説明

制御ユニット

【課題】 より簡素な構成を備えた制御ユニットを得る。
【解決手段】 電子部品8が実装される回路基板7a,7bを固定支持するフレーム4と、その回路基板7a,7bに形成される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタ2とを一体樹脂成形して、コネクタ一体フレーム10を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路を内蔵する制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より種々の制御ユニットが提案されている。特許文献1は、その一例としての制御ユニットを開示する。
【0003】
特許文献1の制御ユニットは、端部にコネクタを装着した回路基板を支持基体としての容器内に収容してネジ止めし、当該容器内を樹脂で満たして封止する構成を備えている。
【特許文献1】特許3493151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の制御ユニットでは、回路基板、コネクタ、および容器は、それぞれ別体として構成されており、部品点数が増大する分、製造に手間がかかり、製造コストが増大していた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡素な構成を備えた制御ユニットを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電子部品が実装される回路基板を固定支持するフレームと、その回路基板に形成される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタとを一体樹脂成形により形成したことを趣旨とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、上記コネクタ一体フレームに、複数の上記回路基板を取り付けるとともに、それら複数の回路基板間を電気的に接続する端子を設けた構成としている。
【0008】
また、請求項3の発明は、上記コネクタ一体フレームに上記回路基板を取り付けた組立体を、樹脂モールドによって被覆した構成としている。
【0009】
また、請求項4の発明は、上記コネクタ一体フレームに上記回路基板を取り付けた組立体を容器内に入れ、その容器内に樹脂を充填した構成としている。
【0010】
また、請求項5の発明は、上記組立体に樹脂充填用の穴または切欠を設けた構成としている。
【0011】
また、請求項6の発明は、フレームに、複数の回路基板を取り付けるとともに、それら複数の回路基板間を電気的に接続する端子を設け、コネクタ、複数の回路基板、およびフレームを含む組立体を構成したことを主旨とする。
【0012】
また、請求項7の発明は、回路基板を可撓性基板とし、コネクタに折り曲げた当該可撓性基板を取り付けて組立体を構成したことを主旨とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、フレームとコネクタとを一体樹脂成形によって形成したため、これらを別体とした場合に比べて、部品点数が減って、製造の手間が減り、製造コストを低減することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、コネクタ一体フレームに、複数の回路基板間を接続する端子を設けたため、回路基板上の配線レイアウトの自由度が増大して、回路基板をより小さく形成することができる上、回路基板を複数段に重ねて配置したことにより、回路基板の平面投影面積がより小さくなり、制御ユニットの車両等への搭載性を向上することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、上記組立体を樹脂モールドによって被覆したため、回路基板の防水構造をより容易に構築することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、上記組立体を入れた容器内を樹脂で充填したため、回路基板の防水構造をより容易に構築することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、上記組立体に設けた樹脂充填用の穴または切欠を介して容器内に樹脂が充填されやすくなる。
【0018】
請求項6の発明によれば、フレームに、複数の回路基板間を接続する端子を設けたため、回路基板上の配線レイアウトの自由度が増大して、回路基板をより小さく形成することができる上、回路基板を複数段に重ねて配置したことにより、回路基板、ひいては組立体の平面投影面積がより小さくなり、制御ユニットの車両等への搭載性を向上することができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、コネクタに折り曲げた可撓性基板を取り付けて組立体を構成したため、部品点数が減って、製造の手間が減り、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具現化した実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、自動車等の車両に搭載されて内燃機関等を制御する制御ユニットを例示する。なお、本明細書では、便宜上、図1の矢印Xを上下方向とする。
【0021】
(第1実施形態)図1は、本実施形態にかかる制御ユニットの斜視図、図2は、制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームの斜視図、図3は、コネクタ一体フレームに回路基板の一段目を取り付けた状態を示す斜視図、図4は、コネクタ一体フレームに二段の回路基板を取り付けた組立体の斜視図、図5は、組立体の断面図(図4のA−A断面図)である。
【0022】
本実施形態にかかる制御ユニット1は、図1に示すように、外周を樹脂9によってモールドされた制御回路部3と、制御回路部3に構築される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタ2とを備えており、入力された各種電気信号(入力信号)に基づいて、制御対象を制御するための電気信号(出力信号)を生成するものである。この制御ユニット1が内燃機関用の車載の制御ユニットである場合には、回転角センサや、水温センサ、酸素センサ等の外部回路から、コネクタ2を介して制御回路部3に構築された回路に信号が入力され、当該回路で、それら入力された信号に基づいて演算処理が行われ、その演算処理結果に基づいて、当該回路から、コネクタ2を介して燃料噴射弁や、電子制御スロットル等の制御対象部品(回路)等の外部回路に信号が出力される。また、電池からの電源電力もコネクタ2を介して回路に供給される。
【0023】
この制御ユニット1では、回路基板7a,7bを支持固定するフレーム4とコネクタ2とが一体樹脂成形されて、コネクタ一体フレーム10が形成されている(図2)。
【0024】
フレーム4は、コネクタ2の裏面側に設けられる矩形板状の基部4aと、基部4aの両端部からそれぞれコネクタ2の反対側に向けて立設される梁部4bとを有し、平面視で略コ字状の形状を成している。
【0025】
梁部4bの外側表面には、それぞれ、貫通孔4cが設けられた張出部4dが突設されている。
【0026】
さらに、コネクタ一体フレーム10には、各部間の電気的な導通を確保する配線として機能する金属導体からなる端子5a,5b,6が設けられている。
【0027】
端子5aは、基部4aおよびコネクタ2の底部の下側半分の領域を貫通しており、その一端はコネクタ2の凹部2a内に突出する一方、他端は基部4aの表面(コネクタ2の裏面側の側面)から突出し、下方に向けて折曲されている。なお、端子5aを基部4a内で下方に折り曲げておき、当該基部4aの下面から下方に突出させるようにしてもよい。
【0028】
一方、端子5bは、基部4aおよびコネクタ2の底部の上側半分の領域を貫通しており、その一端はコネクタの凹部2a内に突出する一方、他端は基部4aの表面(コネクタ2の裏面側の側面)から突出し、上方に向けて折曲されている。なお、端子5bを基部4a内で上方に折り曲げておき、当該基部4aの上面から上方に突出させるようにしてもよい。
【0029】
また、端子6は、梁部4b内をその幅方向(上下方向)に貫通しており、その一端は梁部4bの上面から上方に突出する一方、他端は梁部4bの下面から下方に突出している。なお、端子6を梁部4b内で屈曲させ、梁部4bの上面および下面の突出位置を梁部4bの長手方向にオフセットさせてもよい。
【0030】
かかる構成を備えるコネクタ一体フレーム10は、例えば、高分子熱可塑性樹脂(例えば、PBT[ポリブチレンテレフタレート]、PA66[ポリアミド66]、PPS[ポリフェニレンサルファイド]等)を成形して構成することができる。このように熱可塑性の樹脂を用いると、再利用しやすくなるという利点がある。その場合、上記端子5a,5b,6は、インサート成形によって得ることができる。
【0031】
そして、図3に示すように、コネクタ一体フレーム10の下側に、回路基板7aが装着される。具体的には、まず、回路基板7aの表裏を貫通する差込孔(図示せず)に端子5a,6が嵌挿され、回路基板7aがフレーム4の下面に密着した状態で仮止めされる。次に、回路基板7aの下面(フレーム4との当接面と反対側の面)上で、端子5a,6と回路基板7a上の配線パターン(図示せず)とがはんだ付けされて、フレーム4の下面に回路基板7aが支持固定されるとともに、回路基板7aに形成される回路と端子5a,6とが電気的に接続される。
【0032】
このとき、回路基板7aは、フレーム4の相互に対向する一対の梁部4b間に架設されるとともに、その架設部分のコネクタ2側の側縁が基部4aに取り付けられる。このように、平面視略コ字状のフレーム4によって回路基板7aを複数箇所で支持固定することにより、より強固でより安定的な支持固定状態を得ることができる。
【0033】
一方、図4に示すように、コネクタ一体フレーム10の上側には、上記回路基板7aと全く同様の手順で、回路基板7bが装着される。すなわち、まず、回路基板7bの表裏を貫通する差込孔7fに端子5b,6が嵌挿され、回路基板7bがフレーム4の上面に密着した状態で仮止めされる。次に、回路基板7bの上面(フレーム4との当接面と反対側の面)上で、端子5b,6と回路基板7b上の配線パターン(図示せず)とがはんだ付けされて、フレーム4の上面に回路基板7bが支持固定されるとともに、回路基板7bに形成される回路と端子5b,6とが電気的に接続される。
【0034】
この回路基板7bも、フレーム4の相互に対向する一対の梁部4b間に架設されるとともに、その架設部分のコネクタ2側の側縁が基部4aに取り付けられており、上記回路基板7aと同様、より強固でより安定的な支持固定状態を得ることができる。
【0035】
かくして、コネクタ2の背面側に、フレーム4に複数の回路基板7a,7bを支持固定してなる制御回路部3を設けた組立体11が形成される。制御回路部3は、基部4aを底壁とし、相互に対向する一対の梁部4bおよび相互に対向する一対の回路基板7a,7bを側壁(周壁)とする有底角筒状に形成される。
【0036】
この制御回路部3では、外部回路と下側の回路基板7aとは複数の端子5aによって電気的に接続され、外部回路と上側の回路基板7bとは複数の端子5bによって電気的に接続され、また、上側および下側の回路基板7a,7bは複数の端子6によって電気的に接続される。
【0037】
こうして形成された組立体11の制御回路部3を樹脂9でモールドして、図1に示す制御ユニット1が形成される。樹脂9は、制御回路部3の周囲を被覆するとともに、制御回路部3の内側に形成される凹部内にも充填される。このとき、フレーム4に形成された張出部4dを樹脂9の外に露出させておき、制御ユニット1を車両等に装着するためのブラケットとして用いるのが好適である。本実施形態では一対の梁部4bのそれぞれに張出部4dが設けられているため、制御ユニット1を端部二箇所で安定的に取り付けることができる。
【0038】
ここで、電子部品8は、回路基板7a,7bの表裏面の双方に実装されるが、より大きな部品は回路基板7a,7bの相互に対向する面(上記凹部に臨む面)に実装し、より小さな部品は、背向する面(外側の面)に実装するのが好適である。こうすることで、モールドされた樹脂9が制御回路部3の外周側に張り出す量を減らすことができ、その分、制御ユニット1をより小型に形成することができる。
【0039】
モールドする樹脂9としては、防水性の高い高分子熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド、ポリエステル等)を用いるのが好適である。熱可塑性の樹脂を用いることで、再利用しやすくなるという利点がある。また、防水性の高い樹脂を用いることで、回路基板等の劣化(錆の発生等)を抑制することができるという利点がある。
【0040】
以上の本実施形態によれば、フレーム4とコネクタ2とを一体樹脂成形してコネクタ一体フレーム10を形成したため、これらを別体とした場合に比べて、部品点数が減る上、製造の手間が減り、製造コストを低減することができる。また、フレーム4を樹脂によって形成した分、金属製のフレームを用いる場合に行われる防錆処理が必要なくなる分、防錆処理材料による環境負荷を軽減できるという利点もある。
【0041】
また、本実施形態によれば、コネクタ一体フレーム10に、複数の回路基板7a,7b間を接続する端子6を設けたため、回路基板7a,7b上の配線レイアウトの自由度が増大して、回路基板7a,7bをより小さく形成することができる上、回路基板7a,7bをを複数段に重ねて配置したことにより、回路基板7a,7b、ひいては制御ユニット1の平面投影面積がより小さくなり、制御ユニット1の車両等への搭載性を向上することができる。また、回路基板7a,7bを複数に分離した分、制御ユニット1が受熱した場合に各部の線膨張係数の差に基づいて生じる熱応力(ひずみ)を低減することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、フレーム4を、コネクタ2に連設される基部4aと基部4aの両端部から突設されて相互に対向する梁部4bとを有する平面視略コ字状に形成して、当該相互に対向する梁部4b間で回路基板7a,7bを架設するようにしたため、当該回路基板をフレームによって片持ち支持するような場合に比べて、より強固かつより安定的な支持固定状態を得ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、一対の梁部4b間で架設される回路基板7a,7bを、間隔をあけて複数設けたので、一対の梁部4bと複数の回路基板7a,7bとによって閉断面構造が形成され、制御ユニット1の剛性を高めることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、制御回路部3を、基部4aを底壁とし、相互に対向する一対の梁部4bおよび相互に対向する一対の回路基板7a,7bを側壁(周壁)とする有底角筒状に形成したため、組立体11ひいては制御ユニット1の剛性をより一層高めることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、組立体11を樹脂9によってモールドしたため、回路基板7a,7bの防水構造を容易に構築することができる。
【0046】
(第2実施形態)図6は、本実施形態にかかる制御ユニットの斜視図である。なお、本実施形態にかかる制御ユニット1Aは、上記第1実施形態にかかる制御ユニット1と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については同じ符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0047】
本実施形態では、上記第1実施形態にかかる制御ユニット1で用いられていたものと同様の平面視コ字状のフレーム4およびコネクタ2を有するコネクタ一体フレーム10Aに、可撓性基板7Aを折り曲げた状態で装着したものである。
【0048】
可撓性基板7Aは、例えば、ポリイミドフィルムなどからなるベースフィルム上に、めっき法などによって銅や金などの導電性に優れる金属からなる配線パターン(図示せず)を形成し、当該配線パターンをさらに保護膜で被覆して形成することができる。
【0049】
そして、この可撓性基板7Aを略U字状に折り曲げ、当該U字の両端部を一方の梁部4bの上下方向の両側縁4fに上記第1実施形態と同様の手法で取り付ける一方、U字の底面7eを他方の梁部4bの内側表面4eに接合(例えば接着)して、制御回路部3Aが形成される。なお、本実施形態の場合、U字の底面7eが当接する側の梁部4bには端子6を設ける必要はない。
【0050】
以上の本実施形態によれば、可撓性基板7Aを折り曲げた状態でフレーム4に取り付けたため、制御ユニット1Aの平面投影面積が小さくなって車両等への搭載性を向上することができる。また、複数の回路基板を装着する場合に比べて部品点数が減る上、フレーム内に形成する回路基板間を接続する端子を減らすことができる分、製造の手間を減らし、製造コストを低減することができる。
【0051】
(第3実施形態)図7は、本実施形態にかかる制御ユニットの斜視図、図8は、コネクタ一体フレームの斜視図、図9は、コネクタ一体フレームに回路基板の一段目を取り付けた状態を示す斜視図、図10は、コネクタ一体フレームに二段の回路基板を取り付けた組立体の斜視図、図11は、制御ユニットの分解斜視図である。なお、本実施形態にかかる制御ユニット1Bは、上記第1実施形態にかかる制御ユニット1と同様の構成要素を備えている。よって、それら同様の構成要素については同じ符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0052】
本実施形態にかかる制御ユニット1Bの組立体11Bは、基本的には、上記第1実施形態にかかる組立体11と同様の構成を備えている。すなわち、図8〜図10に示すように、基部14aおよび一対の梁部14bからなる平面視略コ字状のフレーム14とコネクタ2とからなるコネクタ一体フレーム10Bに、上述したのと同様の手順で回路基板7a,7bを二段重ねに取り付けて、組立体11Bが構成される。
【0053】
ただし、本実施形態にかかる制御ユニット1Bは、組立体11Bを容器12内に入れ、その容器12内を樹脂(例えばウレタン樹脂等)13で充填する点が、上記第1実施形態とは異なっており、そのために、いくつかの特徴的な構成を備えている。
【0054】
まず、本実施形態では、組立体11Bを容器12内の所定の位置に収容するための位置決め機構を設けている。具体的には、コネクタ一体フレーム10Bの一対の梁部14bの外側表面の各々に、その長手方向(挿入方向)に沿って伸びる突起14dを設ける一方、容器12の相互に対向する一対の内壁の各々に、その開口部から奥部に亘って伸びる溝12cを形成しておき、図11に示すように、突起14dを溝12cに案内させながら、組立体11Bを容器12内に挿入する。かかる構成により、組立体11Bを容器12内の所期の位置に位置決めすることができる。なお、突起を容器12の内壁に設け、溝を組立体11Bに設けてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、組立体11Bは、その有底角筒状の内部空間の開口が容器12の凹部の奥側となる姿勢で挿入されるが、樹脂13を当該内部空間を含む容器12内全体により確実に充填させるべく、組立体11Bに穴または切欠を形成している。具体的には、一対の梁部14bに、貫通穴14cを形成し、図10に示すように、組立体11Bの有底角筒状の内部空間の内外を連通させている。これにより、樹脂13が当該有底角筒状の内側までより確実に行き渡るようになる。なお、貫通穴14cに替えて、梁部14bの長手方向端部に切欠を設けてもよいし、基部14aや回路基板7a,7bに穴や切欠を設けてもよい。
【0056】
なお、本実施形態では、貫通穴12aを穿設したブラケット用の突起12bを容器12に形成し、車両等に搭載する際に利用できるようにしてある。
【0057】
以上の実施形態によれば、組立体11Bを入れた容器12内を樹脂13で充填したため、回路基板7a,7bの防水構造をより容易に構築することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、位置決め機構を設けたため、組立体11Bを容器12内の所期の位置により確実に配置することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、組立体11Bに設けた樹脂充填用の穴(貫通穴14c)または切欠を介して有底角筒状の内部空間を含む容器12内全体に樹脂13が充填されやすくなる。
【0060】
(第4実施形態)図12は、本実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニットの斜視図、図13は、コネクタユニットに回路基板の一段目と基板間フレームとを取り付けた状態を示す斜視図、図14は、コネクタユニットに二段の回路基板を取り付けた組立体の斜視図である。なお、本実施形態にかかる制御ユニットは、上記第1実施形態にかかる制御ユニット1と同様の構成を備えている。よって、それら同様の構成要素については同じ符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0061】
本実施形態にかかる制御ユニットは、図11に示す上記第3実施形態の組立体11Bに替えて、本実施形態にかかる組立体11Cを容器12に入れ、当該容器12内を樹脂13で充填することで構成したものである。
【0062】
ただし、本実施形態では、コネクタ2から回路基板7a,7bを接続するための端子5a,5bを突出させてなるコネクタユニット15、二段の回路基板7a,7b、および基板間フレーム16を各々別体とし、これらを組み合わせて組立体11Cを構成している。すなわち、まず、フレームが一体化されていないコネクタユニット15(図12)に、一段目の回路基板7aを取り付けた後、当該回路基板7aの側端縁に一対の基板間フレーム16を取り付ける(図13)。ここで、コネクタユニット15には、上記第1実施形態と同様の端子5a,5bが設けられている一方、基板間フレーム16には、上記第1実施形態と同様の端子6が設けられている。したがって、これら端子5a,5b,6を回路基板7aに設けた差込孔(図示せず)に差し込み、上記第1実施形態と同様の手法で、コネクタユニット15に、回路基板7aおよび基板間フレーム16を取り付けることができる。
【0063】
そして、基板間フレーム16の他方側から突出する端子6と、コネクタユニット15から突出する端子5bを、回路基板7bに設けた差込孔7fに差し込んで二段目の回路基板7bを取り付け、図14に示す組立体11Cを得る。なお、コネクタユニット15および基板間フレーム16は、上記コネクタ一体フレーム10と同様の材質および製法により形成することができる。
【0064】
ここで、本実施形態では、組立体11Cを容器12に挿入する方向において、基板間フレーム16の長さを、回路基板7a,7bの辺の長さより短くし、組立体11Cを構成したときに、基板間フレーム16の容器12への挿入先側(コネクタ2側の反対側)に、回路基板7a,7bの側縁と基板間フレーム16の挿入先側の縁とによって、切欠17が形成されるようにしている。この切欠17により、基板間フレーム16と回路基板7a,7bとで囲まれた有底角筒状の内部空間を外部と連通させることができる。
【0065】
なお、基板間フレーム16としては、比較的硬質の板状樹脂の他、より柔軟な可撓性基板を用いることができる。
【0066】
以上の実施形態によれば、基板間フレーム16に、複数の回路基板7a,7b間を接続する端子6を設けたため、回路基板7a,7b上の配線レイアウトの自由度が増大して、回路基板7a,7bをより小さく形成することができる上、回路基板7a,7bを複数段に重ねて配置したことにより、回路基板7a,7b、ひいては制御ユニットの平面投影面積がより小さくなり、制御ユニットの車両等への搭載性を向上することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、組立体11Cに切欠17を形成したことにより、樹脂13を有底角筒状の内部空間を含む容器12内全体により確実に行き渡らせることができるという利点がある。そして、本実施形態では、切欠17を、端縁の短い基板間フレーム16と、端縁の長い回路基板7a,7bとを用いて、比較的容易に形成することができる。なお、基板間フレーム16を、コネクタユニット15から離間して配置し、基板間フレーム16の挿入方向両側に、貫通穴と切欠とが形成されるようにしてもよい。
【0068】
(第5実施形態)図15は、本実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニット、およびこのコネクタユニットに取り付けられる回路基板(可撓性基板)を示す斜視図、図16は、コネクタユニットに回路基板を取り付けた組立体の斜視図である。なお、本実施形態にかかる制御ユニットは、上記第4実施形態にかかる制御ユニットと同様の構成を備えている。よって、それら同様の構成要素については同じ符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0069】
本実施形態にかかる制御ユニットは、図11に示す上記第3実施形態の組立体11Bに替えて、本実施形態にかかる組立体11Dを容器12に入れ、当該容器12内を樹脂13で充填することで構成するものである。
【0070】
ただし、本実施形態では、上記第4実施形態と同様のコネクタユニット15に可撓性基板として構成される回路基板7Dを取り付けて、組立体11Dを構成している。すなわち、まず、図15に示すように、端子5aを回路基板7Dの長辺の一部に沿って設けた差込孔に差し込み、その後、図16に示すように、回路基板7Dを複数箇所(例えば3箇所)で折りまげて略角筒状に形成するとともに、端子5bを回路基板7Dの当該長辺の別の一部に設けた差込孔に差し込んで、コネクタユニット15に回路基板7Dを取り付ける。
【0071】
ここで、環状に折り曲げた回路基板7Dの周回方向一端側の縁と他端側の縁との間に隙間18を形成し、この隙間18を介して樹脂13が流通できるようにしておくのが好適である。
【0072】
以上の本実施形態によれば、可撓性の回路基板7Dを折り曲げてコネクタユニット15に取り付けることで組立体11Dを構成したため、部品点数が減って、製造の手間が減り、製造コストを低減することができる。
【0073】
また、隙間18を介して有底角筒状の内部空間を含む容器12全体に樹脂13をより確実に充填させることができる。
【0074】
なお、本発明は、次のような別の実施形態に具現化することができる。例えば、回路基板を三段以上設けてもよいし、可撓性基板を二回以上折り曲げて三段以上としてもよい。また、可撓性基板を折り曲げて環状に形成したものをフレームに接着するようにしてもよい。また、フレームを平面視コ字状以外、例えば、H字状やT字状としてもよい。これら実施形態でも上記各実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0075】
また、上記第2実施形態にかかる組立体を容器に入れ当該容器内を樹脂で充填して制御ユニットを形成してもよいし、上記第3〜第5実施形態にかかる組立体を樹脂モールドによって被覆して制御ユニットを形成するようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0077】
(イ)請求項1〜3の制御ユニットでは、フレームを、コネクタに連設される基部と当該基部の両端部から突設されて相互に対向する一対の梁部とを有する平面視略コ字状に形成して、当該相互に対向する一対の梁部間で回路基板を架設するのが好適である。
【0078】
こうすれば、当該回路基板をフレームによって片持ち支持するような場合に比べて、より強固かつより安定的な支持固定状態を得ることができる。
【0079】
(ロ)上記(イ)に記載の制御ユニットでは、上記一対の梁部間で架設される回路基板を間隔をあけて複数設けるのが好適である。
【0080】
こうすれば、一対の梁部と複数の回路基板とによって閉断面構造が形成されるため、制御ユニットの剛性を高めることができる。
【0081】
(ハ)上記(ロ)に記載の制御ユニットでは、上記一対の梁部、当該一対の梁部間で架設される複数の回路基板、および上記基部により、有底角筒状の構造が形成されるのが好適である。
【0082】
こうすれば、当該有底角筒状の構造により、制御ユニットの剛性をさらに高めることができる。
【0083】
(ニ)請求項1の制御ユニットでは、回路基板として可撓性基板を折り曲げた状態でフレームに取り付けるのが好適である。
【0084】
こうすれば、制御ユニットの平面投影面積が小さくなって車両等への搭載性を向上することができる。また、複数の回路基板を装着する場合に比べて部品点数が減る上、フレーム内に形成する回路基板間を接続する端子を減らすことができる分、製造の手間を減らし、製造コストを低減することができる。
【0085】
(ホ)請求項4または5の制御ユニットでは、容器と組立体とを位置決めする位置決め機構を設けるのが好適である。
【0086】
こうすれば、組立体を容器内の所期の位置に設置することができる。
【0087】
(ヘ)請求項6の制御ユニットでは、組立体は板状のフレームの相互に対向する両端縁に回路基板を取り付けて二段重ねにした構成を含むとともに、それら回路基板をフレームの当該両端縁から張り出させて、当該張出部と当該フレームの両端縁に交叉する端縁とによって切欠を形成するのが好適である。
【0088】
こうすれば、回路基板を樹脂で被覆する場合に、上記切欠を介して被覆する樹脂を流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる制御ユニットの斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームの斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームに回路基板の一段目を取り付けた状態を示す斜視図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームにさらに回路基板の二段目を取り付けて組立体を形成した状態を示す斜視図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームに二段の回路基板を取り付けて組立体を形成した状態の断面図(図4のA−A断面図)。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる制御ユニットの斜視図。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる制御ユニットの斜視図。
【図8】本発明の第3実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームの斜視図。
【図9】本発明の第3実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームに回路基板の一段目を取り付けた状態を示す斜視図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタ一体フレームに二段の回路基板を取り付けた組立体の斜視図。
【図11】本発明の第3実施形態にかかる制御ユニットの分解斜視図。
【図12】本発明の第4実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニットの斜視図。
【図13】本発明の第4実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニットに回路基板の一段目と基板間フレームとを取り付けた状態を示す斜視図。
【図14】本発明の第4実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニットに二段の回路基板を取り付けた組立体の斜視図。
【図15】本発明の第5実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニット、およびこのコネクタユニットに取り付けられる回路基板(可撓性基板)を示す斜視図。
【図16】本発明の第5実施形態にかかる制御ユニットに含まれるコネクタユニットに回路基板を取り付けた組立体の斜視図。
【符号の説明】
【0090】
1,1A,1B 制御ユニット
2 コネクタ
4 フレーム
6 端子
7a,7b 回路基板
7A,7D 可撓性基板(回路基板)
8 電子部品
9,13 樹脂
10,10A,10B コネクタ一体フレーム
11,11B,11C,11D 組立体
12 容器
14c 貫通穴(穴)
15 コネクタユニット
16 基板間フレーム(フレーム)
17 切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板に形成される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタと、前記回路基板を固定支持するフレームと、を備える制御ユニットにおいて、
前記フレームとコネクタとを一体樹脂成形してコネクタ一体フレームを形成したことを特徴とする制御ユニット。
【請求項2】
前記コネクタ一体フレームに、複数の前記回路基板を取り付けるとともに、それら複数の回路基板間を電気的に接続する端子を設けたことを特徴とする請求項1に記載の制御ユニット。
【請求項3】
前記コネクタ一体フレームに前記回路基板を取り付けた組立体を、樹脂モールドによって被覆したことを特徴とする請求項1または2に記載の制御ユニット。
【請求項4】
前記コネクタ一体フレームに前記回路基板を取り付けた組立体を容器内に入れ、その容器内に樹脂を充填したことを特徴とする請求項1または2に記載の制御ユニット。
【請求項5】
前記組立体に樹脂充填用の穴または切欠を設けたことを特徴とする請求項4に記載の制御ユニット。
【請求項6】
電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板に形成される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタと、前記回路基板を固定支持するフレームと、を備える制御ユニットにおいて、
前記フレームに、複数の前記回路基板を取り付けるとともに、それら複数の回路基板間を電気的に接続する端子を設け、
前記コネクタ、複数の回路基板、およびフレームを含む組立体を構成したことを特徴とする制御ユニット。
【請求項7】
電子部品が実装される回路基板と、前記回路基板に形成される回路と外部回路とを電気的に接続するためのコネクタと、を備える制御ユニットにおいて、
前記回路基板を可撓性基板とし、前記コネクタに折り曲げた当該可撓性基板を取り付けて組立体を構成したことを特徴とする制御ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−185885(P2006−185885A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26536(P2005−26536)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】