説明

分散剤と、活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルとを含む組成物

活性物質の制御放出を提供するための組成物は、分散剤と、活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルとを含む。組成物は、この組成物で処理される表面に悪影響を与えることを避けるために、分散剤及び/又はマイクロカプセルを相対的に低濃度で含有する。活性物質は、好ましくは香料であり、組成物は、本組成物が任意の臭気抑制剤を更に含む場合、悪臭を制御すると共に、制御放出される香りを提供する。安定剤は、マイクロカプセルの安定性を改善する。表面上に活性物質の制御放出を提供する方法は、表面を、分散剤と、活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルとを含有する組成物と接触させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を取り囲む環境に活性物質、好ましくは香料の香りの制御放出を提供するための、カーペット、布地などの家財表面を含む表面に適用できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
布地リフレッシャー製品は、今日の消費材市場の人気製品になった。このような製品は、典型的には、表面から悪臭を減らす又は取り除くために布地のような表面に噴霧される液体組成物を含む。これらの製品のうちのいくつかは、香料を組成物に組み込むことによって快い香りを提供することもできる。しかし、このような製品は、典型的には、香料の香りのような活性物質の制御放出を提供することができない。
【0003】
他の製品は快い芳香を与えるにすぎず、悪臭を減らすか又は取り除くようには作用しない。このような製品は、その代わりに悪臭より強い香りを与えることによって悪臭を覆い隠すために、香料の強い香りを利用している。JP−03−173,565(「JP’565」)は、香料がマイクロカプセルに入れられた内包(encased)香料スプレー組成物を開示している。スプレー組成物は、好ましくは、噴射剤を利用するエアゾール式組成物である。香料内包マイクロカプセルは衣類、カーペット、ネクタイなどに付着し、そして芳香は除々に放出されるか、又は摩擦のような圧力によって放出される。JP’565のスプレー組成物は、好ましい芳香を提供するが、処理される表面に悪い影響を与え得る相対的に高濃度のマイクロカプセル及び/又は結合剤を含有している。
【0004】
JP−11−246383(「JP’383」)は、同様に、水性結合剤と混合された精油を含有するマイクロカプセルのスラリーから製造された組成物を開示している。組成物は、ベッドシーツのような繊維に適用されることができ、例えば人が眠っている時に動くとマイクロカプセルから芳香が放出され得る。しかし、JP’565のスプレー組成物と同様に、JP’383の組成物は好ましい芳香を提供するが、処理される表面に悪い影響を与え得る相対的に高濃度のマイクロカプセル及び/又は結合剤を含有している。
【0005】
米国特許第4,520,142号(「US’142」)は、エアゾールアプリケータから基材に適用される、香料のようなマイクロカプセルに封入された液体を開示している。US’142のエアゾール組成物は、液体を含有するマイクロカプセル、高分子結合剤、その高分子結合剤のための溶媒、及びエアゾール噴射剤を含有する。しかし、US’142のエアゾール組成物は、液体物質の制御放出を提供するが、この組成物は、処理される表面に悪い影響を与え得る相対的に高濃度のマイクロカプセル及び/又は結合剤を含有している。
【0006】
マイクロカプセルは多くの種類の製品に使用されるが、時間が経つとマイクロカプセルの安定性は問題となり得る。水及び/又は揮発性物質を含有する溶液中では、マイクロカプセルは、時間が経つと崩壊又は破裂し、マイクロカプセル内の活性物質を早期に放出させることがあり得る。これらの損失は、多くの場合に製品の効果を低減することになり、満足できる結果を達成するために増量した製品を用いることが必要となる。マイクロカプセルからの活性物質の不注意な放出により、活性物質は、有効に送達されない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、処理された表面に悪影響を与えることなく、表面を取り囲む環境に活性物質、好ましくは香料の香りの制御放出を提供することができる組成物を提供する必要性が存在する。活性物質の制御放出を提供することができ、組成物で処理される表面上の微生物を殺すことができる組成物を提供する必要性も存在する。時間が経っても安定しているマイクロカプセルを含有する組成物を形成することの更なる必要性も存在する。本発明は、これらの以前には満たされていない必要性に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、分散剤と、活性物質、安定剤及び/又は任意の臭気抑制剤(本明細書では、「封入された臭気抑制剤」と呼ばれてもよい)を含有するマイクロカプセルと、水性キャリアとを含む組成物(非エアゾール及びエアゾール)に関する。理論に束縛されるものではないが、安定剤は、水及び/又は揮発性物質がマイクロカプセル内の割れ目及び欠陥から入り込むのを防ぐことにより、マイクロカプセルを安定化すると考えられている。組成物は、好ましくは、処理された表面に悪影響を与えることを避けるため、相対的に低濃度の分散剤及び/又はマイクロカプセルを含有する。組成物は、表面上に又はその表面を取り囲む環境に活性物質の制御放出を提供するために、布地のような表面に適用できる。活性物質は好ましくは香料である。安定剤は好ましくはミリスチン酸イソプロピルである。組成物は、制御放出される香りを提供することができる。
【0009】
本発明は、分散剤と、活性物質、抗菌活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルと、水性キャリアとを含む抗菌組成物に更に関する。
【0010】
本発明は、表面を組成物と接触させる工程を含むこれらの組成物を使用する方法に更に関する。
本発明は、分散剤と、活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルとを含む組成物を製造する方法に更に関する。
本発明は、表面上及び/又はその表面を囲む環境に活性物質の制御放出を提供するための、分散剤と、活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルとを含む組成物の使用に更に関する。
【0011】
本明細書で引用される全ての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれ、いずれの文献の引用も、それが本発明に関連する先行技術であるとの容認として解釈されるべきではない。
【0012】
本明細書の全体を通して示されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことを理解すべきである。本明細書の全体を通して示されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して示されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0013】
他に指定がない限り、本明細書の明細、実施例、及び請求の範囲における全ての部分、比率、及び百分率は重量に基づき、全ての数値限定は、当該技術分野において許容される通常の程度の精度で使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の組成物は、活性物質、安定剤、及び/又は任意の臭気抑制剤(これは、本明細書で「封入された臭気抑制剤」と呼ばれてもよい)を含有するマイクロカプセル、分散剤、並びに水性キャリアを含む。本組成物はまた、臭気抑制剤、溶媒、エアゾール噴射剤、界面活性剤、遊離香料、抗菌活性物質/防腐剤、しわ抑制剤などのような多種多様な更なる任意成分を含むことができる。本明細書の組成物には、非エアゾールとエアゾールとの両方の組成物が挙げられる。組成物は、活性物質及び/又は任意の臭気抑制剤の制御放出を提供するために使用できる。活性物質が香料である場合、本組成物は制御放出される香りを提供する。
【0015】
活性物質及び安定剤は完全に封入されている必要はないことを理解すべきである(すなわち、いくつかの実施形態では部分的に封入されていてもよい)。このことは、封入された臭気抑制剤を含有するマイクロカプセルについても同じである。
【0016】
本明細書に記載される組成物の非限定的数の実施形態がある。これらの実施形態には、同じマイクロカプセルのうちの少なくともいくつかが、活性物質、安定剤及び任意の臭気抑制剤をその中に含有するような実施形態が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態において、組成物は活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセルと、任意の臭気抑制剤及び安定剤を含有する異なるマイクロカプセルとの一群を含んでいてもよい。組成物は、異なる種類のシェル又はコーティング材をもつマイクロカプセルを含んでいてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、封入された臭気抑制剤と、マイクロカプセルの外側にある臭気抑制剤は、同じ臭気抑制剤であってもよい。他の実施形態において、それらは異なる臭気抑制剤であってもよい。
【0017】
本組成物は、好ましくは、この組成物で処理される表面に悪影響を与えることを避けるために、マイクロカプセル及び/又は分散剤を相対的に低濃度で含む。例えば、組成物が多すぎる量のマイクロカプセル及び/又は分散剤を含有する場合、この組成物で処理される表面上に望ましくない、目に見える残留物が残るという、この組成物がもつ潜在的な問題が起こり得る。更に、表面が布地であり、組成物が多すぎる量の分散剤を有する場合、組成物は、布地の感触が望ましくなく硬くなる及び/又は手触りの柔らかさが失われることの原因となり得る。
【0018】
(マイクロカプセル)
本組成物は、活性物質、安定剤、及び任意の臭気抑制剤を含有するマイクロカプセルを含む。マイクロカプセルは、マイクロカプセル中に含有されている活性物質、安定剤及び任意の臭気抑制剤の制御放出を提供する。本発明の組成物におけるマイクロカプセルは、その中に活性物質、安定剤及び/若しくは任意の臭気抑制剤を含有する破裂性のカプセル、又はその中に封入されている活性物質、安定剤及び/若しくは任意の臭気抑制剤が浸透するのを制御できるカプセルであることができる。マイクロカプセルの破裂強度は、破裂することなく取り扱い及び噴霧に耐えることができるが、組成物で処理される表面の全体に摩擦力が適用されることによって破断する範囲内であるべきである。
【0019】
マイクロカプセルのシェルは、多種多様な物質から製造できる。このような材料は典型的には高分子であり、本組成物の化学マトリックスに可溶化しないように設計される。本明細書のマイクロカプセルのシェルを製造するのに好適な物質の非限定例には、ウレアホルムアルデヒド類、メラミンホルムアルデヒド類、フェノールホルムアルデヒド類、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリウレタン、ポリメタクリレート類、ポリエポキシド類、酢酸セルロース、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロースポリエステル、ポリクロロトリフルオロエチレン(例えば、KEL−F)、酢酸エチル//酢酸ビニル、サラン(saran)、ポリスチレン、ゼイン(zein)、パラフィンろう、動物性ろう、植物性ろう、微結晶ろう、ポリエチレンろうなどが挙げられる。好ましいマイクロカプセルシェル物質には、ポリ(オキシメチレン尿素)、ポリ(オキシメチレンメラミン)、ゼラチン、ポリウレタン、及びこれらの混合物が挙げられる。他の好適なマイクロカプセルシェル物質は、例えば米国特許第2,800,458号;同第3,159,585号;同第3,516,846号;同第3,533,958号;同第3,697,437号;同第3,888,689号;同第3,996,156号;同第3,965,033号;同第4,010,038号;同第4,016,098号;同第4,087,376号;同第5,591,146号;英国特許2,006,709及び同2,062,570;並びにベニタ(Benita)、シモン(Simon)(編)、マイクロカプセル化:方法及び産業用途(MICROENCAPSULATION:METHODS AND INDUSTRIAL APPLICATIONS)(マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、1996年)に開示されている。
【0020】
マイクロカプセルのサイズは、本発明の実施によるマイクロカプセルの有用性の点において重要であり得る。一般にマイクロカプセルは、約0.001〜約1,000ミクロン、好ましくは約1〜約500ミクロン、より好ましくは約10〜約100ミクロン、更により好ましくは約20〜約85ミクロンの平均直径を有する。これらの寸法は、本発明の実施の際にカプセルの適用を制御する能力において重要な役割を果たすことができる。任意の条件下でのカプセルサイズの最も広い範囲は、約0.001〜約1,000ミクロンであり、より容易に噴霧されるサイズ限度は、約20〜約85ミクロンである。
【0021】
一般に本組成物は、多種多様な濃度でマイクロカプセルを含むことができる。マイクロカプセルは、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約99.9重量%、好ましくは約0.005重量%〜約50重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約20重量%の濃度で本組成物中に含まれる。組成物が、布地のような表面に噴霧される水性液体組成物(特に非エアゾール組成物)である場合、組成物は、好ましくは組成物の約1重量%未満、好ましくは約0.9重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満、更により好ましくは約0.2重量%未満のマイクロカプセルを含む。マイクロカプセルの濃度が高すぎると、組成物は処理される表面に目に見える残留物を残す可能性がある。加えて、表面が布地であり、マイクロカプセルの濃度が高すぎると、布地の外観を変えてしまう可能性がある。更に、活性物質が香料であり、マイクロカプセルの濃度が高すぎると、噴霧力がいくらかのマイクロカプセルを破裂させる傾向にあるため、製品が表面に噴霧される時の最初の香料の「バースト」が消費者にとって不快である可能性がある。
【0022】
当該技術分野において既知の様々な方法が、本明細書のマイクロカプセルを製造するために使用できる。マイクロカプセルを製造する方法の例は、米国特許第2,800,458号;同第3,159,585号;同第3,516,846号;同第3,516,941号;同第3,533,958号;同第3,697,437号;同第3,778,383号;同第3,888,689号;同第3,965,033号;同第3,996,156号;同第4,010,038号;同第4,016,098号;同第4,087,376号;同第4,089,802号;同第4,100,103号;同第4,251,386号;同第4,269,729号;同第4,303,548号;同第4,460,722号;及び同第4,610,927号;英国特許1,156,725;同1,483,542;同2,041,319及び同2,048,206、並びにベニタ(Benita)、シモン(Simon)(編)、マイクロカプセル化:方法及び産業用途(MICROENCAPSULATION:METHODS AND INDUSTRIAL APPLICATIONS) (マーセル・デッカー(Marcel Dekker,Inc.)、1996年)に記載されている。
【0023】
(活性物質)
活性物質は、本組成物で処理される表面に又はその表面を取り囲む環境に制御放出様式で送達されることが望まれる多種多様な物質であることができる。活性物質の非限定例には、香料、着香料、殺真菌剤、光沢剤、静電気防止剤、しわ抑制剤、柔軟仕上げ剤、硬質表面洗浄剤、スキン及び/又はヘアコンディショニング剤、抗菌活性物質、UV保護剤、昆虫忌避剤、動物/害虫忌避剤、難燃剤などが挙げられる。
【0024】
好ましい実施形態において活性物質は香料であり、この場合、香料を含有するマイクロカプセルは、処理される表面に又はその表面を取り囲む環境に制御放出される香りを提供する。この場合、香料は、精油、植物抽出物、合成香料物質などのような、当該技術分野において既知の多数の香料原料から構成されることができる。
【0025】
一般に、活性物質は、マイクロカプセル全体の約1重量%〜約99重量%、好ましくは約10重量%〜約95重量%、より好ましくは約30重量%〜約90重量%の濃度でマイクロカプセル中に含有される。マイクロカプセル全体の重量は、マイクロカプセルのシェル重量と、マイクロカプセル内の物質の重量とを含む。封入された臭気抑制剤は、存在する場合、同じ濃度範囲でマイクロカプセルに含有されてもよい。当然のことながら、活性物質と臭気抑制剤の両方が同じのマイクロカプセルに含有される場合、これら構成成分の全体の割合は、決して100%を超えない。
【0026】
本組成物に使用されるのに好適な活性物質、好ましくは香料を含有するマイクロカプセルは、例えば、米国特許第3,888,689号;同第4,520,142号;同第5,126,061号;及び同第5,591,146号に詳細に記載されている。
【0027】
(安定剤)
安定剤は、マイクロカプセルに更なる安定性を与える多種多様な物質であることができる。理想的な安定剤は、それらが使用される量においてほとんど又は全く臭いがない。本発明で使用できる安定剤の例には、ミリスチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、鉱油、シリコーンオイル、ジエチルプロピルアセテート、ベンジルフェニルアセテート(acteate)、シトロネリルフェニルアセテート、ベンジルイソオイゲノール、ジフェニルオキシド、γ−ドデカラクトン、フタル酸ジブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、フェイル(pheyl)エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート(aceate)、ケイ皮酸ベンジル、エチレンブラシレート、アンブレトン(ambretone)、ガラクソリド、トナリド、エキサルトリド、ハバノリド(habanolide)、イソアミルラウレート、セドリルアセテート、ヘキシルケイ皮アルデヒド、パチョリアルコール、δ−グアイエン、δ−カジネン、C10以上のアルコール類、ダウアノール(Dowanol)(登録商標)、ジプロピレンミリステート及びトリプロピレンミリステート、アイソパー(登録商標)、オレンジテルペン類並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいものは、ミリスチン酸イソプロピルである。
【0028】
一般に、安定剤は、マイクロカプセル全体の約1重量%〜約99重量%、好ましくは約10重量%〜約95重量%、より好ましくは約30重量%〜約70重量%でマイクロカプセル中に含有される。マイクロカプセル全体の重量は、マイクロカプセルのシェル重量と、マイクロカプセル内の物質の重量とを含む。
【0029】
(マイクロカプセルの安定性)
安定剤は、マイクロカプセルの安定性を増大させるために、活性物質と共に添加される。安定剤をマイクロカプセルに加えることにより、マイクロカプセルは、時間が経過してもより多くの活性物質を保持する。マイクロカプセルの安定性は、マイクロカプセルの内容物のコバット数の関数として測定できることが判明している。マイクロカプセルの内容物のコバット数は、化学てんびんを用いて試料を計量して100mLのメスフラスコ中に入れて、メタノールで容量に希釈することにより測定される。次に試料は、ガスクロマトグラフバイアル瓶の中に入れられ、DB−5((5%フェニル)−メチルポリシロキサンコーティング)(内径0.25mm、膜厚1μm、長さ30m)カラムを使用する6890ガスクロマトグラフが実施される。試料は、下記の条件に付される:
【0030】
【表1】

【0031】
面積率記録は、水素炎イオン化検出器(FID)データを使用して生成され、重量平均(average weighted)コバット数は、マイクロカプセルの内容物で計算される。コバット数は、最初に、以下の方程式を使用して活性物質及び安定剤構成成分のそれぞれに計算される:
コバット指数=(((logRTx−logRTy)/(logRTz−logRTy))×100)+(Ny×100)
RTx=当該のピークの保持時間
RTy=当該のピーク前の炭化水素の保持時間
RTz=当該のピーク後の炭化水素の保持時間
y=当該のピーク前の炭化水素の炭素の数
【0032】
個別の活性物質及び安定剤構成成分のそれぞれのコバット数を計算した後、重量コバット数は、当該構成成分の面積率を計算済みのコバット数と掛けて計算される。次にそれぞれの構成成分の重量コバット数を合計し、活性物質及び安定剤のそれぞれの重量平均コバット数を得る。コバット数を決定する手順の更なる記載は、「クロマトグラフ保持指数−有機化合物同定の助け(Chromatographic Retention Indices - An Aid to Identification of Organic Compounds)」、ベラ・パカコーバ(Vera Pacakova)及びラディスレイ・フェルトル(Ladislay Feltl)、エリス・ホーワード・リミテッド(Ellis Horward Limited)、ニューヨーク、199頁に見られる。
【0033】
一般に、マイクロカプセル内の安定剤と活性物質との組み合わせは、約1325を超える、好ましくは約1375を超える、より好ましくは約1400を超える、更により好ましくは約1450を超える重量平均コバット数を有する。
【0034】
(分散剤)
本組成物は分散剤を更に含む。分散剤は、マイクロカプセルが溶液から離れるのを防ぐように組成物内にマイクロカプセルを懸濁させるために重要であり得る。従って分散剤は、安定である組成物を達成するのに重要であり得る。
【0035】
本組成物がスプレーディスペンサーから噴霧されるように設計される場合、マイクロカプセル粒子に十分な懸濁を提供するが、同時に細かい霧として容易に噴霧され得るような濃度及び種類の分散剤を選択することが重要であり得る。いくつかの分散剤は粒子を懸濁することができるが、細かい霧として容易に噴霧できない程高い粘度を有する組成物が得られる。
【0036】
この点に関して、分散剤の濃度及び種類は、好ましくは非ニュートン粘度特性をもたらすように選択される。従って、得られる悪臭抑制組成物は、好ましくは、1秒-1及び10秒-1の剪断速度における粘度差が少なくとも約0.0001Pa.s、(0.1センチポアズ)、好ましくは少なくとも約0.0005Pa.s(0.5センチポアズ)、より好ましくは少なくとも約0.001Pa.s(1センチポアズ)である。この点に関して、本明細書の組成物は、好ましくはずり減粘である。得られる組成物は、その中に粒子(例えばマイクロカプセル)を適切に懸濁させることができるが、同時にスプレーディスペンサーから容易に噴霧可能である。
【0037】
本明細書で好ましい分散剤は、弱いゲル形成マトリックスを有し、その中で高分子又は非高分子成分が互いに相互作用して、水素及び/又は疎水性結合を形成する、ずり減粘組成物を提供する。分子上のいくつかの官能基は、組成物中の粒子の凝固を防止できる静電反発力を有する。本明細書の好ましい分散剤から得られる弱く形成されたゲルマトリックスは、組成物マトリックスにおいてミクロンサイズの粒子、例えばマイクロカプセルを懸濁させることができる。
【0038】
存在する場合、分散剤は、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.005重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約1重量%の濃度で含まれる。本組成物の粘度を相対的に低く保つことが望ましい場合、例えば組成物が表面(例えば布地)にスプレーディスペンサーを介して噴霧される場合、分散剤は、好ましくは、組成物の約1重量%未満、より好ましくは約0.9重量%未満、更により好ましくは約0.8重量%未満の濃度で含まれる。分散剤の濃度が高すぎると、組成物は処理された表面に目に見える残留物を残す可能性がある。組成物が布地に噴霧され、分散剤の濃度が高すぎる場合、組成物は布地の感触又は柔軟性を望ましくないものに変える可能性がある。
【0039】
本明細書の分散剤は、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン、カラギーナン、ジェランガム、キサンタム(xanthum)ガム、グアーガム、アクリレート/アクリルポリマー類、水膨潤性粘土類、燻蒸シリカ類、アクリレート/アミノアクリレートコポリマー類及びこれらの混合物のような物質から選択できる。本明細書の好ましい分散剤には、アクリレート/アクリルポリマー類、ジェランガム、燻蒸シリカ類、アクリレート/アミノアクリレートコポリマー類、水膨潤性粘土類及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0040】
アクリレート/アクリルポリマー類には、アクリルエマルションターポリマー類が挙げられる。このような種類の分散剤は、典型的には、アルカリ活性化されている。好適なアルカリ活性化アクリレート/アクリルポリマー類は、米国特許第5,990,233号及び同第5,840,789号で詳細に記載されている。このようなアルカリ活性化アクリレート/アクリルポリマー分散剤は、商標名アルコガム(ALCOGUM)(登録商標)SLシリーズでアルコ・ケミカル(Alco Chemical)から入手可能である。
【0041】
ジェランガムは、シュードモナセロディア(Pseudomonaselodea)ATCC31461の発酵によって調製されるヘテロ多糖である。ジェランガムは、ケルコゲル(KELCOGEL)(登録商標)、ケルコゲル(登録商標)LT100、ケルコゲル(登録商標)AFT、ケルコゲル(登録商標)AF、ケルコゲル(登録商標)PC及びケルコゲル(登録商標)Fを含む種々の名称でCPケルコUS社(CP Kelco U.S.,Inc.)から入手可能である。ジェランガムを調製する方法は、米国特許第4,326,052号(カング(Kang)ら、1982年4月20日発行);米国特許第4,326,053号(カングら、1982年4月20日発行);米国特許第4,377,636号(カングら、1983年3月22日発行);及び米国特許第4,385,123号(カングら、1983年5月24日発行)で記載されている。
【0042】
燻蒸シリカ類は、水素−酸素炉での四塩化ケイ素の燃焼によって製造されるシリカのコロイド形態である。燻蒸シリカ類は、二酸化ケイ素の化学名で知られている。本組成物に好適な燻蒸シリカ類は、商標名アエロジル(AEROSIL)(登録商標)でデグサ社(Degussa AG)から入手可能である。好ましい燻蒸シリカは、アエロジル(AEROSIL)(登録商標)200(デグサ社(Degussa AG)から入手可能)であり、これは、約200m2/gの比表面積を有する親水性の燻蒸シリカである。
【0043】
アクリレート/アミノアクリレートコポリマー類は、典型的には、アミン官能性アクリルポリマーのレオロジー変性剤の水性分散剤である。この種類の分散剤は、典型的にはアルカリ活性化されている本明細書上記のアクリレート/アクリルポリマー分散液と比べて、典型的には酸活性化されている。アクリレート/アミノアクリレートコポリマー類は、商標名アルコガム(ALCOGUM)(登録商標)L−500シリーズでアルコ・ケミカル(Alco Chemical)から入手可能である。好ましいアクリレート/アミノアクリレートコポリマー類は、アルコガム(ALCOGUM)(登録商標)L−511及びアルコガム(登録商標)L−520であり、それはアルコ・ケミカル(Alco Chemical)から入手可能なアミン官能性アクリルポリマー類の水性分散剤である。
【0044】
水膨潤性粘土類には、ヘクトライト類及び合成層状シリケート類が挙げられる。合成層状シリケート類は、商標名ラポナイト(LAPONITE)(登録商標)でサザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc.)から入手可能である。これらの合成層状シリケート類は、層状含水ケイ酸マグネシウム類であり、ここでリチウム、ナトリウム、カリウムのような好適な一価イオン及び/又は空位によって部分的に置換されているマグネシウムイオンは、酸素及び/又はヒドロキシルイオンに八面体配位し、それらのうちのいくつかはフッ素イオンで置換されてもよく、中央八面体シートを形成し、この八面体シートは、酸素に四面体配位したケイ素イオンの2つの四面体シート間に挟まれている。好ましい合成層状シリケート類には、サザン・クレイ・プロダクツ社(Southern Clay Products,Inc.)から入手可能なラポナイト(LAPONITE)(登録商標)RD及びラポナイト(登録商標)RDSが挙げられる。ヘクトライト類は、商標名ベントン(BENTONE)(登録商標)でレオックス社(Rheox,Inc.)から入手可能である。これらのヘクトライト類は、アミンを用いるカチオン交換系においてベントナイトを反応させることにより調製される。好ましいヘクトライト類には、レオックス社(Rheox,Inc.)から入手可能なベントン(BENTONE)(登録商標)LT及びベントン(BENTONE)(登録商標)ADが挙げられる。
【0045】
(水性キャリア)
本発明の水性キャリアは水を含む。使用される水は、蒸留されているか、脱イオン化されているか、又は水道水であることもできる。水はマイクロカプセルの液体キャリアとして作用するだけではなく、表面が処理される時、臭気抑制剤と、布地のような無生物表面上の悪臭分子のような、表面上の任意の好ましくない分子との反応の促進もする。悪臭に汚染された表面が水溶液により処理される場合、いくつかの極性で低分子量の有機アミン、酸、及びメルカプタンにより生成された好ましくない悪臭分子の強度は、低減することが判明している。水は、極性で低分子量のこれらの有機分子を可溶化し、蒸気圧を低下させ、それによってその臭気強度を低減させると考えられている。
【0046】
本組成物中の水性キャリアの濃度は、組成物の用途に応じて変わることができる。一般に本組成物の水性キャリアの濃度は、約0.1%〜約99.9%であることができる。手動又は非手動で操作されるスプレーディスペンサーから噴霧されるように設計された組成物において、水性キャリアの濃度は、好ましくは高く、例えば組成物の少なくとも約80重量%、好ましくは少なくとも約85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、更により好ましくは少なくとも約95重量%の濃度である。
【0047】
(任意成分)
本組成物は、更に、臭気抑制剤、溶媒、エアゾール噴射剤、界面活性剤、遊離香料、防腐剤/抗菌活性物質、しわ抑制剤などのような、多種多様な任意成分を含むことができる。
【0048】
(臭気抑制剤)
本組成物は、任意ではあるが好ましくは、悪臭制御組成物の約0.001重量%〜約99.99重量%、好ましくは、約0.002重量%〜約99.9重量%、より好ましくは、約0.005重量%〜約99%の濃度で1つ以上の臭気抑制剤を更に含む。組成物が、布地のような表面に噴霧される水性液体組成物(特に非エアゾール組成物)である場合、組成物は、好ましくは、組成物の約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約5重量%未満の臭気抑制剤を含む。臭気抑制剤は、本組成物で処理される表面又は対象物から悪臭を減らすか又は取り除くことに役立つ。臭気抑制剤は、好ましくは、非錯体化型のシクロデキストリン;臭気遮断剤;反応性アルデヒド類;フラバノイド類;ゼオライト類;活性炭;及びこれらの混合物から成る群から選択される。臭気抑制剤を含む本明細書の組成物は、組成物で処理される表面から悪臭を減らすか又は取り除く方法において使用できる。
【0049】
(非錯体化型のシクロデキストリン)
本明細書で使用する時、用語「非錯体化型のシクロデキストリン」には、6〜12個のグルコース単位を含有する非置換シクロデキストリン、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン及び/若しくはそれらの誘導体、並びに/又はこれらの混合物のような、非錯体化型形態の既知のシクロデキストリンが挙げられる。α−シクロデキストリンは、ドーナツ形状の環の形に配置された、6個のグルコース単位から成り、β−シクロデキストリンは7個のグルコース単位から成り、γ−シクロデキストリンは8個のグルコース単位から成る。グルコース単位の特有の結合及び構造は、シクロデキストリンに、内部に特有の体積の空洞のある硬質で円錐状の分子構造を与える。各内部空洞の「内張り」は水素原子及びグリコシド架橋する酸素原子によって形成され、従ってこの表面は、かなり疎水性である。空洞の独特の形状及び物理化学的特性は、シクロデキストリン分子が、空洞に収まることができる有機分子又は有機分子の一部分を吸収すること(それと共に包接錯体を形成すること)を可能にしている。多数の悪臭分子及び香料分子を含む、臭いのある多数の分子が空洞に収まることができる。従って、シクロデキストリン、特に異なった大きさの空洞を持つシクロデキストリンの混合物は、反応性の官能基を含有していてもいなくてもよい発香性有機物質の広域スペクトルにより生じる臭いを抑制するのに用いることができる。シクロデキストリンと臭いのある分子との錯体化は水の存在下で急速に起きる。しかし、錯体形成の程度は、吸収される分子の極性にも左右される。水溶液中では、親水性の強い分子(極めて水溶性であるもの)は、仮にそうであるとしても部分的に吸収されるにすぎない。従って、いくつかの極めて低分子量の有機アミン及び酸が表面に低濃度で存在する場合、シクロデキストリンはそれらとは効果的に錯体を形成しない。
【0050】
溶液が表面に適用された時にシクロデキストリンが様々な臭いの分子を吸収できるように、本発明の脱臭組成物中のシクロデキストリン内の空洞が、溶液中にある間は本質的には満たされていないまま(シクロデキストリンが非錯体化のまま)であるべきである。誘導体化されていない(通常の)β−シクロデキストリンは、室温での使用条件下で約1.85%(100gの水中に約1.85g)の溶解限度までの濃度で存在することができる。
【0051】
好ましくは、本発明で使用されるシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン及び/若しくはそれらの誘導体、γ−シクロデキストリン及び/若しくはそれらの誘導体、誘導体化されたβ−シクロデキストリン、並びに/又はこれらの混合物のように、極めて水溶性である。シクロデキストリン誘導体は、主に、いくつかのOH基がOR基に変換された分子から成る。シクロデキストリン誘導体には、例えば、Rがメチル基又はエチル基であるメチル化シクロデキストリン類及びエチル化シクロデキストリン類のような短鎖アルキル基を有するもの;Rが−CH2−CH(OH)−CH3又は-CH2CH2−OH基であるヒドロキシプロピルシクロデキストリン類及び/又はヒドロキシエチルシクロデキストリン類のようなヒドロキシアルキル置換基を有するもの;マルトース結合シクロデキストリン類のような分枝状シクロデキストリン類;Rが、低いpHにおいてカチオン性であるCH2−CH(OH)−CH2−N(CH32である2−ヒドロキシ−3−(ジメチルアミノ)プロピルエーテルを含有するもののようなカチオン性シクロデキストリン類;第四級アンモニウム、例えば、RがCH2−CH(OH)−CH2−N+(CH33Cl-である2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド基;カルボキシメチルシクロデキストリン類、シクロデキストリンサルフェート類及びシクロデキストリンサクシニレート類のようなアニオン性シクロデキストリン類;カルボキシメチル/第四級アンモニウムシクロデキストリン類のような両性シクロデキストリン類;少なくとも1つのグルコピラノース単位が3−6−無水−シクロマルト構造を有するシクロデキストリン類、例えば、モノ−3−6−無水シクロデキストリンであって、「シクロデキストリンの最小化学修飾に伴う最適な性能(Optimal Performances with Minimal chemical Modification of Cyclodextrins)」(F.ジエダイニ−ピラルド(Diedaini-Pilard)及びB.パーリー(Perly)、第7回国際シクロデキストリンシンポジウム要約集(The 7th International Cyclodextrin Symposium Abstracts)、1994年4月、49頁に開示されたもの、並びにこれらの混合物が挙げられる。その他のシクロデキストリン誘導体は、米国特許第3,426,011号(パーマータ(Parmerter)ら、1969年2月4日発行);同第3,453,257号;同第3,453,258号;同第3,453,259号;及び同第3,453,260号(全てパーマータら、全て1969年7月1日発行);同第3,459,731号(グラメラ(Gramera)ら、1969年8月5日発行);同第3,553,191号(パーマータら、1971年1月5日発行);同第3,565,887号(パーマータら、1971年2月23日発行);同第4,535,152号(セトリ(Szejtli)ら、1985年8月13日発行);同第4,616,008号(ヒライ(Hirai)ら、1986年10月7日発行);同第4,678,598号(オギノ(Ogino)ら、1987年7月7日発行);同第4,638,058号(ブランツ(Brandt)ら、1987年1月20日発行);並びに同第4,746,734号(ツチヤマ(Tsuchiyama)ら、1988年5月24日発行)で開示されている。本明細書に好適な更なるシクロデキストリン誘導体には、V.T.D’サウザ('Souza)及びK.B.リップコウィッツ(Lipkowitz)、ケミカルレビュー:シクロデキストリン(CHEMICAL REVIEWS:CYLCODEXTRINS)、第98巻、No.5(アメリカ化学会(American Chemical Society)、7月/8月、1998年)に開示されているものが挙げられる。
【0052】
極めて水溶性のシクロデキストリン類は、室温で100mLの水に少なくとも約10g、好ましくは100mLの水に少なくとも約20g、より好ましくは室温で100mLの水に少なくとも約25gの水溶解度を有するものである。可溶化された非錯体化型のシクロデキストリン類の利用可能性が、効果的且つ効率的な臭気制御性能に必須である。可溶化された水溶性シクロデキストリンは、表面、特にカーペット表面に付着されると非水溶性シクロデキストリンよりも効率的な臭気抑制性能を示すことができる。
【0053】
本明細書での使用に好適な好ましい水溶性シクロデキストリン誘導体の例は、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリン、メチル化α−シクロデキストリン、メチル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルβ−シクロデキストリン、及びヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。ヒドロキシアルキルシクロデキストリン誘導体は、好ましくは約1〜約14、より好ましくは約1.5〜約7の置換度を有し、その際、シクロデキストリン1つ当りのOR基の総数が、置換度として定義される。メチル化シクロデキストリン誘導体は、典型的には、約1〜約18、好ましくは約3〜約16の置換度を有する。既知のメチル化β−シクロデキストリンは、一般にDIMEBとして知られているヘプタキス−2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンであり、この中の各グルコース単位は約2個のメチル基を有し、置換度は約14である。より市販されている、好ましいメチル化β−シクロデキストリンは、通常は約12.6の、異なった置換度を有する、無作為にメチル化されたβ−シクロデキストリンであり、一般にRAMEBとして知られている。DIMEBは、好ましい界面活性剤の表面活性にRAMEBよりも大きく影響するので、RAMEBの方がDIMEBよりも好ましい。好ましいシクロデキストリン類は、例えば、セレスターUSA社(Cerestar USA, Inc.)及びワッカー・ケミカルズ(USA)社(Wacker Chemicals(USA),Inc.)から入手可能である。
【0054】
シクロデキストリン類の混合物を使用することも好ましい。そのような混合物は、更に幅広い範囲の分子サイズを有する更に幅広い範囲の発香性分子と錯体化することによって更に幅広く臭気を吸収する。好ましくは、シクロデキストリンの少なくとも一部分は、α−シクロデキストリン及びその誘導体、γ−シクロデキストリン及びその誘導体、並びに/又は誘導体化されたβ−シクロデキストリンであり、より好ましくは、α−シクロデキストリン又はα−シクロデキストリン誘導体と誘導体化されたβ−シクロデキストリンとの混合物であり、更により好ましくは、誘導体化されたα−シクロデキストリンと誘導体化されたβ−シクロデキストリンとの混合物であり、最も好ましくは、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリンとヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンとの混合物、及び/又はメチル化α−シクロデキストリンとメチル化β−シクロデキストリンとの混合物である。
【0055】
シクロデキストリンは、特に水性組成物中にある場合には、特定の微生物の最適な繁殖地であることができるため、以下に記載するような水溶性防腐剤を含むことが好ましく、それは微生物の成長を阻害及び/又は調節し、水溶性シクロデキストリンを含有する水性の臭気吸収溶液の保存安定性を増大させるのに有効である。
【0056】
(臭気遮断剤)
「臭気遮断剤」は、悪臭の影響を軽減するための任意の臭気抑制剤として使用できる。有効であるために、臭気遮断剤は普通は常に存在しなければならない。臭気源がなくなる前に臭気遮断剤が蒸発すれば、臭気はあまり抑制されない。また臭気遮断剤は、香料のような望ましい臭いを遮断して審美性に悪影響を及ぼす傾向があり得る。
【0057】
本組成物の臭気抑制剤として好適な臭気遮断剤の非限定例には、4−シクロヘキシル−4−メチル−2−ペンタノン、4−エチルシクロヘキシルメチルケトン、4−イソプロピルシクロヘキシルメチルケトン、シクロヘキシルメチルケトン、3−メチルシクロヘキシルメチルケトン、4−tert.−ブチルシクロヘキシルメチルケトン、2−メチル−4−tert.ブチルシクロヘキシルメチルケトン、2−メチル−5−イソプロピルシクロヘキシルメチルケトン、4−メチルシクロヘキシルイソプロピルケトン、4−メチルシクロヘキシルsec.ブチルケトン、4−メチルシクロヘキシルイソブチルケトン、2,4−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、2,3−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、2,2−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、3,3−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、4,4−ジメチルシクロヘキシルメチルケトン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメチルケトン、2,2,6−トリメチルシクロヘキシルメチルケトン、1−シクロヘキシル−1−エチルホルメート、1−シクロヘキシル−1−エチルアセテート、1−シクロヘキシル−1−エチルプロピオネート、1−シクロヘキシル−1−エチルイソブチレート、1−シクロヘキシル−1−エチルn−ブチレート、1−シクロヘキシル−1プロピルアセテート、1−シクロヘキシル−1−プロピルn−ブチレート、1−シクロヘキシル−2−メチル−1−プロピルアセテート、2−シクロヘキシル−2−プロピルアセテート、2−シクロヘキシル−2−プロピルプロピオネート、2−シクロヘキシル−2−プロピルイソブチレート、2−シクロヘキシル−2−プロピルn−ブチレート、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(メルドラム酸)、スピロ−[4.5]−6,10−ジオキサ−7,9−ジオキソデカン、スピロ−[5.5]−1,5−ジオキサ−2,4−ジオキソウンデカン、2,2−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン及び1,3−シクロヘキサジオンが挙げられる。臭気遮断剤は、米国特許第4,009,253号;同第4,187,251号;同第4,719,105号;同第5,441,727号;及び同第5,861,371号でより詳細に開示されている。
【0058】
(反応性アルデヒド類)
任意の臭気抑制剤として、悪臭の影響を軽減するために反応性アルデヒド類を臭気抑制剤として使用できる。好適な反応性アルデヒド類の非限定例には、クラスIアルデヒド類、クラスIIアルデヒド類及びこれらの混合物が挙げられる。クラスIアルデヒド類の非限定例には、アニスアルデヒド、o−アリルバニリン、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、エチル−オーベピン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、トリルアルデヒド及びバニリンが挙げられる。クラスIIアルデヒドの非限定例には、3−(4’−tert.ブチルフェニル)プロパナール、2−メチル−3−(4’tert.ブチルフェニル)プロパナール、2−メチル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパナール、2,2−ジメチル−3−(4−エチルフェニル)プロパナール、ケイ皮アルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド及びα−ヘキシルシンナミックアルデヒドが挙げられる。これらの反応性アルデヒド類は、米国特許第5,676,163号でより詳細に記載されている。
【0059】
使用される場合、反応性アルデヒド類は、少なくとも2つのアルデヒド類の組み合わせを含むことができ、一方のアルデヒドは、非環式脂肪族アルデヒド類、非テルペン系脂肪族アルデヒド類、非テルペン系脂環式アルデヒド類、テルペン系アルデヒド類、芳香族基で置換された脂肪族アルデヒド類及び二官能性アルデヒド類から選択され;第2のアルデヒド類は、芳香族環と結合したアルデヒド官能基に対して不飽和αを有するアルデヒド類及びアルデヒド基が芳香族環上にあるアルデヒド類から選択される。この少なくとも2つのアルデヒド類の組み合わせは、PCT国際特許出願公開WO00/49120でより詳細に記載されている。
【0060】
本明細書で使用する時、用語「反応性アルデヒド類」は、(i)アルデヒドとアルコールとの反応生成物、(ii)ケトンとアルコールとの反応生成物、又は(iii)アルデヒドと同じアルデヒドとの又は異なるアルデヒドとの反応生成物である脱臭物質を更に包含する。このような脱臭物質は、(a)アルデヒドとカルビノールとの反応によって生成されるアセタール若しくはヘミアセタール;(b)ケトンとカルビノールとの反応によって生成されるケタール若しくはヘミケタール;(c)環状トリアセタール若しくは少なくとも2つのアルデヒドの混合環状トリアセタール、又はこれらのアセタール類、ヘミアセタール類、ケタール類、ヘミケタール類若しくは環状トリアセタール類のいずれかの混合物であることができる。これらの脱臭香料物質は、PCT国際特許出願公開WO01/07095でより詳細に記載されている。
【0061】
(フラバノイド類)
フラバノイド類も臭気抑制剤として使用できる。フラバノイド類は、C6・C3・C6フラバン骨格に基づく化合物である。フラバノイド類は、典型的な精油中に見つけることができる。このような油には、ヒマラヤスギ、ニホンイトスギ、ユーカリノキ、ニホンアカマツ、タンポポ、クマザサ及びフウロ草のような針葉樹及び草花から乾留によって抽出される精油が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン、フェンコン及びカンフェンのようなテルペン系物質を含有することができる。また茶葉からの抽出物も挙げられる。このような物質の記載は、JP02284997及びJP04030855で見つけることができる
(金属塩)
本発明の臭気抑制剤は、悪臭抑制効果のために金属塩を含むことができる。金属塩類は、銅塩、亜鉛塩及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0062】
好ましい亜鉛塩は悪臭抑制能力を有する。米国特許第4,325,939号及び同第4,469,674号に開示されているように、亜鉛は、悪臭を改善するその能力のために最も頻繁に用いられており、例えばうがい薬製品に用いられている。塩化亜鉛のような高度にイオン化され、且つ可溶性の亜鉛塩は、最良の亜鉛イオン源を提供する。好ましい亜鉛塩は、ホウ酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、塩化亜鉛、リシノール酸亜鉛、硫酸亜鉛七水和物、ウンデシレン酸亜鉛及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0063】
好ましくは、金属塩は、水溶性亜鉛塩、銅塩、又はこれらの混合物であり、より好ましくは亜鉛塩、特にZnCl2である。これらの塩は、好ましくは、主にアミン及びイオウ含有化合物を吸収するために臭気抑制剤として本発明に存在する。低分子量のイオウ含有物質、例えば硫化物及びメルカプタン類は多くの種類の悪臭、例えば食物の臭い(ニンニク、タマネギ)、体/汗の臭い、口臭などの構成成分である。低分子量のアミンも、また、多くの悪臭、例えば食物の臭い、体臭、尿などの構成成分である。
【0064】
使用される場合、亜鉛塩は、式R−(O−CH2−CH2x−O−CH2COO-を有するアニオン性界面活性剤と組み合わせることができ、式中、Rは、脂肪族アルコール置換基又はアルキルアリール置換基であり、Xは、少なくとも2である。このようなアニオン性界面活性剤は、亜鉛塩の制御放出剤として作用して、組成物の悪臭抑制特性を改善できる。亜鉛塩とアニオン性界面活性剤とのこの組み合わせは、米国特許第6,358,469号でより詳細に記載されている。
【0065】
使用される場合、亜鉛塩は、組成物の悪臭抑制特性を改善するために炭酸塩及び/又は重炭酸塩と組み合わされることもできる。亜鉛塩が炭酸塩及び/又は重炭酸塩と組み合わされる場合、組成物は、好ましくは、1個を超える−(P=O)−基を有するリン酸塩及び1個を超える酸官能性を有する有機酸から選択される安定化アニオンを更に含む。この亜鉛塩、炭酸塩及び/又は重炭酸塩の組み合わせ、並びに安定化アニオンは、米国特許第6,015,547号でより詳細に記載されている。
【0066】
銅塩はいくらかの悪臭抑制能力を有する。銅塩及び亜鉛塩を含む、アシルアセトンの少なくとも僅かに水溶性の塩を含む使い捨ての物品を処理するための脱臭組成物を開示している米国特許第3,172,817号(レウポルド(Leupold)ら)を参照のこと。
【0067】
金属塩が臭気抑制剤として本発明の組成物に添加される場合、それらは、典型的には、組成物の約0.001重量から飽和塩溶液をもたらす有効量まで、好ましくは約0.002重量%〜約25重量%、より好ましくは約0.003重量%〜約8重量%、なおより好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の濃度で存在する。
【0068】
(ゼオライト類)
本明細書の臭気抑制剤は、ゼオライト類であることもできる。好ましい部類のゼオライト類は、「中間体」シリケート/アルミネートゼオライト類として特徴付けられる。中間体ゼオライト類は、約10未満のSiO2/AlO2モル比によって特徴付けられる。好ましくは、SiO2/AlO2のモル比は約2〜約10の範囲である。この中間体ゼオライト類は「ハイ(high)」ゼオライト類よりも有利であり得る。この中間体ゼオライト類は、アミン型の臭いに、より高い親和性を有し、より大きい表面積を有しているために臭いの吸収に関して重量効率が良く、ハイゼオライト類よりも耐湿性があり、水中で臭いの吸収容量をより多く維持する。本明細書に用いるのに好適な、多種多様な中間体ゼオライト類は、PQ社(PQ Corporation)より入手可能なバルフォー(Valfor)(登録商標)CP301−68、バルフォー(登録商標)300−63、バルフォー(登録商標)CP300−35、及びバルフォー(登録商標)CP300−56として、並びにコンテカ(Conteka)よりゼオライトのCBV100(登録商標)シリーズとして市販されている。
【0069】
ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)及びUOPより入手可能な商標名アブセンツ(Abscents)(商標登録)及びスメルライト(Smellrite)(商標登録)で市販されるゼオライト物質も好ましい。このような物質は、イオウを含有する臭い、例えばチオール類、メルカプタン類の抑制に関して中間体ゼオライトよりも好ましい。
【0070】
表面に噴霧される組成物に臭気抑制剤としてゼオライト類が使用される場合、ゼオライト物質は、好ましくは約10ミクロン未満の粒径を有し、組成物の約1重量%未満の濃度で組成物中に存在する。
【0071】
(活性炭)
活性炭は、本組成物に組み込むのに好適なもう1つの臭気抑制剤である。本発明に用いるのに好適な炭素物質は、有機分子のための吸収剤として及び/又は空気清浄の目的のために、商習慣で周知の物質である。多くの場合、このような炭素物質は、「活性」炭("activated"carbon)又は「活性」木炭("activated"charcoal)と呼ばれる。このような炭素は、カルゴンタイプ(Calgon-Type)CPG(登録商標);タイプ(Type)PCB(登録商標));タイプSGL(登録商標);タイプCAL(登録商標);及びタイプOL(登録商標)のような商標名で商業的供給源から入手可能である。
【0072】
表面に噴霧される組成物に臭気抑制剤として活性炭が使用される場合、活性炭は、好ましくは約10ミクロン未満の粒径を有し、組成物の約1重量%未満の濃度で組成物中に存在する。
【0073】
臭気抑制剤として本明細書に記載される任意の物質が、本明細書に記載される別の構成成分としても分類される可能性がある場合、本明細書の目的のために、このような物質は臭気抑制剤として分類される。
【0074】
(溶媒)
本組成物は、任意の溶媒を更に含むことができる。溶媒は、溶媒を含有していない組成物に比べて、表面に適用された後により素早く乾燥する組成物を提供するのに役立つことができる。表面に適用した後に素早く乾燥する組成物が望まれる場合、本組成物は、好ましくは更に溶媒を含む。本明細書の好適な溶媒には、一価及び多価アルコール類が挙げられる。本組成物において溶媒として有用な一価アルコール類には、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、これらの混合物などが挙げられる。本組成物において溶媒として有用な多価アルコール類には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、これらの混合物などが挙げられる。他の好適な溶媒には、水混和性エーテル類、水混和性グリコールエーテル類、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。水混和性エーテル類の非限定例には、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。水混和性グリコールエーテル類の非限定例には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0075】
存在する場合、溶媒の本組成物中での濃度は、一般に約0.1%〜約99.9%、好ましくは約0.5%〜約99%、より好ましくは約1%〜約90%である。組成物がスプレー組成物(特に非エアゾール)である場合、アルコールの濃度は、好ましくは組成物の約35重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、更により好ましくは約10重量%未満である。
【0076】
(エアゾール噴射剤)
本組成物がエアゾールスプレー組成物の形態である場合、組成物はエアゾール噴射剤を更に含む。本明細書のエアゾール組成物に好適なエアゾール噴射剤の非限定例には、ブタン、イソブタン及びプロパンのような脂肪族炭化水素類;クロロジフルオロメタンのような低分子量ハロゲン化炭化水素類(好ましくは塩素化及び/又はフッ素化炭化水素);二酸化炭素のような溶解し得る気体;窒素ガス;圧縮空気;当該技術分野において周知の他の物質が挙げられる。
【0077】
存在する場合、エアゾール噴射剤は、典型的には、組成物の約2重量%〜約60重量%、好ましくは約3重量%〜約50重量%の濃度で本組成物中に組み込まれる。
本組成物に組み込むのに特に好適なエアゾール噴射剤は、米国特許第4,520,142号で詳細に記載されている。
【0078】
(界面活性剤)
本組成物が処理される表面を「濡らす」能力を改善するために(すなわち、表面全体にわたって広がる組成物の能力を改善するために)、組成物は、好ましくは任意の界面活性剤を更に含む。好ましくは、組成物は、組成物の約0.001重量%〜約90重量%、好ましくは約0.01重量%〜約80重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約70重量%の濃度で界面活性剤又は界面活性剤の混合物を含む。組成物がスプレーディスペンサーを介して表面に噴霧されることが意図される場合、組成物は、好ましくは、組成物の約5重量%未満、好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の濃度で任意の界面活性剤を含む。
【0079】
界面活性剤は、洗剤分野において一般に周知である。本発明の組成物に好適な界面活性剤には、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双極性及び上記種類の混合物が挙げられる。
好ましい界面活性剤は、米国特許出願公開US2002/0011584A1で詳細に記載されている。
【0080】
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤は、本組成物に所望により組み込まれることができる。アニオン性界面活性剤の部類のうち多くの好適な非限定例は、界面活性剤及び界面現象(Surfactants and Interfacial Phenomena)、第2版、ミルトンJ.ローゼン(Milton J.Rosen)、1989年、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,Inc.)、7頁〜16頁で見つけることができる。追加の好適なアニオン性界面活性剤の非限定例は、「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」、M.R.ポーター(M.R.Porter)、1991年、ブラッキー・アンド・サン社(Blackie & Son Ltd)、54頁〜115頁、及びその参考文献において見つけることができる。
【0081】
構造的に、好適なアニオン性界面活性剤は、少なくとも1つの疎水部分及び少なくとも1つの親水性部分を含有する。界面活性剤は、複数の疎水性部分及び/又は複数の親水性部分を含有できるが、好ましくは約2個以下の疎水性の部分及び約3個以下の親水性部分を含有する。疎水性部分は、典型的には、アルキル基として又はアルキルアリール基としてのいずれかの炭化水素で構成される。アルキル基は、典型的には、約6〜約22個の炭素を、好ましくは約10〜約18個の炭素を、より好ましくは約12〜約16個の炭素を含有し;アリール基は、典型的には、約4〜約6個の炭素を含有するアルキル基を含有する。アルキル基はそれぞれ分枝状又は直鎖であることができ、飽和又は不飽和のいずれかである。典型的なアリール基はベンゼンである。アニオン性界面活性剤のための典型的な親水性基のいくつかには、−CO2-、−OSO3-、−SO3-、−(OR1x−CO2-、−(OR1x−OSO3-、−(OR1x−SO3-が挙げられるが、これらに限定されず、式中、xは約10未満、好ましくは約5未満である。好適な界面活性剤のいくつかの非限定例には、ステパノール(Stepanol(登録商標))WAC、バイオソフト(Biosoft(登録商標))40(ステパン社(Stepan Co.)、イリノイ州ノースフィールド(Northfield))が挙げられる。
【0082】
アニオン性界面活性剤は、また、動物系油又は植物系油を硫酸化するか又はスルホン化することにより生成できる。このような種類の界面活性剤の例には、フリーダム・ケミカル社(Freedom Chemical Co.)(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte))(BFグッドリッチ(Goodrich)所有)より入手可能である硫酸化されたキャノーラ油及び硫酸化されたヒマシ油(フリーダム(Freedom)SCO−75)が挙げられる。
【0083】
好適なアニオン性界面活性剤の非限定例には、C8〜C22アルキル脂肪酸の塩;C10〜C14アルキルベンゼンスルホネート;C10〜C22アルケンスルホネート;C10〜C22アルキルエーテルスルホネート;C10〜C22アルキルサルフェート;C4〜C10ジアルキルスルホサクシネート;C10〜C22アシルメチオネート;アルキルジフェニルオキシドスルホネート;アルキルナフタレンスルホネート;2−アセタミドヘキサデカンスルホネート;アルキルグリセリルエーテルスルホネート;及びN−アルキル置換サクシネートが挙げられる。有機イオウ反応生成物の水溶性アルキルベンゼンスルホネート塩であるアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に記載されている。とりわけ価値があるのは、アルキル基の平均炭素原子数が約11〜13個の線状直鎖アルキルベンゼンスルホネートであり、C11〜C13LASと略される。他のアニオン性界面活性剤は、米国特許第6,358,469号に記載されており、これは本組成物が炭酸塩及び/又は重炭酸塩と組み合わせて亜鉛塩を含む場合に好ましい。
【0084】
本組成物が非錯体化型シクロデキストリンを臭気抑制剤として含む場合、アニオン性界面活性剤は、好ましくは、シクロデキストリン適合性であり、それは界面活性剤がシクロデキストリンと錯体を形成する傾向がないことを意味する。シクロデキストリン適合性のアニオン界面活性剤の非限定例は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートであり、次の一般式を有する:
【0085】
【化1】

式中、Rはアルキル基である。この種類の界面活性剤の例は、商標名ダウファックス(Dowfax)(登録商標)でダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)から入手でき、ここでRは直鎖又は分枝状C6〜C16アルキル基である。これらのシクロデキストリン適合性アニオン性界面活性剤の例は、ダウファックス(Dowfax)3B2であり、Rはほぼ直鎖C10基である。
【0086】
(非イオン性界面活性剤)
本組成物は、所望により非イオン性界面活性剤を含むことができ、これは本組成物において好ましい界面活性剤である。好適な非イオン性界面活性剤の非限定例には、アルキルエトキシル化界面活性剤、ブロックコポリマー界面活性剤、ヒマシ油界面活性剤、ソルビタンエステル界面活性剤、ポリエトキシル化脂肪族アルコール界面活性剤、グリセロールモノ脂肪酸エステル界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの非イオン性界面活性剤は、米国特許出願公開US2002/0011584A1でより詳細に記載されている。
【0087】
アルキルエトキシル化界面活性剤及びヒマシ油界面活性剤は、好ましい非イオン性界面活性剤である。ヒマシ油界面活性剤には、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルが含まれ、これらは部分的に又は完全に水素添加されている。好ましい硬化ヒマシ油界面活性剤は、商標名HCO40及びHCO60でニッコー(Nikko)から、並びに商標名クレムフォー(Cremphor)(商標)RH40、RH60及びCO60でBASFから市販されている。
【0088】
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤も本組成物に組み込むことができる。布地に噴霧される水性組成物に使用する場合、カチオン性界面活性剤は、布地の繊維間に組成物が浸透する能力を改善でき、これは、悪臭を減らす及び/又は布地のしわ外観を減らすという点においてより良好な性能をもたらすことができる。またカチオン性界面活性剤は、本組成物で処理される布地を柔軟にすることに有用であり得る。
【0089】
好適なカチオン性界面活性剤には多種多様な第四級化合物が挙げられる。好ましいカチオン性界面活性剤は、ジエステル第四級アンモニウム化合物(「DEQA」)である。これら及びその他の好ましい第四級化合物は、米国特許出願公開US2002/0011584A1で詳細に記載されている。
【0090】
カチオン性界面活性剤が抗菌活性物質又は防腐剤のいずれかとして作用する場合、本発明の目的のために、以下に記載されるような抗菌活性物質剤/防腐剤として分類される。
【0091】
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤も本組成物に使用できる。両性イオン(ampholytic)界面活性剤とも呼ばれる両性(amphoteric)界面活性剤は、第二級若しくは第三級アミンの脂肪族誘導体、又は複素環式第二級及び第三級アミンの脂肪族誘導体として広く定義されてもよく、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝状であることができ、脂肪族置換基のうちの1つは約8〜約18個の炭素原子を含有し、少なくとも1つは、アニオン水溶性基、例えばカルボキシ、サルフェート又はスルホネートを含有する。好適な両性界面活性剤の例は、米国特許第3,929,678号の第19欄18〜35行で見つけることができる。
【0092】
(双極性界面活性剤)
本組成物は、所望により双極性界面活性剤を含むことができる。双極性界面活性剤は、第二級及び第三級アミンの誘導体、複素環式第二級及び第三級アミンの誘導体、又は第四級アンモニウム、第四級ホスホニウム若しくは第三級スルホニウム化合物の誘導体として広く記載されてもよい。
【0093】
(遊離香料)
本発明の安定した水性組成物は、好ましくは任意成分として遊離香料を含む。本明細書で使用する時、用語「遊離香料」は、組成物中にはあるが、マイクロカプセル内には含有されない香料を意味する。遊離香料は、本発明の安定した水性組成物で処理される表面に爽やかな印象を与えるために本組成物には望ましい。布地、特に衣類に爽やかな印象を与えることは重要であるので、遊離香料は、布地を処理する組成物には特に望ましい。組成物を、例えば布地、装飾表面、又はカーペットに噴霧することによって組成物が表面に適用される場合、遊離香料は、香料の香りの素早い「バースト」を提供するのに望ましいことがあり得る。
【0094】
本組成物に組み込まれるのに好適な香料物質は、例えば米国特許第5,939,060号(トリン(Trinh)ら、1999年8月17日発行)の第2欄38行〜第7欄53行に開示されている。
【0095】
遊離香料が本発明の安定した水性組成物に含まれる場合、これは多種多様な濃度で含まれ得る。遊離香料は、典型的には、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.001重量%〜約7重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約5重量%の濃度である。
【0096】
(抗菌活性物質/防腐剤)
本組成物は、所望により抗菌活性物質/防腐剤を更に含むことができる。以上で議論されたように、抗菌活性物質は、本組成物のマイクロカプセルに含有される活性物質を構成することができる。加えて又は別の方法として、本組成物は遊離した抗菌活性物質/防腐剤を含むことができ、これは、本組成物のマイクロカプセル内には含有されない抗菌活性物質/防腐剤を意味する。
【0097】
本組成物に組み込まれるのに好適な抗菌活性物質/防腐剤には、多くの第四級化合物、ビグアニド化合物、及び抗菌能を有するその他の抗菌活性物質が挙げられる。これらの物質は、組成物自体で微生物の成長を阻害する(すなわち、防腐剤として作用する)及び/又は本組成物で処理される表面の微生物を殺す(すなわち、抗菌活性物質として作用する)有効量で本組成物に組み込まれることができる。
【0098】
本明細書に好適な抗菌活性物質/防腐剤には、第四級化合物、ビグアニド化合物、及びそれらの混合物が挙げられる。第四級化合物の非限定例には、市販されているバルクアット(Barquat)(登録商標)(ロンザ(Lonza)より入手可能)、マクアット(Maquat)(登録商標)(メーソン(Mason)より入手可能)、バリクアット(Variquat)(登録商標)(ウィトコ/シェレックス(Witco/Sherex)より入手可能)、及びハイアミン(Hyamine)(登録商標)(ロンザより入手可能)のような塩化ベンザルコニウム類及び/又は置換塩化ベンザルコニウム類;ロンザのバーダック(Bardac)(登録商標)製品のようなジ(C6〜C14)アルキルジ短鎖(C14アルキル及び/又はヒドロキシアルキル(hydroxyalkl))第四級;ダウ(Dow)より入手可能なダウィサイド(Dowicide)(登録商標)及びダウィシル(Dowicil)(登録商標)のようなN−(3−クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド;ローム・アンド・ハ−ス(Rohm & Haas)からのハイアミン(Hyamine)(登録商標)のような塩化ベンゼトニウム;ローム・アンド・ハ−スより供給されているハイアミン(Hyamine)(登録商標)10Xに代表される塩化メチルベンゼトニウム、メレルラボズ(Merrell Labs)より入手可能なセパコール(Cepacol)クロリドのような塩化セチルピリジニウム;並びにジエステル第四級アンモニウム化合物が挙げられる。好ましいジアルキル第四級化合物の例は、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(バーダック(Bardac)(登録商標)22)、及びジオクチルジメチルアンモニウムクロリド(バーダック(Bardac)(登録商標)2050)のようなジ(C8〜C12)ジアルキルジメチルアンモニウムクロリドである。本明細書のカチオン性防腐剤及び/又は抗菌剤として有用な第四級化合物は、好ましくは、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド類、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド類、ジアルキルメチルベンジルアンモニウムクロリド類及びこれらの混合物から成る群から選択される。本明細書に有用な他の好ましいカチオン性抗菌活性物質には、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)から商標名ハイアミン(Hyamine)(登録商標)1622として市販されている)及び(メチル)ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(すなわち、メチルベンゼトニウムクロリド)が挙げられる。
【0099】
ビグアニド化合物の非限定例には、クロルヘキシジンとして一般に知られている1,1’−ヘキサメチレンビス(5−(p−クロロフェニル)ビグアニド)、及びポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩を含む、コスモシ(Cosmoci)(登録商標)CQ(登録商標)、バントシル(Vantocil)(登録商標)IBが挙げられる。他の有用な抗菌活性物質にはビス−ビグアニドアルカンが挙げられる。上記の使用可能な水溶性塩は、塩化物、臭化物、硫酸塩、メチルスルホネート及びエチルスルホネートのようなアルキルスルホネート類、p−メチルフェニルスルホネ−ト類のようなフェニルスルホネート類、硝酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩などである。
【0100】
他の好適な抗菌活性物質の非限定例には、ピリチオン(特に亜鉛錯体(ZPT))、オクトピロックス(Octopirox)(登録商標)、ジメチルジメチロールヒダントイン(グリダント(Glydant)(登録商標))、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、イミダゾリジニル尿素(ガーマル(Germall)115(登録商標))、ジアゾリジニル尿素(ガーマルII(登録商標))、ベンジルアルコール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール(Bronopol)(登録商標))、ホルマリン(ホルムアルデヒド)、ヨードプロペニルブチルカルバメート(ポリフェーズ(Polyphase)P100(登録商標))、クロロアセトアミド、メタンアミン、メチルジブロモニトリルグルタロニトリル(1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン又はテクタマー(Tektamer)(登録商標))、グルタルアルデヒド、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン(ブロニドックス(Bronidox)(登録商標))、フェネチルアルコール、o−フェニルフェノール/ナトリウムo−フェニルフェノール、ヒドロキシメチルグリシネートナトリウム(スットサイド(Suttocide)A(登録商標))、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン(ヌオセプト(Nuosept)C(登録商標))、ジメトキサン、チメルサール(Thimersal)、ジクロロベンジルアルコール、カプタン、クロロフェネネシン(Chlorphenenesin)、ジクロロフェン、クロルブタノール(Chlorbutanol)、グリセリルラウレート、ハロゲン化ジフェニルエーテル、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(トリクロサン(Triclosan)(登録商標)又はTCS)、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’ジブロモ−ジフェニルエーテル、フェノール性化合物(米国特許第6,190,674号に記載)、パラ−クロロ−メタ−キシレノール(PCMX)、クロロチモール、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、5−クロロ−2−ヒドロキシジフェニルメタン、レゾルシノール及びその誘導体(米国特許第6,190,674号に記載)、5−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−クロロ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、5−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、4’−ブロモ2,4−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビスフェノール性化合物(米国特許第6,190,674号に記載)、パラベン類(米国特許第6,190,674号に記載)、ハロゲン化カルボアニリド類(米国特許第6,190,674号に記載)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
本発明の組成物に存在する場合、抗菌活性物質は、組成物で処理される表面の微生物を殺す有効量で含まれ、典型的には、組成物の約0.001重量%〜約20重量%、好ましくは約0.01重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約5重量%の濃度である。
【0102】
(しわ抑制剤)
本組成物は所望によりしわ抑制剤を更に含むことができ、このしわ抑制剤は、本組成物で処理される表面、特に布地にしわが形成するのを防止する及び/又は抑制するのに役立つ。本明細書に有用なしわ抑制剤には、繊維潤滑剤、形状保持ポリマー、親水性可塑剤、リチウム塩、及びこれらの混合物が挙げられる。このようなしわ抑制剤は、米国特許第6,001,343号(トリン(Trinh)ら、1999年12月14日発行)で詳細に記載されている。活性物質を含有するマイクロカプセルを含む本発明の基礎組成物として、特に衣類をコンディショニングするためのキャビネット型装置又はバッグ型装置で使用できる組成物として好適であり得るしわ抑制組成物は、また、同時係属中の米国特許出願番号09/674,224(ハベッシュ(Hubesch)ら、1998年4月27日出願(PCT国際公開特許WO99/55950(1999年11月4日公開)に関連));及び同時係属中の米国特許出願番号09/673,600(ウー(Woo)ら、1998年4月27日出願(PCT国際公開特許WO99/55816(1999年11月4日公開)に関連)に開示されている。
他の追加の任意成分が、本組成物に含まれ得る。追加の任意成分の非限定例には、光沢剤、着色剤などが挙げられる。
【0103】
本組成物は、典型的には、約2〜約10、好ましくは約3.5〜約9.5、より好ましくは約4〜約9のpHを有する。組成物に含まれる物質に応じて、組成物のpHを酸性又はアルカリ性に調整することが望ましいことがあり得る。例えば組成物が酸活性化分散剤(例えば、アルコガム(ALCOGUM)(登録商標)L−511のようなアクリレート/アミノアクリレートコポリマー類)を含有する場合、組成物は、好ましくは、約8未満、好ましくは約7.5未満、より好ましくは約7未満のpHを有する。一方、例えば組成物がアルカリ活性化分散剤(例えば、アルコガム(ALCOGUM)(登録商標)SL−70のようなアクリレート/アクリルポリマー類)を含有する場合、組成物は、好ましくは、約4を超える、好ましくは約5を超える、より好ましくは約5.5を超えるpHを有する。
【0104】
本発明の組成物は、水性液体(例えば、米国特許第6,146,621号に記載されているもののような布地リフレッシャー)、エアゾール(米国特許第4,520,142号に記載されているようなもの)、ゲル(例えば、米国特許第5,384,061号に記載されているもののような自動食器洗いゲル)、ペースト(例えば、米国特許第4,701,319号に記載されているもののような練り歯磨き)、ローション(例えば、米国特許第5,968,258号に記載されているもののようなスキンローション)、粉末洗剤顆粒(例えば、米国特許第5,338,476号に記載されているもののような洗濯洗剤組成物)、シャンプー/コンディショナー(米国特許第6,221,817号に記載されているようなもの)、棒状セッケン(米国特許第5,254,281号に記載されているようなもの)などの形態であることができる。組成物は、また、柔軟仕上げ剤ドライヤーシート(例えば、米国特許第4,808,086号を参照のこと)、家庭用ドライクリーニングプロセスのためのプレモイストシート(例えば、米国特許第5,630,848号を参照のこと)、プレモイストクリーニング拭き取り用品(例えば、米国特許第6,183,763号を参照のこと)、乾燥ごみ掃除シート(例えば、米国特許第5,525,397号を参照のこと);及びおむつ(例えば、米国特許第6,319,239号を参照のこと)のような基材に組み込まれることができる。組成物は、また、プラグイン型のエアフレッシュナー(米国特許第5,976,503号に記載されているようなもの)に組み込まれることができる。好ましくは、本組成物は水性液体であり、特に相対的に多量の水を含むものである。
【0105】
本発明の好ましい方法は、本発明の安定した水性組成物で表面、好ましくは布地を処理することに関し、表面を安定した水性組成物と接触させる工程を含む。本明細書で使用する時、用語「布地」は、種々の布地、並びに布地及び/又は繊維で構成された物品を包含することを意味し、衣類、カーテン、ドレープ、装飾家具、カーペット、ベッドリネン、バスリネン、テーブルクロス、寝袋、テント、車のインテリア(例えば、車用カーペット、布製車シート)などが挙げられるが、これらに限定されない。該方法は、より詳細には、表面、特に布地の悪臭感を低減させる、及び/又は布地のしわ外観を低減させることに関する。表面は、好ましくは、スプレーディスペンサーを介して本発明の希釈水性組成物を表面に噴霧すること、又は本発明の濃縮組成物を、例えば典型的な洗濯プロセスの洗浄及び/若しくはすすぎサイクルに加えることのいずれかにより処理される。
【0106】
本明細書の好ましい方法は、悪臭感を有する表面(好ましくは布地)の悪臭感を低減させる方法を含み、この方法は、表面を、以上で記載した安定した水性組成物と接触させる工程を含む。
本明細書の悪臭感を低減させるための組成物は、分配、例えば水性溶液を分配手段、好ましくはスプレーディスペンサーに配置し、所望の表面又は物品に有効量を噴霧することによって使用できる。本明細書で定義される有効量とは、人間の嗅覚によって認識されない程度にまで臭気を吸収するのに十分な量であるが、前記物品又は表面上を液体で水浸しにするか又は水溜りを作り出すほどではなく、その結果乾燥した場合に容易に識別可能な目に見える沈着がない量を意味する。分配は、スプレー装置、ローラ、パッドなどを使用することにより達成できる。臭気抑制において、本明細書で定義される有効量とは、感知された臭気の目覚ましい減少をもたらすために、好ましくは人間の嗅覚により認識できない程度にまで臭気を吸収するのに十分な量を意味する。
【0107】
本発明は、家財表面上の悪臭を減らすための有効量の組成物を噴霧する方法を包含する。好ましくは、前記家財表面は、調理台、キャビネット、壁、床、浴室表面及び台所表面から成る群から選択される。
【0108】
追加の方法には、例えば水性液体組成物をスチームアイロンに加え、次いでスチームアイロンを布地のアイロン掛けに使用することが挙げられる。別の方法には、布地をリフレッシュするための装置(PCT国際公開特許WO02/14594に記載されるようなもの)に水性液体組成物を加えることが挙げられる。
【0109】
本組成物がしわ抑制剤を含む場合、布地のしわを抑制する方法は、同時係属中の米国特許出願公開US2002/0011584A1で詳細に記載されているように、本発明に包含される。
【0110】
本発明の組成物は、当該技術分野において周知の多種多様なパッケージに包装されることができる。本組成物が水性液体組成物である場合、組成物は、好ましくはスプレーディスペンサーに包装される。好適なスプレーディスペンサーは、手動で操作されるか又は非手動で操作されることができる(例えば、電池式のディスペンサー)。好適なスプレーディスペンサーは、米国特許第6,284,231号で詳細に記載されている。エアゾール組成物が作られる場合、それらは、典型的には、米国特許第3,436,772号及び同第3,600,325号に記載されるもののようなエアゾールスプレーディスペンサーに包装される。他の好適なスプレーディスペンサーは、米国特許第4,082,223号;同第4,161,288号;同第4,434,917号;同第4,819,835号;及び同第5,303,867号でより詳細に記載されている。
【0111】
本発明の組成物は、泡を生成するような方法で送達できる。本発明の泡は液体中のガスのいかなる分散をも含む。発泡界面活性剤は、典型的には発泡を促進するのに使用される。これらの発泡界面活性剤には、好ましくはアルキルが直鎖である高級アルキルベンゼンスルホネート類;N−高級アシルサルコシド類;α−オレフィンスルホネート類;パラフィンスルホネート類;高級脂肪族アシルタウリド類及びイセチオネート類;高級脂肪酸モノグリセリドサルフェート類及びスルホネート類;とりわけナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミン塩としてのタローアルコールサルフェート、ココヤシ油モノグリセリドサルフェート及びn−ドデシルベンゼンスルホネートが挙げられるが、これらに限定されない。通常、アニオン性界面活性物質は、ほぼ平衡した親水性−脂肪親和性比を有し、高級アルキル又はアシルは、炭素原子10〜20個、好ましくは炭素原子12〜18個のものである。発泡組成物を形成する代表的な方法は、米国特許第6,482,783号(ルイス(Lewis)ら)で概説されている。
【0112】
本明細書の安定した水性組成物(特に濃縮組成物)は、瓶、特に計量用キャップ(measuring closure)を備える瓶に包装されることもできる。計量用キャップは、特に、典型的な洗濯プロセスで処理される布地を含有する洗浄及び/又はすすぎ溶液に濃縮組成物を分配する時に、適切な量の組成物を分配する都合のよい手段を提供する。瓶は、また、好ましくは、組成物がより容易に、そしてあまり汚すことなく分配されることを可能にする液だれ防止口(drain-back spout)を備える。好適な瓶の非限定例は、米国特許第4,666,065号(オーレン(Ohren)、1987年5月19日発行);米国特許第4,696,416号(ムッケンフ(Muckenfuhs)ら、1987年9月29日発行));及び米国特許第4,981,239号(キャッペル(Cappel)ら、1991年1月1日発行)で詳細に記載されている。
【0113】
本組成物は、組成物を構成する成分を一緒に混合することによって製造される。本発明の組成物を製造する好ましい方法が以下の実施例XVで記載される。
【0114】
以下は本発明の非限定的な例である。
【実施例】
【0115】
【表2】

上の実施例1〜8の各組成物において、それぞれの組成物のpHは、必要に応じて水酸化ナトリウム又は塩酸を用いて3〜11に調整される。上の実施例1〜8のそれぞれのマイクロカプセルは、マイクロカプセルの総量の約0.001重量%〜約99.9重量%の、香料、着香料、殺真菌剤、光沢剤、静電気防止剤、しわ抑制剤、柔軟仕上げ剤、硬質表面洗浄剤、スキン及び/又はヘアコンディショニング剤、抗菌活性物質、UV保護剤、昆虫忌避剤、動物/害虫忌避剤、難燃剤、臭気抑制剤並びにこれらの混合物から成る群から選択される活性物質を含有する。
【0116】
(実施例9)
実施例1の組成物の1kgバッチが次のように製造される。4リットルのビーカー中で組成物の成分をブレンドするために混合機が使用される。混合機は10.16cm(4”)のピッチブレードを有し、混合機の混合速度は26rad/秒(250RPM)に設定される。次の成分が4リットルのビーカーに順番に加えられる:834.78gの水;32.50gのエタノール;1.00gのシルウェット(Silwet)(登録商標)L−7600;0.50gの遊離香料;1.50gの、50重量%の香料及び50重量%のミリスチン酸イソプロピルを含有するマイクロカプセル;並びに1.89gのポリアクリル酸。これらの成分は5分間混合される。次に27.50gのヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンがビーカーに加えられる。別の400ミリリットルのビーカー中で、水及びジェランガムを含有するプレミックスが製造される。混合機は2.54cm(1”)のピッチブレードを有し、混合機の混合速度は104.7rad/秒(1000RPM)である。次の成分が400ミリリットルのビーカーに順番に加えられる:99.7gの水及び0.3gのジェランガム。プレミックスは75℃に加熱され、より大きいバッチに加えられて0.03%ジェランガム組成物を製造する。0.33gのカトン(Kathon)(登録商標)が保存のために添加される。これらの成分は10分間混合される。得られる組成物は約7のpHを有する。
【0117】
本発明の特定の実施形態を例示し説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質の制御放出を提供するための組成物であって:
(a)前記活性物質及び安定剤を含有するマイクロカプセル、
(b)分散剤;並びに
(c)所望により、水性キャリア
を含む、組成物。
【請求項2】
前記マイクロカプセルが、ウレアホルムアルデヒド類、メラミンホルムアルデヒド類、フェノールホルムアルデヒド類、ゼラチン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリアクリレート類、ポリアミド類、ポリウレタン、ポリメタクリレート類、ポリエポキシド類、酢酸セルロース、硝酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、エチルセルロースポリエステル、ポリクロロトリフルオロエチレン、酢酸エチル/酢酸ビニル、サラン(saran)、ポリスチレン、ゼイン(zein)、パラフィンろう、動物性ろう、植物性ろう、微結晶ろう、ポリエチレンろう及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性物質が、香料、着香料、殺真菌剤、光沢剤、静電気防止剤、しわ抑制剤、柔軟仕上げ剤、硬質表面洗浄剤、スキン及び/又はヘアコンディショニング剤、抗菌活性物質、UV保護剤、昆虫忌避剤、動物/害虫忌避剤、難燃剤並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定剤が、ミリスチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、鉱油、シリコーンオイル、ジエチルプロピルアセテート(acteate)、ベンジルフェニルアセテート、シトロネリルフェニルアセテート、ベンジルイソオイゲノール、ジフェニルオキシド、γ−ドデカラクトン、フタル酸ジブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、サリチル酸ベンジル、安息香酸ベンジル、フェイル(pheyl)エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート(aceate)、ケイ皮酸ベンジル、エチレンブラシレート、アンブレトン(ambretone)、ガラクソリド、トナリド、エキサルトリド、ハバノリド(habanolide)、イソアミルラウレート、セドリルアセテート、ヘキシルケイ皮アルデヒド、パチョリアルコール、δ−グアイエン、δ−カジネン、C10以上のアルコール類、ダウアノール(Dowanol)(登録商標)、ジプロピレンミリステート及びトリプロピレンミリステート、アイソパー(登録商標)、オレンジテルペン類並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性物質及び前記安定剤が、約1325を超える、合わせた重量平均コバット数を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記分散剤が、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン、カラギーナン、ジェランガム、キサンタムガム(xanthum gum)、グアーガム、アクリレート/アクリルポリマー類、水膨潤性粘土類、燻蒸シリカ類、アクリレート/アミノアクリレートコポリマー類及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記マイクロカプセルに含有されていない遊離香料を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、前記組成物で処理される表面で微生物を殺す有効量の抗菌活性物質を更に含み、前記抗菌活性物質が前記マイクロカプセルに含有されていない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が臭気抑制剤を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
表面上に活性物質の制御放出を提供する方法であって、前記表面を請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程を含む、方法。

【公表番号】特表2007−503516(P2007−503516A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524965(P2006−524965)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/029816
【国際公開番号】WO2005/025626
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】