説明

円周方向可変表面温度ローラ

【課題】一の領域で改善された濡れ及び転写を提供し、第2領域から材料の均一な剥離を可能にする、十分な温度差を有する少なくとも2つの領域をローラの周辺に設ける。
【解決手段】可変温度表面を有するキャスティングローラは、回転可能な円筒状シェル12を含む。軸方向に整列した加熱電気素子14は、等間隔で、回転可能な円筒状シェルの外面の内側にある。ブラシアセンブリ16は、回転可能な円筒状シェルが軸の周りで回転する間の一部の期間中に加熱素子と電気的に接触する。固定コア26は、回転可能な円筒状シェルの内部にある。環状空間は、固定コアと回転可能な円筒状シェルとの間にある。冷却流体22は、環状空間の少なくとも一部分を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、キャスティングローラに関し、具体的には、半径方向可変表面温度を有するキャスティングローラに関する。
【背景技術】
【0002】
押出成形及びエンボス加工の工程において、溶融材料又はウェブ材料と接触するローラの表面温度は、重要なプロセスパラメータである。典型的なローラ設計は、流体媒体の内部循環により設定される単一のローラバルク温度を提供する。最高温度は、通常、材料をローラ表面から容易に剥離することのできる値に制限される。
【0003】
この問題を解決する1つの試みは、期間満了した先行技術、米国特許第2,526,318号に見ることができ、それは、可変温度の2つの領域を提供する構成を漠然と記載しているが、設計基準又は実行能力の詳細を提供していない。その後の先行技術、米国特許第5,945,042号、第6,260,887号、及び第6,568,931号は、同様に、ローラの周囲の領域に2以上の温度をもたらす方法を記載しているが、設計基準又は実行能力の詳細を提供していない。先行技術米国特許第6,554,755号は、温度差のある局所的領域を提供する能力を有するローラ設計を記載しているが、この方法の唯一の実施形態は、シェルの撓みを補償する手段を作ることである。
【0004】
溶融材料又はウェブのどちらでもその接触点では、材料とローラ表面との間の接触を改善し、ローラ表面の転写を改善するために、より高温の領域が望ましいが、この温度は、通常、ローラ表面から材料を剥離可能にするのには高温すぎる。したがって、ローラ表面の濡れ及びパターン転写を制限する剥離点ではより低い表面温度が要求される。
【特許文献1】米国特許第2,526,318号明細書
【特許文献2】米国特許第5,945,042号明細書
【特許文献3】米国特許第6,260,887号明細書
【特許文献4】米国特許第6,568,931号明細書
【特許文献5】米国特許第6,554,755号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一の領域で改善された濡れ及び転写を提供し、第2領域から材料の均一な剥離を可能にする、十分な温度差を有する少なくとも2つの領域をローラの周辺に設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔に言うと、本発明の一態様によれば、可変温度表面を有するキャスティングローラは、回転可能な円筒状シェルを含む。軸方向に整列した加熱電気素子は、等間隔で、回転可能な円筒状シェルの外面の内側にある。ブラシアセンブリは、回転可能な円筒状シェルが軸の周りで回転する間の一部の期間中に加熱素子と電気的に接触する。固定コアは、回転可能な円筒状シェルの内部にある。環状空間は、固定コアと回転可能な円筒状シェルとの間にある。冷却流体は、環状空間の少なくとも一部分を満たす。
【0007】
本発明は、ローラの直径、シェルの厚さ及び構成材料の影響を調査する有限要素解析に基づいて詳細な設計基準及び予想実行能力を提供する。
【0008】
本発明並びにその目的及び利点は、以下に提示される好適な実施形態の詳細な説明で一層明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、特に、本発明に係る装置の一部を形成する要素、又は本発明に係る装置とより直接的に協働する要素に向けられる。特に図示されず又は記載されていない要素は、当業者に周知の様々な形を取ることができることを理解されたい。
【0010】
実施形態1−流体媒体冷却を伴う電気的に加熱されるシェル
ローラの外側シェル12は、シェルの外面近くに密集した一連の電気加熱素子14を収容するように機械加工される。ローラに取り付けられたブラシアセンブリ16は、所望の加熱帯18のヒーターにのみ電力を供給するために利用される。外側シェル12の内面20は、加熱素子によって加えられた熱を除去し、かつ加工材料から熱を除去し続けるために、流体媒体22にさらされる。流体媒体注入口32は市販の回転継手を用いてローラに取り付けられる。シェルの直径は、所望の加熱滞留時間、最終冷却温度、ライン速度及び構成材料に基づいている。冷却領域24は、図1及び図10に示した外側シェル12及びキャスト材料86から熱を除去する。流体媒体22は内面20の下の環状領域内を循環する。
【0011】
実施形態2−異なる温度の熱流体媒体によって作り出される2つの表面温度帯を有するローラ
図2を参照すると、外側シェル46はカーボン軸受54上で固定内側シェル(固定子)40の周りを回転する。カーボンシール52が流体の漏洩を防止するように軸受に隣接して設けられている。固定子は少なくとも2つの別々の流路42と一体となって機械加工される。固定子40と外側シェル46との間の密嵌バッフル44は、流体流間の境界を形成する。高温流体47は固定子40の一部分を通って循環する。それがこの領域を通過するときに外側シェル46と接触して、該シェルを所望のプロセス温度に加熱する。第2領域は、低温流体49を循環させることによって、より低い温度に維持される。固定子40は、高温帯と低温帯との間の接触点を最小化するように設計される。
【0012】
実施形態3−内部支持体及び2つの異なる温度領域を有する肉薄シェルローラ
この実施形態は、内側シェルが固定され、外側シェルが内側シェルの周りで回転し、かつ2つの温度帯が熱媒体の循環によって形成されるという点で、上記の実施形態と同様である。この実施形態は、一連の旋回荷重シュー72によって内部支持される肉薄外側シェル70を利用する。荷重シュー72は、外側シェル70に与える力を変化させ、熱的及び機械的荷重による外側シェルの変形を補償するために、独立に調整可能である。熱媒体は、シューを含む領域内を循環し、高温領域及び冷却領域を形成するために、第1軸方向バッフル74及び第2軸方向バッフル76によって2つの地点で阻流される。この伝熱媒体は、また、シューとシェルの内面との間の流体力学的潤滑剤としても役立つ可能性がある。
【0013】
肉薄外側シェル70は、より迅速に加熱及び冷却することが可能な、より熱に応答するシステムを提供するので、この用途では有利である。これはまた、同等のライン速度に対するより小さい直径として実現することができる。より小さい直径は、パターン化表面を形成するためのより少ない労力及び所与の負荷に対するニップのより高い接触応力につながる。
【0014】
図3A、図3B及び図10を参照すると、ローラは少なくとも3つの主要領域からなる。この説明において、外側シェル70はこれらの領域に対して反時計方向に回転する。冷却領域41は、シェルの内面25に曝露される一連の流路42を形成する。高温流体2の供給路60は熱を除去するためにシェルの内面に突き当たる。高温流体2の戻り路は流路42から流体を集めて、その流れをローラから外へ向かわせる。密嵌バッフル44は、冷却領域と荷重シュー領域45との間で流体の分離をもたらすために、冷却領域41の入口に配置される。第1軸方向バッフル74は、冷却領域41と再加熱領域43との間で流体を分離させるために、冷却領域41の出口に配置される。冷却領域41と同様に、再加熱領域43は、高温流体1の供給路56がシェルの内面に流体を衝突させ、高温流体1の戻り路58を介して流体を除去する、流れ分布領域である。第2軸方向バッフル76は、この領域を荷重シュー領域45から分離するために、この領域の出口に取り付けられる。この領域の目的は、ニップ点35に入る前にシェルの温度を上昇させることである。
【0015】
荷重シュー領域45は、荷重シュー72のそれぞれを収容するために、長さに沿ってポケット29を形成するように機械加工された軸方向部材からなる。各荷重シューに加えられる力は、シューローディング機構78の手段によって独立に調整可能である。手動制御式ウォームねじ調整機構が示されているが、この実施に限定されない。高温流体3の供給路48は、この地点で流体力学的潤滑剤に相当する流体の連続供給を維持するために、荷重シュー72とシェル界面との間の入口に配置される。高温流体3の戻り路50は、ローラから除去するための過剰流体を収集する。これらの領域のそれぞれは、固定内側シェル40の周辺に配設され、熱膨張差に適応するように中心点において拘束される。固定内側シェル40は、両端部が支持ブラケット80を介して機械構造物に強固に取り付けられる。外側シェル70は、各端部に取り付けられた軸受28を介して固定内側シェル40の周りで回転するように拘束される。シール30は、内側流動室からの流体の漏洩を防止するために、軸受28に隣接している。駆動スプロケット82は、ニップ力及び内部摩擦力に打ち勝つようにシェルを回転させるために使用することができる。
【0016】
これらの実施形態のそれぞれは、処理されるキャスト材料の物理的特性、所望のプロセス条件、ローラの物理的特性及び所望の製造速度に基づく無次元パラメータの観点から説明することができる。熱伝達の教科書は、同様の方法を用いて過渡熱伝達を説明するが、2以上の熱伝達プロセスを前提として、キャスト材料及びローラ設計基準の組み合わせを考慮する設計の直接的方法については教示していない。
【0017】
無次元温度比θは、次のパラメータ、すなわち伝熱媒体のバルク温度として記載されるTinfinity、特定のプロセス関数に応じたローラシェル又はキャスト材料の初期温度として定義されるTinitial、及び所与のプロセス作業の終了時の所望の温度として定義されるTendに基づいて成立させることができる。この比の値は、小さい方が所望のプロセス目標を達成する効率が高いことを示す。
【0018】
【数1】

【0019】
別の無次元パラメータは、公開文献で一般にτと称される無次元時間を成立させることができる。このパラメータは、材料の熱拡散率及び厚さを利用することによって、時間の次元を正規化することができる。
【0020】
【数2】

【0021】
図4は、無次元温度比θが縦座標にプロットされ、無次元時間が横座標にプロットされた図表を示す。曲線群は、下の式に示されるように、指数形式である。
【0022】
【数3】

【0023】
この式に示された係数は、様々なプロセスシミュレーションの有限要素結果に当てはめられ、キャスト材料の物理的特性、ローラの形状及びローラの物理的特性に関連付けられる。近似曲線の添字はclで終わる。曲線の添字al、steel、ag及びcuは、シェル構成材料、すなわちアルミニウム、鋼、銀及び銅をそれぞれ示す。さらに、0625及び125という添字の数値は、16分の1インチ(0.00158m)及び8分の1インチ(0.0031m)というシェルの厚さ値をそれぞれ示す。計算は、350Btu/(hrft2*°F)(1990ワット/(m2*℃))の伝熱係数h、及び0.005ft/hr(0.00000013m/s)の熱拡散率を有する市販のプラスチック材料の冷却に基づく。
【0024】
ローラの設計は、特定の要件設定に関してこれらの式から決定することができる。各帯の温度、伝熱媒体の温度及び溶融材料の温度に基づいて無次元温度比を定義すると、図4の図表を使用して、所与の作業条件及びローラの形状に対するプロセス効率を決定することができ、又は選択されたプロセス効率に対して、所与のローラ直径、シェルの厚さ及び構成材料の場合の作業速度を決定することができる。図5は、有限要素計算の結果得られるシェル再加熱のための無次元時間τに対する無次元温度比θをプロットする図表を示す。添字は図4に対して示したものと同じ凡例に従う。計算は、350Btu/(hrft2*゜F)(1990ワット/(m2*℃))の内部伝熱係数h、及び3Btu/(hrft2*゜F)(17.03ワット/(m2*℃))の外部伝熱係数に基づく。
【0025】
ここで、図10を参照すると、軸方向応従性加圧ローラが一般的に符号10で示される。軸方向応従性加圧ローラ10は一般的に固定内部コア26及び固定内部コア26に取り付けられた複数の荷重シュー72から構成される。一連の非磁性仕切り板が複数の環状室を形成し、荷重シュー72のそれぞれが環状室の1つを占有する。
【0026】
図3A、図3B及び図3Cを参照すると、偏心して取り付けられた荷重シュー72が図示されている。回転軸15及びシュー調整ピン17が荷重シュー72に取り付けられる。非磁性金属材料が荷重シュー72の構成に使用されるが、本発明はこの実施形態に限定されない。荷重シュー72の曲面33は、薄壁外側シェル70の内面の曲率より少し小さい曲率を有する。これは、これらの構成要素間の界面に集束断面を形成する。
【0027】
図10において、軸方向応従性加圧ローラ10は、軸方向応従性加圧ローラ10の主支持構造である、回転しない固定コア26を含む。非磁性金属材料が固定コア26の構成に使用されるが、本発明はこの実施形態に限定されない。固定コア26は、軸穴27が設けられた円筒形の形状を有する。これらの穴の少なくとも1つは、磁界発生器37を収容するために使用される。好ましい実施形態において、1つの磁界発生器37は、複数の荷重シュー72のそれぞれに関連付けられる。これは、壁の薄い外側シェル70への局部調整を可能にする。代替的実施形態において、磁界発生器37は、図3Cに示したように複数の荷重シュー72のそれぞれに配置することができる。
【0028】
軸穴27は、コア内での伝熱媒体の循環のために使用される。荷重シュー72の支持体として役立つように、半径方向に一連のポケット29が形成される。固定コア26の台座は、軸受28及び流体シール30の装着を可能にする。
【0029】
動作中に、荷重シューに対する薄壁シェルの相対速度によって生じる剪断応力を受ける粘性流体の流体力学的影響は、粘性流体の集束領域11内に圧力プロファイルを生み出す。この圧力は、シェルの薄壁シェル湾曲内面25及びシュー33の曲面に作用する。シューに作用する圧力は、結果的に、圧力中心で曲率に垂直な力をもたらす。この力は、荷重シュー72に作用するばね予圧力によって対抗される。回転する薄壁外側シェル70に作用する圧力は、シェルに対する内力を生じる。内部流体力学的作用及び外部ニップ力からシェルに対して働く力の正味差は、結果的にこの領域の薄壁シェルに局部的変形をもたらす。
【0030】
シェルの構造設計はビーム屈曲基準又はシェル破砕基準に支配されないので、この実施形態では、小径の薄壁シェルが可能である。外部ニップ力を受けるシェルの表面は、磁気流動性流体(図示せず)及び荷重シュー72の相互作用によって生じる圧力によって直接内部支持されるので、シェルの壁の厚さを著しく薄くすることができる。
【0031】
薄壁外側シェル70は、固定コア26の周りで回転するように、軸受28によって拘束される。シェルの回転は、図10に示したニップ点35における摩擦力によって、又は駆動スプロケット82によって示される外部駆動機構によって、伝えることができる。シェルの湾曲した内面25に沿って、所与の集束界面、相対速度及び流体粘性に対し、均一な圧力が生じる。流体の速度を変化させることによって、環状室を荷重シュー72、磁気レオロジー流体及び軸方向可変磁界発生器37とともに、可変流体力学的圧力にさらすことができる。薄壁シェルに沿って軸方向可変圧力を働かせる能力は、結果的に小規模の局部的変形変化を他の先行技術よりずっと高い頻度で引き起こす。
【0032】
図8は、ニップ点におけるローラ表面の半径方向プロファイルに対するこの装置の可変内部圧力能力の影響をモデル化するために使用した有限要素計算の結果を示す。シェルの寸法は、次の量、すなわち約1800lb−in(203ニュートンm)の曲げ剛性及び0.025のシェルの厚さ対直径比の観点から表わすことができる。曲げ剛性は、材料の弾性率とシェルの厚さの3乗の積を、生産量の定数値12と差の量の1とポアソン比の2乗の積で除算した量と定義される。回転軸と平行な局部的領域に沿って薄壁外側シェル24に掛かる250psi(1.724MPa)の平均ニップ圧は、この計算に使用される。変数(UX)は、加えられるニップ圧領域に対して垂直でもあるx方向の半径方向変位である。大きい正値ほど、ローラシェルの中心方向への変位が大きいことを示す。
【0033】
菱形の印付き曲線は、内部支持が無い場合にニップ荷重の下で予想されるシェル変形を表わす。三角形の印付き曲線は、50psi(0.344MPa)の平均圧力でシェルの中心で働く荷重シュー72の曲面に相当する領域に局部的圧力を加えた影響を表わす。矩形の印付き曲線は、シェルの内面に沿って15psiから20psi(0.103MPaから0.137MPa)の範囲の勾配圧力プロファイルを加えることによって得られた半径方向変形への正の影響を表わす。流体力学的基本原理を利用して、250l/sの平均剪断速度で外側シェルとシューの曲面との間で剪断される約10Pa−sの粘度の流体を前提として、約30psi(0.206MPa)の圧力をこの領域に生じさせることができることが算出された。
【0034】
図10は、押出しキャストウェブ形成で利用される典型的な2つのローラニップの断面図を示す。軸方向応従性加圧ローラ10は、溶融樹脂86及び第2ローラ84の界面にぶつかって半径方向に荷重される。結果として生じるシェル表面変形は、レーザ三角測量ゲージ又は渦流装置などの非接触変形検出器88を利用して、測定することができる。この測定データは、変形信号90を磁界発生器37の1以上の強度を変化させるマイクロプロセッサ92に送信することによって、ローラの軸に沿った内部荷重状態を制御するために利用することができる。
【0035】
前述の磁気レオロジー流体に加えて、この装置は、磁気レオロジー特性を持たないが、非ニュートン特性(流体の粘度が与えられる剪断速度に依存する)を示す他の流体を受け入れることができる。局部的圧力変動は、外側シェルとシューの曲面との間の間隙の調整によって生成することができる。この間隙における平均剪断速度は、シェルの表面速度を間隙の高さで割ったものに比例する。非ニュートン流体は、粘度と剪断速度との間に対数関係を示す。間隙の外部操作を所望の剪断感受性を有する流体と組み合わせることにより、各室内で局部的圧力差を生成する追加の手段がもたらされる。
【0036】
本発明の重要な利点は、溶融材料とパターン化ローラ表面との接触点における表面温度が高いため、より低いニップ圧でパターンを転写する能力である。この一実施例を計算流体力学ソフトウェア、Polyflowでモデル化し、そこで樹脂材料、ポリカーボネートを圧力境界条件にさらし、微細なパターン化形状内への材料の流入を調べた。図6は、樹脂材料及びパターン化形状の2次元表現を示す。図7は、成形表面温度が上昇するにつれてパターン転写が改善することを示す。所与の温度で、著しく低い圧力を加えて同水準の転写を得ることができる。パターン化表面温度が10%上昇すると、結果的に、同等の転写効率で、加える圧力を67.5%低下させることができる。
【0037】
一実施例において、機械的応力及び熱変形に関する円周方向可変加熱の影響を究明するために、アルミニウム製の、0.125インチの壁厚を有する、直径6インチ×20 の面のシェルで有限要素解析を実行した。図9は算出したシェル変形のプロットを示す。下の曲線は、最高温度点における外側シェル表面の均等分布圧力の結果的影響を示す。上の曲線は、表面変形を最小化するように調整された内部補正圧力を加えた場合の結果的影響を示す。より大きい正値は、シェルの中心からより大きく変形することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るキャスティングローラの断面図である。
【図2】本発明に係るキャスティングローラの別の実施形態の部分断面斜視図である。
【図3A】本発明に係るキャスティングローラのさらに別の実施形態の断面図である。
【図3B】図3Aに示した実施形態の部分断面斜視図である。
【図3C】図3Aに示した実施形態のシェル及び支持シューの拡大断面図である。
【図4】本発明に係る様々なローラ設計構成の算出された冷却効率を示す図表である。
【図5】本発明に係る様々なローラ設計構成の算出された再加熱効率を示す図表である。
【図6】ローラの表面のパターンの断面図である。
【図7】パターン転写を示す温度対圧力の図表である。
【図8】最高温度時の算出されたシェル変形を示す図表である。
【図9】ニップ圧力を受けるとともに内部圧力勾配によって支持されるシェルに関する算出されたシェル変形を示す図表である。
【図10】第2ローラとともにニップを形成する軸方向応従性加圧ローラの断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 軸方向応従性加圧ローラ
11 粘性流体の集束領域
12 外側シェル
14 加熱素子
15 軸
16 ブラシアセンブリ
17 調整ピン
18 加熱帯
20 内面
22 流体媒体
24 冷却領域
25 シェルの内面
26 固定コア
27 軸穴
28 軸受
29 ポケット
30 シール
32 流体媒体の入口
33 シューの曲面
35 ニップ点
37 磁界発生器
40 固定内側シェル(固定子)
41 冷却領域
42 流路
43 再加熱領域
44 密嵌バッフル
45 荷重シュー領域
46 外側シェル
47 高温流体
48 高温流体3供給路
49 低温流体
50 高温流体3戻り路
52 カーボンシール
54 カーボン軸受
56 高温流体1供給路
58 高温流体1戻り路
60 高温流体2供給路
62 高温流体2戻り路
70 外側シェル
72 荷重シュー
74 第1軸方向バッフル
76 第2軸方向バッフル
78 シュー荷重機構
80 支持ブラケット
82 駆動スプロケット
84 第2ローラ
86 ニップに流入する材料
88 変形検出器
90 変形信号
92 マイクロプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変温度表面を有するキャスティングローラであって、
回転可能な円筒状シェルと、
前記回転可能な円筒状シェルの外面の内側に、等間隔で、軸方向に整列した加熱電気素子と、
前記回転可能な円筒状シェルが軸の周りで回転する間の一部の期間中に、前記加熱素子と電気的に接触するブラシアセンブリと、
前記回転可能な円筒状シェル内部の固定コアと、
前記固定コアと前記回転可能な円筒状シェルとの間の環状空間と、
前記環状空間の少なくとも一部分を満たす冷却流体と
を含む、キャスティングローラ。
【請求項2】
バッフルが前記環状空間の一部分に前記冷却流体を閉じ込める、請求項1記載のキャスティングローラ。
【請求項3】
前記冷却流体が60℃から350℃(140°Fから662°F)の動作温度範囲を有する有機合成媒体からなる群から選択される、請求項1記載のキャスティングローラ。
【請求項4】
前記流体の粘度が8.2センチポアズから0.26センチポアズまで変動する、請求項3記載のキャスティングローラ。
【請求項5】
前記媒体の比熱が60℃時の1.62kJ/kgKから360℃時の2.82kJ/kgKまで変動する、請求項3記載のキャスティングローラ。
【請求項6】
熱伝導率が60℃時の0.125W/mKから360℃時の0.086W/mKまで変動する、請求項3記載のキャスティングローラ。
【請求項7】
前記媒体の密度が60℃時の1016kg/mから306℃時の801kg/mまで変動する、請求項3記載のキャスティングローラ。
【請求項8】
前記加熱素子がカートリッジヒーターである、請求項1記載のキャスティングローラ。
【請求項9】
前記ヒーターが直径0.25インチであり、約60W/inの熱流束出力を有する、請求項8記載のキャスティングローラ。
【請求項10】
可変表面温度を有するキャスティングローラであって、
回転可能な円筒状シェルと、
前記回転可能な円筒状シェル内部の固定コアと、
前記固定コアと前記回転可能な円筒状シェルとの間の環状空間と、
前記環状空間に第1及び第2領域を形成するバッフルと、
前記第1環状空間を循環する第1温度の第1流体と、
前記第2環状空間を循環する第2温度の第2流体と
を含む、キャスティングローラ。
【請求項11】
前記第1流体が冷却流体であり、60℃から350℃(140°Fから662°F)の動作温度範囲を有する有機合成流体からなる群から選択される、請求項10記載のキャスティングローラ。
【請求項12】
前記流体の粘度が8.2センチポアズから0.26センチポアズまで変動する、請求項11記載のキャスティングローラ。
【請求項13】
前記流体の比熱が60℃時の1.62kJ/kgKから360℃時の2.82kJ/kgKまで変動する、請求項11記載のキャスティングローラ。
【請求項14】
前記流体の熱伝導率が60℃時の0.125W/mKから360℃時の0.086W/mKまで変動する、請求項11記載のキャスティングローラ。
【請求項15】
前記流体の密度が60℃時の1016kg/mから360℃時の801kg/mまで変動する、請求項11記載のキャスティングローラ。
【請求項16】
前記第1環状空間が一度に前記シェルの外周の3分の1に及ぶ、請求項10記載のキャスティングローラ。
【請求項17】
前記第2環状空間が一度に前記シェルの外周の3分の2に及ぶ、請求項10記載のキャスティングローラ。
【請求項18】
前記回転可能な円筒状シェルが肉薄であり、シューがニップ位置で前記回転可能な円筒状シェルを支持する、請求項10記載のキャスティングローラ。
【請求項19】
材料のウェブをキャストする方法であって、
前記ウェブを前記ローラの加熱帯内に接触させ、
前記ウェブをキャスト温度に上昇させ、
前記ウェブに圧痕を形成し、
前記ウェブを前記ローラの冷却帯の少なくとも一部分を介して前記ローラと接触した状態に維持し、
前記ウェブが冷却された後に前記ウェブを前記ローラから剥離させる
ことを含む方法。
【請求項20】
前記ローラの表面温度がウェブのガラス転移温度より摂氏30度から摂氏60度高い温度に上昇させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記ローラの表面温度がウェブのガラス転移温度より摂氏3度から摂氏5度低い温度に低下させる、請求項19記載の方法。
【請求項22】
可変表面温度を有するキャスティングローラであって、
回転可能な円筒状シェルと、
前記回転可能な円筒状シェル内部の固定コアと、
前記固定コアと前記回転可能な円筒状シェルとの間の環状空間と、
前記環状空間に第1及び第2領域を形成するバッフルと、
前記第1環状空間を循環する第1温度の第1流体と、
前記第2環状空間を循環する第2温度の第2流体とを含み、
前記回転可能な円筒状シェルが肉薄であり、
ニップ位置で前記回転可能な円筒状シェルを支持するシューを含む、キャスティングローラ。
【請求項23】
前記シューを包囲する前記バッファによって第3領域が形成され、
第3温度の第3流体が前記第3領域にある、請求項22記載のキャスティングローラ。
【請求項24】
前記第3流体が前記シューを潤滑化する、請求項23記載のキャスティングローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−509102(P2009−509102A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531152(P2008−531152)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/033970
【国際公開番号】WO2007/037904
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(307010188)ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス (51)
【Fターム(参考)】