説明

分析用基板および分析装置

【課題】 バックグラウンドノイズ光の検出感度への影響を抑制できて、検出感度を向上できる分析用基板および分析装置を提供する。
【解決手段】 試料溶液を保持するセル95を備えた基板91を設ける。セル95が設けられた基板91面に遮光層92を設ける。セル95において液体が維持されるようにセル95を覆うカバー層94を基板91におけるセル95の形成側の面に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料溶液の光学分析を行うための分析用基板およびそれを使用して分析を行う分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DNA、RNA、タンパク質などの生体試料の分析技術が著しく発展している。これらの検出法としては、蛍光法、吸収法、化学発光法、ラジオアイソトープ法などが挙げられる。上記各検出法の内、検出感度の高さと、取り扱い易さとを兼ね備えた蛍光法が多くの研究者に使用されている。
【0003】
しかしながら、蛍光法においても、励起光のわずかな混入によるバックグラウンド光が存在する。このことから、試料からの蛍光を更に高感度に検出するためには、上記バックグラウンドノイズを取り除く手段がさらに必要である。
【0004】
例えば、非特許文献1には、チップの両表面にピンホールとマイクロレンズを設け、入射光と試料からの蛍光の光路を空間的に分離することで、バックグラウンドノイズを減らす方法が開示されている。図10は、このチップを用いた蛍光検出法の様子を示す概略断面図である。
【0005】
上記蛍光検出法においては、図10に示すように、基板状のチップ80の内部に試料の通るマイクロチャネル81が備えられ、また、チップ80の励起光入射側表面、その反対側にあたる検出側表面の両面にそれぞれピンホール82a、82bと、微小なレンズ83a、83bが備え付けられている。レンズ83a、83bはそれぞれピンホール82a、82bの中に配置されている。
【0006】
入射光85には、チップ80の表面に対して45度の角度から入射する平行光が用いられており、入射光85は入射側表面のマイクロレンズ83aによりマイクロチャネル81上の一点に集光される。これにより、マイクロチャネル81内を流れる試料が発する蛍光のうち、検出側表面のピンホール82b内のマイクロレンズ83bを通過する蛍光86だけが光検出器により検出される。
【0007】
このとき、ピンホール82bは試料の蛍光86の一部を検出側に通し、入射光85がマイクロチャネル81内を通過した結果の透過光87は検出側には通さない。したがって、上記蛍光検出法では、検出すべき蛍光86に対して、透過光に起因するバックグラウンド光を減らすことができる。
【非特許文献1】Jean-Christophe Roulet et.al., “Integration of Micro-Optical Systems for Fluorescence Detection in μTAS Applications", Micro Total Analysis Systems 2000, pp.163
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の方法においては、マイクロチャネル81とピンホール82aと82bとの間に距離があるため、励起光85および87が基板84aと84bを通過する間に基板84aと84bから自家蛍光が生じる。この自家蛍光の量は通過する距離に比例するため、上述の従来の方法では自家蛍光の量が増大してしまう。また、マイクロレンズ83aと83bからも同様に自家蛍光が生じる。この自家蛍光は試料からの蛍光86と同様にピンホール82bを通過して検出されるため、空間的に互いに分離することはできない。また、自家蛍光は波長域が励起光である入射光85よりも長波長であり、一般的に試料からの蛍光86と同波長領域になることが多く、光学フィルターにより分離することはできない。つまり、試料の蛍光86に、マイクロレンズ83aと83bや基板84aや84bからの自家蛍光が混入し、バックグラウンド光になるという問題点があった。
【0009】
また、入射光85が試料の通るマイクロチャネル81に到達する前に、レンズ83aの端部では入射光が散乱し、またレンズ83aの内部を通るときに上述の通り入射光に励起された自家蛍光も発する。これら自家蛍光や散乱光は、同様に、検出すべき蛍光の感度を低下させる別のバックグラウンド光となる。
【0010】
つまり、上記従来の方法においては、入射側のレンズ83aから出る散乱光や自家発光は、検出側のレンズ83bによって集光され、その一部は試料からの蛍光86と共に検出側へ導かれる。したがって、入射側のレンズ83aから出る散乱光や自家発光と試料からの蛍光86とを空間的に完全に分離することはできない。つまり、試料の蛍光86に、レンズ83aからの散乱光や自家発光が混入し、バックグラウンド光になって、検出感度が低下するという問題点があった。
【0011】
よって、この問題点の解決には、上記の自家蛍光・散乱光の混入を抑える光学系の構築が必要不可欠になる。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、試料からの光学的な変化を感度良く検出するための分析用基板とそれを用いた分析装置との提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の分析用基板は、試料溶液の光学分析が可能な分析用基板において、試料溶液を保持するセルを備えた基板と、前記セルが設けられた基板面に形成された遮光層と、前記基板における前記セルの形成側の面に設けられ、前記セルにおいて液体が維持されるように前記セルを覆うカバー層と、を備えていることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、遮光層は、基板のセルが存在する基板面と、カバー層とによって挟まれる。この構造では、入射光が基板もしくはカバー層の何れか一方から集光用レンズを通して入射したとき、基板もしくはカバー層の自家蛍光・散乱光や、集光用レンズの自家蛍光・散乱光は入射光に比べて強度が弱く、遮光層に遮られやすいため、基板を挟んで反対側の検出側に到達しない。
【0015】
これにより、上記構成では、集光用レンズや、基板もしくはカバー層からの弱い自家蛍光・散乱光は検出側において観測されることを防止できる一方、入射光は、その光強度が高いため光強度が減じられながらも上記遮光層を透過できる。
【0016】
上記透過光はセル内の試料を光学分析することが十分可能である。例えば上記透過光は、上記試料に対して蛍光分子を励起するのに十分な強度を備えることが可能となる。つまり、上記の構成によれば、遮光層は基板もしくはカバー層や集光用レンズの自家蛍光や散乱光を遮光し、入射光の方は蛍光分子を励起する強度を保ったまま透過させることができる。
【0017】
したがって、上記構成では、セルに照射されるのは実質的に入射光のみとなり、検出側にはセルにおいて生じた、試料が発する光(試料からの発光)、例えば蛍光のみが到達するので、上述の自家蛍光や散乱光の混入を抑えて、試料の発光、例えば蛍光のみを高感度にて検出することができる。
【0018】
また、上記分析用基板においては、前記遮光層は、光学的な開口部を備えていてもよい。上記の構成によれば、集光された入射光は分析用基板内の遮光層のない開口部を通過できるため、入射光を減じることなくセルに保持された試料に照射し、試料を効率よく励起して、発光させることができる。これに対し、集光用レンズの自家蛍光や散乱光、入射側の基板もしくはカバー層の自家蛍光や散乱光は発散光であり、それらのほとんどが開口部を通過せず遮光層により遮られるため、検出側まで到達することが低減される。
【0019】
よって、上記構成では、分析用基板の自家蛍光や散乱光が試料からの発光に混入することを抑えることができ、試料の蛍光といった発光のみを高感度にて検出することができる。なお、自家蛍光や散乱光をさらに完全に遮光するために遮光層の厚みを増すことができる。このとき、入射光は遮光層に遮られることなく開口部を通過するため、入射光を減じることなく、自家蛍光や散乱光のみを十分にカットすることができる。
【0020】
また、上記分析用基板において、前記遮光層を覆う保護層を備えている構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、前記基板の遮光層が導電性の物質から成り、かつ、前記セルにて電気泳動を行おうとした場合、上記保護層が絶縁体(誘電体)のとき、上記保護層は大きな役割を果たす。仮に前記遮光層が導電性物質からなる場合、セルに沿った導体が存在するため、試料に導体が接触し、セル内には十分な電場をかけることができない、あるいはセル内に偽電極が形成されるなどの不都合が生じ、良好な電気泳動が困難となる。
【0022】
したがって、遮光層を絶縁体(誘電体)からなる保護層で覆うことにより、試料に導体が接触せず、分析用基板ではセル内の電場が均一となり良好な分析が可能となる。
【0023】
また、本発明の他の分析用基板は、前記課題を解決するために、試料溶液の光学分析が可能な分析用基板において、試料溶液を保持するセルを備えた基板と、前記基板面に形成された、反射膜からなる遮光層と、前記基板における前記セルの形成側の面に設けられ、前記セルにおいて液体が維持されるように前記セルを覆うカバー層と、前記基板に形成された、前記セルの位置に前記光学分析用の入射光をガイドするための案内手段とを備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、例えば光ピックアップを用いて前記基板上の案内手段に入射光を追随させることにより、上記セルに対し入射光を正確に導くことができる。
【0025】
また、上記分析用基板において、前記セルの刻まれた基板が光の入射側基板であり、前記カバー層が出射側の基板である構成としてもよい。
【0026】
上記の構成においては、セルが入射側の基板に形成されているため、検出側であるカバー層を入射側の基板に対して薄くすることができ、カバー層から発せられる自家蛍光や散乱光の量を減らすことができる。
【0027】
本発明の分析装置は、入射光を上記何れかに記載の分析用基板に対して入射させるための光源と、前記分析用基板をはさんで前記光源とは反対側に位置し、前記入射光の光路上から外れた位置に配置された光検出器とを備えていることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、前記分析装置に備えられた光検出器は、前記入射光の光路から外れた位置に配置されているため、入射光が直接入ることによるバックグラウンドノイズ光を低く抑えることができる。
【0029】
本発明の他の分析装置は、前記案内手段を備えた前記分析用基板に対して入射光を入射させるための光源を有し、前記分析用基板からの反射光を検出する光ピックアップと、前記光ピックアップを前記案内手段に沿った方向に移動させる移動手段と、前記光ピックアップからの検出信号に基づき、前記案内手段に前記入射光が追従するように前記光ピックアップを制御するトラッキング手段とを備えることを特徴としている。
【0030】
上記の構成によれば、前記分析用基板からの反射光を前記光ピックアップが読み取ることで、分析用基板上の正確な位置に入射光の焦点を合わせることができ、この状態をセル上でも保持することにより、セル中の試料に的確に入射光を照射して上記試料に対する光学分析を安定化できる。
【0031】
また、上記の分析装置において、前記光検出器と前記分析用基板との間にピンホールを備える構成としてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、検出側基板より発する自家蛍光や散乱光が発散光であるため、ピンホールを用いた共焦点の仕組みを用いることで、自家発光や散乱光の光検出器への混入を低減しながら、測定すべき試料からの蛍光といった発光を検出できる。つまり、試料からの発光と、検出側基板の自家蛍光や散乱光とを空間的に分離するとことが可能となり、高感度な発光分析が可能となる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明の分析用基板は、試料溶液の光学分析が可能な分析用基板において、試料溶液を保持するセルを備えた基板と、前記セルが設けられた基板面に形成された遮光層と、前記基板における前記セルの形成側の面に設けられ、前記セルにおいて液体が維持されるように前記セルを覆うカバー層と、を備えていることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、遮光層は、基板のセルが存在する基板面と、カバー層とによって挟まれる。この構造では、入射光が基板もしくはカバー層の何れか一方から、例えば集光用レンズを通して入射したとき、基板もしくはカバー層の自家蛍光・散乱光や、集光用レンズの自家蛍光・散乱光は入射光に比べて強度が弱く、遮光層に遮られるため、基板を挟んで反対側の検出側に到達することが抑制される。
【0035】
これにより、上記構成では、集光用レンズや、基板もしくはカバー層の自家蛍光は検出側において観測されることを防止できる一方、入射光は、特に集光した入射光は、その光強度が高いため、光強度が減じられながらも上記遮光層を透過できる。
【0036】
上記透過光は、セル内の試料を光学分析可能とする。例えば上記透過光は、上記試料に対して蛍光分子を励起するには十分な強度を備えることが可能となる。つまり、上記の構成によれば、遮光層は基板もしくはカバー層や集光用レンズの自家蛍光を遮光し、入射光の方は透過させることができる。
【0037】
したがって、上記構成では、セルに照射されるのは入射光のみとなり、検出側にはセルにおいて生じた、試料が発する光(試料からの発光)、例えば蛍光のみが到達するので、上述の自家蛍光の混入を抑えて、試料の発光、例えば蛍光のみを高感度にて検出することができる。
【0038】
また本発明の分析装置は、入射光を分析用基板に入射させるための光源と、前記分析用基板をはさんで前記光源とは反対側に位置し、前記入射光の光路上から外れた位置に配置された光検出器とを備えている。
【0039】
上記の構成によれば、前記分析装置に備えられた光検出器は、前記入射光の光路から外れた位置に配置されているため、入射光によるバックグラウンドノイズ光を低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の分析用基板では試料付近のセルに入射光が照射されるときに、入射光が基板を通過する際に生じる自家蛍光・散乱光を試料からの発光と分離することができる。一般に、入射光の波長が短波長であるほど自家蛍光が大きく、反対に入射光の波長が長波長であるほど自家蛍光が小さくなる。以下の実施例では自家蛍光の影響が大きく、特に散乱光に比べて大きい場合について説明する。
【実施例1】
【0041】
本発明の実施の形態1における実施例1について、図1と図2に基づいて以下に説明する。試料溶液を保持するセルには、電気泳動やクロマトグラフィーに使用する流路状のものや、DNAハイブリダイゼーションに使用されるマイクロセル形状の物など、いろいろな形状のセルがある。以下の実施例においては、試料溶液を保持するセルの例として、流路を挙げて説明する。
【0042】
図1は、本発明の実施の形態における分析用基板90の要部、およびこの分析用基板90に分析用の入射光98が入射した状態を示す縦断面図である。同図における断面は、流路95において試料などの溶液が流れる方向に対し垂直な面である。
【0043】
分析用基板90は、基板91、遮光層92、接着層93、およびカバー層94を有している。基板91は、プラスチックあるいはガラスから成り、試料溶液の通る流路95を基板91の厚さ方向の一端面に備えている。流路95の深さは数μm〜数百μm、幅は数十μm〜数百μmである。遮光層92は、カバー層94の厚さ方向の一端面に積層されている。よって、カバー層94上に、遮光層92が形成されているともいえる。
【0044】
遮光層92として、少なくともカバー層94から発する自家蛍光97を入射側から検出側に透過させない膜から成る、例えばアルミニウムや銀などの厚み10nm〜50nmの金属薄膜を用いると、上記遮光層92が上記金属薄膜からなる反射膜として容易に得られる。なお、上記遮光層92として、上記金属薄膜の反射膜の代わりに、良く知られている誘電体多層膜からなる反射膜を使用してもよいが、波長程度かそれ以上の膜厚になるため、上記金属薄膜に比べて厚くなる。
【0045】
基板91における流路95のある面と、カバー層94における遮光層92のある面とは、接着層93を介して接着される。接着層93には、例えばUV硬化樹脂を使用し、厚みは数μm〜数十μmである。基板91およびカバー層94には、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックや透明なガラスを用い、厚みは例えば0.6mmである。
【0046】
また、カバー層94は、好ましくは、基板91と同じ寸法・形状とするが、少なくとも流路95内を流れる試料溶液が流路外に漏れ出さないように流路を覆う形状をとれればよい。なお、流路95には試料溶液が充填されるが、この試料に遮光層92の金属薄膜が接すると腐食する恐れがある。接着層93は、遮光層92を試料溶液から保護し、腐食を防止する役目も兼用している。
【0047】
また、入射光98は、分析用基板90のカバー層94側から入射される。試料からの光を検出する光検出器は、分析用基板90の基板91側に配置され、入射面と検出面とは分析用基板90をはさんで互いに反対側となる。
上記の構成によれば、カバー層94側から入射した入射光98は入射用レンズ100により、流路95の下の遮光層92部分に集光される。このとき、遮光層92部分に集光して入射した入射光98は、上記部分への集光により光強度が上記部分上において高いため、その集光スポットの中心部分では、上記入射光98がその光強度を減じられながらも透過する。よって、流路95には入射光98からの透過光99が到達する。これにより、流路95に保持された蛍光試料は励起され、蛍光96を発する。この蛍光96は発散光となり、それらの少なくとも一部が光検出器(図示せず)に到達して検出される。なお、空気層からカバー層94、流路95、基板91を通る光路は、説明の都合上、各部の界面における屈折を省略して描いている。
【0048】
一方、分析用基板90における入射側のレンズ100やカバー層94は、上記入射光98が通過すると、弱い自家蛍光97を発する。この自家蛍光97は、発散光であって、ほとんどが入射光と同様に遮光層92により減じられる。したがって、弱い自家蛍光97はさらに弱くなって、ほとんど遮光されるので光検出器に到達することが阻止される。すなわち、入射光98は遮光層92を通過して流路95を照射できるが、自家蛍光97は遮光層92によって遮光される。つまり、分析用基板90における検出側に到達する光は、透過光99と、流路95内において生じた試料からの蛍光96のみとなる。
【0049】
さらに、後述するように、透過光99の光路外に光検出器を配置すれば、上記光検出器では、透過光99によるバックグラウンドノイズは検出されず試料の蛍光96のみとなり、上記蛍光96を高感度にて検出することができる。
【0050】
また、遮光層92には、通常は金属薄膜を用いるが、自家蛍光97の波長をカットして、入射光98の波長を透過するフィルター機能をもった層を用いてもよい。この構造では、入射光98は遮光層92に減じられることなく流路95に入射できるだけでなく、自家蛍光97の検出側への漏れも防ぐことができる。
【0051】
このようなフィルター機能を持った膜として誘電体多層膜が挙げられる。一般的に誘電体多層膜は、金属薄膜に比べて製造コストが高いとか、膜が厚くなるとかというデメリットがあるものの、これを用いることで試料からの蛍光強度をより強くすることが可能である。
【0052】
図2は、図1における分析用基板90から試料の蛍光を検出する、本発明に係る分析装置に備えられた光検出装置110における光学系の主要部を示す正面図である。
【0053】
光源117から発せられた分析用の入射光98は、レンズ100により集光され流路95に入射される。流路95を流れる試料からの蛍光96は、レンズ111により集光され平行光となり、光学フィルター112にみちびかれる。この光学フィルター112は、少なくとも励起光の波長帯域の光を大幅に低減させ、試料からの蛍光の波長帯域を十分に透過させる性質をもつ。光学フィルター112を通過した平行光はレンズ113により集光され、レンズ113の焦点の位置においてピンホール114を通過し、その後、光検出器115によって電気信号に変換される。
【0054】
この光学系により試料から集められる光の経路を116として示した。また、この光学系は前記の透過光99の光路外に配置される。また、レンズ111は、その焦点が流路95に定められているので、いわゆる共焦点光学系となっている。
【0055】
上記の構成によれば、前記分析装置に備えられた光検出装置110は、前記透過光99の光路外に配置されている。よって、各光学部品(111〜113)が透過光99に照射されないため、そこから自家発光を発することはない。仮にこれら光学部品が透過光99に照射されると、透過光99が非常に強い光強度をもつため、上記透過光99に曝された光学部品が自家蛍光を出す。この自家発光は光学フィルター112を通過して検出される恐れがある。また、透過光99自体も光学フィルター112からわずかに漏れて、光検出器115に入る恐れがある。これらの自家蛍光や透過光の漏れ光は、バックグラウンド光となるが、上述のように光検出装置110を透過光99の光路外に配置することによって抑えられる。
【0056】
加えて、ピンホール114によってレンズ113の焦点を通る光のみを通す、いわゆる共焦点光学系となっている。したがって、測定すべき試料からの蛍光96のみを光検出器115へ導くことができる。つまり、たとえ透過光99によって基板91から自家蛍光が生じても、自家蛍光のほとんどは、上記共焦点光学系におけるピンホール114によって遮られ、検出されることはない。
【0057】
ただし、光検出器115の受光面が非常に小さく、ピンホール114を兼用できる場合は、ピンホール114を省略できる。また、光検出器115の受光面積が大きい場合は、蛍光を集光するためのレンズ111とレンズ113とを省略しても構わない。
【0058】
以上のように、本発明の分析用基板90は、試料溶液を保持する流路95を備えた基板91と、流路95が設けられた基板面に形成された遮光層92と、基板91における流路95の形成側の面に設けられ、流路95における液体が維持されるように流路95を覆うカバー層94とを備えていることを特徴としている。なお、遮光層92は、流路95が設けられた基板91の面にこの面の全面を覆うように形成されていることが好ましい。
【0059】
上記の構成によれば、遮光層92は、基板91の流路95が存在する基板面と、カバー層94とによって挟まれる。この構造では、入射光がカバー層94に集光用のレンズ100を通して入射したとき、カバー層94の自家蛍光97や、レンズ100の自家蛍光97は、その光強度が弱く、遮光層92によって容易に遮られるため、分析用基板90を挟んで反対側の検出側には到達しない。
【0060】
これにより、レンズ100や、カバー層94の自家蛍光97が検出側において観測されることを防いでいる。一方、集光した入射光98は光強度が高いため、その集光スポットの中心部分は入射光98が遮光層92によって減じられながらも遮光層92を透過する。この透過光99は、流路95内の蛍光試料を励起するには十分な強度を持つ。つまり、この遮光層92は、カバー層94やレンズ100の自家蛍光97を遮光する一方、入射光98の方を透過させて試料を励起する。
【0061】
したがって、流路95に照射されるのは入射光98からの透過光99のみとなり、検出側には流路95において生じた試料の蛍光96のみが到達する。よって、上述の自家蛍光97の混入を抑えて、試料の蛍光96のみを高感度にて検出することができる。
【0062】
また、本発明の分析装置は、分析用基板90と、入射光を分析用基板90に入射させる光源117と、前記分析用基板90をはさんで光源117とは反対側に位置し、透過光99の光路以外に配置された光検出器115とを備えている。これによれば、分析装置に備えられた光検出器115は、前記入射光98からの透過光99の光路以外に配置されているため、上記透過光99が光検出器115に直接入射することはなく、この透過光99に起因するバックグラウンドノイズ光を低く抑えることができる。
【0063】
したがって、本発明では、試料や試薬からの光学的な変化を感度良く検出するための分析用基板と分析装置とを提供することができる。なお、分析用基板90の流路95における電気泳動の方法は、実施例2の図5において詳細に説明する。
【実施例2】
【0064】
本発明に係る実施の他の形態としての実施例2について、図3から図6に基づいて以下に説明する。以下の本実施例においては、試料溶液を保持するセルの例として、電気泳動における流路を挙げて説明する。
【0065】
図3は、本実施例における分析用基板1の要部、およびこの分析用基板1に対し分析用の入射光12が入射した状態を示す縦断面図である。同図における断面は、流路8において試料などの溶液が流れる方向に対して垂直な面であり、また案内溝5(案内手段)に沿った方向に分析用基板1を切断した面である。
【0066】
分析用基板1は、基板2、遮光層3、保護層4、カバー層7、および接着層6を有している。基板2は、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックあるいは透明なガラスから成り、試料溶液の通る流路8と、それ以外の場所に案内溝9を備えている。遮光層3は、基板2における流路8が形成されている面上において、流路8以外の場所となる上記基板2上に積層されている。
【0067】
上記遮光層3としては、前述の実施例1に記載された同様な反射膜を用いるとよい。この遮光層3が積層されていない基板2の部分(つまり流路8に面した部分)は、光が通過できる開口部3aとなる。開口部3aの幅は数十μm〜数mmである。十分に遮光するには、さらに数十μm〜数百μmが好ましい。保護層4は遮光層3を覆うように積層され、接着層6は、基板2上にカバー層7を接着するためのものである。
【0068】
例えば厚さ0.6mmの基板2には、一方の面に溝形状に成型された溝状の流路8が形成され、流路8の両側には案内溝9が形成されている。案内溝9は流路8に対し垂直の方向に刻まれており、これは、特願2004−242978号(発明の名称:分析用基板および分析装置)に示されている分析用基板の構造と同様である。流路8の深さは数μm〜数百μm、幅は数十μm〜数百μmである。
【0069】
基板2の流路8のある面の流路8以外の部分(開口部3aの部分)には、反射膜からなる遮光層3が形成されている。これにより遮光層3は基板2に刻まれた案内溝9を覆う形をとる。遮光層3は、後述するように、少なくとも入射光の波長の光とカバー層7から発する自家蛍光を検出側に透過させない膜から成る。
【0070】
ところで、電気泳動の場合は、遮光層3に金属膜を用いると、金属膜近傍では電界がゼロ(電位一定)となりやすく、流路8内での電気泳動に支障が出やすい。そこで、電気泳動の場合は、遮光膜3と流路8とには十分な間隔が必要である。また、金属膜に代えて、誘電体多層膜からなる反射膜を使用しても良い。このように金属膜や誘電体多層膜からなる反射膜を用いることにより、遮光層3は後述の案内溝5の読み取りに必要な反射膜としても働く。
【0071】
保護層4は遮光層3を覆うように形成される。基板2上には案内溝9が凹凸形状によって刻まれており、遮光層3と保護層4は、その上に一様の厚さで成膜される。結局、保護層4上は案内溝9と同様の凹凸形状が反映された案内溝5が形成される。
【0072】
上記保護層4は接着層6を介してカバー層7と接着される。接着層6には、例えばUV硬化樹脂を使用し、厚みは数μm〜数十μmである。カバー層7は、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックや透明なガラスであり、厚みが例えば0.6mmにて形成されたものである。
【0073】
また、カバー層7は、好ましくは基板2と同じ寸法・形状に形成されるが、少なくとも流路8を流れる試料溶液が漏れ出さないように流路8を覆う形状をとれればよい。これにより、流路8が密閉され、それ以外の場所に流路8を流れる試薬溶液が漏れ出すのを防止できる。
【0074】
また、入射光12は、分析用基板1のカバー層7側から入射される。試料からの光を検出する光検出器は、分析用基板1の基板2側に配置され、入射面と検出面とは分析用基板1をはさんで反対側となる。
【0075】
上記の構成によれば、分析用基板1におけるカバー層7側から入射した入射光12は、入射側の集光用のレンズ14によって集光され、分析用基板1内の遮光層3の無い流路8を照射できる。このとき、流路8内における試料は、入射光12により蛍光10を発する。この蛍光10は発散光となり光検出器(図示せず)に到達して検出される。一方、入射光12は流路8を通過した後、透過光13の光路を通って基板2から外部に出て行く。なお、空気層からカバー層7、流路8、基板2を通る光路は、説明の都合上、各部の界面における屈折を省略して描いている。
【0076】
また、入射側のレンズ14やカバー層7は、上記入射光12が通過すると、弱い自家蛍光11を発する。この自家蛍光11は発散光であって、ほとんどが遮光層3により遮光され光検出器には到達しない。したがって、検出側に存在する光は、上述したように、透過光13と、流路8において生じた試料の蛍光10のみとなる。
【0077】
さらに、後述するように、透過光13の光路の外に光検出器を配置すれば、透過光13によるバックグラウンドノイズは検出されず試料の蛍光10のみとなり、高感度にて検出することができる。
【0078】
なお、上記遮光層3は金属薄膜の反射膜が適している。この反射膜上の案内溝5に入射光が集光されると、案内溝5による回折光が後述する光ピックアップへ反射する(図示はしていない)。この反射光を使って光ピックアップでサーボ制御を行うと、入射光12は案内溝5上を案内され、流路8に沿った所望の位置に正確に導くことができる。
【0079】
ただし、上記遮光層3に金属膜を用いると、金属膜が流路8に露出するため、上記分析用基板1において偽電極ができる。そこで、この場合は絶縁体の保護層4で覆うことにより、偽電極の発生を阻止できる。
【0080】
その理由は、以下のとおりである。遮光層3が導電性の物質であると、流路8に沿って導体が存在する。そこに、電気泳動用の電圧を印加しても、この導体のため流路内には電場が生じにくくなる。つまり、良好な電気泳動が困難となる。したがって、絶縁体(誘電体)からなる保護層4によって導電性の遮光層3を覆うことにより、流路内の試料が導電性の遮光層3に接することなく電気泳動が可能となる。
【0081】
しかし、上述したとおり、金属膜を使用すると電気泳動用の電界がかかりにくいため、なるべく流路と金属膜との距離をとる必要がある。したがって、遮光層3における開口部3aの面積が広くなるが、これは電界強度との兼ね合いで決まる。なお、金属膜に代えて、誘電体多層膜を使用する場合は、開口部3aは広くならず、また、保護層4は省略できる。
【0082】
また、接着層6が遮光層3を完全に覆うように形成して、遮光層3が流路8に露出しない構造としてもよい。この場合は、接着層6が保護層4の機能を兼用できるため、保護層4は省略できる。
【0083】
以上の分析用基板1から試料の蛍光を検出する装置は、実施例1の光検出装置110と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお光源117の代わりに光ピックアップを用いるという点が実施例1とは異なる。これにより、後述するように分析用基板1の案内溝5を読み取ることが可能になり、入射光12を所望の位置に入射させることができる。
【0084】
図4には、上述した分析用基板1の主要部の構成をディスク状基板30に適用し、電気泳動を用いた分析を行う例を示す。この分析用のディスク状基板30では電気泳動を使った分析を行うことができる。同図には、分析装置のターンテーブルの中心にディスク状基板30を固定するための中心穴31、試料の分析を行う4つの分析用チップ32と、これを構成する各液溜・注入口34a〜34d、第1および第2泳動路35a、35b、そして、案内溝5、番地情報記録部33が図示されている。また、塗りつぶし部分は、遮光層3のある部位を示すものであり、よって、各第1泳動路35a、第2泳動路35b、各液溜・注入口34a〜34dに面した部位のみ遮光層3が形成されていない。つまり、第1泳動路35a、第2泳動路35b、各液溜・注入口34a〜34dには、開口部3a部分であるスリット36が形成されている。このスリット36の形成部位の断面図は、図1または図3に示したとおりである。
【0085】
電気泳動のための分析用チップ32は、前記流路8に相当する第1泳動路35aおよび第2泳動路35bが互いに直交した十文字に形成されている。この分析用チップ32の構造は、一般に使われている構造であり、例えば特開2003−56003号公報(平成15年3月5日公開)に分析例と共に開示されている。
【0086】
第1泳動路35aは分析用のディスク状基板30の径方向に延び、第2泳動路35bは第1泳動路35aに対し直交して延びている。各液溜・注入口34a〜34dは、泳動路35の4個の端部に泳動路35と連通するように各1個が配置されている。即ち、第2泳動路35bの一端部に液溜・注入口34a、他端部に液溜・注入口34cが配置され、第1泳動路35aの一端部に液溜・注入口34b、他端部に液溜・注入口34dが配置されている。
【0087】
上記のディスク状基板30において、分析プロセス(電気泳動プロセス)では、バッファ/ゲル溶液を図4に示した液溜・注入口34a〜34dのいずれかから注入し、第1泳動路35aと第2泳動路35bに空気が入らないように充填させる。その後、サンプル溶液を液溜・注入口34aに注入する。サンプル溶液には例えばDNAを使用する。
【0088】
このDNAは、末端への蛍光色素導入、またはインターカレーター型蛍光色素との混合等の方法で蛍光標識する必要がある。次に、装置電源より供給された電極を以下のように各液溜・注入口に装着する。まず、液溜・注入口34cに置かれた電極を+電圧電源(数十〜数百ボルト)に接続し、液溜・注入口34aに置かれた電極をグランドに接続する。
【0089】
この時、液溜・注入口34bに置かれた電極と、液溜・注入口34dに置かれた電極は開放しておく。これにより液溜・注入口34cに+電圧(数十〜数百ボルト)が印加され、液溜・注入口34aにゼロボルトが印加され、注入されたサンプル(DNA断片:マイナスに帯電)は第2泳動路35bの中を液溜・注入口34a(−電極)から液溜・注入口34c(+電極)に向かって泳動する。
【0090】
次に、泳動させたサンプルが泳動路35における十文字の交点に到達した後、液溜・注入口34a、34cを電気的に開放する。次に、液溜・注入口34dの電極を+電圧電源(数十〜数キロボルト)に接続し、液溜・注入口34bの電極をグランドに接続する。したがって、電気泳動用の電極は、液溜・注入口34a、34cの電極から液溜・注入口34b、34dの電極に切り替えられる。
【0091】
これにより、液溜・注入口34dの電極に+電圧(数十〜数キロボルト)が印加され、液溜・注入口34bの電極にゼロボルトが印加され、注入されたサンプルは第1泳動路35aの中を十文字の交点から液溜・注入口34dに向かって泳動する。このときサンプル(DNA)の移動度は分子量により異なるため、各分子量の断片ごとにフラグメントに分けることができる。このようなマイクロチャネルにおける電気泳動分析の原理は、上述の特開2003−56003号公報に開示されているように良く知られているため、その詳細な説明は省略する。
【0092】
第1泳動路35aには、この部位の断面図である図1または図3に示したように入射光が照射され、ここを蛍光標識された試料が通ることで、試料は蛍光を発する。このとき上述したようにカバー層7、レンズ14が放出する自家蛍光のうち、スリット36を通過するものは僅かであり、検出側への漏れを抑えることができる。
【0093】
また、図2に示した光検出装置を使用することにより、透過光13や基板2における自家蛍光によるバックグラウンドノイズ光も抑えることができる。よって試料の蛍光のみを高感度に検出することができる。
【0094】
本ディスク状基板30には、上記分析用チップ32の他に、入射光を案内するための案内溝5と、番地情報を記録した番地情報記録部33が設けられている。ディスク状基板30が回転すると、入射光12は番地情報に含まれる半径位置を読み出しながら、ディスク状基板30の所望の半径位置にアクセスされるため、一つの分析用チップ32内の泳動路35に沿った所望の位置にて蛍光検出(分析)できる。
【0095】
さらに、この分析用チップ32は全部で4つ配置され、周方向に互いに隣り合うもの同士はそれぞれ互いに90度の角度をおいて設けられている。したがって、隣り合う分析用チップ32の間には、上述の案内溝5と番地情報記録部33とが周方向に並んで形成されることになる。入射光12は、番地情報に含まれる分析用チップ32の番号を読み出しながら、周方向にならぶ分析用チップ32にアクセスするため、4つの分析用チップ32内における所望の分析用チップにて蛍光検出(分析)できる。
【0096】
このとき、入射光12が1つのトラック(案内溝5)を周方向に走査すると、案内溝5のトラッキング領域→番地情報記録部33→案内溝5のトラッキング領域→泳動路35の順にこれらを繰り返し走査することになる。図5は、分析用基板1において、入射光12のトラッキングにより、分析用の入射光12が流路8を通り過ぎて、案内溝5のトラッキング領域に移った状態を示す分析用基板1の縦断面図である。
【0097】
同図に示すように、分析用の入射光12は、その光路を通って、案内溝5に集光される。このとき、入射光12は遮光層3に用いた反射膜によって反射され、同じく光路41を通ってレンズ14へ戻る。このとき案内溝5において入射光12が回折し、反射光には回折光の分布が反映されるため、後述する光ピックアップによって入射光12を案内溝5に追従させることができる。
【0098】
したがって、案内溝5が流路8の所望の検出位置を横切るように(だだし、流路8自体には存在しないように)成型しておけば、入射光は案内溝5の延長上にある流路8の所望の位置を横切り、その位置で試料の蛍光を検出(分析)できる。
【0099】
また、後述するように、流路8を通過する期間はトラッキング制御が保持されているため、流路8自体に案内溝5が存在しなくても、流路8の通過前の案内溝5’からその延長上にある案内溝5へ連続して安定なトラッキングが行われる。なお、上述の例では、案内手段として案内溝を例に挙げて説明したが、これに限らずたとえばウォブルピットを案内手段としてもかまわない。
【0100】
図6は、本実施の形態における分析用基板1のための入射光制御装置50に係る主要部の構成を示すブロック図である。上記入射光制御装置50は、光ピックアップ51、番地再生回路52、コントローラ53(トラッキング手段)、およびサーボ回路54(トラッキング手段)を備えている。
【0101】
上記光ピックアップ51は、レンズ14およびアクチュエータ51a以外に、半導体レーザーやフォトディテクタ、ビームスプリッタなどの光学部品により構成される光学系51bを有している。なお、同図において、レンズ14とアクチュエータ51aは、光学系51bを構成する部品であるが、それらの存在を明確にする便宜上、光学系51bとは別に記載している。
【0102】
上記の入射光制御装置50において、光学系51bから出射された入射光は、レンズ14によって集光され、分析用基板1へ入射される。この入射光は、分析用基板1の案内溝5または番地情報記録部33に照射される。案内溝5または番地情報記録部33からの反射光は、再び光ピックアップ51に戻り、光学系51bからフォーカス誤差信号・トラック誤差信号55を出力する。
【0103】
フォーカス誤差信号・トラック誤差信号55はサーボ回路54を介してアクチュエータ51aにフィードバックされ、案内溝5または番地情報記録部33に入射光が案内されるようにアクチュエータ51aを制御する。また、光量検出信号56は番地再生回路52に入力され、番地情報57を検出し、この番地情報57をコントローラ53に送る。
【0104】
コントローラ53では、番地情報57を確認しながら制御信号58をサーボ回路54に出力し、入射光を所望の案内溝にアクセスさせる処理を行う。これにより、入射光をディスク状の分析用基板1上において、その径位置に移動し、流路8に沿った所望の位置で蛍光検出ができる。
【0105】
また、分析用基板1を回転させ、所望の番号の分析用チップにて蛍光検出を行う。なお、案内溝5の無い流路8上では、直前の案内溝でのトラッキング状態が保持される。保持するためには、流路8を横切る時間がサーボの応答時間(サーボ帯域の逆数に比例)よりも十分に短ければよい。あるいは、流路8を横断するときにサーボ動作を一時的に保持すればよい(ホールド動作)。
【0106】
こうすれば、入射光12が流路8を横断してもトラッキングが乱されること無く、試料に的確に入射光12を照射し、その後、再び案内溝9に到達してトラッキング動作に復帰することができる。
【0107】
以上のように、本実施例では実施例1と同様に、分析用基板1にはレンズ14やカバー層7からの自家蛍光11を抑える遮光層3があり、また検出系は透過光13の光路外に配置されている。
【0108】
加えて、本実施例の分析用基板1には、入射光12を流路8に導く開口部3aを設けている。これにより、集光された入射光12は光強度が減じられること無く、この開口部3aを通過できるため、流路8に保持された蛍光試料を効率よく励起することができる。
【0109】
また、開口部3aの幅は、数十μm〜数mmであるため、発散光であるレンズ14の自家蛍光11や、カバー層7の自家蛍光11は、ほとんどが遮光層3により遮られ、開口部3aを通過する自家蛍光11は微量となるため、検出側まで到達しないか、または到達しても検出には影響しない。よって、レンズ14やカバー層7からの自家蛍光11の混入を抑えて、試料の蛍光10のみを高感度にて検出することができる。
【0110】
なお、自家蛍光11をさらに完全に遮光するために遮光層3の厚みを増すことができる。このとき、自家蛍光11は完全に遮光され、一方、入射光12は遮光層3に遮られることなく開口部3aを通過することができる。
【0111】
したがって、本実施例では、試料や試薬からの光学的な変化を感度良く検出するための分析用基板と分析装置を提供することができる。
【0112】
また、本実施例では開口部3aとしてスリット36を用いたが、これに限らずピンホール等の微小開口部を用いてもよい。本実施例のように開口部3aに流路8に添ったスリット36を用いた場合は、流路8の任意の位置における光学分析が可能である。また、開口部3aとしてピンホールを用いた場合は、検出器側に到達するレンズやカバー層からの自家蛍光・散乱光を、スリットの場合に比べてより少なくすることができる。
【実施例3】
【0113】
本発明の実施のさらに他の形態としての実施例3について、図7と図8に基づいて以下に説明する。以下の本実施例では、実施例2との相違点のみを述べ、その他の同一な点の説明は省略する。
【0114】
図7は、本発明の実施の形態における分析用基板60の要部、およびこの分析用基板60に分析用の入射光71が入射した状態を示す縦断面図である。同図は、第1の実施例における図1と同様、流路67において試料などの溶液が流れる方向に垂直な面であり、また案内溝64に沿った方向に分析用基板60を切断した面である。
【0115】
分析用基板60の構成は、図3の分析用基板1とほぼ同じであり、ディスク状基板61、遮光層62、保護層63、カバー層66、接着層65からなる。ディスク状基板61は、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックあるいは透明なガラスから成り、試料溶液の通る流路67とそれ以外の場所に案内溝68とを備えている。遮光層62は、ディスク状基板61における流路67がある面において、流路67以外の場所に積層されており、反射膜とするほうがよい。この遮光層62が積層されていない部分は、光が通過できる開口部62aとなる。保護層63は遮光層62を覆うように積層され、接着層65は、ディスク状基板61とカバー層66とを接着する。
【0116】
前述の実施例2における分析用基板1との相違点は2点ある。1点目は、開口部62aが、流路67を中心に非対称となっており、ディスク状基板61の表面方向での検出器側に広く、反対側においては検出器側と比べて狭くなっている点である。2点目は、ディスク状基板61を厚くした反面、カバー層66を薄くした点の2点である。
【0117】
厚さ1.2mmのディスク状基板61には、一方の面(検出器側の面)に溝形状に成型された流路67が形成され、流路67の両側には案内溝68が形成されている。案内溝68は流路67に対し垂直の方向に刻まれている。流路67の深さは数μm〜数百μm、幅は数十μm〜数百μmである。
【0118】
ディスク状基板61の流路67のある面の流路以外の部分には、反射膜からなる遮光層62が形成される。これにより、案内溝68には反射膜が成膜される。また、開口部62aは、実施例2の分析用基板1に比べて検出器側に広くなるように設けてある。遮光層62の持つ性質は遮光層3と同様であり、少なくとも入射光71の波長とディスク状基板61から発する自家蛍光70を検出器側に透過させない膜から成る。例えば、前述のように誘電体の反射膜や、アルミニウムや銀などの金属薄膜が用いられる。
【0119】
保護層63は遮光層62を覆うように形成される。ディスク状基板61上には案内溝68が凹凸形状によって刻まれており、遮光層62と保護層63は、その上に一様の厚さで成膜される。結局、保護層63上は案内溝68と同様の凹凸形状が反映された案内溝64が形成される。
【0120】
上記保護層63は接着層65を介してカバー層66と接着される。接着層65には、例えばUV硬化樹脂を使用し、厚みは数μm〜数十μmである。カバー層66は、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックや透明なガラスから、厚さが例えば0.1mmに設定されるものである。また、カバー層66は、好ましくは面方向にてディスク状基板61と同じ寸法・形状とするが、少なくとも流路67を流れる試料溶液が漏れ出さないように流路67を覆う形状をとれればよい。これにより、流路67が密閉され、それ以外の場所に流路67を流れる試薬溶液が漏れ出すのを防止できる。
【0121】
また、入射光71は、分析用基板60のディスク状基板61の側から入射される。試料からの光を検出する光検出器は、分析用基板60のカバー層66側に配置され、入射面と検出面とは分析用基板60をはさんで互いに反対側となる。
【0122】
上記の構成によればディスク状基板61側から入射した入射光71は、入射側の集光用のレンズ73によって集光され、分析用基板60内の遮光層62のない流路67を照射する。このとき、流路67内における試料への入射光71により試料から蛍光69を発する。この蛍光69は発散光となり光検出器に到達して検出される。
【0123】
しかし、本実施例における分析用基板60では、流路67のほとんどが遮光層62よりも入射側に配置されているため、実施例2と同様な開口部を用いた場合は、検出側への光路が遮光層62の端部によって遮られ、到達する蛍光の量が少なくなる。よって、前述したようにより多くの蛍光を検出器側へ送るため、開口部62aが、検出器側にだけ広くなっていることが望ましい。
【0124】
これにより、流路67にて発した試料からの蛍光69は、広くなった開口部62aを通ることで、充分に検出器側へ出すことができる。一方、入射光71は流路67を通過した後、透過光72の光路を通ってカバー層66側から出て行く。また、入射側の集光用のレンズ73やカバー層66は、上記入射光71が通過すると、弱い自家蛍光70を発する。この自家蛍光70は発散光であって、ほとんどが遮光層62により遮光され光検出器には到達しない。
【0125】
したがって、検出器側の光は、上述したように、透過光72と、流路67において生じた試料の蛍光69のみとなる。さらに、後述するように、透過光72の光路外に光検出器を配置すれば、上記光検出器では、透過光72は検出されず試料の蛍光69のみが検出されることになり、上記蛍光69を高感度にて検出することができる。
【0126】
なお、分析用基板1と同様の理由により、分析用基板60は上記遮光層62には金属の反射膜を用いる。これにより、分析用基板1と同様、流路67に沿った所望の位置に集光された入射光71を正確に導くことができる。また、遮光層62を絶縁体からなる保護層63により覆うことにより、良好な電気泳動が可能となる。
【0127】
また、接着層65が遮光層62を完全に覆うように形成して、遮光層62が流路67に対し露出しない構造としてもよい。この場合は、接着層65が保護層63の機能を兼用できるため、保護層63は省略される。
【0128】
図8は、図7における分析用基板60から試料の蛍光69を検出する分析装置としての光検出装置74の、検出光学系の主要部を示す正面図である。
【0129】
上記検出光学系では、流路67を流れる試料からの蛍光69は、レンズ75により集光され平行光となり、光学フィルター76にみちびかれる。この光学フィルター76は、少なくとも励起光の波長帯域の光を大幅に低減させ、試料からの蛍光69の波長帯域を十分に透過させる性質をもつ。光学フィルター76を通過した平行光はレンズ77により集光され、光検出器78によって電気信号に変換される。この検出光学系により試料から集められる光の経路を79として示した。また、この光学系は上記の透過光72の光路の外に配置されている。
【0130】
上記の構成によれば、前記分析装置に備えられた光検出装置74は、前記透過光72の光路以外に配置されている。よって、各光学部品(75〜77)が透過光72に照射されないため、そこから自家発光を発することはない。仮にこれら光学部品が透過光72に照射されると、透過光72が非常に強い光強度をもつため光学部品が自家蛍光を出す。この自家蛍光は光学フィルターを通過して検出される恐れがある。また、透過光72自体もわずかに漏れて、光検出器78に入る恐れがある。これらの自家蛍光や透過光の漏れ光はバックグラウンド光となるが、上述のように光検出装置74を透過光72の光路外に配置することによって抑えられる。
【0131】
また、本実施例における光学系には、実施例1に用いられたピンホール114は削除できる。これは、実施例1の検出側の基板2の厚さが0.6mmであるのに対して、本実施例では、流路67をディスク状基板61に形成することにより、検出側のカバー層66の厚さが0.1mmとディスク状基板61の厚さに対して薄いことによる。カバー層66は、透過光72により自家蛍光を発するが、0.1mmと薄く、自家蛍光量は僅かとなる。
【0132】
したがって、実施例1における検出側の基板91の自家発光に比べて、充分に少なくなる。このため、ピンホールは削除できる。なお、試料からの蛍光69の蛍光強度が十分に大きい場合は、レンズによる集光は不要であるため、各レンズ75、77を省略し、光学フィルター76と光検出器78のみとしてもよい。
【0133】
上記実施例1、2および3において、電気泳動を行うため電極の配線方法や、電源を供給する装置や、蛍光を検出する回路などの詳細は記載されていないが、特願2004−242978号に記載されている方法と同様であるため、説明は省略する。
【0134】
以上の各実施例2、3においては、電気泳動における蛍光検出の例を示したが、これに限らず、ハイブリダイゼーションやクロマトグラフィーなどの蛍光検出に応用可能である。また、分析用基板はディスク形状の例を示したが、遮光層を使用した蛍光の高感度検出の方法は、これに限らずカード型など他の形状でも使用可能である。
【実施例4】
【0135】
本発明の実施のさらに他の形態としての実施例4について、図9に基づいて以下に説明する。以下の本実施例では、前述の各実施例との相違点のみを述べ、その他の同一な点の説明は省略する。
【0136】
図9に示す分析用基板120は、いわゆるDNAチップに類似の形状の、本発明に係る実施例4の例である。分析用基板120は、DNAハイブリダイゼーション用のセル121と、案内溝122からなる。セル121ではハイブリダイズしたDNAの蛍光分子が発光し、これを上述の遮光層を使って高感度に検出することができる。また、蛍光検出の例を示したが、燐光など励起光源による発光を高感度で検出する基板や装置に適用可能である。
【0137】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0138】
以上の各実施例1〜4では、入射光の波長が短く、自家蛍光を遮光層によって低減する例を示した。しかし、これに限らず、入射光の波長が比較的長く、自家蛍光よりも散乱光が強い場合でも、遮光層によって散乱光が低減できることは言うまでもない。
【0139】
以下の実施例に示す本発明の分析用基板および分析装置では、試料からの発光と、入射光が集光レンズに照射されることによって生じる散乱光や自家蛍光とを分離することができる。一般に、入射光の波長が短波長であるほど自家蛍光の影響が大きく生じるが、逆に入射光の波長が長波長であるほど自家蛍光は減少して散乱光の影響の方が大きくなる。以下の実施例では散乱光の影響が自家蛍光に比べて大きい場合(入射光の波長が650nm)について説明する。
【実施例5】
【0140】
本発明の実施の形態における実施例5について、図11〜図14に基づいて以下に説明する。試料溶液を保持するセルには、先述のように、電気泳動やクロマトグラフィーに使用する流路状のものや、DNAハイブリダイゼーションに使用されるマイクロセル形状の物など、いろいろな形状のセルがある。以下の実施例においては、試料溶液を保持するセルの例として、流路を挙げて説明する。
【0141】
図11は、本発明の実施の形態における分析用基板151の要部、および入射光98が入射した状態を示す縦断面図である。同図における断面は、流路95において試料などの溶液が流れる方向に対し垂直な面である。
【0142】
分析用基板151は、基板91、カバー層94、および遮光層92を有している。基板91は、透明なプラスチックから成り、厚さは0.6〜1.2mmであり、試料溶液の通る流路95を基板91の厚さ方向の一端面に備えている。流路95の深さは数μm〜数百μm、幅は数十μm〜数百μmである。つまり、分析用基板151の表面からカバー層94の厚みに相当する間隔を隔てて試料溶液を保持する流路(セル)が内蔵されている。遮光層92は、カバー層94の厚さ方向の一端面に積層されている。よって、カバー層94上に、遮光層92が形成されている。なお、カバー層94には後述するトラッキング用の案内溝5が設けられていてもよい。これは実施例2において、図5を用いて説明する。
【0143】
遮光層92は、少なくとも対物レンズ100から発する散乱光や自家蛍光97を入射側から検出側に透過させない膜から成る。例えばアルミニウムや銀などの厚み10nm〜100nmの金属薄膜を用いる。すると、上記遮光層92が金属薄膜からなる反射膜として容易に得られる。この金属薄膜はたとえばスパッタ法によって形成される。
【0144】
基板91における流路95のある面と、カバー層94における遮光層92の無い面とは、プラスチック同士の熱圧着によって容易に接合される。これ以外に、例えばUV硬化樹脂を使用し、厚み数μm〜数十μmの接着層を介して両面を接合してもよい。カバー層94には、光透過性を備えた、例えば透明なプラスチックを用い、厚みは0.03〜0.6mmである。
【0145】
なお、遮光層92の金属薄膜は大気にさらされると酸化する恐れがあるため、さらにこの上に誘電体の保護層4を形成したほうが良い。たとえば、保護層4は窒化シリコンを20nmとする。
【0146】
また、入射光98は、遮光層92に形成された開口部92aを通って入射される。開口部92aの幅は、数十μm〜2mmである。試料からの光を検出する光検出器は、分析用基板151の基板91側に配置され、入射面と検出面とは分析用基板151をはさんで互いに反対側となる。上記の構成によれば、入射光98は入射用レンズ100により、流路95に対向する位置の遮光層92の面に集光され、開口部92aから入射される。
【0147】
このとき、開口部92aに集光して入射した入射光98は、カバー層94を通して流路95に到達する。これにより、流路95に保持された蛍光試料は励起され、蛍光96を発する。この蛍光96は発散光となり、それらの少なくとも一部が光検出器(図示せず)に到達して検出される。
【0148】
ここで、入射光98は、開口部92aを通って流路95に達した入射光98(透過光)の幅(径)が流路95の幅とほぼ同一となるように照射する。すると、入射光98は流路95内の全体を照射することができる。先述の従来技術は流路の一点に集光するのに対して、本願は広がった入射光98によって流路95を照射する点が異なる。これによって、流路95内の試料を効率よく励起し安定して発光させること、例えば上記試料に対して蛍光分子を安定して励起させることができ、信頼性の高い光学分析を実現できる。仮に、入射光98を従来例のように一点に集中して照射すると、照射強度が局所的に高くなり、例えば蛍光色素の劣化が生じたり、温度の上昇が生じたりとなる結果、蛍光強度の低下が生じる。これに対して、本願は流路95の全体を満遍なく照射できるため、単位面積あたりの照射強度を下げて、蛍光色素の劣化や温度上昇を防げる。
【0149】
つまり、分析用基板151では、遮光層92は集光用レンズ100の散乱光や自家蛍光を遮光する一方、入射光98を効率よく透過させることができる。さらに、開口部92aを通過した入射光98の幅は流路95において広がった状態となるため、好ましくは流路95の幅と略同一となるため、入射光98(励起光)が流路全体を効率よく照射し、試料はたとえば蛍光96を安定して発光することができる。これにより、集光レンズ100の自家蛍光や散乱光の混入を抑えて、試料を安定して発光させ(例えば蛍光)高感度にて検出することができる。
【0150】
また、入射光98の焦点が遮光層92の面と一致するように集光すると、開口部92aを最も小さくすることができる。すなわち、入射光98はそのまま通過させながら、対物レンズ100からの散乱光や自家発光を最も遮ることができる。
【0151】
ここで、分析用基板151の流路95の幅方向の全体に渡って入射光98を照射するには、図12に示す流路95の幅をW、深さをD、開口部92aから流路95までの距離をGとすると、
0.4G≦W≦1.6(G+D)
の条件を満たすようにそれぞれの値を設定するのが好ましい。
【0152】
これは、対物レンズ100のNA(開口数)を実用的な値である約0.45(コンパクトディスク)〜0.85(ブルーレイディスク)とし、カバー層94の屈折率を1.6とした場合に相当する。このとき、カバー層94内での入射光98の広がり角は16〜32度となる。図2を用いて、この条件を幾何学的に説明する。
【0153】
対物レンズ100(集光レンズ)を使って入射光98の焦点を開口部92aに合わせた場合に、焦点からの入射光98の光束における基板91の入射側の面に垂直な方向に対する広がり角を最小でθ1=16度、最大でθ2=32度とし、この範囲で入射光の光束の外縁が流路95の側面を通過すれば、試料は効率よく蛍光を発する。これを流路の幅W,流路の深さD,開口部から流路までの距離(カバー層の厚み)Gを使った式に置き換えると以下の通りとなる。
【0154】
まず、入射光の広がり端(光束の外縁)が流路95の側面の最上部よりも下になる条件は、コンパクトディスクの場合では、
(W/2)/(D+G)≦tanθ1=0.29 ……(1)
であり、ブルーレイディスクの場合では、
(W/2)/(D+G)≦tanθ1=0.63 ……(2)
である。この2つの条件(1)(2)のうち、入射光98の幅の広いほうは(2)式である。
【0155】
次に、基板91における流路95の形成面(流路95の入射光98の入射面)に照射された入射光98の広がり径(光束の外縁)が流路95の幅以下となるのは、コンパクトディスクの場合では、
(W/2)/G≧tanθ2=0.29 ……(3)
であり、ブルーレイディスクの場合では、
(W/2)/G≧tanθ2=0.63 ……(4)
である。この2つの条件(3)(4)のうち、入射光98の幅の狭いほうは(3)式である。
【0156】
したがって、最後に(2)式と(3)式の条件をまとめると、
0.58G≦W≦1.26(G+D) ……(5)
となる。
【0157】
上記の条件を別の表現で言い換えると、流路95の入射光98の入射側の面(図12における流路95の下端位置)においては、入射光98の幅は流路95の幅以下とし、流路95の入射光98の出射側の面(図12における流路95の上端位置すなわち流路95の底面)においては、入射光98の幅は流路95の幅以上とする。これは、本願発明者らが実験で得た、入射光98が流路95の全体を満遍なく照射するための条件であり、この条件を満たせば入射光98によって流路95の試料を効率よく励起できる。また、上記の条件は、入射光98の前記セルを照射する幅(径)が、前記セルにおける入射側の面の幅と出射側の面の幅とのどちらか一方の幅以上であり、他方の幅以下と表現することもできる。
【0158】
なお、本願発明者らが実験を行ったところ、(5)式に対しては上限下限とも約30%の余裕を持つのが好ましい。したがって、この点を考慮すれば、(5)式は、
0.4G≦W≦1.6(G+D) ……(6)
となる。
【0159】
流路95の試料から効率よく蛍光を励起できた一例を挙げると、G=50μm、W=100μm、D=30μm、対物レンズのNA=0.6であった。
【0160】
一方、分析用基板151に対する入射側の対物レンズ100は、入射光98が通過すると散乱光や弱い自家蛍光97を発する。これらの不要な光は、発散光であって、ほとんどが遮光層92により遮光されるので光検出器115に到達することが阻止される。すなわち、入射光98は遮光層92における開口部92aを通過して流路95を照射できるが、散乱光や自家蛍光97は遮光層92によって遮光される。つまり、分析用基板151の検出側に到達する光は、透過光99および流路95内において生じた試料からの蛍光96のみとなる。
【0161】
さらに、光検出器115を透過光99の光路外に配置すれば、透過光99が光検出器115に入射せず、バックグラウンド光とならないため、上記蛍光96を高感度にて検出することができる。
【0162】
図13は、図11における分析用基板151から試料の蛍光を検出する分析装置における光検出装置(光ピックアップ)110を示す図である。光源117は例えば半導体レーザである。この光検出装置110の構成は、図2において説明したものと同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0163】
上記の構成によれば、前記分析装置に備えられた光検出装置110は、前記透過光99の光路外に配置されている。よって、各光学部品(111〜113)が透過光99に照射されないため、そこから自家発光や散乱光を発することはない。仮にこれら光学部品が透過光99に照射されると、透過光99が非常に強い光強度をもつため、上記透過光99に曝された光学部品が自家蛍光や散乱光を発する。これらの不要な光は、スペクトルの広がりを持ち、光学フィルター112を通過して検出される恐れがある。また、透過光99自体も光学フィルター112からわずかに漏れて、光検出器115に入る恐れがある。これらの漏れ光は、バックグラウンド光となるが、上述のように光検出装置110を透過光99の光路外に配置することによって抑えられる。
【0164】
加えて、ピンホール114によってレンズ113の焦点を通る光のみを通す、いわゆる共焦点光学系となっている。したがって、測定すべき試料からの蛍光96のみを光検出器115へ導くことができる。つまり、蛍光96以外に残った不要な光(迷光など)は上記共焦点光学系におけるピンホール114に焦点を結ばないため、さらに遮られて検出されることはない。
【0165】
ただし、光検出器115の受光面が非常に小さい場合は、ピンホールを兼用できるため、ピンホール114を省略できる。また、光検出器115の受光面積が大きい場合は、蛍光を集光するためのレンズ111とレンズ113とピンホール114を省略しても構わない。また、開口部92aを通過する不要な散乱光や蛍光が無視できるぐらい小さい場合は、光学フィルター112を省略しても構わない。
【0166】
以上のように、本発明の分析用基板151は、試料溶液を保持する流路95を備えた基板91と、流路95の形成面に設けられ、流路95における液体を保持するためのカバー層94と、カバー層94に形成された遮光層92とを備えていることを特徴としている。
【0167】
上記の構成によれば、基板91に存在する流路95は、カバー層94によって閉じられ、その反対側の面に開口部92aを備えた遮光層92が形成される。この構造では、入射光が集光用のレンズ100によって集光され、開口部92aを通して入射したとき、対物レンズ100の散乱光や自家蛍光は、遮光層92によって容易に遮られるため、分析用基板151を挟んで反対側の検出側には到達しない。
【0168】
一方、集光した入射光98は開口部92aを通過する。この透過光99は、流路95内を満遍なく全体を照射し、蛍光試料を効率よく励起する。つまり、この遮光層92は、対物レンズ100の自家蛍光97を遮光する一方、開口部92aを通して入射光98を透過させて試料を効率よく励起する。
【0169】
したがって、流路95に照射されるのは入射光98からの透過光99のみとなり、検出側には流路95において生じた試料の蛍光96のみが到達する。よって、上述の対物レンズ100からの散乱光や自家蛍光97の混入を抑えて、試料の蛍光96のみを高感度にて検出することができる。
【0170】
また、本発明の分析装置は、分析用基板151と、入射光を分析用基板151に入射させる光源117と、前記分析用基板151をはさんで光源117とは反対側に位置し、透過光99の光路以外に配置された光検出器115とを備えている。さらに、光検出器115は、前記入射光98からの透過光99の光路以外に配置されているため、上記透過光99が光検出器115に直接入射することはなく、この透過光99に起因するバックグラウンド光を低く抑えることができる。
【0171】
したがって、本発明では、試料や試薬からの光学的な変化を感度良く検出するための分析用基板と分析装置とを提供することができる。
【0172】
図14は、上記分析用基板151と分析装置を使用してDNA試料を測定したときのデータである。分析用基板151は遮光層92を備えているので、遮光層92を備えていない場合に比べて、DNA濃度変化に対する検出強度の変化が大きくなり、感度が上がったことがわかる。また、感度の限界も7ng/μl(マイクロリットル)であり、実用的な感度が得られている。なお、遮光層92の代わりに、市販のピンホール板を使用しても感度が上がるが、遮光層92のほうがより高感度であることが分かる。
【0173】
なお、分析用基板151の流路95における電気泳動の方法を実施例6における図15を用いて以下に詳細に説明する。
【実施例6】
【0174】
図15には、上述した分析用基板151の主要部の構成をディスク状基板152に適用し、電気泳動を用いた分析を行う例を示す。この分析用のディスク状基板152は、電気泳動を使った分析を行うことができるものであり、図4に示したディスク状基板30と同様、中心穴31、4つの分析用チップ32、これを構成する各液溜・注入口34a〜34d、第1および第2泳動路35a、35b、案内溝5を有する。塗りつぶし部分は、遮光層92がある部位を示す。よって、各第1泳動路35aおよび35bに重なる領域は遮光層3が形成されていない。つまり、この部分には入射光を透過するための開口であるスリット36が形成され、その部分の断面図は、図11に示したとおりである。
【0175】
電気泳動のための分析用チップ32の構成はディスク状基板30と同様の構成である。なお、第2泳動路35bは第1泳動路35aよりも短くなっている。
【0176】
ディスク状基板152における分析プロセス(電気泳動プロセス)は、ディスク状基板30の場合と同様である。なお、バッファ/ゲル溶液は、図15に示した液溜・注入口34a〜34dのいずれかから注入し、第1泳動路35aと第2泳動路35bに気泡が生じないように充填させる。
【0177】
分析プロセスにおいて、第1泳動路35aには、この部位の断面図である図11に示したように入射光が効率よく照射され、ここを蛍光標識された試料が通ることで、試料は蛍光を発する。このとき上述したように対物レンズ100が放出する散乱光や自家蛍光のうち、スリット36(図11における開口部92a)を通過するものは僅かであり、検出側への漏れを抑えることができる。
【0178】
また、図13に示した光検出装置110を使用することにより、透過光99や基板90における自家蛍光によるバックグラウンドノイズ光も抑えることができる。よって試料の蛍光のみを高感度に検出することができる。
【0179】
ディスク状基板152における、入射光を案内するための案内溝5と番地情報を記録した番地情報記録部33とが設けられていることによる機能、4つの分析用チップ32をゆすることによる機能等はディスク状基板30の場合と同様である。
【0180】
図16は、本実施の形態における分析用基板(分析ディスク)152のための分析装置161に係る主要部の構成を示すブロック図である。分析装置161は、先述の分析装置50と同様、光ピックアップ51、番地再生回路52、コントローラ53(トラッキング手段)、サーボ回路54(トラッキング手段)および光検出器110を備えているおり、その機能は分析装置50と同様である。なお、この図16では光検出器110も明記している。
【0181】
上記光ピックアップ51は、レンズ100およびアクチュエータ51a以外に、半導体レーザーやフォトディテクタ、ビームスプリッタなどの光学部品により構成される光学系51bを有している。なお、同図において、レンズ100とアクチュエータ51aは、光ピックアップ51を構成する部品であるが、それらの存在を明確にする便宜上、光学系51bとは別に記載している。
【0182】
上記の入射光制御装置161において、光学系51bから出射された入射光は、レンズ100によって集光され、ディスク状基板152(分析ディスク)へ入射される。この入射光は、ディスク状基板152の案内溝 5または番地情報記録部33に照射される。案内溝5または番地情報記録部33からの反射光は、再び光ピックアップ51に戻り、光学系51bからフォーカス誤差信号・トラック誤差信号55を出力する。
【0183】
フォーカス誤差信号・トラック誤差信号55はサーボ回路54を介してアクチュエータ51aにフィードバックされ、案内溝5または番地情報記録部33に入射光が案内されるようにアクチュエータ51aを制御する。また、光量検出信号56は番地再生回路52に入力され、番地情報57を検出し、この番地情報57をコントローラ53に送る。
【0184】
コントローラ53では、番地情報57を確認しながら制御信号58をサーボ回路54に出力し、入射光を所望の番地の案内溝にアクセスさせる処理を行う。これにより、入射光をディスク状基板152上において、その径位置に移動し、流路35に沿った所望の位置で蛍光検出ができる。
【0185】
また、ディスク状基板152を回転させ、所望の番号の分析用チップにて蛍光検出を行う。なお、案内溝5の無い流路35上では、直前の案内溝でのトラッキング状態が保持される。保持するためには、流路35を横切る時間がサーボの応答時間(サーボ帯域の逆数に比例)よりも十分に短ければよい。あるいは、流路35を横断するときにサーボ動作を一時的に保持すればよい(ホールド動作)。
【0186】
こうすれば、入射光98が流路35を横断してもトラッキングが乱されること無く、試料に的確に入射光98を照射し、その後、再び案内溝5に到達してトラッキング動作に復帰することができる。
【0187】
ディスク状基板152にはレンズ100からの散乱光や自家蛍光97を抑える遮光層92があり、また検出器110は透過光99の光路外に配置されている。検出器110にて検出された蛍光強度は電気信号60に変換され、コントローラ58に送られる。
【0188】
なお、開口部92aとしてスリット36を用いたが、これに限らずピンホール等の微小開口部を用いてもよい。本実施例のように開口部92aに流路35に添ったスリット36を用いた場合は、流路35の任意の位置における蛍光検出が可能である。また、開口部92aとしてピンホールを用いた場合は、検出器側に到達するレンズやカバー層からの自家蛍光・散乱光を、スリットの場合に比べてより少なくすることができる。
【0189】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0190】
以上の各実施例では、入射光の波長が長く、主に散乱光を遮光層によって低減する例を示した。しかし、これに限らず、入射光の波長が比較的短く散乱光よりも自家発光が強い場合でも、遮光層によって自家発光が低減できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明の分析用基板および分析装置は、試料溶液を光学分析するとき、入射光に起因するバックグラウンドノイズ光が光検出器に到達する量を低減できるので、光学的な検出の感度を高めることが可能となるから、微量な試料を分析する分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の実施例1に記載の分析用基板に入射光が入射した状態の断面図である。
【図2】図1に示した分析用基板の流路中の試料より発した蛍光を検出する光検出装置の概略正面図である。
【図3】本発明の実施例2に記載の分析用基板に入射光が入射した状態の断面図である。
【図4】図3に示した分析用基板の構成を適用した分析用のディスク状基板を示す平面図である。
【図5】図3に示した分析用基板における、分析用の入射光が流路を通り過ぎて、案内溝のトラッキング領域に移った状態を示す縦断面図である。
【図6】本実施の形態における入射光制御装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例3に記載の分析用基板に入射光が入射した状態の断面図である。
【図8】図7に示した分析用基板の流路中の試料より発した蛍光を検出する光検出装置の概略正面図である。
【図9】本発明の分析用基板の実施例4を示す概略平面図である。
【図10】従来の分析用チップの縦断面図である。
【図11】本発明の実施例5に記載の分析用基板に入射光が入射した状態の断面図である。
【図12】図11における分析用基板の流路の最適構造を説明する図である。
【図13】図11に示した分析用基板の流路中の試料より発した蛍光を検出する光検出装置の概略正面図である。
【図14】図11に示した分析用基板を使用した場合の実験データを示すグラフである。
【図15】本発明の実施例6に記載の分析用基板の構成を適用した分析用のディスク状基板を示す平面図である。
【図16】実施例6における分析装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0193】
1 分析用基板
2 流路のある基板
3 遮光層
3a 開口部
4 保護層
5 案内溝
6 接着層
7 カバー層
8 流路
9 案内溝
10 試料からの蛍光
11 自家蛍光
12 入射光
13 透過光
14 レンズ
30 分析用ディスク
31 固定用中心穴
32 分析用チップ
33 番地情報記録部
34a〜d 液溜・注入口
35a,b 泳動路
36 スリット
41 反射光
50 入射光制御装置
51 ピックアップ
51a アクチュエータ
51b その他ピックアップ構成部品
52 番地再生回路
53 コントローラ
54 サーボ回路
55 フォーカス信号・トラック誤差信号
56 光検出信号
57 番地情報
58 制御信号
60 分析用基板
61 流路のある基板
62 遮光層
62a 開口部
63 保護層
64 案内溝
65 接着層
66 カバー層
67 流路
68 案内溝
69 試料からの蛍光
70 自家蛍光
71 入射光
72 透過光
73 レンズ
74 光検出装置概略図
75 試料からの光を集光し平行光に変えるレンズ
76 光学フィルター
77 平行光を集光するレンズ
78 光検出器
79 光学系が集める光の経路
80 分析用チップ
81 マイクロチャネル
82a 入射側ピンホール
82b 検出側ピンホール
83a 入射側マイクロレンズ
83b 検出側マイクロレンズ
84a 基板
84b 検出側基板
85 入射光
86 検出される蛍光
87 試料を透過した励起光
91 基板
92 遮光層
94 カバー層
95 セル
90 分析用基板
91 流路のある基板
92 遮光層
92a 開口部
93 接着層
94 カバー層
95 流路
96 試料からの蛍光
97 自家蛍光
98 入射光
99 透過光
100 対物レンズ
110 光検出装置
111 試料からの光を集光し平行光に変えるレンズ
112 光学フィルター
113 平行光を集光するレンズ
114 ピンホール
115 光検出器
116 光学系が集める光の経路
117 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料溶液の光学分析が可能な分析用基板において、
試料溶液を保持するためのセルを備えた基板と、
前記セルが設けられた基板面に形成された遮光層と、
前記基板における前記セルの形成側の面に設けられ、前記セルにおいて液体が維持されるように前記セルを覆うカバー層とを備えていることを特徴とする分析用基板。
【請求項2】
前記遮光層は、光学的な開口部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の分析用基板。
【請求項3】
さらに、前記遮光層を覆う保護層を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析用基板。
【請求項4】
試料溶液の光学分析が可能な分析用基板において、
試料溶液を保持するためのセルを備えた基板と、
前記基板面に形成された、反射膜からなる遮光層と、
前記基板における前記セルの形成側の面に設けられ、前記セルにおいて液体が維持されるように前記セルを覆うカバー層と、
前記基板に形成された、前記セルの位置に前記光学分析用の入射光をガイドするための案内手段とを備えていることを特徴とする分析用基板。
【請求項5】
前記セルの刻まれた基板が光の入射側基板であり、前記カバー層が光の出射側基板であることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の分析用基板。
【請求項6】
前記遮光層は、前記セルの形成領域を含む前記基板の前記セルが形成されている側の面全体を覆うように設けられ、かつ前記遮光層よりも光学分析用の入射光の入射側に存在する部材からの自家発光を遮断し、この自家発光よりも強度が高い光学分析用の入射光を透過することを特徴とする請求項1に記載の分析用基板。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の分析用基板に対して入射光を入射させるための光源と、
前記分析用基板をはさんで前記光源とは反対側に位置し、前記入射光の光路上から外れた位置に配置された光検出器とを備えていることを特徴とする分析装置。
【請求項8】
請求項4に記載の分析用基板に対して入射光を入射させるための光源を有し、前記分析用基板からの反射光を検出する光ピックアップと、
前記光ピックアップを前記案内手段に沿った方向に移動させる移動手段と、
前記光ピックアップからの検出信号に基づき、前記案内手段に前記入射光が追従するように前記光ピックアップを制御するトラッキング手段とを備えることを特徴とする分析装置。
【請求項9】
前記光検出器と、前記分析用基板との間に、ピンホールを備えていることを特徴とする請求項7に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−317426(P2006−317426A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258549(P2005−258549)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】