説明

内燃機関の自動停止・始動装置

【課題】電力消費の少ない簡単な構成によって内燃機関を確実に再始動できるようにして、バッテリの小型化と製品コストの低減を図ることのできる内燃機関の自動停止・始動装置を提供する。
【解決手段】クランク軸16の回転によって力を蓄える発条装置43を設ける。エンジン10の再始動時には、発条装置43の蓄力を解放してクランク軸16を回転させる。発条装置43の蓄力状態を検出する蓄力センサ79を設ける。ECU70は、蓄力センサ79によって検出される蓄力が充分であることを少なくとも一つの停止許可条件として、エンジン10を自動停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両運転中に内燃機関の停止許可条件が成立したときに内燃機関を自動停止させ、その後に再始動許可条件が成立したときに内燃機関を再始動させる内燃機関の自動停止・始動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、信号待ち等の一時停止時に内燃機関を自動停止することで、燃料の節約及び排出ガスの低減を図るようにした内燃機関の自動停止・始動装置(アイドルストップ制御装置)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の内燃機関の自動停止・始動装置においては、車両の速度やスロットル開度、変速ギヤ段等が所定の停止許可条件を満たすようになると、内燃機関を自動的に停止し、その後にスロットル操作等によって運転者の再発進の意思が検知されると、スタータモータを作動させて内燃機関を再始動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−57435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の内燃機関の自動停止・始動装置では、内燃機関の再始動をスタータモータで行うため、バッテリの電力消費が大きく、バッテリの容量を確保しようとすると、バッテリが大きくなり易いうえ、始動のためのスタータモータを設けることが必須となり、製品コストも高価になり易い。
特に、自動二輪車のように車両スペースが限られている車両においては、バッテリをできる限り小型化することが望まれている。
【0006】
そこでこの発明は、電力消費の少ない簡単な構成によって内燃機関を始動できるようにして、バッテリの小型化と製品コストの低減を図ることのできる内燃機関の自動停止・始動装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る内燃機関の自動停止・始動装置では、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
請求項1に係る発明は、車両運転中に内燃機関(10)の停止許可条件が成立したときに前記内燃機関(10)を自動的に停止させ、その後に前記内燃機関(10)の再始動許可条件が成立したときに前記内燃機関(10)を再始動させる制御装置(70)を備えた内燃機関の自動停止・始動装置であって、クランク軸(16)の回転によって力を蓄えるとともに、前記内燃機関(10)の始動時に蓄力を解放することによって前記クランク軸(16)を回転させる蓄力装置(43)と、前記蓄力装置(43)の蓄力状態を検出する蓄力状態検出手段(79)と、を備え、前記制御装置(70)は、前記蓄力状態検出手段(79)によって検出された蓄力が所定以上であることを前記停止許可条件の少なくとも一つとして、前記内燃機関(10)を自動停止させることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記蓄力装置(43)は、車両のブレーキ装置の制動操作時に前記クランク軸(16)の回転によって力を蓄えることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間には、前記ブレーキ装置の制動操作が行われていないときと、前記蓄力装置(43)の蓄力が前記所定以上になったときに、前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間の動力伝達を遮断し、前記ブレーキ装置の制動操作が行われ、かつ前記蓄力装置(43)の蓄力が前記所定以上に達しないときに、前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間を接続する断接装置(55)が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記断接装置は、前記蓄力装置の蓄力が前記所定以上となったときは、前記ブレーキ装置の制動操作が行われている場合であっても、前記蓄力装置とクランク軸との間の動力伝達を遮断することを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記断接装置(55)は、前記クランク軸(16)とともに回転するクランク側係合部材(58)と、前記蓄力装置(43)の蓄力の蓄え動作に連動して回転する蓄力側係合部材(59)と、前記ブレーキ装置の操作に連動して制動操作時に前記クランク側係合部材(58)を動力接続方向に変位させる第1の断接操作機構(60)と、前記蓄力装置(43)の蓄力の増大に応じて前記蓄力側係合部材(59)を動力遮断方向に変位させる第2の断接操作機構(61)と、を備えて成ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記蓄力状態検出手段(79)は、前記蓄力側係合部材(59)の変位に基づいて前記蓄力装置(43)の蓄力状態を検出することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、記蓄力装置(43)の蓄力を保持する蓄力保持手段(47)と、運転者によるクラッチ(12)の接続解除操作を検出するクラッチ操作検出手段(78)と、を備え、前記制御装置(70)は、前記内燃機関(10)の自動停止状態において、前記クラッチ操作検出手段(78)が前記クラッチ(12)の接続解除操作を検出したときに、前記蓄力保持手段(47)による蓄力の保持を解除して、前記内燃機関(10)を始動させることを特徴とするものである。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項1〜7に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、記蓄力装置(43)には、蓄力によって回転する回転軸(44)が設けられ、前記回転軸(44)には、クランク軸側の入力ギヤ(68)から離反する方向にばね付勢され、当該回転軸(44)の回転によって前記入力ギヤ(68)方向に移動して当該入力ギヤ(68)と噛合する飛び込み式ギヤ(66)が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項5または6に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記蓄力装置(43)には、前記クランク軸(16)と同軸であって蓄力によって回転する回転軸(44)が設けられ、前記蓄力装置(43)の本体部(45)は、前記回転軸(44)における前記クランク軸(16)側の端部と逆側の端部寄りに配置され、前記クランク軸(16)上のクランクウェブ(23)よりも前記回転軸(44)側寄りには、駆動ギヤ(28)が設けられ、前記駆動ギヤ(28)と噛合する従動ギヤ(56)と前記クランク側係合部材(58)とを有する第1巻上げ軸(54)と、前記蓄力側係合部材(59)を有する第2巻上げ軸(48)と、が前記クランク軸(16)と平行に、かつ前記クランクウェブ(23)と前記蓄力装置(43)の本体部(45)との間の軸方向領域に設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10に係る発明は、請求項9に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記クランク軸(16)の駆動ギヤ(28)は、変速機(11)に動力を伝達する出力ギヤを兼ねることを特徴とするものである。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項9または10に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記変速機(11)のメイン軸(29)が前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも車両後方側に配置され、前記第1巻上げ軸(54)と第2巻上げ軸(48)とが前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも車両前方側に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項12に係る発明は、請求項11に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記第1巻上げ軸(54)と第2巻上げ軸(48)とがさらに前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも上方に配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項1〜9に係る内燃機関の自動停止・始動装置において、前記蓄力装置(43)は、金属ばねによって力を蓄える発条装置によって構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によれば、クランク軸の回転力を蓄力装置に蓄え、蓄力装置による蓄力が所定以上であることを停止許可条件の少なくとも一つとして内燃機関を自動停止させるとともに、内燃機関の始動時には、蓄力装置の蓄力を解放することによってクランク軸を回転させるため、スタータモータを用いる場合に比較して電力消費を大幅に削減し、バッテリの小型化と製品コストの低減を図ることができる。
また、この発明によれば、蓄力装置による蓄力が所定以上であることを停止許可条件の少なくとも一つとして内燃機関を自動停止させるため、内燃機関を始動できるだけの充分な力が蓄力装置に蓄えられていない状態において、内燃機関が自動停止するのを未然に防止することができる。したがって、この発明によれば、内燃機関の始動性を高めることもできる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、ブレーキ装置の制動操作時に、蓄力装置がクランク軸の回転によって力を蓄えるため、定速走行や加速時に蓄力の蓄え動作が行われるのを防ぐことを可能としながら、車両の停止前に予め蓄力装置に力を蓄えることができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、蓄力装置の蓄力が所定以上でない状況で、ブレーキ装置の制動操作が行われると、断接装置が蓄力装置とクランク軸を接続して、クランク軸の回転によって蓄力装置に蓄力の蓄え動作を行い、その状態から蓄力装置の蓄力が所定以上になると、断接装置が蓄力装置とクランク軸の間を遮断して、クランク軸による蓄力の蓄え動作を停止させることができる。したがって、この発明によれば、蓄力装置の過剰な蓄力の蓄え動作を防止することができるとともに、ブレーキ装置の非操作時や、蓄力装置が充分に蓄力された状態での、不要なフリクションの増大を抑制することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、蓄力が十分に蓄えられている状態においては、ブレーキ装置が操作されても動力伝達を遮断するので、不要なフリクションの増大、及び蓄力装置の過剰な蓄力の蓄え動作を防止することができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、断接装置が、クランク軸とともに回転するクランク側係合部材と、蓄力装置の蓄力の蓄え動作に連動して回転する蓄力側係合部材と、ブレーキ装置の操作に連動して制動操作時にクランク側係合部材を動力接続方向に変位させる第1の断接操作機構と、蓄力の増大に応じて蓄力側係合部材を動力遮断方向に変位させる第2の断接操作機構と、を備えた構成とされているため、センサや制御装置を用いない簡単な構成でありながら、蓄力装置の過剰な蓄力の蓄え動作を防止し、かつブレーキ装置が非操作時であるときと、蓄力装置が充分に蓄力されているときにおける不要なフリクションの増大を防止することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、蓄力状態検出手段が、蓄力側係合部材の変位に基づいて蓄力状態を検出する構成とされているため、極めて簡単な構成によって蓄力装置の蓄力状態を検出することができる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、内燃機関の自動停止状態において、クラッチが運転者によって遮断操作されたことが検出されたときに、蓄力保持手段が蓄力装置の蓄力状態の保持を解除して内燃機関を始動させるため、クラッチによってクランク軸を変速機側と切り離したタイミングで内燃機関を迅速に始動させることができる。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、蓄力装置の回転軸には、クランク軸側の入力ギヤから離反する方向にばね付勢され、当該回転軸の回転によって入力ギヤ方向に移動して当該入力ギヤと噛合する飛び込み式ギヤが設けられているため、蓄力の解放による内燃機関の始動時以外の状況では、飛び込み式ギヤがばねの付勢力によって入力ギヤから離反し、蓄力装置の出力側とクランク軸の間を遮断状態に維持することができる。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、従動ギヤとクランク側係合部材とを有する第1巻上げ軸と、蓄力側係合部材を有する第2巻上げ軸とがクランク軸と平行に、かつクランクウェブと蓄力装置の本体部との間の軸方向領域に設けられているため、蓄力装置の入力側の断接装置の部品をクランク軸回りにコンパクトに配置することができる。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、クランク軸の駆動ギヤが、変速機に動力を伝達する出力ギヤを兼ねるため、部品点数の削減と、クランク軸回りコンパクト化を図ることができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、変速機のメイン軸がクランク軸の回転中心よりも車両後方側に配置され、第1巻上げ軸と第2巻上げ軸とがクランク軸の回転中心よりも車両前方側に配置されているため、クランク軸の前後の重量バランスを良好に保つことができる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、第1巻上げ軸と第2巻上げ軸とがさらに前記クランク軸の回転中心よりも上方に配置されているため、クランク軸の前方側の占有幅を狭め、内燃機関のブロック全体のコンパクト化を図ることができる。
【0032】
請求項13に係る発明によれば、蓄力装置が金属ばねを用いる発条装置によって構成されているため、製造の容易な極めて簡単な構造でありながら、クランク軸の回転力を効率良く蓄力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】同実施形態に係る自動二輪車のパワーユニットの部分断面側面図である。
【図3】同実施形態に係る自動二輪車のパワーユニットの展開断面図である。
【図4】同実施形態に係る自動停止・始動装置の蓄力保持手段(ストッパ)の構成を示す正面図である。
【図5】同実施形態に係る自動停止・始動装置の車両の通常走行時における作動状態を示す概略構成図である。
【図6】同実施形態に係る自動停止・始動装置の蓄力時の作動状態を示す概略構成図である。
【図7】同実施形態に係る自動停止・始動装置の蓄力完了時の作動状態を示す概略構成図である。
【図8】同実施形態に係る自動停止・始動装置のエンジン再始動時の作動状態を示す概略構成図である。
【図9】同実施形態に係る自動停止・始動装置の初期始動時の制御の流れを示すフローチャートである.
【図10】同実施形態に係る自動停止・始動装置の自動停止許可判定の流れを示すフローチャートである。
【図11】同実施形態に係る自動停止・始動装置の自動停止制御の流れを示すフローチャートである。
【図12】同実施形態に係る自動停止・始動装置の再始動制御の流れを示すフローチャートである。
【図13】同実施形態に係る自動停止・始動装置の車両走行時の制御の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(車両構成)
図1は、この実施形態に係る内燃機関の自動停止・始動装置100(図1においては、符号省略。)を採用した自動二輪車1の側面を示す図である。
この自動二輪車1は、車体前後方向の中央にパワーユニット2が搭載され、パワーユニット2の上方に乗員が着座するシート3が設けられ、シート3の前方に燃料タンク4が設けられている。
前輪Wfは、フロントフォーク5に回転可能に支持され、フロントフォーク5の上部に操舵ハンドル6が設けられている。操舵ハンドル6の左側には、クラッチレバー(図1においては、図示省略。)が揺動可能に支持され、操舵ハンドル6の右側には、ブレーキレバーとスロットルグリップ(いずれも図示せず。)が配置されている。また、後輪Wrは、スイングアーム7を介して車体フレームに揺動可能に支持されている。
【0035】
(パワーユニット)
図2は、パワーユニット2の模式的な部分断面側面図であり、図3は、パワーユニット2の展開断面図である。なお、図2において、矢印FRは、車両の前方を指し、矢印UPは、車両の上方を指すものとする。
パワーユニット2は、内燃機関であるレシプロ式のエンジン10と、多段式の変速機11が一体ブロックとして構成され、エンジン10と変速機11がミッションクラッチ12を介して動力伝達可能とされている。
【0036】
エンジン10は、シリンダブロック13のシリンダボア内にピストン14が摺動自在に嵌装され、ピストン14がコンロッド15を介してクランク軸16に連結されている。クランク軸16は、シリンダブロック13の下端に一体に結合されたユニットケース17に軸受18を介して回転可能に支持されている。また、シリンダブロック13の上部には、ピストン14との間で燃焼室19を形成するシリンダヘッド20が取り付けられている。
なお、図3中21は、燃焼室19内に臨むようにシリンダヘッド20に設置された点火装置であり、22は、シリンダヘッド20の上部に設けられ、クランク軸16と連動して図示しない吸排気バルブを開閉駆動する動弁装置である。また、同図中23は、クランク軸13上のコンロッド15との連結部(クランクピン)の軸方向両側に設けられたクランクウェブである。
【0037】
クランク軸16の軸方向の一端部(図3の紙面右側の端部)の外周(クランクウェブ23よりも軸方向外側寄りの外周)には、ミッションクラッチ12の入力ギヤ27と噛合する出力ギヤ28(駆動ギヤ)が一体に結合されている。
また、クランク軸16の軸方向の他端側(図3の紙面左側)には、エンジン10のクランク軸16の回転によって発電を行う交流発電機24が設けられている。
【0038】
また、ユニットケース17内のクランク軸16の回転中心Oよりも車両後方側位置には、図2にも示すように、変速機11のメイン軸29とカウンタ軸30がクランク軸16と平行に設けられている。メイン軸29とカウンタ軸30はそれぞれ軸受31,32を介してユニットケース17内に回転可能に支持され、メイン軸29はクランク軸16の車両後方側に隣接する位置に配置され、カウンタ軸30はメイン軸29の車両後方側に隣接する位置に配置されている。
【0039】
変速機11のメイン軸29上にはメイン変速ギヤ群M1が配設され、カウンタ軸30上にはメインギヤ群M1と噛合するカウンタギヤ群M2が配設されている。メイン軸29の軸方向の一端部には前記のミッションクラッチ12が設けられ、カウンタ軸30の軸方向の他端部には出力スプロケット33が取り付けられている。出力スプロケット33には動力伝達用のチェーン34が掛け回され、そのチェーン34を介してカウンタ軸30の回転が駆動輪である後輪Wrに伝達されるようになっている。
変速機11では、ユニットケース17内に設けられた図示しないシフトドラムの回動操作によってメインギヤ群M1とカウンタギヤ群M2の駆動伝達ギヤが選択され、それによってニュートラルを含む任意の変速ギヤ段(ギヤポジション)が設定される。
【0040】
ミッションクラッチ12は、入力ギヤ27とともにメイン軸29に回転可能に支持された有底円筒状のクラッチアウタ35と、メイン軸29にスプライン嵌合された略円盤状のクラッチインナ36と、クラッチアウタ35に一体回転可能に係止された複数の駆動摩擦板37と、クラッチインナ36に一体回転可能に係止され駆動摩擦板37と摩擦接触する複数の従動摩擦板38と、駆動摩擦板37と従動摩擦板38を圧接方向に付勢するクラッチスプリング39と、駆動摩擦板37と従動摩擦板38の間に作用するクラッチスプリング39の付勢力を解除操作する操作板40と、を備えている。
【0041】
クラッチアウタ35側の駆動摩擦板37とクラッチインナ36側の従動摩擦板38は、軸方向に交互に配置され、クラッチスプリング39の付勢力を受けて相互に押し付けられることにより、クラッチアウタ35とクラッチインナ36の間の動力伝達を可能し、操作板40によってクラッチスプリング39の付勢力が解除操作されることにより、クラッチアウタ35とクラッチインナ36の間の動力伝達を遮断する。
【0042】
また、操作板40は、操舵ハンドル6上のクラッチレバー25(図5参照。)と連動するリンク部材41によって軸方向に進退操作され、クラッチレバー25が把持操作されたときに、駆動摩擦板37と従動摩擦板38の間に作用するクラッチスプリング39の付勢力を解除し、それによってクランク軸16とメイン軸29の間の動力伝達を遮断する。なお、図3中42は、リンク部材41と操作板40の間に介装されたレリーズベアリングである。
【0043】
(自動停止・始動装置)
ユニットケース17内のクランク軸16の軸方向の一端部(図3の紙面右側の端部)に臨む位置には、蓄力装置の一形態である発条装置43が設置されている。
発条装置43は、ユニットケース17に一体に固定されたケーシング(図示省略。)と、ケーシング内に収容されたゼンマイばね(図示省略。)と、ケーシングの軸心部に回転可能に配置された回転軸44と、を備え、ゼンマイバネの外周側の端部がケーシングに固定され、内周側の端部が回転軸44に固定されている。この発条装置43は、回転軸44を外力によって一方向に回転させることにより、ゼンマイばねに回転力を蓄え、その状態からゼンマイばねの蓄力を解放することにより、回転軸44を逆方向に回転させる。
なお、図面においては、発条装置43のケーシングとゼンマイばねの具体的な形状等は示していないが、ケーシングとゼンマイばねを含む発条装置43の回転軸44以外の主要部分を本体部として、符号45を付してある。
【0044】
発条装置43の回転軸44は本体部45を軸方向に貫通し、クランク軸16と同軸に配置されている。本体部45を境にして回転軸44におけるクランク軸16側に突出する領域の外周面には、従動スプロケット46が一体に取り付けられ、本体部45を境にして回転軸44におけるクランク軸16側と逆側に突出する領域の端部の外周には、ラチェット式のストッパ47(蓄力保持手段)が設けられている。なお、回転軸44の本体部45からの突出長さは、クランク軸16方向の突出長さが逆方向の突出長さよりも長く設定されている。したがって、本体部45は、回転軸44におけるクランク軸16側の端部と逆側の端部寄りに配置されている。
【0045】
従動スプロケット46は、後述する第2巻き上げ軸48にチェーン49を介して連動回転可能に接続され、第2巻上げ軸48の回転力によって回転軸44を回転させるようになっている。発条装置43は、このときの回転軸44の回転によってゼンマイばねに蓄力する。
【0046】
発条装置43は、クランク軸16の通常回転方向と逆方向に回転軸44が回転するときにゼンマイばねに力を蓄えるように設定されている。以下では、クランク軸16の通常回転方向と逆方向の回転軸44の回転方向を「巻き上げ方向」と呼び、それと逆方向、つまりクランク軸16の通常回転方向と同方向の回転軸44の回転方向を「解放方向」と呼ぶものとする。
【0047】
図4は、蓄力保持手段であるストッパ47を正面から(回転軸44の軸方向から)見た図であり、図5は、エンジン10の自動停止・始動装置100の概略的な構成図である。
これらの図にも示すように、ストッパ47は、回転軸44の外周面に突設された複数のラチェット爪50と、回転軸44の軸方向と略直交する方向に進退自在に設けられ、ラチェット爪50と回転軸44の回転方向で当接するリリースピン51と、リリースピン51を回転軸44方向に付勢する付勢ばね52(図5参照。)と、リリースピン51を後退させてラチェット爪50との当接を解除するソレノイド53(図5参照。)と、を備えている。
【0048】
ラチェット爪50は、ソレノイド53が励磁されていない状態において、回転軸44が巻き上げ方向に回転しようとするときに、リリースピン51を付勢ばね52の力に抗して後退方向に押し上げることにより、回転軸44の巻き上げ方向の回転を許容し、回転軸44が解放方向に回転しようとするときには、リリースピン51の側面と当接することにより、回転軸44の解放方向の回転を阻止するようになっている。
したがって、ストッパ47は、発条装置43の回転軸44が巻き上げ方向の回転力を受けてゼンマイばねに蓄力した後に、巻き上げ方向の外力が解除され、若しくは、低下した場合には、リリースピン51の側面がラチェット爪50と当接することでゼンマイばねの蓄力を保持することができる。
ソレノイド53は、発条装置43が蓄力された状態で、励磁されることにより、リリースピン51を強制的に後退させ、それによってゼンマイばねの蓄力を解放して回転軸44を解放方向に回転させる。
【0049】
また、ユニットケース17内の、クランク軸16の軸方向の一端側で、同クランク軸16の車体前方、かつ上方側の領域(図2参照)には、クランク軸16と平行に第1巻上げ軸54と上記の第2巻上げ軸48とが配置されている。第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48は、それぞれユニットケース17内に回転可能に支持されている。そして、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48は、同軸に、かつ第1巻上げ軸54側が第2巻上げ軸48よりもクランクウェブ23寄り(軸方向内側)となるように配置されている。
【0050】
第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48の対向する側の端部間には、両軸54,48を接続状態と遮断状態とに切り換えるための断接装置55が設けられている。第1巻上げ軸54の断接装置55と逆側の端部には、クランク軸16上の出力軸28と常時噛合される従動ギヤ56が一体に設けられ、第1巻上げ軸54がクランク軸16と連動して相反方向に回転するようになっている。また、第2巻上げ軸48の断接装置55と逆側の端部には、前記のチェーン49が掛け回される駆動スプロケット57が一体回転可能に設けられ、発条装置43の回転軸44がチェーン49を介して第2巻上げ軸48と連動回転するようになっている。なお、第2巻上げ軸48と回転軸44とは、チェーン49による連動により、常時同方向に回転する。
【0051】
断接装置55は、第1巻上げ軸54に軸方向変位可能にスプライン係合された駆動側噛み合いリング58(クランク側係合部材)と、第2巻上げ軸48に軸方向変位可能にスプライン係合された従動側噛み合いリング59(蓄力側係合部材)と、車両のブレーキ装置(図示せず)の操作に連動して制動操作時に駆動側噛み合いリング58を従動側噛み合いリング59方向にスライド変位させるブレーキ連動レバー60(第1の断接操作機構)と、発条装置43の蓄力状態に連動して、発条装置43の蓄力の増大に応じて従動側噛み合いリング59を駆動側噛み合いリング58から離反する方向に変位させるカム機構61(第2の断接操作機構)と、を備えている。
【0052】
駆動側噛み合いリング58と従動側噛み合いリング59は相互の対向面に噛み合い部を有し、両者が近接方向に操作されて噛み合うことにより、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48を一体回転可能に接続する。また、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48は、駆動側噛み合いリング58と従動側噛み合いリング59が離反方向に操作されることにより、動力遮断状態とされる。なお、駆動側噛み合いリング58は、従動側噛み合いリング59から離反する方向にスプリング62(図3参照。)によって付勢され、外部から操作力の加えられない初期状態では従動側噛み合いリング59から離反している(動力遮断状態とされている)。
【0053】
ブレーキ連動レバー60は、駆動側噛み合いリング58の背部側でユニットケース17に揺動可能に支持されており、ブレーキ装置が制動方向に操作されたときに、駆動側噛み合いリング58を従動側噛み合いリング59方向にスライド変位させる。
【0054】
カム機構61は、従動側噛み合いリング59に一体回転可能に結合された移動カム部材63と、ユニットケース17側に一体に設けられ、移動カム部材63が常時当接するカム面64と、を備え、移動カム部材63が第2巻上げ軸48と一体に回転するときに、カム面64のプロフィールにしたがって従動側噛み合いリング59を軸方向に変位させるようになっている。
なお、図3においては、カム機構61を模式的に示しているが、カム機構61は、従動側噛み合いリング59が駆動側噛み合いリング58方向に最大に変位した初期状態から、移動カム部材63と従動側噛み合いリング59がクランク軸16の通常回転方向と逆方向に所定角度(例えば、5〜6周)回転したときに、駆動側噛み合いリング58との係合が確実に外れる位置まで従動側噛み合いリング59を軸方向(カム面64側)に変位させるようになっている。また、従動側噛み合いリング59がカム面64方向に最大に変位した状態では、ブレーキ装置が制動方向に操作されてブレーキ連動レバー60によって駆動側噛み合いリング58を従動側噛み合いリング59方向にスライド変位させても、従動側噛み合いリング59とは係合できないような位置関係となるように、従動側噛み合いリング59のカム面64方向への変位量が設定されている。
第2巻上げ軸48は、上述のようにチェーン49を介して発条装置43の回転軸44と同方向に一体に回転するため、従動側噛み合いリング59の軸方向の移動位置は回転軸44の回転位置に応じたものとなる。そして、発条装置43の回転軸44の回転位置はゼンマイばねによる蓄力状態に略比例するため、従動側噛み合いリング59の軸方向の移動位置は、発条装置43の蓄力状態に応じたものとなる。
【0055】
なお、従動ギヤ56と駆動側噛み合いリング58を支持する第1巻上げ軸54と、従動側噛み合いリング59を保持する第2巻上げ軸48とは、図3に示すように、クランク軸16と平行に、かつクランク軸16上のクランクウェブ23と発条装置43の本体部45との間の軸方向領域に配置されている。また、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48とは、図2に示すように、クランク軸16の回転中心Oに対して、車両前方、かつ上方側となる位置に配置されている。
【0056】
また、発条装置43の回転軸44とクランク軸16の対向する側の端部間には、発条装置43の回転軸44が解放方向に回転するときにのみ、回転軸44とクランク軸16を一体回転可能に接続する断接装置65が設けられている。
断接装置65は、回転軸44に軸方向変位可能にスプライン係合された駆動側噛み合いリング66と、この駆動側噛み合いリング66をクランク軸16から離反する方向に付勢するスプリング67(図3参照。)と、クランク軸16の端部に一体に固定された従動側噛み合いリング68(入力ギヤ)と、を備えている。駆動側噛み合いリング66と従動側噛み合いリング68の相互に対向する面には噛み合い部が設けられ、駆動側噛み合いリング66が従動側噛み合いリング68方向に所定ストローク変位したときに、両者の噛み合い部が噛み合うようになっている。
駆動側噛み合いリング66は、同リング66が回転軸44を介して発条装置43から解放方向の回転力を受けたときに、回転軸44と一体に回転しつつクランク軸16方向に飛び出し、従動側噛み合いリング68と噛合する飛び込み式ギヤとなっている。
【0057】
ここで、断接装置55,65と発条装置43の作動について、図5〜図8を参照して説明する。なお、図5は、自動停止・始動装置100の車両の通常走行時(ブレーキ装置が制動操作されているときと、発条装置43が蓄力されているときを除く。)における作動状態を示し、図6は、自動停止・始動装置100の蓄力時の作動状態、図7は、自動停止・始動装置100の蓄力完了時の作動状態、図8は、自動停止・始動装置100のエンジン再始動時の作動状態を示している。
発条装置43が蓄力されていない状態で車両が通常に走行しているときには、図5に示すように、ブレーキ装置が制動操作されていなければ、ブレーキ連動レバー60が後退状態にあり、断接装置55の駆動側噛み合いリング58が従動側噛み合いリング59に対して離反し、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48とが遮断状態とされている。このため、第1巻上げ軸54はクランク軸16と連動回転しているが、その回転は第2巻上げ軸48や発条装置43には伝達されることがない。また、このとき発条装置43の回転軸44は非回転となっているため、断接装置65は遮断状態に維持されている。
【0058】
次に、この状態からブレーキ装置が制動操作されると、図6に示すように、ブレーキ連動レバー60が断接装置55方向に前進操作され、駆動側噛み合いリング58を従動側噛み合いリング59方向に移動させる。これにより、断接装置55が接続状態に切り換わり、クランク軸16と連動する第1巻上げ軸54の回転が第2巻上げ軸48に伝達され、さらにその回転がチェーン49を介して発条装置43の回転軸44に巻上げ方向の回転として伝達される。この結果、発条装置43には回転力が蓄えられる。
【0059】
こうして、断接装置55の従動側噛み合いリング59が第2巻上げ軸48とともに所定角度回転すると、図7に示すように、カム機構61の作用によって従動側噛み合いリング59が駆動側噛み合いリング58から離反し、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48の間が再び遮断状態とされる。このとき、発条装置43は、ストッパ47によって解放方向の回転が規制され、充分に蓄力された状態が保持されている。
【0060】
この状態からエンジン10が停止し、その後にソレノイド53が励磁されると、図8に示すように、ストッパ47が解除されることにより、発条装置43のゼンマイばねが解放されて、回転軸44が急激に解放方向に回転する。この結果、回転軸44上の駆動側噛み合いリング66が前方に飛び出してクランク軸16上の従動側噛み合いリング68と噛合され、発条装置43の回転軸44の回転がクランク軸16に伝達されることになる。エンジン10は、このクランク軸16の回転によって駆動されることとなる。
【0061】
ところで、この自動二輪車1におけるエンジン10の始動と停止は、基本的に、運転者によるメインキースイッチ(図示せず)のON・OFFとキックスタータ(図示せず)の操作によって行うことができるが、車両運転中にエンジン10の停止許可条件が成立したときには、運転者による操作とは別に図5〜図8に示すECU70(Electrical Control Unit)がエンジン10を自動的に停止させ、その後にエンジン10の再始動許可条件が成立したときにエンジン10を自動的に再始動させるようになっている。ただし、車両には、ECU70によるエンジン10の自動停止と再始動を行うか否か(アイドルストップモード制御を行うか否か)を乗員が選択するアイドルストップ・スイッチ71が設けられており、アイドルストップ・スイッチ71が押されたときにのみECU70によるエンジン10の自動停止と再始動の制御が実行されるようになっている。
【0062】
図5〜図8に示すように、ECU70の入力側には、エンジン10の回転速度を検出するクランク角センサ72と、エンジン10の暖気状態を検出する温度センサ73と、変速器11の変速状態がニュートラルであることを検出するニュートラルスイッチ74と、スロットルバルブ75の開度を検出するスロットルセンサ76と、車両の走行速度を検出する速度センサ77と、が接続されている。また、さらにECU70の入力側には、ミッションクラッチ12の断接操作状態を検出するクラッチスイッチ78(クラッチ操作検出手段)と、発条装置43の蓄力状態を検出する蓄力センサ79(蓄力状態検出手段)とが接続されている。
【0063】
蓄力センサ79は、第2巻上げ軸48上を軸方向に変位する従動側噛み合いリング59が所定の軸方向位置まで後退したか否かを検出する位置検出スイッチによって構成されている。従動側噛み合いリング59は、前述のようにカム機構61を介して発条装置43の蓄力状態に応じた軸方向位置に変位するように構成されているため、蓄力センサ79は、従動側噛み合いリング59の軸方向位置に基づいて発条装置43の蓄力状態を検出することができる。
【0064】
一方、ECU70の出力側には、エンジン10の点火装置21とインジェクタ80が接続されており、エンジン10の自動停止許可条件が成立したときに、点火装置21の停止とインジェクタ80による燃料噴射を停止し、エンジン10の再始動許可条件が整ったときに、点火装置21の点火とインジェクタ80による燃料噴射を再開するようになっている。また、ECU70の出力側には、発条装置43がエンジン10の再始動を行うのに充分な蓄力状態であるときに点灯するスタンバイインジケータ81と、ストッパ47のリリースピン51を解除操作するためのソレノイド53が接続されている。
【0065】
以下、エンジン10の初期始動時の制御と、エンジン10の自動停止と再始動の制御について図9〜図12のフローチャートに沿って説明する。
図9は、エンジン10の初期始動時の制御を示すフローチャートである。
図9のステップS101においては、メインキースイッチがONになったか否かを判定し、ONの場合には次のステップS102に進み、OFFの場合にはリターンする。
ステップS102においては、車速履歴フラグF_VPSISに0を代入して初期化する。この車速履歴フラグF_VPSISは、メインキースイッチをONにした後に車両速度が少なくとも1度所定速度以上(例えば、3km/h以上)になったか否かを記憶する判定フラグであり、後のエンジン10の自動停止の許可判定で用いられる。
次のステップS103においては、ゼンマイ巻上げフラグF_ZENMが1(巻上げ完了)であるか否かを判定し、1の場合には、次のステップS104に進んでスタンバイインジケータ81を点滅させ、1でない場合にはリターンする。
つづくステップS105においては、変速器11の変速段がニュートラル状態であるか否かを判定し、ニュートラル状態の場合には次のステップS106に進み、ニュートラル以外の変速段である場合にはリターンする。
ステップS106においては、操舵ハンドル6に設けられた図示しない始動スイッチがON操作されたか否かを判定し、ON操作されている場合には次のステップS107に進み、ON操作されていない場合にはリターンする。
ステップS107では、点火装置21による点火とインジェクタ80による燃料供給とともに、発条装置43のストッパ47をソレノイド53の励磁によって解除し、発条装置43の蓄力を解放してクランク軸16を回転させることにより、エンジン10を始動させる。
なお、発条装置43で充分に蓄力されていない場合には、発条装置43によるエンジン10の始動を行うことができないため、その場合には運転者がキックスタータによってエンジン10を始動させる。
【0066】
図10は、エンジン10の自動停止の許可判定の処理の流れを示すフローチャートである。
図10のステップS201においては、アイドルストップ・スイッチ71がONになっているか否か(自動停止モードになっているか否か)を判定し、ONの場合には、次のステップS202に進んでアイドルストップフラグF_ISSWを1に変え、OFFの場合にはリターンする。
つづくステップS203においては、車速履歴フラグF_VPSISが1であるか否か、つまり少なくとも一度車両の速度が所定速度以上になったか否かを判定し、ここでYesの場合にはステップS204に進み、Noの場合にはリターンする。ステップS204では、エンジン10の暖気温度TWが所定温度T1以上になったか否かを判定し、ステップS205では、蓄力センサ79や温度センサ73、車速センサ77等を含むセンサ類の故障が無いか否かを判定し、ステップS206では、ヘッドライトスイッチがOFFにされているか否かを判定する。そして、ステップS203〜S206の判定がすべてYesの場合にはステップS207に進み、いずれかがNoの場合にはリターンする。
ステップS207においては、アイドルストップ許可フラグF_ISPMTを1にする。
なお、ステップS206で、ヘッドライトスイッチがOFFにされているか否かを判定するのは、夜間等の周囲が暗い状況下でヘッドライトスイッチがONになっているときに、エンジン10が自動停止して、それ伴ってヘッドライトが消灯するのを未然に防止するためである。
【0067】
図11は、エンジン10の自動停止制御の流れを示すフローチャートである。
図11のステップS301においては、アイドルストップ許可フラグF_ISPMTが1であるか否か、つまり、エンジン10の自動停止許可条件を満たしているか否かを判定し、満たしている場合には、次のステップS302に進み、満たしていない場合にはリターンする。
ステップS302では、車速が0km/hであるか否かを判定し、ステップS303では、スロットルバルブ75が閉じられたか否かを、ステップS304では、変速機11の変速状態がニュートラルであるか否かを、ステップS305では、ミッションクラッチ12がOFF(遮断状態)からON(接続状態)、つまり、クラッチレバー25が握られている状態から放された状態に切り換わったか否かをそれぞれ判定する。これらのステップS302〜S305の判定がすべてYesの場合には、ステップS306に進み、いずれかがNoの場合にはリターンする。
ステップS306では、ゼンマイ巻上げフラグF_ZENMが1であるか否か、つまり、発条装置43の蓄力が充分であるか否かを判定し、蓄力が充分である場合にのみ次のステップS307に進み、充分でない場合にはリターンする。
ステップS307では所定時間(例えば、0.5秒)待機し、その後に次のステップS308において点火装置21の停止と燃料供給の停止を行い、それによってエンジン10を停止する。
ステップS309では、アイドルストップ実行フラグF_IDLSTを1にし、つづくステップS310では、スタンバイインジケータ81を点滅させる。運転者は、このスタンバイインジケータ81の点滅により、エンジン10が自動停止中であることを認識するができる。
【0068】
図12は、エンジン10の自動停止の後の再始動制御の流れを示すフローチャートである。
図12のステップS401においては、アイドルストップ実行フラグF_IDLSTが1であるか否か、つまり、自動停止制御が実行中であるか否かを判定し、実行中の場合には、次のステップS402に進み、実行中でない場合にはリターンする。
ステップS402では、エンジン10が停止しているか否かを判定し、ステップS403では、変速機11の変速状態がニュートラルであるか否かを、ステップS404では、ミッションクラッチ12がON(接続状態)からOFF(遮断状態)、つまり、クラッチレバー25が放されている状態から握った状態に切り換わったか否かをそれぞれ判定する。これらのステップS402〜S404の判定がいずれもYesの場合には、ステップS405に進み、いずれかがNoの場合にはリターンする。
ステップS405では、点火装置21による点火とインジェクタ80による燃料供給とともに、発条装置43のストッパ47をソレノイド53の励磁によって解除し、発条装置43の蓄力を解放してクランク軸16を回転させる。エンジン10は、これにより再始動する。
ステップS406では、アイドルストップ実行フラグF_IDLSTを0にし、つづくステップS407では、スタンバイインジケータ81を消灯する。
【0069】
図13は、この実施形態に係るエンジン10の自動停止・始動装置100を採用した自動二輪車1が、アイドルストップモードで(アイドルストップ・スイッチ71をONにした状態で)運転しているときの様子を示すタイミングチャートである
同図において、時間T1に達するまでは、車両は一定速度で走行しており、時間T1に達した時点で、スロットルバルブ75が閉じられるとともに、ブレーキ装置が制動操作される。これにより、エンジン10の回転速度と車速が減速するとともに、ブレーキ連動レバー60の作動によって発条装置43の入力側の断接装置55が接続され、発条装置43に蓄力が行われる。そして、次の時間T2に達する前に発条装置43の巻き上げ(蓄力)が完了する。
【0070】
時間T2では、エンジン10の回転速度がアイドリング回転になり、車両は車速が0となって停止する。
つづく時間T3では、ミッションクラッチ12が一旦OFF(遮断状態)にされて変速機11の変速状態がニュートラルに変更される。この後にミッションクラッチ12が再度ON(接続状態)に戻された後、所定の待機時間の経過後に、時間T4において、エンジン10が自動停止される。
つづく時間T5において、運転者がクラッチレバー25を把持してミッションクラッチ12がOFF(遮断状態)にされると、所定時間の経過後に時間T6において、ソレノイド53が励磁されて発条装置43の蓄力が解放され、エンジン10が再始動される。
時間T7においては、運転者によって変速機11の変速段が変更された後にミッションクラッチ12がON(接続状態)にされる。この後、スロットルバルブ75が徐々に開かれることにより、エンジン10の回転速度が上昇すると同時に車速も上昇する。
【0071】
また、時間T8では、スロットルバルブ75が閉じられるとともに、ブレーキ装置が制動操作され、時間T9では車速が0になるが、この時間8T〜T9の間では、発条装置43に充分に蓄力ができていない。このため、時間T9で、ミッションクラッチ12が一旦OFF(遮断状態)にされて変速機11の変速状態がニュートラルに変更され、その後にミッションクラッチ12が再度ON(接続状態)に戻されても、エンジン10は自動停止しない。したがって、時間T9から時間T10の期間aは、車両が停止してもエンジン10の自動停止は行われない。
時間T10の前後では、ミッションクラッチ12が一旦OFF(遮断状態)にされて変速機11の変速段が操作され、その後にミッションクラッチ12が再度ONにされる。この後、スロットルバルブ75が徐々に開かれることにより、車両が発進する。
【0072】
以上のように、このエンジン10の自動停止・始動装置100においては、エンジン10の運転中にクランク軸16の回転力を蓄力装置である発条装置43に蓄え、発条装置43の蓄力が充分であること(蓄力センサ79が所定以上の蓄力を検知したこと)を停止許可条件の少なくとも一つとしてエンジン10を自動停止させ、エンジン10の再始動時には、発条装置43の蓄力を解放することによってエンジン10を始動させるため、エンジン10の再始動時にスタータモータを使用する場合に比較して電力消費を大幅に削減することができる。
したがって、この自動停止・始動装置100を用いることにより、車両に搭載するバッテリの小型化と、電動式のスタータモータの削減によって製品コストの低減を図ることができる。
【0073】
そして、この自動停止・始動装置100は、エンジン10を自動停止させる前に、発条装置43の蓄力状態を判定し、発条装置43の蓄力が充分である場合にだけ、エンジン10の自動停止を許可するようになっているため、エンジン10が自動停止した場合の発条装置43によるエンジン10の再始動を確実なものとすることができる。
【0074】
また、この自動停止・始動装置100では、ブレーキ装置の制動操作時に、発条装置43がクランク軸16と接続されて力を蓄えるため、定速走行や加速時に発条装置43での蓄力を蓄える動作を抑制しつつ、車両の停止前に予め発条装置43に力を蓄えることができる。
【0075】
また、このエンジン10の自動停止・始動装置100においては、発条装置43の入力側の動力伝達経路とクランク軸16の間に、ブレーキ装置の非操作時と、発条装置43が充分に蓄力されているときに動力伝達を遮断し、ブレーキ装置の制動操作が行われ、かつ発条装置43の蓄力が不充分であるときに、動力伝達可能に接続する断接装置55が設けられているため、断接装置55によって発条装置43の過剰な蓄力を防止することができ、しかも、ブレーキ装置の非操作時や、発条装置43が充分に蓄力されている状況での不要なフリクションの増大を抑制することができる。
【0076】
また、このエンジン10の自動停止・始動装置100では、発条装置43の蓄力が所定以上になったときには、ブレーキ装置の制動操作が行われている場合であっても、クランク軸と発条装置43の入力側との動力伝達を遮断する構成とされているため、発条装置43に力が充分に蓄えられている状態でブレーキ装置が操作されても、クランク軸16と発条装置43の間を遮断して、不要なフリクションの増大と、発条装置43の過剰な蓄力の蓄え動作とを防止することができる。
【0077】
特に、この実施形態の自動停止・始動装置100では、断接装置55が、クランク軸16と常時連動回転する駆動側噛み合いリング58と、発条装置43の回転軸44と連動回転する従動側噛み合いリング59と、ブレーキ装置の制動操作時に、駆動側噛み合いリング58を従動側噛み合いリング59と噛み合う側に変位させるブレーキ連動レバー60と、発条装置43の蓄力の増大に応じて従動側噛み合いリング59を駆動側噛み合いリング58から離反する方向に変位させるカム機構61と、を備えた構成とされているため、センサ類や複雑な制御装置を用いない簡単な構成でありながら、発条装置43の過剰な蓄力を未然に防止することができる。
【0078】
また、この実施形態で用いる蓄力センサ79は、発条装置43の回転軸44の回転に連動して軸方向に変位する従動側噛み合いリング59の変位に基づいて発条装置43の蓄力状態を検出する構成とされているため、極めて簡単な構成によって発条装置43の蓄力状態を正確に検出することができる。
【0079】
さらに、この自動停止・始動装置100においては、エンジン10の自動停止時にクラッチスイッチ78によってミッションクラッチ12の遮断操作が検出されたときに、発条装置43のストッパ47が蓄力を解放してエンジン10を始動させるため、ミッションクラッチ12がクランク軸16を変速機11側と切り離したタイミングでエンジン10を迅速に始動させることができる。
【0080】
また、この自動停止・始動装置100においては、発条装置43の回転軸44に、蓄力解放時にのみクランク軸16側に飛び出してクランク軸16側の従動側噛み合いリング68と噛合する駆動側噛み合いリング66が設けられているため、蓄力の解放によるエンジン始動時以外の状況では、発条装置43をクランク軸16から切り離してエンジン10のフリクションの増大を防止することができる。
【0081】
また、この自動停止・始動装置100では、従動ギヤ56と駆動側噛み合いリング58とを支持する第1巻上げ軸54と、従動側噛み合いリング59を保持する第2巻上げ軸48とが、クランク軸16と平行に、かつクランク軸16上のクランクウェブ23と発条装置43の本体部45との間の軸方向領域に配置されているため、発条装置43の入力側の断接装置55の部品をクランク軸16回りの限られたスペースにコンパクトに配置することができる。したがって、パワーユニット2の小型化を図ることができる。
【0082】
また、この自動停止・始動装置100では、クランク軸16から変速機11に動力を伝達する出力ギヤ28が、クランク軸16から第1巻上げ軸54の従動ギヤ56に動力を伝達する駆動ギヤを兼ねているため、ユニットケース17内の部品点数の削減と、クランク軸16回りのコンパクト化を図ることができる。
【0083】
また、この自動停止・始動装置100では、図2に示すように、変速機11のメイン軸29がクランク軸16の回転中心Oよりも車両後方側に配置され、第1巻上げ軸54と第2巻上げ軸48とがクランク軸16の回転中心Oよりも車両前方側に配置されているため、重量の嵩む第1,第2巻上げ軸54,48を、クランク軸16の回転中心Oを挟んで変速機11のメイン軸16と車体前後方向で良好にバランスさせることができる。
【0084】
さらに、この実施形態の自動停止・始動装置100においては、図2に示すように、第1,第2巻上げ軸54,48がさらにクランク軸16の回転中心Oよりも上方側に配置されているため、クランク軸16の車両前方側の占有幅を狭め、パワーユニット2のブロック全体のコンパクト化を図ることができる。
【0085】
また、この実施形態の自動停止・始動装置100においては、クランク軸16の回転力を蓄力する蓄力装置が、ゼンマイばねを有する発条装置43によって構成されているため、製造の容易な極めて簡単な構造でありながら、クランク軸16の回転力を効率良く蓄力することができる。
ただし、クランク軸16の回転力を蓄力する蓄力装置は、この実施形態の発条装置43に限らず、ゼンマイばね以外のばね部材を用いるものや、圧縮性流体を用いて力を蓄えるものであっても良い。
【0086】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、内燃機関の自動停止・始動装置を自動二輪車に採用しているが、自動停止・始動装置は四輪車両や三輪車両にも適用が可能である。また、蓄力センサは非接触型のセンサであっても接触型のセンサであっても良い。
【符号の説明】
【0087】
10…エンジン(内燃機関)
11…変速機
12…ミッションクラッチ
16…クランク軸
23…クランクウェブ
28…出力ギヤ(駆動ギヤ)
29…メイン軸
43…発条装置(蓄力装置)
44…回転軸
45…本体部
47…ストッパ(蓄力保持手段)
48…第2巻上げ軸
54…第1巻上げ軸
55…断接装置
56…従動ギヤ
58…駆動側噛み合いリング(クランク側係合部材)
59…従動側噛み合いリング(蓄力側係合部材)
60…ブレーキ連動レバー(第1の断接操作機構)
61…カム機構(第2の断接操作機構)
66…駆動側噛み合いリング(飛び込み式ギヤ)
68…従動側噛み合いリング(入力ギヤ)
70…ECU(制御装置)
78…クラッチスイッチ(クラッチ操作検出手段)
79…蓄力センサ(蓄力状態検出手段)
O…回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転中に内燃機関(10)の停止許可条件が成立したときに前記内燃機関(10)を自動的に停止させ、その後に前記内燃機関(10)の再始動許可条件が成立したときに前記内燃機関(10)を再始動させる制御装置(70)を備えた内燃機関の自動停止・始動装置であって、
クランク軸(16)の回転によって力を蓄えるとともに、前記内燃機関(10)の始動時に蓄力を解放することによって前記クランク軸(16)を回転させる蓄力装置(43)と、
前記蓄力装置(43)の蓄力状態を検出する蓄力状態検出手段(79)と、を備え、
前記制御装置(70)は、前記蓄力状態検出手段(79)によって検出された蓄力が所定以上であることを前記停止許可条件の少なくとも一つとして、前記内燃機関(10)を自動停止させることを特徴とする内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項2】
前記蓄力装置(43)は、車両のブレーキ装置の制動操作時に前記クランク軸(16)の回転によって力を蓄えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項3】
前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間には、前記ブレーキ装置の制動操作が行われていないときと、前記蓄力装置(43)の蓄力が前記所定以上になったときに、前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間の動力伝達を遮断し、前記ブレーキ装置の制動操作が行われ、かつ前記蓄力装置(43)の蓄力が前記所定以上に達しないときに、前記蓄力装置(43)とクランク軸(16)の間を接続する断接装置(55)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項4】
前記断接装置は、前記蓄力装置の蓄力が前記所定以上となったときは、前記ブレーキ装置の制動操作が行われている場合であっても、前記蓄力装置とクランク軸との間の動力伝達を遮断することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項5】
前記断接装置(55)は、
前記クランク軸(16)とともに回転するクランク側係合部材(58)と、
前記蓄力装置(43)の蓄力の蓄え動作に連動して回転する蓄力側係合部材(59)と、
前記ブレーキ装置の操作に連動して制動操作時に前記クランク側係合部材(58)を動力接続方向に変位させる第1の断接操作機構(60)と、
前記蓄力装置(43)の蓄力の増大に応じて前記蓄力側係合部材(59)を動力遮断方向に変位させる第2の断接操作機構(61)と、
を備えて成ることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項6】
前記蓄力状態検出手段(79)は、前記蓄力側係合部材(59)の変位に基づいて前記蓄力装置(43)の蓄力状態を検出することを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項7】
前記蓄力装置(43)の蓄力を保持する蓄力保持手段(47)と、
運転者によるクラッチ(12)の接続解除操作を検出するクラッチ操作検出手段(78)と、を備え、
前記制御装置(70)は、前記内燃機関(10)の自動停止状態において、前記クラッチ操作検出手段(78)が前記クラッチ(12)の接続解除操作を検出したときに、前記蓄力保持手段(47)による蓄力の保持を解除して、前記内燃機関(10)を始動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項8】
前記蓄力装置(43)には、蓄力によって回転する回転軸(44)が設けられ、
前記回転軸(44)には、クランク軸側の入力ギヤ(68)から離反する方向にばね付勢され、当該回転軸(44)の回転によって前記入力ギヤ(68)方向に移動して当該入力ギヤ(68)と噛合する飛び込み式ギヤ(66)が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項9】
前記蓄力装置(43)には、前記クランク軸(16)と同軸であって蓄力によって回転する回転軸(44)が設けられ、
前記蓄力装置(43)の本体部(45)は、前記回転軸(44)における前記クランク軸(16)側の端部と逆側の端部寄りに配置され、
前記クランク軸(16)上のクランクウェブ(23)よりも前記回転軸(44)側寄りには、駆動ギヤ(28)が設けられ、
前記駆動ギヤ(28)と噛合する従動ギヤ(56)と前記クランク側係合部材(58)とを有する第1巻上げ軸(54)と、前記蓄力側係合部材(59)を有する第2巻上げ軸(48)と、が前記クランク軸(16)と平行に、かつ前記クランクウェブ(23)と前記蓄力装置(43)の本体部(45)との間の軸方向領域に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項10】
前記クランク軸(16)の駆動ギヤ(28)は、変速機(11)に動力を伝達する出力ギヤを兼ねることを特徴とする請求項9に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項11】
前記変速機(11)のメイン軸(29)が前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも車両後方側に配置され、
前記第1巻上げ軸(54)と第2巻上げ軸(48)とが前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも車両前方側に配置されていることを特徴とする請求項9または10に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項12】
前記第1巻上げ軸(54)と第2巻上げ軸(48)とがさらに前記クランク軸(16)の回転中心(O)よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。
【請求項13】
前記蓄力装置(43)は、金属ばねによって力を蓄える発条装置によって構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の内燃機関の自動停止・始動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−72421(P2013−72421A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214361(P2011−214361)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】