説明

処理装置

【課題】搬送される用紙の重送を検出する処理装置において、用紙の重送を判断するまでの時間を短縮すること。
【解決手段】画像読取装置は、原稿を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、超音波センサを有する。この画像読取装置では、超音波センサの受信器が各回数毎に受信した受信レベルEの差分受信レベルΔEを各回数毎の時間間隔によって除した値を、受信レベルEの傾きDEとして求め、受信レベルEの傾きDEが同じ向きの傾きであって、かつ、所定の大きさを超えた一定の範囲に属する区間が、第1区間Z1及び第2区間Z2のように2度検出された場合に、重送と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙の重送を検出する処理装置に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送される用紙の重送を検出する装置が知られている(例えば、特許文献1)。この装置では、用紙の搬送方向の全域において厚みデータを取得し、これらの厚みデータから算出される閾値を用いて用紙が重送されているか否かを検出する。具体的には、用紙の搬送方向に沿って複数に分割された各区間において用紙の厚みデータを取得するとともに平均値を算出し、その平均値に定数を加算した値を当該区間における閾値として用いて、用紙が重送されているか否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−72885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来技術では、用紙が重送されているか否かを検出するのに用いる閾値を算出する際に、搬送される用紙の搬送方向の全域に亘って厚みデータを取得する必要があった。そのため、用紙が重送されているか否かを検出するために、用紙の搬送方向の全域に亘って厚みデータを取得する必要があり、用紙の重送を判断するまでの時間が長期化してしまう問題が生じていた。
【0005】
本発明は、搬送される用紙の重送を検出する処理装置において、用紙の重送を判断するまでの時間を短縮する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される処理装置は、用紙を搬送経路に沿って搬送する搬送部を有する処理装置であって、前記搬送経路を搬送される前記用紙の一方の面に対向する前記搬送経路の一方の側から超音波を発信し、前記用紙の他方の面に対向する前記搬送経路の他方の側で受信された該超音波の受信レベルを取得する超音波送受信部と、前記超音波送受信部に対して前記搬送部の前記用紙の搬送開始から異なる発信タイミングで順に超音波を発信させる制御部と、を備え、前記制御部は、超音波受信部が所定回数毎に受信した受信レベルの差を前記所定回数毎の受信タイミングの差によって除した値を、所定回数毎に前記受信レベルの傾きとして求め、前記受信レベルの傾きが同じ向きの傾きであって、かつ、所定の大きさを超えた一定の範囲に属する区間が、2度検出された場合に、重送と判断する。
【0007】
また、上記の処理装置では、前記制御部は、前記受信レベルの傾きがゼロより大きい値に設定された第1基準傾きよりも大きい範囲である第1傾き範囲、またはゼロより小さい値に設定された第2基準傾きよりも小さい範囲である第2傾き範囲、または前記第1基準傾き以下前記第2基準傾き以上の範囲である第3傾き範囲、のいずれの範囲に属するかを検出し、前記受信レベルの傾きが最初に前記第3傾き範囲と異なる傾き範囲に属することとなった際の前記受信レベルの傾きを第1傾きとして検出するとともに第1区間の開始を検出し、前記第1傾き検出後、前記受信レベルの傾きが前記第3傾き範囲に属することとなった際に前記第1区間の終端を検出し、前記第1区間経過後、再度受信レベルの傾きが前記第3傾き範囲と異なる傾き範囲に属することとなった際の前記受信レベルの傾きを第2傾きとして検出するとともに第2区間の開始を検出し、前記第1傾きと前記第2傾きとが同じ傾き範囲に属する場合に、重送と判断する構成としても良い。
【0008】
また、上記の処理装置では、更に、前記用紙の種類と、当該種類の用紙の厚みに対応する受信レベルの傾きと、が関連付けられたテーブルを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、検出した前記第1傾きと前記テーブルとから最初に搬送された第1用紙の種類を判別する構成としても良い。
【0009】
また、上記の処理装置では、前記テーブルには、更に、前記用紙の厚みに規定厚みを加えた厚みに対応する受信レベルの傾きである特定傾きが当該用紙の厚みに関連付けられて記憶されており、前記制御部は、検出した前記第2傾きが、当該第2傾きに対応する前記第1傾きから判別された前記第1用紙の厚みに関連付けられた前記特定傾きと異なる場合に、重送と判断する構成としても良い。
【0010】
また、上記の処理装置では、前記制御部は、前記第1傾き範囲及び前記第2傾き範囲に属する前記受信レベルの傾きが検出された場合に、前記第3傾き範囲に属する前記受信レベルの傾きが検出された場合に比べて発信タイミングの時間間隔を短くする構成としても良い。
【0011】
また、上記の処理装置では、前記制御部は、前記第1傾きが前記第1傾き範囲に属する場合には、前記第2傾きが前記第1傾きよりも大きい場合に、また前記第1傾きが前記第2傾き範囲に属する場合には、前記第2傾きが前記第1傾きよりも小さい場合に、重送と判断する構成としても良い。
【0012】
また、上記の処理装置では、更に、前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記用紙を検出する検出部と、前記搬送部によって搬送される前記用紙を読み取る読取部と、を備え、前記制御部は、前記搬送部が搬送を開始してから、前記検出部が前記用紙の先端を検出するまでに、前記用紙が重送であるか否かを判断し、前記検出部の検出に基づいて、前記読取部に前記用紙を読み取らせる構成としても良い。
【発明の効果】
【0013】
本明細書によって開示される処理装置では、用紙の搬送を開始してから超音波送受信部が取得した受信レベルの傾きを求め、この受信レベルの傾きが所定の大きさを超えた2つの区間を検出した場合に、用紙が重送されていると判断する。そのため、受信レベルの傾きが所定の大きさを超えた2つの区間を検出できれば、従来技術のように、必ずしも用紙の全域において受信レベルを取得する必要がなく、用紙の重送を判断するまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】画像読取装置の概略的な断面図
【図2】画像読取装置のブロック図
【図3】読取処理を示すフローチャート
【図4】実施形態1の重送検出処理を示すフローチャート
【図5】受信レベルEの傾きDEの変化を示す図
【図6】傾き範囲Hを説明する図
【図7】テーブルTAを説明する図
【図8】実施形態2の重送検出処理を示すフローチャート
【図9】実施形態2の重送検出処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1を、図1ないし図6を用いて説明する。
【0016】
1.画像読取装置の機械的構成
図1は、本実施形態の画像読取装置1の概略的な断面図である。画像読取装置1は、処理装置の一例である。画像読取装置1は、給紙トレイ2と、本体部3と、排紙トレイ4と、を含む。画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数の原稿Gを排紙トレイ4に搬送するとともに、搬送中の原稿Gを本体部3に含まれるCIS24を用いて読み取るシートフィードスキャナである。原稿Gは、用紙の一例である。
【0017】
本体部3には、給紙トレイ2と排紙トレイ4を接続する搬送経路22が設けられており、この搬送経路22の周辺に、給紙ローラ20と、分離パッド21と、搬送ローラ23と、CIS24と、フロントセンサ(以下、Fセンサ)25と、リアセンサ(以下、Rセンサ)26と、超音波センサ27と、を備える。CIS24は、読取部の一例であり、Rセンサ26は、検出部の一例であり、超音波センサ27は、超音波送受信部の一例である。
【0018】
給紙ローラ20は、給紙トレイ2に載置された原稿Gに当接しており、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gを本体部3の内部へと引き込む。分離パッド21は、摩擦力により、複数枚の原稿Gを1枚の原稿Gに分離する。給紙トレイ2に載置された複数枚の原稿Gは、これらによって、1枚の原稿Gに分離されて本体部3の内部へと引き込まれる。
【0019】
搬送ローラ23は、モータM(図2参照)により駆動され、本体部3の内部へと引き込まれた原稿Gを搬送経路22上に搬送する。CIS24は、その読取方向である主走査方向D1が搬送経路22に沿った搬送方向D2に直交する姿勢で搬送経路22上に位置し、読取位置L1を通過する原稿Gを読み取る。
【0020】
また、搬送ローラ23は、搬送経路22上に搬送された原稿Gを排紙トレイ4に送り出す。搬送ローラ23により排紙トレイ4に排紙された原稿Gは、排紙トレイ4に積層される。つまり、給紙ローラ20と搬送ローラ23とによって、給紙トレイ2に載置された原稿Gを搬送経路22に沿って搬送する搬送部30が形成されている。
【0021】
Fセンサ25は、給紙トレイ2に配置され、給紙トレイ2に原稿Gが載置された場合にオンし、給紙トレイ2に原稿Gが載置されていない場合にオフするように設定されている。Rセンサ26は、搬送経路22上のCIS24よりも上流側に配置され、搬送経路22上の検出位置L2を原稿Gが通過する場合にオンし、検出位置L2を原稿Gが通過していない場合にオフするように設定されている。
【0022】
超音波センサ27は、原稿の重送を検知するためのセンサである。超音波センサ27は、搬送経路22上のRセンサ26よりも上流側の検出位置L3に配置される。超音波センサ27は、超音波を発信する送信器27Aと、送信器27Aから発生された超音波を受信する受信器27Bを含む。送信器27Aは、搬送経路上を搬送される原稿Gの裏面に対向する搬送経路22の上部に配置されており、受信器27Bは、搬送経路上を搬送される原稿Gの表面に対向する搬送経路22の下部に配置されている。
【0023】
また、本体部3には、この他に、電源スイッチや各種設定ボタンからなり、ユーザからの操作指令等を受け付ける入力部5(図2参照)や、LEDからなり画像読取装置1の状況を表示する表示部6(図2参照)、及び出力装置9等が含まれる。なお、出力装置9は、例えば、USBメモリの接続部等からなり、CIS24を用いて原稿Gを読み取った画像を画像読取装置1外に持ち出すためのものである。
【0024】
2.画像読取装置の電気的構成
図2は、画像読取装置1の電気的構成を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、画像読取装置1は、画像読取装置1の各部を制御するASIC(特定用途向け集積回路)10を含む。ASIC10は、中央処理装置(以下、CPU)11と、ROM12と、RAM13と、デバイス制御部14と、アナログフロントエンド(以下、AFE)15と、駆動回路16と、画像処理回路17と、AD変換回路19と、を備え、これらにバス18を介して、超音波センサ27の送信器27A、受信器27Bなどが接続されている。
【0025】
ROM12には、画像読取装置1の動作を制御するための各種のプログラムが記憶されており、CPU11は、ROM26から読み出したプログラムに従って、各部の制御を行う。CPU11は、制御部の一例である。デバイス制御部14は、CIS24に接続されており、CPU11からの命令に基づいて読み取りを制御する信号をCIS24に送信する。CIS24は、デバイス制御部14からの信号に基づいて、予め定められた読取範囲に亘って原稿Gを読み取り、読み取った読取データをAFE15に出力する。
【0026】
AFE15は、CIS24に接続されており、CPU11からの命令に基づいて、CIS24から出力されるアナログ信号である読取データをデジタル信号である階調データに変換する。AFE15は、変換したこの階調データを、バス18を介してRAM13に記憶する。画像処理回路17は、RAM13に記憶された階調データにエッジ検出処理や回転処理等の必要な処理を実行し、原稿Gを読み取った原稿画像を生成する。
【0027】
また、デバイス制御部14は、超音波センサ27の送信器27Aに接続されており、CPU11からの命令に基づいて超音波の発信を制御する信号を送信器27Aに送信する。送信器27Aは、デバイス制御部14からの信号に基づいて搬送経路22に直交に超音波信号を発信する。受信器27Bは、超音波信号を電気信号として受信する。搬送経路22上に原稿が有る場合、送信器27Aから発信された超音波信号は、原稿を通過するときに減衰し、受信器27Bは、減衰された超音波信号を受信する。送信器27Aは、CPU11からの命令に基づいて発信する超音波の強度を変更できる他、その発信の時間間隔を変更することができる。受信器27Bは、受信した超音波信号をAD変換回路19に出力する。
【0028】
AD変換回路19は、受信器27Bに接続されており、受信器27Bから出力されるアナログ信号である超音波信号をデジタル信号である受信レベルEに変換する。AD変換回路19は、変換したこの受信レベルEを、バス18を介してRAM13に記憶する。CPU11は、RAM13に記憶された受信レベルEに基づいて原稿の重送を検知する。
【0029】
駆動回路16は、モータMに接続されており、CPU11からの命令に基づいてパルス信号をモータMに送信する。駆動回路16から入力されるパルス信号に応じてモータMが回転すると、これに従って搬送部30が駆動し、搬送経路22に沿って原稿Gをステップ搬送する。つまり、CPU11は、原稿Gを搬送する際に、駆動回路16を介してパルス信号をモータMに送信し、これに従って搬送部30は原稿Gを搬送する。以後、駆動回路16がモータMに送信するパルス信号のパルスの数を、ステップ数と呼ぶ。
【0030】
3.読取処理
次に、図3ないし図6を参照して、原稿Gの読取処理について説明する。
【0031】
図3は、CPU11が所定のプログラムに従って実行する読取処理のフローチャートを示す。CPU11は、Fセンサ25を用いて給紙トレイ2に原稿Gが載置されたことが確認され、入力部5を介して原稿Gの読取指示が入力されると、原稿Gの読取処理を開始する。
【0032】
CPU11は、読取処理を開始すると、駆動回路16を用いて搬送部30を駆動して原稿Gの搬送を開始する(S2)。CPU11は、搬送される原稿Gの先端が検出位置L2を通過し、Rセンサ26が原稿Gを検出するに先立って、重送検出処理を実行する(S4)。
【0033】
図4に示すように、CPU11は、重送検出処理を開始すると、原稿Gの搬送開始からの時間を計時する(S32)。次に、CPU11は、超音波センサ27を用いて第1時間間隔で超音波を受送信を開始する(S34)。図5は、受信レベルEの傾きDEの変化を示す。例えば、2枚の原稿Gが重送された場合には、原稿Gの搬送方向に対して下側(上側)の原稿Gが上側(下側)の原稿Gよりも突き出て原稿Gが重送された状態で搬送部30によって搬送されることがある。図5は、上記のように原稿Gが重送された場合における超音波センサ27の受信レベルEを示す。
なお、図5に示すように、第1時間間隔は、送信器27Aの最短発信時間間隔KTの3倍の時間に設定されている。
【0034】
CPU11は、原稿Gの搬送開始からの経過時間をS8において原稿Gの先端がRセンサ26の検出位置L2に到達するのに要する所定時間である規定時間と比較する(S36)。規定時間は、搬送方向D2における給紙トレイ2と検出位置L2との間の距離、及び原稿Gの搬送速度に基づいて決定される。CPU11は、経過時間が所定時間を経過し(S36:YES)、原稿Gの先端が検出位置L2を通過したことを検出した場合、重送検出処理を終了する。
【0035】
一方、経過時間が所定時間を経過していない場合(S36:NO)、CPU11は、第1時間間隔で受信される超音波の受信レベルEを取得し(S38)、連続して取得される受信レベルEから受信レベルEの傾きDEを演算する(S40)。具体的には、CPU11は、連続して取得される受信レベルEのうち、後に取得される受信レベルE2から先に取得される受信レベルE1を減じて差分受信レベルΔEを算出し、これを第1時間間隔である3倍の最短発信時間間隔KTで除して、受信レベルEの傾きDEを演算する。
DE=ΔE/3×KT=(E2−E1)/3×KT
【0036】
次に、CPU11は、演算された傾きDEを基準傾きと比較する(S42)。図6に示すように、ROM12には、予め、ゼロよりも大きい傾きに設定された第1基準傾きKD1と、ゼロよりも小さい傾きに設定された第2基準傾きKD2が記憶されている。以下では、第1基準傾きKD1よりも大きい傾きを有する範囲を、第1傾き範囲H1と称し、第2基準傾きKD2よりも小さい傾きを有する範囲を、第2傾き範囲H2と称し、第1基準傾きKD1以下であり第2基準傾きKD2以上の傾きを有する範囲を、第3傾き範囲H3と称する。
【0037】
CPU11は、ROM12から読み出したこれらの基準傾きと傾きDEを比較し、傾きDEが第3傾き範囲H3に属する場合(S42:NO)、前回演算された傾きDE0の属する傾き範囲Hと今回演算された傾きDEの属する傾き範囲Hが等しいか否かを比較する(S54)。CPU11は、図5のX1に示すように、傾きDE0が第3傾き範囲H3に属し、傾きDEが同じく第3傾き範囲H3に属するである場合(S54:YES)、S36からの処理を繰り返す。図5のX1においては、また、原稿Gの先端が超音波センサの検出位置に届いていないため、受信レベルEの値がほぼフラットな値で検出されていることを示す。
【0038】
また、CPU11は、傾きDEが第1傾き範囲H1又は第2傾き範囲H2に属することとなった場合(S42:YES)、前回演算された傾きDE0の属する傾き範囲Hと今回演算された傾きDEの属する傾き範囲Hが等しいか否かを比較する(S44)。CPU11は、図5のX2に示すように、傾きDE0が第3傾き範囲H3に属し、傾きDEが第2傾き範囲H2に変わった場合(S44:NO)、受信レベルEが傾いたことを検知し、その際の傾きDEを検出する。下側(上側)の原稿Gの先端が超音波センサ27の検出位置L3に到達し、図5のX2においては、図5のX2は、その下側(上側)原稿Gの先端部分の受信レベルEを示し、受信レベルEの値が下側(上側)の原稿Gによって減衰を開始していることを示している。
【0039】
CPU11は、超音波の受送信の時間間隔を第1時間間隔から、第1時間間隔よりも短い最短発信時間間隔KTに設定された第2時間間隔に変更し(S46)、当該傾きDEの検出が原稿Gの搬送開始から初めてか否かを確認する(S48)。CPU11は、傾きDEの検出が初めてである場合(S48:YES)、当該傾きDEを第1傾きDE1としてRAM13に記憶する(S50)とともに、第1区間Z1の開始を検出する。
【0040】
次に、CPU11は、第1傾きDE1を限界傾きと比較する(S52)。図6に示すように、ROM12には、予め、第1基準傾きKD1よりも大きい傾きに設定された第1限界傾きLD1と、第2基準傾きKD2よりも小さい傾きに設定された第2限界傾きLD2が記憶されている。CPU11は、ROM12から読み出したこれらの限界傾きLDと第1傾きDE1を比較し、第1傾きDE1が限界傾きLDを超えている場合、すなわち、第1傾きDE1が第1限界傾きLD1よりも大きい場合(S52:YES)、原稿Gが重送されていると判定し(S64)、重送検出処理を終了する。
2枚の原稿Gが重送された場合には、原稿Gの搬送方向に対して下側(上側)の原稿Gが上側(下側)の原稿Gよりも突き出て原稿Gが重送された状態ではなく、原稿Gと原稿Gとがぴったり重なった状態で搬送される場合を想定している。すなわち、限界傾きLDは、2枚の原稿Gとがぴったり重なった状態で搬送される等によって受信レベルEの傾きDEが1枚の原稿Gが搬送されたときの受信レベルEの傾きDEを遥かに超えた場合は、原稿Gが重送されていると判定することを意味する。
【0041】
一方、CPU11は、第1傾きDE1が第1限界傾きLD1以下であり第2限界傾きLD2以上である場合(S52:NO)、S36からの処理を繰り返す。CPU11は、図5のX3に示すように、次に演算された傾きDEが前回演算された傾きDE0と等しく第2傾き範囲H2に属する場合(S42:YES、S44:YES)、受信レベルEの傾きが継続しており、第1区間Z1が継続していることを検出し、S36からの処理を繰り返す。
【0042】
また、CPU11は、図5のX4に示すように、次に演算された傾きDEが傾き範囲H3に属することとなり、前回演算された傾きDE0と異なる傾き範囲Hに属することとなった場合(S42:NO、S54:NO)、受信レベルEが傾かなくなったことを検知するとともに、第1区間Z1の終端を検出する。CPU11は、超音波の受送信の時間間隔を第2時間間隔から第1時間間隔に変更し(S56)、S36からの処理を繰り返す。
図5のX4においては、下側(上側)の原稿Gの先端は、超音波センサ27の検出位置L3を通過したため、1枚の原稿Gの減衰した値である受信レベルEはフラットな安定した値であることを示している。
【0043】
さらに、CPU11は、図5のX5に示すように、受信レベルEが再び傾いたことを検知し(S42:YES、S44:NO)、当該傾きDEの検出が原稿Gの搬送開始から初めてでない場合(S48:NO)、当該傾きDEを第2傾きDE2としてRAM13に記憶する(S58)とともに、第2区間Z2の開始を検出する。
図5のX5においては、下側(上側)の原稿Gが重なり、上側(下側)の原稿Gの先端が、超音波センサ27の検出位置L3に差し掛かったことを示している。通常、原稿Gが重送していない場合は、図5のX4のような受信レベルEがフラットな状態が続き、超音波センサ27の検出位置L3を原稿Gの後端が通過すると受信レベルEは上昇する。
しかし、上記のように原稿Gが重送された場合における超音波センサ27の受信レベルEは、図5のX5に示すように、原稿Gが重送されていない場合のように受信レベルEが上昇するのではなく、受信レベルEが再び下降する。これは、下側(上側)の原稿Gが重なった、上側(下側)の原稿の先端を、超音波センサ27が検出していることによる。
CPU11は、第1傾きDE1の属する傾き範囲Hと第2傾きDE2の属する傾き範囲Hとを比較する(S60)。CPU11は、第1傾きDE1の属する傾き範囲Hと第2傾きDE2の属する傾き範囲Hが異なる場合(S60:NO)、第1傾きDE1と第2傾きDE2は異なる向きの傾きであると判断し、S36からの処理を繰り返す。
【0044】
また、CPU11は、第1傾きDE1の属する傾き範囲Hと第2傾きDE2の属する傾き範囲Hが等しい場合(S60:YES)、第1傾きDE1と第2傾きDE2は同じ向きの傾きであると判断し、第1傾きDE1の絶対値と第2傾きDE2の絶対値とを比較する(S62)。CPU11は、第2傾きDE2の絶対値が第1傾きDE1の絶対値以下である場合(S62:NO)、S36からの処理を繰り返す。
【0045】
一方、CPU11は、第2傾きDE2の絶対値が第1傾きDE1の絶対値よりも大きい場合(S62:YES)、つまり、第1傾きDE1と第2傾きDE2が第1傾き範囲H1に属する場合には、第2傾きDE2が第1傾きDE1よりも大きい場合に、また、第1傾きDE1と第2傾きDE2が第2傾き範囲H2に属する場合には、第2傾きDE2が第1傾きDE1よりも小さい場合に、原稿Gが重送されていると判定し(S64)、重送検出処理を終了する。
【0046】
重送検出処理の実行後、CPU11は、当該重送検出処理において原稿Gの重送が検出されたか否かを確認する(S6)。CPU11は、原稿Gの重送が検出されている場合(S6:YES)、読取処理を終了する。一方、CPU11は、原稿Gの重送が検出されていない場合(S6:NO)、Rセンサ26が原稿Gを検出するのに基づいて、原稿Gの読み取りを開始する。
【0047】
CPU11は、Rセンサ26がオンするのを待機する(S8:NO)。CPU11は、原稿Gの先端が検出位置L2に到達し、Rセンサ26がオンすると(S8:YES)、Rセンサ26がオンしてから第1ステップ数ST1カウント後に、CIS24による読み取りを開始する(S10)。第1ステップ数ST1は、搬送方向D2における検出位置L2と読取位置L1との間の距離に基づいて決定される。
【0048】
CIS24による読み取りを開始後、CPU11は、Rセンサ26がオフするのを待機する(S12:NO)。CPU11は、原稿Gの後端が検出位置L2を通過し、Rセンサ26がオフすると(S12:YES)、Rセンサ26によってオフしてから第2ステップ数ST2カウント後に、CIS24による読み取りを終了する(S14)。CPU11は、さらに第3ステップ数ST3がカウントされ、原稿Gが排紙トレイ4に排紙されると、原稿Gの搬送を終了し(S16)、読取処理を終了する。なお、第2ステップ数ST2は、搬送方向D2における検出位置L2と読取位置L1との間の距離に基づいて決定され、第3ステップ数ST3は、搬送方向D2における読取位置L1と排紙トレイ4との間の距離に基づいて決定される。
【0049】
4.本実施形態の効果
(1)画像読取装置1では、原稿Gの搬送を開始してから超音波センサ27が取得した受信レベルEの傾きDEを演算し、この受信レベルEの傾きDEが基準傾きKDを超えた第1区間Z1及び第2区間Z2を検出した場合に、原稿Gが重送されていると判断する。そのため、受信レベルEの傾きDEが基準傾きKDを超えた2つの区間Zを検出できれば、必ずしも原稿Gの全域において受信レベルEを取得する必要がなく、原稿Gの重送を判断するまでの時間を短縮することができる。
【0050】
(2)具体的には、画像読取装置1では、受信レベルEの傾きDEが第1傾き範囲H1または第2傾き範囲H2に属することとなった際に、当該傾きDEを検出するとともに各区間Zの開始を検出し、連続して検出される第1区間Z1及び第2区間Z2の開始に検出された傾きDEが同じ向きの傾きである場合、すなわち、第1傾きDE1及び第2傾きDE2が同じ傾き範囲Hに属する場合に、重送と判断する。読取装置1では、各区間Zの開始において受信レベルEの傾きDEを検出するので、第2傾きDE2を検出する際に第2区間Z2の終端を検出する必要がなく、原稿Gの重送を判断するまでの時間を短縮することができる。
【0051】
(3)画像読取装置1では、第1区間Z1のように、第1傾き範囲H1及び第2傾き範囲H2に属する受信レベルEの傾きDEが検出された場合に超音波の発信の時間間隔を短くすることで、第1区間Z1の終端を検出するまでの時間を短縮することができる。また、第3傾き範囲H3に属する受信レベルEの傾きDEが検出されている際には、超音波の発信の時間間隔が比較的長いことから、この間のCPU11の負担を軽減することができる。
【0052】
(4)画像読取装置1では、一般に、原稿Gが重送され、搬送される原稿Gの厚みが厚くなると、受信レベルEの減衰及び増大に係る変化量が増大する。つまり、検出される受信レベルEの傾きDEが急激になり、傾きDEの絶対値が増大する。この処理装置によれば、第2傾きDE2が正の場合には、第2傾きDE2が第1傾きDE1よりも大きくなった場合に、また、第2傾きDE2が負の場合には、第2傾きDE2が第1傾きDE1よりも小さくなった場合に、原稿Gが重送されていると判断するので、原稿Gの重送を判断しやすい。
【0053】
(5)画像読取装置1では、Rセンサ26が原稿Gの先端を検出するまでに原稿Gが重送で搬送されているか否かを判断するので、早期に原稿Gが重送されているか否かを判断することができ、その後、速やかに原稿Gを読み取ることができる。
【0054】
<実施形態2>
実施形態2を、図7ないし図9を用いて説明する。本実施形態では、原稿Gの重送検出処理において、第1傾きDE1を用いて原稿Gの厚みを判別して原稿Gの種類を判別し、第2傾きDE2を検出した場合に、第2傾きDE2が付箋紙等によるものでないかを判別する点で、実施形態1の画像読取装置1と異なる。以下の説明では、実施形態1と同一の内容については重複した記載を省略する。
【0055】
1.画像読取装置の電気的構成
図2に示すように、ASIC10のROM12にはテーブルTAが予め記憶されている。図7に示すように、テーブルTAには、原稿Gの種類と、各種類の原稿Gの厚みに対応する原稿Gの先端における受信レベルEの規定傾きLDとが関連付けられて記憶されている。一般に、原稿Gは、その種類により一定の厚みを有し、搬送される原稿Gにより一定の受信レベルEの傾きDEである規定傾きLDが演算される。CPU11は、テーブルTAを用いることで、搬送される原稿Gの種類を判別することができる。
【0056】
また、テーブルTAには、各種類の原稿Gの特定傾きTDが、関連付けて記憶されている。ここで、特定傾きTDとは、各種類の原稿Gに付箋紙を貼り付けられた場合の原稿Gと付箋紙との合計の厚みに対応する受信レベルEの傾きDEである。付箋紙の厚みは、規定厚みの一例である。CPU11は、テーブルTAを用いることで、搬送される原稿Gに付箋紙が貼り付けられているか否かを判別することができる。
【0057】
2.重送検出処理
次に、図8及び図9を参照して、原稿Gの読取処理において実行される原稿Gの重送検出処理について説明する。図8に示すように、CPU11は、重送検出処理を開始し、第1傾きDE1を検出すると(S50)、原稿判別処理を実行する(S66)。
【0058】
図9に示すように、CPU11は、原稿判別処理を開始すると、第1傾きDE1をテーブルTAに記憶されている各規定傾きLDと比較する。つまり、CPU11は、第1傾きDE1と、テーブルTAから読み出した普通紙の規定傾きLDである「−20」とを比較し(S72)、第1傾きDE1が「−20」である場合(S72:YES)、現在搬送されている原稿Gが普通紙であると判別し(S74)、原稿判別処理を終了する。なお、「現在搬送されている原稿G」とは、原稿Gが重送されない場合には、現在搬送されている原稿Gそのものを意味し、原稿Gが重送されており、現在搬送されている原稿Gが複数存在する場合には、最初に搬送経路22に搬送された原稿Gを意味する。
【0059】
CPU11は、第1傾きDE1が「−20」でない場合(S72:NO)、現在搬送されている原稿Gが普通紙でないと判別し、テーブルTAから読み出したその他の種類の原稿Gの規定傾きLDを用いて比較を繰り返し(S76、S80)、現在搬送されている原稿Gの種類を判別し(S78、S82)、原稿判別処理を終了する。
【0060】
一方、CPU11は、第1傾きDE1がテーブルTAから読み出した原稿Gの規定傾きLDのいずれにも一致しない場合(S72:NO、S76:NO、S80:NO)、現在搬送されている原稿Gが画像読取装置1においてサポートされていない原稿Gであることを検知し、現在搬送されている原稿Gの種類を判別することなく、原稿判別処理を終了する。
【0061】
原稿判別処理の実行後、CPU11は、当該原稿判別処理において原稿Gの種類が判別されたか否かを確認する(S68)。CPU11は、原稿Gの種類が判別されている場合(S68:YES)、S36からの処理を繰り返す。一方、CPU11は、原稿Gの種類が判別されていない場合(S68:NO)、サポートされていない原稿Gの搬送によりジャム等の発生することを抑制するために、原稿Gが重送されていると判定し(S64)、重送検出処理を終了する。
【0062】
また、CPU11は、重送検出処理において、第2傾きDE2を検出し、(S58)、検出した第2傾きDE2の属する傾き範囲Hと第1傾きDE1の属する傾き範囲Hが等しい場合(S60:YES)、第2傾きDE2をテーブルTAに記憶されている特定傾きTDと比較する(S70)。CPU11は、テーブルTAにおいて、第1傾きDE1を用いて判定された現在搬送されている原稿Gの種類に対応して記憶されている特定傾きTDを選出し、選出した特定傾きTDと第2傾きDE2とを比較する。
【0063】
第2傾きDE2と選出した特定傾きTDとが一致する場合(S70:YES)、CPU11は、現在搬送されている原稿Gに付箋紙が貼り付けられていることを検知する。CPU11は、第2傾きDE2の検出が、付箋紙によるものであり、原稿Gの重送によるものでないと判断し、S36からの処理を繰り返す。
【0064】
一方、第2傾きDE2と選出した特定傾きTDとが一致しない場合(S70:NO)、CPU11は、第2傾きDE2の検出が、付箋紙によるものでなく、原稿Gの重送によるものであると判断し(S64)、重送検出処理を終了する。
【0065】
3.本実施形態の効果
画像読取装置1では、検出された第1傾きDE1及び第2傾きDE2を用いて、現在搬送されている原稿Gに関する情報を得ることができ、これらの情報を得るための他の構成を必要としない。具体的には、画像読取装置1では、検出された第1傾きDE1を用いて、現在搬送される原稿Gの種類を判別することができる。これにより、当該原稿Gが画像読取装置1においてサポートされている原稿Gであるか否かを検知することができ、サポートされていない原稿Gの搬送によりジャム等の発生することを抑制することができる。
【0066】
また、画像読取装置1では、検出された第2傾きDE2を用いて、現在搬送されている原稿Gに付箋紙が貼り付けられているか否かを検知することができ、その一部に付箋紙が貼り付けられている原稿Gに対して、原稿Gが重送されていると誤判断することが抑制される。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像読取装置1を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。原稿Gの重送を判断して、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の少なくとも1つの機能を実行する各種装置及び複合機であっても良い。
【0068】
(2)上記実施形態では、画像読取装置1が1つのASIC10を有し、制御部として機能する1つのCPU11によって読取処理を実行する例を用いて説明を行ったが、本発明はこれに限られない。例えば、複数のASIC、CPUなどによって読取処理を実行を実行しても良い。
【0069】
(3)上記実施形態では、第1傾きDE1と第2傾きDE2は同じ向きの傾きであると判断した後に、第1傾きDE1の絶対値と第2傾きDE2の絶対値とを比較する例を用いて説明を行ったが、必ずしも第1傾きDE1の絶対値と第2傾きDE2の絶対値とを比較する必要はない。第1傾きDE1と第2傾きDE2は同じ向きの傾きである場合に、原稿Gが重送されていると判断しても良い。
【0070】
(4)上記実施形態では、演算された受信レベルEの傾きDEが第3傾き範囲H3に属する場合と、その他の傾き範囲Hに属する場合とで、超音波センサ27が超音波を受送信する時間間隔を変更する例を用いて説明を行ったが、時間間隔を変更させず、一定に保持しても良い。また、第1時間間隔や第2時間間隔の決め方も特に限定されるものでは無い。
【0071】
(5)上記実施形態では、特定厚みとして、付箋紙の厚みを用いて説明を行ったが、原稿Gに貼り付けられる切手や証明写真、印紙等の厚みを特定厚みとして記憶しておいても良い。また、特定厚みとして記憶されるのは、一種類だけでなく、複数種類が特定厚みとして記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0072】
1:画像読取装置、11:CPU、14:デバイス制御部、19:AD変換回路、22:搬送経路、26:Rセンサ、27:超音波センサ、27A:送信器、27B:受信器、30:搬送部、E:受信レベル、H1:第1傾き範囲、H2:第2傾き範囲、H3:第3傾き範囲、TA:テーブル、Z1:第1区間、Z2:第2区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送経路に沿って搬送する搬送部を有する処理装置であって、
前記搬送経路を搬送される前記用紙の一方の面に対向する前記搬送経路の一方の側から超音波を発信し、前記用紙の他方の面に対向する前記搬送経路の他方の側で受信された該超音波の受信レベルを取得する超音波送受信部と、
前記超音波送受信部に対して前記搬送部の前記用紙の搬送開始から異なる発信タイミングで順に超音波を発信させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
超音波受信部が所定回数毎に受信した受信レベルの差を前記所定回数毎の受信タイミングの差によって除した値を、所定回数毎に前記受信レベルの傾きとして求め、
前記受信レベルの傾きが同じ向きの傾きであって、かつ、所定の大きさを超えた一定の範囲に属する区間が、2度検出された場合に、重送と判断する、処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の処理装置であって、
前記制御部は、
前記受信レベルの傾きがゼロより大きい値に設定された第1基準傾きよりも大きい範囲である第1傾き範囲、またはゼロより小さい値に設定された第2基準傾きよりも小さい範囲である第2傾き範囲、または前記第1基準傾き以下前記第2基準傾き以上の範囲である第3傾き範囲、のいずれの範囲に属するかを検出し、
前記受信レベルの傾きが最初に前記第3傾き範囲と異なる傾き範囲に属することとなった際の前記受信レベルの傾きを第1傾きとして検出するとともに第1区間の開始を検出し、前記第1傾き検出後、前記受信レベルの傾きが前記第3傾き範囲に属することとなった際に前記第1区間の終端を検出し、前記第1区間経過後、再度受信レベルの傾きが前記第3傾き範囲と異なる傾き範囲に属することとなった際の前記受信レベルの傾きを第2傾きとして検出するとともに第2区間の開始を検出し、
前記第1傾きと前記第2傾きとが同じ傾き範囲に属する場合に、重送と判断する、処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の処理装置であって、
更に、
前記用紙の種類と、当該種類の用紙の厚みに対応する受信レベルの傾きと、が関連付けられたテーブルを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、検出した前記第1傾きと前記テーブルとから最初に搬送された第1用紙の種類を判別する、処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の処理装置であって、
前記テーブルには、更に、前記用紙の厚みに規定厚みを加えた厚みに対応する受信レベルの傾きである特定傾きが当該用紙の厚みに関連付けられて記憶されており、
前記制御部は、検出した前記第2傾きが、当該第2傾きに対応する前記第1傾きから判別された前記第1用紙の厚みに関連付けられた前記特定傾きと異なる場合に、重送と判断する、処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の処理装置であって、
前記制御部は、前記第1傾き範囲及び前記第2傾き範囲に属する前記受信レベルの傾きが検出された場合に、前記第3傾き範囲に属する前記受信レベルの傾きが検出された場合に比べて発信タイミングの時間間隔を短くする、処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の処理装置であって、
前記制御部は、前記第1傾きが前記第1傾き範囲に属する場合には、前記第2傾きが前記第1傾きよりも大きい場合に、また前記第1傾きが前記第2傾き範囲に属する場合には、前記第2傾きが前記第1傾きよりも小さい場合に、重送と判断する、処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の処理装置であって、
更に、
前記読取部より前記搬送経路上の上流側の位置を通過する前記用紙を検出する検出部と、
前記搬送部によって搬送される前記用紙を読み取る読取部と、
を備え、
前記制御部は、前記搬送部が搬送を開始してから、前記検出部が前記用紙の先端を検出するまでに、前記用紙が重送であるか否かを判断し、前記検出部の検出に基づいて、前記読取部に前記用紙を読み取らせる、処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−75731(P2013−75731A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215293(P2011−215293)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】