説明

制御電流生成回路

【解決手段】電流制御されたバイアス電流のための電流である制御電流(Icontrol)が、抵抗(a、b)によって形成される分圧器の両端の電圧降下により生成される。電圧供給電源の変動に依存する補正電流(Isink)を吸い出すことによって制御電流を補正し、電圧供給電源(Vsupply)の変動に影響されない制御電流を生成する。当該制御電流の補正は、少なくとも1つの基準トランジスタ(c、d)、及び電流吸い込み用トランジスタ(e)の組み合わせによって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧変動に影響を受けない制御電流を生成するための電気的な回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧変動に起因して、基準バイアス回路の出力電流は、要求仕様から大幅に外れてしまう。従って、安定電流の出力には安定基準電圧が必須である。安定電圧は外部にて生成されてもよく、例えば、アンプ部において用いられるバイアス回路に当該安定電圧が供給される。このような外部電圧源は、産業用途として一般的に用いられている。既存の概念は、非特許文献1において説明されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Esko,Jarvinen共著「GaAsヘテロ接合バイポーラトランジスタパワーアンプ用バイアス回路」,MTT−S(Microwave Theory and Techniques Society),IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.),2001年,p.507−510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電圧変動に影響されない制御電流を生成するための回路であって、特に基準バイアス回路用途に適した制御電流生成回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的及び更なる目的は、請求項1に係る回路によって達成される。更なる態様及び変形は、従属請求項から導き出すことができる。
【0006】
上記回路は、電圧変動に影響されない制御電流又は基準電流を生成する。アンプバイアス回路への供給用として、当該電流を特に用いることができる。制御電流は、2つの部分に分けられて分圧器を形成する抵抗における電源電圧降下によって生成される。当該2つの部分の間において、吸い込み電流路が制御電流路から分岐しており、これにより、吸い込み電流経路を介して電流を吸い出すことが可能になる。制御電流路上の残電流を規定値で維持するように、当該残電流を制御することができる。
【0007】
補正電流を生成するために基準回路が設けられ、当該基準回路では好ましい2つの小さな基準トランジスタのベース−エミッタ間の電圧を使用する。当該基準回路は、電源電圧の変動に応じて電流を吸い込むトランジスタを制御することにより、回路から実際に出力される電流を一定に維持する機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】好ましい実施形態の回路図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、回路の一例のより詳細な説明を、添付の図面を併用して記述する。
【0010】
当該図面に示した回路は、制御電流を生成するための回路Aと、説明目的のためであって一例にすぎない基準バイアス回路Bと、を備えている。制御電流Icontrolは、電圧供給電源Vsupplyから制御電流路jを介して基準バイアス回路Bに供給される。制御電流路jは、直列に配置されて分圧器を形成する2つの抵抗a及びbを備えている。吸い込み電流路kは、制御電流路jの抵抗a及びbの間から分岐している。吸い込み電流路kは補正電流Isink用に設けられており、補正電流Isinkを流すことによって抵抗aに流れる全電流Itotalが抵抗bに流れる制御電流Icontrolに減少する。補正電流Isinkは、制御電流Icontrolを既定値にするように制御される。この目的を達成するために、電流吸い込み用トランジスタeと、少なくとも1つの基準トランジスタc、dと、を備える回路Aが設けられている。好ましくは、2つの基準トランジスタc、dが設けられ、基準トランジスタc、dのそれぞれにおいてベースとエミッタとが接続されることにより、それぞれの基準トランジスタは、ダイオードのように動作するようにオンオフ駆動される。基準トランジスタc、dは直列に配置されている。第1の基準トランジスタcのエミッタが、追加の分圧器を形成する抵抗h及びiの間でオンオフ駆動する。第2の基準トランジスタdのコレクタは接地されている。第1の基準トランジスタcのエミッタは、補正電流Isinkを生成するために設けられた電流吸い込み用トランジスタであるトランジスタeのベースに接続されている。電流吸い込み用トランジスタeのエミッタは吸い込み電流路kに接続され、電流吸い込み用トランジスタeのコレクタは抵抗gを介して接地されている。
【0011】
従って、回路Aは、バイアス回路B又は安定電流を使用するその他の回路に供給される制御電流Icontrolの値を制御する。図に示した一例において、バイアス回路Bは、3つのトランジスタを備えている。当該3つのトランジスタのうちの第1及び第2のトランジスタl、mのベースが互いに接続されるとともに、制御電流路j及び第3のトランジスタoのエミッタに接続されている。第1及び第2のトランジスタl、mのエミッタは、電圧供給電源Vsupplyに接続されている。第1のトランジスタlのコレクタは、追加抵抗nを介して接地されるとともに、第3のトランジスタoのベースにも接続されている。第3のトランジスタoのコレクタは接地されている。そして、第2のトランジスタmのコレクタは、バイアス電流fを供給する。バイアス回路Bを、制御電流又は基準電流を使用する他の回路に置き換えることができる。このバイアス回路Bは、電気回路の一部分Bを囲む破線の長方形の枠によって図面中に示されている。
【符号の説明】
【0012】
a 抵抗
b 抵抗
c 基準トランジスタ
d 基準トランジスタ
e 電流吸い込み用トランジスタ
f バイアス電流
g 第1の追加抵抗
h 第2の追加抵抗
i 第3の追加抵抗
j 制御電流路
k 吸い込み電流路
l バイアス回路の第1のトランジスタ
m バイアス回路の第2のトランジスタ
n 第4の追加抵抗
o バイアス回路の第3のトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧変動に影響されない制御電流を生成する制御電流生成回路であって、
電圧供給電源(Vsupply)と、
2つの抵抗(a、b)を備える制御電流路(j)と、
前記制御電流路の前記2つの抵抗の間から分岐した吸い込み電流路(k)と、
前記吸い込み電流路に接続されたエミッタ、第1の追加抵抗(g)を介して接地されたコレクタ、及びベースを備える電流吸い込み用トランジスタ(e)と、
ベース、エミッタ、及びコレクタを備える少なくとも1つの第1の基準トランジスタと、を有し、
前記第1の基準トランジスタのエミッタは、前記第1基準トランジスタのベース及び前記電流吸い込み用トランジスタのベースに接続されるとともに、第2の追加抵抗(h)を介して前記電圧供給電源に接続され、
前記第1の基準トランジスタのコレクタは、接地され又は前記第1の基準トランジスタと同様の方法でオンオフ駆動される第2の基準トランジスタ(d)のエミッタに接続されている制御電流生成回路。
【請求項2】
前記電流吸い込み用トランジスタ(e)のベース、及び前記第1の基準トランジスタ(c)のエミッタは、第3の追加抵抗(i)を介して接地されている請求項1に記載の制御電流生成回路。
【請求項3】
前記電圧供給電源(Vsupply)及び前記制御電流路(j)に接続され、制御電流(Icontrol)に基づいて作動するバイアス回路を更に有する請求項1又は2に記載の制御電流生成回路。
【請求項4】
前記バイアス回路は、ベース、エミッタ及びコレクタをそれぞれが備える3つのトランジスタ(l、m、o)を備え、
前記3つのトランジスタのうちの第1及び第2のトランジスタ(l、m)のベースが、互いに接続されるとともに、前記制御電流路(j)及び第3のトランジスタ(o)のエミッタに接続され、
前記第1及び第2のトランジスタ(l、m)のエミッタが電圧供給電源(Vsupply)に接続され、
前記第1のトランジスタ(l)のコレクタが第4の追加抵抗(n)を介して接地されるとともに、前記第3のトランジスタ(o)のベースに接続され、
前記第3のトランジスタのコレクタが接地され、
前記第2のトランジスタ(m)はバイアス電流(f)を供給する請求項3に記載の制御電流生成回路。

【図1】
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【公表番号】特表2012−505454(P2012−505454A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530503(P2011−530503)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063212
【国際公開番号】WO2010/040841
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】