説明

内燃機関の制御装置

【課題】トルク変動の影響によってバルブタイミング変更機構のベーンがハウジングに衝突してしまうことを抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る内燃機関の制御装置である電子制御装置100が制御する内燃機関には、需要部へのオイルの循環量を低減させる低圧制御を実行することのできるオイル循環システム400と、供給されるオイルの油圧を利用してバルブタイミングを変更する油圧駆動式のバルブタイミング変更機構200とが設けられている。電子制御装置100は、需要部におけるオイルの需要が少ないときに低圧制御を実行して内燃機関に作用するオイルポンプ40の駆動負荷を低減させる。電子制御装置100は、内燃機関のトルク変動の大きさを監視し、トルク変動が基準値よりも大きいときには低圧制御の実行を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はオイルポンプの駆動負荷を軽減する低圧制御を実行することのできるオイル循環システムと、油圧駆動式のバルブタイミング変更機構とを備える内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、需要部に供給するオイルの循環量を低減する低圧制御を実行することにより、オイルポンプの駆動負荷を軽減して低燃費に貢献することのできるオイル循環システムを備える内燃機関が記載されている。
【0003】
こうしたオイル循環システムにあっては、オイルの需要量が少ないときにはオイルの循環量を制限し、不必要にオイルポンプが駆動されることを抑制することによってオイルポンプの駆動負荷を軽減する。こうしてオイルポンプの駆動負荷を軽減することにより、必要とされるオイルの量に応じてオイルポンプの仕事量を調整することができるため、内燃機関の燃料消費量を抑制することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009‐41445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、特許文献1に記載の内燃機関は、油圧駆動式のバルブタイミング変更機構を備えている。油圧駆動式のバルブタイミング変更機構にあっては、タイミングチェーンを介して内燃機関の出力軸に連結されるスプロケットと一体に形成されたハウジングの中に、カムシャフトの先端に固定されたロータが収容されている。このロータにはその径方向に向かって突出する複数のベーンが設けられている一方、ハウジングにはこれらベーンをそれぞれ収容する収容室が設けられている。これにより、各収容室はベーンを介して進角用油圧室と遅角用油圧室とにそれぞれ区画されている。
【0006】
このように構成されたバルブタイミング変更機構を備える内燃機関にあっては、進角用油圧室及び遅角用油圧室内の油圧を調整することによりハウジング内でロータを回動させ、スプロケットに対するロータ及びカムシャフトの相対回転位相を変更する。こうしてカムシャフトの相対回転位相を進角側又は遅角側に変更することにより、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを機関運転状態に応じた適切なタイミングに変更する。
【0007】
ところで、バルブタイミング変更機構は、タイミングチェーンを介してクランクシャフトに連結されているため、内燃機関の出力トルクが変動すると、そのトルク変動がタイミングチェーンを介してバルブタイミング変更機構にも入力されるようになる。すなわち、トルク変動が生じた場合には、タイミングチェーンを介してクランクシャフトに連結されているハウジングにそのトルク変動が伝達されるため、ハウジングとロータとの間にはハウジング内でロータを相対回動させるような力が作用することになる。
【0008】
上述したようにオイルの循環量を制限する低圧制御が実行されているときには、バルブタイミング変更機構の各油圧室に供給される油圧も低くされているため、ハウジング内でロータが相対回動しやすくなっている。そのため、低圧制御が実行されている場合には、トルク変動が生じたときにロータが大きく回動し、ベーンがハウジングに衝突してしまうおそれがある。
【0009】
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的はトルク変動の影響によってバルブタイミング変更機構のベーンがハウジングに衝突してしまうことを抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、需要部へのオイルの循環量を低減させる低圧制御を実行することのできるオイル循環システムと、供給されるオイルの油圧を利用してバルブタイミングを変更する油圧駆動式のバルブタイミング変更機構とを備え、前記需要部におけるオイルの需要が少ないときに前記低圧制御を実行して内燃機関に作用するオイルポンプの駆動負荷を低減させる内燃機関の制御装置において、前記内燃機関のトルク変動の大きさを監視し、トルク変動が基準値よりも大きいときには前記低圧制御の実行を禁止することをその要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、内燃機関の出力するトルクの変動が大きいとき、すなわちトルク変動が大きいときには低圧制御が禁止され、バルブタイミング変更機構における各油圧室内の油圧が低圧制御を実行する場合と比較して高めに維持されるようになる。そのため、各油圧室内の油圧によってロータの相対回動が抑制され、トルク変動の影響によってバルブタイミング変更機構のベーンがハウジングに衝突してしまうことを抑制することができる。ひいては、ベーンがハウジングに衝突することによる異音の発生や、バルブタイミング変更機構の耐久性の低下を抑制することができるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、単位時間当たりの機関回転速度の変化量が基準とする変化量よりも大きいときに、トルク変動が基準値よりも大きい旨を判定することをその要旨とする。
【0013】
トルク変動が生じた場合には、内燃機関のクランクシャフトの回転速度である機関回転速度が変化する。したがって、トルク変動の大きさを監視する上では、上記請求項2に記載されているように単位時間当たりの機関回転速度の変化量が基準とする変化量よりも大きいときに、トルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する構成を採用することが望ましい。こうした構成を採用すれば、機関回転速度の変化量を監視することにより、トルク変動が基準値よりも大きい旨を容易に判定することができるようになる。
【0014】
尚、単位時間当たりの機関回転速度の変化量は、単位時間毎の機関回転速度の変化率や、単位時間毎の機関回転速度の差に基づいて推定することもできる。そのため、単位時間毎の機関回転速度の変化率が基準とする値よりも大きいときにトルク変動が大きい旨を判定する構成や、単位時間毎の機関回転速度の差が基準とする値よりも大きいときにトルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する構成を採用することもできる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、オイルの温度が高いときほど前記基準とする変化量を小さくする請求項2に記載の内燃機関の制御装置である。
オイルの温度が高いときほど、オイルの粘性が低くなり、トルク変動の影響によってロータが相対回動しやすくなる。これに対して、上記請求項3に記載の発明のように、オイルの温度が高いときほどトルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する際の機関回転速度の変化量の閾値である上記請求項2における「基準とする変化量」を小さくする構成を採用すれば、オイルの温度が高く、ロータが相対回動しやすいときほど、トルク変動が小さい状態から低圧制御が禁止されるようになる。したがって、オイルの粘性が低く、トルク変動の影響によってロータが相対回動しやすくなっているときであっても、ベーンがハウジングに衝突してしまうことを好適に抑制することができるようになる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、オイルの温度を機関冷却水温に基づいて推定する請求項3に記載の内燃機関の制御装置である。
内燃機関の各部を循環しているオイルの温度は、機関温度が高いときほど、高くなる。これに対して、機関冷却水温は機関温度と高い相関を有しているため、オイルの温度は、機関冷却水温に基づいて推定することができる。
【0017】
機関冷却水温は機関温度を推定するための指標として広く用いられているため、多くの内燃機関には水温センサが設けられている。そのため、上記請求項4に記載されているようにオイルの温度を機関冷却水温に基づいて推定する構成を採用すれば、水温センサによって検出される機関冷却水温に基づいてオイルの温度を推定することにより、オイルの温度を検出するための油温センサを新たに設けることなくオイルの温度を推定することができるようになる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、機関冷却水温が低いときほどオイルの温度が低い旨を判定する請求項4に記載の内燃機関の制御装置である。
機関冷却水温が低いときほど、機関温度が低いことが推定されるため、内燃機関の内部を循環するオイルの温度も低いことが予想される。そのため、機関冷却水温に基づいてオイルの温度を推定する上では、請求項5に記載されているように機関冷却水温が低いときほどオイルの温度が低い旨を推定する構成を採用することが望ましい。
【0019】
尚、機関冷却水温に加えて、内燃機関における燃焼によって発生する熱量を推定する値として、燃料噴射量の積算値や吸入空気量の積算値等を参照し、これらの値に基づいてオイルの温度を推定する構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態に係る電子制御装置と、その制御対象であるバルブタイミング変更機構及びオイル循環システムの関係を示す模式図。
【図2】同実施形態に係るオイル循環システムの高リリーフ圧状態における動作態様を示す模式図。
【図3】同実施形態に係るオイル循環システムの低リリーフ圧状態における動作態様を示す模式図。
【図4】低圧制御の実行領域を示すマップ。
【図5】低圧制御を禁止するか否かを判定するルーチンの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明に係る内燃機関の制御装置を、内燃機関を統括的に制御する電子制御装置100として具体化した一実施形態について、図1〜5を参照して説明する。
図1の上方に示されるように内燃機関のカムシャフト12には、バルブタイミング変更機構200が取り付けられている。このバルブタイミング変更機構200の外周部分に形成されたスプロケット21には、クランクシャフトに巻き掛けられたタイミングチェーンが巻き掛けられる。これにより、機関運転に伴いクランクシャフトが回転するとその駆動力がタイミングチェーンを介してバルブタイミング変更機構200に伝達され、バルブタイミング変更機構200とともにカムシャフト12が回転するようになっている。
【0022】
図1に示されるようにスプロケット21と一体に形成されたハウジング22の中には、カムシャフト12に固定されたロータ23が回動可能に収容されている。そして、このロータ23には、外側に向かって径方向に突出する4つのベーン24が設けられている一方、ハウジング22にはこれらベーン24をそれぞれ収容する4つの収容室25が設けられている。
【0023】
これにより、図1に示されるようにハウジング22内にロータ23が収容された状態において、収容室25はベーン24によって進角用油圧室26と遅角用油圧室27とに区画されている。
【0024】
このようにベーン24を挟むように形成された進角用油圧室26及び遅角用油圧室27内の油圧を調整することにより、ベーン24が収容室25内で移動し、ロータ23がハウジング22に対して相対回動するようになる。
【0025】
進角用油圧室26及び遅角用油圧室27へのオイルの供給量は、図1の中央に示されるオイルコントロールバルブ300によって制御される。尚、このオイルコントロールバルブ300を介してバルブタイミング変更機構200に導入されるオイルは図1の下方に示されるオイル循環システム400を介して供給される。
【0026】
図1の下方に示されるようにオイル循環システム400のオイルポンプ40には、供給通路41が接続されている。尚、オイルポンプ40は内燃機関のクランクシャフトに連結されており、機関運転に伴って駆動されるようになっている。
【0027】
オイル循環システム400は、オイルパン42に貯留されたオイルをオイルポンプ40によってくみ上げ、供給通路41を通じて機関各部の需要部へ供給する。尚、内燃機関の各部に供給されて潤滑等に供されたオイルは、内燃機関の内部を伝い落ちて内燃機関の下部に取り付けられたオイルパン42に再び貯留されるようになっている。
【0028】
図1に示されるように供給通路41におけるオイルポンプ40よりも下流側の部分には、リリーフバルブ50が設けられている。このリリーフバルブ50には、供給通路41におけるオイルポンプ40よりも上流側の部位に接続する還流通路43が接続されている。
【0029】
これにより、供給通路41内の油圧がリリーフバルブ50の開弁する圧力であるリリーフ圧以上になったときには、リリーフバルブ50が開弁し、供給通路41内のオイルの一部が、還流通路43を通じて供給通路41におけるオイルポンプ40よりも上流側の部位に還流されるようになっている。
【0030】
リリーフバルブ50は、後述するように、油圧切り替えバルブ60を制御することによってリリーフ圧を2段階に変更することができるように構成されている。尚、油圧切り替えバルブ60は、電子制御装置100からの駆動指令に基づいて駆動される。
【0031】
また、電子制御装置100は、オイルコントロールバルブ300にも接続されており、上述したようにオイルコントロールバルブ300を制御することによって進角用油圧室26及び遅角用油圧室27へのオイルの供給量を制御する。
【0032】
図1の中央に示されるようにバルブタイミング変更機構200の進角用油圧室26には進角用通路44が接続されており、遅角用油圧室27には遅角用通路45が接続されている。進角用通路44及び遅角用通路45は、オイルコントロールバルブ300を介して供給通路41及び排出通路46に接続されている。尚、図1にあっては、説明の便宜上、4つある収容室25のうち、1つの収容室25にのみ進角用通路44及び遅角用通路45が接続されている様子を図示しているが、実際には各収容室25の進角用油圧室26には進角用通路44がそれぞれ接続されており、各収容室25の遅角用油圧室27には遅角用通路45がそれぞれ接続されている。
【0033】
オイルポンプ40によってオイルパン42からくみ上げられたオイルは、供給通路41を通じて各油圧室26,27に選択的に供給される。また、ロータ23の回動に伴い各油圧室26,27から排出されるオイルは排出通路46を通じてオイルパン42に戻される。
【0034】
オイルコントロールバルブ300は電気的な駆動信号に基づいて駆動されるソレノイドバルブからなり、駆動信号のデューティー比の大小に応じて供給通路41及び排出通路46と進角用通路44及び遅角用通路45との接続態様を切り替える。
【0035】
例えば、オイルコントロールバルブ300は、デューティー比が50%のときに図1に示されるように上記各通路41,44,45,46の連通を全て遮断する状態になる。そして、デューティー比が50%よりも大きいときには、供給通路41と進角用通路44とを連通するとともに排出通路46と遅角用通路45とを連通する状態になり、デューティー比が大きくなるほど進角用油圧室26に供給されるオイルの量を増大させる。一方、デューティー比が50%よりも小さいときには、供給通路41と遅角用通路45とを連通するとともに排出通路46と進角用通路44とを連通する状態になり、デューティー比が小さくなるほど遅角用油圧室27に供給されるオイルの量を増大させる。
【0036】
これにより、デューティー比が50%よりも大きいときには、オイルポンプ40によってくみ上げられたオイルが供給通路41及び進角用通路44を通じて進角用油圧室26へと供給されるとともに、遅角用油圧室27内のオイルが遅角用通路45及び排出通路46を通じてオイルパン42へと戻されるようになる。こうして進角用油圧室26内の油圧が増大すると、ロータ23がハウジング22内で図1における右回り、すなわち破線矢印で示される進角側に回動する。これに伴いカムシャフト12が進角側に回動し、クランクシャフトに対するカムシャフト12の相対回転位相がバルブタイミングを進角させる方向に変位する。
【0037】
一方で、デューティー比が50%よりも小さいときには、オイルポンプ40によってくみ上げられたオイルが供給通路41及び遅角用通路45を通じて遅角用油圧室27へと供給されるとともに、進角用油圧室26内のオイルが進角用通路44及び排出通路46を通じてオイルパン42へと戻されるようになる。こうして遅角用油圧室27内の油圧が増大すると、ロータ23がハウジング22内で図1における左回り、すなわち破線矢印で示される遅角側に回動する。これに伴いカムシャフト12が遅角側に回動し、クランクシャフトに対するカムシャフト12の相対回転位相がバルブタイミングを遅角させる方向に変位する。
【0038】
また、デューティー比が50%に設定されたときには、上述したように各通路41,44,45,46が全て遮断された状態になり、各油圧室26,27内のオイルの給排が停止されるため、各油圧室26,27内の油圧によってハウジング22内でのロータ23の回動が規制され、バルブタイミングが保持される。
【0039】
こうしたバルブタイミング変更機構200によるバルブタイミングの変更は電子制御装置100によって実行される。電子制御装置100には、内燃機関のクランクシャフトの回転角CA、及びクランクシャフトの回転速度である機関回転速度NEを検出するクランク角センサ101、カムシャフト12の回転角CAMAを検出するカムポジションセンサ102が接続されている。また、機関冷却水温THWを検出する水温センサ103、内燃機関の吸入空気量GAを検出するエアフロメータ104、運転者によるアクセル操作量ACCPを検出するアクセルポジションセンサ105等も接続されている。電子制御装置100は、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて機関各部を制御する。
【0040】
例えば、アクセル操作量ACCPに基づいて要求出力の大きさを推定し、要求出力の大きさに見合った出力を発生するように内燃機関の燃料噴射量Qを制御する。また、クランクシャフトの回転角CAと、カムシャフト12の回転角CAMAとに基づいてバルブタイミング変更機構200における現在の相対回転位相を算出する。そして、機関回転速度NEや、吸入空気量GAに基づいて最適なバルブタイミングとなるように目標位相を算出し、実際の相対回転位相がこの目標位相に一致するようにオイルコントロールバルブ300に出力する駆動信号のデューティー比を設定する。こうしてオイルコントロールバルブ300を制御することによって進角用油圧室26及び遅角用油圧室27に供給するオイルの量を調整し、クランクシャフトとカムシャフト12の相対回転位相を変更する位相変更制御を実行することにより、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを機関運転状態に応じた適切なタイミングに変更する。
【0041】
また、電子制御装置100は、供給通路41を通じて内燃機関の需要部に供給されるオイルの油圧及び循環量を制御するために油圧切り替えバルブ60を操作する。
以下、本実施形態に係るオイル循環システム400におけるリリーフバルブ50の構成並びに動作について図2及び図3を参照して詳しく説明する。
【0042】
上述したように供給通路41におけるオイルポンプ40よりも下流側の部分には、リリーフバルブ50が設けられている。図2に示されるようにリリーフバルブ50にあっては、そのハウジング内に、円筒状のスリーブ51が軸方向に摺動可能に収容されている。そして、このスリーブ51の径方向の側壁には、同側壁を貫通するリリーフポート52が形成されている。また、スリーブ51の内部には、このリリーフポート52を開閉するようにスリーブ51の軸方向、すなわち図2における上下方向に摺動可能に有底円筒状の弁体55が収容されている。
【0043】
リリーフバルブ50のハウジングの図2における下方の底面には支持部材57が固定されている。そして、この支持部材57と弁体55との間には圧縮されたスプリング56が収容されている。これにより、弁体55は、スプリング56によって図2における上方、すなわちリリーフポート52を閉塞する方向に常に付勢されている。
【0044】
そのため、リリーフバルブ50にあっては、供給通路41を流れるオイルの油圧が増大して弁体55に作用する油圧が増大したときに、矢印で示されるように弁体55がスプリング56の付勢力に抗して図2における下方に変位し、リリーフポート52が開口するようになっている。
【0045】
図2の右側に示されるようにリリーフポート52は、還流通路43内に開口するように形成されている。そのため、弁体55が開弁位置、すなわちリリーフポート52が開口される位置まで変位することにより、リリーフポート52を介して供給通路41と還流通路43とが連通されるようになる。
【0046】
そして、こうしてリリーフポート52を介して供給通路41と還流通路43とが連通されると、供給通路41を流れるオイルの一部が還流通路43を通じてオイルポンプ40の上流側に還流されるようになる。
【0047】
要するに、このリリーフバルブ50にあっては、スプリング56の付勢力の大きさによってリリーフ圧が決定されている。すなわち、供給通路41を流れるオイルが弁体55を図2における下方に付勢する付勢力が、スプリング56の付勢力よりも大きくなったときにリリーフポート52が開口されて供給通路41を流れるオイルの一部がオイルポンプ40の上流側に還流されるようになる。
【0048】
図2の下方に示されるようにスリーブ51の底面51aと、支持部材57が固定されているハウジングの底面との間には背圧室58が形成されている。この背圧室58には、供給通路41を流れるオイルの一部が分岐通路61及び背圧通路62を通じて導かれるようになっている。
【0049】
上述したようにスリーブ51は、リリーフバルブ50のハウジング内において、その軸方向に摺動可能に支持されている。これにより、このリリーフバルブ50にあっては、スリーブ51の底面51aに作用する油圧に起因して同スリーブ51を図2における上方へ付勢する付勢力と、頂面51bに作用する油圧に起因して同スリーブ51を下方へ付勢する力とが発生し、その大小関係に応じてスリーブ51がハウジング内で上下方向に変位するようになっている。
【0050】
尚、スリーブ51は、背圧室58内の油圧が作用する底面51aの面積が、供給通路41を流れるオイルの油圧が作用する頂面51bの面積よりも大きくなるようにその形状が設計されている。そのため、背圧室58が分岐通路61及び背圧通路62を通じて供給通路41と連通され、スリーブ51の底面51a及び頂面51bに等しい油圧が作用するようになったときには、底面51aの受圧面積が頂面51bの受圧面積よりも大きい分だけスリーブ51を上方に付勢する力が大きくなる。その結果、スリーブ51が上方に変位し、図3に示されるようにハウジング内の上方に位置するようになる。
【0051】
図2の左側に示されるように供給通路41に接続されている分岐通路61と、背圧室58に接続されている背圧通路62との間には油圧切り替えバルブ60が設けられている。この油圧切り替えバルブ60には、更にドレン通路63が接続されており、油圧切り替えバルブ60は、図3に示されるように分岐通路61と背圧通路62とを連通する状態と、図2に示されるように背圧通路62とドレン通路63とを連通する状態とを切り替えることができるようになっている。
【0052】
ドレン通路63は供給通路41におけるオイルポンプ40よりも上流側の部位に接続されており、油圧切り替えバルブ60が背圧通路62とドレン通路63とを連通する状態に切り替えられているときに背圧室58内のオイルを供給通路41におけるオイルポンプ40よりも上流側の部分に還流させる。
【0053】
本実施形態のオイル循環システム400にあっては、油圧切り替えバルブ60を操作することにより、背圧室58内の油圧を制御し、ハウジング内におけるスリーブ51の位置を変更することによってリリーフ圧を変更する。
【0054】
具体的には、図3に示されるように分岐通路61と背圧通路62とを連通するように油圧切り替えバルブ60を操作し、供給通路41内のオイルの一部を背圧室58に導入するようにした場合には、スリーブ51の底面51aに供給通路41内のオイルの油圧と等しい油圧が作用するようになる。その結果、スリーブ51の底面51aに作用する油圧に起因してスリーブ51を図3における上方に付勢する力が、スリーブ51の頂面51bに作用する油圧に起因してスリーブ51を図3における下方に付勢する力よりも大きくなり、スリーブ51が上方に変位して図3に示されるように上方に位置するようになる。
【0055】
一方で、図2に示されるように背圧通路62とドレン通路63とを連通するように油圧切り替えバルブ60を操作した場合には、背圧室58内のオイルがドレン通路63を通じて供給通路41におけるオイルポンプ40よりも上流側の部分に還流されるようになり、背圧室58内の油圧が低下する。その結果、スリーブ51の頂面51bに作用する油圧に起因してスリーブ51を図2における下方に付勢する力が、スリーブ51の底面51aに作用する油圧に起因してスリーブ51を図2における上方に付勢する力よりも大きくなり、スリーブ51が下方に変位して図2に示されるように下方に位置するようになる。
【0056】
このようにスリーブ51がハウジング内において下方に位置している場合には、スリーブ51が図3に示されるように上方に位置している場合よりも、弁体55を開弁位置まで変位させたときのスプリング56の圧縮量が多くなる。すなわち、このときには、スリーブ51が上方に位置している場合と比較して弁体55がスプリング56から受ける付勢力が大きくなり、リリーフポート52が開口するときの供給通路41内のオイルの油圧、すなわちリリーフ圧が高くなる。
【0057】
一方で、図3に示されるようにスリーブ51がハウジング内において上方に位置している場合には、スリーブ51が下方に位置している場合よりも、弁体55を開弁位置まで変位させたときのスプリング56の圧縮量が少なくなる。すなわち、このときには、スリーブ51が下方に位置している場合と比較して弁体55がスプリング56から受ける付勢力が小さくなり、リリーフ圧が低くなる。
【0058】
このように本実施形態のオイル循環システム400によれば、油圧切り替えバルブ60を操作することによって背圧室58内の油圧を制御することができる。これにより、スリーブ51をスプリング56の伸縮方向に変位させ、リリーフ圧が高くなる高リリーフ圧状態(図2に示される状態)と、リリーフ圧が低くなる低リリーフ圧状態(図3に示される状態)とを切り替えることができる。
【0059】
本実施形態の電子制御装置100は、機関冷却水温THW、燃料噴射量Q、そして機関回転速度NEに基づいて内燃機関におけるオイルの需要の大きさを推定し、オイルの需要がそれほど大きくないときには、油圧切り替えバルブ60を操作して低リリーフ圧状態に切り替える低圧制御を実行する。
【0060】
具体的には、図4に示されるような制御切り替えマップを参照して低圧制御を実行する。この制御切り替えマップにあっては、機関回転速度NE及び燃料噴射量Qをパラメータとして境界ラインLを境に運転領域が2つに区画されている。境界ラインLを境に区画された2つの運転領域は、図4に示されるように境界ラインLよりも低回転速度側且つ低噴射量側の領域が低圧制御を実行する低圧制御領域にされている一方、境界ラインLよりも高回転速度側且つ高噴射量側の領域が低圧制御を実行しない高圧制御領域にされている。
【0061】
尚、境界ラインLは機関冷却水温THWに応じて変位するようになっている。具体的には、図4に矢印で示されるように機関冷却水温THWが低いときほど低圧制御領域が広くなる一方、機関冷却水温THWが高いときほど低圧制御領域が狭くなるように変位する。例えば、機関冷却水温THWが低いときには、境界ラインLが実線で示される位置から破線L1で示される位置に変位する。そして、それよりも更に機関冷却水温THWが低いときには境界ラインLが破線L2で示される位置に変位する。
【0062】
電子制御装置100は、この切り替えマップを参照し、そのときの機関冷却水温THW、燃料噴射量Q、そして機関回転速度NEに基づいて現在の運転状態が低圧制御領域に属するのか高圧制御領域に属するのかを判定する。そして、低圧制御領域に属しているときには、油圧切り替えバルブ60を操作して、低リリーフ圧状態に切り替える低圧制御を実行する。
【0063】
尚、低回転速度側且つ低噴射量側の低圧制御領域に属しているときに低圧制御を実行するのは、機関回転速度NEが低いときや燃料噴射量Qが少ないときには、ピストンやクランクシャフトを潤滑するために必要とされるオイルの量が少なくてすむためである。すなわち、低圧制御領域に属しているときには、ピストンやクランクシャフトの運動速度が低く、燃焼室で発生する燃焼熱も小さいため、オイルの需要がそれほど大きくないことが推定される。そこで、本実施形態の電子制御装置100は、低圧制御領域に属していることに基づいてオイルの需要がそれほど大きくないことを判定し、低圧制御を実行するようにしているのである。
【0064】
このようにオイルの需要が小さいときに、低リリーフ圧状態に切り替えて供給通路41内を流れるオイルの油圧を低下させる低圧制御を実行すれば、オイルの循環量を制限し、内燃機関に作用するオイルポンプ40の駆動負荷を低減して内燃機関の燃料消費量を抑制することができるようになる。すなわち、必要な量に合わせてオイルの循環量を制限し、必要以上にオイルを圧送することによるオイルポンプ40の余分な駆動を抑制して、燃料を節約することができるようになる。
【0065】
また、内燃機関の暖機が完了していない機関冷間時に、低圧制御を実行することにより、機関各部の冷却に供されるオイルの循環量が低減されて機関各部の温度が内燃機関の燃焼熱によって速やかに上昇するようになり、暖機の早期完了を図ることもできるようになる。
【0066】
ところで、バルブタイミング変更機構200は、タイミングチェーンを介してクランクシャフトに連結されているため、内燃機関の出力トルクが変動すると、そのトルク変動がタイミングチェーンを介してバルブタイミング変更機構200にも入力されるようになる。すなわち、トルク変動が生じた場合には、タイミングチェーンを介してクランクシャフトに連結されているバルブタイミング変更機構200のハウジング22にそのトルク変動が伝達されるため、ハウジング22とロータ23との間にはハウジング22内でロータ23を相対回動させるような力が作用することになる。
【0067】
上述したようにオイルの循環量を制限する低圧制御が実行されているときには、バルブタイミング変更機構200の各油圧室26,27に供給される油圧も低くされているため、ハウジング22内でロータ23が相対回動しやすくなっている。そのため、低圧制御が実行されている場合には、トルク変動が生じたときにロータ23が大きく回動し、ベーン24がハウジング22に衝突してしまうおそれがある。
【0068】
そこで、本実施形態の電子制御装置100にあっては、内燃機関のトルク変動を監視し、トルク変動が大きいときには、低圧制御の実行を禁止するようにしている。
以下、図5のフローチャートを参照して低圧制御の実行を禁止するか否かを判定するためのルーチンの処理の流れを説明する。尚、このルーチンは、電子制御装置100によって機関運転中に所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0069】
このルーチンを開始すると電子制御装置100は、まずステップS100において、トルク変動が基準値よりも大きいか否かを判定する。尚、ここでは、機関回転速度NEの変化を監視することによってトルク変動の大きさが基準値よりも大きいか否かを判定するようにしている。
【0070】
具体的には、単位時間当たりの機関回転速度NEの変化量を算出し、算出された変化量が基準とする変化量よりも大きいときにトルク変動の大きさが基準値よりも大きい旨を判定する。ここでは、単位時間当たりの機関回転速度NEの変化率を算出し、算出された変化率に基づいて単位時間当たりの機関回転速度NEの変化量を推定している。
【0071】
尚、基準とする変化量は上記基準値の大きさに対応して設定されており、上記の基準値は低圧制御が実行されている状態であっても、ベーン24がハウジング22に衝突しない程度のトルク変動の大きさに基づいて設定されている。すなわち、上記の基準値は、トルク変動の大きさがその基準値未満であれば、低圧制御を実行していてもベーン24がハウジング22に衝突しなくいことが保証されるように、その大きさが設定されている。
【0072】
ステップS100においてトルク変動が基準値よりも大きい旨の判定がなされた場合(ステップS100:YES)には、ステップS300へと進み、電子制御装置100は低圧制御の実行を禁止する。すなわち、トルク変動が基準値よりも大きい旨の判定がなされた場合には、図4に示した切り替えマップを参照することにより、現在の運転状態が低圧制御領域に属していることが判定された場合であっても、低圧制御を実行せずにそのまま高リリーフ圧状態を保持するようにする。
【0073】
一方、ステップS100においてトルク変動が基準値以下である旨の判定がなされた場合(ステップS100:NO)には、ステップS200へと進み、電子制御装置100は上述したように図4に示した切り替えマップを参照して通常の制御を実行する。
【0074】
このように本実施形態の電子制御装置100にあっては、機関運転中に図5に示されるルーチンを繰り返し実行することにより、トルク変動が基準値よりも大きいときに低圧制御の実行を禁止するようにしている。
【0075】
次に上記のように構成された電子制御装置100の作用について説明する。
内燃機関のトルク変動が基準値よりも大きいときには低圧制御の実行が禁止されるようになる。そのため、トルク変動が基準値よりも大きいときにはバルブタイミング変更機構200における各油圧室26,27内の油圧が低圧制御を実行する場合と比較して高めに維持されるようになる。
【0076】
これにより、上記の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)低圧制御を実行する場合と比較して高めに維持された各油圧室26,27内の油圧によってロータ23の相対回動が抑制され、トルク変動の影響によってバルブタイミング変更機構200のベーン24がハウジング22に衝突してしまうことを抑制することができる。したがって、ベーン24がハウジング22に衝突することによる異音の発生や、バルブタイミング変更機構200の耐久性の低下を抑制することができる。
【0077】
(2)トルク変動が生じた場合には、内燃機関のクランクシャフトの回転速度である機関回転速度NEが変化する。これに対して上記実施形態にあっては、単位時間当たりの機関回転速度NEの変化量が基準とする変化量よりも大きいときに、トルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する構成を採用している。そのため、機関回転速度NEの変化量を監視することにより、トルク変動が基準値よりも大きい旨を容易に判定することができる。
【0078】
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては単位時間毎の機関回転速度NEの変化率に基づいて単位時間当たりの機関回転速度NEの変化量を推定する構成を示したが、単位時間当たりの機関回転速度NEの変化量は、単位時間毎の機関回転速度NEの差に基づいて推定することもできる。そのため、単位時間毎の機関回転速度NEの差が基準とする値よりも大きいときにトルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する構成を採用することもできる。
【0079】
・オイルの温度が高いときほど、オイルの粘性が低くなり、トルク変動の影響によってロータ23が相対回動しやすくなる。そのため、オイルの温度が高いときほどトルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する際の機関回転速度NEの変化量の閾値である「基準とする変化量」を小さくする構成を採用すれば、オイルの温度が高く、ロータ23が相対回動しやすいときほど、トルク変動が小さい状態から低圧制御が禁止されるようになる。したがって、上記実施形態の構成に加えて、オイルの温度が高いときほど上記の「基準とする変化量」を小さくする構成を採用すれば、上記の(1)及び(2)の効果に加えて下記の(3)の効果を得ることができるようになる。
【0080】
(3)オイルの粘性が低く、トルク変動の影響によってロータ23が相対回動しやすくなっているときであっても、ベーン24がハウジング22に衝突してしまうことを好適に抑制することができる。
【0081】
・また、内燃機関の各部を循環しているオイルの温度は、機関温度が高いときほど、高くなる。これに対して、機関冷却水温THWは機関温度と高い相関を有しているため、オイルの温度は、機関冷却水温THWに基づいて推定することが望ましい。
【0082】
機関冷却水温THWは機関温度を推定するための指標として広く用いられているため、多くの内燃機関には水温センサ103が設けられている。そのため、オイルの温度を機関冷却水温THWに基づいて推定する構成を採用すれば、水温センサ103によって検出される機関冷却水温THWに基づいてオイルの温度を推定することにより、オイルの温度を検出するための油温センサを新たに設けることなく、オイルの温度を推定することができるようになる。
【0083】
・機関冷却水温THWが低いときほど、機関温度が低いことが推定されるため、内燃機関の内部を循環するオイルの温度も低いことが予想される。そのため、機関冷却水温THWに基づいてオイルの温度を推定する上では、機関冷却水温THWが低いときほどオイルの温度が低い旨を推定する構成を採用することが望ましい。
【0084】
尚、機関冷却水温THWに加えて、内燃機関における燃焼によって発生する熱量を推定する値として、燃料噴射量Qの積算値や吸入空気量GAの積算値等を参照し、これらの値に基づいてオイルの温度を推定する構成を採用することもできる。
【0085】
・もちろんオイルの温度を直接検出する油温センサを設け、オイルの温度を直接検出する構成を採用することもできる。
・上記実施形態にあっては、デューティー比が大きくなるほど進角用油圧室26へのオイルの供給量が増大するように構成されたオイルコントロールバルブ300を示したが、本願発明はこうした構成のオイルコントロールバルブ300を備えるものに限定されるものではない。
【0086】
例えば、上記の実施形態とは反対にデューティー比が小さくなるほど進角用油圧室26へのオイルの供給量が増大するように構成されたオイルコントロールバルブを備える内縁機関を制御する制御装置として本願発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0087】
12…カムシャフト、21…スプロケット、22…ハウジング、23…ロータ、24…ベーン、25…収容室、26…進角用油圧室、27…遅角用油圧室、40…オイルポンプ、41…供給通路、42…オイルパン、43…還流通路、44…進角用通路、45…遅角用通路、46…排出通路、50…リリーフバルブ、51…スリーブ、51a…底面、51b…頂面、52…リリーフポート、55…弁体、56…スプリング、57…支持部材、58…背圧室、60…油圧切り替えバルブ、61…分岐通路、62…背圧通路、63…ドレン通路、100…電子制御装置、101…クランク角センサ、102…カムポジションセンサ、103…水温センサ、104…エアフロメータ、105…アクセルポジションセンサ、200…バルブタイミング変更機構、300…オイルコントロールバルブ、400…オイル循環システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要部へのオイルの循環量を低減させる低圧制御を実行することのできるオイル循環システムと、供給されるオイルの油圧を利用してバルブタイミングを変更する油圧駆動式のバルブタイミング変更機構とを備え、前記需要部におけるオイルの需要が少ないときに前記低圧制御を実行して内燃機関に作用するオイルポンプの駆動負荷を低減させる内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関のトルク変動の大きさを監視し、トルク変動が基準値よりも大きいときには前記低圧制御の実行を禁止する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
単位時間当たりの機関回転速度の変化量が基準とする変化量よりも大きいときに、トルク変動が基準値よりも大きい旨を判定する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【請求項3】
オイルの温度が高いときほど前記基準とする変化量を小さくする
請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
オイルの温度を機関冷却水温に基づいて推定する
請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
機関冷却水温が低いときほどオイルの温度が低い旨を判定する
請求項4に記載の内燃機関の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−136947(P2012−136947A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287874(P2010−287874)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】