説明

凍結乾燥メーキャップ製品、対応する組成物および製造方法

本発明は、メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されうるメーキャップ用ベース組成物に関する。該ベース組成物は、油相および水相;大部分が不溶性であるフィラー;エマルジョン中のフィラーの分散が保証され、凍結乾燥後に、フィラーを捕捉することができる空洞のネットワークを形成するに十分な量の分散剤を含み、50重量%以上の比率のフィラーを含む。本発明は、美容術および化粧に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、視覚的、質感または色彩的効果を生みだすための、懸濁液中の不溶性フィラーを含む油相および水相の乳化から得られる、メーキャップ製品の全般的な技術分野に関する。
【0002】
本発明はより詳細には、メーキャップ用ベース組成物に関する。
【0003】
本発明はまたベース組成物から得られるメーキャップ用中間組成物に関する。
【0004】
本発明はまたメーキャップ製品に関する。
【0005】
本発明はまたメーキャップ製品の製造方法に関する。
【0006】
本発明はまたメーキャップ製品中の分散剤の新規な使用に関する。
【背景技術】
【0007】
肌に塗布される化粧品を構成するために、例えば油相および水相のエマルジョンの使用が既に知られている。抗酸化剤、ビタミンのような有効成分または顔料は、これらのエマルジョン中に組み込まれる。乳化形態は、一般的に有効成分および顔料の均一な分散を促進させることができる。
【0008】
しかしながら、公知のエマルジョンには、特に化学的に不安定であることに起因する、種々の問題点が存在する。特に、エマルジョンは非常に酸化されやすく、しばしば貯蔵困難であることが知られている。
【0009】
これらの問題点を克服すべく、従来のエマルジョンよりも安定で、水分補給後の肌に適用することを目的として、凍結乾燥された化粧品組成物を構成することが、特に国際公開第01/82886号パンフレットから知られている。
【0010】
油性結着剤を有する粉末混合体から形成される、そして、例えば、圧縮によって成形される、メーキャップコンパクトパウダー(固形粉末)を用いることが知られている。コンパクトパウダーは一般的にエマルジョンよりも保存特性に優れることが知られているが、また数々の問題点も抱えている。
【0011】
特に、従来のコンパクトパウダーでは、不溶性のフィラー、特に顔料またはパール剤(nacre)を高い割合で含む製品を製造することはできない。
【0012】
したがって、顔料またはパール剤の割合を製品中で高めた場合、その製造および圧縮は複雑なものとなり、品質と生産性に対する要求を考慮しつつ、工業規模で行うことは、実際には不可能となる。また、公知のコンパクトパウダーは、一般的に脆く、特に配合されるフィラーのレベルが40%より多くなると、しばしば対衝撃に弱くなる。
【発明の開示】
【0013】
したがって、本発明に与えられた目的は、以前に挙げられた様々な問題点を改善しようとするものであり、また、大部分が不溶性であるフィラーを含む、特にベース用の新規な組成物を提案しようとするものであり、かような新規な組成物によって、高いメーキャップ効果を示す一方で、経時的に安定で、単一で、機械的水準に対して抵抗性があるメーキ
ャップ製品を得ることが可能となる。
【0014】
本発明の他の目的は、衝撃に対して抵抗性に優れると同時に寸法および構造安定性に優れる、不溶性フィラーを高い比率で含むメーキャップ製品を得ることを可能とする新規なベース組成物を提供しようとするものである。
【0015】
本発明の他の目的は、タッチが油っぽくないメーキャップ製品を得ることを可能とする新規なベース組成物を提供しようとするものである。
【0016】
本発明の他の目的は、乾燥した、または水分補給後に用いられうるメーキャップ製品を得ることを可能とする新規なベース組成物を提供しようとするものである。
【0017】
本発明の他の目的は、水以外に特別な溶剤を必要とせず、除去が容易である一方で、肌への化粧もちがよいメーキャップ製品を得ることを可能とする新規なベース組成物を提供しようとするものである。
【0018】
本発明に与えられた目的は、凍結乾燥によって、メーキャップ製品の製造および加工を促進することを目的として、ベース組成物から得られる新規な中間組成物を提供することにも向けられる。
【0019】
本発明に与えられた目的は、高いメーキャップ効果を示す一方で、特に経時的に安定で、単一で、脆くない、新規な凍結乾燥メーキャップ製品を提供することにも向けられる。
【0020】
本発明の他の目的は、特に衝撃に対する機械的抵抗性に優れる一方で、配合された不溶性フィラーを高い割合含む、新規なメーキャップ製品を提供しようとするものである。
【0021】
本発明の他の目的は、密度が特に低い、新規なメーキャップ製品を提供しようとするものである。
【0022】
本発明に与えられた目的は、高いメーキャップ効果を示す一方で、経時的に安定で、単一で、脆くなく、そして機械的抵抗性に優れる製品を得ることを可能とする、大部分が不溶性であるフィラーのベースを含むメーキャップ製品の新規な製造方法を提供することにも向けられる。
【0023】
本発明に与えられた目的は:
−油相および水相エマルジョン、
−大部分が不溶性であるフィラー、
−エマルジョン中のフィラーの分散が保証され、凍結乾燥後に、フィラーを捕捉するに適した空洞のネットワークを形成するに十分な量の分散剤:
を含む、メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されるのに適したメーキャップ用ベース組成物によって達成され、該組成物は、50重量%以上の割合のフィラーを含む。
【0024】
本発明に与えられた目的は、また、メーキャップ製品を形成するために凍結乾燥されるのに適し:
−少なくとも既に述べた本発明によるベース組成物、
−中間組成物中の水の割合が50重量%を超える、より好ましくは60重量%を超えるのに十分な量の水:
を含む混合物を有するメーキャップ用中間組成物によっても達成される。
【0025】
本発明に与えられた目的は、また、少なくとも既に述べた本発明によるベース組成物ま
たは中間組成物の凍結乾燥によって得られる凍結乾燥されたメーキャップ製品によっても達成される。
【0026】
本発明に与えられた目的は、また:
−ベース組成物またはベース組成物の希釈によって得られる中間組成物を準備する工程(a)、前記ベース組成物は、エマルジョン中の懸濁液に大部分が不溶性であるフィラーとともに水相および油相のエマルジョンを含み、前記組成物は50重量%以上の割合のフィラー含む、
−ベース組成物または中間組成物を凍結乾燥する工程(b):
を含み、前記工程(a)は、凍結乾燥ステップ(b)の間にフィラーを捕捉するのに適した空洞のネットワークを形成するのに十分な量でエマルジョン中に分散剤を配合するサブステップを含む、製造方法によっても達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の他の効果および目的は以下の説明を詳細に参照することで明らかとなるであろう。
【0028】
本発明によるベース組成物は、例えば、顔および/またはボディのメーキャップを目的とする、アイシャドウ、ほお紅、口紅、またはファンデーションのような凍結乾燥されたメーキャップ製品を製造することを目的として凍結乾燥されるためのものである。
【0029】
本発明によると、ベース組成物は2つの混合しない相、より詳細には油相および水相のエマルジョンを含む。
【0030】
ベース組成物は、大部分が不溶性であるフィラーも含む。
【0031】
「大部分が不溶性であるフィラー」という表現は、フィラー、すなわち無色または有色、無機または有機、天然または合成であり、粉体相を形成し、エマルジョン中で全く不溶性であるか、大部分が不溶性であるのに対してわずかにフィラーの溶解部分があるようなエマルジョン中で部分的に溶解する粒子を指す。例えばラッカーのような粒子が挙げられ、該粒子は、エマルジョンの一つの相、すなわち油相および/または水相に少なくとも部分的には溶解することができる染料が上に沈着している、不溶性である支持体から形成される。
【0032】
大部分が不溶性であるフィラーは、有利には、以下の群の一またそれ以上から選択される:
−無機または有機、天然または合成顔料、および/または
−ラッカー、および/または
−パール(nacrees)粒子、および/または
−質感効果を有するフィラー、および/または
−視覚的効果を有するフィラー。
【0033】
無機または有機の合成顔料または天然顔料は、有利には、有色の粉体相を構成し、以下の化合物リストから選択されうる:酸化クロム、フェロシアン化鉄、グアイアズレン、酸化鉄、群青、アジュライト、マラカイト、青金石、マンガンバイオレット、酸化チタン、酸化亜鉛、バインブラック(plant black)、アゾ系顔料(D&C red 34など)、グラファイト、および/または、合成のもしくは天然の、無機もしくは有機の、親水性または疎水性有色繊維。かような繊維は、長いものでも短いものでもよく、単一のものでもまたは組織化されたものでもよく、そしてその横断面は円状でも多角形状でもよい。
【0034】
そのような顔料は、顔および/またはボディ用の装飾的なメーキャップを可能とする。
【0035】
フィラーとして使用されるラッカーは、有利には、水酸化アルミニウムのような不活性の無機支持媒体上で、または、色止め料すなわち染料を固定するために用いられる(繊維のような)物質上での吸収によって、水溶性または油溶性の染料から得られる、色素の有色物質である。
【0036】
上述した水溶性染料は、以下の化合物から好ましくは選択される天然のまたは合成の染料から形成されうる:アンナット、ヒポキサンチン、カラメル、カロチノイド、パステルブルー、カルミン、アカネレッド(garance red)、アカネオレンジ(garance orange)、ブラジル蘇枋(Brazilwood red)、ログウッドバイオレット(logwood violet)、ゴールデンロッドイエロー(goldenrod yellow)、ダイヤーズウィードイエロー(dyer’s weed
yellow)、コスモスオレンジ(cosmos orange)、バックソロンオレンジ(buckthorn orange)、カプサンシン、カプソルビン、ヘンナ、クロロフィルグリーン(chlorophyll green)、タンニンブラック(tannin black)、サフランフラワー(crocus sativus flower)抽出物、コプティスチネンシス根茎(coptis chinensis rhizome)抽出物、ヴィティスヴィニヘラ汁抽出物(extract of vitis vinifera juice)、カレープラントシード(curry plant
seed)、くちなし(gardenia florida)抽出物、タンニンベージュ(tannin beige)、トロピカルインディゴブルー(tropical indigo blue)、ニトロ系染料(例えば:D&C Yellow 7)、アゾ系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アントロキノン系染料、インジゴイド系染料、および/またはフタロシアニン系染料。
【0037】
有利には、パール粒子(パール剤とも称される)は、ハイライトおよび虹色を与えるための、有色のまたは有色ではない不溶性粒子から形成される。したがって、パール粒子は、好ましくは以下の粒子から選択される:オキシ塩化ビスマス、金属粒子(ブロンズ粉末、アルミニウム粉末、銅粉粉末)、グアニン、銀、金、単一もしくは複数のコーティング(二酸化チタン、金属酸化物、有機顔料、染料)を有する天然のまたは合成の雲母(フッ素金雲母)、単一または複数のコーティングを有するホウケイ酸塩、単一または複数のコーティングを有するシリカ、単一または複数のコーティングを有する金属粒子、単一または複数のコーティングを有する酸化鉄、単一または複数のコーティングを有するシリカ、様々な形のポリエステルまたはアルミニウムエポキシから作られる装飾用有色グリッター片、および/または液晶。
【0038】
質感効果を有するフィラーは、好ましくは無色で、質感剤として用いられる。かようなフィラーは、天然(植物もしくは無機)または合成起源のどちらであってもよい。質感効果を有する不溶性フィラーとして、次の物質が挙げられる:タルク、マイカ、黒雲母、アクリル酸コポリマー、粘土、カオリン、窒化ホウ素、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ベントナイト、改質された、またはされていないチョーク、アメジストパイダー、アルミナ、硫酸バリウム、シリカ、改質された、またはされていない、ダイアモンドパウダー、ガラス玉、ヘクトライト、ヒドロキシアパタイト、カルサイト、白雲母、珪藻、疎水性シリカ、黄土、フッ素金雲母、炭酸水酸化アルミニウムマグネシウム、炭酸水酸化亜鉛アルミニウムマグネシウム、硝酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フルオロケイ酸カリウムおよびマグネシウム、フルオロケイ酸ナトリウムおよびマグネシウム、酸化水酸化フッ化シリコンカリウムマグネシウム、モンモリロナイト、モロッコ溶岩クレイ、真珠母貝、シルクパウダー、オパールパウダー(opal powder)、パーフルオロアル
キルシリル マイカ、合成石英、フォノライト、ヘクトライト、改質されたまたはされていない、ロードクロサイト、ルビーパウダー(ruby powder)、砂、サファイアパウダー、片岩抽出物、ゼオライト、スミソナイト、トパーズパウダー、トルマリンパウダー、ジルコニウムパウダー、火山性パウダー(volcanic powders)(灰、石、砂)、ホウケイ酸塩、水酸化アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリコン粉体、セルロース粉体、デンプンパウダー、改質された、またはされていない、ナイロン6、ナイロン6/12、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ポリメチルシルセスキオキサン、アミロデキストリン、エンバク粉、大豆粉、竹粉、真珠母貝粉、米粉、PTFE、ポリエチレン、レーヨン、小麦粉、木粉、トウモロコシ粉、フルーツ皮粉(fruit zest powders)、デキストリン、シクロデキストリン、マルトデキストリン、合成もしくは天然起源の、無機もしくは有機の、親水性または疎水性有色繊維(これらの繊維は、長いものでも短いものでもよく、単一のものでもまたは組織化されたものでもよく、そしてその横断面は円状でも多角形状でもよい)、および/または樹脂状高分子、HDI/トリメチロールヘキサラクトンクロスポリマー、ならびに/またはリン酸ケイ酸ナトリウムカルシウムおよびマイカ(バイオガラス)。
【0039】
視覚的効果を有するフィラーは、好ましくはその視覚的特性から選択され、以下の物質のリストから好ましくは選択される:視覚的効果を有する顔料(光拡散ソフトフォーカス顔料)、感光性顔料、サーモクロミック顔料、フォトクロミック顔料、視覚光沢剤および/またはpH感受性顔料。
【0040】
好ましくは、油相は、エマルジョンの分散された相を構成し、滴の形態で存在し、一方水相は連続相を構成する。したがって、水中油のエマルジョンの形態であってもよい。本発明の構成を離れることなく、水がエマルジョンの分散相を、油がエマルジョンの連続相を形成する、油中水のエマルジョンによってエマルジョンが形成されてもよいことは、至極明らかであろう。
【0041】
さらに、本発明の構成を離れることなく、水中シリコン(油相)のエマルジョンまたはシリコン中水のエマルジョンを構成することもまた考えられ、水およびシリコンは、各々分散相または連続相のいずれかを形成することができる。
【0042】
本発明の本質的特性によれば、 ベース組成物は、一方では、エマルジョン中に大部分が不溶性であるフィラーの分散を保障するに十分で、他方では、凍結乾燥後に、フィラーを捕捉し、拘束するのに適した空洞のネットワークを形成するに十分な量の分散剤も含む。
【0043】
有利には、分散剤は、凝集を抑制し、それ故最も均一でありうるベース組成物および最終製品を得ることができるとともに、フィラーと相互作用できる能力、および凍結乾燥形態で、空洞内にフィラーを捕捉することができるネットワークを形成できる能力に対して選択されうる。
【0044】
好ましくは、分散剤は、粉体、特にフィラーについての高分散性の点から選択され、親水コロイド、すなわち水に溶解するコロイドから形成される。
【0045】
親水コロイドは、好ましくは、ポリアクリルアミド イソパラフィン ラウレス−7(セピゲル(登録商標))、および/またはケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(Veegum)(登録商標))、および/またはキサンタンガムから選ばれる。
【0046】
さらに好ましくは、親水コロイドは、ケイ酸アルミニウムマグネシウムによって主に形
成される。
【0047】
フィラーを捕捉する数が十分な空洞のネットワークを与える凍結乾燥製品を得るために、分散剤およびフィラーの重量濃度比([分散剤]/[フィラー])は、0.01および0.5の間であることが好ましく、0.01および0.1の間であることがさらに好ましい。
【0048】
空洞内に捕捉されたフィラーは、製品、特に製品の表面層の水和が進行するとともに徐々に放出される。したがって、製品は、空洞のネットワークによって、容易に再水和することができる多孔構造を構成する。肌に製品が直接塗布される間に、フィラーもまた徐々に放出される。それ故、得られる凍結乾燥化粧品は特に安定で、壊れやすさや脆さがなく、フィラーの割合が高いものである。
【0049】
有利には、形成される空洞は、油相を捕捉することにも効果があり、分散剤および油相の重量濃度比([分散剤]/[油相])は、有利には、0.01および1の間であり、好ましくは0.2および0.5の間であり、さらに好ましくは0.2および0.4の間である。空洞内に油相を拘束することによって、手触りが油っぽくなく、使用感が非常によいドライエマルジョンの形態で凍結乾燥されたメーキャップ製品を得ることができる。
【0050】
有利には、油相およびフィラーの重量濃度比([油相]/[フィラー])が、0.1および3.5の間であり、好ましくは0.1および1の間であり、さらに好ましくは0.1および0.5の間である。したがって、従来の形態(エマルジョンまたはコンパクトパウダー)に反して、本発明による凍結乾燥されたメーキャップ製品は、有利には、安定で脆さに強い特性を保持しつつ、油相の割合よりも大部分が不溶性であるフィラーの割合が高いものとなる。
【0051】
油相が分散相で水層が連続相を構成する水相中油相のエマルジョンに対して、ベース組成物中の油相の割合は、特にアイシャドウやほお紅に適用する場合、好ましくは20重量%未満であり、よりこの好ましくは10重量%未満である。本発明による凍結乾燥メーキャップ製品は、有利には油相を40重量%未満、好ましくは30重量%未満、さらに好ましくは15重量%未満の割合で含む。油相が低い割合であると、例えば、水を浸した簡単なコットンボールで肌を清浄することによって、迅速な製品除去が可能となる。
【0052】
本発明の特に有利な特性によると、ベース組成物は、50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上の割合のフィラーを含み、65重量%以上のフィラーの割合でも良好な結果を与える。ベース組成物中のフィラーの割合がかように高いので、エマルジョンまたはコンパクトパウダーのような従来の製剤と比べて、フィラーの割合が非常に高い、それ故メーキャップ効果の高い凍結乾燥メーキャプ製品を得ることができる。
【0053】
本発明の他の有利な特性によると、ベース組成物は、50重量%未満、好ましくは40重量%未満の割合で水を含む。したがって、ベース組成物は、密で流動性のない、非構造で滑らかでなく、凝集形態を示す、高粘度のペースト状の外観を示す。
【0054】
本発明のさらなる他の有利な特性によると、ベース組成物はまた、以下の群の一またはそれ以上から選択される少なくとも一つの有効成分を含む:
−セルフタンニング剤(セルフ・タナー)、
−抗−UVAおよび抗−UVB日焼け止めおよびサンフィルター、
−抗フリーラジカル剤、
−美白剤(bleaching agent)、
−水和剤(hydrating agent)、
−治療剤。
【0055】
セルフタンニング剤としては、ジヒドロキシアセトン、および/またはエリトルロースが挙げられる。
【0056】
日焼け止めおよびサンフィルターは、好ましくは以下の物質から選択される:サンスクリーン類(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛)、ケミカルフィルター類(パラアミノ安息香酸(PABA))、桂皮エステル類、サリチル酸塩類、ベンズイミダゾール誘導体など)および/または天然起源のフィルター分子類。抗フリーラジカル剤としては、好ましくは、以下の化合物のリストから選ばれる:フラボノイド、ポリフェノール、プロシアニドリックオリゴマー(PCO)、リコピン、カロチノイド、ビタミンE、および/またはビタミンC。美白剤は、好ましくはビタミンC誘導体または植物抽出物から形成される。
【0057】
水和剤は好ましくは、以下の化合物から選択される:保湿剤(グリセロール、ソルビトール、乳酸、乳酸塩、アルファヒドロキシ酸、など)、NMF(天然保湿成分;Natural Moisturising Factor)成分(尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アミノ酸、糖類)、親水性被膜形成剤(ヒアルロン酸、グルコサミノグリカン、直接付着ポリマー(substantive polymers)、および/または疎水性被膜形成剤(表皮脂質の複製フィルム)。
【0058】
治療剤は以下の物質のリストから好ましくは選択される:微量元素、脂溶性および水溶性ビタミン類、植物抽出物類、ミネラル類、生物工学によって得られる抽出物、合成活性化物、高分子、非けんか性物質、必須脂肪酸、微小循環の活性化剤、皮脂機能制御剤、緩和剤。したがって、有効成分によって、装飾目的ばかりでなく、顔および/または体に対する治療、太陽光線からの防御、および/または隠蔽するメーキャップ製品を得ることができる。
【0059】
本発明によるベース組成物および凍結乾燥されたメーキャップ製品は、化粧用またはメーキャップ用に用いられる、いかなるタイプの公知の補助剤も含みうる。ベース組成物の製剤例としては、アイシャドウ、ほお紅、ファンデーションおよび口紅としての適用が挙げられるであろう。
【実施例】
【0060】

実施例1:アイシャドウまたはほお紅用凍結乾燥ベース組成物。
【0061】
アイシャドウまたはほお紅として肌に塗布するための凍結乾燥メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されるのに適したメーキャップ用ベース組成物を製造する。
【0062】
本ベース組成物の実現の第一の変形は、下記表1に記載され、ここで:
−No.7から10成分は、エマルジョンの油相を形成し、
−No.11、12、14および16から19成分は、エマルジョン中に大部分が不溶性であるフィラーを形成し、
−No.6、13および15成分は、分散剤、より正確には親水コロイドを形成する。
【0063】
表1に記載の「INCI」は、化粧品成分国際命名法(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)を指す。
【0064】
【表1】

【0065】
特に有利には、この製剤での、親水コロイドおよびフィラーの重量濃度比([親水コロイド]/[フィラー])は、0.17に等しい。
【0066】
親水コロイドおよび油相の重量濃度比([親水コロイド]/[油相])は、0.99に等しく、油相およびフィラーの重量濃度比([油相]/[フィラー])は、0.17に等しい。
【0067】
アイシャドウまたはほほ紅用ベース組成物の実現の第二の変形は、下記表2に記載され、ここでは、表1と同じ成分であるが、比率が異なる。
【0068】
【表2】

【0069】
特に、この製剤での、親水コロイドおよびフィラーの重量濃度比([親水コロイド]/[フィラー])は、0.05に等しい。
【0070】
親水コロイドおよび油相の重量濃度比([親水コロイド]/[油相])は、0.35に等しく、油相およびフィラーの重量濃度比([油相]/[フィラー])は、0.15に等しい。
【0071】
したがって、実現の第二の変形に対して、本ベース組成物によって、凍結乾燥によって水を除去後、65%を超える割合のパール剤および70%を越え、80%までの割合のフィラー(パール剤およびタルクやマイカのような質感を付与するフィラーを含む)を含む凍結乾燥メーキャップ製品(アイシャドウまたはほお紅)を得ることができる。また、完成品中の油相の割合は、好ましくは20%未満であり、より好ましくは15%未満である。
【0072】
ほお紅またはアイシャドウのようなメーキャップ製品に対しては、親水コロイド(分散剤)およびフィラーの重量比([親水コロイド]/[フィラー])は、好ましくは0.01および0.2の間であり、より好ましくは0.01および0.1の間であり、一方、親水コロイドおよび油相の重量濃度比([親水コロイド]/[油相])は好ましくは0.2および1の間、さらに好ましくは0.2および0.5の間であり、油相およびフィラーの重量濃度比([油相]/[フィラー])は好ましくは0.1および0.2の間である。
【0073】
アイシャドウまたはほお紅用の組成物はまた、本発明の枠組みを離れることなく、上述したような有効成分を含んでいてもよい。
【0074】
実施例2:下地クリーム用のベース組成物。
【0075】
下地クリームとして用いられる凍結乾燥メーキャップ製品を得るために、凍結乾燥されることを目的としたベース組成物が製造される。
【0076】
凍結乾燥下地クリーム用の本ベース組成物の一つの最初の変形は、下記表3に記載されており、ここでは実施例1または2と実質的に同様の成分であるが、比率が異なる。
【0077】
特に、パール粒子によって形成される成分18の比率は、アイシャドウ中よりも下地クリーム中で低く、逆に油相の比率はアイシャドウと比較して下地クリーム中で実質的により高い。
【0078】
【表3】

【0079】
この第一の改変においては、親水コロイドおよび油相の間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[油相])は、約0.17である。
【0080】
親水コロイドおよびフィラーの間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[フィラー])は、約0.41であり、油相およびフィラーの間の重量濃度の割合([油相]/[フィラー])は、約2.41である。
【0081】
下地クリーム用の本ベース組成物の好ましい実施形態の第二の改変は、下記表4に記載され、ここでは、表3と同様の成分であるが、比率が異なる。
【0082】
【表4】

【0083】
特に、この製剤での親水コロイドおよびフィラーの間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[フィラー])は、0.13に等しい。
【0084】
親水コロイドおよび油相の間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[油相])は、0.31に等しく、親水コロイドおよびフィラーの間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[フィラー])は0.44に等しい。
【0085】
したがって、実施形態の第二の変形に対して、本下地クリーム用ベース組成物によって、凍結乾燥によって水を除去後、20%を越え、好ましくは60%を超え、62%までの割合のフィラー(パール剤およびタルクやマイカのような質感を付与するフィラーを含む)を含む凍結乾燥メーキャップ製品(下地クリーム)を得ることができる。完成品中の油相の割合は、実施例1よりも高いが、好ましくは30%未満である。
【0086】
下地クリームタイプのメーキャップ製品に対して、親水コロイド(分散剤)およびフィラーの間の重量割合([親水コロイド]/[フィラー])は、0.01および0.5の間、より好ましくは0.01および0.2の間であり、一方、親水コロイドおよび油相との間の重量濃度割合([親水コロイド]/[油相])は、好ましくは0.2および1の間、さらに好ましくは0.2および0.5の間であり、ここで、油相およびフィラーの間の重量濃度割合([油相]/[フィラー])は、好ましくは0.1および3.5の間であり、より好ましくは0.1および1の間である。
【0087】
下地クリーム用組成物はまた、本発明の枠組みを離れることなく、上述したような有効成分を含んでいてもよい。
【0088】
実施例3:口紅用ベース組成物。
【0089】
口紅として用いられる凍結乾燥メーキャップ製品を得るために、凍結乾燥されることを目的としたベース組成物が製造される。
【0090】
本ベース組成物の一つの最初の変形は、下記表5に記載されており、ここでは実施例1または2と実質的に同様の成分であるが、やや比率が異なる。
【0091】
特に、口紅のベース組成物中の油層の割合が実施例1で記載されるアイシャドウ中よりもやや高い。
【0092】
【表5】

【0093】
この第一の改変においては、親水コロイドおよび油相の間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[油相])は、約0.45である。
【0094】
親水コロイドおよびフィラーの間の重量濃度の割合([親水コロイド]/[フィラー])は、約0.45であり、油相およびフィラーの間の重量濃度割合([油相]/[フィラ
ー])は、約1である。
【0095】
口紅用の本ベース組成物の好ましい実施形態の第二の改変は、下記表6に記載され、ここでは、表5と同様の成分であるが、比率が異なる。
【0096】
【表6】

【0097】
特に、この製剤での親水コロイドおよびフィラーの間の重量割合([親水コロイド]/[フィラー])は、0.08に等しい。
【0098】
親水コロイドおよび油相の間の重量割合([親水コロイド]/[油相])は、0.31に等しく、親水コロイドおよびフィラーの間の重量割合([親水コロイド]/[フィラー])は0.27に等しい。
【0099】
したがって、実施形態の第二の変形に対する口紅用該ベース組成物によって、凍結乾燥によって水を除去後、40%を越え、好ましくは60%を超え、72%までの割合のフィラー(パール剤およびタルクやマイカのような質感を付与するフィラーを含む)を含む凍結乾燥メーキャップ製品(口紅)を得ることができる。また、完成品中の油相の割合は、実施例1よりも高いが、好ましくは40%未満であり、さらに好ましくは25〜30%未満である。
【0100】
口紅タイプのメーキャップ製品に対して、親水コロイド(分散剤)およびフィラーの間の重量割合([親水コロイド]/[フィラー])は、好ましくは0.01および0.5の間、より好ましくは0.01および0.2の間であり、一方、親水コロイドおよび油相との間の重量濃度割合([親水コロイド]/[油相])は、好ましくは0.2および1の間、さらに好ましくは0.2および0.5の間であり、ここで、油相およびフィラーの間の重量濃度割合([油相]/[フィラー])は、好ましくは0.1および3.5の間であり、より好ましくは0.1および1の間である。
【0101】
口紅用組成物はまた、本発明の枠組みを離れることなく、上述したような有効成分を含んでいてもよい。
【0102】
本発明は、ベース組成物起源であり、メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されることができる中間組成物にも関連し、該中間組成物は、上述したベース組成物と、中間組成物中の水の割合が50重量%より多く、好ましくは60重量%より多くなるような適切な量の水とを含む混合物を有する。
【0103】
中間組成物を得るためにベース組成物を希釈することによって、ベース組成物を形成するペーストよりも、例えばトレイ中などの支持体上に広げることがより容易になりうる流体製剤が得られる。
【0104】
好ましくは、中間組成物を得るために、ベース組成物は50%に希釈される。有利には、中間組成物は、125s−1のせん断勾配に対して25°Cで100および150mPa.sの間の見かけ粘度を有する。見かけ粘度は、HAAKE VT 500型粘度計(mobile NV、 speed 4)によって測定される。有利には、中間組成物は、非ニュートン流体を形成する。
【0105】
ベース組成物の希釈によって得られる中間組成物は、さらに熱力学的に不安定である。その結果、中間組成物が室温で6、000rpmで5分間、遠心分離機にかけられると、二つのはっきりと分離する相によって形成される混合物が得られ、これは、中間組成物の不安定な特性を示すものである。逆に、従来のメーキャップ用エマルジョンを遠心しても
、エマルジョンの外観が変わらず、その均一性が維持されるが、このことはその安定性を推定させるものである。
【0106】
本発明の中間組成物の例は、実施例1から3で説明されたベース組成物の例えば50%希釈によって得られうる。
【0107】
本発明は、上述したベース組成物の凍結乾燥によって得られる凍結乾燥メーキャップ製品にも関連する。したがって、得られる凍結乾燥メーキャップ製品は、有利には、ドライエマルジョンを形成し、ここで初めのエマルジョン中に含まれる水は、昇華によって製品中から消失する。
【0108】
水のない、凍結乾燥されたメーキャップ製品は、その凍結乾燥前の、例えばコンパクト中で前に占められる体積と実質的に同じ体積を保存する。本発明の凍結乾燥メーキャップ製品は、有利には低い密度を有し、1g/cm未満、好ましくは0.5g/cm未満、さらに好ましくは0.4g/cm未満である。
【0109】
特に、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品の密度は、ベース組成物を蒸発させることによって得られる製品の密度よりも低い。限定されない実例としての一つの例は、実施例1で述べられたベース組成物の凍結乾燥により得られた凍結乾燥製品は、約0.34g/cmの密度を有し、一方、実施例1で述べられたベース組成物の蒸発によって得られる製品は、0.54g/cmの密度を有する。
【0110】
さらに、凍結乾燥によれば、凍結乾燥工程前、つまり水が製品から消失する前のものと同じような外観や構造を維持できる。逆に、従来の蒸発(エバポレーション)は、外観に対して、製品の体積減少、収縮、または亀裂のような主な変容を引き起こす。
【0111】
伝統的な圧縮工学によって得られる従来の粉体もまた、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品の密度よりも高い密度を有し、その密度はしばしば1g/cmよりも高い。
【0112】
水相中に溶解している親水コロイドが十分量存在するため、凍結乾燥されたメーキャップ製品中に形成される空洞は、有利には、製品を再水和するためのネットワークを形成する。
【0113】
したがって、エマルジョンの蒸発や粉体の圧縮によって得られる従来の製品と比較して、高い多孔性を有する凍結乾燥されたメーキャップ製品が得られる。
【0114】
本発明の特に興味深い特性の一つは、凍結乾燥されたメーキャップ製品は、60重量%を超える、好ましくは65重量%を超える比率の大部分が不溶性であるフィラーを含むことである。より好ましくは、本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品は、40重量%を超える、より好ましくは60重量%を超える比率のパール剤粒子を含む。例として、実施例1(表2)で説明されたベース組成物の凍結乾燥によって得られるメーキャップ製品は、60%を超える、約64%の比率のパール剤を含み、70%を超える比率の大部分が不溶性であるフィラーを含む。
【0115】
フィラー(特にパール剤)を高い割合で含んだとしても、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品は、良好な機械的特性を有し、特に衝撃に対する機械的特性に優れる。説明として、種々のメーキャップ製品、すなわち実施例1で述べられたベース組成物の凍結乾燥によって得られた凍結乾燥アイシャドウ、およびパウダーの圧縮によって形成された従来のアイシャドウに対して、落下試験が行われた。これらのメーキャップ製品を、一辺が18mmである、正方形の断面を有する金属トレイ中に入れた。落下試験は、30cmの高さか
らトレイを落とし、製品が破壊する前にトレイが抵抗できる落下回数を数えることからなる。結果を表7に示す。
【0116】
【表7】

【0117】
本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品が、従来の製品と比較して、高い比率のパール剤を有しているとしても、従来のアイシャドウよりもずっと高い衝撃抵抗性を有することが理解されよう。
【0118】
さらに、パール剤の比率が従来のメーキャップ製品中で増加すると、それらの製造、特に粉体の圧縮操作は、工業スケールで品質および生産性を満たしつつ行うことが複雑となるか、実行できなくなる。換言すると、従来の技術では、高い比率のパール剤、特に60%を超える比率のパール剤を含む、安定で抵抗性のあるメーキャップ製品を得ることができない。さらに、パール剤の比率が低い場合であっても、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品よりも従来のメーキャップ製品は対衝撃性が低い。
【0119】
これは、特に、パール剤粒子がタルクのような他の不溶性フィラーに反して、圧縮操作の間、圧縮ネットワークに対して組織化されえない、薄板状の粒子であるという事実から生ずる。有利には、本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品の膨張した構造が、中にフィラー、特にパール剤粒子を拘束する空洞がある接着剤を形成する。それ故、空洞中に規則的に捕捉され、拡散しているフィラーは、製品中で局所的に脆い領域および破損箇所を作りやすい塊を形成しない。
【0120】
有利には、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品は、アイシャドウ、ほお紅、下地クリームまたは口紅によって形成される。
【0121】
例えば、本発明の凍結乾燥メーキャップ製品が得られうるベース組成物の製剤例は、上述の実施例1から3でより詳細に記載されている。
【0122】
本発明はまた、以下を含む凍結乾燥メーキャップ製品の製造方法に関する:
−ベース組成物またはベース組成物の希釈によって得られる中間組成物を準備する工程(a)、前記組成物は、エマルジョン中の懸濁液に大部分が不溶性であるフィラーとともに水相および油相中のエマルジョンを含み、前記組成物は50重量%以上の割合のフィラー含む、
−ベース組成物を凍結乾燥する工程(b)、
前記工程(a)は凍結乾燥工程(b)の間、フィラーを捕捉することができる良好なネットワークを形成するのに十分な量でエマルジョン中に分散剤を配合する、サブステップを含む。
【0123】
ベース組成物の準備工程である工程(a)は、有利には、フィラー、特に顔料およびパール剤からなる乾燥混合物の第一の製造工程を含む。本製造工程は、従来の化粧用パウダーの製造工程に相当する。
【0124】
準備工程(a)は、また、分散剤、さらに詳細には水相中の親水コロイドおよび場合により懸濁液中の粉体とともに油相および水相を含む、エマルジョンの第二の製造工程を含む。本製造工程は、実質的に従来のエマルジョンの製造方法と同じものである。
【0125】
準備工程(a)は、次に、集合体の形態であり、50重量%以上である比率のフィラーを含む、既述したベース組成物を形成する粘度の高いペーストを得るために、エマルジョンと乾燥混合物とを混合する第三の工程を含む。次に、凍結乾燥するために、そのままの形態または水で希釈された形態で、ベース組成物をトレイに入れる。
【0126】
凍結乾燥は、製品中に含まれる水を除去することによって製品を乾燥させうる技術である。既に述べた凍結乾燥の工程(b)は、有利には、ベース組成物または中間組成物を、冷凍するまたは急速冷凍するために、−10℃未満、好ましくは−20および−80℃の間の温度まで、好ましくは少なくとも1時間、例えば2から10時間冷やす最初のサブステップを含む。
【0127】
次に凍結乾燥の工程(b)は、昇華によって製品を脱水するために、好ましくは数時間、例えば10〜50時間、好ましくは10Paより大きく、好ましくは100Pa未満である絶対圧力に対応し、製品を−5℃未満、より好ましくは−15および−40℃の間に維持する、真空中で、得られた冷凍品を静置する第二のサブステップを含む。したがって、製品の最も不安定な層を形成する氷は、液体層を通過することなく、直接蒸気に変化する。
【0128】
凍結乾燥の工程(b)は、次に、第二の脱水、すなわち50℃未満、好ましくは20および50℃の間の正の温度まで、数時間、例えば5〜30時間、後者を徐々に加熱することによる、製品の脱離を起こす第三のサブステップを含む。
【0129】
一つの特に有利な方法においては、ベース組成物中のフィラーが十分に分散し、それ故均一な製品が得られるために、そしてまた、フィラーを捕捉することができる空洞のネットワークを形成するために、分散剤およびフィラー間の重量濃度比率([分散剤]/[フィラー])は、0.01および0.5の間であり、好ましくは0.01および0.1の間である。
【0130】
本発明の製造工程は、さらに有利には、凍結乾燥の工程(b)の前に、中間組成物が50重量%を超える、より好ましくは60重量%を超える比率の水を有するように、十分な量の水でベース組成物が希釈される希釈の工程(c)を含む。したがって、希釈のこの工程(c)によって、ベース組成物よりも流動性があり、それ故、支持体上、とりわけトレイ中に広げやすい中間組成物を得ることができる。
【0131】
凍結乾燥後のベース組成物の希釈によって、また、コンパクトパウダーのような従来のメーキャップ製品と比較して、低い密度を有する、非常に膨張したメーキャップ製品を得ることができる。
【0132】
本発明はまた、フィラーを捕捉することができる空洞ネットワークを凍結乾燥によって得るために、油相および水相のエマルジョンと、エマルジョン中に懸濁していて、少なくとも部分的には不溶性であり、組成物の50重量%を占める、フィラーとを含む組成物の凍結乾燥によって得られる凍結乾燥メーキャップ製品内に十分量存在する、分散剤の新たな使用にも関連する。
【0133】
好ましくは、既述したように、分散剤は、有利には、分散性能が高い親水コロイドによって形成され、好ましくはポリアクリルアミド イソパラフィン ラウレス-7および/またはケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび/またはキサンタンガムから選ばれる。
【0134】
分散剤およびフィラーの間の重量濃度は、既に述べたように、0.01および0.5の間であり、好ましくは0.01および0.1の間である。
【0135】
分散剤を用いることによって、乾燥したときに高い比率で存在する(50%以上)大部分が不溶性であるフィラーを捕捉し、拘束することができる空洞を有する、多孔性で膨脹した構造である凍結乾燥メーキャップ製品を得ることができる。
【0136】
したがって、本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品は、不溶性フィラー、特にパール剤を高い比率で含むことが可能であり、一方、フィラーが存在しても構造が脆くなることなく、特に衝撃に対する良好な機械的抵抗性を保持することが可能である。
【0137】
本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品の別の利点は、空洞中のフィラーが均一に分散しているので、製品は塗布または再水和する際に、フィラー、特に顔料の放出が、徐々に、そして均一に起こるという事実から生ずる。
【0138】
本発明の凍結乾燥されたメーキャップ製品の別の利点は、異なる製造場、特に、ベース組成物が準備される最初の製造場、次に一方でベース組成物の希釈によって中間組成物が準備され、他方で中間組成物の凍結乾燥が行われる第二の製造場で、製造工程を連続的に行いうるという事実から生ずる。固体の集合体の形態であるその構造のおかげで、ベース組成物はさらに梱包および、最初の製造場から第二の製造場への運搬が容易である。一度凍結乾燥されると、本発明のメーキャップ製品は、梱包のため、好ましくは他の製造場へと運ばれる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
化粧品用の組成物の製造および使用に産業上利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されうるメーキャップ用ベース組成物であって、
−油相および水相のエマルジョン、
−大部分が不溶性であるフィラー、
−エマルジョン中のフィラーの分散が保証され、凍結乾燥後に、フィラーを捕捉することができる空洞のネットワークを形成するに十分な量の分散剤、
を含み、50重量%以上の割合のフィラーを含むベース組成物。
【請求項2】
前記分散剤が親水コロイドによって形成されることを特徴とする、請求項1のベース組成物。
【請求項3】
前記親水コロイドが、ポリアクリルアミド イソパラフィン ラウレス−7および/またはケイ酸アンモニウムマグネシウムおよび/またはキサンタンガムから選ばれることを特徴とする、請求項2に記載のベース組成物。
【請求項4】
前記分散剤および前記フィラー間の重量比率が、0.01および0.5の間、好ましくは0.01および0.1の間であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項5】
前記分散剤および前記油相間の重量比率が、0.01および1の間、好ましくは0.2および0.5の間、より好ましくは0.2および0.4の間であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項6】
前記油相および前記フィラー間の重量比率が、0.1および3.5の間、好ましくは0.1および1の間、より好ましくは0.1および0.5の間であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項7】
前記フィラーは、以下の群:
−無機または有機、天然または合成の顔料、および/または
−ラッカー、および/または
−パール粒子、および/または
−質感を有するフィラー、および/または
−視覚的効果を有するフィラー:の一またそれ以上から選ばれることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの有効成分を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項9】
前記有効成分が、以下の群:
−セルフタンニング剤、
−抗−UVAおよび抗−UVB日焼け止めおよびサンフィルター、
−抗フリーラジカル剤、
−美白剤、
−水和剤、
−治療剤:の一またそれ以上から選ばれることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかのベース組成物。
【請求項10】
エマルジョンが、水中油または油中水のエマルジョンおよび/または水中シリコンまた
はシリコン中水のエマルジョンによって形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項11】
50重量%未満、好ましくは40重量%未満の比率の水を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のベース組成物。
【請求項12】
10重量%未満の比率の油相を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかのベース組成物。
【請求項13】
メーキャップ製品を製造するために凍結乾燥されることができ、
−請求項1〜12のいずれかに記載のベース組成物、
−中間組成物が50重量%を超える、好ましくは60重量%を超える比率の水を有するのに十分な量の水:を含む混合物を有する、メーキャップ用中間組成物。
【請求項14】
25℃で100および150mPa.sの間の粘度を有することを特徴とする、請求項13に記載の中間組成物。
【請求項15】
熱力学的に不安定であることを特徴とする、請求項13または14に記載の中間組成物。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれかに記載のベース組成物または請求項13〜15のいずれかに記載の中間組成物の凍結乾燥によって得られる凍結乾燥されたメーキャップ製品。
【請求項17】
大部分が不溶性であるフィラーを、60重量%を超える、好ましくは65重量%を超える比率で含むことを特徴とする、請求項16に記載の製品。
【請求項18】
1g/cm未満の密度、好ましくは0.4または0.5g/cm未満の密度であることを特徴とする、請求項16または17に記載の製品。
【請求項19】
アイシャドウ、ほお紅、下地クリームまたは口紅によって形成されることを特徴とする、請求項16から18のいずれかに記載の製品。
【請求項20】
−ベース組成物またはベース組成物の希釈によって得られる中間組成物を準備する工程(a)、前記ベース組成物は、エマルジョン中の懸濁液に大部分が不溶性であるフィラーとともに水相および油相中のエマルジョンを含み、50重量%以上の割合のフィラー含む、
−ベース組成物または中間組成物を凍結乾燥する工程(b)、
前記工程(a)は、凍結乾燥ステップ(b)の間にフィラーを捕捉することができる良好なネットワークを形成するのに十分な量でエマルジョン中に分散剤を配合するサブステップを有する:
を含む、凍結乾燥されたメーキャップ製品のための製造方法。
【請求項21】
前記分散剤が親水コロイドによって形成されることを特徴とする、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記分散剤が、ポリアクリルアミド イソパラフィン ラウレス−7および/またはケイ酸アンモニウムマグネシウムおよび/またはキサンタンガムから選ばれることを特徴とする、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
分散剤およびフィラー間の重量比率が、0.01および0.5の間、好ましくは0.0
1および0.1の間であることを特徴とする、請求項20〜22のいずれかに記載の製造方法。
【請求項24】
凍結乾燥の工程(b)の前に、中間組成物が50重量%を超える、より好ましくは60重量%を超える比率の水を有するように、十分な量の水でベース組成物を希釈する、希釈の工程(c)を含むことを特徴とする、請求項20〜23のいずれかに記載の製造方法。

【公表番号】特表2008−534560(P2008−534560A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503556(P2008−503556)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000694
【国際公開番号】WO2006/103351
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507324865)
【出願人】(507325264)
【Fターム(参考)】