説明

共通ペプチド

本発明は、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激に最適化された人工ペプチドに関する。本発明はまた、in vitroおよびin vivoにおけるミネラル化および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激するためのこれらの人工ペプチドの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化(biomineralization)の誘導および/または刺激、ならびに臨床上、産業的および/または化学的に、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激することができる人工ペプチドの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯、骨、軟体動物の貝などの生物の硬い組織は、しばしば有機ポリマー層に結合したミネラルからなる。
【0003】
バイオミネラル化は、上記構造からの異なる生物の細胞内、または細胞外のミネラル蓄積によるプロセスである。蓄積したミネラルの例として、鉄、金、シリケート、カルシウムカーボネート、およびカルシウムホスフェートが含まれる。細胞それ自体が、例えば核となるものとして作用するタンパク質の発現、ならびにそのようなタンパク質の機能を改変する酵素の生産により、バイオミネラル化のプロセスは方向付けられる。バイオミネラル化に関わるほとんどのタンパク質は、電荷を帯びたミネラル結晶表面と相互作用できるように、アニオン性である。
【0004】
生物模倣体(Biomimetic)は、アパタイトのように、天然の方法で生産するミネラルにより模倣される、または刺激する微小構造処理技術として規定される。生物が有機基質を使用してミネラルを成長させる方法は、生物模倣体における対象である。例えば、バイオポリマーおよびその合成アナログのミネラル蓄積特性は、産業プロセス、例えば水処理および電子デバイスにおいて、利用されている。多くの人工結晶は、温度の上昇および強力な化学溶液を必要とするが、一方生物は、長らく周辺温度で精巧なミネラル構造を築くことができていた。しばしば、ミネラル相は純粋ではないが、バイオミネラル化に関わり、制御する有機部分、しばしばタンパク質を伴う合成物として作製される。これらの合成物はしばしば、純粋ミネラルと同等に硬いのみならず、微小環境がバイオミネラル化を制御しているように、頑強である。それゆえミネラル沈殿を誘導する産業的適用のためのバイオポリマーの利用におおいに興味が抱かれている。また種々の目的で生物系におけるバイオポリマーの利用にもおおいに興味が抱かれている。そのような例の一つは、医学的人工装具デバイス技術におけるものである。金属または金属アロイからなる骨医学的人工装具デバイスは、一般に使用されている。チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ニオビウム、またはそれらのアロイのような、骨医学的人工装具デバイスに使用される金属及びアロイのいくつかは、骨組織と強力な結合を形成してよい。この金属と骨組織の間の結合は、オッセオインテグレーション(osseointegration)(Branemark et al. "Osseointegrated medical prosthetic devices in the treatment of the edentulous jaw, Experience from a 10-year period", Almqvist & Wiksell International, Stockholm, Sweden)と呼ばれる。被験者に移植される際に、骨医学的人工装具デバイスが骨組織に結合するように、骨組織は骨医学的人工装具デバイス上に成長する。しかし、これは骨医学的人工装具デバイスが負荷されないことがしばしばあってよい、遅いプロセスである。それゆえ、骨医学的人工装具デバイスが骨組織に結合する速度を改善することは有益であろう。
【0005】
例えば、外傷、癌治療に伴う骨または歯の外科的除去の後、骨のようなミネラル化組織を再生するための方法を開発することにもまた、重大な関心がもたれている。
【0006】
いくつかの天然ペプチドが、ミネラル沈殿を誘導することが示されている。その例は、I型およびII型コラーゲン、アメロゲニン(amelogenin)、エナメル芽細胞骨シアロタンパク質、エナメリン、およびアナソカルシンを含む。しかし、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化のために天然ペプチドを使用することは、常に実用的であるわけではない。例えば、天然タンパク質はしばしば長く、それは化学的にも生物生産によっても、天然タンパク質が合成するのが困難であることを意味する。天然タンパク質は天然アミノ酸のみを含み、それゆえ迅速な分解を受けやすいであろう。また、発育中の歯のような天然環境から精製された場合、例えばアレルギー反応を起こすであろう他の産物が汚染する危険が常に存在する。さらに、長い天然タンパク質は通常、生物中で多くの役割を有しており、それゆえミネラル化の誘導及び刺激のために最適化されていないであろう。
【0007】
それゆえ、in vitroおよびin vivoにおけるミネラル化を改善することを可能とするペプチドおよび方法を開発することに、重大な関心がもたれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 00/38753
【特許文献2】WO 03/08695
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hayakawa, T., Yoshinari, M., and Nemoto K. Direct attachment of fibronectin to tresyl chloride-activated titanium. J Biomed Mater Res A, 2003, 67(2): 684-8
【非特許文献2】Imamura, K., Kawasaki, Y., Nagayasu, T., Sakiyama, T., and Nakanishi, K.Adsorption characteristics of oligopeptides composed of acidic and basic amino acids on titanium surface.J Biosci Bioeng, 2007, 103 (1): 7-12
【非特許文献3】Lian et al., Current Pharmaceutical Design, 2003, 9, 2677-2685
【非特許文献4】Minkin et al., "Role of the osteoclast at the bone-implant interface" Adv Dent Res 13:49- 56, June, 1999
【非特許文献5】Michael Messieh, "Synovial Fluid levels of Lactate Dehydrogenase in Patients with Total Knee Arthroplasty, The Journal of Arthroplasty Vol. 11 No.4, 1996
【非特許文献6】Michael Messieh, Levels of Lactate Dehydrogenase in Osteoarthritic and Failed Total Knee Joints, The Journal of Arthroplasty Vol. 11 No.3, 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、in vitroおよびin vivoにおけるミネラル化を誘導および/または刺激するための特性を改善した人工ペプチドを提供することが本発明の目的である。さらに、天然タンパク質よりも合成が容易であるペプチドを提供し、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激するために本発明のペプチドを使用する方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記規定される目的は、配列番号1から8のいずれかによる人工ペプチドを提供することにより達成される本発明の第一の態様にある。
【0012】
別の態様において、上記同定される目的は、配列番号1から8のペプチドのうち1つ以上を含む薬剤組成物を提供することにより達成される。
【0013】
別の態様において、本発明は、ミネラル化および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激するための本発明のペプチドの使用に関する。
【0014】
さらに別の本発明の態様は、その上に提供される本発明のペプチドを有する表面、およびそのような表面を提供するための方法に関する。
【0015】
本発明はまた、生物ミネラル化をin vivo誘導および/または刺激すること、ならびに骨の再生に関する。
【0016】
配列番号1から8の人工ペプチドのアミノ酸配列は、ミネラル化の誘導および/または刺激活性に基づいて選択されるため、人工ペプチドは当業者が利用可能なペプチドに比較して、改善されたミネラル化の誘導および/または刺激活性を有する。さらに、天然ミネラル化誘導タンパク質に比較して、長さが短いため、本発明の人工ペプチドは合成するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるオステオカルシン遺伝子の発現(実施例5)。
【図2】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるRunx2遺伝子の発現(実施例5)。
【図3】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるTRAP遺伝子の発現(実施例5)。
【図4】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるLDH遺伝子の発現(実施例5)。
【図5】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるオステオカルシン遺伝子の発現(実施例6)。
【図6】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるRunx2遺伝子の発現(実施例6)。
【図7】改変チタンインプラントに結合した、インプラント周辺骨組織におけるTRAP遺伝子の発現(実施例6)。
【図8】4週間の治療時間後の移植部位から回収した傷液体において測定したLDH活性。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
「ミネラルの沈殿」または「ミネラル沈殿」は、カルシウム及びリン酸を含む構造のin vivoおよびin vitroにおける形成に関するが、例えば、溶液、表面上、組織中、および医学的人工装具デバイスなどに限定されない。カルシウム及びリン酸を含む構造の例には、全ての種類の骨、関節、全ての種類の象牙質、セメント質、エナメル質、結石、髪、爪、靭帯、嘴、皮膚鱗などが含まれるが、それに限定されない。
【0019】
「生物ミネラル化」は、生物による部分的または全体的にミネラル化された内部または外部構造の生産に関する。本発明では、「生物ミネラル化」の語は、骨、関節、セメント質および歯組織の形成、成熟、および再形成を包含する。
【0020】
本発明では、「人工ペプチド」は、天然では通常存在しないが、本発明の文脈における使用に適するペプチドを生成する順序、量、および方法で一緒にし、選択されるアミノ酸の生成物であるという意味で、非天然ペプチドであるペプチドを指す。「人工ペプチド」はまた、天然に偶然存在するペプチドの部分または全体を包含してよいが、本発明に含まれるペプチドである。「人工」を、「合成」または「非天然」のような語と入れ替えて使用してよい。
【0021】
本発明の文脈で、「Pro」はアミノ酸プロリンを指す。
【0022】
本発明の文脈で、「X」は疎水性アミノ酸指す。疎水性アミノ酸は、本発明の文脈で、Ala、Ile、Leu、Met、Phe、TrpおよびValからなる群より選択されるアミノ酸として定義される。
【0023】
本発明の文脈で、「Y」は極性アミノ酸指す。極性(「親水性」)アミノ酸は、本発明の文脈で、Asn、Cys、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなる群より選択されるアミノ酸として定義される。
【0024】
本発明では、標準命名法をアミノ酸の表示に使用する。それゆえ、例えば、AはAla (疎水性)、CはCys (極性)、FはPhe (疎水性)、HはHis、IはIle (疎水性)、LはLeu (疎水性)、MはMet (疎水性)、NはAsn (極性)、QはGln (極性)、SはSer (極性)、TはThr (極性)、VはVaI (疎水性)、WはTrp (疎水性)、YはTyr (極性)である。
【0025】
本発明において「医学的人工装具デバイス」は、哺乳類、例えばヒト哺乳類のような脊椎動物の体に移植することを意図されたいずれかのデバイスを指す。本発明の医学的人工装具デバイスを使用して、生体構造を交換、および/または体のいずれかの機能を回復させてよい。医学的人工装具デバイスの例には、歯のインプラントおよび整形外科インプラントが含まれるが、それに限定されない。
【0026】
本発明において、「表面」は、例えばチタン、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、金の金属表面、外科用スチールまたはニッケル表面、あるいはそのアロイ、あるいはその金属酸化物表面、あるいはその金属水酸化物または金属水素化表面、あるいはヒドロキシアパタイト、アラゴナイト、バイオガラス、ガラス、またはポリウレタン表面のような、本発明の人工ペプチドに提供する、対照となるいずれかのであってよい表面を指す。本発明による表面の他の例は、金属、金属酸化物、またはポリマー性医学的人工装具デバイス表面のような、医学的人工装具デバイス表面を含む。本発明による表面の他の例は、歯根表面、歯エナメル表面、骨表面、グラフト表面、傷表面などのような生物学的表面である。表面のさらなる例は、粘膜表面、皮膚表面、接合の関節表面、髪及び爪、ならびに他の同等物を含む。
【0027】
本発明で「被験者」は、鳥類、爬虫類、哺乳類、霊長類およびヒトのような脊椎動物のいずれかに関する。
【0028】
発明の詳細な説明
本発明は、本明細書に記載される人工ペプチドに関するものであり、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激のための、例えば、表面上、組織中または溶液中における、骨の形成および/または再生、ならびに、2つの生物ミネラル化構造、または1つの生物ミネラル化構造と移植可能な生物材料のような2つのミネラル化構造の融合のための使用に関する。
【0029】
最初の態様によれば、本発明は、配列
Pro-X-X-Pro-Y-Y-Y-Pro-X- X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-X-Pro-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Pro-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Pro-X-X-Pro-X-Pro-Y-Y-Y- Pro-Y-Y-Pro-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y- Pro-Pro-X-Pro-Pro-X-X-X-X-X-X-X-X-Pro-X-X-Pro-X-X-X-X (配列番号1)
に少なくとも80%同一である共通アミノ酸配列を含む人工ペプチドであり、
a) Proはプロリンであり、
b) XはAla、Ile、Leu、Met、Phe、TrpおよびValからなり、好ましくはLeu、ValおよびMetからなる群より選択されるアミノ酸であり;
c) Yは、Asn、Cys、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなり、好ましくはGlnおよびSerからなる群より選択されるアミノ酸であるペプチドに関する。
【0030】
例えば参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するペプチドにより、ペプチドのアミノ酸配列が、アミノ酸配列が参照アミノ酸配列の100アミノ酸配列ごとに5箇所までの遺伝子変異を含んでよいことを除いて、参照配列と同等であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するペプチドを取得するために:参照配列中5%までのアミノ酸は削除され、または他のアミノ酸に置換されてよく、あるいは参照配列中、総アミノ酸の5%までのアミノ酸の数は、参照配列中に挿入されてよい。これらの参照配列の突然変異は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシル末端またはこれらの末端位置の間のどこかに起きてよく、参照配列または1つ以上の参照配列中の隣接群における個々のアミノ酸いずれかがちりばめられている
【0031】
さらに、本発明によるペプチドは、21 , 22, 23, 24, 26, 27, 28, 29, 30, 32, 33, 37, 42, 47, 49, 51 , 53, 57, 59, 63, 65, 75, 85, 87, 88, 92, 95, 105または115のような、しかし限定されない、20-25, 25-30, 30-35, 35-40, 40-45, 45- 50, 50-60, 60-70, 70-80, 80-90, 90-100、あるいは100-120アミノ酸の間のような、しかし限定されない20と120アミノ酸の間のアミノ酸を含んでよい。好ましい実施態様において、前記本発明によるペプチドは、20-50アミノ酸を含む。
【0032】
本発明において、部分アルゴリズムプログラムは、同一性を測定するために最も適している。(Smith-Watermanのような)部分アルゴリズムプログラムは、ある配列中のサブ配列を、第二の配列のサブ配列と比較し、サブ配列の結合を発見し、全体で最も高い類似性スコアをとるサブ配列のアラインメントを発見する。内部ギャップは、可能であれば、penalizedする。部分アルゴリズムは、単独のドメイン、または単に共通の結合部位を有する、2つの多ドメインタンパク質を比較するさいにうまくいく。
【0033】
同一性および類似性を測定する方法は、公的に利用可能なプログラムでコード化される。2つの配列の間の同一性および類似性を測定する好ましいコンピュータープログラムは、GCGプログラムパッケージ (Devereux, J et al (1994))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul, S.F. et al (1990))を含むがそれに限定されない。BLASTXプログラムは、NCBIおよび他のソース(BLAST Manual, Altschul, S.F. et al, Altschul, S.F. et al (1990))から公的に利用可能である。他の好ましい例は、Clustal W (http://www.ebi.ac.uk/clustalw/)である。各配列解析プログラムは、デフォルトスコア化マトリックスおよびデフォルトギャップペナルティを有している。一般に、分子生物学者は、使用するソフトウェアプログラムにより確立されたデフォルトのセッティングを使用することが期待されるであろう。
【0034】
本発明の人工ペプチドにおけるアミノ酸は、ペプチドの配列が完全であれば、さらに化学的、isometryまたは他のいずれかの方法で修飾されてよい。本発明の人工ペプチドのアミノ酸の修飾は、ペプチドの活性、安定性、生物biocompatibility 、または臨床パフォーマンスを上昇させ、あるいは毒性およびペプチドの対する逆作用を軽減させてもよい。化学修飾の例には、糖化およびメチル化が含まれるがそれに限定されない。アミノ酸はまた、DまたL型アミノ酸、あるいはSまたはR同位体のような立体異性体の形態の全ての異なる型であってもよい。本発明の人工ペプチドのアミノ酸をまた、その合成アナログと置換してもよい。合成アナログの使用は、例えばより安定で、分解しにくいペプチドをもたらす。非天然アミノ酸は、アルファ*およびアルファ二置換*アミノ酸、N-アルキルアミノ酸*、乳酸*、トリフルオロチロシン*のような天然アミノ酸のハロゲン化誘導体、p-Cl-フェニルアラニン*、p-Br-フェニルアラニン*、p-l-フェニルアラニン*、L-アリル-グリシン*、β-アラニン*、L-a-アミノ酪酸*、L-g-アミノ酪酸*、L-a-アミノイソ酪酸*、L-e-アミノカプロン酸#、7-アミノヘプタン酸*、L-メチオニンスルホン#*、L-ノルロイシン*、L-ノルバリン*、p-ニトロL-フェニルアラニン*、L-ヒドロキシプロリン#、L-チオプロリン*、4-メチルPhe*、ペンタメチルPhe*、L-Phe (4-アミノ)#、L-Tyr (メチル)*、L-Phe (4-イソプロピル)*、L-Tic (1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボキシル酸)*, L-ジアミノプロピオン酸#およびL-Phe (4-ベンジル)*を含む。本明細書で*の印は、誘導体の疎水性性質を示すために使用され、一方#の印は誘導体の親水性性質を示すために使用され、#*は両親媒性の特徴を示す。
【0035】
好ましくは、本発明の人工ペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含む。より好ましくは、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなる人工ペプチドに関する。
【0036】
上記同定される配列番号1は、ポリプロリン共通配列を含み、さらに疎水性(「X」)および極性(「Y」)アミノ酸を含む人工(合成)ペプチドである。この人工共通ペプチドは、生物系においてミネラル沈殿(生物ミネラル化)を誘導および/または刺激するペプチドを取得するための生物ミネラル化(骨、関節、エナメル質、象牙質、およびセメント質の形成)に関わり、組織中、および医学的人工装具デバイス上、表面上、溶液中などにおける構造に基づくリン酸カルシウムの形成を、臨床上、産業上、化学的または他の方法でもまた使用されてよい、タンパク質およびペプチドの領域間の配列類似性に基づいて構築された。人工ペプチドを構築するために使用されるタンパク質の配列は、I型およびII型コラーゲン(ヒト、マウス、及びラット)、アメロゲニン(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ブタ及びウシ)、エナメル芽細胞(ヒト、及びラット)、骨シアロタンパク質(ヒト、及びマウス)、エナメリン(ヒト、及びマウス)に対する配列を含む。本発明の人工ペプチドは、この目的にアミノ酸配列が最適化されているために、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激に特に適している。本発明の人工ペプチドの使用は、天然ペプチドに比較して長さが短いために有利であり、その合成を容易とし、本明細書で説明されるようにアミノ酸アナログの使用を可能にする。また、人工ペプチドの使用により、アミノ酸配列を改変して、ペプチドが、例えば金属表面に結合できるように、あるいはペプチドのアミノ酸配列の選択、あるいはN-および/またはC-末端タグの使用のように容易に生成できるようにすることが可能となる。
【0037】
それゆえ、本発明の一態様は、配列番号1に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激することができる人工ペプチドに関する。好ましくは、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激することができるそのような人工ペプチドは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含み、より好ましくは、そのような人工ペプチドは配列番号1に示すアミノ酸配列からなる。
【0038】
本発明の一実施態様は、Pro- X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y- Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-Y-Pro-Pro-X-Pro-Pro(配列番号2)の配列に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むより短い共通ペプチド配列に関し、ここでa) Proはプロリンであり;b) XはAla、Ile、Leu、Met、Phe、TrpおよびValからなり、好ましくはIle、Leu、ValおよびMetからなる群より選択されるアミノ酸であり;c) Yは、Asn、Cys、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなり、好ましくはSerおよびGlnからなる群より選択される。
【0039】
配列番号2は、配列番号1のアミノ酸47-50、53-66および70-76、すなわち上記配列番号1で下線を引いたアミノ酸の集合体により構築される。本発明の好ましい一実施態様は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含み、より好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列からなる、人工ペプチドに関する。他の好ましい実施態様は、配列番号2に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激することができる人工ペプチドに関する。他の好ましい実施態様は、配列番号2に示すアミノ酸配列を含み、さらにより好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列からなり、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激することができる人工ペプチドに関する。長さが短いために、配列番号2は合成生産に有利である。
【0040】
本発明はまた、本発明の共通配列に含まれる特定のアミノ酸配列を有する他の人工ペプチドにも関する。第一の態様において、そのような人工ペプチドはPLV PSY PLV PSY PLV PSY PYP PLPP(配列番号3)である。もう一つの態様において、そのような人工ペプチドはPLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLPP(配列番号4)である。これらの2つの配列は、最も保存された配列を表す本発明の2つの配列である。
【0041】
本発明の別の態様は、PLV PCC PLV PCC PLV PCC PCP PLPP(配列番号5)またはPMM PSY PMM PSY PMM PSY PYP PMPP(配列番号6)のアミノ酸配列を含む、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化誘導および/または刺激金属結合人工ペプチドに関する。これら2つのペプチドは、硫黄原子、例えばメチオニンおよびシステインを含むアミノ酸含量により、高い金属結合活性を有する。そのようなアミノ酸は、金属表面に直接相互作用してよい硫黄架橋を形成してよい。in vivoまたはin vitroにおける医学的人工装具デバイス表面のような、金属表面にペプチドを結合させることが望ましい場合、金属結合の特性は重要である。
【0042】
本発明の別の態様は、アミノ酸配列PLV PSS PLV PSS PLV PSS PSP PLPP(配列番号7)を含む骨形成刺激および/または誘導に最適化された人工ペプチドに関する。このペプチドは、複数のSer残基を含む。Serは、骨形成のシグナル分子としてよく知られている。配列番号7によるペプチドが消化され、処理され、および/または表面から解離される場合、Serが解離され、骨形成刺激物として作用すると考えられる。
【0043】
さらに別の好ましい態様は、アミノ酸配列PLV PSS PLV PCC PLV PCC PSP PLPP(配列番号8)を含む人工ペプチドに関する。このペプチドは金属表面への結合、生物ミネラル化の誘導、およびSerの解離に最適化されている。
【0044】
本発明のさらなる態様は、配列番号1から8の配列に81 , 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91 , 92, 93, 94, 95, 97, 98または99 %の同一性を有するような、配列番号1から8の配列に80-100%の同一性を有する人工ペプチドに関する。
【0045】
好ましい実施態様において、本明細書で開示される人工ペプチドは、それぞれ配列番号1から8からなる。
【0046】
本発明のペプチドは、アミノ酸Hisおよび/またはMetを含むN-および/またはC-末端タグをさらに含んでよい。Metは硫黄を含み、前に説明したように、金属表面への結合を容易にする。Hisは、例えばNiおよび他の金属に強い親和性を有する。それゆえこれらのタグの使用は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、金、外科用スチールまたはニッケルの金属表面、あるいは金属酸化水酸化物および/または金属水素化物表面などにペプチドが結合することを可能にする有利な効果を有する。これは、例えば金属表面に本発明のペプチドが結合する際、医学的人工装具デバイスの生物ミネラル化および/またオッセオインテグレーションを改善するために使用されるような際に、非常に重要である。N-および/またはC-末端タグはまた、当業者に周知であるように、生産されるペプチドの精製プロセスにおいて有用である。N-および/またはC-末端タグの使用により、完全にペプチドを暴露することが可能となる。すなわち、表面にペプチドを結合させるためにタグを使用し、ペプチドの残りは、例えば原子、分子、細胞および組織と自由に相互作用する。ペプチドの各末端に1つのタグの使用は、ペプチドの生産中有用であり、不完全ペプチド生成物から対象のペプチドを精製する間にカラムにペプチドの1つの末端を結合させ、一方対象の表面に結合させるためにもう1つの末端を使用してよい。結果的に、本発明の1つの好ましい実施態様は、本明細書に規定され、N-末端および/またはC-末端ヒスチジンタグをさらに含む人工ペプチドに関する。そのようなタグは、以前言及したように、メチオニンおよび/またはヒスチジン残基を含み、本発明の人工ペプチドに結合されていてよい。好ましい実施態様において、このタグは、3から5個、または5から10個の残基のように、3個以上の残基を含み、タグは、本発明の人工ペプチドに結合されるいずれかの量の残基を含み、本発明の人工ペプチドと一緒に安定な組成物を提供し、ネガティブな意味で人工ペプチドの二次構造に影響を及ぼさない。好ましくはこのヒスチジンタグは、5個のヒスチジン残基からなる。別の好ましい実施態様において、人工ペプチドは、N-末端および/またはC-末端ヒスチジンタグを含み、好ましくは5個のヒスチジン残基からなる。別の好ましい実施態様において、本発明のペプ
チドは、そのN-またはC-末端にメチオニンタグ、もう一方の末端にヒスチジンタグを含む。
【0047】
長さが短いために、天然タンパク質に比べて、本発明の人工ペプチドは、例えば合成生成または生物合成により生成するのが容易である。本発明の人工ペプチドを、化学合成による合成生産のような、既知のペプチド生産法により生産してよい。合成生産により、生産されたペプチドの安定性を改善するであろうアミノ酸アナログを使用することも可能となる。当業者は、アミノ酸配列の合成に利用可能な方法が何かを知っている。
【0048】
好ましくは、ペプチド生産法として、生物生産を使用してよい。生物生産とは、細胞培養または、微生物細胞、例えばバクテリア細胞中のような生物学的系においてアミノ酸配列を生産することを意味する。生物生産のために、特異的アミノ酸配列をコードする、対応する核酸配列を構築することが必要である。当業者は、合成される特異的アミノ酸配列が決定されれば、そのような核酸配列をいかに構築するか、ペプチドをいかに生産し、ペプチドを生産するために使用される系からペプチドをいかに精製するか知っている(例えば、Svensson J, Andersson C, Reseland JE, Lyngstadaas SP, Bulow L. Histidine tag fusion increase expression levels of active recombinant Amelogenin in Escherichia coli. Protein Expr Purif, 48; 134-41 (2006)参照)。
【0049】
本発明はまた、本明細書で規定される人工ペプチド、または本明細書で規定される2つ以上の人工ペプチドの組み合わせを含む、薬剤組成物にも関する。そのような薬剤組成物は、任意に薬剤として許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤もまた含む。本発明の薬剤組成物は、化粧用組成物、ならびに薬剤と化粧品の間のいわゆるグレー領域、すなわち薬用化粧品に属する組成物もまた包含する。
【0050】
薬剤組成物は、例えば
- delivery devices, implants;
- 送達デバイス、インプラント;
- 粉末、顆粒、粒状物、カプセル、アガロースまたはキトサンビーズ、ミクロスフェア、ナノ粒子
- スプレー、エアロゾル、吸入装置;
- ゲル、ヒドロゲル、ペースト、軟膏、クリーム、石鹸、練り歯磨き;
- 溶液、分散物、懸濁物、エマルション、混合物、ローション、うがい薬、シャンプー、浣腸剤;
- 例えば、第一の容器が、任意に他の活性薬剤物質、ならびに/あるいは薬剤として許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤と混合した本発明のペプチドを含み、
第二の容器が、使用可能な組成物を得るために、使用前に第一の容器に加えることが意図される適切な媒体を含む、
2個の別々の容器を含むキット
のような、例えば固体、半固体、または液体の形態であってよい。本発明のペプチドを含む組成物は、手術の間に使用するため、例えば、ゲル、フィルム、あるいはペーストまたはクリームを有するリンス溶液またはトリートメントの形態で局所塗布(例えば口腔中に)するために適していてよい。
【0051】
例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" and "Encyclopedia of Pharmaceutical Technology", edited by Swarbrick, J. & J. C. Boylan, Marcel Dekker, Inc., New York, 1988を参照して、前記組成物を、伝統的な薬務により配合してよい。本発明のペプチドを、例えば入れ歯、人工器官、インプラントに適用してよく、口腔、鼻腔、および膣腔のような体腔の適用してよい。
【0052】
さらに、歯/歯科分野における適用もまた非常に重要である。
【0053】
薬剤としてまたは化粧品として許容可能な賦形剤、担体、および/または希釈剤は、組成物を投与する個体に対して実質的に無害である物質である。そのような賦形剤、担体、および/または希釈剤は、通常国家健康機関により与えられる要求を満たす。例えばthe British Pharmacopoeia, the United States of America PharmacopoeiaおよびThe European Pharmacopoeiaのような公的薬局方は、薬剤として許容可能な賦形剤のための基準を設定する。
【0054】
薬剤として許容可能な賦形剤が、薬剤組成物中で使用するために適しているか否かは、一般にそのような種類の投与形態が選択されているかに依存する。本発明の使用のための異なる種類の組成物中において使用するための適切な薬剤として許容可能な賦形剤の例が、以下に与えられる。
【0055】
本発明の使用のための組成物中における薬剤として許容可能な賦形剤、およびその差異的な濃度の選択は、一般に予測できず、最終組成物の実験評価に基づいて決定される。しかし、医薬配合分野の当業者は、例えば"Remington's Pharmaceutical Sciences", 18th Edition, Mack Publishing Company, Easton, 1990に助言を見つけることができる。
【0056】
薬剤として許容可能な賦形剤は、溶媒、バッファー剤、保存剤、保湿剤、キレート化剤、抗酸化剤、安定化剤、乳化剤、懸濁剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、浸透促進剤、香料、および皮膚保護剤を含んでよい。
【0057】
溶媒の例は、例えばアルコール植物または海産油(例えば、アーモンド油、ヒマシ油、カカオバター、ココナッツ油、コーン油、綿実油、アマニ油、オリーブ油、パーム油、ピーナツ油、ケシ種油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、および茶種油のような食用油)、ミネラルオイル、脂肪油、液体パラフィン、ポリエチレングリコール、ポリピレングリコール、グリセロール、液体ポリアルキルシロキサン、ならびにそれらの混合物である。
【0058】
バッファー剤の例は、例えばクエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、水素リン酸、ジエチルアミンなどである。
【0059】
本発明の組成物における使用のための適切な保存剤の例は、メチル、エチル、プロピルp-ヒドロキシベンゾアート、ブチルパラベン、イソブチルパラベンのようなパラベン、カリウムソルベート、ソルビン酸、安息香酸、メチルベンゾエート、フェノキシエタノール、ブロノポール、ブロニドックス、MDMヒダントイン、ヨードプロピルブチルカルバメート、EDTA、ベンザルコニウムクロリド、およびベンジルアルコール、または保存剤の混合物である。
【0060】
保湿剤の例は、グリシン、プロピレングリコール、ソルビトール、乳酸、尿素およびその混合物である。
【0061】
キレート化剤の例は、ナトリウムEDTAおよびクエン酸である。
【0062】
抗酸化剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびその誘導体、トコフェロールおよびその誘導体、システインおよびその誘導体である。
【0063】
乳化剤の例は、天然ゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム;天然リン脂質、例えば大豆レシチン;ソルビタンモノオレイエート誘導体;羊毛脂;羊毛アルコール;ソルビタンエステル;モノグリセリド;脂肪アルコール;脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸のトリグリセリド);ならびにそれらの混合物である。
【0064】
懸濁剤の例は、例えばセルロースおよびセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カラギーナン、アカシアゴム、アラビアゴム、ならびにそれらの混合物である。
【0065】
ゲル基剤、増粘剤または傷からの滲出物から取ることができる成分の例は;液体パラフィン、ポリエチレン、脂肪油、コロイドシリカ、またはアルミニウム、亜鉛石鹸、グリセロール、ポリエチレングリコール、トラガカンス(tragacanth)、カルボキシビニルポリマー、マグネシウムアルミニウムシリケート、Carbopol(登録商標)、例えばスターチまたは、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、および他のセルロース誘導体のようなセルロース誘導体、水膨張性親水コロイド、カラギーナン、ヒアルロン酸(例えば任意に塩化ナトリウムを含むヒアルロン酸ゲル)、ならびにプロピレングリコールアルギネートを含むアルギネートである。
【0066】
本発明の組成物中に使用するためのゲルの他の例は、PEG(ポリエチレングリコール)、デキストランサルフェート、デキストロース、ヘパランサルフェート、ゼラチンなどのようなヒドロゲルを含む。
【0067】
軟膏基剤の例は、例えばビーワックス、パラフィン、セタノール、セチルパルミテート、植物油、脂肪酸のソルビタンエステル(Span)、ポリエチレングリコール、ならびに脂肪酸のソルビタンエステルとエチレンオキシドとの濃縮産物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレイエートである。
【0068】
疎水性または水性乳化軟膏基剤の例は、パラフィン、植物油、動物脂肪、合成グリセリド、ワックス、ラノリン、および液体ポリアルキルシロキサンである。
【0069】
親水性軟膏基剤の例は、固体マクロゴール(ポリエチレングリコール)である。
【0070】
軟膏基剤の他の例は、トリエタノールアミン石鹸、硫酸化脂肪アルコールおよびポリソルベートである。
【0071】
粉末成分の例は、アルギネート、コラーゲン、ラクトース、傷に塗布した際に(液体/傷滲出液を吸収し)ゲルを形成することができる粉末である。通常、大きく開いた傷に塗布することが意図される粉末は滅菌されていなければならず、存在する粒子は微小化されていなければならない
【0072】
他の賦形剤の例は、カルメロース、ナトリウムカルメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン、キサンタンゴム、ローカストビーンゴム、アカシアゴム、ゼラチン、カルボマー、ビタミンEのような乳化剤、グリセリルステアレート、セタニルグルコシド、コラーゲン、カラギーナン、ヒアルロン酸およびアルギン酸およびキトサンのようなポリマーである。
【0073】
適切な分散剤または湿潤剤は、例えば天然に存在するリン脂質、例えばレシチンまたは大豆レシチン;例えば脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、または脂肪酸由来の部分エステルを有するエチレンオキシドの濃縮生産物、あるいはヘキシトール無水物、例えばポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレイエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイエートである。
【0074】
適切な懸濁剤は、例えば天然に存在するゴム、例えばアカシアゴム、キサンタンゴム、またはトラガカントゴム;例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標)RC 591、メチルセルロース);例えばナトリウムアルギネートなどのようなアルギネートおよびキトサンである。
【0075】
本発明の医薬組成物における人工ペプチドの濃度は、当業者に容易に理解されるものであり、意図される組成物の用途に依存する。典型的には、医薬組成物における人工ペプチドの濃度は、0.01mg/mlから1mg/mlである。in vivoで被験者に適用される量は、典型的には、約10 ngcm2から0.1 mg/cm2であり、好ましくは約1μg/cm2である。
【0076】
一態様において、本発明は、本発明の人工ペプチドを含む表面に関する。任意に、この表面はまた、その上に蓄積する、カルシウムカーボネートおよび/またはカルシウムホスフェートのようなミネラル塩も含む。好ましい一実施態様において、この表面は、金属および/または金属酸化物表面、あるいは金属アロイおよび/またはその酸化物の表面である。好ましい一実施態様において、前記金属は、チタン、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、金、外科用スチールまたはニッケルである。好ましい別の実施態様において、前記金属酸化物は、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、またはジルコニウム酸化物である。さらに別の実施態様において、本発明の表面は、本明細書に開示される人工ペプチドを含む金属またはそのアロイの酸化物により少なくとも部分的に被覆されている。
【0077】
さらに別の好ましい実施態様において、前記表面は、金属またはそのアロイの酸化物により少なくとも部分的に被覆されており、本発明の人工ペプチドを含む。本発明の表面上に形成される水素化物層は、金属またはそのアロイの水素化物、あるいは金属またはそのアロイの異なる複数の水素化物の混合物のいずれかを含んでよい。本発明で水素化物層を形成するために使用してよい金属の例は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、またはタンタル、あるいはそれらのアロイである。チタンまたはそのアロイの表面である場合、改変外層の大部分、すなわち50%より多くが、好ましくはチタン水素化物で構築される。このチタン水素化物層はまた、少量の他の因子および/またはその水素化物も含んでよい。
【0078】
一実施態様において、本発明は、本発明の人工ペプチドを含む金属またはそのアロイの表面上の水素化物層を生産する方法に関する。これを、水素化物の層を有するペプチドを含む表面を被覆する、または表面を水素化物に変換することのいずれかにより実行してよい。そのような層を生産する好ましい一方法は、電気分解でインプラントを処理する方法である。金属水素化物はさらにWO 00/38753に記載されている。
【0079】
さらに別の好ましい実施態様において、前記表面は、チタン水酸化物、ジルコニウム水酸化物、タンタル水酸化物、ハフニウム水酸化物、ニオビウムならびにクロム水酸化物および/またはバナジウム水酸化物のような金属水酸化物、あるいは、チタン、ジルコニウム、タンタル、ハフニウム、ニオビウムまたはクロムのような、金属のアロイの水酸化物、あるいは、その表面に本発明の人工ペプチドを含む、本明細書に開示される他のいずれかの金属より選択される、対応する水酸化金属の層を含む。
【0080】
さらに本発明は、本発明の人工ペプチドを含み、本明細書に開示される金属またはそのアロイの水酸化物層で少なくとも部分的に被覆される表面を調製する方法に関し、前記方法は金属物質の表面部分を電解処理にかけ、水酸化物質の層を形成する工程を含む。金属水酸化物は、さらにWO 03/08695に記載されている。
【0081】
本発明の人工ペプチドを含む表面上の金属またはそのアロイの表面の水酸化物、酸化物、および/または水素化物層の形成は、電解処理の間使用される条件に依存することに注意しなければならない。一般に、本発明の人工ペプチドを取り込む金属またはそのアロイ上の水酸化物、酸化物、および/または水素化物層を形成するために、本明細書に開示されるように電解処理を実行することができる。しかし、酸性条件では主に水素化物層が、本発明のペプチドを含む表面に形成され、塩基性条件では主に水酸化物および/または酸化物層が、本発明のペプチドを含む表面に形成されるであろう。
【0082】
電解のpHがペプチドのpIよりも低いとき、ペプチドの総電荷量はプラスであろう。電解セル中で、プラス電荷ペプチドは、金属またはそのアロイの水素化物層が形成されるであろうマイナス電極に向かって移動するであろう。pHがペプチドのpIよりも高ければ、ペプチドはマイナスに荷電され、金属またはそのアロイの表面上の水酸化物および/または酸化物層を形成するプラス電極に向かって移動するであろう。これは、本発明のペプチドは、酸性および塩基性環境の両方、すなわち、金属またはそのアロイの表面の水素化、水酸化および/または酸化の間に使用してよいことを示す。
【0083】
さらに別の好ましい実施態様において、前記表面は、ヒドロキシルアパタイト、アラゴナイト、生物ガラス、ガラス、ポリウレタンまたはポリマー性医学的人工装具デバイス表面である。別の好ましい実施態様において、前記表面は、上記規定した生物学的表面である。好ましい一実施態様において、本発明の人工ペプチドがその上に提供される表面は、金属、金属酸化物、またはポリマー性医学的人工装具デバイス表面のような、医学的人工装具デバイス表面である。上述のように、そのような医学的人工装具デバイス表面は、本発明の人工ペプチド、あるいは任意に人工ペプチドおよびミネラル塩のいずれかを含んでよい。そのような医学的人工装具デバイス表面は、被験者に移植された際に、医学的人工装具デバイス表面上にミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激すると考えられる。それにより、医学的人工装具デバイスのオッセオインテグレーションを上昇させ、被験者へのデバイスの移植の結果をそれにより改善してよい。移植の前に医学的人工装具デバイスに本発明のペプチドを接着させ、上記に例示されたように、その上で細胞を増殖させることもでき、その後被験者中の医学的人工装具デバイスを移植する前にその細胞を生物ミネラル化してよい。この場合、生物ミネラル化構造を、医学的人工装具デバイスの表面上で調製してよい。生物学的に沈殿させるミネラルは、無機的に沈殿させるミネラルと異なる構造および異なる化学特性を有し、それゆえ生物系で機能するためのよりよい潜在力を有する。特定の理論に制限されることなく、生物系における本発明の表面の、この改善された機能性は、表面の電荷、ならびにそれらの構造においてしばしば並ぶミネラル化表面を形成する結晶によるものであり、そのため合成構造よりもより生物に適合する環境を提供する。前記細胞は、任意に移植前に除去される。そうして「生物パターン化」、「生物模倣性」または「生物鋳型性」表面を調製してよい。
【0084】
上記規定されるとおり、本明細書における医学的人工装具デバイスは、脊椎動物、特に哺乳類、特にヒトの体に移植することを意図されたいずれかのデバイスに関する。本明細書における医学的人工装具デバイスは、生体構造を交換、および/または体のいずれかの機能を回復させるために使用してよい。そのようなデバイスの非限定的な例は、大腿骨臀部関節;大腿頭部;寛骨臼カップ;基部、ウェッジ、人工挿入物を含む肘;大腿骨および脛骨成分、基部、ウェッジ、人工挿入物または膝蓋骨成分を含む膝;基部および頭部を含む肩;手首;足首;指;つま先;脊椎;脊椎円板;人工関節;歯インプラント;オシキュロプラスティ(ossiculoplasty)インプラント;砧骨、槌骨、あぶみ骨、砧あぶみ骨、槌砧骨、槌砧あぶみ骨を含む中耳インプラント;蝸牛インプラント;爪、ねじ、ステープルおよびプレートのような整形外科固定デバイス;ペースメーカー;カテーテル;血管;補聴器を保持するためのインプラント;外部固定のためのインプラント;さらにまた子宮内デバイス(IUD);ならびに蝸牛内または頭蓋内電子デバイスのような生物電子デバイスのような生体構造を交換、および/または体のいずれかの機能を回復させる医学的デバイスである。別の態様では、本発明は、本発明の人工ペプチドを含む細胞培養物または組織に関する。任意にこの細胞培養物または組織はまた、カルシウムカーボネート、および/またはカルシウムホスフェートのような、そこに蓄積するミネラル塩を含む。前記細胞培養物は、例えば骨芽細胞、破骨細胞、線維芽細胞、胚性および間葉性幹細胞のような幹細胞、あるいは前駆細胞、全能細胞、複数能(pluripotent)細胞および多能(multipotent)細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞または靭帯細胞を含んでよい。前記ペプチドおよび/またはミネラル塩は、前記細胞培養物および/または組織に、生物ミネラル化のための環境がin vitroまたはin vivoのいずれであるかに応じて、いずれかの生物適応溶液および/または天然溶液中で存在する。
【0085】
本発明の人工ペプチドにより、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化が必要とされる多くの状況における使用が見出された。それゆえ本発明はまた、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激のための、本明細書で規定される人工ペプチド、または薬剤組成物の使用に関する。本発明の人工ペプチドを、これらの目的のみのため、または本発明の2つ以上のペプチドを組み合わせて使用してよい。本発明の人工ペプチドをまた、アメロゲニンのような天然タンパク質および/またはペプチドと一緒に使用して、ミネラル化および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激してよい。そして本発明の一実施態様は、アメロゲニン、フィブリン、フィブリノーゲン、ラミニン、コラーゲン、多糖、セルロースなどのような、ただしそれに限定されない、生物学的ポリマーを一緒に有する、本発明の人工ペプチドの薬剤組成物のような組成物に関する。
【0086】
本発明の一態様は、例えば細胞培養物、組織中において、表面上および/または溶液中でのミネラル化を誘導および/または刺激するための、本発明の人工ペプチドの使用に関する。別の態様では、本発明は、上記のような本発明の人工ペプチドを含む、そのような細胞培養物、組織、表面および/または溶液に関する。そのような細胞培養物、組織、表面および/または溶液は、そうしてミネラル化および/または生物ミネラル化誘導および/または刺激活性を有するであろう。そのような細胞培養物、組織、表面および/または溶液にミネラル塩を供給することにより、ミネラル化構造が取得されるであろう。そして、in vitroの目的のためにミネラル塩が加えられ、そのミネラル塩は生物中では天然に利用可能な塩のためにin vivoでは必要がない。
【0087】
上述のとおり、本発明の人工ペプチドを使用して、表面上のミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を誘導してよい。そのような表面の好ましい例は、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、金、外科用スチールまたはニッケル表面、あるいは本明細書に開示される他のいずれかの金属、ならびに金属酸化水酸化物および/または水素化物表面のような金属表面である。金属酸化物表面の例は、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、またはジルコニウム酸化物を含むが、それに限定されない。他の好ましい表面は、ヒドロキシアパタイト、アラゴナイト、生物ガラス、ガラス、ポリウレタンおよびポリマー性医学的人工装具デバイス表面を含む。好ましい表面の例はまた、金属、金属酸化物、またはポリマー性医学的人工装具デバイス表面のような、医学的人工装具デバイス表面も含む。また、特に好ましい表面は、歯根表面、歯エナメル表面、骨表面、グラフト表面、傷表面などのような全ての種類の生物学的表面も含む。
【0088】
本発明の他の態様において、本発明の人工ペプチドを、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、線維芽細胞、胚性および間葉性幹細胞のような幹細胞、あるいは前駆細胞、全能細胞、複数能(pluripotent)細胞および多能(multipotent)細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞または靭帯細胞のような、移植のための細胞を含む組織を成長させるための細胞培養物のミネラル化を誘導および/または刺激ために使用してよい。また上記例示されたミネラル塩を供給することによっても、増殖させる組織を移植前にミネラル化してよい。この目的のために、本発明の人工ペプチドを、細胞培養培地中および/または細胞培養プレートに接着させて供給してよい。
【0089】
本発明の表面の他の例は、分離カラム表面である。そのような表面を、血液からミネラルおよび毒性金属を分離するために、本発明の人工ペプチドと一緒に使用してよい。そのような表面をまた、注入液のような液体からカルシウムまたは他のミネラルを沈殿するために使用してよい。
【0090】
本発明の別の態様では、ミネラル化および/または生物ミネラル化を、本発明の人工ペプチドを含む表面の存在下で、誘導および/または刺激してよい。これは、ミネラル化および/または生物ミネラル化の誘導および/または刺激が、表面それ自体のみではなく、表面の近辺でもまた誘導されることに関する。
【0091】
本発明はまた、
b) ミネラル化される表面を供給する工程;
c) 本発明の人工ペプチドを供給する工程;
d) 前記ペプチドを前記表面に接触させ、前記表面上に前記ペプチドを供給する工程
を含むにも関する。この方法はまたさらに、任意にカルシウムホスフェート、および/またはカルシウムカーボネートのようなミネラル塩を含む溶液中で前記ペプチドを前記表面に浸潤させる工程も含む。本発明の好ましい表面は、本明細書中に記載されている。
【0092】
本発明によれば、人工ペプチドを、骨、関節、セメント質、および/または歯の組織の形成および/または再生をin vivoで誘導するために使用してよい。
【0093】
好ましい一実施態様において、上記方法の工程c)を、電流を使用して実行する。この場合、好ましくは、ペプチドを含む電解液のpHは、ペプチドのpIよりも低く、電流は20V以下であり、電荷濃度は1平方センチメートルあたり0.1mAから1000 mAである。好ましくは、温度は室温からセ氏60度の範囲である。pHは、いずれかの酸、好ましくは酢酸または他の有機酸(酒石酸、マレイン酸、シュウ酸など)で調節してよいが、HCl、HFおよびH3PO4を使用することもまた可能である。電解液は好ましくは0.005Mから1.0Mの塩、好ましくは塩を含むカルシウムを含むが、NaClまたは他の塩を使用することもまた可能である。
【0094】
本発明はまた、被験者中における医学的人工装具デバイス上または周囲の組織中のような、医学的人工装具デバイスの存在下で生物ミネラル化をin vivoで誘導および/または刺激し、
a) 上記の方法により生産される医学的人工装具デバイス表面を誘導および/または刺激するミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を供給する工程;
b) 前記被験者に前記医学的人工装具デバイスを移植する工程
を含む方法に関する。
【0095】
本発明のペプチドを、医学的人工装具デバイスの生物ミネラル化を誘導するために使用する場合、異なる戦略が使用されてよい。選択される戦略と独立に、本明細書で記載されるように、最初の工程は常に前記ペプチドで医学的人工装具デバイスを被覆する。その後次の工程で、前記のように、in vitroの目的のため少なくとも1つのミネラル塩を含む溶液中に医学的人工装具デバイスを浸潤してよい。それにより、医学的人工装具デバイスの表面上にミネラルが蓄積し、ミネラル化表面を提供する。その後医学的人工装具デバイスを被験者に移植し、ここで人工ペプチドおよび表面の核生成部位により、さらにin vivoでミネラル蓄積が助長される。別のアプローチでは、医学的人工装具デバイスを最初上述のペプチドで被覆する。その後医学的人工装具デバイスを被験者に移植し、ここでペプチドにより医学的人工装具デバイス表面のミネラル蓄積が助長される。
【0096】
当業者に既知のいずれかの適切な方法を、本発明のペプチドを表面に対して接着するために使用してよい。ペプチドを接着する好ましい方法の例は、例えば、チタンインプラントの表面にペプチドを接着するための塩化トレシルの使用が記載されているHayakawa et al (Hayakawa, T., Yoshinari, M., and Nemoto K. Direct attachment of fibronectin to tresyl chloride-activated titanium. J Biomed Mater Res A, 2003, 67(2): 684-8)の文献に記載されている。この方法により、表面からペプチドを限定的に解離し、実験セクションの実施例5でこの方法が使用される。本発明のペプチドを表面に対して接着するための他の好ましい方法は、マイナス荷電カルボキシル基を介してチタン表面に接着するペプチドの天然特性の使用を開示する、Imamura et al. (Imamura, K., Kawasaki, Y., Nagayasu, T., Sakiyama, T., and Nakanishi, K.Adsorption characteristics of oligopeptides composed of acidic and basic amino acids on titanium surface.J Biosci Bioeng, 2007, 103 (1): 7-12)の文献に記載されている。本発明のペプチドを表面に対して接着するためこの法は、実験セクションの実施例6に記載されており、インプラントの周辺の組織および/または細胞へのペプチドの受動的吸着および解離を提供する。上述のとおり、本発明のペプチドをまた、アミノ酸Hisおよび/またはMetを含むN-および/またはC-末端タグを使用することにより表面に接着させてよい。
【0097】
本発明のペプチドを有するインプラント上および/または周辺で骨が形成されることを調査するための複数の方法が、当業者に利用可能である。
One way to detect the level of osteoblastic cell activity in a tissue with an implant is to detect the levels of the transcriptional factor runx2/Cbfa-1 , which regulates the expression of bone extracellular matrix protein genes that encode for bone sialoprotein, osteocalcin and collage type I (Lian et al., Current Pharmaceutical Design, 2003, 9, 2677-2685).
インプラントを有する組織中の骨芽細胞活性レベルを検出する一方法は、転写因子runx2/Cbfa-1のレベルを検出することであり、これらの転写因子は、骨シアロタンパク質、オステオカルシンおよびI型コラーゲンの発現を制御する。TRAP(酒石酸耐性酸ホスファターゼ:Tartrate-Resistant Acid Phosphatase)発現もまた使用して、組織中の骨芽細胞による骨吸収によって研究してよく、TRAP発現の減少は、骨吸収の減少の指標となる。そして、TRAP発現プロファイルにより骨-インプラント界面における分化骨芽細胞の存在を示すことができる(Minkin et al., "Role of the osteoclast at the bone-implant interface" Adv Dent Res 13:49- 56, June, 1999)。
【0098】
LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)活性を本発明の文脈で使用して、本発明のペプチドとのインプラントの生物適応性を調査してよく、活性の現象は、生物適応性の改善を示す。LDH活性は傷液体中に存在し、炎症骨組織から放出され、骨-インプラント界面における組織壊死のマーカーとして使用することができる(Michael Messieh, "Synovial Fluid levels of Lactate Dehydrogenase in Patients with Total Knee Arthroplasty, The Journal of Arthroplasty Vol. 11 No.4, 1996; Michael Messieh, Levels of Lactate Dehydrogenase in Osteoarthritic and Failed Total Knee Joints, The Journal of Arthroplasty Vol. 11 No.3, 1996)。
【0099】
I 他の態様において、本発明は本明細書に開示される人工ペプチドまたは人工ペプチドを含む薬剤組成物を、必要がある被験者に投与することを含む生物ミネラル化のin vivoにおける誘導および/または刺激の方法に関する。これを達成するために、単独でまたは本明細書に開示される薬剤組成物と組み合わせて、対象組織に本発明の人工ペプチドを投与する。前記ペプチドを、全身性および/または局所注射および/または灌流ような、意図される使用に依存するいずれかの適切な方法で投与してよい。本発明のペプチドを組織に投与する場合、生物ミネラル化と、さらに骨形成を誘導してよい。本発明の文脈における対照組織の例は、骨、軟骨、セメント組織および歯を含む。骨折に至るであろう状態の例は、骨切除、例えば外傷、腫瘍、嚢胞、ならびに、歯周炎、インプラント周辺炎、または骨炎のような感染または炎症を含むがそれに限定されない。本発明のペプチドを、そのような状態に罹患し、投与が必要な被験者に投与してよい。好ましくは、前記ペプチドを、任意に薬剤として許容しうる担体とともに直接組織に適用してよい。本発明の人工ペプチドをまた、ミネラル沈殿を誘導するために、in vitroで組織または細胞培養物に適用してもよい。in vivoとin vitroの両方の状況において、本発明のペプチドが投与する対象とする細胞の例は、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、線維芽細胞、胚性および間葉性幹細胞のような幹細胞、あるいは前駆細胞、全能細胞、複数能細胞および多能細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞または靭帯細胞である。
【0100】
理論に制限されることを意図しないが、本発明のペプチドが、カルシウムホスフェートの沈殿の開始、および/または破骨細胞、または骨芽細胞のような骨構造の形成に関わる細胞の刺激により骨形成を誘導することが予想されてよい。発明者により実行される実験により、本発明の共通配列を有するペプチドがカルシウムに結合することが示された。また、実験により、本発明の共通配列が、生物ミネラル化プロセスに関わるレセプターに結合してよいことが示された。
【0101】
本発明のペプチドおよび/またはそのようなペプチドを含む薬剤組成物を、ペプチドが投与される組織に依存したいずれかの適切な経路、例えば局所(皮膚)、経口、経頬、経鼻、経耳、直腸または経腟投与により、あるいは、例えば歯根、歯根腔または骨折のような体腔に投与することにより、必要な被験者に投与してよい。さらに、組成物を、手術に関連して、例えば体内における切除に関連して投与するために調整してよい。本発明のペプチドをまた、局所注射を介して、ゲル中における適用により、または、医学的人工装具デバイス、例えばグラフト、足場(scaffold)またはバイオガラス材料のような医学的デバイスを介して、投与してもよい。前記ペプチドを、アルギネートまたはキトサン(徐放)ビーズ、(フッ素とともにエナメル質の再ミネラル化を可能にする)練り歯磨き、(カルシウムを有し、髪に強化および/または濃化組成物を供給する)シャンプー中、歯充填材料(成分歯の先端部を治療する骨の誘導のための歯根充填材料と組み合わせて)中に投与することもまた可能である。本発明のペプチドを含む薬剤組成物を、例えば裂け目、歯周損傷、歯槽抽出(extraction alveolas)または洞吊り上げ(sinus lift)手順に、局所投与する場合、この場合の骨治療を本発明のペプチドにより改善および/または加速してよい。前記ペプチドはおそらく、骨細胞の分化および成熟を含む骨のさらなる形成のための「種」として機能するミネラル蓄積物を誘導することにより作用する。
【0102】
骨粗鬆症を治療する投与のために、前記ペプチドを、カプセル化してよく、ならびに咀嚼による経口で、吸入により鼻腔または肺に、血中、脊髄(脊髄損傷)中、(軟骨損傷、または関節表面に対する分解変換を治療するために)関節中への注射により、あるいは腹腔内に、徐放性薬剤として送達されてよい。
【0103】
別の態様において、本発明は、医薬として使用するための本明細書で規定される人工ペプチドに関する。特に本発明は、生物ミネラル化を誘導するための医薬を調製するための人工ペプチドおよび/または薬剤組成物の使用に関する。特に本発明は、骨の形成および/または再生のための医薬を調製するための人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用にもまた関する。特定の実施態様において、本発明は、骨、軟骨、セメント質および/または歯組織の形成および/または再生のための医薬を調製するための人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用にもまた関する。本発明のペプチドおよび/またはこれらのペプチドを含む薬剤組成物を、骨粗鬆症、骨折、歯周炎、外傷、骨代謝症候群、歯髄炎(pulitis)、歯先端損傷などを治療する医薬を調製するために使用してもよい。
【0104】
本発明のペプチドおよび/またはこれらのペプチドを含む薬剤組成物を、骨折を治療する医薬を調製するために使用してもよい。
【0105】
一態様において、本発明は、生物ミネラル化を誘導するために使用する、本明細書で開示される人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用に関する。例えば、本発明の人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物を、骨、軟骨、セメント質および/または歯組織の形成および/または再生のための医薬を調製するために使用してよい。
【0106】
別の態様において、本発明は、骨の形成および/または再生に使用するための、本明細書で開示される人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物に関する。
【0107】
さらに別の態様において、本発明は、骨折の治療に使用するための、本明細書で開示される人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物に関する。
【0108】
本発明の人工ペプチドをまた、アメロゲニンのような、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化および/または骨形成を誘導する天然ペプチドと組み合わせて使用してよい。生物ミネラル化を含むミネラル沈殿を誘導および/または刺激するために、2つ以上の本発明のペプチドを組み合わせて使用することもまた可能である。
【0109】
本発明の人工ペプチドをまた、2つの生物ミネラル化構造を融合するため、または生物ミネラル化構造と他の物質を融合するために使用してもよい。そのような物質の例は、チタン、スチール、バイオガラス、カルシウムホスフェート、アパタイトなどのような移植可能な生物材料を含む。他の例は、カラム材料、フィルター材料などを含む。
【実施例】
【0110】
実験セクション
実施例1
チタン表面における、ペプチドベースのミネラル誘導被覆
直径6.25 mmのコイン型インプラント8個を、チタン電極に結合させ、1.0 M NaOHを使用してpH 8.0に調整した0.5 M NaCl、およびカルシウムホスフェート結晶の核形成を刺激するよう設計された合成ポリプロリンペプチドを含む無菌電解液中に浸した。前記ペプチドは、pIが 5.82であり、以下の配列:PLV PSY PLV PSY PLV PSY PYP PLPP (配列番号3)を有し、最終濃度0.01 mg/mlで電解液に適用した。電極を外部電源のプラス電極に結合させ、100 mAで10ボルトの電流を、セ氏40度の温度で8時間加えた。電解プロセスにより、灰色がかった沈殿として見ることができる、酸化チタン表面上の薄いペプチド被覆が生じた。チタンを被覆した後、標本を滅菌水で洗浄し、続けて空気乾燥させることができる無菌ガラス容器に入れた。同一チタン標本8個を同一に処理し、電解質にペプチドを加えない例外の試験標本を対照として作成した。乾燥後、チタン標本(ペプチド被覆および対照)をセ氏50度の飽和カルシウムホスフェート溶液50mlに浸した。前記溶液をその後室温に冷却し、セ氏25度で48時間インキュベートした。前記チタン標本をその後溶液から除去し、簡単に滅菌水で洗浄し、デシケーター中で空気乾燥させた。乾燥しているときに、その表面に存在するミネラル沈殿部位の数および性質を、定量的および定性的に評価するために前記インプラントを走査電子顕微鏡(SEM)により直接解析した。表面上のミネラル形成単位(mfu)の数は、実験の間表面上に存在するミネラル核形成部位の数に直接対応する。
【0111】
結果(表1)により、合成ポリプロリンペプチドで被覆した表面を有するチタン標本が、有意に(p<0.01)増加したミネラル濃縮部位を有することが示される。蓄積ミネラルは、高含量のカルシウムおよびリンを有しており(SEM-EDXによる要素解析)、蓄積物が全てカルシウムホスフェートであることを示している。これは、本明細書で使用される合成ペプチドがチタン表面における骨ミネラル蓄積の形成によい影響を与えることを強く示している。
【0112】
【表1】

【0113】
実施例2:医療チタンインプラント表面におけるミネラル沈殿を促進する合成ポリプロリンペプチド被覆
配列PLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLPP (配列番号4)および5.55のpIを有し、ミネラル形成の生物学的核として潜在的に作用する合成ポリプロリンペプチドの層を、チタンからなる医療インプラントを被覆するために使用した。前記ペプチドを、流電セルを使用して約1平方センチメートルの総表面領域を有する8個の無菌歯インプラント上に被覆した。使用される電解液は、無菌水中でHClによりpH 2に調整されたpHを有する1 M NaClであり、合成ポリプロリンの開始濃度は電解液1mlあたり0.1 mgであった。電流濃度1 mA/cm2で10ボルトの電圧を使用した。このpHで、ポリプロリンペプチドはマイナスに荷電し、インプラントを接着させたよう電極に向かって移動するであろう。前記プロセスを周辺温度で実行した。電解を、4時間進行させ、その後チタンインプラントを流電セルから除去し、無菌水で洗浄し、デシケーター中で空気乾燥させた。同一の設定であるがポリプロリンペプチドを有さない8個の対照インプラントを作製した。乾燥後、チタンインプラント(ペプチド被覆および対照)を、セ氏50度の飽和カルシウムホスフェート溶液50mlに浸した。前記溶液をその後室温に冷却し、セ氏25度で48時間インキュベートした。前記チタン標本をその後溶液から除去し、簡単に滅菌水で洗浄し、デシケーター中で空気乾燥させた。乾燥しているときに、その表面に存在するミネラル沈殿部位の数および性質を、定量的および定性的に評価するために前記インプラントを走査電子顕微鏡(SEM)により直接解析した。表面上のミネラル形成単位(mfu)の数は、実験の間表面上に存在するミネラル核形成部位の数に直接対応する。
【0114】
結果(表1)により、合成ポリプロリンペプチドで被覆した表面を有するチタンインプラントが、有意に(p<0.01)増加したミネラル濃縮部位を有することが示される。蓄積ミネラルは、高含量のカルシウムおよびリンを有しており(SEM-EDXによる要素解析)、蓄積物が全てカルシウムホスフェートであることを示している。表面上における骨ミネラル(カルシウムホスフェート)の核形成および蓄積を誘導および促進する能力を有する金属インプラント表面は、他のインプラントよりも臨床上よりよいパフォーマンスを示すと見られる。インプラント表面上への骨ミネラル蓄積速度が上昇することは、インプラントのオッセオインテグレーションを加速し、骨組織周辺の治療を刺激すると考えられる。適切なオッセオインテグレーションは、整形外科および歯インプラント治療の臨床上の結果が成功していることの証明とみなされる。
【0115】
【表2】

【0116】
実施例3:表面における共通ペプチドの電解蓄積により改善される生物適合性を有するチタンインプラントの試験
直径6.25 mmのコイン型インプラント8個を、チタン電極に結合させ、1.0 M NaOHを使用してpH 8.0に調整した0.5 M NaCl、および本発明の人工ペプチド0.1 mg/ml(pI<8.0、ペプチドは、pHが分子のpIよりも高い場合、全体でマイナスの電荷を有する両性電解質である)を含有する無菌電解液中に浸した。1mA/cm2の電荷濃度を使用して、外部電源のプラス電極に電極を結合させた。電解プロセスにより、インプラント表面上に共通ペプチドを含むチタン酸化物の薄い層が生産される。前記方法は、室温で2時間継続される。電解後、前記インプラントは滅菌水中で洗浄され、その後空気乾燥する滅菌ガラス容器中に入れられる。対照として、8個の並行インプラントを同様であるが共通ペプチドを有さない電解液中で処理する。
【0117】
共通ペプチド被覆表面を有するインプラント(n=8)および対照(n=8)を、ウサギ(New Zealand White)の頚骨中の測定する皮質骨欠損中に設置する。各インプラントの下の骨髄中の小さな中央穿孔を作成し、インプラント表面に骨形成原細胞が移動できるようにする。使用する方法は全て、チタンインプラント表面に対する骨接着の試験(Ronold, H.J. and Ellingsen, J. E. The use of a coin shaped implant for direct in situ measurement of attachment strength for osseointegrating biomaterial surfaces. Biomaterials 23;2201-2209 (2002))に対して確立された、標準かつ有効モデルによる。各ウサギは、頚骨それぞれに2個、計4個のインプラントを受け取る。試験および対照インプラントの部位は、ランダム化され、操作者には知らされていない。移植6週間後、ウサギを屠殺し、インプラントを接着した頚骨を抽出する。抽出した頚骨を特に設計された治具中で固定し、インプラントと骨の間の結合の強度を測定する、引っ張り測定法(calibrated pull-out procedure)を使用して、インプラントを分離する。インプラントを分離するために必要な力をニュートン(N)単位で記録する。
【0118】
結果は、共通ペプチドで被覆される表面を有するチタンインプラントは、治療6週間後、被覆しない対照より強力に皮質骨に接着したことを示した。この結果は、早期の骨接着が骨治療時間を減少させる兆候であるために、臨床上重要であろう。これは、整形外科および歯のインプラントにおける「早期負荷」戦略の臨床上の結果が成功するために重要である。
【0119】
実施例4:共通ペプチドを含有する骨誘導チタンインプラントの調製
直径6.25 mmのコイン型機械加工インプラント8個を、チタン電極に結合させ、1.0 M HClを使用してpH 5.0に調整した0.5M NaCl、および本発明の人工ペプチド0.01mg/ml(pI>5.0、ペプチドは、pHが分子のpIよりも低い場合、全体でプラスの電荷を有する両性電解質である)を含有する無菌電解液中に浸した。1mA/cm2の総電荷濃度を使用して、外部電源のマイナス電極に電極を結合させた。前記方法は、セ氏50度でで1時間継続される。電解プロセスにより、共通ペプチドを含む薄い被覆を有するインプラント表面が生産される。電解後、前記インプラントは滅菌水中で洗浄され、その後空気乾燥する滅菌ガラス容器中に入れられる。8個のインプラントを同様であるが共通ペプチドを有さない中で処理し、対照として含まれる。
【0120】
共通ペプチド修飾表面を有するチタンインプラント(n=8)および対照(n=8)を、ウサギ(New Zealand White)の頚骨中の測定する皮質骨欠損中に設置する。各インプラントの下の骨髄中の小さな中央穿孔を作成し、インプラント表面に骨形成原細胞が移動できるようにする。使用する方法は全て、チタンインプラント表面に対する骨接着の試験(Ronold, H.J. and Ellingsen, J. E. The use of a coin shaped implant for direct in situ measurement of attachment strength for osseointegrating biomaterial surfaces. Biomaterials 23;2201-2209 (2002))に対して確立された、標準かつ有効モデルによる。各ウサギは、頚骨それぞれに2個、計4個のインプラントを受け取る。試験および対照インプラントの部位は、ランダム化され、操作者には知らされていない。移植4週間後、ウサギを屠殺し、インプラントを接着した頚骨を抽出する。抽出した頚骨を特に設計された治具中で固定し、インプラントと骨の間の結合の強度を測定する、引っ張り測定法(calibrated pull-out procedure)を使用して、インプラントを分離する。インプラントを分離するために必要な力をニュートン(N)単位で記録する。
【0121】
結果は、共通ペプチドの電解取り込みにより修飾される表面を有するチタンインプラントは、治療6週間後、被覆しない対照より強力に皮質骨に接着したことを示した。この結果は、早期の骨接着が骨治療時間を減少させる兆候であるために、臨床上重要であろう。これは、整形外科および歯のインプラントにおける「早期負荷」戦略の臨床上の結果が成功するために重要である。
【0122】
実施例5:ペプチド:PLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLP P (配列番号4)で実行される実験
1.材料と方法
1.1 チタンコイン
直径6.25 mm、高さ1.95 mmの市販純粋(cp)機械処理チタンインプラントを、使用前に洗浄し、無菌化した。簡単には、インプラントを、脱イオン水を含むガラスビーカー中で30秒間一緒に洗浄し、その後70%エタノールで30秒間、その後脱イオン水中40°Cで5分間、超音波洗浄槽で洗浄した。前記インプラントをその後、ウォーターバス中40°Cで10分間、40% NaOH溶液中に設置し、脱イオン水中で5分間、超音波洗浄し、その後pHが6に達するまで脱イオン水で洗浄した。その後、前記インプラントを脱イオン水中50°Cで5分間超音波洗浄し、50°Cで10分間50% HNO3溶液中に設置し、脱イオン水中でさらに5分間超音波洗浄した。前記インプラントをpH=6に達するまで脱イオン水で洗浄し、70%エタノール中で保存した。使用前に、前記コインを水で洗浄し、エタノールで洗浄し、室温で5分間超音波洗浄し、脱イオン水で洗浄した。チタンコインをその後121 °Cで15分間オートクレーブにより滅菌した。
【0123】
1.2 ペプチド溶液の調製
前記ペプチド(PLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLP P)(配列番号4)を、20 mg/mlの濃度でpH=7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解させた。この溶液をさらに、最終濃度0.1 mg/mlとなるようPBS中に溶解させた。
【0124】
1.3 塩化トレシルを有するチタンインプラントの活性化およびペプチドによる被覆
機械処理チタンインプラントの表面を、最初10 μlの塩化トレシル(塩化2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル)で被覆し、37°Cで2日間インキュベートした。その後、トレシル化チタンインプラントを、水、水‐アセトン(50:50)、アセトンで洗浄し、デシケーター中で乾燥させた。
【0125】
ペプチド溶液(10 μl, 0.1 mg/ml)をチタンインプラントの表面に適用し、37°Cで24時間インキュベートし、その後水で洗浄した。最後に、インプラントをデシケーター中で乾燥させ、包装し4 °Cで保存した。
【0126】
対照インプラントを塩化トレシルで活性化させたが、その後ペプチドを添加しなかった。塩化トレシルを有するチタンインプラントにペプチドを結合させるために使用される方法は、(Hayakawa et al, 2003)より調整した。
【0127】
1.4 動物試験
6ヶ月齢で3.0kgから3.5 kgの体重である、6匹のNew Zealand Whiteウサギのメスを、この試験(ESF ProdukterEstuna AB, Norrtalje, Sweden)に使用した。
【0128】
共通ペプチド被覆表面を有するインプラント(n=12)および対照(n=12)を、ウサギ(New Zealand White)の頚骨中の測定する皮質骨欠損中に設置する。各インプラントの下の骨髄中の小さな中央穿孔を作成し、インプラント表面に骨形成原細胞が移動できるようにする。使用する方法は全て、チタンインプラント表面に対する骨接着の試験(Ronold, H.J. and Ellingsen, 2002)に対して確立された、標準かつ有効モデルによる。各ウサギは、頚骨それぞれに2個、計4個のインプラントを受け取る。試験および対照インプラントの部位は、ランダム化され、操作者には知らされていない。移植4週間後、ウサギを屠殺し、インプラントを接着した頚骨を抽出する。抽出した頚骨を特に設計された治具中で固定し、引っ張り測定法を使用して、インプラントを分離する。その後前記インプラントを直接無菌チューブに移し、骨マーカーおよび壊死の発現解析のためRNAおよびタンパク質抽出処理した。
【0129】
1.5 骨マーカー:runx2、オステオカルシン、およびTRAPのin vivo遺伝子発現
runx2、オステオカルシン、およびTRAPの遺伝子発現を、異なるインプラントの表面に接着するインプラント骨組織周辺における骨形成(runx2、オステオカルシン)または骨吸着(TRAP)の指標としてリアルタイムRT-PCRを使用して試験した。
【0130】
1.6 傷液体解析:LDH活性および総タンパク質
4週間の治療期間後、移植部位から回収した傷液体中のLDH活性および総タンパク質を解析した。LDHの放出は、組織壊死の高感度マーカーであり(Williams et al, 1983)、それゆえインプラントの生物適合性の高感度マーカーである。総タンパク質の量を使用して、脱離したインプラント上の骨細胞の数における差異に起因する誤差を標準化した。
【0131】
2.結論
共通ペプチドで被覆されたインプラントは、オステオカルシン発現の有意な上昇を示し、これらのサンプルで骨芽細胞活性が改善したことを示した。さらに、TRAP発現の減少が観察され、これらのサンプルで骨芽細胞が有意に減少したことを示唆した。これらの効果はともに、共通ペプチドで被覆されたインプラントに隣接する骨形成の総体での上昇を意味する。さらに、インプラント周辺組織におけるLDH活性の減少は、共通ペプチドの存在によりチタンインプラントの生物適合性が有意に改善されることを示す。これらの結果は、図1から4に示される。
【0132】
実施例6:ペプチド:PLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLP P (配列番号4)で実行される実験
1.材料と方法
1.1 チタンコイン
直径6.25 mm、高さ1.95 mmの市販純粋(cp)機械処理チタンインプラントを、使用前に洗浄し、無菌化した。簡単には、インプラントを、脱イオン水を含むガラスビーカー中で30秒間一緒に洗浄し、その後70%エタノールで30秒間、その後脱イオン水中40°Cで5分間、超音波洗浄槽で洗浄した。前記インプラントをその後、ウォーターバス中40°Cで10分間、40% NaOH溶液中に設置し、脱イオン水中で5分間、超音波洗浄し、その後pHが6に達するまで脱イオン水で洗浄した。その後、前記インプラントを脱イオン水中50°Cで5分間超音波洗浄し、50°Cで10分間50% HNO3溶液中に設置し、脱イオン水中でさらに5分間超音波洗浄した。前記インプラントをpH=6に達するまで脱イオン水で洗浄し、70%エタノール中で保存した。使用前に、前記コインを水で洗浄し、エタノールで洗浄し、室温で5分間超音波洗浄し、脱イオン水で洗浄した。チタンコインをその後121 °Cで15分間オートクレーブにより滅菌した。
【0133】
1.2 ペプチド溶液の調製
前記ペプチド(PLV PSQ PLV PSQ PLV PSQ PQP PLP P)(配列番号4)を、20 mg/mlの濃度でpH=7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解させた。この溶液をさらに、最終濃度0.1 mg/mlとなるようPBS中に溶解させた。
【0134】
1.3 チタンインプラントに対するペプチドの吸着(物理的吸着)
ペプチドを、共有結合による別の方法のように、チタン表面に対して物理的に吸着させることができる。マイナス荷電カルボキシル基は、金属酸化物表面に対して強い親和性を示し、それゆえチタン表面に直接相互作用することができる(Imamura et al, 2007)。ペプチド溶液(10 μl, 0.1 mg/ml)をチタンインプラントの表面に適用し、37°Cで24時間インキュベートした。24時間後、チタンインプラントを洗浄し、上記と同じ方法で包装した。対照インプラントを、ペプチドを加えずに10 μlのPBSで処理した。
【0135】
1.4 動物試験
6ヶ月齢で3.0kgから3.5 kgの体重である、6匹のNew Zealand Whiteウサギのメスを、この試験(ESF ProdukterEstuna AB, Norrtalje, Sweden)に使用した。
【0136】
共通ペプチド被覆表面を有するインプラント(n=12)および対照(n=12)を、ウサギ(New Zealand White)の頚骨中の測定する皮質骨欠損中に設置する。各インプラントの下の骨髄中の小さな中央穿孔を作成し、インプラント表面に骨形成原細胞が移動できるようにする。使用する方法は全て、チタンインプラント表面に対する骨接着の試験(Ronold, H.J. and Ellingsen, 2002)に対して確立された、標準かつ有効モデルによる。各ウサギは、頚骨それぞれに2個、計4個のインプラントを受け取る。試験および対照インプラントの部位は、ランダム化され、操作者には知らされていない。移植4週間後、ウサギを屠殺し、インプラントを接着した頚骨を抽出する。抽出した頚骨を特に設計された治具中で固定し、引っ張り測定法を使用して、インプラントを分離する。その後前記インプラントを直接無菌チューブに移し、骨マーカーおよび壊死の発現解析のためRNAおよびタンパク質抽出処理した。
【0137】
1.5 骨マーカー:runx2、オステオカルシン、およびTRAPのin vivo遺伝子発現
runx2、オステオカルシン、およびTRAPの遺伝子発現を、異なる群のインプラントの表面に接着するインプラント骨組織周辺における骨形成(runx2、オステオカルシン)または骨吸着(TRAP)の指標としてリアルタイムRT-PCRを使用して試験した。
【0138】
1.6 傷液体解析:LDH活性および総タンパク質
4週間の治療期間後、移植部位から回収した傷液体中のLDH活性および総タンパク質を解析した。LDHの放出は、組織壊死の高感度マーカーであり(Williams et al, 1983)、それゆえインプラントの生物適合性の高感度マーカーである。総タンパク質の量を使用して、脱離したインプラント上の骨細胞の数における差異に起因する誤差を標準化した。
【0139】
2.結論
共通ペプチドで被覆されたインプラントは、プロ骨原性マーカー(pro-osteogenic marker)であるオステオカルシンおよびRunx2の発現の有意な上昇を示し、これらのサンプルで骨芽細胞活性が改善したことを示した。さらに、TRAP発現の減少が観察され、これらのサンプルで骨芽細胞が有意に減少したことを示唆した。これらの効果はともに、共通ペプチドで被覆されたインプラントに隣接する骨形成の総体での有意な上昇を意味する。さらに、インプラント周辺組織におけるLDH活性の減少が観察されたことは、共通ペプチドによりチタンインプラントの生物適合性が有意に改善されることを示す。これらの結果は、図5から8に示される。
【0140】
[参考文献]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列Pro-X-X-Pro-Y-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-X- Pro-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Pro-Y-Y-Y-Y-Y-Y-Pro-X-X-Pro-X-Pro-Y-Y-Y-Pro-Y-Y-Pro-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Pro-Pro-X- Pro-Pro-X-X-X-X-X-X-X-X-Pro-X-X-Pro-X-X-X-X (配列番号1)に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、
a) Proはプロリンであり、
b) XはAla、Ile、Leu、Met、Phe、TrpおよびValからなる群より選択されるアミノ酸であり;
c) Yは、Asn、Cys、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなる群より選択されるアミノ酸である、人工ペプチド。
【請求項2】
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む、人工ペプチド。
【請求項3】
配列番号1に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を刺激することができる、人工ペプチド。
【請求項4】
配列番号1に示されるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を刺激することができる、人工ペプチド。
【請求項5】
配列Pro-X-X-Pro-Y-Y-Pro-X-X-Pro-Y-Y- Pro-X-X-Pro-Y-Y- Pro-Y-Pro-Pro-X-Pro-Pro(配列番号2)に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、
a) Proはプロリンであり、
b) XはAla、Ile、Leu、Met、Phe、TrpおよびValからなる群より選択されるアミノ酸であり;
c) Yは、Asn、Cys、Gln、Ser、ThrおよびTyrからなる群より選択されるアミノ酸である、人工ペプチド。
【請求項6】
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む、人工ペプチド。
【請求項7】
配列番号2に少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を刺激することができる、人工ペプチド。
【請求項8】
配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を刺激することができる、人工ペプチド。
【請求項9】
配列番号3のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項10】
配列番号4のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項11】
配列番号5のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項12】
配列番号6のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項13】
配列番号7のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項14】
配列番号8のアミノ酸配列を含む人工ペプチド。
【請求項15】
N-末端および/またはC-末端ヒスチジンタグをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の人工ペプチド。
【請求項16】
ヒスチジンタグが5個のヒスチジン残基からなる、請求項15に記載の人工ペプチド。
【請求項17】
N-またはC-末端メチオニンタグをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の人工ペプチド。
【請求項18】
メチオニンタグが5個のメチオニン残基からなる、請求項17に記載の人工ペプチド
【請求項19】
1個のヒスチジンタグと1個のメチオニンタグを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の人工ペプチド。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチド、および任意に薬剤として許容可能な担体、賦形剤、および/または希釈剤を含む薬剤組成物。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチドを2個以上含む、請求項20に記載の薬剤組成物。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチド、および任意にその上に蓄積するミネラル塩を含む表面。
【請求項23】
表面が金属ならびに/あるいは金属酸化物、水酸化物および/または水素化物表面である、請求項22に記載の表面。
【請求項24】
前記金属が、チタン、ジルコニウム、タンタル、アルミニウム、金、外科用スチールおよびニッケルからなる群より選択される、請求項23に記載の表面。
【請求項25】
前記金属が、チタン酸化物、タンタル酸化物、アルミニウム酸化物、およびジルコニウム酸化物からなる群より選択される、請求項23に記載の表面。
【請求項26】
前記表面が、ヒドロキシルアパタイト、アラゴナイト、生物ガラス、ガラス、ポリウレタンまたはポリマー性医学的人工装具デバイス表面からなる群より選択される、請求項22に記載の表面。
【請求項27】
前記表面が、医学的人工装具デバイス表面である、請求項22から26のいずれか一項に記載の表面。
【請求項28】
前記表面が生物学的表面である、請求項22に記載の表面。
【請求項29】
請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチド、および任意にその上に蓄積するミネラル塩を含む、細胞培養物または組織。
【請求項30】
細胞培養物および/または組織が、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、線維芽細胞、胚性および間葉性幹細胞のような幹細胞、あるいは前駆細胞、全能細胞、複数能細胞および多能細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞または靭帯細胞からなる群より選択される、請求項29に記載の細胞培養物。
【請求項31】
任意にミネラル塩をさらに含む請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチドを含む溶液。
【請求項32】
ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは薬剤組成物の使用。
【請求項33】
細胞培養物、組織中、表面上および/または溶液中においてミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を誘導および/または刺激する、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
表面が金属ならびに/あるいは金属酸化物、水酸化物および/または水素化物表面である、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、金、外科用スチールおよびニッケルからなる群より選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記金属が、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、およびジルコニウム酸化物からなる群より選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項37】
前記表面が、ヒドロキシルアパタイト、アラゴナイト、生物ガラス、ガラス、ポリウレタンまたはポリマー性医学的人工装具デバイス表面からなる群より選択される、請求項33に記載の使用。
【請求項38】
前記表面が、医学的人工装具デバイス表面である、請求項33から37のいずれか一項に記載の使用。
【請求項39】
前記表面が生物学的表面である、請求項33に記載の使用。
【請求項40】
細胞培養物および/または組織が、骨芽細胞、骨細胞、破骨細胞、線維芽細胞、胚性および間葉性幹細胞のような幹細胞、あるいは前駆細胞、全能細胞、複数能細胞および多能細胞、筋肉細胞、脂肪細胞、軟骨細胞または靭帯細胞からなる群より選択される、請求項33に記載の使用。
【請求項41】
a) ミネラル化される表面を供給する工程;
b) 請求項1から19のいずれか一項に記載のペプチドを供給する工程;
c) 前記ペプチドを前記表面に接触させ、前記表面上に前記ペプチドを供給する工程
を含む表面を、誘導および/または刺激するミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を供給する方法。
【請求項42】
さらにミネラル塩を含む溶液中で前記ペプチドを前記表面に浸潤させる工程も含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ミネラル塩が、カルシウムホスフェートおよび/またはカルシウムカーボネートである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
工程c)を電流を使用して実行する、請求項41から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
表面が金属ならびに/あるいは金属酸化物、水酸化物および/または水素化物表面である、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記金属が、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、金、外科用スチールおよびニッケルからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記金属が、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、およびジルコニウム酸化物からなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記表面が、ヒドロキシルアパタイト、アラゴナイト、生物ガラス、ガラス、ポリウレタンまたはポリマー性医学的人工装具デバイス表面からなる群より選択される、請求項41から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記表面が、医学的人工装具デバイス表面である、請求項33から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
a) 請求項41から49のいずれか一項に記載の方法により生産される、ミネラル沈殿および/または生物ミネラル化を誘導するための医学的人工装具デバイス表面を供給する工程;
b) 被験者に前記医学的人工装具デバイスを移植する工程
を含む、前記被験者中における医学的人工装具デバイスの生物ミネラル化をin vivoにおいて誘導および/または刺激する方法。
【請求項51】
請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは薬剤組成物を、必要がある被験者に投与することを含む、生物ミネラル化をin vivoにおいて誘導および/または刺激する方法。
【請求項52】
請求項1から21のいずれか一項に記載の薬剤組成物を、必要がある被験者に投与することを含む、骨、軟骨、セメントおよび歯組織形成をin vivoにおいて誘導する方法。
【請求項53】
医薬として使用するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチド。
【請求項54】
生物ミネラル化を誘導する医薬を調製するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用。
【請求項55】
骨、軟骨、セメントおよび歯組織を形成および/または再生する医薬を調製するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドおよび/または人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用。
【請求項56】
骨折を治療する医薬を調製するための、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは人工ペプチドを含む薬剤組成物の使用。
【請求項57】
生物ミネラル化を誘導するために使用する、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは人工ペプチドを含む薬剤組成物。
【請求項58】
骨、軟骨、セメントおよび歯組織を形成および/または再生するために使用する、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは人工ペプチドを含む薬剤組成物。
【請求項59】
骨折を治療するために使用する、請求項1から21のいずれか一項に記載の人工ペプチドまたは人工ペプチドを含む薬剤組成物。
【請求項60】
2つの生物ミネラル化構造を融合するため、または生物ミネラル化構造と他の物質を融合するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の人工ペプチドの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−513460(P2010−513460A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542264(P2009−542264)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004068
【国際公開番号】WO2008/078167
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(509174532)
【Fターム(参考)】