説明

再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法

【課題】 従来再利用されることなく廃棄されていた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製使用済み成形体、端材を廃棄することなく、電気・電子部品、自動車部品等の原材料として再利用可能な再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物として製造する方法を提供する。
【解決手段】 繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物を圧縮比1.5〜3のフルフライトスクリューを有する単軸押出機又はコニカル二軸スクリューを有する二軸押出機に供し、270〜320℃の範囲で押し出し造粒する再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法に関するものであり、更に詳細には、成形体を製造する際に発生するスプルー、ランナー又は該成形体の不要品等からなる繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体を有効利用し、再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物とする製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、成形加工性、電気絶縁性、機械特性などに優れることから、幅広い用途に用いられている。そして、熱可塑性樹脂の成型加工方法として射出成形が知られており、射出成形により成形体とする際には、スプルー、ランナー又は規格外の成形体が発生する。
【0003】
また、近年、各種製品の小型軽量化に伴い、使用される部品も小型化が進められている。このため、これらの部品には成形性に優れる樹脂組成物も多用されているが、これらの部品には小型で薄肉なものが多い。このような小型部品の場合、部品一個に対するスプルー、ランナーの重量比率が高く、このようなスプルー、ランナーなどを廃棄すると、原料樹脂組成物の製品化率が低下するため、再利用することが試みられているが、諸物性の低下、製品色調の悪化等の課題が発生している。
【0004】
ポリフェニレンスルフィドは、熱可塑性樹脂の中でも優れた耐熱性、耐薬品性および難燃性を有することから、使用済み成形品の処理が困難であり、焼却処理の際に亜硫酸ガスを発生する場合があり、再利用が強く求められている。
【0005】
そして、ポリフェニレンスルフィドを含む原料樹脂、添加剤、さらにこの原料樹脂と添加剤とからなる組成物の成形で発生した回収成形物の粉砕品をコンパウンディングしてなるリサイクル樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照。)。また、再生ポリフェニレンスルフィド樹脂を含有してなる繊維が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−026719号公報
【特許文献2】特開2005−220475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に提案されたリサイクル樹脂組成物は、溶融粘度、メルトフローレートなどに広いバラツキを有しており射出成形に供し成形体とする際の成形条件が安定化しないばかりか、得られる成形体の力学特性も安定化しないという課題を有するものであった。また、特許文献2に提案されたものは繊維に関するものであり、成形体として利用することのできないものであった。
【0008】
そこで、本発明は、ポリフェニレンスルフィドが本来有する耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、機械的特性に優れるという特性を保持した再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドを提供することを目的とし、さらに詳しくは、電気・電子部品又は自動車電装部品などの電気部品用途に特に有用な再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物を特定の押出機を用い、特定の条件下で造粒することにより、ポリフェニレンスルフィドが本来有する耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、機械的特性に優れるという特性を保持し、成形加工性にも優れる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物を圧縮比1.5〜3のフルフライトスクリューを有する単軸押出機又はコニカル二軸スクリューを有する二軸押出機に供し、270〜320℃の範囲で押し出し造粒することを特徴とする再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法に関するものである。
【0011】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0012】
本発明の再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法は、成形済み、使用済みの繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体を粉砕した粉砕物を再度溶融混練し再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物とするものである。
【0013】
ここで、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドを用いてなる成形済み、使用済み成形体を粉砕機等により粉砕したものである。成形体とする前の繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドは、通常、ポリフェニレンスルフィド及び繊維状充填材、必要に応じタルク、炭酸カルシウム等を加え、押出機等により加熱溶融混合を行い、押し出された組成物ストランドをホットカット、コールドカット等の方法により形状を整えた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドペレットとして入手する事が可能であり、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドとしては、例えばサスティールPPS(東ソー株式会社製)、トレリナ(東レ株式会社製)、DIC−PPS(大日本インキ工業株式会社製)、フォートロン(ポリプラスチックス製)、出光PPS(出光石油化学製)、スミコン(住友ベークライト製)、ライトン(フィリップス製)等の市販品を挙げることができる。なお、ポリフェニレンスルフィドとは、p−ジクロロベンゼンに硫化ナトリウムに代表される硫化物を重縮合反応させて、精製・回収することにより得られる樹脂である。また、繊維状充填材としては、繊維状充填材として知られているものであれば如何なるものも用いることが可能であり、例えばガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、アラミド繊維等を挙げることができ、その中でも特にガラス繊維、炭素繊維であることが好ましい。
【0014】
また、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物は、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィドを成形加工に供した際に発生するスプルー、ランナー等の端材、規格外成形体、使用済み成形体等を回収し、粉砕を行ったものであり、粉砕物であれば如何なるものも用いることが可能であり、その中でも、特に再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物とする際の溶融混練性に優れることから平均粒径1〜5mmの粒状物であることが好ましい。
【0015】
本発明の再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法は、該繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物を圧縮比1.5〜3のフルフライトスクリューを有する単軸押出機又はコニカル二軸スクリューを有する二軸押出機に供し、溶融混練を行うものである。
【0016】
なお、本発明におけるフルフライトスクリューの圧縮比とは、フルフライトスクリューのメタリングゾーンの面積S1に対するフィードゾーンS2の面積比S1/S2であり、それぞれの面積はそれぞれのスクリューの溝深さから下記式(1)、(2)より算出されるものであり、
S1=(R−(R−F))π (1)
S2=(R−(R−M))π (2)
(ここで、Rはスクリュー外径、Fはフィードゾーンの溝深さ、Mはメタリングゾーンの溝深さ、πは円周率のそれぞれを示す。)
フルフライトスクリューの圧縮比が1.5未満である場合、溶融混練時の押し出し時間が長くなり、再生ポリフェニレンスルフィドが長時間高温溶融化に曝されることにより劣化が進行し、得られる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物は、耐熱性、機械的特性に劣るものとなる。一方、フルフライトスクリューの圧縮比が3を越える場合、溶融混練時の練りが効率的に利くことから、繊維状充填材の破壊が効率的に進行し、得られる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物は、機械的特性に劣るものとなる。
【0017】
また、本発明におけるコニカル二軸スクリューとは、押出機の原材料導入部から先端に進むに従いスクリュー径が細くなる二軸スクリューであり、該コニカル二軸スクリューを有する二軸押出機としては、特に機械的特性に優れる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物が得られることからコニカル二軸スクリューを有する異方向二軸押出機であることが好ましい。
【0018】
そして、フルフライトスクリュー、コニカル二軸スクリュー以外のスクリューを有する押出機である場合、フルフライトスクリュー、コニカル二軸スクリュー以外のスクリューは一般的に混練時の練りが効率的に利くものであり、溶融混練時の繊維状充填材の破壊がより顕著になることから、得られる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物は機械的特性に劣るものとなる。
【0019】
本発明の製造方法において、該単軸押出機の押し出し温度は270〜320℃の温度範囲である。ここで、押し出し温度が270℃未満である場合、繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物の溶融がうまく進行せず再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物を効率的に製造することが困難となる。一方、押し出し温度が320℃を越える場合、溶融混練時の押し出しの際に再生ポリフェニレンスルフィドの劣化が進行し、得られる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物は、耐熱性、機械的特性に劣るものとなる。
【0020】
また、本発明の製造方法において、粒状物とする際には再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物とすることが可能であれば如何なる方法をも用いることが可能であり、その中でも粒子形状の安定化した再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物が得られることから、押し出し溶融混練後のストランドをホットカット、アンダーウォーターカット又はコールドカット等の方法により形状を整えることが好ましい。その際の粒状物としては、特に成形加工に供する際の成形性に優れる再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物となることから、径=1〜5mm、長さ=3〜7mmを有する粒状物であることが好ましく、その際の形状としては、円柱形、ラグビーボール形等であることが好ましい。
【0021】
本発明の製造方法においては、再生との概念を逸脱しない限りにおいて繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物にバージンポリフェニレンスルフィド、繊維状充填材等を配合し、再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物を製造することも可能である。
【0022】
また、本発明の製造方法においては、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて通常ポリフェニレンスルフィド組成物に用いられている繊維状充填材以外の充填材である、例えば炭酸カルシウム、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム等を併用してもよい。そして、特に再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の色調変化を補填し、色調にも優れた再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物が得られることから、色調を調整する着色剤を配合することが好ましく、該着色剤としては、例えばカーボンブラック、酸化チタンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、従来再利用されることなく廃棄されていた繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製使用済み成形体、端材を廃棄することなく、電気・電子部品、自動車部品等として有用な繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物に再利用するものであり、材料費のコスト低減ばかりか、資源の有効利用の点でも有用なものである。
【実施例】
【0024】
次に、本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの例になんら制限されものではない。
【0025】
〜溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、(商品名)CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
【0026】
〜引張強度、引張伸びの測定〜
射出成形によりASTM D−638の1号試験片を作製し、該試験片を用いて、ASTM D−638に準じ、引張強度及び引張伸びを測定した。測定装置(島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用い、チャック間距離110mm、測定速度5mm/分の試験条件で行った。引張強度が高いほど機械的強度に優れ、引張伸びが大きいほど靭性に優れると判断した。
【0027】
〜曲げたわみ量、曲げ強度の測定〜
射出成形により長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.2mmの試験片を作成し、ASTM D−790MethodI(三点曲げ)に準拠し、スパン間50mm、測定速度1.5mm/分の試験条件で、曲げ強度及び曲げたわみ量の測定を行った。曲げ強度が高いほど機械的強度に優れ、曲げたわみ量が大きいほど靭性に優れると判断した。
【0028】
〜シャルピー衝撃強度〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によってシャルピー衝撃強度測定用試験片を作製し、ノッチングマシーン((株)東洋精機製作所製、(商品名)A−3型)によりノッチを入れ、シャルピー衝撃試験機((株)東洋精機製作所製、(商品名)DG−CB型)を用いて、ISO179に準拠し測定を行った。
【0029】
〜ウェルド強度の測定〜
射出成形機(住友重機械工業(株)製、(商品名)SE−75S)によって試験片を作製し、引張試験機((株)島津製作所製、(商品名)オートグラフAG−5000B)を用いて、ASTM D638に準拠し測定を行った。
【0030】
〜粉砕物、ペレット(粒状物)の径、長さの測定〜
粉砕物、ペレットを5グラム任意に抜き出し、顕微鏡を用い目視にてそれぞれの径及び長さを測定し、その平均値を径及び長さとした。
【0031】
<合成例1(PPS−2))の合成)>
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7160g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却しポリマーを遠心分離機により単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が280ポイズのポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−1と記す。)を得た。このPPS−1を、さらに酸素雰囲気下250℃で4時間硬化を行い架橋型バージンポリフェニレンスルフィド(以下、PPS−2と記す。)を得た。
【0032】
得られたPPS−2の溶融粘度は、3100ポイズであった。
【0033】
実施例及び比較例において、ガラス繊維、滑剤として以下のものを用いた。
【0034】
ガラス繊維;エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
【0035】
滑剤(カルナバワックス);日興ファインプロダクツ製、(商品名)精製カルナバ1号粉末。
【0036】
参考例1
PPS−2/ガラス繊維/カルナバワックス/=59.5/40/0.5(重量%)の割合となるように、310℃に加熱した二軸押出機(東芝機械製、(商品名)TEM−35−102B)用い、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物をホットカットにて裁断し、非再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットを作製した。
【0037】
得られた非再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.2mmであり、長さは、3.6mmであった。
【0038】
該非再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0039】
実施例1
参考例1において試験片を作成した際に発生したスプルー・ランナー、また、評価後の試験片を集め、粉砕を行い平均粒径4.1mmの粉砕物を得た。該粉砕物を310℃に加熱した圧縮比2のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)を用い、溶融混練し、ダイより流出する溶融組成物をアンダーウォーターカットにて裁断し、再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットを作製した。
【0040】
得られた再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.3mmであり、長さは、3.4mmであった。
【0041】
該再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットを、310℃に加熱した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75)のホッパーに投入し、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量を測定するための試験片、シャルピー衝撃強度を測定するための試験片、ウェルド強度を測定するための試験片をそれぞれ成形した。これら試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0042】
実施例2
圧縮比2のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)の代わりに、圧縮比3のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)を用い、アンダーウォーターカットの代わりにホットカットを行った以外は、実施例1と同様の方法により再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレット及び試験片を得、その評価を行った。
【0043】
得られた再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.4mmであり、長さは3.7mmであった。
【0044】
得られた試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
圧縮比2のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)の代わりに、コニカル二軸スクリューを有する異方向二軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により再生ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレット及び試験片を得、その評価を行った。
【0046】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.2mmであり、長さは4.1mmであった。
【0047】
得られた試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
圧縮比2のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)の代わりに、圧縮比5のフルフライトスクリューを有する単軸押出機(東洋精機製作所製、(商品名)ラボプラストミル)を用いた以外は、実施例1と同様の方法によりガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレット及び試験片を得、その評価を行った。
【0049】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.2mmであり、長さは3.5mmであった。
【0050】
得られた試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0051】
比較例2
押し出し温度310℃の代わりに、330℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレット及び試験片を得、その評価を行った。
【0052】
得られたガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの径は2.2mmであり、長さは3.7mmであった。
【0053】
得られた試験片を用い、引張強度、引張伸び、曲げ強度、曲げたわみ量、シャルピー衝撃強度、ウェルド強度をそれぞれ評価した。これらの結果を表1に示す。
【0054】
比較例3
押し出し温度310℃の代わりに、250℃とした以外は、実施例1と同様の方法によりガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィドペレットの製造を試みたが、うまく押し出すことが出来ず、ペレットを得ることはできなかった。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド製成形体粉砕物を圧縮比1.5〜3のフルフライトスクリューを有する単軸押出機又はコニカル二軸スクリューを有する二軸押出機に供し、270〜320℃の範囲で押し出し造粒することを特徴とする再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法。
【請求項2】
押し出しストランドをホットカット、アンダーウォーターカット又はコールドカットに供し、粒状物とすることを特徴とする請求項1に記載の再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法。
【請求項3】
径=1〜5mm、長さ=3〜7mmを有する粒状物とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の再生繊維状充填材強化ポリフェニレンスルフィド粒状物の製造方法。

【公開番号】特開2010−116428(P2010−116428A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288378(P2008−288378)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】