説明

写損情報集計システム

【課題】 写損ログの解析が容易に行えるように写損情報を集計することができる写損情報集計システムを提供する。
【解決手段】 写損情報集計システムは、診断目的の撮影によって得られた画像データによって表される画像が写損画像であると判定された際に、該撮影に関する写損ログを、該写損画像を表わす写損画像データと関連付けて格納する画像処理装置21及び22と、画像処理装置21及び22に格納されている写損ログ及び写損画像データを収集して、収集した写損ログを用途に合わせて集計処理する写損情報収集装置40とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像の撮影時に発生した種々の原因による失敗(以下、「写損」と称する。)を示す写損情報を集計するための写損情報集計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を用いた撮影方法は様々な分野で利用されており、特に医療分野においては、診断のための最も重要な手段の一つとなっている。最初のX線写真が実現されてから、X線写真法は数々の改良を重ねられ、現在では蛍光スクリーンとX線フィルムを組み合わせた方法が主流となっている。一方、近年においては、医療用画像診断に用いられる装置として、X線CTや超音波、MRI等の様々なディジタル化された装置が実用化されており、病院内での診断情報処理システム等の構築が進められようとしている。X線画像についても、ディジタル化するための多くの研究がなされてきたが、輝尽性蛍光体を用いた放射線撮影方法が確立され、従来のX線写真法に置き換わるものとして注目されている。
【0003】
輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)とは、放射線を照射するとその放射線エネルギの一部が蓄積され、その後、可視光等の励起光を照射すると、蓄積されたエネルギに応じて輝尽発光する物質であり、その存在は従来から知られていた。これを用いた放射線撮影方法とは、輝尽性蛍光体を塗布したシートに人体等の被写体の放射線画像を撮影記録し、この輝尽性蛍光体シートをレーザ光等の励起光で走査すると輝尽発光光が生じるので、画像読取り装置を用いて輝尽発光光を光電的に読み取ることにより画像データを得るものである。画像読取り装置に接続された画像処理装置において、この画像データを適切に処理した後、CRT等のディスプレイに出力したり、レーザプリンタ等によりフィルムに印刷したりして、放射線画像を可視画像として表示することができる。
【0004】
このような放射線撮影方法は、撮影感度や画質の面で、従来のX線写真法に匹敵する性能を持っている。例えば、従来のX線写真法と比較して、露光域が極めて広く、また、露光量に対する輝尽発光光の応答が露光域全域に渡ってほぼ比例している。このため、被写体をどのような放射線量で撮影しても、画像の存在する発光域をとらえ、過不足なく正規化してディジタル信号化することができる。また、このようにして得た信号を適切な画像処理方法と組み合わせることにより、様々な撮影条件の下でも定常的に良質な画像を提供することが可能である。さらに、直接、ディジタル化された画像情報を得ているので、画像の劣化を招くことなく、大量のデータを長期保存することが可能になるばかりか、医療診断情報システムへの発展等も可能になる。
【0005】
ところで、放射線画像の撮影においては、種々の原因による失敗(写損)が起こり得る。写損の原因としては、例えば、被写体である患者が不用意に移動してしまったような単純な原因や、撮影条件(例えば、X線量等)の設定ミスのような技術的な原因がある。
【0006】
このような写損は、撮影時期とは異なる一定の時間が経過した時点(具体的には、医師による診断や読影時)で発見されるため、不都合な点を是正して再撮影を行うためには、まず、当初の撮影条件がどのようになっていたかを知る必要がある。
【0007】
そこで、本出願人は、下記の特許文献1において、写損が発生した場合に、その再撮影を行うための撮影条件の入力を容易にするために、その放射線画像(以下、「写損画像」と称する。)に対応する撮影項目(患者の氏名、性別、生年月日及びID番号等の患者情報と、撮影年月日、撮影部位、撮影方法、撮影された輝尽性蛍光体シートのバーコード情報及び画像処理条件等の撮影情報)のコピーを作成する機能を有する画像情報処理システムを提案している。
【0008】
なお、本願の写損情報集計システムの関連技術としては、以下に示すものがある。
下記の特許文献2には、利用者が欲しい情報を欲しい形式で得ることができるようにするために、医用施設に設置された複数の医用機器により取得される、利用状況に関する利用情報、及び、医用機器自体に関する機器情報をネットワークを介して受信して記憶する情報収集提供システムと、情報収集提供システムにアクセスして利用情報及び機器情報の種類や表示形式を設定情報として送信し、情報収集提供システムから設定情報に基づいて得られた情報を受信して表示するクライアント端末とからなる情報収集提供システムが開示されている。
【0009】
また、下記の特許文献3には、メンテナンスの手間を軽減し、コストを低減すると共に、エラー発生時に迅速に対応可能とし、医用画像読取装置システムを構成する各装置を最適な状態に維持するために、装置情報集計処理において、コントローラ、予約装置及びリーダのエラー情報を装置毎にエラーログ情報テーブルに記憶し、エラー項目別のエラー発生回数を集計し、エラーログ情報表示画面を表示部に表示させ、また、制御部が、リーダから稼動情報を受信すると、稼動情報をリーダログ情報テーブルに記憶し、稼動内容別の稼動量を集計し、新たに受信した稼動情報をRAMに記憶させ、リーダ情報テーブルに記憶したリーダログ情報とRAMに記憶させた新たな稼動情報とを読み出して、リーダログ情報表示画面を表示部に表示させる医用画像読取システムが開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1の画像情報処理システムは、写損画像と対応した写損ログ(log:工程等の記録)を保存しているだけであり、写損ログの解析が必要な場合には、ユーザが写損ログの内容を確認・編集して集計を行う必要があるという問題の他に、写損ログの内容の解析はユーザに任されているため、ユーザ側の負担が大きいという問題があった。
【0011】
また、特許文献2の情報収集提供システム及び特許文献3の医用画像読取システムは、ネットワークを介して装置の状態や操作ログの情報を収集し集計し解析しているだけであり、写損ログと写損画像との対応関係が把握できないという問題があった。
【0012】
さらに、これらのシステムにおいては、それぞれのシステムで写損ログを出力し、システム毎に写損ログの確認や管理(保存や削除)を行う必要があるので、システム間の写損ログに関する情報を纏めたり比較したりするためには、オペレータ操作により写損ログを収集して纏める必要があるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−159483号公報(段落0046〜0047)
【特許文献2】特開2004−254952号公報(段落0006〜0012、図1)
【特許文献3】特開2003−220054号公報(段落0004〜0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、写損ログの解析が容易に行えるように写損情報を集計することができる写損情報集計システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するため、本発明に係る写損情報集計システムは、診断目的の撮影によって得られた画像データによって表される画像が写損画像であると判定された際に、該撮影に関する写損ログを、該写損画像を表わす写損画像データと関連付けて格納する画像処理装置と、画像処理装置に格納されている写損ログ及び写損画像データを収集して、収集した写損ログを用途に合わせて集計処理する写損情報収集装置とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、写損ログ及び写損画像データは一箇所に収集されるので、オペレータは、写損ログ及び写損画像データがどの画像処理装置に格納されているかを意識せずに、写損ログ及び写損画像データを収集することができる。
また、写損ログは写損画像データと関連付けられており、かつ、写損ログを用途に合わせて集計した写損ログ集計結果が作成されるので、オペレータは、写損画像データと関連付けされた写損ログや写損ログ集計結果に基づいて、容易に写損ログの解析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1に、本発明の一実施形態に係る写損情報集計システムの構成を示す。図1に示すように、この写損情報集計システムは、第1及び第2の画像撮影装置11及び12と、第1及び第2の画像撮影装置11及び12がそれぞれ接続されている第1及び第2の画像処理装置21及び22と、第1及び第2の画像読取り装置31及び32と、写損情報集計装置(ホストマシン)40とによって構成される。ここで、第1及び第2の画像処理装置21及び22と第1及び第2の画像読取り装置31及び32と写損情報集計装置40とは、ネットワークN1を介して接続されている。
【0017】
第1及び第2の画像撮影装置11及び12は、第1及び第2の画像処理装置21及び22からそれぞれ入力される撮影条件に従って、被写体に放射線を照射して撮影を行うことにより、カセッテに格納された記録シート(輝尽性蛍光体シート)に放射線画像等の情報を記録する。また、第1及び第2の画像撮影装置11及び12を用いて患者の所定の部位を撮影する際には、記録シートに付されたバーコードによって表されるバーコード情報と患者情報及び撮影情報と対応付けられる。なお、記録シートは、イメージング・プレート(Imaging Plate:IP)とも呼ばれる。
【0018】
第1及び第2の画像読取り装置31及び32の各々は、第1又は第2の画像撮影装置11又は12を用いて患者の所定の部位が撮影された記録シート(輝尽性蛍光体シート)に励起光を照射して、蓄積記録された患者の放射線画像等の情報を光電的に読み取って放射線画像データを生成する。また、第1及び第2の画像読取り装置31及び32の各々は、記録シートから患者の放射線画像等の情報を読み取る際には、記録シートに付されたバーコードを読み取ってバーコード情報を取得する。
【0019】
図2に示すように、第1及び第2の画像処理装置21及び22の各々は、画像処理部61と、情報処理部62と、写損ログ・写損画像送信部63と、外部格納装置64と、表示装置65と、プリンタ66と、入力装置67と、ネットワークインタフェース68とを備えている。画像処理部61と情報処理部62と写損ログ・写損画像送信部63とはバスラインBL1を介して相互に接続されている。また、情報処理部62は、第1又は第2の画像撮影装置11又は12に接続されている。
【0020】
入力装置67は、キーボードやマウス等を用いて、患者の氏名、性別、生年月日及び患者識別番号等の患者情報と、撮影年月日、担当技師名、担当技師識別番号、撮影部位、撮影条件及び画像処理条件等の撮影情報とを入力するために使用される。また、第1及び第2の画像撮影装置11及び12による撮影が失敗し、撮影した放射線画像が診断に利用できない事態が発生した場合(すなわち、写損画像が発見された場合)に、入力装置67は、写損ログ(担当技師識別番号、患者識別番号、撮影年月日、撮影部位及び写損原因等を含む写損画像に関する情報)の内の患者情報及び撮影情報に含まれていない情報(写損原因等)を入力するためにも使用される。
【0021】
入力装置67から入力された患者情報は、患者識別番号に基づいて検索できるように、外部格納装置64に格納される。これにより、同じ患者については、この患者の患者識別番号を入力装置67から入力するだけで、外部格納装置64に格納されているこの患者の患者情報を取得することができる。また、患者情報に変更があった場合には、患者識別番号に基づいて外部格納装置64を検索して患者情報を取得し、取得した患者情報を更新した後に外部格納装置64に格納することにより、患者情報の入力作業の効率化及びオペレータの負担軽減を図ることができる。
【0022】
画像処理部61は、ネットワークN1及びネットワークインタフェース68を介して接続された第1又は第2の画像読取り装置31又は32で読み取られた画像処理前の放射線画像を受信する機能と、受信した画像処理前の放射線画像に、プリンタ66を用いて出力するのに適切な画像処理を施したり、撮影情報の一つである画像処理条件に従って画像処理を施したりする機能と、画像処理前の放射線画像及び/又は画像処理済みの放射線画像を患者情報及び撮影情報と関連付けて外部格納装置64に格納したり表示装置65に表示したりする機能とを備えている。
【0023】
また、画像処理部61は、写損画像が見つかると、この写損画像を表す写損画像データ(画像処理前の放射線画像データ及び/又は画像処理済み放射線画像データ)を、情報処理部62から入力される写損ログと関連付けて、外部格納装置64に格納したり表示装置65に表示したりする機能も備えている。
【0024】
表示装置65は、オペレータが入力装置67を用いて入力する患者情報、撮影情報及び写損原因等を確認のために表示したり、画像処理前の放射線画像及び/又は画像処理済みの放射線画像を患者情報及び撮影情報と関連付けて表示したり、写損画像を写損ログと関連付けて表示したりするためのものである。なお、表示装置65としては、CRT表示装置(モニタ)、LCD(モニタ)、プラズマディスプレイ等の公知のディスプレイやモニタを用いることができる。
【0025】
プリンタ66は、医療用診断に供するために、画像処理部61から送られてくる画像処理済みの放射線画像を患者情報及び撮影情報と関連付けてハードコピーするためのものである。
プリンタ66としては、医療用診断に供される放射線フィルム画像と同等の性能を有するようなハードコピー画像を出力できるものであれば良い。このようなプリンタとしては、放射線画像データに応じて変調されたレーザービーム等の変調光ビームによって写真感光材料(感光フィルム)を走査露光して潜像を記録し、現像処理によって露光感光材料を現像して、放射線画像をハードコピー画像として出力するものや、放射線画像データに応じて変調された感熱記録ヘッド(サーマルヘッド)によって、又は同様に変調されたヒートモードレーザによって感熱材料(感熱フィルム)に放射線画像を記録して出力するもの等を代表的に挙げることができる。この他に、感光体とトナーを用い、受像材料に転写する電子写真方式のプリンタや、昇華方式により画像を受像材料に転写する方式のプリンタ等の公知のプリンタを用いても良い。
【0026】
画像記録に用いられる感光材料や感熱材料は、特に制限的ではなく、感光フィルムや感熱フィルムが好ましく、また、材料的には、湿式現像処理や乾式現像処理が可能な銀塩写真感光材料、感光性熱現象材料、種々の感熱材料等、公知の感光材料や感熱材料等を例示することができる。
【0027】
情報処理部62は、入力装置67を用いて入力される患者情報を、この患者情報に含まれている患者識別番号に基づいて検索できるように外部格納装置64に格納すると共に、入力装置67を用いて入力される患者識別番号に基づいて外部格納装置64を検索して、この患者識別番号に該当する患者の患者情報が外部格納装置64に格納されているか否かを調べ、この患者の患者情報が外部格納装置64に格納されている場合には、その患者情報を外部格納装置64から読み出して表示装置65に表示させる。
【0028】
また、情報処理部62は、入力装置67を用いて入力される撮影情報を表示装置65に表示すると共に、外部格納装置64に格納する。
さらに、情報処理部62は、第1又は第2の画像撮影装置11又は12を用いて放射線画像を撮影する際に、第1又は第2の画像撮影装置11又は12から送られてくるバーコード情報を患者情報及び撮影情報と対応付けて外部格納装置64に登録する。
【0029】
さらに、情報処理部62は、写損画像が見つかると、入力装置67から入力される写損原因等の情報と、外部格納装置64から取得した患者情報及び撮影情報とを用いて写損ログを作成する。
【0030】
写損ログ・写損画像送信部63は、ネットワークN1及びネットワークインタフェース68を介して接続された後述の写損情報集計装置40の写損ログ・写損画像収集部71からの要求により、外部格納装置64に格納されている写損ログ及び写損画像データを写損情報集計装置40に送信すると供に、送信した写損ログ及び写損画像データを外部格納装置64から削除する。
【0031】
なお、画像処理部61、情報処理部62、及び、写損ログ・写損画像送信部63は、ディジタル回路やアナログ回路で構成しても良いし、CPUとソフトウェア(プログラム)で構成しても良い。後者の場合には、CPUに動作を行わせるためのプログラムを、記録媒体としてのハードディスク等に記録する。ここで、記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等を用いることもできる。
【0032】
図3に示すように、写損情報集計装置40は、写損ログ・写損画像収集部71と、写損ログ集計部72と、集計結果送信部73と、外部格納装置74と、表示装置75と、ネットワークインタフェース75とを備えている。写損ログ・写損画像収集部71と集計結果送信部73とは、バスラインBL2を介して相互に接続されている。
【0033】
写損ログ・写損画像収集部71は、ネットワークインタフェース75を介してネットワークN1に接続されており、第1及び第2の画像処理装置21及び22から写損ログ及び写損画像データを収集して、写損ログ集計部72に出力する。
【0034】
写損ログ集計部72は、写損ログ・写損画像収集部71から送られてくる写損ログに基づいて、特定種の検査の写損ログのみを集計したり、担当技師毎に又は所定の期間の検査日毎に写損ログを集計したり、全撮影数に対する写損数に基づいて写損率を算出したりする集計処理を行う。
写損ログ集計部72における写損ログの集計処理結果を表わす写損ログ集計結果データと、写損画像を表す写損画像データとは、外部格納装置74に格納されると共に、表示装置75に表示される。
【0035】
集計結果送信部73は、第1又は第2の画像処理装置21又は22(図1)から写損ログ、写損画像データ、及び/又は、写損ログ集計結果データの送信の要求があると、要求のあった写損ログ、写損画像データ、及び/又は、写損ログ集計結果データを外部格納装置74から読み出して、第1又は第2の画像処理装置21又は22に送信する。
【0036】
写損ログ・写損画像収集部71、写損ログ集計部72、及び、集計結果送信部73は、ディジタル回路やアナログ回路で構成しても良いし、CPUとソフトウェア(プログラム)で構成しても良い。後者の場合には、CPUに動作を行わせるためのプログラムを、記録媒体としてのハードディスク等に記録する。ここで、記録媒体としては、内蔵のハードディスクの他に、外付けハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、RAM、CD−ROM、DVD−ROM等を用いることもできる。
【0037】
次に、本実施形態に係る写損情報集計システムの動作について、患者Aの放射線画像を、オペレータBが第1の画像処理装置21を操作し、担当技師Cが第1の画像撮影装置11を用いて撮影する場合を例として説明する。
オペレータBは、第1の画像処理装置21の入力装置67(図2)を用いて、患者Aの患者識別番号を入力する。第1の画像処理装置21の情報処理部62は、入力装置67から送られてくる患者識別番号に基づいて外部格納装置64を検索して、患者Aの患者情報が外部格納装置64に格納されているか否かを調べる。
【0038】
患者Aの患者情報が外部格納装置64に格納されている場合には、情報処理部62は、その患者情報を外部格納装置64から読み出して表示装置65に表示させる。
【0039】
一方、患者Aの患者情報が外部格納装置64に格納されていない場合には、情報処理部62は、その旨を表示装置65に表示させる。オペレータBは、患者Aの患者情報が外部格納装置64に格納されていない旨が表示装置65に表示されると、入力装置67を用いて患者Aの患者情報を入力する。情報処理部62は、入力装置67から送られてくる患者情報を、患者Aの患者識別番号に基づいて検索できるように外部格納装置64に格納する。
【0040】
以上のようにして患者Aの患者情報の入力が終了すると、オペレータBは、入力装置67を用いて撮影情報を入力する。情報処理部62は、入力装置67から送られてくる撮影情報を表示装置65に表示すると共に、外部格納装置64に格納する。
【0041】
担当技師Cは、記録シートを第1の画像撮影装置11にセットした後、表示装置65に表示された撮影情報により指定された患者Aの撮影部位を、この撮影情報により指定された撮影条件に従って撮影する。このとき、記録シートに付されたバーコードが第1の画像撮影装置11によって読み取られることによって得られるバーコード情報は、第1の画像処理装置21に送られて、情報処理部62(図2)により患者Aの患者情報及び撮影情報と対応付けられて外部格納装置64に登録される。
【0042】
その後、患者Aの放射線画像が記録された記録シートは、例えば第2の画像読取り装置32にセットされることにより、この放射線画像を表す放射線画像データが生成される。また、第2の画像読取り装置32においては、記録シートに付されたバーコードが読み取られてバーコード情報が取得される。
【0043】
第2の画像読取り装置32によって生成された放射線画像データと、第2の画像読取り装置32によって取得されたバーコード情報とは、ネットワークN1を介して第1の画像処理装置21に送信される。
【0044】
第1の画像処理装置21の情報処理部62は、第2の画像読取り装置32から送られてくるバーコード情報に基づいて外部格納装置64を検索して、患者Aの患者情報及び撮影情報を取得して、取得した患者情報及び撮影情報を画像情報処理部61に送る。画像情報処理部61は、情報処理部62から送られてくる撮影情報に含まれている画像処理条件に従って、第2の画像読取り装置32から送られてくる放射線画像データを処理する。その後、画像情報処理部61は、画像処理前の放射線画像データと画像処理済の放射線画像データとを、情報処理部62から送られてくる患者Aの患者情報及び撮影情報と関連付けて、表示装置65に表示すると共に、外部格納装置64に格納する。
【0045】
このとき、表示装置65に表示された放射線画像が診断に利用できないと判定されると、オペレータBは、この放射線画像(写損画像)の撮影時に発生したと考えられる写損原因のような患者情報及び撮影情報に含まれていない情報を入力装置67から入力する。情報処理部62は、入力装置67から送られてくる情報と、外部格納装置64から取得した患者Aの患者情報及び撮影情報とを用いて、写損ログ(担当技師Cの担当技師識別番号、患者Aの患者識別番号、撮影年月日、撮影部位及び写損原因等を含む写損画像に関する情報)を作成して、画像処理部61に送る。画像処理部61は、この放射線画像の画像処理前の放射線画像データ及び画像処理済の放射線画像データ(写損画像データ)を、情報処理部62から送られてくる写損ログと関連付けて、表示装置65に表示すると共に、外部格納装置64に格納する。
【0046】
写損情報集計装置40の写損ログ・写損画像収集部71(図3)は、第1及び第2の画像処理装置21及び22に定期的にアクセスし、第1及び第2の画像処理装置21及び22の外部格納装置64(図2)に格納されている写損ログ及び写損画像データを収集する。写損ログ・写損画像収集部71は、収集した写損ログを写損画像データと関連付けて外部格納装置74に格納する。また、写損ログ・写損画像収集部71は、必要応じて、収集した写損ログ及び写損画像データを表示装置75に送り、写損ログを写損画像と対応させて表示させる。
【0047】
また、第1及び第2の画像処理装置21及び22の情報処理部62(図2)は、写損情報集計装置40の写損ログ・写損画像収集部71からの要求に応じて、外部格納装置64に格納されている写損ログ及び写損画像データが写損ログ・写損画像送信部63から写損情報集計装置40に送信されると、写損情報集計装置40がこれらの情報を受信したことを確認した後に、送信した写損ログ及び写損画像データを外部格納装置64から削除する。
【0048】
写損情報集計装置40の写損ログ・写損画像収集部71(図3)は、収集した写損ログを写損ログ集計部72に送る。写損ログ集計部72は、送られてきた写損ログに基づいて、特定種の検査(例えば、頭部の検査や胸部の検査)の写損ログのみを集計処理したり、担当技師毎に又は所定の期間の検査日毎に写損ログを集計処理したり、全撮影数に対する写損数に基づいて写損率を算出処理したりする。
【0049】
写損ログ集計部72は、このような処理により得られる写損ログ集計結果を表わす写損ログ集計結果データを外部格納装置74に格納する。また、写損ログ集計部72は、必要に応じて、写損ログ集計結果データを表示装置75に送り、写損ログ集計結果を表示装置75に表示させる。なお、写損ログ集計結果は、オペレータが容易に確認できる書式に変換して、プリントアウトするか電子的に保存できるようにしても良い。また、写損ログ集計部72は、外部格納装置74に格納されている写損ログ集計結果データを読み出して、別の観点から写損ログを集計しても良い。
【0050】
集計結果送信部73は、第1又は第2の画像処理装置21又は22(図1)から写損ログ、写損画像データ、及び/又は、写損ログ集計結果データの送信の要求があると、要求のあった写損ログ、写損画像データ、及び/又は、写損ログ集計結果データを外部格納装置74から読み出して、第1又は第2の画像処理装置21又は22に送信させる。
【0051】
第1又は第2の画像処理装置21又は22の情報処理部62(図2)は、写損ログ、写損画像データ、及び/又は、写損ログ集計結果データが写損情報集計装置40から送信されてくると、写損ログを写損画像と対応させて表示装置65に表示させたり、写損ログ集計結果を表示装置65に表示させたりする。
【0052】
以上のように構成された本実施形態に係る写損情報集計システムにおいては、以下に示すような効果が得られる。
(1)写損画像データと関連付けられた写損ログを検索したい場合には、第1及び第2の画像処理装置21及び22のいずれにその写損ログが格納されているかを意識せずに、写損情報集計装置40にアクセスすることにより、検索したい写損ログを取得することができる。
(2)第1及び第2の画像処理装置21及び22の表示装置65(図2)に写損ログ及び写損画像が表示されるので、写損ログと写損画像との対応関係を容易に把握することができる。
(3)写損情報集計装置40にアクセスすることにより写損ログ集計結果を取得して、第1及び第2の画像処理装置21及び22の表示装置65(図2)に表示することができるので、表示された写損ログ集計結果に基づいて写損ログの解析を容易に行うことできる。
(4)特定種の検査の写損ログのみを集計処理して得られる写損ログ集計結果により、例えば米国において義務化されている乳房検査の写真ログ情報の定期的提出に容易に対応することができる。
(5)担当技師毎に写損ログを集計処理して得られる写損ログ集計結果により、再撮率の高い技師に対して適切な指導をすることができたり、撮影のコツや適切な照射量等を教授するのに役立たせたりすることができる。
(6)全撮影数に対する写損数に基づいて写損率を算出処理して得られる写損ログ集計結果により、写損率が所定の値を超えると警告等を表示装置75に表示して注意を促すことが容易に行える。
(7)写損ログ集計結果を技師教育プログラム作成に反映させることができる。
【0053】
以上の実施形態においては、写損情報集計装置40の写損ログ・写損画像収集部71(図3)が、第1及び第2の画像処理装置21及び22の外部格納装置64(図2)に格納されている写損ログ及び写損画像データを収集したが、第1及び第2の画像処理装置21及び22から写損情報集計装置40に定期的に又は必要に応じて写損ログ及び写損画像データを送信するようにしても良い。
また、写損ログ・写損画像保存装置をネットワークN1に接続し、第1及び第2の画像処理装置21及び22が写損ログ及び写損画像データを写損ログ・写損画像保存装置に保存して、写損ログ・写損画像収集部71が定期的に又は必要に応じて写損ログ・写損画像保存装置から写損ログ及び写損画像データを収集するようにしても良い。
また、
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、放射線画像の撮影時に発生した種々の原因による失敗を示す写損情報を集計するための写損情報集計システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る写損情報集計システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す第1及び第2の画像処理装置の構成を示す図である。
【図3】図1に示す写損情報集計装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
11 第1の画像撮影装置
12 第2の画像撮影装置
21 第1の画像処理装置
22 第2の画像処理装置
31 第1の画像読取り装置
32 第2の画像読取り装置
40 写損情報集計装置
61 画像処理部
62 情報処理部
63 写損ログ・写損画像送信部
64 外部格納装置
65 表示装置
66 プリンタ
67 入力装置
68 ネットワークインタフェース
71 写損ログ・写損画像収集部
72 写損ログ集計部
73 集計結果送信部
74 外部格納装置
75 表示装置
76 ネットワークインタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断目的の撮影によって得られた画像データによって表される画像が写損画像であると判定された際に、該撮影に関する写損ログを、該写損画像を表わす写損画像データと関連付けて格納する画像処理装置と、
前記画像処理装置に格納されている写損ログ及び写損画像データを収集して、収集した写損ログを用途に合わせて集計処理する写損情報収集装置と、
を具備する写損情報集計システム。
【請求項2】
前記画像処理装置が、前記写損情報収集装置によって写損ログ及び写損画像データが収集されると、該収集された写損ログ及び写損画像データを削除する、請求項1記載の写損情報集計システム。
【請求項3】
前記写損情報収集装置が、
前記画像処理装置から写損ログ及び写損画像データを収集する写損ログ・写損画像収集手段と、
前記写損ログ・写損画像収集部から送られてくる写損ログに基づいて集計処理を行う写損ログ集計手段と、
前記写損ログ集計部における写損ログの集計処理結果を表わす写損ログ集計結果データを格納するための格納手段と、
を備える、請求項1又は2記載の写損情報集計システム。
【請求項4】
前記写損ログ集計手段が、特定種の検査の写損ログのみを集計する集計処理を行う、請求項3記載の写損情報集計システム。
【請求項5】
前記写損ログ集計手段が、担当技師毎に又は所定の期間の検査日毎に写損ログを集計する集計処理を行う、請求項3又は4記載の写損情報集計システム。
【請求項6】
前記写損ログ集計手段が、全撮影数に対する写損数に基づいて写損率を算出する集計処理を行う、請求項3〜5のいずれか1項に記載の写損情報集計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−218139(P2006−218139A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35429(P2005−35429)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】