説明

円筒缶の製造装置

【課題】被溶接部材の溶接される2つの端縁に生じる前後差を低減することが可能な円筒缶の製造装置を提供する。
【解決手段】円筒缶の製造装置は、搬送装置2によって送られる被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を溶接位置Pへ案内するためのガイド機構4を備え、ガイド機構4は、端縁e1,e2が被溶接部材Wの径方向において互いに離間した状態から溶接位置P側へ向かうにつれて漸次接近するように当該端縁e1,e2を案内する第1ガイド部32と、端縁e1,e2を第1ガイド部32によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態に保ちながら溶接位置P側へ案内する第2ガイド部34と、被溶接部材Wの径方向において端縁e1,e2を部分的に弾性変形するように互いに寄せ合わせてそれら端縁e1,e2の端面同士が突き合わされるように当該端縁e1,e2を溶接位置Pへ案内する第3ガイド部36とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒缶の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、丸められた金属板の2つの端縁同士を溶接することにより円筒缶を製造する円筒缶の製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された円筒缶の製造装置は、丸められた金属板からなる被溶接部材をその軸方向に送りながら、当該被溶接部材の溶接すべき2つの端縁同士を接合用治具によって互いに突き合わせ状態となるように案内し、突き合わせ状態となった2つの端縁同士をレーザガンでレーザ溶接することによって円筒缶を製造するように構成されている。
【0004】
前記接合用治具は、被溶接部材の前記各端縁がそれぞれ差し込まれる2つの案内溝を有している。この2つの案内溝は、レーザガンから遠い側の端縁では上下に離間しており、レーザガンによる溶接位置側へ近づくにつれて互いに漸次接近するように形成されている。これにより、この2つの案内溝を通る被溶接部材の2つの端縁は、溶接位置へ近づくにつれて互いに徐々に寄せ合わされて突き合わせ状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平3−57351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の円筒缶の製造装置では、被溶接部材の2つの端縁がそのほぼ全長に相当する長さで接合用治具によって徐々に寄せ合わされ、互いにちょうど突き合わされた直後に溶接位置に送り込まれるようになっている。このため、上記の円筒缶の製造装置では、被溶接部材の2つの端縁が当該被溶接部材の送り方向において前後差を生じた状態で溶接される虞がある。すなわち、被溶接部材の2つの端縁が溶接位置側へ移動しながら前記接合用治具により互いに漸次接近させられる過程では、被溶接部材に捩れを生じさせるような力が掛かる。このような力は、被溶接部材全体を弾性変形させる。この弾性変形に伴い、例えば図17に示す被溶接部材Wのように、2つの端縁e1,e2のうち径方向外側に位置する端縁e1の前端が径方向内側に位置する端縁e2の前端よりも被溶接部材Wの送り方向の前側出る。その結果、互いに溶接される2つの端縁同士の間に前後差が生じる。
【0007】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、被溶接部材の溶接される2つの端縁に生じる前後差を低減することが可能な円筒缶の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明による円筒缶の製造装置は、対向する2つの端縁が互いに略平行な状態で径方向に離間するように丸められた金属板の前記2つの端縁同士を溶接することにより円筒缶を製造する円筒缶の製造装置であって、前記丸められた金属板である被溶接部材を前記2つの端縁の延びる方向に沿って送る搬送装置と、所定の溶接位置でレーザを照射することにより前記搬送装置によって送られて移動している前記被溶接部材の前記2つの端縁同士をレーザ溶接する溶接装置と、前記搬送装置によって送られる前記被溶接部材の前記2つの端縁を前記溶接位置へ案内するためのガイド機構とを備え、前記ガイド機構は、前記2つの端縁が前記被溶接部材の径方向において互いに離間した状態から前記溶接位置側へ向かうにつれて漸次接近するように当該2つの端縁を案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部の前記溶接位置側に配設され、前記2つの端縁を前記第1ガイド部によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態に保ちながら前記溶接位置側へ案内する第2ガイド部と、前記第2ガイド部の前記溶接位置側に配設され、前記被溶接部材の径方向において前記2つの端縁を部分的に弾性変形するように互いに寄せ合わせてそれら2つの端縁の端面同士が突き合わされるように当該2つの端縁を前記溶接位置へ案内する第3ガイド部とを有する。
【0009】
この円筒缶の製造装置では、第1ガイド部が被溶接部材の2つの端縁をこれらの端縁が漸次接近するように案内した後、第2ガイド部が被溶接部材の2つの端縁をこれらの端縁が第1ガイド部によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態を保つように案内する。このため、被溶接部材の2つの端縁が、第1ガイド部によって案内されている過程でその端縁同士の傾斜に起因して前後差(前端位置の前後方向のずれ)を生じたとしても、第2ガイド部によって案内される過程でその前後差を解消することができる。そして、本構成では、第2ガイド部によって被溶接部材の2つの端縁の前後差が解消された後、第3ガイド部によってそれら2つの端縁が部分的に弾性変形するように寄せ合わされて両端縁の端面同士が突き合わされ、その後、被溶接部材の2つの端縁が溶接位置に導入される。すなわち、本構成では、従来のように被溶接部材の2つの端縁が全体的に傾斜したままその端縁同士を溶接するのではなく、第2ガイド部において2つの端縁の大部分を平行に保ちつつ、その先端部分(溶接位置側)を部分的に弾性変形させて寄せ合わせた後、溶接する。このため、被溶接部材の2つの端縁の前後差を前記従来の構成に比べて低減した状態でそれら端縁同士を溶接することができる。従って、本構成では、被溶接部材の溶接される2つの端縁に生じる前後差を低減することができる。
【0010】
上記円筒缶の製造装置において、前記第1ガイド部は、前記2つの端縁のうち前記被溶接部材の径方向外側に位置する端縁である外側端縁が差し込まれる第1外側案内溝と、前記2つの端縁のうち前記被溶接部材の径方向内側に位置する端縁である内側端縁が差し込まれる第1内側案内溝とを有し、前記第2ガイド部は、前記外側端縁が差し込まれる第2外側案内溝と、前記内側端縁が差し込まれる第2内側案内溝とを有し、前記第3ガイド部は、前記外側端縁が差し込まれる第3外側案内溝と、前記内側端縁が差し込まれる第3内側案内溝とを有し、前記第1外側案内溝、前記第2外側案内溝及び前記第3外側案内溝は、前記外側端縁を前記溶接位置側へ連続的に案内する一方、前記第1内側案内溝、前記第2内側案内溝及び前記第3内側案内溝は、前記内側端縁を前記溶接位置側へ連続的に案内し、前記第1外側案内溝と前記第1内側案内溝のうち少なくとも一方の案内溝の前記端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において他方の案内溝の前記端縁を案内する部分に漸次接近するように傾斜しており、前記第3外側案内溝と前記第3内側案内溝のうち少なくとも一方の案内溝の前記端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において他方の案内溝の前記端縁を案内する部分に接近するように傾斜しているとともに、その最も前記溶接位置に近い部分で前記被溶接部材の径方向における位置が互いに一致して連通しており、前記搬送装置による前記被溶接部材の送り方向における単位長さ当たりに前記第3外側案内溝と前記第3内側案内溝とが前記被溶接部材の径方向において互いに接近する距離は、その単位長さ当たりに前記第1外側案内溝と前記第1内側案内溝とが前記被溶接部材の径方向において互いに接近する距離よりも大きいことが好ましい。
【0011】
搬送装置による被溶接部材の送り方向における単位長さ当たりに第3外側案内溝と第3内側案内溝とが被溶接部材の径方向において互いに接近する距離が小さい場合、すなわち、第3外側案内溝と第3内側案内溝とが緩やかに接近する場合には、第3外側案内溝と第
3内側案内溝とが、接近した後、互いに連通する部分の長さが大きくなる。この両案内溝が連通している部分では、被溶接部材の端面と当接する壁面がなくなるため、被溶接部材の端縁が当該被溶接部材の周方向に位置ずれを生じやすくなる。本構成では、搬送装置による被溶接部材の送り方向における単位長さ当たりに第3外側案内溝と第3内側案内溝とが互いに接近する距離は、その単位長さ当たりに第1外側案内溝と第1内側案内溝とが互いに接近する距離よりも大きいため、第3ガイド部において第3外側案内溝と第3内側案内溝とが重なって連通している部分の長さを小さくすることができる。このため、第3ガイド部において被溶接部材の周方向への2つの端縁の位置ずれを抑制しつつ、その両端縁を寄せ合わせることができる。その結果、第3ガイド部において被溶接部材の2つの端縁を良好な突き合わせ状態となるように寄せ合わせることができる。
【0012】
この場合において、前記第3外側案内溝の前記外側端縁を案内する部分と前記第3内側案内溝の前記内側端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において互いに接近するように等しい角度で傾斜していることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、溶接位置側へ送られる被溶接部材の2つの端縁が第3外側案内溝と第3内側案内溝とによってその被溶接部材の径方向において互いに均等に接近させられる。このため、第3外側案内溝と第3内側案内溝において被溶接部材の2つの端縁に送り方向への移動しやすさに差が生じるのを防ぐことができ、その結果、それら2つの端縁に前後差が生じるのを防ぐことができる。
【0014】
この場合において、前記第2外側案内溝の前記外側端縁を案内する部分と前記第2内側案内溝の前記内側端縁を案内する部分は、前記搬送装置による前記被溶接部材の送り方向に沿って延びるとともに、互いに離間した状態で平行に配置され、この第2外側案内溝と第2内側案内溝の前記送り方向における長さは、前記被溶接部材の長さ以上の長さに設定されていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、第1外側案内溝と第2外側案内溝が連続して形成されているとともに第1内側案内溝と第2内側案内が連続して形成されている場合でも、第2外側案内溝に導入された外側端縁を第1外側案内溝に全く掛からない状態で第2外側案内溝内に納めることができるとともに、第2内側案内溝に導入された内側端縁を第1内側案内溝に全く掛からない状態で第2内側案内溝内に納めることができる。すなわち、この構成では、傾斜している第1外側案内溝及び第1内側案内溝によって被溶接部材の2つの端縁に前後差を生じさせるような力が全く掛けられていない状態で、被溶接部材の2つの端縁を第2外側案内溝と第2内側案内溝によって平行な状態に保つことができる。従って、本構成では、第2外側案内溝及び第2内側案内溝の長さが被溶接部材の長さよりも小さくて被溶接部材の2つの端縁の後側の一部が第1外側案内溝及び第1内側案内溝に掛かった状態でその2つの端縁が第2外側案内溝と第2内側案内溝によって案内される場合に比べて、第2ガイド部の両案内溝で被溶接部材の2つの端縁の前後差をより有効に解消することができる。
【0016】
上記第2ガイド部が第2外側案内溝及び第2内側案内溝を有するとともに第3ガイド部が第3外側案内溝及び第3内側案内溝を有する構成において、前記第2ガイド部と前記第3ガイド部とは、一体的に設けられ、前記第2外側案内溝と前記第3外側案内溝とが、連続して形成されている一方、前記第2内側案内溝と前記第3内側案内溝とが、連続して形成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、第2外側案内溝から第3外側案内溝へ被溶接部材の外側端縁が連続的に導入されるとともに第2内側案内溝から第3内側案内溝へ被溶接部材の内側端縁が連続的に導入されるので、第2外側案内溝と第2内側案内溝において平行にされた被溶接部材の2つの端縁をその先端側から連続的に第3外側案内溝と第3内側案内溝において弾性変形させて寄せ合わせることができる。このため、本構成では、平行状態で離間させた被溶接部材の2つの端縁を先端側から部分的に弾性変形させて付き合わせ状態に寄せ合わせる一連の過程を円滑に行うことができる。また、第2ガイド部と第3ガイド部とが別体に設けられていて第2外側案内溝と第3外側案内溝とが不連続に形成されているとともに第2内側案内溝と第3内側案内溝とが不連続に形成されている場合には、第2ガイド部と第3ガイド部を設置する際、第2外側案内溝と第3外側案内溝との接続部においてそれら両案内溝の位置にずれが生じたり、第2内側案内溝と第3内側案内溝との接続部においてそれら両案内溝の位置にずれが生じたりする虞がある。これに対して、本構成では、第2ガイド部と第3ガイド部とが一体に設けられていて第2外側案内溝と第3外側案内溝が連続しているとともに第2内側案内溝と第3内側案内溝が連続しているので、上記のような対応する案内溝同士の接続部での位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
【0018】
上記円筒缶の製造装置において、前記溶接位置において前記被溶接部材の前記2つの端縁の内面に接触する内側ローラと、前記溶接位置において前記被溶接部材の前記2つの端縁の外面に接触し、それら2つの端縁を前記内側ローラとの間で挟み込む外側押圧部とを有し、前記溶接位置において前記内側ローラと前記外側押圧部との間で前記2つの端縁を挟み込むことによってそれら2つの端縁の突き合わせ状態を保持する保持機構をさらに備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、溶接位置において内側ローラと外側押圧部とにより被溶接部材の2つの端縁を当該被溶接部材の径方向における内外から挟み込んで両端縁の突き合せ状態を保持することができるため、被溶接部材の2つの端縁同士を正確に突き合わせた状態で溶接することができる。
【0020】
この場合において、前記保持機構は、前記被溶接部材の周方向において前記外側押圧部を挟んで両側の位置に分かれて配設され、前記2つの端縁のうち対応するものの外面にそれぞれ接触してそれら2つの端縁同士を前記被溶接部材の周方向において寄せ合わせる一対の外側ローラをさらに有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、溶接位置において前記一対の外側ローラで被溶接部材の2つの端縁同士を当該被溶接部材の周方向において寄せ合わせつつ前記内側ローラと前記外側押圧部とでそれら2つの端縁を被溶接部材の径方向において挟み込むことができるので、溶接位置において前記2つの端縁同士のより正確な突き合せ状態を確保することができる。
【0022】
上記第2ガイド部が第2外側案内溝と第2内側案内溝を有する構成において、前記第2外側案内溝は、前記被溶接部材の送り方向に直交する左右方向において前記第2ガイド部内の特定の位置から前記左右方向における前記第2ガイド部の一方の側面に至る領域に設けられ、前記第2内側案内溝は、前記第2外側案内溝よりも下側に位置し、前記左右方向において前記第2ガイド部内の前記特定の位置から前記第2ガイド部の前記一方の側面と反対側の側面である他方の側面に至る領域に設けられ、前記第2外側案内溝は、当該第2外側案内溝の内面のうち下側を向く面である第2外側案内溝上面部と、当該第2外側案内溝の内面のうち前記第2外側案内溝上面部の下方に配置されてその第2外側案内溝上面部と対向するように上側を向く面である第2外側案内溝下面部と、前記第2ガイド部内の前記特定の位置に配置されて前記一方側を向き、当該第2外側案内溝に差し込まれた前記外側端縁の端面と当接する第2外側案内溝当接面とを有し、前記第2内側案内溝は、当該第2内側案内溝の内面のうち下側を向く面である第2内側案内溝上面部と、当該第2内側案内溝の内面のうち前記第2内側案内溝上面部の下方に配置されてその第2内側案内溝上面部と対向するように上側を向く面である第2内側案内溝下面部と、前記第2外側案内溝当接面の下方で且つ前記左右方向における前記第2外側案内溝当接面の位置と一致した位置に配置されて前記他方側を向き、当該第2内側案内溝に差し込まれた前記内側端縁の端面と当接する第2内側案内溝当接面とを有し、前記第2ガイド部は、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の上側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の上側に位置する部位を構成し、前記第2外側案内溝上面部と前記第2外側案内溝当接面と前記第2内側案内溝上面部とを形成する第2上側ガイド体と、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の下側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の下側に位置する部位を構成し、前記第2外側案内溝下面部と前記第2内側案内溝下面部と前記第2内側案内溝当接面とを形成する第2下側ガイド体とを有し、前記第2上側ガイド体と前記第2下側ガイド体とは、前記第2外側案内溝当接面と前記第2内側案内溝当接面との間の位置で互いに繋がっていてもよい。
【0023】
この構成では、第2外側案内溝当接面と第2内側案内溝当接面の左右方向における位置が一致し、第2上側ガイド体と第2下側ガイド体とが第2外側案内溝当接面と第2内側案内溝当接面との間の位置で互いに繋がっているため、被溶接部材の外側端縁が第2外側案内溝当接面に当接してその第2外側案内溝当接面を前記他方側へ押し、被溶接部材の内側端縁の端面が第2内側案内溝当接面に当接してその第2内側案内溝当接面を前記一方側へ押したとしても、第2上側ガイド体と第2下側ガイド体が左右方向において分離するのを防ぐことができ、第2外側案内溝当接面に当接している外側端縁の左右方向における位置と第2内側案内溝当接面に当接している内側端縁の左右方向における位置が一致した状態を維持することができる。その結果、第2ガイド部において被溶接部材の外側端縁と内側端縁とが左右方向において重なるのを確実に防ぐことができ、その後の溶接位置での溶接において被溶接部材の両端縁が重なった状態で溶接されるのを確実に防ぐことができる。
【0024】
上記第2ガイド部が第2外側案内溝と第2内側案内溝を有する構成において、前記第2外側案内溝は、前記被溶接部材の送り方向に直交する左右方向において前記第2ガイド部内の特定の位置から前記左右方向における前記第2ガイド部の一方の側面に至る領域に設けられ、前記第2内側案内溝は、前記第2外側案内溝よりも下側に位置し、前記左右方向において前記第2ガイド部内の前記特定の位置から前記第2ガイド部の前記一方の側面と反対側の側面である他方の側面に至る領域に設けられ、前記第2外側案内溝の内面は、前記第2ガイド部内の前記特定の位置に配置されて前記一方側を向き、当該第2外側案内溝に差し込まれた前記外側端縁の端面と当接する第2外側案内溝当接面を有し、前記第2内側案内溝の内面は、前記第2外側案内溝当接面の下方で前記左右方向における前記第2外側案内溝当接面の位置と一致した位置に配置されて前記他方側を向き、当該第2内側案内溝に差し込まれた前記内側端縁の端面と当接する第2内側案内溝当接面を有し、前記第2ガイド部は、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の上側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の上側に位置する部位を構成する第2上側ガイド体と、その第2上側ガイド体とは別体に形成され、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の下側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の下側に位置する部位を構成する第2下側ガイド体とを有し、前記第2上側ガイド体は、前記左右方向における前記特定の位置において前記一方側を向き、前記第2外側案内溝当接面を形成する部位を含む第2外側当接面形成面を有し、前記第2下側ガイド体は、前記左右方向における前記特定の位置において前記他方側を向き、前記第2内側案内溝当接面を形成する部位を含む第2内側当接面形成面を有し、前記製造装置は、前記第2上側ガイド体を支持する上側支持体と、その上側支持体に支持された前記第2上側ガイド体の前記第2外側当接面形成面のうち前記第2外側案内溝当接面を形成する部位の下側に位置する部位に前記第2下側ガイド体の前記第2内側当接面形成面のうち前記第2内側案内溝当接面を形成する部位の上側に位置する部位が接触した状態で前記第2上側ガイド体に対する前記第2下側ガイド体の相対的な位置が固定されるように前記第2下側ガイド体を支持する下側支持体とを備えていてもよい。
【0025】
この構成では、第2上側ガイド体と第2下側ガイド体とが別体に形成されていて、上側支持体によって支持された第2上側ガイド体に対してその第2外側当接面形成面に第2下側ガイド体の第2内側当接面形成面が接触して第2上側ガイド体と第2下側ガイド体とが相対的に位置固定されるように下側支持体に第2下側ガイド体を支持させるだけで、第2ガイド部の左右方向において第2外側案内溝当接面の位置と第2内側案内溝当接面の位置が一致する構造を構成することができるため、そのような構造を構成するために第2上側ガイド体と第2下側ガイド体とを第2外側案内溝当接面と第2内側案内溝当接面との間で直接繋がるように形成する場合のように微細な加工を要しない。このため、第2上側ガイド体と第2下側ガイド体の加工を簡略化しつつ、第2ガイド部の左右方向において第2外側案内溝当接面の位置と第2内側案内溝当接面の位置が一致した構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の円筒缶の製造装置によれば、被溶接部材の溶接される2つの端縁に生じる前後差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態による円筒缶の製造装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】被溶接部材の斜視図である。
【図3】図1に示した円筒缶の製造装置のリニアガイド及び各ガイド部の幅方向の中心線に沿った縦断面図である。
【図4】ガイド機構の第1ガイド部、第2ガイド部、第3ガイド部、連結部及び第4ガイド部の幅方向の側面を示す図である。
【図5】図4に示した第1ガイド部のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4に示した第1ガイド部のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図4に示した第2ガイド部のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】図4に示した第2ガイド部のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】図4に示した第2ガイド部のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図4中のX−X線に沿った第3ガイド部及び押圧部材の断面図である。
【図11】図4中のXI−XI線に沿った連結部、押圧部材及び内側ローラの断面図である。
【図12】第1ガイド部、第2ガイド部、第3ガイド部、連結部及び第4ガイド部を側方から見た概略的な模式図である。
【図13】円筒缶の製造装置の溶接位置近傍の部分及び第4ガイド部の幅方向の中心線に沿った縦断面図である。
【図14】円筒缶の製造装置を構成するローラ装置の斜視図である。
【図15】円筒缶の製造装置の溶接位置における縦断面図である。
【図16】円筒缶の製造装置の円筒缶製造時の動作を説明するための図である。
【図17】下流側へ向かうにつれて互いに漸次接近する案内溝により被溶接部材の2つの端縁が案内されているときの被溶接部材の状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の一実施形態の第1変形例による円筒缶の製造装置の溶接位置近傍の部分の構造を部分的に示す斜視図である。
【図19】図18に示した第1変形例による円筒缶の製造装置のうち溶接位置において被溶接部材の2つの端縁同士の突き合わせ状態を保持する各ローラ及び外側押圧部の縦断面図である。
【図20】本発明の一実施形態の第2変形例による円筒缶の製造装置に用いられるガイド機構の第2ガイド部、第3ガイド部、連結部、第4ガイド部、上側ホルダ及び下側ホルダの幅方向の一方側面(右側面)を示す図である。
【図21】図20に示した第2変形例によるガイド機構の第2ガイド部、第3ガイド部、連結部、第4ガイド部、上側ホルダ及び下側ホルダの斜視図である。
【図22】図20に示した第2変形例によるガイド機構の第2ガイド部、第3ガイド部、連結部、第4ガイド部、上側ホルダ及び下側ホルダの分解斜視図である。
【図23】図20中のXXIII−XXIII線に沿った第2ガイド部、上側ホルダ及び下側ホルダの断面を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0029】
まず、図1〜図15を参照して本発明の一実施形態による円筒缶の製造装置の構成について説明する。
【0030】
本実施形態による円筒缶の製造装置は、対向する2つの端縁e1,e2が互いに略平行な状態で径方向に離間するように丸められた金属薄板(被溶接部材W:図2参照)の前記2つの端縁e1,e2同士を溶接することにより円筒缶を製造するものであり、例えば、飲料缶として用いられる3ピース缶の胴部を構成する円筒缶を製造するものである。
【0031】
具体的には、この円筒缶の製造装置は、図1に示すように、搬送装置2と、ベース3と、脚部28と、支持体30と、ガイド機構4と、ローラ装置6と、溶接装置8と、図略のガス供給装置とを備えている。
【0032】
前記丸められた金属薄板である被溶接部材Wの溶接すべき2つの端縁e1,e2は、互いに略平行に直線的に延びている。搬送装置2は、この被溶接部材Wを2つの端縁e1,e2の延びる方向、すなわち当該被溶接部材Wの軸方向に沿って直線的に送る装置である。なお、搬送装置2は、被溶接部材Wを溶接位置Pまで送るとともに、その後、端縁e1,e2が溶接された後の被溶接部材Wを連続して下流側へ送り出す。この搬送装置2は、基部14と、支持部15と、リニアモータテーブル16と、図略のリニアモータと、リニアガイド支持部20と、リニアガイド22と、搬送アーム24と、連結部材25とを有する。
【0033】
基部14は、所定の設置場所上に固設されている。この基部14の上に、リニアモータテーブル16を支持する支持部15が設けられている。この支持部15は、水平に配置されるとともに特定方向に延びている。
【0034】
リニアモータテーブル16は、支持部15上に設けられており、支持部15に沿ってその支持部15の長手方向に移動可能となっている。
【0035】
図略のリニアモータは、リニアモータテーブル16に搭載されている。このリニアモータが駆動することにより、当該リニアモータ及びリニアモータテーブル16が支持部15の長手方向に移動するようになっている。
【0036】
基部14の幅方向において基部14の設置場所から離間した場所には、ベース3が固設されており、このベース3上にリニアガイド22を支持するリニアガイド支持部20が立設されている。なお、ベース3は、概ね前記支持部15の長手方向に延びるとともに略水平に配置され、一部が基部14と反対側に突出した板体である。リニアガイド支持部20は、脚部20aと、取付部20bとを有する。脚部20aは、ベース3のうち搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向において上流側の端部上に立設されている。取付部20bは、その一端部が脚部20aの上端部によって支持されることにより、前記支持部15から側方に離間するとともにベース3から上方に離間して前記支持部15の上面よりも高い位置に設置されている。この取付部20bは、脚部20aに支持された箇所から前記支持部15の長手方向に沿って前記送り方向における下流側へ水平に延びている。
【0037】
リニアガイド22は、搬送アーム24の移動を直線的に案内するものである。このリニアガイド22は、リニアガイド支持部20の取付部20bの上面に取付部20bの長手方向に沿うように取り付けられている。すなわち、リニアガイド22は、水平かつ支持部15の長手方向に延びる姿勢で配置されている。
【0038】
搬送アーム24は、被溶接部材Wを下流側へ送るように押すものである。なお、以下の説明において、「下流側」とは、搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向における下流側を意味するものとし、「上流側」とは、搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向における上流側を意味するものとする。搬送アーム24は、スライド部24aと、延設部24bと、当接部24cとを有する。
【0039】
スライド部24aは、リニアガイド22上に搭載されており、リニアガイド22に沿ってその長手方向に移動自在となっている。このスライド部24aは、連結部材25(図1参照)を介してリニアモータテーブル16と連結されている。これにより、支持部15の長手方向へのリニアモータテーブル16の移動に伴って、搬送アーム24がリニアモータテーブル16と一体的にリニアガイド22に沿って移動するようになっている。
【0040】
延設部24bは、スライド部24aに対して2つ設けられている。2つの延設部24bのうち一方は、スライド部24aの上面に固定されるとともにその固定された部分からスライド部24aの支持部15の側方でかつ下方に向かって延設され、さらにリニアガイド支持部20の取付部20bに沿って下流側へ延設されている。また、2つの延設部24bのうち他方は、前記一方の延設部24bとリニアガイド22及び前記取付部20bの幅方向の中心位置に対して対称的に設けられている。
【0041】
当接部24cは、搬送アーム24が被溶接部材Wを下流側へ押す際に被溶接部材Wの後端面に当接する部分である。この当接部24cは、各延設部24bにそれぞれ一体的に設けられている。すなわち、当接部24cは、搬送アーム24に2つ設けられている。各当接部24cは、対応する延設部24bのうち前記取付部20bに沿って下流側へ延びる部分の先端部(下流側端部)から取付部20b(リニアガイド22)に沿って下流側へ水平且つ直線的に延びる棒状に形成されている。各当接部24cは、その先端面(下流側の端面)で被溶接部材Wの後端面に当接する。被溶接部材Wは、後述するように、ガイド機構4及びローラ装置6によってその2つの端縁e1,e2が当該被溶接部材Wの幅方向の中心位置上で当該被溶接部材Wの上部に位置するような姿勢で保持される。各当接部24cは、そのような姿勢で保持された被溶接部材Wの後端面のうちの上部の領域であって対応する端縁e1,e2から被溶接部材Wの幅方向で少し外側に位置する箇所に当接する。2つの当接部24cは、リニアガイド22の幅方向の中心位置に対して互いに対称となる位置に配置されており、被溶接部材Wを下流側へ押していく過程でガイド機構4の後述する各ガイド部及びローラ装置6の後述する各ローラと干渉しない位置に配置されている。
【0042】
脚部28は、リニアガイド支持部20の脚部20aがベース3上に固設された位置から下流側に離間した位置においてベース3上に立設されている。具体的には、脚部28は、図3に示すように、リニアガイド22の長手方向における中央位置近傍に立設されている。
【0043】
支持台30は、前記各ガイド部32,34,36,38の後述する下側ガイド体32e,34e,36e,38e及び前記連結部37の後述する下側連結体37eを支持するものである。この支持台30は、その上流側の端部が脚部28によって支持されることにより、ベース3から上方に離間した高さ位置に配置されている。また、支持台30は、リニアガイド22の下方に配置されているとともに、リニアガイド22と平行に水平に延びている。この支持台30は、リニアガイド22の長さ方向における中央部近傍の位置からリニアガイド22の下流側端部を越えて延びている。
【0044】
ガイド機構4は、搬送装置2によって送られる被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を後述する溶接位置Pへ案内するとともに、被溶接部材Wのうち溶接された後の端縁e1,e2近傍の部分を下流側へ案内するものである。このガイド機構4は、第1ガイド部32と、第2ガイド部34と、第3ガイド部36と、連結部37と、第4ガイド部38とを有する。
【0045】
第1ガイド部32、第2ガイド部34、第3ガイド部36、連結部37及び第4ガイド部38は、上流側から下流側へ向かってこの順番で並ぶように配設されている。これら各部32,34,36,37,38は、その幅方向の中心位置がリニアガイド22、取付部20b、支持台30の幅方向の中心位置と一致するように配置されている。第1ガイド部32、第2ガイド部34及び第3ガイド部36は、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を溶接位置Pへ案内するためのものであり、第4ガイド部38は、被溶接部材Wの溶接後の端縁e1,e2近傍の部分を下流側へ案内するためのものである。第1ガイド部32の後述する第1外側案内溝32a、第2ガイド部34の後述する第2外側案内溝34a、第3ガイド部36の後述する第3外側案内溝36aは、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2のうち被溶接部材Wの径方向外側に位置する端縁である外側端縁e1を溶接位置Pへ連続的に案内する。また、第1ガイド部32の後述する第1内側案内溝32b、第2ガイド部34の後述する第2内側案内溝34b、第3ガイド部36の後述する第3内側案内溝36bは、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2のうち被溶接部材Wの径方向内側に位置する端縁である内側端縁e2を溶接位置Pへ連続的に案内する。
【0046】
第1ガイド部32は、ローラ装置6の後述する第1ローラ機構52とともに被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2が当該被溶接部材Wの幅方向の中心位置上で当該被溶接部材Wの上部に位置するような姿勢で当該被溶接部材Wを保持する。そして、第1ガイド部32は、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2が被溶接部材Wの径方向において互いに離間した状態から溶接位置P側(下流側)へ向かうにつれて径方向において漸次接近するように当該2つの端縁e1,e2を案内する。ただし、この第1ガイド部32は、前記2つの端縁e1,e2を被溶接部材Wの径方向(上下方向)においてそれら端縁e1,e2間に所定の離間距離が残る位置までしか接近させない。第1ガイド部32は、被溶接部材Wの外側端縁e1が差し込まれ、その外側端縁e1を案内する第1外側案内溝32a(図4〜図6参照)と、被溶接部材Wの内側端縁e2が差し込まれ、その内側端縁e2を案内する第1内側案内溝32b(図5及び図6参照)とを有する。
【0047】
第1外側案内溝32aは、第1ガイド部32のうち前記支持部15と反対側の側面に開口している。この第1外側案内溝32aは、図5及び図6に示すように、その開口部の外側へ向かうにつれて上下に広がっている。また、第1外側案内溝32aの開口部に臨む底面は、第1ガイド部32の幅方向の中心位置上に位置する鉛直面となっている。外側端縁e1は、その端面が第1外側案内溝32aの開口部に臨む底面に当接した状態で第1外側案内溝32aによって案内される。そして、第1外側案内溝32aの外側端縁e1を案内する部分は、図12に示すように、溶接位置P側(下流側)へ向かうにつれて被溶接部材Wの径方向において第1内側案内溝32bの内側端縁e2を案内する部分に漸次接近するように直線的に傾斜している。すなわち、第1外側案内溝32aは、下流側へ向かうにつれて徐々に下方へ向かうように直線的に傾斜している。なお、図12は、案内溝の構造をわかりやすくするために搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向の寸法に対して上下方向の寸法の比率が大きい状態で表した各ガイド部32,34,36,37,38の概略的な模式図である。
【0048】
第1内側案内溝32bは、第1ガイド部32のうち前記支持部15側の側面に開口している。この第1内側案内溝32bも、図5及び図6に示すように、その開口部の外側へ向かうにつれて上下に広がっている。また、第1内側案内溝32bの開口部に臨む底面は、第1ガイド部32の幅方向の中心位置上に位置する鉛直面となっている。内側端縁e2は、その端面が第1内側案内溝32bの開口部に臨む底面に当接した状態で第1内側案内溝32bによって案内される。第1内側案内溝32bの前記底面近傍の部分は、第1外側案内溝32aの前記底面近傍の部分の下側に配置されている。そして、第1内側案内溝32bは、溶接位置P側(下流側)へ向かって水平に延びている。すなわち、第1ガイド部32では、下流側へ向かうにつれて徐々に下方へ向かうように傾斜する第1外側案内溝32aが、水平に延びている第1内側案内溝32bに対して漸次接近している。これにより、第1内側案内溝32bに導入された内側端縁e2は、水平状態を保ったまま下流側へ移動する一方、第1外側案内溝32aに導入された外側端縁e1は、下流側へ向かうにつれて内側端縁e2に漸次接近するようになっている。ただし、第1外側案内溝32aの下流側端部と第1内側案内溝32bの下流側端部との間には、上下方向において所定の離間距離が残されており、これら両案内溝32a,32bの下流側端部、すなわち出口部分において両端縁e1,e2はそれらの間に所定の離間距離を残した状態までしか接近しないようになっている。
【0049】
そして、第1ガイド部32は、第1上側ガイド体32dと第1下側ガイド体32eとを有する。
【0050】
第1上側ガイド体32dは、搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向、すなわちリニアガイド22と同方向に延びる細長い部材である。この第1上側ガイド体32dは、図3に示すように、リニアガイド22の下流側の端部近傍の部分の下方において取付部20bの下側に配置され、その位置で取付部20bの下面に固定されている。第1下側ガイド体32eは、第1上側ガイド体32dと同方向に延び、第1上側ガイド体32dと等しい幅及び等しい長さを有する細長い部材である。この第1下側ガイド体32eは、第1上側ガイド体32dと重なる位置で支持台30の上面に固定されている。
【0051】
第1上側ガイド体32dは、図5及び図6に示すように、第1外側案内溝32aと第1内側案内溝32bの上面を構成し、第1下側ガイド体32eは、第1外側案内溝32aと第1内側案内溝32bの下面を構成している。被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2が前記案内溝32a,32bを通って案内されるときには、第1下側ガイド体32e及び支持台30が、被溶接部材Wの内側に配置される。
【0052】
第1上側ガイド体32dの下面には、第1ガイド部32の幅方向の中心線に対応する位置に段差が設けられている。具体的には、第1上側ガイド体32dの下面のうち前記中心線から支持部15側に位置する部分は、第1上側ガイド体32dの下面のうち前記中心線から支持部15と反対側に位置する部分に比べて一段低い位置に設けられており、それら両部分の間で第1ガイド部32の幅方向の中心線に沿って延びる段差が形成されている。この段差の側面(支持部15と反対側に臨む面)によって、第1外側案内溝32aの前記底面が形成されている。そして、第1上側ガイド体32dの下面は、前記段差を挟んで両外側の近傍の部分が水平面となっており、その水平面から幅方向外側へ向かうと徐々に上方へ向かう傾斜面となっている。
【0053】
第1下側ガイド体32eの上面には、第1ガイド部32の幅方向の中心線に対応する位置に段差が設けられている。具体的には、第1下側ガイド体32eの下面のうち前記中心線から支持部15側に位置する部分は、第1下側ガイド体32eの下面のうち前記中心線から支持部15と反対側に位置する部分に比べて一段低い位置に設けられており、それら両部分の間で第1ガイド部32の幅方向の中心線に沿って延びる段差が形成されている。この段差の側面(支持部15側に臨む面)によって、第1内側案内溝32bの前記底面が形成されている。そして、第1下側ガイド体32eの上面は、前記段差から当該ガイド部32eの幅方向の両外側へ向かうにつれて徐々に下方に向かう凸状の曲面に形成されている。
【0054】
そして、第1上側ガイド体32dと第1下側ガイド体32eは、第1上側ガイド体32dの下面と第1下側ガイド体32eの上面とが上下に離間した状態で、それらの段差部分の側面同士が接触している。これにより、第1上側ガイド体32dの下面と第1下側ガイド体32eの上面とのうち幅方向の中心から支持部15と反対側の領域の間に第1外側案内溝32aが形成される一方、第1上側ガイド体32dの下面と第1下側ガイド体32eの上面とのうち幅方向の中心から支持部15側の領域の間に第1内側案内溝32bが形成される。
【0055】
第2ガイド部34は、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を第1ガイド部36の両案内溝32a,32bによって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態に保ちながら溶接位置P側(下流側)へ案内するものである。この第2ガイド部34は、第1ガイド部32の溶接位置P側(下流側)に配設されており、第1ガイド部36から僅かに離間して配設されている。第2ガイド部34は、被溶接部材Wの外側端縁e1が差し込まれ、その外側端縁e1を案内する第2外側案内溝34a(図7〜図9参照)と、被溶接部材Wの内側端縁e2が差し込まれ、その内側端縁e2を案内する第2内側案内溝34bとを有する。
【0056】
第2外側案内溝34aは、第2ガイド部34のうち搬送装置2の支持部15と反対側の側面に開口している。第2内側案内溝34bは、第2ガイド部34のうち搬送装置2の支持部15側の側面に開口している。第2外側案内溝34aの開口部に臨む底面及び第2内側案内溝34bの開口部に臨む底面は、それぞれ、第2ガイド部34の幅方向の中心位置上に位置する鉛直面となっている。第2ガイド部34の幅方向における第2外側案内溝34aの底面の位置は、第1外側案内溝32aの底面の位置と一致しており、第2ガイド部34の幅方向における第2内側案内溝34bの底面の位置は、第2外側案内溝34aの底面の位置と一致している。
【0057】
第2外側案内溝34aと第2内側案内溝34bは、水平方向に延びており、搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向に沿って延びている。第2外側案内溝34aの底面近傍の部分(外側端縁e1を案内する部分)と第2内側案内溝34bの底面近傍の部分(内側端縁e2を案内する部分)は、図12に示すように、上下に離間して設けられている。そして、第2外側案内溝34aの底面近傍の部分と第2内側案内溝34bの底面近傍の部分は、互いに離間した状態で平行に配置されている。これにより、第2外側案内溝34aに導入された外側端縁e1と第2内側案内溝34bに導入された内側端縁e2とが上下に離間した状態で互いに平行に保たれるようになっている。第2外側案内溝34aは、第1外側案内溝32aの下流側の端部と同じ高さ位置に配置されており、外側端縁e1が第1外側案内溝32aを通って出た直後に第2外側案内溝34aに導入されるようになっている。また、第2内側案内溝34bは、第1内側案内溝32bと同じ高さ位置に配置されており、内側端縁e2が第1内側案内溝32bを通って出た直後に第2内側案内溝34bに導入されるようになっている。第2外側案内溝34aの底面近傍の部分と第2内側案内溝34bの底面近傍の部分との間の上下方向における離間距離は、第1外側案内溝32aの下流側端部の底面近傍の部分と対応する第1内側案内溝32bの底面近傍の部分との間の上下方向における離間距離に等しくなっている。なお、この離間距離は、被溶接部材Wの板厚よりも小さい距離である。
【0058】
そして、第2外側案内溝34aと第2内側案内溝34bの前記送り方向における長さは、被溶接部材Wの軸方向の長さ以上の長さに設定されている。これにより、第2外側案内溝34aに導入された外側端縁e1がその第2外側案内溝34a内に完全に納まるとともに、第2内側案内溝34bに導入された内側端縁e2がその第2内側案内溝34b内に完全納まることが可能となっている。第2外側案内溝34aの上記以外の構成は、第1外側案内溝32aの構成と同様であり、第2内側案内溝34bの上記以外の構成は、第1内側案内溝32bの構成と同様である。
【0059】
そして、第2ガイド部34は、第1上側ガイド体32dと同方向に延びる第2上側ガイド体34dと、第1下側ガイド体32eと同方向に延びる第2下側ガイド体34eとを有する。第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eは、別体に構成されている。
【0060】
第2上側ガイド体34dは、その下面が下流側に向かうにつれて傾斜していないこと以外は、第1上側ガイド体32dと概ね同様に構成されている。この第2上側ガイド体34dは、第1上側ガイド体32dと幅方向の中心位置が一致するように配置されている。また、第2上側ガイド体34dは、その下面の高さ位置が第1上側ガイド体32dの下流側端部の下面の高さ位置と一致するように配置されている。第2上側ガイド体34dは、取付部20bの下面に締結されている。第2上側ガイド体34dは、取付部20bに対して着脱可能となっている。
【0061】
第2下側ガイド体34eは、第1下側ガイド体32eと概ね同様に構成されており、第1下側ガイド体32eと幅方向の中心位置が一致するように配置されている。この第2下側ガイド体34eは、第1上側ガイド体32dの下側に配置されており、その第1上側ガイド体32dと幅方向の中心位置が一致するように配置されている。また、第2下側ガイド体34eは、その上面の高さ位置が第1下側ガイド体32eの上面の高さ位置と一致するように配置されている。第2下側ガイド体34eは、支持台30の上面に締結されている。第2下側ガイド体34eは、支持台30に対して着脱可能となっている。
【0062】
第2上側ガイド体34dの下面と第2下側ガイド体34eの上面とのうち幅方向の中心から前記支持部15と反対側の領域の間に第2外側案内溝34aが形成されている一方、第2上側ガイド体34dの下面と第2下側ガイド体34eの上面とのうち幅方向の中心から前記支持部15側の領域の間に第2内側案内溝34bが形成されている。換言すれば、第2外側案内溝34aは、被溶接部材Wの送り方向に直交する左右方向において第2ガイド部34内の左右方向(幅方向)の中心位置から被溶接部材Wの送り方向下流側に向かって右側を向く第2ガイド部34の右側面に至る領域に設けられている。また、第2内側案内溝34bは、第2外側案内溝34aよりも下側に位置し、第2ガイド部34内の左右方向の中心位置から第2ガイド部34の前記右側面と反対側の側面である左側面に至る領域に設けられている。
【0063】
第2外側案内溝34aの内面は、第2外側案内溝上面部34fと、第2外側案内溝下面部34gと、第2外側案内溝当接面34hとによって構成されている。第2外側案内溝上面部34fは、第2外側案内溝34aの内面のうち下側を向く面であり、第2外側案内溝下面部34gは、第2外側案内溝34aの内面のうち第2外側案内溝上面部34fの下方に配置されてその第2外側案内溝上面部34fと対向するように上側を向く面である。第2外側案内溝当接面34hは、第2外側案内溝34aに差し込まれた被溶接部材Wの外側端縁e1の左方に向かう端面と当接する面である。この第2外側案内溝当接面34hは、第2ガイド部34内の前記中心位置に配置されて右側を向き、被溶接部材Wの送り方向に沿って延びるとともに上下方向に延びている。
【0064】
第2内側案内溝34bの内面は、第2内側案内溝上面部34iと、第2内側案内溝下面部34jと、第2内側案内溝当接面34kとによって構成されている。第2内側案内溝上面部34iは、第2内側案内溝34bの内面のうち下側を向く面であり、第2内側案内溝下面部34jは、第2内側案内溝34bの内面のうち第2内側案内溝上面部34iの下方に配置されてその第2内側案内溝上面部34iと対向する上側を向く面である。第2内側案内溝当接面34kは、第2内側案内溝34bに差し込まれた被溶接部材Wの内側端縁e2の右方に向かう端面と当接する面である。この第2内側案内溝当接面34kは、第2ガイド部34内の左右方向の中心位置において前記第2外側案内溝当接面34hの下方に配置されて左側を向き、被溶接部材Wの送り方向に沿って延びるとともに上下方向に延びている。すなわち、第2内側案内溝当接面34kと第2外側案内溝当接面34hは、第2部材34内でのそれらの位置が左右方向において一致するように配置されて同方向に延びている。
【0065】
第2上側ガイド体34dは、別体に構成された第2上側ガイド体左部材34mと第2上側ガイド体右部材34nとを有する。
【0066】
第2上側ガイド体左部材34mは、第2ガイド部34のうち第2内側案内溝34bの上側に位置し、第2上側ガイド体34dのうちの左右方向の中心位置から左側に位置する部位を構成している。第2上側ガイド体右部材34nは、第2ガイド部34のうち第2外側案内溝34aの上側に位置し、第2上側ガイド体34dのうちの左右方向の中心位置から右側に位置する部位を構成している。前記第2内側案内溝上面部34iは、第2上側ガイド体左部材34mの下面によって形成されており、前記第2外側案内溝上面部34fは、第2上側ガイド体右部材34nの下面によって形成されている。第2上側ガイド体左部材34mと第2上側ガイド体右部材34nは、第2上側ガイド体左部材34mの右側面と第2上側ガイド体右部材34nの左側面が互いに接触した状態で締結されている。この状態で、第2上側ガイド体左部材34mの下端は、第2上側ガイド体右部材34nの下端よりも下側に配置されており、第2上側ガイド体左部材34mの右側面の下端部は、第2上側ガイド体右部材34nの下端よりも下側で露出している。この第2上側ガイド体左部材34mの右側面のうち第2上側ガイド体右部材34nの下端よりも下側に配置された部分が、前記第2外側案内溝当接面34hを形成する部位を含む第2外側当接面形成面34rとなっている。
【0067】
第2下側ガイド体34eは、別体に構成された第2下側ガイド体左部材34pと第2下側ガイド体右部材34qとを有する。
【0068】
第2下側ガイド体左部材34pは、第2ガイド部34のうち第2内側案内溝34bの下側に位置し、第2下側ガイド体34eのうちの左右方向の中心位置から左側に位置する部位を構成している。第2下側ガイド体右部材34qは、第2ガイド部34のうち第2外側案内溝34aの下側に位置し、第2下側ガイド体34eのうちの左右方向の中心位置から右側に位置する部位を構成している。前記第2内側案内溝下面部34jは、第2下側ガイド体左部材34pの上面によって形成されており、前記第2外側案内溝下面部34gは、第2下側ガイド体右部材34qの上面によって形成されている。第2下側ガイド体左部材34pと第2下側ガイド体右部材34qは、第2下側ガイド体左部材34pの右側面と第2下側ガイド体右部材34qの左側面が互いに接触した状態で締結されている。この状態で、第2下側ガイド体右部材34qの上端は、第2下側ガイド体左部材34pの上端よりも上側に配置されており、第2下側ガイド体右部材34qの左側面の上端部は、第2下側ガイド体左部材34pの上端よりも上側で露出している。この第2下側ガイド体右部材34qの左側面のうち第2下側ガイド体左部材34pの上端よりも上側に配置された部分が、前記第2内側案内溝当接面34kを形成する部位を含む第2内側当接面形成面34sとなっている。
【0069】
そして、取付部20bに支持された第2上側ガイド体34dの第2上側ガイド体左部材34mの第2外側当接面形成面34rのうち第2外側案内溝当接面34kを形成する部位の下側に位置する部位に第2下側ガイド体右部材34qの第2内側当接面形成面34sのうち第2内側案内溝当接面34kを形成する部位の上側に位置する部位が接触した状態で両ガイド体34d,34eの相対的な位置が固定されるように、第2上側ガイド体34dが取付部20bによって支持されているとともに第2下側ガイド体34eが支持台30によって支持されている。
【0070】
第3ガイド部36は、被溶接部材Wの径方向において2つの端縁e1,e2を部分的に弾性変形するように互いに寄せ合わせてそれら2つの端縁e1,e2の端面同士が突き合わされるように当該2つの端縁e1,e2を溶接位置Pへ案内するものである。この第3ガイド部36は、第2ガイド部34の溶接位置P側(下流側)に配置されており、第2ガイド部34と一体的に設けられている。
【0071】
第3ガイド部36は、被溶接部材Wの外側端縁e1が差し込まれ、その外側端縁e1を溶接位置へ案内する第3外側案内溝36a(図10参照)と、被溶接部材Wの内側端縁e2が差し込まれ、その内側端縁e2を溶接位置へ案内する第3内側案内溝36bとを有する。
【0072】
第3外側案内溝36aは、第3ガイド部36のうち支持部15と反対側の側面に開口している。第3内側案内溝36bは、第3ガイド部36のうち支持部15側の側面に開口している。第3外側案内溝36aの開口部に臨む底面及び第3内側案内溝36bの開口部に臨む底面は、それぞれ、第3ガイド部36の幅方向の中心位置上に位置する鉛直面となっている。第3ガイド部36の幅方向における第3外側案内溝36aの底面の位置は、第2外側案内溝34aの底面の位置と一致しており、第3ガイド部36の幅方向における第3内側案内溝36bの底面の位置は、第2内側案内溝34bの底面の位置と一致している。
【0073】
第3外側案内溝36aの上流側の端部は、図12に示すように、第2外側案内溝34aの下流側の端部と連続して形成されており、第3内側案内溝36bの上流側の端部は、第2内側案内溝34bの下流側の端部と連続して形成されている。従って、第3外側案内溝36aの上流側端部の底面近傍の部分(外側端縁e1を案内する部分)と第3内側案内溝36bの上流側端部の底面近傍の部分(内側端縁e2を案内する部分)とは、上下方向において第2外側案内溝34aの底面近傍の部分と第2内側案内溝34bの底面近傍の部分との間の離間距離と同じ離間距離で離間している。
【0074】
第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分とは、その上流側の端部から溶接位置P側(下流側)へ向かうにつれて被溶接部材Wの径方向(上下方向)において互いに接近するように等しい角度で傾斜している。そして、第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36の内側端縁e2を案内する部分は、その最も溶接位置Pに近い部分、すなわち下流側の端部において、被溶接部材Wの径方向(上下方向)における位置が互いに一致して連通している。そして、被溶接部材Wの送り方向における単位長さ当たりに第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分とが被溶接部材Wの径方向(上下方向)において互いに接近する距離は、その単位長さ当たりに前記第1外側案内溝32aの外側端縁e1を案内する部分と前記第1内側案内溝32bの内側端縁e2を案内する部分とが被溶接部材Wの径方向において互いに接近する距離よりも大きくなっている。すなわち、第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分とは、第1外側案内溝32aの外側端縁e1を案内する部分と第1内側案内溝32bの内側端縁e2を案内する部分に比べてより急激に接近するように傾斜している。
【0075】
両案内溝36a,36bのテーパー角度(傾斜角度)は、端縁e1,e2を下流側へ移動させる際に掛かる抵抗力と、端縁e1,e2の被溶接部材Wの周方向へのずれの生じやすさとのバランスを考慮して設定されている。すなわち、両案内溝36a,36bのテーパー角度が大きすぎると、下流側へ移動する端縁e1,e2の前端が対応する案内溝36a,36b内の壁面に当たることによって生じる抵抗力が非常に大きくなる。この場合には、端縁e1,e2を下流側へ送ることができなくなったり、過大な抵抗力によって端縁e1,e2が塑性変形を生じたりする虞がある。一方、両案内溝36a,36bのテーパー角度が小さすぎる場合には、両案内溝36a,36bが接近した後、重なって互いに連通する領域の長さが大きくなりすぎる。この両案内溝36a,36bが重なって連通している領域では、端縁e1,e2の端面と当接する底面がなくなるため、端縁e1,e2が被溶接部材Wの周方向にずれを生じやすくなる。このため、両案内溝36a,36bのテーパー角度が小さすぎる場合には、端縁e1,e2の前記周方向へのずれが非常に生じやすくなり、両端縁e1,e2同士を正確に突き合せ状態で溶接することが困難となる。以上のような要因から、両案内溝36a,36bのテーパー角度は、端縁e1,e2を下流側へ移動させる際に掛かる抵抗力がそれ程大きくなく、且つ、端縁e1,e2の突き合せ状態が乱されない程度に端縁e1,e2の前記周方向へのずれを抑制できる程度の適切なテーパー角度に設定されている。
【0076】
また、第3外側案内溝36a及び第3内側案内溝36bの上下幅は、下流側へ向かうにつれて同様に徐々に減少している。そして、両案内溝36a,36bの下流側端部における上下幅は、第2外側案内溝34a及び第2内側案内溝34bの上下幅に比べて非常に小さく、かつ、被溶接部材Wの板厚よりも僅かに大きい幅となっている。
【0077】
第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bの前記送り方向における寸法は、被溶接部材Wの軸方向の長さ(端縁e1,e2の長さ)に比べて非常に小さい。例えば、両案内溝36a,36bの前記送り方向における寸法は、被溶接部材Wの軸方向の長さの1/10程度に設定されている。このため、第3外側案内溝36aに導入された外側端縁e1と第3内側案内溝36bに導入された内側端縁e2は、下流側へ送られるにつれてその先端部(下流側端部)から部分的に弾性変形されて突き合わせ状態となるように寄せ合わされる。第3外側案内溝36aの上記以外の構成は、第2外側案内溝34aの構成と同様であり、第3内側案内溝36bの上記以外の構成は、第2内側案内溝34bの構成と同様である。
【0078】
そして、第3ガイド部36は、第2上側ガイド体34dと同方向に延びる第3上側ガイド体36dと、第2下側ガイド体34eと同方向に延びる第3下側ガイド体36eとを有する。
【0079】
第3上側ガイド体36dは、第2上側ガイド体34dの下流側に配置されており、第2上側ガイド体34dと一体的に形成されている。第3上側ガイド体36dは、ローラ装置6の後述する保持機構62の第1外側保持ローラ66及び第2外側保持ローラ70との干渉を避けるため、第2上側ガイド体34dよりも幅が小さく、かつ、下方へ向かうに従って幅が減少するように両側面が傾斜している。第3上側ガイド体36dの上流側の端部の下面は、第2上側ガイド体34dの下流側の端部の下面と連続して形成されている。第3上側ガイド体36dの上流側の端部の下面には、その幅方向の中心位置に第2上側ガイド体34dの下面と同様の段差が設けられている。そして、第3上側ガイド体36dの下面のうち幅方向の中心位置から支持部15と反対側の領域は、下流側へ向かうにつれて下方へ向かうように傾斜している。一方、第3上側ガイド体36dの下面のうち幅方向の中心位置から支持部15側の領域は、下流側へ向かうにつれて上方へ向かうように傾斜している。これにより、第3上側ガイド体36dの下面の段差の上下幅は、下流側へ向かうにつれて減少していき、当該第3上側ガイド体36dの下流側端部では、段差が0になっている。
【0080】
また、第3下側ガイド体36eは、第2下側ガイド体34eの下流側に配置されており、第2下側ガイド体34eと一体的に形成されている。第3下側ガイド体36eの上流側の端部の下面は、第2下側ガイド体34eの下流側の端部の下面と連続して形成されている。第3下側ガイド体36eの上流側の端部の上面には、その幅方向の中心位置に第2下側ガイド体34eの上面と同様の段差が設けられている。そして、第3下側ガイド体36eの上面は、第3上側ガイド体36dの下面と同様、段差の上下幅が下流側へ向かうにつれて減少していき、その下流側端部において段差が0になるように形成されている。
【0081】
第3上側ガイド体36dの下面と第3下側ガイド体36eの上面とのうち幅方向の中心から支持部15と反対側の領域の間に第3外側案内溝36aが形成されている一方、第3上側ガイド体36dの下面と第3下側ガイド体36eの上面とのうち幅方向の中心から支持部15側の領域の間に第3内側案内溝36bが形成されている。
【0082】
連結部37は、第3ガイド部36と第4ガイド部38との間に配置され、それら第3ガイド部36と第4ガイド部38とを繋ぐ部分である。連結部37は、第3上側ガイド体36dの下流側に配置され、その第3上側ガイド体36dと一体的に設けられた上側連結体37dと、第3下側ガイド体36eの下流側に配置され、その第3下側ガイド体36eと一体的に設けられた下側連結体37eとを有する。そして、上側連結体37dと下側連結体37eとの間で各ガイド部32,34,36,38及び連結部37の幅方向の中心線上の位置に溶接位置Pが設定されている。
【0083】
第4ガイド部38は、被溶接部材Wの溶接後の端縁e1,e2近傍の部分を下流側へ案内するものである。この第4ガイド部38は、上側連結体37dの下流側に配置され、その上側連結体37dと一体的に設けられた第4上側ガイド体38dと、下側連結体37eの下流側に配置され、その下側連結体37eと一体的に設けられた第4下側ガイド体38eとを有する。第4上側ガイド体38dの下面には、他の上側ガイド体32d,34d,36dの下面に設けられているような段差は設けられておらず、第4下側ガイド体38eの上面には、他の下側ガイド体32e,34e,36eの上面に設けられているような段差は設けられていない。そして、この第4ガイド部38は、第4上側ガイド体38dと第4下側ガイド体38eとの間に、当該第4ガイド部38の幅方向両側に開口した溶接後案内溝38aを有する。この溶接後案内溝38aは、第2外側案内溝34a及び第2内側案内溝34bと同方向に直線的に延びている。第4上側ガイド体38dの上流側端部、上側連結体37d及び第3上側ガイド体36dには、嵌合穴39a(図13参照)が形成されている。
【0084】
第4下側ガイド体38eの上流側端部、下側連結体37e及び第3下側ガイド体36eには、中空部39bが形成されている。この中空部39bは、溶接位置P及びその近傍で上側に開口して案内溝と連通している。そして、この中空部39b内に保持機構62の後述する内側ローラ64が設けられている。
【0085】
また、第4上側ガイド体38dと第4下側ガイド体38eには、図13に示すように、シールドガスの供給路41がそれぞれ形成されている。この両ガイド体38d,38eの各供給路41には、図略のガス供給装置が接続されている。各供給路41は、溶接後案内溝38aに繋がる放出口41aを有しており、ガス供給装置から供給されたシールドガスが供給路41を通じて溶接後案内溝38aに放出されるようになっている。これにより、溶接によって発生した被溶接部材Wの溶融物が第4上側ガイド体38dの下面及び第4下側ガイド体38eの上面に付着するのがシールドガスによって防止できるようになっている。
【0086】
ローラ装置6は、被溶接部材Wをローラによって保持しながらその被溶接部材Wが搬送装置2によって下流側へ送られるのを案内するための装置である。
【0087】
具体的には、このローラ装置6は、図3に示すように、上流側ローラ機構42と、下流側ローラ機構44とを有する。
【0088】
上流側ローラ機構42は、第1ガイド部32、第2ガイド部34及び第3ガイド部36に対応する領域において被溶接部材Wを案内する。すなわち、この上流側ローラ機構42は、被溶接部材Wを第1ガイド部32の上流側端部から溶接位置Pに至るまで案内する。この上流側ローラ機構42は、第1ローラ機構52と、第2ローラ機構54と、第3ローラ機構56と、第4ローラ機構58と、第5ローラ機構60と、保持機構62とを有する。
【0089】
第1ローラ機構52は、第1ガイド部32の上流側端部近傍の少し上流側の位置から第1ガイド部32の下流側端部の少し上流側の位置に亘る領域に設けられており、その領域で被溶接部材Wの底部から上下方向の中心位置近傍までの部分を支持しながら下流側へ案内するように構成されている。この第1ローラ機構52は、図14に示すように、第1枠部52aと、複数の第1ローラ52bとを有する。
【0090】
第1枠部52aは、第1ガイド部32によって端縁e1,e2が案内される被溶接部材Wの底部から上下方向の中心位置近傍までの部分の外側を囲むように設けられている。この第1枠部52aの内側に複数の第1ローラ52bが取り付けられている。各第1ローラ52bは、搬送装置2による被溶接部材Wの送り方向に対して直交する各々の軸回りに回転可能となっている。本実施形態では、3つの第1ローラ52bを1組として、3組の第1ローラ52bが前記送り方向に並ぶように第1枠部52aの内側に配設されている。各組の第1ローラ52bのうち1つの第1ローラ52bは、被溶接部材Wの下面に接触し得るように配置され、残りの2つの第1ローラ52bは、前記1つのローラ52bの両側に対称的に配置されて被溶接部材Wの対応する部分に斜め下方から接触し得るように配置されている。
【0091】
第2ローラ機構54は、第1ガイド部32の下流側端部の少し上流側の位置から第2ガイド部34の上流側端部の少し下流側の位置に亘る領域に設けられており、その領域で被溶接部材Wの底部を支持しながら下流側へ案内するように構成されている。この第2ローラ機構54は、第2枠部54aと、複数の第2ローラ54bとを有する。
【0092】
第2枠部54aは、第2ローラ54bの軸方向の長さよりも僅かに大きい幅で、案内すべき被溶接部材Wの底部の下方に位置するように設けられている。この第2枠部54aは、第1枠部52aと一体的に形成されており、第1枠部52aの下流側へ延びている。第2枠部54aの上に、本実施形態では2つの第2ローラ54bが前記送り方向に並んで設けられている。各第1ローラ54bは、被溶接部材Wの底部の下面に接触し得るように配置されている。
【0093】
第3ローラ機構56は、第2ローラ機構54の下流側に設けられている。この第3ローラ機構56は、第2ガイド部34の長手方向の中央近傍の領域に配置されている。第3ローラ機構56は、第3枠部56aと、複数の第3ローラ56bとを有する。
【0094】
第3枠部56aは、第2ガイド部34によって案内される被溶接部材Wの下部から両側部の少し上までの領域の外側を囲むように設けられている。第3枠部56aは、第2枠部54aと一体的に形成されており、第2枠部54aの下流側に配置されている。この第3枠部56aの内側に複数の第3ローラ56bが取り付けられている。各第3ローラ56bは、前記送り方向に対して直交する各々の軸回りに回転可能となっている。本実施形態では、4つの第3ローラ56bを1組として、2組の第3ローラ56bが前記送り方向に並ぶように第3枠部56aの内側に配設されている。各組の第3ローラ56bのうち2つの第3ローラ56bは、被溶接部材Wの底部の下面に対して幅方向の中心線を挟んで両側斜め下方から対称的に接触し得るように配置されており、残りの2つの第3ローラ56bは、被溶接部材Wの上下方向の中心位置近傍の両側面の領域に接触し得るように配置されている。
【0095】
第4ローラ機構58は、第3ローラ機構56の下流側に設けられている。この第4ローラ機構58は、第2ガイド部34の下流側の端部近傍の領域に配置されている。第4ローラ機構58は、第4枠部58aと、複数の第4ローラ58bと、複数の第4ローラホルダ58cとを有する。
【0096】
第4枠部58aは、第2ガイド部34によって案内される被溶接部材Wのうち最上部の一部を除く領域の外側を囲むように設けられている。第4枠部58aは、第3枠部56aと一体的に形成されており、第3枠部56aの下流側に配置されている。第3枠部56a及び第4枠部58aの下部は、脚部58eとなっており、当該脚部58eは、ベース3上に立設されている。各第4ローラ58bは、第4枠部58aの上流側の面にそれぞれ第4ローラホルダ58cを介して取り付けられている。本実施形態では、第4ローラ58bは6つ設けられており、第2ガイド部34の幅方向の中心位置に対して両側にそれぞれ3つの第4ローラ58bが対称的に配置されている。そして、6つの第4ローラ58bは、被溶接部材Wの周りを取り囲むように配置されて、被溶接部材Wの外周面に接触し得るように配置されている。
【0097】
第5ローラ機構60は、第4ローラ機構58の下流側に設けられている。この第5ローラ機構60は、第3ガイド部36の下流側端部、連結部37及び第4ガイド部38の上流側端部に対応する領域に配置されている。第5ローラ機構60は、複数の第5ローラ60bと、複数の第5ローラホルダ60cとを有する。
【0098】
各第5ローラ60bは、それぞれ第5ローラホルダ60cを介して第4枠部58aの下流側の面に取り付けられている。本実施形態では、第5ローラ60bは5つ設けられている。この5つの第5ローラ60bは、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの両外側面の上部から底面に亘る領域に接触し得るように周方向に均等に配置されている。
【0099】
保持機構62は、図15に示すように、内側ローラ64と、外側押圧部40と、第1外側保持ローラ66と、第1外側保持ローラホルダ68と、第2外側保持ローラ70と、第2外側保持ローラホルダ72とを有する。この保持機構62は、第1外側保持ローラ66と第2外側保持ローラ70によって被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2をその被溶接部材Wの周方向において互いに寄せ合わせた状態で保持するとともに、内側ローラ64と外側押圧部40との間で被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を挟み込むことによって、溶接位置Pでそれら2つの端縁e1,e2の突き合せ状態を保持するものである。
【0100】
具体的には、内側ローラ64は、溶接位置Pに対応する位置に配置されており、前記下側連結体37eに形成された中空部39b内に配置されている(図11及び図15参照)。この内側ローラ64は、第3ガイド部36及び連結部37の幅方向(水平方向)に延びるように下側連結体37に取り付けられた軸64aによってその軸64a回りに回転可能に支持されている。内側ローラ64の上端部は、中空部39bの上部の開口部から露出しており、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2の内面に接触可能となっている。
【0101】
外側押圧部40は、押圧部材40aと、押え板40bと、ばね部材40cとを有する。押圧部材40aは、第4上側ガイド体38dの上流側端部、上側連結体37d及び第3上側ガイド体36dに設けられた嵌合穴39aに嵌め込まれている。この押圧部材40aの下端部は、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの端縁e1,e2の上面に当接する。そして、この押圧部材40aは、嵌合穴39aに嵌め込まれた状態で、第2上側ガイド体34d及び第3上側ガイド体36dの上面に固定された押え板40b及び第4上側ガイド体38dの上面に固定された押え板40bによりばね部材40cを介して下方に押さえられている。すなわち、押圧部材40aは、ばね部材40cによって下方に付勢されている。そして、押圧部材40aは、ばね部材40cによって付勢されることにより、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの端縁e1,e2を内側ローラ64に対して押圧する。また、押圧部材40aのうち溶接位置Pに対応する箇所には、上下方向に貫通する貫通穴40dが形成されている。
【0102】
第1外側保持ローラ66と第2外側保持ローラ70は、被溶接部材Wの周方向において外側押圧部40を挟んで両側の位置に分かれて配設されている。なお、第1外側保持ローラ66及び第2外側保持ローラ70は、本発明の外側ローラの概念に含まれるものである。
【0103】
第1外側保持ローラ66は、溶接位置Pに対応する位置に配置されており、内側ローラ64の上側で支持部15と反対側寄りの位置に設けられている。具体的には、第1外側保持ローラ66は、上側連結体37dに対して支持部15と反対側に隣接して配置されている。第2外側保持ローラ70は、溶接位置Pに対応する位置に配置されており、内側ローラ64の上側で支持部15寄りの位置に設けられている。具体的には、第2外側保持ローラ70は、上側連結体37dに対して支持部15側に隣接して配置されている。第2外側保持ローラ70は、第3ガイド部36及び連結部37の幅方向の中心位置に対して第1外側保持ローラ66と対称的に配置されている。第1外側保持ローラ66は、第1外側保持ローラホルダ68を介して前記第4枠部58aの上部に取り付けられており、第2外側保持ローラ70は、第2外側保持ローラホルダ72を介して前記第4枠部58aの上部に取り付けられている。そして、第1外側保持ローラ66は、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの外側端縁e1の外面に対して斜め上方から接触する一方、第2外側保持ローラ70は、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの内側端縁e2の外面に対して斜め上方から接触し、これら両ローラ66,70は、被溶接部材Wの両端縁e1,e2同士が突き合わせ状態となるようにそれら両端縁e1,e2を被溶接部材Wの周方向において互いに寄せ合わせた状態で保持する。
【0104】
第1外側保持ローラホルダ68は、第1外側保持ローラ66を前記送り方向に直交する当該ローラ66の軸回りに回転可能に支持している。そして、この第1外側保持ローラホルダ68は、第1外側保持ローラ66の位置を被溶接部材Wの外面に対して接離する方向に変更できるように構成されている。
【0105】
第2外側保持ローラホルダ72は、第3ガイド部36及び連結部37の幅方向の中心位置に対して第1外側保持ローラホルダ68と対称的に配置されている。この第2外側保持ローラホルダ72のこれ以外の構成は、第1外側保持ローラホルダ68と同様である。
【0106】
第1外側保持ローラホルダ68において第1外側保持ローラ66の位置を調節するとともに、第2外側保持ローラホルダ72において第2外側保持ローラ70の位置を調節することによって、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの両端縁e1,e2の突き合せ状態を調節できるようになっている。
【0107】
下流側ローラ機構44は、第4ガイド部38に対応する領域において被溶接部材Wを案内する。すなわち、この下流側ローラ機構44は、溶接位置Pにおいて端縁e1,e2が溶接された後、連続して搬送装置2により下流側へ送られる被溶接部材Wを案内する。この下流側ローラ機構44は、上流側ローラ機構42の下流側に僅かに離間して配置されており、脚部44aと、下流側枠部44bと、複数の下流側ローラ44cとを有する。
【0108】
脚部44aは、上流側ローラ機構42の脚部58eの設置箇所の下流側の位置においてベース3上に立設されている。
【0109】
下流側枠部44bは、脚部44aの上部に一体的に設けられており、前記第3ローラ機構56の第3枠部56aと同様に第2ガイド部34によって案内される被溶接部材Wの下部から両側部の少し上までの領域の外側を囲むように設けられている。
【0110】
下流側ローラ44cの構成は、前記第3ローラ56bの構成と同様であり、当該下流側ローラ44cは、前記第3ローラ56bと同様な配置で被溶接部材Wの周りからその外面に接触し得るように配置されている。ただし、本実施形態の下流側ローラ機構44では、4つの下流側ローラ44cからなる組が3組、被溶接部材Wの送り方向に並ぶように下流側枠部44bの内側に配置されている。
【0111】
溶接装置8は、溶接位置Pでレーザを照射することにより搬送装置2によって送られて移動している被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2同士をレーザ溶接するものである。この溶接装置8は、照射装置支持部8aと、レーザ照射装置8bとを有する。
【0112】
照射装置支持部8aは、レーザ照射装置8bを支持するものである。照射装置支持部8aは、ローラ装置6から搬送装置2の基部14と反対側に離間した位置でベース3上に固設されている。照射装置支持部8aは、ベース3上に立設された立設部8dと、その立設部8dの上端部から略水平に支持部15側へ向かって第2ガイド部34の上方の位置まで張り出す張出部8eと、その張出部8eの先端部に設けられ、レーザ照射装置8bを保持する照射装置保持具8fとを有する。
【0113】
レーザ照射装置8bは、溶接用のレーザ光を照射する装置である。レーザ照射装置8bは、溶接位置Pの上方において鉛直方向に延びる姿勢で照射装置保持具8fによって保持されている。レーザ照射装置8bは、その下端部が押圧部材40の直上に位置するとともに、そのレーザ射出部の中心位置が押圧部材40の貫通穴40dの中心位置に重なるように配置されている。そして、レーザ照射装置8bは、その下端のレーザ射出部から鉛直方向下側へ向かってレーザ光を照射し、そのレーザ光が押圧部材40の貫通穴40dを通じて溶接位置Pに照射されるようになっている。
【0114】
レーザ照射装置8bには、内部にその先端部(下端部)へ至る図略のガス供給路が設けられており、そのガス供給路に図略のガス供給装置が接続されている。これにより、ガス供給装置からシールドガスがレーザ照射装置8b内のガス供給路に供給され、そのシールドガスがレーザ照射装置8bの先端部から下方へ放出されるようになっている。そして、レーザ照射装置8bの先端部から放出されたシールドガスは、押圧部材40の貫通穴40dを通じて溶接位置Pに放出され、そのシールドガスによって、溶接位置P近傍における押圧部材40の下端面に対する前記溶融物の付着が抑制される。
【0115】
また、下側連結体37eの中空部39bにも図略のガス供給装置が接続されている。そのガス供給装置から中空部39bに供給されたシールドガスが、内側ローラ64の周りを通り、中空部39bの上部の開口部を通じて上方に放出されるようになっている。このシールドガスにより、溶接位置P近傍における内側ローラ64に対する前記溶融物の付着が抑制される。
【0116】
次に、本発明の一実施形態による円筒缶の製造装置の動作について説明する。
【0117】
まず、対向する2つの端縁e1,e2が互いに略平行な状態で径方向に離間するように丸められた被溶接部材Wが初期位置にセットされる。この初期位置は、被溶接部材Wの外側端縁e1が第1外側案内溝32aに上流側から差し込まれるとともに内側端縁e2が第1内側案内溝32bに上流側から差し込まれ、さらにその被溶接部材Wが第1ローラ機構52の各第1ローラ52bによって保持される位置である。この際、搬送装置2の搬送アーム24は、被溶接部材Wの上流側に位置するスタート位置(図16参照)に配置されている。
【0118】
この状態から、リニアモータが駆動し、リニアモータテーブル16と搬送アーム24が一体となって下流側へ移動する。これにより、搬送アーム24の当接部24cの先端が被溶接部材Wの上部の後端面に当接し、搬送アーム24の下流側への移動に伴って被溶接部材Wが下流側へ送られる(図16のA状態参照)。なお、この際、搬送アーム24は、被溶接部材Wを下流側へ一定速度で送る。
【0119】
被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2は、第1ガイド部32の案内溝32a,32bを通ることによって、その外側端縁e1が内側端縁e2に漸次接近し、被溶接部材Wの径方向における両端縁e1,e2の離間距離が小さくなる。なお、この過程では、第1外側案内溝32a内において外側端縁e1に対して被溶接部材Wに捩れが生じるような力が作用し、その結果、従来の円筒缶の製造装置による溶接工程と同様に外側端縁e1が内側端縁e2に比べて僅かに搬送方向下流側(前側)に出てしまうように被溶接部材W全体が弾性変形する(図17参照)。すなわち、被溶接部材Wの送り方向において、外側端縁e1と内側端縁e2との間にそれらの前端位置同士の前後方向のずれである前後差が生じる。
【0120】
その後、被溶接部材Wがさらに下流側へ送られるのに伴って、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2は、第2ガイド部34の案内溝34a,34bに導入される。この第2ガイド部34の案内溝34a,34bでは、被溶接部材Wの両端縁e1,e2が第1ガイド部32によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態に保たれる。この両端縁e1,e2が平行な状態では、前記捩れを生じさせるような力が両端縁e1,e2に掛からない。このため、第2ガイド部34の案内溝34a,34b内では、被溶接部材Wの外側端縁e1と内側端縁e2の間の前後差が解消される。また、第2ガイド部34において、被溶接部材Wは、その周りから第3ローラ機構56の複数の第3ローラ56bにより押さえ付けられて保持される。この際、被溶接部材Wは、外側端縁e1と内側端縁e2を当該被溶接部材Wの周方向において寄せ合わせるような力(被溶接部材Wをより丸めるような力)を周りの第3ローラ56bから受けるが、外側端縁e1の端面が第2外側案内溝当接面34hに当接するとともに内側端縁e2の端面が第2内側案内溝当接面34kに当接して、それら両端縁e1,e2の端面の位置が第2ガイド部34の左右方向において一致した状態が保たれる。
【0121】
その後、被溶接部材Wがさらに下流側へ送られると、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2は、その下流側の先端部分から第3ガイド部36の案内溝36a,36bに導入される。これにより、外側端縁e1と内側端縁e2は、その先端部分(下流側端部)から部分的に弾性変形しながら互いに寄せ合わされる。その結果、外側端縁e1と内側端縁e2は、被溶接部材Wの径方向において互いに接近し、径方向における互いの位置が一致する。これにより、外側端縁e1の端面と内側端縁e2の端面とが、互いに突き合わされた状態となる。このとき、両端縁e1,e2が弾性変形する領域は、全体のうちごく一部である。従って、その弾性変形に起因するe1,e2の前後差は、ごく僅かであり、加工精度にほとんど影響しない。
【0122】
その後、被溶接部材Wは、さらに下流側へ送られ、互いに突き合わされた端縁e1,e2が第3ガイド部36の案内溝36a,36bから出て溶接位置Pに導入される。この溶接位置Pにおいて、端縁e1,e2が、保持機構62の第1外側保持ローラ68と第2外側保持ローラ70とにより被溶接部材Wの周方向において互いに寄せ合わされた状態で保持されるとともに、内側ローラ64と押圧部材40aとにより被溶接部材Wの径方向(上下方向)において挟み込まれる。それによって、溶接位置Pにおいて2つの端縁e1,e2の突き合せ状態が保持される。
【0123】
そして、この状態で溶接装置8のレーザ照射装置8bの先端(下端)から溶接位置Pにレーザ光が照射され、このレーザ光によって端縁e1,e2同士が突き合わされた状態で溶接される。この際、被溶接部材Wが下流側へ一定の速度で送られながら端縁e1,e2同士が下流側の端部から徐々に溶接されていく。すなわち、被溶接部材Wが下流側へ送られるのに伴って両端縁e1,e2同士の溶接が被溶接部材Wの送り速度と同じ速度で下流側の端部から上流側の端部へ向かって進行していく。
【0124】
そして、搬送装置2によって被溶接部材Wがさらに下流側へ送られ、被溶接部材Wの端縁e1,e2同士が溶接されることによってできた円筒缶が下流側ローラ機構44によって案内されながら下流側へ排出される(図16のB状態参照)。
【0125】
以上のように、本実施形態による円筒缶の製造装置の動作が行われる。
【0126】
以上説明したように、本実施形態の円筒缶の製造装置では、第1ガイド部32が被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2をこれらの端縁e1,e2が漸次接近するように案内した後、第2ガイド部34が端縁e1,e2をこれらの端縁e1,e2が第1ガイド部32によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態を保つように案内する。このため、端縁e1,e2が、第1ガイド部32によって案内されている過程でその端縁e1,e2同士の傾斜に起因して前後差(前端位置の前後方向のずれ)を生じたとしても、第2ガイド部34によって案内される過程でその前後差を解消することができる。そして、本実施形態では、第2ガイド部34によって端縁e1,e2の前後差が解消された後、第3ガイド部36によって端縁e1,e2が先端部から部分的に弾性変形するように寄せ合わされてそれらの端面同士が突き合わされ、その後、その端縁e1,e2が溶接位置Pに導入される。すなわち、本実施形態では、従来のように被溶接部材の2つの端縁が全体的に傾斜したままその端縁同士を溶接するのではなく、第2ガイド部34において端縁e1,e2の大部分を平行に保ちつつ、その先端部分(溶接位置P側)を部分的に弾性変形させて寄せ合わせた後、溶接する。このため、端縁e1,e2の前後差を前記従来の構成に比べて低減した状態でそれら端縁e1,e2同士を溶接することができる。従って、本実施形態では、被溶接部材Wの溶接される2つの端縁e1,e2に生じる前後差を低減することができる。
【0127】
また、本実施形態では、被溶接部材Wの送り方向における単位長さ当たりに第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分とが被溶接部材Wの径方向(上下方向)において互いに接近する距離は、その単位長さ当たりに前記第1外側案内溝32aの外側端縁e1を案内する部分と前記第1内側案内溝32bの内側端縁e2を案内する部分とが被溶接部材Wの径方向において互いに接近する距離よりも大きいため、第3ガイド部36において両案内溝36a,36bが重なって連通している領域(図12中の領域S)の長さを小さくすることができる。このため、このような両案内溝36a,36bが重なって端縁e1,e2の端面に当接する底面がなくなった領域を少なくすることができる。これにより、第3ガイド部36において端縁e1,e2の被溶接部材Wの周方向への位置ずれを抑制しつつ、それら両端縁e1,e2を寄せ合わせることができる。その結果、第3ガイド部36において端縁e1,e2を良好な突き合わせ状態となるように寄せ合わせることができる。なお、このように被溶接部材Wの送り方向における単位長さ当たりに第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bが互いに接近する距離、すなわち、第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bの傾斜角度を大きくしても、当該案内溝36a,36bにおける両端縁e1,e2の弾性変形領域はごく一部であるので、その弾性変形に起因する両端縁e1,e2の前後差は僅かな大きさに抑えられる。
【0128】
また、本実施形態では、第3外側案内溝36aの外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分が等しい角度で傾斜しているため、両端縁e1,e2が溶接位置P側へ送られるにつれて互いに均等に接近させられる。このため、第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bにおいて前記2つの端縁e1,e2に送り方向への移動しやすさに差が生じるのを防ぐことができ、その結果、それら2つの端縁e1,e2に前後差が生じるのを防ぐことができる。
【0129】
また、本実施形態では、互いに平行に配置された第2外側案内溝34aと第2内側案内溝34bの前記送り方向における長さは、被溶接部材Wの軸方向の長さ以上の長さに設定されているため、第2ガイド部34の案内溝34a,34bに導入された端縁e1,e2を第1ガイド部32の案内溝32a,32bに全く掛からない状態で第2ガイド部34の案内溝34a,34b内に納めることができる。すなわち、本実施形態では、第1ガイド部32の案内溝32a,32bによって端縁e1,e2に前後差を生じさせるような力が全く掛けられていない状態で、端縁e1,e2を第2ガイド部34の案内溝34a,34bによって互いに平行な状態に保つことができる。従って、本実施形態では、第2ガイド部34の案内溝34a,34bにおいて被溶接部材Wの端縁e1,e2の前後差をより有効に解消することができる。
【0130】
また、本実施形態では、第2外側案内溝34aと第3外側案内溝36aとが連続して形成されている一方、第2内側案内溝34bと第3内側案内溝36bとが連続して形成されている。このため、第2外側案内溝34aから第3外側案内溝36aへ外側端縁e1が連続的に導入されるとともに第2内側案内溝34bから第3内側案内溝36bへ内側端縁e2が連続的に導入される。これにより、第2外側案内溝34aと第2内側案内溝34bにおいて互いに平行にされた2つの端縁e1,e2をその先端側(下流側)から連続的に第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bにおいて弾性変形させて寄せ合わせることができる。このため、本実施形態では、平行状態で離間させた2つの端縁e1,e2を先端側から部分的に弾性変形させて付き合わせ状態に寄せ合わせる一連の過程を円滑に行うことができる。
【0131】
また、本実施形態では、第2外側案内溝34aと第3外側案内溝36aとが連続して形成されているとともに、第2内側案内溝34bと第3内側案内溝36bとが連続して形成されているため、第2ガイド部34と第3ガイド部36の設置時に第2外側案内溝34aと第3外側案内溝36aの接続部におけるそれら案内溝間の位置ずれ及び第2内側案内溝34bと第3内側案内溝36bの接続部におけるそれら案内溝間の位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
【0132】
また、本実施形態では、溶接位置Pにおいて内側ローラ64と外側押圧部40とにより被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2を当該被溶接部材Wの内外(上下)から挟み込んで両端縁e1,e2の突き合せ状態を保持することができる。このため、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2同士を正確に突き合わせた状態で溶接することができる。
【0133】
また、本実施形態では、溶接位置Pにおいて第1外側保持ローラ66及び第2外側保持ローラ70により被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2同士を当該被溶接部材Wの周方向において寄せ合わせつつ内側ローラ64と外側押圧部40によりそれら2つの端縁e1,e2を被溶接部材Wの径方向(上下方向)において挟み込むことができるので、溶接位置Pにおいて前記2つの端縁e1,e2同士のより正確な突き合わせ状態を確保することができる。
【0134】
また、本実施形態では、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eとが別体に形成されていて、第2上側ガイド体34dの第2外側当接面形成面34rに第2下側ガイド体34eの第2内側当接面形成面34sが接触した状態で第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eとが相対的に位置固定されるように、取付部20bに第2上側ガイド体34dを支持させるとともに支持台30に第2下側ガイド体34eを支持させるだけで、第2ガイド部34の左右方向における第2外側案内溝当接面34hと第2内側案内溝当接面34kの位置が一致する構造を構成することができるため、そのような構造を構成するために第2上側ガイド体と第2下側ガイド体が第2外側案内溝当接面と第2内側案内溝当接面との間で直接繋がるように両ガイド体を形成する場合のように両当接面間の部位の微細な加工を要しない。このため、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eの加工を簡略化しつつ、第2ガイド部34の左右方向において第2外側案内溝当接面34hの位置と第2内側案内溝当接面34kの位置が一致した構造を構成することができる。
【0135】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0136】
例えば、第1ガイド部32において、第1外側案内溝32aと第1内側案内溝32bの両方が溶接位置P側(下流側)へ向かうにつれて互いに漸次接近するように傾斜していてもよい。また、第1外側案内溝が被溶接部材Wの送り方向において水平に延びており、その第1外側案内溝に対して第1内側案内溝が溶接位置P側へ向かうにつれて漸次接近するように傾斜していてもよい。
【0137】
また、第3ガイド部36において、第3外側案内溝36aと第3内側案内溝36bのうちいずれか一方の案内溝が溶接位置P側(下流側)へ向かうにつれて被溶接部材Wの径方向において他方の案内溝に接近するように傾斜していてもよい。また、第3外側案内溝36a外側端縁e1を案内する部分と第3内側案内溝36bの内側端縁e2を案内する部分とが溶接位置P側へ向かうにつれて互いに接近するように互いに異なる角度で傾斜していてもよい。
【0138】
また、第1ガイド部と第2ガイド部が一体的に設けられていて、第1外側案内溝が第2外側案内溝と連続するように形成されているとともに、第1内側案内溝が第2内側案内溝と連続するように形成されていてもよい。
【0139】
また、搬送装置は、上記実施形態で示した構成のものに限定されない。例えば、上記実施形態の搬送装置2の代わりに、複数の被溶接部材を貯留する貯留部を備えていて、その貯留部から次々に被溶接部材を第1ガイド部へ送り込むような搬送装置を設けてもよい。
【0140】
また、図18及び図19に示す第1変形例のように、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの外面に接触してその被溶接部材Wの形状を保持する7つのローラのうちいくつかのローラが、モータによって駆動されて回転し、被溶接部材Wを溶接位置Pから下流側へ送るようにしてもよい。この第1変形例に係る構成の一例が、図18及び図19に示されている。
【0141】
この第1変形例による円筒缶の製造装置は、溶接位置Pにおいて被溶接部材の周りを囲むように配置された第1上部駆動ローラ76、第2上部駆動ローラ78、第1上部保持ローラ80、第2上部保持ローラ82、第1下部駆動ローラ84、第2下部駆動ローラ86及び下部保持ローラ88と、4つの電動モータ90と、4つのモータ側プーリ92と、4つのローラ側プーリ93と、4つの駆動ベルト94とを備えている。
【0142】
第1上部駆動ローラ76と第2上部駆動ローラ78は、上記実施形態の第1外側保持ローラ66と第2外側保持ローラ70の代わりにそれら第1外側保持ローラ66と第2外側保持ローラ70と同様に配置されている。この第1上部駆動ローラ76及び第2上部駆動ローラ78は、本発明の外側ローラの概念に含まれるものである。第1上部保持ローラ80、第2上部保持ローラ82、第1下部駆動ローラ84、第2下部駆動ローラ86及び下部保持ローラ88は、上記実施形態の第5ローラ60bの代わりにそれら第5ローラ60bと同様に配置されており、この順番で第1上部駆動ローラ76側から第2上部駆動ローラ78側へ被溶接部材Wの周方向に並んで配設されている。第1上部保持ローラ80、第2上部保持ローラ82及び下部保持ローラ88の構成は、上記実施形態においてそれぞれ対応する位置に配設された第5ローラ60bの構成と同様である。
【0143】
4つの電動モータ90は、それぞれ、第1上部駆動ローラ76、第2上部駆動ローラ78、第1下部駆動ローラ84及び第2下部駆動ローラ86に対応して設けられている。各電動モータ90の駆動軸には、モータ側プーリ92がそれぞれ装着されており、当該各電動モータ90の駆動に伴って各モータ側プーリ92が軸回りに回転する。第1上部駆動ローラ76、第2上部駆動ローラ78、第1下部駆動ローラ84及び第2下部駆動ローラ86には、それぞれローラ側プーリ93が同軸に装着されている。そして、この各ローラ側プーリ93と対応するモータ側プーリ92とには、駆動ベルト94がそれぞれ掛け回されている。これにより、各電動モータ90によって回転された各モータ側プーリ92の回転力が対応する駆動ベルト94を介して対応するローラ側プーリ93に伝達され、そのローラ側プーリ93が装着された前記駆動ローラが軸回りに回転し、それによって、各駆動ローラ76,78,84,86により被溶接部材Wが下流側へ送られるようになっている。
【0144】
また、第1上部駆動ローラ76と第2上部駆動ローラ78は、図19に示すように、被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2同士を被溶接部材Wの周方向において互いに寄せ合わせた状態で保持するとともに、それらの端縁e1,e2を内側ローラ64に対して押さえ付ける。すなわち、この第1変形例では、溶接位置Pにおいて被溶接部材Wの2つの端縁e1,e2が、第1上部駆動ローラ76及び第2上部駆動ローラ78により被溶接部材Wの周方向において互いに寄せ合わされるとともに、外側押圧部40、第1上部駆動ローラ76及び第2上部駆動ローラ78と内側ローラ64によって被溶接部材Wの径方向(上下方向)において挟み込まれ、それによって、2つの端縁e1,e2が互いに突き合わされた状態で保持される。
【0145】
なお、この第1変形例では、搬送装置2により被溶接部材Wが溶接位置Pから僅かに上流側の所定位置までしか搬送されない。すなわち、この第1変形例では、搬送装置2の搬送アーム24が溶接位置Pの僅かに上流側の所定位置までしか被溶接部材Wの後端部(上流側の端部)を押動せず、その後、前記各駆動ローラ76,78,84,86の回転によって被溶接部材Wが下流側へ送られる。
【0146】
また、図20〜図23に示す第2変形例のように、第2ガイド部34を構成する第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eは、一体的に形成されていてもよい。
【0147】
具体的には、この第2変形例では、図23に示すように、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eは、第2外側案内溝当接面34hと第2内側案内溝当接面34kとの間の位置で直接繋がり、一体的に形成されている。なお、第2外側案内溝34a及び第2内側案内溝34bの構成は、上記実施形態における第2外側案内溝34a及び第2内側案内溝34bの構成と同様である。
【0148】
また、この第2変形例では、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eは、上記実施形態のように中心位置の左右に位置する部材が別体に構成されておらず、その左右に位置する部材が一体的に形成されている。また、この第2変形例では、第3上側ガイド体36dと上側連結体37dと第4上側ガイド体38dとが一体的に形成されており、第3下側ガイド体36eと下側連結体37eと第4下側ガイド体38eとが一体的に形成されている。なお、第3上側ガイド体36d、上側連結体37d及び第4上側ガイド体38dからなる部材と、第3下側ガイド体36e、下側連結体37e及び第4下側ガイド体38eからなる部材とは、別体に形成されており、互いに繋がっていない。そして、第2上側ガイド体34dと、第3上側ガイド体36d、上側連結体37d及び第4上側ガイド体38dからなる部材とは、別体に形成されており、第2下側ガイド体34eと、第3下側ガイド体36e、下側連結体37e及び第4下側ガイド体38eからなる部材とは、別体に形成されている。
【0149】
また、ガイド機構4は、第2上側ガイド体34dと、第3上側ガイド体36d、上側連結体37d及び第4上側ガイド体38dからなる部材とを保持する上側ホルダ96と、第2下側ガイド体34eと、第3下側ガイド体36e、下側連結体37e及び第4下側ガイド体38eからなる部材とを保持する下側ホルダ97とを備えている。
【0150】
上側ホルダ96は、その上面が取付部20b(図1及び図2参照)の下面に接触した状態で取付部20bに締結されており、取付部20bに対して着脱可能となっている。上側ホルダ96には、その長手方向に延び、下側に開口する溝部96aが設けられている。第2上側ガイド体34dと、第3上側ガイド体36d、上側連結体37d及び第4上側ガイド体38dからなる部材は、その長手方向に沿って上側ホルダ96の溝部96aに端から挿嵌され、その挿嵌された状態で上側ホルダ96と締結されている。
【0151】
また、下側ホルダ97は、その下面が支持台30(図1及び図2参照)の上面に接触した状態で支持台30に締結されており、支持台30に対して着脱可能となっている。下側ホルダ97には、その長手方向に延び、上側に開口する溝部97aが設けられている。第2下側ガイド体34eと、第3下側ガイド体36e、下側連結体37e及び第4下側ガイド体38eからなる部材は、その長手方向に沿って下側ホルダ97の溝部97aに端から挿嵌され、その挿嵌された状態で下側ホルダ97と締結されている。
【0152】
この第2変形例では、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eが第2外側案内溝当接面34hと第2内側案内溝当接面34kとの間で直接繋がっているため、被溶接部材Wが第2ガイド部34において周りから第3ローラ機構56の複数の第3ローラ56bにより押さえ付けられて保持されたときに被溶接部材Wの外側端縁e1が第2外側案内溝当接面34hを左方へ押し、被溶接部材Wの内側端縁e2が第2内側案内溝当接面34kを右方へ押したとしても、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eが左右方向において分離せず、第2外側案内溝当接面34hに当接している外側端縁e1の左方に向かう端面の位置と第2内側案内溝当接面34kに当接している内側端縁e2の右方に向かう端面の位置とが左右方向において一致した状態を確実に維持することができる。仮に、第2上側ガイド体34dと第2下側ガイド体34eが別体に形成されていて左右方向において容易に分離し得る状態で設置されている場合には、被溶接部材Wの外側端縁e1が第2外側案内溝当接面34hを左方へ押し、被溶接部材Wの内側端縁e2が第2内側案内溝当接面34kを右方へ押したときに、両端縁e1,e2同士が互いに重なってしまう。この場合には、その後、溶接位置Pにおいて両端縁e1,e2が互いに重なった状態で溶接されてしまう。これに対して、この第2変形例では、第2ガイド部34において、左右方向における両端縁e1,e2の端面の位置が一致した状態を確実に維持することができるため、その後の第3ガイド部36及び溶接位置Pにおいて両端縁e1,e2同士が重ならず、それらの端面同士が突き合わされた状態を保つことができ、確実に両端縁e1,e2の端面同士が付き合わされた状態でそれら両端縁e1,e2同士を溶接することができる。
【符号の説明】
【0153】
2 搬送装置
4 ガイド機構
8 溶接装置
20b 取付部(上側支持体)
30 支持台(下側支持体)
32 第1ガイド部
32a 第1外側案内溝
32b 第1内側案内溝
34 第2ガイド部
34a 第2外側案内溝
34b 第2内側案内溝
34d 第2上側ガイド体
34e 第2下側ガイド体
34h 第2外側案内溝当接面
34k 第2内側案内溝当接面
36 第3ガイド部
36a 第3外側案内溝
36b 第3内側案内溝
40 外側押圧部
62 保持機構
64 内側ローラ
66 第1外側保持ローラ(外側ローラ)
70 第2外側保持ローラ(外側ローラ)
76 第1上部駆動ローラ(外側ローラ)
78 第2上部駆動ローラ(外側ローラ)
e1 外側端縁(端縁)
e2 内側端縁(端縁)
P 溶接位置
W 被溶接部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの端縁が互いに略平行な状態で径方向に離間するように丸められた金属板の前記2つの端縁同士を溶接することにより円筒缶を製造する円筒缶の製造装置であって、
前記丸められた金属板である被溶接部材を前記2つの端縁の延びる方向に沿って送る搬送装置と、
所定の溶接位置でレーザを照射することにより前記搬送装置によって送られて移動している前記被溶接部材の前記2つの端縁同士をレーザ溶接する溶接装置と、
前記搬送装置によって送られる前記被溶接部材の前記2つの端縁を前記溶接位置へ案内するためのガイド機構とを備え、
前記ガイド機構は、前記2つの端縁が前記被溶接部材の径方向において互いに離間した状態から前記溶接位置側へ向かうにつれて漸次接近するように当該2つの端縁を案内する第1ガイド部と、前記第1ガイド部の前記溶接位置側に配設され、前記2つの端縁を前記第1ガイド部によって接近させられた後の離間距離で互いに平行な状態に保ちながら前記溶接位置側へ案内する第2ガイド部と、前記第2ガイド部の前記溶接位置側に配設され、前記被溶接部材の径方向において前記2つの端縁を部分的に弾性変形するように互いに寄せ合わせてそれら2つの端縁の端面同士が突き合わされるように当該2つの端縁を前記溶接位置へ案内する第3ガイド部とを有する、円筒缶の製造装置。
【請求項2】
前記第1ガイド部は、前記2つの端縁のうち前記被溶接部材の径方向外側に位置する端縁である外側端縁が差し込まれる第1外側案内溝と、前記2つの端縁のうち前記被溶接部材の径方向内側に位置する端縁である内側端縁が差し込まれる第1内側案内溝とを有し、
前記第2ガイド部は、前記外側端縁が差し込まれる第2外側案内溝と、前記内側端縁が差し込まれる第2内側案内溝とを有し、
前記第3ガイド部は、前記外側端縁が差し込まれる第3外側案内溝と、前記内側端縁が差し込まれる第3内側案内溝とを有し、
前記第1外側案内溝、前記第2外側案内溝及び前記第3外側案内溝は、前記外側端縁を前記溶接位置側へ連続的に案内する一方、前記第1内側案内溝、前記第2内側案内溝及び前記第3内側案内溝は、前記内側端縁を前記溶接位置側へ連続的に案内し、
前記第1外側案内溝と前記第1内側案内溝のうち少なくとも一方の案内溝の前記端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において他方の案内溝の前記端縁を案内する部分に漸次接近するように傾斜しており、
前記第3外側案内溝と前記第3内側案内溝のうち少なくとも一方の案内溝の前記端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において他方の案内溝の前記端縁を案内する部分に接近するように傾斜しているとともに、その最も前記溶接位置に近い部分で前記被溶接部材の径方向における位置が互いに一致して連通しており、
前記搬送装置による前記被溶接部材の送り方向における単位長さ当たりに前記第3外側案内溝と前記第3内側案内溝とが前記被溶接部材の径方向において互いに接近する距離は、その単位長さ当たりに前記第1外側案内溝と前記第1内側案内溝とが前記被溶接部材の径方向において互いに接近する距離よりも大きい、請求項1に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項3】
前記第3外側案内溝の前記外側端縁を案内する部分と前記第3内側案内溝の前記内側端縁を案内する部分は、前記溶接位置側へ向かうにつれて前記被溶接部材の径方向において互いに接近するように等しい角度で傾斜している、請求項2に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項4】
前記第2外側案内溝の前記外側端縁を案内する部分と前記第2内側案内溝の前記内側端縁を案内する部分は、前記搬送装置による前記被溶接部材の送り方向に沿って延びるとともに、互いに離間した状態で平行に配置され、
この第2外側案内溝と第2内側案内溝の前記送り方向における長さは、前記被溶接部材の長さ以上の長さに設定されている、請求項2又は3に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項5】
前記第2ガイド部と前記第3ガイド部とは、一体的に設けられ、
前記第2外側案内溝と前記第3外側案内溝とが、連続して形成されている一方、前記第2内側案内溝と前記第3内側案内溝とが、連続して形成されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項6】
前記溶接位置において前記被溶接部材の前記2つの端縁の内面に接触する内側ローラと、前記溶接位置において前記被溶接部材の前記2つの端縁の外面に接触し、それら2つの端縁を前記内側ローラとの間で挟み込む外側押圧部とを有し、前記溶接位置において前記内側ローラと前記外側押圧部との間で前記2つの端縁を挟み込むことによってそれら2つの端縁の突き合わせ状態を保持する保持機構をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項7】
前記保持機構は、前記被溶接部材の周方向において前記外側押圧部を挟んで両側の位置に分かれて配設され、前記2つの端縁のうち対応するものの外面にそれぞれ接触してそれら2つの端縁同士を前記被溶接部材の周方向において寄せ合わせる一対の外側ローラをさらに有する、請求項6に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項8】
前記第2外側案内溝は、前記被溶接部材の送り方向に直交する左右方向において前記第2ガイド部内の特定の位置から前記左右方向における前記第2ガイド部の一方の側面に至る領域に設けられ、前記第2内側案内溝は、前記第2外側案内溝よりも下側に位置し、前記左右方向において前記第2ガイド部内の前記特定の位置から前記第2ガイド部の前記一方の側面と反対側の側面である他方の側面に至る領域に設けられ、
前記第2外側案内溝の内面は、前記第2ガイド部内の前記特定の位置に配置されて前記一方側を向き、当該第2外側案内溝に差し込まれた前記外側端縁の端面と当接する第2外側案内溝当接面を有し、
前記第2内側案内溝の内面は、前記第2外側案内溝当接面の下方で前記左右方向における前記第2外側案内溝当接面の位置と一致した位置に配置されて前記他方側を向き、当該第2内側案内溝に差し込まれた前記内側端縁の端面と当接する第2内側案内溝当接面を有し、
前記第2ガイド部は、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の上側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の上側に位置する部位を構成し、前記第2外側案内溝当接面を形成する第2上側ガイド体と、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の下側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の下側に位置する部位を構成し、前記第2内側案内溝当接面を形成する第2下側ガイド体とを有し、
前記第2上側ガイド体と前記第2下側ガイド体とは、前記第2外側案内溝当接面と前記第2内側案内溝当接面との間の位置で互いに繋がっている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の円筒缶の製造装置。
【請求項9】
前記第2外側案内溝は、前記被溶接部材の送り方向に直交する左右方向において前記第2ガイド部内の特定の位置から前記左右方向における前記第2ガイド部の一方の側面に至る領域に設けられ、前記第2内側案内溝は、前記第2外側案内溝よりも下側に位置し、前記左右方向において前記第2ガイド部内の前記特定の位置から前記第2ガイド部の前記一方の側面と反対側の側面である他方の側面に至る領域に設けられ、
前記第2外側案内溝の内面は、前記第2ガイド部内の前記特定の位置に配置されて前記一方側を向き、当該第2外側案内溝に差し込まれた前記外側端縁の端面と当接する第2外側案内溝当接面を有し、
前記第2内側案内溝の内面は、前記第2外側案内溝当接面の下方で前記左右方向における前記第2外側案内溝当接面の位置と一致した位置に配置されて前記他方側を向き、当該第2内側案内溝に差し込まれた前記内側端縁の端面と当接する第2内側案内溝当接面を有し、
前記第2ガイド部は、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の上側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の上側に位置する部位を構成する第2上側ガイド体と、その第2上側ガイド体とは別体に形成され、当該第2ガイド部のうち前記第2外側案内溝の下側に位置する部位及び前記第2内側案内溝の下側に位置する部位を構成する第2下側ガイド体とを有し、
前記第2上側ガイド体は、前記左右方向における前記特定の位置において前記一方側を向き、前記第2外側案内溝当接面を形成する部位を含む第2外側当接面形成面を有し、
前記第2下側ガイド体は、前記左右方向における前記特定の位置において前記他方側を向き、前記第2内側案内溝当接面を形成する部位を含む第2内側当接面形成面を有し、
前記製造装置は、前記第2上側ガイド体を支持する上側支持体と、その上側支持体に支持された前記第2上側ガイド体の前記第2外側当接面形成面のうち前記第2外側案内溝当接面を形成する部位の下側に位置する部位に前記第2下側ガイド体の前記第2内側当接面形成面のうち前記第2内側案内溝当接面を形成する部位の上側に位置する部位が接触した状態で前記第2上側ガイド体に対する前記第2下側ガイド体の相対的な位置が固定されるように前記第2下側ガイド体を支持する下側支持体とを備える、請求項2〜5のいずれか1項に記載の円筒缶の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−30287(P2012−30287A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137180(P2011−137180)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000191180)新日本工機株式会社 (51)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】