもよい。抽出効率を上げるため、撹拌したり、抽出溶媒中でホモジナイズしたりしてもよい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は、抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
【0044】
抽出溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;エチルエーテル、プロピルエーテル等のエーテル類;酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類などの溶媒を用いることができ、好ましくは、水、エタノールがよい。これらは単独で用いられるほか、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。
【0045】
本発明で用いる植物または貝類の上記溶媒による抽出物は、そのままでも使用することができるが、一定期間そのまま静置して熟成させて用いてもよいし、濃縮、乾固した物を水や極性溶媒に再度溶解して使用することもできる。あるいは、これらの生理作用を損なわない範囲で、脱色、脱臭、脱塩等の精製処理や、カラムクロマトグラフィー等による分画処理を行った後に用いてもよい。植物および貝類の前記抽出物やその処理物および分画物は、各処理および分画後に凍結乾燥し、用時溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
【0046】
イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワから選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物は、免疫賦活効果を有し、免疫賦活剤として利用することができる。
【0047】
イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワより選ばれる1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を有効成分とする免疫賦活剤は、ヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)に対して細胞賦活作用を有し、優れた免疫賦活効果を発揮する。
【0048】
イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワより選ばれる1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を有効成分として含む限り、その形態およびその他成分の配合の有無等については、何ら制限されない。形態については、液状、ペースト状、ゲル状、固体状または粉末状等の任意の形態を、その用途等に応じて選択でき、その形態とするために必要なビヒクル(賦形剤)、溶剤、またはその他の一般的な添加剤(酸化防止剤、着色剤または分散剤等)を任意に含むことができる。
【0049】
イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワより選ばれる1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物は、皮膚外用剤または機能性経口組成物に配合することができる。ここで皮膚外用剤とは、化粧料、医薬部外品または外用医薬品等の皮膚または毛髪に外用される全ての外用組成物を意味している。機能性経口組成物についても、医薬品、食品または飲料等の種類を問わず、経口により摂取される全ての組成物を意味する。
【0050】
皮膚外用剤の剤型は任意であり、例えば、ローション等の可溶化系、カラミンローション等の分散系、またはクリームや乳液等の乳化系として提供することができる。さらに、噴射剤と共に充填するエアゾール形態、軟膏剤またはパップ剤等の種々の剤型で提供することもできる。
【0051】
具体的には、乳液、クリーム、ローション、化粧水、パック、美容液、洗浄料またはメイクアップ化粧料等の各種化粧料;液剤、軟膏、粉末、顆粒、エアゾール剤、貼付剤またはパップ剤等の様々な形態の化粧料、医薬部外品または外用医薬品などが例示できる。
【0052】
機能性経口組成物の形態も任意であり、特に限定されることはない。具体的には、飲料を含む一般食品;錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の健康食品(サプリメント)または機能性食品;錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤またはエキス等の経口医薬品などが例示できる。
【0053】
皮膚外用剤または機能性経口組成物には、イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワから選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物の他に、その用途と必要に応じて、医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、毛髪用化粧料および洗浄料等に通常配合される任意の成分、例えば水、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、ゲル化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、薬剤(薬効成分)、香料、樹脂、防菌防かび剤、抗酸化剤、またはアルコール類等を適宜配合することができる。さらに、本発明の効果を損なわない範囲において、他の免疫賦活剤あるいは前記植物群および貝群以外の植物や貝類、またはそれらの抽出物との併用も可能である。
【0054】
飲食品等の経口組成物の場合も、経口用として通常用いられる各種成分との組み合わせにおいて、特に限定されるものではない。
【0055】
イケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワより選ばれる1種または2種以上の植物、またはアサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギから選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物の皮膚外用剤または機能性経口組成物への配合量は、種類や目的等によって調整することができるが、効果や安定性などの点から、全量に対して固形分換算で、好ましくは0.0001〜10.0質量%であり、より好ましくは0.001〜5.0質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5質量%であり、一層好ましくは0.1〜5質量%である。
【0056】
以下にイケマ、ウド、エゾイチゲ、エゾエンゴサク、エゾカンゾウ、エゾゴマナ、エゾニュウ、エゾノリュウキンカ、ガジュマル、カノコソウ、ギョウジャニンニク、コゴミ、ゴバンノアシ、ザゼンソウ、ゼンマイ、ダッタンソバ、ナンヨウスギ、ハス、ハタケワサビ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、ヘラオオバコ、ヨツバヒヨドリ、リュウキュウマツ、シマグワ、アサリ、ハマグリ、ヒメエゾボラ、トリガイ、ミルクイ、ウバガイ(別名:ホッキガイ)、ホタテガイ、タイラギ抽出物の調製例、免疫賦活効果を評価するための試験方法についてさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらによってなんら限定されるものではない。
【0057】
[抽出物1]
イケマの全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物1を得た。
【0058】
[抽出物2]
ウドの新芽の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物2を得た。
【0059】
[抽出物3]
エゾイチゲの全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物3を得た。
【0060】
[抽出物4]
エゾエンゴサクの全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物4を得た。
【0061】
[抽出物5]
エゾカンゾウの果実の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物5を得た。
【0062】
[抽出物6]
エゾゴマナの花の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物6を得た。
【0063】
[抽出物7]
エゾニュウのつぼみ付き全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物7を得た。
【0064】
[抽出物8]
エゾノリュウキンカの花の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物8を得た。
【0065】
[抽出物9]
ガジュマルの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物9を得た。
【0066】
[抽出物10]
カノコソウの根、根茎の乾燥粉砕物5gに精製水を100g加え、120℃で20分間抽出した。抽出液をろ過して回収し、凍結乾燥を行い、抽出物10を得た。
【0067】
[抽出物11]
ギョウジャニンニクの新芽の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物11を得た。
【0068】
[抽出物12]
コゴミの若芽の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物12を得た。
【0069】
[抽出物13]
ゴバンノアシの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物13を得た。
【0070】
[抽出物14]
ザゼンソウの乾燥粉砕物5gに精製水を100g加え、120℃で20分間抽出した。抽出液をろ過して回収し、凍結乾燥を行い、抽出物14を得た。
【0071】
[抽出物15]
ゼンマイの若芽の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物15を得た。
【0072】
[抽出物16]
ダッタンソバの果実の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物16を得た。
【0073】
[抽出物17]
ナンヨウスギの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物17を得た。
【0074】
[抽出物18]
ハスのおしべの乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物18を得た。
【0075】
[抽出物19]
ハタケワサビの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物19を得た。
【0076】
[抽出物20]
ハマエンドウの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物20を得た。
【0077】
[抽出物21]
ハマヒルガオの全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物21を得た。
【0078】
[抽出物22]
ヘラオオバコの全草の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物22を得た。
【0079】
[抽出物23]
ヨツバヒヨドリの茎の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物23を得た。
【0080】
[抽出物24]
リュウキュウマツの全葉の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物24を得た。
【0081】
[抽出物25]
シマグワの幹の乾燥粉砕物5gに精製水を100g加え、120℃で20分間抽出した。抽出液をろ過して回収し、凍結乾燥を行い、抽出物25を得た。
【0082】
[抽出物26]
アサリの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物26を得た。
【0083】
[抽出物27]
ハマグリの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物27を得た。
【0084】
[抽出物28]
ヒメエゾボラの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物28を得た。
【0085】
[抽出物29]
トリガイの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物29を得た。
【0086】
[抽出物30]
ミルクイの全身の乾燥粉砕物5gに精製水を100g加え、120℃で20分間抽出した。抽出液をろ過して回収し、凍結乾燥を行い、抽出物30を得た。
【0087】
[抽出物31]
ウバガイの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物31を得た。
【0088】
[抽出物32]
ホタテガイの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物32を得た。
【0089】
[抽出物33]
タイラギの全身の乾燥粉砕物100gに、50質量%エタノール水溶液を2.0Kg加え、撹拌しながら室温にて3時間抽出した。抽出液をろ過して回収し、減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、抽出物33を得た。
【0090】
上記抽出物を用いて、効果の評価を行った。なお評価結果に記載した*および**は、t検定における有意確率P値に対し、有意確率5%未満(P<0.05)を*で、有意確率1%未満(P<0.01)を**でそれぞれ表したものである。
【実施例1】
【0091】
<免疫賦活効果(ヒト急性単球白血病細胞株を用いた細胞賦活作用)>
ヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を1ウェル当り5.0×104個となるように96ウェルマイクロプレートに播種した。播種培地には1質量%のFBSを添加したRpswell Park Memorial Institute培地(RPMI)を用いた。24時間後、フォルボール 12−ミリステート 13−アセテート(PMA)を20ng/mLとなるように細胞培養液に添加した。さらに24時間後、1質量%FBS添加RPMI培地にて表1〜表33に示す各濃度になるように抽出物1〜抽出物33を添加した培養液に交換し、48時間培養した。次に生細胞数測定試薬SF(同仁化学研究所)1/10量を添加した1質量%FBS添加RPMI培地を、上清を除いた細胞に添加し、2時間培養した。混合後、450nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて細胞賦活作用を評価した。評価結果を試料無添加のコントロールにおける細胞賦活作用を100とした時の相対値にて表1〜表33に示す。
【0092】
イケマ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0093】
【表1】

【0094】
ウド50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0095】
【表2】

【0096】
エゾイチゲ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0097】
【表3】

【0098】
エゾエンゴサク50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0099】
【表4】

【0100】
エゾカンゾウ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0101】
【表5】

【0102】
エゾゴマナ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0103】
【表6】

【0104】
エゾニュウ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0105】
【表7】

【0106】
エゾノリュウキンカ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0107】
【表8】

【0108】
ガジュマル50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0109】
【表9】

【0110】
カノコソウ熱水抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0111】
【表10】

【0112】
ギョウジャニンニク50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0113】
【表11】

【0114】
コゴミ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0115】
【表12】

【0116】
ゴバンノアシ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0117】
【表13】

【0118】
ザゼンソウ熱水抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0119】
【表14】

【0120】
ゼンマイ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0121】
【表15】

【0122】
ダッタンソバ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0123】
【表16】

【0124】
ナンヨウスギ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0125】
【表17】

【0126】
ハス50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0127】
【表18】

【0128】
ハタケワサビ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0129】
【表19】

【0130】
ハマエンドウ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0131】
【表20】

【0132】
ハマヒルガオ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0133】
【表21】

【0134】
ヘラオオバコ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0135】
【表22】

【0136】
ヨツバヒヨドリ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0137】
【表23】

【0138】
リュウキュウマツ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0139】
【表24】

【0140】
シマグワ熱水抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0141】
【表25】

【0142】
アサリ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0143】
【表26】

【0144】
ハマグリ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0145】
【表27】

【0146】
ヒメエゾボラ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0147】
【表28】

【0148】
トリガイ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0149】
【表29】

【0150】
ミルクイ熱水抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0151】
【表30】

【0152】
ウバガイ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0153】
【表31】

【0154】
ホタテガイ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0155】
【表32】

【0156】
タイラギ50%エタノール抽出物のヒト急性単球白血病細胞株(THP−1)を用いた細胞賦活作用の評価結果
【0157】
【表33】

【0158】
表1〜33より明らかなように、前記植物群および貝群を添加した培地では、有意なヒト急性単球白血病細胞株(免疫細胞)の賦活作用が認められ、優れた免疫賦活効果を発揮する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イケマ(Cynanchum caudatum (Miq.) Maxim.)、ウド(Aralia cordata Thunb.)、エゾイチゲ(Anemone yezoensis H. Boiss.)、エゾエンゴサク(Corydalis ambigua Cham. et Schltdl.)、エゾカンゾウ(Hemerocallis middendorffii Trautv. et Meyer var. esculenta)、エゾゴマナ(Aster glehnii)、エゾニュウ(Angelica ursina (Rupr.) Maxim.)、エゾノリュウキンカ(Caltha palustris L. var. barthei Hance)、ガジュマル(Ficus microcarpa L. fil.)、カノコソウ(Valeriana fauriei Briq.)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis L. var. platyphyllum Hulten)、コゴミ(Matteuccia struthiopteris (L.) Todaro)、ゴバンノアシ(Barringtonia asiatica (L.) Kurz)、ザゼンソウ(Symplocarpus foetidus Nutt. var. latissimus (Makino) Hara)、ゼンマイ(Osmunda japonica Thunb.)、ダッタンソバ(Fagopyrum tataricum (L.) Gaertn.)、ナンヨウスギ(Araucaria cunninghamii D. Don)、ハス(Nelumbo nucifera Gaertn.)、ハタケワサビ(Wasabia japonica)、ハマエンドウ(Lathyrus japonicus Willd. subsp. japonicus)、ハマヒルガオ(Calystegia soldanella (L.) Roem. et Schult.)、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata L.)、ヨツバヒヨドリ(Eupatorium chinense subsp. sachalinense)、リュウキュウマツ(Pinus luchuensis Mayr)、シマグワ(Morus australis Poiret)から選択される1種または2種以上の植物、またはアサリ(Ruditapes philippinarum)、ハマグリ(Meretrix lusoria)、ヒメエゾボラ(Neptunea arthritica)、トリガイ(Fulvia mutica)、ミルクイ(Tresus keenae)、ウバガイ(別名:ホッキガイ)(Pseudocardium sachalinense)、ホタテガイ(Patinopecten yessoensis)、タイラギ(Atrina pectinata)から選択される1種または2種以上の貝類、もしくはそれらの抽出物を含有することを特徴とする免疫細胞賦活剤。

【公開番号】特開2010−155811(P2010−155811A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335830(P2008−335830)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】