説明

制御装置及び方法、並びに光学ドライブ装置

【課題】記録再生光学系に含まれる収差補正手素子及びガイド光学系に含まれる倍率変換素子の双方を好適に制御する。
【解決手段】制御装置(54)は、(i)記録層(12)に対して記録再生用の第1光ビーム(LB2)を照射する第1光源(21)と、(ii)ガイド層(11)に対してトラッキング用の第2光ビーム(LB3)を照射する第2光源(31)と、(iii)第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子(26)と、(iv)第2光ビームの焦点位置を移動させる倍率変換素子(36)とを備える光学ドライブ装置を制御する制御装置(1)であって、収差を補正可能な第1制御量(x)だけ収差補正素子が駆動するように収差補正素子を制御する第1制御手段(541)と、第1制御量に基づいて算出される第2制御量(y)だけ倍率変換素子が駆動するように倍率変換素子を制御する第2制御手段(542)とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光ディスクドライブ等の光学ドライブ装置、並びにこのような光学ドライブ装置を制御する制御装置及び方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の記録層を備える光ディスクとして、例えばデータが記録されている複数の記録層と、トラッキング用のトラック(ガイドトラック)が記録されたガイド層とを有する光ディスク(所謂、ガイド層分離型光ディスク)が知られている(特許文献1等参照)。このような光ディスクに対してデータを記録する又は再生する光学ドライブ装置は、ガイド層のトラックを読み取るためのガイド用の光ビームと、記録層に対してデータを記録する又は記録層に記録されたデータを再生するための記録再生用の光ビームとを照射する。このため、このような光学ドライブ装置は、ガイド用の光ビームを光ディスクのガイド層に照射すると共に当該光ビームの戻り光を受光するガイド光学系と、記録再生用の光ビームを光ディスクの記録層に照射すると共に当該光ビームの戻り光を受光する記録再生光学系とを備えている。
【0003】
従来の光学ドライブ装置は、所望の記録層に対してデータを記録する際には、対物レンズを駆動することでガイド用の光ビームの焦点位置をガイド層に合わせる一方で、記録再生光学系のコリメータレンズを光軸方向に移動させることで記録再生用の光ビームの焦点位置を所望の記録層に合わせていた。このため、従来の光学ドライブ装置は、データの記録中における記録再生用の光ビームのフォーカスサーボの精度や安定性に欠けるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4037034公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、データの記録中における記録再生用の光ビームのフォーカスサーボの精度や安定性に欠けるという問題を解決するために、対物レンズを駆動することで記録再生用の光ビームの焦点位置を所望の記録層に合わせる一方で、ガイド用の光ビームの焦点位置を光軸方向に移動させることでガイド層に合わせる光学ドライブ装置が、本願発明者等によって考案されている。このような光学ドライブ装置は、ガイド用の光ビームの焦点位置をガイド層に合わせるために、ガイド用の光ビームの焦点位置を光軸方向に移動させるための倍率変換素子を備えている。更に、記録再生用の光ビームには、光学ドライブ装置の光学特性や光ディスクの光学特性等に応じて収差が発生する。従って、光学ドライブ装置は、記録再生光学系の一部として、記録再生用の光ビームに生じた収差を補正する収差補正素子を備えている。
【0006】
ここで、ガイド光学系に含まれる倍率変換素子は、ガイド用の光ビームの集光位置を変更可能なレンズ(例えば、ケプラー型エキスパンダレンズ)を備えている。従って、ガイド光学系に含まれる倍率変換素子は、レンズを光軸方向に移動させることで、ガイド用の光ビームの焦点位置を光軸方向に沿って移動させることができる。一方で、記録再生光学系に含まれる収差補正素子もまた、記録再生用の光ビームの集光位置を変更可能なレンズ(例えば、ケプラー型エキスパンダレンズ)を備えている。従って、記録再生光学系に含まれる収差補正素子は、レンズを光軸方向に移動させることで、対物レンズ駆動により一の記録層にフォーカスサーボをかけている記録再生用の光ビームに生じた収差を補正する(具体的には、例えば、打ち消す)ことができる。
【0007】
ここで、ガイド光学系に含まれる倍率変換素子は、ガイド用の光ビームの戻り光から生成されるTE(Tracking Error:トラッキングエラー)信号が最良(例えば、「TE信号の振幅が最大」、あるいは「TE信号が最適」)となるように、そのレンズの位置を調整している。一方で、記録再生光学系に含まれる収差補正素子は、記録再生用の光ビームの戻り光から生成されるRF(Radio Frequency)信号が最良(例えば、「RF信号の振幅が最大」、あるいは「RF信号が最適」)となるように、そのレンズの位置を調整している。
【0008】
しかしながら、例えば、収差補正素子の制御(例えば、レンズの位置を移動させる制御)が行われると、当該収差補正素子の制御による影響は、記録再生用の光ビームのみならずガイド用の光ビームにも及んでしまいかねない。より具体的には、例えば、TE信号が最良となるように倍率変換素子の制御が行われた状態で収差補正素子の制御を行った場合には、倍率変換素子の制御を行っていないにも関わらず、当該収差補正素子の制御によってTE信号が最良とならなくなっている場合がある。更に、データが記録されていない領域では、当該収差補正素子を制御するための指標となるRF信号が存在しない。このため、倍率変換素子の制御と収差補正素子の制御とを別個独立に行うことは、技術的に困難であるか又は煩雑な制御が必要となってしまうという技術的な問題点が生ずる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、記録再生光学系に含まれる収差補正手素子及びガイド光学系に含まれる倍率変換素子の双方を好適に制御することが可能な制御装置及び方法、並びに光学ドライブ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、制御装置は、(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御装置であって、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段とを備える。
【0011】
上記課題を解決するために、制御方法は、(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御方法であって、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御工程と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御工程とを備える。
【0012】
上記課題を解決するために、光学ドライブ装置は、トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子と、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例の光学ドライブ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】光学ドライブ装置の第1動作例の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】追従式f1の態様を示すグラフである。
【図4】図2のステップS12に示す「追従式f1の設定処理」の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2のステップS13に示す「記録層変更時の収差補正処理」の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1動作例の変形動作例の流れを示すフローチャートである。
【図7】光学ドライブ装置の第2動作例の全体の流れを示すフローチャートである。
【図8】図7のステップS21に示す「収差補正の微調整処理」の流れを示すフローチャートである。
【図9】追従式f2の態様を示すグラフである。
【図10】第2動作例の変形動作例の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、制御装置及び方法、並びに光学ドライブ装置の実施形態について順に説明する。
【0015】
(制御装置の実施形態)
本実施形態の制御装置は、(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御装置であって、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段とを備える。
【0016】
本実施形態の制御装置によれば、第1光源と、第2光源と、収差補正素子と、倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御することができる。
【0017】
第1光源及び収差補正素子は、記録媒体(特に、その記録層)に対してデータを記録する又は記録媒体に記録されたデータを再生する記録再生光学系を構成する。具体的には、第1光源は、夫々がトラックを有していない複数の記録層のうちのデータの記録又は再生の対象となる一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する。その結果、一の記録層を対象とするデータの記録又は再生が行われる。このとき、第1光ビームには、光学ドライブ装置の光学特性や光学系の配置誤差(例えば、記録媒体の表面から一の記録層までの距離に誤差を含む場合等)に応じて収差(例えば、球面収差)が生ずる。この収差は、収差補正素子によって補正される。より具体的には、例えば収差補正素子がレンズを含んでいる場合には、当該レンズが第1光ビームの光軸に沿って移動するように収差補正素子が駆動されることで、収差が補正される。
【0018】
一方で、第2光源及び倍率変換素子は、記録媒体に対するトラッキングを行うガイド光学系を構成する。具体的には、第2光源は、ガイド層に対して、ガイド用の第2光ビームを照射する。その結果、ガイド層に形成されたトラックを読み取ることでトラッキングが行われる。このとき、倍率変換素子は、第2光ビームの焦点位置が所望の位置(例えば、ガイド層上の任意の位置)に合わせられるように、第2光ビームの焦点位置を移動させる。より具体的には、例えば倍率変換素子がレンズを含んでいる場合には、当該レンズが第2光ビームの光軸に沿って移動するように倍率変換素子が駆動されることで、第2光ビームの焦点位置が移動する。
【0019】
本実施形態の制御装置は特に、収差補正素子の駆動を制御する第1制御手段と、倍率変換素子の駆動を制御する第2制御手段とを備えている。
【0020】
第1制御手段は、第1光ビームに生じている収差を補正可能な第1制御量だけ収差補正素子が駆動するように収差補正素子を制御する。言い換えれば、第1制御手段は、第1光ビームに生じている収差を補正することができるという観点から算出される第1制御量だけ収差補正素子が駆動するように収差補正素子を制御する。例えば、第1光ビームにディスクの厚み誤差に起因する球面収差が存在している場合を考える。収差補正素子がレンズを含んでいる場合には、第1制御手段は、当該レンズが第1光ビームの光軸に沿って第1制御量に応じた距離だけ移動するように収差補正素子を制御し、レンズを駆動する。対物レンズに入射するビームの拡散具合が変化することにより、光学倍率を変化させることができる。同時に対物レンズはフォーカスサーボによりビームの集光位置が当該記録層に一致するように制御されている。その結果、光学倍率と記録層から対物レンズまでの距離が最適化され、第1光ビームに生じている球面収差が補正される。
【0021】
このとき、対物レンズは所定量だけ光軸方向に移動するため、第2光ビームの集光位置はガイド層に対してズレが生じているものと考えられる。第2制御手段は、この集光位置のズレを補正するために、第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ倍率変換素子が駆動するように倍率変換素子を制御する。言い換えれば、第2制御手段は、第2光ビームの焦点位置が所望の位置に移動することができるという観点から第2制御量を独立して算出しなくとも、第1制御量に追従する第2制御量(言い換えれば、第1制御量が算出されれば自動的に定まる第2制御量)だけ倍率変換素子が駆動するように倍率変換素子を制御することができる。更に言い換えれば、第2制御手段は、第1制御量に追従する第2制御量(言い換えれば、第1制御量が算出されれば自動的に定まる第2制御量)だけ倍率変換素子が駆動するように倍率変換素子を制御すればよい。第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ倍率変換素子が駆動することで、第2光ビームの焦点位置が所望の位置に移動する。
【0022】
以上説明したように、本実施形態の制御装置によれば、第1制御量に基づく収差補正素子の駆動に合わせて、第2制御量に基づく倍率変換素子の駆動を実現することができる。言い換えれば、本実施形態の制御装置によれば、まず初めに第1制御量に基づいて収差補正素子を駆動させ、その後、第1制御量に基づく収差補正素子の駆動に追従するように、第1制御量から算出される第2制御量に基づいて倍率変換素子を駆動させることができる。つまり、本実施形態の制御装置によれば、倍率変換素子の駆動を、収差補正素子の駆動に追従させることができる。言い換えれば、本実施形態の制御装置によれば、収差補正素子の駆動と倍率変換素子の駆動とを別個独立に行わなくともよくなる。従って、本実施形態の制御装置は、記録再生光学系に含まれる収差補正素子及びガイド光学系に含まれる倍率変換素子の双方を好適に制御することができる。
【0023】
本実施形態の制御装置の一の態様では、前記第2制御手段は、前記第1制御量を変数とする所定の演算式であって且つ前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の演算式から導かれる前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する。
【0024】
この態様によれば、第2制御手段は、所定の演算式を用いて、第1制御量から第2制御量を比較的容易に算出することができる。
【0025】
尚、「所定の演算式」は、文字通り数式そのものを含む他に、数式を間接的に示す任意の情報(例えば、グラフや、関数や、マッピングや、相関情報等)を含む広い趣旨を示している。つまり、「所定の演算式」には、第1制御量から第2制御量を導き出すことが可能な任意の情報が含まれてもよい。
【0026】
上述の如く所定の演算式から第2制御量が導かれる制御装置の態様では、前記所定の演算式は、前記第1光ビームが照射される記録層が変更される場合に用いられる第1演算式を含み、前記第1制御手段は、前記第1光ビームが照射される記録層が変更された場合に、変更後の記録層上で生ずる前記収差を補正するための前記第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御し、前記第2制御手段は、前記第1制御量及び前記第1演算式から導かれる前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御するように構成してもよい。
【0027】
このように構成すれば、第1光ビームが照射される記録層が変更される(例えば、一の記録層から他の記録層に変更される)場合に、第2制御手段は、第1演算式を用いて、第1制御量から第2制御量を比較的容易に算出することができる。
【0028】
上述の如く所定の演算式が第1演算式を含む制御装置の態様では、前記第1制御量をxとし、前記第2制御量をyとし、前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をa及びbとし、且つ前記第1光ビームが照射される前記記録層から前記ガイド層までの距離に応じて定まる所定の定数をcとすると、前記第1演算式は、y=a×x+b×x+cであるように構成してもよい。
【0029】
このように構成すれば、第1光ビームが照射される記録層が変更される場合に、第2制御手段は、第1制御量を変数とする2次の関数である第1演算式を用いて、第1制御量から第2制御量を比較的容易に算出することができる。尚、このような2次の関数である第1演算式を用いて第1制御量から第2制御量を算出することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0030】
上述の如く所定の演算式が第1演算式を含む制御装置の態様では、前記第1制御量をxとし、前記第2制御量をyとすると、前記第1演算式は、前記第2制御量yが第1制御量xのn(但し、nは3以上の整数)次の多項式によって規定される演算式であるように構成してもよい。
【0031】
このように構成すれば、第1光ビームが照射される記録層が変更される場合に、第2制御手段は、第1制御量を変数とする3次以上の関数(つまり、3次以上の多項式)である第1演算式を用いて、第1制御量から第2制御量を比較的容易に算出することができる。尚、このような3次以上の関数である第1演算式を用いて第1制御量から第2制御量を算出することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0032】
加えて、第1演算式として3次以上の多項式を用いることで、第1演算式として2次の多項式を用いる場合と比較して、第2制御量の演算精度を相対的に向上させることができる。一方で、第1演算式として3次以上の多項式を用いることで、第1演算式として2次の多項式を用いる場合と比較して、第1演算式を算出するための負荷が相対的に大きくなる。従って、第2制御量の演算精度と第1演算式を算出する際の負荷との間のトレードオフを考慮しながら、適切な第1演算式を用いることが好ましい。
【0033】
上述の如く第1演算式がy=a×x+b×x+cである制御装置の態様では、前記定数a及び前記定数bは予め定められており、(i)前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第1制御量を算出し、(ii)当該第1制御量の算出後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第2制御量を算出し、(iii)算出された前記第1制御量及び前記第2制御量並びに前記第1演算式に基づいて前記定数cを算出することで、前記第1演算式を設定する設定手段を更に備えるように構成してもよい。
【0034】
第1演算式である「y=a×x+b×x+c」という数式は、「c=y−a×x−b×x」という数式に変換される。従って、設定手段は、(i)予め定められている定数a及び定数b、並びに(ii)自身で算出する第1制御量x及び第2制御量y(つまり、第1制御量xと第2制御量yとの最適な組み合わせの一例)に基づいて、定数cを算出することができる。その結果、設定手段は、予め定められている定数a及び定数b、並びに自身で算出した定数cを用いて第1演算式を設定することができる。
【0035】
このとき、一度第1演算式が設定されてしまえば、その後は、光学ドライブ装置の光学特性が変わる(例えば、第1演算式を設定した光学ドライブ装置とは異なる光学ドライブ装置を新たに用いる)又は記録媒体の光学特性が変わる(例えば、他の記録媒体を光学ドライブ装置にローディングする)ことがない限りは、第2制御手段は、設定済みの第1演算式を用いることで比較的容易に第2制御量を算出することができる。従って、本実施形態の制御装置は、第1演算式を用いることなく逐次第2制御量を算出する(つまり、倍率変換素子を制御する都度、第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる第2制御量を逐次算出する)制御装置と比較して、第2制御量の算出に要する負荷を大幅に低減することができる。
【0036】
上述の如く第1演算式がn次の多項式によって規定される演算式である制御装置の態様では、前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をa(n)、a(n−1)、・・・、a(1)とし、且つ前記第1光ビームが照射される前記記録層から前記ガイド層までの距離に応じて定まる所定の定数をa(0)とすると、前記第1演算式は、y=a(n)×x+a(n−1)×xn−1+・・・+a(1)×x+a(0)であり、前記定数a(n)から定数a(1)は予め定められており、(i)前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第1制御量を算出し、(ii)当該第1制御量の算出後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第2制御量を算出し、(iii)算出された前記第1制御量及び前記第2制御量並びに前記第1演算式に基づいて前記定数a(0)を算出することで、前記第1演算式を設定する設定手段を更に備えるように構成してもよい。
【0037】
このように構成すれば、第1演算式が3次以上の多項式である場合であっても、第1演算式が2次の多項式である場合と同様に、設定手段は、予め定められている定数a(n)から定数a(1)、並びに自身で算出した定数a(0)を用いて第1演算式を設定することができる。更に、第1演算式が3次以上の多項式である場合であっても、第1演算式が2次の多項式である場合と同様に、本実施形態の制御装置は、第1演算式を用いることなく逐次第2制御量を算出する(つまり、倍率変換素子を制御する都度、第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる第2制御量を逐次算出する)制御装置と比較して、第2制御量の算出に要する負荷を大幅に低減することができる。
【0038】
上述の如く所定の演算式が第1演算式を含む制御装置の態様では、前記第1制御手段は、前記第2制御手段による制御後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値とならない場合には、前記第1制御量を更に調整した後に当該調整後の前記第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を再度制御し、前記第2制御手段は、調整後の前記第1制御量及び前記第1演算式に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を再度制御するように構成してもよい。
【0039】
このように構成すれば、第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となるまで、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第1演算式を用いた第2制御手段による倍率変換素子の制御が繰り返される。従って、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第2制御手段による倍率変換素子の制御が好適に行われる。
【0040】
加えて、このように構成すれば、第2光ビームの戻り光(つまり、ガイド層の戻り光)から得られる信号成分に基づいて、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第2制御手段による倍率変換素子の制御が繰り返される。このため、データが記録されていない記録層に第1光ビームが照射されている場合(つまり、第1光ビームの戻り光から、適切な制御が行われたか否かを判定することが可能な有効な信号成分を取得することが困難な場合)であっても、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第2制御手段による倍率変換素子の制御が好適に行われる。
【0041】
上述の如く所定の演算式から第2制御量が導かれる制御装置の態様では、前記演算式は、前記第1演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後に更に前記収差補正素子を制御する場合に用いられる第2演算式を含み、前記第1制御手段は、前記第1演算式を用いた前記第1及び前記第2制御手段による制御が行われた後に、前記第1制御量を基準とする所望の第1変動量だけ前記収差補正素子が更に駆動するように前記収差補正素子を更に制御し、前記第2制御手段は、前記第2制御量を基準として、前記第1変動量及び前記第2演算式から導かれる第2変動量だけ前記倍率変換素子が更に駆動するように前記倍率変換素子を更に制御するように構成してもよい。
【0042】
このように構成すれば、制御装置は、第1演算式を用いた第1及び第2制御手段による制御が行われた後に、第2演算式を用いて、収差補正素子の駆動状態及び倍率変換素子の駆動状態を更に微調整することができる。言い換えれば、制御装置は、第1演算式を用いて収差補正素子及び倍率変換素子を駆動すると共に、その後、第2演算式を用いて収差補正素子及び倍率変換素子を更に高精度に又は更に微細に駆動することができる。例えば、第1光ビームが照射される記録層が変更された場合には、まず第1演算式を用いた第1及び第2制御手段による制御が行われ、その後、変更後の記録層上で第2演算式を用いた第1及び第2制御手段による制御が更に行われる。従って、本実施形態の制御装置は、記録再生光学系に含まれる収差補正手素子及びガイド光学系に含まれる倍率変換素子の双方を好適に制御することができる。
【0043】
上述の如く所定の演算式が第2演算式を含む制御装置の態様では、前記第1制御手段の制御に伴う前記第1変動量をΔxとし、前記第2制御手段の制御に伴う前記第2変動量をΔyとし、前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をdとすると、前記第2演算式は、Δy=d×Δxであるように構成してもよい。
【0044】
このように構成すれば、第2制御手段は、第1変動量を変数とする1次の関数である第2演算式を用いて、第1変動量から第2変動量を比較的容易に算出することができる。尚、このような1次の関数である第2演算式を用いて第1変動量から第2変動量を算出することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0045】
上述の如く所定の演算式が第2演算式を含む制御装置の態様では、前記第1制御手段は、前記第2制御手段による制御後に前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値とならない場合には、前記第1変動量を更に調整した後に当該調整後の前記第1変動量だけ前記収差補正素子が更に駆動するように前記収差補正素子を再度制御し、前記第2制御手段は、調整後の前記第1変動量及び前記第2演算式に基づいて算出される前記第2変動量だけ前記倍率変換素子が更に駆動するように前記倍率変換素子を再度制御するように構成してもよい。
【0046】
このように構成すれば、第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となるまで、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第2演算式を用いた第2制御手段による倍率変換素子の制御が繰り返される。従って、第1制御手段による収差補正素子の制御及び第2制御手段による倍率変換素子の制御が好適に行われる。
【0047】
上述の如く所定の演算式が第2演算式を含む制御装置の態様では、前記第2演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後に、前記第1演算式を更新する更新手段を更に備え、前記更新手段は、前記第2演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後の時点での前記第1変動量の加算を加味した前記第1制御量及び前記第2変動量の加算を加味した前記第2制御量に基づいて前記第1演算式を更新するように構成してもよい。
【0048】
このように構成すれば、更新手段は、第1変動量の加算を加味した第1制御量(つまり、古い第1制御量に対して第1変動量を加算することで得られる新しい第1制御量)及び第2変動量の加算を加味した第2制御量(つまり、古い第2制御量に対して第2変動量を加算することで得られる新しい第2制御量)を用いて、第1演算式を更新することができる。
【0049】
尚、更新手段よる第1演算式の更新(例えば、上述した定数cの更新)は、上述した設定手段による第1演算式の設定と同様の態様でおこなわれてもよい。例えば、更新手段は、(i)予め定められている定数a及び定数b、並びに(ii)自身で算出する新たな第1制御量x及び新たな第2制御量y(つまり、第1制御量xと第2制御量yとの最適な組み合わせの他の一例)に基づいて算出される新たな定数cを用いて、第1演算式を更新してもよい。
【0050】
本実施形態の制御装置の他の態様では、同一の記録層内で前記第1光ビームを照射する位置が変更された後に、前記第2制御手段は、当該第2制御手段による制御後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となるような前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する。
【0051】
この態様によれば、第2制御手段は、同一の記録層内で第1光ビームを照射する位置(例えば、半径位置)が変更された場合に倍率変換素子を好適に制御することができる。
【0052】
上述の如く同一の記録層内で第1光ビームを照射する位置が変更された後に、第2制御手段が倍率変換素子を制御する制御装置の態様では、前記所望の値は、前記第2制御手段による制御が行われる前の時点であって且つ同一の記録層内で前記第1光ビームを照射する位置が変更される前の時点の前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分に固有の値であるように構成してもよい。
【0053】
このように構成すれば、第2制御手段は、同一の記録層内で第1光ビームを照射する位置(例えば、半径位置)が変更された場合に倍率変換素子を好適に制御することができる。
【0054】
尚、このような所望の値を用いて同一の記録層内で第1光ビームを照射する位置(例えば、半径位置)が変更された場合に倍率変換素子を好適に制御することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0055】
(制御方法の実施形態)
本実施形態の制御方法は、(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御方法であって、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御工程と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動することで前記第2光ビームの焦点位置が所望の位置に移動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御工程とを備える。
【0056】
本実施形態の制御方法によれば、上述した本実施形態の制御装置が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0057】
尚、上述した本実施形態の制御装置における各種態様に対応して、本実施形態の制御方法も各種態様を採ることが可能である。
【0058】
(光学ドライブ装置の実施形態)
本実施形態の光学ドライブ装置は、トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子と、前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動することで前記第2光ビームの焦点位置が所望の位置に移動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段とを備える。
【0059】
本実施形態の光学ドライブ装置によれば、上述した本実施形態の制御装置が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0060】
尚、上述した本実施形態の制御装置における各種態様に対応して、本実施形態の光学ドライブ装置も各種態様を採ることが可能である。
【0061】
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態の制御装置は、第1制御手段と、第2制御手段とを備える。本実施形態の制御方法は、第1制御工程と、第2制御工程とを備える。本実施形態の光学ドライブ装置は、第1光源と、第2光源と、収差補正素子と、倍率変換素子と、第1制御手段と、第2制御手段とを備える。従って、記録再生光学系に含まれる収差補正手素子及びガイド光学系に含まれる倍率変化手段の双方を好適に制御することができる。
【実施例】
【0063】
以下、図面を参照しながら、制御装置及び方法、並びに光学ドライブ装置の実施例について説明する。
【0064】
(1)光学ドライブ装置の構成
図1を参照して、本実施例の光学ドライブ装置1の構成について説明する。図1は、本実施例の光学ドライブ装置1の構成を示すブロック図である。
【0065】
図1に示すように、本実施例の光学ドライブ装置1は、光ディスク10と、記録再生光学系ブロック20と、ガイド光学系ブロック30と、共用光学系ブロック40と、信号処理ブロック50と、スピンドルモータ60とを備えている。
【0066】
光ディスク10は、1つのガイド層11と、3つの記録層12(具体的には、第1記録層12_L0、第2記録層12_L1及び第3記録層12_L2)とを備えている。第1記録層12_L0、第2記録層12_L1及び第3記録層12_L2は、ガイド層11側から見て、この順に積層されている。ガイド層11は、光ビームLB2及び光ビームLB3の入射側から見て、3つの記録層12よりも更に奥側に積層されている。ガイド層11には、トラッキング制御を行うためのガイドトラックが予め形成されている。ガイド用の光ビームLB3がガイドトラックに照射されることで、トラッキング制御が行われる。また、ガイドトラックの一部(例えば、ガイド層11の最内周に位置するガイドトラック)には、ディスク情報が記録されていてもよい。ディスク情報には、例えば、光ディスク10の記録条件や、光ディスク10の種類や、記録層12の数や、記録層12同士の間の間隔や、その他の光ディスク10に固有の情報や、アドレス情報等が含まれていてもよい。
【0067】
尚、光ディスク10が備える記録層12の数は、図1に示す「3つ」に限定されることはない。つまり、光ディスク10は、1つの記録層12のみを備えていてもよいし、2つの記録層12を備えていてもよいし、4つ以上の記録層12を備えていてもよい。
【0068】
記録再生光学系ブロック20は、光源21と、コリメータレンズ22と、光検出器23と、マルチレンズ24と、ビームスプリッタ25と、収差補正素子26とを備えている。また、共用光学系ブロック40は、合成プリズム41と、開口制限素子42と、1/4波長板43と、対物レンズ44と、フォーカスアクチュエータ45と、トラッキングアクチュエータ46とを備えている。
【0069】
光源21は、「第1光源」の一具体例であって、記録層12に対してデータを記録するための又は記録層12に記録されたデータを再生するための光ビームLB2(つまり、記録再生用の光ビームLB2であって、「第1光ビーム」の一具体例)を出射するレーザ素子である。光源21は、光ビームLB2として、例えば波長405nmの光ビームを照射してもよい。尚、光源21から出射される光ビームLB2は、ビームスプリッタ25の分離面に対してp偏光となるように調整されていることが好ましい。
【0070】
コリメータレンズ22は、光源21から出射された光ビームLB2を平行光に変換するレンズ素子である。コリメータレンズ22は、平行光に変換した光ビームLB2を、ビームスプリッタ25に供給する。
【0071】
ビームスプリッタ25は、例えば偏光ビームスプリッタ(PBS)である。ビームスプリッタ25は、コリメータレンズ22から供給される光ビームLB2の入射面に対して45度の分離面を有している。ビームスプリッタ25は、コリメータレンズ22から供給されるp偏光の光ビームLB2を、分離面をそのまま通過させる。その結果、ビームスプリッタ25は、分離面を通過した光ビームLB2を、収差補正素子26に供給する。
【0072】
収差補正素子26は、ケプラー型のエキスパンダレンズを構成する第1レンズ261及び第2レンズ262を含んでいる。第1レンズ261は、アクチュエータ263によって、光ビームLB2の光軸方向(図1中左右の方向)に沿って移動するように駆動される。初期状態では、平行光で入射した光ビームLB2が平行光のまま出射するように、第1レンズ261と第2レンズ262との間の間隔が調整されている。第1レンズ261が光ビームLB2の光軸方向に沿って移動することで、出射する光ビームLB2が拡散光や収束光へと変化する。その結果、収差補正素子26は、対物レンズ44で集光した光ビームLB2に対して球面収差を与えることができる。従って、例えば、光ディスク10の表面から記録層12までの距離が変化することで生ずる記録層12毎の球面収差が、収差補正素子26が与える球面収差によって打ち消されることにより補正される。尚、収差補正素子26として、ケプラー型のエキスパンダレンズに代えて、例えばガリレオ型のエキスパンダレンズや液晶素子等が用いられてもよい。
【0073】
合成プリズム41は、合成面の反射・透過特性が、当該合成面に入射する光ビームの波長によって異なる光学素子である。例えば、合成プリズム41は、405nm付近の波長の光ビーム(つまり、記録再生用の光ビームLB2)を合成面で反射し、660nm付近の波長の光ビーム(つまり、後述のガイド用の光ビームLB3)を合成面で透過させる特性を有している。このような合成プリズム41として、例えば、ダイクロイックプリズムが用いられる。この合成プリズム41により、収差補正素子26から供給される光ビームLB2は反射する。その結果、合成プリズム41は、光ビームLB2を光ディスク10の方向に向けて供給する。
【0074】
開口制限素子42は、合成プリズム41と対物レンズ44との間に配置される光学素子である。開口制限素子42は、記録再生用の光ビームLB2に対して何ら作用することはない。一方で、開口制限素子42は、ガイド用の光ビームLB3の開口を制限する。
【0075】
1/4波長板43は、合成プリズム41と対物レンズ44との間に配置される光学素子である。1/4波長板43は、光ビームLB2及び光ビームLB3の偏光状態を変化させる光学素子である。具体的には、光ビームLB2及び光ビームLB3は、光ディスク10に向かう往路で1/4波長板43を1回通過し且つ光ディスク10から戻る復路で1/4波長板43を更にもう1回通過する。この1/4波長板43の2回の通過により、光ビームLB2及び光ビームLB3の偏光の向きが90度変化する。その結果、1/4波長板43を通過する前の段階ではp偏光であった光ビームLB2及び光ビームLB3が、1/4波長板43を2回通過した段階でs偏光に変化する。
【0076】
尚、1/4波長板43は、広帯域に対応していることが好ましい。つまり、1/4波長板43は、少なくとも、光ビームLB2及び光ビームLB3の双方に対して1/4波長板として作用することが好ましい。
【0077】
対物レンズ44は、例えばブルーレイディスク(登録商標)の光学系に用いられる対物レンズと同様のレンズが用いられる。具体的には、対物レンズ44は、開口数NAが0.85に設定されており、且つ厚みが0.1mmのカバー層を有する光ディスク10に最適化されている。具体的には、収差補正素子26の第1レンズ261と第2レンズ262との間の間隔を初期状態の間隔に設定し且つ対物レンズ44と光ディスク10との間の距離(作動距離)を最適な値WD0に設定したときに、対物レンズ44は、光ディスク10の表面から0.1mmの深さにある記録層12に対して最適な集光スポットを形成することができる。また、対物レンズ44は、光ビームLB2及び光ビームLB3の光軸方向(図1の上下方向)に沿った移動を行うためのフォーカスアクチュエータ45と、光ビームLB2及び光ビームLB3の光軸に垂直な方向(図1の左右方向)に沿った移動を行うためのトラッキングアクチュエータ46とを更に備えている。フォーカスアクチュエータ45の動作は、信号処理ブロック50が備えるフォーカス制御部52によって制御される。トラッキングアクチュエータ46の動作は、信号処理ブロック50が備えるトラッキング制御部56によって制御される。
【0078】
光ディスク10のいずれかの記録層12で反射した記録再生用の光ビームLB2(つまり、光ビームLB2の戻り光)は、対物レンズ44、1/4波長板43、開口制限素子42、合成プリズム41及び収差補正素子26を介して、ビームスプリッタ25へと戻る。光ビームLB2の戻り光は、1/4波長板43の作用によってs偏光に変化している。この場合、ビームスプリッタ25は、その分離面で、s偏光の光ビームLB2の戻り光を90度の角度で反射する。その結果、ビームスプリッタ25は、光ビームLB2の戻り光を、マルチレンズ24に供給する。
【0079】
マルチレンズ24は、光ビームLB2の戻り光を光検出器23の受光面に集光させる。マルチレンズ24は、一方の面が球面で且つ他方の面がシリンドリカル面となる光学素子であり、非点収差法のフォーカスサーボを行う際に用いられる。
【0080】
光検出器23は、例えば4分割の受光面を有している。光検出器23は、分割された受光面毎に、受光強度に応じたレベルの電圧信号を生成する。光検出器23が生成した電圧信号は、信号処理ブロック50が備えるフォーカスエラー生成部51及びRF信号生成部53に供給される。フォーカスエラー生成部51は、光検出器23から供給される電圧信号から、FE(Focus Error:フォーカスエラー)信号を生成する。RF信号生成部53は、光検出器23から供給される電圧信号から、RF(Radio Frequency)信号を生成する。
【0081】
一方で、ガイド光学系ブロック30は、光源31と、コリメータレンズ32と、光検出器33と、マルチレンズ34と、ビームスプリッタ35と、倍率変換素子36とを備えている。
【0082】
光源31は、「第2光源」の一具体例であって、ガイド層11のガイドトラックに集光される光ビームLB3(つまり、トラッキング用の光ビームLB3であって、「第2光ビーム」の一具体例)を出射するレーザ素子である。光源31は、光ビームLB3として、例えば波長660nmの光ビームを照射してもよい。尚、光源31から出射される光ビームLB3は、ビームスプリッタ35の分離面に対してp偏光となるように調整されていることが好ましい。
【0083】
コリメータレンズ32は、光源31から出射された光ビームLB3を平行光に変換するレンズ素子である。コリメータレンズ32は、平行光に変換した光ビームLB3を、ビームスプリッタ35に供給する。
【0084】
ビームスプリッタ35は、例えば偏光ビームスプリッタ(PBS)である。ビームスプリッタ35は、コリメータレンズ32からの光ビームLB3の入射面に対して45度の分離面を有している。ビームスプリッタ35は、コリメータレンズ32から供給されるp偏光の光ビームLB3を、分離面をそのまま通過させる。その結果、ビームスプリッタ35は、分離面を通過した光ビームLB3を、倍率変換素子36に供給する。
【0085】
倍率変換素子36は、トラッキング用の光ビームLB3の光軸方向の集光スポットの位置(つまり、焦点位置)を移動させるための光学素子である。倍率変換素子36は、「レンズに入射する光ビームの拡散具合を変化させる(言い換えれば、光学倍率を変化させる)と集光スポットの位置が光軸上で変化する」という性質を利用している。倍率変換素子36は、記録再生光学系ブロック20の収差補正素子26と同様に、ケプラー型のエキスパンダレンズを構成する第1レンズ361及び第2レンズ362を含んでいる。第1レンズ361は、アクチュエータ363によって、光ビームLB3の光軸方向(図1中上下の方向)に沿って移動するように駆動される。第1レンズ361が光ビームLB3の光軸方向に沿って移動することで、出射する光ビームLB3が拡散光や収束光へと変化する。その結果、倍率変換素子36は、光ビームLB3の光軸方向の集光スポットの位置(つまり、焦点位置)を移動させることができる。尚、倍率変換素子36として、ケプラー型のエキスパンダレンズに代えて、例えばガリレオ型のエキスパンダレンズや液晶素子等が用いられてもよい。
【0086】
合成プリズム41は、上述したように660nm付近の波長の光ビーム(つまり、後述のガイド用の光ビームLB3)を合成面で透過させる。その結果、合成プリズム41は、光ビームLB3を光ディスク10の方向に向けて供給する。
【0087】
開口制限素子42は、光ビームLB3に対して、開口径を所定の大きさD0に制限する。また、1/4波長板43は、光ビームLB3に対して、光ビームLB2と同様に作用する。
【0088】
対物レンズ44は、1/4波長板43から供給される光ビームLB3に対しては、光ディスク10の内部の位置に集光スポットを形成する。この集光スポットの位置は、上述したように、倍率変換素子36により、光ビームLB3の光軸方向に沿って調整される。従って、作動距離WD0の状態でガイド層11の深さに集光スポットが形成されるように、第1レンズ361が移動させられる。
【0089】
但し、本実施例では、後述するように、倍率変換素子36の駆動状態(具体的には、第1レンズ361の駆動状態)は、収差補正素子26の駆動状態(具体的には、第1レンズ261の駆動状態)に追従するように制御される。尚、収差補正素子26及び倍率変換素子36の駆動の詳細な態様については、後に詳述する(図2以降参照)。
【0090】
光ディスク10のガイド層11で反射したトラッキング用の光ビームLB3(つまり、光ビームLB3の戻り光)は、対物レンズ44、1/4波長板43、開口制限素子42、合成プリズム41及び倍率変換素子36を介して、ビームスプリッタ35へと戻る。光ビームLB3の戻り光は、1/4波長板43の作用によってs偏光に変化している。この場合、ビームスプリッタ35は、その分離面で、s偏光の光ビームLB3の戻り光を90度の角度で反射する。その結果、ビームスプリッタ35は、光ビームLB3の戻り光を、マルチレンズ34に供給する。
【0091】
マルチレンズ34は、光ビームLB3の戻り光を光検出器33の受光面に集光させる。
【0092】
光検出器33は、例えば4分割の受光面を有している。光検出器33は、分割された受光面毎に、受光強度に応じたレベルの電圧信号を生成する。光検出器33が生成した電圧信号は、信号処理ブロック50が備えるトラッキングエラー生成部55に供給される。トラッキングエラー生成部55は、光検出器33から供給される電圧信号から、TE(Tracking Error:トラッキングエラー)信号を生成する。
【0093】
信号処理ブロック50は、フォーカスエラー生成部51と、フォーカス制御部52と、RF信号生成部53と、素子制御部54と、トラッキングエラー生成部55と、トラッキング制御部56とを備えている。
【0094】
フォーカスエラー生成部51は、光検出器23から供給される電圧信号から、FE信号を生成する。フォーカスエラー生成部51は、生成したFE信号をフォーカス制御部52に供給する。
【0095】
フォーカス制御部52は、フォーカスエラー生成部51から供給されるFE信号に応じて、フォーカスアクチュエータ45を動作させる。
【0096】
RF信号生成部53は、光検出器23から供給される電圧信号から、RF信号を生成する。RF信号生成部53は、生成したRF信号を素子制御部54に供給する。
【0097】
素子制御部54は、収差補正素子26の動作を制御する収差補正素子制御部541と、倍率変換素子36の動作を制御する倍率変換素子制御部542と、倍率変換素子制御部542の動作を規定することになる後述の追従式f1を設定する設定部543とを備える。収差補正素子制御部541、倍率変換素子制御部542及び設定部543の動作については後に詳述するため、ここでの詳細な説明は省略する。尚、素子制御部54が「制御装置」の一具体例を構成しており、収差補正素子制御部541が「第1制御手段」の一具体例を構成しており、倍率変換素子制御部542が「第2制御手段」の一具体例を構成しており、設定部543が「設定手段」及び「更新手段」の一具体例を構成している。
【0098】
トラッキングエラー生成部55は、光検出器33から供給される電圧信号から、TE信号を生成する。トラッキングエラー生成部55は、生成したTE信号をトラッキング制御部56及び素子制御部54に供給する。
【0099】
トラッキング制御部56は、トラッキングエラー生成部55から供給されるTE信号に応じて、トラッキングアクチュエータ46を動作させる。
【0100】
スピンドルモータ60は、光ディスク10をクランプすると共に、光ディスク10を回転駆動する。
【0101】
本実施例では、上述したように、素子制御部54は、倍率変換素子36の駆動状態(具体的には、第1レンズ361の駆動状態)が、収差補正素子26の駆動状態(具体的には、第1レンズ261の駆動状態)に追従するように、収差補正素子26及び倍率変換素子36を制御する。より具体的には、素子制御部54は、光ビームLB2の収差を補正することが可能な(言い換えれば、最良の品質のRF信号を得ることが可能な)所定の制御量xだけ収差補正素子26を駆動させる(具体的には、制御量xに応じた距離だけ第1レンズ261を移動させる)と共に、その後、制御量xを変数とする追従式f1から算出される制御量yだけ倍率変換素子36を駆動させる(具体的には、制御量yに応じた距離だけ第1レンズ361を移動させる)以下、この動作について詳細に説明する。
【0102】
尚、以下の説明では、収差補正素子26の制御量xは、収差補正素子26が備える第1レンズ261を移動させるアクチュエータ263(具体的には、ステッピングモータ)のステップ数である。但し、アクチュエータ263(具体的には、ステッピングモータ)のステップ数以外の任意の数値を制御量xとして取り扱ってもよいことは言うまでもない。
【0103】
同様に、以下の説明では、倍率変換素子36の制御量yは、倍率変換素子36が備える第1レンズ361を移動させるアクチュエータ363(具体的には、ステッピングモータ)のステップ数である。但し、アクチュエータ363(具体的には、ステッピングモータ)のステップ数以外の任意の数値を制御量yとして取り扱ってもよいことは言うまでもない。
【0104】
(2)第1動作例
(2−1)第1動作例の全体の流れ
図2を参照して、光学ドライブ装置1の第1動作例の全体の流れについて説明する。ここに、図2は、光学ドライブ装置1の第1動作例の全体の流れを示すフローチャートである。尚、図2では、光学ドライブ装置1が行う全ての動作のうち、収差補正素子26及び倍率変換素子36の制御に関連する動作に着目して説明を進める。
【0105】
図2に示すように、初めに、素子制御部54は、光学ドライブ装置1にローディングされている光ディスク10を対象として、追従式f1が既に設定されているか否かを判定する(ステップS11)。つまり、素子制御部54は、光学ドライブ装置1にローディングされている光ディスク10に対して、追従式f1を設定する動作(ステップS12)が一度でも行われたか否かを判定する。
【0106】
ステップS11の判定の結果、追従式f1が設定されていないと判定される場合には(ステップS11:No)、素子制御部54が備える設定部543は、追従式f1を設定する(ステップS12:図4参照)。その後、素子制御部54は、ステップS12で設定した追従式f1を用いて収差補正素子26及び倍率変換素子36を制御する(ステップS13:図5参照)。
【0107】
尚、第1動作例では、素子制御部54によって収差補正素子26及び倍率変換素子36が制御されるタイミングとして、追従式f1を設定した後に光ビームLB2の集光スポットが形成されている記録層12が変更された(例えば、第1記録層12_L0から第2記録層12_L1に変更された)タイミングを例示している。
【0108】
他方で、ステップS11の判定の結果、追従式f1が設定されていると判定される場合には(ステップS11:Yes)、素子制御部54は、追従式f1を設定することなく、既に設定されている追従式f1を用いて収差補正素子26及び倍率変換素子36を制御する(ステップS13:図5参照)。
【0109】
ここで、図3を参照して、追従式f1について説明する。ここに、図3は、追従式f1の態様を示すグラフである。
【0110】
図3に示すように、追従式f1は、収差補正素子26の最適な制御量xと倍率変換素子36の最適な制御量yとの対応付けを示している。例えば、図3は、収差補正素子26が制御量x0だけ駆動した(言い換えれば、収差補正素子26が制御量x0だけ駆動した状態にある)場合には、倍率変換素子36を駆動させる最適な制御量yがy0であることを示している。図3の各プロット点は、各記録層12における制御量xと制御量yの最適点を示している。より具体的には、図3の各プロット点が示すように、各記録層12における最適点は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12が光ディスク10のより奥側にシフトするほど、追従式f1上で左上方向にシフトする。同様に、図3に示すように、各記録層12における最適点は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12が光ディスク10のより手前側にシフトするほど、追従式f1上で右下方向にシフトする。このような追従式f1を用いて最適な制御量xと最適な制御量yと対応付けを特定することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0111】
図3に示すように、追従式f1は、光ディスク10のより奥側(具体的には、光ビームLB2及び光ビームLB3が入射してくる側から見て奥側)に収差が合う方向に向かって収差補正素子26が動作するように制御された場合には、倍率変換素子36が、光ディスク10のより手前側(具体的には、光ビームLB2及び光ビームLB3が入射してくる側から見て手前側)に光ビームLB3の集光スポットが形成されるように制御されることが好ましいことを示している。同様に、図3に示すように、追従式f1は、光ディスク10のより手前側に収差が合う方向に向かって収差補正素子26が動作するように制御された場合には、倍率変換素子36が、光ディスク10のより奥側に光ビームLB3の集光スポットが形成されるように制御されることが好ましいことを示している。
【0112】
加えて、図3に示すように、追従式f1は、光ディスク10のばらつきに依存して記録層12とのガイド層11までの間の距離が近くなればなるほど、f1からf1’の方向にシフトする。同様に、図3に示すように、追従式f1は、記録層12からガイド層11までの間の距離が遠くなればなるほど、f1からf1’’の方向にシフトする。
【0113】
このような追従式f1は、制御量yが制御量xの2次方程式(2次関数)で表現される数式によって特定される。例えば、追従式f1は、「y=a×x+b×x+c」という数式によって特定される。このとき、a及びbは、光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数である。このため、使用される光学ドライブ装置1が同一である限りは、定数a及び定数bが変動することは殆ど又は全くない。尚、定数a及びbは、光学ドライブ装置1の不図示のメモリ等に予め格納されていてもよい。また、cは、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12(或いは、任意の記録層12)からガイド層11までの間の距離に応じて定まる定数である。このため、定数cは、光ディスク10のばらつきに依存して光ディスク10毎に異なる可能性がある。従って、本実施例では、後述するように、まずは光学ドライブ装置1にローディングされた光ディスク10を対象として定数cを算出することで追従式f1が設定されている。その後は、同一の光ディスク10がローディングされている限りは、追従式f1は、設定済みの追従式f1が用いられることが好ましい(但し、第2動作例等で説明するように、同一の光ディスク10がローディングされている場合であっても、追従式f1が更新ないしは微調整されてもよい)。
【0114】
尚、追従式f1は、「y=a×x+b×x+c」という数式(つまり、2次の多項式)によって特定されることに代えて、「y=a(n)×x+a(n−1)×xn−1+・・・+a(1)×x+a(0)」という数式(つまり、n(但し、nは3以上の整数)次の多項式)によって特定されてもよい。このとき、a(n)からa(1)は、光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数である。このため、使用される光学ドライブ装置1が同一である限りは、定数a(n)から定数a(1)が変動することは殆ど又は全くない。尚、定数a(n)から定数a(1)は、光学ドライブ装置1の不図示のメモリ等に予め格納されていてもよい。また、a(0)は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12(或いは、任意の記録層12)からガイド層11までの間の距離に応じて定まる定数である。このため、定数a(0)は、光ディスク10のばらつきに依存して光ディスク10毎に異なる可能性がある。従って、本実施例では、後述するように、まずは光学ドライブ装置1にローディングされた光ディスク10を対象として定数a(0)を算出することで追従式f1が設定されてもよい。その後は、同一の光ディスク10がローディングされている限りは、追従式f1は、設定済みの追従式f1が用いられることが好ましい(但し、第2動作例等で説明するように、同一の光ディスク10がローディングされている場合であっても、追従式f1が更新ないしは微調整されてもよい)。
【0115】
以下、図2のステップS12に示す「追従式f1の設定処理」及び図2のステップS13に示す「記録層変更時の収差補正処理」の詳細について順に説明を進める。
【0116】
(2−2)追従式f1の設定処理
図4を参照して、図2のステップS12に示す「追従式f1の設定処理」について説明する。ここに、図4は、図2のステップS12に示す「追従式f1の設定処理」の流れを示すフローチャートである。
【0117】
図4に示すように、初めに、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットを、RF信号が存在する記録層12(つまり、データが記録済みの記録層12)に合わせる(ステップS121)。このとき、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットを、記録再生用の光ビームLB2によってデータが記録済みの記録層12に代えて、例えばエンボスピットや任意の光ビームによって光ディスク10の製造時にデータが予め記録されている記録層12に合わせてもよい。その結果、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットを、RF信号が存在する記録層12内のRF信号が存在する記録領域に合わせる。
【0118】
その後、収差補正素子制御部541は、収差補正素子26の制御量xを変更すると共に、変更後の制御量xだけ収差補正素子26が駆動する(言い換えれば、収差補正素子26の状態が、変更後の制御量xだけ駆動した状態となる)ように収差補正素子26を制御する(ステップS122)。
【0119】
その後、収差補正素子制御部541は、RF信号生成部53が生成するRF信号が最良(例えば、「RF信号の振幅が最大」、あるいは「RF信号が最適」)となっているか否かを判定する(ステップS123)。このとき、RF信号生成部53がRF信号を生成している間は、不図示のDPD(Differential Phase Detection)トラッキングエラー生成部が生成するTE信号を用い、トラッキングはクローズ状態に設定されることが好ましい。
【0120】
ステップS123の判定の結果、RF信号が最良となっていないと判定される場合には(ステップS123:No)、ステップS122の動作が繰り返される。つまり、収差補正素子制御部541は、収差補正素子26の制御量xを再度変更すると共に、変更後の制御量xだけ収差補正素子26が駆動するように収差補正素子26を制御する。以降、このような収差補正素子制御部541の動作が、RF信号が最良となるまで繰り返される。
【0121】
他方で、ステップS123の判定の結果、RF信号が最良となっていると判定される場合には(ステップS123:Yes)、続いて、倍率変換素子制御部542は、倍率変換素子36の制御量yを変更すると共に、変更後の制御量yだけ倍率変換素子36が駆動する(言い換えれば、倍率変換素子36の状態が、変更後の制御量yだけ駆動した状態となる)ように倍率変換素子36を制御する(ステップS124)。
【0122】
その後、倍率変換素子制御部542は、トラッキングエラー生成部55が生成するTE信号が最良(例えば、「TE信号の振幅が最大」、あるいは「TE信号が最適」)となっているか否かを判定する(ステップS125)。このとき、トラッキングエラー生成部55がTE信号を生成する間は、トラッキングはオープン状態に設定されることが好ましい。
【0123】
ステップS125の判定の結果、TE信号が最良となっていないと判定される場合には(ステップS125:No)、ステップS124の動作が繰り返される。つまり、倍率変換素子制御部542は、倍率変換素子36の制御量yを再度変更すると共に、変更後の制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する。以降、このような倍率変換素子制御部542の動作が、TE信号が最良となるまで繰り返される。
【0124】
他方で、ステップS125の判定の結果、TE信号が最良となっていると判定される場合には(ステップS125:Yes)、設定部543は、RF信号が最良となると判定された時点での収差補正素子26の制御量x及びTE信号が最良となると判定された時点での倍率変換素子の制御量y並びに光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数a及びbに基づいて、上述した追従式f1に含まれる定数cを算出する(ステップS126)。具体的には、上述した追従式f1:y=a×x+b×x+cは、c=y−a×x−b×xという数式に変換することができる。従って、c=y−a×x−b×xという数式に対して、RF信号が最良となると判定された時点での収差補正素子26の制御量x及びTE信号が最良となると判定された時点での倍率変換素子の制御量y並びに光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数a及びbを代入することで、定数cが算出される。その結果、追従式f1が設定される。
【0125】
尚、図4では、追従式f1が「y=a×x+b×x+c」という数式(つまり、2次の多項式)によって特定される場合の定数cを算出する動作について説明している。しかしながら、追従式f1が「y=a(n)×x+a(n−1)×xn−1+・・・+a(1)×x+a(0)」という数式(つまり、n次の多項式)によって特定される場合の定数a(0)を算出する場合も、図4に示す動作と同様の動作が行われてもよい。
【0126】
(2−3)記録層変更時の収差補正処理
続いて、図5を参照して、図2のステップS13に示す「記録層変更時の収差補正処理」の流れについて説明する。図5は、図2のステップS13に示す「記録層変更時の収差補正処理」の流れを示すフローチャートである。
【0127】
図5に示すように、光学ドライブ装置1は、任意の記録層12に対してフォーカスジャンプする(ステップS131)。つまり、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットを、ある記録層12から他の記録層12へと移動させる。
【0128】
その後、収差補正素子制御部541は、フォーカスジャンプ先の記録層12に対応するように収差補正素子26の制御量xを変更すると共に、変更後の制御量xだけ収差補正素子26が駆動するように収差補正素子26を制御する(ステップS132)。尚、光ディスク10の構造は規格によって定められているため、一般的には、各記録層12の間の距離(間隔)は、光学ドライブ装置1にとって既知である。また、光学ドライブ装置1は、光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12の位置の違いに応じて生ずる収差や当該収差を補正するための収差補正素子26の制御量xを、予めパラメータとして記憶しておくことができる。このため、本実施例では、収差補正素子制御部541は、予め記憶されたパラメータ等を参照することで、フォーカスジャンプ先の記録層12に対応するように収差補正素子26の制御量xを比較的容易に変更することができる。
【0129】
その後、倍率変換素子制御部542は、ステップS132で変更された制御量xを追従式f1に代入することで倍率変換素子36の制御量yを算出すると共に、算出された制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する(ステップS133)。つまり、倍率変換素子制御部542は、制御量xから一律にないしは自動的に算出される制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御すれば足りる。言い換えれば、倍率変換素子制御部542は、制御量yを独自に算出する(例えば、TE信号を監視しながら制御量yを逐次算出)ことなく、倍率変換素子36を制御することができる。
【0130】
以上説明したように、第1動作例によれば、光学ドライブ装置1は、制御量xに基づく収差補正素子26の駆動に合わせて、制御量yに基づく倍率変換素子36の駆動を実現することができる。言い換えれば、光学ドライブ装置1は、まず初めに制御量xに基づいて収差補正素子26を駆動させ、その後、制御量xに基づく収差補正素子26の駆動に追従するように、制御量x及び追従式f1から算出される制御量yに基づいて倍率変換素子36を駆動させることができる。つまり、光学ドライブ装置1は、倍率変換素子36の駆動を、収差補正素子26の駆動に追従させることができる。言い換えれば、光学ドライブ装置1は、倍率変換素子36を駆動するために、倍率変換素子36を駆動する都度TE信号を監視しなくともよくなる。従って、光学ドライブ装置1は、収差補正素子26の駆動と倍率変換素子36の駆動とを別個独立に行わなくともよくなる。従って、光学ドライブ装置1は、記録再生光学系ブロック20に含まれる収差補正素子26及びガイド光学系ブロック30に含まれる倍率変換素子36の双方を好適に制御することができる。
【0131】
仮に、記録再生光学系ブロック20に含まれる収差補正手素子26を、RF信号に基づいて、倍率変換素子36の駆動とは独立して制御しようとすると、以下に示す技術的問題点が生ずる。具体的には、例えば、収差補正素子26が駆動されると、当該収差補正素子26の駆動による影響は、記録再生用の光ビームLB2のみならずトラッキング用の光ビームLB3にも及んでしまいかねない。より具体的には、例えば、TE信号が最良となるように倍率変換素子36が駆動された状態で収差補正素子26のみが駆動された場合には、倍率変換素子36が駆動されていないにも関わらず、当該収差補正素子26の制御によってTE信号が最良とならなくなってしまう場合がある。このため、倍率変換素子36の駆動と収差補正素子26の駆動とを別個独立に行うことは、技術的に困難であるか又は煩雑な制御が必要となってしまうという技術的な問題点が生ずる。しかるに、第1動作例では、上述した追従式f1を用いることで、記録再生光学系ブロック20に含まれる収差補正素子26及びガイド光学系ブロック30に含まれる倍率変換素子36の双方を好適に制御することができる。
【0132】
更に、一度追従式f1が設定されてしまえば、その後は、光学ドライブ装置1の光学特性が変わる(例えば、追従式f1を設定した光学ドライブ装置1とは異なる光学ドライブ装置1を新たに用いる)又は光ディスク10の光学特性が変わる(例えば、他の光ディスク10を光学ドライブ装置1にローディングする)ことがない限りは、倍率変換素子制御部542は、設定済みの追従式f1を用いることで制御量xから比較的容易に制御量yを算出することができる。従って、光学ドライブ装置1は、追従式f1を用いることなく逐次制御量yを算出する(つまり、倍率変換素子36を駆動する都度、光ビームLB3の戻り光から得られる信号成分であるTE信号が最良となる制御量yを逐次算出する)比較例の光学ドライブ装置と比較して、制御量yの算出に要する負荷を大幅に低減することができる。
【0133】
尚、上述した説明では、倍率変換素子36の駆動を収差補正素子26の駆動に追従させている。しかしながら、逆に、収差補正素子26の駆動を倍率変換素子36の駆動に追従させてもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0134】
(3)第1動作例の変形動作例
続いて、図6を参照して、第1動作例の変形動作例について説明する。ここに、図6は、第1動作例の変形動作例の流れを示すフローチャートである。尚、上述した第1動作例と同様の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0135】
図6に示すように、変形動作例では、第1動作例と比較して、記録層変更時の収差補正処理(図2のステップS13の動作)が異なっている。具体的には、光学ドライブ装置1は、第1動作例と同様に、任意の記録層12に対してフォーカスジャンプする(ステップS131)。その後、収差補正素子制御部541は、第1動作例と同様に、フォーカスジャンプ先の記録層12に対応するように収差補正素子26の制御量xを変更すると共に、変更後の制御量xだけ収差補正素子26が駆動するように収差補正素子26を制御する(ステップS132)。その後、倍率変換素子制御部542は、第1動作例と同様に、ステップS132で変更された制御量xを追従式f1に代入することで倍率変換素子36の制御量yを算出すると共に、算出された制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する(ステップS133)。
【0136】
その後、変形動作例では、倍率変換素子制御部542(或いは、収差補正素子制御部541)は、トラッキングエラー生成部55が生成するTE信号が最良(例えば、「TE信号の振幅が最大」、あるいは「TE信号が最適」)となっているか否かを判定する(ステップS134a)。
【0137】
ステップS134aの判定の結果、TE信号が最良となっていないと判定される場合には(ステップS134a:No)、ステップS132及びステップS133の動作が繰り返される。つまり、収差補正素子制御部541は、収差補正素子26の制御量xを再度変更すると共に、変更後の制御量xだけ収差補正素子26が駆動するように収差補正素子26を制御する。更に、倍率変換素子制御部542は、変更後の制御量xを追従式f1に代入することで倍率変換素子36の制御量yを新たに算出すると共に、新たに算出された制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する。以降、このような収差補正素子制御部541及び倍率変換素子制御部542の動作が、TE信号が最良となるまで繰り返される。
【0138】
他方で、ステップS134aの判定の結果、TE信号が最良となっていると判定される場合には(ステップS134a:Yes)、動作が終了する。
【0139】
以上説明したように、変形動作例によれば、光学ドライブ装置1は、上述した第1動作例によって享受することができる効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0140】
加えて、変形動作例によれば、トラッキング用の光ビームLB3の戻り光から得られるTE信号に基づいて、収差補正素子制御部541による収差補正素子26の制御及び倍率変換素子制御部542による倍率変換素子36の制御が繰り返される。このため、データが記録されていない記録層12に記録再生用の光ビームLB2が照射されている場合(つまり、光ビームLB2の戻り光からRF信号を取得することが困難な場合)であっても、収差補正素子制御部541による収差補正素子26の制御及び倍率変換素子制御部542による倍率変換素子36の制御が好適に行われる。但し、TE信号に加えて又は代えてRF信号に基づいて、収差補正素子制御部541による収差補正素子26の制御及び倍率変換素子制御部542による倍率変換素子36の制御が繰り返されてもよい。
【0141】
(4)第2動作例
(4−1)第2動作例の全体の流れ
図7を参照して、光学ドライブ装置1の第2動作例の全体の流れについて説明する。図7は、光学ドライブ装置1の第2動作例の全体の流れを示すフローチャートである。尚、上述した第1動作例と同様の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0142】
図7に示すように、第2動作例においても、第1動作例と同様に、ステップS11からステップS13の動作が行われる。つまり、初めに、素子制御部54は、光学ドライブ装置1にローディングされている光ディスク10を対象として、追従式f1が既に設定されているか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11の判定の結果、追従式f1が設定されていないと判定される場合には(ステップS11:No)、素子制御部54が備える設定部543は、追従式f1を設定する(ステップS12:図4参照)。その後、素子制御部54は、ステップS12で設定した追従式f1を用いて収差補正素子26及び倍率変換素子36の動作を制御する(ステップS13:図5参照)。他方で、ステップS11の判定の結果、追従式f1が設定されていると判定される場合には(ステップS11:Yes)、素子制御部54は、追従式f1を設定することなく、既に設定されている追従式f1を用いて収差補正素子26及び倍率変換素子36の動作を制御する(ステップS13:図5参照)。
【0143】
第2動作例では更に、素子制御部54は、ステップS13の「記録層変更時の収差補正処理」に続けて、更に、収差補正の微調整処理(具体的には、収差補正素子26及び倍率変換素子36の微調整処理)を行う(ステップS21)。以下、「収差補正の微調整処理」について説明を進める。
【0144】
(4−2)収差補正の微調整処理
続いて、図8を参照して、図7のステップS21に示す「収差補正の微調整処理」について説明する。ここに、図8は、図7のステップS21に示す「収差補正の微調整処理」の流れを示すフローチャートである。
【0145】
図8に示すように、収差補正素子制御部541は、収差補正素子26の制御量x(つまり、図7のステップS13(図5のステップS132)で設定された制御量x)を変動量Δxだけ変更すると共に、変動量Δxだけ変更した後の新たな制御量xだけ収差補正素子26が駆動するように収差補正素子26を制御する(ステップS211)。つまり、収差補正素子制御部541は、変動量Δxだけ収差補正素子26が更に駆動するように収差補正素子26を制御する。
【0146】
その後、倍率変換素子制御部542は、ステップS211で適用された変動量Δxを上述した追従式f1とは異なる追従式f2に代入することで変動量Δyを算出する。ここで、追従式f1とは異なる追従式f2を用いるのは以下の理由からである。まず、図8に示す「収差補正の微調整処理」が開始される時点で、既に追従式f1に基づく収差補正素子制御部541による収差補正素子26の制御及び倍率変換素子制御部542による倍率変換素子36の制御が完了している。従って、倍率変換素子36は、既に、TE信号が最良となる制御量yだけ駆動するように制御されている。従って、その後の収差補正素子26の微調整に追従するために追従式f1を用いて倍率変換素子36を駆動させると、ガイド用の光ビームLB3の集光スポットの位置が最良な位置からずれてしまいかねない。その結果、TE信号の品質が劣化してしまうがゆえにトラッキングサーボが外れてしまいかねない。従って、第2動作例では、追従式f1を用いた制御が完了した後の収差補正素子26の微調整に追従させるために、追従式f1とは異なる追従式f2を用いて倍率変換素子36を駆動させている。
【0147】
更に、倍率変換素子制御部542は、倍率変換素子36の制御量y(つまり、図7のステップS13(図5のステップS133)で設定された制御量y)を算出された変動量Δyだけ変更すると共に、変動量Δyだけ変更した後の新たな制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する(ステップS212)。つまり、倍率変換素子制御部542は、変動量Δyだけ倍率変換素子36が更に駆動するように倍率変換素子36を制御する。
【0148】
尚、上述した変動量Δx及び変動量Δyには、任意のオーダーの値が設定されてもよい。但し、変動量Δx及び変動量Δyが微調整のために用いられることを考慮して、適切な値(具体的には、制御量x及び制御量yに対して相対的に小さい値であり、例えば1ステップないしは数ステップの値)が設定されることが好ましい。
【0149】
ここで、図9を参照して、第2動作例で用いられる追従式f2について説明する。ここに、図9は、追従式f2の態様を示すグラフである。
【0150】
図9に示すように、追従式f2は、記録層12毎の収差補正素子26の最適な制御量xと倍率変換素子36の最適な制御量yとの対応付けを示している。例えば、図9は、収差補正素子26が変動量Δx1だけ更に駆動した場合には、倍率変換素子36を更に駆動させるための最適な変動量ΔyがΔy1であることを示している。このような追従式f2を用いて最適な制御量xと最適な制御量yと対応付けを特定することができることは、本願発明者等のシミュレーションないしは実験等により確認されている。
【0151】
図9に示すように、追従式f2は、光ディスク10のより奥側に収差が合う方向に向かって収差補正素子26が動作するように制御された場合には、倍率変換素子36が、光ディスク10のより奥側に光ビームLB3の集光スポットが形成されるように制御されることが好ましいことを示している。同様に、図9に示すように、追従式f1は、光ディスク10のより手前側に収差が合う方向に向かって収差補正素子26が動作するように制御された場合には、倍率変換素子36が、光ディスク10のより手前側に光ビームLB3の集光スポットが形成されるように制御されることが好ましいことを示している。
【0152】
加えて、図9に示すように、追従式f2は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12(或いは、任意の記録層12)が光ディスク10のより奥側にシフトするほど、f2からf2’の方向にシフトする。同様に、図9に示すように、追従式f2は、記録再生用の光ビームLB2の集光スポットが形成される記録層12が光ディスク10のより手前側にシフトするほど、f2からf2’’の方向にシフトする。
【0153】
このような追従式f2は、変動量Δyが変動量Δxの1次方程式(1次関数)にて示される数式によって特定される。例えば、追従式f2は、「Δy=d×Δx」という数式によって特定される。このとき、dは、光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数である。このため、光学ドライブ装置1が同一である限りは、定数dが変動することはない。尚、定数dは、光学ドライブ装置1の不図示のメモリ等に予め格納されていてもよい。或いは、追従式f2そのものが、光学ドライブ装置1に予め設定されていてもよい。
【0154】
再び図8において、その後、倍率変換素子制御部542(或いは、収差補正素子制御部541)は、RF信号生成部53が生成するRF信号が最良(例えば、「RF信号の振幅が最大」、あるいは「RF信号が最適」)となっているか否かを判定する(ステップS213)。但し、倍率変換素子制御部542(或いは、収差補正素子制御部541)は、RF信号生成部53が生成するRF信号に加えて又は代えて、トラッキングエラー生成部55が生成するTE信号が最良(例えば、「TE信号の振幅が最大」、あるいは「TE信号が最適」)となっているか否かを判定してもよい。
【0155】
ステップS213の判定の結果、RF信号が最良となっていないと判定される場合には(ステップS213:No)、ステップS211及びステップS212の動作が繰り返される。つまり、収差補正素子制御部541は、変動量Δxを変更すると共に、変更後の変動量Δxだけ収差補正素子26が更に駆動するように収差補正素子26を制御する。更に、倍率変換素子制御部542は、変動量Δyを変更すると共に、変更後の変動量Δyだけ倍率変換素子36が更に駆動するように倍率変換素子36を制御する。以降、このような収差補正素子制御部541及び倍率変換素子制御部542の動作が、RF信号が最良となるまで繰り返される。
【0156】
他方で、ステップS213の判定の結果、RF信号が最良となっていると判定される場合には(ステップS213:Yes)、設定部543は、ステップS211において用いられた変動量Δxを反映した後の制御量x及びステップS212において用いられた変動量Δyを反映した後の制御量y並びに光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数a及びbに基づいて、上述した追従式f1に含まれる定数cを新たに算出する(ステップS214)。尚、ステップS214の動作は、図4のステップS126の動作と同様である)。その結果、追従式f1が更新される。
【0157】
以上説明したように、第2動作例によれば、光学ドライブ装置1は、上述した第1動作例によって享受することができる効果と同様の効果を好適に享受することができる。
【0158】
加えて、第2動作例によれば、光学ドライブ装置1は、追従式f2を用いて収差補正素子26及び倍率変換素子36の微調整処理を行うことができる。このため、光ディスク10のばらつき等による悪影響を、微調整処理によって打ち消すことができる。従って、光学ドライブ装置1は、記録再生光学系ブロック20に含まれる収差補正素子26及びガイド光学系ブロック30に含まれる倍率変換素子36の双方をより一層好適に制御することができる。
【0159】
(5)第2動作例の変形例
続いて、図10を参照して、第2動作例の変形例について説明する。ここに、図10は、第2動作例の変形動作例の流れを示すフローチャートである。尚、上述した第2動作例と同様の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明は省略する。
【0160】
図10に示すように、変形動作例では、第2動作例と比較して、収差補正の微調整処理(図7のステップS21の動作)が異なっている。具体的には、素子制御部54は、まず、記録再生用の光ビームLB2を照射する半径位置が変更されるか否かを判定する(ステップS215a)。つまり、変形動作例では、光ビームLB2を照射する半径位置が変更される場合に発生する誤差を解消するために、収差補正の微調整処理が行われる。というのも、光ビームLB2を照射する半径位置が変更される場合には、光ディスク10のばらつき等に起因して、記録層12からガイド層11までの距離もまた変化する可能性がある。記録層12からガイド層11までの距離が変化する場合には、上述したように追従式f1が変化する。従って、光ビームLB2を照射する半径位置が変更される前に設定した追従式f1だけでは、倍率変換素子36が好適に制御されない可能性がある。その結果、ガイド層11から好適なTE信号が得られなくなってしまいかねない。従って、変形動作例では、このような不都合を未然に防ぐために、収差補正の微調整処理が行われる。
【0161】
ステップS215aの判定の結果、記録再生用の光ビームLB2を照射する半径位置が変更されないと判定される場合には(ステップS215a:No)、光学ドライブ装置1はその動作を終了する。
【0162】
他方で、ステップS215aの判定の結果、記録再生用の光ビームLB2を照射する半径位置が変更されると判定される場合には(ステップS215a:Yes)、倍率変換素子制御部542は、現在のガイド光学系ブロック30のFE信号(つまり、トラッキング用の光ビームLB3の戻り光から生成されるFE信号)を、目標値として記憶する(ステップS216a)。或いは、倍率変換素子制御部542は、追従式f1を設定した時点でのガイド光学系ブロック30のFE信号(つまり、トラッキング用の光ビームLB3の戻り光から生成されるFE信号)を、目標値として記憶してもよい。尚、光ディスク10の周内変動や面ぶれ等に起因してFE信号が変動する場合には、フィルタリング処理等を施すことでFE信号のDC成分のみが抽出されてもよい。この場合には、ステップS216aでは、FE信号のDC成分が記憶される。また、ガイド光学系ブロック30のFE信号を生成するために、信号処理ブロック50は、トラッキング用の光ビームLB3の戻り光からFE信号を生成するフォーカスエラー生成部を備えていることが好ましい。
【0163】
その後、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2を照射する半径位置を変更する(ステップS217a)。
【0164】
その後、倍率変換素子制御部542は、倍率変換素子36の制御量y(つまり、図7のステップS13(図5のステップS133)で設定された制御量y)を変動量Δyだけ変更すると共に、変動量Δyだけ変更した後の新たな制御量yだけ倍率変換素子36が駆動するように倍率変換素子36を制御する(ステップS218a)。つまり、倍率変換素子制御部542は、変動量Δyだけ倍率変換素子36が更に駆動するように倍率変換素子36を制御する。
【0165】
その後、倍率変換素子制御部542は、現在のガイド光学系ブロック30のFE信号が、ステップS216aで記憶した目標値と一致するか否かを判定する(ステップS219a)。
【0166】
ステップS219aの判定の結果、現在のガイド光学系ブロック30のFE信号が、ステップS216aで記憶した目標値と一致しないと判定される場合には(ステップS219a:No)、ステップS218aの動作が繰り返される。つまり、倍率変換素子制御部542は、変動量Δyを変更すると共に、変更後の変動量Δyだけ倍率変換素子36が更に駆動するように倍率変換素子36を制御する。以降、このような倍率変換素子制御部542の動作が、FE信号が目標値に一致するまで繰り返される。
【0167】
他方で、ステップS219aの判定の結果、現在のガイド光学系ブロック30のFE信号が、ステップS216aで記憶した目標値と一致すると判定される場合には(ステップS219a:Yes)、設定部543は、ステップS218aにおいて用いられた変動量Δyを反映した後の制御量y並びに光学ドライブ装置1の光学特性に応じて一律に定まる定数a及びbに基づいて、上述した追従式f1に含まれる定数cを新たに算出する(ステップS214)。
【0168】
以上説明したように、変形動作例によれば、光学ドライブ装置1は、上述した第1動作例によって享受することができる効果と同様の効果を好適に享受することができる。加えて、変形動作例によれば、光学ドライブ装置1は、記録再生用の光ビームLB2を照射する半径位置を変更した場合であっても、倍率変換素子36を好適に制御することができる。
【0169】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う制御装置及び方法、並びに光学ドライブ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0170】
1 光学ドライブ装置
10 光ディスク
11 ガイド層
12 記録層
20 記録再生系ブロック
21 光源
26 収差補正素子
30 ガイド系ブロック
31 光源
36 倍率変換素子
50 信号処理ブロック
54 素子制御部
541 収差補正素子制御部
542 倍率変換素子制御部
543 設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御装置であって、
前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、
前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段と
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第2制御手段は、前記第1制御量を変数とする所定の演算式であって且つ前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の演算式から導かれる前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記所定の演算式は、前記第1光ビームが照射される記録層が変更される場合に用いられる第1演算式を含み、
前記第1制御手段は、前記第1光ビームが照射される記録層が変更された場合に、変更後の記録層上で生ずる前記収差を補正するための前記第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御し、
前記第2制御手段は、前記第1制御量及び前記第1演算式から導かれる前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1制御量をxとし、前記第2制御量をyとし、前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をa及びbとし、且つ前記第1光ビームが照射される前記記録層から前記ガイド層までの距離に応じて定まる所定の定数をcとすると、前記第1演算式は、y=a×x+b×x+cであることを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1制御量をxとし、前記第2制御量をyとすると、前記第1演算式は、前記第2制御量yが第1制御量xのn(但し、nは3以上の整数)次の多項式によって規定される演算式であることを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記定数a及び前記定数bは予め定められており、
(i)前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第1制御量を算出し、(ii)当該第1制御量の算出後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第2制御量を算出し、(iii)算出された前記第1制御量及び前記第2制御量並びに前記第1演算式に基づいて前記定数cを算出することで、前記第1演算式を設定する設定手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をa(n)、a(n−1)、・・・、a(1)とし、且つ前記第1光ビームが照射される前記記録層から前記ガイド層までの距離に応じて定まる所定の定数をa(0)とすると、前記第1演算式は、y=a(n)×x+a(n−1)×xn−1+・・・+a(1)×x+a(0)であり、
前記定数a(n)から定数a(1)は予め定められており、
(i)前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第1制御量を算出し、(ii)当該第1制御量の算出後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となる場合の前記第2制御量を算出し、(iii)算出された前記第1制御量及び前記第2制御量並びに前記第1演算式に基づいて前記定数a(0)を算出することで、前記第1演算式を設定する設定手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1制御手段は、前記第2制御手段による制御後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値とならない場合には、前記第1制御量を更に調整した後に当該調整後の前記第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を再度制御し、
前記第2制御手段は、調整後の前記第1制御量及び前記第1演算式に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を再度制御することを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記演算式は、前記第1演算式を用いた前記第1及び前記第2制御手段による制御が行われた後に更に前記収差補正素子を制御する場合に用いられる第2演算式を含み、
前記第1制御手段は、前記第1演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後に、前記第1制御量を基準とする所望の第1変動量だけ前記収差補正素子が更に駆動するように前記収差補正素子を更に制御し、
前記第2制御手段は、前記第2制御量を基準として、前記第1変動量及び前記第2演算式から導かれる第2変動量だけ前記倍率変換素子が更に駆動するように前記倍率変換素子を更に制御することを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1制御手段の制御に伴う前記第1変動量をΔxとし、前記第2制御手段の制御に伴う前記第2変動量をΔyとし、前記光学ドライブ装置の光学特性に応じて定まる所定の定数をdとすると、前記第2演算式は、Δy=d×Δxであることを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1制御手段は、前記第2制御手段による制御後に前記第1光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値とならない場合には、前記第1変動量を更に調整した後に当該調整後の前記第1変動量だけ前記収差補正素子が更に駆動するように前記収差補正素子を再度制御し、
前記第2制御手段は、調整後の前記第1変動量及び前記第2演算式に基づいて算出される前記第2変動量だけ前記倍率変換素子が更に駆動するように前記倍率変換素子を再度制御することを特徴とする請求項9又は10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第2演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後に、前記第1演算式を更新する更新手段を更に備え、
前記更新手段は、前記第2演算式を用いた前記第1及び第2制御手段による制御が行われた後の時点での前記第1変動量の加算を加味した前記第1制御量及び前記第2変動量の加算を加味した前記第2制御量に基づいて前記第1演算式を更新する請求項9から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
同一の記録層内で前記第1光ビームを照射する位置が変更された後に、前記第2制御手段は、当該第2制御手段による制御後に前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分が所望の値となるような前記第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
前記所望の値は、前記第2制御手段による制御が行われる前の時点であって且つ同一の記録層内で前記第1光ビームを照射する位置が変更される前の時点の前記第2光ビームの戻り光から得られる信号成分に固有の値であることを特徴とする請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
(i)トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、(ii)前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、(iii)前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、(iv)前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子とを備える光学ドライブ装置を制御する制御方法であって、
前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御工程と、
前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御工程と
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
トラッキング用のトラックが形成されたガイド層及び前記ガイド層上に積層された複数の記録層を有する記録媒体の前記複数の記録層のうち一の記録層に対して、記録再生用の第1光ビームを照射する第1光源と、
前記ガイド層に対して、トラッキング用の第2光ビームを照射する第2光源と、
前記第1光ビームの光路上に配置され、前記第1光ビームに係る収差を補正可能な収差補正素子と、
前記第2光ビームの光路上に配置され、前記第2光ビームの焦点位置を当該第2光ビームの光軸方向に沿って移動させる倍率変換素子と、
前記収差を補正可能な第1制御量だけ前記収差補正素子が駆動するように前記収差補正素子を制御する第1制御手段と、
前記第1制御量に基づいて算出される第2制御量だけ前記倍率変換素子が駆動するように前記倍率変換素子を制御する第2制御手段と
を備えることを特徴とする光学ドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−89263(P2013−89263A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226686(P2011−226686)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】