説明

内蔵型ダイオードレーザ利用皮膚病学的処置装置および方法

【課題】コードレスで、ハンドヘルド型であってコンパクトな皮膚病学的処置装置を提供する。
【解決手段】内蔵型ハウジングは、皮膚病学的処置におけるコードレス操作のために人の手で握れるよう構成されている。光源と電気回路は、ハウジング内に組み込まれている。この回路は光源を通電するための1個以上のバッテリーを有し、出力光パルスを生成する。ハウジング内の光路には、開口部が含まれており、それを介して効果的な処置を提供するのに十分な特性をもつ光パルスがハウジング外に伝播される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚病学的処置装置および方法に関し、特に、光を利用する内蔵型コードレス・ハンドヘルド装置に関する。
【0002】
優先権
本出願は、2003年2月25日出願の米国仮特許出願第60/450,243号、2003年2月26日出願の第60/450,598号、2003年2月28日出願の第60/451,091号、2003年3月4日出願の第60/452,304号、2003年3月4日出願の第60/451,981号、2003年3月6日出願の第60/452,591号、2003年3月20日出願の第60/456,379号、2003年3月21日出願の第60/456,586号、2003年3月27日出願の第60/458,861号、2003年5月20日出願の第60/472,056号に対して§35USC119(e)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
外科医が操作する脱毛装置専用のレーザ(その後すぐに強力パルス光源、即ち、IPL源となった)の1996年における導入は、1800年代後半に電気分解療法が発明されて以来のムダ毛治療における最初の現実的な進歩であった。これらの装置におけるレーザとフラッシュランプの使用は、安全かつ効果的であることが証明されたばかりでなく、電気分解療法と違って一時に多数の毛を処理できるようになり、カバレッジレートが大幅に改善された。
【0004】
レーザを使用した光による脱毛は「レーザ脱毛」と呼ばれることが多いが、厳密には、この言葉は毛包が十分な熱損傷を受けて新たな毛の成長を永久に防ぐ(永久減毛)ことだけを意味する。毛包に熱損傷を与えて毛再生を遅らせる処置は、より正確には毛再生抑制と表現される。
【0005】
光による脱毛方法および装置は今日では広く知られており、全世界で300万人が治療を受けたと推定される。これは潜在市場のごく一部を表しているにすぎない。このことは、外科医による処置と装置の問題から高コストで不便であることが主原因である。その結果、外科医による処置費用を低減し、究極的にはサロンや消費市場で利用可能で、低コストで、よりコンパクトな装置が望まれる。また、より一層目に安全な装置に対する需要もある。
【0006】
1997年、毛再生抑制(および、その後、永久減毛)のためにスターメディカルがライトシーア・レーザ・システムを導入したことは、皮膚科医の診療室における最も成功した魅力的なレーザ応用の一つの始まりであった。世界中で数千のシステムが設置されたことで、それらのシステムおよび同種の後継システムの安全性と有効性が十分に確立された。そのような他の装置としては、パロマー・メディカル・テクノロジー社のSLP 1000(LC 100)ダイオードレーザ、IRIDEX社のアペックス800ダイオードレーザ、オパス・メディカル社のF1ダイオードレーザがある。
【0007】
このクラスの装置による皮膚に対する放射露光量(しばしば「フルエンス」と呼ばれ、ジュール/平方センチメートルで表される)は、公称800ナノメートルの波長であって、一般的には、10から40J/cmの範囲内の値である。当初は、5から30msの範囲内のパルス持続期間が最適であるとされたが、その後の研究で、より長い波長(少なくとも、最大で数百ミリ秒)が、毛再生抑制にかなりの効果があり、また、(例えば、皮膚に接触したサファイヤからなる出口ウインドウを組み込むことで)熱伝導経路ができれば、所定のフルエンスに対する表皮発熱を減らすこともできる。
【0008】
これらの装置に使用されている高効率で小型の半導体ダイオードレーザにより、一般的にコンパクト(典型的な例では、容積が1から3立方フィートの範囲内の値)で、単一の交流115Vで動作するシステムを構築することができる。しかし、そのようなシステムは、一般的には、少なくとも重量が25から100ポンドの範囲内の値であり、40,000から90,000ドルの範囲の値で販売されている。より低コストで真にポータブルの装置であれば、人気のあるこの処置もより広範囲に利用されるであろう。
【0009】
レーザ光源および強い光源は、例えば、毛再生抑制、永久減毛、刺青除去、あざ治療、顔面再生などの広範囲な処置に有効であるとして、皮膚科医の間でより一層受け入れられている。しかしながら、そのような光源が目の重大な損傷や失明を起こしかねないことは、医学の専門家にとって周知のことである。ムダ毛を減らしたり、微小血管の破壊などの光を利用した多くの皮膚病学的処置において相当な効果を達成するには、一般的に皮膚でのフルエンスは1J/cmを超える。これらの装置は、人間の目に対する最大許容照射量をはるかに超えるフルエンスを生成することから、それらの装置が適切に使用され、もしくはそれらによる治療が適切に行われなければ、極めて危険なものとなる。従って、これらの処置は、患者のみならず、レーザを操作する者や同じ場所にいる他の職員の目を保護するため、適切な安全策を講じる必要がある。(例えば、IECテクニカルレポート 60825-8、レーザ製品の安全性−医療用レーザ機器を安全に使用するためのガイドラインを参照)このIECレポートに記載されているように、いくつかの医療用レーザによっては、目の焦点調節作用のため、網膜が、この網膜への放射照度が皮膚や角膜に入射される照射量の100,000倍を超える放射照度に露出され得る。
【0010】
安全ゴーグルや職員の訓練のような適切な安全予防措置により、目の損傷の危険性を大幅に減らすことができる。その結果、医療装置における患者もしくはスタッフの目の損傷に関する報告は稀である、しかしながら、その危険性は、常に心配の種である。
【0011】
光を利用した皮膚病学的装置の安全性は、センサが、例えば人間の皮膚の表面に接触しているときだけ装置を動作させる接触センサの採用によって、向上させることができる。例えば、光が伝搬する開放端を1つ有するハウジング内に光源(レーザ、発光ダイオード、フラッシュランプ等)を配置し、接触表面にハウジングが近接している場合にのみ、この開放端にある接触センサに基づいて装置を動作させるようにできる。こうすることで、光は、装置の置かれた表面に向けてもしくは表面を通って伝搬する。しかし、目の安全性向上のためにどのようなセンサを使用しても複雑になるため、うまくいかない可能性が当然ある。従って、理想的な皮膚病学的治療装置と方法とは、電子回路に依存するものではなく、また、安全な利用のための安全メガネ類のユーザの装着の有無に依存しないことである。
【0012】
従って、医療へ適用される光を利用した装置は、光に対する目の安全性を向上させることによって所定レベルの出力フルエンスもしくは治療の効果に対する目の損傷の可能性を最小にするように設計されることが極めて望ましい。例えば、既存のレーザ減毛装置は、出力の指向性が高く、目に焦点が合いやすいため、かなり目に危険である。その出力を高発散性にしたり、及び/又は空間コヒーレンスを下げることができれば、効き目を著しく落とすことなく、目の損傷に対する危険性をかなり減らすことができる。
【0013】
診療室に設置される光を利用した皮膚病学的治療用システムの例としては、米国特許第6,508,813号、第6,277,111号、第6,197,020号、第6,096,029号、第5,885,273号、第5,824,023号、第4,232,678号、米国出願公開第2002/0005475号、および、PCT出願公開WO03/049633がある。出願公開公報‘5475では、ハンドピースが患者の皮膚に良好に接触しているときのみレーザパルスを有効にする接触センサを、使用している。このような装置を家庭での自己利用環境に適用したときの問題の一つは、小さな子供や、その装置で睫毛や眉毛の処置を行おうとする者が不注意で目にパルスを当ててしまい、視力に永久的なダメージを与えてしまう可能性があることである。上記の各特許に記載の家庭自己利用用装置についても目の安全性に関して同様の問題があることは明らかである。
【0014】
‘49633公開出願では、拡散装置を備えることによって、目の安全性の問題に対処している。しかし、その装置は、家庭で使用するにはかさばり、また、複雑で高価すぎる。その装置は、実質的に可搬性のないレーザ・フロア・ユニットと、ビーム送出用の長い光導波路に接続された伸縮自在のハンドピースを有する。また、この装置には別の安全上の問題がある。例えば、壁のコンセントから高電流を引き込む装置の電気的安全性の問題に対処するための、家庭での自己利用環境が提供されていない。しかしながら、最も重要なことは、出願に開示された発明が、平行レーザビーム、収束レーザビーム、集光多重レーザビーム、もしくはファイバ導波ビームに対する目の安全性と、単色光源に対する目の安全性に、より一層の対処をしていることである。一方、本発明に基づいて以下に説明するように、発散光源によって、目の安全性が実質的により簡単に得られる。
【0015】
‘029、‘020特許は、100J/cmより大きいフルエンスを提供する装置について説明している。これらのフルエンスは、自己利用環境での使用の際に目にとって安全であり、また、表皮にとって安全であるためには、一般的には大き過ぎる。このような出力フルエンスは、以下に詳述するように、角膜における最大許容照射量(MPE)より高いフルエンスを生じさせる可能性が高く、また、処置した皮膚の表皮領域に火傷を起こす可能性がある。さらに、そのフルエンスのレベルは、例えば、本発明の実施形態において自己利用や家庭での利用に必要とされるハンドヘルドでバッテリー駆動の内蔵型装置では生成することができない。
【0016】
さらに、‘029、‘020特許に記載の装置では、直径が2から5ミリメートルの範囲の値であって、面積にして約0.03から0.2平方センチメートルの範囲内の値に相当する非常に小さいスポットサイズを提供する。このような小スポットは、一度にたった一本の毛を処置することを意味し、実際にはスポットが対象とする単一の毛包を覆うように、ある程度目視によって狙う必要がある。また、0.03から0.2平方センチメートルの範囲内の小スポットサイズは、カバレッジレートが非常に低いことを意味する。即ち、処理すべきムダ毛を含む所定の平方センチメートルの皮膚に対して、スポットサイズが小さいければ小さいほど必要な処置時間が長くなる。さらに、(フルエンスは領域により分割されたエネルギーであることから)、低エネルギーでも皮膚表面に高フルエンスを生成できるので小スポットサイズのほうが非常に有利であるように見えても、例えば、対象とする細胞が位置する皮膚内のある深さにおけるフルエンスは、皮膚内での発散のため実質的に減少する。即ち、スポットサイズが小さいほど、とりわけ、約0.5cm以下のとき、表面におけるフルエンスに比べて深部におけるフルエンスを減らす効果がより著しい。要するに、‘029、‘020特許に記載されているようにスポットが小さ過ぎると、結果的に、(真皮で十分なフルエンスを得ようとするため)表皮に火傷ができたり、もしくは、深部でのフルエンスが不十分であることにより効き目が非常に乏しくなる。これらのいずれをとっても、好ましくないことは明らかである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
現状の技術
光を利用した脱毛の現状の技術は、市場にある一般的な2つのタイプの装置を検討することで十分に説明することができる。1つの市場区分によれば、外科医向けに設計され販売された装置を網羅している。代表的な製品としては、現在、ルメニス社製のライトシーア・ダイオードレーザ・システム、パロマー・メディカル・テクノロジー社のSLP-1000ファイバ結合ダイオードレーザ、ルメニス社製のクオンタム・フラッシュランプ・システム、アトラス社のクールグライド・エクセルYAGレーザがある。外科医用装置の特徴は、(a)FDAの許認可済み効果が確立している、(b)実用的なカバレッジレート、(c)高コスト、(d)コンソールにハンドピースが付く物理デザインを持つ比較的大きなサイズ、(e)深刻に目の障害となる出力フルエンス、である。これらの装置は、光を利用して有効かつ実用的に脱毛を行い、一般的には、50Wを越えるピーク光出力、10J/cmを越える出力フルエンス、0.5cmを越えるスポットサイズ、10cm/分を越えるカバレッジレートを有する。診療室に配置される装置の一例は、上記で引用した特許文献に記載されており、その他の例は、ここで引用された他の参考文献中に見いだされる。
【0018】
別の市場区分には、光を利用した限定された数の民生用脱毛装置が含まれる。現在のところ、米国市場には光を利用した個人向け脱毛器はないと考えられている。今のところ、光を利用した民生用装置の先端市場は、アジア、特に日本であり、その市場には何十という製品がある。東京のヤーマン社の装置は、日本におけるそれらの装置の中でも最新技術の代表的なものである。これらの民生用装置には、(a)低ピークパワー(1W以下)により、大幅に効果が減じるかもしくは効果がなくなり、また、小スポットサイズ(0.1cm以下)、(b)小スポットサイズによりカバレッジレートが低く、個々の毛包を狙うことになる、(c)低コスト、(d)ハンドピースがコンソールに付けられるかもしくは壁の電源にコードで繋がれた物理デザインをもつ比較的小さなサイズ、(e)出力フルエンスが目の安全限度を越えている、という特徴がある。
【0019】
本発明を具体化した発明者は、全体的にハンドヘルドかつコードレスの装置で効果的かつ実用的な脱毛ができる方法および装置が望ましいと認識している。コードレスかつハンドヘルドとすることで、装置は自立動作し、容積も、例えば、1500cmより小さく、重さも1kgを下回る。このようなハンドヘルドかつコードレスの装置は、コンソールやハンドピース装置よりも実際上扱いにくいということはなく、操作者は、所望の皮膚の領域を最適に処置するために必要とされる方向にはるかに都合良く装置を位置合わせすることができる。さらに、簡単に持ち運びができ、壁コンセントからの電気がなくても処置ができる自由度がある。効果的かつ実用的な装置とするため、一般的には、ピーク光出力パワーは10Wより大きく、出力フルエンスは4J/cmよりも大きく、スポットサイズは0.25cmを超え、カバレッジレートは10cm/分よりも大きいことが求められる。
【0020】
現在では、強いパルス光などの毛再生抑制のためのその他の光源や様々なレーザが外科医にとって商業的に入手可能であるが、ダイオードレーザシステムは、最も成功しているものの一つであることがわかっている。これらの装置には、一般的に約800nmの波長で動作するレーザダイオードバーが組み込まれている。システムの光パワーのピーク値は、約90ワットからほぼ3000ワットの範囲内にある。
【0021】
ディスクリート・レーザダイオードのピークパワーは、約1ワットに制限されている。このような低パワーは個々の毛を処置するためには十分であるが(例えば、日本で生産されているヤーマン装置)、広い領域を高速に処置するために一度に多数の毛を処置するには、約25ワット以上のピーク値の光パワーが必要となる。従って、ディスクリートレーザダイオード装置ではなく、レーザダイオードバーが、上述したダイオードを使用した診療室用の製品に組み込まれている。診療室環境で医師や看護師によって使用されるレーザダイオードバーを組み込んだ毛再生抑制システムの成功が、家庭用装置の開発の関心を煽ることになった。医師の診療所を何度も訪れる不便さも、家庭で安全かつ個人的に使用できる装置への興味を増大させた。そのような民生用装置は実績のあるレーザダイオードバー技術を採用しているが、コンパクトで安価かつバッテリー駆動が理想的である。あいにく、レーザダイオードバーは、超高電流(40A以下)を要するため、そのような装置はバッテリーで動作させることはできず、壁コンセントにつないだ電気コードで電源供給することが一般的に受け入れられている。
【0022】
その他の皮膚病学的装置の例としては、米国特許第6,533,775号、米国特許出願公開公報2003/0004499、2002/0097587、また、本明細書の援用による引用文献に記載されている。
【0023】
目に安全である可能性はあるが、6,533,775特許には、機械式脱毛装置の説明はあるが、光を利用した毛再生抑制装置の記載はない。‘775特許に記載の装置では、オンセット時間を短くするために、表面に塗ったスキンクリームに化学反応を起こす光源を備えている。機械式脱毛装置の生成光は、毛包の熱損傷をもたらして再生を抑制するものではない。その光は、クリームを透過して真皮内の対象に熱損傷を起こすように設計されたものではない。
【0024】
‘97587出願には、可変式電流制御を行う装置の記載がある。この装置は医療用に設計したものではない。この引用例では、人の目におけるフルエンスをMPEよりも小さくするような出力フルエンス、波長、もしくは、パルス長を偶然提供するものでもない。この装置には、家庭での利用のために目に安全であるようにし、また、毛再生抑制のための皮膚病学的処置に効果があるように多くの改良を行う必要がある。
【0025】
‘4499出願には、毛再生抑制のために設計された装置が記載されている。‘4499出願では、その処置を、バイオインヒビション(bio-inhibition)を生成するためのバイオスティミュレーションと呼び、それは少なくとも温度に依存しないものである。これは、毛包に熱損傷を起こすことで処置をする毛再生抑制装置とは全く異なる分野である。‘4499引用例では、非常に低いフルエンス(もしくは強度)を使用しており、これは、毛包に熱損傷を与えて毛再生抑制を行うためには効果的なものより遥かに低い。毛再生抑制用ハンドヘルド装置の設計には、巧みな回路設計が要求され、また、効果的で目に安全な皮膚病学的処置装置の実現には、新規な光学設計が必要となる。このため、今までのところ、効果があってコンパクトであり、バッテリー駆動であって、ダイオードレーザもしくはその他の光源を組み込んだ家庭用毛再生抑制装置などの低コストで光を利用した皮膚病学的処置装置の開発は、達成できない目標である。しかしながら、光技術とマイクロエレクトロニクスの最近の進歩により、平均的な消費者にとっては手頃な価格で効果的な皮膚病学的装置に関する本発明が可能となった。いくつかの実施形態では、それらの装置は全体としてハンドヘルドであってバッテリーで動作するよう十分にコンパクト化可能である。その他の実施形態では、それらの装置が様々な皮膚病学的処置に対して有効であって、目に安全にすることができる。これらが本発明の目的であって以下で詳細に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
発明の概要
上述した点に鑑み、コードレスでハンドヘルドと言える程コンパクトな皮膚病学的処置装置を提供する。皮膚病学的処置の際のコードレス操作のため、人間の手で握れるように内蔵型(独立型)ハウジング構成になっている。ハウジング内にはダイオードレーザ光源と電気回路が収容されており、このダイオードレーザ光源は、1つ以上のダイオードレーザバーを含んでよい。この回路には、光源に通電して光パルスを出力させるために1個以上のバッテリーが入っている。ハウジング内の光路に開口部があり、それを通して効果的処置を提供するのに十分な特性を持った出力光パルスが、ハウジング外に伝播される。
【0027】
本発明の一態様によれば、コードレス装置の総重量は、1キログラム以下である。さらに、このコードレス装置は、1500cm以下の容積を占めるに過ぎない。本発明の第2の態様によれば、光パルスは、10ワットから120ワットの範囲内のピークパワーを有し、各光パルスのパルス持続時間は、10ミリ秒から1秒の範囲内の値である。この装置は、4J/cmから100J/cmの範囲内の出力フルエンスを生成する。光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmの範囲内のスペクトル・バンド内に収まる。他の態様において、電気回路は、出力光パルスを生成するための電気制御回路を含む。さらなる他の態様において、光源は、1つ以上のレーザダイオードバーを含み、電気回路は、ダイレクトドライブ電気回路である。
【0028】
他の態様によれば、光源は、ダイオードレーザを含み、電気回路は、ダイレクトドライブ電気回路である。光パルスは、10ワットから120ワットの範囲内のピークパワーを有し、各光パルスのパルス持続時間は、10ミリ秒から1秒の範囲内の値である。この装置は、4J/cmから100J/cmの範囲内の出力フルエンスを生成し、この出力パルスは、0.25cmから5cmの範囲内のスポットサイズをもつ。光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmの範囲内のスペクトル・バンド内に収まる。光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内の繰り返しレートで出力される。このコードレス装置は、全重量は1キログラム以下であって、容積も1500cm以下である。
【0029】
これらの態様及び特徴のいずれも、ともに組み合わされ、及び/又は以下のいずれの特徴と組み合わされてもよい。皮膚病学的処置装置は、少なくとも一時的な毛再生抑制処置、及び/又はにきび処置を行なうために構成されてよい。にきびを処置するため、出力される光パルスの大部分は、350nmから450nmまでの範囲内か、1000nmから1800nmまでの範囲内、もしくはそれらの範囲の組み合わせの範囲内のスペクトルバンドにある。この装置はまた、良性の色素損傷に対する処置、血管に対する処置、皮膚の組織若しくは皺に対する処置、或いはその両方の処置を行なうように構成されてよい。
【0030】
この電気回路は、光源に通電するため、ダイレクトドライブ型電気回路であってよく、或いはスーパーキャパシタを含んでよい。このダイレクトドライブ型電気回路は、好適には、蓄積キャパシタ、或いはトランス、又はこれらの両方を備えない。電気回路の電子制御回路は、電流制限回路、パルス幅制限回路、及び/又はパルス繰り返し周波数制限回路を含んでよい。さらに、一つ以上のバッテリーは、バッテリー電圧Vbatを供給し、電子制御回路は、一つ以上の電界効果トランジスタ(FET)と電圧供給部とを備え、この電圧供給部は、前記バッテリー電圧Vbatよりも大きな電圧で前記FETのゲートを駆動してよい。
【0031】
接触センサが含まれて、該接触センサが例えば人の皮膚等の接触面に実質的に接触したときだけ、ハウジングから光パルスが伝播されてよい。接触センサと接触面との間に実質的な接触がされたときに光パルスが自動的に誘発されてよい。この装置は、可聴型フィードバックコンポーネントを含んでよい。
【0032】
上記の態様の多様な組み合わせに係る毛再生抑制装置は、以下のさらなる特徴のあらゆる組み合わせを含んでよい。放熱板が含まれ、処置対象の者の表皮領域に接触してよい。この放熱板は、好適には、表皮から熱を除去する機能を果たす1つ以上の熱特性を有してよい。放熱板の温度は、正常な皮膚の温度より低いか、或いはこれ以上であってよく、ここで、正常な皮膚の温度とは、装置で処置されていない皮膚の温度である。この放熱板は、サファイア出力ウインドウを含んでよい。
【0033】
コードレスで人の皮膚を処置する皮膚病学的処置方法もまた、提供される。皮膚病学的処置装置の内蔵型ハウジングアセンブリが、人の手で握られる。このハウジングアセンブリは、装置の出力ウィンドーコンポーネントが同じ人もしくは別の人の表皮に接触するように配置される。ダイオードレーザー光源が、電気回路により通電され、この電気回路は、各々が前記ハウジングアセンブリ内に含まれる1つ以上のバッテリーと電子制御回路を含み、これにより出力光パルスが生成される。光源により生成された出力パルスは、開口を含むハウジング内の光路に沿って、送られ、この開口を介して、有効な処置のための十分な特性を備える光パルスが、ハウジングアセンブリから伝播される。携帯型皮膚病学的装置は、皮膚処置において、コードレスで操作される。この方法は、上記の態様或いは特徴のいずれかを有する装置とともに、上記の皮膚病学的処置のいずれかにおいて使用される。
【0034】
援用文献(Incorporation by Reference)
以下に、上下で引用されている文献に加えて背景および本発明の概要で説明されたものを含む文献に対応する引用リストを示す。これらは、好適な実施形態の構成要素や特徴に対する代替えの実施形態を開示する際において、以下の好適な実施形態の詳細説明に対する援用文献となるものであって、以下で詳述されていないことがある。これらの文献を単独で、または、1つ以上を組み合わせたものを考慮することで、以下で詳述する好適な実施形態の構成要素もしくは特徴の変形例を得ることができる。さらなる特許、特許出願、非特許文献が書面によって記述されており、それらは、以下の文献に関する記載と同様の効果を有する好適な実施形態の援用文献である。
【0035】
米国特許4,232,678、4,551,628、4,592,353、4,690,141、5,057,104、5,059,192、5,075,971、5,109,465、5,401,270、5,404,368、5,431,647、5,486,172、5,700,240、5,728,090、5,743,901、5,820,625、5,824,023、5,871,521、5,885,273、6,059,765、6,096,029、6,138,041、6,160,831、6,188,495、6,197,020、6,228,074、6,273,884、6,277,111、6,280,438、6,290,713、6,440,122、6,441,943、6,508,813、6,511,475、6,514,242、6,516,013、6,517,532、6,533,775、6,548,781、6,563,853、6,641,044、米国出願公開2003/0233138,2003/0032950,2003/0004499,2002/0128635,2002/0097587,2002/0091377,2002/0015430,2002/0005475
米国仮出願: 2003年2月28日出願の60/451,091、2003年3月20日出願の60/456,379、2003年3月27日出願の60/458,861、2003年5月20日出願の60/472,056、2003年2月25日出願の60/450,243、2003年2月26日出願の60/450,598、2003年3月4日出願の60/452,304、2003年3月4日出願の60/451,981、2003年3月6日出願の60/452,591、2003年3月21日出願の60/456,586、
PCT公開番号 WO03/049633
欧州公開EP1168535,EP0761257,EP1116476,EP0933096、フランス特許文献 FR2665366
日本特許文献 JP2003−00683、JP11−244295
ドイツ特許文献 DE19629978
レーザおよび他の光源の安全性(スリニー他)、総合ハンドブック、プレナム出版(1980年)
レーザはIPL機器より危険か?(ホード,L)、外科と医学におけるレーザ、増補15版、2003年、第6頁、および対応する会議でのポスター発表
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
第1の実施形態
内蔵型のハンドヘルド装置を利用して光に基づく皮膚病学的処置を可能にする第1の実施形態では、この装置および方法を記述している。この装置は、バッテリー駆動の電気回路の設計と、内蔵型ハウジングの機械設計と、光源および光学設計との効果的な組み合わせを具体化したもので、コードレスかつハンドヘルドで効果があり実用的な皮膚病学的処置を可能にするものである。
【0037】
例えば、光源は、赤外線パルスを発する1個以上の半導体レーザダイオードバーであってよい。毛再生抑制のための装置からの光は、表皮を通って毛幹と毛包内のメラニンに吸収される。結果として生じる毛包の短時間での温度上昇によってそれが一時的に機能しないようになるため、毛再生が遅れることになる。この装置は、最大0.5Hzのパルス繰り返しレートでパルスを発生する。
【0038】
効果的な皮膚病学的処置、例えば、毛再生抑制は、パルス持続時間は長いが(最大で1000ms)標準的な(10から40J/cmの範囲内の)出力フルエンスによって実施可能である。これは、非常に高いピーク・レーザパワーを必要とせず、例えば、9mm×9mmの出力領域に350msで20J/cmを生成するためには、わずか46ワットの光ピークパワーでよい。即ち、適度な所要ピークパワーによって電気パルスの所要パワーも減るので、バッテリーによる動作が可能となる。小型の表面実装電子部品、熱電(TE)モジュール、および、最新式のニッケル水素バッテリー技術を使用したことで、上述の好適な実施形態でのパラメータによって全体としてハンドヘルドの装置が発明された。
【0039】
好適な第1の実施形態に係る装置の概略を図1に示す。光源10、混合器(ミキサー)12、出力ウインドウ14、熱除去エレメント16、バッテリー18、ハウジング20が構成要素として示されている。以下で詳述されているか、もしくは、当業者にとって明らかであるとして図示していないが、装置の動作に含まれるものとしては、その他の機械的、電気的、および光学的な構成要素(例えば、トリガー/ドライブ/制御回路、センサ、表示器)がある。即ち、図1は、以下で詳述する好適な第1の実施形態の装置を紹介するために使われるにすぎない。
【0040】
操作時には、ユーザは(例えば、壁コンセントから充電を行う充電器にその装置を置いて)バッテリー18を充電する。充電が終わると、ユーザは、処置する皮膚の表面に出力ウインドウ14、或いは開口部14を押し当てる。皮膚に接触する開口部、或いは出力ウインドウ14は、相対的に熱伝導率が高いサファイヤからなることが望ましい。しかし、この開口部、即ち、出力ウインドウ14は、穴、即ち、開口に過ぎず、人の皮膚に接触するウインドウ部14は、この開口部のフレームである。熱除去エレメント16は、光源10より余熱を奪うとともに、ウインドウ部14と混合器12を介した伝導によって、皮膚からも同様に熱を奪う。熱除去エレメント16は、フィン付きの放熱板とファンを使用して熱を周囲の空気へ分散する熱電熱交換器であるか、もしくは、以下に詳述するように、熱容量が大きいことから、放熱板として動作する固形体である(サーマル・バッテリー)。ここで、ユーザは、トリガーボタンを押して光源10からのパルスを起動する。別の一実施形態では、処置を受ける者の皮膚に十分接触していれば、出力開口部の近くにある接触センサが、その者の皮膚と出力ウインドウ・コンポーネント14との十分な接触を検知し、1つ以上のパルスが自動的に誘起されるような電気回路が設計されている。光パルスは混合器12に入力し、混合器12は、その光が出力ウインドウ14に対して十分に一様に出力されて、最終的には皮膚に出力されるように機能する。出力ウインドウ14は、混合器12によって熱除去エレメント16に接続され、皮膚に対して保護放熱板としての機能を果たす。
【0041】
さらに動作を簡単化するために、好適な装置では、公称20J/cmの中域の一定出力フルエンスに設定し、公称300から350nmの範囲内の中域の一定のパルス持続時間で動作するものとする。別の一実施形態では、出力フルエンスは、連続的かもしくは離散的な調整が可能である。電気回路設計の詳細を以下に記載する。
【0042】
図6から図8に、光を利用した毛再生抑制装置の好適な実施形態を詳細を示す。これらの図には、ユニット・ハウジング410の外部の概略が示されている。図6は正面透視図であり、出力ウインドウ420が示されている。レーザパルスを開始させるトリガーボタン430も示され、左利きかもしくは右利きのセルフケアを行なうユーザは、それらを簡単に押すことができる。通気孔、即ち、開口部440も見える。装置を再充電するための電源コード460を有する充電台450が示されている。
【0043】
図7は、装置の背面透視図であり、出力ウインドウ420が、オン/オフボタン460や表示ランプ470だけでなく通気孔440とともに示されている。表示ランプ470については、図8にその詳細が示されている。バッテリー充電表示器472、オン/オフ表示器474、準備表示器476はその一例である。
【0044】
装置の主要構成要素の容積は、約2000cmよりも小さいことが望ましく、より望ましくは約1000cmよりも小さく、重量は約1キログラム未満であることが望ましい。さらに装置の容積が700cmよりも小さく、重量が700グラム未満であることがより望ましい。このように本装置は、ユーザの握りにストレスを与えず、使用中に過度の疲れを起こさずに、セルフケアによる処置の際にユーザの手で握ることができるため、確実に制御可能となる。図6から図7に示すように、本装置は、容積が400cm、重量が500gのコードレスで内蔵型の装置である。尚、ここでコードレスという用語を使用した場合、バッテリー駆動のユニットを意味し、使用中に外部コンセントかもしくは電源に電気的にプラグを接続することを意味するものではない。さらに、内蔵型という用語を使用する場合、ユニットが物理的にベース・ユニットもしくはその他のユニットに接続されておらず、付属ワイヤもしくはカップリングなしで自由に操作できることを意味する。この意味で、図6から図7に示す内蔵型のハウジング410は、内部に光源とバッテリーを収容しているので、ハウジング410には、ハウジングから突き出る電気ケーブルもしくは光導波ケーブルは取り付けられていない。これは、ワイヤレス制御、その他のワイヤレス・カップリング、もしくは、充電台450を図6から図7に示す好適な内蔵型ハウジング410を有するユニットのコンポーネントに含めることができないということではない。しかし、使用中は、ハウジング410に、制御ワイヤ、光ケーブル、電源コードのような外部に突き出る物理的なカップリングはない。
【0045】
最大の電気的、熱的、および、光学的な非効率さ、制御回路および機械的パッキング・ファクタを見込んだとしても、好適な実施形態のハンドヘルド装置は、高効率で内蔵型かつユーザ・フレンドリである。さらに、本装置の出力パラメータによって、使用に際しての有効性と実用性を確立している。
【0046】
この節では、装置の好適な使用方法について詳細に説明する。装置を充電するには、通常、使用前に一晩の間、図6に示す充電台450に置く必要がある。装置の充電は、適切なACコンセントに電源コードをつなぎ、この装置を、充電スタンド450に置くことで簡単に行うことができる。使用後はユニットを充電器450に戻すことで、次の使用に備えて十分に充電される。ユニットは、それに悪影響を与えることなく、長期間、充電器450に置きっぱなしにできる。
【0047】
充電中は、左側の表示灯472(図7、図8)が緑色に点滅する。バッテリーが完全に充電されると、この表示灯の点滅は中止し、緑色の点灯のままとなる。
【0048】
使用中における快適さを最大にするための皮膚の準備として、処置前に、処置領域の毛を剃り、冷たく湿らせた布で拭く必要がある。本ユニットは、皮膚の下の毛幹が光を吸収することに依存しているので、事前に毛抜きや除毛により毛を除去すべきではない。処置領域に、これらの処理のいずれかを行ってしまった場合には、再び毛が見えるようになるまで処置を見合わせるべきである。
【0049】
ユニットが十分に充電された後に処置を行うには、図7に示すON−OFFボタン460を、押し、かつリリースすることにより、ユニットを作動させる必要がある。ユニットが動作すると図8に示す中央の表示灯474が点灯する。
【0050】
電源が入れられた後のわずかな時間で右側の表示灯476が点滅して、ユニットが「準備」状態にあることを示す。右側の表示灯476が緑色で点灯している場合、装置の準備ができ、(出力ウインドウ420が皮膚に接触しているという条件で)2つのトリガーボタン430のいずれかが押されたときに光パルスを出力することを示している。トリガーボタン430が2つあることで、左右いずれの手でも装置を快適に使用できる。
【0051】
処置をするには、毛を剃った処置する皮膚に対して出力ウインドウ420をしっかりと当て、トリガー430のいずれかを押してリリースする。レーザパルスが完了すると、好適には、ビープ音が聞こえる。特に、一実施形態においては、皮膚内での接触が良好であり、ウインドウ420周囲の接触センサが皮膚と接触し、ハウジング410からパルスを伝搬可能であることを示すビープ音、及び/又は他の音もしくは感覚的な指示が聞こえることが好ましい。従って、セルフケアをするユーザは、良好な接触が達成されて音が聞こえるまでは、ユニットがパルスを発生しないことが分かる。その他の一実施形態では、ユーザの皮膚との良好な接触がなされた後に出力ウインドウ420の良好な接触がなくなった場合、ビープ音及び/又は他の音もしくは感覚的な指示が聞こえる。この表示は、皮膚との良好な接触が再度なされるまでハウジング410からはパルスが伝搬されないことをユーザに知らせる。パルス完了の音が聞こえた後、出力ウインドウ420を、隣接領域へ移動させて、約50パーセント、オーバラップさせる。即ち、皮膚に接している領域の幅の約半分の距離だけ先端部分を移動させるべきである。パルスが出ている間は、トリガーを維持する必要はない。しかし、レーザパルスの全持続期間に亘って、皮膚と出力ウインドウ420間の完全な接触を維持することが重要である。レーザパルスが完了する前に皮膚から出力ウインドウ420を持ち上げると、それを識別する音が鳴ってユーザに警告して、その領域をさらにパルスで再処置しなければならない。
【0052】
本ユニットの好適な最大繰り返しレートは2秒毎に1パルスであり、一般的には、毎秒1パルスから4秒毎に1パルスの範囲内の値である。従って、次のビープ音が聞こえるまで数秒の遅れがある。
【0053】
上述した種々の音の全てが、可聴式フィードバックの役割を果たし、装置使用の際の補助となる。
【0054】
第2および第3の実施形態
以下に詳述する皮膚病学的処置装置および方法の他の実施形態では、光拡散器を組み込んで効率への影響を最小限にしながら装置の目への安全性を大幅に強化している。光拡散器を付加して装置から出力される光の発散を増大させるとともに空間コヒーレンスを下げることによって、本装置は、装置および放射線管理に関する米国食品医薬品局のガイドラインに基づくクラスIのレーザ装置に分類される。これによって、レーザ安全メガネかもしくはゴーグルをつけなくとも本装置を使用できるようになるが、最も重要なことは、上述した接触センサなどのその他の安全手段が故障したときに目に損傷を与える危険性がなくなることである。
【0055】
従って、第2および第3の実施形態に係る皮膚病学的処置のための装置および方法は、本質的に目に安全なものである。即ち、本装置および方法は様々な皮膚状態の処置に効果があり(つまり、皮膚表面に単位平方センチメートル当たり約1ジュールを越えるフルエンスを生成する)、同時に、いかなる距離から目を直接狙った場合でも、人間の目に対して、アメリカ規格協会(ANSI)、および国際電気標準会議(IEC)が規定する最大許容照射量(MPE)よりも小さいフルエンスを生成する。MPEに対するこの値は、非電離放射線管理に関する国際会議(ICNIRP)が発行する被爆限度(EL)と基本的に同じである。
【0056】
本装置の設計では、多くのレーザおよびその他の光源のアプリケーションとは違い、一般的には、皮膚病学的処置に指向性の高い光線を要しないことが理解される。光が皮膚表面に入る前に、ハンドピースもしくはアプリケータ内に何らかの方法で光が閉じ込められている限り、通常の入射角(すなわち、皮膚表面にほぼ垂直に向けられた光線)で光が皮膚に当たるようにする意義は全くない。これは、皮膚が散乱性の高い媒体であり、通常の入射角で皮膚に入るどのような光線でも、表面のかなり近くで表皮細胞により散乱されて全角度を向くからである。拡散器を組み込みことで、このような皮膚に入る前における光線の散乱を実現できる。これは効き目には全く影響がなく、目の安全性を大幅に向上させる。尚、単純な発散エレメント(例えば、レンズ)を入れることにより、レーザのようなコヒーレント線源の発散を単に増大することでは、必須である目の安全性をほとんど達成することができない。何故ならば、目には焦点調節機能があって、その結果として網膜上で光を強くしてしまうからである。
【0057】
尚、以下の第2および第3の実施形態に記載の装置は、第1の実施形態の必須の構成要素を容易に収容することができる。即ち、以下の実施形態に記載の目に安全な装置は、内蔵型でバッテリー駆動の装置として実現可能である。もしくは、後述する装置は、使用中に通常の壁コンセントにコードをつないで動作させることができる。また、第2および第3の実施形態に記載の装置の使用方法は第1の実施形態に記載のものと基本的に同じである。
【0058】
図2Aは、本発明の第2の実施形態に係る透過型拡散器を組み込んだ皮膚病学的装置、例えば、光を利用した毛再生抑制装置の概略を示す。ここでは、透過型拡散器は、光路に組み込まれ、最初に光が当たる入力面と次に光が伝搬して出ていく出力面をもつ構成要素を説明するために用いられる。このような、透過型拡散器の入力面と出力面は、拡散器自体の材料で分離されている。
【0059】
この図は、皮膚150に接触した拡散材120を使用した装置を概略的に示しており、光は、出力ウインドウ(もしくは単に開口部)100を介して装置を離れる前にこの拡散材を通過する。光源室130内には、多くの有利な特徴を有するパルスを照射する光源140が収容されている。光源140は、例えば、皮膚状態を処置するレーザダイオード・アセンブリであり、1つもしくは2つのレーザダイオードバーが組み込まれていることが望ましい。
【0060】
拡散材120は光源室130内の開口部を被うように置かれている。光源140は拡散器120に均一に光を当てることが望ましいが、必ずしもそうでなくてよい。拡散器120は、光源140から出力された光の発散を増大するとともに、光源の空間コヒーレンスを下げるように設計されている。拡散器120は、進行する光が拡散する材料、例えば、オパールガラス基板からなってよい。適切な光拡散器の設計および材料に関する詳細情報は、部品の詳細を記載した以降の節で網羅されている。本実施形態の変形としては、光源室130の内壁を、光源140が出力する治療波長では吸収性を示さない材料で被覆する、及び/又は構成する。実質的に吸収を起こさない光源室でもよいが、皮膚に同じパワーを与えるにはさらに強い光源140を備える必要がある。パワーを上げることは、特にコードレスでハンドヘルドのセルフケア装置では、エネルギー効率が重要であるため望ましいことではない。
【0061】
混合室110を使用することで光の空間的均一性が向上する。この混合室は、実質的に吸収を起こさない側壁を有する単なる中空のチューブであり、光は出力ウインドウ100を介して装置を離れる前にその側壁を通過して伝搬する。拡散器における光の空間的均一性が所望の処置に適していれば、混合器は省略できる、これにより、拡散器120は、皮膚に接触して出力ウインドウの役割を果たす。もしくは、混合室110の機能がなくても十分な均一性が得られると判定されたとしても、拡散器120を図2Aに示す位置に置くことができる。しかし、拡散器120を光源140の近くに置かないことが望ましい。何故ならば、そうすると、拡散器120に衝突する前に光源からの光が十分に発散していないため、実質的に不均一となるからである。
【0062】
図2Bは、本発明の第3の実施形態に係る反射型拡散器を組み込んだ皮膚病学的装置、例えば、光を利用した毛再生抑制装置の概略を示す。図2Bを参照すると、反射型拡散器という用語は、光路に組み込まれ、光が最初に当たる第1の面、又は入力面を有する構成要素を示すものである。しかし、透過型拡散器とは違って、この第1の面は出力面としての役割も果たし、そこから拡散器からの光が伝搬する。尚、ここで「反射型」という用語は送信光を含むものである。即ち、拡散器も、同様に光を散乱させるかもしくは屈折させるものである。
【0063】
図2Bには、皮膚155に接触し、拡散材125を使用した毛再生抑制装置が示されている。この拡散材は、光が出力ウインドウ(即ち、単に開口部)105を介して装置を離れる前に光源145からの光を拡散する。チャンバー115内には、多くの有利な特徴を有するパルスを照射する光源145が収容されている。光源145は、例えば、ムダ毛といった皮膚の状態を処置するレーザダイオードバーである。
【0064】
拡散材125は、図示するように、チャンバー115内において皮膚の概ね反対側の位置に置かれている。光源145は、拡散器125に一様に光を当てることが望ましいが、必ずしもそうでなくてよい。拡散器125は、光源145から出力された光の発散を増大させるとともに、光源の空間コヒーレンスを下げるように設計されている。拡散器125は、PTFE、例えば、テフロンといった大きく拡散させる材料で構成されている。適切な光拡散器の設計および材料に関する詳細情報は、部品の詳細を記載した以降の節で網羅している。本実施形態の変形では、チャンバー115の内壁は、光源145が出力する治療波長では吸収を生じない材料で被覆される、及び/又は構成されている。混合器としてのチャンバー115の使用で光の空間的一様性が向上する。このチャンバーは、実質的に吸収を起こさない側壁を有する単なる中空のチューブであり、光は出力ウインドウ100を介して装置を離れる前にその側壁を通過して伝搬する。尚、図2Bは、本実施形態における反射型拡散器の概念を示しており、そこでは、光源145からの光は、最初に、拡散器125に当たる前に皮膚155から離れる方向に向けられる。図2Bの装置はこれとは違った構成をとることができる。その構成では、光源145からの光が最初に皮膚へ向かう方向へ伝搬するが、皮膚に突き当たる前にその光がミラーによって拡散器125に引き返すよう向け直される。
【0065】
部品設計
光源
図1を参照すると、光源10は、好適には公称波長が約800nmの2つのダイオードレーザ・バーである。動作仕様は、例えば、出力フルエンスが20J/cm、パルス持続時間が350nm、スポットサイズ(出力開口)が0.8cm、パルス繰り返しレートが0.5Hzである。これらのパラメータは、46Wの光ピークパワー、約18%のデューティー・サイクルに相当し、その結果としての平均光パワーは約8Wである。これらのパラメータで動作するダイオード・バーは、効率が約35%から40%の範囲内の値で、光源への平均電力は約23W(8Wの放射平均光パワーと約15Wの余熱)である。光源の容積と重量はそれぞれ約1cm、10gである。光源に対するその他の一実施形態では、2つではなく1つのダイオード・バーを使用したもの、2つ以上のダイオードレーザ・バーを使用したもの、発光ダイオード(LED)を使用したもの、フラッシュランプ(フラッシュ・チューブとしても知られている)を使用したもの、アークランプを使用したものが含まれる。
【0066】
皮膚接触センサ
皮膚に接触していないときに装置からの不用意な光パルスの出力を防止するため、好適な皮膚病学的処置装置の先端には皮膚接触センサが組み込まれていることが好適である。このセンサには、好適なサファイヤ・ウインドウの周囲に位置するリング状の非常に小さい「メンブレン・スイッチ」が組み込まれている。このメンブレン・スイッチからの信号は、皮膚などの接触面に実質的に接触していなければ装置の始動を防止するものである。その他の一実施形態では、トリガーを削除して、1個以上のメンブレン・スイッチを閉じることで、1つ以上の光パルスを作動させる。上述したように、良好な接触がなされたとき、また、出力ウインドウがユーザの皮膚上の良好な接触位置からずれたときに、可聴によるかもしくはその他の感覚的な表示が提供されることで、良好な接触が再度なされるまで上記の動作が行われないようにすることが望ましい。可聴によるかもしくはその他の感覚的な表示は、パルス表示の終わりで提供され、装置が次のパルスの前に他の位置に移動したことをユーザにフィードバックすることが望ましい。
【0067】
充電台
好適な実施形態に係る皮膚病学的処置装置の使用の合間に、それを充電台の中に置いておくことが望ましい(図6参照)。この充電台は、現在、電気歯ブラシ、髭剃り、電話器等とともに使用するために生産されているものと同じである。この台は、通常のACコンセントに接続され、一晩でバッテリーを再充電できる。
【0068】
上述したように、第2、第3の実施形態における装置は、使用中は通常の壁コンセントにコードでつないで動作し、充電台を不要としてもよい。
【0069】
混合器
図1に示す実施形態において、混合器12は、(a)ダイオードレーザから出力された光を混合して出力ウインドウ14で一様となるビーム・プロファイルを生成し、(b)出力ウインドウ14と熱除去エレメント16との間に低い熱抵抗路をつくり、(c)後方反射光もしくは後方散乱光からの光吸収による装置の熱負荷を最小にする役割を果たす。
【0070】
混合器12は中空の室からなり、その壁の材料は銅もしくはアルミニウムである。この壁は、研磨された基材もしくはコーティングを施すことで、800nmの光に対して高い反射率を達成している。混合器の長さは、出力面の全体に良好な空間的一様性の光が提供されるような設計になっている。6mm離れた2つのダイオード・バーから1×1cmの出力ウインドウに十分に一様な照射をするには、1cmから2cmの範囲内の長さが必要となる。混合器の壁の厚さは、出力ウインドウ14と熱除去エレメント16との間で熱伝導が良好となるよう設計されている。1×1cmの出力ウインドウを囲んでいる銅製の壁に対して温度上昇が5℃で2cm離れた熱源に平均約8Wのパワーを伝えるには、約2mmの壁の厚さが必要となる。混合器の容積と重量はそれぞれ、約4cm、20gである。光吸収による混合器の温度負荷は、1Wよりも小さい。混合器12の他の実施形態は様々な形状をとることが可能であって、また、多数の構成要素からなることで、出力ウインドウと熱除去エレメント間の熱リンクを達成して光の混合と低い光吸収を実現する。その断面形状は、様々な形(例えば、円形もしくは矩形)をとることが可能であって、混合器の長さに従って変えることができる。皮膚、もしくは拡散器、もしくは混合器の壁が皮膚から離れる方向へ光を送るので、混合器は、低吸収側壁のみならず出力開口部の反対側に設けた低吸収面で構成可能である。このような低吸収面は、光源からの光を通過させる1個以上の開口部を備えていてもよく、もしくは、単に光源に隣接した面で構成してもよい。
【0071】
他の一実施形態では、光源からの光を出力ウインドウ14へ反射するための内部混合器、例えば、研磨された金属シートと、出力ウインドウ14から熱除去エレメント16へ熱を伝えるための厚い金属外面、例えば、銅もしくはアルミニウム容器とで構成することができる。本実施形態では、内部混合器はガラスもしくはアクリルなどの固体の透明材でつくることもできる。この場合、光源からの光は、ガラスもしくはアクリル内の全反射によって出力ウインドウ14側へ反射される。
【0072】
光拡散器
「拡散器」もしくは「光拡散器」という用語は、本特許出願全体に亘って、フラッシュオパール型の「光ディスク拡散器」(例えば、コネチカット州ストラトフォード、オリエール・インスツルメンツのモデル48010)などの従来から周知の構成要素だけでなく、もっと一般的に、所定の放射露光量、即ち、フルエンスを有する光放射装置に組み込まれたときに、その装置の積分放射輝度(光度)を大幅に減らすような構成にも言及している。一般的に、拡散器は、発散を増大させ、入射光の空間コヒーレントを減少させるものである。
【0073】
図2Aを参照すると、拡散器120は、上述したオリエールの光ディスク拡散器のように、光が通過する際にその光を散乱させるような材料で構成することができる。もしくは、拡散器120を、屈折により入射光を散乱させるように面をザラザラにした透明基板とすることもできる。拡散器120は、例えば、オパール・ガラス、PTFF、薄い(例えば、0.5mm)スペクトラロン・シート、もしくは、これらを組み合わせたものからなるバルク散乱拡散器とすることができる。もしくは、この拡散器120は、屈折性もしくは回折性の表面もしくは本体を有したり、ランダムな凹凸を持った表面からなる拡散面を有していてもよい。このような拡散器は、すりガラス、サンドブラスト・ガラスもしくはプラスチック、ランダムにテクスチャード加工されたモールドで作られた成形材料もしくはこれらの組み合わせから作ることができる。もしくは拡散器120は、例えば、ホログラフィーもしくはフレネル・パターンでパターン化した表面もしくは本体をもつものであってもよい。
【0074】
図2Bに示す反射型拡散器125は、PTFEといった高度の散乱材、(ラブスフィア社より入手できる)スペクトラロンといった市販材で構成することができる。もしくは、拡散器120は、皮膚155の反対側のチャンバー115の表面に使用する(ラブスフィア社より入手できる)デュラフレクトといった散乱材で構成してもよい。もしくは、拡散器120を、皮膚155の反対側のチャンバー115の表面を単にザラザラにして作ることができるが、好適な実施形態では、スペクトラロンといった実際の拡散材もしくはデュラフレクトといった適用表面コーティングを、それらが低吸収材であるという理由から取り入れている。また、拡散器120を、例えば、スペクトラ・フィジックス(オリエール)製のパート♯48010オパール・ガラス基板といった光が通過する際にその光を散乱する材料で作製し、裏に高度の反射鏡を設けることで、透過型拡散器の材料が反射型の拡散器としての役割を果たすようにしてもよい。
【0075】
図3Aは、微細構造もしくはレンズタイプの透明スクリーンを有する拡散器120を例示するものである。図3Aは、モールド成形もしくは機械加工の屈折もしくは回折エレメントを有する透過型シートを示す。この拡散器120は、図3Bに示すように同心状のマイクログルーブ帯を有する。
【0076】
図2Bの拡散器は、図3Cに示され、また、以下の図3Eを参照して詳述するように、単にザラザラにした内面の通路を有し、装置を抜け出る前にそれを介して光が散乱する。
【0077】
本発明の実施形態に係る装置での所定の出力フルエンスに対して非常に低い積分放射輝度を達成する他の一手段は、例えば、図3Dに示す鏡張りの壁を有する混合器に出力する「ポイント点光源」に隣接する小さな光源を備える。
【0078】
図3Eは、皮膚250と接触する本発明の実施形態であり、出力ウインドウ200を介して装置を離れる前に光が当たる図3Cの拡散面220を使用している。この場合も、光源240は、光源チャンバー230内に収容されている。しかし、装置を離れる前に光が通過する拡散材の代わりに、光源240に対して拡散面220を置くことで、光は装置を離れる前に面220に当たる。拡散面220は、光を拡散するように設計された単にザラザラした表面、例えば、サンド・ブラストされたアルミニウムであったり、もしくは、スペクトラ・フィジックス(オリエール)製のパート♯48010で使用されるオパール材といったバルク拡散材でコーティングされた面とすることができる。面220は、光源チャンバー230の内壁全体をコーティングしたものである必要はなく、所望レベルのビーム発散と低減された空間コヒーレンスを達成できる十分な部分であればよい。好適な実施形態では、面220には、光源240から出力される治療波長では実質的に吸収を生じない材料を使用する。
【0079】
当業者にとっては周知であるその他の設計も可能であったり、援用文献から提供されるその他の設計も可能である。即ち、これらのものは、単なる一例にすぎない。
【0080】
出力ウインドウ
出力ウインドウ14は、サファイヤのように透明で熱容量が高く、高熱拡散率の材料であって、混合器12に対して低い熱抵抗接続を有することが望ましい。厚さ5mmとすることで、1×1cmのサファイヤ・ウインドウに許容範囲の熱減衰機能を持たせることができる。出力ウインドウ14の容積と重量はそれぞれ、約0.5cm、2gである。出力ウインドウの熱負荷は、平均パワーで約8から9Wの範囲内の値である。
【0081】
熱除去エレメント
熱除去エレメント16は、銅、水、もしくはアルミニウムといった高熱容量の単相材料からなる熱バッテリーとするか、もしくは、含水塩とパラフィンワックスのような様々な位相変化材であればどのような材料も可能であるため、5倍から10倍の範囲内の熱エネルギー密度を提供し、さらにコンパクトなサーマル・バッテリーとすることができる。サーマル・バッテリー材TEAP/クリメータ・クリムセル24を使用した実施形態は、10℃の動作で210J/cm、144kJ/kgを蓄積できる。従って、平均熱負荷23Wでの10分間の処置に対して、サーマル・バッテリーは約70cm、100gである。
【0082】
熱除去エレメント16の他の実施形態は、熱電性に基づく熱交換器を有する。この熱交換器は、装置の残りの部分に熱的に接続されたコールドサイド放熱板と、熱電モジュールと、周囲に熱的に接続されたホットサイド放熱板とを有する。強制的な対流を提供するファンはこの熱交換器の一部である。
【0083】
好適な第2の実施形態の詳細
好適な第2の実施形態に係る装置の概略的な断面を図10に示す。デバイスハウジング610の端部に組み込まれ、ハンドルとしての役割も果たす本装置のレーザヘッドは、ファン冷却用のフィン付き放熱板の上に、好ましくは2つのAlGaAsレーザダイオードバーを有する。レーザ光は、断面が9mm×9mmの角型チューブと、オパール・ガラス拡散器とサファイヤ・ウインドウのペア626を介して伝搬する。このサファイヤ・ウインドウは、処置の間、皮膚に接触しながらダイオード・バーのいずれかの側に実装された小さな熱電モジュールによって室温近くに維持されている。
【0084】
例えば、図9に示され、(例えば、カリフォルニア州、マウンテンビューのスペクトラ・フィジックス社、もしくは、カリフォルニア州、サンタクララのコヒーレント社製の)多数のダイオードレーザ放射器510を備える代表的なダイオードレーザ・バー500は、20ワットから40ワットの範囲内の連続光パワー出力と、100ワットに迫る最大ピークパワー出力を有する。このため、25個以上の個別のレーザダイオードではなく、わずか1つもしくは2つのバー500で25ワットを越える光ピークパワー出力を有する毛再生抑制装置の設計が可能である。各レーザダイオードバー500は、好ましくはモノリシック構造からなる多くの個別の放射器510を有し、50ミリ秒よりも長い間、光ピークパワー出力30ワットを生成するために、2.0ボルトをわずかに下回る電圧でおおよそ40アンペアの電流を要する。
【0085】
デバイスハウジング610は、例えば、6個のニッケル-カドミウムもしくはニッケル水素の1.2V「Cサイズ」バッテリー(例えば、パナソニックの部品番号P−170SCW、もしくはHHR300SCP)からなるバッテリーパック710を有する。ハウジング610には、以下に詳述する制御電子部品を有する回路基板614も組み込まれている。バッテリーパック710からの電力は、回路基板614上の電子部品によって調整、制御され、放熱板618の上に実装されたレーザダイオードバー720(例えば、カッティング・エッジ・オプトロニクスのレーザダイオードバー・パッケージ、部品番号ASM06C040W08081B80)に、配線(不図示)を介して公称40AAの電流が供給される。
【0086】
放熱板618は、フィン付き放熱板620(例えば、ニュージャージ州、トレントン、メルコアの部品番号HX8−101)に取り付けられ、バッテリーパック710より電力供給されているファン622(例えば、メルコアの部品番号FAN−101)によって冷却される。放熱板618は良好な熱伝導体であるとともに電気絶縁体であることが望ましい。この放熱板618には,材料BeOを使用することが望ましい。フィン付き放熱板620はアルミニウム、銅、もしくは、高い熱伝導率の他の材料のブロックからなる。このフィン付き放熱板620は,ファン622で循環された空気と熱交換する。レーザダイオードバー720からのレーザ光は、混合器624(例えば、金めっきされたアルミニウムのような高反射率の壁を有する断面が矩形の中空チューブ)を通り抜ける。
【0087】
混合器624からの光は、次に、好ましくはオパール・ガラス(例えば、スイス・ジュエルの部品番号W13.50)とサファイヤからなる拡散器/ウインドウ626を通過し、続いて、1本以上のムダ毛が生えた者の皮膚628に入る。拡散器/ウインドウ626は、拡散器/ウインドウ626からの余分な熱を熱電(TE)冷却モジュール630(例えば、メルコアの部品番号CP0.8-31-06L)のコールドサイドへ混合器624を介して伝導することで、過熱を防止している。次に、TEモジュール630が、そのホットサイドを放熱板620に接触させておくことで冷却される。TEモジュール630は、混合器624から放熱板620へ熱を送り込む半導体デバイスであることが望ましい。
【0088】
図10に示すように、レーザダイオードバーの主光軸は、混合器の主光軸に合わせられており、拡散器/ウインドウ626の表面への法線に平行である。しかし、別の一実施形態では、レーザダイオードバーから出力される光の主光軸は、実質的には拡散器の表面の法線に平行ではない。これは、レーザダイオードバーが出力ウインドウの表面の法線に平行とならないようにそれらの主光軸を傾けることによって達成可能であり、また、それらの主光軸が拡散器の表面の法線に平行とし、それらのバーから出力される光がミラーを使用して異なる角度で拡散器に当たるようにするようにダイオード・バーを実装することによって達成可能となる。この角度は、およそ45度であることが望ましい。本実施形態では、レーザダイオードバー720で生成された光が、拡散器/ウインドウ626に当たる前に順方向から外へ拡散するようにし、結果としてより拡散した目に安全なビームがハウジング410から伝搬される。
【0089】
電気回路設計
レーザダイオード回路の概観
実施形態におけるバッテリー駆動のレーザダイオードバーを使用した皮膚病学的処置装置と方法を説明する。この装置は、ハンドヘルド型皮膚病学的処置装置、1個以上のバッテリー、1個以上のレーザダイオードバー、および電子制御回路を備える。本装置は、コンパクトで価格が手頃であり(1000ドル未満)、電源コンセントへのコードもしくはその他の接続が不要であって、1Wの光出力レベルをかなり越える装置で家庭で効果のある毛再生抑制を初めて可能にするものである。この装置は、バッテリーの数が少なく(好ましくは、3個から6個の範囲内の数)、そのバッテリーから40アンペア以上を効果的に引き出す効率的な回路設計がなされ、通常、1つか2つのレーザダイオードバーを組み込んで、800nmで、10Wから120Wの範囲内、より好ましくは、30Wから60Wの範囲内の複合光ピークパワー出力を生み出す。この装置により、需要者は、既存の家庭用「脱毛」装置よりもはるかに出力パワーの高い装置を使用して自宅で個人的に毛再生を抑制でき(より効果的な毛再生抑制とより速いカバレッジレートを可能にした)、その上、コンパクトな装置サイズとコードレス(バッテリー駆動の)操作という利便性を享受することができる。また、本装置はプラグに接続したままでの使用、例えば、装置をコンセントもしくは他の電源につないだままでも不便でない場合の使用にも適している。これにより、時々バッテリーのパワーを節約でき、バッテリーの再充電を行うことができる。
【0090】
本概念は、その有利なアプリケーションにおける毛再生抑制に限定されず、好適な約800nmの波長にも限定されることはなく、他のアプリケーションもしくは他の波長についても、バッテリー駆動のレーザダイオードバーを使用した皮膚病学的処置により広範に適用可能である。例えば、良性の色素損傷や不要な足静脈を800nmのレーザダイオードバー光源を使用した診療室環境で皮膚科医によって処置でき、また、同様のレーザダイオードバー光源を使用し、1400nmもしくは1700nm(両方とも皮脂の吸収ピーク)で脂線の破壊によるニキビの処置が可能である。本発明は、1つもしくは2つのレーザダイオードバーであって、その各々が多数のレーザダイオード放射器を備えたものだけを組み込んだ装置に限定されるものではなく、多くのレーザダイオードバーを備えることができるし、固体レーザ、半導体レーザ、VCSEL、フラッシュランプといった他の代替的な光源、中でも、当業者にとって明らかであって、バッテリー駆動の家庭用処置装置のために記載した入出力基準に一般的に合致するものを備えていてもよい。
【0091】
好適な実施形態に係る装置および方法は、皮膚病学的装置の出力開口部から出力される光の発散を増大させ、空間コヒーレントを低下させることによって目の安全性を向上させることを備える。尚、出力開口部はクリッピング開口部とすることができるが、ここで使用しているようにそれに限定されることはなく、この用語は、光が進行もしくは伝搬するどの平面をも含むことを意味し、また、ウインドウもしくは光拡散器といった特定の固形物、もしくは空気のような流動体からなるものである。
【0092】
本装置および方法は、バッテリーを不要とする従来の壁コンセントでの動作を備えていてもよい。
【0093】
バッテリーおよび制御電子部品の概要
原理的にはトランスを使用して、主としてバッテリーから引き出した0.001から3アンペアの範囲内の値を40アンペアレベルに引き上げることができるが、本方法は、以下の2つの理由から家庭用装置への適用については実際的ではない。第1に、適当なトランスを組み込むことは、重量、容積、およびコストの増加となり、第2に、トランスを介した電流の増大は、対応する電圧の下降を必然的に伴う。従って、例えば、入力2Aを出力40A、2Vに変換するトランスは、20:1の巻数比を有し、40Vの入力電圧を使用することになる。一般的にバッテリーは、1.2から1.5Vの範囲内の出力であるため、おそらく多数のバッテリー(25個より多い)、もしくは電圧ブースト回路のいずれかを使用する必要がある。これらの複雑さが、装置の重量、大きさ、およびコストをさらに増すことになる。もしくは、1ファラッド以上の容量をもつスーパーキャパシタ(近年、市販され始めた大容量の電気部品であり、カリフォルニア州、サンディエゴのマクスウエル社によりウルトラキャパシタと名づけられた)を付加することを考える者がいるかも知れない。このデバイスは、非常に大きな電流を供給するが、バッテリーと違い、定電流出力時でも急速に出力電圧が低下し、さらには、それ自体の重量と容積が加わることになる。
【0094】
好適な装置のハンドルは、5個の「サブC」サイズのニッケル水素もしくは同様のバッテリーを組み込んだ再充電可能なバッテリーパックを有しており、主蓄積キャパシタもしくはトランスなしで、再充電中に約300パルスから500パルスの範囲内のパルスを装置に電源供給できる。即ち、好適な実施形態の回路は、「ダイレクトドライブ」の電気回路であり、光パルス期間においてバッテリーから流れる電流は、光源を貫流する電流に実質的に等しいか、もしくは、多数の光源に並行して流れる電流の総和に実質的に等しい。バッテリーから供給される電圧は、回路内の様々な抵抗での電圧降下があるため、光源への印加電圧よりも実質的に高くなることはない。
【0095】
好適な一実施形態では、バッテリーが電気出力の源としての役割を果たす。バッテリーは、(a)光源を直接ドライブするバッテリーであって、好適なダイレクトドライブ電気回路、もしくは、それに代わる(b)光源を駆動するスーパーキャパシタを充電するバッテリー、(c)光源を駆動するキャパシタを充電するバッテリー、(d)光源を直接駆動するスーパーキャパシタ、もしくは(e)光源を駆動するキャパシタを充電するスーパーキャパシタを備えてよい。化学バッテリーは、アルカリバッテリーのように再充電不可能であり、ニッケル水素(Ni-MH)バッテリーのように再充電可能である。再充電可能なバッテリーは利便性が高く、ユーザには低コストとなる。代替の実施態様(c)に関するトポロジーを考慮すると、約50cm、170gのNi-MHバッテリーでは、約15分間の動作が可能であろう。キャパシタは、約50cm、50gであろう。
【0096】
ニッケル水素バッテリーは、実質的にピーク電流容量が小さいリチウム・イオンバッテリーよりも好ましい。ニッケル-カドミウムバッテリーは、残念ながらエネルギー容量が小さいが、直列抵抗は低い。選択したNi-MHバッテリーは、1.25Vの電圧で3アンペア・時(Ah)のバッテリー容量があるので、500パルスを容易に生成することができる。これらのバッテリーは工場で取り付けることが好ましく、また、都合が良い。即ち、バッテリーは、工場でのみ取り替え可能であることが好ましい(例えば、改修時)。需要者が取り替えることのできるバッテリーの別の一実施形態は、使い捨てもしくは再充電可能のいずれかであり、さらに複雑な設計とコスト増を伴う。そのような実施形態では、はんだ付けワイヤではなくバッテリー端子が必要となる。また、好適な一実施形態の回路では約40Aで25ミリオームの端子抵抗を駆動するので、結果的に1ボルトの電圧降下となる。これは、利用可能な全バッテリー電圧に相当な端数が生じることになるため、非常に好ましくない。はんだ付けしたバッテリー端子の方が望ましく、抵抗もかなり低い。
【0097】
電気回路の詳細
図11は、好適な一実施形態に係る電気回路の特徴を示す。付随する構成要素を回路図の様々なブロックとしてまとめてある。各ブロック内の詳細は図示していないが、当業者であれば各ブロックを実施できると考えられる。好適な実施形態に係る毛再生抑制装置への電源供給および制御のための電気回路は、コードレスでハンドヘルドの内蔵型装置内で一組のレーザダイオードバーを駆動するには、有利に堅牢かつ効率的なものである。制御電子部品の詳細については、好適かつ典型的な実施形態に基づく以下の記載、また、図11にブロック図で概略的に示すもの、図12にさらに詳細に示してあるものと大きく変わってもよい。
【0098】
本装置の制御部は、プロセッサ888である。プロセッサのブロック内には、アリゾナ州、チャンドラのマイクロチップ・テクノロジー製のPIC18LF452が組み込まれている。この制御部には多くのアナログI/O、デジタルI/O、オンボードのリードアクセス・メモリ(RAM)、不揮発メモリ(FLASHおよびEEPROM)、およびその他の機能部があり、これらにより、内蔵型装置は、従来の診療所用装置に比べて相対的に小型でかつ軽量で、廉価な上、使い勝手がよい。本装置では、マイクロコントローラを使用する必要はないかも知れないが、これを使うことで、所定のサイズに対して別な方法で可能となる構成よりも装置の能力が大幅に向上する。また、プロセッサやその他の電子部品の大部分に特定用途向け集積回路(ASIC)を使用してもよい。装置の操作者によるトリガーボタン826を使用することは、処置パルスが必要なことの合図である。操作者が処置パルスを必要としていることを合図する手段として、接触センサ819,820が使用されるなら、トリガースイッチ826は不要である。プロセッサ888は、様々な信号によって他のブロックとの通信を行う。このプロセッサは、シリアル・インタフェース・ポート836を介して周辺デバイスと通信を行うことができる。また、このプロセッサは、回路に既にはんだ付けされているプログラマブル・ポート837を有していることが望ましく、それを介してマイクロコントローラのプログラムが行われる。プログラマブル・ポート837は、ソフトウエアの設計とデバッグをより便利にするため、インサーキット・デバッガ(ICD)によっても使用される。
【0099】
好適な一実施形態に係る装置は、バッテリーパック806とDC/DCコンバータ887から電源供給される。このバッテリーパックのバッテリーの数は、レーザダイオード800、またはLED、フラッシュランプ、もしくはその他の代替となる光源、電流検知抵抗801,804、FET802,803を介して電流を駆動するにためには十分である。寄生抵抗と創造的な回路アーキテクチャについて十分に考慮した結果、好適なバッテリー構成は、5個のバッテリーからなり、各々の定格が1.2V、充電期間において1.0Vから1.5Vの範囲内の値を供給するものである。従って、バッテリーパック806より供給される電圧は、5.0Vから7.5Vの範囲内の値となる。
【0100】
DC/DCコンバータ887は、電源ボタン825、バッテリー充電器886からの起動信号838、およびプロセッサ888からのシャットダウン信号を監視する。このDC/DCコンバータ887は、電源ボタン825が押されると、電源スイッチ信号834を介してプロセッサ888に信号を送る。DC/DCコンバータ887は、バッテリー電圧監視信号827を介して、バッテリーの電圧に比例した信号を、アナログ調整電子部品889に伝達する。DC/DCコンバータ887は、その他の回路ブロック、即ち、基準電圧828、FETゲート駆動電圧829、電子部品供給電圧830、および、DC/DCコンバータ887によりスイッチがオン/オフされるスイッチバッテリー電圧831への電源供給に必要な様々な電圧レベルを生成する。図11に示す回路ブロックの各々は、信号の共通部807に接続されているが、その接続は図示している場合としていない場合がある。バッテリーとその他の電子部品との間にあるスイッチは寄生電圧降下をもたらすため、レーザダイオード・ループに供給されるバッテリーパックの電圧は、センチネルFET802および制御FET803と無関係に切り換えられることはない。スイッチがないことはバッテリー信号805で示される。
【0101】
バッテリーの充電器886を使用してバッテリーパック806を充電する。一般に入手可能な直流9V、500mAの低電力電源アダプター(不図示)を、DC電源ジャック824に接続できる。バッテリーの充電器886には、約450mAの電流でバッテリーパック806に充電する高速充電モードと、約30mAの電流でバッテリーパック806に充電するトリクル充電モードとがある。バッテリーの充電モードは、プロセッサ888が高速充電信号839を介して選択する。プロセッサ888は、アナログ信号バス841内の1つ信号を介してバッテリーパックの充電状態が知らされる。DCアダプターがDC電源ジャック824に接続されると、バッテリーの充電器は起動信号836を介してDC/DCコンバータ887に起動のための信号を送り、充電電圧監視信号840を介してプロセッサ888に信号を送る。プロセッサは、電源アダプターがあることとバッテリーの充電状態を知っているので、バッテリー806の高速充電にインテリジェント・アルゴリズムを使用できる。
【0102】
アナログ調整回路889は、必要に応じてプロセッサ888に送られる様々なアナログ電圧を増幅したり、信号インピーダンスを変換する。これらの信号には、レーザダイオード・カソード電圧813、電流検知信号814、バッテリー電圧827、皮膚センサ検知信号842、基準電圧828、および、温度センサ850,851,852を表す電圧が含まれる。温度センサを使用して、フィン付き熱交換器、熱電冷却エレメント858のコールドサイド、バッテリーパック806と主回路基板の電圧を監視する。調整アナログ信号は、アナログ信号バス841を通ってプロセッサに送られる。
【0103】
皮膚センサ回路890は、装置の出力開口部において皮膚のその他の物質を区別するためにある。発光ダイオード(LED)853,854は、装置の出力開口部を照射するために使用する。出力された光は、検知器855,856で検知される。プロセッサ888は、アドレスバス843を介してどのLEDで照射するかの選択を行う。検知器855,856からの信号は合算されて、検知信号842を介してアナログ調整電子部品889に送られる。従って、プロセッサ888は、皮膚に対する既知の予測値と各LEDに対する検知信号を比較する。このようにして、皮膚はその他の多くの材料と区別することができる。好適な一実施形態では、5個のLED、青、緑、黄、赤の出力光、電磁スペクトルの赤外線部分を使用する。単純なシリコン・フォトトランジスタを使用して出力光を検知する。皮膚センサが皮膚とその他の材料とを確実に区別可能な度合いを、多数のLEDを使用して上げたり、少数のLEDを使用して下げたりすることができる。
【0104】
ファンおよびTEモジュール電子部品891は、ファン857とTEモジュール858に電源を供給する。プロセッサ888からのファン信号844とTEモジュール信号845は、ファンおよびTEモジュール電子部品891が、ファン857とTEモジュール858それぞれに電源を供給しているかどうかを判断する。
【0105】
操作者とのコミュニケーションに使用する視覚表示器には、3個のLED、電源859、準備完了表示器860、バッテリー861が含まれる。また、可聴表示器862も、ユーザ・フィードバックの提供に使用することが望ましい。操作者が視覚表示器859,860,861を直接見ることができないようにする身体領域のセルフ処置に装置を使用している場合にはその装置を見ることが困難であることから、この可聴表示器は内蔵型の装置にとって特に都合がよい。電源表示器859を使用して、装置が起動していることを人に知らせる。準備完了表示器860は、装置が起動し、適度な動作温度にあり、ユーザが処置を開始できることを合図する。バッテリー表示器861は、バッテリーの充電状態を知らせる。これら3つの表示器は、(他の好適な状態に加えて)装置が処置用の光パルスを出力するときに点灯状態となる。スピーカ862は、電源オン、電源オフ、処置パルス、もしくは他の多くの事象を、異なる音と様々なトーン・シーケンスと持続時間とを使って知らせる。これらの表示器の各々は、プロセッサ888から関連する制御信号、即ち、スピーカ信号846、バッテリー信号847、準備完了信号848、および、電源信号849を受ける。
【0106】
接触センサ電子部品880は、皮膚などの固い表面と、装置の出力開口部、即ち、出力ウインドウ部との接触を検知するために使用される。1個以上のセンサ819,820を使用して出力開口部の様々な部分の接触を感知する。携帯電話のキーパッド、電卓のキーパッド、もしくは他の電子部品で一般的なメンブレン・スイッチを使って構成された3つの簡単なコンタクト・クロージャーを使用して、好適な実施形態の装置における接触を検知する。光、超音波、抵抗率、もしくはその他の物理現象を利用した他の接触センサも使用可能である。接触センサの状態は、コンタクト・バス821を介してプロセッサ888へ知らされる。プロセッサは、他の制御電子部品に処置パルスが起動され維持されていることを知らせる前に、十分な接触が提供されているかどうかについて複雑なアルゴリズムを使用して判断する。また、接触センサ電子部品880は、コンタクト信号815を介してパルス許可電子部品881に直接(かつ、重複して)知らせる。
【0107】
電流制御電子部品885は、レーザダイオード800を貫流する電流に閉ループ制御を行う。電流センス抵抗1(804)両端の差動電圧は、電流制御電子部品885によって監視され、その電圧は、レーザダイオード800を貫流する電流に比例する。この差動電圧は増幅され、電流設定抵抗812によって調整可能な設定電圧と比較される。制御FET803のゲート電圧は、適切な電流が流れるように電流制御電子部品885によって継続的に調整される。処置パルスの要求がないときには、パルス否定信号823で示されるように、電流制御電子部品885は制御FET803をオフにする。
【0108】
電流制限電子部品884は、電流センス抵抗2(801)を貫流する電流を監視するために使用される。電流制御電子部品885と同様、電流制限電子部品884は、電流センス抵抗2(801)に生じた差動電圧を増幅し、この電圧と、電流制限抵抗811により設定された電圧とを比較する。電流センス抵抗2(801)を貫流する電流が制限値を越えた場合、過電流エラー否定信号810を介してパルス許可電子部品881とプロセッサ888の両方に過電流エラーが知らされる。
【0109】
パルス幅制限電子部品882は、処置パルスのパルス幅を監視するために使用される。(プロセッサ888が使用するものとは違う)独立した時間ベースを使用して、どの処置パルスの持続時間もパルス幅制限抵抗817で設定した時間を超えないようにしている。プロセッサ888がパルス否定信号823によって、パルス幅の制限値を越えるパルスを要求した場合、パルス幅制限回路882は、パルス幅エラー否定信号818によってプロセッサ888とパルス許可電子部品881に知らせる。
【0110】
パルス率周波数(PRF、或いは繰り返しレート)制限電子部品883は、処置パルスが必要以上に頻繁に出力されないようにするために使用される。プロセッサ888によって、パルス否定信号823で要求されたパルス間に十分な時間が割り当てられなければ、PRF制限電子部品883は、PRF制限否定信号816によってパルス許可電子部品881にエラーを知らせる。
【0111】
パルス許可電子部品881は、他のブロックからの信号が、処置パルスの開始前に当該他のブロックの要求が満たされていることを示すことを保証するものである。これらの信号には、コンタクト815、非過電流状態810、非パルス幅エラー状態818、非パルス率周波数(PRF)エラー816、およびプロセッサ許可信号の存在822が含まれる。これらの許可信号が全て存在すれば、パルス許可電子部品881は、センチネル・ゲート信号809によってセンチネルFET802のゲートをオンにする。パルス許可電子部品881で監視された信号のいずれもがパルスを継続すべきでないことを常に示している場合は、パルス許可電子部品881によってセンチネルFET802がオフにされ、出力は中間のパルスで終了する。
【0112】
レーザ励起回路ループは、以下の構成要素、即ち、レーザダイオード800、バッテリーパック806、電流センス抵抗1(804)、電流センス制御FET803、センチネルFET802、および電流センス抵抗2(801)からなる。このループは、図12にさらに詳細に示す。
【0113】
図12は、レーザダイオードバーに対する電流制御に使用する回路の詳細を示している。図12に示すように、バッテリーパック806の正および負の電極が、端子J4とJ2それぞれに接続されている。レーザダイオードバーのカソードおよびアノードは、端子J1とJ3それぞれに接続されている。電流センス抵抗1,R1と電流センス抵抗2,R2は、0.002オームの抵抗として示されている。電流制御FETは、2つのFET Q2とQ4の並列接続で示されている。センチネルFETは、2つのFET Q1とQ3の並列接続で示されている。抵抗R3,R4,R5,R6は、制御電子部品の一部であるが、図11のブロック図には個別に示されていない。抵抗R3,R4が、センチネルFETと電流制御FETのゲートにそれぞれ接続されているため、いずれかのゲート信号が何らかの理由で断たれたならばトランジスタはオフになる。R5,R6は、図11のレーザダイオード・カソード電圧信号813を生成するために使用される。キャパシタC1,C2,C3,C4は、FETのスイッチング・ノイズを減らすために使用されるが、必要がない場合もある。
【0114】
図11と図12は、好適な一実施形態に従って使用できる電気回路の顕著な特徴を示している。図11と図12に示す設計の有利な特徴は、レーザダイオードにバッテリーパックによって直接電源が供給されることである。ここで、「直接電源が供給される」という語句、もしくは、他の個所で使用している語句「ダイレクトドライブ」は、バッテリーを貫流する瞬時電流とレーザダイオードを貫流する瞬時電流とがある特定の瞬間には実質的に等しいことを意味している。この瞬時電流は、バッテリーから引き出された少量の電流が制御電子部品の電源供給に使用されたときにだけ異なる。このアーキテクチャは、提供される効率が様々であることから毛再生抑制に使用される最先端のレーザシステムおよびフラッシュランプ・システムとは際立って異なるとともに有利である。
【0115】
効率的な電気回路の設計
図11と図12の回路には、パルスレーザ・システムの励起に40アンペアの電流パルスを与えるため、従来のパルス電源回路よりも顕著なアーキテクチャ上の利点がある。大電流パルスを供給できる回路のほとんどが主蓄積キャパシタに依存してパルス期間中に出力される電荷を蓄積している。例えば、ライトシアー・ダイオードレーザ・システム、クオンタム・フラッシュランプ・システム、およびアトラス・クールグライドのような最新の脱毛システムは全て、パルス間においてDC電源で再充電される大バンクのキャパシタを有する。これに対し、好適な一実施形態のシステムにはダイレクトドライブの電気回路が組み込まれている。上述したように、この回路は、バッテリーからレーザ電極への電流パルスを直接切り換えるもので、主蓄積キャパシタを有していない。このような主蓄積キャパシタは、キャパシタのエネルギー密度が低いことから、大バンクのキャパシタを必要とする。さらに好ましいことには、ダイレクトドライブの電気回路は、昇圧トランスも降圧トランスも使用していない。これにより、好適な実施形態の装置の大きさと重量が主蓄積キャパシタもしくはトランスを備える回路よりも大幅に小さくなるため、好適な一実施形態の一設計目標によれば、主蓄積キャパシタ・バンクとトランスにより大きさと容積が増えることは回避できる。
【0116】
さらに、キャパシタを使用したシステムではキャパシタ・バンクから電流が供給されるため蓄積した電荷が減り、そのキャパシタ両端の電圧が著しく低下する(電圧=電荷/容量)。この電圧降下は初期のDC電圧が要求されるものよりも大きい必要があることから、キャパシタが放電しながらシステムを駆動し続けるために利用できる十分な電圧があることを意味している。従って、電圧が大幅に降下しなかったときのパルスの始まりの期間において、制御FET803両端で大きな廃棄電力が発生する。これは、好適な実施形態のハンドヘルドのコードレス装置にとって、エネルギー効率の良い回路を備えようとする要求と矛盾する。トランスの使用を避けることで、好適な実施形態のダイレクトドライブ電気回路はさらに大きさと重量の有利さを達成できる。
【0117】
レーザダイオードバー800の使用は、この装置の電力の効率的な利用にとって好都合なことである。図11では、単一のダイオードの記号を使って1個以上、好適には2個のレーザダイオードバーの直列接続を表している。レーザダイオードは、他のレーザよりも電力を光パワーに変換する際の効率がはるかに良い。好適な一実施形態では、2つのレーザダイオードバーを直列に接続している。レーザダイオード800は、ミズーリ州、セント・チャールズのカッティング・エッジ・オプトロニクス製、部品番号ASM06C040W08081B80、40W、808nmのパッケージ、もしくは同様にパッケージされたレーザダイオードバーでよい。供給される光パワーが治療結果に対して十分であれば、単一のダイオード・バー800を使用してもよい。しかし、内蔵型でハンドヘルドの毛再生抑制装置を実現するには、効率的なレーザ光源は、効率の良いバッテリーと回路設計とを組み合わせることが好ましい。従って、好適な一実施形態の回路におけるバッテリーの大きさと電気回路の構成は、主蓄積キャパシタを不要とする。その代わり、レーザダイオードは、DC電源もしくはバッテリーパックにより「直接」駆動される。バッテリーパックの使用可能電圧は、電流と等価直列抵抗との積により減少(電圧=電流×抵抗)し、バッテリーには都合が良いことであるが小さな直列抵抗が入っている。また、バッテリーは、破損することなく約40Aを供給できる。最新のバッテリー技術はリチウムイオンであるが、ニッケル水素もしくはニッケル-カドミウムの方が好ましい。それは、所定のバッテリーサイズに対して、引き出せる最大ピーク電流がリチウムイオンの供給する電流よりもずっと大きいからである。バッテリーパック806内のバッテリーの選択は、その等価直列抵抗、即ちESRで大きく決定される。バッテリーから大電流を引き出す場合、この寄生抵抗両端にかなりの電圧が発生し得る。ESRにより生じる電圧は、通常のバッテリー電圧から差し引かれるため、そのバッテリーが電源供給している回路で利用できる電圧が低下する。ESRは十分に低いことが好ましいため、バッテリーパック806から40Aを引く場合、結果としての寄生電圧降下は、バッテリーパック806の出力電圧に比べて小さい。「コンパクトC」のNi−MHバッテリーは、これらの理由、もしくは既に述べた他の理由により選択される。バッテリーパック806を構成するバッテリーは、ニュージャージ州、シコーカスのパナソニック松下電器アメリカが販売するパナソニックHHR300SCP Ni−MH再充電可能バッテリー、パナソニックP-170SCRP NiCdバッテリーである。
【0118】
好適な一実施形態の回路設計のもう一つの利点は、多くの場所で電圧降下を最小にできるかもしくは回避できることである。図12において、レーザダイオードバーは、バッテリー、FET、および電流センス抵抗と直列に接続されている。バッテリーから電源を受けている部品で発生する電圧を最小にすることは有利に働く。何故ならば、これによって最小電圧が決まり、従って、設計に含めるバッテリーのセルの最小数も決まり、装置の重量と大きさの下限値がある程度定まるからである。FET、電流センス抵抗、レーザダイオード、バッテリーの直列抵抗、および回路基板のパターンとこれらの部品間における相互接続での電圧降下を考慮に入れた。
【0119】
電流センス抵抗804,801は、余剰電流センス抵抗である。これらの抵抗は安全性の理由から余分に入れてある。各々が様々なサブ回路で使用されることで、要求される以上の電流がレーザダイオードを貫流することがないようにしている。それらを大きな電流(各々約40A)が流れるため、抵抗値が小さくてもかなりの電圧が生じる。このため、一般に抵抗と考えられる構成部品を使用せず、その代わりに、22ゲージ、単に1.5インチ長の銅線を使用している。これらの長さの線の抵抗値はたった約0.002オームであるため、レーザのパルスがあるとき各々に生じる電圧は約80mVである。電流制御電子部品885と電流制限電子部品884内の差動増幅器は、フィードバック回路で直ちに使用できるレベルまで、この電圧を増幅する。
【0120】
制御FET803は、回路に流れ込む電流を制御するFETである。バッテリーから供給される過電圧、即ち、レーザダイオードを通る所望の電流を駆動するために要するよりも高い電圧は制御FET803で低下する。しかし、バッテリーが放電してバッテリー電圧が下がると、バッテリーから過電圧が供給されることはない。そこで、バッテリーがほとんど使い果たされている場合にFETで生じる電圧は、選択したFETが非常に低いオン抵抗(rds-on)を有することから、好適な実施形態によれば都合良く最小となる。ここで示すトランジスタIRL3716(カリフォルニア州、エル・セグンドのインターナショナル・レクチファイヤ社)は、実質的に180A/200Wのトランジスタであり、必要とされる電流および電源条件を越えるものである。しかし、それらの低オン抵抗は、このアプリケーションにおいては有利となる。さらに、FETで生じる電圧を下げるためには、並列にした2つのトランジスタの方がたった1つよりも好ましいので、各トランジスタに流れるのはたったの約20Aである。
【0121】
センチネルFET802は、エラー状態(例えば、制御FET803の1つが故障して流れるべきでないときに電流が流れる状態)が存在する場合に電流を断つのに使用される。センチネルFET802は、一つの点だけを例外として、制御FET803と同じ基準で選ばれることが望ましい。センチネルFET802は、制御FET803が設定した電流を単にデジタル的に許容したり、電流を制限するために使用されるので、FETは「確実に」オンしたり、完全にオフになる。これらの両方の状態において、センチネルFET802ではほとんど電力が消費されず、そこで、トランジスタのパッキングは、制御FET803のパッキングよりも電熱能力がより悪くなることがある。このため、図12では、トランジスタQ1,Q3にIRL7832(インターナショナル・レクチファイヤ社)のようなトランジスタを使用している。IRL3716トランジスタは、FET802として使用可能であるが、好ましくないことに、装置の大きさ、コスト、および重量が増してしまう。
【0122】
FETの直列抵抗は、回路によって各トランジスタのゲートに相対的に高い電圧が印加されるようにすることでさらに減る。FETのオン抵抗は、装置に印加されるゲート-ソース電圧の大きさにはっきりと逆比例する。図11のDC/DCコンバータ電子部品887は、FETゲート駆動電圧829を生成する。好適な一実施形態では、DC/DCコンバータが生成するゲート駆動電圧829は、バッテリーパックの電圧が5ボルトより下がったとしても7.6ボルトである。この電圧はバッテリーパックの電圧よりも高く、また、各FETのゲート-ソース電圧Vgsをその電圧の大きさがバッテリーパックの電圧によって制限されていたならば可能となっていたであろう電圧よりも大きな値にまで上げるためにある。これは、バッテリーが使い果たされ、バッテリー電圧が完全に充電されたレベルよりも下がった場合に特に当てはまる。
【0123】
制御FET803およびセンチネルFET802は、配線パターンや相互接続の長さを最小にし、電流経路が高感度の回路から離し、トランジスタで発生する余熱を伝導的に排除する手段を図10のフィン付き熱交換器620に提供することによって配置される。これは、多層基板上で配線パターンの幅を広くし、長さを短くし、かつ余分な配線を設けることで達成される。好適な一実施形態では、電流が多く流れる経路に従来の電気コネクタを使用しないことで接続抵抗を消去している。その代わり、部品のはんだ付けは工場でなされる。これは、生産の容易さと、可能な限りミリオームの寄生抵抗でさえ回避することによって回路全体での電圧降下を減らして修理の容易さとのトレードオフを示している。
【0124】
光パラメータ
光出力の仕様
好適な一実施形態の装置から出力される光パルスの出力仕様を以下に詳述するが、好適な一実施形態に基づく典型的な装置は、以下に要約するパラメータに従って光パルスを生成する。
【0125】
出力フルエンス:18J/cm
スポットサイズ(出力開口領域):1cm
パルス幅:0.300秒
パルス繰返し周波数:0.5Hz
波長:808nm
従って、ピーク光パワーは60Wで、カバレッジレートは毎分30cmである。これらは、効果的でかつ実用的な処置仕様を提供するものである。また、以下に詳述するように、これらの特定のパラメータは、好適な装置の最小量と最大量の範囲内にある。これらの範囲は、好ましくは以下のものを含む。
【0126】
出力フルエンス:4J/cmから100J/cmの範囲内の値
スポットサイズ(出力開口領域):0.25cmから2cmの範囲内の値
パルス幅:0.010秒から1秒の範囲内、好ましくは、0.100秒から0.500秒の範囲内の幅
パルス繰返し周波数:0.1Hzから2Hzの範囲内の周波数
波長:700nmから1100nmの範囲内の値
光ピークパワー(ピークパワー):10Wから120Wの範囲内の値
出力フルエンス
本特許出願全体を通じて出力フルエンスという用語は、皮膚病学的処置装置の出力開口部もしくは出力ウインドウにおけるフルエンスを意味することを企図している。説明上、以下において装置の出力フルエンスはFsourceとも呼ばれる。
【0127】
一般的には、最も重要な出力パラメータの中でも、4J/cmと100J/cmの範囲内の光源フルエンスFsourceを有することが好ましい。0.3msから3msの範囲内にあるパルス持続時間に対して、4から5J/cmの範囲内の出力フルエンスで、一時的な毛再生抑制が臨床的に見出された。しかし、数十から数百ミリ秒の範囲内のパルス持続時間に対しては、約10J/cmよりも小さい出力フルエンスでは大きな効果はないと考えられている。これらのパラメータでの実際の臨床試験がないので、正確なところははっきりしていない。いずれにせよ人によっても変わるし、一人の人間の体の部位によっても変わる。
【0128】
好ましくないほど小さいスポットサイズ、もしくは過度に長いパルス幅を使用する場合を除いて、約100J/cmよりも大きい出力フルエンスは、生成するには費用がかかる。さらに、このフルエンスが1000ms足らずの値分でも越えてしまえば非常な痛みを伴い、もしくは、皮膚に火傷を起こす可能性もある。一般的には、皮膚に許されるフルエンスは少なくとも4つのパラメータの影響を受ける。第1に程度であって、下部に位置する対象に熱を加えている間、表皮の温度が上昇しないようにすることである。この点に関して、好適な装置はサファイヤでできた熱伝導性の接触面を備えるか、もしくは、何らかの形の接触面や皮膚の能動的冷却、例えばファンを使ったものを組み込んでいる。もしくは、凍結剤スプレーを使用して処置する皮膚を冷やしてもよい。
【0129】
上述したように、家庭用装置の安全性は出力フルエンスを低くすることで向上する。さらには、高出力フルエンス、例えば、同じスポットサイズで2倍のフルエンスを得るにはレーザダイオードバーの数が2倍になり、おそらくバッテリーも2倍必要となる。従って、安全性、重量、大きさ、およびコストに関して、自己利用する内蔵型でハンドヘルドのコードレス装置の実際の設計上の制約は、出力フルエンスが約100J/cmよりも小さいことが望ましい。
【0130】
光源140のレーザダイオードバーが出力する光パルスは可視波長でもよいが、そのエネルギーの大部分が700nmから1100nmの範囲内、特に800nm付近のスペクトル帯にあり、帯域幅が約1nmから10nmの範囲内、繰り返しレートが0.1Hzと2Hzの間、特に0.25Hzと1Hzの間においてパルス持続時間が、好適には3−10ミリ秒(ms)と1秒の範囲内の値、さらに好ましくは100msと500msの範囲内の値、とりわけ約300msであることが好ましい。
【0131】
波長
もう一つ重要なパラメータは光の波長である。一般的に、少なくとも400nmと1100nmの範囲を越えて、波長が長くなればなるほど皮膚で許容されるフルエンスは高くなる。これは、皮膚にあるメラニンによる光の吸収が、この範囲を越える波長の増大とともに単調減少するからである。
【0132】
毛再生抑制処置では、毛幹と毛包内のメラニンが光を吸収するので、毛包への熱損傷と再成長の遅れが発生する。従って、短波長の光の方が、より強力に吸収されるから好ましいと考えられるかも知れないが、毛胞の上にある皮膚内のメラニンもこれらの波長の光を多く吸収するので、皮膚で許容されるフルエンスが低くなる。理論的な計算と臨床結果によれば、光源の出力が700nmと1100nmの範囲内のスペクトル・バンドである場合は、ほとんどのタイプの皮膚に対する毛再生抑制について最適な結果が得られたと断定した。1100nmより長く、さらにはメラニン吸収が非常に低い波長もまた水分吸収のため問題となり、それが光透過深度を制限して装置の効率を下げている。
【0133】
従って、好ましくは1個以上のレーザダイオードバーからなる光源140の好適な出力波長は、約700nmと1100nmの範囲内の値である。光源としてフラッシュランプを使用した場合、フラッシュランプは本質的に広帯域の光源であることから、特に他の皮膚病学的処置に対しては500nmから1100nmの範囲内の波長が好ましく、所望のフルエンスを得るにはより広い波長範囲が必要となる。
【0134】
さらに、血管が対象の場合、血における吸収が510から580nmの範囲内の波長において増大するため、いくぶん短波長の方が望ましい。
【0135】
光源としてLEDを使用した場合、700nmよりも短波長の高パワーLEDが有効である。従って、600nmから1100nmの範囲内の波長が望ましい。
【0136】
帯域
光源140から出力されるパルスは、レーザダイオードバーを40Aで1/2秒よりも短い時間、励起することで生成されることが好ましい。従って、このエネルギーを加えている間、レーザダイオードの材料は約20℃から約50℃の範囲内の温度に温まる、即ち、パルスの持続期間中は30℃の差がある。特に、AlxGa1-xAsといったIII−V属の放射材料の出力波長は温度によって変化する。例えば、λ(T)の変化は約0.3nm/℃である。従って、出力波長は、パルス持続期間では約9nm変化し、パルスの有効帯域は、通常、約1nmになり、約5nmと10nmの範囲内の値になる。ここで使用時の帯域はエネルギー・スペクトルの半値全幅と規定される。
【0137】
一般的に40nm未満の帯域を有するダイオードレーザもしくはLEDといった光源は、高い電光変換効率を有するため、通常はフラッシュランプよりも好ましい。
【0138】
パルス繰り返し周波数
パルスの繰り返しレート、即ち、パルス繰り返し周波数は、好ましくは、約0.1Hzから2Hzの範囲内の値、特に、約0.25Hzから1Hzの範囲内の値、即ち、毎秒1パルスから4秒毎に1パルスの範囲内の値である。1から2Hzの範囲内の値よりも速い繰り返しレートは、急速にパルスを生成できる装置の費用や重量が原因となって必要とされない。さらには、装置のセルフケアユーザは、それが自宅で彼/彼女自身の皮膚に光を当てる者であろうと、もしくは他人の皮膚を処置するユーザであろうと高い繰り返しレートで皮膚の適用領域上で装置を操作することは難しいということが分かる。他方、4秒毎に1パルスから10秒毎に1パルスの範囲内の値よりも遅い繰り返しレートは、装置のカバレッジレートは家庭用としては腹立たしいほど遅い。即ち、小さな処置領域に対してさえ実施時間が長くなりすぎる。
【0139】
高い繰り返しは、高いカバレッジレート、即ち、分毎に処置される皮膚領域が広いということであって、望ましいことである。しかし、高い繰り返しレートは平均光パワーが高いため、高い平均入力パワーを必要とする。容積、重量、およびコストの増加に加えて、このような高電源条件によって好適な装置のレーザダイオードバーからの廃熱の問題が生じる。
【0140】
パルス持続時間
もう一つの重要なパラメータはパルス持続時間である。表皮の過度の温度上昇が回避されれば、おおよそ毛包の幹細胞領域の熱緩和時間、例えば、約100nmから500nmの範囲内の値を越えて毛包にエネルギーを加え続けることができる。接触冷却によって、表皮が熱くなり過ぎることがなくなり、また、長期間加える場合は、所定領域に渡ってさらなるフルエンス、即ち、エネルギーを真皮に加えることができる。
【0141】
本装置の好ましいパルス持続時間は3から10msの範囲内の値よりも長く、約1秒もしくは500msよりも短い。約10msよりも短い、特に、3から8msの範囲内の値よりも短いパルス持続時間は、光を利用した毛再生抑制装置には望ましくない。何故ならば、短時間で十分なエネルギー沈積を得るには高い光ピークパワーを要するからである。例えば、10msのパルスで、0.8cmのスポット領域に20J/cmのエネルギー密度(16J)を加えるには1600Wの光ピークパワーを必要とする。このように非常に高いピークパワーの生成にはコストがかかる。例えば、各々が30Wの光ピークパワーをもつダイオードレーザ・バーでは、50バー以上が使用されることになり、これでは、内蔵型でハンドヘルドのコードレス装置にとっては多すぎる。また、家庭用のセルフケア装置で重要な点である、装置を目に安全なものにすることがもっと難しくなる。それは、最大許容照射量(MPE)は、そのような短いパルスでは非常に少ないからである。即ち、MPEを、パルス持続時間の3/4乗、即ち、t0.75、としてスケーリングし、一般的には、目の安全のためには、所望の出力フルエンスでは短いパルスよりも長いパルスであることが好ましい。一般的に、毛包の熱緩和時間は少なくとも10msであって、毛包を囲む幹細胞に対しては100msから600msの範囲内の値である。そのため、少なくともこの熱緩和時間の長さほどのパルス持続時間が特に望まれ、とりわけ好ましい最小パルス持続時間は100ms以上である。
【0142】
一方、パルス持続時間が長くなり過ぎる、例えば、上記の600msと1秒の範囲内の値になると、最初にメラニンを含む毛幹に蓄積していた熱が毛包を越えて拡散する。このパルス持続時間のどこかの領域で、毛包(および周囲の幹細胞)だけの空間選択的な加熱から、いわゆる真皮のバルク加熱への推移が徐々に起こる。パルス持続時間が一定のエネルギー(もしくは一定のフルエンス)で増加した場合、光ピークパワーも最終的には小さくなり、対象は毛再生抑制を引き起こすほど十分に熱くはならない。パルス持続時間が増えてもピークパワーが一定の場合、フルエンスが高くなってバルク加熱が痛みを伴うものとなるか、もしくは、皮膚に火傷を起こすことになる。
【0143】
尚、ここでパルスもしくはパルス持続時間という用語は、従来の意味での単一パルスだけでなく、一連の離散パルス(「サブ・パルス」)もしくは同じ持続時間の変調パルスを含む。一般的に、本特許出願の意図としては、グループ内の最初のサブ・パルスの開始と最後のサブ・パルスの終わりの間の持続時間が、そのサブ・パルスのグループ間の持続時間よりも短ければ、これらのサブ・パルスは1つのパルスとみなされる。
【0144】
光ピークパワー
光源のピークパワーが約10Wよりも小さければ、一時的な毛再生抑制、例えば、毛再生を一時的に遅らせることといえども、それをもたらすことは困難であろう。このしきい値よりも小さいピークパワーで、出力フルエンスの下限、例えば、4J/cmに達するには、非常に長いパルス持続時間が必要になる。例えば、0.8cmのスポットで10J/cmの出力フルエンス(および8Jの出力エネルギー)を得るには、10Wのピークパワーにおいて800msのパルス持続時間が必要になる。
【0145】
約100W―120W以上のピークパワーでは、好ましい持続時間と有用なスポットサイズをもつパルスから相当なエネルギーを発生させることが可能である。しかし、廉価で内蔵型でバッテリー駆動のセルフケア装置で高いピークパワーを得ることは難しい。
【0146】
スポットサイズ
スポットサイズ、即ち、装置から伝搬される光パルスで照射される皮膚領域が小さ過ぎると、多くの好ましくない影響が発生する。(装置の出力開口部が皮膚に近いかもしくは皮膚に接触している場合には、皮膚上のスポットサイズと装置の出力開口部とがほぼ等しい大きさになる)第1に、毛再生抑制処置では、非常に小さい、例えば、0.25cmよりも小さいスポットで一時にたった1本の毛が処置される。さらに、そのスポットが対象とする毛包上に本当にあることを確実にするために、何らかの目視による目標確認が必要となる。第2に、小さいスポットは非常に低いカバレッジレートしか持たない、言い換えれば、ムダ毛のある皮膚の所定の数平方センチメートルを処置するには、スポットが小さい程処置時間が長くなる。この問題は、パルス繰り返しレートを上げることである程度緩和できるが、こうすることでより多くの電力、費用、および重量が必要となってくる。第3に、(フルエンスは領域で分割されたエネルギーであることから)、低エネルギーでも皮膚表面に高いフルエンスを生成できるという意味では、小スポットサイズの方がかなり有利なように思われるが、対象とする細胞がある皮膚内のある深さにおけるフルエンスは、皮膚内での散乱によりかなり減少する。スポットサイズが小さければ小さいほど、特に、約0.25から0.5cmの範囲内の値より小さいと、表面におけるフルエンスに比例して深部におけるフルエンスの事実上の減少がより顕著になる。要するに、スポットが小さ過ぎると、最終結果は、(真皮で十分なフルエンスを得ようとして)表皮の火傷となるか、もしくは、深部での不十分なフルエンスのせいで効き目がなくなるかのいずれかである。
【0147】
反対に、大スポットサイズは、主として、カバレッジレートが向上することから望ましい。例えば、パルス毎のスポットサイズが2cmから4cmの範囲内のスポットサイズでは、パルス繰返し周波数がおおよそ毎秒1パルスとした場合、30分足らずで足全体を処置できる。しかし、一定の出力フルエンスとパルス持続時間に対して必要となる光ピークパワーはスポットサイズに比例し、スポットサイズが約1.0から2cmの範囲内の値を越えるとすぐにコストと重量がけた外れのものとなってしまう。
【0148】
皮膚の色
皮膚病学的処置装置の出力パルスの特徴ではないが光を利用した処置の効果に重大な影響をもつパラメータは、皮膚の色である。例えば、スカンジナビア出身(いわゆるタイプI)の白い肌の人々は、いわゆるタイプVIの肌の黒人に比べて、皮膚でおそらく6倍から8倍の範囲内のフルエンスを処理できる。接触冷却が良好で、数百ミリ秒のパルス、800nmの光源とタイプIの肌では、重大な皮膚損傷なしに、100J/cmの高出力フルエンスを使用可能である。しかし、ほとんどのコーカサス人の肌はタイプIIもしくはタイプIIIであり、50J/cmが損傷の限度値である。より黒い肌に対する限度値は30J/cmに近い。好適な一実施形態では、(工場で設定された単一パルス持続時間だけでなく)、装置で一定の出力フルエンスが生成されるだけであるが、ユーザの肌のタイプが様々であることから、装置の他の一実施形態では、強−中−弱の連続的もしくは離散的に出力フルエンスを下げる手段を組み込んでいる。ここで、強の設定は、後述するように、最大許容照射量(MPE)よりも小さいが、人の目における最大可能フルエンスに対応している。利点としては、黒い肌の人は強の設定が痛いと感じ、むしろ中もしくは弱の設定を選んでも許容可能な効果が維持されることである。
【0149】
目への安全性
目への安全性の概略
拡散が増大して空間コヒーレンスを減少させることによって目の安全性を向上させることは、図2Aに示す第2の実施形態のように、光が装置を離れる前に拡散材を光が伝わる当該拡散材を装置内の光ビーム経路に組み込むことによって達成される。もしくは、図2Bに示す第3の実施形態のように、ビームが装置を離れる前にビームが衝突する当該拡散面を装置内に設けることによって、拡散が増大して空間コヒーレンスが減少する。
【0150】
拡散器の導入により装置内で吸収される光を補償するため、装置内の光源の出力パワーを増加させることができる。もしくは、拡散材もしくは拡散面として実質的に非吸収のものを選ぶことができ、また、光源のハウジングを内面が実質的に非吸収となるように構成することができるので、拡散材もしくは拡散面、即ち、光源のハウジングでの起こる1つ以上の散乱事象の後であっても実質的に全ての光が装置の出力開口部から出力される。
【0151】
光が装置から離れていくにつれて、ビームの発散特性によって出力開口部から出力される光のフルエンスは減少するが、光を利用した処置の対象となる皮膚内の発色団の多くは皮膚の表面近くに存在する。対象が装置の出力開口部のサイズよりももっと皮膚表面近くにあれば、出力の発散に起因する発色団でのフルエンスの減少はほとんどない。皮膚そのものは電磁スペクトルの大部分に対して高散乱性の媒体であるため、空間コヒーレンスがほとんどないかもしくは全くない高発散性の光源を使用したときの対象でのフルエンスの減少は、皮膚表面でのフルエンスに等しい視準光源によって生成された目標でのフルエンスに比べて些細な量である。但し、このことは、出力ウインドウ、即ち、光源の開口部から皮膚表面下の対象までの距離が光源の横寸法(例えば、出力ウインドウの直径)より短かいという条件が満足したときに成立する。
【0152】
人の目における最大許容照射量とフルエンスの計算
ANSI,IEC、もしくはICNIRPのガイドラインに基づいて目への安全性を評価するため、2つの値を計算して比較する。第1は、最大許容露出量(MPE)である。この値は、角膜で測定した人間の目に安全と考えられているフルエンス、即ち、出力照度である。MPEの実際の値は当該光源の特性に大きく依存して変化する。その特性とは、特に、光源の波長、パルス持続時間、コヒーレンス、コヒーレントでない(例えば、拡散光源)場合の、光源の寸法と角膜からの距離によって形成される角度(網膜上で対応する光源のイメージのサイズを決定する所謂アンギュラーサブテンス:国際標準IEC 60825.1「レーザ製品の安全性−第1部:装置の分類、必要条件、およびユーザ・ガイド」、1.2版、2001年8月、第11頁参照)である。
【0153】
第2の値Fcorneaは、特定の光源から角膜で生成されたフルエンスであり、受光角を100ミリラジアンに制限する一組の開口部を介して測定されたものである(上述のIEC 60825.1、第40頁、ノート2、サブノートdを参照)。Fcorneaの値は、光が目に向かって伝搬するときに出力部からどのように発散するかだけでなく、これと装置の出力部で生成されたフルエンス(出力フルエンス)の両方に依存する。どのような光源に対しても、Fcorneaが、光源と目の間の距離に対するMPEよりも小さければ、その装置は目に安全と考えられる。逆に、特定の距離で、MPEを越えるFcorneaの値を生成する光源は危険と考えられる。
【0154】
400nmと1050nmの範囲内の光の波長で、パルス持続時間が18ミリ秒と10秒の範囲内の値であるときの角膜での最大許容照射量(MPE)は以下の式で与えられる。
【0155】
MPE(J/cm)=1.8×10-30.75 [式1]
ここで、tは単位が秒のパルス持続時間、
は、以下の値を有する波長λの光に対する修正ファクタであり、
400nmを越えるが700nmよりも小さい(可視光)のλに対してC=1、
700nmを越えるが約1100nmよりも小さい(近赤外光)のλに対して、
=100.002(λ-700) [式2]
尚、Cは、700nmで1の値から増加し、1050nmで5の値を有する。
【0156】
は、コヒーレント光源に対して1に等しい修正ファクタであり(このことは、回折限界に近い空間コヒーレンスをもつ光源では厳密に正しいが、マルチモード光源もしくはアレー状コヒーレント光源では計算が複雑になる)、また、広幅の拡散光源ではC=α/αminとなる。ここで、αminは1.5ミリラジアンに等しく、αは光源のアンギュラーサブテンス(angular subtense)である。即ち、
【数1】

【0157】
ここで、dは光源の直径、rは、光源から角膜までの距離である。
【0158】
式3は、最大100ミリラジアンのアンギュラーサブテンスにだけ適用され、この角度を越えるものは、Cに対して値66.7を使用する。
【0159】
以下、皮膚病学的処置をための代表的な既存の装置に関する目の障害を例示するため2つのケースを考える。
【0160】
1.1平方センチメートル(直径1.13cm)の円形の出力開口部を有し、パルス持続時間が30ミリ秒のコヒーレント可視光源(例えば、レーザ)
2.1cm×2cmの矩形の出力開口部を有し、パルス持続時間が30msの非コヒーレント指向性光源(例えば、フラッシュランプ)
例1 コヒーレント可視光源(例えば、レーザ)
直径d=1.13cmの光源に対して、その光源のアンギュラーサブテンスは目からの距離rに依存して変化する。しかしながら、この例での光源は可視スペクトル領域にあるレーザであって(この例では、レーザは高空間コヒーレントであるとする)、CとCの両方が1に等しく、式1で与えられる角膜における最大許容露光量は、
MPE=1.8×10-30.75=1.8×10-3(0.072)(1)(1)
=1.3×10-4(J/cm
即ち、1平方センチメートル当たり130マイクロジュールである。
【0161】
このフルエンスは、毛再生抑制などの典型的な皮膚の問題に対する治療的皮膚病学的処置に要するフルエンスよりも100,000倍低いオーダーである。1cmのレーザ開口部に存在するフルエンスが、上記で計算した130μJ/cmという数字よりも非常に高いことはもちろん真実である。目の安全性については、角膜におけるフルエンスFcorneaだけが、せいぜい、この例におけるレーザ光源での値であることが分かる。しかし、上述した皮膚病学的処置に効果があるならば、その光源はその出口開口部で1平方センチメートル当たり少なくとも数ジュールを生成するであろう。また、このタイプの光源は、離れたところでは常にMPE値を越えることが示されている。例えば、目の安全上の理由から、ビームが出口開口部を離れるとき、例えば、そのビームを図4に示す高速f/0.8凹レンズに通過させることで高発散するよう設計されているとする。(f/0.8レンズは、その直径の0.8倍に等しい焦点距離を有する)このビームは、約0.56ラジアン、即ち、32度の角度φでレンズを抜け出る。出口開口部から距離rでのフルエンスは、
【数2】

【0162】
で与えられる(これは、回折限界レーザからのガウス・ビームに対してほぼ真である)。
【0163】
ここで、Qは光源のエネルギーである。従って、1cmの開口部から5J/cmの出力フルエンスの光源では、例えば、20cmの距離でのフルエンス(即ち、装置の出口開口部は目から20cm)は約50mJ/cmであり、MPEよりまだ数千倍大きい。MPEを大きくするためのパルス持続時間もしくは長波長に対する調整ファクタは、この装置で目に対する安全性を確保するには到底十分とはいえない。例えば、波長を1050nmに、パルス持続時間を300nmに増大しても、MPEが略30倍に増えて約4000μJ/cmとなるだけである(パルス持続時間による増大は(300/30)0.75、即ち、5.6。可視光から1050nmへのλの増大に伴ってCが1から5へ増大する。従って、合計での増加は、5.6の5倍、つまり、約28のファクタである)。
【0164】
例2 非コヒーレント有向光源(例えば、フラッシュランプ)
顔の「若返り」だけでなく毛再生抑制のための評判のよい装置は、可視近赤外光の出力と1cm×2cmの出力開口部を有し、出力エネルギーが80J(40J/cm)のフラッシュランプを使用している(ホード,Lの「レーザはIPL機器より危険か?」、外科と医学におけるレーザ、増補15版、2003年、第6頁、および対応するポスター発表参照)。このような光源は、一般的に±約20度、即ち、約0.4ステラジアンの立体角Ωの有向出力を有する。(非常に大雑把に言うと)出力エネルギーの半分が可視光で、半分が700nmから900nmの範囲内にあると仮定した場合、波長調整ファクタCの値としては略1.3が適当である。この節での結論は、どのような場合でもこのパラメータに対してはセンシティブでないことである。本装置は非コヒーレント光を出力するので、「分散光源」に適した調整ファクタCは1よりも大きくすることができ、光源のアンギュラーサブテンスが100ミリラジアン、即ち、光源が目からおおよそ15cmのときに実際には66.7に達する(国際標準IEC 60825−1の第52頁を参照:非円形の光源にとってアンギュラーサブテンスは光源の大きな角度寸法および小さな角度寸法の相加平均値である)。尚、光源が100ミリラジアンを越える角度に限定されると(即ち、目にさらに近づくと)、目に対する危険度は同じ状態のままである。何故ならば、角膜への放射照度が増えても網膜上のイメージ領域も比例して増えるからである。
【0165】
式1より、
【数3】

【0166】
となる。
【0167】
立体角Ωに方向づけられたエネルギーQの光源から距離rでのフルエンスFは、およそ
【数4】

【0168】
となり、従って、この場合、
cornea=890mJ/cm
即ち、MPEの約80倍を越えるので、依然として目に対して極めて危険な障害となる。この装置の目に対する安全性を確保するには、フルエンスをこのファクタで減らさなければならない。即ち、40J/cmから略0.5J/cmに減らす必要があり、この値は治療的皮膚病学的処置を実施するために必要なフルエンスよりかなり低い値である。
【0169】
好適な実施形態に基づく装置案
上述の計算に類似する計算を以下の本発明の実施形態に対して実施することができる。図5に示すように、レーザなどのコヒーレント光源か、もしくはフラッシュランプなどの非コヒーレント光源のいずれかとする光源310の光が拡散器320に突き当たる。次に拡散器は、好適にはほぼ完全拡散光源として散乱光を順方向に出力する(アール・ブラウンの現代光学、レインホールド出版、1995年、第225頁参照)。レーザもしくはフラッシュランプに向けて拡散器から後方散乱させた光は、チャンバー330内に組み込まれた反射壁で反射して再び拡散器に衝突し、また、チャンバー330に面する光源ホルダー340の表面に衝突する。尚、この反射壁は、装置の全体効率と空間的な一様性を改善する役割を果たすだけであって、本発明に必須のものではない。さらに、拡散器320は出力開口部に位置する必要はなく、チャンバー330内に設けてもよい。この場合、拡散器320と出力開口部との間のチャンバー330の壁は非吸収のものでなければならない。また、拡散器は、光源から「ホット・スポット」を除去するという別の利点もある。即ち、アレー状ダイオードレーザ・エミッタなどの光源は、他の方向よりも一部の方向にかなり高い積分放射輝度を有しており、そのような局所的なばらつきは拡散器によって取り除かれる。本実施形態では、オリエール型ディスク拡散器について説明するが、本発明は、先に説明したように他のタイプの拡散器でも達成可能である。
【0170】
ここで、具体例を挙げることを唯一の目的として、本装置は、上記の例1のように面積が1平方センチメートルの円形出力開口部を有するとする。さらに、装置が800nmの波長を有するとする。式2より、Cは1.58に等しい。上記の例2のように、本装置が角膜から少し離れているので、光源(例えば、出力開口部に位置する拡散器)は100ミリラジアンの角度に限定されている(C=66.7)とする。この距離は、直径が1.13cm(面積が1cm)の光源に対して約11.3cmである。
【0171】
これらの条件下で、式1より、
MPE(J/cm)=1.8×10-30.75
=1.8×10-3(0.072)(1.58)(66.7)
=13.7mJ/cm
完全拡散光源の場合では、エネルギーがQの光源の距離r(光源を直接見ているとき)におけるフルエンスは、
F(J/cm)=Q/πr [式5]
(国際標準IEC 60825.1の第79頁を参照)
で与えられる。
【0172】
従って、距離が11.3cmの光源での角膜におけるフルエンスは、Qが5.5ジュールに等しいときに13.6mJ/cmのMPEと等しくなる。これは、この光源が1cmの開口部を有するので、5.5J/cmの光源フルエンスに相当するものである。従って、本発明は、皮膚に意図した光熱損傷を与えるために5.5J/cmの光源フルエンスを有し、さらに、目に対してMPEを越える照射となるよりも小さい出力を有する。
【0173】
source=5.5J/cm
cornea=MPE=13.7mJ/cm
上述のように、目の安全性を考慮した光源では、装置からの角膜におけるフルエンスは、上記の例で選ばれた距離だけでなく光源と目の間の距離で計算したMPEより小さくなければならない。このことは、以下に示すように真である。
【0174】
11.3cmより近い距離では(つまり、光源の出力開口部が目に近づくにつれて光源のアンギュラーサブテンスが100ミリラジアンを越えるようになる)、MPEは同じ値のままである。距離が狭まると光源からのフルエンスは増えるが、Fcorneaは一定の値を維持する。これは、上述したように、受光角を100ミリラジアンに制限する開口部を通して測定しているからである。従って、Fcorneaが光源のアンギュラーサブテンス100ミリラジアンに相当する光源距離でのMPEよりも小さければ、より短い距離においても安全である。
【0175】
ここで、光源が目から11.3cmより遠くに移動した逆の場合では、2つのケースが考えられる。即ち、光源から目までの距離が、光源のアンギュラーサブテンスが1.5ミリラジアンより大きく、100ミリラジアンより小さくなるほどの距離であるケース(直径が1.13cmで、11cmと750cmの範囲内の距離にある光源について)と、光源が1.5ミリラジアンより小さい角度(750cmより大きい距離)で限定されているケースである。最初のケースでは、MPEが距離の増加とともに線形減少するが、式5より、Fcorneaは距離の2乗値に伴って小さくなる。
【0176】
従って、
α=100ミリラジアンで、Fcornea<MPEであれば、
1.5ミリラジアン<α<100ミリラジアンに対しては、Fcornea<MPE
となる。
【0177】
ここで、光源から目までの距離が、光源のアンギュラーサブテンスが1.5ミリラジアンより小さくなるほどの距離であるという最後のケースについて考えると(上記の光源では、距離は750cmより遠い)、MPEとFcorneaの値は、以下のように変化する。即ち、距離が増えてもMPEはそのままの値であるが、上記のように、Fcorneaは距離の2乗値に伴って減り続ける。従って、上記の光源はどのような距離においても安全であると結論づけることができる。
【0178】
上述のように、望ましくは以下の追加的な特徴の一方もしくは両方を含めもなお、目に安全であって高いデバイスフルエンス値が可能になる。これらの特徴には、光のパルス持続時間の増大(例えば、30msから300msへ)と、光の波長を長くすること(例えば、可視から赤外へ)が含まれ、これらの両方ともに、目に対して高いMPE値を与えるという結果をもたらす。これによって、依然として目の治療に安全であって出力を上げることが可能となる。これらの要素(拡散光源、拡張されたパルス持続時間、および長波長)の各々の利点については、上述し、また以下に述べるように定量化することができる。要するに、100msを越えるパルス持続時間と700nmより長い波長が望ましく、最大でもパルス持続時間を500msに維持するか、もしくはそれよりも小さくして、波長を略1100nmよりも短くする。
【0179】
本装置の有用性とその利用性をさらに高めるために、パルス持続時間を30msから300msへ延ばすことが好ましく、また、100msと500msの範囲内で延ばしてもよい。光を利用した毛再生抑制を含む複数の治療的皮膚処置では、300msもしくはそれを越えるパルス持続時間が効果的な最適条件であって、有効な最適値となりうる。この場合、式1よりMPEはファクタにして(0.3/0.03)0.75、即ち、5.6だけ増える。従って、この例での光源は、先に計算したものより5.6倍大きい、即ち、略31J/cmの出力フルエンスを有することができるが、それでもまだどの距離でもMPEを越えることはない。
【0180】
尚、このように、目に安全な光源フルエンスのために計算された値31J/cmは、クラスIのレーザ装置に対してCDRHにより規定された被爆放出限界(AEL)に基づく対応値によく一致する。クラスIのAELよりも低い装置は目に安全であると考えられるため、特定の警告ラベルもしくはその他の管理を必要としない。21CFR1040.10の表Iによれば、レーザ装置はその積分放射輝度が以下の値より小さければクラスIのAELを満たす。
【0181】
AEL=10k1/3J/(cmsr)
ここでの光源に対して、
【数5】

【0182】
であるから、AEL=10.4J/(cmsr)
完全拡散光源では、光源フルエンス(放射露光量)は積分放射輝度と以下の式に基づく関係がある。
【0183】
source=πL、従って、
source(max)=(3.14sr)(10.4J/(cmsr))
=32.6J/cm
従って、光源フルエンスが被爆放出限界に対するIEC限界値に基づいて先に計算された31J/cmによく一致する値である32.6J/cmよりも小さければ、本装置はクラスIの被爆放出限界値よりも低いことになる。さらに、FDAもしくはその他の規格設定機構が要求しているか、もしくは、その他の国や環境から要求されている目の安全性の限度値を求めるための計算や方法があってもよい。これらの目の安全性の限度値は少なくともAEL限界値やMPE限界値としておおよそ計算された値であると解されるが、使われる値が異なったり、それに従って構成される装置の出力限界値も異なることがある。妥当な目の安全性の限界値を遵守したり認定することの意味は、本出願で使っている「目に安全」という用語の意味と用法に含まれるものである。
【0184】
他の光学的設計条件
目に安全な操作を保証し、光を利用した皮膚病学的装置に拡散器を付加して皮膚表面での治療用のフルエンスの提供をすることは、上述しまた他の個所で記載した好適な実施形態やその他の実施形態を限定するものではない。例えば、青もしくはその他の可視光を利用したニキビ処置のための装置に拡散器を付加することによって、治療用のフルエンスでの目に対する安全性を確保することがでる。また、紫外線(290nmから400nmの範囲内の値)を利用した皮膚の色素再沈着、疥癬もしくは白斑の処置のための装置の出力開口部に拡散器を付加することによって、さらに安全にすることができる。通常、このような装置は指向性出力の非コヒーレント光源を有する。即ち、出力ビームは、出力開口部から約0.4ステラジアンの立体角に相当する±略20度に広がる。拡散器の付加によって、その出力は全2πステラジアンで伝搬する。この拡散器が(オリエール型拡散器を使用した場合)光の完全拡散分布を生成する場合、出力フルエンスの角度依存性は公知の余弦依存性であって、本出願の目的のために拡散器として説明された他の要素でも、一般的に、視角と共にフルエンスは変動する。拡散器のない代表的な装置(即ち、例えば、略0.4ステラジアンで広がる光出力を有する装置)を軸上で見たとき、即ち、光源を直接見たとき、拡散器(反射壁をもつチャンバーと背中合わせになっている)の付加によって、皮膚に当てた際に装置のフルエンスに影響を及ぼさずに角膜でのフルエンスが(0.4/π)の割合、即ち、約0.13減少する。これによって、拡散器の付加によってMPEより最大8倍大きいフルエンスを角膜で生成する装置を目に対して安全なものにすることができる。
【0185】
尚、フルエンスは、完全拡散光源からの光の出力分布を一様な光源に近い分布に変えることによって、(目に対する安全性を維持しながら)最大で付加ファクター2まで増加させることができる。これは、例えば、図3Bに示すように、(サファイヤのダイヤモンド機械加工、もしくは、プラスチックの一体成形のいずれかにより)同心状のマイクログルーブを生成して、光の増加部分を高角度に屈折させることで、もしくは、図3Dに示すように点光源や鏡張りチャンバー設計を組み込むことによって実施することができる。
【0186】
上述した装置の出力パルスは、パワー(即ち、放射照度と放射輝度)の観点からではなく、エネルギー(即ち、放射露光量と積分放射輝度)の観点から説明されている。しかしながら、本発明は、エネルギーもしくはパワーのいずれかにより特徴づけられる装置もしくは方法に同様に適用される。
【0187】
代替的実施形態
本発明の好適な実施形態や他の実施形態は、以下の構成要素の1つもしくは組み合わせを含む。第1に、上述したように、熱除去エレメントは、「再充電された」(即ち、熱が除去した)サーマル・バッテリーとしたり、使用前に取り換えて使用中に熱を吸収することができる。このサーマル・バッテリーは、氷、ある種のパラフィン状ワックス、もしくは塩などの相変化材料で、例えば、TEAPエネルギーのTEA29としたり、銅、アルミニウム、水のような高熱容量材料としたり、または、低圧に対応する膨張によって冷却を行う圧縮ガスもしくは液体としてもよい。第2に、皮膚の色素量を検出する色素沈着センサを備えるようにしてもよい。このようなセンサを使用することで、パルス持続時間もしくはパルスエネルギーなどの出力パラメータを調整したり、色素沈着レベルの処置を前もって選んだしきい値より高くならないようにすることができる。第3に、連続的に行うスポット的な処置ではなく、滑らせる処置手段を使用することができる。滑らせるとは、皮膚を横切るように装置の放射面を連続的に滑らせながら、その装置を操作することを意味する。光はパルス状にもしくは連続的に放たれる。本装置は、ユーザにフィードバックをかけて所定の範囲の線量測定を持続できるようにしたり、例えば、光センサまたはメカニカル・センサで提供されるメカニズムもしくは内部フィードバックを備えることで所定の範囲の線量測定を継続できるようにしてもよい。第4に、例えば、スプレー冷却もしくは液体冷却もしくは皮膚に塗布したジェルによる冷却という非接触冷却を行ってもよい。第5に、装置上もしくは装置内の反射性もしくは散乱性の面もしくは構成要素を使用して、皮膚から散乱して装置へ戻された光が皮膚へ戻るように向け直してもよい。このような放射光の向け直しは、例えば、出力開口部近辺にある部分的に透過する拡散器から、もしくは、装置内部や装置上の反射面からの正反射もしくは乱反射により生じる。(先にも述べたように「反射」という用語は、この文脈では緩和表面を含んで使われている)
毛再生抑制に加えて本発明は、ニキビ、良性色素損傷、血管増生、肌のきめ、皮膚の皺、および、「フォトリジュベンテーション(photo-rejuventation)」、血管増生(微小血管の破壊を含む)、肌の色合い、肌のきめ、皮膚の皺に対する処置を含む皮膚病学的アプリケーションに有効に適用することができる。ここで、「フォトリジュベンテーション」とは、色素損傷(褐色斑および赤色斑を含む)に対する皮膚病学的処置を意味する分野で一般的に受け入れられていることである。これらのアプリケーションのために、本発明の好適な実施形態の毛再生抑制装置を変形し、そのアプリケーションにより最適なものにしてもよい。当業者とっては、ここで説明した好適かつ他の実施形態の変形は上記分野における他のアプリケーションに対するものと解される。例えば、ニキビの処置に対しては、ニキビ・バクテリアが生成するポルフィリンに対する光力学的効果から、350から450nmの範囲内の波長を選択してもよい。もしくは、1000から1800nmの範囲内の波長を選択して、ニキビの主成分である皮脂の吸収スペクトルに合致させてもよい。同様に、「フォトリジュベンテーション」には、脈管と色素損傷を同時に処置して、肌の色合い、肌のきめ、および皮膚の皺を改善するためにフラッシュランプなどの広帯域光源を使用することができる。フォトリジュベンテーションに対しては幾分短めの波長、例えば、500から1100mの範囲内の値が効果のあることを示した。好適な実施の形態に基づき、拡散器を用いて人の目での最大フルエンスをMPEよりも小さくしているが、皮膚アプリケーションにとって出力フルエンスが効果的であるためには一般的に4J/cmよりも大きいことが望まれ、また、これらのレベルの光は、通常、目にとって安全性を確保することができない。
【0188】
また、レーザダイオード光源などの「発散」光源に言及している。ここでは、発散角αが約±6度よりも大きいとき光は「発散性」であると規定され、この発散は、主伝搬軸(z軸)とxとyの座標方向における半値全幅(FWHM)エネルギー軸との間で形成される半分の角度の相乗平均として規定される。即ち、x方向のz軸からの発散が±α、y方向の発散が±αであれば、発散±αは数量α×αの平方根に等しい。例えば、レーザダイオードバーは、一般的に1つの軸に約±20度、他の軸に約±5度のFWHMビーム発散を有するので、ここで規定したように約±10度の標準的な発散を有することになる。従って、レーザダイオードバーは発散光源である。ほとんどのダイオードレーザ、フラッシュランプ、およびLEDも一般的には発散光源である。6度の発散値によって、ダイオードレーザやフラッシュランプなどの「発散」光源を「平行」光源から明確に区別しており、この「平行」光源は実際には多少発散するが、一般的には1度より小さい。発散光源は、目の安全性を確保することに関しては他の光源より優れている。何故ならば、拡散器に光をぶつける発散光源からの光の重要な大部分の向きが、主伝搬方向から相当な角度に既に変えられているからである。従って、光を大きな角度に広げるという拡散器の仕事は単純化される。
【0189】
本発明の例示的な図や具体的な実施形態を記述して説明したが、本発明の範囲は論じた特定の実施形態に限定されるものではない。従って、実施形態は限定的というよりも例示的であるとみなされるべきであって、当業者であれば、添付の請求項とそれらの構成および機能と等価なものに示されているように、本発明の目的から逸脱することなくこれらの実施形態の変形例に想到できることが分かる。
【0190】
また、好適な実施形態に基づいて実施可能である上述された方法に基づく処理動作は、選択された印刷シーケンスで既に記述した。しかしながら、印刷上の便宜からそれらのシーケンスが選択され順序付けられており、それは、請求項に明白に記載されていないかもしくは当業者が必要とすると判断しない限りその処理動作の順序を暗示するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】第1の実施形態に係る内蔵型でバッテリー駆動の皮膚病学的処置装置の概略図を示す。
【図2A】第2の実施形態に係る、目に安全であって、透過型拡散器を有し、人間の皮膚に接触して用いる皮膚病学的処置装置の概略図を示す。
【図2B】第3の実施形態に係る、目に安全であって、反射型拡散器を有し、人間の皮膚に接触して用いる皮膚病学的処置装置の概略図を示す。
【図3A】第2の実施形態に係る光拡散器を示す図である。
【図3B】第2の実施形態に係る光拡散器を示す図である。
【図3C】第3の実施形態に係る光拡散器を示す図である。
【図3D】空間的に一様な出力を備えるその他のタイプの光拡散器を示す図である。
【図3E】毛再生抑制処置もしくはその他の皮膚病学的処置中に人間の皮膚に接触して用いる図3Cの光拡散器を模式的に示す図である。
【図4】両凹レンズを介して伝搬されるレーザビームの拡散を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る毛再生抑制処置を示す図である。
【図6】好適な実施形態に係る毛再生抑制処置用の内蔵型ハウジングの正面透視図である。
【図7】図6の毛再生抑制処置用の内蔵型ハウジングの背面透視図である。
【図8】図6から図7の毛再生抑制処置の表示灯を示す図である。
【図9】AlGaAsレーザダイオードバーの透視図である。
【図10】第2の実施形態に係る毛再生抑制処置の横断面図である。
【図11】図11は、好適な実施形態に係る電気回路の構成要素を示す図である。
【図12】FETを使用したスイッチを介して、バッテリーでダイオード光源に電力を供給する好適な実施形態に係る電気回路の構成要素を示す図である。
【符号の説明】
【0192】
420 出力ウインドウ
430 トリガー・ボタン
450 充電台
460 電源コード
460 オン−オフボタン
470 表示ライト
472 バッテリー
474 オン/オフ
476 準備完了
500 アルミニウム・ガリウム・砒素バー
510 放射器
880 接触センサ
881 パルス許可
882 パルス幅制限
883 PRF制限
884 電流制限
885 電流制御
886 バッテリー充電器
887 DC/DCコンバータ
888 プロセッサ
889 アナログ調製
890 皮膚センサ
891 ファンおよびTEモジュール
892 表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用として十分小型なコードレス皮膚病学的処置装置であって、
(a)皮膚病学的処置でのコードレス操作を行うために人の手によって握られる内蔵型ハウジングと、
(b)前記ハウジング内に一つ以上のダイオードレーザバーを備える光源と、
(c)前記光源に通電して出力光パルスを生成するための1つ以上のバッテリーと電子制御回路を備えるハウジング内の電気回路と、
(d)開口を含む前記ハウジング内の光路であって、有効な処置を提供する特性を備える出力光パルスが、前記ハウジングから前記開口を介して伝達される、当該光路とを具備し、
(e)当該コードレス装置の全重量は1キログラム以下であり、
(f)当該コードレス装置の容積は、1500cm以下である
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記皮膚病学的処置装置は、少なくとも一時的な毛再生抑制のための処置を行うように構成される
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
前記装置から出力される光パルスのパルス持続時間は、少なくとも10ミリ秒である
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項4】
前記装置から出力される光パルスのピークパワーは、10ワットから120ワットまでの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項5】
前記装置から出力される光パルスのパルス持続時間は、10ミリ秒から1秒の範囲内の値である
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項6】
前記装置から出力される光パルスの出力フルエンスは、4J/cmから100J/cmの範囲にある
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項7】
前記装置から出力される光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmまでの範囲のスペクトルバンドにある
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項8】
前記装置から出力される光パルスの前記開口でのスポットサイズは、0.25cmから5cmの範囲内にある
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項9】
前記出力光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内の繰り返し周波数で出力される
ことを特徴とする請求項2の装置。
【請求項10】
前記皮膚病学的処置装置は、にきびに対する処置を行う
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項11】
前記装置から出力される光パルスのエネルギーの大部分は、350nmから450nmまでの範囲内か、1000nmから1800nmまでの範囲内か、もしくは、それらの範囲の組み合わせの範囲内のスペクトルバンドにある
ことを特徴とする請求項10の装置。
【請求項12】
前記皮膚病学的処置装置は、良性の色素損傷に対する処置を行うように構成される
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項13】
前記皮膚病学的処置装置は、血管に対する処置を行うように構成される
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項14】
前記皮膚病学的処置装置は、皮膚の組織もしくは皺に対する処置、或いはその両方を行うように構成される
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項15】
前記電気回路は、前記光源に通電するダイレクトドライブ型電気回路を具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項16】
前記電気回路は、前記光源に通電するためのスーパーキャパシタを備える
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項17】
接触面と実質的に接触したときだけ前記ハウジングから光パルスが伝達可能になる接触センサーをさらに具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項18】
前記実質的な接触がされたときに少なくとも1つの光パルスが自動的に誘発される
ことを特徴とする請求項17の装置。
【請求項19】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性を備え、前記表皮の領域と接触させる放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度以上であって、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度であることを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項20】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項19の装置。
【請求項21】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性を備え、前記表皮の領域と接触させる放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度より低く維持されており、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項22】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを備える
ことを特徴とする請求項21の装置。
【請求項23】
可聴型フィードバックコンポーネントをさらに具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項24】
前記電子制御回路は、電流制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項25】
前記電子制御回路は、パルス幅制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項26】
前記電子制御回路は、パルス繰り返し周波数制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項27】
前記一つ以上のバッテリーは、バッテリー電圧Vbatを供給し、
前記電子制御回路は、一つ以上の電界効果トランジスタ(FET)と電圧供給部とを備え、
前記電圧供給部は、前記バッテリー電圧Vbatよりも大きな電圧で前記FETのゲートを駆動する
ことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項28】
携帯用として十分小型なコードレス皮膚病学的毛再生抑制装置であって、
(a)毛再生抑制処置でのコードレス操作を行うために人の手によって握られる内蔵型ハウジングと、
(b)前記ハウジング内に一つ以上のダイオードレーザバーを備える光源と、
(c)前記光源に通電して出力光パルスを生成するための1つ以上のバッテリーを備える、前記ハウジング内のダイレクトドライブ型電気回路と、
(d)開口を含む前記ハウジング内の光路であって、少なくとも一時的な毛再生抑制に十分な特性を備える出力光パルスが、前記ハウジングから前記開口を介して伝達される、当該光路とを具備する
ことを特徴とする装置。
【請求項29】
前記装置から出力される光パルスは、少なくとも10ミリ秒のパルス持続期間である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項30】
前記装置から出力される光パルスのピークパワーは、10ワットから120ワットの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項31】
前記装置から出力される光パルスのパルス持続期間は、10ミリ秒から1秒の範囲内の値である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項32】
前記装置から出力される光パルスの出力フルエンスは、4J/cmから100J/cmの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項33】
前記装置から出力される光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmまでの範囲のスペクトルバンドに含まれる
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項34】
前記装置から出力される光パルスの前記開口でのスポットサイズは、0.25cmから5cmの範囲内にある
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項35】
光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内の繰り返し周波数で出力される
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項36】
接触面と実質的に接触したときだけ前記ハウジングから光パルスが伝達可能になる接触センサーをさらに具備する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項37】
前記実質的な接触がされたときに少なくとも1つの光パルスが誘発される
ことを特徴とする請求項36の装置。
【請求項38】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性をもち、前記表皮の領域に接触する放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は正常な皮膚の温度以上であって、前記正常な皮膚の温度は、当該装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項39】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項38の装置。
【請求項40】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性をもち、前記表皮の領域に接触する放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度より低く維持されており、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項41】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項40の装置。
【請求項42】
可聴型フィードバックコンポーネントをさらに具備する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項43】
当該コードレス装置の全重量は、1キログラム以下であって、容積は1500cm以下である
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項44】
前記電気回路は、電流制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項45】
前記電気回路は、パルス幅制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項46】
前記電気回路は、パルス繰り返し周波数制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項47】
前記一つ以上のバッテリーは、バッテリー電圧Vbatを供給し、
前記電気回路は、一つ以上の電界効果トランジスタ(FET)と電圧供給部とを備え、
前記電圧供給部は、前記バッテリー電圧Vbatよりも大きな電圧で前記FETのゲートを駆動する
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項48】
前記電気回路は、一つ以上の蓄積キャパシタを放電させることによって電気パルスを生成して前記光源を通電するための一つ以上の該蓄積キャパシタを備えていない
ことを特徴とする請求項28の装置。
【請求項49】
携帯用として十分小型なコードレス皮膚病学的毛再生抑制装置であって、
(a)毛再生抑制処置でのコードレス操作を行うために人の手によって握られる内蔵型ハウジングと、
(b)前記ハウジング内に一つ以上のダイオードレーザを備える光源と、
(c)前記光源に通電して出力光パルスを生成するための、1つ以上のバッテリーと電子制御回路を備える、ハウジング内の電気回路と、
(d)開口を含む前記ハウジング内の光路であって、前記ハウジングから出力光パルスが前記開口を介して伝達される、当該光路とを具備し、
(1)前記装置から出力される光パルスのピークパワーは、10ワットから120ワットの範囲内にあり、
(2)前記装置から出力される光パルスのパルス持続期間は、10ミリ秒から1秒の範囲内にあり、
(3)前記装置から出力される光パルスの出力フルエンスは、4J/cmから100J/cmの範囲内にあり、
(4)前記装置から出力される光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmのスペクトルバンドにある
ことを特徴とする装置。
【請求項50】
前記電気回路は、前記光源を通電するダイレクトドライブ型電気回路を具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項51】
前記電気回路は、前記光源を通電するためのスーパーキャパシタを具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項52】
前記装置から出力される光パルスの前記開口でのスポットサイズは、0.25cmから5cmまでの範囲内の値である
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項53】
前記光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内のパルス繰り返し周波数で出力される
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項54】
接触面と実質的に接触したときだけ前記ハウジングから光パルスが伝達可能になる接触センサーをさらに具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項55】
前記実質的な接触がされたときに少なくとも1つの光パルスが誘発される
ことを特徴とする請求項54の装置。
【請求項56】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性を備え、前記表皮の領域と接触させる放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度以上であって、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項57】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項56の装置。
【請求項58】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性をもち、前記表皮の領域に接触する放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度より低く維持されており、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項59】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項58の装置。
【請求項60】
可聴型フィードバックコンポーネントをさらに具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項61】
前記コードレス装置の全重量は1キログラム以下であり、容積は1500cm以下である
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項62】
前記電子制御回路は、電流制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項63】
前記電子制御回路は、パルス幅制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項64】
前記電子制御回路は、パルス繰り返し周波数制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項65】
前記一つ以上のバッテリーは、バッテリー電圧Vbatを供給し、
前記電気回路は、一つ以上の電界効果トランジスタ(FET)と電圧供給部とを備え、
前記電圧供給部は、前記バッテリー電圧Vbatよりも大きな電圧で前記FETのゲートを駆動する
ことを特徴とする請求項49の装置。
【請求項66】
携帯用として十分小型なコードレス皮膚病学的毛再生抑制装置であって、
(a)毛再生抑制処置でのコードレス操作を行うために人の手によって握られる内蔵型ハウジングと、
(b)前記ハウジング内に一つ以上のダイオードレーザを備える光源と、
(c)前記光源に通電して出力光パルスを生成するための1つ以上のバッテリーを備えるハウジング内のダイレクトドライブ型電気回路と、
(d)開口を含む前記ハウジング内の光路であって、前記ハウジングから出力光パルスが前記開口を介して伝達される、当該光路とを具備し、
(1)前記装置から出力される光パルスのピークパワーは、10ワットから120ワットの範囲内にあり、
(2)前記装置から出力される光パルスのパルス持続期間は、10ミリ秒から1秒の範囲内にあり、
(3)前記装置から出力される光パルスの出力フルエンスは、4J/cmから100J/cmの範囲内にあり、
(4)前記装置から出力される光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmのスペクトルバンドにあり、
(5)当該コードレス装置の全重量は1キログラム以下であり、
(6)当該コードレス装置の容積は1500cm以下であり
(7)光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内のパルス繰り返し周波数で出力され、
(8)前記装置から出力される光パルスのスポットサイズは、0.25cmから5cmまでの範囲内の値である
ことを特徴とする装置。
【請求項67】
接触面と実質的に接触したときだけ前記ハウジングから光パルスが伝達可能になる接触センサーをさらに具備する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項68】
前記実質的な接触がされたときに少なくとも1つの光パルスが誘発される
ことを特徴とする請求項67の装置。
【請求項69】
熱を人の接触表皮領域から除去して表皮の損傷を減らしたり防いだりするように働く1つ以上の熱特性を備え、当該装置の使用中に前記表皮の領域と接触させる放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度以上であって、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項70】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項69の装置。
【請求項71】
熱を処置対象の者の表皮から除去するように働く1つ以上の熱特性を備え、前記表皮の領域と接触させる放熱板をさらに具備し、
前記放熱板の温度は、正常な皮膚の温度より低く維持され、前記正常な皮膚温度は、前記装置で処置されていない皮膚の温度である
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項72】
前記放熱板は、サファイア出力ウィンドウを具備する
ことを特徴とする請求項71の装置。
【請求項73】
可聴型フィードバックコンポーネントをさらに具備する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項74】
前記光源は、一つ以上のレーザダイオードバーを備え、該レーザダイオードバーの各々は複数のレーザダイオードエミッタを備える
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項75】
前記電子制御回路は、電流制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項76】
前記電子制御回路は、パルス幅制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項77】
前記電子制御回路は、パルス繰り返し周波数制限回路を具備する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項78】
前記一つ以上のバッテリーは、バッテリー電圧Vbatを供給し、
前記電気回路は、一つ以上の電界効果トランジスタ(FET)と電圧供給部とを備え、
前記電圧供給部は、前記バッテリー電圧Vbatよりも大きな電圧で前記FETのゲートを駆動する
ことを特徴とする請求項66の装置。
【請求項79】
コードレスで人の皮膚を処置する皮膚病学的処置方法であって、
(a)皮膚病学的処置装置の内蔵型ハウジングアセンブリを人の手が握り、
(b)前記装置の出力ウィンドーコンポーネントが同じ人もしくは別の人の表皮に接触するように前記ハウジングアセンブリを配置し、
(c)各々が前記ハウジングアセンブリ内に含まれる1つ以上のバッテリーと電子制御回路を含む電気回路で、一つ以上のダイオードレーザを備える光源に通電して、制御された出力光パルスを生成し、
(d)開口を含む前記ハウジング内の光路に沿って、前記光源によって生成された出力光パルスを送り、有効な処置のための十分な特性を備える光パルスが、前記ハウジングアセンブリから前記開口を介して伝達され、
(e)皮膚処置の中で携帯型皮膚病学的装置をコードレスで操作する
ことを特徴とする方法。
【請求項80】
前記通電は、一つ以上のレーザダイオードバーを通電することを含み、
該レーザダイオードバーの各々は複数のエミッタを備える
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項81】
前記通電は、二つ以上のレーザダイオードバーを通電することを含み、
該レーザダイオードバーの各々は複数のエミッタを備える
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項82】
前記コードレス装置の全重量は1キログラム以下であり、容積は1500cm以下である
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項83】
前記皮膚処置は、少なくとも一時的な毛再生抑制処置を含む
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項84】
前記通電は、前記光源のダイレクトドライブ通電を含む
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項85】
前記通電は、1つ以上の蓄積キャパシタが少なくとも部分的に放電をすることなく光パルスを生成するための電流パルスを生成することを含み、
前記一つ以上のバッテリーは前記1つ以上の蓄積キャパシタに通電せず、その代わりに、前記通電は、光源に直接通電する一つ以上のバッテリーを含む
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項86】
前記通電は、トランスを使うことなく、光パルスを生成するための電流パルスを生成することを含む
ことを特徴とする請求項79の方法。
【請求項87】
4J/cmから100J/cmの範囲内の出力フルエンスを生成することをさらに含み、
光パルスのエネルギーの大部分は、700nmから1100nmの範囲のスペクトルバンドに含まれ、前記光パルスのパルス持続期間は10ミリ秒から1秒の範囲内にある
ことを特徴とする請求項79の装置。
【請求項88】
前記光パルスは、0.1Hzから2Hzの範囲内のパルス繰り返し周波数で出力され、10ワットから120ワットの範囲内のピークパワーをもち、開口では0.25cmから5cmの範囲内のスポットサイズをもち、前記コードレス装置の全重量は1キログラム以下であって、容積は1500cm以下である
ことを特徴とする請求項87の方法。
【請求項89】
前記光源は、1つ以上のダイオードレーザバーを含み、
該ダイオードレーザバーの各々は複数のレーザダイオードエミッタを備える
ことを特徴とする請求項49の装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−518611(P2006−518611A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501180(P2006−501180)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/005087
【国際公開番号】WO2004/075721
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(505318905)スペクトラジェニクス インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】