説明

内装パネル

【課題】 厚み方向に長くすることなく、それでいて、効率の良い室内の空気の調湿又は/及び脱臭を行なうことで、これらの効果を確実に発揮することができる内装パネルを提供する。
【解決手段】 一方の端部に設けられた第1の通気開口1と他方の端部に設けられた第2の通気開口2と、を前面に開口するように設けることで内装パネル本体3を構成し、内装パネル本体3の内部に通気路4を設ける。また、この通気路4内を通気方向Bに連通させるようにしてハニカム材5を設ける。しかも、第1の通気開口1とハニカム材5との間に第1の通気開口1から吸気した空気を通気路4内の通気方向Bと略直角な方向に拡散させる拡散部6を設け、ハニカム材5と第2の通気開口2との間に連通部7を設ける。そして、上述したハニカム材5は内装パネル本体3の厚み内に収まる扁平な形状で且つ通気方向Bにおける内装パネル本体3の略全長に亘る長さに形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の内装パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の壁内部に空気循環路を設けると共に、その空気循環路内に調湿部材を設け、その空気循環路に室内空気を通して循環を行なうことで、室内の空気の調湿を行なうようにしたものとして、例えば特許文献1のものが知られている。
【0003】
この特許文献1により示すものは、壁面の天井近くに吸気部を設けると共に床近くに排気部を設け、この吸気部と排気部とを連通した断面正方形状の空気循環路を形成することで構成されている。この空気循環路の上下方向の一部に、空気循環路の断面の一辺と略同じ長さの辺によって形成される断面正方形状のハニカム構造体から成る調湿浄化部材が設けられている。
【0004】
壁面に形成されている空気循環路は上下方向に長く形成されているのに対して、この調湿浄化部材は上下に長い空気循環路のほんの一部となるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−239326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような空気循環路を壁内に設けるに当たっては、この断面正方形状の空気循環路を設けることによる強度の低下を考慮し、且つ、断面正方形状の調湿浄化部材の形状を埋設することを考慮した壁面の厚さとしなければならないため、壁面厚さには相当の厚みを必要とするものであり、さらに、この調湿浄化部材は、上下方向(通気方向)の長さが非常に短く形成されたものであるため、調湿効果が十分に発揮できるものとはなっていなかった。
【0007】
そこで、本発明の発明者が本発明に至る過程で、内装パネルにこのような調湿浄化部材を設けるに当たり、上下に長く且つ扁平な形状のハニカム構造体で形成された調湿材を創出し、内装パネル内に設けようとした。
【0008】
ところが、ただ単に上下に長く且つ扁平な形状のハニカム材を内装パネル内に設けただけでは、吸気部により吸気された室内空気をハニカム材の幅方向全体に均等に行き亘らせることができず、効果的な室内空気の循環や調湿効果の発揮ができるものとはならないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、パネル形状にして厚みを大きくすることなく、それでいて、室内の空気の調湿又は/及び脱臭効果を確実に発揮することができる内装パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を備えている。
【0011】
すなわち、請求項1に係る発明にあっては、壁面に沿って設置される扁平矩形の内装パネルAにおいて、上下方向の上下端部あるいは幅方向の左右端部のいずれかのうち一方の端部に設けられた第1の通気開口1と、他方の端部に設けられた第2の通気開口2と、を前面に開口するように設けることで内装パネル本体3を構成し、内装パネル本体3の内部に第1の通気開口1と第2の通気開口2とを連通する通気路4を設ける。また、この通気路4内を通気方向Bに連通させるようにして調湿又は/及び脱臭するハニカム材5を設ける。しかも、第1の通気開口1とハニカム材5との間に第1の通気開口1から吸気した空気を通気路4内の通気方向Bと略直角な方向に拡散させる拡散部6を設け、ハニカム材5と第2の通気開口2との間に連通部7を設ける。そして、上述したハニカム材5は内装パネル本体3の厚み内に収まる扁平な形状で且つ通気方向Bにおける内装パネル本体3の略全長に亘る長さに形成した。
【0012】
このように構成したことで、厚みを薄く保ったままの内装パネルAの内部に、扁平で且つ内装パネルの通気方向Bの略全長に亘る長さに形成されたハニカム材5を収容することができる。つまり、このようにハニカム材5を内装パネルの厚み内に収まる扁平な形状で、且つ、内装パネルAの通気方向Bの略全長に亘る長さで形成したとしても、ハニカム材5と第1の通気開口1との間に拡散部6が設けてあるから、第1の通気開口1により吸気した空気をこの扁平なハニカム材5の幅方向の全長に略均等に行き亘らせることができる。しかも、このように拡散部6を設けた結果、ハニカム材5を内装パネルAの通気方向Bにおける略全長に亘る長さに形成することが可能となったから、このハニカム材5を通過する空気の調湿又は/及び脱臭を効果的に且つ確実に行なうことができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明にあっては、請求項1に係る発明において、ハニカム材5を、通気路4内において通気方向Bと略直角な方向の略全長に亘って形成するようにした。
【0014】
このように構成したことで、請求項1に係る効果に加えて、調湿又は/及び脱臭できる空気の容量をより増大させることができるようになり、調湿又は/及び脱臭効果を高めることができる。
【0015】
また、請求項3に係る発明にあっては、請求項1あるいは請求項2のいずれかに係る発明において、内装パネル本体3内の通気路4の一部に通気方向Bに沿うように送風する送風手段8を設けた。
【0016】
このように構成したことで、請求項1又は請求項2に係る効果に加えて、空気の調湿又は/及び脱臭作用を促進することができて、内装パネルAによる調湿又は/及び脱臭効果をより向上することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、別途調湿又は/及び脱臭装置を設けなくとも、厚みの大きくない内装パネルを壁面に設けるだけで、室内の調湿又は/及び脱臭を確実にできるので、室内における快適さを向上させる効果はもとより、省スペース化を図ることができて、室内のすっきりとした外観を形成することに資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態の斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】第2の実施形態のハニカム材の概略斜視図である。
【図4】本実施形態の内装パネルの取り付け方法を説明する上部断面図である。
【図5】同上の他の取り付け方法を説明する上部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施形態の内装パネルAは、図2に示すように、内装パネルAの外郭を構成し内部を中空とする内装パネル本体3と、この内装パネル本体3の内部に収容されるハニカム材5と、このハニカム材5の下部に位置する拡散部6と、ハニカム材5の上部に位置する連通部7と、を備え、この内装パネル本体3の前面の上下端部のうちの一方の端部である下端部に第1の通気開口1としての吸気部1aを設け、他方の端部である上端部に第2の通気開口2としての排気部2aが設けられている。
【0021】
本実施形態の内装パネル本体3は、背面側の主体を構成するベース材9と、ベース材9の下端と連結されて内装パネル本体3の背面下部を構成する下外郭部10と、ベース材9の上端と連結されて内装パネル本体3の背面上部を構成する上外郭部11と、ベース材9の前方に設けられる前面板12と、前面板12の上端に設けられた排気部カバー13と、前面板12の下端に設けられた吸気部カバー14と、を備えており、これらを組み合わせることにより内部に空間を有し、扁平矩形状に形成されるパネル状の内装パネル本体3が構成される。
【0022】
この背面側に設けられるベース材9は、図2に示すように、内装パネルAの背面を構成する平面視長矩形状の背面板15と、この背面板15の左右両端から前方に向けて突設される枠部16と、枠部16の各前端から外方に向けて連設されたフランジ片17と、両側に形成された枠部16のうち一方の枠部16側に寄せて背面板15から突設した仕切り片18と、を一体に形成することで構成されている。この一方の枠部16と仕切り片18とで形成される広い側の空所をハニカム材収容空所19とし、他方の枠部16と仕切り片18とで形成される狭い側の空所をサーキュレータ用連通路20としている。
【0023】
ベース材9の下端に設けられた下外郭部10は、前面と上面とが開放した形状にて形成されており、前端部における左右両辺からは外方に向けて下フランジ部21が設けられている。この下外郭部10の内側上部には拡散ガイド部22が設けられている。本実施形態の拡散ガイド部22は2対のガイド片22aによって構成されており、一対の対向するガイド片22aが上方ほど離間するようにして設けられている。この拡散ガイド部22と下外郭部10の内部の空間とで拡散部6を構成しており、この拡散部6は、吸気部1aから吸気した空気を内装パネルAの幅方向に拡散させて、吸気部1aから吸気した空気を幅方向に略均一な状態で上方のハニカム材5に至らせることができるものである。また、上述したベース材9におけるサーキュレータ用連通路20の下部には、このサーキュレータ用連通路20に連通するようにサーキュレータ用導入部23が形成されており、本実施形態においては拡散部6に隣接して形成されている。
【0024】
さらに本実施形態においては、この下外郭部10内にシロッコファンにより構成された送風手段8が設けられている。上述した拡散ガイド部22の下部に設けられたシロッコファン(図中の中央部と左側のシロッコファン)を送風手段8としての調湿/脱臭用ファン24として、その吐出方向を拡散ガイド部22に向けて設置してある。また、サーキュレータ用連通路20の下部に設けられたシロッコファン(図中の右側のシロッコファン)を送風手段8としての循環用ファン25として、その吐出方向をサーキュレータ用導入部23に向けて設置してある。
【0025】
また、図2に示すように、この下外郭部10の前面には板状のファンカバー26が配設されており、ファンカバー26の上記シロッコファンの吸入部位(シロッコファンの回転中心部)に対応する部位(本実施形態では、調湿/脱臭用ファン24と循環用ファン25とに対応する3箇所)には吸気部1aからの空気を連通させる連通穴27が穿設されている。また、このファンカバー26の前面側の上部には内装パネルAの前面板12の下端部に当接する当接片28が突設されている。なお、この当接片28は、このファンカバー26を下外郭部10に固設した上で、当接片28に前面板12の下端部を当接して前面板12を固着するようにすれば、簡単に前面板12の位置決めをすることができるというものである。
【0026】
このファンカバー26の前面には、脱臭フィルタ29が配設されており、この脱臭フィルタ29は吸気部1aから吸気した空気の脱臭を行なうものである。本実施形態においては、この脱臭フィルタ29として活性炭脱臭フィルタを用いている。
【0027】
ベース材9の上端に設けられた上外郭部11は、前面と下面とが開放した形状を有しており、前端部における左右両辺からは外方に向けて上フランジ部30が設けられている。この上外郭部11の内側は、ベース材9のハニカム材収容空所19と連続するようにして設けられた調湿/脱臭側空所31と、サーキュレータ用連通路20と連続するようにして設けられた循環側空所32とが、上外郭用仕切り33によって区画されて形成されている。この上外郭用仕切り33は、上部ほど調湿/脱臭側空所31側に傾斜するようになっており、要するに、調湿/脱臭側空所31が上部ほど幅狭になるように構成されている。
【0028】
また、上外郭部11の内側上部には制御回路35が配設されており、上述の送風手段8、及び、前板部に設けられた後述する操作部36と電気的に接続され、この操作部36を操作することにより送風手段8のON/OFFや送風手段8による風力の強弱の調整を制御できるようになっている。本実施形態において、これらの制御は調湿/脱臭用ファン24と循環用ファン25とで独立して個々に操作できるように構成されている。さらに、この制御回路35は、コンセント等の家庭用給電部に接続される給電用の電源コードが接続されており、この電源コードを介して送風手段8が駆動することができるように構成される。
【0029】
このような上外郭部11の前面には制御部カバー37が配設される。
【0030】
この制御部カバー37は、ハニカム材5を通過して上昇してきた空気を上外郭部11の前面に配される排気部2aに向けて方向転換させる斜片38と、斜片38の上端から上方に向けて連設される垂片39とで構成されており、斜片38の一部には固着具挿通穴が穿設されている。この制御部カバー37を上外郭部11に固設した状態において、ベース材9の仕切り片18と対応する部位には間仕切りが設けられている。この制御部カバー37を設けることにより、制御回路35が流動する空気に晒されて劣化したり故障したりするのを防止することができる。
【0031】
さらに、この制御部カバー37を上外郭部11に固設すれば、制御部カバー37の斜片38によって上外郭部11の調湿/脱臭側空所31が区画されるようになり、ハニカム材5の上端と排気部2aとの間を連通する連通部7が形成される。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の前面板12は平面視長矩形状の板材によって構成されており、長手方向の略中間部位で、且つ、一方の長辺側に寄った部位には前述した操作部36が設けられている。この操作部36は、調湿/脱臭用ファン24及び循環用ファン25のON/OFF、並びに、調湿/脱臭用ファン24及び循環用ファン25による風力の強弱の操作を、調湿/脱臭用ファン24と循環用ファン25とで独立して行なうことができるようになっている。この操作部36の電気配線は、前面板12の裏面側から取り出され、さらに前面板12の裏面に沿って上部に向けて配され、制御回路35と電気的に接続できるように配される。
【0033】
冒頭に述べたように、この前面板12の上端に排気部カバー13が設けられ、前板の下端に吸気部カバー14が設けられている。
【0034】
この吸気部カバー14には、幅方向の略全長に亘って吸気口40が設けられており、この吸気口40の前面には複数の羽板を並設して設けられたルーバー41が配設されている。本実施形態においては、吸気口40にルーバー41を備えることで吸気部1aを構成しており、この吸気部1aによって外部の空気を内装パネル本体3の内部に取り入れることができる。
【0035】
また排気部カバー13もこの吸気部カバー14と略同様の構成となっており、排気部2aは、排気部カバー13の幅方向の略全長に亘って設けられた排気口42に、この排気口42の前面に設けられたルーバー43を備えることで構成してあり、この排気部2aは、吸気部1aから内装パネル本体3内部に取り入れた空気を、外部に排出することができる。
【0036】
なお、この吸気部1a及び排気部2aは、吸気口40及び排気口42の前面にルーバー41,43を設けないものであってもよい。
【0037】
上記のような内装パネル本体3内は、吸気部カバー14に設けられた吸気部1aから吸い込んだ空気は、ファンカバー26の連通穴27、拡散部6、ハニカム材収容空所19、連通部7、排気部2aの順に通気し、つまり、吸気部1aと排気部2aとを連通するようにして通気路4を形成している。
【0038】
このように構成された内装パネル本体3の内部には、通気方向Bに連通させるようにして(つまり、ハニカム材5の貫通路44が上下方向に向くようにして)ハニカム材5が収容されている。
【0039】
このハニカム材5は、内装パネル本体3の厚み内に収まる扁平な形状で形成されており、詳しくは、内装パネル本体3の上下方向の略全長に亘る長さ(内装パネル本体3における拡散部6上端から連通部7下端に亘る長さ)で、且つ、通気路4内の幅方向の略全長(通気方向Bと略直角な方向の略全長)に亘って形成されており、ハニカム構造を有する調湿材によって形成されている。さらに、このハニカム構造を成す貫通路44は長手方向に平行となるように(つまり上下方向に)貫通して設けられており、ハニカム材5の上端及び下端に貫通路44の開口が位置するように構成されている。この調湿材は、調湿材に接触する空気との湿度差によって空気中の湿気を吸収したり放出したりする性質を有する材料により形成されており、具体的には、珪藻土、シリカ、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、ゾノトライト等が好適に使用される。これらは、1種類のみを単独で使用してもよいし、複数種類を組み合わせて使用することも可能である。
【0040】
なお、一般的にハニカム構造とは、六角形状の貫通路44が隔壁を介して多数並設された蜂の巣状の多孔材の構造をいうが、ここでいうハニカム構造とは、正方形や長方形、その他の多角形並びに円形や楕円形などの断面孔形状をも含む。つまり、本願においては、孔形状を問わず貫通路44が隔壁を介して多数並設されたものであれば、ハニカム構造の範疇に含まれるものとしている。
【0041】
上記のように構成された内装パネルAの各要素を組み立てるには、以下のようにして行なう。
【0042】
最初にベース材9の下端部に送風手段8を配設しておいた下外郭部10を固着すると共に、ベース材9の上端部には、制御回路35の前面に制御部カバー37をあらかじめ配設しておいた上外郭部11を固着する。次に、内装パネルAの略全長に亘って形成された扁平なハニカム材5をベース材9のハニカム材収容空所19内に配設する。この時、拡散ガイド部22の上端にハニカム材5の下端が当接するようになる。そして、ファンカバー26を装着することで、ファンカバー26の上端部でハニカム材5の下端部をベース材9側にやや押圧するようになっており、これにより、内装パネルAの運搬時や施工時等におけるハニカム材5の位置ずれが防止されることになる。
【0043】
次に、前面板12をファンカバー26の当接片28に当接して位置決めしながら、ベース材9のフランジ片17に前面板12を固着する。その状態で、ファンカバー26の前面に脱臭フィルタ29を介して吸気部カバー14を装着する。詳しくは、吸気部カバー14の裏面に設けられた係止部(図示せず)を下外郭部10の下フランジ部21に設けられた被係止部(図示せず)に係止して係着できるようになっている。さらに、上外郭部11の前面に排気部カバー13を装着する。同様に、排気部カバー13の裏面に設けられた係止部(図示せず)を上外郭部11の上フランジ部30に設けられた被係止部(図示せず)に係止して係着する。
【0044】
上記のように構成された内装パネルAの動作を以下に説明する。
【0045】
調湿/脱臭用ファン24を操作部36により操作して駆動させると、吸気部1aから吸込んだ空気が脱臭フィルタ29を通過してシロッコファン内に入り込む。この時、脱臭フィルタ29を通過することで、空気内の嫌な臭いは脱臭されて無臭の空気となる。そしてこのシロッコファン内の空気は、回転駆動するシロッコファンによってハニカム材5(上方)に向かって移動しながら拡散ガイド部22によってガイドされて、通気方向B(上下方向)とは直角な方向(幅方向)に拡散する。拡散された空気はハニカム材5の通気方向B(上下方向)とは直角な方向の略全長に行き亘ることとなり、ハニカム材5の下端部の貫通路44の開口から、未調湿の空気がハニカム材5の幅方向に略均等な状態で入り込み、反対側の端部に向けて通流するようになる。このとき、このハニカム材5は通気方向Bにおける内装パネル本体3の略全長に亘る長さに長く形成されているから、本実施形態のように送風手段8によって通気を促進してハニカム材5内の空気の移動速度を速くした場合であっても、十分且つ確実な調湿を行なうことができる。そして、この調湿された空気がハニカム材5の排気部2a側の端部から放出され、連通部7を経て排気部2aから放出される。
【0046】
一方、循環用ファン25を操作部36により操作して駆動させると、吸気部1aから吸込んだ空気が循環用ファン25を経てサーキュレータ用連通路20を通り、さらに循環側空所32を介して排気部2aからこの空気を排出する。これにより、室内の空気を循環することができるようになる。しかも、調湿/脱臭用ファン24と循環用ファン25との強弱の操作を、独立して操作できるように構成しているから、室内の空気の循環を促進しながら、室内空気の調湿をゆっくりと行なうことも可能となる。
【0047】
上述の通り本発明は拡散部6を設けることで、ハニカム材5を扁平で且つ上下に長く設けることができるようになったので、内装パネルAの厚みの薄さを保ったまま、従来の技術と比較して大幅に調湿効果が向上するものとなる。
【0048】
また、上下端部に吸気部1aと排気部2aとをそれぞれ離れるようにして設けたから、仮に送風手段8を使用しない場合であっても(すなわち、吸気部1aからの風量が小さくても)、ショートパスを起こすことなく、効率良く空気を循環することができるため、確実に調湿効果を発揮することができる。
【0049】
しかも、本発明のように拡散部6を設けることで、ハニカム材5の幅方向の全長に亘って、略均等に未調湿の空気を行き亘らせることができるようになったので、ハニカム材5の中央近傍の特定の貫通路44のみ集中的に使用することによってこの部分のみ劣化してしまい、一部のみの劣化にもかかわらずハニカム材5全体としての交換が必要となる、という事態を防ぐことができる。つまり、ハニカム材5の調湿性能の劣化が、全体として略均等に劣化していくことになり、その結果、ハニカム材5の長寿命化を図ることができる。
【0050】
なお、本実施形態のハニカム材5は調湿性能を有するように形成したが、このハニカム材5を活性炭から成る脱臭用のハニカム材5として脱臭性能を有するようにしたものを用いてももちろんよい。
【0051】
次に、第2の実施形態について図3に基づいて説明する。なお、本実施形態は上記実施形態と大部分について同じであるため、主に異なる部分についてのみ説明する。
【0052】
本実施形態の内装パネルAは、ハニカム材5の構成が上記実施形態のものと異なっている。すなわち、上下に長いハニカム材5のうちの一部(本実施形態ではハニカム材5の下部)に活性炭から成る脱臭用のハニカム材5bを設け、それ以外の部分を調湿用のハニカム材5aを形成して、ハニカム材5全体として扁平で上下に長いハニカム材5を構成したものである。
【0053】
これによりファンカバー26の前面に設けた脱臭フィルタ29を設けなくても脱臭効果が十分に発揮できるのであるが、本実施形態においては、より脱臭効果を向上させるために、ファンカバー26の前面にはあえて脱臭フィルタ29を配設してある。
【0054】
このような構成のハニカム材5を使用することにより、吸気部1aにより吸込んだ空気を排気部2aにより排出するに当たり、調湿効果はもちろんのこと、脱臭効果も十分且つ確実に発揮することができるようになる。
【0055】
更に言えば、ハニカム材5によって脱臭する前に、臭気の大部分を脱臭フィルタ29によって脱臭するようにしているから、メンテナンス時に交換を要する部分は脱臭フィルタ29のみでよい。つまり、本実施形態によれば、脱臭フィルタ29の交換も非常に簡単にできるようになっているのである。
【0056】
次に、第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態と大部分について同じであるため、主に異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
本実施形態の内装パネルAは、ベース材9のサーキュレータ用連絡路の上方の上外郭部11内に、シロッコファンから成る反転用循環ファン(図示せず)を設けた点で第1の実施形態とは異なっている。詳しく説明すると、反転用循環ファンの吐出側をサーキュレータ用連絡路に向けるように配設し、さらにこの反転用循環ファンと制御回路35とを電気的に接続すると共に操作部36でこの反転用循環ファンのON/OFF並びに送風強さの強弱を操作できるように構成してある。
【0058】
本実施形態の内装パネルAの使用時の動作を説明する。
【0059】
まず、下外郭部10にある循環用ファン25を回転させる循環運転は夏場の冷房使用時に使用すると効果的である。すなわち、冷房時に循環用ファン25を駆動させることで、冷房時における室内下方に滞留した冷気を吸気部1aから取り入れて、排気部2aから排出するといった空気循環を行うことができるようになり、これにより室内における温度分布を均等なものとすることができる。
【0060】
次に、上外郭部11にある反転用循環ファンを回転させる循環運転は冬場の暖房使用時に使用すると効果的である。すなわち、暖房時に反転用循環ファンを駆動させることで、暖房時の天井近傍に滞留した暖気を天井近傍の開口(つまり排気部2a)から取り入れて、床面近傍の開口(つまり吸気部1a)から排出するといった空気循環を行うことができるようになり、これにより室内における温度分布を均等なものとすることができる。
【0061】
なお、これらの構成を第2の実施形態に適用することができるのはもちろんのことである。
【0062】
次に、第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態は第1の実施形態と大部分について同じであるため、主に異なる部分についてのみ説明する。
【0063】
本実施形態の内装パネルAは、全体として横長の内装パネルAとなっている。この横長の内装パネルAの左右端部のうちの一方の端部に吸気部1aを設けると共に、他方の端部に排気部2aを設けて内装パネル本体3を構成してある。つまり、第1の実施形態における通気方向Bを左右方向としている点で異なり、その他の構成は第1の実施形態の構成と略同じとなっている。
【0064】
もちろん、これらの構成を第2の実施形態や第3の実施形態に適宜適用することができる。
【0065】
上記の内装パネルAを設置する天井面、壁面、床面等の建物の内装面の形状に応じて、第1乃至第3の実施形態のような縦長の内装パネルAと、この第4の実施形態のような横長の内装パネルAとを適宜選択して配設することができる。
【0066】
以上のように構成された内装パネルAは、建物の内装面に配設されるのであるが、本発明の内装パネルAの取り付けは以下のようにして行なう。なお、以下においては第1の実施形態の内装パネルAに基づいて説明するが、第2乃至第4の実施形態の内装パネルAにおいても同様に施工できるものであるのはもちろんのことである。
【0067】
図4に示す取り付け方法は、対向する2つの間柱45間に本発明の内装パネルAを配設するものである。詳しく説明すると、まず、間柱45間の対向する面にベース材9の枠部16が当接又は近接対向するようにして位置させ、この間柱45の前面に上外郭部11の上フランジ部30と下外郭部10の下フランジ部21とを当接する。この間柱45の前面にこれらを当接した状態を維持したまま、上フランジ部30の前面から固着具を挿通して間柱45に固着すると共に、下フランジ部21の前面から固着具を挿通して間柱45に固着する。
【0068】
このように配設すれば、厚みのある部分を間柱45間に埋め込むことができて、室内側のスペースをより広く確保することができるようになる。
【0069】
次に、図5に示す取り付け方法は、間柱45の前面に壁材を配設したものに対して本発明の内装パネルAを取り付けるものである。詳しく説明すると、壁面46の前面の所望の部位に本発明の内装パネルAを位置させ、ベース材9の背面板15を壁面に当接させた状態で、ベース材9の背面板15の前面から固着具挿通孔を挿通して、壁面46にベース材9を固着一体化する。
【0070】
このように固設すれば、既存の壁面46に対して本発明の内装パネルAを設置することができる。例えば、棚や収納箱の間のスペースにある壁面46を利用して取り付けてもいいし、本発明の内装パネルAと、この内装パネルAと面一状に配設できるような本発明の内装パネルAと外観が略同じ内装パネルAと、を壁一面に面一状になるように配設して統一感のある室内外観を呈するように取り付けてもよい。
【0071】
また、上外郭部11の上フランジ部30及び下外郭部10の下フランジ部21の背面側に枠部16の厚みと略同じ厚みのスペーサー部材47を配設し、壁面46の前面とベース材9の背面板15と当接しながら、上フランジ部30及び下フランジ部21の前面から固着具を挿通して、このスペーサー部材47を介して壁面にこの上フランジ部30及び下フランジ部21を固着するように取り付けてもよい(図5参照)。
【0072】
以上のように本発明の内装パネルAを室内に取り付けることで、別途調湿機を置くスペースを確保しなくても、本発明の内装パネルAは、調湿及び脱臭効果を確実に発揮することができるから、室内の省スペース化を図りながら、室内をすっきりとしたシンプルな外観にすることができる。
【0073】
以上、本発明の内装パネルを説明したが、上記実施形態における吸気部1aと排気部2aとをそれぞれ入れ替えてもよい。つまり、第1乃至第3の実施形態において、前面板12の上部に吸気部1aを設けると共に、前面板12の下部に排気部2aを設けるようにしてもよいものとする。
【符号の説明】
【0074】
1 第1の通気開口
1a 吸気部
2 第2の通気開口
2a 排気部
3 内装パネル本体
4 通気路
5 ハニカム材
6 拡散部
7 連通部
8 送風手段
12 前面板
13 排気部カバー
14 吸気部カバー
36 操作部
40 吸気口
41 ルーバー
42 排気口
43 ルーバー
A 内装パネル
B 通気方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に沿って設置される扁平矩形の内装パネルであって、上下方向の上下端部あるいは幅方向の左右端部のいずれかのうち一方の端部に設けられた第1の通気開口と他方の端部に設けられた第2の通気開口とを前面に開口するように設けることで内装パネル本体を構成し、内装パネル本体の内部に第1の通気開口と第2の通気開口とを連通する通気路を設け、該通気路内を通気方向に連通させるようにして調湿又は/及び脱臭するハニカム材を設け、第1の通気開口とハニカム材との間に第1の通気開口から吸気した空気を通気路内の通気方向と略直角な方向に拡散させる拡散部を設け、ハニカム材と第2の通気開口との間に連通部を設け、前記ハニカム材は内装パネル本体の厚み内に収まる扁平な形状で且つ通気方向における内装パネル本体の略全長に亘る長さに形成されて成ることを特徴とする内装パネル。
【請求項2】
前記ハニカム材は、通気路内において通気方向と略直角な方向の略全長に亘って形成されて成る請求項1に記載の内装パネル。
【請求項3】
前記内装パネル本体内の通気路の一部に通気方向に沿うように送風する送風手段を設けて成る請求項1又は請求項2のいずれかに記載の内装パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−180559(P2010−180559A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23122(P2009−23122)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】