説明

入力装置

【課題】主に自動車のカーナビゲーション等に用いられる入力装置に関し、誤操作が少なく操作の容易なものを提供することを目的とする。
【解決手段】表示手段15に加え、多方向操作スイッチ10と音声手段14を設け、表示手段15に複数のメニューが表示された状態で、多方向操作スイッチ10を操作して所定メニューを選択すると、制御手段16がこの操作方向を検出して、表示手段15の表示を次メニューに切換えると共に、音声手段14に多方向操作スイッチ10の次メニューの操作方向を指示させることによって、次メニューの操作方向が音声手段14から指示されるため、誤操作が少なく、容易な操作が可能な入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車のカーナビゲーション等に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に装着されたカーナビゲーション等を用いて、行き先や走行方向を確認することが広く行われるなか、誤操作がなく操作の容易なものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図6を用いて説明する。
【0004】
図6(a)は従来の入力装置の平面図であり、同図において、1は絶縁樹脂製のケース、2は液晶表示素子等の表示手段で、表示手段2の前面には光透過性のタッチパネル3が装着されている。
【0005】
そして、このタッチパネル3は二枚のフィルムやガラスから形成され、これらの片面に形成された酸化インジウム錫等の透明な導電層(図示せず)が所定の空隙で対向すると共に、導電層両端からは直交方向に形成された一対の電極(図示せず)が延出している。
【0006】
また、4は絶縁樹脂製の複数の押釦で、ケース1に押圧可能に装着されると共に、これらの背面には、押釦4の押圧操作によって電気的接離を行う複数のスイッチ接点(図示せず)が配設されている。
【0007】
さらに、ケース1内には、マイコン等の電子部品によって制御手段5が形成されると共に、表示手段2やタッチパネル3の複数の電極、押釦4背面の複数のスイッチ接点が、制御手段5に接続されて入力装置が構成されている。
【0008】
そして、このように構成された入力装置が、車室中央前方のインストルメントパネル上方等に取り付けられると共に、制御手段5がコネクタやリード線等を通して自動車本体の電子回路に接続されて、自動車に装着される。
【0009】
以上の構成において、例えば「目的地」の押釦4を押圧操作すると、この背面のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段5が検出して、表示手段2には図6(a)に示すような、「目的地設定」用の複数のメニュー6が表示される。
【0010】
そして、この複数のメニュー6の中から所定メニュー、例えば「行き先選択」を選択して、この表示箇所前面のタッチパネル3を押圧操作すると、タッチパネル3のフィルムが撓んで背面の導電層が接触し、この電気的接離を制御手段5が検出して、図6(b)に示すように、「行き先選択」用の複数の次メニュー7に表示手段2の表示が切換わる。
【0011】
さらに、この後、再びタッチパネル3を押圧操作して所定メニュー、例えば「名称入力」を選択した後、所定の操作を行って名称を入力すると、選択した地域の地図やその地域への案内等が表示手段2に表示される。
【0012】
つまり、表示手段2に複数のメニュー6が表示された状態で、タッチパネル3を押圧操作して所定メニューを選択すると、このタッチパネル3の操作位置を制御手段5が検出して、表示手段2の表示を次メニュー7に切換え、これを繰返すことによって、行き先の地図や案内等が表示手段2に表示されるように構成されているものであった。
【0013】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2006−12695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、表示手段2に表示された複数のメニュー6や7を操作する都度、目視で確認して選択し操作する必要があるため、操作が煩雑で、押し間違い等の誤操作も生じ易いという課題があった。
【0015】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、誤操作が少なく操作の容易な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、表示手段に加え、多方向操作スイッチと音声手段を設け、表示手段に複数のメニューが表示された状態で、多方向操作スイッチを操作して所定メニューを選択すると、制御手段がこの多方向操作スイッチの操作方向を検出して、表示手段の表示を次メニューに切換えると共に、音声手段に多方向操作スイッチの次メニューの操作方向を指示させるようにして入力装置を構成したものであり、音声手段によって次メニューの操作方向が指示されるため、誤操作が少なく、容易な操作が可能な入力装置を得ることができるものである。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、誤操作が少なく操作の容易な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図5を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図であり、同図において、10は多方向操作スイッチで、略箱型で絶縁樹脂製のケース11上面上方には、略円盤状で絶縁樹脂製の操作体12が上下左右に揺動可能に装着されると共に、この操作体12上面外周には操作方向を示す、略三角形の四つのマークが表示され、操作体12中央には絶縁樹脂製の押釦12Aが、押圧可能に装着されている。
【0020】
また、ケース11上面下方には、絶縁樹脂製の押釦13が押圧可能に装着されると共に、ケース11内には操作体12の揺動や押釦12Aや13の押圧によって、電気的接離を行う複数のスイッチ接点(図示せず)が配設されている。
【0021】
さらに、14はスピーカ等の音声手段、15は液晶表示素子等の表示手段で、この音声手段14や表示手段15、多方向操作スイッチ10のスイッチ接点が、マイコン等の電子部品によって形成された制御手段16に接続されて、入力装置が構成されている。
【0022】
そして、このように構成された入力装置は、音声手段14や表示手段15が車室中央前方のインストルメントパネル上方等に、多方向操作スイッチ10が運転席側方のコンソールボックスやステアリングホイール近傍等に各々取り付けられると共に、制御手段16がコネクタやリード線等を通して自動車本体の電子回路に接続されて、自動車に装着される。
【0023】
以上の構成において、例えば押釦12Aまたは13を押圧操作すると、この背面のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段16が検出して、表示手段15には図2(a)の平面図に示すような、「目的地設定」用の複数のメニュー17が表示される。
【0024】
なお、この時、制御手段16が押釦12Aや13の押圧操作に応じて、図3の動作チャートに示すように、このメニュー17に対する多方向操作スイッチ10の操作方向、例えば「行き先選択は上」「履歴選択は下」といった指示を、音声手段14から音声によって行う。
【0025】
そして、この音声指示にしたがって、多方向操作スイッチ10の操作体12を所定方向へ、例えば上端を押圧して上方向へ揺動操作すると、この背面のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段16が検出して、図2(b)に示すような、「行き先選択」用の複数の次メニュー18に、表示手段15の表示が切換わる。
【0026】
また、この時、制御手段16がこの操作体12の揺動操作に応じて、図3に示すように、表示された次メニュー18に対する多方向操作スイッチ10の操作方向、例えば「名称入力は上」「住所検索は下」といった音声指示を、音声手段14によって行わせる。
【0027】
さらに、この後、この音声指示にしたがって、操作体12を所定方向へ揺動操作して、例えば「名称入力」を選択し、所定の操作を行って名称を入力した後、押釦12Aや13を押圧操作すると、選択した地域の地図やその地域への案内等が表示手段15に表示される。
【0028】
つまり、表示手段15に複数のメニュー17が表示された状態で、多方向操作スイッチ10を操作して所定メニューを選択すると、制御手段16がこの多方向操作スイッチ10の操作方向を検出して、表示手段15の表示を次メニュー18に切換えると共に、このようにメニューが切換わる度に、多方向操作スイッチ10の次のメニューに対する操作方向を、音声手段14を用いて音声指示するように構成されている。
【0029】
したがって、メニューの切換えを行う都度、表示手段15の表示を目視で確認する必要はなく、多方向操作スイッチ10の操作体12に手を当て、音声手段14の音声指示にしたがって、操作体12を所定方向へ揺動操作するだけで、メニューの選択を行うことができるため、誤操作も生じづらく、容易に操作を行うことが可能なようになっている。
【0030】
このように本実施の形態によれば、表示手段15に加え、多方向操作スイッチ10と音声手段14を設け、表示手段15に複数のメニューが表示された状態で、多方向操作スイッチ10を操作して所定メニューを選択すると、制御手段16がこの操作方向を検出して、表示手段15の表示を次メニューに切換えると共に、音声手段14に多方向操作スイッチ10の次メニューの操作方向を指示させることによって、次メニューの操作方向が音声手段14から指示されるため、誤操作が少なく、容易な操作が可能な入力装置を得ることができるものである。
【0031】
なお、以上の説明では、ケース11上面に装着した略円盤状の操作体12を、上下左右に揺動操作する多方向操作スイッチ10を用いた構成について説明したが、図4の平面図に示すように、ケース11A上方に上下左右に四つの押釦13Aを配列し、これらを押圧操作してメニューの選択を行う構成等、様々な構成の多方向操作スイッチにおいても、本発明の実施は可能である。
【0032】
また、以上の説明では、複数のメニュー17や次メニュー18を表示手段15に縦列に並べて表示した構成について説明したが、図5の平面図に示すように、多方向操作スイッチ10の操作方向に合わせ、例えば「行き先選択」を上方、「履歴選択」を下方というように、上下左右に配置して表示すれば、音声手段14の音声指示に加え、より誤操作が少なく、容易に操作を行うことができる。
【0033】
さらに、行き先や走行方向を検索するカーナビゲーションを例として説明したが、車両に搭載された他の機器、例えばオーディオやエアコン等の入力操作用として、例えば「音量アップは上」「音量ダウンは下」というように、多方向操作スイッチ10の操作方向を音声手段14によって音声指示するようにしても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明による入力装置は、誤操作が少なく、容易な操作が可能なものが得られ、主に自動車のカーナビゲーション等の入力操作用として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック回路図
【図2】同表示手段の平面図
【図3】同動作チャート
【図4】同他の実施の形態による多方向操作スイッチの平面図
【図5】同他の実施の形態による表示手段の平面図
【図6】従来の入力装置の平面図
【符号の説明】
【0036】
10 多方向操作スイッチ
11、11A ケース
12 操作体
12A 押釦
13、13A 押釦
14 音声手段
15 表示手段
16 制御手段
17 メニュー
18 次メニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多方向操作スイッチと、音声手段と、複数のメニューを表示する表示手段と、これらに接続された制御手段からなり、上記表示手段に複数のメニューが表示された状態で、上記多方向操作スイッチを操作して所定メニューを選択すると、上記制御手段がこの多方向操作スイッチの操作方向を検出して、上記表示手段の表示を次メニューに切換えると共に、上記音声手段に上記多方向操作スイッチの次メニューの操作方向を指示させる入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−70937(P2008−70937A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246496(P2006−246496)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】