説明

出発物質含量を削減した染色用組成物、およびこれを使用したケラチン繊維の染色方法

【課題】本発明は、少なくとも40重量%の水を含有する染色用組成物に関するものであり、また、このような組成物を用いてケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色するための方法に関するものである。
【解決手段】本染色用組成物はさらに、少なくとも1の酸化染色前駆体および/または1の直接染料;少なくとも1のノニオン性若しくはアニオン性界面活性剤、またはそれらの混合物;少なくともヒドロキシエチルセルロース;少なくとも1の脂肪物質;脂肪物質総量に対して1.75以上であるノニオン性およびアニオン性界面活性剤の重量比;および少なくとも1のカチオン性会合性ポリマーを含む。本発明は、一方では染色用組成物を、他方では酸化組成物を含む複数区画装置に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも40重量%の水を含有する染色用組成物に関するものであり、また、このような組成物を使用してケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色するための方法に関するものである。この発明は同様に、一方では染色用組成物を、他方では酸化組成物を含む複数区画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪等のケラチン繊維の染色には本質的に2つのタイプがある。
【0003】
第1は酸化染色すなわち永久的染色として知られているものであり、無色か弱く着色した化合物である酸化染色前駆体を用いることからなる。前駆体が酸化剤と混合されると、ケラチン繊維自身内で起こる酸化縮合プロセスにより、繊維内に取り込まれた状態の着色物質を産生する。
【0004】
第2は直接染色すなわち半永久的染色として知られており、ケラチン繊維に対して親和性を有する有色のまたは着色性の化合物を用いて、前記化合物がケラチン繊維上に適用されることにより実施される。この染色タイプは、発色させるための酸化物質の使用を必要としない。もっとも、その過程においてこのタイプの作用剤が存在することが排除されるものではない。それゆえ、後者の場合は、明色化直接染色と言われる。
【特許文献1】仏国特許発明第2692572号明細書
【特許文献2】国際公開第95/15144号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の染色用組成物は、多くの場合、液状、ゲル状あるいはクリーム状の形態であり、必要に応じて繊維への適用前に酸化組成物と混合される。
【0006】
染色用組成物は通例、脂肪物質、界面活性剤および/またはポリマーといった出発物質を豊富に含む。これらの組成物は、ケラチン繊維に敏速かつ容易に適用しやすいように広がる特性およびテクスチャーを持つように配合されている。同時に、染色したい部分以外に流れ出ないよう濃厚でもある。さらに、これらの組成物はケラチン繊維上で放置されている間、安定な状態でなければならず、染色が得られた後はすすぐことにより簡単に除去されなければならない。
【0007】
現在、多量の出発物質がこのような組成物の染色品質を劣化させるということは珍しくない。然るに、好ましいとはいえない反応速度、得られた色調の強さの減少、繊維毎の、および/または繊維の部位(根元/毛先)による染色の不均質性などが観察されるかもしれない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
よって、本発明の目的は、現在の染色用組成物の上記欠点を持たず、一方、同時に前述した特性を保持する染色用組成物を提案することである。
【0009】
このような目的は、本発明によって達成され、本発明の主題は、ケラチン繊維を染色するのに適した媒質中に、以下を含む染色用組成物である:
・少なくとも1の酸化染色前駆体および/または少なくとも1の直接染料;
・少なくとも1のノニオン性若しくはアニオン性界面活性剤、またはその混合物;
・少なくとも1のヒドロキシエチルセルロース;
・少なくとも1のカチオン性会合性ポリマー;
・少なくとも1の脂肪物質;
・ここで、脂肪物質総量に対するノニオン性およびアニオン性の界面活性剤総量の重量比が1.75以上であり;
および
・上記染色用組成物重量に対して染色用組成物中の水含量が少なくとも40重量%である。
【0010】
本発明の主題は、このような組成物を使用して、適切に酸化組成物の存在下でケラチン繊維を染色する方法でもある。
【0011】
最後に、本発明は、本発明の染色用組成物を含有する第一区画と、酸化組成物を含有する第二区画とを含む装置に関するものである。
【0012】
本発明の組成物は、染色特性の劣化を抑え、より強く、より均等にまたより色鮮やかに染色を得ることができる一方、同時に、処理された繊維に良い美容特性を与え、その劣化を制限するものである。
【0013】
その上、本発明による組成物は、特にヒトの毛髪等のケラチン繊維染色における使用に対し理想的なテクスチャーを有している。とりわけ、前記組成物は敏速かつ容易な適用のために十分に濃厚なクリーム状の形態であり、すすぎによって十分に除去されるが、処理したい毛髪部分以外には流れ出ないものである。
【0014】
しかしながら、本発明の他の特性および利点は、以下の記述や実施例を読むことでより明確に現れるだろう。
【0015】
以下の文において、特記のない限り、数値範囲の限界はその範囲に含まれることを指摘しておく。
【0016】
脂肪鎖を持つ化合物について言及されている場合、この鎖は直鎖状または分枝状であり、8から30の炭素原子、より好ましくは10から24の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素系鎖である。
【0017】
さらに、本発明はケラチン繊維、特にヒトの毛髪等のケラチン繊維の染色に適している。
【0018】
然るに、前述したように、本発明の染色用組成物は、前記染色用組成物重量に対して少なくとも40重量%の水を含有する。
【0019】
もうひとつの特別な変形によると、本発明の組成物中の水含量は、前記染色用組成物の重量に対して少なくとも45重量%である。
【0020】
特に好ましい本発明の実施態様によると、水含量は、前記染色用組成物の重量に対して少なくとも50重量%である。
【0021】
本発明による組成物は少なくとも1のノニオン性若しくはアニオン性の界面活性剤、またはその混合物をさらに含むものである。
【0022】
特に、ノニオン性界面活性剤は以下から選択される;
・オキシアルキレン化またはグリセロール化された脂肪アルコール類;
・オキシアルキレン化されたアルキルフェノール類(アルキル鎖がC−C18である);
・オキシアルキレン化またはグリセロール化された脂肪酸アミド類;
・オキシアルキレン化された植物油類;
・任意にオキシアルキレン化されたソルビタンのC−C30酸エステル類;
・任意にオキシアルキレン化されたスクロースの脂肪酸エステル類;
・ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類;
・(C−C30)アルキルポリグリコシド類;
・N−(C−C30)アルキルグルカミン誘導体類;
・(C10−C14)アルキルアミンオキシド類またはN−アシルアミノプロピルモルホリンオキシド類などのアミンオキシド類;
・エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー類;
・それらの混合物。
【0023】
特に、オキシアルキレン単位の平均数は2から150が望ましい。より好ましくは、オキシアルキレン単位がオキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、またはそれらの混合となることである。
【0024】
ポリグリセロール化された界面活性剤類に関しては、それらが好ましくは平均して1から20のグリセロール基、特に1.5から5のグリセロール基を含む。
【0025】
特に有利な本発明の実施態様のひとつに従うと、この化合物はオキシアルキレン化またはグリセロール化されたC−C30アルコール類から選択される少なくとも1のノニオン性界面活性剤を含む。
【0026】
アニオン性の界面活性剤に関しては、特に以下から選択される:
・(C−C30)アルキルサルフェート類、(C−C30)アルキルエーテルサルフェート類、(C−C30)アルキルアミドエーテルサルフェート類、アルキルアリールポリエーテルサルフェート類、モノグリセリドサルフェート類;
・(C−C30)アルキルスルホネート類、(C−C30)アルキルアミドスルホネート類、(C−C30)アルキルアリールスルホネート類、α−オレフィンスルホネート類、パラフィンスルホネート類;
・(C−C30)アルキルホスフェート類;
・(C−C30)アルキルスルホスクシネート類、(C−C30)アルキルエーテルスルホスクシネート類、(C−C30)アルキルアミドスルホスクシネート類;
・(C−C30)アルキルスルホアセテート類;
・(C−C24)アシルサルコシネート類;
・(C−C24)アシルグルタメート類;
・(C−C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル類;(C−C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート類;
・(C−C30)アルキルスルホスクシナメート類;
・(C−C24)アシルイセチオネート類;
・N−(C−C24)アシルタウレート類;
・脂肪酸塩類;ヤシ油酸塩または硬化ヤシ油酸塩類;
・(C−C20)アシルラクチレート類;
・(C−C30)アルキル−D−ガラクシドウロン酸塩類;
・ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルエーテルカルボン酸塩類、
ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩類、
ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩類;
・およびそれらの混合物。
【0027】
これらのアニオン性界面活性剤類は本発明の組成物中で有利には塩を形成しており、特にアルカリ金属類、例えばナトリウム;アルカリ土類金属類、例えばマグネシウム;アンモニウム塩類;アミン塩類;アミノアルコール塩類が挙げられる。条件に応じて、これらのアニオン性界面活性剤はそれらの酸性型であってよい。
【0028】
これらの様々な化合物のアルキル基またはアシル基は、好ましくは12から20の炭素原子を含むことに留意すべきである。好ましくは、アリール基はフェニル基またはベンジル基を意味する。
【0029】
さらに、ポリオキシアルキレン化されたアニオン性界面活性剤類は、好ましくは2から50のアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド基を含む。
【0030】
本発明の好ましい実施態様の一つにおいて、アニオン性の界面活性剤は脂肪酸塩類から選択される。
【0031】
本発明の詳細な実施態様の一つにおいて、ノニオン性および/またはアニオン性界面活性剤の総含量は、染色用組成物の重量に対して0.01重量%から50重量%、好ましくは染色用組成物の重量に対して0.5重量%から40重量%である。
【0032】
ヒドロキシエチルセルロールは、本発明の組成物成分の1つである。
【0033】
本発明による組成物中に含まれるヒドロキシエチルセルロールの分子量は、好ましくは少なくとも700000、より好ましくは少なくとも10である。
【0034】
分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーすなわちサイズ排除クロマトグラフィーを含む様々な技術によって決定され得る。
【0035】
特に挙げることのできる好適な化合物とは、例えばAqualon(Hercules)社からNatrosol 250 HHRという商品名で販売されている分子量が1.3×10のヒドロキシエチルセルロース、Amercol社からCellosize Hydroxyethyl Cellulose PCG-10という商品名で販売されている分子量が10のヒドロキシエチルセルロース、あるいは、Aqualon(Hercules)社からNatrosol 250 MRという商品名で販売されている分子量が720000のヒドロキシエチルセルロースである。
【0036】
ヒドロキシエチルセルロース含量は、染色用組成物の重量に対して0.01重量%から5重量%、好ましくは染色用組成物の重量に対して0.05重量%から2.5重量%、より好ましくは染色用組成物の重量に対して0.1重量%から1重量%である。
【0037】
前述したように、染色用組成物はさらに少なくとも1の脂肪物質も含む。
【0038】
有利には、脂肪物質は、以下から選択される:非オキシアルキレン化および非グリセロール化脂肪アルコール類、非オキシアルキレン化および非グリセロール化脂肪酸アミド類、カルボン酸モノエステル類およびポリエステル類、鉱油類および植物油類、またはそれらの混合物。
【0039】
脂肪アルコール類に関しては、飽和または不飽和、直鎖状または分枝状のC−C30、特にC10−C24、好ましくはC12−C24アルコールを挙げることができ、それらは任意に少なくとも1の他のヒドロキシル基を含有してもよい。挙げることのできる実施例には、とりわけ、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、カプリルアルコールおよびアラキドニルアルコール、またはそれらの混合物が含まれている。
【0040】
脂肪酸アミド類は、アルカノールアミンとC−C30脂肪酸から誘導される化合物より特に選択される。好ましくは、C−C10アルカノールアミンとC14−C30脂肪酸とのアミド類、より好ましくは、C−C10アルカノールアミンとC14−C22脂肪酸とのアミド類から選択される。
【0041】
有利には、脂肪酸アミドは以下から選択される:
−オレイン酸ジエタノールアミド、例えばChimex社によりMexanyl(登録商標)GTの商品名で市販されているアミド、
−ミリスチン酸モノエタノールアミド、例えばCognis社によりComperlan(登録商標)MMの商品名で市販されているアミド、
−ダイズ脂肪酸ジエタノールアミド、例えばCognis社によりComperlan (登録商標)VODの商品名で市販されているアミド、
−ステアリン酸エタノールアミド、例えばUniqema社によりMonamid(登録商標)Sの商品名で市販されているアミド、
−オレイン酸モノイソプロパノールアミド、例えばWitco社によりWitcamide(登録商標)61の商品名で市販されているアミド、
−リノール酸ジエタノールアミド、例えばZschimmer Schwarz社によりPurton(登録商標) SFDの商品名で市販されているアミド、
−ステアリン酸モノエタノールアミド、例えばICI/Uniqema社によりMonamid(登録商標) 972の商品名で市販されているアミド、
−ベヘン酸モノエタノールアミド、例えばCrodaによりIncromide(登録商標) BEMの商品名で市販されているアミド、
−イソステアリン酸モノイソプロパノールアミド、例えばWitco社によりWitcamide(登録商標) SPAの商品名で市販されているアミド、
−エルカ酸ジエタノールアミド、例えばStearineries Dubois社によりエルカ酸ジエタノールアミドの商品名で市販されているアミド、
−リシノール酸モノエタノールアミド、例えばStearineries Dubois社によりリシノール酸モノエタノールアミドの商品名で市販されているアミド。
【0042】
直鎖状または分枝状、飽和または不飽和カルボン酸モノエステルまたはポリエステルに関しては、それらは、有利には、酸またはアルコール部分から誘導される少なくとも1のC−C30、特にC10−C24、好ましくはC12−C24の炭化水素系の鎖、および少なくとも1のC−C、好ましくはC−C鎖を含有する。さらに、カルボン酸が複数のカルボキシル官能基を有する場合、これらの官能基は、好ましくは全てエステル化される。最後に、アルコール類は好ましくは単官能性アルコールであることに留意すべきである。
【0043】
挙げることのできる実施例には、オレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ステアリン酸、リノール酸(linolenic acid)、リノレン酸(linolenic acid)、カプリン酸若しくはアラキドン酸、またはそれらの混合物(例えば特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、パルミトステアリン酸等の混合物)が含まれる。
【0044】
さらに、セバシン酸のイソプロピルジエステル(ジイソプロピルセバケート)、ジオクチルアジペートおよびジカプリリルマレエートを挙げることができる。
【0045】
好ましくは、エステル類はC12−C24の酸、特にカルボキシル基を含むもの、および飽和で直鎖状または分枝状のC−Cモノアルコールとから得られるものから選択される。
【0046】
本発明の特に有利な変形では、エステルはイソプロピルパルミテート若しくはイソプロピルミリステート、またはその混合物から選択される。
【0047】
流動パラフィンは、組成物中の脂肪物質として用いることができる鉱油の実施例である。
【0048】
植物油類に関しては、アボカド油、オリーブ油または液状ホホバワックスを特に挙げることができる。
【0049】
好ましくは、脂肪物質は非オキシアルキレン化および非グリセロール化脂肪アルコール類から選択される。
【0050】
本発明の有利な実施態様では、脂肪物質の総含量は染色用組成物の10重量%以下である。好ましくは、脂肪物質総含量は、染色用組成物の重量に対して1重量%から9重量%である。
【0051】
本発明において、脂肪物質の量に対するノニオン性およびアニオン性界面活性剤の総量の重量比は1.75より大きく、特に2より大きく、好ましくは3より大きい。
【0052】
脂肪物質総量に対するノニオン性およびアニオン性界面活性剤の総量の重量比は、有利に、20未満、特に15未満、好ましくは10未満である。
【0053】
前述したように、本発明の組成物は少なくとも1のカチオン性会合性ポリマーを含む。
【0054】
会合性ポリマー類の化学構造は、疎水性領域および水への溶解性を確保する親水性領域の存在によって特徴付けられる。ポリマーは、水性媒体中において、この疎水性領域を介して互いに、または他の分子の疎水性部分と会合する。このようなポリマー類は、水性媒体中において、互いにまたは他の分子と可逆的に会合可能である。
【0055】
本発明に関連して使用される会合性ポリマー類は、特に少なくとも1の脂肪鎖を含む両親媒性ポリマー類である。
【0056】
本発明において、「ポリマー」という用語は、その構造中に、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはグリセロールシーケンスが存在するならば、このタイプ以外の少なくとも1の反復したシーケンスを持つ化合物を意味する。
【0057】
有利に、本発明の組成物中に存在するカチオン性会合性ポリマーは、四級化セルロース誘導体類、カチオン性ポリウレタン類、カチオン性ポリビニルラクタム類およびカチオン性アクリルターポリマー類(これらの化合物は少なくとも1の脂肪鎖を含有する)から選択される。
【0058】
四級化セルロース誘導体類
これらのポリマー類は有利には以下から選択される:
−少なくとも1の脂肪鎖、例えば、好ましくは少なくとも8の炭素原子を有するアルキル基、アリールアルキル基、若しくはアルキルアリール基を含む基、またはそれらの混合基を含む基で変性された四級化セルロース類、
−少なくとも1の脂肪鎖、例えば、好ましくは少なくとも8の炭素原子を含有しているアルキル基、アリールアルキル基、若しくはアルキルアリール基を含む基、またはそれらの混合基を含む基で変性された四級化ヒドロキシエチルセルロース類。
【0059】
上記の四級化セルロース類またはヒドロキシエチルセルロース類が有するアルキル基は、好ましくは8から30の炭素原子を含む。アリール基は好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチルまたはアントリル基を意味する。
【0060】
C−C30脂肪鎖を含む四級化アルキルヒドロキシエチルセルロース類の例としては、Croda社によりCrodacel QL(C12アルキル)およびCrodacel QS(C18アルキル)の商品名で市販されているものが挙げられる。
【0061】
カチオン性ポリウレタン類
本発明の特別な変形の一つでは、好適なカチオン性会合性ポリウレタン類は下記の一般式(Ia)に対応する。
【0062】
【化1】

式中:
RおよびR’は、同一または異なってもよく、疎水性基または水素原子を表し;
XおよびX’は、同一または異なってもよく、任意に疎水性基を有してもよいアミン官能基を含む基、あるいはまたL’’基を表し;
L、L’およびL’’は、同一または異なってもよく、ジイソシアネートから誘導される基を表し;
PおよびP’は、同一または異なってもよく、任意に疎水性基を有してもよいアミン官能基を含む基を表し;
Yは親水性基を表し;
rは1から100、好ましくは1から50、特に1から25の整数であり;
n、mおよびpはそれぞれ、相互に独立して、0から1000の範囲にあり;
上記分子は少なくとも1つのプロトン化または四級化アミン官能基、および少なくとも1つの疎水性基を含む。
【0063】
これらの化合物は、特に欧州特許出願 EP 1 174 450に記載されている。
【0064】
本発明の好ましい実施態様の一つでは、唯一の疎水基は、鎖末端にあるRおよびR’基である。
【0065】
カチオン性両親媒性ポリウレタン類の好ましい群の一つは、上記の式(Ia)に対応するものであり、式中:
RおよびR’は共に独立して疎水性基を表し、
XおよびX’はそれぞれL’’基を表し、
nおよびpは1から1000の範囲にあり、かつ、
L,L’,L’’,P,P’,Yおよびmは上記の意味を有する。
【0066】
カチオン性両親媒性ポリウレタン類のもう一つの好ましい群は、上記の式(Ia)に対応するものであり、式中:
RおよびR’は共に独立して疎水性基を表し、
XおよびX’はそれぞれL’’基を表し、
nおよびpは0であり、かつ、
L,L’,L’’,Yおよびmは上記の意味を有する。
【0067】
nおよびpが0であるということは、重縮合に際してポリマー中に取り込まれるアミン官能基を含むモノマーから誘導される単位をこれらのポリマーは含まないことを意味する。これらのポリウレタンのプロトン化したアミン官能基は、鎖末端における過剰のイソシアナート官能基を加水分解し、それに続いて、形成された一級アミン官能基を疎水性基を含むアルキル化剤、すなわちRQまたはR’Q型の化合物(式中R及びR'は上記で定義したものであり、Qは離脱基、例えばハライド、サルフェート等を意味する)でアルキル化することによって製造される。
【0068】
カチオン性両親媒性ポリウレタン類のさらに好ましいもう一つの群は上記の式(Ia)に該当するものであり、式中:
RおよびR’は共に独立して疎水性基を表し、
XおよびX’は共に独立して四級アミンを含む基を表し、
nおよびpは0であり、かつ、
L、L’、Yおよびmは上記の意味を有する。
【0069】
カチオン性両親媒性ポリウレタン類の数平均分子量は、好ましくは400から500000、特に1000から400000、理想的には1000から300000である。
【0070】
「疎水性基」という表現は、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素系の鎖を含む基またはポリマーを意味し、これは1以上のヘテロ原子、例えばP、O、NまたはS、またはペルフルオロ若しくはシリコーン鎖を含む基を有してもよい。疎水性基が炭化水素系の基を意味する場合、それは少なくとも10の炭素原子、好ましくは10から30の炭素原子、特に12から30の炭素原子、さらに好ましくは18から30の炭素原子を含む。
【0071】
優先的には、炭化水素系の基は単官能化合物から誘導される。
【0072】
例として、疎水性基を脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール、ドデシルアルコールまたはデシルアルコールから誘導することができる。それはさらに炭化水素系のポリマー、例えばポリブタジエンを意味することができる。
【0073】
Xおよび/またはX’が三級または四級アミンを含む基を意味する場合、Xおよび/またはX’は以下の式の一つを表すことができる:
【0074】
【化2】

式中:
Rは、1から20の炭素原子を含み、任意に飽和または不飽和環を含む直鎖状または分枝状のアルキレン基、またはアリーレン基を表し、ここで、1つまたは複数の炭素原子はN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。;
RおよびRは、同一または異なってもよく、直鎖状又は分枝状のC−C30アルキル基またはアルケニル基またはアリール基を意味し、ここで、少なくとも1つの炭素原子がN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。;
Aは生理学的に許容可能な対イオンである。
【0075】
L、L’およびL’’基は以下の式の基を表す:
【0076】
【化3】

式中:
Zは−O−、−S−または−NH−を表し;かつ
Rは、1から20の炭素原子を含む直鎖状または分枝状のアルキレン基(任意に飽和または不飽和環を含んでもよい)、またはアリーレン基を表す。ここで、1つまたは複数の炭素原子がN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子で置換されていてもよい。
【0077】
アミン官能基を含むPおよびP’基は以下の式の少なくとも一つを表すことができる:
【0078】
【化4】

式中:
RおよびRは上記で定義したRと同一の意味を有し;
R、RおよびRは上記で定義したRおよびRと同一の意味を有し;
R10は直鎖状または分枝状で、任意に不飽和であってもよいアルキレン基を表し、アルキレン基はN、S、OおよびPから選択される1以上のヘテロ原子を含むことができ;かつ
Aは生理学的に許容可能な対イオンである。
【0079】
Yの意味に関して、「親水性基」という用語は、ポリマーまたは非ポリマーの水溶性基を意味する。
【0080】
例として、それがポリマーでない場合は、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールを挙げることができる。
【0081】
それが親水性ポリマーである場合、本発明の好ましい実施態様の一つでは、例えば、ポリエーテル類、スルホン化ポリエステル類、スルホン化ポリアミド類、またはこれらのポリマーの混合物を挙げることができる。親水性化合物は優先的にはポリエーテル、特にポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)である。
【0082】
式(Ia)においてYで表される親水性基は任意である。特に、プロトン化または四級アミン官能基を含む単位は、水性溶液中でこのタイプのポリマーが必要とする溶解性または水分散性を提供するのに十分であってよい。
【0083】
親水性基Yの存在は任意ではあるが、とはいえ、これらの基を含むカチオン性会合性ポリウレタン類が好ましい。
【0084】
上記カチオン性両親媒性ポリウレタン類は水溶性または水分散性である。
【0085】
カチオン性ポリビニルラクタム類
本発明で使用できる会合性カチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマー類は以下を含む:
-a)ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタム型の少なくとも1のモノマー;
-b)以下の構造(Ib)または(IIb)の少なくとも1のモノマー:
【0086】
【化5】

【0087】
【化6】

式中:
Xは酸素原子またはNR基を意味し、
RおよびRは、相互に独立に、水素原子または直鎖状若しくは分枝状のC−Cアルキル基を意味し、
Rは直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基を意味し、
R、RおよびRは、相互に独立に、水素原子、直鎖状若しくは分枝状のC−C30アルキル基または式(IIIb)の基を意味し:
【0088】
【化7】

Y、YおよびYは、相互に独立に、直鎖状または分枝状のC−C16アルキレン基を意味し、
Rは、水素原子または直鎖状若しくは分枝状のC−Cアルキル基または直鎖状若しくは分枝状のC−Cヒドロキシアルキル基を意味し、
Rは水素原子または直鎖状若しくは分枝状のC−C30アルキル基を意味し、
p、qおよびrは、相互に独立に、0または1の値のいずれかを意味し、
mおよびnは、相互に独立に、0から100の範囲の整数を意味し、
xは1から100の範囲の整数を意味し、
Zは有機または無機酸アニオンを意味し、
但し以下を条件とする:
− 少なくとも1つの置換基R、R、RまたはRは直鎖状または分枝状のC−C30アルキル基、好ましくはC−C30アルキル基を意味し、
− mまたはnが0でない場合、qは1に等しく、
− mまたはnが0に等しい場合、pまたはqは0に等しい。
【0089】
本発明で使用できる会合性カチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマー類は、架橋していてもしていなくてもよく、さらにブロックポリマー類であってもよい。
【0090】
好ましくは、式(Ib)のモノマーの対イオンZは、ハライドイオン、ホスフェートイオン、メトサルフェートイオン、トシレートイオンから選択される。
【0091】
好ましくは、R、RおよびRは、相互に独立に、水素原子または直鎖状若しくは分枝状のC−C30アルキル基を意味する。
【0092】
より好ましくは、モノマーb)は式(Ib)のモノマーであり、さらに好ましくはこの場合、mまたはnは0に等しい。
【0093】
ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタムモノマーは、好ましくは構造(IVb)の化合物である:
【0094】
【化8】

式中:
sは3から6の範囲の整数を意味し、
Rは水素原子またはC−Cアルキル基を意味し、
R10は水素原子またはC−Cアルキル基を意味し、
但し、RおよびR10基の少なくとも1つは水素原子を意味する。
【0095】
さらに好ましくは、モノマー(IVb)はビニルピロリドンである。
【0096】
カチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマー類は、1以上の追加のモノマー類、好ましくはカチオン性またはノニオン性モノマー類を含むことができる。
【0097】
本発明のさらに好ましい化合物として、少なくとも以下を含むターポリマー類を挙げることができる。
a)式(IVb)の1のモノマー、
b)式(Ib)の1のモノマー、式中、p=1、q=0、RおよびRは、相互に独立に、水素原子またはC−Cアルキル基を意味し、RはC−C24アルキル基、好ましくはC−C24アルキル基を意味し、かつ
c)式(IIb)の1のモノマー、式中、RおよびRは、相互に独立に、水素原子またはC−Cアルキル基を意味する。
【0098】
さらに好ましくは、40重量%から95重量%のモノマー(a)、0.1重量%から55重量%のモノマー(c)および0.25重量%から50重量%のモノマー(b)を含むターポリマーを使用するのがよい。
【0099】
これらのポリマー類は国際公開WO 00/68282に記載されており、この内容は本発明にとって不可欠な部分を形成している。
【0100】
本発明のカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマー類に関しては、以下のポリマーが特に使用される:
ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー類、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー類およびビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートまたはクロリドターポリマー類。
【0101】
本発明のカチオン性会合性ポリ(ビニルラクタム)ポリマー類の重量平均分子量は、好ましくは500から20×10、より好ましくは200000から2×10、さらに好ましくは400000から800000である。
【0102】
アクリル系ターポリマー類
アクリル系ターポリマー類の中でも、以下を含むアクリル系ターポリマー類を挙げることができる:
― 5重量%から80重量%、好ましくは15重量%から70重量%、より好ましくは40重量%から70重量%のアクリレートモノマー(a)。アクリレートモノマー(a)は、C−CアルキルアクリレートおよびC−Cアルキルメタクリレートから選択される。;
― 5重量%から80重量%、好ましくは10重量%から70重量%、より好ましくは20重量%から60重量%のモノマー(b)。モノマー(b)は、以下から選択される:少なくとも1つの窒素または硫黄原子を含む複素環ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド、モノ−またはジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、およびモノ−またはジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(メタ)アクリルアミド。;
― 0.1重量%から30重量%、好ましくは0.1重量%から10重量%のモノマー(c)。モノマー(c)は、以下から選択される:
(i)モノエチレン性不飽和イソシアネートとC−Cアルコキシ末端基を有するノニオン性界面活性剤との反応によって生成したウレタン;
(ii)1,2−ブチレンオキシドと1,2−エチレンオキシドとのブロックコポリマー;
(iii)ノニオン性界面活性剤とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物との縮合によって得られた共重合性エチレン性不飽和界面活性剤モノマー;
(iv)反応生成物、例えばモノエチレン性不飽和モノイソシアネートとアミン官能基を含むノニオン性界面活性剤との尿素から選択される界面活性剤モノマー;
(v)式CH=CRCHOAmBnApRの(メタ)アリルエーテル(式中、Rは水素原子またはメチル基を意味し、Aはプロピレンオキシまたはブチレンオキシ基を意味し、Bはエチレンオキシを意味し、nは0に等しいかまたは200以下の整数、好ましくは100未満の整数を意味し、mおよびpは0またはnより小さい整数を意味し、かつRは少なくとも8の炭素原子、好ましくはC−C30の疎水性基である。);及び
(vi)モノヒドリックノニオン性界面活性剤とモノエチレン性不飽和イソシアネートとの反応によって製造したウレタン型のノニオン性モノマー。;
モノマーの重量百分率はターポリマーを構成するモノマーの総重量に基づいている。
【0103】
特に好ましいアクリレートモノマー(a)類はC−Cアルキルアクリレートを含む。エチルアクリレートが最も好ましい。
【0104】
挙げることができる好ましいモノマー(b)類の例は以下のものである:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノ−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドおよびN,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが最も好ましい。
【0105】
好ましいモノマー(c)類は以下のものである:ノニオン性界面活性剤とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸またはその無水物、好ましくはC−Cモノ−またはジカルボン酸またはその無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、最も好ましくはイタコン酸及び無水イタコン酸との縮合によって得られた共重合性エチレン性不飽和界面活性剤モノマー類。
【0106】
特に好ましいモノマー(c)類は、ノニオン性界面活性剤とイタコン酸との縮合によって得られる共重合性エチレン性不飽和界面活性剤モノマー類に相当する。ノニオン性界面活性剤類のうち特に挙げることができるのは、2から100モル、好ましくは5から50モルのアルキレンオキシドでアルコキシル化されたC10−C30脂肪アルコール類、例えばC10−C30脂肪アルコール類のポリエチレングリコールエーテル類、特にセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル類であり、これはCTFA辞典(第7版、1997年)でCetethとして知られている。
【0107】
これらのアクリル系ターポリマー類を製造するための常法は当業者に既知である。これらの方法は溶液重合法、沈殿重合法および乳化重合法を含む。本発明に従うターポリマー類およびこれらの製造方法は特に特許出願EP-A-0 824 914およびEP-A-0 825 200に記載されている。
【0108】
これらのターポリマー類のうち、National Starch社によって市販されている「Structure(登録商標) Plus」ポリマーを使用することが特に好ましく、これはアクリレート類、アミノ(メタ)アクリレート類およびC10−C30アルキルイタコネートから成り、20モルのエチレンオキシドでポリオキシエチレン化され、20%の活性物質を含む水性分散物の形態にある。
【0109】
これらのモノマー類に加えて、本発明におけるターポリマー類は上記ターポリマー類を架橋することが可能な他のモノマー類を含むことができる。これらのモノマー類は相対的に低い比率、つまり、ターポリマー類を製造するのに使用するモノマー類の全重量に対して2重量%以下で使用される。これらの架橋モノマー類は、以下を含む:複数のビニル置換基を有する芳香族モノマー類、複数のビニル置換基を有する脂環式モノマー類、フタル酸の二官能性エステル類、メタクリル酸の二官能性エステル類、アクリル酸の多官能性エステル類、N−メチレンビスアクリルアミド、ならびに複数のビニル置換基、例えばジエン、トリエンおよびテトラエンを有する脂肪族モノマー類。
【0110】
架橋モノマー類は特に以下のものであってもよい:ジビニルベンゼン類、トリビニルベンゼン類、1,2,4−トリビニルシクロヘキセン、1,5−ヘキサジエン、1,5,9−デカトリエン、1,9−デカジエン、1,5−ヘプタジエン、ジアリルフタレート類、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート類、ペンタ−およびテトラアクリレート類、トリアリルペンタエリスリトール類、オクタアリルスクロース類、シクロパラフィン類、シクロオレフィン類およびN−メチレンビスアクリルアミド。
【0111】
本発明において、カチオン性会合性ポリマー類は、有利に、染色用組成物重量に対して0.01重量%から5重量%までの重量で使用される。この重量は、好ましくは、染色用組成物重量に対して0.05重量%から2.5重量%の範囲をとる。さらに好ましい実施態様に従うと、カチオン性会合性ポリマー類の含量は染色用組成物重量に対して0.1重量%から1重量%である。
【0112】
本発明に従う組成物は、少なくとも1の酸化染色前駆体および/または少なくとも1の直接染料も含む。
【0113】
上記酸化染色前駆体(類)は、酸化ベース類およびカップラー類、またはそれらの混合物から選択される。
【0114】
酸化ベースは、酸化染色で通常使用される酸化ベースから選択され、それらの中で特に、パラ−フェニレンジアミン類、ビス(フェニル)アルキレンジアミン類、パラ−アミノフェノール類、オルト−アミノフェノール類および複素環ベース類、および酸性またはアルカリ性剤とそれらとの付加塩を挙げることができる。
【0115】
パラ−フェニレンジアミン類の中で、以下を例として特に挙げることができる:パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジプロピル−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノ−N,N−ジエチル−3−メチルアニリン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−クロロアニリン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−フルオロ−パラ−フェニレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−3−メチル−パラ−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(4’−アミノフェニル)−パラ−フェニレンジアミン、N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−メトキシエチル)−パラ−フェニレンジアミンおよび4’−アミノフェニル−1−(3−ヒドロキシ)ピロリジン、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0116】
上記パラ−フェニレンジアミン類の中でも、特に好ましいものを以下に挙げる:パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、2−β―ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミンおよび2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0117】
ビス(フェニル)アルキレンジアミン類の中で、以下を例として特に挙げることができる:N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパノ−ル、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(4−メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(エチル)−N,N’−ビス(4’−アミノ−3’−メチルフェニル)エチレンジアミンおよび1,8−ビス(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,5−ジオキサオクタン、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0118】
パラ−アミノフェノール類の中で、以下を例として特に挙げることができる:パラ−アミノフェノ−ル、4−アミノ−3−メチルフェノ−ル、4−アミノ−3−フルオロフェノ−ル、4−アミノ−3−ヒドロキシメチルフェノ−ル、4−アミノ−2−メチルフェノ−ル、4−アミノ−2−ヒドロキシメチルフェノ−ル、4−アミノ−2−メトキシメチルフェノ−ル、4−アミノ−2−アミノメチルフェノ−ル、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノ−ルおよび4−アミノ−2−フルオロフェノール、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0119】
オルト−アミノフェノ−ル類の中で、以下を例として特に挙げることができる:2−アミノフェノ−ル、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノールおよび5−アセトアミド−2−アミノフェノ−ル、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性付加塩類。
【0120】
複素環ベース類の中で、以下を例として特に挙げることができる:ピリジン誘導体類、特に、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン;ピリミジン誘導体類、例えば特に、2,4,5,6−テトラアミノピリミジンまたは4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン;およびピラゾ−ル誘導体類、特に、1N−β−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾ−ル;またそれらの酸性またはアルカリ性付加塩類。
【0121】
それらを使用する際、酸化ベース(類)は、好ましくは、染色用組成物重量に対して0.0005重量%から12重量%、より好ましくは染色用組成物重量に対して0.005重量%から6重量%である。
【0122】
本組成物は、得られる色調を豊富にし、あるいは変更するために少なくとも1の酸化ベースと組み合わせて少なくとも1のカップラーをさらに含むことができる。
【0123】
使用可能な上記カップラー(類)は、酸化染色で従来から用いられているカップラー類から選択され得る。中でも、特に以下を例として挙げる事ができる:メタ−フェニレンジアミン類、メタ−アミノフェノ−ル類、メタ−ジフェノ−ル類および複素環カップラー類、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0124】
これらのカップラー類は特に以下から選択される:2−メチル−5−アミノフェノール、5−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルフェノール、3−アミノフェノール、2−メチル−5−アミノ−6−クロロフェノール、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、4−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2−アミノ−4−(β−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メトキシベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、α−ナフトール、6−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、6−ヒドロキシインドリン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジヒドロキシ−4−メチルピリジン、1H−3−メチルピラゾール−5−オン、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−b]−1,2,4−トリアゾール、2,6−ジメチル[3,2−c]−1,2,4−トリアゾールおよび6−メチルピラゾロ[1,5−a]ベンジミダゾール、ならびにそれらの酸性またはアルカリ性剤付加塩類。
【0125】
これらが存在する場合、これらのカップラー(類)は、染色用組成物重量に対して、特に0.0001重量%から15重量%、好ましくは0.005重量%から12重量%を占める。さらに有利な実施態様に従うと、カップラー(類)は染色用組成物の総重量に対して0.01重量%から10重量%を占める。
【0126】
一般に、酸付加塩は特に以下から選択される:ヒドロクロリド類、ヒドロブロミド類、サルフェート類、シトレート類、スクシネート類、タータレート類、トシレート類、ベンゼンスルホネート類、ラクテート類およびアセテート類。
【0127】
直接染料(類)は、ノニオン性、カチオン性あるいはアニオン性の染料であることがより好ましい。
【0128】
一般的に、これらの直接染料類として挙げることができる非限定的な例には以下が含まれる:ニトロベンゼン染料類、アゾ、アゾメチン、メチン、テトラアザペンタメチン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾキノン、フェノチアジン、インジゴイド、キサンテン、フェナントリジン、フタロシアニンおよびトリアリールメタン系の染料類、ならびに天然染料、それらの単独物または混合物。
【0129】
それらは、例えば、以下に挙げる赤色あるいは橙色ニトロベンゼン染料類から選択されてもよい:
− 1−ヒドロキシ−3−ニトロ−4−N−(γ−ヒドロキシプロピル)アミノベンゼン、
− N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ニトロ−4−アミノベンゼン、
− 1−アミノ−3−メチル−4−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−6−ニトロベンゼン、
− 1−ヒドロキシ−3−ニトロ−4−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 1,4−ジアミノ−2−ニトロベンゼン、
− 1−アミノ−2−ニトロ−4−メチルアミノベンゼン、
− N−(β−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−パラ−フェニレンジアミン、
− 1−アミノ−2−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−5−クロロベンゼン、
− 2−ニトロ−4−アミノジフェニルアミン、
− 1−アミノ−3−ニトロ−6−ヒドロキシベンゼン、
− 1−(β−アミノエチル)アミノ−2−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、
− 1−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)オキシ−3−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 1−ヒドロキシ−3−ニトロ−4−アミノベンゼン、
− 1−ヒドロキシ−2−アミノ−4,6−ジニトロベンゼン、
− 1−メトキシ−3−ニトロ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
− 2−ニトロ−4’−ヒドロキシジフェニルアミン、および
− 1−アミノ−2−ニトロ−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼン。
【0130】
直接染料類は、黄色および緑−黄色のニトロベンゼン直接染料類から選択されてもよい;以下に選択される化合物の例を挙げる:
− 1−β−ヒドロキシエチルオキシ−3−メチルアミノ−4−ニトロベンゼン、
− 1−メチルアミノ−2−ニトロ−5−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)オキシベンゼン、
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メトキシ−4−ニトロベンゼン、
− 1−(β−アミノエチル)アミノ−2−ニトロ−5−メトキシベンゼン、
− 1,3−ジ(β−ヒドロキシエチル)アミノ−4−ニトロ−6−クロロベンゼン、
− 1−アミノ−2−ニトロ−6−メチルベンゼン、
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ヒドロキシ−4−ニトロベンゼン、
− N−(β−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−4−トリフルオロメチルアニリン、
− 4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、
− 4−エチルアミノ−3−ニトロ安息香酸、
− 4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ニトロクロロベンゼン、
− 4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ニトロメチルベンゼン、
− 4−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)アミノ−3−ニトロトリフルオロメチルベンゼン、
− 1−(β−ウレイドエチル)アミノ−4−ニトロベンゼン、
− 1,3−ジアミノ−4−ニトロベンゼン、
− 1−ヒドロキシ−2−アミノ−5−ニトロベンゼン、
− 1−アミノ−2−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ−5−ニトロベンゼン、
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、および
− 4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3−ニトロベンズアミド。
【0131】
直接染料類は、青色または紫色のニトロベンゼン直接染料類からも選択され得る。以下に例を挙げる:
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−アミノ−2−ニトロベンゼン、
− 1−(γ−ヒドロキシプロピル)アミノ−4,N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−4−(N−メチル−N−β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、
− 1−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、
− 1−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)アミノ−4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−ニトロベンゼン、
− 2−ニトロ−パラ−フェニレンジアミン類。これは以下の式で表される。
【0132】
【化9】

式中:
− Rbは、C−Cアルキル基またはβ−ヒドロキシエチル基、β−ヒドロキシプロピル基若しくはγ−ヒドロキシプロピル基であり;
− RaおよびRcは、同一または異なってもよく、β−ヒドロキシエチル基、β−ヒドロキシプロピル基、γ−ヒドロキシプロピル基またはβ,γ−ジヒドロキシプロピル基を表す。このうち、Rb、RaまたはRc基の少なくとも1つがγ−ヒドロキシプロピル基であり、Rbがγ−ヒドロキシプロピル基であるとき、RaとRcは同時にβ−ヒドロキシエチル基ではありえない。これらは仏国特許FR 2 692 572に記載されているとおりである。
【0133】
本発明において使用できるアゾ直接染料類としては、以下の特許出願に記載されているカチオン性のアゾ染料が挙げられる:WO 95/15144、WO 95/01772、EP 714 954、FR 2 822 696、FR 2 825 702、FR 2 825 625、FR 2 822 698、FR 2 822 693、FR 2 822 694、FR 2 829 926、FR 2 807 650、WO 02/078 660、WO 02/100 834、WO 02/100 369およびFR 2 844 269。
【0134】
これらの化合物のうち、特に以下の染料が挙げられる:
− 1,3−ジメチル−2−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]−1H−イミダゾリウムクロリド、
− 1,3−ジメチル−2−[(4−アミノフェニル)アゾ]−1H−イミダゾリウムクロリド、
− 1−メチル−4−[(メチルフェニルヒドラゾノ)メチル]ピリジニウムメチルサルフェート。
【0135】
アゾ直接染料類として、国際カラーインデックス(Color Index International)、第3版に記載されている以下の染料も挙げることができる:ディスパースレッド17、アシッドイエロー9、アシッドブラック1、ベイシックレッド22、ベイシックレッド76、ベイシックイエロー57、ベイシックブラウン16、アシッドイエロー36、アシッドオレンジ7、アシッドレッド33、アシッドレッド35、ベイシックブラウン17、アシッドイエロー23、アシッドオレンジ24、ディスパースブラック9。
【0136】
また、1−(4’−アミノジフェニルアゾ)−2−メチル−4−[ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼンおよび4−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェニルアゾ)−1−ナフタレンスルホン酸を挙げることもできる。
【0137】
キノン直接染料類としては以下の染料類を挙げることができる:ディスパースレッド15、ソルベントバイオレット13、アシッドバイオレット43、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブルー1、ディスパースバイオレット8、ディスパースブルー3、ディスパースレッド11、アシッドブルー62、ディスパースブルー7、ベイシックブルー22、ディスパースバイオレット15、ベイシックブルー99、および以下の化合物を挙げることができる:
− 1−N−メチルモルホリニウムプロピルアミノ−4−ヒドロキシアントラキノン
− 1−アミノプロピルアミノ−4−メチルアミノアントラキノン
− 1−アミノプロピルアミノアントラキノン
− 5−β−ヒドロキシエチル−1,4−ジアミノアントラキノン
− 2−アミノエチルアミノアントラキノン
− 1,4−ビス(β,γ−ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン。
【0138】
アジン染料類としては、次の化合物:ベイシックブルー17およびベイシックレッド2を挙げることができる。
【0139】
カチオン性のメチン直接染料類としては、ベイシックレッド14、ベイシックイエロー13およびベイシックイエロー29を挙げることもできる。
【0140】
本発明において使用されてよいトリアリールメタン染料類としては、次の化合物:ベイシックグリーン1、アシッドブルー9、ベイシックバイオレットを挙げることができる。
【0141】
本発明において使用できるインドアミン染料類としては、以下の化合物を挙げることができる:
− 2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−[ビス(β−4’−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ−1,4−ベンゾキノン;
− 2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−(2’−メトキシ−4'−アミノ)アニリノ−1,4−ベンゾキノン;
− 3−N−(2’−クロロ−4’−ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ−6−メトキシ−1,4−ベンゾキノンイミン;
− 3−N−(3’−クロロ−4’−メチルアミノ)フェニルウレイド−6−メチル−1,4−ベンゾキノンイミン;
− 3−[4’−N−(エチルカルバミルメチル)アミノ]フェニルウレイド−6−メチル−1,4−ベンゾキノンイミン。
【0142】
本組成物は、例えば以下の天然直接染料類を含むこともある:ローソン、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシンあるいはアピゲニジン。また、これらの天然染料類を含有する抽出物または煎出物、特にヘンナ系の湿布または抽出物を使用することもできる。
【0143】
直接染料類が存在する場合、それらの含量は、有利には、染色用組成物の重量に対して0.0005重量%から15重量%、好ましくは染色用組成物重量に対して0.005重量%から12重量%を占める。本発明のさらに有利な実施態様の一つに従うと、直接染料類の含量は、染色用組成物の重量に対して0.01重量%から5重量%である。
【0144】
本発明の組成物は少なくとも1の塩基性化剤を含有することもできる。
【0145】
塩基性化剤類としては、例えば、以下を挙げることができる:アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、C−C10アルカノールアミン類、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンとそれらの誘導体、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化されたヒドロキシアルキルアミン類およびエチレンジアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属シリケート類ならびに次の式で表される化合物:
【0146】
【化10】

式中、Rは、ヒドロキシル基またはC−Cアルキル基で任意選択で置換されているかまたは非置換のプロピレン基であり;R38,R39,R40およびR41は、同一または異なってもよく、水素原子、C−Cアルキル基またはC−Cヒドロキシアルキル基を表す。
【0147】
好ましくは、塩基性化剤は以下から選択される:アンモニア水、アルカノールアミン類およびアルカノールアミン類とアルカリ金属またはアルカリ土類金属シリケート類との化合物。
【0148】
本発明の有利な実施態様の一つに従うと、組成物は塩基性化剤としてのアンモニア水を含有しない。
【0149】
酸性化剤を使用することによって、pHを調整してもよいことにさらに留意すべきである。以下に酸性化剤の例を挙げる:無機酸または有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸若しくは硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸若しくは乳酸、またはスルホン酸。
【0150】
特に、塩基性化剤および/または酸性化剤を使用して、染色用組成物のpHを3から12、有利には4から11、好ましくは7から11に調整することができる。
【0151】
本発明における組成物は、1または複数のカチオン性または両性の付着性ポリマー類(サブスタンティブポリマー;substantive polymer)も含有することができる。
【0152】
本発明の目的のために、「カチオン性ポリマー」という用語は、カチオン性基および/またはカチオン性基へとイオン化が可能な基を含むすべてのポリマーを表すことに留意すべきである。
【0153】
このようなポリマー類は、毛髪の美容特性を改良するものとしてそれ自体が既知のものから選択することができ、すなわち、特に特許出願 EP-A-337 354、仏国特許 FR-2 270 846、2 383 660、2 598 611、2 470 596および2 519 863に記載されているものから選択することができる。
【0154】
好ましいカチオン性ポリマー類は、一級、二級、三級および/または四級アミン基を含む単位を含有するものから選択し、それらのアミン基はポリマー主鎖の一部を形成してもよく、またはこれらに直接結合した側鎖置換基に含まれていてもよい。
【0155】
一般的に使用されるカチオン性ポリマー類の数平均分子量は、約500から5×10、好ましくは約10から3×10である。
【0156】
カチオン性ポリマー類として、ポリアミン、ポリアミノアミドおよびポリ(四級アンモニウム)型のポリマーを特に挙げることができる。
【0157】
これらは公知の製品である。これらは特に仏国特許 No. 2 505 348および2 542 997に記載されている。上記のポリマー類のうち以下を挙げることができる:
(1)アクリル酸またはメタクリル酸エステルまたはアミドから誘導され、かつ以下の式(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも1の単位を含むホモポリマー又はコポリマー:
【0158】
【化11】

式中:
Rは、同一または異なってもよく、水素原子またはCH基を意味し;
Aは、同一または異なってもよく、1から6の炭素原子、好ましくは2または3の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、または1から4の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を表し;
R、RおよびRは、同一または異なってもよく、1から18の炭素原子を有するアルキル基、またはベンジル基、好ましくは1から6の炭素原子を有するアルキル基を表し;
RおよびRは、同一または異なってもよく、水素原子または1から6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表し;
Xは無機酸または有機酸から誘導されたアニオン、例えばメトサルフェートアニオンまたはハライド、例えばクロリドまたはブロミドを意味する。
【0159】
群(1)のポリマー類はさらに、以下の群から選択することができるコモノマー類から誘導される1または複数の単位を含むことができる:アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ジアセトンアクリルアミド類、窒素上に低級(C−C4)アルキル置換基を持つアクリルアミド類及びメタクリルアミド類、アクリル酸類またはメタクリル酸類またはこれらのエステル類、ビニルラクタム類、例えばビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタム、およびビニルエステル類。
【0160】
従って、群(1)のこれらのポリマーのうち、以下を挙げることができる:
− ジメチルサルフェートまたはジメチルハライドで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとアクリルアミドとのコポリマー類、例えばHercules社によりHercoflocの名称で市販されているもの、
− メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマー類、例えば特許出願EP-A-080 976に記載されかつCiba Geigy社によりBina Quat P 100の名称で市販されているもの、
− メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェートとアクリルアミドとのコポリマー類であって、Hercules社によりRetenの名称で市販されているもの、
− 四級化されたかまたはされていないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレートコポリマー類、例えばISP社により「Gafquat 734」の名称で市販されている製品、例えば「Gafquat 734」または「Gafquat 755」、あるいはまた「Copolymer 845、958および937」として公知の製品。これらのポリマー類は仏国特許2 077 143および2 393 573に詳細に記載されている。
− ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー類、例えばISP社によりGaffix VC 713という名称で市販されている製品、
− ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンコポリマー類、特にISP社によりStyleze CC 10という名称で市販されているもの、および四級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー類、例えばISP社により「Gafquat HS 100」という名称で市販されている製品。
【0161】
(2)四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体類、仏国特許1 492 597に記載され、かつ特にUnion Carbide Corporation社により「JR」(JR 400、JR 125、JR 30M)または「LR」(LR 400、LR 30M)という名称で市販されているポリマー類。これらのポリマー類はさらにCTFA辞典でヒドロキシエチルセルロース四級アンモニウムとしても規定されており、これらはトリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシド基と反応したものである。
【0162】
(3)カチオン性セルロース誘導体、例えばセルロースコポリマーまたは水溶性の四級アンモニウムモノマーでグラフトされたセルロース誘導体、特に米国特許US 4 131 576に記載されたもの、例えばヒドロキシアルキルセルロース類:具体例としては、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムまたはジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、ヒドロキシメチル−、ヒドロキシエチル−またはヒドロキシプロピルセルロース類。この規定に対応する市販製品は、特に、National Starch社によりCelquat L 200およびCelquat H 100という名称で市販されている製品である。
【0163】
(4)米国特許US 3 589 578および4 031 307により詳細に記載されたカチオン性グアーガム類、例えばトリアルキルアンモニウムカチオン性基を含むグアーガム。例えば、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩(例えばクロリド)で変性されたグアーガムを使用する。これらの製品はMeyhall社によりJaguar C13S、Jaguar C15、Jaguar C17およびJaguar C162という商品名で市販されている。
【0164】
(5)ピペラジニル単位および直鎖状または分枝状の鎖を有する二価のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基とから成るポリマー類、これらの鎖は酸素、硫黄若しくは窒素原子または芳香環若しくは複素環で任意に中断されていてもよく、さらにこれらのポリマー類の酸化および/または四級化生成物。これらのポリマー類は、特に、仏国特許2 162 025および2 280 361に記載されている。
【0165】
(6)酸性化合物とポリアミンとの重縮合により特に製造される水溶性ポリアミノアミド類;これらのポリアミノアミド類を以下のものと架橋することができる:エピハロヒドリン、ジエポキシド、ジ無水物、不飽和ジ無水物、ビス不飽和誘導体、ビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、あるいはまたビスハロヒドリン、ビスアゼチジニウム、ビスハロアシルジアミン、ビスアルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシドまたはビス不飽和誘導体に対して反応性を示す二官能性化合物の反応から得られたオリゴマー;架橋剤をポリアミノアミドのアミン基当たり0.025から0.35モルの範囲の比率で使用し;これらのポリアミノアミド類をアルキル化することができ、またはこれらが1または複数の三級アミン官能基類を含む場合は四級化することができる。これらのポリマー類は特に仏国特許2 252 840および2 368 508に記載されている。
【0166】
(7)ポリアルキレンポリアミン類とポリカルボン酸類との縮合とそれに続く二官能性剤とのアルキル化によって得られたポリアミノアミド誘導体類。例えば以下を挙げることができる:アジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンポリマー類、ここで、アルキル基は1から4の炭素原子を有し、好ましくはメチル、エチルまたはプロピルを意味する。これらのポリマー類は特に仏国特許1 583 363に記載されている。
【0167】
これらの誘導体類のうち、特にアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピル/ジエチレントリアミンポリマー類を挙げることができ、これはSandoz社により「Cartaretine F、F4またはF8」という名称で市販されている。
【0168】
(8)2つの一級アミン基と少なくとも1つの二級アミン基を含むポリアルキレンポリアミンと、ジグリコール酸および3から8の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸から選択されるジカルボン酸との反応によって得られたポリマー類。ポリアルキレンポリアミンのジカルボン酸に対するモル比は0.8:1から1.4:1であり;この反応から得られたポリアミノアミドをエピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリンとポリアミノアミドの二級アミン基のモル比が0.5:1から1.8:1の比率になるように反応させる。これらのポリマー類は特に米国特許3 227 615および2 961 347に記載されている。
【0169】
この型のポリマー類は特に、Hercules Inc.社により「Hercosett 57」の名称で、あるいはまたアジピン酸/エポキシプロピル/ジエチレントリアミンのコポリマーの場合はHercules社により「PD 170」または「Delsette 101」の名称で市販されている。
【0170】
(9)アルキルジアリルアミンまたはジアルキルジアリルアンモニウムの環状ポリマー類、例えば、鎖の主要構成体として式(V)または(VI)に対応する単位を含むホモポリマー類またはコポリマー類:
【0171】
【化12】

式中、kおよびtは0または1に等しく、k+tの合計は1に等しく;Rは水素原子またはメチル基を意味し;RおよびRは、相互に独立に、1から6の炭素原子を含むアルキル基、アルキル基が好ましくは1から5の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、若しくは低級(C−C)アミドアルキル基を意味し、またはRおよびRはこれらが結合する窒素原子と共に複素環基、例えばピペリジルまたはモルホリニルを意味することができ;RおよびRは、相互に独立に、好ましくは1から4の炭素原子を有するアルキル基を意味し;Yはアニオン、例えばブロミド、クロリド、アセテート、ボレート、シトレート、タータレート、バイサルフェート、バイサルファイト、サルフェートまたはホスフェートである。これらのポリマー類は特に仏国特許2 080 759およびその追加特許2 190 406に記載されている。
【0172】
上記で規定されたポリマー類のうち、特に以下を挙げることができる:Calgon社により「Merquat 100」の名称で市販されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー(およびその重量平均分子量が小さい同族体)および「Merquat 550」の名称で市販されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドとのコポリマー類。
【0173】
(10)以下の式に対応する繰り返し単位を有する四級ジアンモニウムポリマー:
【0174】
【化13】

式(VII)中:
R10、R11、R12およびR13は、同一または異なってもよく、1から20の炭素原子を含む脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族基、または低級ヒドロキシアルキル脂肪族基、あるいはまたR10、R11、R12およびR13は、共にまたは個別に、これらが結合する窒素原子と共に、任意に窒素原子以外の第二のヘテロ原子を含む複素環基を形成し、あるいはまたR10、R11、R12およびR13はニトリル、エステル、アシル若しくはアミド基または−CO−O−R14−D若しくは−CO−NH−R14−D基で置換された直鎖状または分枝状のC−Cアルキル基を意味する。この式中、R14はアルキレンであり、Dは四級アンモニウム基である;
A1およびBは2から20の炭素原子を含むポリメチレン基を表し、これは直鎖状または分枝状で、飽和または不飽和であってもよく、かつ主鎖に結合または挿入される1若しくは複数の芳香環類、または1若しくは複数の酸素または硫黄原子またはスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、四級アンモニウム、ウレイド、アミドまたはエステル基を含むことができ、かつXは無機酸または有機酸から誘導されるアニオンを意味している;
A、R10およびR12は、これらが結合する2つの窒素原子と共に、ピペラジン環を形成することができ;加えて、A1が直鎖状または分枝状、飽和または不飽和のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基を意味する場合、Bはさらに基−(CH)n−CO−D−OC−(CH)n−を意味することができ、式中、nは1から100、好ましくは1から50であり、かつDは以下を意味する:
a)式:−O−Z−O−のグリコール残基、式中Zは直鎖状または分枝状の炭化水素系の基または以下の式の一つに対応する基を意味する:
【0175】
【化14】

式中、xおよびyは1から4の整数を意味し、規定されかつ単一の重合度を表すか、または1から4のいずれかの数は平均重合度を表し;
b)ビス二級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体;
c)式:−NH−Y−NH−のビス一級ジアミン残基、式中Yは直鎖状または分枝状の炭化水素系残基、あるいはまた二価の基−CH2−CH2−S−S−CH2−CH2−を表し;
d)式:−NH−CO−NH−のウレイレン基。Xは好ましくはアニオン、例えばクロリドまたはブロミドである。
【0176】
これらのポリマーは、一般に1000から100000である数平均分子量を有する。
【0177】
この型のポリマーは特に以下に記載されている:仏国特許2 320 330、2 270 846、2 316271、2 336 434および2 413 907、ならびに米国特許2 273 780、2 375 853、2 388 614、2 454 547、3 206 462、2 261 002、2 271 378、3 874 870、4 001 432、3 929 990、3 966 904、4 005 193、4 025 617、4 025 627、4 025 653、4 026 945および4 027 020。
【0178】
以下の式(VIII)に対応する繰り返し単位から成るポリマー類を特に使用することができる:
【0179】
【化15】

式中、R10、R11、R12およびR13は、同一または異なってもよく、約1から4の炭素原子を有するアルキル残基またはヒドロキシアルキル残基を意味し、nおよびpは約2から20の整数であり、かつXは無機酸または有機酸から誘導されるアニオンである。
【0180】
(11)式(IX)の単位から成るポリ(四級アンモニウム)ポリマー類:
【0181】
【化16】

式中、pは約1から6の整数を意味し、Dはないかまたは基−(CH)r−CO−を表すことができ、この基の式中rは4または7と等しい数を意味し、かつ
Xはアニオンを意味する。
【0182】
このようなポリマー類は以下に記載された方法に従って製造することができる:米国特許 US 4 157 388、4 702 906および4 719 282。これらは特に特許出願 EP-A-122 324に記載されている。
【0183】
これらのポリマー類のうち、以下の製品を例として挙げることができる:Miranol社により「Mirapol A 15」、「Mirapol AD1」、「Mirapol AZ1」および「Mirapol 175」の名称で市販されている製品。
【0184】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとの四級ポリマー類:例えば、BASF社によりLuviquat FC 905、FC 550およびFC 370という名称で市販されているポリマー類。
【0185】
(13)ポリアミン類:例えば、Henkel社によりPolyquart Hの名称で市販され、CTFA辞典では「ポリエチレングリコール(15)タロウポリアミン」の名称で参照されているようなポリアミン類。
【0186】
(14)架橋されたメタクリロイルオキシ(C−C4)アルキルトリ(C−C4)アルキルアンモニウム塩ポリマー類、例えばメチルクロリドで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合により、またはアクリルアミドとメチルクロリドで四級化されたジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合により得られたポリマー類を、単独重合又は共重合に引き続きオレフィン系不飽和を含む化合物、特にメチレンビスアクリルアミドで架橋することによって得られたポリマー類。架橋されたアクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマー(重量で20/80)を鉱油中に50重量%含む分散物の形態で、特に使用することができる。本分散物は「Salcare(登録商標)SC 92」の名称でAllied Colloids社により市販されている。さらに、鉱油または液状エステル中に約50重量%のホモポリマーを含む架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドホモポリマーも使用することができる。これらの分散物は「Salcare(登録商標)SC 95」および「Salcare(登録商標)SC 96」の名称でAllied Colloids社により市販されている。
【0187】
(15)本発明に使用することができる他のカチオン性ポリマー類は、ポリアルキレンイミン類、特にポリエチレンイミン類、ビニルピリジンまたはビニルピリジニウム単位を含むポリマー類、ポリアミンとエピクロロヒドリンとの縮合物、四級ポリウレイレン類およびキチン誘導体類である。
【0188】
本発明で使用することができるすべてのカチオン性ポリマー類のうち、好ましくは群(1)、(9)、(10)、(11)および(14)のポリマー類であり、さらに好ましくは以下の式(W)で表される繰り返し単位を有するポリマー類であり:
【0189】
【化17】

かつ特にゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された分子量が9500から9900であるもの、および以下の式(U)で表される繰り返し単位を有するポリマー類であり:
【0190】
【化18】

かつ特にゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された分子量が約1200であるポリマー類である。
【0191】
本発明で使用することができる両性ポリマー類に関しては、ポリマー鎖中にランダムに分布したKおよびM単位を含むポリマー類から選択することができ、ここでKは少なくとも1つの塩基性窒素原子を含むモノマーから誘導される単位を意味し、かつMは1以上のカルボキシル基またはスルホ基を含む酸性モノマーから誘導される単位を意味し、あるいはまたKおよびMは両性イオン性カルボキシベタインまたはスルホベタインモノマー類から誘導される基を意味することもでき;
KおよびMはさらに、一級アミン、二級アミン、三級アミンまたは四級アミン基を含むカチオン性ポリマー鎖を意味することもでき、この場合、少なくとも1つのアミン基は炭化水素系の基を介して結合したカルボキシル基またはスルホン基を有し、あるいはまたKおよびMはα,β−ジカルボキシルエチレン単位を有するポリマーの鎖の部分を形成し、この場合、カルボキシル基の1つは1以上の一級または二級アミン基を含むポリアミンと反応している。
【0192】
上記の定義に対応する両性ポリマー類をより好ましくは以下のポリマー類から選択する:
(1)カルボキシル基を有するビニル化合物、例えば特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α−クロロアクリル酸から誘導されるモノマーと、少なくとも1つの塩基性原子を含む置換ビニル化合物、例えば特にジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドおよびアクリルアミドから誘導されるモノマーとの共重合により得られるポリマー類。これらの化合物は米国特許No. 3 836 537に記載されているとおりである。さらに、Henkel社によりPolyquart KE 3033の名称で市販されている、ソジウムアクリレート/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーを挙げることができる。
【0193】
さらにビニル化合物はジアルキルジアリルアンモニウム塩、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドであってもよい。アクリル酸と後者のモノマーとのコポリマー類は、Calgon社によりMerquat 280、Merquat 295及びMerquat Plus 3330の名称で市販されている。
(2)以下から誘導される単位を有するポリマー類:
a)窒素上にアルキル置換基をもつアクリルアミド類およびメタクリルアミド類から選択される少なくとも1のモノマー、
b)1以上の反応性カルボキシル基を含む少なくとも1の酸性コモノマー、および
c)少なくとも1の塩基性コモノマー、例えばアクリル酸およびメタクリル酸の一級、二級、三級および四級アミン置換基を有するエステル類、およびジメチルアミノエチルメタクリレートをジメチルまたはジエチルサルフェートで四級化した生成物。
【0194】
本発明のより好ましいN−置換アクリルアミド類またはメタクリルアミド類は2から12の炭素原子を有するアルキル基を含む基であり、さらに好ましくはN−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−t−オクチルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−デシルアクリルアミド、N−ドデシルアクリルアミド、および対応するメタクリルアミド類である。
【0195】
酸性コモノマー類は、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸、並びにマレイン酸若しくはフマル酸またはその無水物の1から4の炭素原子を有するアルキルモノエステル類から選択される。
【0196】
好ましい塩基性コモノマー類は、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N’−ジメチルアミノエチル、N−t−ブチルアミノエチルのメタクリレート類である。
【0197】
CTFA名(第4版、1991年)がオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマーであるコポリマー類、例えばNational Starch社によりAmphomerまたはLovocryl 47の名称で市販されている製品が特に使用されている。
(3)以下の一般式で表されるポリアミノアミド類から誘導される、部分的または完全なアルキル化および架橋されたポリアミノアミド類:
【0198】
【化19】

式中、R19は、飽和ジカルボン酸、エチレン系二重結合を有するモノカルボキシル脂肪酸またはジカルボキシル脂肪酸、これらの酸の1から6の炭素原子を有する低級アルカノールエステルから誘導される二価の基、または上記の酸のいずれか1とビス(一級)またはビス(二級)アミンとの付加から誘導された基を表し、またZはビス(一級)、モノ−またはビス(二級)ポリアルキレン−ポリアミン基を表し、好ましくは以下を表す:
a)60から100mol%の割合である以下の基
【0199】
【化20】

式中、x=2およびp=2または3、あるいはまたx=3およびp=2
この基は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミンまたはジプロピレントリアミンから誘導される基である;
b)0から40mol%の割合である上記の基(XI)であり、式中、x=2およびp=1であり、この基はエチレンジアミンから誘導されるかまたはピペラジンから誘導される以下の基である:
【0200】
【化21】

c)0から20mol%の割合であり、ヘキサメチレンジアミンから誘導される−NH−(CH
−NH−で表される基。これらのポリアミノアミン類は、エピハロヒドリン、ジエポキシド、ジ無水物、ビス不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤を、ポリアミノアミドのアミン基当たり架橋剤を0.025から0.35モル使用して架橋されており、かつアクリル酸、クロロ酢酸若しくはアルカンスルトン、またはこれらの塩の作用でアルキル化されている。
【0201】
飽和カルボン酸は6から10の炭素原子を有する酸、例えばアジピン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸および2,4,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、エチレン系二重結合を有する酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、およびイタコン酸から選択することが好ましい。
【0202】
アルキル化で使用されるアルカンスルトンは、好ましくはプロパンスルトンまたはブタンスルトンであり、またアルキル化剤の塩は好ましくはナトリウム塩またはカリウム塩である。
(4)以下の式で表される両性イオン単位を含むポリマー類:
【0203】
【化22】

式中、R20は重合可能な不飽和基、例えばアクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基またはメタクリルアミド基を意味し、yおよびzは1から3の整数を表し、R21およびR22は水素原子、メチル、エチルまたはプロピルを表し、R23およびR24は水素原子またはR23およびR24中の炭素原子の合計が10以下となるアルキル基を表す。
【0204】
これらの単位を含むポリマー類はさらに非両性イオン性モノマー類から誘導すされる単位、例えばジメチル若しくはジエチルアミノエチルアクリレート若しくはメタクリレート若しくはアルキルアクリレート類若しくはメタクリレート類、アクリルアミド類若しくはメタクリルアミド類若しくはビニルアセテートを含むことができる。
【0205】
例として、ブチルメタクリレート/ジメチルカルボキシメチルアンモニオエチルメタクリレートのコポリマー、例えばSandoz社によりDiaformer Z301の名称で市販されている製品を挙げることができる。
(5)以下の式(XIII)、(XIV)および(XV)に対応するモノマー単位を含むキトサン系のポリマー類:
【0206】
【化23】

単位(XIII)は、0から30%の割合で存在し、単位(XIV)は5から50%の割合で存在し、単位(XV)は30から90%の割合で存在し、この単位(XV)においてR25は以下の基を表す:
【0207】
【化24】

式中:
q=0である場合、R26、R27およびR28は、同一または異なってもよく、それぞれ水素原子、メチル残基、ヒドロキシル残基、アセトキシ残基若しくはアミノ残基、または任意に1以上の窒素原子で中断されてもよくおよび/または1以上のアミン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルチオ基若しくはスルホ基で置換されていてもよいモノアルキルアミン残基またはジアルキルアミン残基、またはアルキル基がアミノ残基を有するアルキルチオ残基を表し、この場合R26、R27およびR28基の少なくとも1つが水素原子を表し;
または、q=1の場合、R26、R27およびR28は、それぞれ水素原子を表し、さらにこれらの化合物と酸または塩基とによって形成された塩も表す。
(6)キトサンのN−カルボキシアルキル化から誘導されるポリマー類、例えばN−カルボキシメチルキトサンまたはN−カルボキシブチルキトサンでありJan Dekker社により「Evalsan」の名称で市販されているもの。
(7)一般式(XVI)に対応するポリマー類、例えば仏国特許1 400 366に記載されているもの:
【0208】
【化25】

式中、R29は、水素原子、CHO、CHCHOまたはフェニル基を表し、R30は水素原子または低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを意味し、R31は水素原子または低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチルを意味し、R32は低級アルキル基、例えばメチル若しくはエチル若しくは式:−R33−N(R31)に対応する基を意味し、この式中、R33は−CH−CH−、−CH−CH−CH−または−CH−CH(CH)−基を表し、R31は上記の意味を有し、さらに6以下の炭素原子を含むこれらの基の高級同族基も表す。
(8)以下から選択される−D−X−D−X−型の両性ポリマー類:
a)以下の式の少なくとも1つの単位を含む化合物にクロロ酢酸またはソジウムクロロアセテートを作用させて得られるポリマー類:
【0209】
【化26】

式中、Dは以下の基を意味する
【0210】
【化27】

また、Xは記号EまたはE’を意味し、EまたはE’は、同一または異なってよく、主鎖中に7以下の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の鎖を有するアルキレン基である二価の基を意味し、その基は非置換であるかまたはヒドロキシル基で置換されており、さらに酸素、窒素および硫黄原子に加えて、1から3の芳香族および/または複素環を含むことができ;上記酸素、窒素および硫黄原子はエーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン若しくはアルケニルアミン基、またはヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、四級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステルおよび/またはウレタン基の形態で存在する;
b)以下の式のポリマー類:
【0211】
【化28】

式中、Dは以下の基を意味する
【0212】
【化29】

また、Xは記号EまたはE’を意味し、少なくとも一度はE’を意味し;Eは上記の意味を有し、またE’は主鎖中に7以下の炭素原子を含む直鎖状または分枝状の鎖を有するアルキレン基である2価の基を意味し、その基は非置換であるかまたは1以上のヒドロキシル基で置換されており、かつ1以上の窒素原子を含み、この窒素原子は任意に酸素原子で中断されてもよいアルキル鎖で置換されており、このアルキル鎖は必ず1以上のカルボキシル官能基または1以上のヒドロキシル官能基を含み、かつクロロ酢酸またはソジウムクロロアセテートとの反応によりベタイン化されている。
(9)N,N−ジアルキルアミノアルキルアミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルアミンとのセミアミド化により、又はN,N−ジアルカノールアミンとのセミエステル化により部分的に変性された(C−C)アルキルビニルエーテル/マレイン酸無水物コポリマー類。これらのコポリマー類はさらに他のビニルコモノマー類、例えばビニルカプロラクタムを含むことができる。
【0213】
本発明の特に好ましい両性ポリマー類は群(1)のものである。
【0214】
本発明に従うと、カチオン性または両性付着性ポリマー(サブスタンティブポリマー;substantive polymer)(類)は、それらが存在する場合、染色用組成物の重量に対して有利には0.01重量%から10重量%、特に0.05質量%から5質量%、好ましくは0.1質量%から3質量%を占める。
【0215】
ケラチン繊維を染色するのに適した媒質は、一般的には水、または十分な水溶性を示さない化合物を溶解させるための少なくとも1の有機溶媒と水との混合物から成る。挙げることのできる有機溶媒の例としては、C−C低級アルコール類、例えばエタノールおよびイソプロパノール;ポリオール類およびポリオールエーテル類、例えば2−ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびモノメチルエーテル、並びに芳香族アルコール類、例えばベンジルアルコール若しくはフェノキシエタノール、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0216】
溶媒は、染色用組成物の重量に対して1重量%から40重量%の割合、好ましくは5重量%から30重量%の割合で存在することができる。
【0217】
本組成物は、当分野で一般的に知られている添加剤を含むことができる:例えば、特に上記ヒドロキシエチルセルロース以外の有機増粘剤または無機増粘剤;酸化防止剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;緩衝剤;分散剤;カチオン性または両性付着性ポリマー(サブスタンティブポリマー;substantive polymer)類以外のコンディショニング剤、例えばカチオン、または揮発性若しくは非揮発性、変性若しくは非変性シリコーン;被膜形成剤;セラミド;保存料;安定剤;乳白剤。
【0218】
言うまでもなく、当業者はこのまたはこれらの任意の添加化合物(類)を、本発明の組成物に本来備わっている有利な特性が、想定した添加剤(類)によって損なわれないようにまたは実質的に損なわれないように、注意深く選択するだろう。
【0219】
前述したように、本発明はさらに、本発明の組成物を使用したケラチン繊維を染色するための方法にも関連している。
【0220】
第一の変形として、本方法では、酸化剤の非存在下でケラチン物質、好ましくは湿潤または乾燥した繊維に本組成物を適用する。この場合、本組成物を最終的に洗浄してもしなくてもよい。
【0221】
この変形の場合、本発明の組成物は、酸化染色前駆体を全く含まず、1以上の直接染料のみを含む。
【0222】
本発明の第二の変形として、本処理過程では、酸化剤の存在下で湿潤または乾燥したケラチン物質に本発明の組成物を適用し、その後所望する色調が得られるまで十分に放置する。
【0223】
第一の実現可能性として、本発明の1以上の染色用組成物と酸化組成物は上記ケラチン繊維に、中間洗浄処理を介在させることなく、同時にまたは順次適用される。
【0224】
好ましくは、適用される組成物は「即時使用可能な組成物」、すなわち、1以上の本染色用組成物と少なくとも1の酸化剤を含む組成物とを下準備なしに混合することによって得られる組成物である。
【0225】
この場合、染色用組成物は1以上の酸化染色前駆体を含むことができる。ケラチン繊維の明色化が染色と組み合わされることが所望される場合は、さらに1以上の直接染料を含んでもよい。
【0226】
本染色用組成物が、酸化染色前駆体と直接染料とを組み合わせたものを含んでもよいことは明白である。
【0227】
酸化組成物中に存在する酸化剤として選択されてもよい例として以下が含まれる:過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート類、過酸基塩類(例えば、ペルボレート類およびペルサルフェート類)、並びに酵素類(例えば、ペルオキシダーゼ類および2電子または4電子のオキシドレダクターゼ)。過酸化水素の使用が特に好ましい。
【0228】
酸化剤の含量は、即時使用可能な組成物の重量に対して、一般的には1重量%から40重量%、好ましくは1重量%から20重量%である。
【0229】
一般的に、使用される酸化組成物は、水性の組成物であり、溶液またはエマルジョンの形態であってもよい。
【0230】
通常、酸化剤が含まれていない組成物は、酸化組成物の約0.5から10重量当量と混合される。
【0231】
即時使用可能な組成物のpHは、特に3から12、好ましくは4から11、さらに具体的には6.5から10.5である。
【0232】
即時使用可能な組成物のpHを、特に前述した塩基性化剤または酸性化剤から選択されるものを使用して調整してもよい。
【0233】
本組成物が酸化剤の存在下で適用される場合はさらに、本方法は以下の予備的段階を含むことができる:一方は1以上の本染色用組成物を、他方はヒトケラチン繊維を染色するのに適した媒質中にある少なくとも1の酸化剤を含む組成物を個々に保存し、それらを使用時に共に混合し、その後この混合物を、湿潤または乾燥したケラチン物質に適用する。
【0234】
選択される変形、すなわち酸化剤の存在下または非存在下に関わらず、発色化に必要な時間は、約数秒間から60分間、好ましくは約1分間から50分間である。
【0235】
発色化に必要な温度は、一般的には室温(15℃から25℃)から250℃、特に室温から180℃、好ましくは室温から60℃である。
【0236】
発色化に必要な時間が経過するとすぐに、本組成物を除去することが好ましい。
【0237】
これは従来どおりに行ってよく、少なくとも1回リンスするか、若しくは1回以上の洗浄およびリンスを行うか、またはそれらを組み合わせて行う。最後に、ケラチン物質を乾燥させるかまたは乾燥させるために放置する。
【0238】
本発明を説明する具体例を以下に示すが、これは本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0239】
[実施例1]
以下のアルカリ性染色用組成物Aを調製した(量はグラムで表されている):
【0240】
【表1】

【0241】
染色用組成物Aは、保存中安定している。
【0242】
染色用組成物Aを、使用時に、6%の過酸化水素を含む水性酸化組成物と、プラスチックボウル中で2分間混合した。その際、酸化組成物1.5部当たり染色用組成物1部の割合で混合した。混合は、敏速かつ容易である。
【0243】
得られた混合物を、90%の白髪を含む天然毛髪の房に適用し、20分間放置した。適用は敏速かつ容易である。この生成物は、その場に完全にとどまり、流れ出ることがなく、かつ根元から毛先まで十分に広がる。
【0244】
その後、髪の房を水でリンスし、標準的なシャンプーで洗浄し、再度水でリンスした後、乾燥させもつれを解いた。本混合物はリンスにより十分に除去される。
【0245】
毛髪は、濃いカッパーレッドの色合いで染色された。
【0246】
さらに、毛髪は粗くならない。
【0247】
[実施例2]
以下のアルカリ性染色用組成物を調製した(量はグラムで表されている):
【0248】
【表2】

【0249】
染色用組成物BおよびCは保存中安定している。
【0250】
染色用組成物BおよびCを、使用時に、6%の過酸化水素を含む水性酸化組成物と、プラスチックボウル中で2分間混合した。その際、酸化組成物1.5部当たり染色用組成物1部の割合で混合した。混合は敏速かつ容易であり、特に組成物Bの混合がより敏速かつ容易である。
【0251】
得られたそれぞれの混合物を、90%の白髪を含む天然毛髪の房に適用し、20分間放置した。
【0252】
組成物Cと比較して、組成物Bの方が、完全にとどまり、流れ出ることがなく、かつ根元から毛先まで十分に広がることが注目される。
【0253】
その後、それぞれの髪の房を水でリンスし、標準的なシャンプーで洗浄し、再度水でリンスした後、乾燥させもつれを解いた。
【0254】
それぞれの混合物はリンスにより十分に除去される。
【0255】
この2つの組成物の場合、毛髪は濃いカッパーレッドの色合いで染色された。
【0256】
本発明の組成物Bを用いると、得られる色調は若干濃く、選択性は低い。
【0257】
さらに、本発明の組成物Bから誘導される混合物を使用すると毛髪の粗さが少ない。
【0258】
[実施例3]
以下のアンモニアを含まない染色用組成物Dを調製した(量はグラムで表されている):
【0259】
【表3】

【0260】
染色用組成物Dを、使用時に、6%の水性過酸化水素溶液を含む水性酸化組成物と、プラスチックボウル中で2分間混合した。その際、酸化組成物1.5部当たり染色用組成物1部の割合で混合した。混合は、敏速かつ容易である。
【0261】
得られた混合物を、90%の白髪を含む天然毛髪の房に適用し、20分間放置した。適用は敏速かつ容易である。この生成物は、完全にとどまり、流れ出ることがなく、かつ根元から毛先まで十分に広がる。
【0262】
その後、髪の房を水でリンスし、標準的なシャンプーで洗浄し、再度水でリンスした後、乾燥させもつれを解いた。本混合物はリンスにより十分に除去される。
【0263】
毛髪は、濃いカッパーレッドの色合いで染色された。さらに、毛髪は粗くならない。
【0264】
[実施例4]
最後に、以下のアンモニアを含まない染色用組成物Eを調製した(量はグラムで表されている):
【0265】
【表4】

【0266】
染色用組成物Eを、使用時に、6%の水性過酸化水素溶液を含む水性酸化組成物と、プラスチックボウル中で2分間混合した。その際、酸化組成物1.5部当たり染色用組成物1部の割合で混合した。混合は、敏速かつ容易である。
【0267】
得られた混合物を、90%の白髪を含む天然毛髪の房に適用し、20分間放置した。適用は敏速かつ容易である。この生成物は、完全にとどまり、流れ出ることがなく、かつ根元から毛先まで十分に広がる。
【0268】
その後、髪の房を水でリンスし、標準的なシャンプーで洗浄し、再度水でリンスした後、乾燥させもつれを解いた。本混合物はリンスにより十分に除去される。
【0269】
毛髪は、濃いカッパーレッドの色合いで染色された。さらに、毛髪は粗くならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維を染色するのに適した媒質中に、以下を含む染色用組成物:
・少なくとも1の酸化染色前駆体および/または少なくとも1の直接染料;
・少なくとも1のノニオン性若しくはアニオン性界面活性剤、またはその混合物;
・少なくともヒドロキシエチルセルロース;
・少なくとも1のカチオン性会合性ポリマー;
・少なくとも1の脂肪物質;
・ここで、脂肪物質総量に対するノニオン性およびアニオン性の界面活性剤総量の重量比が1.75以上であり;
および
・前記染色用組成物重量に対して染色用組成物中の水含量が少なくとも40重量%である。
【請求項2】
前記ノニオン性界面活性剤を以下から選択することを特徴とする、請求項1に記載の組成物:
・オキシアルキレン化またはグリセロール化された脂肪アルコール類;
・オキシアルキレン化されたアルキルフェノール類(アルキル鎖がC−C18である);
・オキシアルキレン化またはグリセロール化された脂肪酸アミド類;
・オキシアルキレン化された植物油類;
・任意にオキシアルキレン化されたソルビタンの脂肪酸エステル類;
・任意にオキシアルキレン化されたスクロースの脂肪酸エステル類;
・ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類;
・(C−C30)アルキルポリグリコシド類;
・N−(C−C30)アルキルグルカミン誘導体類;
・(C10−C14)アルキルアミンオキシド類またはN−アシルアミノプロピルモルホリンオキシド類などのアミンオキシド類;
・エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー類;
・それらの混合物。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤を以下から選択することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物:
・(C−C30)アルキルサルフェート類、(C−C30)アルキルエーテルサルフェート類、(C−C30)アルキルアミドエーテルサルフェート類、アルキルアリールポリエーテルサルフェート類、モノグリセリドサルフェート類;
・(C−C30)アルキルスルホネート類、(C−C30)アルキルアミドスルホネート類、(C−C30)アルキルアリールスルホネート類、α−オレフィンスルホネート類、パラフィンスルホネート類;
・(C−C30)アルキルホスフェート類;
・(C−C30)アルキルスルホスクシネート類、(C−C30)アルキルエーテルスルホスクシネート類、(C−C30)アルキルアミドスルホスクシネート類;
・(C−C30)アルキルスルホアセテート類;
・(C−C24)アシルサルコシネート類;
・(C−C24)アシルグルタメート類;
・(C−C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル類;(C−C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート類;
・(C−C30)アルキルスルホスクシナメート類;
・(C−C24)アシルイセチオネート類;
・N−(C−C24)アシルタウレート類;
・C−C30脂肪酸塩類;ヤシ油酸塩または硬化ヤシ油酸塩類;
・(C−C20)アシルラクチレート類;
・(C−C30)アルキル−D−ガラクトシドウロン酸塩類;
・ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルエーテルカルボン酸塩類、
ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩類、
ポリオキシアルキレン化された(C−C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩類;
・およびそれらの混合物。
【請求項4】
前記脂肪物質を以下から選択することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物:非オキシアルキレン化および非グリセロール化脂肪アルコール類、非オキシアルキレン化および非グリセロール化脂肪酸アミド類、カルボン酸モノエステル類およびポリエステル類、鉱油類および植物油類、またはそれらの混合物。
【請求項5】
前記脂肪物質量に対してノニオン性およびアニオン性の界面活性剤総量の重量比が2より大きく20未満であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシエチルセルロースが少なくとも700000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシエチルセルロース含量が染色用組成物重量に対して0.01重量%から5重量%であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記カチオン性会合性ポリマーが、四級化セルロース誘導体類、カチオン性ポリウレタン類、カチオン性ポリビニルラクタム類およびカチオン性アクリルターポリマー類から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸化染色前駆体が、酸化ベース類およびカップラー類、またはそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
塩基性化剤を以下から選択することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物:アンモニア水、アルカノールアミン類、およびC−C10アルカノールアミン類とアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属シリケート類との組み合わせ物。
【請求項11】
少なくとも1のカチオン性または両性付着性ポリマー(サブスタンティブポリマー;substantive polymer)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1の酸化剤を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の染色用組成物が湿潤または乾燥したケラチン繊維に適用されるケラチン繊維を染色する方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の染色用組成物が、酸化組成物の存在下で湿潤または乾燥したケラチン繊維に適用され、酸化組成物は、中間洗浄処理を介在させることなく、染色用組成物と同時にまたは順次適用され、その混合物は前記繊維上に放置され、前記繊維はリンスされるケラチン繊維を染色する方法。
【請求項15】
請求項1から23のいずれか1項に記載の組成物を含む第一区画と酸化組成物を含む第二区画とを含むケラチン繊維の染色に使用可能な複数区画装置。

【公開番号】特開2006−282670(P2006−282670A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−95482(P2006−95482)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】