説明

入力側軸の構造を改良した直交減速機

【課題】直交減速機における入力側軸の強度を向上するとともに、構造のコンパクト化も可能とする。
【解決手段】中間軸13には主軸部13bと、当該主軸部13bよりも径が小さくベベルピニオン23を固定するピニオン挿入部13cとを含んでいる。このうち、ピニオン挿入部13cにおけるナット42の取り付け位置から主軸部13bまでの位置の長さをピニオン挿入長さLとしたときに、主軸部13bの長さLに対するピニオン挿入長さLの比L/Lが、1.0以上1.8未満の範囲内となるように、中間軸13を形成する。これにより、ピニオン挿入部13cの軸径を大きくし、かつ、中間軸13の長さも短くすることができるため、強度向上・コンパクト化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交減速機に関するものであり、特に、入力側軸の強度を従来よりも向上し、かつ、コンパクト化を図った直交減速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直交減速機(直交軸減速機、直交型減速機、直交減速装置)は、入力される動力の回転を直交方向に変換可能とする減速機(減速装置)である。この直交減速機をモータと連結して用いれば、軸方向に長いモータをベルトコンベア等に沿って配置することができる。そのため、ベルトコンベア等の産業用の搬送危機の動力源として、直交減速機は広く用いられている。
【0003】
上記直交減速機の代表的な例としては、図5(a)に模式的に示すように、モータ100、入力軸101、及び出力軸102からなる1段型減速機と、図5(b)に模式的に示すように、入力軸101及び出力軸102の間に中間軸103が設けられる2段型減速機とを挙げることができる。上記1段型減速機は、出力軸102に設けられるベベルギヤ112と入力軸101に設けられるベベルピニオン111との噛合部位(説明の便宜上、ベベル減速部110と称する。)が減速部として機能する。一方、上記2段型減速機は、上記入力軸101と中間軸103との結合部位に、太陽ギヤ121、インタナルギヤ122、遊星ギヤ123を含む遊星減速部120が形成されており、入力軸101に取り付けられる太陽ギヤ121は遊星ギヤ123に噛合っており、この遊星ギヤ123は、さらにインタナルギヤ122と噛合状態にある。これにより、太陽ギヤ121から遊星ギヤ123に公転運動が与えられ、この公転運動が中間軸103を介してベベルピニオン111与えられ、当該ベベルピニオン111が回転する。すなわち、2段型減速機は、遊星減速部120が1段目の減速部として機能し、ベベル減速部110が2段目の減速部として機能する。
【0004】
上記のような直交減速機に関しては、従来からさまざまな技術が提案されている。例えば、特許文献1では、直交減速機と遊星減速機とを組み合わせて用いる場合の減速装置の連結構造に関する技術を開示している。この技術では、相手機械や回転動力源などの仕様(要求)に柔軟に対応し、動力伝達効率を最適な状態に維持しながら装置全体の小型化を図ることを目的としており、そのために、遊星減速機と直交減速機との間に継フランジを介在させることで「2つの連結面」により連結し、特定の遊星減速機に対して直交減速機とを「独立」して複数種類用意可能とする構成となっている。
【0005】
つまり、直交減速機の動力伝達能力は、その構造上、遊星減速機の動力伝達能力よりも比較的低くなることから、直交減速機の剛性を多少高めに設定する必要がある。そのため、これら減速機を組み合わせるときには、直交減速機はやや大きめ、遊星減速機はやや小さめという組み合わせとなることが多い。しかしながら、このような組み合わせに制限があれば、減速機の組み合わせにも制限がかかることになる。そこで、特許文献1では、上記連結構造を用いることで、減速機の組み合わせの範囲を広くすることを図っている。
【特許文献1】特開2006−226533号公報(平成18年8月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、直交減速機の入出力結合部位の近傍は、入力される動力を直交方向に変換して出力するようになっているため、大きな負荷がかかる。特に、近年、ベルトコンベアの小型軽量化やベルト幅の縮小化を目的として、小型で高トルクの直交減速機が求められているため、入出力結合部位の近傍にかかる負荷も大きくなる傾向にある。それゆえ、直交減速機の入力軸におけるベベルピニオンの挿入部位、あるいは、入力軸と出力軸との間に中間軸を備える構成では、中間軸におけるベベルピニオンの挿入部位において、強度が不足する傾向が見出されるようになってきた。
【0007】
特許文献1は、減速機同士の新規な結合構造を提案する技術を開示しており、直交減速機に特有の問題を解決することを図っているが、直交減速機そのものの構造である入出力結合部位の近傍についての問題は考慮されていない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、直交減速機における入力側軸の強度を向上するとともに、構造もコンパクト化し、さらには部品点数の低減も可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題に関して鋭意検討した結果、入力軸又は中間軸に形成されるベベルピニオンの挿入部位の長さを相対的に短く設定することにより、入出力結合部位近傍の強度の向上を図ることができるとともに、構造のコンパクト化や部品点数の低減も可能となることを独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る直交減速機は、上記の課題を解決するために、駆動源に直接又は間接的に結合されることにより回転可能となっている入力側軸と、上記入力側軸に設けられるベベルピニオンと、上記べベルピニオンと噛合するべベルギアと、上記べベルギヤに設けられ、上記入力側軸に対して直交方向に配置される出力軸とを備える直交減速機であって、上記入力側軸は、駆動源に接続される軸本体部と、当該軸本体部からベベルギヤ側に突出する主軸部と、当該主軸部よりも径が小さくなっており上記ベベルピニオンを固定するピニオン挿入部とを含んでおり、上記ベベルピニオンは、少なくとも、当該ベベルピニオンに形成された嵌合穴を上記ピニオン挿入部に嵌入させた上で、当該ピニオン挿入部の上記ベベルギヤ側となる上記入力側軸の先端に、当該ベベルピニオンの固定状態を維持する固定部材を取り付けることによって、当該入力側軸に固定されるようになっており、さらに、上記ピニオン挿入部における固定部材の取り付け位置から主軸部までの位置の長さをピニオン挿入長さとしたときに、主軸部の長さに対するピニオン挿入長さの比が、1.0以上1.8未満の範囲内となるように、上記入力側軸が形成されていることを特徴としている。
上記直交減速機においては、例えば、上記入力側軸が、少なくとも、駆動源に直接結合される駆動軸と、当該駆動軸及び上記出力軸との間に設けられる中間軸とからなっており、当該中間軸は、上記駆動軸に結合する中間軸本体部を含んでおり、当該中間軸本体部から上記主軸部がベベルギヤ側に突出している構成であってもよいし、上記入力側軸が駆動軸(入力軸)のみからなっている構成であってもよい。
上記直交減速機においては、さらに、上記出力軸における回転駆動力の伝達側を下流側とし、当該出力軸におけるベベルギヤ及びベベルピニオンの噛合位置側を上流側としたときに、当該出力軸において、固定したベベルギアの当接位置から、出力軸の上流側先端に設けられるベアリングの配置位置までの軸径は、下流側の軸径よりも大きくなっていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、ベベルピニオンの挿入部位となる入力側軸の先端部の軸径を従来よりも大きくすることができる。それゆえ、入力側軸の強度を向上させることになり、結果的に入出力結合部位近傍の強度が向上することに加え、入力側軸の長さも短くすることができるため、直交減速機そのものをコンパクト化することができる。さらに、出力軸の軸形状を変更することによって、当該出力軸に設ける必要のあったスペーサをより安価なものに変更したり、スペーサそのものをなくしたりすることができる。それゆえ、部品点数の低減も可能となり、直交減速機の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本発明は以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や具体的な実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【0013】
本実施形態に係る直交減速機は、例えば、図2に示すように、入力軸11、この入力軸11に対して直交方向に配置される出力軸12、これら各軸の間に設けられる中間軸13を備えており、入力軸11及び中間軸13の結合部位には、太陽ギヤ31、インタナルギヤ32、遊星ギヤ33を含む遊星減速部30が形成されている。なお、入力軸11及び中間軸13は「入力側軸」と見なすことができる。また、中間軸13には先端にベベルピニオン23が設けられ、出力軸12の中間位置にはベベルギヤ22が設けられており、これらベベルギヤ22及びベベルピニオン23とが噛合うことによって、ベベル減速部20が形成されている。なお、入力軸11、出力軸12、中間軸13は何れも複数のベアリング40により支持されている。
【0014】
上記各軸の具体的な形状は特に限定されるものではなく、公知の構成を好適に採用することができる。例えば、出力軸12としては、中実軸を採用してもよいし、中空軸を採用してもよい。同様に、遊星減速部30やベベル減速部20の具体的な構成も特に限定されるものではなく、公知のギヤ形状やその組み合わせを好適に用いることができる。
【0015】
上記入力軸11はモータ等の駆動源に結合されることにより回転可能となっており、中間軸13は、遊星減速部30を介して入力軸11と結合されることにより、駆動源からの回転動力が入力軸11を介して伝達されるようになっている。言い換えれば、入力軸11及び中間軸13をまとめて広義の「入力軸」(又は入力側軸)と見ることが可能であり、この場合、狭義の「入力軸11」を、駆動源に直接結合される「駆動軸」と見ることができる。このように、本実施形態では、遊星減速部30及びベベル減速部20を備える2段型直交減速機を例示している。
【0016】
上記直交減速機の外観は、例えば図3に示すように、L字形となっており、図中横方向から図示しないモータ(駆動源)の回転動力が伝えられ、遊星減速部30及びベベル減速部20を介して、図中縦方向の出力軸12の回転動力として伝えられる。すなわち、図2に示す入力軸11にはモータの回転軸が結合されるようになっており、モータの回転動力を直交方向に変換、減速して出力軸12に伝達するようになっている。なお、本実施形態では、図2及び図3の何れも、ケーシング41を含め要部構成のみを示しており、その他の詳細な構成は、従来公知の構成を好適に採用することができるため、具体的に記載していない。
【0017】
本発明に係る直交減速機では、上記ベベル減速部20の入力側の軸である中間軸13と出力軸12との結合部位において、中間軸13の軸の長さを所定の比率となるように設定している。具体的には、図1の上方に示すように、上記中間軸13は、入力軸11側に接続される中間軸本体部13aと、この中間軸本体部13aからベベルギヤ22側に突出する主軸部13bと、この主軸部13bよりも径が小さくなっておりベベルピニオン23を固定するピニオン挿入部13cとを含んでいる。そして、ベベルピニオン23は、少なくとも、当該ベベルピニオン23に形成された嵌合穴23aを上記ピニオン挿入部13cに嵌入させた上で、このピニオン挿入部13cの先端(ベベルギヤ22側となる中間軸13の先端)に、ベベルピニオン23の固定状態を維持する固定部材42を取り付けることによって固定されている。ここで、ピニオン挿入部13cにおける固定部材42の取り付け位置から主軸部13bまでの位置の長さをピニオン挿入長さLとしたときに、主軸部の長さLに対するピニオン挿入長さLの比L/Lが、1.0以上1.8未満の範囲内、より好ましくは1.0以上1.5未満の範囲内となるように設定されている。
【0018】
上記L/Lが上記の範囲内となっていれば、ピニオン挿入部13cの軸径を大きくすることができるとともに、ピニオン挿入長さLを短くすることができる。その結果、ピニオン挿入部13cすなわち中間軸13の強度を向上させることができるとともに、中間軸13の長さも短くしてベベル減速部20のコンパクト化を図ることができる。後述する実施例にて示すように、軸径は従来よりも8〜11%の範囲内で向上させることが可能であるとともに、ピニオン挿入長さLは7〜10%の範囲内で短くすることが可能となる。
【0019】
これに対して、上記L/Lが1.0未満であれば、ピニオン挿入長さLが短くなりすぎて、ベベルピニオン23及びベベルギヤ22の噛合状態に干渉が生じてしまうため好ましくない。また、上記L/Lを1.0未満としたときには、軸径は11%を超えて大きくすることも可能であるが、この場合、ベベルピニオン23の厚みを薄くせざるを得なくなり、適切な性能のベベルピニオン23を用いることができなくなるため好ましくない。一方、上記L/Lが1.8以上であれば、従来の中間軸13の構成と同様となるため、強度向上やコンパクト化の作用効果を得ることができなくなるため好ましくない。なお、上記L/Lが1.5未満であれば、強度向上やコンパクト化の作用効果をより一層向上することができるため、より好ましい。
【0020】
図1では、中間軸13の上方側が本発明に基づく長さ設定であるのに対して、下方側が従来の長さ設定となっている。上下を比較すれば明らかな通り、主軸部13bの長さLが変わらなくても、ピニオン挿入長さLを短くすることで、ピニオン挿入部13cの軸径をd0からd1に大きくすることができる。軸径が大きくなることで、軸そのものの強度が向上するだけでなく、軸の長さが短くなることで、ベベル減速部20に加えられる荷重によって梃子の原理により軸にかかる力も軽減することが可能となる。それゆえ、中間軸13の強度をより一層向上することができる。
【0021】
ここで、上記固定部材の具体的な構成は特に限定されるものではなく、ベベルピニオン23の嵌合穴23aにピニオン挿入部13cを嵌入させた状態で、ピニオン挿入部13cの先端に取り付けられることで、べべルピニオン23を一体的に中間軸13に固定できるようになっていれば、公知の構成を採用することができる。本発明では、例えば、ピニオン挿入部13の先端をボルト状に加工した上で、緩み防止機能を有するナットを固定部材として取り付けてもよいし、緩み防止機能を有さない一般的なナットを固定部材として取り付けた上で、ネジロック剤を用いてナットの緩みを回避するようにしてもよい。
【0022】
上記ネジロック剤としては、公知の嫌気性封着剤を好適に用いることができる。具体的には、例えば、主成分として(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む封着剤を挙げることができる。このタイプの封着剤は、空気に触れている間は(メタ)アクリル酸エステルモノマーは重合しないが、ナットとボルト部分との締結部に入ると、同モノマーは重合反応して(メタ)アクリルポリマーを形成して硬化する。これによってナットの緩みが防止されるとともに、締結部がシールされることになる。コスト面から見ればネジロック剤を用いてナットを固定する手法の方が好ましい。
【0023】
また、ベベルピニオン23のピニオン挿入部13cへの固定時には、ベベルピニオン23の回転方向への移動を防止するために、ベベルピニオン23及びピニオン挿入部13cにキー溝を形成して、キーを介在させることが好ましい。ここで、上記L/Lを1.0未満として軸径を大きく設定しすぎると、キーの強度が低下するおそれがあるので好ましくない。この点から見ても、上記L/Lの下限は1.0であることが好ましい。
【0024】
加えて、本発明では、図4(a)(b)に示すように、出力軸12の形状を変化させることによって、ベベル減速部20の強度向上だけでなく部品点数の低減も可能となる。すなわち、図2に示すように、本実施形態の直交減速機では、出力軸12は少なくとも上下2箇所においてベアリング40で支持されており、その中間部にベベルギヤ22が固定されている。ここで、従来の出力軸102では、図4(c)に示すように、上方のベアリング40とべベルギヤ112との間に、管状スペーサ130を配置する構成となっていたが、この管状スペーサ130は加工にコストがかかるものとなっていた。
【0025】
そこで、図4(a)に示すように、出力軸12における回転駆動力の伝達側(図中下側)を下流側とし、当該出力軸におけるベベルギヤ22及びベベルピニオン23の噛合位置側を上流側としたときに、この出力軸12において、固定したベベルギア22の当接位置から、出力軸12の上流側先端に設けられるベアリング40の配置位置までの軸径を、下流側の軸径よりも大きくする。これによって管状スペーサ130を設ける必要がなくなり、代わりに下流側に環状スペーサ43を設けるだけでよくなる。何れも管状スペーサ130及び環状スペーサ43を設ける点では部材点数に変化は無いが、加工面から見れば、管状スペーサ130よりも環状スペーサ43の方が低コストとなるため、コストダウンを図ることができる。
【0026】
さらには、図4(b)に示すように、直交減速機の仕様によっては、ベベルギヤ22の形状を変化させることも可能となる。つまり、ベベルギヤ22を出力側に肉厚とした構成とすれば、環状スペーサ43を省略することが可能となり、部材点数を減少させることができるので、より一層のコストダウンを図ることができる。なお、出力軸12の軸径を変える加工については、図4(a)〜(c)の何れにおいても同様の加工が必要であるため、スペーサ形状やベベルギヤ22の形状の変化によるコストダウン効果の方が大きくなる。
【0027】
なお、本実施形態では、本発明を説明するための直交減速機の具体的構成として、中間軸13を備える構成、言い換えれば、図5(b)に例示する2段型減速機を挙げているが、本発明はもちろんこれに限定されるものではなく、図5(a)に例示する1段型減速機であってもよい。この場合、中間軸13及び遊星減速部30が設けられていない構成、すなわち、入力軸11に太陽ギヤ31に代えてベベルピニオン23が取り付けられ、出力軸12のベベルギヤ22と噛合う構成となる。さらに、1段型減速機、2段型減速機以外の公知の直交減速機についても本発明を適用できることはいうまでもない。
【実施例】
【0028】
以下、より具体的な実施例に基づいて、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0029】
エイブル減速機NEVシリーズ直交減速機(日本電産シンポ株式会社製)において、枠番B、C、D及びEのそれぞれについて、中間軸の設計の変更を行い、設計の変更前後で、ピニオン挿入長さL、主軸部長さL、軸径、ベベル減速部の組立距離(出力軸のセンターラインから中間軸の主軸部直前までの間隔)とを測定し、その変化率とL/Lの比を算出した。その結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1に示すように、従来(表の各枠番の下段)では、L/Lが1.8以上となっているのに対して、本発明(表の各枠番の上段)によればL/Lは1.4以下となっていることがわかる。また、軸径も組立距離も本発明の方が従来よりも良好な値となっていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明では、直交減速機におけるベベル減速部において、入力側軸に固定されるベベルピニオンの固定部位の長さを短くすることによって、入力側の軸の径を大きくしてベベル減速部の強度を向上し、かつ、軸の長さを短くしてベベル減速部をコンパクト化している。そのため、本発明によれば、従来よりも信頼性がさらに一層向上し、かつ、小型化された直交減速機を得ることができる。それゆえ、本発明は、ベベル減速部を備える直交減速機に関する技術分野全般に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る直交減速機において、ベベルピニオン及びベベルギヤの噛合部位であるベベル減速部について、本発明の入力側の軸構成と、従来の入力側の軸構成とを対比させた状態を示す模式図である。
【図2】図1に示す直交減速機の具体例として、内部の軸構成の一例を示す模式的透視図である。
【図3】図2に示す直交減速機の外観の一例を示す側面図である。
【図4】(a)及び(b)は、本発明に係る直交減速機における、出力軸の軸形状の一例を示す模式的断面図であり、(c)は、従来の直交減速機における出力軸の軸形状の一例を示す模式的断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明を適用可能な直交減速機の軸構造の代表的な構成例を示す模式図であり、(a)は1段型減速機、(b)は2段型減速機を示している。
【符号の説明】
【0034】
11 入力軸(入力側軸・駆動軸)
12 出力軸
13 中間軸(入力側軸)
13a 中間軸本体部(軸本体部)
13b 主軸部
13c ピニオン挿入部
22 べベルギア
23 ベベルピニオン
23a 嵌合穴
40 ベアリング
42 固定部材
ピニオン挿入長さ
主軸部の長さ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源に直接又は間接的に結合されることにより回転可能となっている入力側軸と、
上記入力側軸に設けられるベベルピニオンと、
上記べベルピニオンと噛合するべベルギアと、
上記べベルギヤに設けられ、上記入力側軸に対して直交方向に配置される出力軸とを備える直交減速機であって、
上記入力側軸は、駆動源に接続される軸本体部と、当該軸本体部からベベルギヤ側に突出する主軸部と、当該主軸部よりも径が小さくなっており上記ベベルピニオンを固定するピニオン挿入部とを含んでおり、
上記ベベルピニオンは、少なくとも、当該ベベルピニオンに形成された嵌合穴を上記ピニオン挿入部に嵌入させた上で、当該ピニオン挿入部の上記ベベルギヤ側となる上記入力側軸の先端に、当該ベベルピニオンの固定状態を維持する固定部材を取り付けることによって、当該入力側軸に固定されるようになっており、
さらに、上記ピニオン挿入部における固定部材の取り付け位置から主軸部までの位置の長さをピニオン挿入長さとしたときに、主軸部の長さに対するピニオン挿入長さの比が、1.0以上1.8未満の範囲内となるように、上記入力側軸が形成されていることを特徴とする直交減速機。
【請求項2】
上記入力側軸が、少なくとも、駆動源に直接結合される駆動軸と、当該駆動軸及び上記出力軸との間に設けられる中間軸とからなっており、
当該中間軸は、上記駆動軸に結合する中間軸本体部を含んでおり、当該中間軸本体部から上記主軸部がベベルギヤ側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の直交減速機。
【請求項3】
さらに、上記出力軸における回転駆動力の伝達側を下流側とし、当該出力軸におけるベベルギヤ及びベベルピニオンの噛合位置側を上流側としたときに、
当該出力軸において、固定したベベルギアの当接位置から、出力軸の上流側先端に設けられるベアリングの配置位置までの軸径は、下流側の軸径よりも大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の直交減速機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−150489(P2009−150489A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329404(P2007−329404)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000107147)日本電産シンポ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】