説明

制御システム

【課題】主に制御対象の機器の消費電力を低減することが可能となる制御システムを提供すること。
【解決手段】機器2の制御を行う制御システム1であって、対象領域において、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化を検出する距離変化検出部13cと、距離変化検出部13cにより距離の変化が検出された場合、機器2の制御を行う機器制御部13bとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の制御を行う制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種機器の制御を行う制御システムが用いられている。例えば、個々の照明装置に備えられた複数の検知部によって所定の検知エリア内の人体の存在を検知し、当該人体を検知した検知部の数によって各照明装置と人体との距離を判別し、当該照明装置の調光制御を行う照明制御システムが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
また、赤外線ビームを投光する投光部と、赤外線ビームを受光する受光部とを備え、投光部と受光部との間で赤外線ビームが人体により遮断されたことを検出して侵入者を検知する防犯用センサ装置や検知システム等が提案されている(特許文献2から4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−329730号公報
【特許文献2】特開2003−91783号公報
【特許文献3】特開平11−232564号公報
【特許文献4】特開平10−162258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の如き従来の制御システムでは、人体の存在を検知するために赤外線センサ等の検知部の全てを常時動作させる必要があることから、消費電力を更に低減する余地があった。また、人体等の詳細な位置に応じて異なる機器の制御を行うためには多数の検知部を設置する必要があり、システムの構築コストの上昇を招く可能性があった。また、多数の検知部の動作に伴い消費電力が増大する可能性もあった。さらに、検知部と対応する制御対象機器との連動関係の設定や、運用中における連動関係の設定変更に手間が掛かっていたため、運用コストが上昇する可能性もあった。
【0006】
また、特許文献2から4に記載されているような、赤外線ビームの遮断により侵入者を検知する従来の防犯用センサや検知システムでは、侵入者の位置を特定できないので、侵入者の検知と連動して制御を行う対象となる機器が複数ある場合にはそれらの機器を一括制御し、又はユーザにより予め設定された遅延時間等に基づいて順次一斉に制御する必要があった。すなわち、侵入者の位置と離れており本来制御の必要のない機器についても一斉に連動制御される場合があったため、消費電力を更に低減する余地があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、主に制御対象の機器の消費電力を低減することが可能となる制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の制御システムは、機器の制御を行う制御システムであって、対象領域において、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化を検出する距離変化検出手段と、前記距離変化検出手段により前記距離の変化が検出された場合、前記機器の制御を行う機器制御手段と、を備えた。
【0009】
また、請求項2に記載の制御システムは、請求項1に記載の制御システムにおいて、前記機器制御手段は、前記距離変化検出手段により前記距離の減少が検出された場合、前記機器の制御を行う。
【0010】
また、請求項3に記載の制御システムは、請求項1又は2に記載の制御システムにおいて、前記対象領域に音波を送波する送波手段と、前記対象領域から音波を受波する受波手段と、を備え、前記距離変化検出手段は、前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間に基づき、前記送波手段から当該送波手段が送波した前記音波を反射した物体までの距離の変化を検出する。
【0011】
また、請求項4に記載の制御システムは、請求項3に記載の制御システムにおいて、前記対象領域に設置され、前記送波手段から送波された音波を前記受波手段へ反射する反射手段を備え、前記距離変化検出手段は、前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間を、前記送波手段が前記音波を送波してから当該音波が前記反射手段にて反射され前記受波手段により受波されるまでの時間と比較することにより、前記距離の変化を検出する。
【0012】
また、請求項5に記載の制御システムは、機器の制御を行う制御システムであって、対象領域において、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離を測定する距離測定手段と、前記距離測定手段が測定した距離に基づいて、前記機器の制御を行う機器制御手段と、を備えた。
【0013】
また、請求項6に記載の制御システムは、請求項5に記載の制御システムにおいて、前記対象領域に音波を送波する送波手段と、前記対象領域から音波を受波する受波手段と、を備え、前記距離測定手段は、前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間に基づき、前記送波手段から当該送波手段が送波した前記音波を反射した物体までの距離を測定する。
【0014】
また、請求項7に記載の制御システムは、請求項6に記載の制御システムにおいて、前記対象領域に設置され、前記送波手段から送波された音波を前記受波手段へ反射する反射手段を備え、前記機器制御手段は、前記距離測定手段が測定した前記物体までの距離と、前記送波手段が前記音波を送波してから当該音波が前記反射手段にて反射され前記受波手段により受波されるまでの時間に基づいて測定される前記送波手段から前記反射手段までの距離とに基づいて、前記機器の制御を行う。
【0015】
また、請求項8に記載の制御システムは、請求項5から7のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、当該制御システムは、複数の前記機器の制御を行う制御システムであって、前記機器制御手段は、前記複数の機器の内、前記距離算出手段が算出した前記送波手段から前記物体までの距離に対応する範囲に配置されている前記機器を動作させる。
【0016】
また、請求項9に記載の制御システムは、請求項5から8のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記機器制御手段は、前記距離算出手段が算出した前記送波手段から前記物体までの距離に対応する情報を出力する。
【0017】
また、請求項10に記載の制御システムは、請求項5から9のいずれか一項に記載の制御システムにおいて、前記対象領域における状態変化を検出する検出手段を備え、前記機器制御手段は、前記距離算出手段が算出した前記送波手段から前記物体までの距離と前記検出手段による検出結果とに基づき、前記機器の制御を行う。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の制御システムによれば、距離変化検出手段により基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化が検出された場合、人感センサや電気錠等の機器の制御を行うので、対象領域における人体等の物体の有無や位置変化等を検出し、その検出結果に応じて必要な場合にのみ機器を制御することができ、制御対象の機器の消費電力を低減することができると共に、適切なシステム動作を実現できる。
【0019】
請求項2に記載の制御システムによれば、機器制御手段は距離変化検出手段により距離の減少が検出された場合に機器の制御を行うので、対象領域に侵入した人体等の物体の検出結果に応じて機器を制御することができると共に、適切なシステム動作を実現できる。
【0020】
請求項3に記載の制御システムによれば、距離変化検出手段は、送波手段が音波を送波してから受波手段が音波を受波するまでの時間に基づき、送波手段から当該送波手段が送波した音波を反射した物体までの距離の変化を検出するので、音波を媒体として距離の変化を検出することができる。このため、距離の変化に基づく障害状態と異常発生(侵入発生)状態との識別判定が可能となり、赤外線式遮断型侵入センサの検出結果のみを機器の制御トリガとしていた従来の制御システムに比べて、動作安定性を向上させることができる。
【0021】
請求項4に記載の制御システムによれば、送波手段が音波を送波してから受波手段が音波を受波するまでの時間を、送波手段が音波を送波してから当該音波が反射手段にて反射され受波手段により受波されるまでの時間と比較することにより、距離の変化を検出する。すなわち、送波手段から反射手段までの距離を初期値とし、送波手段から物体までの距離が当該初期値から変化した場合に機器の制御を行うことができるので、対象領域において定常状態からの変化が検出された場合にのみ機器を制御することができ、制御対象の機器の消費電力を低減することができると共に、システムの信頼性を向上させることができる。また、定常状態で送波手段から反射手段までの距離が固定されているので、定常状態における受波手段の検出状態を安定させることができる。
【0022】
請求項5に記載の制御システムによれば、距離測定手段が測定した基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離に基づき、人感センサや電気錠等の機器の制御を行うので、人体等の物体の位置に基づいて必要な場合にのみ機器を制御することができ、制御対象の機器の消費電力を低減することができる。例えば、距離測定手段で現に測定された基準位置から侵入者までの距離に基づいて機器の制御が行われるので、赤外線ビームの遮断により侵入者の侵入のみを検知する従来の防犯用センサや検知システムと比較して、一層適切な制御状態を容易に確保できる。また、疑似赤外線信号源から赤外線を赤外線式遮断型侵入センサの受光部に入射させ、当該受光部における受光信号の遮断を発生させないようにすることで赤外線式遮断型侵入センサを無効化する手口を封じることができる。
【0023】
請求項6に記載の制御システムによれば、距離測定手段は、送波手段が音波を送波してから受波手段が音波を受波するまでの時間に基づき、送波手段から当該送波手段が送波した音波を反射した物体までの距離を測定するので、音波を媒体として距離を測定することができる。また、1組の送波手段及び受波手段を用いて人体等の物体までの距離の測定を行うので、距離の測定に必要な装置の設置台数を低減することができ、システム構築コストを抑制することができると共に、距離測定のための装置による消費電力を低減できる。
【0024】
請求項7に記載の制御システムによれば、距離測定手段が測定した物体までの距離と、送波手段が音波を送波してから当該音波が反射手段にて反射され受波手段により受波されるまでの時間に基づいて測定される送波手段から反射手段までの距離とに基づいて、機器の制御を行う。すなわち、送波手段から反射手段までの距離を初期値とし、距離測定手段が測定した物体までの距離が当該初期値とは異なる場合に機器の制御を行うことができるので、対象領域において定常状態とは異なる状態が検出された場合にのみ機器を制御することができ、制御対象の機器の消費電力を低減することができる。
【0025】
請求項8に記載の制御システムによれば、複数の機器の内、距離測定手段が測定した送波手段から物体までの距離に対応する範囲に配置されている機器を動作させるので、人体等の物体の位置に対応する範囲に配置されている機器のみを動作させることができ、制御対象の複数の機器の消費電力を全体として低減することができると共に、的確な自動制御が可能となる。
【0026】
請求項9に記載の制御システムによれば、距離測定手段が測定した送波手段から物体までの距離に対応する情報を出力するので、人体等の物体の位置に対応した適切な情報を出力することができる。
【0027】
請求項10に記載の制御システムによれば、距離測定手段が測定した送波手段から物体までの距離と、別に設けた検出手段による検出結果とに基づき、機器の制御を行うので、検出手段による検出結果も考慮して機器の制御の要否を判定することができ、当該判定の信頼性を高めることができると共に、誤作動による機器の無駄な制御を抑制でき、システムの動作安定性を高め、誤作動に係る無駄な電力消費も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1に係る制御システムの適用例を示した概要図であり、図1(a)は制御システムが適用された部屋の平面図、図1(b)は図1(a)に示した部屋の側面図である。
【図2】制御システムの電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図3】制御テーブルを示した表である。
【図4】制御システムが実行する制御処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態2に係る制御テーブルを示した表である。
【図6】制御システムの電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図7】制御システムが実行する制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る制御システムの各実施の形態を詳細に説明する。ただし、この各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、制御システムの適用目的は任意で、例えばハンズフリーでドアの施解錠を行うための自動入退室支援システム、あるいは防犯システム等に適用することができ、更に用途に応じて制御システムを適宜に使い分けたり複合させたりすることができる。
【0030】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1について説明する。この実施の形態1は、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離に基づき、機器の制御を行う形態である。
【0031】
(構成)
まず、制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る制御システムの適用例を示した概要図であり、図1(a)は制御システムが適用された部屋の平面図、図1(b)は図1(a)に示した部屋の側面図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る制御システム1は、例えば室内に設置された機器2の制御を行うために用いられる。なお、機器2の具体的な構成は任意で、例えば人感センサ、電気錠、放火センサ(例えば炎検知器等)、各種警報器、照明、音声出力装置、表示装置等の公知の機器の制御を行うために制御システム1を用いることができる。本実施の形態1では、制御システム1が、室内の天井面に配置された受動型人感センサ(以下人感センサ)20、及びドアに設置された電気錠21の制御を行う場合を例として説明する。
【0032】
図2は、制御システム1の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。この図2に示すように、制御システム1は送受部10、反射板11、検出部12、制御部13、及び記憶部14を備えている。
【0033】
(構成−送受部)
送受部10は音波の送波及び受波を行うものであり、送波部10a及び受波部10bを備えている。送波部10aは対象領域に音波を送波する送波手段である。ここで、対象領域とは送波部10aが音波を送波する対象となる領域であり、例えば図1では室内空間が対象領域となる。この送波部10aとしては、例えば圧電セラミック振動子を用いた公知の超音波送波器を用いることができる。受波部10bは対象領域から音波を受波する受波手段である。この受波手段としては、例えば圧電セラミック振動子を用いた公知の超音波受波器を用いることができる。また、送波部10aと受波部10bとを相互に一体に構成したトランスデューサを送受部10として用いてもよい。この送受部10は、例えば送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間に対応する信号を制御部13に出力する。
【0034】
対象領域に何らかの物体(図1では人体)が存在する場合、送波部10aから送波された音波の一部は当該物体に到達し、当該物体によって反射される。そして、当該物体により反射された音波の一部が受波部10bによって受波されることとなる。
【0035】
(構成−反射板)
反射板11は、対象領域に設置され、送波部10aから送波された音波を受波部10bへ反射する反射手段である。この反射板11は、送波部10a及び受波部10bに対して対象領域を挟んだ反対側に、送波部10a及び受波部10bと略対向するように設置される。図1に示す例では、反射板11を設置しなくても送受部10に対向する壁面で音波が反射されて定常状態を維持することができるが、このような対向壁面が無い場合等に、反射板11を設置することが定常状態の安定に役立つ。
【0036】
(構成−検出部)
検出部12は、対象領域における状態変化を検出する検出手段であり、音波とは異なる原理にて対象領域における状態変化を検出する。この検出部12としては、例えば公知の能動型赤外線センサ(赤外線式遮断型侵入センサ)を用いることができる。図1の例では、対象領域に人体が存在する場合に、定常状態の赤外線ビームが遮断されることを検知することにより、当該対象領域における状態変化(この場合は室内における人体の有無)を検出することができる。このとき、検出部12の定常赤外線ビームは、例えば送受部10と反射板11を結ぶ線を光軸として設定されている。検出部12は、制御システム1に必須の構成要素ではないが、これを備えることでシステムの信頼性を高めることができる等の効果を奏する。この点については後に説明する実施の形態2および実施の形態3も同様である。
【0037】
(構成−制御部)
制御部13は、制御システム1における各種の制御を行う制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0038】
この制御部13は、機能概念的に、距離測定部13a、及び機器制御部13bを備えている。距離測定部13aは、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離を測定する距離測定手段である。基準位置の具体的な位置は任意で、例えば送波部10aの設置位置が基準位置とされる。機器制御部13bは、機器2の制御を行う機器制御手段である。これらの制御部13の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0039】
(構成−記憶部)
記憶部14は、制御部13による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。記憶部14は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体を用いることができる。そして、記録内容は必要に応じユーザによって外部から書き換えることが可能になっている。この記憶部14は制御テーブル14aを備えている。図3は制御テーブル14aを示した表である。図3に示すように、制御テーブル14aには、テーブル項目「範囲」、「機器ID」、及び「制御内容」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「範囲」に対応して格納される情報は、送受部10から音波を反射した物体までの距離に対応する範囲を特定するための情報であり、各範囲を一意に識別するID(図3では「A」「B」等)と、送受部10からの距離に基づいて各範囲を特定する情報(図3では「1m未満」「1m以上2m未満」等)とが格納されている。項目「機器ID」に対応して格納される情報は、項目「範囲」に対応する情報によって特定される範囲に配置されている機器2を一意に識別するための情報である。図3では、図1の人感センサ20の機器IDとして「s001」「s002」「s003」及び「s004」が格納され、電気錠21の機器IDとして「d001」が格納されている場合を例示している。項目「制御内容」に対応して格納される情報は、機器2に対する制御内容を特定する情報である(図3では「監視動作ON」「開錠」等)。
【0040】
(処理)
次に、上述のように構成された制御システム1が実行する処理について説明する。図4は、制御システム1が実行する制御処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この処理は、例えば、制御システム1に電源が投入された場合に起動される。
【0041】
図4に示すように、制御処理が起動されると、制御部13は送受部10及び検出部12を起動する(SA1)。
【0042】
次に、距離測定部13aは送波部10aから対象領域に音波を送波させ、受波部10bに対象領域から音波を受波させると共に、対象領域における状態変化を監視させるために検出部12に検出動作を行わせる(SA2)。検出部12の検出動作については、本実施の形態1の場合、赤外線式遮断型侵入センサである検出部12に定常赤外線ビームを射出させると共に、当該定常赤外線ビームまたはその反射光を受光させ、侵入物体による定常赤外線ビームの遮断、すなわち受光信号断を監視させる。
【0043】
続いて、距離測定部13aは検出部12によって対象領域における状態変化が検出されたか否かを判定する(SA3)。具体的には、本実施の形態1の場合、赤外線式遮断型侵入センサの定常赤外線ビームが遮断されたか否かを判定する。
【0044】
その結果、対象領域における状態変化が検出されなかった場合、すなわち例えば対象領域において何らの侵入物体も検出されなかった場合(SA3、No)、SA2に戻り、距離測定部13aは送受部10に音波の送波及び受波を行わせると共に、検出部12に検出動作を行わせる(SA2)。
【0045】
一方、対象領域における状態変化が検出された場合、例えば対象領域において何らかの侵入物体が検出された場合(SA3、Yes)、距離測定部13aは、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間に基づき、送受部10から当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離を算出する(SA4)。すなわち、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間と音速との積の2分の1を、送受部10から物体までの距離として算出する。
【0046】
次に、距離測定部13aはSA4で算出した距離が、予め設定されている初期値から減少したか否かを判定する(SA5)。なお、この初期値として、例えば、予め距離測定部13aによって測定した送受部10から反射板11までの距離が制御部13のRAM(図示省略)に記憶されているものとする。あるいは、定常状態(例えば、距離測定部13aによって測定された距離に一定時間以上変化がない状態)において距離測定部13aによって測定された距離を初期値としてもよい。ここで、SA4で算出した距離が初期値と等しい(減少していない)とする判定許容幅は装置の精度や対象領域の遠方最大距離(ここでは送波部10aと反射板11間の距離)等にもよるが、たとえば初期値に対してプラスマイナス2%等とする。
【0047】
その結果、SA4で算出した距離が、予め設定されている初期値から減少していない場合(SA5、No)、SA2に戻り、距離測定部13aは送受部10に音波の送波及び受波を行わせると共に、検出部12に検出動作を行わせる(SA2)。
【0048】
一方、SA4で算出した距離が、予め設定されている初期値から減少した場合(SA5、Yes)、機器制御部13bは制御テーブル14aを参照し、SA4で距離測定部13aが算出した距離に対応する範囲を特定する(SA6)。図3の制御テーブル14aによれば、SA4で算出された距離が1m未満の場合は範囲A、1m以上2m未満の場合は範囲B、2m以上3m未満の場合は範囲C、3m以上4m未満の場合は範囲Dが、それぞれ算出した距離に対応する範囲として特定される。
【0049】
続いて、機器制御部13bはSA6で特定した範囲に配置されている機器2を、制御テーブル14aの項目「制御内容」に対応して格納されている情報に基づいて動作させる(SA7)。例えば、図3の制御テーブル14aによれば、SA6で範囲Aが特定された場合は機器ID「s001」の人感センサA20aに監視動作を行わせる。また、SA6で範囲Dが特定された場合は、機器ID「s004」の人感センサD20dに監視動作を行わせると共に、機器ID「d001」の電気錠21を開錠させる。SA7の処理の後、制御部13は制御処理を終了する。
【0050】
(効果)
このように実施の形態1によれば、距離測定部13aが測定した基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離に基づき、人感センサ20や電気錠21等の機器2の制御を行うので、人体等の物体の位置に基づいて必要な場合にのみ機器2を制御することができ、制御対象の機器2の消費電力を低減することができる。例えば、距離測定部13aで現に測定された基準位置から侵入者までの距離に基づいて機器2の制御が行われるので、赤外線ビームの遮断により侵入者の侵入のみを検知する従来の防犯用センサや検知システムと比較して、一層適切な制御状態を容易に確保できる。また、疑似赤外線信号源から赤外線を赤外線式遮断型侵入センサの受光部に入射させ、当該受光部における受光信号の遮断を発生させないようにすることで赤外線式遮断型侵入センサを無効化する手口を封じることができる。
【0051】
特に、距離測定部13aは、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間に基づき、送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離を測定するので、音波を媒体として距離を測定することができる。
【0052】
また、1つの送受部10、又は一対の送受部10と反射板11とを用いて人体等の物体までの距離の測定を行うので、距離の測定に必要な装置の設置台数を低減することができ、システム構築コストを抑制することができると共に、距離測定のための装置による消費電力を低減できる。さらに、制御テーブル14aの内容を書き換えるだけで、測定した距離に対応する機器2の連動制御内容を簡単に変更することができる。
【0053】
また、距離測定部13aが測定した物体までの距離と、送波部10aが音波を送波してから当該音波が反射板11にて反射され受波部10bにより受波されるまでの時間に基づいて測定される送波部10aから反射板11までの距離とに基づいて、機器2の制御を行う。すなわち、送波部10aから反射板11までの距離を初期値とし、距離測定部13aが測定した物体までの距離が当該初期値とは異なる場合に機器2の制御を行うことができるので、対象領域において定常状態とは異なる状態が検出された場合にのみ機器2を制御することができ、制御対象の機器2の消費電力を低減することができる。
【0054】
特に、複数の機器2の内、距離測定部13aが測定した送波部10aから物体までの距離に対応する範囲に配置されている機器2を動作させるので、人体等の物体の位置に対応する範囲に配置されている機器2のみを動作させることができ、制御対象の複数の機器2の消費電力を全体として低減することができると共に、適切できめ細かなシステム動作を実現できる。
【0055】
また、距離測定部13aが測定した送波部10aから物体までの距離と検出部12による検出結果とに基づき、機器2の制御を行うので、検出部12による検出結果も考慮して機器2の制御の要否を判定することができ、当該判定の信頼性を高めることができると共に、誤作動による機器2の無駄な制御を抑制でき、システムの動作安定性を高め、誤作動に係る無駄な電力消費も低減することができる。また、制御部13の処理負荷も低減することができる。
【0056】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、送波手段から物体までの距離に対応する情報を出力する形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0057】
(構成)
本実施の形態2では、機器制御部13bが、人感センサ20や電気錠21等の機器2の制御を行うと共に、機器2としての音声出力装置、及び表示装置(何れも図示省略)に情報を出力する場合を例として説明する。音声出力装置は音声を出力するためのものであり、例えば公知のスピーカを用いることができる。表示装置は各種情報を表示出力するためのものであり、例えば液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ、あるいは出口位置や避難方向を示す表示灯等の公知の表示装置を用いることができる。また、音声出力装置や表示装置に限らず、制御システム1の内部情報に基づいて他の各種出力を行う装置を機器2として有線や無線で接続することができる。
【0058】
(構成−記憶部)
図5は実施の形態2に係る制御テーブル14aを示した表である。図5に示すように、制御テーブル14aには、図3の内容に加え、テーブル項目「出力先」、及び「出力情報」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「出力先」に対応して格納される情報は、制御システム1からの情報の出力先を特定するための情報である(図5では「音声出力装置A」「表示装置A」等)。また、項目「出力情報」に対応して格納される情報は、機器制御部13bが出力先の機器2としての音声出力装置や表示装置に出力する情報である。図5では、例えば音声出力装置Aに対応する出力情報として「東出口から避難してください」、あるいは表示装置Aに対応する出力情報として「東出口への案内図」が格納されている。
【0059】
(処理)
次に、本実施の形態2に係る制御システム1が実行する制御処理について説明する。なお、実施の形態2における制御処理の各処理は、図4のSA7における具体的な処理内容を除いて当該図4の制御処理の各処理と同様であるので、フローチャートの図示及び説明を省略する。
【0060】
本実施の形態2では、図4において、SA4で距離測定部13aが算出した距離に対応する範囲をSA6で特定した後、機器制御部13bは制御テーブル14aを参照し、実施の形態1と同様に図3の制御テーブルに従ってSA6で特定した範囲に配置されている人感センサ20や電気錠21を制御すると共に、SA6で特定した範囲に対応する出力先に、図5に示す制御テーブル14aの項目「出力情報」に対応して格納されている情報を出力する(SA7)。例えば、図5の制御テーブル14aによれば、SA6で範囲Aが特定された場合は、音声出力装置Aに「東出口から非難してください」との音声情報を出力すると共に、表示装置Aに「東出口への案内図」を出力する。これにより、音声出力装置Aからは「東出口から非難してください」との音声が出力され、表示装置Aには東出口への案内図が表示される。
【0061】
なお、音声出力装置や表示装置の出力内容は、全部または一部を、位置や距離情報を含まない代表出力としても良いし、避難情報に代えてシステム動作状況を出力させるようにしてもよい。例えば、「侵入を検出しました、警戒して下さい」や「侵入者あり、○○区域(制御対象となった人感センサ20が含まれる場所を示す)の警戒を開始しました」等の音声メッセージと「侵入者あり、要警戒」や「侵入者あり、○○区域警戒開始」等の文字表示を出力させるようにしてもよい。このとき当然、制御テーブル14aの内容は、このような出力パターンに適合するように記録される。
【0062】
(効果)
このように実施の形態2によれば、距離測定部13aが測定した送波部10aから物体までの距離に対応する情報を出力するので、人体等の物体の位置に対応した適切な情報を出力することができる。
【0063】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3について説明する。この実施の形態3は、距離変化検出手段により基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化が検出された場合、機器の制御を行う形態である。なお、実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0064】
(構成)
まず、実施の形態3に係る制御システム1の構成について説明する。図6は、実施の形態3に係る制御システム1の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。本実施の形態3では、図2に示した実施の形態1に係る制御システム1の距離測定部13aに代えて、距離変化検出部13cを備えている。また、実施の形態1に係る制御システム1の記憶部14が備えていた制御テーブル14aを省略している。
【0065】
(処理)
次に、本実施の形態3に係る制御システム1が実行する制御処理について説明する。図7は、実施の形態3に係る制御システム1が実行する制御処理のフローチャートである。
【0066】
図7に示すように、制御処理が起動されると、制御部13は送受部10及び検出部12を起動する(SB1)。
【0067】
次に、距離変化検出部13cは送波部10aから対象領域に音波を送波させ、受波部10bに対象領域から音波を受波させると共に、対象領域における状態変化を監視させるために検出部12に検出動作を行わせる(SB2)。検出部12の検出原理としては、例えば実施の形態1と同様のものが適用できる。
【0068】
続いて、距離変化検出部13cは検出部12によって対象領域における状態変化が検出されたか否かを判定する(SB3)。
【0069】
その結果、対象領域における状態変化が検出されなかった場合(SB3、No)、SB2に戻り、距離変化検出部13aは送受部10に音波の送波及び受波を行わせると共に、検出部12に検出動作を行わせる(SB2)。
【0070】
一方、対象領域における状態変化が検出された場合(SB3、Yes)、距離変化検出部13cは送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が初期値に対して所定以上減少したか否かを判定する(SB4)。例えば、予め送波部10aが音波を送波してから当該音波が反射板11によって反射され受波部10bによって受波されるまでの時間を初期時間として制御部13のRAM(図示省略)に記憶させておき、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間が初期時間よりも所定以上短くなった場合、距離変化検出部13cは送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上減少したと判定する。
【0071】
SB4の判定の結果、距離変化検出部13cが送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上減少したと判定した場合(SB4、Yes)、機器制御部13bは予め設定されている制御対象の機器2を動作させる(SB5)。例えば、機器ID「s001」から機器ID「s004」の人感センサ20に一斉に監視動作(若しくは監視解除動作)を行わせると共に、機器ID「d001」の電気錠21を施錠(若しくは解錠)させる。SB5の処理の後、機器制御部13bは制御処理を終了する。
【0072】
一方、SB4で送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上減少していないと判定した場合(SB4、No)、距離変化検出部13cは当該距離が初期値に対して所定以上増加したか否かを判定する(SB6)。例えば、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間が初期時間よりも所定以上長くなった場合、距離変化検出部13cは送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上増加したと判定する。
【0073】
その結果、距離変化検出部13cが送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上増加したと判定した場合(SB6、Yes)、反射板11の設置不良や送受部10の異常等の何らかの障害状態が発生したものとし、機器制御部13bは障害情報を出力する(SB7)。障害情報の出力先や出力方法は任意で、例えば機器2としての表示装置や音声出力装置等の出力手段(図示省略)、あるいはネットワークを介して機器2としての管理センター(図示省略)等に出力する。SB7の処理の後、機器制御部13bは予め設定されている制御対象である、出力手段以外の機器2を動作させる(SB5)。ここで、SB7で障害情報を出力した場合は、SB5をスキップするようにしてもよい。
【0074】
また、SB6において送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が所定以上増加していないと判定した場合(SB6、No)、先のSB4で音波を反射した物体までの距離が所定以上減少していない(SB4、No)と判定していることと合わせると、当該距離の変化は所定範囲内に納まっていることから、制御部13は機器2の制御の必要がないものとし、SB2に戻り、距離変化検出部13aは送受部10に音波の送波及び受波を行わせると共に、検出部12に検出動作を行わせる(SB2)。
【0075】
(効果)
このように実施の形態3によれば、距離変化検出部13cにより基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化が検出された場合、人感センサ20や電気錠21等の機器2の制御を行うので、対象領域における人体等の物体の有無や位置変化等を検出し、その検出結果に応じて必要な場合にのみ機器2を制御することができ、制御対象の機器2の消費電力を低減することができると共に、適切なシステム動作を実現できる。
【0076】
特に、機器制御部13bは距離変化検出部13cにより距離の減少が検出された場合に機器2の制御を行うので、対象領域に侵入した人体等の物体の検出結果に応じて機器2を制御することができると共に、適切なシステム動作を実現できる。
【0077】
また、距離変化検出部13cは、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間に基づき、送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離の変化を検出するので、音波を媒体として距離の変化を検出することができる。このため、距離の変化に基づく障害状態と異常発生(侵入発生)状態との識別判定が可能となり、赤外線式遮断型侵入センサの検出結果のみを機器の制御トリガとしていた従来の制御システムに比べて、動作安定性を向上させることができる。
【0078】
また、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間を、送波部10aが音波を送波してから当該音波が反射板11にて反射され受波部10bにより受波されるまでの時間と比較することにより、距離の変化を検出する。すなわち、送波部10aから反射板11までの距離を初期値とし、送波部10aから物体までの距離が当該初期値から変化した場合に機器2の制御を行うことができるので、対象領域において定常状態からの変化が検出された場合にのみ機器2を制御することができ、制御対象の機器2の消費電力を低減することができると共に、システムの信頼性を向上させることができる。
【0079】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0080】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0081】
(実施の形態の相互の関係について)
実施の形態1から3の相互間においては、その構成や処理の一部を相互に組み合わせたり、一方の構成や処理を他方に適用することもできる。例えば、実施の形態1の制御処理と実施の形態2の制御処理とを組み合わせてもよい。例えば、SA6で特定した範囲に配置されている人感センサ20に監視動作を行わせ、当該人感センサ20によって人体の存在が検知された場合に、SA6で特定した範囲に対応する出力先に、制御テーブル14aの項目「出力情報」に対応して格納されている情報を出力するようにしてもよい。これにより、制御対象機器2の消費電力を低減しつつ、機器2の動作に応じた適切な情報を出力することができる。
【0082】
(機器について)
上述の各実施の形態では、機器2が人感センサ20及び電気錠21である場合を例として説明したが、他の機器2を制御システム1が制御するようにしてもよい。例えば、音声を出力する警報器、照明、あるいは放火センサ等を制御するようにしてもよい。
【0083】
(送受部について)
上述の各実施の形態では、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間に基づいて音波を反射した物体までの距離や当該距離の変化を検出しているが、音波以外の検出原理(例えばレーザーや電波等)に基づいて物体までの距離や当該距離の変化を検出してもよい。また、送波部10aと物体との距離に代えて、受波部10bその他の基準位置と物体との距離に基づいて各種制御を行うようにしてもよい。
【0084】
(反射板について)
上述の各実施の形態では対象領域に反射板11が設置されている場合を例として説明したが、この反射板11を設けなくてもよい。この場合、実施の形態1及び2においては、例えば送受部10から当該送受部10に対向する位置にある固定物(例えば壁等)までの距離を初期値として、距離測定部13aが測定した距離との比較を行う。また、実施の形態3においては、送波部10aが音波を送波してから当該音波が送受部10に対向する位置にある固定物によって反射され受波部10bによって受波されるまでの時間を初期時間とし、送波部10aが音波を送波してから受波部10bが音波を受波するまでの時間との比較を行い、音波を反射した物体までの距離の変化を検出する。
【0085】
また、送受部10に対向する反射板11やその他の固定物が対象領域に存在しない場合には、所定の監視対象最遠方距離から測定限界(レンジオーバー)に至るまでの距離を、図4のSA5の処理における初期値、あるいは図7のSB4の処理における初期値の範囲としてもよい。この場合、図4では、SA4で算出した距離が監視対象最遠方距離以下となった場合に(SA5、Yes)、SA3で距離測定部13aが算出した距離に対応する範囲に配置されている機器2を制御する(SA7)。また、図7では、音波を反射した物体までの距離が監視対象最遠方距離以下まで減少した場合に(SB4、Yes)、制御対象の機器2を動作させる(SB5)。
【0086】
(制御処理について)
上述の各実施の形態では、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離、あるいは当該距離の変化に基づいて機器2の制御を行うと説明したが、さらに他の判断要素に基づいて機器2の制御を行うようにしてもよい。例えば、図7に示した実施の形態3の制御処理のSB4において送波部10aから当該送波部10aが送波した音波を反射した物体までの距離が減少したと判定した場合(SB4、Yes)、距離が減少した状態が所定時間以上保持されたか否かを判定し、距離が減少した状態が所定時間以上保持された場合にSB5の機器制御を行うようにしてもよい。逆に、制御システム1を防犯目的のシステムとして適用する場合等には、距離が減少した状態が所定時間以上保持された場合には、物体の通過侵入ではなく固定物による遮断(監視対象領域の環境変化)として障害処理を行うようにしてもよい。
【0087】
(機器の制御内容について)
上述の実施の形態1では、図4のSA7で機器2の制御を行う際、人感センサA20aに監視動作を行わせ、電気錠21を開錠させる場合を例として説明したが、これとは異なる制御を行うようにしてもよい。
【0088】
例えば、SA6で特定された範囲に設置されている人感センサ20の監視動作を解除し、あるいは電源をOFFするように制御を行ってもよい。
【0089】
また、制御システム1を防犯目的で使用する場合には、SA6で特定された範囲に設置されている電気錠21を施錠させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 制御システム
2 機器
10 送受部
10a 送波部
10b 受波部
11 反射板
12 検出部
13 制御部
13a 距離測定部
13b 機器制御部
13c 距離変化検出部
14 記憶部
14a 制御テーブル
20 人感センサ
20a 人感センサA
20d 人感センサD
21 電気錠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の制御を行う制御システムであって、
対象領域において、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離の変化を検出する距離変化検出手段と、
前記距離変化検出手段により前記距離の変化が検出された場合、前記機器の制御を行う機器制御手段と、
を備えた制御システム。
【請求項2】
前記機器制御手段は、
前記距離変化検出手段により前記距離の減少が検出された場合、前記機器の制御を行う、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記対象領域に音波を送波する送波手段と、
前記対象領域から音波を受波する受波手段と、を備え、
前記距離変化検出手段は、
前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間に基づき、前記送波手段から当該送波手段が送波した前記音波を反射した物体までの距離の変化を検出する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記対象領域に設置され、前記送波手段から送波された音波を前記受波手段へ反射する反射手段を備え、
前記距離変化検出手段は、
前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間を、前記送波手段が前記音波を送波してから当該音波が前記反射手段にて反射され前記受波手段により受波されるまでの時間と比較することにより、前記距離の変化を検出する、
請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
機器の制御を行う制御システムであって、
対象領域において、基準位置から当該基準位置に最も近い物体までの距離を測定する距離測定手段と、
前記距離測定手段が測定した距離に基づいて、前記機器の制御を行う機器制御手段と、
を備えた制御システム。
【請求項6】
前記対象領域に音波を送波する送波手段と、
前記対象領域から音波を受波する受波手段と、を備え、
前記距離測定手段は、
前記送波手段が前記音波を送波してから前記受波手段が前記音波を受波するまでの時間に基づき、前記送波手段から当該送波手段が送波した前記音波を反射した物体までの距離を測定する、
請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記対象領域に設置され、前記送波手段から送波された音波を前記受波手段へ反射する反射手段を備え、
前記機器制御手段は、
前記距離測定手段が測定した前記物体までの距離と、前記送波手段が前記音波を送波してから当該音波が前記反射手段にて反射され前記受波手段により受波されるまでの時間に基づいて測定される前記送波手段から前記反射手段までの距離とに基づいて、前記機器の制御を行う、
請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
当該制御システムは、
複数の前記機器の制御を行う制御システムであって、
前記機器制御手段は、
前記複数の機器の内、前記距離測定手段が測定した前記送波手段から前記物体までの距離に対応する範囲に配置されている前記機器を動作させる、
請求項5から7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記機器制御手段は、
前記距離測定手段が測定した前記送波手段から前記物体までの距離に対応する情報を出力する、
請求項5から8のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記対象領域における状態変化を検出する検出手段を備え、
前記機器制御手段は、
前記距離測定手段が測定した前記送波手段から前記物体までの距離と前記検出手段による検出結果とに基づき、前記機器の制御を行う、
請求項5から9のいずれか一項に記載の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107802(P2011−107802A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259512(P2009−259512)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】