説明

分枝SiH−官能性ポリシロキサンの製造方法及びSiC−又はSiOC−が結合した液体状の分枝有機変性ポリシロキサンを製造するためのその使用

【課題】SiH官能基を分解することなく分枝ヒドロシロキサンを製造するための簡単な1段階方法を提供する。
【解決手段】1以上の低分子量SiH−官能性シロキサン、1以上の低分子量SiH−のないシロキサン、1以上のテトラアルコキシシラン、及び任意選択により1以上のトリアルコキシシランの混合物を、水を添加し、かつ、ブレンステッド酸性イオン交換体の存在下で反応させることにより、液体状の分枝SiH−官能性シロキサンを製造する方法(当該反応は1つのプロセス工程で行われることを特徴とする)による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン鎖に分枝を有する(branched)液体状有機変性ポリシロキサンを製造する方法(当該方法において、末端及び/又はペンダントSiH官能基を有する分枝(branched)ポリシロキサンは、たった1つのプロセス工程で製造され、さらに有機化合物で官能化される)、この方法で製造された分枝有機変性ポリシロキサン、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、ポリオルガノシロキサンは、混合置換を有するメチルクロロヒドロシランからの加水分解及び縮合手順により製造される。水素含有シラン、例えば、ジメチルモノクロロシラン又はメチルジクロロシランの直接の加水分解による縮合は、例えば、US2,758,124に記載されている。この方法では、加水分解過程で分離するシロキサン相が塩酸を含む水相から除去される。この方法は、ヒドロシロキサンのゲル化が起こりやすいので、DE1125180は、形成されるヒドロシロキサンが有機溶媒中で分離相として溶解して存在し、酸性水相の除去及び蒸留による溶媒の除去後にゲル化が起こりにくい、有機補助相(organic auxiliary phase)を利用した改善方法を記載する。溶媒の最小限の使用に関するさらなる方法の改良は、EP0967236に記載され、その教示において、オルガノクロロシランの加水分解による縮合において最初にほんの少量の水を用いることが必要であり、その結果、最初の工程において、塩化水素はガス形態で排出され、価値ある材料としてさらなる使用に直接に供給することができると述べている。
【0003】
分枝有機変性ポリシロキサンは、多くの構造で記載されることができる。一般に、有機置換基を介して導入された分枝または架橋間及びシリコン鎖内の分枝又は架橋間で区別をする必要がある。SiH基を有するシロキサン骨格を形成するための有機架橋剤は、例えばUS6,730,749又はEP0381318に記載されるように、α,ω−不飽和ジオレフィン、ジビニル化合物、又はジアリル化合物である。下流の平衡化に続いて起きる白金で触媒されるヒドロシリル化によるこの架橋は、分子内結合形成及び分子間結合形成の両方が起こり得るさらなるプロセス工程を意味する。生成物の特性は、過酸化物を形成し易い低分子量の有機二官能性化合物の異なる反応性によってさらに強く影響される。
【0004】
有機変性ポリシロキサンのシリコンブロックと有機ブロックコポリマーとの複数の架橋を様々な方法で行うことができる。EP0675151は、ヒドロキシ官能性アリルポリエーテルが欠失されたヒドロシロキサンのヒドロシリル化によるポリエーテルシロキサンの製造を記載し、ここでは、未変換のSiH官能基が、ナトリウムメトキシドがSiOC結合を介してポリエーテル置換基のヒドロキシル基へ付着することによって結合される。モル質量の増加は、粘性などの生成物の性質が大きくばらつきをもたらす。分枝系を形成することについて同様のアプローチがUS4,631,208に記載され、ここでは、ヒドロキシ官能性ポリエーテルシロキサンがトリアルコキシシランによって架橋される。この2つの方法は、モル質量の増加の制御の困難性及び関連する予想し難い粘性の上昇の両方を伴ったポリエーテルシロキサンの分子間架橋をもたらす。前述の方法を行った場合、一定のモル質量でのシロキサン部分内における分枝化(branching)は得られず、架橋されてブロックコポリマーが形成される。
【0005】
したがって、シロキサン鎖内での分枝化は、記載した架橋の不利な点を避けるため、ヒドロシロキサンの製造と同様の早さで行う必要がある。シロキサン鎖内の分枝には、三官能性シラン、例えば、トリクロロシラン又はトリアルコキシシランの合成導入が必要である。
【0006】
当業者に既知である通り、オルガノクロロシランの加水分解速度は、以下のSiCl>RSiCl>>RSiCl>RSiClの順序で上昇する(C.Eaborn,Organosilicon Compounds,Butterworths Scientific Publications,London 1960,p.179)
【0007】
したがって、テトラクロロシラン及びトリクロロシランの加水分解及び縮合反応においては、二官能性及び単官能性オルガノクロロシランのより遅い加水分解及び縮合反応と比較して高架橋のゲルを形成する傾向が増加する。したがって、ジクロロシラン及びモノクロロシランの加水分解及び縮合の確立した方法はテトラシラン及びトリクロロシランに直ぐに適用可能ではなく、その代わりに多段階プロセスを介した代替経路を取ることが必要である。
【0008】
この発見に基づけば、シロキサン鎖あたり1以下の三官能性モノマーの導入よる単分枝ヒドロシロキサンの製造も、先行技術によれば2段階で行う必要がある。例えば、DE3716372に述べられる通り、第1工程では、三官能性の低分子量ヒドロシロキサンが1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及びメチルトリエトキシシランから加水分解及び縮合によって製造される。DE102005004676に述べられている通り、
次いで、第2工程のみにおいて、より高いモル分子量への環式シロキサンとの平衡化を行うことができる。さらなる反応のために、かつ、したがって第3工程の前に、このようにして製造される単分枝ヒドロシロキサンを、SiH基を有するシロキサン化合物の官能化のためのそれ自体既知の方法によって有機置換基を伴って提供することができる。
【0009】
定義上、シロキサン鎖あたり2つ以上のテトラ官能性又は三官能性モノマーを有するポリ分枝ヒドロシロキサンの合成については、同様に、2段階合成を従来技術に見ることができる。
【0010】
US6,790,451に記載される1つの可能性は、ポリジメチル(メチルヒドロ)シロキサンコポリマーとともに第2工程で平衡化される、MTポリマーとも呼ばれる、ヘキサメチルジシロキサン又はトリメチルクロロシランとのトリクロロメチルシラン又はトリアルコキシメチルシランからのコポリマーの製造である。このようなMTポリマーの製造には、いくつかの場合には高い反応温度との組み合わせで強塩基及び強酸の使用が必要であり、高い粘性のプレポリマーを生じる結果、それらの中和はかなり妨げられ、したがって、一定の組成及び品質の最終生成物へのさらなる処理は相当制限される。
【0011】
EP0675151によれば、SiHのない分枝シリコンポリマーの加水分解及び縮合は、キシレン中で最初に行われ、第2工程では、メチルヒドロポリシロキサンとの平衡化によって分枝ヒドロシロキサンが得られる。ここでも、2つのプロセス工程が確実に必要であり、SiH官能基は第2工程まで導入されない。
【0012】
EP0610818B1は、少なくとも30重量%のアルコール及び少なくとも5重量%の無機酸を含有する相当量(例えば、48重量パーセントの反応混合物)のアルコール性塩酸水溶液を用いて加水分解及び縮合されるテトラメチルジシロキサン及びテトラアルコキシシランからSiH−官能性シリコン樹脂を製造する方法を記載する。このようにして得られたSiH−官能性シリコン樹脂は、有機溶媒による抽出によって単離する必要がある。
【0013】
EP1010714B1は、使用する溶媒がアルカンの高沸点(high-boiling)混合物である、分枝SiH−官能性固体シリコン樹脂を製造する方法を記載する。使用する水及び酸性の平衡化触媒の量はEP0610818B1より少ないが、使用するSiH官能基の分解はこの方法では避けられない。そこに示される実施例2及び3で示される通り、使用する10〜20mol%のジメチルヒドロシロキシ単位は反応中に分解されて、SiH−官能性でないジメチルシロキシ単位となる。
【0014】
EP1050553A1は、約20重量パーセントの水の存在下でメチルトリエトキシシラン、テトラメチルジヒドロシロキサン、及びジメチルヒドロクロロシランを互いに反応させる、分枝SiH−官能性架橋剤を製造する方法を記載し、ここでは、クロロシランの加水分解で放出される塩酸がブレンステッド−酸性平衡化触媒として機能する。ここで示される実施例1で開示される通り、50%未満の使用するSiH等価物が生成物中に存在する。
【0015】
EP1829524によれば、ポリ分枝SiH−官能性オルガノポリシロキサンが化粧用粉末の表面処理に用いられる。そこに記載されるオルガノポリシロキサンは、加水分解及び縮合によってアルコキシシラン及びSiH−官能性シロキサンから製造される。使用する触媒は、5重量パーセントの濃硫酸である。貯蔵不安定及びゲル化をもたらすであろう生成物に残留している高量の酸は、反応終了後に水の洗浄によって取り除く必要がある。この工程は、同様に、相分離を含み、捨てる必要のある酸性廃棄水を発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、さらなる補助相を形成する脂肪族及び/又は芳香族溶媒を用いることなしに、副反応において出発物質材料によって導入されたSiH官能基を分解することなく分枝ヒドロシロキサンを製造するための簡単な1段階方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、テトラアルコキシシラン及び任意選択によりトリアルコキシシランとのSiH−官能性シロキサンの縮合及び平衡化が、加水分解性の酸性条件下、たった1工程で、導入されたSiH官能基が非常に実質的に保持されて、可能であることが今や見出された。記載した三官能性シランのゲル化の起こりやすさ及び酸誘導による脱水素性SiH分解の副反応(C.Eaborn,Organosilicon Compounds,Butterworths Scientific Publications,London 1960,p.200)が非常に厄介であったので、この結果は当業者に全く驚くものである。
【0018】
したがって、本発明は、25℃の温度及び101325Paの圧力で分枝SiH−官能性シロキサン液体を製造するための請求項1に記載の方法であって、水を添加し、かつ、酸イオン交換体から選択される少なくとも1つの固体ブレンステッド酸触媒の存在下で、
a) 1以上のSiH−官能性シロキサン、
b) 1以上のSiH官能基なしのシロキサン、
c) 1以上のテトラアルコキシシラン、及び、任意選択により、
d) 1以上のトリアルコキシシラン、
を含む混合物が1つのプロセス工程で変換されることを特徴とする方法、及びこのようにして製造されたヒドロシロキサンを提供する。
【0019】
本発明は、同様に、シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンを製造するためのそのようにして製造されたヒドロシロキサンの使用、及びそのようにして製造されたシロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサン、及び界面活性シリコン界面活性剤としてのそれらの使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明に係る分枝界面活性シリコン界面活性剤は、非常に種々の異なる用途、例えば、ポリウレタンフォーム安定剤、消泡剤、揮発分除去剤(devolatilizers)、顔料、湿潤剤、または均一な貯蔵安定ペーストを形成するための分散添加剤、着色剤(colours)、上塗り剤(varnishes)、コート剤(coats)、コーティング剤(coatings)又は塗料(paints)に使用することができる。さらに、発明に係る分枝シリコン界面活性剤は、織物コーティングのため、シリコン分離コーティング及びシリコン封止剤において、清浄組成物における添加剤としての、例えば、洗浄組成物添加剤又は水性及び非水性分離剤配合物における添加剤としての使用であってもよい。
【0021】
さらなる本発明の対象は、以下に続く詳細な説明の記載及び請求項/従属請求項の内容にによる特徴づけられる。
【0022】
本発明による方法は、分枝SiH−官能性シロキサンを単一のプロセス工程で製造することができるとの利点を有する。本方法は、変換の過程で、SiH官能基、特に末端SiH官能基は、仮にあってもほんのわずかな程度しか失われないとの利点も有する。特に、当業者が予測する末端SiH官能基(ジメチルヒドロシロキシ単位)の分解がないことは、驚くべくことである。
【0023】
本発明による方法は、相分離が必要ないとの利点も有し、その場合、第1に、補助水性相を廃棄物として捨てる必要があり、第2に、使用する非極性溶媒、例えば、トルエン又はキシレンによる蒸留除去によって生成物を精製する必要がある。本発明による方法は、加水分解及び縮合から生ずる低沸点(low-boiling)反応生成物、特にアルコールの反応生成物の本質的に単に穏やかな蒸留除去が必要である。
【0024】
最終生成物の品質及び貯蔵安定性に関し、本発明による方法は、利点を有する。本発明により製造された分枝ヒドロシロキサン及びそれから製造される変換生成物は、ゲル化傾向がないか、ほとんどゲル化傾向がなく、したがって、生成物の粘性を有意に変えることなく、より長期にわたって貯蔵することができる。
【0025】
分枝SiH−官能性シロキサンを製造するための本発明による方法、シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンを製造するためのその使用、及びそれらの使用は、本明細書中に例示として記載され、本発明をこれらの例示的な実施態様に限定することを意図するものではない。範囲、一般式、又は化合物類が以下に特定されている場合、これらは、対応する範囲または明示された化合物群だけを含むことを意図するものではなく、個々の値(範囲)又は化合物を選択することによって得ることができる下位範囲及び化合物の下位群のすべてを含むことを意図する。文献を本願の詳細な説明の文脈で引用している場合、それらの内容は本発明の開示内容に十分に組み込まれるものである。
【0026】
式(シロキサン鎖又はポリオキシアルキレン鎖)で特定した化合物の異なるモノマー単位は、交互ブロック様式の構造を有するか、ランダム分布で存在する。式で用いられる指標、特に指標a,b,c、及びdは、統計的平均値とみなさなければならない。本発明の文脈において、平均の分枝化度kは、T及びQ単位に対するM及びM単位の比(M+M)/(T+Q)を意味すると理解する。単位の指定は、Thieme Rompp Online,Georg Thieme Verlag,2008でも見ることができるように、国際的に承認された用語(nomenclature)に対応する。この用語によれば、M=RSiO1/2、D=RSiO2/2、T=RSiO3/2、及びQ=SiO4/2(式中、Rは有機基である)である。Mは、R基の1つが水素原子である単位を表す。Dは、R基の1つが水素原子である単位を表す。分枝化度は、特定の単位に指定した29Si NMRスペクトルにおけるピークの面積積算の比を形成することによって決定される。
【0027】
25℃の温度及び101325Paの圧力で分枝SiH−官能性シロキサン液体を製造するための請求項1に記載の発明方法では、水を添加し、かつ、酸イオン交換体から選択される少なくとも1つの固体ブレンステッド酸触媒の存在下で、
a) 1以上のSiH−官能性シロキサン,
b) 1以上のSiH官能基なしのシロキサン、
c) 1以上のテトラアルコキシシラン、及び、任意選択により
d) 1以上のトリアルコキシシラン,
を含む混合物が1つのプロセス工程で変換され、ヒドロシロキサンはこのようにして製造される。
【0028】
本発明による方法は、相分離なしに、等しい重量部の水と混和性ではない溶媒の存在を全くなくして行うことが好ましい。より具体的には、本発明による方法において、アルカン又は芳香族化合物は溶媒として用いない。
【0029】
本発明による方法では、水の代わりに、水及び相分離せずに水と混和性である等しい重量部の1以上の有機溶媒の混合物を添加することが有利であり得る。この方法では、より良好な相溶性が達成可能であり、したがって、水とシロキサン及びシランとをより良好に混合することが達成可能である。しかしながら、良好な混合は、水を添加して機械による特に良好な混合を行うことによっても、または例えば水蒸気を混合物にバブリングすることによって、水を蒸気の形態のシラン及びシロキサンの混合物に供給することによって達成される。
【0030】
相分離なく等しい重量部の水と混和性である使用する有機溶媒は、好ましくはアルコールであり、特に1〜6個の炭素原子を有するアルコール、好ましくは一価アルコールであり、より好ましくはメタノール又はエタノール、特にエタノールである。反応混合物中で水が完全または部分的に均一となるように大量のこの溶媒を添加することが好ましい。水及び特にエタノールなどのそのような溶媒の混合を用いる場合、この混合物中における水と溶媒との重量比は、好しくは1:1〜10:1であり、好ましくは2:1〜5:1である。
【0031】
本発明による方法は、好ましくは、一般式(I)のシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサンを製造するために使用される:
【化1】

(式中、
aは、独立して、0〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200であり、
bは、独立して、0〜60、好ましくは0〜30、より好ましくは>0、特に1〜15であり、
cは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5であり、
dは、独立して、0〜10、好ましくは0又は>0〜5、より好ましくは1〜5であり、
Rは、1個〜最大20個の炭素原子を有する直鎖、環式、又は分枝脂肪族又は芳香族飽和又は不飽和炭化水素基の群からの少なくとも1つの基であるが、好ましくはメチル基であり、
R1は、独立して、水素又はRであり、
R3は、独立して、水素、R、又はヘテロ原子で置換された飽和又は不飽和の官能性有機基(好ましくは、アルキル、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリロイルオキシアリール、アクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシプロピル又はビニル基、より好ましくは、メチル、クロロプロピル、ビニル、又はメタクリロイルオキシプロピル基の群から選択される)、
ただし、b=0である場合、R1=Hであり、かつ、1分子あたりのT及びQ単位の平均数は、各々の場合、20以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は、2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は、100以下、好ましくは60以下である。特に好ましくは、a>0である。)。
【0032】
本発明による方法によって得られる分枝SiH−官能性シロキサン、好ましくは式(I)の分枝SiH−官能性シロキサンは、SiH官能基が純粋に末端の位置にあるもの、純粋にペンダント位置にあるもの、あるいはシロキサン中の末端及びペンダント位置の混合であるものであってもよい。
【0033】
使用するSiH−官能性シロキサンは、SiH官能基が純粋に末端の位置にあるもの、純粋にペンダント位置にあるもの、あるいはシロキサン中の末端及びペンダント位置の混合であるものであってもよい。使用するSiH−官能性シロキサンは、例えば、直鎖ポリメチルヒドロシロキサン、例えば、Gelest社のHMS−993、直鎖ポリジメチルメチルヒドロシロキサン、例えば、Gelest社のHMS−031及び/又はHMS−071、直鎖α,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び/又は1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、比較的高分子量のオリゴマー、例えば、Gelest社のDMS−H03及び/又はDMS−H11、環式ポリメチルヒドロシロキサン、例えば、テトラメチルシクロテトラシロキサン又はペンタメチルシクロペンタシロキサン、並びに環式ポリジメチルメチルヒドロシロキサン、例えば、ヘプタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はノナメチルシクロペンタシロキサン、又はそれらの混合物であってもよい。使用するSiH−官能性シロキサンは、より好ましくは、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、DMS−H03,HMS−993(それぞれ、Gelest社のもの)、及びペンタメチルシクロペンタシロキサンである。
【0034】
使用するSiH官能基なしのシロキサンは、例えば、直鎖ポリジメチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、又は環式ポリジメチルシロキサン、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンであってもよい。ヘキサメチルジシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンを用いることが好ましい。
【0035】
本発明による方法の好ましい実施態様において、1以上のテトラアルコキシシラン及び1以上のトリアルコキシシランを使用する。本発明による方法の特に好ましい実施態様において、1以上のテトラアルコキシシランを使用し、トリアルコキシシランを使用しない。
【0036】
使用するテトラアルコキシシランは、基本的に、すべてテトラアルコキシシラン,特にテトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン、又はテトライソプロポキシシラン,あるいはそれらの縮合物である。使用するテトラアルコキシシランは、アルコキシ基がすべて同じであるもの、すべて異なるもの、またはいくつかが同じものであるものであってもよい。テトラエトキシシランを用いることが特に好ましい。
【0037】
トリアルコキシシランをさらに使用する場合、すべてトリアルコキシシランを用いることが基本的に可能である。使用するトリアルコキシシランは、アルコキシ基がすべて同じであるもの、すべて異なるであるもの、またはいくつかが同じものであるものであってもよい。トリエトキシシラン、好ましくはアルキルトリエトキシシラン、例えば、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクタ−デシルトリエトキシシラン、ハロゲン含有又は擬(pseudo)ハロゲン含有のアルキルトリアルコキシシラン、特にアルキルトリエトキシシラン、例えば、クロロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロ−オクチルトリエトキシシラン、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル−トリ−エトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、トリアルコキシシラン、特に官能性基を有するトリエトキシシラン、例えば、3−メタクリロイルオキシ−プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、5−(ビ−シクロヘプテニル)トリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、又はジヒドロ−3−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−フラン−2,5−ジオンを用いることが特に好ましい。有機的に官能化されたトリアルコキシシランを分枝化単位(平衡化によって導入される)として用いることが有利であり得る。
【0038】
標準条件下において液体形態で存在する反応物質a)〜d)を排他的使用することが好ましい。鎖終結(chain-erminating)トリアルキルシロキシ単位、特にトリメチルシロキシ単位(M単位)及び/又はジアルキルヒドロシロキシ単位の割合、特にジメチルヒドロシロキシ単位(M単位)、鎖延長(chain-extending)ジアルキルシロキシ単位、特にジメチルシロキシ単位(D単位)及び/又はアルキルヒドロシロキシ単位、特にメチルヒドロシロキシ単位(D単位)の割合、及び鎖分枝化シロキシ単位(Q単位)の割合、及び任意選択により分枝化アルキルシロキシ単位(T単位)及び/又は官能性基によって置換されたT単位の割合は、広範囲にわたって変化することができる。M単位及びM単位の全合計とQ単位とのモル比は、好ましくは4:1〜1.8:1である。M又はM単位に対するQ単位のモル量がこの制限比を超えて増加する場合、不要な高架橋の高分子ゲル乃至樹脂が得られる。
【0039】
反応混合物は、成分の任意の種類の混合によって得ることができる。SiH−官能性シロキサン、SiH官能基なしのシロキサン、テトラアルコキシシラン、及び適切な場合、トリアルコキシシランまたは置換されたトリアルコキシシランを最初に混合することが好ましい。
【0040】
好ましくは、出発物質、すなわち、SiH−官能性シロキサン、SiH官能基なしのシロキサン、及びテトラアルコキシシラン、及び適切な場合、トリアルコキシシランを混合した後、加水分解及び縮合の触媒のための少なくとも1つのブレンステッド酸触媒を添加する。触媒は、全部または部分的に反応混合物に直接添加し、任意の順序で反応中に計量供給することができる。
【0041】
出発材料を最初に混合し、次いで触媒を添加し、次いで、水又は水性混合物を添加することが好ましい。
【0042】
使用する酸イオン交換体は、従来技術で既知のイオン交換体であってもよい。本発明による方法において、天然イオン交換体、例えば、ゼオライト、モンモリロナイト、アタパルガイト、ベントナイト、及び他の珪酸アルミニウム、並びに合成イオン交換体のいずれも用いることが可能である。後者は、好ましくは、酸性度が異なる多数の「アンカー(anchor)基」が導入された、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂又はスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーに基づく3次元の水不溶性高分子量マトリクスを有する固体である(通常は粒状である)。より具体的には、酸性アルミナ又は酸性イオン交換樹脂、例えば、Amberlite(登録商標)、Amberlyst(登録商標)又はDowex(登録商標)及びLewatit(登録商標)の商標名で知られている製品を用いることが可能である。使用する酸性イオン交換体は、より好ましくは、スルホン酸イオン交換樹脂である。
【0043】
本発明による方法で用いられる酸イオン交換体は、好ましくはEP1439200に記載されるものである。この文献及びそこで引用される先行技術文献は参照として本願明細書に組み込まれ、本発明の開示内容の一部を形成するとみなす。
【0044】
本発明による方法において、使用する触媒は、少なくとも1つの酸性イオン交換体(触媒1)及び少なくとも1つのさらなる固体でないブレンステッド酸触媒(触媒2)、特に液体酸を含む場合に有利であり得る。使用する触媒2は、鉱酸であってもよく、好ましくは硫酸及び/又は、好ましくは有機スルホン酸、好ましくはトリルオロメタンスルホン酸である。この触媒混合物は、好ましくは反応混合物に直接添加する。使用する触媒は、好ましくはトリルオロメタンスルホン酸及びスルホン酸イオン交換樹脂、好ましくはLewatit(登録商標)K2621(Bayer Material science)の混合物である。触媒混合物は、好ましくは10:1〜100:1の触媒1と触媒2との質量比を有する。この質量比は、特に触媒1としてのLewatit(登録商標)触媒の使用及び触媒2としてのトリルオロメタンスルホン酸の使用の場合に好ましい。
【0045】
使用する触媒が2つの触媒1及び触媒2を含む場合、触媒2を好ましくは十分に出発物質の混合物に最初に添加し、次いで水を添加し、触媒1を好ましくは完全な水の添加後だけ添加する場合が有利であり得る。しかしながら、触媒1及び触媒2はいずれも、水の添加前に出発物質に添加してもよい。
【0046】
本発明による方法において、好ましくは、使用する酸触媒の全合計量が、使用する出発物質の質量の全合計量(すなわち、SiH−官能性シロキサン、SiH官能基なしのシロキサン、テトラアルコキシシラン、及び適切な場合、トリアルコキシシランの合計)に基づいて0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%であるように、酸触媒の量を反応混合物に添加する。使用する触媒の種類及び濃度により、この範囲の特定の下位範囲は好ましいでものであり得る。例えば、0.05重量%〜0.5重量%の量のトリルオロメタンスルホン酸を用いることが特に好ましい。使用する触媒がイオン交換樹脂のみである場合、使用する触媒の質量は好ましくは3〜10重量%である。使用する触媒が鉱酸及び/又は有機スルホン酸とイオン交換樹脂との組み合わせである場合、使用するイオン交換樹脂の分子量は好ましくは3〜16重量%である。
【0047】
本発明による方法において、好ましくは、使用するアルコキシシラン1モルあたり0.5〜30molの水が用いられる。加水分解及び縮合のため、好ましくは、アルコキシシラン1モルあたり1〜6molの水が用いられる。水を1工程で添加することができ、あるいは好ましくは長期にわたって計量供給することができる。選択した水量のため、相分離は通常起こらない。
【0048】
本発明による方法における反応は、好ましくは0℃〜100℃の温度で行われる。20〜60℃で反応(加水分解、縮合及び平衡化反応を同時に行うこと)を行うことが好ましい。
【0049】
反応終了後、揮発性の縮合副生成物を例えば穏やかな真空蒸留によって除くことができる。必要な場合又は所望する場合、例えば、塩基性塩、好ましくは炭酸水素ナトリウムで中和を行うことができる。
【0050】
このようにして得られた発明に係る分枝鎖ヒドロシロキサンは、好ましくは揮発性低分子量化合物を全く含まないか、少なくともほんのわずかな割合しか含まない、安定で透明な無色の液体であることが好ましい。反応物混合物を介して重量を測った、すなわち、反応前に測定されたSiH等量、及び本発明による方法によって製造されるヒドロシロキサンにおいて測定されたSiH等量(すなわち、反応後)は、使用するSiH官能基の非常に実質的な保持を実証する分析精度に合致する。発明に係る分枝鎖ヒドロシロキサンは、好ましくは95%超、好ましくは97%超の理論的に可能な水素含量(Si−H−水素)を有する。水素含量は、SiH−含有材料をアルコール性アルカリ溶液中で分解することによって水素が定量的に分解された際に、ガス容積測定手段によって決定することができる(Eaborn、p.200の反応式も参照のこと)。
【0051】
本発明による方法は、シロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサン、特に式(I)のものを製造することを可能とする。シロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサンは、好ましくは、25℃においてHaakeRV12brの回転式粘性測定器で測定して際に10〜1000mPa、好ましくは20〜500Pa、より好ましくは20〜250mPaの粘性を有する。分枝ヒドロシロキサンは、平均で、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の分枝化単位(Q及びT単位)を有する。発明に係るシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサンを用いて、シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンを製造することができる。
【0052】
本発明による方法の好ましい実施態様において、シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンは、希少金属により触媒される、特に白金により触媒されるヒドロシリル化による、本発明により製造されるシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサン、好ましくは式(I)のヒドロシロキサンと、好ましくは1分子あたり少なくとも1個、正確には1個の2重結合を有する化合物との完全又は部分反応によって製造される。この反応により、好ましくは、一般式(II)のコポリマーが得られる:
【化2】

(式中
aは、独立して、0〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200であり、
bは、独立して、0〜60、好ましくは0〜30、より好ましくは>0、特に1〜15であり、
cは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5であり、
dは、独立して、0〜10、好ましくは0又は>0〜5であり、
ただし、1分子あたりのT及びQ単位の平均数は、各々の場合、20以下、好ましくは10以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は100以下、好ましくは50以下であり、
Rは、1個〜最大20個の炭素原子を有する直鎖、環式、又は分枝脂肪族又は芳香族飽和又は不飽和炭化水素基の群からの少なくとも1つの基であるが、好ましくはメチル基であり、
R5は、独立して、R4又はRであり、
R4は、R以外の有機基又はRであり、より好ましくはR及び/又は
−CH−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−(SO)−R’’
−CH−CH−O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−R’’
−CH−RIV
−CH−CH−(O)x’−RIV
−CH−CH−CH−O−CH−CH(OH)−CHOH
【化3】

−CH−CH−CH−O−CH−C(CHOH)−CH−CHであり、
式中、
xは、0〜100、好ましくは>0、特に1〜50であり、
x’は、0又は1であり、
yは、0〜100、好ましくは>0、特に1〜50であり、
zは、0〜100、好ましくは>0、特に1〜10であり、
R’は、1〜12個の炭素原子を有する、任意選択により置換された(例えば、アルキル基、アリール基、又はハロアルキル、又はハロアリール基によって置換された)アルキル又はアリール基であり、
R’’は、水素基又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、−C(O)−R’’’基(ここで、R’’’=アルキル基)、−CH−O−R’基、アルキルアリール基、例えば、ベンジル基、−C(O)NH−R’基であり、
IVは、1〜50個、好ましくは9〜45個、より好ましくは13〜37個の炭素原子を有する、任意選択により置換された(例えば、ハロゲンによって置換された)炭化水素基、
SOは、スチレンオキシド基−CH(C)−CH−O−又は−CH−CH(C)−O−であり、
R7は、R、R4、及び/又はヘテロ原子によって置換され、かつ、アルキル、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリロイルオキシアリール、アクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシプロピル、又はビニル基の群から選択される、官能性の飽和又は不飽和有機基であってもよく、
ただし、R4、R5、及びR7からの少なくとも1つの置換基は、Rではない。)。シロキサン鎖及びポリオキシアルキレン鎖の異なるモノマー単位は、交互ブロック様式構造を有してもよいし、ランダム分布となってもよい。
【0053】
例えば、EP1520870などの従来技術に記載されるようにして、発明に係る分枝ヒドロシロキサンの希少金属で触媒されるヒドロシリル化を行うことができる。文献EP1520870は、本願明細書中に参照として組み込まれ、本発明の開示内容の一部を形成するとみなす。
【0054】
1分子あたり少なくとも1つの二重結合を有する使用される化合物は、例えば、α−オレフィン、ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレンであってもよい。ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレンを用いることが好ましい。特に好ましいビニルポリオキシアルキレンは、例えば、100g/mol〜5000g/molの範囲のモル質量を有するビニルポリオキシアルキレンであり、これはモノマーであるプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、及び/又はスチレンオキシドからブロック様式又はランダム分布で形成されてもよいし、また、ヒドロキシ官能性であるか、メチルエーテル官能基又はアセトキシ官能基によって端がキャップされていてもよい。特に好ましいアリルポリオキシアルキレンは、例えば、100g/mol〜5000g/molの範囲のモル質量を有するアリルポリオキシアルキレンであり、これは
モノマーであるプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド及び/又はスチレンオキシドからブロック様式又はランダム分布で形成されてもよいし、ヒドロキシ−官能性であるか、メチルエーテル官能基又はアセトキシ官能基によって端がキャップされていてもよい。実施例に具体的に示されているα−オレフィン、アリルアルコール、1−ヘキサノール、ビニルポリオキシアルキレン、及び/又はアリルポリオキシアルキレン、並びにアリルグリシジルエーテル及びビニルシクロヘキセンオキシドを1分子あたり少なくとも1つの2重結合を有する化合物として用いることが特に好ましい。
【0055】
本発明による方法のさらなる好ましい実施態様において、シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンは、本発明により製造されるシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサン、好ましくは式(I)のヒドロシロキサンを、ルイス酸により触媒される脱水素結合(dehydrogenative bond)の形成により1分子あたり1つのヒドロキシル基を有する化合物と完全または部分反応させることによって製造される。本発明による製造される分枝ヒドロシロキサンへのヒドロキシ官能性化合物、特に式(I)のもののルイス酸により触媒される脱水素結合は、先行文献で記載されるようにして行うことができる。本明細書に参照として組み込むことができ、本発明の開示内容の一部を形成するとみなすDE102005004676に記載されるようにして、脱水素結合形成を行うことが好ましい。
【0056】
脱水素結合は、好ましくは、一般式(III)のコポリマーを与える:
【化4】

(式中、
aは、独立して、0〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200であり、
bは、独立して、0〜60、好ましくは0〜30、より好ましくは>0、特に1〜15であり、
cは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5であり、
dは、独立して、1〜10、好ましくは0又は>0〜5であり、
ただし、1分子あたりのT及びQ単位の平均数は、各々の場合、20以下、好ましくは10以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は100以下、好ましくは50以下であり、
Rは、1から最大20個の炭素原子を有する直鎖、環式、又は分枝脂肪族又は芳香族飽和又は不飽和炭化水素基の群からの少なくとも1つの置換基であり、好ましくはメチル基、すべてのR基はより好ましくはメチル基であり、
R8は、有機修飾(organic modification)、又はR、より好ましくはR及び/又は
O−(CH−CHO−)−(CH−CH(R’)O−)−(SO)−R
(式中、x、y、z、R’及びSOは、各々、式(II)で定義する通りである)
は、ヘテロ原子によって任意選択により置換された直鎖、環式、又は分枝飽和又は不飽和アルキル基であり、
R9は、R及び/又はR8であってもよく、
R11は、R、R8、及び/又はヘテロ原子によって置換され、かつ、アルキル、クロロアルキル、クロロアリール、フルオロアルキル、シアノアルキル、アクリロイルオキシアリール、アクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシアルキル、メタクリロイルオキシプロピル又はビニル基の群から選択された、官能性の有機飽和又は不飽和基であり、
ただし、R8、R9及びR11基の少なくとも1つはRではない。)。
【0057】
使用するヒドロキシ官能性化合物は、好ましくはヒドロキシ官能性ポリオキシアルキレン、及び脂肪アルコール又はヒドロキシ官能性アクリレート若しくはメタクリレートである。特に好ましい化合物は、例えば、100g/mol〜5000g/molの範囲のモル質量を有するメチルポリオキシアルケノール又はブチルポリオキシアルケノールであり、これはモノマーであるプロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、及び/又はスチレンオキシドからブロック様式又はランダム分布で形成することができる。ヒドロキシ−官能性化合物として実施例に具体的に示されているヒドロキシ官能性ポリオキシアルキレン、及びステアリルアルコールなどの脂肪アルコール、又はヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ官能性アクリレートを用いることが特に好ましい。
【0058】
シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンを製造するための発明に係るシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサンの使用のために、対応するシロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサン、特に式(II)又は(III)のものを得ることが可能である。これらの発明に係るシロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンまたは本発明によって製造されるものを、例えば、界面活性のシリコン界面活性剤として、照射硬化シリコンコーティングにおいて使用することができる。
【0059】
本発明にしたがって特許請求の範囲に記載された有機変性された分枝シロキサン(c+d≧1)、特にポリエーテル変性された分枝シロキサンは、工業用途のみ、あるいは価値の高い界面活性の成分としての分枝を有さない有機変性シロキサン(c+d=0)での用途を見つけることができる。より具体的には、本願明細書に記載されるブレンドにより、例えば、フォーム安定剤としてのポリウレタンフォームの形成に用いられるそのような界面活性剤の広域活性の定義が可能となる。
【0060】
本発明に従って特許請求の範囲に記載される有機変性分枝シロキサン、特にポリエーテル変性分枝シロキサン(c+d≧1)と分枝を有さないシロキサンとのブレンドは、価値の高い界面活性の成分であるが混合比によれば1分子あたりの1未満の分枝化単位の合計(c+d<1)を有する混合物を与えることができることは明らかである。
本発明に従って特許請求の範囲に記載される有機変性分枝シロキサン、特にポリエーテル変性分枝シロキサン(c+d≧1)をケイ素が無い化合物、例えば溶媒、特にグリコール又はポリエーテルと広範囲で混合することも明らかに可能である。そのような混合物は、価値の高い界面活性の組成物であってもよい。29Si NMRにより決定される分子の平均分枝化度は、この場合、その性質により変わらない。
【0061】
以下に示す実施例において、本発明は、例示として記載され、本出願の発明の範囲は詳細な説明全体及び特許請求の範囲から明らかであり、本発明は実施例に具体的に示されている実施態様に制限されることを意図するものではない。
【0062】
実施例に具体的に示されている粘性は、Haake RV12との商標名の回転式粘性測定器で25℃で決定されたものである。平均の分枝化度k=(M+M)/(T+Q)の値は、29Si NMRスペクトルの特定の面積積算の比を作成することによって決定した。
【0063】
実施例1(発明):
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)16.53g(0.079mol)、2.97eqのSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン80.21g、デカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)500.4gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.35mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水5.72g及びエタノール1.43gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)37.0gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で1時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム12.0gで中和し、再度ろ過した。これにより、131.9mPaの粘性及び0.39eqのSiH/kg(理論値=0.40eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。29Si NMRスペクトルから、分枝化kの平均値4.2を計算した。
【0064】
実施例2(発明):
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)37.8g(0.181mol)、2.97eqのSiH/kの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン163.0g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)492.6gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水13.1g及びエタノール3.3gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%―Karl−Fischer法に基づいて決定した)42.4gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム14.1gで中和し、再度ろ過した。これにより、49.9mPaの粘性及び0.71eqのSiH/kg(理論値=0.72eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。29Si NMRスペクトルから、分枝化kの平均値3.6を計算した。
【0065】
実施例3(発明):
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)25.0g(0.120mol)、メチルトリエトキシシラン(98%、ABCRから入手可能)21.5g(0.120mol)、2.97eqのSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン161.7g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)484.2gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水15.1及びエタノール3.8gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)42.4gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム14.1gで中和し、再度ろ過した。これにより、62.1mPaの粘性及び0.71eqのSiH/kg(理論値=0.72eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。29Si NMRスペクトルから、分枝化kの平均値3.0を計算した。
【0066】
実施例4(発明):
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)37.6g(0.180mol)、ヘキサメチルジシロキサン(Gelest社から入手可能)19.5g、2.97eqのSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン81.1g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)555.2gを40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水13.0g及びエタノール3.3gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)42.4gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム14.1gで中和し、再度ろ過した。これにより、51.2mPaの粘性及び0.35eqのSiH/kg(理論値=0.36eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。29Si NMRスペクトルから、分枝化kの平均値6.8を計算した。
【0067】
実施例5(発明):
テトラエトキシシラン(>98%、 Flukaから入手可能)37.9g(0.182mol)、ヘキサメチルジシロキサン(Gelest社から入手可能)41.7g、15.71eqのSiH/kgの水素含量を有するポリメチルヒドロシロキサン46.5g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)567.3gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える最初に4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能) 0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水13.1g及びエタノール3.3gの混合物を、攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)42.4gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム14.1gで中和し、再度ろ過した。これにより、51.5mPaの粘性及び1.09eqのSiH/kg(理論値=1.09eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。29Si NMRスペクトルから、分枝化kの平均値7.0を計算した。
【0068】
実施例6(発明):
部分的に加水分解されたテトラエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)40、SiO含量41%、Evonik Degussa GmbHから得た)27.6g、162.97eqSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン9.1g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)511.0gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水1.4g及びエタノール0.4gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)42.4gを添加後、過剰な水及びアルコールを約20mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、混合物を炭酸水素ナトリウム14.1gで中和し、再度ろ過した。これにより、39.1mPaの粘性及び0.72eqのSiH/kg(理論値=0.72eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。
【0069】
実施例7(発明)
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)12.5g(0.06mol)、メチルトリエトキシシラン(98%、ABCRから入手可能)10.8g(0.06mol)、2.97eqのSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン80.9g、デカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)242.1g、及び予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)21.2gを、40℃で2時間攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填した。5分以内に、脱イオン化水7.6g及びエタノール1.9gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621 7.1gをさらに添加後、過剰な水及びアルコールを約.15mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で40℃で3.5時間蒸留して除いた。樹脂をろ過して除いた後、19.6mPasの粘性及び0.70eqのSiH/kg(理論値=0.71eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた
【0070】
実施例8(発明)
テトラエトキシシラン(>98%、Flukaから入手可能)12.5g(0.06mol)、メチルトリエトキシシラン(98%、ABCRから入手可能)10.8g(0.06mol)、2.97eqSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン80.9g、デカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)242.1g、及び予め乾燥したスルホン酸陽イオン交換樹脂Lewatit(登録商標)K2621(水含量10重量%−Karl−Fischer法に基づいて決定した)21.2gを、40℃で攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、内部温度計、滴下漏斗、及び蒸留器具を備える4ツ首フラスコに最初に充填し、トリルオロメタンスルホン酸(Sigma Aldrichから入手可能)0.42mlを添加し、混合物を2時間攪拌した。5分以内に、脱イオン化水7.6g及びエタノール1.9gの混合物を攪拌しながら滴下して添加し、混合物を1時間攪拌した。約.15mbarの水−ジェット・ポンプ真空中で過剰な水及びアルコールを40℃で3.5時間蒸留して除いた。炭酸水素ナトリウム14.1gで中和後、67.6mPaの粘性及び0.70eqのSiH/kg(理論値=0.71eqのSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた
【0071】
実施例9(発明ではない)
オクチルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)OCTEO、Evonik Degussa GmbHから入手可能)49.2g、2.97eqのSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン83.9g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)112.1gを、脱イオン化水4.8g及び濃硫酸7.0mlとともに攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を備える4ツ首フラスコ中で混合し、25℃で10時間攪拌した。反応混合物を脱イオン化水83gで2回洗浄した。分離漏斗での相分離は、各回、24時間かかった。得られた濁ったシロキサン液体を約2mbarの油−ポンプ真空中で40℃で2時間蒸留した。これにより、7.4mPaの粘性及び1.09eqのSiH/kg(理論値=1.10eqSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。得られた生成物は、所望の粘性10mPaを有意に下回る粘性を有する。
【0072】
実施例10(発明ではない)
メチルトリエトキシシラン(98%、ABCRから入手可能)34.3g、2.97eqSiH/kgの水素含有を有するα,ω−ジヒドロポリジメチルシロキサン90.1g、及びデカメチルシクロペンタシロキサン(Gelest社から入手可能)120.5gを、脱イオン化水5.2g、及び濃硫酸7.0mとともに攪拌しながら、精密なガラス攪拌器、還流冷却器及び内部温度計を備える4ツ首フラスコ中で混合し、25℃で10時間攪拌した。硫酸溶液中の水性−エタノール性相を反応混合物から取り除き、シリコン相を脱イオン化水83gで2回洗浄した。分離漏斗での相分離は、各回、24時間かかった。得られた少し濁ったシロキサン液体を約2mbarの油−ポンプ真空中で40℃で2時間蒸留した。これにより、6.2mPaの粘性及び1.18eqのSiH/kg(理論値=1.20eqSiH/kg)の水素含量を有する透明な無色の液体が得られた。得られた生成物は、所望の粘性100mPaを有意に下回る粘性を有する。
【0073】
実施例11(発明)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を備える1000mlの4ツ首フラスコに1−ドデセン48.1gを最初に充填し、これを90℃に加熱し、Karstedt触媒の形態で白金6ppmと混合した。続いて、実施例3にしたがって製造された0.71eqのSiH/kgの水素含量を有する分枝ヒドロシロキサン314gを40分以内で測定した。反応温度が100℃を超えなかったことを確かめた。ガス容積測定手段によって決定されたSiH変換は1時間後に定量的であり、続いて、反応混合物の揮発性成分を135℃で油−ポンプ真空中で蒸留して除いた。これにより、100mPaの粘性を有する透明な液体が得られた。
【0074】
実施例12(発明)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を備えた500mlの4ツ首フラスコに1−ドデセン46gを最初に充填し、これを90℃に加熱し、Karstedt触媒の形態の白金6ppmと混合した。続いて、1.09eqのSiH/kgの水素含量を有する実施例5にしたがって製造された分枝ヒドロシロキサン193gを25分以内で測定した。反応温度が100℃を超えなかったことを確かめた。ス容積測定手段によって決定されたSiH変換は3.5時間後に99.6%であった。続いて、反応混合物の揮発性成分を135℃で油−ポンプ真空中で蒸留して除いた。これにより、105mPaの粘性を有する透明な液体が得られた。
【0075】
実施例13(発明)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器及び内部温度計を備える500mlの4ツ首フラスコをドデカノール40gに最初に充填し、これを100℃に加熱し、トリス(ペンタフルオロフェニル)−ボラン23mgと混合した。続いて、1.09eqのSiH/kgの水素含量を有する実施例5にしたがって製造された分枝ヒドロシロキサン190gを2時間以内に測定した。ガス容積測定手段によって決定されたSiH変換は、3.5時間後に99.7%であった。続いて、反応混合物の揮発性成分を135℃で油−ポンプ真空中で蒸留して除いた。これにより、84mPaの粘性を有する透明な液体が得られた。
【0076】
実施例14(発明)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を有する500mlの4ツ首フラスコに、1557g/molの平均分子量(ヨウ素数によって決定)、18重量%のプロピレンオキシド含量、及び82重量%のエチレンオキシド含量を有する、メトキシ官能性アリルポリオキシアルキレン202gを、実施例2にしたがって製造された0.71eqのSiH/kgの水素含量を有する分枝ヒドロシロキサン141gと一緒に最初に充填し、これを90℃に加熱し、Pt92の形態の白金7ppmと混合した。続いて、混合物を115℃に加熱した。ガス容積測定手段によって決定したSiH変換は、2.25時間後に99.4%であった。これにより、13480mPaの粘性を有する透明な液体が得られた。
【0077】
実施例15(発明)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を有する500mlの4ツ首フラスコに、999g/molの平均分子量(ヨウ素数によって決定)及び100重量%プロピレンオキシド含量を有するメトキシ官能性アリルポリオキシアルキレン110gを、0.35eqのSiH/kgの水素含量を有する実施例4にしたがって製造された分枝ヒドロシロキサン242gと一緒に最初に充填し、これを95℃に加熱し、Pt92.の形態の白金7ppmと混合した。続いて、混合物を110℃に加熱した。ガス容積測定手段によって決定したSiH変換を1時間後に完了した。これにより、132mPaの粘性を有する透明な液体が得られた。
【0078】
実施例16(発明ではない)
付属の精密なガラス攪拌器、還流冷却器、及び内部温度計を有する500mlの4ツ首フラスコ中で、1.20eqのSiH/kgの水素含量を有する実施例10にしたがって製造された分枝ヒドロシロキサン30.0g、875g/molの平均分子量(ヨウ素数によって決定)、26重量%のプロピレンオキシド含量、及び74重量%のエチレンオキシド含量を有するメトキシ官能性アリルポリオキシアルキレン14.6g、1502g/molの平均分子量(ヨウ素数によって決定)、58重量%のプロピレンオキシド含量、及び42重量%のエチレンオキシド含量を有するメトキシ官能性アリルポリオキシアルキレン14.3g、及び3905g/molの平均分子量(ヨウ素数によって決定)、58重量%のプロピレンオキシド含量、及び42重量%のエチレンオキシド含量を有するメトキシ官能性アリルポリオキシアルキレン83.7gを攪拌しながらv加熱した。EP1520870にしたがって修飾された白金(O)触媒の形態の白金5ppmをシリンジを用いて添加した。決定ガス容積測定手段によって変換は、2.5時間後に定量的であった。これにより、163mPaの粘性を有する非常に濁った液体が得られた。
【0079】
発明に係る実施例は、比較例で見られるような、有意な割合の理論的に期待されるSiH官能基を分解することなく、得られた分枝ヒドロシロキサンの粘性が10mPa未満とならず、変換生成物に起こる濁りがなく、分枝Si−H−官能性シロキサンを製造することが本発明による方法により可能であることを実証している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃の温度及び101325Paの圧力で分枝SiH−官能性シロキサン液体を製造する方法であって、水が添加され、かつ、酸イオン交換体から選択される少なくとも1つの固体ブレンステッド酸触媒の存在下で
a) 1以上のSiH−官能性シロキサン、
b) 1以上のSiH官能基なしのシロキサン、
c) 1以上のテトラアルコキシシラン、及び任意選択により
d) 1以上のトリアルコキシシラン、
を含む混合物が1つのプロセス工程で変換されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
一般式(I)で表されるシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサンが製造されることを特徴とする、請求項1に記載の方法:
【化5】

(式中、
aは、独立して、0〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは10〜200であり、
bは、独立して、0〜60、好ましくは0〜30、より好ましくは0〜15であり、
cは、独立して、1〜10、好ましくは1〜5であり、
dは、独立して、0〜10、好ましくは1〜5であり、
1分子あたりのT及びQ単位の平均数は、各々の場合、20以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は2000以下であり、1分子あたりのD単位の平均数は100以下であり、ただし、b=0である場合、R1=Hである)。
【請求項3】
1以上のテトラアルコキシシラン及び1以上のトリアルコキシシランを用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1以上のテトラアルコキシシランを用い、トリアルコキシシランを用いないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記反応は、0℃〜100℃の温度で行われるを特徴とする、請求項1〜4の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項6】
トリアルコキシシラン1モルあたり0.5〜30molの水を用いることを特徴とする、請求項1〜5の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項7】
使用する前記酸性イオン交換体は、スルホン酸イオン交換樹脂であることを特徴とする、1〜6の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項8】
前記酸性イオン交換体に加えて、少なくとも1つの固体でないブレンステッド酸触媒をさらに用いることを特徴とする、請求項1〜7の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項9】
前記使用する触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸及びスルホン酸イオン交換樹脂の混合物であることを特徴とする、1〜8の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項10】
前記使用する酸触媒の全合計量は、使用する出発物質の質量の全合計量に基づいて0.01〜20重量%であることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも1項に記載の方法、
【請求項11】
製造される前記分枝SiH−官能性シロキサンは、SiH官能基が純粋に末端の位置にあるもの、純粋にペンダント位置にあるもの、又は前記シロキサンの末端及びペンダント位置の混合にあるものであることを特徴とする、請求項1〜10の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項12】
水が、水と混和性である1以上の有機溶媒を重量比で1:1で含む混合物の形態で相分離することなく添加されることを特徴とする、請求項1〜11の少なくとも1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12の少なくとも1項に記載の方法によって製造されるシロキサン鎖に分枝を有するヒドロシロキサン。
【請求項14】
10〜2000mPaの粘性を有することを特徴とする、請求項13に記載のヒドロシロキサン。
【請求項15】
シロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサンを製造するための請求項13又は14に記載のヒドロシロキサンの使用。
【請求項16】
白金で触媒されるヒドロシリル化により、請求項13又は14に記載のヒドロシロキサンを1分子あたり1つの二重結合を有する化合物と完全にまたは部分的に反応させることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記反応は、ビニルポリオキシアルキレン及び/又はアリルポリオキシアルキレンを用いて行うことを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項13又は14求項に記載のヒドロシロキサンをルイス酸で触媒される脱水素結合の形成によって、1分子あたり1個のヒドロキシル基を有する化合物と反応させること特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
請求項15〜18のいずれか1項の使用によって得られるシロキサン鎖に分枝を有する有機変性ポリシロキサン。
【請求項20】
界面活性であるシリコン界面活性剤としての、照射硬化シリコンコーティングにおいて、ポリウレタンフォーム安定化剤としての、化粧用乳化剤及び濃厚剤としての、消泡剤、揮発分除去剤、顔料湿潤剤、又は均一な貯蔵安定性ペーストを形成するための分散添加剤、着色剤、上塗り剤、コート剤、コーティング剤又は塗料としての、織物コーティングのためのシリコン封止剤において、清浄組成物における添加剤として又は水性及び非水性分離剤配合物における添加剤としての、請求項19に記載のポリシロキサンの使用。

【公開番号】特開2010−65221(P2010−65221A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−193746(P2009−193746)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】