説明

分岐ポリマー分散剤

本発明は、ある範囲の適用における気体、液体または固体の組成物における分散剤としての分岐付加コポリマーの使用に、ならびにこれらに適した分岐付加コポリマーであって、付加重合化プロセスによって入手可能であるコポリマーに関し、ここでこのコポリマーは、それらの末端以外で架橋によって共有結合される少なくとも2つの鎖を含み;ここでこの少なくとも2つの鎖は、少なくとも1つのエチレン系一価不飽和モノマーを含み、ここでこの架橋は、少なくとも1つのエチレン系多価不飽和モノマーを含み;ここでこのポリマーは連鎖移動剤の残基を含み、かつここで一価不飽和モノマー(単数または複数)に対する多価不飽和モノマー(単数または複数)のモル比は、1:100〜1:4の範囲であり;かつここでこの分岐コポリマー分散剤は、固定部分、溶媒和性部分または安定化部分を含み、ここで得られたコポリマーは、少なくとも10質量%のスチレン系モノマー、ブランチャーまたは連鎖移動剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチレン系分岐付加コポリマーに関する。さらに詳細には本発明は、少なくとも10質量%のスチレン系モノマー、ブランチャー(brancher)または連鎖移動剤を含むスチレン系分岐付加コポリマーの組成物、およびそれらの分散剤としての使用、このようなコポリマーの調製のための方法、このスチレン系分岐付加コポリマーを含む組成物、ならびにこの組成物の分散剤としての使用に関する。このコポリマーが分散剤として用いられる場合、それらは、組成物中において低用量で有効である。さらに、溶液中で、これらの組成物は、低い溶液粘性を示し、この組成物は、高い分散相含量で形成され得る。この組成物を用いて、未処理の色素を扱ってもよく、そしてまた、より小さなサイズとなるので、粉砕(milling)時間を短くすることができる。
【背景技術】
【0002】
ポリマー分散剤
分散剤は通常、バルク媒体中の、不混和性または不溶性の粒子を安定化するために用いられる。バルク媒体は、実質、固体であっても、液体であってもまたは気体であってもよい。分散剤は、バルク相中の粒子の凝集を防止するように機能する。さらに、分散剤は通常、分散またはコロイドの粘度の増大を軽減する。これは、粒子の凝集によって達成される。近年、分散剤は実質上、重合体となり、典型的には、不溶性または不混和性の粒子上にそれらを固定するための単位を保有するが、他の部分は、静電気的機構などを介してバルク媒体との相互作用によって、または粒子−粒子の反発を通じて可溶化または安定化するための単位を保有する。時には、同じ単位が、これらの特性の全てを保有し得る。
【0003】
ブロックまたはグラフトのコポリマーは、この点において特に有用である。なぜなら、このポリマー内の別個の構造が、粒子およびバルク相と別々に強力に相互作用して、固着、可溶化または安定化の単位として作用するからである。
【0004】
両親媒性のコポリマーは、水性媒体中で微粒子の分散剤として用いられてもよく、この媒体中では、ポリマーの疎水性部分が、粒子表面上に吸着するが、親水性基、典型的には、荷電された単位、例えば、カルボン酸は、粒子−粒子の反発力および強力な溶媒相互作用を介して安定化を補助する。
【0005】
WO2006/042033
A2(特許文献1;フリンク・インク)は、不揮発性のポリオールベースの脂肪油を含む媒体中に、分岐ビニルポリマーを含むインク結合剤を調製するための方法を開示する。その明細書中に記載される分岐ポリマーは、(重合化されたモノマーの総重量の)1.5〜3.25%(w/w)添加された、1分子あたり少なくとも2つのエチレン系不飽和重合可能基を有する少なくとも1つのモノマー、好ましくはジビニルベンゼン(DVB);(重合化されたモノマーの総重量の)20〜25%(w/w)添加された、少なくとも1つの脂肪族エチレン系不飽和モノマー、および(重合化されたモノマーの総重量の)60〜70%(w/w)の少なくとも1つの芳香族モノマー、好ましくはスチレンで調製され、その後、この混合物は、フリーラジカル重合化反応中で、セミバッチプロセスを用いて反応されて、コポリマーが形成され、ここでこの分岐ポリマーの分子量は好ましくは、1000〜10,000Daの範囲であり、好ましくは70℃というTgである。
【0006】
WO2000/037542(特許文献2;3M)は、少なくとも1つの末梢イオン化部分および少なくとも1つの末梢非重合型炭化水素疎水性部分を有する、誘導化樹状ポリマーを含む疎水性粒子の分散のための樹状ポリマー分散剤を調製するための方法を記載する。樹状分散剤は、市販の利用可能な第三世代または第五世代のポリオール(それぞれ、Boltorn H30またはH50)を使用し、これに、例えば、ステアリン酸とのエステル化などの反応を介して、8〜22個の炭素を含んでいる脂肪酸などの、疎水性セグメントが組み込まれ、例えば、無水コハク酸との反応を通じて、親水性セグメントが組み込みこまれる。この誘導体化樹状ポリマーは、好ましくは、15,000〜35,000Daという分子量を有する。
【0007】
WO2008/03037612(特許文献3;CIBA)は、「樹状(dendritic)」構造によって特徴付けられる極性のポリアミンまたは修飾されたポリカルボン酸に基づく液体の分散剤に関する。ここで、ポリマーの末端は、ジオール含有カルボン酸(これ自体がさらに脂肪酸単位で修飾される)によって修飾される。樹状ポリマー分散剤は、コンバージェント(convergent)合成またはダイバージェント(divergent)合成の経路を介して合成される。
【0008】
WO2007/135032(特許文献4;BASF)は、高度に分岐したポリカーボネートベースのポリマー型色素分散剤の使用を開示する。ポリマーのヒドロキシ末端は、1〜20個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族の疎水性基で官能化される。
【0009】
US2004/0097685(特許文献5;KeilおよびWeinkauf)は、2〜100個の残基のイソシアネート単位を含み、かつ500〜50,000Daの分子量を有する高分岐ポリウレタン分散剤の使用、ならびにアルキル−官能化ポリアルキレンオキシドとポリイソシアネートとの引き続く反応を開示しており、ここでこのアルキル基は、3〜40個の炭素原子を含む。
【0010】
WO2007/110333(特許文献6;CIBA)は、分岐ポリマー骨格上への疎水化アルキレンオキシド単位のグラフト化を介した、官能化ポリ(エチレンイミン)(PEI)−ベースのポリマー分散剤の合成を開示する。これらの単位は、1〜22個の炭素原子のアルキレンカルボキシル単位を保有する。
【0011】
WO98/18839(特許文献7;Du Pont)は、水性組成物における分岐ポリマー分散剤の使用を開示する。この分岐ポリマー分散剤は、カルボキシル単位の少なくとも10質量%を含む、親水性および疎水性の両方のセクションを含む、5,000〜100,000Daの範囲の分子量を有する、実質上両親媒性である。この分岐ポリマーは、2段階のプロセスで調製され、第一工程では触媒性連鎖移動剤を使用し、調製の第二段階で利用される末端ビニル基で官能性マクロモノマーを調製する。
【0012】
US2006/0106133
A1(特許文献8)は、両親媒性ポリマーを含むインク・ジエットのインクを開示しており、このポリマーは、親水性および疎水性の部分よりなり、300〜100,000ダルトンの範囲の分子量で、かつ直鎖状ポリマー、星型ポリマーの形態、またはポリマーコアを有するエマルジョン型であってもよい。連鎖移動剤は、このポリマーの生産には用いられない。このポリマーは、基板上の均一なインク液滴の形成における湿潤化の補助として用いられる。
【0013】
分岐ポリマー
分岐ポリマーは、分岐された有限サイズのポリマー分子である。分岐ポリマーは、相互接続された分子を有し無限サイズに向かう傾向があり、かつ一般には可溶性ではない、架橋されたポリマー網目状構造とは異なる。ある場合には、分岐ポリマーは、類似の直鎖状のポリマーに比較した場合有利な特性を有する。例えば、分岐ポリマーの溶液が正常には、類似の直鎖状のポリマーの溶液よりも粘性が少ない。さらに、分岐コポリマーの分子量が高いほど、対応する直鎖状のポリマーのものよりも容易に可溶化され得る。さらに、分岐ポリマーは、直鎖状のポリマーよりも多い末端基を有する傾向があるので、分岐ポリマーは一般には、強力な表面修飾特性を呈する。このように、分岐ポリマーは、多くの組成物の有用な成分であり、従って、種々の分散剤適用において利用される。
【0014】
分岐ポリマーは通常、適切なモノマーの重縮合を介して段階的成長機構を介して調製され、通常は、得られたポリマーの化学的官能性および分子量によって制限される。付加重合化においては、一工程プロセスを使用してもよく、ここでは多官能性モノマーを用いて、ポリマー鎖における官能性を得て、これからポリマー分岐が成長し得る。しかし、従来の1工程プロセスの使用に対する限界は、ポリマーの過剰な架橋および不溶性ゲルの形成を回避するために、通常は実質的に0.5%(w/w)未満へ、多官能性モノマーの量が注意深く制御されなければならないということである。特に、希釈剤として溶媒の非存在下で、および/またはポリマーへのモノマーの高い変換では、この方法を用いて架橋を回避することは困難である。
【0015】
WO 99/46301(特許文献9)は、単官能性ビニル系モノマーを、(単官能性モノマーの重量の)0.3〜100%(w/w)の多官能性ビニル系モノマーおよび(単官能性モノマーの重量の)0.0001〜50%(w/w)の連鎖移動剤と、および必要に応じて、フリーラジカル重合化開始剤と一緒に混合する工程、ならびにその後にこの混合物を反応させてコポリマーを形成する工程を包含する、分岐ポリマーを調製する方法を開示する。特許文献9の例は、主に疎水性ポリマーの調製、および詳細には、メチルメタクリレートが単官能性モノマーを構成するポリマーの調製を記載する。これらのポリマーは、成形用樹脂の産生における直鎖状のポリ(メチルメタクリレート)の溶融粘度を減少するのにおける成分として有用である。
【0016】
WO 99/46310(特許文献10)は、単官能性ビニル系モノマーを、(単官能性モノマーに基づいて)0.3〜100%w/wの多官能性ビニル系モノマーおよび0.0001〜50%w/wの連鎖移動剤と一緒に混合する工程、この混合物を反応させてポリマーを形成する工程、およびこの重合化反応を終わらせてその後に99%変換する工程を包含する、(メタ)アクリレート官能化ポリマーを調製する方法を開示する。得られたポリマーは、表面コーティングおよびインクの成分として、成形用樹脂として、または硬化性化合物、例えば、硬化性成形用樹脂またはフォオレジストにおいて有用である。
【0017】
WO 02/34793(特許文献11)は、不飽和カルボン酸の分岐ポリマー、疎水性モノマー、疎水性連鎖移動剤、架橋剤、および必要に応じて、立体安定剤を含む流体力学改変コポリマー組成物を開示する。このコポリマーによって、上昇したpHの環境を含む水性の電解質における粘度の増大が得られる。産生の方法は、溶液重合化プロセスである。このポリマーは0.25%未満、軽度に架橋される。
【0018】
US 6,020,291(特許文献12)は、金属切断作業における潤滑剤として用いられる水性金属作業流体を開示する。この流体は、ミスト抑制の分岐コポリマーを含み、これは疎水性および親水性のモノマー、ならびに必要に応じて、2つ以上のエチレン系不飽和結合を含むモノマーを含む。必要に応じて、金属作業流体は、水中油型エマルジョンであってもよい。このポリマーは、スルホナート含有および疎水性に修飾されたモノマーを含有するポリ(アクリルアミド類)に基づく。このポリマーは、連鎖移動剤を用いることなく、極めて少量のビス−アクリルアミドを用いることによって、ごくわずかな程度まで架橋される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際公開第2006/042033号(A2)パンフレット
【特許文献2】国際公開第2000/037542号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2008/03037612号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2007/135032号パンフレット
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0097685号明細書
【特許文献6】国際公開第2007/110333号パンフレット
【特許文献7】国際公開第98/18839号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0106133号(A1)明細書
【特許文献9】国際公開第99/46301号パンフレット
【特許文献10】国際公開第99/46310号パンフレット
【特許文献11】国際公開第02/34793号パンフレット
【特許文献12】米国特許第6,020,291号明細書
【発明の概要】
【0020】
分散剤、特にポリマー型分散剤は、バルクまたは連続媒体中で粒子を安定化するために用いられる。これらの粒子は、典型的には、連続相中で不溶性または不混和性であり、かつサブミクロンから数ミリメートルまでの大きさになる傾向がある。典型的には、この粒子は、固体で、数ナノメートルから、数ミクロンの範囲で不溶性の種である。分散された粒子のサイズを増大することで、凝集および分散相中での凝固がもたらされ、これは、高度に会合している基を有する結晶性物質または粒子について特に当てはまる。分散した粒子がバルク相内に均一に分布することが一般には必要であり、この目的を達するために分散補助剤が必要である。
【0021】
バルク相は、それが気体であっても、液体であっても、または固体であってもよい。一般には、バルク相は液体であり、分散剤がバルク相で完全にまたは部分的に溶解される場合、粒子のコロイド状懸濁物が生じる。バルク相はまた、煙の中のような、固体の微粒子のエアロゾルを生じさせる気体であってもよい。バルク相は、固体粒子がバルク固相に分散された固体、通常はいくつかのさらなる前処理工程、例えば粉末コーティングにより得られる固体であってもよい。
【0022】
分散剤はその効果を奏するために3つの重要な官能基(機能的な基)を保有しなければならない、すなわち:
固定基(anchoring group):これは、表面吸着、例えば、ファン・デル・ワールス相互作用(一般には、水性媒体中の疎水性材料の分散中で)、TT−TTスタッキング(疎水性色素とともに用いられる場合が多い)、静電気的相互作用(反対に荷電された分散剤が粒子とともに用いられる)などを介して、H結合(通常は自然のタンパク質または炭水化物ベースの分散剤との)を介して、または粒子との共有結合の形成を介して、により分散されるべき粒子と相互作用する。
溶媒和性基(solvating group):これは、分散相、通常は液体と相互作用する。ここで分散剤は、溶液またはバルク相と相互作用して、本質的に粒子の溶媒和をもたらし得る部分を保有しなければならない。水溶液中の疎水性粒子の分散のためには、これらの溶媒和性単位は、オリゴマーの水溶性基から構成される傾向がある。固体−固体分散または固体−気体分散においては、溶媒和性基の効果は一般的には少ない。
安定化基(stabilising group):一旦固定され溶媒和されれば、分散剤は、粒子−粒子の相互作用を軽減し、それによって粒子の凝集および最終的には沈殿の可能性を低減しなければならない。水性の系では、これは通常、静電気的反発力を生じる荷電された種の組み込みを介して達成される。溶媒和性基は、この機能を達成し得る。なぜなら、十分溶媒和されれば、この基は、粒子の周囲に膨潤したポリマーコロナを生じ得、それによって粒子−粒子の相互作用が軽減するからである。
【0023】
通常は、ポリマー型の分散剤内でこれらの役割を果たすためには異なる化学基が選択されるが、正確に選択されれば、同じ単位が複数の機能を果たし得る。
【0024】
分散剤が、バルク相内で完全には可溶性でない場合、分散剤は少なくとも混和性であることが一般には必要であるが、両親媒性分散剤の場合は、共溶媒を使用し、溶液pHを調節することによって達成され得る。
【0025】
それらの大きいサイズでかつ多重の固定、溶媒和および安定化の単位に起因して、ポリマーおよび特に、ブロックまたはグラフト(コーム(comb))構造を有するポリマーが特に有効な分散剤である。ブロックまたはグラフトのポリマーは、それらの構造全体にわたって、別個の固定、可溶化または安定化領域を有し、これらの特性の最大化をもたらすような方法で操作されてもよい。
【0026】
ブロックコポリマーは、2つ以上の事前形成されたオリゴマー種の反応、例えば、ε−カプロラクトンの開環などのような段階的成長手順や、ビニル系モノマーのリビング付加重合化を通じて形成されてもよい。通常は、ブロックコポリマーは、アニオン重合化などの段階的成長またはリビング重合化の手順を通じてモノマー種の連続的な付加を介して調製される。
【0027】
これらの重合化技術は、多段階のプロセスであって、官能性モノマーの選択が通常制限される。結果として、これらの材料は、高価である傾向であって、グラフトポリマーの高分子量ブロックが高濃度で用いられる場合、粘度の問題が頻繁にみられ得る。
【0028】
グラフトまたはコームのコポリマーは、事前形成されたマクロモノマーを、主要鎖モノマー(単数または複数)に結合させる連続的付加を介して、または事前形成されたオリゴマーの事前形成されたポリマー上へのグラフト化により調製される。ブロックコポリマーの場合のように、重合化は事実上、段階的成長または付加のいずれを介してもよい。
【0029】
グラフトおよびコームの両方のポリマーとも分散剤として有効に用いられ得るが、それらは、その分子量によって制限される傾向がある。さらに、これらの材料のいずれかの合成は、多段階であるか、または高価なモノマーもしくは試薬を使用し得る。溶解度の問題もまた、これらのポリマー中の種々のセグメントが特に大きい場合、特にそれらが結晶化し得るかまたはその固体型で強力に相互作用する場合に生じ得る。
【0030】
いくつかの分岐ポリマー分散剤が調製されて、分散剤として用いられるが、これらの材料を調製するほとんどの共通の型は、ここでも多段階プロセス、ほとんど共通して段階的成長重合化を通じてである。合成例の多くは、市販の材料ポリ(エチレンイミン)で、この本質的に分岐したポリマーがさらに、最終用途に応じ、長鎖の親水性、疎水性または両親媒性の基と反応される。ここでもこの合成経路は、多段階であり、多くの場合、精製またはごくわずかな単離手順を包含する。
【0031】
反応性骨格はまた、ABx工程成長重合化手順を用いて調製されてもよい。ここでこのモノマーは、それが自身と多重で反応し得るので多官能性を有する;1つのモノマーは、エステル化などの凝縮反応を通常介して、少なくとも2つのさらなるモノマーなどと反応し得、例えば、モノマーは、1つのカルボキシル基および2つのヒドロキシル基を保有する。この種のポリマーはやはり、そのモノマーの分類(高価な傾向である)によって限定され、有効な固定、可溶化または安定化を得るためには、この分散剤は、さらなる化学的な修飾を必要とする。
【0032】
分岐付加コポリマー分散剤は、それらが多数の市販のモノマーおよび連鎖移動剤を利用する「ワンポット(one-pot)」手順を介して調製され得るという点で有利である。従って、この分散剤の特定の要件に対して、それらの大きいサイズおよび複数の固定ポイントを通じた表面相互作用を最大化しながら、化学構造が調整され得る。グラフト様構造はまた、重合化プロセスにおいてビニル系マクロモノマーを利用して調製され得るが、ポリマーの末端は、ほぼブロック様の特性を得るために、連鎖移動剤の選択を通じて制御され得る。
【0033】
ブロックまたはグラフトポリマー分散剤と異なり、これらの分岐された付加コポリマー分散剤は、高分子量で調製されてもよく、それらは強力な表面およびバルク媒体の相互作用を提供する。上述のとおり、この構造の「同調可能な(tunable)」性質は、最強の分散力を提供するように調整されてもよい。樹状構造は、特に有効な分算剤であることが公知であるが、それらの使用は、このポリマーが高価であることおよび利用可能な分子量が低いことに起因して限定される。産業上利用可能な分岐付加コポリマーはまた、有効な分散剤としても用いられ得ることが現在見出されている。従って、本発明の目的は、下に実証されるとおり、気相、液相または連続相内に粒子状固体を分散するための種々の分散剤適用における、分散剤中でのこれらの材料の使用である。しかし、分散剤適用は下に列挙される適用に限定されるものではない。
【0034】
本発明の分岐コポリマー分散剤または分散剤組成物は、本発明によれば低レベルで用いられてもよく、強力な粒子相互作用で高い溶解度を有し、低い溶液粘性の分散を生じる。この分散剤はまた、高分散相組成物が形成される可能性をもたらす低用量レベルで用いられてもよい。記載した分散剤物質の分岐した構造は、類似の直鎖状の物質と比較した場合、強化された能力を有し、低レベルで用いることができ、低粘性の分散溶液が得られる。
【0035】
さらに、ここで説明した分岐付加ポリマー分散剤は、溶媒中の分散性色素粒子のような液体組成物中で固体粒子を安定化するために用いられる場合、処理および粉砕時間の減少をもたらし得る。
【0036】
ポリマー分散剤の構造に芳香族基を組み込むことによって、特に処理および未処理の色素を分散するために用いる場合には、疎水性粒子および色素との強力な相互作用が可能になる。
【0037】
さらに、分岐付加ポリマーを用いて形成される分散物は、直鎖状の分散系と比較した場合、匹敵するかまたは低い粘性について高い分散相濃度を有するので、これは、色素組成物のために利用した場合、より高い色素強度およびより大きい適用速度をもたらし得ることが見出された。
【0038】
従って、本発明の分散剤または分散組成物は、以下の技術的領域に適用され得る:
適用:
−色素の分散において:色素としては、有機、無機、金属、真珠光沢、表面処理および未処理の色素であって、インク、塗料、シーラント、染色、粉末コーティングおよび射出成型の調製における色素が挙げられる。
−金属塩の分散において、例えば、無機ファウリング(fouling)の阻害、冷却水の再循環、抗スケーリング、蒸留、ボイラー水、油田の液体、オイル潤滑添加物(オイル「界面活性剤」)、ならびに建築資材、例えば、セメントおよび石膏などにおいて。
−金属粒子の分散において、例えば、切断および粉砕流体、オイル潤滑剤、金属コーティング、粉末コーティングならびにプライマーおよび鉱物(mineral)処理など。
−有機「活性剤」の分散において、例えば、製薬/農芸化学/殺生物剤の産業など、および食品着色料、香料、芳香剤の食品産業など、ならびにまた化粧品および日焼け用製品など。
−この分散剤または分散組成物はまた、例えば、生物付着を妨げるための生物体の分散においても用いられ得る。
【0039】
従って、本発明の第一の態様によれば、気体、液体または固体の組成物における分散剤としての分岐付加コポリマーの使用であって、前記コポリマーは、付加重合化プロセスによって得られ、以下を含む:
少なくとも2つの鎖であって、その末端以外で架橋によって共有結合される鎖であり、前記少なくとも2つの鎖は、少なくとも1つのエチレン系一価不飽和モノマーを含み、前記架橋は、少なくとも1つのエチレン系多価不飽和モノマーを含み、
前記ポリマーは、連鎖移動剤の残基を含み、
一価不飽和モノマー(単数または複数)に対する多価不飽和モノマー(単数または複数)のモル比は、1:100〜1:4の範囲であり、
前記分岐コポリマー分散剤は、固定、溶解または安定化の部分を含み、得られたコポリマー得られたコポリマーは、少なくとも10%のスチレン系モノマー、ブランチャーまたは連鎖移動剤を含む。
【0040】
本発明の第一の態様による分岐コポリマーは、液相内の固体粒子を安定化して安定な分散を形成するための分散剤として用いられてもよいし、または分岐コポリマー分散剤は、固相内の固体粒子を安定化して安定な分散を形成するために用いられてもよい。あるいは、この分岐コポリマー分散剤は、気相内の固体粒子を安定化して安定な分散剤を形成するために用いられてもよい。
【0041】
安定化されるべき固体粒子は、疎水性または親水性の液体中の粒子であってもよい。
【0042】
本発明の第一の態様による分岐コポリマーは、5,000Da〜1,000,000Daの重量平均分子量を有する。さらに好ましくは、この分岐コポリマーは、2,000Da〜1,000,000Daの重量平均分子量を有する。
【0043】
本発明の第一の態様による分岐コポリマーは、適用の範囲で用いてもよい。例えば、分岐コポリマーは、色素の分散剤として用いられてもよく、ここでこの色素は、有機、無機、金属および真珠光沢の色素を含んでもよい。さらに、この分岐コポリマーは、インク、塗料、シーラント、染色、粉末コーティングおよび射出成型の適用のための分散剤として用いられてもよい。
【0044】
本発明の第一の態様による分岐コポリマーはまた、金属塩および金属粒子の分散剤として用いられ得る。例えば、このような適用としては、無機ファウリングを阻害するシステム中での使用、冷却水の再循環、抗スケーリング適用ならびに蒸留およびボイラー水を挙げることができる。
【0045】
さらに、本発明の第一の態様による分岐コポリマーはまた、セメントおよび/または粉末コーティング、例えば、石膏のための分散剤として用いられ得る。
【0046】
さらに、本発明の第一の態様による分岐コポリマーはまた、例えば、油田流体およびオイル潤滑添加物(オイル「デタージェント」)等の潤滑媒体のための分散剤として用いられてもよい。
【0047】
同様に、本発明の第一の態様による分岐コポリマーは、有機活性物、例えば、製薬、農芸化学、殺生物剤、食品着色料、香味料および香料の技術分野における活性化合物などのための分散剤として、ならびにまた生物体のための分散剤(ここでは、分散剤が生体付着を防ぐために必要である)として用いられてもよい。
【0048】
本発明の第一の態様による分岐コポリマーは好ましくは、ポリマーに対する分散相の比が0.1:1〜1000:1の範囲であるように分散剤として用いられる。さらに好ましくは、このポリマーは、ポリマーに対するこの分散された相の比は、0.1:1〜500:1の範囲であるよう分散に対して適用され、最も好ましくは、ポリマーに対するこの分散された相の比は、0.2:1〜200:1の範囲であるよう分散に対して適用される。
【0049】
本発明の分岐コポリマー分散剤は、分岐した、非架橋付加ポリマーであって、かつ統計的、ブロック、グラフト、勾配および交互の分岐コポリマーを包含する。本発明のコポリマーは、その末端以外で架橋によって共有結合される少なくとも2つの鎖を含み、すなわち、このコポリマーのサンプルは、その末端以外で架橋によって共有結合されている、平均して少なくとも2つの鎖を含む。コポリマーのサンプルが作製される場合、製造方法(付加重合化プロセス)に内在する理由で、分岐されていないいくつかのポリマー分子が偶発的に存在してもよい。同じ理由で、少量のポリマーは、鎖の末端に連鎖移動剤(CTA)を有さない。これらの分散剤は、低レベルで用いられてもよく、強力な粒子相互作用で高い溶解度を有し、低い溶液粘性の分散を生じる。
【0050】
本発明による分岐コポリマーを調製する場合、連鎖移動剤が使用される。連鎖移動剤(CTA)とは、連鎖移動機構を介したフリーラジカル重合化の間に分子量を減少することが公知である分子である。分散力は、連鎖移動剤の選択により調整される。これらの剤は、任意のチオール含有分子であってもよく、かつ単官能性であってもまたは多官能性であってもよい。この剤は、親水性、疎水性、両親媒性、陰イオン性、陽イオン性、中性、両性イオン性であってもまたは応答性であってもよい。この分子はまた、オリゴマーであってもまたは事前形成されたポリマー(チオール部分含有)であってもよい。(この剤はまた、ヒンダードアルコールまたは類似のフリーラジカル安定化剤であってもよい)。触媒性の連鎖移動剤、例えば、コバルトビス(ボロンジフルオロジメチル−グリオキシメート)(CoBF)などの遷移金属錯体に基づく剤なども用いられてもよい。適切なチオールとしては限定するものではないが、例えば、ドデカンチオールのようなC〜C18の分岐または直鎖状のアルキルチオール類、例えば、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、チオグリセロール、システインおよびシステアミンのような官能性チオール化合物類が挙げられる。また例えば、ポリ(システイン)のようなチオール含有のオリゴマーもしくはポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)(ジ)チオグリコレートのような、後で官能化され、単数または複数のチオール基を導入されたオリゴマーもしくはポリマー、あるいはチオール基で官能化された事前形成されたポリマーなども用いられてもよい。例えば、末端または側鎖の官能化されたアルコールの反応、例えば、ポリ(プロピレングリコール)とチオブチロラクトンとの反応によって、対応するチオール−官能化された鎖伸長ポリマーが得られる。多官能性チオール類はまた、キサントゲン酸塩、ジチオエステルまたはトリチオカルボネートの還元、可逆的付加開裂移動(Reversible Addition Fragmentation Transfer)(RAFT)を介する末端官能化ポリマー、またはリビングラジカル法によるキサントゲン酸塩類交換の高分子設計(Macromolecular Design by the Interchange of Xanthates)(MADIX)によって調製されてもよい。キサントゲン酸塩類、ジチオエステル類、およびジチオカルボネート類、例えば、クミルフェニルジチオアセテートもまた用いられてもよい。別の連鎖移動剤は、アルキルハライド類および遷移金属の塩または錯体を含めて、フリーラジカル付加重合化において分子量を制限することが公知である任意の種であってもよい。1以上の連鎖移動剤を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
疎水性のCTA類としては、限定するものではないが、直鎖状および分岐したアルキルおよびアリール(ジ)チオール類、例えば、ドデカンチオール、オクタデシルメルカプタン、2−メチル−1−ブタンチオールおよび1,9−ノナンジチオールが挙げられる。疎水性のマクロ−CTA類(ここでCTAの分子量は、少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)続いて鎖末端の還元によって合成される疎水性ポリマーから調製されてもよいし、あるいは事前形成された疎水性ポリマーの末端のヒドロキシル基が、チオブチロラクトンなどの化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0052】
親水性のCTA類は典型的には、水素結合および/または永続的もしくは一時的な変化を含む。親水性のCTA類としては限定するものではないが以下が挙げられる:チオ−酸類、例えば、チオグリコール酸およびシステイン、チオアミン類、例えば、システアミンおよびチオ−アルコール類、例えば、2−メルカプトエタノール、チオグリセロールおよびエチレングリコールモノ−(およびジ−)チオグリコレート。親水性のマクロ−CTA類(ここで、このCTAの分子量は少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)続いて鎖末端の還元によって合成される親水性ポリマーから調製されてもよいし、あるいは事前形成された親水性ポリマーの末端のヒドロキシル基が、チオブチロラクトンなどの化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0053】
両親媒性のCTA類はまた、重合化混合物中に組み込まれてもよく、これらの材料は典型的には、限定するものではないが、カルボン酸基などの親水性官能基を保有する、疎水性のアルキル含有チオール類である。この種類の分子としては、メルカプトウンデシレン酸が挙げられる。
【0054】
反応性のマクロ−CTA類(ここで、このCTAの分子量は少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)続いて鎖末端の還元によって合成される反応性のポリマーから調製されてもよいし、あるいはポリ(プロピレングリコール)のような事前形成された反応性のポリマーの末端のヒドロキシル基が、チオブチロラクトンなどの化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0055】
スチレン系の連鎖移動剤としては、限定するものではないが、以下が挙げられる:芳香族E基もしくはZ基を含むRAFTまたはMADIX剤のチオ、フェノール、ブロモメチルベンゼンなどの芳香族官能基を含む分子。非チオール芳香族連鎖移動剤、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンも用いてもよい。
【0056】
連鎖移動剤の残基は、コポリマー中、0.05〜80モル%(単官能性モノマーのモル数に基づく)含んでもよい。より好ましくは、連鎖移動剤の残基は、コポリマー中、0.05〜50モル%、さらにそれより好ましくは、コポリマー中、0.05〜40モル%(多官能性モノマーのモル数に基づく)を含む。しかし、とりわけ、この連鎖移動剤は、コポリマー中、0.05〜30モル%(単官能性モノマーのモル数に基づく)を含む。このポリマーの分散力は、CTAの選択を通じて制御され得る。なぜならこれらの残基は存在する場合、固定、溶媒和化または安定化の基として機能し得るからである。
【0057】
未反応の単官能性モノマー、多官能性モノマー、連鎖移動剤および開始剤由来の残留する材料または不純物は、モノマーのモル数に基づき、コポリマー中0.05〜20モル%含むことも好ましい。より好ましくは、未反応の単官能性モノマー、多官能性モノマー、連鎖移動剤および開始剤由来の残留する材料または不純物は、コポリマー中、モノマーのモル数に基づき、0.05〜10モル%含む。最も好ましくは、未反応の単官能性モノマー、多官能性モノマー、連鎖移動剤および開始剤由来の残留する材料または不純物は、モノマーのモル数に基づき、コポリマー中0.05〜5モル%を含む。
【0058】
開始剤は、フリーラジカル開始剤であって、フリーラジカルの重合化を開始することが公知の任意の分子、例えば、アゾ含有分子、過硫酸塩、レドックス開始剤、過酸化物およびベンジルケトン類などであってもよい。これらは、熱、光分解性または化学的な方法を介して活性化され得る。これらの例としては、限定するものではないが以下が挙げられる:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジイソプロピル、クミルペルオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、過酸化水素/アスコルビン酸。イニファーター(lniferters)、例えば、ベンジル−N,N−ジエチルジチオカルバメートも用いられ得る。ある場合には、2つ以上の開始剤を用いてもよい。開始剤は、少なくとも1000ダルトンの分子量を有するマクロ開始剤であってもよい。この場合、このマクロ開始剤は、事実上、親水性、疎水性または反応性であってもよい。ポリマーの分散力は、開始剤の選択を通じて、特に高分子のシュードリビングラジカル開始剤(pseudo living radical initiator)が利用される場合は制御され得る。なぜなら、これらの残基が存在する場合、固定、溶媒和化または安定化の基として機能し得るからである。
【0059】
好ましくは、フリーラジカルの重合化における開始剤の残基は、コポリマー中、モノマーの総重量に基づいて0〜10%w/wを含む。より好ましくは、コポリマー中、0.001〜8%w/w、および特にコポリマー中、0.001〜5%w/w(モノマーの総重量に基づく)である。
【0060】
連鎖移動剤および開始剤の使用が好ましい。しかし、いくつかの分子は、両方の機能を果たし得る。
【0061】
親水性のマクロ開始剤(ここで事前形成されたポリマーの分子量は少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)よって合成される親水性のポリマーから調製されてもよいし、またはここで末端ヒドロキシル基のような事前形成された親水性ポリマーの官能基が、CuBrビピリジルなどの適切な低原子価遷移金属触媒での原子移動ラジカル重合(ATRP)における使用のために、2−ブロモイソブチリルブロミドなどの官能性ハライド化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0062】
疎水性のマクロ開始剤(事前形成されたポリマーの分子量は少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)よって合成される親水性のポリマーから調製されてもよいし、またはここで末端ヒドロキシル基のような事前形成された親水性ポリマーの官能基が、CuBrビピリジルなどの適切な低原子価遷移金属触媒での原子移動ラジカル重合(ATRP)における使用のために、2−ブロモイソブチリルブロミドなどの官能性ハライド化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0063】
応答性のマクロ開始剤(この事前形成されたポリマーの分子量は少なくとも1000ダルトンである)は、RAFT(またはMADIX)よって合成される応答性のポリマーから調製されてもよいし、またはここで末端ヒドロキシル基のような事前形成された親水性ポリマーの官能基が、CuBrビピリジルなどの適切な低原子価遷移金属触媒での原子移動ラジカル重合(ATRP)における使用のために、2−ブロモイソブチリルブロミドなどの官能性ハライド化合物を用いて後で官能化されてもよい。
【0064】
単多官能性モノマーは、付加重合化機構によって重合化され得る任意の炭素−炭素の不飽和化合物、例えば、ビニルおよびアリル化合物を含んでもよい。この分岐ポリマー分散剤の分散力、固定、溶媒和化または安定化の単位の比および種類は、単官能性モノマーの選択を通じて制御され得る。単官能性モノマーは、実質的に、親水性、疎水性、両親媒性、陰イオン性、陽イオン性、天然または両性イオン性であってもよい。この単官能性モノマーは、限定するものではないが、以下のようなモノマーから選択されてもよい:ビニル酸類、ビニル酸エステル類、ビニルアリール化合物類、ビニル酸無水物類、ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアミン類、ビニルアリールアミン類、ビニルニトリル類、ビニルケトン類、および前述の化合物の誘導体、ならびにその対応するアリル改変体。
【0065】
他の適切な単官能性モノマーとしては以下が挙げられる:ヒドロキシル含有モノマーおよびヒドロキシル基を形成するように後で反応され得るモノマー、酸含有または酸官能性モノマー、両性イオン性モノマー、および四級化アミノモノマー。オリゴマー、ポリマーおよび二官能化または多官能化されたモノマーがまた、特に、オリゴマーのもしくはポリマーの(メタ)アクリル酸エステル類、例えば、ポリアルキレングリコールもしくはポリジメチルシロキサンのモノ(アルキ/アリール)(メタ)アクリル酸エステル類、または低分子量オリゴマーの任意の他のモノ−ビニルもしくはアリル添加物もまた用いられてもよい。2つ以上のモノマーの混合物をまた用いて、統計的な、グラフト、勾配または交互性のコポリマーを得てもよい。
【0066】
ビニル酸類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの酸ハライド類、例えば、(メタ)塩化アクリロイル。ビニル酸エステル類およびそれらの誘導体としては、以下が挙げられる:C〜C20アルキル(メタ)アクリレート類(直鎖状または分岐)、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど;アリール(メタ)アクリレート類、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートなど;トリ(アルキルオキシ)シリルアルキル(メタ)アクリレート類、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートなど;ならびに(メタ)アクリル酸の活性化エステル類、例えば、N−ヒドロキシスクシンアミド(メタ)アクリレート。ビニルアリール化合物類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:スチレン、アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸、2−および4−ビニルピリジン、ビニルベンジルクロライドおよび安息香酸ビニル。ビニル酸無水物類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:無水マレイン酸。ビニルアミド類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、[3−((メタ)アクリルアミド)プロピル]ジメチルアンモニウムクロライド、3−[N−(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アミノプロパンスルホナート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテルおよびN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド。ビニルエーテル類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:メチルビニルエーテル。ビニルアミン類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレートおよび後で反応されて、N−ビニルホルムアミドのようなアミン基を形成し得るモノマー。ビニルアリールアミン類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:ビニルアニリン、2および4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾールおよびビニルイミダゾール。ビニルニトリル類およびそれらの誘導体としては以下が挙げられる:(メタ)アクリロニトリル。ビニルケトン類およびそれらの誘導体としてはアクレオリンが挙げられる。
【0067】
ヒドロキシル含有モノマーとしては以下が挙げられる:ビニルヒドロキシルモノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、’1−および2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートおよび糖モノ(メタ)アクリレート類、例えば、グルコースモノ(メタ)アクリレート。後で反応されてヒドロキシル基を形成し得るモノマーとしては以下が挙げられる:酢酸ビニル、アセトキシスチレンおよびグリシジル(メタ)アクリレート。酸含有または酸官能性モノマーとしては以下が挙げられる:(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸、安息香酸ビニル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリルアミド2−エチルプロパンスルホン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネートおよびアンモニウムスルファトエチル(ammonium sulfatoethyl)(メタ)アクリレート。両イオン性モノマーとしては以下が挙げられる:(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびベタイン類、例えば、[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド。四級化アミノモノマーとしては以下が挙げられる:(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−(アルキ/アリール)アンモニウムハライド類、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド。
【0068】
オリゴマーおよびポリマーのモノマーとしては以下が挙げられる:オリゴマーおよびポリマーの(メタ)アクリル酸エステル類、例えば、モノ(アルキ/アリール)オキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類およびモノ(アルキ/アリール)オキシポリジメチル−シロキサン(メタ)アクリレート類。これらのエステル類としては以下が挙げられる、例えば:モノメトキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートおよびモノヒドロキシポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート。さらなる例としては以下が挙げられる:ビニルもしくはアリルエステル類、開環重合化を介して形成される、事前に形成されたオリゴマーまたはポリマーのアミド類またはエーテル類、例えば、オリゴ(カプロラクタム)、オリゴ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクタム)もしくはポリ(カプロラクトン)、またはリビング重合化技術を介して形成されたオリゴマーもしくはポリマー、例えば、ポリ(1,4−ブタジエン)。
【0069】
上記で列挙されたものに対する対応するアリルモノマーもまた、必要に応じて用いられてもよい。
【0070】
好ましい単官能性モノマーの例としては以下が挙げられる:
アミド含有モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、Nおよび/またはN’−ジ(アルキルまたはアリール)(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、[3−((メタ)アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライド、3−(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−[N−(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アミノプロパンスルホナート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテルおよびN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリル酸およびその誘導体、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)塩化アクリロイル(または任意のハライド)、(アルキル/アリール)(メタ)アクリレート;官能化されたオリゴマーまたはポリマーのモノマー、例えば、モノメトキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシオリゴ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシオリゴ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノメトキシポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、モノヒドロキシポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートおよび糖モノ(メタ)アクリレート類、例えば、グルコースモノ(メタ)アクリレート;ビニルアミン類、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノ−t−ブチルアミノ(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート;ビニルアリールアミン類、例えば、ビニルアニリン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、およびモノマー(後で反応されて、アミン基を形成し得る)、例えば、ビニルホルムアミド;ビニルアリールモノマー、例えば、スチレン、ビニルベンジルクロライド、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸、ビニルナフタレンおよび安息香酸ビニル;ビニルヒドロキシルモノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートまたはモノマー(後でヒドロキシル基に官能化され得る)、例えば、酢酸ビニル、アセトキシスチレンおよびグリシジル(メタ)アクリレート;酸含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸,安息香酸ビニル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリルアミド2−エチルプロパンスルホン酸およびモノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネートまたは酸無水物類、例えば、無水マレイン酸;両イオン性モノマー、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびベタイン含有モノマー、例えば、[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド;四級化アミノモノマー、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド。
【0071】
対応するアリルモノマーが必要に応じて、各々の場合に用いられてもよい。
【0072】
官能性モノマー、すなわち、重合化後、別の部分で後に修飾または前に修飾され得る反応性のペンダント基を有するモノマー、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、トリ(アルコキシ)シリルアルキル(メタ)アクリレート類、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)塩化アクリロイル、無水マレイン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸、ビニルベンジルクロライド、(メタ)アクリル酸の活性化エステル類、例えば、N−ヒドロキシスクシンアミド(メタ)アクリレートおよびアセトキシスチレンなどもまた用いられ得る。
【0073】
マクロモノマー(少なくとも1000ダルトンの分子量を有するモノマー)は一般には、ビニルもしくはアリル基のような重合可能部分を、エステル、アミドまたはエーテルのような適切な架橋単位を介し、事前に形成された単官能性ポリマーに対して連結することによって形成される。適切なポリマーの例としては以下が挙げられる:単官能性ポリ(アルキレンオキシド類)、例えば、モノメトキシ[ポリ(エチレングリコール)]またはモノメトキシ[ポリ(プロピレングリコール)]、シリコーン類、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)類、開環重合化によって形成されるポリマー、例えば、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(カプロラクタム)または単官能性ポリマー(リビング重合化を介して形成される)、例えば、ポリ(1,4−ブタジエン)。
【0074】
好ましいマクロモノマーとしては以下が挙げられる:モノメトキシ−またはヒドロキシル−[ポリ(エチレングリコール)]モノ(メタクリレート)、モノメトキシ−またはヒドロキシル−[ポリ(プロピレングリコール)]モノ(メタクリレート)およびモノ(メタ)アクリルオキシプロピル−末端ポリ(ジメチルシロキサン)。
【0075】
単官能性モノマーが、コポリマー中に必須の親水性を提供されている場合、この単官能性モノマーは、親水性の単官能性モノマー(好ましくは、少なくとも1000Da、より好ましくは少なくとも300Daの分子量を有する)の残基であることが好ましい。
【0076】
親水性の単官能性モノマーとしては以下が挙げられる:(メタ)塩化アクリロイル、N−ヒドロキシスクシンアミド(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルホルムアミド、四級化アミノモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、[3−((メタ)アクリルアミド)プロピル]トリメチルアンモニウムクロライドおよび(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、3−[N−(3−(メタ)アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アミノプロパンスルホナート、メチル(メタ)アクリルアミドグリコレートメチルエーテル、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、モノメトキシおよびモノヒドロキシオリゴ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、糖モノ(メタ)アクリレート類、例えば、グルコースモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ビニルホスホン酸、フマル酸、イタコン酸、2−(メタ)アクリルアミド2−エチルプロパンスルホン酸、モノ−2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネート、アンモニウムスルファトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリンおよびベタイン含有モノマー、例えば、[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]ジメチル−(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド。親水性のマクロモノマーも用いられてもよく、これには以下が挙げられる:モノメトキシおよびモノヒドロキシポリ(エチレンオキシド)(メタ)アクリレートならびに他の親水性ポリマー((メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン系基などの重合可能部分によって後で官能化され得る末端官能基を有する)。
【0077】
疎水性の単官能性モノマーとしては以下が挙げられる:C〜C28アルキル(メタ)アクリレート類(直鎖状および分岐したおよび(メタ)アクリルアミド類、例えば、メチル(メタ)アクリレートおよびステアリル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート類、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、トリ(アルキルオキシ)シリルアルキル(メタ)アクリレート類、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、アセトキシスチレン、ビニルベンジルクロライド、メチルビニルエーテル、ビニルホルムアミド、(メタ)アクリロニトリル、アクレオリン、1−および2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、5−ビニル2−ノルボルネン、イソボルニルメタクリレートおよびグリシジル(メタ)アクリレート。疎水性のマクロモノマーも用いられてもよく、これには以下が挙げられる:モノメトキシおよびモノヒドロキシポリ(ブチレンオキシド)(メタ)アクリレートならびに他の疎水性ポリマー((メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン基などの重合化可能部分によって後に官能化され得る末端官能基を有する)。
【0078】
応答性の単官能性モノマーとしては以下が挙げられる:(メタ)アクリル酸、2−および4−ビニルピリジン、安息香酸ビニル、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、三級アミン(メタ)アクリレート類および(メタ)アクリルアミド類、例えば、2−(ジメチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびN−モルホリノエチル(メタ)アクリレート、ビニルアニリン、2−および4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸および安息香酸ビニル。反応性のマクロモノマーも用いられてもよく、これには以下が挙げられる:モノメトキシおよびモノヒドロキシポリ(プロピレンオキシド)(メタ)アクリレートならびに他の応答性ポリマー((メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン基などの重合化可能部分によって後に官能化され得る末端官能基を有する)。
【0079】
しかし、好ましいモノマーは、スチレンに由来するかもしくはスチレンに基づくもの、あるいはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、ビニルナフタレン、ビニル安息香酸、N−ビニルカルバゾール、2−、3−もしくは4−ビニルピリジン、ビニルアニリン、アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸、ベンジルメタクリレート、ビニルイミダゾールまたはそれらの誘導体のような、芳香族官能性を有するものである。
【0080】
多官能性モノマーまたはブランチャー(brancher)は、付加重合化を介して重合化され得る少なくとも2つのビニル基を含む分子を含んでもよい。この分子は、親水性、疎水性、両親媒性、中性、陽イオン性、両性イオン性、オリゴマーまたはポリマーであってもよい。このような分子は、文献中では架橋剤として公知である場合が多く、任意の二官能性または多官能性の分子と安定に反応性のモノマーとを反応させることによって調製され得る。例としては以下が挙げられる:ジビニルまたはマルチビニルエステル類、ジビニルまたはマルチビニルアミド類、ジビニルまたはマルチビニルアリール化合物類、ジビニルまたはマルチビニルアルキ/アリールエーテル類。典型的には、オリゴマーもしくはポリマーの二官能性または多官能性の分岐剤の場合、架橋反応を用いて、二官能性または多官能性のオリゴマーまたはポリマーに対して重合可能な部分を結合する。ブランチャーは、それ自体が、2つ以上の分岐ポイント、例えば、T形のジビニルオリゴマーまたはポリマーを有してもよい。ある場合には、2つ以上の多官能性モノマーを用いてもよい。この多官能性モノマーが、コポリマーにおいて必須の疎水性を与えられている場合、この多官能性モノマーは、少なくとも1000ダルトン、より好ましくは少なくとも300Daという分子量を有することが好ましい。
【0081】
上記で列挙されるものに対応するアリルモノマーも必要に応じて用いられてもよい。
【0082】
好ましい多官能性モノマーとしては、限定するものではないが以下が挙げられる:ジビニルアリールモノマー、例えば、ジビニルベンゼン;(メタ)アクリレートジエステル類、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート;ポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート類、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート;ジビニル(メタ)アクリルアミド類、例えば、メチレンビスアクリルアミド;シリコーン含有ジビニルエステル類またはアミド類、例えば、(メタ)アクリルオキシプロピル−末端ポリ(ジメチルシロキサン);ジビニルエーテル類、例えば、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル;ならびにテトラ−またはトリ−(メタ)アクリレートエステル類、例えば、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはグルコース2−〜5(メタ)アクリレート。さらなる例としては、開環重合化を介して形成された事前形成されたオリゴマーもしくはポリマーのビニルまたはアリルエステル類、アミド類またはエーテル類、例えば、オリゴ(カプロラクタム)、オリゴ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクタム)もしくはポリ(カプロラクトン)、またはリビング重合化技術を介して形成されたオリゴマーもしくはポリマー、例えば、オリゴ−もしくはポリ(1,4−ブタジエン)が挙げられる。
【0083】
マクロ架橋剤(macrocrosslinkers)またはマクロブランチャー(macrobranchers)(少なくとも1000ダルトンの分子量を有する多官能性モノマー)は一般には、エステル、アミドまたはエーテルのような適切な架橋単位を介して、事前に形成された多官能性ポリマーに対して、ビニルまたはアリール基のような重合可能部分を連結することによって形成される。適切なポリマーの例としては以下が挙げられる:二官能性ポリ(アルキレンオキシド類)、例えば、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(プロピレングリコール)、シリコーン類、例えば、ポリ(ジメチルシロキサン)類、開環重合化によって形成されるポリマー、例えば、ポリ(カプロラクトン)またはポリ(カプロラクタム)または多官能性ポリマー(リビング重合化を介して形成される)、例えば、ポリ(1,4−ブタジエン)。
【0084】
好ましいマクロブランチャーとしては以下が挙げられる:ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、メタクリルオキシプロピル−末端ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(カプロラクトン)ジ(メタ)アクリレートおよびポリ(カプロラクタム)ジ(メタ)アクリルアミド。
【0085】
ブランチャーとしては以下が挙げられる:メチレンビスアクリルアミド、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グルコースジ−およびトリ(メタ)アクリレート、オリゴ(カプロラクタム)ならびにオリゴ(カプロラクトン)。多重末端官能化親水性ポリマーはまた、適切な重合可能部分、例えば、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン基を用いて官能化されてもよい。
【0086】
さらなるブランチャーとしては以下が挙げられる:ジビニルベンゼン、(メタ)アクリレートエステル類、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、オリゴ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート類、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ−またはトリ−(メタ)アクリレートエステル類、例えば、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびグルコースペンタ(メタ)アクリレート。多重末端官能化疎水性ポリマーはまた、適切な重合可能部分、例えば、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン基を用いて官能化されてもよい。
【0087】
多官能性の応答性ポリマーはまた、適切な重合可能部分、例えば、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドまたはスチレン基、例えば、ポリプロピレンオキシド)ジ(メタ)アクリレートを用いて官能化されてもよい。
【0088】
スチレン系のブランチャー、または芳香族官能基を含むものが特に好ましく、これには、ジヒドロキシジメチルベンゼンの1,4もしくは1,3もしくは1,2誘導体のジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アクリレートまたはメタクリレート誘導体およびそれらの誘導体が挙げられる。
【実施例】
【0089】
以下の非限定的な実施例を参照し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0090】
以下の実施例では、コポリマーは、以下の命名法を用いて記載される:
(モノマーG)(モノマーJ)(ブランチャーL)(連鎖移動剤)
ここで、下付きの値は、単官能性モノマーの値を100となるように正規化された各々の成分のモル比、すなわち、g+j=100である。分岐の程度または分岐レベルは、lによって示され、dは連鎖移動剤のモル比を指す。
【0091】
例えば:
スチレン100エチレングリコールジメタクリレート15ドデカンチオール15とは、スチレン:エチレングリコールジメタクリレート:ドデカンチオールを100:15:15のモル比で含有するポリマーを記述している。
【0092】
略号:
モノマー:
AA−アクリル酸
DMA−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート
EMA−エチルメタクリレート
LMA−ラウリルメチルアクリレート
PEGMA−ポリ(エチレングリコール)メタクリレート1000Da
PEG2kMA−ポリ(エチレングリコール)メタクリレート2000Da
ST−スチレン
VP−4−ビニルピリジン
【0093】
ブランチャー:
DVB−ジビニルベンゼン
EGDMA−エチレングリコールジメタクリレート
TEGDMA−トリエチレングリコールメタクリレート
【0094】
連鎖移動剤CTA
DDT−ドデカンチオール
2,4−DMP−2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
3−MPA−3−メルカプトプロピオン酸
【0095】
開始剤
AIBN−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル
TBPO−ジ−tertブチルペルオキシド
V−88−Vaso88, 1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)
【0096】
溶媒
MPA−1−メトキシ−2−プロピルアセテート
PGDA−プロピレングリコールジアセテート
THF−テトラヒドロフラン
DPGDA−ジプロピレングリコールジアクリレート
【0097】
表1中のポリマー材料に関する一般的な合成手順
モノマー、ブランチャー、連鎖移動剤、開始剤および溶媒を、オーバーヘッドスターラーを装備したガラス容器に加えた。その容器を密閉し、30〜60分間、溶液への窒素のバブリングによって脱気した。次いでこの容器を、17時間、絶えず撹拌しながら、設定温度まで加熱した。この後のモノマーの変換は、99%を超えることが見出された。次いで、得られたポリマー溶液を精製なしに用いるか、あるいはポリマーを非溶媒中に沈殿させ、濾過によって単離し、乾燥して用いた。
【0098】
GPC手順
三重検出のサイズ排除クロマトグラフィー(Triple Detection-Size Exclusion Chromatography)をビスコテク(Viscotek)三重検出装置で行った。用いたカラムは2つのViscoGel HHR−Hカラムおよびポリスチレンの排除限界が10g・mol−1のガードカラムであった。テトラヒドロフラン(THF)が移動相であって、カラムのオーブン温度は、35℃に設定し、流速は1mL・分−1であった。インジェクション用サンプルは、10mgのポリマーをHPLCグレードのTHF1.0mL中に溶解し、アクロディスク(Acrodisc;登録商標)0.2μmのPTFE膜を用いて濾過して調製した。次いでこの混合物の0.1mLを注入し、そのデータを30分間集めた。オムニセック(Omnisec)を用いて、検出器からコンピューターに伝達されるシグナルを集めて処理し、ポリマーの分子量を算出した。
【0099】
レオロジー測定手順
全ての溶液は、CP2°/52mmコーンを装備したボーリン(Bohlin) CVO 120制御ストレスレオメータを用いて測定した。ミル(mill)ベース溶液を、25℃で測定し、0.4〜1000s−1で漸増する剪断速度での粘度を記録した。レット−ダウン(let-down)溶液は、25℃で、600s−1の固定剪断速度で測定した。
【0100】
粒子サイズ測定の手順
ガラスキュベットの総容積の四分の三までを、適切な溶媒で充填した。この溶媒に、レットダウン溶液をパスツールピペットで6滴添加し、次いでその内容を混合した。ガラスキュベットをマルバーン・ゼタサイザー・ナノ(Malvern Zetasizer Nano)中に挿入し、20℃でd−平均粒子サイズを2回測定した。
【0101】
ΔE値を測定するための一般的手順
ジャーに0.8gの水ベースの色素分散液(20%w/wの色素を含む)および40gのドゥルックスTM・ビニル・マット(Dulux Vinyl Matt)を充填した。混合後、100ミクロンの巻線アプリケーターロッド(wire wound applicator rod)を用い、均一なフィルムの塗料を白いカード(約10×15cm)に塗布した。コーティングを1分間放置して乾燥させ、次いで切片を、手袋をはめた指の円形の動きで、20回擦った。次いでこのコーティングを一晩乾燥させた。このコーティングの擦ったエリアおよび擦ってないエリアにおける色の変化を、コニカ・ミノルタ スペクロホトメーター CM−2300dを用いることによって測定した。
【0102】
実 施 例 1(GE1)
分岐ポリ(スチレン−co−エチレングリコールジメタクリレート)
ST100EGDMA10DDT15
容器中にスチレン(20.3g、194.9mmol)、エチレングリコールジメタクリレート(3.86g、19.5mmol)、ドデカンチオール(5.91g、29.2mmol)およびジ−三級ブチルペルオキシド(0.48mL、2.6mmol)を取り、プロピレングリコールジアセテート(70g)に溶解した。その容器を密閉して、その溶液を、窒素を用いて1時間、絶えず撹拌しながら脱気した。次いでその混合物を、20時間、150℃まで加熱した。得られた溶液は、H NMRによって99%を超えるモノマー変換を示した。このポリマーの反応溶液を精製せずにそのまま用いた。
【0103】
GPC
Mn:2,200;Mw:74,500;溶出液:THF
【0104】
VP50ST50EGDMA10DDT15の合成
スチレン(10.1g、97.0mmol)、4−ビニルピリジン(10.2g、97.0mmol)、エチレングリコールジメタクリレート(3.84g、19.0mmol)、ドデカンチオール(5.89g、29.0mmol)および2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(0.43g、1.12mmol)を、プロピレングリコールジアセテート(70g)に溶解した。その容器を密閉して、その溶液を、窒素を用いて1時間、絶えず撹拌しながら脱気した。次いでその混合物を、20時間、130℃まで加熱し、その後反応物に2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を加え、一晩反応させ、黄色の溶液を得た。これは、H NMRによって99%を超えるモノマー変換を示した。このポリマーの反応溶液を直接、または溶媒を蒸発さることで残る乾燥ポリマーを用いてもよい。
【0105】
GPC
Mn:15,600;Mw:35,800;溶出液:THF
【0106】
本発明のこの分岐付加コポリマーは好ましくは、5質量%未満の不純物を含み、これは、例えば、未反応の試薬の形態であり得る。さらに好ましくは、本発明の分岐付加コポリマーは、2質量%未満の不純物を含む。しかし、最も好ましくは、本発明の分岐付加コポリマーは、全体の未反応のモノマーおよび連鎖移動剤の形態で1質量%未満の不純物を含む。
【0107】
色素分散手順
種々の直径のステンレス鋼ボールの混合物(6mm直径が300g、5mm直径が250gおよび4mm直径が230g)を250mLの鋼鉄容器に添加した。次いでこの容器に20gの色素、および分散剤の溶液を表2および3に示すとおり充填した。
【0108】
次いで、鋼鉄容器を密閉し、機械的ローラー上で、33rpmで24時間回転させた。粉砕(milling)段階の後、ミルベースの粘度を0.14〜1000s−1で測定し、1および400s−1での測定値を記録した。次いで分散剤を溶媒で希釈して、3%w/w〜7.5%(w/w)の色素の濃度を有する分散剤を得、この希釈分散剤の粘度もまた、粒子サイズとともに測定した。次いで分散溶液を穏やかに撹拌し、その後、目盛り管に入れて、一定期間インキュベーターに置いた。次いでその管を、それぞれDPGDAまたはPGDAについて50℃または54℃で7日間インキュベートした。さらに1回、溶液の粘度を記録し、インキュベート前の値と比較し、分散の安定性を、この管の中の透明溶液の量(透明度)を記すことによって決定した。
【0109】
以下の実施例は、記載された実験手順を介して調製し、それらの分子量は、三重検出ゲル浸透クロマトグラフィーを介して決定した。
【0110】
(表1) スチレンベースの付加ポリマーの組成および特徴付け

【0111】
次いで、上記分散剤を用い、異なる色素、ジプロピレングリコールジアセテートおよびジプロピレングリコールジアクリレートの2つの異なる溶媒系を用いて処方し、結果物を直鎖状スチレンポリマーLP−1ならびに2つの市販の比較の分散剤CCE−1およびCCE−2を用いた処方物と比較した。
【0112】
ジプロピレングリコールジアセテート中で調製された分散物
(表2) ジプロピレングリコールジアセテート中で調製された分散物についての分散結果

【0113】
プロピレングリコールジアクリレート中で調製した分散物
(表3)ジプロピレングリコールジアクリレート中で調製した分散について得られた結果を示す。

【0114】
表3のデータが示すとおり、本発明による分岐付加コポリマーの実施例は、高い分散力を示す市販の材料よりも低い低剪断粘度が得られ、高い分散力を示している。
【0115】
追加実施例:
さらに、表4に例示される以下の実施例は、チオール類を含まない連鎖移動剤である2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを用いて調製した。
【0116】
(表4)連鎖移動剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを含む非チオールを用いて調製した分岐付加コポリマー

【0117】
さらに、以下のポリマーは、連鎖移動剤としてスチレン系ブランチャージビニルベンゼンを用いて調製した。
【0118】
(表5)連鎖移動剤としてジビニルベンゼンを用いて調製した分岐ポリマーの例

【0119】
室温での銅フタロシアニンの分散
合成された分岐ポリマー分散剤に、分散剤は用いないものと、色素を溶媒のみでミリングした2つのコントロールを加え、前に記載したミリング手順を行なった。ここでポリマー分散剤を用いる場合、そのレベルは、3質量%の銅フタロシアニンに対し、3%(乾燥)重量の分岐ポリマー分散剤であり、すなわち、全てを25mLの目盛り管に入れて、室温で21日間静置した。
【0120】
実施例1では、室温で21日間静置した後、色素の沈殿がない、完全な分散が認められた。
【0121】
フタロシアニン分散物の加速安定性試験
PGDA中のフタロシアニン分散物の安定性を評価するために、一連の加速安定性試験を、希薄な被粉砕分散物を、54℃でオーブン中でインキュベートすることで行った。定期的に溶液の透明度または上清の存在を評価した。
【0122】
前に記載した粉砕手順に加えて、濃縮粉砕手順も使用し、20gの色素、ある量の分散剤およびPGDAを前のとおり粉砕した。粉砕段階後、分散剤をPGDAで希釈して、色素濃度が3%w/wの分散物を得た。次いで、分散剤溶液を穏やかに撹拌し、その後に目盛り管に入れて、インキュベーター中に設定期間置いた。
【0123】
実施例1によって、希薄粉砕ベースの濃縮物に関して、54℃で77日以上色素の沈殿のない、完全な分散が示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体、液体または固体の組成物における分散剤としての分岐付加コポリマーの使用であって、前記コポリマーは、付加重合化プロセスによって得られ、以下を含む:
少なくとも2つの鎖であって、その末端以外で架橋によって共有結合される鎖であり、前記少なくとも2つの鎖は、少なくとも1つのエチレン系一価不飽和モノマーを含み、前記架橋は、少なくとも1つのエチレン系多価不飽和モノマーを含み、
前記ポリマーは、連鎖移動剤の残基を含み、
一価不飽和モノマー(単数または複数)に対する多価不飽和モノマー(単数または複数)のモル比は、1:100〜1:4の範囲であり、
前記分岐コポリマー分散剤は、固定、溶解または安定化の部分を含み、得られたコポリマー得られたコポリマーは、少なくとも10質量%のスチレン系モノマー、ブランチャーまたは連鎖移動剤を含む。
【請求項2】
前記ポリマーが、連鎖移動剤の残基および開始剤の残基を含む、請求項1に記載の分散剤としての分岐ポリマーの使用。
【請求項3】
前記分岐コポリマー分散剤が、液相内で固体粒子を安定化して安定な分散を形成するために用いられる、請求項1または2に記載の分散剤としての分岐コポリマーの使用。
【請求項4】
前記分岐コポリマー分散剤が、固相内で固体粒子を安定化して安定な分散を形成するために用いられる、請求項1または2に記載の分散剤としての分岐コポリマーの使用。
【請求項5】
前記分岐コポリマー分散剤が、気相内で固体粒子を安定化して安定な分散を形成するために用いられる、請求項1または2に記載の分散剤としての分岐コポリマーの使用。
【請求項6】
前記安定化されるべき固体粒子が、疎水性または親水性の液体中で粒子である、請求項2〜5のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項7】
前記コポリマーが、5,000Da〜1,000,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項8】
前記コポリマーが、2,000Da〜1,000,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項9】
色素用の分散剤としての請求項1〜8のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項10】
金属塩および金属粒子用の分散剤としての請求項1〜8のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項11】
セメントおよび/または粉末コーティング用の分散剤としての請求項1〜8のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項12】
潤滑媒体用の分散剤としての請求項1〜8のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項13】
製薬、農薬、殺生物剤、食物着色料、香料および芳香の産業における有機分子のための分散剤としての請求項1〜8のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項14】
前記ポリマーの組成物が、分散物中、ポリマーに対する分散された相の比で、0.1:1〜1000:1の範囲で使用される、請求項1〜13のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項15】
前記ポリマーの組成物が、分散物中、ポリマーに対する分散された相の比で、0.1:1〜500:1の範囲で使用される、請求項1〜13のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項16】
前記ポリマーの組成物が、分散物中、ポリマーに対する分散された相の比で、0.2:1〜200:1の範囲で使用される、請求項1〜13のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項17】
分散剤として用いられる前記分岐コポリマーが、分岐された、非架橋付加ポリマーである、請求項1〜16のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項18】
前記連鎖移動剤の残基を、単官能性モノマーのモル数に基づき、コポリマー中0.05〜80モル%で含む、請求項1〜17のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項19】
前記連鎖移動剤の残基を、単官能性モノマーのモル数に基づき、コポリマー中0.05〜30モル%で含む、請求項1〜17のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項20】
前記開始剤の残基を、前記モノマーの総重量に基づき、コポリマー中0〜10%w/wで含む、請求項1〜19のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項21】
前記開始剤の残基が、前記モノマーの総重量に基づき、コポリマー中0.001〜5%w/wで含む、請求項1〜19のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項22】
前記単官能性モノマーが:ビニル酸類、ビニル酸エステル類、ビニルアリール化合物類、ビニル酸無水物類、ビニルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアミン類、ビニルアリールアミン類、ビニルニトリル類、ビニルケトン類、および前述の化合物の誘導体類、ならびにその対応するアリル改変体類を含む群から選択される、請求項1〜21のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項23】
前記単官能性モノマーが:スチレンに由来するモノマー、スチレンに基づくモノマー、またはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルベンジルクロライド、ビニルナフタレン、ビニル安息香酸、N−ビニルカルバゾール、2−、3−もしくは4−ビニルピリジン、ビニルアニリン、アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸、ベンジルメタクリレート、ビニルイミダゾールまたはそれらの誘導体を含む、芳香族官能性を有するモノマーからなる群より選択される、請求項1〜22のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項24】
前記多官能性モノマーまたはブランチャーが、ジビニルアリールモノマー、例えば、ジビニルベンゼン;(メタ)アクリレートジエステル類、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートおよび1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート;ポリアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート類、例えば、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート;ジビニル(メタ)アクリルアミド類、例えば、メチレンビスアクリルアミド;シリコーン含有ジビニルエステル類またはアミド類、例えば、(メタ)アクリルオキシプロピル−末端ポリ(ジメチルシロキサン);ジビニルエーテル類、例えば、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル;ならびにテトラ−またはトリ−(メタ)アクリレートエステル類、例えば、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはグルコース2−〜5(メタ)アクリレート;開環重合化を介して形成された事前形成されたオリゴマーもしくはポリマーのビニルもしくはアリルエステル類、アミド類またはエーテル類、例えば、オリゴ(カプロラクタム)、オリゴ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクタム)もしくはポリ(カプロラクトン)、またはリビング重合化技術を介して形成されたオリゴマーもしくはポリマー、例えば、オリゴ−もしくはポリ(1,4−ブタジエン)、からなる群より選択される請求項1〜23のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項25】
前記多官能性モノマーまたはブランチャーが:スチレン系のブランチャー、またはジヒドロキシジメチルベンゼンの1,4もしくは1,3もしくは1,2誘導体のジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、アクリレートまたはメタクリレート誘導体およびそれらの誘導体を含めて芳香族官能基を含む多官能性モノマーからなる群より選択される、請求項1〜23のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項26】
前記一価不飽和モノマー(単数または複数)および多価不飽和モノマー(単数または複数)および連鎖移動剤(単数または複数)のうちの少なくとも1つが親水性残基であり;かつ
前記一価不飽和モノマー(単数または複数)および多価不飽和モノマー(単数または複数)および連鎖移動剤(単数または複数)の1つのうちの少なくとも1つが疎水性残基である、請求項1〜25のいずれかに記載の分岐コポリマーの使用。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに記載の気相、液相または固相組成物中の分散剤としての使用に適切な分岐付加コポリマーであって、該コポリマーが、付加重合化プロセスによって得られ、以下を含む分岐付加コポリマー:
少なくとも2つの鎖であって、その末端以外で架橋によって共有結合される鎖であり、前記少なくとも2つの鎖は、少なくとも1つのエチレン系一価不飽和モノマーを含み、前記架橋は、少なくとも1つのエチレン系多価不飽和モノマーを含み、
前記ポリマーは、連鎖移動剤の残基を含み、
一価不飽和モノマー(単数または複数)に対する多価不飽和モノマー(単数または複数)のモル比は、1:100〜1:4の範囲であり、
前記分岐コポリマー分散剤は、固定、溶解または安定化の部分を含み、得られたコポリマー得られたコポリマーは、少なくとも10質量%のスチレン系モノマー、ブランチャーまたは連鎖移動剤を含む。


【公表番号】特表2012−530836(P2012−530836A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516846(P2012−516846)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001224
【国際公開番号】WO2010/149962
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(509011857)ユニリーバー・ピーエルシー (11)
【Fターム(参考)】