説明

列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法

【課題】車両内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを容易に管理することが可能な列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法を得ること。
【解決手段】複数の車両からなる列車に搭載され、前記列車の各車両内に配置されている複数の表示器と伝送路で接続されており、前記複数の表示器の駆動状態が正常かどうかを所定の単位毎に1つの画面に表示して、前記複数の表示器の駆動状態を一括管理する列車内表示管理装置を備える。列車の車両内に配置されている複数の表示器の状態を一括して1つの画面に表示することにより、複数の表示器の状態管理を容易に一括して把握し、管理することができ、車両内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを容易に管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法に関するものであり、特に列車内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを一括して管理するための列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道列車の車内においては、乗客に対して運行情報等の案内や広告を通知するために、車両内情報システムの表示装置として液晶ディスプレイを使用した表示器が車両内に配置されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような車内の表示器においては、乗客に対して運行情報等の案内や広告を確実に通知するために品質を一定に保持する必要がある。一方、表示器の液晶ディスプレイには寿命があり、使用年数によって輝度が低下する。液晶ディスプレイの輝度が低下した場合には画面表示が暗くなり、表示品質が低下して画像の視認性が悪くなるという問題がある。また、液晶ディスプレイの輝度の低下は一様ではなく個体毎に異なるため、個々の表示器毎にメンテナンスを実施する必要がある。
【0004】
そこで、従来は作業員が電車の車内を巡回し、1台1台の表示器の表示の明るさ(輝度)を確認して、交換などのメンテナンスの必要の有無を1台1台の表示器に対して判断していた。
【0005】
【特許文献1】特開2004−70254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような表示器は1つの車両内に複数個配置されているため、電車の1編成だけでも多数の表示器が使用されている。このため、1台1台の表示器に対してメンテナンスの必要の有無を管理することは非常に手間の掛かる作業であり、作業員にとって非常に負荷が大きい、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、車両内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを容易に管理することが可能な列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる列車内表示器管理システムは、複数の車両からなる列車に搭載され、列車の各車両内に配置されている複数の表示器と伝送路で接続されており、複数の表示器の駆動状態が正常かどうかを所定の単位毎に1つの画面に表示して、複数の表示器の駆動状態を一括管理する列車内表示管理装置を備えたこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、列車の車両内に配置されている複数の表示器の状態を一括して1つの画面に表示することにより、複数の表示器の状態管理を容易に一括して把握し、管理することができ、車両内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを容易に管理することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる列車内表示器管理システムおよび列車内表示器管理方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムの概略構成を示す図である。図1において、列車の車両は1号車〜n号車あるが、この図ではN=3の3両編成を例に示している。1号車T1には、乗客に対して運行情報等の案内や広告を通知するために、車両内情報システムの表示装置として液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)を使用した表示器11a、12a、21a、22a、31a、32aが搭載されている。
【0012】
同様に、2号車T2には、乗客に対して運行情報等の案内や広告を通知するために、車両内情報システムの表示装置として液晶ディスプレイを使用した表示器11b、12b、21b、22b、31b、32bが搭載されている。同様に、3号車T3には、乗客に対して運行情報等の案内や広告を通知するために、車両内情報システムの表示装置として液晶ディスプレイを使用した表示器11c、12c、21c、22c、31c、32cが搭載されている(以下、表示器を総称して表示器11と呼ぶ場合がある)。
【0013】
これらの表示器11は、たとえば図2に示すように、車両内において片側各ドアの鴨居部に2台ずつ設置されるものである。図1では、各車両内の表示器11を6台としているが、各車両内に設置する表示装置は6台に限定されるものではない。
【0014】
本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムは、1号車T1〜3号車T3の車両内に配置されている複数の表示器11における駆動状態をモニタリングして所定の単位毎に1つの画面に表示して、1号車T1〜3号車T3の車両内に配置されている複数の表示器の駆動状態を一括管理する。ここでは、列車の1編成ごとに表示器の駆動状態を一括管理する。このような本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムは、各表示器11にそれぞれ配置されたモニタリング部10sと、先頭車両である1号車T1に搭載された列車内表示器管理装置10aと、を備えて構成されている。
【0015】
列車内表示器管理装置10aと表示器11とは伝送路2で接続され、表示器11a、21a、31a同士、表示器11b、21b、31b同士、表示器11c、21c、31c同士はそれぞれ伝送路3を介して接続されている。また、表示器11a、12a同士、表示器21a、22a同士、表示器31a、32a同士はそれぞれ伝送路4を介して接続されている。これらの伝送路2、伝送路3および伝送路4は、デジタル伝送路およびアナログ伝送路のいずれも使用可能である。
【0016】
モニタリング部10sは、各表示器11の駆動状態を検出して表示器11毎にモニタリング情報を生成する。モニタリング部10sは、たとえば、表示器11における画像表示時の輝度をモニタリングしてモニタリング情報として輝度情報を生成する輝度センサ(光度計)を有する。図3は、輝度センサの配置位置の一例を説明するための図である。図3においては矢印Aの方向から表示器11の画面を視認する。輝度センサ10spは、たとえば図3に示すように表示器11の中央部背面側に光穴11hを設け、該光穴11hから外部に漏れる液晶ディスプレイのバックライトの光をセンシングするように配置される。
【0017】
また、モニタリング部10sは、たとえば表示器11における画像表示の積算時間をカウント、積算してモニタリング情報として積算表示時間情報を生成する積算時間カウンタを有する。積算時間カウンタは、具体的には表示器11における液晶ディスプレイのバックライトの駆動時間をカウントする。バックライトの駆動時間のカウントは、バックライトに電力を供給している時間をカウントすることにより得られる。
【0018】
図4は、1号車T1に搭載された列車内表示器管理装置10aの内部構造を示すブロック図である。図4に示すように、列車内表示器管理装置10aは、通信I/F16と、CPU17と、記憶部18と、状態表示パネル部19と、を有する。
【0019】
通信I/F16は、複数の伝送インターフェイス機能を有する。列車内表示器管理装置10aと表示器11との伝送路2による接続は、通信I/F16を介して行われる。CPU17は、列車内表示器管理システムの制御を行う演算部である。CPU17が、記憶部18に保持されたプログラムを読み出して実行することにより、解析部41と表示制御部42とが記憶部18上にロードされ、該解析部41と表示制御部42とが記憶部18上にソフトウエア構成として生成されるようになっている。
【0020】
また、CPU17が実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、DVD等の列車内表示器管理装置10aで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0021】
解析部41は、全ての表示器11のモニタリング情報を取得し、解析して該全ての表示器11の駆動状態の解析情報を生成する。たとえば解析部41は、モニタリング情報として全ての表示器11の輝度情報を取得し、解析して該全ての表示器11の表示輝度の状態の解析情報を生成する。また、たとえば解析部41は、モニタリング情報として全ての表示器11の積算表示時間情報を取得し、解析して該全ての表示器11の積算時間の状態の解析情報を生成する。
【0022】
表示制御部42は、解析情報に基づいて状態表示パネル部19における表示の制御を行う。記憶部18は、CPU17の制御によりモニタリング情報を含む各種データおよび列車内表示器管理システムの制御を行うための各種プログラムを記憶する。状態表示パネル部19は、解析情報に基づいて複数の表示器11の駆動状態を一括表示する。ここで、状態表示パネル部19は、表示制御部42の制御により、所定の単位として車両単位で複数の表示器11の駆動状態を一括表示することが可能である。また、状態表示パネル部19は、表示制御部42の制御により、所定の単位として編成単位で複数の表示器11の駆動状態を一括表示することが可能である。
【0023】
図5は、表示器11の駆動状態として表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度状態を状態表示パネル部19において一括表示した場合の状態表示パネル部19の画面の一例を示した図である。図5においては、表示器11の駆動状態が正常である場合には該当する状態表示部50が消灯し、表示器11の駆動状態が異常である場合には該当する状態表示部50が点灯し(アラーム表示)、表示器11の駆動状態が所定の警告状態にある場合には該当する状態表示部50が点滅(アラーム表示)するような表示形態について示している。
【0024】
同図では、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度状態をチェック要素として表示器11の駆動状態を状態表示パネル部19において一括表示した場合を示したが、表示器11における画像表示の積算時間をチェック要素として表示器11の駆動状態を状態表示パネル部19において一括表示することもでき、さらに他の事項をチェック要素としても良い。また、これらの複数のチェック要素を総合した表示器11の駆動状態を状態表示パネル部19において一括表示しても良い。
【0025】
次に、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムの動作について、モニタリング情報として輝度情報を用いた場合を例に図6を参照して説明する。図6は、列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、各モニタリング部10sの輝度センサ10spが、所定の間隔で周期的に各表示器11における画像表示時の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度を測定して、モニタリング情報として輝度情報を生成する(ステップS110)。
【0027】
次に、解析部41は、全ての表示器11のモニタリング情報を取得し、解析して該全ての表示器11の駆動状態の解析情報を生成する。すなわち、解析部41は、モニタリング情報として全ての表示器11の輝度情報を取得する。そして、取得した輝度情報に基づいて、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が、画像表示品質を保持するための所定の値よりも低下しているかどうかを判断し、その判断結果を解析情報として生成する(ステップS120)。
【0028】
解析情報として、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が画像表示品質を保持するための所定の値よりも低下していない旨の解析情報(輝度正常情報)を生成した場合には(ステップS120否定)、解析部41は、該解析情報(輝度正常情報)をモニタリング部10sの輝度センサに送信する。輝度センサは、この解析情報(輝度正常情報)に基づいて液晶ディスプレイ(LCD)の輝度の測定を継続する(ステップS110)。また、解析部41は、解析情報(輝度正常情報)を表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(輝度正常情報)に基づいて、表示器11の輝度が正常である旨を状態表示パネル部19に表示させる(ステップS160)。
【0029】
一方、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が画像表示品質を保持するための所定の値よりも低下している旨の解析情報(輝度低下情報)を生成した場合には(ステップS120肯定)、解析部41は、バックライトの電流値調整指示情報として該解析情報(輝度低下情報)を表示器11に送信し、表示器11に対して液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトの電流値の調整を指示する(ステップS130)。表示器11は、該解析情報(輝度低下情報)に基づいて液晶ディスプレイ(LCD)のバックライトの電流値を調整する。
【0030】
その後、該当する表示器11のモニタリング部10sの輝度センサが、表示器11における画像表示時の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度を再測定して、モニタリング情報として調整後輝度情報を生成する(ステップS140)。解析部41は、該当する表示器11のモニタリング情報を取得し、解析して該表示器11の駆動状態の解析情報を生成する。すなわち、解析部41は、該当する表示器11の調整後輝度情報を取得する。そして、取得した調整後輝度情報に基づいて、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が、画像表示品質を保持するための所定の値以上に回復したかどうかを判断し、その結果を解析情報として生成する(ステップS150)。
【0031】
表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が、画像表示品質を保持するための所定の値以上に回復したと判断した場合には(ステップS150肯定)、解析部41は、解析情報として、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が正常値に回復した旨の解析情報(輝度回復情報)を生成して表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(輝度回復情報)に基づいて、表示器11の輝度が正常である旨を状態表示パネル部19に表示させる(ステップS160)。また、解析部41は、該解析情報(輝度回復情報)をモニタリング部10sの輝度センサに送信する。輝度センサは、該解析情報(輝度回復情報)に基づいて液晶ディスプレイ(LCD)の輝度のモニタリングを継続する(ステップS110)。
【0032】
一方、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の輝度が、画像表示品質を保持するための所定の値以上に回復していないと判断した場合には(ステップS150否定)、解析部41は、解析情報として、輝度が異常である旨の解析情報(輝度異常情報)を生成して表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(輝度異常情報)に基づいて、表示器11の輝度が異常である旨を状態表示パネル部19に表示させる(アラーム表示)(ステップS160)。
【0033】
以上の処理により、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムは、1号車T1〜3号車T3の車両内に配置されている全表示器11における駆動状態(液晶ディスプレイ(LCD)の輝度状態)を状態表示パネル部19に表示し、一括管理することができる。
【0034】
また、上記における画像表示品質を保持するための所定の値としては、たとえば新品の表示器11の画像表示時の標準的な輝度(標準輝度)の半減値を採用することができる。また、解析部41は、一括管理している表示器11全体の輝度の平均値を解析情報から算出する。そして、表示器11における画像表示時の輝度が、一括管理している表示器11全体の輝度の平均値と、予め設定された画像表示時の標準輝度の半減値と、の範囲内(警告状態)にある場合に、「寿命が近づいている」旨の警告として状態表示パネル部19にアラーム表示をさせることが可能である。これにより、該表示器11の寿命が来る前に、予め表示器11の交換の準備をすることができる。また、交換時期が近づいている表示器11の数量を把握することができ、メンテナンスの計画を立てる際の情報として利用できる。
【0035】
また、解析部41は、一括管理している各々の表示器11の画像表示時の輝度が、予め設定された画像表示時の標準輝度の半減値と比較して、輝度が下回る状態(警告状態)にある場合に、「寿命が近づいている」旨の警告として状態表示パネル部19にアラーム表示させることが可能である。これにより、各々の表示器11毎に、表示器11の寿命が来る前に、予め表示器11の交換の準備をすることができる。また、交換時期が近づいている表示器の数量を把握することができ、メンテナンスの計画を立てる際の情報として利用できる。
【0036】
また、画像表示品質を保持するための所定の値として輝度の半減値を採用したが、当該列車に搭載された公知の列車情報制御装置からの路線情報および列車の位置情報に基づき、当該列車の走行路線が地下鉄や長いトンネル内を走行中であって表示器11の輝度が多少低くても表示画面を十分認識できる場合は、所定の値として輝度の半減値よりも低い値を採用することにより、表示器11をきめ細かく管理して交換時期を延ばすことができる。
【0037】
次に、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムの動作について、モニタリング情報として表示器11における画像表示の積算時間の情報を用いた場合を例に図7を参照して説明する。図7は、列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0038】
まず、各モニタリング部10sの積算時間カウンタが、所定の間隔で周期的に各表示器11における画像表示の積算時間をカウントして、モニタリング情報として積算表示時間情報を生成する(ステップS210)。
【0039】
次に、解析部41は、全ての表示器11のモニタリング情報を取得し、解析して該全ての表示器11の駆動状態の解析情報を生成する。すなわち、解析部41は、モニタリング情報として全ての表示器11の積算表示時間情報を取得する。そして、取得した積算表示時間情報に基づいて、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)の画像表示時間が、予め設定された規定の時間数を超えているかどうかを判断し、その判断結果を解析情報として生成する(ステップS220)。
【0040】
解析情報として、表示器11の積算表示時間が予め設定された規定の時間数を超えていない旨の解析情報(規定内情報)を生成した場合には(ステップS220否定)、解析部41は、該解析情報(規定内情報)をモニタリング部10sの積算時間カウンタに送信する。積算時間カウンタは、この解析情報(規定内情報)に基づいて、表示器11における画像表示の積算時間のカウントを継続する(ステップS210)。また、解析部41は、該外解析情報(規定内情報)を表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(規定内情報)に基づいて、表示器11の積算表示時間が予め設定された所定の時間数を超えていない旨を状態表示パネル部19に表示させる(ステップS230)。
【0041】
一方、解析情報として、表示器11の積算表示時間が予め設定された規定の時間数を超えている旨の解析情報(規定外情報)を生成した場合には(ステップS220肯定)、解析部41は、該外解析情報(規定外情報)を表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(規定外情報)に基づいて、表示器11の積算表示時間が予め設定された所定の時間数を超えている旨を状態表示パネル部19に表示させる(アラーム表示)(ステップS230)。なお、この場合も、積算時間カウンタは、表示器11における画像表示の積算時間のカウントを継続する。
【0042】
以上の処理により、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムは、1号車T1〜3号車T3の車両内に配置されている全表示器11における駆動状態(表示器11における画像表示の積算時間)を状態表示パネル部19に表示し、一括管理することができる。ここで、所定の時間数は、たとえば表示器11の標準的な寿命時間から数十時間少ない時間数とすることができる。このような時間数を設定することにより、たとえば表示器11の画像表示時の輝度状態が正常でも、寿命が近づいていることを前もって知ることができる、該表示器11の寿命が来る前に、予め表示器11の交換の準備をすることができる。また、交換時期が近づいている表示器の数量を把握することができ、メンテナンスの計画を立てる際の情報として利用できる。
【0043】
なお、モニタリング情報として、表示器11の画面の輝度または画面表示の積算時間より表示器11の駆動状態をモニターして寿命を推定するようにしたが、輝度および表示の積算時間を総合的に判断して乗客サービス低下とならないように交換時期を設定しても良い。
【0044】
また、表示器11の寿命をより精度良く判断するために、表示器11の周辺環境等の状態、例えば車両情報装置が有する列車情報(車両内の温度、湿度、振動、供給電源の変動などの情報)も考慮したモニタリング情報とすることにより、表示器11の寿命のよりきめ細かな管理ができる。例えば、表示器11の輝度が半減値に達するまでの表示積算時間(点灯時間)は、表示器11の周囲温度が低いほど短い(寿命が短い)ので、温度を考慮することにより表示器11の管理をより精度良く行うことができる。
【0045】
さらに、上述したような表示器11の駆動状態の情報を、列車全体の機器の管理を行っている地上の中央配信センタに無線送信し、中央配信センタにおいて全ての路線を走行する全ての編成の表示器11の駆動状態を一括管理することも可能である。例えば、図8は中央配信センタで表示器11を一括管理している表示器管理装置の管理画面である。ここでは各列車の編成毎の表示器11の駆動状態が一目でわかるようになっており、各編成の複数の表示器11のうち1台でも異常があれば、その編成の表示器状態部に異常を表示するようになっている。そして、異常である表示器11がどの車両のどこにある表示器かを調べる場合は、詳細情報部のアイコンをクリックすると、列車内表示器管理装置10aの状態表示パネル部19と同じ内容の画面(例えば図5の表示画面)が表示されるようになっている。
【0046】
これにより、列車車両に設置されている全ての表示器11の駆動状態を中央配信センタにおいてリアルタイムに一括管理することができ、全ての編成の表示器11について、寿命が来る前に予め表示器11の交換の準備をすることができる。また、全ての編成の表示器11を対象として、交換時期が近づいている表示器11の数量を把握することができ、表示器11全体のメンテナンス計画の立案が容易になる。例えば、一つの車両に6台の表示器11が使用されており、1号車〜10号車の10台の車両からなる編成列車が全路線で150編成ある場合、全表示器11の数量は6×10×150=9,000台となる。このような大量の表示器11を上述のように一括管理することにより、例えば走行中に表示器11が突然壊れた場合でも、緊急措置として一時的に車両基地で定期点検中の編成車両の正常な表示器11と交換することにより、乗客へのサービス低下をできるだけ回避することができる。この場合、中央配信センタから車両基地にいる車両検査員の携帯する携帯端末(携帯電話、PDA等)に、表示器11を一括管理している表示器管理装置の管理画面の情報を送信して、正常な表示器11がどこにあるかを検査員が直接把握できるようにすることで、より迅速な対応が可能となる。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態2は、上述したモニタリング情報の他の例であり、モニタリング部10sが、モニタリング情報として、表示器11内の各構成機器(例えば液晶ディスプレイ(LCD、電源、基板、インバータ等)における画像表示時の温度を使用する例について説明する。なお、列車内表示器管理システムの基本的構成や動作は実施の形態1の場合と同様であるため、実施の形態1の説明を参照することとしてここでは詳細な説明は省略する。
【0048】
モニタリング部10sは、各表示器11の駆動状態を検出して表示器11毎にモニタリング情報を生成する。ここで実施の形態2では、モニタリング部10sは、たとえば、表示器11内の各構成機器における画像表示時の温度をモニタリングしてモニタリング情報として温度情報を生成する温度センサを有する。モニタリング部10sは、例えば表示器11内の各構成機器であるLCD51用の温度センサ51p、電源52用の温度センサ52p、基板53用の温度センサ53p、インバータ54用の温度センサ54p等を有する。
【0049】
図9は、温度センサの配置位置の一例を説明するための図であり、表示器11内部を背面側から見た各構成機器および温度センサの配置を示す図である。温度センサは、たとえば図9に示すように表示器11内の各構成機器の表面の温度を測定するように配置されている。なお、図9においては、LCD51用の温度センサ51p、電源52用の温度センサ52p、基板53用の温度センサ53p、インバータ54用の温度センサ54pを示しているが、温度センサは少なくとも1つの構成機器に設ければよい。
【0050】
そして、各構成機器の温度のモニタリング情報に基づいて、図5と同様に、表示器11の駆動状態として、たとえば表示器11のLCD51の温度状態を状態表示パネル部19において一括表示し、表示器11の駆動状態が正常である場合には該当する状態表示部50が消灯し、表示器11の駆動状態が異常である場合には該当する状態表示部50が点灯し(アラーム表示)、表示器11の駆動状態が所定の警告状態にある場合には該当する状態表示部50が点滅(アラーム表示)するような表示形態にする。
【0051】
次に、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムの動作について、モニタリング情報として液晶ディスプレイ(LCD)51における画像表示時の温度情報を用いた場合を例に図10を参照して説明する。図10は、列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0052】
まず、各モニタリング部10sのLCD51用の温度センサ51pが、所定の間隔で周期的に各表示器11における画像表示時の液晶ディスプレイ(LCD)51の温度を測定して、モニタリング情報として温度情報を生成する(ステップS310)。
【0053】
次に、解析部41は、全ての表示器11のモニタリング情報を取得し、解析して該全ての表示器11の駆動状態の解析情報を生成する。すなわち、解析部41は、モニタリング情報として全ての表示器11の温度情報を取得する。そして、取得した温度情報に基づいて、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)51の温度が、画像表示品質を保持するための所定の値よりも上昇しているかどうかを判断し、その判断結果を解析情報として生成する(ステップS320)。
【0054】
解析情報として、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)51の温度が画像表示品質を保持するための所定の値よりも上昇していない旨の解析情報(温度正常情報)を生成した場合には(ステップS320否定)、解析部41は、該解析情報(温度正常情報)をモニタリング部10sの温度センサ51pに送信する。温度センサ51pは、この解析情報(温度正常情報)に基づいて液晶ディスプレイ(LCD)51の温度の測定を継続する(ステップS310)。また、解析部41は、解析情報(温度正常情報)を表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(温度正常情報)に基づいて、表示器11(液晶ディスプレイ(LCD)51)の温度が正常である旨を状態表示パネル部19に表示させる(ステップS340)。
【0055】
一方、表示器11の液晶ディスプレイ(LCD)51の温度が画像表示品質を保持するための所定の値よりも上昇している旨の解析情報(温度上昇情報)を生成した場合には(ステップS320肯定)、解析部41は、バックライトの電流値調整指示情報として該解析情報(温度上昇情報)を表示器11に送信し、表示器11に対して液晶ディスプレイ(LCD)51のバックライトの電流値の調整を指示する(ステップS330)。表示器11は、該解析情報(温度上昇情報)に基づいて液晶ディスプレイ(LCD)51のバックライトの電流値を調整する。
【0056】
さらに、解析部41は、解析情報として、温度が異常である旨の解析情報(温度異常情報)を生成して表示制御部42に送信する。表示制御部42は、該解析情報(温度異常情報)に基づいて、表示器11の温度が異常である旨を状態表示パネル部19に表示させる(アラーム表示)(ステップS340)。
【0057】
以上の処理により、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムは、1号車T1〜3号車T3の車両内に配置されている全表示器11における駆動状態(液晶ディスプレイ(LCD)51の温度状態)を状態表示パネル部19に表示し、一括管理することができる。なお、この状態において温度センサを液晶ディスプレイ(LCD)51以外の表示器11内の構成機器(たとえばインバータ53)に設けてモニタリング情報とすれば、表示器11の異常がより詳細かつ事前にわかるので、より一層の乗客へのサービス向上につながる。
【0058】
なお、上記においては、先頭列車に列車内表示器管理装置10aを搭載する場合について説明したが、本発明においては列車内表示器管理装置10aは必ずしも先頭列車に搭載しなくてもかまわない。例えば最終車両の車掌席に搭載されていても良い。また、列車内表示器管理装置10aは、列車内の表示器のみを管理する装置ではなく、列車内の各機器を監視するモニタリング装置(列車情報装置)に組み込んでも良い。
【0059】
また、上記においては、解析部41、表示制御部42、記憶部18および状態表示パネル部19を列車内表示器管理装置10aに備えた構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。たとえば図11に示すように、解析部41としての機能を1号車T1用の解析部100a、2号車T2用の解析部100b、3号車T3用の解析部100cをそれぞれの車両に配置する構成としても良い。
【0060】
この場合、列車内表示器管理装置10aと解析部100aとは伝送路101で接続され、解析部100a、解析部100b、解析部100c同士はそれぞれ伝送路102を介して接続されている。これらの伝送路101および伝送路102は、デジタル伝送路およびアナログ伝送路のいずれも使用可能である。
【0061】
上述したように、本実施の形態にかかる列車内表示器管理システムによれば、列車の車両内に配置されている複数の表示器の状態を一括して1つの画面に表示することにより、複数の表示器の状態管理を容易に一括して把握し、管理することができ、車両内に配置されている複数の表示器のメンテナンスを容易に管理することができる。
【0062】
列車の運行中においても複数の表示器の状態管理を容易に一括して把握し、管理することができるため、メンテナンスが必要な表示器が存在する場合には列車の運行中にメンテナンスの準備を整えておき、列車の運行終了後に速やかに表示器のメンテナンスを開始することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる列車内表示器管理システムは、列車の車両内に複数の表示器が配置されている場合における表示器の状態管理およびメンテナンスの管理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムの構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムを説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムの輝度センサの配置位置の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムにおける列車内表示器管理装置の内部構造を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムにおける状態表示パネル部の画面の一例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1にかかる列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1にかかる中央配信センタで表示器を一括管理している表示器管理装置の管理画面の一例を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態2にかかる列車内表示器管理システムにおける温度センサの配置位置の一例を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の形態2にかかる列車内表示器管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1、2にかかる列車内表示器管理システムの他の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
2 伝送路
3 伝送路
4 伝送路
10a 列車内表示器管理装置
10s モニタリング部
10sp 輝度センサ
11 表示器
11a、11b、11c 表示器
11h 光穴
12a、12b、12c 表示器
18 記憶部
19 状態表示パネル部
21a、21b、21c 表示器
22a、22b、22c 表示器
31a、31b、31c 表示器
32a、32b、32c 表示器
41 解析部
42 表示制御部
50 状態表示部
100a 解析部
100b 解析部
100c 解析部
101 伝送路
102 伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両からなる列車に搭載され、前記列車の各車両内に配置されている複数の表示器と伝送路で接続されており、前記複数の表示器の駆動状態が正常かどうかを所定の単位毎に1つの画面に表示して、前記複数の表示器の駆動状態を一括管理する列車内表示管理装置を備えたこと、
を特徴とする列車内表示器管理システム。
【請求項2】
前記表示器の駆動状態を検出してモニタリング情報を生成するモニタリング部と、
前記複数の表示器の前記モニタリング情報を取得し、前記表示器の駆動状態を解析して該複数の表示器の駆動状態の解析情報を生成する解析部と、
前記モニタリング情報および前記解析情報を記憶する記憶部と、
前記解析情報に基づいて前記複数の表示器の駆動状態を一括表示する状態表示パネル部と、
前記状態表示パネル部における表示の制御を行う表示制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項3】
前記状態表示パネル部は、前記所定の単位として車両単位で前記複数の表示器の駆動状態を一括表示すること、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項4】
前記状態表示パネル部は、前記所定の単位として編成単位で前記複数の表示器の駆動状態を一括表示すること、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記解析情報に基づいて所定のアラームを前記状態表示パネル部に表示させること、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項6】
前記モニタリング情報が、前記表示器における画像表示時の輝度情報であり、
前記解析部は、前記輝度情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記表示器における画像表示時の輝度が、一括管理している前記表示器全体の輝度の平均値と、予め設定された画像表示時の標準輝度の半減値と、の範囲内にある場合に前記所定のアラームを前記状態表示パネル部に表示させること、
を特徴とする請求項6に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、一括管理している前記表示器の各々の画像表示時における輝度の値と予め設定された画像表示時の標準輝度の半減値とを比較し、前記表示器における画像表示時の輝度の値が前記標準輝度の半減値未満である表示器について、前記所定のアラームを前記状態表示パネル部に表示させること、
を特徴とする請求項6に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項9】
前記モニタリング情報が、前記表示器における画像表示の積算時間である積算表示時間情報であり、
前記解析部は、前記積算表示時間情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記積算時間が、予め設定された所定の時間数を超えた場合に前記所定のアラームを前記状態表示パネル部に表示させること、
を特徴とする請求項9に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項11】
前記モニタリング情報が、前記表示器における筐体内の温度情報であり、
前記解析部は、前記温度情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の列車内表示器管理システム。
【請求項12】
列車の車両内に配置されている複数の表示器の管理方法であって、
前記複数の表示器の駆動状態を検出してモニタリング情報を生成するモニタリング工程と、
前記複数の表示器の前記モニタリング情報を取得し、前記表示器の駆動状態を解析して該複数の表示器の駆動状態の解析情報を生成する解析工程と、
前記解析情報に基づいて前記複数の表示器の駆動状態を1つの表示パネルに一括表示する駆動状態表示工程と、
を含むことを特徴とする列車内表示器管理方法。
【請求項13】
前記駆動状態表示工程において、車両単位で前記複数の表示器の駆動状態を一括表示すること、
を特徴とする請求項12に記載の列車内表示器管理方法。
【請求項14】
前記駆動状態表示工程において、編成単位で前記複数の表示器の駆動状態を一括表示すること、
を特徴とする請求項12に記載の列車内表示器管理方法。
【請求項15】
前記モニタリング情報が、前記表示器における画像表示時の輝度情報であり、
前記解析工程において、前記輝度情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項12に記載の列車内表示器管理方法。
【請求項16】
前記モニタリング情報が、前記表示器における画像表示の積算表示時間情報であり、
前記解析工程において、前記積算表示時間情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項12に記載の列車内表示器管理方法。
【請求項17】
前記モニタリング情報が、前記表示器における筐体内の温度情報であり、
前記解析工程において、前記温度情報に基づいて前記表示器の駆動状態の解析を行うこと、
を特徴とする請求項12に記載の列車内表示器管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−75561(P2009−75561A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177197(P2008−177197)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】