説明

円環状部材の撮影装置、及び、タイヤサイド部の撮影方法とその装置

【課題】タイヤなどの撮影される円環状部材の厚さが変化した場合でも、一定の明るさで円環状部材を撮影できるようにする。
【解決手段】ローラーコンベヤ40により搬送されるタイヤ30のタイヤサイド部31にライン照明12により撮影光を照射しタイヤ30の裏面側からバックライト13を照射しながら、ラインカメラ11を用いてタイヤサイド部31を撮影する際に、ラインカメラ11とライン照明12とを取付部材14に一体に取付け、バックライト13をラインカメラ11の撮影軸の延長方向に設置するとともに、搬送されるタイヤ30のタイヤ幅が変更になった時には、撮影するタイヤ30のタイヤ幅に応じて取付部材14をラインカメラ11の撮影軸に沿って昇降させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、タイヤのサイド部に設けられたタイヤマークの検査等に用いられる円環状部材を撮影する方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤのサイド部には、ユニフォミティの測定結果を示すユニフォミティマークや最軽量点を示すバランスマークなどのタイヤマークが付けられている。
タイヤマークを読み取る方法としては、例えば、図3(a),(b)に示すように、ローラーコンベヤ40の上方にカメラと照明とを一体に構成した撮影装置51を設置してローラーコンベヤ40のローラー41上に載置されたタイヤ30全体の画像を撮影し、この撮影された画像を画像処理装置52で画像処理してタイヤ30の直径Dとマーク30Mの位置座標とタイヤ30の中心Gの座標とを求めるとともに、タイヤ30の中心Gを通りローラーコンベヤ40の搬送方向に直交する直線Lと中心Gとマーク30Mの位置とを結ぶ直線L’との成す角度αを求めた後、マーク30Mが搬送方向に直交する方向にくるようにタイヤ30を角度αだけ回転させ、しかる後に、マーク30Mを図示しない読み取り手段で読み取ることで、マーク30Mの読み取り精度を向上させる方法が行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このとき、ローラーコンベヤ40の下側にタイヤ30の色とは異なる色の光を照射するバックライトを設置してこれを背景光とすれば、タイヤ30の形状を背景と区別しやすくなるので、タイヤ30の直径Dやタイヤ30の中心座標を精度よく求めることができる。
また、タイヤを搬送しながらタイヤ全体の画像を撮影する方法としては、照明をタイヤの搬送方向に直交する方向に延長するライン照明とするとともに、カメラとしてラインカメラを使用する方法が行われている(例えば、特許文献2参照)。なお、この特許文献2では、ラベルが貼付された側を下側にしてタイヤを搬送する形態で、カメラと照明とはローラーコンベヤの下側に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−300222号公報
【特許文献2】特開2002−307916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送されるタイヤのタイヤ幅が変わった場合にはタイヤ高さ(ローラーからタイヤのカメラ側の面までの距離)が変わることから、焦点深度及び撮影範囲を同じにするため、カメラをタイヤ高さに応じて昇降させて撮影範囲を調整していた。
しかしながら、照明については固定されていたため、撮影された画像の明るさがタイヤ幅によって異なってしまうといった問題点があった。
例えば、図4(a),(b)に示すように、カメラ61をスライド機構64のガイド部材64aに取付けてガイド部材64aをガイドレール64bに沿ってスライドさせることで、カメラ61を、ローラーコンベヤ40に対して、カメラ61の撮影軸方向に沿って上昇させた場合には、バックライト63に対する撮影軸の方向は変わらないが、照明軸の方向(照明62を直線光と仮定した場合の照射光の方向)とがずれてしまうため、撮影された画像の明るさが低下してしまう。そこで、照明62の向きについても変更することが考えられるが、カメラ61の昇降と照明62の向きとを別個に制御する必要があるので、制御が複雑になってしまう。
一方、図5(a),(b)に示すように、ガイドレール64bの方向を鉛直方向とし、カメラ61をタイヤ30の軸方向に昇降させた場合には、カメラ61の撮影軸の方向と照明62の照明軸の方向は変わらないが、バックライト63の位置が撮影軸方向からずれてしまうため、バックライト63の光がローラー41に当たってしまい背景光の強度が低下する。この場合には、ローラー41を1本抜いたり、撮影する箇所のローラー41の間隔を広くすることなどが考えられるが、タイヤ30の搬送が不安定になるので、現実的ではない。
【0006】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、タイヤなどの撮影される円環状部材の厚さが変化した場合でも、一定の明るさで円環状部材を撮影できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載の発明は、軸方向に垂直に載置された円環状部材を撮影する撮影手段と、前記円環状部材に対して前記撮影手段と同じ側に配置されて前記円環状部材に撮影光を照射する照明手段と、前記円環状部材に対して前記撮影手段と反対側に配置されて前記円環状部材に背景光を照射するバックライトとを備えた円環状部材の撮影装置であって、前記撮影手段と前記照明手段とが取付けられる取付部材と、前記取付部材を昇降させる昇降手段とを備え、前記撮影手段は前記円環状部材の厚さ方向と垂直な面と交差する方向から前記円環状部材を撮影し、前記バックライトは、前記撮影手段の撮影軸の延長方向に配置され、前記昇降手段は、前記円環状部材の厚さに応じて、前記取付部材を前記撮影手段の撮影軸と平行な方向に昇降させることを特徴とする。
これにより、円環状部材の厚さが変化しても一定の明るさで円環状部材を撮影できるので、円環状部材の厚さによらず、鮮明な画像を得ることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の円環状部材の撮影装置であって、前記撮影手段の撮影軸と前記円環状部材の厚さ方向との成す角度と前記照明手段の照明軸と前記円環状部材の厚さ方向との成す角度とが異なっていることを特徴とする。
このように、撮影軸とは異なる方向から照明を与えることで、照明手段を撮影手段よりも円環状部材側に設置した場合でも、反射光を撮影手段に入射させることができるので、円環状部材の撮影を確実に行うことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、タイヤのタイヤサイド部にラインビームを照射するライン照明と前記タイヤの前記ラインビームが照射される面の裏面側から背景光を照射するバックライトと前記タイヤサイド部を撮影するラインカメラとを備えた撮影手段と、前記タイヤを前記撮影手段に対して相対的に移動させる移動手段とを備えたタイヤサイド部の撮影装置であって、前記ラインカメラが取付けられる取付部材と、前記取付部材を昇降させる昇降手段とを備え、前記ラインカメラは前記タイヤの軸方向と垂直な面と交差する方向から前記タイヤサイド部を撮影し、前記ライン照明は前記ラインカメラの光軸方向と交差する方向からラインビームを前記タイヤサイド部に照射し、前記バックライトは前記ラインカメラの光軸方向の延長方向に配置され、前記昇降手段は、前記タイヤのタイヤ幅に応じて、前記取付部材を前記ラインカメラの光軸方向に平行な方向に昇降させることを特徴とする。
これにより、搬送されるタイヤのタイヤ幅が変わっても同じ照明条件でタイヤサイド部を撮影することができるので、搬送されるタイヤのタイヤ幅によらず、タイヤサイド部の鮮明な画像を撮影することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、コンベヤにより搬送されるタイヤのタイヤサイド部に撮影光を照射し、前記タイヤの前記撮影光が照射される面の裏面側から背景光を照射しながら前記タイヤサイド部を撮影するタイヤサイド部の撮影方法において、前記タイヤのタイヤ軸方向の長さであるタイヤの高さが変化したときに、前記タイヤサイド部を撮影する撮影手段を、前記タイヤの高さに応じて、当該撮影手段の撮影軸と前記背景光の入射方向とを一致させながら昇降させるとともに、前記撮影光を出射する照明手段を、前記照明手段の照明軸と前記タイヤとの交点が前記撮影手段の撮影軸と前記タイヤとの交点と一致するように昇降させた後、前記タイヤサイド部を撮影することを特徴とする。
これにより、タイヤの厚さによらず、タイヤサイド部の鮮明な画像を撮影することができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のタイヤサイド部の撮影方法において、前記撮影手段と前記照明手段とを、前記撮影軸に沿った前記撮影手段とタイヤ表面との距離と、前記照明軸に沿った前記照明手段とタイヤ表面との距離との和を一定に保持しながら昇降させることを特徴とする。
これにより、照明の強度を一定にできるので、タイヤサイド部の画像を安定して撮影することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載のタイヤサイド部の撮影方法において、前記撮影光を、前記撮影手段の撮影軸と交差する方向から照射することを特徴とする。
これにより、照明手段をタイヤ側に設置した場合でも、タイヤサイド部の撮影を確実に行うことができる。
【0012】
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係わるタイヤサイド部の撮影装置の概要を示す図である。
【図2】本実施の形態に係わるタイヤサイド部の撮影装置の動作を説明するための図である。
【図3】従来のタイヤサイド部の撮影装置の概要を示す図である。
【図4】従来のタイヤサイド部の撮影装置の動作を説明するための図である。
【図5】従来のタイヤサイド部の撮影装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また、実施の形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1(a),(b)は、本実施の形態に係わるタイヤサイド部の撮影装置(以下、撮影装置という)10の概要を示す図で、(a)図は正面図、(b)図は側面図である。
撮影装置10は、撮影手段としてのラインカメラ11と、照明手段としてのライン照明12と、バックライト13と、ラインカメラ11とライン照明12とを取付ける取付部材14と、取付部材14を昇降することでラインカメラ11とライン照明12とを一体に昇降させる昇降手段15と、昇降手段15を制御する制御手段16とを備え、撮影するタイヤ30を搬送するローラーコンベヤ40の近傍に設けられた架台20に取付けられる。
ローラーコンベヤ40が、撮影対象物であるタイヤ30を撮影装置10に対して相対的に移動させる移動手段を構成する。
ここで、タイヤの搬送方向下流側を前方とし、タイヤ30のローラー41側とは反対側を上側としたとき、架台20は、ローラーコンベヤ40の幅方向外側にそれぞれ立設された左,右の垂直フレーム21L,21Rと、これら垂直フレーム21L,21Rの上端部とローラー41の下側とをそれぞれ橋絡するように設けられた上部水平フレーム22と下部水平フレーム23とを備える。上部水平フレーム22には取付部材14と昇降手段15とが搭載され、下部水平フレーム23にはバックライト13が搭載される。
【0016】
取付部材14は傾斜台141と、カメラ取付台142と、照明取付アーム143とを備え、昇降手段15はガイド部材151と、ガイドレール152と、駆動機構153とを備える。本例では、駆動機構153としてリニアアクチュエータを用いているが、シリンダー装置、ラックピニオン機構などの他のスライド用駆動機構を用いてもよい。
傾斜台141は、水平フレーム22の前面側に取付けられる厚さが下側に行くに従って薄くなる板状の部材で、水平フレーム22に取付けられる側の板面Pが平面で、反対側の板面Qが傾斜面となる。
カメラ取付台142はラインカメラ11を保持する板状の部材で、このカメラ取付台142の傾斜台141側にはガイド部材151が取付けられ、下面側には照明取付アーム143が取付けられる。
ガイドレール152はレールの延長方向が傾斜台141の傾斜面Qに沿った方向になるように傾斜台141に取付けられ、ガイド部材151はガイドレール152に、ガイドレール152に沿ってスライド可能に取付けられる。
なお、カメラ取付台142とガイド部材151とを一体に構成してもよい。
【0017】
ラインカメラ11は、レンズ開口部がガイドレール152の下方側に位置し、かつ、CCDの配列方向がローラーコンベヤ40の幅方向に平行な方向、すなわち、搬送されるタイヤ30の進行方向と直交する方向になるように、カメラ取付台142に取付けられる。
ライン照明12は、ローラーコンベヤ40の幅方向に平行な方向に延長する蛍光灯などの棒状の光源で、カメラ取付台142の下側側面(ガイドレール152の延長方向に垂直な面のうちの下側の面)に、照明取付アーム143を介して取付けられる。照明取付アーム143は、カメラ取付台142の下側側面からガイドレール152の下方側の延長する垂直片14pと、この垂直片14pの下端側から左右に分岐する分岐片14q,14qと、分岐片14q,14qの他端側に取付けられた水平板状の照明保持部材14rとを備え、この照明保持部材14r上にライン照明12が搭載される。
バックライト13は、ローラーコンベヤ40のローラー41の下方に設置された下部水平フレーム23に搭載されて、背景光を搬送されるタイヤ30の下側から照射する。バックライト13もライン照明12と同様に、ローラーコンベヤ40の幅方向に平行な方向に延長する蛍光灯などの棒状の光源である。
【0018】
また、撮影手段としてのラインカメラ11と照明手段としてのライン照明12とが取付けられる取付部材14と、この取付部材14を昇降させる昇降手段15との関係は以下の通りである。
昇降手段15を構成するガイドレール152のガイド部材151上部側の端部にはリニアアクチュエータのモーター15Mの回転に伴って伸縮するスライド軸15jの他端側が固定されている。一方、ガイド部材151にはカメラ取付台142が取付けられ、このカメラ取付台142にラインカメラ11が、カメラ取付台142に取付けられた照明取付アーム143にライン照明12が搭載される。これにより、モーター15Mを駆動してガイド部材151をガイドレール152上で往復運動させることにより、ラインカメラ11とライン照明12とを一体に昇降させることができる。
制御手段16は、図示しないタイヤ認識装置から送られてきた搬送されるタイヤ30のタイヤ幅のデータを記憶するとともに、このタイヤ幅に基づいて昇降手段15を制御し、ラインカメラ11とライン照明12とをタイヤ幅に応じて昇降させる。タイヤ認識装置としては、搬送されるタイヤ30のローラー41からの高さを計測する装置や、タイヤ30のタイヤサイド部31に貼着されたタイヤ幅などのデータが書き込まれたバーコードを読み取る装置や、タイヤサイズを認識する装置などを用いることができる。
【0019】
ここで、ラインカメラ11とライン照明12とバックライト13との位置関係について説明する。
ラインカメラ11は傾斜台141の傾斜面Qに取付けられているので、その撮影軸方向は、図1(b)に示すように、タイヤの軸方向と所定角度(4〜12°)ずれた方向からタイヤ30のサイド部を撮影する。
ライン照明12は、ラインカメラ11の撮影軸とタイヤ30表面との交点に撮影光を照射するので、ライン照明12の照明軸はラインカメラ11の撮影軸に対して数度程度傾いている(実際は、タイヤ30表面のライン照明12の当たる箇所にラインカメラ11の撮影軸を向ける)。
バックライト13はラインカメラ11の撮影軸の延長方向に配置される。
【0020】
次に、本発明による撮影装置10を用いてタイヤ30のタイヤサイド部31を撮影する方法について説明する。
まず、図示しないタイヤ認識装置から送られてきたタイヤ幅W1が、制御手段16に記憶されているタイヤ幅W0よりも小さい場合には、制御手段16はタイヤ幅のデータをW0からW1に書き換えるとともに、図2(a)に示すように、昇降手段15を制御してラインカメラ11とライン照明12とをタイヤ幅W1に応じて下降させる。具体的には、駆動機構153のモーター15Mを駆動してスライド軸15jを伸長させることにより、ガイド部材151をガイドレール152に沿って下降させることで、カメラ取付台142を下降させる。下降幅はタイヤ幅差Δ1=W0−W1とラインカメラ11の撮影軸の傾きとを用いて算出する。
これにより、カメラ取付台142に取付けられたラインカメラ11は撮影軸に沿って下降するとともに、このカメラ取付台142と一体に移動する照明取付アーム143に取付けられたライン照明12も照明軸と撮影軸とのなす角度を維持しながら下降する。下降後は、照明軸とタイヤサイド部31表面との交点と、撮影軸とタイヤサイド部31表面との交点とが一致する。また、撮影軸に沿ったラインカメラ11とタイヤサイド部31表面との距離と、照明軸に沿ったライン照明12とタイヤサイド部31表面との距離との和もタイヤ幅W0の場合と変わらないので、タイヤ幅W0の場合と同じ照明条件でタイヤサイド部31を撮影することができる。
なお、バックライト13とラインカメラ11との距離は小さくなるので、背景光の強度は多少高くなるが、バックライト13はラインカメラ11の撮影軸の延長方向に配置されているので、バックライト13からの背景光がローラー41に妨げられることはない。したがって、タイヤサイド部31の鮮明な画像を得ることができる。
【0021】
また、タイヤ幅W2が、制御手段16に記憶されているタイヤ幅W0の値よりも大きな場合には、図2(b)に示すように、制御手段16は昇降手段15を制御してラインカメラ11とライン照明12とをタイヤ幅W2に応じて上昇させてからタイヤサイド部31の画像を撮影すればよい。この場合、駆動機構153のモーター15Mを駆動してスライド軸15jを縮小させることにより、ガイド部材151をガイドレール152に沿って上昇させればよい。これにより、カメラ取付台142に取付けられたラインカメラ11は撮影軸に沿って上昇するとともに、このカメラ取付台142と一体に移動する照明取付アーム143に取付けられたライン照明12も照明軸と撮影軸とのなす角度を維持しながら上昇するので、タイヤ幅W0の場合と同じ照明条件でタイヤサイド部31を撮影することができる。
【0022】
このように、本実施の形態によれば、ローラーコンベヤ40により搬送されるタイヤサイド部31にライン照明12により撮影光を照射しタイヤ30の裏面側からバックライト13を照射しながら、ラインカメラ11を用いてタイヤサイド部31を撮影する際に、ラインカメラ11とライン照明12とを取付部材14に一体に取付け、バックライト13をラインカメラ11の撮影軸の延長方向に設置するとともに、搬送されるタイヤ30のタイヤ幅が変更になった時には、撮影するタイヤ30のタイヤ幅に応じて取付部材14をラインカメラ11の撮影軸に沿って昇降させるようにしたので、照明軸に沿ったライン照明12とタイヤサイド部31表面との距離との和が一定の状態でタイヤサイド部31を撮影することができる。したがって、搬送されるタイヤ30のタイヤ幅によらず、同じ照明条件でタイヤサイド部31を撮影することができるので、常に、タイヤサイド部31の鮮明な画像を撮影することができる。
【0023】
また、前記例では、ローラーコンベヤ40により搬送されるタイヤ30のタイヤサイド部31を撮影する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、ドリンク缶、ドラム缶、ペンキ缶、缶詰、水筒などの円環状部材の撮影にも適用可能である。
また、前記例では、タイヤ30を移動させたが、撮影時にはローラーコンベヤ40を停止し、ラインカメラ11とライン照明12とをライン照明12の延長方向と直交する方向に移動させるようにしてもよい。
なお、撮影時には移動手段であるローラーコンベヤ40を停止し、エリアカメラと面光源を用いてタイヤサイド部31を撮影してもよいが、面光源では照明が均一にならないので、本願発明のように、ラインカメラ11とライン照明12とを用いる方が鮮明な画像を得るためには好ましい。
【0024】
また、前記例では、ラインカメラ11とライン照明12とを取付部材14に一体に取付けて昇降させたが、ラインカメラ11とライン照明12とを別々に昇降させてもよい。なお、この場合には、ライン照明12の照明軸とタイヤ30との交点がラインカメラ11の撮影軸とタイヤ30との交点と一致するように昇降させる必要がある。また、このとき、ライン照明12を、撮影軸に沿ったラインカメラ11とタイヤ30の表面との距離と、照明軸に沿ったライン照明12とタイヤ30表面との距離との和を一定に保持しながら昇降させれば、同じ照明条件でタイヤサイド部31を撮影することができる。
また、ラインカメラ11とライン照明12の位置を固定し、ローラーコンベヤ40を上下させるようにしてもよい。
【0025】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、タイヤなどの撮影される円環状部材の厚さが変化した場合でも、一定の明るさで円環状部材を撮影できるので、円環状部材の厚さによらず、鮮明な画像を得ることができる。また、この画像を円環状部材の形状検査等に用いれば、安定した形状検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0027】
10 タイヤサイド部の撮影装置、11 ラインカメラ、12 ライン照明、
13 バックライト、14 取付部材、141 傾斜台、142 カメラ取付台、
143 照明取付アーム、14p 垂直片、14q 分岐片、14r 照明保持部材、
15 昇降手段、151 ガイド部材、152 ガイドレール、153 駆動機構、
15M モーター、15j スライド軸、
16 制御手段、20 架台、21L,21R 垂直フレーム、
22 上部水平フレーム、23 下部水平フレーム、
30 タイヤ、31 タイヤサイド部、
40 ローラーコンベヤ、41 ローラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に垂直に載置された円環状部材を撮影する撮影手段と、前記円環状部材に対して前記撮影手段と同じ側に配置されて前記円環状部材に撮影光を照射する照明手段と、前記円環状部材に対して前記撮影手段と反対側に配置されて前記円環状部材に背景光を照射するバックライトとを備えた円環状部材の撮影装置であって、
前記撮影手段と前記照明手段とが取付けられる取付部材と、
前記取付部材を昇降させる昇降手段とを備え、
前記撮影手段は前記円環状部材の厚さ方向と垂直な面と交差する方向から前記円環状部材を撮影し、
前記バックライトは、前記撮影手段の撮影軸の延長方向に配置され、
前記昇降手段は、前記円環状部材の厚さに応じて、前記取付部材を前記撮影手段の撮影軸と平行な方向に昇降させることを特徴とする円環状部材の撮影装置。
【請求項2】
前記撮影手段の撮影軸と前記円環状部材の厚さ方向との成す角度と前記照明手段の照明軸と前記円環状部材の厚さ方向との成す角度とが異なっていることを特徴とする請求項1に記載の円環状部材の撮影装置。
【請求項3】
タイヤのタイヤサイド部にラインビームを照射するライン照明と前記タイヤの前記ラインビームが照射される面の裏面側から背景光を照射するバックライトと前記タイヤサイド部を撮影するラインカメラとを備えた撮影手段と、前記タイヤを前記撮影手段に対して相対的に移動させる移動手段とを備えたタイヤサイド部の撮影装置であって、
前記ラインカメラが取付けられる取付部材と、
前記取付部材を昇降させる昇降手段とを備え、
前記ラインカメラは前記タイヤの軸方向と垂直な面と交差する方向から前記タイヤサイド部を撮影し、
前記ライン照明は前記ラインカメラの光軸方向と交差する方向からラインビームを前記タイヤサイド部に照射し、
前記バックライトは前記ラインカメラの光軸方向の延長方向に配置され、
前記昇降手段は、前記タイヤのタイヤ幅に応じて、前記取付部材を前記ラインカメラの光軸方向に平行な方向に昇降させることを特徴とするタイヤサイド部の撮影装置。
【請求項4】
コンベヤにより搬送されるタイヤのタイヤサイド部に撮影光を照射し、前記タイヤの前記撮影光が照射される面の裏面側から背景光を照射しながら前記タイヤサイド部を撮影するタイヤサイド部の撮影方法において、
前記タイヤのタイヤ軸方向の長さであるタイヤの高さが変化したときに、
前記タイヤサイド部を撮影する撮影手段を、前記タイヤの高さに応じて、当該撮影手段の撮影軸と前記背景光の入射方向とを一致させながら昇降させるとともに、前記撮影光を出射する照明手段を、前記照明手段の照明軸と前記タイヤとの交点が前記撮影手段の撮影軸と前記タイヤとの交点と一致するように昇降させた後、前記タイヤサイド部を撮影することを特徴とするタイヤサイド部の撮影方法。
【請求項5】
前記撮影手段と前記照明手段とを、前記撮影軸に沿った前記撮影手段とタイヤ表面との距離と、前記照明軸に沿った前記照明手段とタイヤ表面との距離との和を一定に保持しながら昇降させることを特徴とする請求項4に記載のタイヤサイド部の撮影方法。
【請求項6】
前記撮影光を、前記撮影手段の撮影軸と交差する方向から照射することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のタイヤサイド部の撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−81929(P2012−81929A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231720(P2010−231720)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】