説明

冷却構造、冷却構造を備えた画像形成装置、冷却構造を備えた電子装置

【課題】貫通孔に異物が付着しても目立ち難くし、冷却効率を向上させる。
【解決手段】冷却対象である発熱源が収容されており、底に配置される底板部材を有する筐体と、前記底板部材に設けられる貫通孔と、前記貫通孔から外気を前記筐体の内部に吸引する吸引手段と、外気が経由される外気経路部を内部に有し、前記筐体に対して開閉可能である開閉部材と、前記吸引され、前記外気経路部を経由した外気で前記発熱源を冷却させる外気当て手段と、を有する冷却構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱源を冷却する冷却構造、冷却構造を備えた画像形成装置、冷却構造を備えた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の筐体内部は、定着装置の発熱や、各部を駆動するための駆動モータなどの発熱により、環境温度(電子機器の周辺の温度)よりも、機内温度が上昇し、廃トナーの固着や感光体の短寿命化などの悪影響を及ぼすという問題が生じる。そこで、画像形成装置の外部から外気を吸引する吸引口を有し、筐体内部の温度を下げる冷却構造が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1、3の技術では、筐体の正面に吸引口が設けられる。また、特許文献2の技術では、吸引口は、用紙が給紙される給紙カセットの取っ手部の内側に設けられる。また、特許文献4の技術では、吸引口は、筐体の側面に設けられる。
【0004】
従って、吸引口から外気を吸引する際に、浮遊している埃や、トナーなどの浮遊物などの異物が吸引口近傍に付着し、作業者などにとって、該異物が目立ち易く、外観上好ましくないという問題があった。
【0005】
また、特許文献1〜4記載のように、筐体の正面や側面に吸引口が設けられている場合には、筐体周辺の暖かい外気を吸引することになり、冷却効率が悪いという問題があった。そこで、この問題を鑑みて、本発明は、付着者が吸引口周辺に付着されたとしても、該異物が目立ち難く、また、冷却効率を上げる冷却構造、冷却構造を備えた電子装置、冷却構造を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、冷却対象である発熱源が収容されており、底に配置される底板部材を有する筐体と、前記底板部材に設けられる貫通孔と、前記貫通孔から外気を前記筐体の内部に吸引する吸引手段と、外気が経由される外気経路部を内部に有し、前記筐体に対して開閉可能である開閉部材と、前記吸引され、前記外気経路部を経由した外気で前記発熱源を冷却させる外気当て手段と、を有する冷却構造を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷却構造、冷却構造を備えた電子装置、冷却構造を備えた画像形成装置によれば、異物が吸引口周辺に付着されたとしても、該異物が目立ち難く、また、冷却効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例の冷却構造の斜視図を示した図。
【図2】本実施例の底板部材の断面図。
【図3】本実施例の分岐手段の一例を示した図。
【図4】本実施例の開閉部材の一例を示した図。
【図5】本実施例の開閉部材の真上から見た図。
【図6】本実施例の画像形成装置の要部を示した図。
【図7】本実施例の画像形成装置の中間転写体駆動モータ近傍を示した図。
【図8】本実施例の画像形成装置の粉体搬送手段近傍を示した図。
【図9】図8を違う角度から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施例の冷却構造は、冷却対象の発熱源を冷却するために用いられる。発熱源とは動作すると発熱する箇所や該箇所を含む部材であり、例えば、モータやプリント基板やヒートローラやコイルなどである。また、本実施例の冷却構造は、発熱源を含む電子機器などに用いることが出来る。電子機器とは、例えば、画像形成装置などである。
[実施形態1]
図1に、実施形態1の冷却構造100の斜視図の一例を示し、図2に、本実施例の冷却構造の下方の一例を示す。本実施例の冷却構造は、外気を発熱源に当てることで、該発熱源を冷却するものである。図1、図2の矢印は、外気の流れを示す。図1、図2の記載で、外気の流れを簡単に説明すると、空間R→貫通孔52a→第1ダクト2→第1取り込み手段3→開閉部材4→第2取り込み手段5→第2ダクト6→発熱源12、13の順番となる。この順番で外気は発熱源12、13に当てられ冷却される。また、図1に示すように、筐体80の高さ方向をY軸方向とし、奥行き方向をZ軸方向とし、幅方向をX軸方向とする。
【0010】
本実施例の冷却構造は、筐体80を有する。筐体80内には、冷却対象の発熱源12および13が収容されている。また、筐体80の底には底板部材52が設けられ、筐体80の側方には開閉部材4が配置される。また、底板部材52は板状の部材である。
【0011】
図2に示すように、本実施例の冷却構造は、空間形成手段54を有する。空間形成手段54は、筐体80が設置されている面Aと、底板部材52との間に空間Rを形成させるものである。換言すれば、空間形成手段54は、底板部材52の、筐体80の内部と反対側(筐体80の外側)に空間を形成するものである。図2の例では、空間形成手段54は車輪であるが、凸形状部材などの他の部材を用いても良い。この凸形状部材を底板部材52に設けて、空間Rを形成する。
【0012】
また、底板部材52には、貫通孔52aが設けられている。また該貫通孔52aには、第1ダクト2が連通されている。ここで、「連通」とは、貫通孔52aからの外気が、外へ漏れないように、第1ダクト2の流入口2aが貫通孔52aの周辺の部分と接合されていることをいう。以下の説明でも、外気が、外部に漏れないように接合させること「連通」という。また、以下の説明では、外気の流れの上流側を単に「上流側」といい、外気の流れの下流側を単に「下流側」という。
【0013】
また、第1ダクト2の下流側には、第1取り込み手段3が配置されている。ここで、第1取り込み手段3とは、空気を吸引する気流Sを形成することで、空間Rの空気(外気)を貫通孔52aから筐体80の内部に吸引するものである。第1取り込み手段3として、例えば、ファンを用いればよい。また、以下の説明では、気流Sという場合と、該気流に吸引された外気Sという場合がある。第1取り込み手段3により吸引された外気は、第1ダクト2の排出口2aから排出されて、該第1取り込み手段3を通過して、開閉部材4の流入口60aから流入されて、排出口60bから排出される。底板部材52、開閉部材4の詳細な構成については後述する。
【0014】
一方、発熱源12および13近傍には、第2取り込み手段5および第2ダクト6が配置される。また、第2ダクト6は第1ダクト2よりも上方に配置されている。第2取り込み手段5が形成する気流により、第1取り込み手段3により吸引された外気を開閉部材4経由で、第2ダクト6まで搬送させる。
【0015】
開閉部材4は、例えば、筐体内部に設置された各部材をカバーするカバー部材である。開閉部材4は、例えば、操作者が、筐体80の内部の部品の交換などの際に、開閉される部材である。また、開閉部材4は、中空状であり、外気が経由される外気経路部を有する。図1では、筐体80の内部を視認しやすいように、開閉部材4は取り外されて示されているが、実際は、開閉部材4は、筐体80に対して回動可能な構成とされている。また、開閉部材4は外気が搬送されるダクトの一部またはダクトの全部としての役割を果たすので、ダクトの省スペース化を図ることが出来、筐体80の規模を小さくすることが出来る。開閉部材4の詳細な説明は実施形態3で行う。
【0016】
第2ダクト6まで搬送された外気は、第2ダクト6の流入口6cから流入されて、2つの排出口6a、6bから排出されて、この外気で発熱源12、13を冷却する。具体的には、発熱源12、13もしくは発熱源12、13近傍に外気を当てて、該発熱源12、13を冷却する。
【0017】
なお、図1では、第1ダクト2と第1取り込み手段3とは離されて記載されているが、これは図面を分かり易くするためであり、実際は、第1ダクト2の排出口と第1取り込み手段3とは連通(接合)されて構成されている。また、同様に第2取り込み手段5と第2ダクト6の流入口6cは連通(接合)されている。
<分岐手段について>
次に、分岐手段について説明する。図1に示すように、冷却対象の発熱源が、複数N(図1の例では2個)ある場合には、分岐手段20を設けることが好ましい。分岐手段20とは、吸引された外気を複数Nに分岐させて、複数Nの発熱源(図1の例では、発熱源12、13)に当てるものである。分岐手段20を設けることで、複数Nの発熱源を同時に冷却することが出来る。
【0018】
また、図1の例では、第2ダクト6と分岐手段20とが一体化されている。そして、発熱源が2つあることから、第2ダクト6は、2つの排出口6a、6bを有する。このように、第2ダクト6と分岐手段20とが一体的である構成の場合には、第2ダクト6は、冷却対象の発熱源の個数分、外気の排出口を有する構成とする。また、発熱源が1つの場合には、分岐手段20を用いる必要はなく、第2ダクト6の排出口は1つでよい。
【0019】
図3に、分岐手段の別の実施形態について説明する。図3の例では、分岐手段20は壁部19である。図3の例では、第2ダクト6からの外気は、壁部19に当たり、発熱源12方向と発熱源13方向の2方向に分けられ、発熱源12と発熱源13とを冷却する。分岐手段20とは、第2ダクト6の排出口を発熱源個分、設けるのみならず、図3に示すように、壁部19により、外気を分岐させることも含まれる。また、壁部19を、筐体80内の所定の部材を支持するためのフレームとすれば、部品点数を削減できる。また、分岐手段は、これらの手段に限られず、外気を分岐させることが出来れば、他の手段を用いても良い。
【0020】
この実施形態1の冷却構造によれば、筐体80の底に位置する底板部材52に、外気が吸引される貫通孔52aが設けられる。従って、貫通孔52周辺に、異物が付着されたとしても、該異物は操作者やユーザなどから、目立ちにくいものとなる。また、一般的に、下方の空気(外気)は温度が低く、上方の空気は温度が高い。従って、底板部材52に設けられた貫通孔52aからは、温度が低い外気を吸引することができるので、発熱源を効率的に冷却させることが出来る。
【0021】
また、中空状である開閉部材4を、外気を搬送させるダクトの一部またはダクトの全部として用いることで、ダクトの省スペース化を図ることが出来、筐体80の規模を小さくすることが出来る。
【0022】
また、発熱源が複数ある場合には、分岐手段を用いることが好ましい。該分岐手段を用いることで、発熱源が複数ある場合にも、同時に冷却することが出来る。
【0023】
また、図1、図2の説明では、2つの取り込み手段(第1取り込み手段3と第2取り込み手段5)を設けた。筐体80の規模や、発熱源の数などにより、取り込み手段の数を変更しても良い。また、第1取り込み手段3と第2取り込み手段5とをまとめて取り込み手段40とする。取り込み手段40とは、上述のように、外気を貫通孔52aから筐体80の内部に吸引するものである。
【0024】
また、空間形成手段54により空間Rが形成されて、取り込み手段40は該空間Rの外気を筐体80の内部に吸引する。つまり、空間形成手段54および取り込み手段40により、底板部材52の下方の外気を筐体80の内部に吸引することができる。空間形成手段54および取り込み手段40とを含むものを吸引手段70とする。吸引手段70は、底板部材52の下方の空間Rの外気を吸引できるものであれば、他の手段を用いても良い。
【0025】
また、図1、図2の説明では、第1ダクト2、第2ダクト6、開閉部材4により、吸引手段70に吸引された外気を発熱源12、13に当てた。第1ダクト2、第2ダクト6、開閉部材4をまとめて、外気当て手段50とする。筐体80の規模などにより、外気当て手段50を構成する部品点数や形状を変更しても良い。また、外気当て手段50は、取り込み手段40により吸引された外気を冷却対象の発熱源に当てて、冷却するものである。また、外気当て手段50は、外気を搬送することから、搬送手段50ということも出来る。
【0026】
また、図1、図2では、第1ダクト2、第2ダクト6の2つのダクトを設けた。筐体80の規模や、発熱源の数などにより、ダクトの数を変更しても良い。ダクトは、取り込み手段40により形成された気流により、流入口から外気を流入させ、排出口から該外気を排出させる手段であり、つまり、外気を搬送する搬送手段の役割を果たす。
[実施形態2]
次に、実施形態2の冷却構造について説明する。実施形態2では、底板部材52の詳細を図2を用いて説明する。図2の例では、底板部材52は、互いに対向する第1底板部材7と第2底板部材8とで構成されている。第1底板部材7と第2底板部材8との間には、空間Tが形成されている。また、第1底板部材7には第1貫通孔7aが設けられ、第2底板部材8には第2貫通孔8aが設けられる。そして、第1貫通孔7a、空間T、第2貫通孔8aにより貫通孔52aは形成される。
【0027】
ここで、貫通孔52aは、筐体80の高さ方向α(Y軸方向)に対して斜めに設けられていることが好ましい。何故なら、第1貫通孔7aと対向する、第2底板部材8の部分8bが、埃やトナーなどの異物の浸入を防ぐ異物浸入防止手段8bとしての役割を果たすからである。「貫通孔52aが筐体80の高さ方向αに対して斜めに設けられている」とは、高さ方向αと直交する平面において、第1貫通孔7aと第2貫通孔8aとがずれて形成されていることをいう。
【0028】
また、貫通孔52aの領域の大きさが所定値Vより小さく、かつ、貫通孔52aは複数個、設けられていることが好ましい。領域が大きい貫通孔52aを1つ設けるよりも、領域が小さい貫通孔52aを複数設ける方が、底板部材52の強度を保てるようになるからである。また、所定値Vは、底板部材52の材質、筐体80や収容されている部材の合計重量などにより定められる。
【0029】
この実施形態2の底板部材52であれば、貫通孔52aを、筐体80の高さ方向αに対して斜めに設けることで、異物浸入防止手段8が形成されるため、筐体80内への異物の浸入を防ぐことが出来る。
【0030】
また、底板部材52に、領域が所定値Vよりも小さい貫通孔52aを複数設けることで、底板部材52の強度を保つことが出来る。
[実施形態3]
次に実施形態3の冷却構造について説明する。実施形態3では、開閉部材4の詳細について説明する。上述の通り、開閉部材4は、筐体80に対して開閉可能な部材であり、筐体80のカバー部材としての役割を果たす。図4に、本実施例の開閉部材4の好ましい例の斜視図を示す。また、図5に開閉部材4を上から見た場合の平面図を示す。図5の例では、開閉部材4は、互いに対向しあう第1開閉板部60と、第2開閉板部62とを含む。また、第1開閉板部60と、第2開閉板部62と、の間には所定の間隙Mが形成されている。つまり、開閉部材4は中空状である。第1開閉板部60と、第2開閉板部62はそれぞれ、板状の形状を有する。また、開閉部材4が閉じられた際に、筐体80の内側に位置するものを第1開閉板部60とし、筐体80の外側に位置するものを第2開閉板部62とする。
【0031】
また、第1開閉板部60は、流入口60aと、排出口60bを有する。流入口60aとは、取り込み手段40(図1の例では、第1取り込み手段3)により吸引された外気が、流入される箇所である。また、排出口60bとは、流入口60bから流入された外気が、排出される箇所である。
【0032】
また、流入口60aと排出口60bとの間に、外気経路部66が形成される。外気経路部66とは、外気の経路となるものであり、流入口60aから流入された外気は、外気経路部66を経由して、排出口60bまで搬送され、該排出口60bから排出される。
【0033】
また、第1開閉板部60の周縁と第2開閉板部62の周縁を接合する接合手段68を設ける。接合手段68により、流入口60aと排出口60bのみから外気が流入または排出されるようにし、他の箇所からは所定の間隙M内の外気を漏れないようにする。この「流入口60aと排出口60bのみから外気が流入または排出されるようになる」ことを「所定の間隙Mを略密閉する」という。
【0034】
また、所定の間隙Mを略密閉するために、複数個所、屈曲されたリブ64(図5ではハッチングを付する)を設けることが好ましい。第1開閉板部60が有する面、第2開閉板部62が有する面のうち、お互いに対向する面をそれぞれ第1対向面60c、第2対向面62cとする。そして、リブ64は、第1対向面60c、第2対向面62cに当接され、所定の間隙Mに配置されるものである。そして、第1開閉板部60と、第2開閉板部62と、リブ64とで、外気経路部66が形成される。このように、リブ64は、外気のガイドの役割を果たす。
【0035】
このように、リブ64を用いて外気経路部66を形成する構成であれば、リブ64を用いず接合部68を用いて外気経路部66を形成する構成と比較して、開閉部材4の強度を向上させることができる。また、リブ64を用いた外気経路部66の空間の体積は、接合部68を用いた外気経路部66の空間の体積より小さいことから、効率よく、流入口60aからの外気を排出口60bから排出させることが出来る。
【0036】
この実施形態3の開閉部材4の効果について説明する。図1に示すように、冷却対象の発熱源12、13が、筐体80の略中央又は上方に位置する場合について説明する。底板部材4の貫通孔52aから吸引された外気を、該発熱源12、13に当てるためには、貫通孔52aから該発熱源12、13までに外気を搬送するためのダクトを筐体80内部に設ける必要があり、筐体80の規模が大きくなるという問題が生じる。
【0037】
しかし、この実施形態3の冷却構造であれば、筐体80に対して開閉される開閉部材4をダクトの一部またはダクトの全部として用いることが出来る。従って、ダクトの省スペース化を図ることが出来、筐体80の規模を縮小することができる。なお、図1の例では、第1ダクト2、開閉部材4、第2ダクト6が吸引された外気を発熱源まで搬送するためのダクトの役割を果たす。
【0038】
また、開閉部材4の間(所定の間隙M)にリブ64を介在させることで、開閉部材4の強度を向上させることが出来る。
[実施形態4]
次に、実施形態4について説明する。実施形態4では、実施形態1〜3で説明した冷却構造を二次転写式の画像形成装置に用いた場合を説明する。
【0039】
また、画像形成装置とは例えば、プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機などである。また、記録媒体は、例えば、紙、糸、繊維、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどの媒体である。画像形成とは、文字や図形、パターンなどの画像を中間転写体や記録媒体に付与することをいう。また、中間転写体とは、画像が保持される部材であり、例えば、中間転写ベルト、感光体などをいう。また、粉体とは、画像形成するために用いられるものであり、例えば、「トナー」である。また、以下では、記録媒体を「用紙」とし、中間転写体を中間転写ベルトとし、粉体をトナーであるとして説明する。
【0040】
図6に、該画像形成装置の要部の機能構成例を示す。図6の例では、各色(シアン、イエロー、マゼンダ、ブラック)それぞれの感光体102が配置される。この例では、それぞれの感光体の回転方向は、矢印Rで示すように、時計の針の回転方向と反対方向であるとする。該それぞれの感光体102の周囲には、感光体102の回転方向の順番に、帯電装置103、書き込み装置104、現像装置105、一次転写手段109、クリーニング装置107、とが設けられている。各部それぞれの役割を簡単に説明する。
【0041】
帯電装置103は感光体102を帯電する。書き込み装置104は帯電された感光体102上に光を書き込むことで静電潜像を形成する。現像装置105は、感光体102上の静電潜像にトナーを付着させることで、トナー像を形成する。そして、一次転写手段109は、中間転写ベルト108上に、感光体102上に形成されたトナー像を一次転写する。
【0042】
一方、中間転写ベルト108は無端状のベルトであり、駆動ローラ114、115により、時計の針の回転方向に回転される。また、駆動ローラ115は、ローラ駆動モータ134により駆動される。
【0043】
そして、給紙カセット(図示せず)から搬送され、二次転写部128まで到達した用紙Pに対して、該二次転写部128は、二次転写ベルト108上のトナー像を二次転写する。二次転写された用紙Pは、用紙搬送手段129(記録媒体搬送手段129)により定着手段25まで搬送される。定着手段125で、用紙P上に二次転写されたトナー画像を定着させる。
【0044】
ところで、用紙搬送手段129とは、図6の例では、無端ベルトであり、該用紙搬送手段129は、搬送手段駆動モータ130により駆動される。また、搬送手段駆動モータ130は、用紙搬送手段129を駆動し続けると、発熱される。そして、搬送手段駆動モータ130からの発熱により、該搬送手段駆動モータ130近辺の機器に悪影響を及ぼす。従って、搬送手段駆動モータ130を冷却する必要がある。
【0045】
また、二次転写部128は、第1ローラ116と第2ローラ123とを含むものである。無端ベルトである中間転写ベルト108内に配置されるローラを第1ローラとし、中間転写ベルト8外に配置されるローラを第2ローラ123とする。第2ローラ123は、トナー画像が形成されている中間転写ベルト108の面に圧接されることから、第2ローラ123には、廃トナーが付着される。また、第2ローラ123は、用紙Pにも圧接されるから第2ローラ123には、紙粉が付着される。そのため、第2ローラ123には、付着された廃トナーや紙粉を除去するための除去手段128が設けられている。
【0046】
また、除去手段128で除去された廃トナーや紙粉は、粉体搬送手段131で、収容手段132に収容される。ここで、二次転写部127で、二次転写されるトナー像は高温であるため、廃トナーも高温となる。そしてこの高温の廃トナーが搬送される粉体搬送手段131も高温となる。また、収容手段132内に収容された廃トナーも高温であるため、収容手段132も高温となる。粉体搬送手段131、収容手段132が高温となると、粉体搬送手段131、収容手段132に廃トナーは固着される、という問題が生じる。また、粉体搬送手段131、収容手段132近辺の機器に悪影響を及ぼすという問題が生じる。従って、粉体搬送手段131、または/および、収容手段132を冷却する必要がある。
【0047】
また、中間転写ベルト108は、中間転写体駆動モータ134により回転駆動される。また、中間転写ベルト108の回転駆動を継続すると、中間転写体駆動モータ134は発熱する。中間転写体駆動モータ134の発熱により、中間転写体駆動モータ134周辺の機器に悪影響を及ぼすという問題が生じる。従って、該中間転写体駆動モータ134を冷却する必要がある。
【0048】
以下では、搬送手段駆動モータ130、粉体搬送手段131、中間転写体駆動モータ134を冷却する構成について、更に詳細に説明する。
【0049】
まず、中間転写体駆動モータ134の冷却について説明する。図7に中間転写体駆動モータ134近傍の機能構成例を示す。図7に示すように、第1取り込み手段5からの外気が、分岐手段20と一体化された第2ダクト6により、第1外気S1と、第2外気S2とに分岐される。そして、第2ダクト6からの第1外気S1が、中間転写体駆動モータ134に当てられることで、該中間転写体駆動モータ134は冷却される。また、第2外気S2は、粉体搬送手段131、中間転写体駆動モータ134方面に吹き付けられる。
【0050】
図8、図9に、粉体搬送手段131、中間転写体駆動モータ134近傍の機能構成例を示す。外気S2は、貫通孔150を通り、分岐手段20により外気S3、外気S4とに分岐される。ここでの分岐手段20は、図3に示した壁部19を用いたものである。図8、図9では、この壁部19の記載については省略している。そして、外気S3は、粉体搬送手段131、収容手段132方面に、吹き付けられ、粉体搬送手段131、または/および、収容手段132を冷却する。なお、図8、図9では、収容手段132の記載については省略している。なお、粉体搬送手段131とは、コイル形状のものを用いればよい。
【0051】
また、外気S4は、搬送手段駆動モータ130方面に吹き付けられ、搬送手段駆動モータ130に外気S4は当てられ、搬送手段駆動モータ130は冷却される。
【0052】
また、搬送手段駆動モータ130、粉体搬送手段131、収容手段132、中間転写体駆動モータ134のうち何れか1つのみを冷却する場合には、分岐手段20を用いる必要はない。また、搬送手段駆動モータ130、粉体搬送手段131、収容手段132、中間転写体駆動モータ134のうち少なくとも2つを冷却する場合には、分岐手段20を用いる必要がある。
【0053】
また、実施形態4では、搬送手段駆動モータ130、粉体搬送手段131、中間転写体駆動モータ134のうち少なくとも1つを冷却する例を説明したが、例えば、感光体2を駆動するための駆動モータなど、他の発熱源を冷却するようにしても良い。
【0054】
また、冷却対象の発熱源、または、該発熱源を含むユニットは、画像形成装置から着脱可能とすることが好ましい。何故なら、取り外された、発熱源、または、該発熱源を含むユニットに対してメンテナンスし易いからである。
【0055】
また、実施形態4では、本実施例の冷却構造を備えた画像形成装置に特化して説明したが、冷却対象の発熱源を備える電子装置であれば、本実施例の冷却構造を適用させることが出来る。
【0056】
このように、実施形態4では、実施形態1〜3の冷却構造を用いることで、貫通孔52aに付着した異物を目立たせないように、かつ、効率よく搬送手段駆動モータ130、粉体搬送手段131、中間転写体駆動モータ134などの発熱源を冷却できる。
【符号の説明】
【0057】
2 第1ダクト
3 第1取り込み手段
4 開閉部材
5 第2取り込み手段
6 第2ダクト
7 第1底板部材
8 第2底板部材
12 発熱源
13 発熱源
20 分岐手段
40 取り込み手段
52 底板部材
54 空間形成手段
80 筐体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2007−249156号公報
【特許文献2】特開2008−77077号公報
【特許文献3】特開2006−195357号公報
【特許文献4】特開2005−283733号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象である発熱源が収容されており、底に配置される底板部材を有する筐体と、
前記底板部材に設けられる貫通孔と、
前記貫通孔から外気を前記筐体の内部に吸引する吸引手段と、
外気が経由される外気経路部を内部に有し、前記筐体に対して開閉可能である開閉部材と、
前記吸引され、前記外気経路部を経由した外気で前記発熱源を冷却させる外気当て手段と、を有する冷却構造。
【請求項2】
前記吸引手段は、
前記筐体が設置された際に、前記底板部材の、前記筐体の内部と反対側に空間を形成する空間形成手段と、
前記貫通孔から、前記空間の外気を前記筐体の内部に吸引する取り込み手段と、を含むことを特徴とする請求項1記載の冷却構造。
【請求項3】
前記発熱源は複数あり、
前記吸引された外気を前記複数に分岐させて、前記複数の発熱源を冷却する分岐手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の冷却構造。
【請求項4】
前記開閉部材は、所定の間隙を設けて、互いに対向しあう第1板部と第2板部と、
前記第1板部および前記第2板部とに当接され、前記所定の間隙に設けられるリブと、を有し、
前記第1板部と前記第2板部と前記リブとにより、前記外気経路部は形成されることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の冷却構造。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記筐体の高さ方向に対して斜めに設けられていることを特徴とする請求項1〜4何れか1項に記載の冷却構造。
【請求項6】
前記貫通孔は、複数設けられていることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の冷却構造。
【請求項7】
請求項1〜6何れか1項に記載の冷却構造を有する画像形成装置において、
画像が形成される中間転写体と、
前記中間転写体に形成された画像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
前記二次転写手段で転写された記録媒体上の画像を定着させる定着手段と、
前記二次転写手段から前記定着手段まで前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
前記記録媒体搬送手段を駆動する搬送手段駆動モータと、を有し、
前記搬送手段駆動モータを前記冷却対象の発熱源とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1〜6何れか1項に記載の冷却構造を有する画像形成装置において、
画像が形成される中間転写体と、
前記中間転写体に形成された画像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
前記二次転写手段に付着された粉体を除去する除去手段と、
前記除去された粉体を収容する収容手段と、
前記除去手段により除去された粉体を前記収容手段に搬送する粉体搬送手段と、を有し、
前記収容手段、および/または、前記粉体搬送手段を前記冷却対象の発熱源とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1〜6何れか1項に記載の冷却構造を有する画像形成装置において、
画像が形成される中間転写体と、
前記中間転写体を駆動する中間転写体駆動モータと、を有し、
前記中間転写体駆動モータを前記冷却対象の発熱源とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項3〜6何れか1項に記載の冷却構造を有する画像形成装置において、
画像が形成される中間転写体と、
前記中間転写体に形成された画像を記録媒体上に転写する二次転写手段と、
前記二次転写手段で転写された記録媒体上の画像を定着させる定着手段と、
前記二次転写手段から前記定着手段まで前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
前記記録媒体搬送手段を駆動する搬送手段駆動モータと、
前記二次転写手段に付着された粉体を除去する除去手段と、
前記除去された粉体を収容する収容手段と、
前記除去手段により除去された粉体を前記収容手段に搬送する粉体搬送手段と、
前記中間転写体を駆動する中間転写体駆動モータと、を有し、
前記搬送手段駆動モータと、前記収容手段と、前記粉体搬送手段と、前記中間転写体駆動モータと、のうち少なくとも2つを前記冷却対象の発熱源とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記冷却対象の発熱源と請求項1〜6何れか1項に記載の冷却構造を有する電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−83434(P2012−83434A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227727(P2010−227727)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】