説明

再循環システムに組み込まれた、断続的な誘電加熱による熱処理を備えた化学合成法

【課題】製造すべき分子の複雑さがどのようであれ、収益性が高く、前記分子の合成に必要な反応時間と過程の数を削減し得る化学合成法を提供する。
【解決手段】再循環システムに組み込まれた、断続的な誘電加熱による方法であって、この方法は、再循環システムによって断続的に、反応物質を300GHzから3MHzの周波数から選択される電磁波にかけることからなり、反応物質のすべてのボリュームが恒常的に誘電波にさらされるのではなく、反応物質の混合物のすべての分子が断続的にフィールドにかけられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野および解決すべき課題
製造すべき分子の複雑さがどのようであれ、化学者は、収益性を絶えず考慮して、前記分子の合成に必要な反応時間と過程の数を削減しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
多くの研究が、反応の過程とその速度に作用しうるさまざまなパラメータを制御するために行われている。溶媒や触媒のような補助薬が広く開発されている。これらの化合物は反応媒体を活性化させるが、該化合物は人や環境に有害であることがあり、中和、洗浄、乾燥、濾過のような、経済的に不利な後処理を必要としている。
【0003】
今日では、単純で経済的であり、人や人の環境を重視する製造方法へ向かう傾向にある。
【0004】
物理的な方法がテストされてきている。つまり、超音波、高周波、そして近年ではマイクロ波を利用している。
【0005】
誘電加熱によって行われる、つまり、マイクロ波または高周波の周波数の下での加熱によって行われるさまざまな実験により、この新技術への関心が高まっている。つまり、誘電加熱により、実際、時間とエネルギーのかなりの節約が可能になるのであり、該節約はより小さな投資コストに結びつき、反応は、溶媒も触媒も使う必要がなくなり、「燃焼」や望まれない反応が避けられる。
【0006】
現状での高周波とマイクロ波のアプリケータは数多くあるのだが、それらはすべて、反応媒体が電磁波に恒常的にさらされるように構成されることで、この新技術による利点を得られるようになっている。処理される物質の量は、制限されている。つまり、実際には、量は導波路の寸法によって決まるのであり、該寸法自体が規格化されているのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の概要
本出願人は、化学合成で必要とされる熱処理の新しい方法を見出した。それは、再循環システムに組み込まれた、断続的な誘電加熱である。反応物質は、再循環システムによって断続的に電磁波にかけられる。電磁波は、300GHzから3MHzの周波数から選ばれる。
【0008】
この方法はオリジナルのものであり、経済的である。つまり、該方法によって、継続的な誘電加熱の利点を損なうことなく、さまざまなレベル、研究所レベルや、半産業的あるいは産業的なレベルでも作業することが可能になるのである。
【0009】
適用
本発明によって、効率的で素早い熱処理を、さまざまなレベル、研究所レベルや、半産業的あるいは産業的なレベルでも行うことが可能になる。
【0010】
本発明は、あらゆる「熱適用」、つまり熱処理を必要とする化学合成に関するものであり、該化学合成は、単一の反応物質、またはさまざまな割合における反応物質の混合物を、触媒を用いてあるいは用いずに、「処理用」ガスを用いてあるいは用いずに介在させるものである。
【0011】
「熱適用」としては、非制限的な例として、エステル化、エステル交換、エポキシ化、硫酸化、ホスフィテーション、水素化、過酸化、異性化、脱水、クオータニゼーション、アミド形成、重合化、重縮合化の反応、および、脱色、脱臭および揮発性化合物のその他の除去システムのような通常のあらゆる処理反応を挙げることができる。
【0012】
本発明は実際、特徴的には「脂質化学」のあらゆる反応に適用されるものである。
【0013】
この発明技術によって、たとえば、マイクロ波での断続的な誘電加熱による、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、あるいは、これらの生成物の派生物などの重合体を製造することが可能になる。本出願人は、この課題に関して、仏国特許出願第9813770号およびPCT国際公開第WO00/26265号(PCT/FR99/02646)を出願している。
【0014】
従来技術
本発明の技術分野は、あらゆる熱処理のための、マイクロ波あるいは高周波の電磁波を利用することに関するものである。
【0015】
周波数MOおよびHF
マイクロ波MOの周波数は、約300MHzと約30GHzの間に含まれ、好ましくは915MHz(1.4%の誤差が許容される周波数)または2.45GHz(2%の誤差が許容される周波数)である。
【0016】
高周波HFは、約3MHzと約300MHzの間に含まれ、好ましくは13.56MHz(0.05%の誤差が許容される周波数)あるいは27.12MHz(0.6%の誤差が許容される周波数)である。
【0017】
消費電力
消費電力Paは、放射電力Piとシステムによる損失に応じるものである。
【0018】
ほとんど電磁波を吸収しない生成物と、所与の放射電力Piに対しては、消費電力Paは減少し、損失、特に静電気による損失は増加する。
【0019】
実際、
Pi=Pa+損失であり、
ここで、
Pi=Wで表示される放射電力、
Pa=Wで表示される消費電力、
損失=熱量の損失+静電気である。
【0020】
HF処理またはMO処理における、ある物質による消費電力(ワット表示)は、
Pa=kfε’’E2V、
という公式によって求められ、ここで、
PaはWで表示される消費電力、
EはV/cmで表示される物質内部で生成される電界、
fはウェーブの周波数、
Kは定数(M.K.S.A)=5.56×10-13
Vはcm3で表示される物質の体積、
ε’’は物質の損失係数=ε’tangδ、
ε’は物質の実質的な比誘電率=ε0×εr
ε0は真空誘電率、
εRは誘電定数、
tangδは損失角である。
【0021】
ε’はフィールドを指向する物質の適性として、tangδは該物質の熱を発散する能力として解釈される。
【0022】
注意:空気または真空に対しては、ε’=1(ε’に対する最小値)かつtangδ=0、すなわちε’’=0である。
【0023】
エネルギーのアプリケータのタイプ
エネルギーのアプリケータのタイプの選択は、用いられる技術(高周波またはマイクロ波)、処理すべき生成物の寸法的な特徴、およびその処理態様に応じて決まる。
【0024】
高周波のアプリケータについては、主に、
−二つのコンデンサの電極によって形成される容量性タイプのアプリケータが対象であり、該電極の間で発生器の高周波電圧が印加される。該アプリケータは、ボリュームが、面の一つが十分に厚い(>10mm)平行六面体を構成する物質の熱処理のために用いられる。
−平らな物質用の格子式アプリケータであり、管状電極で構成されるか、バー状のものが対象となる。該アプリケータは、ボリュームが、面の一つが十分には厚くない(<10mm)平行六面体を構成する物質の熱処理のために用いられる。
−糸状の物質用のアプリケータであり、リングで形成されているものが対象となる。
【0025】
マイクロ波のアプリケータとしては、
−局限されたフィールドに対するアプリケータ、つまりモノモードの空洞共振器と、
−分散したフィールドに対するアプリケータ、つまりマルチモードの空洞共振器と、
−近接場に対するアプリケータ、つまり放射状のアンテナがついたガイドを挙げることができる。
【0026】
これらマイクロ波のアプリケータの中には、市販されているものとして、たとえば、
−1mLから100mlまたは600mLまでの反応炉で構成されているsynthewave402およびsynthewave1000と、
−1から125mLまでの反応炉が付いたDiscoverと、
−400mL未満の容量であるEthos MRがある。
【0027】
破壊すなわち電気アークの危険性
本出願人は、誘電加熱を実施するための高性能機器に関する仏国特許出願第0108906号を出願している。前記特許において、その発明はパイプの新しい形状または構造、特に円錐形の形状または構造のパイプに関するものであり、該パイプによって、マイクロ波あるいは高周波の周波数の下であらゆるタイプの生成物を、大きな出力密度で静的または動的に、電気アーク、すなわち「破壊」の危険性もなく、加熱することが可能になっている。
【0028】
当業者は、さらなる詳細について該文献を参照できるものである。簡便さのために、以下に要約を挙げておく。
【0029】
あまり吸収しない分子の場合、アプリケータの選択は複雑である。アプリケータは実際、生成物に多くの電磁エネルギーを伝送することで、電気アークを避けながら加熱できるようにしなければならない。
【0030】
マイクロ波周波数での加熱が高周波よりも好ましいのだが、それは該高周波に対して、破壊の危険性がより大きいからである。
【0031】
「モノモード」(局限フィールド)のシステムは、ガイドの方向において半径方向にしたがった送信周波数に共振するモノモードの空洞共振器で形成されており、「マルチモード」(分散フィールド)よりも好まれる。モノモードのシステムによって、電界の不均一な配分と加熱点の存在を避けられる。同様に、このタイプの反応炉は、さらされる生成物の安定性を促進する。
【0032】
通常の円筒形のパイプを備えたモノモードのアプリケータは、吸収の少ない分子に対する通常のあらゆるアプリケータの中でもっともよく採用されているのだが、該アプリケータによっては、破壊の危険性なしで、強い出力密度で作動させることはできない。
【0033】
しかし、反応媒体に水のような極性化合物を挿入することで、エネルギー伝送を媒介させる役割を果たし、そうして必要な出力密度を下げるようにすることは、満足のいくものではない。望んでいない第二の反応が起こる可能性があり、反応の終わりに生成物を精製するために、中和、洗浄、乾燥、あるいは濾過のような補助的な処理が必要となる可能性がある。
【0034】
吸収の少ない化合物に関連する問題を改善するための一つの可能性は、静電気が反応炉の外壁で生じるに連れて、該静電気を放出させることからなるものである。静電気を放出させるためには、湿った空気またはそれに準ずるその他のガスによる良好なベンチレーションをその誘電定数のレベルで(例:1バールにおける六フッ化硫黄SF6)促進させること(第一の解決法)か、あるいは、パイプに風を送り込むようにこれらパイプの形状を適合化させること(第二の解決法)が必要である。第一の解決法は、設置の複雑さ、安全性およびコストの問題のために有利だとは考えられない。
【0035】
本出願人は、パイプの新しい形状または構造、とりわけ円錐形のパイプを見出したのであり、該パイプによって、あらゆるタイプの生成物をマイクロ波または高周波の周波数で、高い出力密度で静的あるいは動的に、電気アークすなわち「破壊」の危険性もなく加熱することが可能になっている。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明の説明
本出願人は新しい熱処理の方法を見出したのだが、該方法は、単一あるいは混合物である反応物質を、再循環システムによって断続的に電磁波にかけることからなるものである。
【0037】
電磁波は、300GHzから3MHzまでの周波数から選択される。
【0038】
この方法は、生産能力を高めながら、恒常的な誘電加熱の利点を保持するものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】複数の反応炉を電磁波にかける場合において、誘電加熱を実行するための概略図
【図2】同一の反応炉に複数のアプリケータを用いる場合において、誘電加熱を実行するための概略図
【図3】再循環システムの一部を表す概略図
【図4】再循環システムの一部を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0040】
物質の説明
断続的な加熱による方法は、単純で経済的である。該方法は、
−ポンプ、
−電磁界にかけられる反応炉、
−アプリケータ、パイプ、導波路、発生器、振動板、短絡回路のピストン、冷却システムからなる誘電システム、
−緩衝反応炉、
−容器、
−ガス、好ましくは窒素のような不活性ガスの回路、
−コンデンサ、
−計測器で構成される。
【0041】
ポンプ
一つまたは複数のポンプは、変動的な流量である。
【0042】
それは、供給定量ポンプ、および/または、再循環ポンプ、および/または、真空式ポンプであってよい。再循環ポンプの流量は、ウェーブ下の分子の通過時間に作用する。
【0043】
ポンプは、例示としては、ベーン・ポンプまたはピストン・ポンプから選択することができる。
【0044】
電磁界にかけられる反応炉
電磁界にかけられる反応炉は、ウェーブを吸収しない(パイレックス(登録商標)、水晶など)。
【0045】
該反応炉は、従来、円筒形の形状をしている。
【0046】
該反応炉は、アプリケータの内部に位置づけられている。
【0047】
アプリケータ、パイプ、導波路、発生器、振動板、短絡回路のピストン、冷却システムからなる誘電システム
アプリケータはモノモードの空洞共振器で形成され、該共振器は、導波路の方向において半径方向にしたがった送信周波数に共振する。
【0048】
パイプは、導波路の外部へウェーブが逃げることを妨げる。該パイプは、好ましくは、本出願人による仏国特許出願第0108906号明細書に示されているように円筒円錐形の形状をしていることによって、電気アークの存在を抑えるようにしている。
【0049】
一つまたは複数の導波路は、電磁波を搬送する。各導波路は、二つかつ二つのみの導波路に分割することができる。
【0050】
用いられる発生器は、マイクロ波発生器または高周波発生器である。
【0051】
マイクロ波MOの周波数は約300MHzと約30GHzの間に含まれ、好ましくは915MHz(1.4%の誤差が許容される周波数)あるいは2.45GHz(2%の誤差が許容される周波数)である。
【0052】
高周波HFは約3MHzと約300MHzの間に含まれ、好ましくは13.56MHz(0.05%の誤差が許容される周波数)または27.12MHz(0.6%の誤差が許容される周波数)である。
【0053】
発生器は安全機構を備えており、該安全機構は、入射波を通過させ、反射波をウェーブが吸収される水負荷へ逸らすものである。
【0054】
該発生器はまた、振動板、短絡回路のピストンを使用することで、反射パワーを和らげ、発生器によって放出されるパワーの吸収を反応物質の混合物によって促進させるようにすることも必要としている。
【0055】
システムは冷却システムを備えていることで、あらゆる過熱を避けるようになっている。
【0056】
緩衝反応炉
緩衝反応炉によって、より大量の反応物質の混合物を処理できるようになっている。
【0057】
容器
システムは、供給容器、受容器、濾過用容器を備えている。
【0058】
ガスの回路
熱処理は、通常の空気、または酸素に富む空気、あるいは好ましくは不活性の空気のもとで行われる。
【0059】
計測器
システムは、圧力計、サーモカップル、流量計のような計測器を装備している。
【0060】
この方法は、動的あるいは継続的に用いることができる。
【0061】
断続的な加熱の原理
反応物質のすべてのボリュームが恒常的にウェーブにさらされるわけではなく、反応物質の混合物のすべての分子は、断続的にフィールドにかけられる。
【0062】
断続的な誘電加熱を実行するために、さまざまな構成を考えることができる。
【0063】
第一は、複数の反応炉を電磁波にかけることである。図1を参照のこと。
【0064】
第二は、同一の反応炉に複数のエネルギー・アプリケータを用いることである。図2を参照のこと。
【0065】
アプリケータの数は、作業しようとする温度、処理すべき生成物の量、反応温度までの上昇時間、反応物質の誘電定数によって決まる。
【0066】
当業者には、これら二つの構成が唯一の可能性というわけではなく、本発明がその他のあらゆる中間的な配置に関わるものであることが理解されるだろう。
【0067】
さらに、本出願人はオリジナルのシステムを見出したのだが、該システムは反応物質の混合物をリング状に循環させることからなり、そうして生産能力に見合った投資コストを削減するものである。この再循環システムがなければ、実際、大きな寸法の反応炉と多くのアプリケータを用いることで、同一量の生成物を加熱し、望まれる結果を出すことが必要となってしまい、このことは、巨大なコストをもたらすことになってしまう。図3を参照のこと。
【0068】
再循環システムに組み込まれた断続的な誘電加熱によって生産能力を増大させることができるのだが、該生産能力は恒常的な誘電加熱システムでは制限されるものであって、該システムについては、アプリケータが処理すべきすべてのボリュームを覆っているところが図4または図3に示されている。
【0069】
この方法は、動的あるいは継続的に用いることができる。
【0070】
この構成によると、反応物質のすべてのボリュームが恒常的にウェーブにさらされるのではなく、反応物質の混合物のすべての分子は断続的にフィールドにかけられる。
【0071】
この原理によると、本発明は、論理的には機能するとは限らない、つまり、論理的には良好な結果を出すとは限らないことに注意すべきである。実際、一つの分子は、その循環時間の一部の間、たとえば全体で10sのうちの1sの間のみ電磁波にかけられることになる。すべての当業者には、このことは非常に貧弱な結果(非効果的な方法)あるいは無意味な結果を生み出すことになると理解されよう。しかし、驚くべきことに、逆に非常に良好な結果(下記参照)が得られ、ここでも言及した重要な利点も伴うのである。
【0072】
電磁界にさらされるボリューム
電磁界にさらされるボリュームは、
V(フィールドにさらされる)=II×R2×H
という公式にしたがって計算され、ここで、
R=フィールドにさらされる反応炉の半径、
H=フィールドにさらされる反応炉の高さである。
【0073】
パラメータH
フィールドにさらされる反応炉の高さは、従来、導波路の高さに対応していることで、一度に最大限の材料を処理できるようになっている。
【0074】
2450MHzでのモノモードのマイクロ波による熱処理の場合を考えてみよう。TE0.1モード(横電場)での導波路の高さは45mmとなる。TE0.1の基本励起モードにより、ウェーブは、TE0.2モードとは反対に、単一のアーチにしたがって伝播することができるのだが、該TE0.2モードは、二つの最大フィールドを有しており、あまり均質ではない加熱を引き起こす。
【0075】
915MHzでのモノモードのマイクロ波による熱処理の場合を考えてみよう。導波路の高さはこの場合、124mmに等しい。
【0076】
パラメータR
反応炉は従来、円筒形の形状をしている。その直径は、導波路の幅を超えてはならない。
【0077】
2450MHzでのモノモードのマイクロ波のアプリケータの場合、TE0.1モード(横電場)に留まるために推奨される導波路の幅は、およそ70と100mmの間に位置し、より特徴的には90mmである。
【0078】
915MHzでのモノモードのマイクロ波のアプリケータの場合、TE0.1モード(横電場)に留まるために推奨される導波路の幅は、250mmあたりに位置している。
【0079】
断続的な誘電加熱の利点
通常の誘電加熱システムとは反対に、本発明によって驚くべきことに、経済的な方法を保持しながら、産業レベルの材料のボリュームを加熱できるようになる。そのために、再循環システムに組み込まれた断続的な誘電加熱による方法が考案された。
【0080】
本出願人はこの発明によって、反応物質が電磁波技術による利点を、恒常的にフィールドにさらされることなく得ることを証明している。実際、誘電加熱の利点は、
1−大幅に削減された反応時間、
2−単一過程により実行された反応、
3−溶媒の不使用、
4−エネルギーの節約(時間が大幅に短縮されるため)、
5−「燃焼」および二次反応の不在、
という点で保持される。
【0081】
反応物質
本発明について、一つまたは複数の反応物質は、電磁波をほとんど吸収しない生成物か、多く吸収する生成物、または二つの混合物、ほとんど吸収しないまたは多く吸収する一つまたは複数の触媒または補助薬が添加されている生成物またはされていない生成物、および/または、処理ガスが添加されているまたはされていない生成物の中から選択することができる。
【0082】
植物由来のオイル
植物由来のオイルとして、とりわけ、セイヨウアブラナ油、ヒマワリ油、落花生油、オリーブ・オイル、クルミオイル、コーン油、大豆油、亜麻油、ベニバナ油、アプリコット・シード・オイル、アーモンド・オイル、麻油、グレープ・シード・オイル、コプラ油、ヤシ油、綿種油、ババス油、ホホバ・オイル、ゴマ油、アルガン・オイル、オオアザミ油、パンプキン・シード・オイル、ラズベリー・オイル、カランジャ・オイル、ニーム油、ケシ油、ブラジルナッツ・オイル、ヒマシ油、乾燥ヒマシの油、ヘーゼルナッツ・オイル、小麦の胚種油、ルリヂサ油、月見草油、キリ油、トールオイルを挙げることができる。
【0083】
動物由来のオイルまたは脂肪
動物由来のオイルまたは脂肪として、とりわけ、マッコウクジラのオイル、イルカのオイル、クジラのオイル、アザラシのオイル、イワシのオイル、ニシンのオイル、サメ肝油、タラ肝のオイル、牛の足のオイル、牛の脂肪、豚の脂肪、馬の脂肪、羊の脂肪(獣脂)を挙げることができる。
【0084】
動物性または植物性オイルの成分
また、植物性オイル(オリーブ・オイル、落花生油、セイヨウアブラナ油、トウモロコシ芽のオイル、綿油、亜麻油、小麦の胚種油、米糠油)の不鹸化物から抽出されたスクアレン、あるいは、大部分がサメ肝油に含まれているスクアレンのような、動物性または植物性オイルの成分を用いることもできる。
【0085】
動物または植物由来のこれらのオイルおよび脂肪、ならびにそれらの派生物は、事前処理を受けることができ、該事前処理はそれらをより活性化すること、もしくは逆にあまり活性化しないことを目的としている。本発明は、単離された反応物質にも、二つまたは複数の成分を含む反応物質の混合物にも関するものである。これら反応物質の混合物は、各成分を同じ割合で含むことができ、あるいは、ある成分が主成分となることもできる。
【0086】
炭化水素
不飽和炭化水素としては、非制限的例示として、単独または混合物状態である、たとえば一つまたは複数のテルペン炭化水素、つまり、イソプレンの一つまたは複数の重合体、またはイソブテン、スチレン、エチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペンの一つまたは複数の重合体のようなアルケン、もしくは、これらアルケンの一つまたは複数の共重合体を挙げることができる。
【0087】
飽和炭化水素として、とりわけ、エタン、プロパンのようなアルカンを挙げることができる。
【0088】
飽和エステルおよび/または不飽和エステル
飽和脂肪酸エステルおよび/または不飽和脂肪酸エステルとしては、単独または混合物状態で、そして非制限的な例示として、モノアルコールおよび/またはポリオールと、少なくとも一つの飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸の間でのエステル化によって得られる一つまたは複数のエステル、ロウ、バター、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質を用いることができる。
【0089】
飽和および/または不飽和酸
不飽和脂肪酸としては、単独または混合物状態で、そして非制限的な例示として、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸のような一つまたは複数の飽和酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセリン酸、エルカ酸のような、一つまたは複数の一価不飽和脂肪酸、たとえばリノール酸、アルファおよびガンマリノレン酸、アラキドン酸のような一つまたは複数の多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(5c−8c−11c−14c)EPA、ドコサヘキサエン酸(4c−7c−10c−13c−16c−19c)DHA、リカン酸や、リノール酸およびリノレン酸の異性体のような、共役ジエンまたは共役トリエンを含む一つまたは複数の酸、リシノール酸のような、一つまたは複数のヒドロキシル基を含む一つまたは複数の酸を用いることができる。
【0090】
アルコール
アルコールとしては、とりわけ、グリセロール、ソルビトール、スクロース、マンニトール、キシリトール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、サッカロース、ガラクトース、グルコース、マルトース、マルトトリオース、フルクトース、マルチトール、ラクチトール、ラクトース、リボース、メリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、アルトロース、グロース、ポリアルキレングリコール、ポリグリセロール、ポリフェノール、アルキルポリグルコシド、ポリグルコシド、グリコール、ペンタエリトリトール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、アミノアルコール(たとえば、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール)、エポキシアルコール、飽和脂肪アルコールまたは不飽和脂肪アルコール(例:ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール)、直鎖アルコールまたは分岐アルコール、ビタミン(たとえば、トコフェロール、アスコルビン酸、レチノール)、ステロール(フィトステロール中)、ヘミアセタール(たとえば、1−エトキシル−1−エタノール)、アミノアルコール(たとえば、2−2’−アミノエトキシエタノール)、エポキシアルコール(たとえば、2−3エポキシル−1−プロパノール)、プロパノール、エタノール、メタノール、テトラデシルアルコールおよびそれらの類似品を挙げることができる。
【0091】
アルコールならびにそれらの派生物は事前処理を受けることができ、該事前処理はそれらをより活性化すること、あるいは逆に、あまり活性化させないことを目的としており、たとえば、水素化、ヒドロキシル化、エポキシ化、ホスフィテーション、スルホン化などである。
【0092】
エポキシド
エポキシドとしては、単独または混合物として、そして非制限的な例示としては、ベルノール酸、コロナリックアシッド、1,2−エポキシ−9−デセン、3−4エポキシ−1−ブテン、2−3エポキシ−1−プロパノール、2−3エポキシ−1−プロパノールと脂肪酸との間のエステル化によって得られる脂肪エステル(たとえばCarduraE10(登録商標))を用いることができる。
【0093】
アミノアルコール
アミノアルコールとしては、単独または混合物として、また非制限的な例示としては、モノエタノールアミンMEA、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール、2−2’−アミノエトキシエタノールを用いることができる。
【0094】
アミン
アミンとしては、とりわけ、アンモニア、第一級、第二級、第三級アルキルアミン(例:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン)、脂肪アミン(例:オレイン酸アミン、ココナッツのアルキルアミン)、アミノアルコール(例:モノエタノールアミンMEA、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール)、エトキシル化アミン(2−2’−アミノエトキシエタノール、アミノ−1−メトキシ−3−プロパン)。
【0095】
これらすべてのアミンは、飽和または不飽和、直鎖または分岐であってよい。
【0096】
触媒
触媒または補助薬の中では、非制限的な例示として、通常の酸性触媒(パラトルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、過塩素酸など)、通常の塩基性触媒(炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコラート、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジンの派生物など)、Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、Purolite(登録商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)タイプの酸性および/または塩基性の樹脂、ゼオライトおよび酵素、カーボン・ブラックおよび活性化されたカーボン・ファイバーが挙げられる。
【0097】
本発明は、以下に続く説明と下記の非制限的な実施例を参照することで、よりよく理解されるものである。
【実施例1】
【0098】
以下の実施例は本発明の利点に価値を与えるものであり、これらの例によって当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、容易にその他の寸法および/または構造を応用できるようになるものである。
【0099】
以下の実施例はまったく制限的ではなく、本発明の利点を例示している。該例は、断続的な誘電加熱による方法が経済的であり、該方法によって、この技術の利点を得ながら、産業レベルでの反応物質のボリュームを加熱できることを示すことを目的としている。
【0100】
I−電磁波にさらされるボリューム
実験は、2つの発生器を用いて、研究所レベルおよび産業レベルで行われ、該発生器とは、
−研究所用処理のための、2450MHzの周波数で作動する6kWマグネトロンの1発生器と、
−産業用処理のための、915MHzの周波数で作動する60kWマグネトロンの1発生器である。
【0101】
【表1】

【0102】
II−従来型加熱と断続的な誘電加熱の比較
a−ポリグリセロールの合成
実験は、50℃で3600cPの粘性をもったポリグリセロールが得られるように、2%の酢酸ナトリウムの下、260℃で行われた。
【0103】
該実験は、仏国特許出願第0108906号明細書を参照している。
【0104】
【表2】

【0105】
b−ポリグリセロール・エステルの合成
6−ポリグリセロール・ジオレテートの合成
実験は230℃で、0.25%の酢酸ナトリウムの下で行われた。
【0106】
該実験は、仏国特許出願第0108906号明細書を参照している。
【0107】
【表3】

【0108】
2−ポリグリセロール・トリステアレートの合成
実験は260℃で、0.25%の酢酸ナトリウムの下で行われた。
【0109】
該実験は仏国特許出願第0108906号明細書を参照している。
【0110】
【表4】

【0111】
c−結論
反応物質の全体のボリュームが電磁波にさらされていなくても、断続的な誘電加熱の下での反応時間は、従来型の加熱によって得られた時間よりもはっきりと短くなっている。
【0112】
III−断続的な誘電加熱と恒常的な誘電加熱の比較
a−断続的な誘電加熱の効率
以下の表は、従来的に用いられている、恒常的な誘電加熱に対する断続的な誘電加熱の効率を表している。
【0113】
実験は同一の条件(反応物質の混合物の組成、温度、触媒など)の下で、
−恒常的な誘電加熱を用いる研究所レベル(syhthewave420の使用)と、
−断続的な誘電加熱を用いる、2450MHz発生器によるパイロットレベル、そして、
−断続的な誘電加熱を用いる、915MHz発生器による製造レベルで行われた。
【0114】
テストされた合成は、単独または混合物である、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、これらの化合物の不飽和派生物の重合体を製造することからなる。
【0115】
【表5】

【0116】
この表は、25mL、2kgまたは200kgで作業するときに反応時間が変わらないことを示している。しかし、パイロット実験と産業用実験(2kgおよび200kg)の場合には、全体のボリュームが誘電加熱にかけられるわけではなく、
−研究所実験(恒常的な誘電加熱)では、全体のボリュームが比率=1/1で電磁波にかけられ、
−パイロット実験(断続的な誘電加熱)では、1/62のボリュームだけがフィールドにさらされ、
−産業用実験(断続的な誘電加熱)では、1/50のボリュームだけがフィールドにさらされた。
【0117】
b−投資コストの削減
200リットルの生成物を恒常的な誘電加熱で処理するならば、200リットルを電磁波にかけなければならなくなる。
【0118】
2450MHzの周波数で作業すると、アプリケータによってさらされる最大量は32mLである。この構成はここでは有利とは言えない。実際、6250個のアプリケータが必要となるだろう。
【0119】
915MHzの周波数で作業すると、アプリケータによってさらされる最大ボリュームは1Lである。したがって200個のアプリケータが必要となるだろう。
【0120】
本発明については、断続的な誘電加熱によって、4個のアプリケータしか使わないことが可能になり、これはすなわち、同じ生産能力に対して50倍少ないということである(前掲の表で示されたものに一致する比率)。
【0121】
投資コストを比較することができるのだが、つまり、
X=断続的な誘電加熱で、4スロット、再循環であるシステムの投資コスト、
Y=恒常的な誘電加熱で、200スロット、再循環ではないシステムの投資コストであるとき、
Y=10×Xである。
【0122】
したがって、投資コストは、断続的な誘電加熱に比べて、恒常的な誘電加熱の場合に10倍高いことになる。これは主として、他の設備(緩衝反応炉、ポンプなど)より明らかに高価なアプリケータのコストによるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】仏国特許出願公開第9813770号明細書
【特許文献2】国際公開第WO00/26265号パンフレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学合成で必要とされる誘電タイプの熱処理方法であり、誘電加熱が断続的に行われること、つまり、一つまたは複数の反応物質が、再循環システムに組み込まれた断続的な仕方で電磁波にかけられることを特徴とする方法。
【請求項2】
電磁波が300GHzから3MHzの周波数から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
周波数が、
周波数MOおよびHFから選択され、
−マイクロ波周波数MOが約300MHzと約30GHzの間に含まれ、好ましくは915MHz(1.4%の誤差が許容される周波数)または2.45GHz(2%の誤差が許容される周波数)であり、
−高周波HFが約3MHzと約300MHzの間に含まれ、好ましくは13.56MHz(0.05%の誤差が許容される周波数)、または27.12MHz(0.6%の誤差が許容される周波数)である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
反応物質のすべてのボリュームが恒常的に誘電波にさらされるのではなく、反応物質の混合物のすべての分子が断続的にフィールドにかけられることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
一つまたは複数の反応物質が、電磁波をほとんど吸収しない生成物か、多く吸収する生成物、または二つの混合物、ほとんど吸収しないまたは多く吸収する一つまたは複数の触媒または補助薬が添加されている生成物またはされていない生成物、および/または、処理ガスが添加されているまたはされていない生成物から選択することができることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
一つまたは複数の反応物質が、
−セイヨウアブラナ油、ヒマワリ油、落花生油、オリーブ・オイル、クルミオイル、コーン油、大豆油、亜麻油、ベニバナ油、アプリコット・シード・オイル、アーモンド・オイル、麻油、グレープ・シード・オイル、コプラ油、ヤシ油、綿種油、ババス油、ホホバ・オイル、ゴマ油、アルガン・オイル、オオアザミ油、パンプキン・シード・オイル、ラズベリー・オイル、カランジャ・オイル、ニーム油、ケシ油、ブラジルナッツ・オイル、ヒマシ油、乾燥ヒマシの油、ヘーゼルナッツ・オイル、小麦の胚種油、ルリヂサ油、月見草油、キリ油、トールオイルである植物由来のオイルと、
−マッコウクジラのオイル、イルカのオイル、クジラのオイル、アザラシのオイル、イワシのオイル、ニシンのオイル、サメ肝油、タラ肝のオイル、牛の足のオイル、牛の脂肪、豚の脂肪、馬の脂肪、羊の脂肪(獣脂)である動物由来のオイルまたは脂肪と、
−植物性オイル(オリーブ・オイル、落花生油、セイヨウアブラナのオイル、トウモロコシ芽のオイル、綿油、亜麻油、小麦の胚種油、米糠油)の不鹸化物から抽出されたスクアレン、あるいは、大部分がサメ肝油に含まれているスクアレンである、動物性または植物性オイルの成分と、
−不飽和炭化水素としては、単独または混合物である、たとえば、一つまたは複数のテルペン炭化水素、つまり、イソプレンの一つまたは複数の重合体、またはイソブテン、スチレン、エチレン、ブタジエン、イソプレン、プロペンの一つまたは複数の重合体のようなアルケン、もしくは、これらアルケンの一つまたは複数の共重合体であり、
飽和炭化水素としては、たとえばエタン、プロパンのようなアルカンである炭化水素と、
−単独または混合物である、モノアルコールおよび/またはポリオールと、少なくとも一つの飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸の間でのエステル化によって得られる一つまたは複数のエステル、ロウ、バター、リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質である飽和エステルおよび/または不飽和エステルと、
−単独または混合状態である、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸のような一つまたは複数の飽和酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、ミリスチン酸、ペトロセリン酸、エルカ酸のような、一つまたは複数の一価不飽和脂肪酸、たとえばリノール酸、アルファおよびガンマリノレン酸、アラキドン酸のような一つまたは複数の多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸(5c−8c−11c−14c)EPA、ドコサヘキサエン酸(4c−7c−10c−13c−16c−19c)DHA、リカン酸や、リノール酸およびリノレン酸の異性体のような、共役ジエンまたは共役トリエンを含む一つまたは複数の酸、リシノール酸のような、一つまたは複数のヒドロキシル基を含む一つまたは複数の酸である飽和酸および/または不飽和酸と、
−グリセロール、ソルビトール、スクロース、マンニトール、キシリトール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、サッカロース、ガラクトース、グルコース、マルトース、マルトトリオース、フルクトース、マルチトール、ラクチトール、ラクトース、リボース、メリビオース、セロビオース、ゲンチオビオース、アルトロース、グロース、ポリアルキレングリコール、ポリグリセロール、ポリフェノール、アルキルポリグルコシド、ポリグルコシド、グリコール、ペンタエリトリトール、1,2−エタンジオール、1,4−ブタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、アミノアルコール(たとえば、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール)、エポキシアルコール、飽和脂肪アルコールまたは不飽和脂肪アルコール(例:ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール)、直鎖アルコールまたは分岐アルコール、ビタミン(たとえば、トコフェロール、アスコルビン酸、レチノール)、ステロール(フィトステロール中)、ヘミアセタール(たとえば、1−エトキシル−1−エタノール)、アミノアルコール(たとえば、2−2’−アミノエトキシエタノール)、エポキシアルコール(たとえば、2−3エポキシル−1−プロパノール)、プロパノール、エタノール、メタノール、テトラデシルアルコールおよびそれらの類似品であるアルコールと、
−単独または混合物である、ベルノール酸、コロナリックアシッド、1,2−エポキシ−9−デセン、3−4エポキシ−1−ブテン、2−3エポキシ−1−プロパノール、2−3エポキシ−1−プロパノールと脂肪酸との間のエステル化によって得られる脂肪エステル(たとえばCarduraE10(登録商標))であるエポキシドと、
−単独または混合物である、モノエタノールアミンMEA、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール、2−2’−アミノエトキシエタノールであるアミノアルコールと、
−アンモニア、第一級、第二級、第三級アルキルアミン(例:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン)、脂肪アミン(例:オレイン酸アミン、ココナッツのアルキルアミン)、アミノアルコール(例:モノエタノールアミンMEA、ジエタノールアミンDEA、トリエタノールアミンTEA、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、1−アミノ−2−プロパノール)、エトキシル化アミン(2−2’−アミノエトキシエタノール、アミノ−1−メトキシ−3−プロパン)であり、これらは飽和または不飽和、直鎖または分岐であってよいアミン、
から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
動物または植物由来のオイルまたは脂肪、ならびにそれらの派生物が、事前処理を受けることができ、該事前処理がそれらをより活性化すること、もしくは逆にあまり活性化しないこと(単離された反応物質も、二つまたは複数の成分を含んでいる反応物質の混合物も対象であり、これら反応物質の混合物は各成分を同等に含むことができ、またはある成分が主成分であることもできる)を目的としていることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
アルコールならびにそれらの派生物が事前処理を受けることができ、該事前処理はそれらをより活性化すること、あるいは逆に、あまり活性化させないことを目的としており、たとえば、水素化、ヒドロキシル化、エポキシ化、ホスフィテーション、スルホン化などであることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
触媒または補助薬として、
通常の酸性触媒(パラトルエンスルホン酸、硫酸、リン酸、過塩素酸など)、通常の塩基性触媒(炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコラート、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、ピリジンの派生物など)、Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)、Purolite(登録商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)タイプの、酸性および/または塩基性の樹脂、ゼオライトおよび酵素、カーボン・ブラックおよび活性化されたカーボン・ファイバーである触媒、
が用いられることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
電磁波にさらされるボリュームが、
−研究所用処理のための、2450MHzの周波数で作動する6kWマグネトロンの1発生器と、
−産業用処理のための、915MHzの周波数で作動する60kWマグネトロンの1発生器で
行われることを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の方法。
【表1】

【請求項11】
熱処理が、通常の空気または酸素に富む空気、もしくは、好ましくは不活性の空気のもとで行われることを特徴とする、請求項1〜請求項10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
あらゆる「熱適用」、つまり、熱処理を必要とする化学合成、および、単一の反応物質またはさまざまな割合における反応物質の混合物を、触媒を用いてあるいは用いずに、「処理」ガスを用いてあるいは用いずに介在させる化学合成における、請求項1〜請求項11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
「熱適用」としては、非制限的例示として、エステル化、エステル交換、エポキシ化、硫酸化、ホスフィテーション、水素化、過酸化、異性化、脱水、クオータニゼーション、アミド形成、重合化、重縮合化の反応、および、脱色、脱臭および揮発性化合物のその他の除去システムのような通常のあらゆる処理を挙げることができることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
「脂質化学」のあらゆる反応に対する、請求項1〜請求項10および請求項12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
マイクロ波での断続的な誘電加熱による、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、不飽和炭化水素、あるいはこれらの生成物の派生物の重合体を製造するための、請求項1〜請求項10および請求項12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
ポリグリセロールと、
ポリグリセロール・エステルと、
6−ポリグリセロール・ジオレテートと、
2−ポリグリセロール・トリステアレートの合成に対する、請求項1〜請求項10および請求項12のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−226405(P2009−226405A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125351(P2009−125351)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【分割の表示】特願2004−567012(P2004−567012)の分割
【原出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【出願人】(505235705)
【氏名又は名称原語表記】ALDIVIA SA
【Fターム(参考)】