説明

冷却監視光学系を備える接着剤用ノズル

【課題】吐出された接着剤ビードを信頼して監視できるタイプのノズル組立体を提供する。
【解決手段】ホットメルト接着剤のためのノズル組立体であって、ニードルノズル11と、前記ノズルが発生させた接着剤ビードを監視するためのカメラを備える測定ヘッド41とを備え、前記測定ヘッドに冷却装置45を配置されて備えているノズル組立体により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト接着剤のためのノズル組立体であって、ノズルが基板を横切って動く間に、接着剤のビードを発生させるようなノズルを有するノズル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、従前はボルトや止金、縫合など異なるタイプの結合技術が一般的であったような領域において、多く用いられている。ある種の用途にあっては、全体または所定の部分のいずれかにおいて、単一接着剤の一つのビードを基板に途切れることなく塗布することが必要となるような、縁部や直線的な結合部を作ることが必要となる。
【0003】
そうした接着剤のビードを発生できるノズル組立体は、ロボット・アームに取り付けられて、二次元曲線に沿って、または、空間内における三次元移動そって、完全に自動的に制御される。こうして生産された接着剤のビードの品質を監視するために測定ヘッドを有するノズル、より詳しくは周囲に分散配置した3つのカメラを有し、接着剤が現れた時にはいつも、3つの異なる視線角度から生成した接着剤のビードの画像を記録する。前記画像は、適当な画像比較プログラムによって完全に自動的に監視されて、記憶されている所定の画像値から接着剤のビードの高さや幅、広がりが逸脱すると、エラーメッセージが発せられる。
【0004】
ホットメルト接着剤の塗布は、180℃以上に熱せられた高い温度で行われる。接着剤は個別のノズルから離して配置されたタンクの中で加熱され、ノズルの付近の領域まで好ましくは加熱されている配管を介して輸送ポンプで案内され、ノズルに到達する前、制御下で駆動されるギアポンプによってノズルへと運ばれる。そして、好ましくは空気圧により制御されるノズルニードを介して、ノズルの開口部にて正確なタイミングがとられる。動作の際は、短時間に、ギアポンプはいうまでもなくノズル全体、および両者を結合する配管ブロックは、該当する場合には、接着剤の温度になるとみなせる。経験則によれば、ノズル環境において生じる温度は、詳しくは温度に敏感なカメラである測定ヘッドの性能に悪影響を与える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、吐出された接着剤ビードを信頼して監視できる前記タイプのノズル組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的は、カメラを備えた測定ヘッドを冷却すべく冷却装置を設け、かかる冷却装置を測定ヘッドに配置することにより達成される。原則として、測定ヘッドそれ自体は環状の部材として設計されていて、そのノズルに対して同軸的に配置され、ギアポンプの配管ブロックに配置される。好ましくは、その冷却装置もまた、環状の部材の形状になっていて、接着剤ノズルに対して同軸的に配置され、ギアポンプの配管ブロックに対してノズルとスクリーンとを取り囲む。このことは、ノズルが下方へ開かれているならば、冷却リングは測定ヘッドの上方に環状円板のように配置されることを意味する。ノズルは、そのノズル先端部によって、測定ヘッドを通過して数センチメートルほど下方へ突出する。有利な実施の形態においては、冷却リングは、ひとつの単一の環状チャンバを備え、該チャンバには冷媒、より詳しくは冷却空気や冷却水が供給口を介して供給され、冷媒は供給口に近接した排出口を介して排出される。環状チャンバの内部には、供給口と排出口との間に、分離壁を配置しなければならない。しかしながら、冷却リングの内部には、より複雑なタイプの冷媒案内手段を設けることも可能である。
【0007】
追加的な応用例によれば、熱放散を目的として熱伝達に役立つ表面積を大きくするために冷却リングを測定ヘッドの外面を取り巻くように配置することもできる。ノズルは一般的に、ノズルの先端部まで接着剤の温度を所望のレベルに維持するために加熱要素を備える。ノズルから環状の測定ヘッドまでの熱伝達を低減させるため、ノズルハウジングの内部に、その加熱要素を囲む断熱カバーを配置しても良い。また、熱伝達を低減させるため、さらに、ノズルハウジングを保持する保持要素が提案される。かかる保持要素は好ましくは、ギアポンプの配管ブロックに固定され、熱伝導率が小さい炭素繊維複合素材から構成される。
【0008】
カメラを保護するために、測定ヘッドは一般に下側からガラス板で覆われていて、また、個別の光学系には個別のガラス板が任意的に設けられる。少なくともかかる冷却された測定ヘッドの部分において、接着剤の不可避な蒸気が付着堆積することを防ぐため、測定ヘッドの下側に過大な圧力領域か空気流かを発生させる追加的な装置が提案され、塗布される接着剤蒸気から測定ヘッドの下側を保護する。簡単な実施形態においては、前記した装置は、冷媒のうち少なくとも気体状の冷媒の部分のための出口を備え、冷媒のうち少なくとも気体状の冷媒の部分は、好ましくは、冷却装置に供給される前にこれが分枝されている。これに代えてまたはこれに追加して、装置は、通風孔と、適切に配置されたノズル出口とを備え、これらは測定ヘッドの下方から接着剤の蒸気を吹き払う。上下という用語の意義を拡張すると、横たわる基板に接着剤ビードを上側から塗布する際のノズル姿勢に対して最も頻繁に定義される。ロボットアームは、接着剤ノズルと、これに結合されたすべての部品とを任意の方向に回動させることができる。制御ラインはいうまでも無く、ホットメルト接着剤や冷媒を供給する配管をも、可撓性に設計される必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について、以下、3つの図面を参照して説明する。図示の組立体は好ましくは、ロボットアームに固定されている。ホットメルト接着剤のためのニードルノズル11は実質的に、ノズルハウジング12と、出口開口部14をもったノズル先端部13と、ノズルの内部に長手方向に可動にであって、空気圧によって動作するバルブニードル15とを備えている。動作の目的のため、空気圧チャンバ17の中で軸線方向に制御可能であるようなピストン16が、バルブニードル15に固定されている。ハウジング12においては、第1の通気孔口18と第2の通気孔口19を有する。さらに、空気圧口20も有している。バルブニードル15は、ピストン16によって上昇または下降するが、ピストン16は空気圧チャンバ17の内部において軸線方向に動き、出口開口部14を開いたり閉じたりする。ノズルハウジング12の一方の側には、結合口22を介してノズルハウジング12に結合されている接着剤供給口を有する設けられた配管ブロック21を備えている。予め加熱されたホットメルト接着剤は、制御可能な結合部24でモータ25に結合されているギアポンプ23を介してニードルノズル11へと供給される。ノズルハウジング12には、2つの加熱要素27および28と断熱カバー29とが配置され、これらは供給されるホットメルト接着剤を所望の処理温度に保ち、また同時に、ノズルハウジング12を介しての熱放散を大きく抑制する。配管ブロック21には、ノズルに対して環状に配置された測定ヘッド41が、2つの保持要素31及び32を介して、光学監視システムに取り付けられて、2つの制御及び信号ラインが前記監視システムに接続されている。より詳しくは、測定ヘッド41は、周辺に配置され、ノズル先端部13へ向けられている3つのカメラを有する。このカメラは、接着剤のビードを監視し、ノズルの動作中には、定期的に画像を電子画像評価システムへと伝送する。カメラの詳細には表されていない。測定ヘッド41の上方には、測定ヘッド41または保持要素31および32に固定することが可能であって、測定ヘッド41に対して平坦に接触する円板形の冷却リング45が備えられている。冷却リング45は冷媒を供給し、また排出する2つの取付口46および47を備える。冷媒は、空気または水の形で提供される。冷却リング45は測定ヘッド41のカメラにとって許容できる動作温度を維持し、かかる温度は、接着剤の温度を越えないことが明らかである。こうして、本発明では、測定ヘッド41は、加熱されたホットメルト接着剤に対して断熱され、冷却リングによって冷却される。また、冷却リング45は、図示の実施形態とは異なるように、測定ヘッド41の外面を越えて延在するように設計させることもでき、円筒形の測定ヘッド41の上端面と共に、外面もまた、平坦に直接冷却されるようにしても良い。測定ヘッド41の下端は、ガラス板44で覆われていて、カメラの光学系を保護する。接着剤の蒸気がガラス板に付着堆積するのを防ぐために、気体状の冷媒は、冷却リング45から測定ヘッドを通して案内され、中央から出現し、例えばノズルハウジング12の環状の外方向へ導いて、ガラス板に沿って内側から外側へと放射方向のガス流を発生させるようにして、接着剤の蒸気を吹き払う。本発明の好ましい実施形態は以下の図面に表されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるノズル組立体について、接着剤ノズルの長手軸線を示した図である。
【図2】図1に示した本発明によるノズル組立体について、90゜ほど回転させた状態において、接着剤ノズルの長手方向A−Aの断面図である。
【図3】本発明によるノズル組立体を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0011】
11 ニードルノズル
12 ノズルハウジング
13 ノズル先端部
14 ノズル開口部
15 バルブニードル
16 ピストン
17 空気圧チャンバ
18 通風孔
19 通風孔
20 空気圧供給源
21 接着剤案内ハウジング
22 取付口
23 ポンプ
24 結合部
25 モータ
26 接着剤供給システム
31 保持要素
32 保持要素
41 測定ヘッド
42 制御ライン
43 信号ライン
44 ガラス板
45 冷却リング
46 取付口
47 取付口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤のためのノズル組立体であって、
ノズルが発生させた接着剤ビードを監視するためのカメラを備えてなる測定ヘッド(41)を備えるノズル(11)と、
該測定ヘッドに配置される冷却装置(45)とを備えていることを特徴とするノズル組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のノズル組立体であって、
該冷却装置は、ノズル(11)に対して同軸的に配置される、少なくともひとつの冷却リングを備えていることを特徴とするノズル組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のノズル組立体であって、
前記少なくともひとつの冷却リング(45)は、冷媒の供給口および排出口の取付具(46,47)を有する環状のチャンバを備えることを特徴とするノズル組立体。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該冷却リング(45)は、少なくともひとつの端面を介して、該測定ヘッド(41)と熱伝導的に接触していることを特徴とするノズル組立体。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該冷却リング(45)は、該測定ヘッド(41)の外面を取り囲んでいることを特徴とするノズル組立体。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該ノズル(11)はニードル・ノズルであることを特徴とするノズル組立体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該ノズル(11)のハウジング(12)の内部に、断熱カバー(29)に取り囲まれて配置されている少なくともひとつの加熱要素(27,28)が配置されていることを特徴とするノズル組立体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該断熱カバー(29)はメラミン発泡材からなることを特徴とするノズル組立体。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該測定ヘッド(41)および/または該冷却リング(45)のための保持要素は、炭素繊維複合素材から作られていることを特徴とするノズル組立体。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のノズル組立体であって、
該測定ヘッド(41)の下側に配置され、塗布中の接着剤の蒸気から該測定ヘッドの下側を保護するための、ガス流を発生させる装置を具備していることを特徴とするノズル組立体。
【請求項11】
請求項10に記載のノズル組立体であって、
前記ガス流を発生させる装置は、少なくとも気体状の冷媒の部分のための出口を備えていることを特徴とするノズル組立体。
【請求項12】
請求項10または11に記載のノズル組立体であって、
前記ガス流を発生させる装置は通風孔を備えていることを特徴とするノズル組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−326580(P2006−326580A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−133374(P2006−133374)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】