説明

分子篩SSZ−63

本発明は、鋳型試薬としてN−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンを用いて製造される新規な結晶性分子篩SSZ−63と;SSZ−63を合成するための方法と;触媒中にSSZ−63を使用する方法と;に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、新規な結晶性分子篩SSZ−63と;鋳型試薬(structure directing agent;構造方向付け剤)としてN−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンを用いて、SSZ−63を製造する方法と;(例えば、炭化水素転化反応のための)触媒としてのSSZ−63の使用方法と;に関する。
【背景技術】
【0002】
(当該技術の状況)
結晶性分子篩及びゼオライトのユニークな篩特性だけでなく、それらの触媒特性のために、それら分子篩及びゼオライトは、例えば、炭化水素の転化、ガスの乾燥及び分離のような用途においてとりわけ有用である。多くの様々な結晶性分子篩が開示されているものの、ガスの分離及び乾燥、炭化水素及び化学物質の転化、並びに他の用途に適した望ましい特性を有する新規なゼオライトを求める継続的要求が存在している。新規なゼオライトは、新規な内部間隙構造を有していることがあり、高められた選択性をこれら方法に与える。
【0003】
結晶性アルミノケイ酸塩は通常、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、シリカ及びアルミナを含有する水性反応混合物から製造されている。結晶性ホウケイ酸塩は通常、ホウ素がアルミニウムに代えて用いられることを除き、類似の反応条件下で製造されている。合成条件と、反応混合物の組成とを変えることによって、しばしば異なるゼオライトを形成することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(本発明の概要)
本発明は、本明細書では「分子篩SSZ−63」又は単に「SSZ−63」と言う、ユニークな特性を有する一群の結晶質分子篩に向けられている。SSZ−63は、それのケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、チタノケイ酸塩(titanosilicate)、ゲルマノケイ酸塩(germanosilicate)、バナドケイ酸塩(vanadosilicate)又はホウケイ酸塩の形態で得るのが好ましい。用語「ケイ酸塩」とは、[酸化ケイ素]対[酸化アルミニウム]の大きいモル比(好ましくは、100より大きいモル比)を有する分子篩を言い、完全に酸化ケイ素で構成される分子篩を包含する。本明細書で用いる用語「アルミノケイ酸塩」とは、アルミナとシリカの両方を含有する分子篩を言い、また、用語「ホウケイ酸塩」とは、ホウ素とケイ素の両方の酸化物を含有する分子篩を言う。
本発明によると、[第1の4価元素の酸化物(1)]対[3価元素;5価元素;第1の4価元素と異なる第2の4価元素;又はそれらの混合物;の酸化物(2)]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有する分子篩が与えられる。
【0005】
更に本発明によると、[酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、及びそれらの混合物から選ばれる酸化物(1)]対[酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム、及びそれらの混合物から選ばれる酸化物(2)]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、下の表IIのX線回折線を有する分子篩が提供される。[第1の酸化物、又は第1の酸化物の混合物]対[第2の酸化物]のモル比は無限大である場合がある、即ち、分子篩中に第2の酸化物は存在しない場合があることに注目すべきである。この場合、分子篩は、全てがシリカの分子篩であるか、又はゲルマノケイ酸塩(germanosilicate)である。
【0006】
更に本発明は、合成されたままであり、且つ無水状態であり、次のモル比:
YO/W 15〜∞
2/n/YO 0.01〜0.03
Q/YO 0.02〜0.05
(式中、Yはケイ素、ゲルマニウム、又はそれらの混合物であり;Wは、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム、又はそれらの混合物であり;cは、1又は2であり;cが1であるとき、dは2であり(即ち、Wは4価である)、又はcが2であるとき、dは3若しくは5であり(即ち、Wが3価であるとき、dは3であるか、若しくはWが5価であるとき、dは5である);Mは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はそれらの混合物であり;nはMの原子価(即ち、1又は2)であり;そして、Qは、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンである)による組成を有しているような分子篩を提供する。
【0007】
更に本発明によると、約15より大きい[酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、及びそれらの混合物から選ばれる酸化物]対[酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム、及びそれらの混合物から選ばれる酸化物]のモル比を有するゼオライトを、約200℃〜約800℃の温度で熱処理することによって製造された分子篩であって、このようにして製造されたゼオライトが表IIのX線回折線を有している該分子篩が提供される。本発明はまた、このようにして製造された、大部分が水素型である分子篩であって、その水素型が、酸;又は、アンモニウム塩の溶液;とイオン交換し、次いで、第2のか焼を行うことによって調製されている該分子篩をも包含する。
更に本発明によると、第1の4価元素の酸化物(1)と、3価元素;5価元素;第1の4価元素と異なる第2の4価元素;又はそれらの混合物;の酸化物(2)とを含有しており、しかも、15より大きい[第1の酸化物]対[第2の酸化物]のモル比を有している結晶性材料を製造する方法であって、結晶化条件の下、前記諸酸化物の源と、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンを含有する鋳型試薬とを接触させることを包含する、上記製造方法も提供される。本発明の方法は、か焼後に表IIのX線回折線を有する結晶性材料を合成するだけでなく、BEA結晶構造を有する結晶性材料を合成するのにも使用することができる。
【0008】
本発明によると、炭化水素を転化するための方法であって、炭化水素の転化条件で、炭化水素供給原料を、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該転化方法が提供される。該ゼオライトは、大部分が水素型である場合がある。前記ゼオライトは、実質的に酸性でないこともある。
更に本発明によって、水素化分解条件の下、炭化水素供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する水素化分解方法が提供される。
また本発明には、脱ろう条件の下、炭化水素供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する脱ろう方法が包含される。
【0009】
また本発明には、ろう質炭化水素供給原料で造った脱ろう生成物の粘度指数を改善するための方法であって、異性化脱ろう条件の下、ろう質炭化水素供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該改善方法が包含される。
更に本発明には、C20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を製造するための方法であって、本発明に係るゼオライトを含有する触媒による異性化条件の下、該オレフィン供給原料を異性化することを包含する該製造方法が包含される。前記ゼオライトは、大部分が水素型である場合がある。前記触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含有することがある。
【0010】
本発明によると、約350°Fを超えて沸騰し且つ直鎖及び僅かに枝分かれした鎖の炭化水素を含有する炭化水素供給原料を接触脱ろうするための方法であって、添加水素ガスの存在下、約15〜3000psiの水素圧で、該炭化水素油供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該接触脱ろう方法も提供される。該触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含有することがある。前記触媒は、本発明に係るゼオライトを含有する第1の層と;形状選択性が第1の層のゼオライトに比べていっそう高いアルミノケイ酸塩ゼオライトを含有する第2の層と;を有する層状触媒である場合がある。第1の層は、少なくとも1種のVIII族金属を含有することがある。
また本発明には、潤滑油を製造するための方法であって、水素化分解帯域において炭化水素供給原料を水素化分解して、水素化分解油を含有する流出液を得;次いで、添加水素ガスの存在下、少なくとも約400°Fの温度及び約15psig〜約3000psigの圧力で、前記の水素化分解油を含有する流出液を、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触脱ろうする;ことを包含する該製造方法が包含される。前記ゼオライトは、大部分が水素型である場合がある。前記触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含有することがある。
【0011】
更に本発明には、ラフィネートを異性化脱ろうするための方法であって、添加水素ガスの存在下、該ラフィネートを、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該異性化脱ろう方法が包含される。前記ラフィネートはブライトストックである場合があり、また、前記ゼオライトは、大部分が水素型である場合がある。前記触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を含有することがある。
また本発明には、炭化水素供給原料のオクタン価を増大させて、芳香族炭化水素含有量が増大した生成物を生成するための方法であって、約40℃より高く且つ約200℃より低い沸点範囲を有する直鎖炭化水素及び僅かに枝分かれした炭化水素を、本発明に係るゼオライトであって塩基性金属でゼオライトを中性化することによって実質的に酸性でないようにされている該ゼオライトを含有する触媒と、芳香族炭化水素への転化の条件の下、接触させることを包含する該生成方法が包含される。本発明によると、前記ゼオライトがVIII族金属成分を含有するような方法も提供される。
【0012】
また本発明によると、反応帯域において接触分解条件の下、添加水素ガスの不存在下、炭化水素供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する接触分解方法が提供される。本発明にはまた、前記触媒が粗孔結晶性クラッキンク成分を更に含有するような接触分解方法も包含される。
更に本発明は、C〜C炭化水素を異性化するための異性化方法であって、異性化条件の下、直鎖又は僅かに枝分かれしたC〜C炭化水素を有する供給原料を、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該異性化方法を提供する。前記ゼオライトに、少なくとも1種のVIII族金属(好ましくは、白金)を含浸させることができる。前記触媒は、VIII族金属を含浸させた後、蒸気/空気混合物の中、高温でか焼することができる。
【0013】
また本発明によって、芳香族炭化水素をアルキル化するための方法であって、アルキル化条件の下、少なくとも部分的に液相の条件の下、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒の存在下で、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素をC〜C20オレフィンと接触させることを包含する該アルキル化方法が提供される。該オレフィンはC〜Cオレフィンである場合があり、また、該芳香族炭化水素及びオレフィンはそれぞれ、約4:1〜約20:1のモル比で存在することがある。前記芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン、又はそれらの混合物から成る群から選ぶことができる。
更に本発明によると、芳香族炭化水素のアルキル交換反応を行うための方法であって、アルキル交換反応条件の下、少なくとも部分的に液相の条件で、本発明に係る(好ましくは、大部分が水素型である)ゼオライトを含有する触媒の存在下、芳香族炭化水素をポリアルキル芳香族炭化水素と接触させることを包含する該方法が提供される。前記の芳香族炭化水素及びポリアルキル芳香族炭化水素はそれぞれ、約1:1〜約25:1のモル比で存在することがある。
前記芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はそれらの混合物から成る群から選ぶことができ、また、前記ポリアルキル芳香族炭化水素はジアルキルベンゼンである場合がある。
【0014】
更に本発明によって、パラフィンを芳香族炭化水素に転化するための方法であって、パラフィンを芳香族炭化水素に転化する条件の下、本発明に係るゼオライトを含有する触媒であってガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物を含有する該触媒とパラフィンを接触させることを包含する該転化方法が提供される。
また本発明によると、オレフィンを異性化する方法であって、オレフィンを異性化する条件の下、該オレフィンを、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該異性化方法も提供される。
更に本発明によると、キシレン異性体;又はキシレン異性体とエチルベンゼンの混合物;の芳香族炭化水素Cの流れであってオルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンのいっそう近い平衡比が得られている該流れを含有する異性化供給原料を異性化するための方法であって、異性化条件の下、前記供給原料を、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該異性化方法が提供される。
【0015】
更に本発明は、オレフィンをオリゴマー化するための方法であって、オリゴマー化条件の下、オレフィン供給原料を、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と接触させることを包含する該オリゴマー化方法を提供する。
また本発明は、酸素化された炭化水素を転化するための方法において、液体生成物を生成するための条件の下、本発明に係るゼオライトを含有する触媒と、該酸素化された炭化水素を接触させることを包含する該転化方法をも提供する。
【0016】
更に本発明によると、より小さい分子量の炭化水素からより大きい分子量の炭化水素を製造するための方法であって、
(a)反応帯域の中に、より小さい分子量の炭化水素を含有するガスを導入し、次いで、前記帯域中で、C2+炭化水素の合成条件の下、触媒;及び、前記のより小さい分子量の炭化水素をより大きい分子量の炭化水素に転化することのできる金属又は金属化合物;と前記ガスを接触させる工程、並びに
(b)前記反応帯域からより大きい分子量の炭化水素を含有する流れを回収する工程
を包含する該製造方法が提供される。
【0017】
本発明によると、酸素の存在下、ガス流に含有される窒素酸化物を還元するための、該ガス流をゼオライトと接触させることを包含する改善された方法であって、該ゼオライトとして、[第1の4価元素の酸化物]対[第1の4価元素と異なる第2の4価元素;3価元素;5価元素;又はそれらの混合物;の酸化物]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有するゼオライトを用いることを包含する、上記改善方法が提供される。前記ゼオライトは、窒素酸化物の還元に触媒作用を及ぼすことのできる金属又は金属イオン(例えば、コバルト、銅、又はそれらの混合物)を含有する場合があり;また、前記改善方法は、化学量論的過剰の酸素の存在下で実施することができる。好ましい態様において、前記ガス流は、内燃機関の排気流である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な記述)
本発明は、本明細書では「分子篩SSZ−63」又は単に「SSZ−63」と称する一群の結晶質粗孔分子篩を包含する。本明細書で用いる用語「粗孔(large pore)」は、約6.0Åより大きい(好ましくは、約6.5Å〜約7.5Åの)平均孔直径を有することを意味する。
如何なる理論に拘束されることを望む訳ではないが、SSZ−63の結晶構造は、ゼオライトβの2種類の多形相(polymorphs)から成っているものと思われる。典型的なゼオライトβ(BEA)は、2種類の多形相である多形相A及び多形相Bの約50/50の組み合せから成る結晶構造を有する。SSZ−63の結晶構造は、本明細書ではβ−C[ヒギンス(Higgins)]と称するβ多形相約60〜70%と、残部のβ多形相Bとから成る。β多形相C(ヒギンス)は、β多形相Cと異なっている。多形相C(ヒギンス)の構造は、文献において主張されてきたが、多形相C(ヒギンス)はこれまでに造られたことはないと思われる。多形相C(ヒギンス)に関する解説は、ヒギンス(Higgins)等:「ゼオライトβの骨格のトポロジー(The framework Topology of Zeolite Beta)」,Zeolites,第8巻,pp.446〜452(1988);及び、ヒギンス等によって訂正された「ゼオライトβの骨格のトポロジー−A訂正(The framework Topology of Zeolite Beta−A Correction)」,Zeolites,第9巻,第358頁(1989);に見出だすことができる。
【0019】
SSZ−63を製造する場合、結晶化テンプレートとしても知られている鋳型試薬(SDA)として、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンを用いる。SSZ−63は一般に、1価元素酸化物、2価元素酸化物、3価元素酸化物、4価元素酸化物及び5価元素酸化物から成る群から選ばれる1種以上の酸化物の活性源(active source)を、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオン鋳型試薬と接触させることによって製造する。
【0020】
SSZ−63は、下記の表A:


[表中、Y、W、Q、M及びnは、上記に定義される通りであり;aは、1又は2であり;bは、aが1である(即ち、Wが4価である)とき、2であり、aが2である(即ち、Wが3価である)とき、3である]に示される組成を持つ反応混合物から製造する。
【0021】
実際に、SSZ−63は、
(a)結晶性分子篩を形成することのできる少なくとも1種の酸化物の源と、SSZ−63の形成に有害でないアニオン対イオンを有するN−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンとを含有する水溶液を調製すること;
(b)SSZ−63の結晶を形成するのに十分である条件の下に前記水溶液を維持すること;及び
(c)SSZ−63の結晶を回収すること;
を包含する方法によって製造する。
【0022】
従って、SSZ−63は、架橋3次元結晶構造を形成するために、結晶性材料及び鋳型試薬であって、共有酸素原子により四面体配位で結合されている金属酸化物及び非金属酸化物と結合されている該結晶性材料及び該鋳型試薬を含有することができる。金属酸化物及び非金属酸化物は、第1の4価元素(1種又は複数種)の酸化物の1種又は組み合せと;3価元素(1種若しくは複数種)、5価元素(1種若しくは複数種)、第1の4価元素(1種若しくは複数種)と異なる第2の4価元素(1種若しくは複数種)、又はそれらの混合物の酸化物の1種又は組み合せと;を含有する。第1の4価元素(1種又は複数種)は、ケイ素、ゲルマニウム、及びそれらの組み合せから成る群から選ぶのが好ましい。第1の4価元素は、ケイ素であるのがいっそう好ましい。3価元素、5価元素、及び(第1の4価元素と異なる)第2の4価元素は、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム、及びそれらの組み合せから成る群から選ぶのが好ましい。第2の3価又は4価の元素は、アルミニウム又はホウ素であるのがいっそう好ましい。
【0023】
反応混合物のための酸化アルミニウムの典型的な源には、アルミン酸塩;アルミナ;アルミニウムコロイド;シリカゾルで被覆された酸化アルミニウム;Al(OH)のようなアルミナ水和物;AlCl及びAl(SOのようなアルミニウム化合物;が包含される。酸化ケイ素の典型的な源には、ケイ酸塩、シリカヒドロゲル、ケイ酸、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、テトラアルキルオルトケイ酸塩、水酸化シリカが包含される。ホウ素だけでなく、ガリウム、ゲルマニウム、チタン、インジウム、バナジウム及び鉄もまた、それらのアルミニウム対応物及びケイ素対応物(counterparts)に相当する形態で添加することができる。
源ゼオライト試薬(source zeolite reagent)は、アルミニウム又はホウ素の源を与えることができる。大抵の場合、源ゼオライトは、シリカ源をも与えることができる。源ゼオライトを脱アルミニウム化又は脱ホウ素化した形態の該源ゼオライトもまた、例えば上記の従来の源を用いて更なるケイ素を添加しながら、シリカ源として用いることができる。本方法のためのアルミナ源として源ゼオライト試薬を用いることは、「分子篩の製法(Method of Making Molecular Sieves)」なる表題の、1993年7月6日、ナカガワ(Nakagawa)に交付された米国特許第5,225,179号にいっそう完全に記述されている。この米国特許明細書の開示内容は、言及することによって本明細書に組み入れる。
【0024】
典型的にはアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム及びマグネシウムの水酸化物)を、反応混合物に用いる。しかし、この成分は、同等の塩基度が維持されている限り、除外することができる。水酸化物イオンを与えるために鋳型試薬を用いることができる。従って、例えばハロゲン化イオンを、水酸化物イオンにイオン交換し、そうすることによって、アルカリ金属水酸化物の所要量を減少させるか又は除去することが有益である場合がある。アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンは、その中の価電子電荷の平衡を保つために、合成時の結晶性酸化物材料の一部分となる場合がある。
反応混合物は、SSZ−63の結晶が形成されるまで、高温に保持する。水熱結晶化(hydrothermal crystallization)は通常、自然圧下、100℃〜200℃の間(好ましくは、135℃〜160℃の間)の温度で行う。該結晶化の期間は典型的には、1日より長く、好ましくは約3日〜約20日である。
【0025】
分子篩は、穏かな撹拌を行って造るのが好ましい。
水熱結晶化工程の間、SSZ−63結晶は、反応混合物から自然発生的に核となり得る。SSZ−63結晶を種晶材料(seed material)として用いることは、完全な結晶化が起こるのに必要な時間を短縮するのに好都合となる場合がある。加えて、種晶を入れること(seeding)は、望ましくないあらゆる相に渡って、SSZ−63の核生成及び/又は形成を促進することにより、得られる生成物の純度を増大させることができる。SSZ−63結晶は、種晶として用いるとき、反応混合物中で用いるシリカの重量の0.1〜10%の間の量で添加する。
分子篩結晶が一旦形成されてしまえば、標準的な機械的分離技術(例えば、濾過)によって、該反応混合物から固体生成物を分離する。それら結晶は、水で洗浄し、次いで、例えば、90℃〜150℃で8〜24時間の間乾燥して、合成SSZ−63結晶を得る。乾燥工程は、大気圧又は真空で実施することができる。
【0026】
製造されたままのSSZ−63は、[酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、及びそれらの混合物から選ばれた酸化物]対[酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム、及びそれらの混合物から選ばれた酸化物]のモル比が約15より大きく;しかも、か焼を行った後、下記の表IIのX線回折線を有する。SSZ−63は更に、合成されたままで(即ち、該SSZ−63から鋳型試薬を除去する前)且つ無水状態で、モル比換算で下記表Bに示される組成を有する。
【0027】


表中、Y、W、c、d、M、n及びQは、上記で定義した通りである。
【0028】
SSZ−63は、本質的にアルミニウムを用いないで(即ち、[シリカ]対[アルミナ]のモル比を∞にして)造ることができる。標準的な酸浸出又はキレート処理を用いることによる、[シリカ]対[アルミナ]のモル比を増大させる方法がある。しかし、本質的にアルミニウムを含有しないSSZ−63は、ホウ素も存在している場合、本質的にアルミニウムを含有しないケイ素源を主要な四面体金属酸化物成分として用いて、直接合成することができる。そのホウ素は次いで、所望により、[ジョーンズ(Jones)等:Chem.Mater.,第13巻,第1041頁〜1050頁(2001)に記述されているように]ホウケイ酸塩SSZ−63を高温で酢酸で処理することによって除去し、全てをシリカにしたSSZ−63を生成することができる。SSZ−63はまた、ホウケイ酸塩として直接製造することもできる。そのホウ素は、所望により、上述のように除去し、当該技術分野において知られている技術によって金属原子で置き換えて、例えばアルミノケイ酸塩にしたSSZ−63を造ることができる。SSZ−63はまた、アルミノケイ酸塩として直接製造することもできる。
いっそう小さい[シリカ]対[アルミナ]比は、結晶骨格の中にアルミニウムを挿入する方法を用いても得ることができる。例えば、アルミニウムの挿入は、ゼオライトを、アルミナ結合剤又はアルミナ溶解源と組み合せて熱処理することによって生じることがある。そのような方法は、1985年12月17日、チャン(Chang)等に交付された米国特許第4,559,315号に記述されている。
【0029】
SSZ−63は、それのX線回折パターンによって特徴付けられる新規な骨格構造又はトポロジー(topology)で構成されているものと思われる。合成されたままのSSZ−63は、結晶構造のX線粉末回折パターンが表Iに示される特徴的な線を示す該結晶構造を有しており、それによって、他の諸分子篩から区別される。
【0030】

【0031】
下記の表IAは、実際の相対強度を包含する、合成されたままのSSZ−63のX線粉末回折線を示す。

【0032】
SSZ−63分子篩は、か焼を行った後、結晶構造のX線粉末回折パターンが表IIに示される特性線を有する該結晶構造を有する。

【0033】
下記の表IIAは、実際の相対強度を包含する、か焼済みSSZ−63のX線粉末回折線を示す。

【0034】
それらX線粉末回折パターンは、標準的技術によって決定した。放射線は、銅のK−α/二重線(doublet)であった。ピーク高さ及びその位置は、2θ(式中、θはブラッグ角である)の関数として、該ピークの相対強度から読み取った。また、それらの記録された線に対応するd(Å単位の格子面間隔)は計算することができる。
散乱角(2θ)測定値の変動は、計器誤差と個々の試料の間の差異とに起因して、±0.20°と評価される。
【0035】
表IのX線回折パターンは、「合成されたままの (as−synthesized)」又は「製造されたままの(as−made)」SSZ−63分子篩を表わしている。該回折パターンの僅かな変動は、格子定数の変化に起因して、特定試料の[シリカ]対[アルミナ]又は[シリカ]対[ホウ素]のモル比の変動によって生じることがある。加えて、十分に小さい結晶は、ピークの形状及び強度に悪影響を与え、ピーク幅をかなり広げる。
表IIに、か焼済みSSZ−63のX線回折パターンからの典型的なピークを示す。か焼もまた、「製造されたままの」材料のパターンと比べて、それらピークの強度の変化だけでなく、回折パターンの僅かなシフトをも引き起こすことがある。分子篩中に存在する金属又は他のカチオンを他の種々のカチオン(例えば、H若しくはNH)と交換することによって生成した分子篩は、本質的に同様の回折パターンを生じる。とは言え、この場合もやはり、格子面間隔の僅かなシフトと、ピークの相対強度の変動とは存在することがある。これらの僅かな摂動にもかかわらず、基本的結晶格子は、これら処理によっては依然として変化しない。
【0036】
結晶性SSZ−63は、合成されたまま使用することができるが、熱処理する(か焼する)のが好ましい。通常、イオン交換によってアルカリ金属カチオンを除去し、それを水素、アンモニウム、又は所望のいずれかの金属イオンと置換することが望ましい。分子篩は、キレート化剤(例えば、EDTA)又は希酸溶液で浸出して、[シリカ]対[アルミナ]モル比を高めることができる。分子篩はまた、蒸気で処理することもできる。蒸気処理は、結晶格子が酸によって攻撃されるのを安定化するのに役立つ。
水素化−脱水素化の機能が望まれている分子篩の用途のために、それら分子篩は、水素化する成分(hydrogenating components)、例えば、タングステン、バナジウム、モリブデン、レニウム、ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、又は貴金属(例えば、パラジウム若しくは白金)と密接に結合した状態で使用することができる。
【0037】
標準的イオン交換技術により、分子篩中のカチオンの幾つかを金属カチオンと置換することによって、分子篩の中に金属を導入することもできる[例えば、1964年7月7日、プランク(Plank)等に交付された米国特許第3,140,249号;1964年7月7日、プランク等に交付された同第3,140,251号;1964年7月7日、プランク等に交付された同第3,140,253号を参照されたい]。典型的な置換性カチオン(replacing cations)には、金属カチオン(例えば、希土類金属、IA族金属、IIA族金属及びVIII族金属)だけでなく、それらの混合物も包含されることがある。それら置換性カチオンのうち、例えば、希土類、Mn、Ca、Mg、Zn、Cd、Pt、Pd、Ni、Co、Ti、Al、Sn及びFeのような金属のカチオンが、とりわけ好ましい。
SSZ−63の中に、水素、アンモニウム、及び金属成分をイオン交換することができる。SSZ−63には、それら金属を含浸させることもできる。或いは、それら金属は、当該技術分野で知られている標準的方法を用いて、物理的にSSZ−63と密接に混合することができる。
【0038】
典型的なイオン交換技術は、合成分子篩を、所望の1種又は複数種の置換性カチオンの塩を含有する溶液と接触させることを包含する。多種多様の塩を用いることができるが、塩化物及び他のハロゲン化物、酢酸塩、硝酸塩、並びに硫酸塩は、とりわけ好ましい。分子篩は通常、イオン交換を行う前にか焼して、そのチャネル(channels)中又は表面上に存在している有機物質除去する。なぜなら、このことによって、いっそう効果的なイオン交換が達成されるからである。典型的なイオン交換技術は、1964年7月7日、プランク(Plank)等に交付された米国特許第3,140,249号;1964年7月7日、プランク等に交付された同第3,140,251号;1964年7月7日、プランク等に交付された同第3,140,253号を包含する様々な特許明細書に開示されている。
分子篩は、所望の置換用カチオンの塩溶液と接触させた後、典型的には水で洗浄し、次いで、65℃〜約200℃の範囲の温度で乾燥させる。分子篩は、洗浄した後、空気中又は不活性ガス中、約200℃〜約800℃の範囲の温度で、1〜48時間の範囲の時間又はそれ以上の時間の間、か焼して、炭化水素の転化方法にとりわけ有用な触媒活性生成物を生成することができる。
【0039】
SSZ−63の合成された形態の中にカチオンが存在していることとは関係なく、分子篩の基本結晶格子を形成している諸原子の立体配置は、本質的に不変である。
SSZ−63は、様々な物理的形状に形成することができる。一般的に言えば、分子篩は、粉末、顆粒、又は成形物の形状[例えば、2メッシュ(タイラー)篩を通過し、且つ、400メッシュ(タイラー)篩の上に保持されるのに十分な粒径を有する押出し物(extrudate)]である場合がある。例えば、有機結合剤を用いた押出しによって、触媒を成形する場合、SSZ−63は、乾燥を行う前に押出されることがあり;又は、乾燥を行うか若しくは部分的に乾燥を行い、次いで、押出されることがある。
【0040】
SSZ−63は、有機物転化方法において用いられる温度及び他の条件に耐える他の材料と一緒に複合化することができる。そのようなマトリックス材料には、活性材料及び不活性材料、並びに合成ゼオライト又は天然に産出するゼオライトだけでなく、無機材料(例えば、粘土、シリカ、及び金属酸化物)も包含される。そのような材料と、それらを使用することのできる方法との諸例は、1990年5月20日、ゾーンズ(Zones)等に交付された米国特許第4,910,006号、及び1994年5月31日、ナカガワ(Nakagawa)に交付された米国特許第5,316,753号に開示されている。それら米国特許明細書の両方とも、言及することによってそっくりそのまま本明細書に組み入れる。
【0041】
炭化水素の転化方法
SSZ−63ゼオライトは、炭化水素の転化反応において有用である。炭化水素の転化反応は、炭素含有化合物が別の炭素含有化合物に変えられる化学的触媒方法である。SSZ−63が有用であると期待される、炭化水素の転化反応の例には、水素化分解反応;脱ろう反応;接触分解反応;並びに、オレフィン及び芳香族炭化水素を形成する反応;が包含される。それら触媒はまた、他の石油精製及び炭化水素転化反応[例えば、n−パラフィン及びナフテンの異性化;オレフィン化合物又はアセチレン化合物(例えば、イソブチレン及びブテン−1)の重合及びオリゴマー化;ポリアルキル置換芳香族炭化水素(例えば、m−キシレン)の改質、異性化;並びに、芳香族炭化水素(例えば、トルエン)を不均化を行って、ベンゼンとキシレンと高級メチルベンゼンの混合物を与えること]、並びに酸化反応においても有用であると思われる。更に、ナフタレン誘導体を生成するための転移反応;及び、より低い分子量の炭化水素からより高い分子量の炭化水素を形成すること(メタンの品質改善);も包含される。
SSZ−63触媒は、高い選択性を有することがあり、また、炭化水素の転化条件の下、所望の生成物を、全生成物に対して高率で与えることができる。
【0042】
SSZ−63ゼオライトは、炭化水素供給原料を処理するのに用いることができる。炭化水素供給原料は、炭素化合物を含有しており;多くの異なる源[例えば、未使用石油留分(virgin petroleum fractions)、再循環石油留分、シェール油、液化石炭、タールサンド油、NAOからの合成パラフィン、再循環プラスチック原料油]からのものである場合があり;また、概して、ゼオライトによる触媒反応を受け易い炭素含有原料油であれば如何なるものでもよい。炭化水素供給原料が受ける予定の処理の種類によって決まるが、該原料油は、金属を含有するか又は金属を含有しない場合があり;該原料油はまた、多量又は少量の窒素不純物若しくはイオウ不純物を含有する場合がある。しかし、概して、該原料油の金属、窒素及びイオウの含有量が小さいほど、処理がいっそう効果的となり(そして、触媒がいっそう活性となる)と判断することができる。
炭化水素供給原料の転化は、都合のよい如何なる方法で(例えば、流動床反応器、移動床反応器又は固定床反応器による方法であり、所望の方法の種類によって決まる)でも起こることがある。触媒粒子の配合は様々であり、転化方法及び操作方法によって決まる。
【0043】
金属(例えば、白金のようなVIII族金属)を含有する本発明の触媒を用いて実施することのできる他の反応には、水素化−脱水素化反応、脱窒素化反応(denitrogenation)及び脱硫反応が包含される。
次の表は、本発明の炭化水素転化反応において、SSZ−63を含有する触媒を用いるとき、使用することのできる典型的な反応条件を示す。好ましい条件を括弧内に示す。
【0044】


下記に、他の反応条件及びパラメータを与える。
【0045】
水素化分解
SSZ−63(好ましくは、水素型が支配的であるもの)と水素化促進剤とを含有する触媒を使用すれば、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号明細書に開示されている方法条件及び触媒成分を用いて、重油残渣原料油、環式原料油、及び他の水素化分解用原料油を水素化分解することができる。
それら水素化分解用触媒は、水素化分解用触媒に一般的に使用されている種類の少なくとも1種の水素化分解成分の有効量を含有する。該水素化分解成分は通常、VIB族及びVIII族の1種以上の金属と、それら金属の塩、錯体及び溶液とから成る水素化触媒の群から選ばれる。該水素化触媒は好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びそれらの混合物の少なくとも1種から成る群、又はニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、及びそれらの混合物の少なくとも1種から成る群の、金属、塩、及びそれらの錯体から成る群から選ばれる。触媒として活性な1種以上の金属について言及するとき、それは、上記の1種以上の金属であって、単体状態;又は、酸化物、硫化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩等のある形態;の該金属を包含するように意図されている。水素化触媒は、水素化分解用触媒の水素化機能を与えるのに有効である量で、好ましくは0.05〜25重量%の範囲で存在する。
【0046】
脱ろう
直鎖パラフィンを選択的に除去することによって炭化水素供給原料を脱ろうするのに、SSZ−63(好ましくは、水素型が支配的であるもの)を用いることができる。異性化脱ろう条件の下、含ろう供給原料をSSZ−63と接触させたとき、脱ろうされた生成物の粘度指数は典型的には、(含ろう供給原料と比べて)改善される。
触媒脱ろうの条件は大部分、用いる供給原料と所望の流動点とによって決まる。触媒脱ろう方法の間、反応帯域に水素が存在するのが好ましい。[水素]対[供給原料]の比は典型的には、約500〜約30,000SCF/bbl(標準立方フィート/バレル)、好ましくは約1000〜約20,000SCF/bblの間である。水素は通常、生成物から分離して反応帯域に再循環する。典型的な原料油には、軽質軽油;重質軽油;及び、約350°Fより高い温度で沸騰する常圧蒸留残油;が包含される。
【0047】
典型的な脱ろう方法は、約350°Fより高い温度で沸騰する炭化水素油供給原料であって直鎖及び僅かに枝分かれした鎖の炭化水素を含有する該供給原料を、添加水素ガス(added hydrogen gas)の存在下、約15〜3000psiの水素圧で、SSZ−63及び少なくとも1種のVIII族金属を含有する触媒と接触させることによって、該供給原料の触媒脱ろうを行うことである。
SSZ−63水素化脱ろう触媒(hydrodewaxing catalyst)は、脱ろう触媒において通常使用されるタイプの水素化成分(hydrogenation component)を任意的に含有することがある。これらの水素化成分の諸例については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照されたい。
【0048】
水素化成分は、効果的な水素化脱ろう及び水素化異性化の触媒を与えるのに有効な量で(好ましくは、約0.05〜5重量%の量で)存在する。諸分解反応(cracking reactions)を犠牲にして、異性化脱ろうを高めるようなやり方で、該触媒を作動させることができる。
供給原料は、水素化分解され、次いで、脱ろうされることがある。この種の二段階方法と典型的な水素化分解条件とは、1990年5月1日、ミラー(Miller)に交付された米国特許第4,921,594号に記述されている。この米国特許明細書は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。
SSZ−63はまた、層状触媒(layered catalyst)の形態で、脱ろう触媒として用いることもできる。即ち、該触媒は、ゼオライトSSZ−63及び少なくとも1種のVIII族金属を含有する第1の層と、ゼオライトSSZ−63よりもいっそう形状選択性であるアルミノケイ酸塩を含有する第2の層とを含有している。層状触媒を使用することは、1992年9月22日、ミラーに交付された米国特許第5,149,421号に記述されている。この米国特許明細書は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。該層は、水素化分解又はハイドロフィニッシング(hydrofinishing)を行うために設計された非ゼオライト成分と一緒に積層されたSSZ−63の層(bed)をも包含する。
【0049】
SSZ−63は、条件[例えば、1980年1月1日、ギレスピー(Gillespie)等に交付された米国特許第4,181,598号に開示されている条件]の下、ブライトストック(bright stock)を含むラフィネートを脱ろうするのに用いることもできる。この米国特許明細書は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。
より安定した脱ろう済み生成物を生成するためには、(ハイドロフィニッシングと呼ばれることもある)穏かな水素化を用いることがしばしば望ましい。ハイドロフィニッシング工程は、脱ろう工程の前又は後(好ましくは、後)に実施することができる。ハイドロフィニッシングは典型的には、約190℃〜約340℃の範囲の温度、約400psig〜約3000psigの圧力、約0.1〜20の間の空間速度(LHSV)、約400〜1500SCF/bblの水素再循環比(hydrogen recycle rate)で行う。用いられる水素化触媒は、存在するかも知れないオレフィン、ジオレフィン及びカラーボディ(color bodies)を水素化するために十分活性であるだけでなく、芳香族炭化水素の含有量を低減するためにも十分活性でなければならない。適切な水素化触媒は、1990年5月1日、ミラーに交付された米国特許第4,921,594号に開示されている。この米国特許明細書は、言及することによって、そっくりそのまま本明細書に組み入れる。ハイドロフィニッシング工程は、許容される程度に安定した生成物(例えば、潤滑油)を製造するのに有益である。なぜなら、水素化分解された原料油から製造された脱ろう済み生成物は、空気及び光に不安定である傾向があり、しかも、自発的且つ急速にスラッジを形成する傾向があるからである。
【0050】
SSZ−63を用いて、潤滑油を製造することができる。例えば、C20+潤滑油は、水素型のSSZ−63と、少なくとも1種のVIII族金属とを含有する触媒でC20+オレフィン供給原料を異性化することによって、製造することができる。もう1つの方法として、該潤滑油は、水素化分解帯域において炭化水素供給原料を水素化分解して水素化分解油を含有する流出液を得;次いで、添加水素ガスの存在下、少なくとも約400°Fの温度で且つ約15psig〜約3000psigの圧力で、水素型のSSZ−63と少なくとも1種のVIII族金属とを含有する触媒を用いて、該流出液を触媒脱ろうする;ことによって製造することができる。
【0051】
芳香族炭化水素の形成
SSZ−63は、軽質直留ナフサ及び類似の混合物を、高級芳香族炭化水素の混合物に転化するのに用いることができる。例えば、直鎖及び僅かに枝分かれしている炭化水素(好ましくは、約40℃より高く約200℃より低い沸点範囲を有するもの)を、SSZ−63を含有する触媒と接触させることによって、該炭化水素供給原料は、実質的にいっそう大きいオクタン価の芳香族炭化水素分を有する生成物に転化することができる。また、SSZ−63を含有する触媒を用いて、より重質の供給原料を、BTX(ベンゼン−トルエン−キシレン)又は価値のあるナフタレン誘導体に転化することも可能である。
該転化用触媒は、商業用途のために十分な活性度を有するように、VIII族金属化合物を含有するのが好ましい。本明細書で使用するVIII族金属化合物は、その金属それ自体、又はそれの化合物を意味する。VIII族貴金属及びそれらの化合物、白金、パラジウム、及びイリジウム、又はそれらの組合せを用いることができる。また、VIII族金属化合物(好ましくは、貴金属化合物)と共に、レニウム又はスズ、又はそれらの混合物も用いることができる。最も好ましい金属は、白金である。該転化用触媒中に存在するVIII族金属の量は、リフォーミング触媒において用いられる通常の範囲内(約0.05〜2.0重量%、好ましくは約0.2〜0.8重量%)であるのが望ましい。
【0052】
例えば、ゼオライトを塩基性金属(例えば、アルカリ金属、化合物)で中和することによって、転化用触媒が実質的に酸性でないことは、有用な量の芳香族炭化水素を選択的に生成するためには重大である。該触媒が酸性でないようにするための方法は、当該技術分野では知られている。そのような方法に関する記述については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号明細書を参照されたい。
好ましいアルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムである。ゼオライトそれ自体は、非常に大きい[シリカ]:[アルミナ]モル比においてのみ、実質的に酸性でないことがある。
【0053】
接触分解
炭化水素分解用原料油は、水素の不存在下、SSZ−63(好ましくは、大部分が水素型であるもの)を用いて、接触分解することができる。
水素の不存在下、SSZ−63を接触分解用触媒として用いる場合、該触媒は、伝統的な分解用触媒(例えば、従来、分解用触媒の一成分として用いられたいずれかのアルミノケイ酸塩)と共に用いることができる。これらは典型的には、粗孔の結晶質アルミノケイ酸塩である。これらの伝統的分解用触媒の諸例は、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号に開示されている。伝統的分解用触媒(TC)の成分を使用する場合、[TC]対[SSZ−63]の相対重量比は、一般に約1:10〜約500:1の間、望ましくは約1:10〜約200:1の間、好ましくは約1:2〜約50:1の間、最も好ましくは約1:1〜約20:1の間である。新規なゼオライト及び/又は伝統的分解用成分は、希土類イオンと更にイオン交換して、選択性を変性することができる。
それら分解用触媒は典型的には、無機酸化物マトリックス成分と一緒に用いる。そのようなマトリックス成分の諸例については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照されたい。
【0054】
異性化
本触媒は、非常に活性であり、しかも、C〜C炭化水素を異性化するのに非常に選択的である。活性とは、高度に枝分かれしているパラフィンに熱力学的に好都合である比較的低い温度で触媒が作動し得ることを意味する。結果的に、該触媒は、高オクタン価生成物を生成することができる。高選択性(high selectivity)とは、触媒が稼動するとき、比較的高い液体収率を高オクタン価で獲得し得ることを意味する。
本方法は、異性化条件の下、異性化触媒(例えば、水素型のSSZ−63を含有する触媒)を炭化水素供給原料と接触させることを包含する。該供給原料は、30°F〜250°F、好ましくは60°F〜200°Fの範囲内で沸騰する軽質直留留分であるのが好ましい。該方法のための炭化水素供給原料は、直鎖;及び僅かに枝分かれしている;C〜Cの低オクタン価炭化水素をかなりの量含有しているのが好ましく、C〜Cの炭化水素がいっそう好ましい。
【0055】
水素の存在下で異性化反応を実施することが好ましい。水素を添加して、0.5〜10(H/HC)の間の、いっそう好ましくは1〜8(H/HC)の間の[水素]対[炭化水素]比(H/HC)を与えるのが好ましい。異性化方法条件に関する更なる解説については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照されたい。
低イオウ供給原料は、本方法において、とりわけ好ましい。該供給原料は、イオウを10ppm未満、いっそう好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppm未満含有するのが好ましい。イオウが依然として低くない供給原料の場合、許容濃度は、イオウ被毒に抵抗性のある水素化触媒で予備飽和帯域(presaturation zone)中の該供給原料を水素化することによって達成することができる。この水素化脱硫方法に関する更なる解説については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照されたい。
【0056】
該供給原料の窒素濃度及び含水率を制限することは好ましい。これらの目的に適している触媒及び方法は、当業者には知られている。
該触媒は、稼動期間の後、イオウ又はコークスによって不活性化することがある。このイオウ及びコークスを除去するための方法に関する更なる解説については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照されたい。
【0057】
転化用触媒は、商業用途のために十分な活性を有するように、VIII族金属化合物を含有しているのが好ましい。本明細書で用いる「VIII族金属化合物」は、その金属それ自体又はそれの化合物を意味する。VIII族貴金属及びそれらの化合物、白金、パラジウム及びイリジウム、又はそれらの組み合せを用いることができる。該貴金属と一緒に、レニウム及びスズをも用いることができる。最も好ましい金属は白金である。転化用触媒中に存在するVIII族金属の量は、異性化触媒において用いられる通常の範囲内(約0.05〜2.0重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%)であるのが望ましい。
【0058】
アルキル化及びアルキル交換反応
SSZ−63は、芳香族炭化水素のアルキル化及びアルキル交換反応を行うための方法に用いることができる。該方法は、少なくとも部分的液相条件の下、SSZ−63を含有する触媒の存在下で、C〜C16オレフィンアルキル化剤又はポリアルキル芳香族炭化水素アルキル交換反応剤と、芳香族炭化水素を接触させることを包含する。
上述のようにベンゼンをアルキル化し、次いで、ガソリンからアルキル化生成物を除去することにより、該ガソリンからベンゼンを除去するために、SSZ−63を用いることもできる。
高い触媒活性を得るために、SSZ−63ゼオライトは、大部分がそれの水素イオン型であるのが望ましい。か焼の後、カチオン部位の少なくとも80%は、水素イオン及び/又は希土類イオンによって占有されているのが好ましい。
【0059】
本発明の方法によってアルキル化又はアルキル交換反応を行うことのできる適切な芳香族炭化水素供給原料の諸例には、例えば、ベンゼン、トルエン、及びキシレンのような芳香族化合物が包含される。好ましい芳香族化合物はベンゼンである。ナフタレン、又はナフタレン誘導体(例えば、ジメチルナフタレン)が望ましいかも知れない場合がある。諸芳香族炭化水素の混合物もまた用いることができる。
芳香族炭化水素のアルキル化に適したオレフィンは、2〜20個、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有するもの(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、トランス−ブテン−2、及びシス−ブテン−2、又はそれらの混合物)である。ペンテンが望ましい場合がある。好ましいオレフィンは、エチレン及びプロピレンである。いっそう長い鎖のαオレフィンもまた、用いることができる。
【0060】
アルキル交換反応が望ましい場合、アルキル交換反応剤は、2個以上のアルキル基であって各々が2〜約4個の炭素原子を有することのある該アルキル基を含有しているポリアルキル芳香族炭化水素である。適切なポリアルキル芳香族炭化水素には、例えば、ジアルキル芳香族炭化水素、トリアルキル芳香族炭化水素、及びテトラアルキル芳香族炭化水素[例えば、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジエチルメチルベンゼン(ジエチルトルエン)、ジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルトルエン、ジブチルベンゼン、等]が包含される。好ましいポリアルキル芳香族炭化水素は、それらジアルキルベンゼンである。とりわけ好ましいポリアルキル芳香族炭化水素は、ジイソプロピルベンゼンである。
実施される方法がアルキル化である場合、反応条件は次の通りである。芳香族炭化水素供給原料は、化学量論的過剰で存在するのが望ましい。[芳香族炭化水素]対[オレフィン]のモル比は、急速な触媒汚れを防止するために、4:1より大きいのが好ましい。反応温度は、100°F〜600°F、好ましくは250°F〜450°Fの範囲に及ぶことがある。反応圧力は、触媒汚れを遅らせるために、少なくとも部分的液相を維持するのに十分であるのが望ましい。これは、供給原料及び反応温度によって決まるが、典型的には50psig〜1000psigである。接触時間は、10秒〜10時間の範囲に及ぶことがあるが、通常、5分〜1時間である。1時間当り触媒1グラム(ポンド)当たりの芳香族炭化水素及びオレフィンのグラム(ポンド)としての重量基準空間速度(WHSV)は通常、約0.5〜50の範囲内である。
【0061】
実施する方法がアルキル交換反応である場合、芳香族炭化水素のモル比は通常、約1:1〜25:1、好ましくは約2:1〜20:1の範囲に及ぶ。反応温度は、約100°F〜600°Fの範囲に及ぶことがあるが、好ましくは約250°F〜450°Fの範囲である。反応圧力は、少なくとも部分的液相を維持するのに十分であるのが望ましく、典型的には、約50psig〜1000psig、好ましくは300psig〜600psigの範囲である。重量基準空間速度は、約0.1〜10の範囲に及ぶ。1992年1月21日、シー(Hsieh)等に交付された米国特許第5,082,990号は、そのような方法を記述している。その米国特許明細書は、言及することによって本明細書に組み入れる。
【0062】
パラフィンの芳香族炭化水素への転化
軽質ガスC〜Cパラフィンを、芳香族化合物を包含するいっそう大きい分子量の炭化水素に転化するのに、SSZ−63を用いることができる。該ゼオライトは、触媒金属又は触媒金属酸化物であって、その中の金属が周期表のIB族、IIB族、VIII族及びIIIA族から成る群から選ばれているものを含有するのが好ましい。その金属は、約0.05〜5重量%の範囲のガリウム、ニオブ、インジウム又は亜鉛であるのが好ましい。
【0063】
キシレンの異性化
SSZ−63はまた、C芳香族炭化水素供給原料中の1種以上のキシレン異性体を異性化して、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンを、平衡値(equilibrium value)に近い比で得るための方法において有用である場合がある。キシレンの異性化はとりわけ、パラキシレンを製造するための別個の方法と一緒に用いる。例えば、混合されたC芳香族炭化水素流れの中のパラキシレンの一部分は、結晶化及び遠心分離法によって回収することができる。晶析装置からの母液は、次いで、キシレン異性化条件の下、反応させて、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンを平衡比近くまで回収する。同時に、母液中のエチルベンゼンの一部分は、キシレン;又は、濾過によって容易に分離される生成物;に転化する。異性化物(isomerate)は、新たな供給原料と混合して、その混合流れを蒸留して、重質及び軽質の副産物を除去する。得られたC芳香族炭化水素流れは、次いで、晶析装置に送って、該サイクルを繰り返す。
【0064】
気相での異性化は任意的に、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン)1モル当り水素3.0〜30.0モルの存在下で実施する。水素を用いる場合、触媒は、周期表のVIII族金属成分(とりわけ、白金又はニッケル)から選ばれた水素化/脱水素化成分を約0.1〜2.0重量%含有するのが望ましい。VIII族金属成分とは、それら金属;及び、それら金属の化合物(例えば、酸化物及び硫化物);を意味する。
異性化の供給原料は任意的に、希釈液(例えば、トルエン、トリメチルベンゼン、ナフテン又はパラフィン)を含有することがある。
【0065】
オリゴマー化
SSZ−63はまた、約2〜21個、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する、直鎖及び枝分かれ鎖のオレフィンをオリゴマー化するのにも用いることができるものと思われる。該方法の生成物であるオリゴマーは、燃料(即ち、ガソリン;又は、原料油混合ガソリン)と化学薬品の両方に有用である重質オレフィンに対する基材(medium)である。
オリゴマー化方法は、気相又は液相の中のオレフィン供給原料を、SSZ−63を含有する触媒と接触させることを包含する。
【0066】
該ゼオライトは、それと結合した当初のカチオンが、当該技術分野における周知の技術によって、他の様々なカチオンと置換されていることもある。典型的なカチオンには、水素、アンモニウム、及び金属カチオン、並びにそれらの混合物が包含される。金属カチオンを置換することに関して、特定の選択(prefertence)が、金属[例えば、希土類金属、マンガン、カルシウムだけでなく、周期表のII族の金属(例えば、亜鉛)、及び周期表のVIII族(例えば、ニッケル)]のカチオンに与えられる。最も重要な必要条件の1つは、該ゼオライトが、かなり低い芳香族化活性を有している(即ち、その場合、生成される芳香族炭化水素の量が、約20重量%以下である)ことである。このことは、n−ヘキサンを分解する該ゼオライトの能力により測定した場合の酸活性度(acid activity)(α値)が約0.1〜約120、好ましくは約0.1〜約100に制御されたゼオライトを用いることによって達成される。
α値は、例えば、1976年6月1日、ギブンス(Givens)等に交付された米国特許第3,960,978号に示されような、当該技術分野において知られている標準試験によって定義される。その米国特許明細書は、言及することによって全体的に本明細書に組み入れる。そのようなゼオライトは必要に応じて、転化方法において使用される蒸気処理(steaming)によるか;又は、当業者の心に思い浮かぶかも知れない他のいずれかの方法によって;得ることができる。
【0067】
アルコールの縮合
1〜10個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコールを縮合して、ガソリンの沸点を有する炭化水素生成物であって、混合された脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素を含有する該炭化水素生成物にするために、SSZ−63を用いることができる。1975年7月8日、バター(Butter)等に交付された米国特許第3,894,107号に開示されている方法には、この方法において用いる作業条件が記述されている。この米国特許明細書は、言及することによって全体的に本明細書に組み入れる。
該触媒は、水素型であることもあり;又は、アンモニウム若しくは金属カチオン補足物(complement)を、好ましくは約0.05〜5重量%の範囲で含有するように、塩基交換されているか或いは含浸されていることがある。存在することのできる該金属カチオンには、周期表のI族〜VIII族の金属のあらゆるものが包含される。しかし、IA族金属の場合、如何なる場合も、該触媒を事実上不活性にするほどカチオン含有量は大きいようであり、また、酸性度を全て排除するほどその交換(exchange)は大きいようである。酸素で処理された基体(substrates)の処理を包含する他の方法であって、塩基性触媒が望ましい該方法が存在するかも知れない。
【0068】
メタンの品質改善
より小さい分子量の炭化水素を、SSZ−63;及び、より小さい分子量の炭化水素をより大きい分子量の炭化水素に転化することのできる金属又は金属化合物;を含有する触媒と接触させることによって、より小さい分子量の炭化水素からより大きい分子量の炭化水素を形成することができる。そのような反応の例には、メタンのC2+炭化水素(例えば、エチレン又はベンゼン、又は両方)への転化が包含される。有用な金属及び金属化合物の例には、ランタニド及び/又はアクチニドの金属又は金属化合物が包含される。
これらの反応;用いられる金属又は金属化合物;及び、該反応を実施することのできる条件;は、1988年3月29日、デブリーズ(Devries)等に交付された米国特許第4,734,537号;1990年7月3日、ウォシュチェック(Washcheck)等に交付された同第4,939,311号;1990年10月9日、アブリバヤ(Abrevaya)等に交付された同第4,962,261号;1992年3月10日、アブリバヤ等に交付された同第5,095,161号;1992年4月14日、ハン(Han)等に交付された同第5,105,044号;1992年4月14日、ウォシュチェック等に交付された同第5,105,046号;1993年8月24日、ハン等に交付された同第5,238,898号;1994年6月14日、ファン・デル・バールト(van der Vaart)等に交付された同第5,321,185号;及び、1994年8月9日、チョードリー(Choudhary)等に交付された同第5,336,825号;に開示されている。これら米国特許明細書の各々は、言及することによってそっくりそのまま本明細書に組み入れる。
【0069】
ガス流中の窒素酸化物の接触還元を行うために、SSZ−63を用いることができる。ガス流は典型的には、酸素をも、しばしばそれの化学量論的過剰量で含有する。また、SSZ−63は、窒素酸化物の還元に触媒作用を与えることのできる金属又は金属イオンを、該SSZ−63の内部又はそれの上に含有することがある。そのような金属又は金属イオンの諸例には、銅、コバルト、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム、及びそれらの混合物が包含される。
ゼオライトの存在下、窒素酸化物の接触還元を行うための前記方法の1つの例は、1981年10月27日、リッチャー(Ritscher)等に交付された米国特許第4,297,328号に開示されている。この米国特許明細書は、言及することによって本明細書に組み入れる。そこでの触媒方法は、一酸化炭素及び炭化水素の燃焼;並びに、ガス流(例えば、内燃機関からの排気ガス)中に含まれている窒素酸化物の接触還元;である。使用されているゼオライトは、該ゼオライトの内部又は上に、触媒の銅又は銅イオンの有効量が与えられるように、十分に金属のイオン交換、ドーピング又は装填が行われる。加えて、該方法は、過剰の酸化剤(例えば、酸素)の中で行われる。
【0070】
実施例
次の諸実施例は、本発明を実証するが、本発明を制限するものではない。
【0071】
(実施例1)
鋳型試薬A(N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオン)の合成


カチオンと結合しているアニオン(X)は、ゼオライトの形成に有害でないアニオンであれば如何なるものでもよい。典型的なアニオンには、ハロゲン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物)、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボン酸塩、等が包含される。最も好ましいアニオンは、水酸化物である。
【0072】
鋳型試薬(SDA)のN−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンは、以下に記述する方法に従って合成した(スキーム1を参照されたい)。還流凝縮器と機械的撹拌器とを備えた三つ口丸底フラスコに入っている無水ヘキサン320mlに入れたシクロデカノン(25g;0.16モル)の溶液に、ピロリジン34g(0.48モル)と、無水硫酸マグネシウム48g(0.4モル)を添加した。得られた混合物は、加熱しながら5日間の還流を行いながら、撹拌した。該混合物は、ガラス漏斗を通して濾過した。濾液は、回転蒸発器(rotary evaporator)によって減圧下で濃縮し、予想されたエナミン(1−シクロデセ−1−エニル−ピロリジン)32g(96%)を赤みがかった油性物質として生成した。H−NMR及び13C−NMRスペクトルによって、所望の生成物と認められた。該エナミンは、エタノール中、55psiの水素圧で、活性炭に担持されたPd 10%の存在下、接触水素化を行うことによって還元し、定量的収量の対応するアミン(N−シクロデシル−ピロリジン)にした。
【0073】
N−シクロデシル−ピロリジンの、ヨウ化メチルによる四級化(ヨウ化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムの合成)
1リットル反応フラスコ中の無水アルコール250mlに入れたN−シクロデシル−ピロリジン30g(0.14モル)の溶液に、ヨウ化メチル30g(0.21モル)を添加した。該反応混合物は、室温で48時間、機械的に撹拌した。次いで、ヨウ化メチル0.5モル当量を添加し、次いで、該混合物は、還流のために加熱し、30分間還流した。該反応混合物は次いで、冷却して、回転蒸発器によって減圧下で濃縮し、浅黄色の固形物として生成物を与えた。該生成物は、アセトンに溶解し;次いで、ジエチルエーテルを添加することにより、沈降させる;ことによって精製した。再結晶化によって、純ヨウ化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウム46g(93%)が生じた。該生成物についてのH−NMR及び13C−NMRは、典型的なものであった。
【0074】
イオン交換(水酸化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムの合成)
500mlプラスチックボトルに入れた水150mlに、ヨウ化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウム(45g;0.128モル)を溶解させた。該溶液に、イオン交換樹脂−OH[BIO RAD(登録商標)AH1−X8]160mgを添加し、該混合物は、室温で一晩中撹拌した。該混合物を濾過し、固形分は、追加の水85mlで洗浄した。0.1N HClを用いた滴定分析によって示されたように、該反応によって、SDA(水酸化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウム)0.12モルが与えられた。

【0075】
(実施例2)
ホウケイ酸塩SSZ−63の合成
23ccテフロン(登録商標)ライナーに、水酸化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムの0.61モル水溶液4.9g(SDA 3ミリモル)と、NaOHの1モル水溶液1.2g(NaOH 1.2ミリモル)と、脱イオン水5.9gとを装填した。この混合物に、ホウ酸ナトリウム十水和物0.06g(Na・10HO 0.157ミリモル;B 約0.315ミリモル)を添加して、完全に溶解するまで撹拌した。この溶液に、CABO−SIL M−5(登録商標)ヒュームドシリカ0.9g(SiO約14.7ミリモル)を添加して、手で十分に混合した。得られたゲルは、蓋を取り外して、パール(Parr)鋼製オートクレーブの中に置き、約43rpmで回転させながら、オーブン中、約160℃で加熱した。反応は、ゲルのpHを周期的に監視し;走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて結晶の成長を予期する;ことによって監視した。結晶化が完了した直後に、上述の条件で12日間加熱した後、出発反応ゲルは、澄んだ液体層と、微粉の沈降物とになった。その混合物は、ガラス漏斗を通して濾過した。回収した固形分は、水で十分に洗浄し、次いで、アセトン(約20ml)で洗浄して、あらゆる有機残渣を除去した。該固形分は、一晩中、空気乾燥を行い、次いで、オーブン中、120℃で1時間の間乾燥させた。該反応によって、SSZ−63 0.85gが与えられた。SSZ−63が本物であることは、それのユニークなXRDパターンと、透過型電子顕微鏡分析とによって決定した。
【0076】
(実施例3)
ホウケイ酸塩SSZ−63のアルミノケイ酸塩SSZ−63への転化
上記実施例2に記述されるように合成して、下記実施例17に示されるようにか焼したホウケイ酸塩SSZ−63を、硝酸アルミニウム九水和物の1モル溶液[1モルのAl(NO・9HO溶液15ml/ゼオライト1g]に懸濁させた。懸濁液は、48時間の間、還流しながら加熱した。該混合物は、次いで、濾過し、回収した固形分は、水で十分に洗浄し、次いで、一晩中空気乾燥させた。該固形分は、オーブン中、120℃で2時間の間更に乾燥させた。
【0077】
(実施例4)
ゲルマノケイ酸塩SSZ−63の合成
23ccテフロン(登録商標)ライナーに、水酸化N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムの0.61モル水溶液4.85g(SDA 3ミリモル)と、NaOHの1モル水溶液1.25g(NaOH 1.25ミリモル)と、脱イオン水5.8gとを装填した。この混合物に、GeO 0.25g(2.39ミリモル)を添加して、完全に溶解するまで撹拌した。この溶液に、CAB−O−SIL M−5(登録商標)0.7g(SiO約11.4ミリモル)を添加して、手で十分に混合した。得られたゲルは、蓋を取り外して、パール鋼製オートクレーブの中に置き、約43rpmで回転させながら、オーブン中、約160℃で加熱した。反応は、ゲルのpHを周期的に監視し;走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて結晶の成長を予期する;ことによって監視した。結晶化が完了した直後に、6日間加熱した後、出発反応ゲルは、澄んだ液体層と、微粉の沈降物とになった。その混合物は、ガラス漏斗を通して濾過した。回収した固形分は、水で十分に洗浄し、次いで、アセトン(約20ml)で洗浄して、あらゆる有機残渣を除去した。該固形分は、一晩中、空気乾燥を行い、次いで、オーブン中、120℃で1時間の間乾燥させた。該反応によって、SSZ−63 0.73gが与えられた。
【0078】
(実施例5〜16)
ホウケイ酸塩SSZ−63の合成
出発合成ゲルのSiO/B比を変えて、SSZ−63を合成した。このことは、実施例2に記述する合成条件を用いて、全てを同一に維持したとは言え、出発ゲルのSiO/B比を変化させることによって成し遂げた。このことは、CAB−O−SIL M−5(登録商標)(SiOの源)の量を一定に保持しながら、一方では、各々の実験において添加されるホウ酸ナトリウム十水和物の量を変えることによって行った。結果的に、ホウ酸ナトリウム十水和物の量を変えることによって、それら出発ゲル中のSiO/Na比が変化した。下記の表は、各々の実験のSiO/B比、SiO/Na比、及び観察された生成物を示す。
【0079】

【0080】
(実施例17)
SSZ−63のか焼
実施例3からの材料を、次の方法でか焼する。材料の薄い層(bed)を、マッフル炉で室温から120℃まで1℃/分の速度で加熱し、120℃に3時間保持する。その温度は、次いで、同一速度で540℃まで勾配をつけて、この温度に5時間保持する。その後、温度は594℃に上昇させて、その温度に更に5時間保持する。加熱を行う間、該SSZ−63の上に、空気と窒素の50/50混合物を、20標準立方フィート/分の速度で通過させる。
【0081】
(実施例18)
NH交換
NHNOを用いて、(実施例2で製造し、実施例17でか焼した)か焼済みSSZ−63材料のイオン交換を行って、該SSZ−63を、それのNa型からNH型に、そして、最終的にはH型に転化する。同一質量のNHNO及びSSZ−63を、水で、25〜50:1の[水]対[SSZ−63]比で、スラリーにする。該交換溶液を95℃で2時間加熱し、次いで、濾過する。この手順は、3回まで繰り返すことができる。最終の交換を行った後、該SSZ−63を水で数回洗浄し、次いで、乾燥させる。このNH型のSSZ−63は、次いで、540℃まで(実施例17で記述したように)か焼することによって、H型に転化することができる。
【0082】
(実施例19)
制約指数の決定
(実施例17、3及び18に従って処理した後の)実施例2の水素型SSZ−63は、2〜3KPSIでペレット化して粉砕し、20−40のメッシュを通し;次いで、0.50gより多い量を空気中で、約540℃で4時間か焼し;次いで、デシケータで冷却する。分子篩の両側にアランダムを備えている3/8インチステンレス鋼管の中に0.50gを詰め込む。該反応器管を加熱するのに、リンドバーグ炉(Lindburg furnace)を用いる。ヘリウムを、大気圧で10cc/分で該反応器管の中に導く。該反応器を約315℃に加熱し、n−ヘキサン及び3−メチルペンタンの50/50(w/w)供給原料を、8μl/分の速度で該反応器の中に導く。供給原料の送出しは、ブラウンリー・ポンプ(Brownlee pump)によって行う。供給原料を導いて10分後、ガスクロマトグラフの中への直接連続採取を開始する。制約指数値(Constraint Index value)は、当該技術分野で知られている方法を用い、ガスクロマトグラフィのデータから計算する。SSZ−63は、315℃で10分後、1.1の制約指数を有し、供給原料の転化率は87.7%である。該制約指数は、流れ時間(time on stream)と共に低下した(100分で0.6)。このことによって、SSZ−63は粗孔分子篩であることが示唆される。
【0083】
(実施例20)
n−ヘキサデカンの水素化分解
実施例2で製造したSSZ−63の試料を、実施例17、3及び18のように処理した。次いで、試料を水でスラリーにし、該スラリーのpHは、希水酸化アンモニウムで約10のpHに調整した。該分子篩試料の乾燥重量でPd 0.5重量%を与えると思われる濃度のPd(NH(NO溶液を、該スラリーに添加した。このスラリーは、100℃で48時間撹拌した。該スラリーは、冷却した後、ガラスフリットを通して濾過し、脱イオン水で洗浄し、次いで、100℃で乾燥させた。該触媒は、次いで、空気中で482℃まで徐々にか焼し、次いで、その温度で3時間保持した。
該か焼済み触媒は、カーバー成形機(Carver Press)でペレット化して粉砕し、20/40のメッシュ寸法範囲の粒子を生成した。分粒済み触媒(0.5g)は、n−ヘキサデカンの水素化転化(hydroconversion)を行うために、マイクロユニット(micro unit)内の、外径1/4インチの管状反応器の中に詰め込んだ。下記の表は、実験条件と、n−ヘキサデカンに関する水素化分解試験の生成物データとを示す。n−ヘキサデカンに関して、触媒の試験を行った後、ヘキサンに入れたブチルアミンの溶液を用いて、該触媒を滴定した。温度を上昇させて、滴定された状態での、転化及び生成物のデータを再び評価した。下記の表に示される結果は、該SSZ−63が水素化分解用触媒として有用であることを示している。
【0084】

【0085】
(実施例21)
アルゴン吸着分析
SSZ−63は、測微法(Micrometries)に基づくASAP 2010装置に表示されている、87.6Kでのアルゴン吸着等温曲線を基準にして、0.22cc/gのミクロ細孔容積を有している。低圧投与量は、15秒間の平衡化間隔(equilibration interval)を与えて、3.00cm/gであった。ホルバース−カワゾエの数学的表現の斎藤・フォーレイの適応(the Saito Foley adaptation of the Horvarth−Kawazoe formalism)[Microporous Materials,1995,3,531]と、従来のtプロット法(t−plot method)[J.Catalysis,1965,4,319]とを使用している、オリビエによって活性炭スリットのために開発された密度関数理論(DFT)の数学的表現及び諸パラメータ[Porous Mater.,1995,2,9]を用いてアルゴン吸着等温曲線を解析した。ディジソーブ装置(Digisorb system)を使用し、窒素で類似の測定を行った。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】か焼済みSSZ−63の粉末X線回折パターンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[第1の4価元素の酸化物(1)]対[3価元素;5価元素;第1の4価元素と異なる第2の4価元素;又はそれらの混合物;の酸化物(2)]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有する分子篩。
【請求項2】
[酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる酸化物(1)]対[酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化バナジウム、及びそれらの混合物から選ばれる酸化物(2)]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有する分子篩。
【請求項3】
酸化物が、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含有している、請求項2に記載の分子篩。
【請求項4】
酸化物が、酸化ケイ素及び酸化ホウ素を含有している、請求項2に記載の分子篩。
【請求項5】
酸化物が、酸化ケイ素及び酸化ゲルマニウムを含有している、請求項2に記載の分子篩。
【請求項6】
酸化物が、酸化ケイ素を含有している、請求項2に記載の分子篩。
【請求項7】
大部分が水素型である、請求項1に記載の分子篩。
【請求項8】
実質的に酸性でない、請求項1に記載の分子篩。
【請求項9】
大部分が水素型である、請求項2に記載の分子篩。
【請求項10】
実質的に酸性でない、請求項2に記載の分子篩。
【請求項11】
合成されたままであり且つ無水状態であり、次のモル比:
YO/W>15
2/n/YO 0.01〜0.03
Q/YO 0.02〜0.05
(式中、Yはケイ素、ゲルマニウム、又はそれらの混合物であり;Wは、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム、又はそれらの混合物であり;cは、1又は2であり;cが1であるとき、dは2であり、又はcが2であるとき、dは3若しくは5であり;Mは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はそれらの混合物であり;nはMの原子価であり;そして、Qは、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンである)による組成を有している分子篩。
【請求項12】
Wがアルミニウムであり、Yがケイ素である、請求項11に記載の分子篩。
【請求項13】
Wがホウ素であり、Yがケイ素である、請求項11に記載の分子篩。
【請求項14】
Yがゲルマニウムとケイ素の混合物であり、YO/Wのモル比が∞である、請求項11に記載の分子篩。
【請求項15】
第1の4価元素の酸化物(1)と、3価元素;5価元素;第1の4価元素と異なる第2の4価元素;又はそれらの混合物;の酸化物(2)とを含有しており、しかも、15より大きい[第1の酸化物]対[第2の酸化物]のモル比を有している結晶性材料を製造する方法であって、結晶化条件の下、前記諸酸化物の源と、N−シクロデシル−N−メチル−ピロリジニウムカチオンを含有する鋳型試薬とを接触させることを包含する、上記製造方法。
【請求項16】
第1の4価元素は、ケイ素、ゲルマニウム、及びそれらの組み合せから成る群から選ぶ、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
3価元素、5価元素又は第2の4価元素は、アルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、バナジウム、及びそれらの組み合せから成る群から選ぶ、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
3価元素又は第2の4価元素は、アルミニウム、ホウ素、チタン、及びそれらの組み合せから成る群から選ぶ、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の4価元素はケイ素である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
結晶性材料は、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
結晶性材料は、BEA結晶構造を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
炭化水素を転化するための方法であって、[第1の4価元素の酸化物]対[第1の4価元素と異なる第2の4価元素;3価元素;5価元素;又はそれらの混合物;の酸化物]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有するゼオライトを含有する触媒と、炭化水素供給原料を、炭化水素を転化する条件の下、接触させることを包含する、上記転化方法。
【請求項23】
ゼオライトは実質的に酸性でない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
水素化分解条件の下、触媒を炭化水素供給原料と接触させることを包含する水素化分解方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
脱ろう条件の下、触媒を炭化水素供給原料と接触させることを包含する脱ろう方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ろう質炭化水素供給原料で造った脱ろう生成物の粘度指数を改善するための方法であって、異性化脱ろう条件の下、触媒をろう質炭化水素供給原料と接触させることを包含する該改善方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を製造するための方法であって、触媒による異性化条件の下、該オレフィン供給原料を異性化することを包含する上記製造方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を更に含有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
約350°Fを超えて沸騰し且つ直鎖及び僅かに枝分かれした鎖の炭化水素を含有する炭化水素油供給原料を接触脱ろうするための方法であって、脱ろう条件の下、添加水素ガスの存在下、約15〜3000psiの水素圧で、該炭化水素油供給原料を触媒と接触させることを包含する上記接触脱ろう方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を更に含有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
触媒は、ゼオライト及び少なくとも1種のVIII族金属を含有する第1の層と;形状選択性が第1の層のゼオライトに比べていっそう高いアルミノケイ酸塩ゼオライトを含有する第2の層と;を含有する層状触媒を包含する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
潤滑油を製造するための方法であって、
水素化分解帯域において炭化水素供給原料を水素化分解して、水素化分解油を含有する流出液を得ること、及び
添加水素ガスの存在下、少なくとも約400°Fの温度及び約15psig〜約3000psigの圧力で、前記の水素化分解油を含有する流出液を触媒と接触脱ろうすること、
を包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を更に含有する、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ラフィネートを異性化脱ろうするための方法であって、異性化脱ろう条件の下、添加水素ガスの存在下、該ラフィネートを触媒と接触させることを包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
触媒は、少なくとも1種のVIII族金属を更に含有する、請求項34記載の方法。
【請求項36】
ラフィネートはブライトストックである、請求項34記載の方法。
【請求項37】
炭化水素供給原料のオクタン価を増大させて、芳香族炭化水素含有量が増大した生成物を生成するための方法であって、約40℃より高く約200℃より低い沸点範囲を有する直鎖炭化水素及び僅かに枝分かれした炭化水素を、芳香族炭化水素への転化の条件の下、触媒と接触させることを包含する上記生成方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
ゼオライトは実質的に酸性でない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ゼオライトは、VIII族金属成分を含有する、請求項37記載の方法。
【請求項40】
反応帯域において接触分解条件の下、添加水素ガスの不存在下、炭化水素供給原料を触媒と接触させることを包含する接触分解方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
触媒は、粗孔結晶性クラッキンク成分を更に含有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
〜C炭化水素を異性化するための異性化方法であって、異性化条件の下、直鎖又は僅かに枝分かれしたC〜C炭化水素を有する供給原料を触媒と接触させることを包含する上記異性化方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項43】
ゼオライトに、少なくとも1種のVIII族金属を含浸させておく、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
触媒は、VIII族金属を含浸させた後、蒸気/空気混合物の中、高温でか焼させておく、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
VIII族金属は白金である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
芳香族炭化水素をアルキル化するための方法であって、アルキル化条件の下、少なくとも部分的に液相の条件の下、触媒の存在下で、少なくともモル過剰の芳香族炭化水素をC〜C20オレフィンと接触させることを包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項47】
オレフィンはC〜Cオレフィンである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
芳香族炭化水素及びオレフィンはそれぞれ、約4:1〜約20:1のモル比で存在させる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン、又はそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
芳香族炭化水素のアルキル交換反応を行うための方法であって、アルキル交換反応条件の下、少なくとも部分的に液相の条件の下、触媒の存在下で、芳香族炭化水素をポリアルキル芳香族炭化水素と接触させることを包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項51】
芳香族炭化水素及びポリアルキル芳香族炭化水素はそれぞれ、約1:1〜約25:1のモル比で存在する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ポリアルキル芳香族炭化水素はジアルキルベンゼンである、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
ゼオライトは大部分が水素型である、請求項22、24、25、26、27、29、32、34、40、42、46又は50に記載の方法。
【請求項55】
パラフィンを芳香族炭化水素に転化するための方法であって、パラフィンを芳香族炭化水素に転化する条件の下、ゼオライト;及び、ガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物;を含有する触媒と、パラフィンを接触させることを包含する上記転化方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項56】
オレフィンを異性化する条件の下、オレフィンを触媒と接触させることを包含する方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項57】
キシレン異性体;又はキシレン異性体とエチルベンゼンの混合物;の芳香族炭化水素Cの流れであってオルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンのいっそう近い平衡比が得られている該流れを含有する異性化供給原料を異性化するための方法であって、異性化条件の下、前記供給原料を触媒と接触させることを包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項58】
オレフィンをオリゴマー化するための方法であって、オリゴマー化条件の下、オレフィン供給原料を触媒と接触させることを包含する上記方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項59】
酸素化された炭化水素を転化するための方法において、液体生成物を生成するための条件の下、[第1の4価元素の酸化物]対[第1の4価元素と異なる第2の4価元素;3価元素;5価元素;又はそれらの混合物;の酸化物]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有するゼオライトを含有する触媒と、前記の酸素化された炭化水素を接触させることを包含する、上記転化方法。
【請求項60】
酸素化された炭化水素は低級アルコールである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
低級アルコールはメタノールである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
いっそう小さい分子量の炭化水素からいっそう大きい分子量の炭化水素を製造するための方法であって、
(a)反応帯域の中に、いっそう小さい分子量の炭化水素を含有するガスを導入し、次いで、前記帯域中で、C2+炭化水素の合成条件の下、触媒;及び、前記のいっそう小さい分子量の炭化水素をいっそう大きい分子量の炭化水素に転化することのできる金属又は金属化合物;と前記ガスを接触させる工程、並びに
(b)前記反応帯域からいっそう大きい分子量の炭化水素を含有する流れを回収する工程
を包含する上記製造方法である、請求項22に記載の方法。
【請求項63】
金属又は金属化合物は、ランタニド金属、ランタニド金属化合物、アクチニド金属、又はアクチニド金属化合物を含有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
いっそう小さい分子量の炭化水素はメタンである、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
酸素の存在下、ガス流に含有される窒素酸化物を還元するための方法において、[第1の4価元素の酸化物(1)]対[3価元素;5価元素;第1の4価元素と異なる第2の4価元素;又はそれらの混合物;の酸化物(2)]のモル比が約15より大きく、しかも、か焼を行った後、表IIのX線回折線を有するゼオライトを含有するゼオライトと、前記ガス流を接触させることを包含する、上記還元方法。
【請求項66】
ゼオライトは、窒素酸化物の還元に触媒作用を及ぼすことのできる金属又は金属イオンを含有する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
金属は、銅、コバルト、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム、又はそれらの混合物である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
ガス流は、内燃機関の排気流である、請求項66に記載の方法。


【図1】
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【公表番号】特表2006−512273(P2006−512273A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565546(P2004−565546)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/040199
【国際公開番号】WO2004/060794
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】