冷却装置およびこれを搭載した電子機器、および電気自動車
【課題】冷媒の循環を効率よく行い、冷却性能を向上させた冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】作動流体12を、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、受熱部4へと循環させて熱の移動を行う冷却装置3であって、受熱部4は、作動流体12を受ける受熱板11とこの受熱板11を覆って受熱空間13を形成する受熱板カバー14とで構成され、受熱板11には、作動流体12を受ける部分(作動流体滴下部20)を始点として断面がV字型の溝21を複数形成したので、作動流体12が受熱板11上に滴下したときに、溝21の内部を膜状に広がると共に、溝21の壁面から熱を効率よく受けるので、作動流体12は受熱板11上で蒸発しやすく、放熱経路6内をスムーズに移動して冷却効果を高める。
【解決手段】作動流体12を、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、受熱部4へと循環させて熱の移動を行う冷却装置3であって、受熱部4は、作動流体12を受ける受熱板11とこの受熱板11を覆って受熱空間13を形成する受熱板カバー14とで構成され、受熱板11には、作動流体12を受ける部分(作動流体滴下部20)を始点として断面がV字型の溝21を複数形成したので、作動流体12が受熱板11上に滴下したときに、溝21の内部を膜状に広がると共に、溝21の壁面から熱を効率よく受けるので、作動流体12は受熱板11上で蒸発しやすく、放熱経路6内をスムーズに移動して冷却効果を高める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置およびこれを搭載した電子機器、および電気自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の冷却装置は、電気自動車の電力変換回路に搭載されたものが知られている。電気自動車では、駆動動力源となる電動モータを電力変換回路であるインバータ回路でスイッチング駆動していた。インバータ回路には、パワートランジスタを代表とする半導体スイッチング素子が複数個使われていて、それぞれの素子に数十アンペアの大電流が流れていた。そのため半導体スイッチング素子は大きく発熱し、冷却することが必要であった。
【0003】
そこで、従来は、例えば特許文献1のように、上下に冷媒放熱器と冷媒タンクを備えた沸騰冷却装置にて、下部に配したインバータ回路の冷却を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−126125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の冷却装置においては、半導体スイッチング素子に接触して冷媒(以下、作動流体)タンクを配置し、同タンク内の作動流体を気化させてスイッチング素子からの熱を奪わせる。そして、気化した作動流体は、上部に配置した放熱器へ上昇し、放熱器内壁で凝縮することで潜熱を放熱器へ送り放熱させる。次に、凝縮により液化した作動流体は、再び装置内壁を伝わって下部のタンクへ戻る。実際の冷却は、この一連の流体循環サイクルを繰り返すことで行われていた。
【0006】
ただ、このような従来の流体循環では、受熱表面での高速な流体移動を伴わない自然対流であるため、熱伝達係数も低く、結果的に高い冷却効果を得ることは出来なかった。
【0007】
また、上記自然対流型の作動流体の循環に対し、圧縮機を用いず、作動流体の膨張によって循環経路内を作動流体が循環するループ型のヒートパイプの技術が実現されている。
【0008】
このループ型のヒートパイプにおいては、受熱表面において、作動流体を効率的に蒸発させて大きな圧力を発生させ、作動流体が循環経路内をスムーズに循環することが冷却効果を高める上で重要になる。
【0009】
そこで、本発明は、受熱表面における熱伝達係数を高めることで、冷却装置の冷却性能を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明は、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成したものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の複数の溝を形成するとで、冷却性能を高めることが出来る。
【0012】
すなわち、本発明においては、受熱板上に滴下された作動流体は、前記V字型またはU字型の溝の内壁面を膜状に広がり、溝の内壁面全体から熱を効率よく受けとることで、受熱板上で瞬時に気化する。その結果、受熱板から効率的に気化潜熱を奪うことができるため、高い冷却効果が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の電気自動車の概略図
【図2】同放熱体の構成を示す図
【図3】同冷却装置を示す概略図
【図4】同冷却装置の受熱部斜視図
【図5】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図6】同冷却装置の受熱部の溝の説明図(a)溝の断面図、(b)溝の切削概略図
【図7】本発明の実施の形態2の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図8】同冷却装置の受熱部の溝の説明図(a)V字溝の断面図、(b)U字溝の断面図
【図9】同冷却装置の受熱部の溝の鍛造方法による成形概略図(a)初期状態図、(b)鍛造型が当たったときの図、(c)ほぼ溝が形成されたときの図、(d)出来上がった溝の図
【図10】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図11】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図12】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図13】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図14】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図、(d)受熱部の平面図
【図15】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図16】本発明の実施の形態4の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図、(d)受熱部の平面図
【図17】本発明の実施の形態5の受熱部の詳細図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1に示すように、電気自動車1の車軸(図示せず)を駆動する電動機(図示せず)は、電気自動車1の内に配置した電力変換装置であるインバータ回路2に接続されている。
【0016】
インバータ回路2は、電動機に電力を供給するもので、複数の半導体スイッチング素子10(図3に記載)を備えおり、この半導体スイッチング素子10が動作中に発熱する。
【0017】
このため、この半導体スイッチング素子10を冷却するために、冷却装置3を備えている。冷却装置3は、受熱部4と、この受熱部4で吸収した熱を放熱する放熱部5を備え、受熱部4と放熱部5の間で熱媒体となる作動流体12(図3に記載。例えば水)を循環させる放熱経路6、帰還経路7を設ける。そして、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、受熱部4の順に作動流体12が循環する循環経路を構成している。
【0018】
つまり、この循環経路においては、作動流体12が、蒸気や液体の状態で、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、前記受熱部4の順に一方向に、循環するようになっている。
【0019】
放熱部5は、図2に示すように、外気に熱を放出する放熱体8を備えている。この放熱体8は、アルミニウムを短冊状に薄く形成したフィンを所定の間隔をあけて積層したブロック体と、積層したフィンを貫通する放熱経路6とで構成されている。そして、この放熱体8の表面に送風機9から外気を送風することで、放熱をさせている。なお、この放熱体8の表面からの放熱は、電気自動車1車内の暖房に活用することも出来る。
【0020】
また、受熱部4は、図3に示すように、半導体スイッチング素子10に接触させて熱を吸収する受熱板11と、この受熱板11の表面を覆い、流れ込んだ作動流体12を蒸発させる受熱空間13を形成する受熱板カバー14とを備えている。さらに、受熱板カバー14には、受熱空間13に液化した作動流体12を流し込む流入口15と、受熱空間13から作動流体12を気体にして排出する排出口16が設けられている。
【0021】
図3においては、受熱部4を模式的に示したが、具体的には図4、図5に示すような構造となっている。すなわち、受熱板カバー14の上面に、流入口15と排出口16を設けており、流入口15には帰還経路7を接続し、また排出口16には放熱経路6を接続している。
【0022】
さらに、帰還経路7の受熱部4側には、受熱部4内に作動流体12を供給する案内管17を、受熱空間13内に突出させた状態で接続し、また受熱部4の流入口15と、案内管17の接続部に逆止弁18を設けている。
【0023】
続いて、このような構成による冷却装置3の作用について説明する。
【0024】
上記構成において、インバータ回路2の半導体スイッチング素子10が動作を開始すると電動機に電力が供給されて、電気自動車1は、動きだすこととなる。このとき、半導体スイッチング素子10には大電流が流れることにより、少なくとも全電力の数%が損失となって大きく発熱する。
【0025】
一方で、半導体スイッチング素子10から受熱板11へ伝わった熱は、受熱空間13の受熱板11上に供給された液状の作動流体12を加熱し、瞬時に気化させる。受熱板11から気化潜熱を奪った蒸気は、排出口16から放熱経路6へと流れ、放熱体8で凝縮することで熱を外気に放出する。
【0026】
放熱体8の作用によって熱を放出した作動流体12は、凝縮により液化して帰還経路7へと流れ、流入口15の逆止弁18上に溜まることとなる。液化した作動流体12は、徐々に帰還経路7内で増加し、その水頭による圧力によって逆止弁18を押し下げると、再び受熱空間13内の受熱板11上に供給される。
【0027】
このようにして作動流体12が冷却装置3内を循環することで、半導体スイッチング素子10の冷却を行なうことになる。
【0028】
ここで、受熱空間13内の冷却のメカニズムについて図3を用いて説明を加える。
【0029】
受熱空間13内では、帰還経路7から供給された作動流体12は、受熱板11上に液滴となって滴下される。この作動流体12は、帰還経路7の端部開口(案内管17の先端部分)と受熱板11の隙間から外周部へ拡散される。このとき、受熱板11の表面では、作動流体12が放射状に形成した溝21の内壁面に薄い膜として広がり、高熱の受熱板11の熱を受けて一瞬にして気化することとなる。
【0030】
なお、受熱空間13を含む循環経路内の圧力は、使用する作動流体12によって異なるが、例えば作動流体12として水を使用した場合、大気圧よりも低く設定することで、大気圧中の水の沸騰に比べて低い温度で気化させることができる。
【0031】
本実施の形態では、循環経路内に所望量の水を作動流体12として封入し、系内をほぼ真空に減圧することで、外気温+数10度程度の温度でも容易に水を気化させることができる飽和状態とし、これにより半導体スイッチング素子10からの熱を作動流体12(この場合、水)の気化潜熱として奪い、効率的な冷却が可能となる。
【0032】
また、作動流体12が気化するときに受熱空間13内の圧力は増加するが、逆止弁18の作用により作動流体12は逆流して帰還経路7側へ戻ることはなく、確実に排出口16から放熱経路6へ放出させることができる。
【0033】
このように冷却装置3を動作させることで、規則的な受熱と放熱のサイクルができ、連続して作動流体12を受熱空間13内で気化させて半導体スイッチング素子10からの熱を効率的に除熱し、大きな冷却効果を実現することができる。
【0034】
ここで、本発明の最も特徴的な部分について説明する。
【0035】
図5に示すように、受熱板11の表面には、案内管17に対向した部分(作動流体滴下部20)を中央部として、放射状に溝21が形成されているのである。
【0036】
この溝21は、作動流体滴下部20を中央部として周方向に断面がV字型になっている。さらに詳しく説明すると、作動流体滴下部20は、案内管17とほぼ同径に円形状に形成されている。そして、溝21は、その作動流体滴下部20を中央部として放射状に形成されている。図6では、作動流体滴下部20を受熱板11の受熱板表面22よりも凹ませて形成している。そして、この凹んだ作動流体滴下部20と溝21の始点側(作動流体滴下部20側)とが連通するようになっているのである。
【0037】
溝21は、図6(b)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の溝深さよりも中央部の溝深さを深くし、終点では、深さがなくなるように溝21の底部に連続した傾斜を設けている。また、溝21は、図5(c)に示すように始点側(作動流体滴下部20側)の幅w1(作動流体滴下部20側を中央部とした周方向の幅)よりも中央部w2が広くなるように形成されている。そして、終点部では、その幅がゼロになるように形成している。
【0038】
このような溝21は、図6(b)に示すように、切削工法にて成形される。すなわち、銅板等を成形し、おおまかに形をつくった受熱板11の表面に、円形の切削刃23を当てて削ることによって溝21が形成されるのである。
【0039】
このような溝21によれば、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、周方向に広がるのであるが、そのとき、作動流体滴下部20と連通した溝21の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして、溝21によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い伝達係数を実現することが可能となるのである。言い換えれば、これにより、半導体スイッチング素子10からの熱を大容量の気化潜熱という形で効率的に奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0040】
また、周縁部に向かって深さが浅くなり、幅の細くなる溝21の形状によって、溝21内部を通過する作動流体12が、溝21内で滞ることなく外周部に広がり排出口16へと効率よく流れていくことになる。
【0041】
なお、案内管17を上に、受熱板11を下に配した状態であれば、作動流体滴下部20は、椀状にくぼみを設けても良い。このくぼみにより、作動流体12が受熱板11上で一時的に適量だけ溜まることになるので、溝21に連続的に作動流体12を供給することができるのである。
【0042】
(実施の形態2)
次に、図7、図8、図9を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0043】
全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第2の実施の形態において特徴的な部分は、図7の受熱板11に形成した鍛造溝24である。すなわち、鍛造溝24は、第1の実施の形態と同様、受熱板11の表面には、流入口15に対向した部分(作動流体滴下部20)を中央部として、放射状に鍛造溝24が形成されている。この鍛造溝24は、作動流体滴下部20を中央部として周方向に断面が図8に示すようにV字型またはU字型になっている。そして、第2の実施の形態における特徴的な部分は、このV字型またはU字型に形成された鍛造溝24の頂部が受熱板表面22よりも突出した形状(突部25)になっている点である。その詳細は、図8(a),(b)において示されている様なV字または、U字の形状となる。なお、図8において、破線26の部分は、受熱板表面22と突部25の麓部分との境界である。
【0045】
このような構成により、鍛造溝24は、作動流体12の流れる方向(作動流体滴下部20から外側へ向かう方向)の左右に大きな壁が形成され大きな受熱面積を確保できることになる。従って、鍛造溝24内を流れる作動流体12は、壁面から効率よく熱を受けて蒸発することになる。すなわち、受熱板11が受けた熱を効率よく作動流体12に伝えて気化するため、冷却装置3内の作動流体12の循環量も大きく確保でき、冷却装置3の冷却効率を高くすることができる。
【0046】
また、このような鍛造溝24は、図9に示すように、鍛造工法にて成形される。すなわち、図9(a)に示すように、成形前の受熱板11(例えば、材料として銅を用いた銅板11a)に、鍛造溝24を成形するための鍛造型27でたたくように成形を行う。図9(b)では、鍛造型27が銅板11aに当たって少しへこんだ状態を示している。そして、図9(c)は、鍛造型27が銅板11aに鍛造溝24を形作ったところである。
【0047】
この図9(c)で示すように、銅板11aのもとの表面(受熱板表面22)に対し、鍛造溝24は凹んだ状態、突部25は突出した状態になる。鍛造溝24で凹んだ体積と突部25で突出した体積とはほぼ同じになる。すなわち、鍛造溝24をへこませた分だけ突部25が突出し、鍛造溝24の壁面を形成するのである。
【0048】
なお、本実施の形態2の受熱板11の成形方法は、鍛造工法に限られるものではなく、切削工法あるいは他の成形方法によっても製作が可能である。
【0049】
本実施の形態では、鍛造溝24の深さは、周縁部に向かって浅くなる形態を示したが、突部25を形成する鍛造溝24の形態は、この場合に限られるものではない。
【0050】
例えば、図10に示すように、幅がほぼ一定で、深さもほぼ一定の溝28であってもよい。ただし、図10では、溝28の終点部分で深さがゼロになるようにしている。
【0051】
さらに、図11に示すように、幅が外周側のほうが広い溝29であってもよい。この場合、溝29の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に流れ出す構成でも良い。
【0052】
また、図12で示すように、受熱板11の形状は、正方形や円形に限られるものではなく、長方形であっても良い。
【0053】
さらに、図13で示すように、受熱板11bの溝21bは、作動流体滴下部20を中央部とした放射状ではない。すなわち、作動流体滴下部20bと作動流体回収部30bは、受熱板11bの両端部近傍に設けられているのである。そして、溝21bは、作動流体滴下部20bから作動流体回収部30bまで、受熱板11bの表面を有効に使って、断面がV字または、U字に形成されている。
【0054】
なお、上記実施の形態では、案内管17を上側に配置し、作動流体滴下部20に向けて作動流体12が落ちるイメージで説明したが、案内管17の出口から出た作動流体12が作動流体滴下部20に向けて流れる、あるいは噴射されるようにして移動するものであればよく、その案内管17、受熱板11の上下関係を限定するものではない。
【0055】
また、上記実施形態においては、冷却装置3を電気自動車1に適用したものを説明したが、他の電子機器に冷却装置3を適用することも出来る。
【0056】
(実施の形態3)
次に、図14を用いて本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0057】
全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0058】
図14(a)は受熱板カバー14の上面から見た図であり、図14(b)は受熱板11の溝31の形状を示す断面図であり、図14(c)および図14(d)は受熱板11の溝31、溝32の形状を示す平面図である。
【0059】
第3の実施の形態においての特徴的な部分は、図14(a)、(b)、(c)に示すように、受熱板11は、作動流体滴下部20の放熱体8が接触する部分を最も薄く形成し、その最も薄く形成した部分を中央部として放射状に溝31が形成されている。溝31は、図14(b)に示すように、始点部(作動流体滴下部20)の溝深さを最も深くし、終点では、その深さと幅がなくなるように溝31の底部に連続した傾斜を設け、終点部に向けて浅くなるように形成し、かつ作動流体回収部30へ連通している。
【0060】
また、図14(b)に示すように、溝31の14b−14b断面は、中央部が最も深く端部が作動流体回収部30にそれぞれ連通するような弧形状に形成している。このような溝31は、図6(b)に示すように、切削工法にて成形される。すなわち、銅板等を成形し、おおまかに形をつくった受熱板11の表面に、円形の切削刃23を当てて削ることによって溝31が形成されるのである。
【0061】
このような構成により、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、周方向に広がるのであるが、そのとき、作動流体滴下部20と連通した溝31の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして溝31によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い熱伝達係数を実現することが可能となるのである。言い換えれば、これにより、半導体スイッチング素子10からの熱を大容量の気化潜熱という形で効率的に奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0062】
さらに、発熱体と接触する受熱部中央部が最も薄くなることにより、受熱板11に滴下された作動流体12が受熱板11の中央部にて瞬時に気化し、受熱板11の中央部からくぼみ無く平坦に連通した溝31内部を通って、作動流体回収部30へと滞ることなく広がることができ、これにより受熱板11全体から効率的に気化潜熱を奪うことができるため、気化による体積膨張がより高速の蒸気流を形成し、作動流体12の循環量も大きく確保できる。よって、熱伝達係数の向上につながり、より高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0063】
なお、本実施の形態3の受熱板11の成形方法は、切削工法に限られるものではなく、鍛造工法あるいは他の成形方法によっても製作が可能である。
【0064】
なお、図14(d)に示すように、幅が外周側のほうが広い溝32であってもよい。この場合、溝32の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に流れ出す構成でも良い。
【0065】
また、図15(b)に示すように、溝31の15b−15b断面は最も深く形成した作動流体滴下部から、作動流体回収部へと一定の傾斜を設けるように形成させても良い。
なお、図16に示すように、受熱板11の形状は、正方形や円形に限られるものではなく、たとえば長方形であっても良い。
【0066】
(実施の形態4)
図16を用いて本発明の第4の実施の形態について説明する。全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図16(a)は受熱板11が長方形状のときの受熱板カバー14を上面から見た図であり、図16(b)は作動流体滴下部20と溝33の形状を示す断面図であり、図16(c)は作動流体滴下部20と溝33の形状を示す平面図である。また、図16(b)は溝33の他の形態の図である。
【0068】
第4の実施の形態においての特徴的な部分は、図16に示すように、長方形状の受熱板11と、その中央部に長方形状の作動流体滴下部20と、この作動流体滴下部20の周囲に溝33を同形状に複数形成したものであり、この作動流体滴下部20の長手方向は、受熱板11の長手方向と一致し、この溝33の始点は、作動流体滴下部20の周囲に均等に配され、かつ連通し、終点は、作動流体回収部30の内周縁に均等に配され、かつ連通しているものである。
【0069】
溝33は、図6(b)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の溝深さよりも中央部の溝深さを深くし、終点では、深さがなくなるように溝33の底部に連続した傾斜を設けている。また、溝33は、図16(c)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の幅w1(作動流体滴下部20側を中央部とした周方向の幅)よりも中央部w2が広くなるように形成されている。そして、終点部では、その幅がゼロになるように形成している。
【0070】
このような構成により、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、先ず長方形状の作動流体滴下部20を膜状に瞬時に広がり、そして溝33の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして、溝33によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い熱伝達係数を実現することができ、高い冷却性能を実現することが可能となるのである。
【0071】
また、このとき、各溝が同形状であることにより、溝33を通る蒸気流の圧力損失が等しくなり、各溝を通る蒸気流が受熱板11の全体に均等に広がることができるので、より効果的に大容量の気化潜熱を奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0072】
なお、図16(d)に示すように、作動流体滴下部20に連通する内周側よりも、作動流体回収部30と連通する外周側のほうが広くなるよう形成された溝34であってもよい。この場合、溝34の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に作動流体12が流れ出す構成となる。
【0073】
なお、本実施の形態では、受熱板11、作動流体滴下部20は長方形状としたが、それに限られるものではなく、図16(d)に示すようなそれぞれの形状がたとえば長丸形状でも良い。
【0074】
(実施の形態5)
図17を用いて本発明の第5の実施の形態について説明する。全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。図17は受熱板カバー14に設けた排出口16と放熱経路6の形状を示す断面図である。
【0075】
第5の実施の形態においての特徴的な部分は、図17に示すように、受熱空間13から作動流体12を排出する排出口16と放熱経路6の間に、排出口16と接続する排出口継目35と放熱経路と接続する放熱経路継目36とを備える放熱経路接続部37を設けたものである。
【0076】
排出口16と排出口16と接続する排出口継目35の流路断面積は等しく、排出口継目35の流路断面積は、放熱経路6よりも大きく、放熱経路6と放熱経路6と接続する放熱経路継目36の流路断面積は等しく形成され、この放熱経路接続部37の断面形状は、排出口継目35から放熱経路継目36へ向けて徐々に放熱経路6の流路断面積に近づくように形成している。
【0077】
このような構成により、受熱空間13内で、受熱板11から気化潜熱を奪った蒸気が、放熱経路6へと流れ出るとき、受熱空間13から放熱経路6へ作動流体が移動する際の、経路の急縮小による圧力損失を放熱経路接続部37により低減させることができるため、排出口16にて作動流体12が滞ることなく、放熱経路6へと移動することができるので、より効果的に作動流体12の循環量も確保でき、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0078】
なお、本実施の形態では、放熱経路接続部37は、排出口継目35から放熱経路継目36へ向けて徐々に放熱経路6の流路断面積に近づくような形状としたが、それに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかる冷却装置は、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成することで、冷却効果を高めることが出来る。
【0080】
すなわち、本発明においては、作動流体が受熱板上に滴下したときに、溝の内部を膜状に広がると共に、溝の壁面から熱を効率よく受けるので、作動流体は受熱板上で気化しやすく、気化した蒸気は、放熱経路内をスムーズに移動し、放熱部で効率的に凝縮放熱するため、高い冷却効果を達成することが可能となる。
【0081】
このため、電気自動車の駆動装置としての電力変換装置に使用されるパワー半導体、高い発熱量を有するCPUなどの冷却に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 電気自動車
2 インバータ回路
3 冷却装置
4 受熱部
5 放熱部
6 放熱経路
7 帰還経路
8 放熱体
9 送風機
10 半導体スイッチング素子
11 受熱板
11a 銅板
11b 受熱板
12 作動流体
13 受熱空間
14 受熱板カバー
15 流入口
16 排出口
17 案内管
18 逆止弁
20 作動流体滴下部
20b 作動流体滴下部
21 溝
21b 溝
22 受熱板表面
23 切削刃
24 鍛造溝
25 突部
26 破線
27 鍛造型
28 溝
29 溝
30 作動流体回収部
30b 作動流体回収部
31 溝
32 溝
33 溝
34 溝
35 排出口継目
36 放熱経路継目
37 放熱経路接続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置およびこれを搭載した電子機器、および電気自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の冷却装置は、電気自動車の電力変換回路に搭載されたものが知られている。電気自動車では、駆動動力源となる電動モータを電力変換回路であるインバータ回路でスイッチング駆動していた。インバータ回路には、パワートランジスタを代表とする半導体スイッチング素子が複数個使われていて、それぞれの素子に数十アンペアの大電流が流れていた。そのため半導体スイッチング素子は大きく発熱し、冷却することが必要であった。
【0003】
そこで、従来は、例えば特許文献1のように、上下に冷媒放熱器と冷媒タンクを備えた沸騰冷却装置にて、下部に配したインバータ回路の冷却を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−126125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の冷却装置においては、半導体スイッチング素子に接触して冷媒(以下、作動流体)タンクを配置し、同タンク内の作動流体を気化させてスイッチング素子からの熱を奪わせる。そして、気化した作動流体は、上部に配置した放熱器へ上昇し、放熱器内壁で凝縮することで潜熱を放熱器へ送り放熱させる。次に、凝縮により液化した作動流体は、再び装置内壁を伝わって下部のタンクへ戻る。実際の冷却は、この一連の流体循環サイクルを繰り返すことで行われていた。
【0006】
ただ、このような従来の流体循環では、受熱表面での高速な流体移動を伴わない自然対流であるため、熱伝達係数も低く、結果的に高い冷却効果を得ることは出来なかった。
【0007】
また、上記自然対流型の作動流体の循環に対し、圧縮機を用いず、作動流体の膨張によって循環経路内を作動流体が循環するループ型のヒートパイプの技術が実現されている。
【0008】
このループ型のヒートパイプにおいては、受熱表面において、作動流体を効率的に蒸発させて大きな圧力を発生させ、作動流体が循環経路内をスムーズに循環することが冷却効果を高める上で重要になる。
【0009】
そこで、本発明は、受熱表面における熱伝達係数を高めることで、冷却装置の冷却性能を高めることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そして、この目的を達成するために、本発明は、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成したものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の複数の溝を形成するとで、冷却性能を高めることが出来る。
【0012】
すなわち、本発明においては、受熱板上に滴下された作動流体は、前記V字型またはU字型の溝の内壁面を膜状に広がり、溝の内壁面全体から熱を効率よく受けとることで、受熱板上で瞬時に気化する。その結果、受熱板から効率的に気化潜熱を奪うことができるため、高い冷却効果が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1の電気自動車の概略図
【図2】同放熱体の構成を示す図
【図3】同冷却装置を示す概略図
【図4】同冷却装置の受熱部斜視図
【図5】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図6】同冷却装置の受熱部の溝の説明図(a)溝の断面図、(b)溝の切削概略図
【図7】本発明の実施の形態2の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図8】同冷却装置の受熱部の溝の説明図(a)V字溝の断面図、(b)U字溝の断面図
【図9】同冷却装置の受熱部の溝の鍛造方法による成形概略図(a)初期状態図、(b)鍛造型が当たったときの図、(c)ほぼ溝が形成されたときの図、(d)出来上がった溝の図
【図10】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図11】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図12】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図13】同冷却装置の受熱部の溝の他の形態の図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図14】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図、(d)受熱部の平面図
【図15】同冷却装置の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図
【図16】本発明の実施の形態4の受熱部の詳細図(a)受熱板カバーの平面図、(b)断面図、(c)受熱部の平面図、(d)受熱部の平面図
【図17】本発明の実施の形態5の受熱部の詳細図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1に示すように、電気自動車1の車軸(図示せず)を駆動する電動機(図示せず)は、電気自動車1の内に配置した電力変換装置であるインバータ回路2に接続されている。
【0016】
インバータ回路2は、電動機に電力を供給するもので、複数の半導体スイッチング素子10(図3に記載)を備えおり、この半導体スイッチング素子10が動作中に発熱する。
【0017】
このため、この半導体スイッチング素子10を冷却するために、冷却装置3を備えている。冷却装置3は、受熱部4と、この受熱部4で吸収した熱を放熱する放熱部5を備え、受熱部4と放熱部5の間で熱媒体となる作動流体12(図3に記載。例えば水)を循環させる放熱経路6、帰還経路7を設ける。そして、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、受熱部4の順に作動流体12が循環する循環経路を構成している。
【0018】
つまり、この循環経路においては、作動流体12が、蒸気や液体の状態で、受熱部4、放熱経路6、放熱部5、帰還経路7、前記受熱部4の順に一方向に、循環するようになっている。
【0019】
放熱部5は、図2に示すように、外気に熱を放出する放熱体8を備えている。この放熱体8は、アルミニウムを短冊状に薄く形成したフィンを所定の間隔をあけて積層したブロック体と、積層したフィンを貫通する放熱経路6とで構成されている。そして、この放熱体8の表面に送風機9から外気を送風することで、放熱をさせている。なお、この放熱体8の表面からの放熱は、電気自動車1車内の暖房に活用することも出来る。
【0020】
また、受熱部4は、図3に示すように、半導体スイッチング素子10に接触させて熱を吸収する受熱板11と、この受熱板11の表面を覆い、流れ込んだ作動流体12を蒸発させる受熱空間13を形成する受熱板カバー14とを備えている。さらに、受熱板カバー14には、受熱空間13に液化した作動流体12を流し込む流入口15と、受熱空間13から作動流体12を気体にして排出する排出口16が設けられている。
【0021】
図3においては、受熱部4を模式的に示したが、具体的には図4、図5に示すような構造となっている。すなわち、受熱板カバー14の上面に、流入口15と排出口16を設けており、流入口15には帰還経路7を接続し、また排出口16には放熱経路6を接続している。
【0022】
さらに、帰還経路7の受熱部4側には、受熱部4内に作動流体12を供給する案内管17を、受熱空間13内に突出させた状態で接続し、また受熱部4の流入口15と、案内管17の接続部に逆止弁18を設けている。
【0023】
続いて、このような構成による冷却装置3の作用について説明する。
【0024】
上記構成において、インバータ回路2の半導体スイッチング素子10が動作を開始すると電動機に電力が供給されて、電気自動車1は、動きだすこととなる。このとき、半導体スイッチング素子10には大電流が流れることにより、少なくとも全電力の数%が損失となって大きく発熱する。
【0025】
一方で、半導体スイッチング素子10から受熱板11へ伝わった熱は、受熱空間13の受熱板11上に供給された液状の作動流体12を加熱し、瞬時に気化させる。受熱板11から気化潜熱を奪った蒸気は、排出口16から放熱経路6へと流れ、放熱体8で凝縮することで熱を外気に放出する。
【0026】
放熱体8の作用によって熱を放出した作動流体12は、凝縮により液化して帰還経路7へと流れ、流入口15の逆止弁18上に溜まることとなる。液化した作動流体12は、徐々に帰還経路7内で増加し、その水頭による圧力によって逆止弁18を押し下げると、再び受熱空間13内の受熱板11上に供給される。
【0027】
このようにして作動流体12が冷却装置3内を循環することで、半導体スイッチング素子10の冷却を行なうことになる。
【0028】
ここで、受熱空間13内の冷却のメカニズムについて図3を用いて説明を加える。
【0029】
受熱空間13内では、帰還経路7から供給された作動流体12は、受熱板11上に液滴となって滴下される。この作動流体12は、帰還経路7の端部開口(案内管17の先端部分)と受熱板11の隙間から外周部へ拡散される。このとき、受熱板11の表面では、作動流体12が放射状に形成した溝21の内壁面に薄い膜として広がり、高熱の受熱板11の熱を受けて一瞬にして気化することとなる。
【0030】
なお、受熱空間13を含む循環経路内の圧力は、使用する作動流体12によって異なるが、例えば作動流体12として水を使用した場合、大気圧よりも低く設定することで、大気圧中の水の沸騰に比べて低い温度で気化させることができる。
【0031】
本実施の形態では、循環経路内に所望量の水を作動流体12として封入し、系内をほぼ真空に減圧することで、外気温+数10度程度の温度でも容易に水を気化させることができる飽和状態とし、これにより半導体スイッチング素子10からの熱を作動流体12(この場合、水)の気化潜熱として奪い、効率的な冷却が可能となる。
【0032】
また、作動流体12が気化するときに受熱空間13内の圧力は増加するが、逆止弁18の作用により作動流体12は逆流して帰還経路7側へ戻ることはなく、確実に排出口16から放熱経路6へ放出させることができる。
【0033】
このように冷却装置3を動作させることで、規則的な受熱と放熱のサイクルができ、連続して作動流体12を受熱空間13内で気化させて半導体スイッチング素子10からの熱を効率的に除熱し、大きな冷却効果を実現することができる。
【0034】
ここで、本発明の最も特徴的な部分について説明する。
【0035】
図5に示すように、受熱板11の表面には、案内管17に対向した部分(作動流体滴下部20)を中央部として、放射状に溝21が形成されているのである。
【0036】
この溝21は、作動流体滴下部20を中央部として周方向に断面がV字型になっている。さらに詳しく説明すると、作動流体滴下部20は、案内管17とほぼ同径に円形状に形成されている。そして、溝21は、その作動流体滴下部20を中央部として放射状に形成されている。図6では、作動流体滴下部20を受熱板11の受熱板表面22よりも凹ませて形成している。そして、この凹んだ作動流体滴下部20と溝21の始点側(作動流体滴下部20側)とが連通するようになっているのである。
【0037】
溝21は、図6(b)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の溝深さよりも中央部の溝深さを深くし、終点では、深さがなくなるように溝21の底部に連続した傾斜を設けている。また、溝21は、図5(c)に示すように始点側(作動流体滴下部20側)の幅w1(作動流体滴下部20側を中央部とした周方向の幅)よりも中央部w2が広くなるように形成されている。そして、終点部では、その幅がゼロになるように形成している。
【0038】
このような溝21は、図6(b)に示すように、切削工法にて成形される。すなわち、銅板等を成形し、おおまかに形をつくった受熱板11の表面に、円形の切削刃23を当てて削ることによって溝21が形成されるのである。
【0039】
このような溝21によれば、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、周方向に広がるのであるが、そのとき、作動流体滴下部20と連通した溝21の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして、溝21によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い伝達係数を実現することが可能となるのである。言い換えれば、これにより、半導体スイッチング素子10からの熱を大容量の気化潜熱という形で効率的に奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0040】
また、周縁部に向かって深さが浅くなり、幅の細くなる溝21の形状によって、溝21内部を通過する作動流体12が、溝21内で滞ることなく外周部に広がり排出口16へと効率よく流れていくことになる。
【0041】
なお、案内管17を上に、受熱板11を下に配した状態であれば、作動流体滴下部20は、椀状にくぼみを設けても良い。このくぼみにより、作動流体12が受熱板11上で一時的に適量だけ溜まることになるので、溝21に連続的に作動流体12を供給することができるのである。
【0042】
(実施の形態2)
次に、図7、図8、図9を用いて本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0043】
全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0044】
第2の実施の形態において特徴的な部分は、図7の受熱板11に形成した鍛造溝24である。すなわち、鍛造溝24は、第1の実施の形態と同様、受熱板11の表面には、流入口15に対向した部分(作動流体滴下部20)を中央部として、放射状に鍛造溝24が形成されている。この鍛造溝24は、作動流体滴下部20を中央部として周方向に断面が図8に示すようにV字型またはU字型になっている。そして、第2の実施の形態における特徴的な部分は、このV字型またはU字型に形成された鍛造溝24の頂部が受熱板表面22よりも突出した形状(突部25)になっている点である。その詳細は、図8(a),(b)において示されている様なV字または、U字の形状となる。なお、図8において、破線26の部分は、受熱板表面22と突部25の麓部分との境界である。
【0045】
このような構成により、鍛造溝24は、作動流体12の流れる方向(作動流体滴下部20から外側へ向かう方向)の左右に大きな壁が形成され大きな受熱面積を確保できることになる。従って、鍛造溝24内を流れる作動流体12は、壁面から効率よく熱を受けて蒸発することになる。すなわち、受熱板11が受けた熱を効率よく作動流体12に伝えて気化するため、冷却装置3内の作動流体12の循環量も大きく確保でき、冷却装置3の冷却効率を高くすることができる。
【0046】
また、このような鍛造溝24は、図9に示すように、鍛造工法にて成形される。すなわち、図9(a)に示すように、成形前の受熱板11(例えば、材料として銅を用いた銅板11a)に、鍛造溝24を成形するための鍛造型27でたたくように成形を行う。図9(b)では、鍛造型27が銅板11aに当たって少しへこんだ状態を示している。そして、図9(c)は、鍛造型27が銅板11aに鍛造溝24を形作ったところである。
【0047】
この図9(c)で示すように、銅板11aのもとの表面(受熱板表面22)に対し、鍛造溝24は凹んだ状態、突部25は突出した状態になる。鍛造溝24で凹んだ体積と突部25で突出した体積とはほぼ同じになる。すなわち、鍛造溝24をへこませた分だけ突部25が突出し、鍛造溝24の壁面を形成するのである。
【0048】
なお、本実施の形態2の受熱板11の成形方法は、鍛造工法に限られるものではなく、切削工法あるいは他の成形方法によっても製作が可能である。
【0049】
本実施の形態では、鍛造溝24の深さは、周縁部に向かって浅くなる形態を示したが、突部25を形成する鍛造溝24の形態は、この場合に限られるものではない。
【0050】
例えば、図10に示すように、幅がほぼ一定で、深さもほぼ一定の溝28であってもよい。ただし、図10では、溝28の終点部分で深さがゼロになるようにしている。
【0051】
さらに、図11に示すように、幅が外周側のほうが広い溝29であってもよい。この場合、溝29の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に流れ出す構成でも良い。
【0052】
また、図12で示すように、受熱板11の形状は、正方形や円形に限られるものではなく、長方形であっても良い。
【0053】
さらに、図13で示すように、受熱板11bの溝21bは、作動流体滴下部20を中央部とした放射状ではない。すなわち、作動流体滴下部20bと作動流体回収部30bは、受熱板11bの両端部近傍に設けられているのである。そして、溝21bは、作動流体滴下部20bから作動流体回収部30bまで、受熱板11bの表面を有効に使って、断面がV字または、U字に形成されている。
【0054】
なお、上記実施の形態では、案内管17を上側に配置し、作動流体滴下部20に向けて作動流体12が落ちるイメージで説明したが、案内管17の出口から出た作動流体12が作動流体滴下部20に向けて流れる、あるいは噴射されるようにして移動するものであればよく、その案内管17、受熱板11の上下関係を限定するものではない。
【0055】
また、上記実施形態においては、冷却装置3を電気自動車1に適用したものを説明したが、他の電子機器に冷却装置3を適用することも出来る。
【0056】
(実施の形態3)
次に、図14を用いて本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0057】
全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0058】
図14(a)は受熱板カバー14の上面から見た図であり、図14(b)は受熱板11の溝31の形状を示す断面図であり、図14(c)および図14(d)は受熱板11の溝31、溝32の形状を示す平面図である。
【0059】
第3の実施の形態においての特徴的な部分は、図14(a)、(b)、(c)に示すように、受熱板11は、作動流体滴下部20の放熱体8が接触する部分を最も薄く形成し、その最も薄く形成した部分を中央部として放射状に溝31が形成されている。溝31は、図14(b)に示すように、始点部(作動流体滴下部20)の溝深さを最も深くし、終点では、その深さと幅がなくなるように溝31の底部に連続した傾斜を設け、終点部に向けて浅くなるように形成し、かつ作動流体回収部30へ連通している。
【0060】
また、図14(b)に示すように、溝31の14b−14b断面は、中央部が最も深く端部が作動流体回収部30にそれぞれ連通するような弧形状に形成している。このような溝31は、図6(b)に示すように、切削工法にて成形される。すなわち、銅板等を成形し、おおまかに形をつくった受熱板11の表面に、円形の切削刃23を当てて削ることによって溝31が形成されるのである。
【0061】
このような構成により、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、周方向に広がるのであるが、そのとき、作動流体滴下部20と連通した溝31の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして溝31によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い熱伝達係数を実現することが可能となるのである。言い換えれば、これにより、半導体スイッチング素子10からの熱を大容量の気化潜熱という形で効率的に奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0062】
さらに、発熱体と接触する受熱部中央部が最も薄くなることにより、受熱板11に滴下された作動流体12が受熱板11の中央部にて瞬時に気化し、受熱板11の中央部からくぼみ無く平坦に連通した溝31内部を通って、作動流体回収部30へと滞ることなく広がることができ、これにより受熱板11全体から効率的に気化潜熱を奪うことができるため、気化による体積膨張がより高速の蒸気流を形成し、作動流体12の循環量も大きく確保できる。よって、熱伝達係数の向上につながり、より高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0063】
なお、本実施の形態3の受熱板11の成形方法は、切削工法に限られるものではなく、鍛造工法あるいは他の成形方法によっても製作が可能である。
【0064】
なお、図14(d)に示すように、幅が外周側のほうが広い溝32であってもよい。この場合、溝32の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に流れ出す構成でも良い。
【0065】
また、図15(b)に示すように、溝31の15b−15b断面は最も深く形成した作動流体滴下部から、作動流体回収部へと一定の傾斜を設けるように形成させても良い。
なお、図16に示すように、受熱板11の形状は、正方形や円形に限られるものではなく、たとえば長方形であっても良い。
【0066】
(実施の形態4)
図16を用いて本発明の第4の実施の形態について説明する。全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図16(a)は受熱板11が長方形状のときの受熱板カバー14を上面から見た図であり、図16(b)は作動流体滴下部20と溝33の形状を示す断面図であり、図16(c)は作動流体滴下部20と溝33の形状を示す平面図である。また、図16(b)は溝33の他の形態の図である。
【0068】
第4の実施の形態においての特徴的な部分は、図16に示すように、長方形状の受熱板11と、その中央部に長方形状の作動流体滴下部20と、この作動流体滴下部20の周囲に溝33を同形状に複数形成したものであり、この作動流体滴下部20の長手方向は、受熱板11の長手方向と一致し、この溝33の始点は、作動流体滴下部20の周囲に均等に配され、かつ連通し、終点は、作動流体回収部30の内周縁に均等に配され、かつ連通しているものである。
【0069】
溝33は、図6(b)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の溝深さよりも中央部の溝深さを深くし、終点では、深さがなくなるように溝33の底部に連続した傾斜を設けている。また、溝33は、図16(c)に示すように、始点側(作動流体滴下部20側)の幅w1(作動流体滴下部20側を中央部とした周方向の幅)よりも中央部w2が広くなるように形成されている。そして、終点部では、その幅がゼロになるように形成している。
【0070】
このような構成により、作動流体滴下部20に滴下された作動流体12は、先ず長方形状の作動流体滴下部20を膜状に瞬時に広がり、そして溝33の内部を、その内壁に薄い膜を形成しながら通っていく。そして、溝33によって、伝熱面積が大きく確保されると共に、気化による体積膨張が高速の蒸気流を形成し、高い熱伝達係数を実現することができ、高い冷却性能を実現することが可能となるのである。
【0071】
また、このとき、各溝が同形状であることにより、溝33を通る蒸気流の圧力損失が等しくなり、各溝を通る蒸気流が受熱板11の全体に均等に広がることができるので、より効果的に大容量の気化潜熱を奪うことができ、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0072】
なお、図16(d)に示すように、作動流体滴下部20に連通する内周側よりも、作動流体回収部30と連通する外周側のほうが広くなるよう形成された溝34であってもよい。この場合、溝34の深さは一定で、そのまま外周側に設けた作動流体回収部30に作動流体12が流れ出す構成となる。
【0073】
なお、本実施の形態では、受熱板11、作動流体滴下部20は長方形状としたが、それに限られるものではなく、図16(d)に示すようなそれぞれの形状がたとえば長丸形状でも良い。
【0074】
(実施の形態5)
図17を用いて本発明の第5の実施の形態について説明する。全体の構成は、第1の実施の形態と同じであり、その詳細な説明を省略する。図17は受熱板カバー14に設けた排出口16と放熱経路6の形状を示す断面図である。
【0075】
第5の実施の形態においての特徴的な部分は、図17に示すように、受熱空間13から作動流体12を排出する排出口16と放熱経路6の間に、排出口16と接続する排出口継目35と放熱経路と接続する放熱経路継目36とを備える放熱経路接続部37を設けたものである。
【0076】
排出口16と排出口16と接続する排出口継目35の流路断面積は等しく、排出口継目35の流路断面積は、放熱経路6よりも大きく、放熱経路6と放熱経路6と接続する放熱経路継目36の流路断面積は等しく形成され、この放熱経路接続部37の断面形状は、排出口継目35から放熱経路継目36へ向けて徐々に放熱経路6の流路断面積に近づくように形成している。
【0077】
このような構成により、受熱空間13内で、受熱板11から気化潜熱を奪った蒸気が、放熱経路6へと流れ出るとき、受熱空間13から放熱経路6へ作動流体が移動する際の、経路の急縮小による圧力損失を放熱経路接続部37により低減させることができるため、排出口16にて作動流体12が滞ることなく、放熱経路6へと移動することができるので、より効果的に作動流体12の循環量も確保でき、高い冷却性能を実現することが可能となる。
【0078】
なお、本実施の形態では、放熱経路接続部37は、排出口継目35から放熱経路継目36へ向けて徐々に放熱経路6の流路断面積に近づくような形状としたが、それに限られるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかる冷却装置は、発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、前記作動流体の熱を放出する放熱部と、前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成することで、冷却効果を高めることが出来る。
【0080】
すなわち、本発明においては、作動流体が受熱板上に滴下したときに、溝の内部を膜状に広がると共に、溝の壁面から熱を効率よく受けるので、作動流体は受熱板上で気化しやすく、気化した蒸気は、放熱経路内をスムーズに移動し、放熱部で効率的に凝縮放熱するため、高い冷却効果を達成することが可能となる。
【0081】
このため、電気自動車の駆動装置としての電力変換装置に使用されるパワー半導体、高い発熱量を有するCPUなどの冷却に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 電気自動車
2 インバータ回路
3 冷却装置
4 受熱部
5 放熱部
6 放熱経路
7 帰還経路
8 放熱体
9 送風機
10 半導体スイッチング素子
11 受熱板
11a 銅板
11b 受熱板
12 作動流体
13 受熱空間
14 受熱板カバー
15 流入口
16 排出口
17 案内管
18 逆止弁
20 作動流体滴下部
20b 作動流体滴下部
21 溝
21b 溝
22 受熱板表面
23 切削刃
24 鍛造溝
25 突部
26 破線
27 鍛造型
28 溝
29 溝
30 作動流体回収部
30b 作動流体回収部
31 溝
32 溝
33 溝
34 溝
35 排出口継目
36 放熱経路継目
37 放熱経路接続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、
前記作動流体の熱を放出する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、
前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、
前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、
前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成した冷却装置。
【請求項2】
前記溝は、始点部分が浅く、中央付近で最も深く、終点部分に向けて浅くなるように形成した請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記溝の始点部分が最も深く、終点部分に向けて浅くなるように形成した請求項1記載の冷却装置。
【請求項4】
前記溝の両サイドに盛り上げた壁を設けた請求項1〜3いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記受熱板の前記作動流体を受ける部分に、椀状にくぼみを設けた請求項1〜4いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記溝は、前記作動流体を受ける部分を中央部として放射状に設けた請求項1〜5いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記受熱板は、鍛造工程により前記溝を成形した請求項1〜6いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記溝は、前記作動流体を受ける部分を中央部として周囲に同形状で形成した請求項1〜7いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項9】
前記受熱板カバーは、前記放熱経路と接続する排出口を備え、前記排出口の断面積が、前記放熱経路の流路断面積よりも大きく形成したことを特徴とする請求項1〜8いずれかひとつに記載の冷却装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1〜9いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電気自動車。
【請求項1】
発熱体からの熱を作動流体に伝える受熱板を備えた受熱部と、
前記作動流体の熱を放出する放熱部と、
前記受熱部と前記放熱部とを接続する放熱経路と帰還経路とで構成し、
前記作動流体を、前記受熱部、放熱経路、放熱部、帰還経路、受熱部へと循環させて熱の移動を行う冷却装置であって、
前記受熱部は、前記作動流体を受ける受熱板とこの受熱板を覆って受熱空間を形成する受熱板カバーとで構成され、
前記受熱板には、前記作動流体を受ける部分を始点として断面がV字型またはU字型の溝を複数形成した冷却装置。
【請求項2】
前記溝は、始点部分が浅く、中央付近で最も深く、終点部分に向けて浅くなるように形成した請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記溝の始点部分が最も深く、終点部分に向けて浅くなるように形成した請求項1記載の冷却装置。
【請求項4】
前記溝の両サイドに盛り上げた壁を設けた請求項1〜3いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項5】
前記受熱板の前記作動流体を受ける部分に、椀状にくぼみを設けた請求項1〜4いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項6】
前記溝は、前記作動流体を受ける部分を中央部として放射状に設けた請求項1〜5いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項7】
前記受熱板は、鍛造工程により前記溝を成形した請求項1〜6いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記溝は、前記作動流体を受ける部分を中央部として周囲に同形状で形成した請求項1〜7いずれか一つに記載の冷却装置。
【請求項9】
前記受熱板カバーは、前記放熱経路と接続する排出口を備え、前記排出口の断面積が、前記放熱経路の流路断面積よりも大きく形成したことを特徴とする請求項1〜8いずれかひとつに記載の冷却装置。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1〜9いずれか一つに記載の冷却装置を備えたことを特徴とする電気自動車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−32904(P2013−32904A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136610(P2012−136610)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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